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1965-08-02 第49回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年八月二日(月曜日)    午前十時十五分開議  出席委員    委員長 加藤 高藏君    理事 有田 喜一君 理事 小笠 公韶君    理事 壽原 正一君 理事 多賀谷真稔君    理事 滝井 義高君 理事 細谷 治嘉君       大坪 保雄君    上林山榮吉君       田中 六助君    中村 幸八君       野見山清造君    三原 朝雄君       井手 以誠君    岡田 春夫君       中村 重光君    八木  昇君       伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君         労 働 大 臣 小平 久雄君  出席政府委員         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業政務次         官       堀本 宜実君         通商産業事務官         (石炭局長)  井上  亮君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      森  五郎君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    中橋敬次郎君         通商産業事務官         (石炭局鉱害課         長)      佐成 重範君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策)      ————◇—————
  2. 加藤高藏

    加藤委員長 これより会議を開きます。  この際、進藤通商産業政務次官及び堀本通商産業政務次官よりそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。進藤通商産業政務次官
  3. 進藤一馬

    進藤政府委員 進藤一馬でございます。  このたび通産政務次官に就任いたしました。今後皆さまの御指導、御支援によりまして職責を果たしたいと存じます。何とぞよろしくお願いいたします。(拍手
  4. 加藤高藏

  5. 堀本宜実

    堀本政府委員 私は参議院の堀本宜実でございます。  このたび通産政務次官に就任をいたしました。不肖な者でございますが、どうか御指導、御教示をいただきますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————
  6. 加藤高藏

    加藤委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、石炭対策基本施策について通商産業大臣並びに労働大臣から所信を承ることにいたしております。三木通商産業大臣
  7. 三木武夫

    三木国務大臣 第四十九回臨時国会におきまして石炭対策特別委員会の御審議をいただくにあたり、一言あいさつを申し上げます。  御承知のとおり、石炭鉱業は、エネルギー革命の渦中にあって、さきの第一次石炭鉱業調査団答申及びこれに基づく石炭対策大綱の路線に従い、みずからの歴史においても、また他の産業のそれにおいてもかつて見られなかったほどの大規模かつきびしい合理化整備を実施してまいりました。  このような合理化施策によって、石炭鉱業昭和四十二年度から自立安定するものと見込まれていたのでありますが、その後、予想外労働者の離山、計画を上回る合理化整備費用の増大、資材費の値上がり、ビルドの相対的おくれなどによって、深刻な事態に直面するに至りました。  このため、政府といたしましては、昨年、再度の石炭鉱業調査団答申に基づき、昭和四十二年度に主要な企業収支がおおむね改善し、安定することを目標として、諸対策強化を行なうこととしたのであります。  しかしながら、最近に至り、重大災害が頻発し、保安対策の抜本的な強化要請されるとともに、また、一方において石炭鉱業の将来に対する不安感から企業資金調達はきわめて困難な事態に立ち至っておりまして、このまま放置すれば、目標年度である昭和四十二年度石炭鉱業を安定させることは、きわめて困難な実情にあります。  しかしながら、わが国エネルギー資源として重要な地位を占めている石炭鉱業を安定させ、維持することは、まさに国民経済上の基本的な要請であり、安全保障雇用国際収支地域問題等の総合的な観点に立って、金融機関及び労働者が安心して政策協力できるような思い切った対策を早急に講じなければならぬと思っています。私は、このような見地に立って、石炭鉱業安定化のために根本的対策を策定し実現していく考えであります。  なお、石炭鉱業の根本的な安定化対策と並行して、国土保全、民生の安定の見地から、鉱害復旧産炭地域の振興についても強力な施策を重点的に実施してまいりたいと存じております。  本委員会におかれましても、今後とも一そうの御協力を賜わりますようお願いをいたす次第であります。
  8. 加藤高藏

