○鈴木
政府委員 ただいま御
質問のございました、特別
増資についてなぜ西ドイツと
日本とが主力であるか、こういうことでございますが、IMFの
割り当て額と申しますのは、発足の当時ブレトン・ウッズというところで国際
金融会議が開かれまして、そのときに
外貨準備とか、輸出、輸入あるいは国民所得、いろいろな比率があるわけでございますが、そういうものを基準にいたしまして定められたわけでございます。そして、その後もしそういったものについての大きな変化がある場合にはそれの調整をしようということになっておりまして、今回三十四年からちょうど五年目で、
割り当て額の調整時期になっておりました
関係で、その後の
経済の
発展状態、そういったものを勘案いたしまして、いまおっしゃいましたように西ドイツ、カナダ、
日本、大きな国ではそういうところでございますが、特別の
増資を受けたということでございます。はっきり申しまして
——こういうことを申し上げていいのかどうかわかりませんが、西ドイツの特別
増資の意義と
日本の意義というのは、私はある
意味では、ナショナルインタレストとしては若干違っておるという感じを持っております。西ドイツは、御在じのとおり、IMF発足以来一回もIMFから借りたことがないわけであります。西ドイツが
割り当て額をふやすということば、まさしく世界に対して西ドイツがそれだけの国際
金融協力をする、こういう
意味であろうと思います。それだけ彼らの実力が上がってきた、こういうことだと思います。それから
日本の場合には、もちろん
日本としても国際
金融協力の立場から、もし外貨事情が許す場合には相手方に金を貸してやる。すでに現在ゴールドトランシュとしてすでに払った
金額以上にわれわれのほうからIMFを通じて貸しておるわけでございますが、そういったときには国を相携えまして国際
金融協力をするということが、
世界経済の
発展の立場からいってもいい、こういう観点もございますと同時に、
日本は、何と申しましても、まだ貿易量その他に比べて
外貨準備が少ない。そういう
意味で、もしクォータを特別にふやしてもらう場合には国際収支の変動期において借り得る余力というものもふえる。
国際流動性につきまして、いわゆる所有準備と信用準備ということばがございますが、
日本の現状からいって所有準備を急激にふやし得ないとするならば、信用準備を厚くするということが、
日本のいろいろな国内
経済政策をやっていく上においてもいい、こういう
判断で、私
どもは特別
増資について、むしろ割り当てられたということでなくて、みずから名乗り出てやってほしいということを申し上げたわけでございます。したがいまして私
どもは、特別
増資をやったということが、終局的には
日本の信用準備を厚くし、第二線
外貨準備を厚くするという、
日本のナショナルインタレストに、自分だけのための
意味においても非常にいいというふうに感じて、昨年の
大蔵大臣の演説におきましてそういう趣旨のことを発言したわけでございます。
それから二五%の金を払う、これは
日本は金が少ないから金でなくてほかのもので払うべきではないか、こういう御
質問かと思います。まさしく現在の
日本の金の保有量は諸外国に比べて少ない、少ないことについてはそれ相応のいろいろな
理由があるわけでございますが、それはいま申し上げないといたしまして、二五%の金、これは先ほどの政務次官の
提案理由の
説明では詳しく申し上げなかったのでございますが、私
どもはこれをアメリカから買いまして、そうしてIMFに納める、こういうふうに考えておりますので、先ほど三億四百万とかおっしゃったと思いますが、現在は金は三億三千万ドル
程度ございます。それには手をつけることなしにアメリカから買いまして納めるということを考えております。現在は円も交換可能通貨でございます。円はコンバーティブル、交換可能通貨でございまして、したがいまして、円で納めようが金で納めようが、その点、
国家財政なり国際収支に対する負担というものは同一だ、こういうふうに私
どもは考えております。
それから、なぜこういうような
財政の窮屈なときにこういうことをするのかという御疑問かと思いますが、私
ども国際
金融を担当しております立場から申しますと、やはり五年に一回の
増資というものは、あまり短期的な
財政事情とかなんとかいうことを考えるべきではなくして、むしろそのチャンスには乗って、そうして
日本の信用準備というのを補強しておいたほうが、いろいろな国内の福祉政策というものをとる上においてもいいのではないか、こういう信念を持っておるわけでございます。したがいまして、今回の
財源措置といたしましても、国民の皆さまに直接御
関係のあるような税金というものを当てにしないで、外為
資金の繰り戻し、金の再評価といったようなことで、実はそういうようなかっこうで調達したということが実態でございます。