○
前田(榮)
委員 いま御
説明によりますと、一億の金で当分しのごうというようなことですが、これでは問題にならぬのではないか。このことをいま直ちに問題にしたいのでありますけれども、したところで結論が出るわけではないですから、これは後日の問題にいたしたい、かように思うのであります。ただ、いま御
説明になった
国民運動としての
行事、これがどういうように進んでいくかということは、今後の
日本の
国民全体の
体位向上の
運動に重大な
関係があると私は信ずるのでお尋ね申しておきたいと思うのであります。この問題は、皆さんすでに御
承知のとおりに、昨年
オリンピック東京大会が開かれて、
国民の中に盛り上がりつつあるところの
体力つくりの
運動として、
内閣のほうにも、
さきになくなられました
河野一郎先生が非常に力を入れられてだんだんと具体化するようになったのでありますが、
〔
田邉委員長代理退席、
委員長着席〕
ただ私が心配するのは、
オリンピックという非常にはなやかな、しかも
日本国民にとって大事な世界的な
大会が開かれた。このことがあまりにも目の先にちらついたようなかっこうで、すなわち
スポーツとしての
運動、このことと
国民全体の
体位向上、
体力つくりの連動ということは
一つのようで決して
一つでないと思うのであります。しかも
オリンピック大会において、
日本国民がいかに
体位が貧弱であったかということも、われわれ
国民が非常に目ざめなければならぬ問題になっておるわけでありまして、そういう上からいいますと、
スポーツというものは
国民全体の
体力、全体の発達の中に健全な
育成を見なければならぬものだと思います。にもかかわらず、
スポーツ関係諸
団体が主として
考えておる問題は、
スポーツを発達させ、
スポーツによって
国民が引きずられて
体位を
向上するようになる、そうして
スポーツが発達することによって自然と
体位がいろいろな形で進んでいく、こういう
傾向がないとは思われないのであります。何といたしましても、昨年の
東京大会の結果にあらわれた情勢からいたしましても、いまの
日本の
国民全体の
体位の
向上はいかにすべきかということでなければならぬと思うのであります。
そこで、いま御
説明になりましたいろいろ各
府県における
国民会議等を持たれながら進んでいかれるその方向といたしまして、われわれが
考えなければならぬ問題は、具体的には何が中心になるか。もちろんその
体位向上は、たとえば
体操をやったらよろしい、あるいは歩け
運動をやったらよろしいということもありましょうし、また
栄養が大事だということもありましょうし、その他それに伴ういろいろな
レクリエーション等が必要だということもありましょうが、それらの全体を通じて
考えられる問題は、すべてが必要であるけれども、すべての必要な中における
土台となって進むべきものは何か、こういうことを
一つ考えなければならぬと思うのであります。
そういうことを
考えた上に立って、私は
現状を
考えますならば、進んだ近代的ないわゆる
体操でなければならぬと思う。いろいろな
スポーツ、いろいろな競技をやる際におけるところのいわゆる
準備運動等は、すべて最近における
傾向といたしましては非常に発達したものができて
実施されておるのであります。いま
日本における問題といたしましてはいわゆる
ラジオ体操等がございます。私は先日
ラジオ体操の紅林君といろいろ
事情も聞き、相談をいたしましたが、この問題といたしましても、もう
ラジオ体操だけでよろしいという時代は過ぎたと言っていいときではないか、もっと高度のいわゆる
体操が行なわれなければならない。これはスウェーデン、デンマーク、
チェコスロバキア等々の
体操国においても、百年一日のごとく従来の
体操ばかりをやっておるのではなくて、何ヵ月か何年か後には発展した
体操を次から次へ
国民の中へ植えつけておるわけであります。そういうことを
考えたときに、私は
指導者が
日本にはあまりにも貧弱ではないかと思うのであります。この
指導者の
育成とか
奨励というものを
考えますと、これはまあ、あとで
文部大臣におりがあったら聞きたいと思うのでありますが、
日本にはいわゆる
体操学校、
体育学院とかいうようなものもございますけれども、これだって全体の
国民が行なう
体操の
指導者を
養成するとは
考えられないのであります。そういうことを
考えたときに、この
指導者の
養成に、この一億の金の中でどういうようにいま
内閣審議室のほうではお
考えになっておるか。この点をまずお聞かせ願いたいと思うのであります。