  9. 小平久雄

    小平国務大臣 石炭鉱業に関する当面の労働諸問題について一言所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  最近の石炭鉱業雇用情勢を見ますと、一部炭鉱を除き合理化に伴う人員整理は一段落し、滞留離職者も大幅に減少いたしておりますが、他面、一部のビルド炭鉱においては坑内労働者の不足という状態が生じております。  このような石炭鉱業状況変化にかんがみ、政府といたしましては昨年の第二次石炭鉱業調査団答申の線に沿って石炭政策強化をはかってまいりましたが、労働省といたしましても、同調査団答申の趣旨を十分尊重して、今後の雇用対策推進をはかり、滞留離職者就職促進と、あわせて高能率ビルド炭鉱に対する必要労働力確保につとめる所存であります。  また、石炭鉱業に働く労働者労働条件確保につきましては、かねてから監督行政重点事項として鋭意監督指導を実施してきたところでありますが、今後ともなお一そうの努力を重ねる所存であります。  さらに、保安の問題につきましては、労働者保護という見地から重大な関心を持ち、通商産業省と緊密な連絡をとりつつ保安確保のため諸般の努力を重ねてまいったところでありますが、不幸にして、本年に入り北炭夕張日鉄伊王島山野鉱業と相次いで重大災害の発生を見ましたことは、まことに遺憾に存ずるところであります。このような事情にかんがみ、私といたしましても、石炭鉱山における保安確保強化するため、保安体制強化保安教育徹底ガス爆発等防止災害時における被害の拡大の防止等、必要な措置について七月七日通商産業大臣に対し勧告を行なったところであります。  労働省といたしましても、今後とも一そう通商産業省との連携を密にして石炭鉱山における労働災害防止に遺憾なきを期してまいる所存であります。  なお、不幸にして被災された労働者方々につきましては、一酸化炭素中毒対策充実等、その治療に万全を期するとともに、一家の支柱を失なわれた遺家族方々に対しては、その就職援助に関し格段の努力をいたす所存であります。  以上、当面の問題につき所信の一端を申し上げた次第でありますが、行政推進にあたりましては、各位の御意見を十分拝聴しながら誠意をもって解決に努力いたしたいと存じますので、各位の御指導御鞭撻をお願い申し上げます。     —————————————
  10. 加藤高藏

    加藤委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 通産労働大臣所信表明に対する質問の前に、六月一日の山野災害の問題について、先般六月十八日当委員会質疑をしたわけでございますが、その後の状態について、さらに行政的にはどういう手を打たれたか、現況について政府委員から御答弁願いたい。
  12. 井上亮

    井上政府委員 山野炭鉱が御承知事故を起こしまして以来、山野炭鉱自身におきましてもその後復旧あるいは今後の保安対策を急いでまいりまして、この点についてはあと保安局長から補足いたしていただく予定になりましょうけれども、最近におきまして、御承知の海八部内、これは被害の起こらなかった地域でありますが、海八部内の再開保安局が認めるようなところまで来たわけでございますが、なお、事故を起こしました杉谷卸地域につきましては、目下、今後の保安対策復旧等について進めておる段階でございます。私どもとしましては、今後の山野鉱の全面的な再開あるいは将来についての計画確保という見地から、ただいま会社連携をとりまして、これに必要な資金対策あるいは労務者越盆対策、これは一言で言えば資金対策になろうかと思いますが、こういった点についてただいま検討中でございまして、大体、方向といたしましては、早急に見通しをつけまして、資金援助の道を講じていきたいというふうに考えております。
  13. 森五郎

    森政府委員 山野炭鉱爆発災害の後にいかなる措置をとったかという御質問でございますが、六月二十六日、山野炭鉱から整備計画の提出がございました。これは山の再開をひとつ認めてもらいたいという申請書でございます。これに対しまして、先ほど石炭局長から御答弁ございましたように、われわれのほうも、ああいう事故を起こしました炭鉱でございますので、それの許可にあたりましては慎重な態度をとりまして、七月八日、九日、山野鉱操業再開に対する検討をいたしたわけでございます。それによりまして、まず方針といたしましては、山野炭鉱再開については段階的な許可としたいというふうに考えております。  御承知のように、山野炭鉱につきましては、爆発間接原因であったガス突出のあたり、いわゆる大焼関係、大焼部内並びに先ほど石炭局長からお話がございました海軍八尺層、海八部内、それから、たくさんの犠牲者を出しました杉谷部内、三部内に分けられるわけでございます。御承知のように、海八部内は今度の災害によって被害が僅少でございまして、比較的そこの部分再開が容易である。ところが、杉谷のほうは、杉谷卸が全部爆発でやられておりまして、これを回復するのは相当時間がかかる。それから、大焼のほうは、これまたガス突出の問題が全然ないわけではない。いろいろな理由がございまして、まず海八部内についての検討から始めたわけでございます。  それによりまして、七月十三日から十六日にかけまして鉱務監督官が出張いたしまして、海八部内の調査をいたしたわけでございます。それによりまして、さきに提出されておりました整備計画書の不備な点を改善指示いたしまして、その指示の内容といたしましては、海八部内におきましても、先ほど行ないました大焼卸の掘進の排気杉谷卸杉谷切り羽に入ったと同様な構造になっている部分もあるわけでございます。したがいまして、これに関しましては、いますぐ坑道を排気に直接つなぐということもなかなか困難でございますので、したがいまして、海八の掘進のハッパについては、掘進をやる場合にはガス突出のおそれもございますので、払いの人間を退避させてハッパするというようなこと、あるいは海八の払いの上に風門がございますが、これをあけて直接排気にこれを回す、あるいはガス自動警報機をつけさせまして、これによってガス突出があった場合にすぐこれを感知する、その場合にすぐその場所の電源を切る、あるいはその地区の電源を切る、あるいは風下全部の電源を切るという、これは自動的に切るというわけじゃありませんが、やはり手動で切るわけでございますが、そういった設備を駆使させまして、あるいはハッパをするときにはあらかじめ風門のところと連絡をしまして、ガス突出があったときにはすぐ風門を開くというよう連絡強化をする、そういうことを指示いたしましなて、その結果、それを追跡検査をいたしまして、指示されたことが確実に行なわれておるということを確認いたしましたので、七月二十一日の一番方から就業を許可いたしたわけでございます。  なお、大焼卸部分あるいは杉谷部分につきましては、今後もう少し整備を待って検討したい、こういうふうに考えている次第でございます。
  14. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 具体的な問題についてはいずれ詳しくお聞きいたしたいと思います。  大臣にお聞きしますが、山野災害後に第二会社において災害のあったことを御存じですか。
  15. 三木武夫

    三木国務大臣 大之浦の災害があったことを承知しております。
  16. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これも、大之浦の第二会社災害がありまして、採炭課長以下三名、無防備で消火をしておって、一酸化炭素中毒で死んだ、こういう事件。最近における災害の頻発において労働省も警告を発しておるわけですけれども、やはり依然として災害が絶えない、こういう問題。これは大之浦の問題についてもいずれ詳しくお聞きいたしますけれども、本日は大臣の時間の都合もありますから基本的な問題を聞かなければなりませんので、いずれあとに申し上げますけれども、どうも、これだけ災害について世論も批判をし、国会でも問題になり、そうして行政当局もかなりきびしく監督をされておるやに聞いておるけれども、依然として絶えないですね。そうして、労働者の側からすると、これはいよいよ炭鉱はだめだという空気が支配的になりつつある。これを一体今後どうするかという問題ですが、山野の問題についてもいずれ若干質問をしたいと思いますが、根本策として、災害については一体政府としてどういう処置を打たれたか。この前私は予備費のことはこの席で承りました。さらに、たとえば警報機必置義務であるとか、その他一体どういう根本的な態度で臨まれんとするのか。おそらく、夕張伊王島山野と、こう災害が続きましたから、基本政策についてはすでに確立をしておるんではないか、かように思いますが、それについてお聞かせ願いたい。
  17. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、あの災害があった直後に、おかしいではないか、あとからそれの消火作業に行った人が犠牲になるということはおかしいではないか、なぜ救命具をつけないで行ったのだということを申しまして、まあ、いろいろ安全だと考えて、風向きの関係などで安全だと考えて行ったというような説明であったが、よくこの原因というものは究明をするようにと申したのであります。そうして、やはり、何というのですか、そういう場合におけるやっぱり常時の訓練の足りなさということを痛感をいたします。これは、いろいろの町で、石炭産業自体が不安定な状態にあるというところも非常に関連するのかもしれませんが、しかし、いずれにしても、もう少しやはり炭鉱に働いておる労務者保安訓練というものは非常に大事だという感じがいたします。  いま政府が当面やっておるこの保安対策についてどういうことをやっておるかということをお尋ねでありましたが、いま当面具体的な対策としてやっておりますことは、第二次の総合点検月間というものを、これを強化しようということで、全国の三十七炭鉱を対象として一斉に総合点検を実施して、鉱山保安法に基づいて改善命令を積極的に発動する等の、改善を行ない、あるいは是正、特に強力にこれを推進していく、そうしてまた点検後は追跡検査を行なって改善処置徹底をはかりたい。それから、次には、中央鉱山保安協議会によって保安対策というものを徹底的に検討してもらいたい。これは近く答申が出る手配になっております。それから、保安対策調査団の派遣。中央鉱山保安協議会保安対策調査団を七月の十三日から北海道、九州の産炭地に派遣して、保安確保の立場から見た生産の方式坑内構造保安管理体制保安教育などについて調査をしてもらう。それから、予備費緊急対策費の支出には、これは御承知のように、監督検査強化、それから保安専用器具整備保進、さらに保安教育の拡充、また保安不良炭鉱整備、さらに保安技術試験研究推進、これに予備費の七億数千万円の金は配分をいたしたのでございます。これが当時やっておる保安確保に対する施策であります。根本的にはもっと石炭企業そのものにも関連する根本的な問題がございますが、当面、やっておる対策としてはこういうことをやっておるのでございます。
  18. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 なお詳細についてはまた後刻お聞きいたしたいと思いますが、そこで、この山野の問題に関連をして、遺家族援護処置ですね、なかんずく未亡人就職促進、並びに山野の場合のCO患者のその後ですね、これをお聞かせ願いたい。
  19. 有馬元治

    有馬政府委員 御承知のように、山野遺家族援護対策につきましては、その後の調査によりまして、対策を要する人員が百六十九名、そのうち未亡人が百二十一名、こういうふうに把握いたしておりますが、七月九日現在で二十六名の就職あっせんをすでに終わっております。それから、懸案でありました第一靴下企業誘致についても、当事者間において覚え書きがかわされておりまして、その計画によりますと約百二十名の人員を採用する予定になっておりますので、私どもといたしましては、いま残っておりまする未亡人の大部分をその企業誘致された第一靴下に吸収していただく、こういう前提で目下その対策を進めておる段階でございます。
  20. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この第一靴下給料が幾らであるか知りませんけれども家計の主体である未亡人、いわば未亡人といえども世帯主になるわけです。大体世帯主の生活できるような給与ですか。こういう靴下企業というものは、いわば親と一緒に家計をともにしておる娘さんとか、こういういわゆる、家計補助的給与しか出ないのじゃないですか。一家を養っていく給与がもらえるような仕組みになっているのですか。それを糊塗的に、あそこに就職させたらいい、こういうことでは、実際問題として生活保護基準以下の給与ということにならざるを得ないでしょう。そうすると、未亡人対策としてはむしろきわめて不適当な企業ではないか、極論をすればそう考えられる。その未亡人がどこかヘつとめておる、その娘さんがそこにつとめておるというのなら、私はわかるのだけれども、そういう点の配慮はできておるのかどうか。
  21. 有馬元治

    有馬政府委員 現在の計画では、御承知のように、日給五百円、九時間勤務という条件のようでございますが、そのほかに、皆勤手当が三日分、精勤手当通勤手当等が若干つく、こういうふうな内容求人条件のようでございます。私ども未亡人対策といたしましては、できるだけ賃金条件がいいほうを希望いたすのでございますが、あの土地柄として必ずしも低い賃金ではない、こういうふうに判断をいたしております。
  22. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、その地域状態から見ると、特にその企業が安い企業だとは言ってないですよ。しかし、世帯主の生計を営む仕事としては給与が安い企業じゃないか、こう言っているんですよ。そこが政策としては非常にむずかしいところなんですね。ですから、この前も実は三池の未亡人対策のときに話が出ましたように、たとえば家政婦的な人が非常に少ない。だから、離職者対策のように、福岡なら福岡北九州なら北九州、あるいは名古屋、阪神でもいいのですが、未亡人を吸収して、そのアパートをつくって、そうしてむしろその人たちがいわゆる家政婦的な仕事をやる、ホームヘルパーのような仕事をやる。いま団地がありますから、夫婦共かせぎの団地等は非常にそういう手を借りたい。ですから、本人が一日四世帯なら四世帯を受け持つと、大体五千円もらえても二万円くらいの給料になるじゃないか。こういうようなものを考えないと、炭鉱は今後災害のたびに未亡人ができる。閉山をするときに一番困るのは未亡人対策なんですよ。これは山野のような場合だけでなく、どこの炭鉱も、従来夫を失った場合には炭鉱企業がかかえておるわけです。ですから、意外に未亡人が多いわけです、普通の企業においても。そこで何らか抜本的な対策を講じないといけない。それは第一靴下に行かれる人もあるでしょう、あるでしょうけれども、私は、それは家計をになう世帯主仕事ではないのじゃないか、こういうように考えるわけです。この五百円というのも、まだ訓練が未熟であるというので、むしろ若い女の子のほうが熟練度が早いですから、そういう場合に未亡人なんかわりあいに不器用でうまくいかない、こういう場合だって出るわけです。この前三池で非常に賃金が安いということで問題になりましたが、これらの特別な方策は講じられないものであるかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  23. 有馬元治

    有馬政府委員 未亡人対策としては、御指摘のように、家政婦を考えるということも考えておりますが、この問題は、北炭についてはいろいろな事情、好条件がございまして成功いたしておりますが、先刻の三池については、用意をいたしましたけれども、使わなかったといいますか、実現しなかったわけでございます。そこで、今回も、第一靴下だけが求人ではございませんので、私どもとしましては、現地の要請に応じて未亡人家政婦対策も積極的に助成をしてまいりたい、希望があれば施設その他の援護処置を講じてまいりたい、かように考えております。
  24. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 企業にあなたのほうが依存されるからそういう成功したり成功しなかったりするわけです。現実雇用促進事業団アパートをつくっているわけでしょう。北炭三井鉱山にアパートをつくらそうとするから、それは企業としてはとてもそういうことはできませんということになる。ですから、雇用促進として促進事業団現実離職者対策としてやっているような方式をやれば、私は成功すると思う。北炭で成功して三井で成功しないということはないのですね。だから、そういう面でもう少し積極的にやられる必要があるのじゃないかというように考える。  それから、山野の場合におけるCO患者状態、それから三十五年の北炭夕張炭鉱におけるC ○患者がまだ入院しておる、治療をしておるということを聞いているので、その問題、それから三池におけるCO患者状態、これらをひとつお聞かせ願いたい。
  25. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 山町における一酸化炭素中毒患者は、目下入院いたしておりますのが四名、それから、通院をいたしておりますのが二十名、合計二十四名でございます。三井三池の場合は、入院患者が二百九十四名、通院が三百六十名でございます。いまの数字は七月十五百現在の数字でございます。御承知のように、通院患者は自宅療養的な形でときどき通院するという形をいたしておりますが、症状の変化によりましては入院するということもありまして、この入院通院数字は若干出入りがございますが、山野の場合は、先ほど申しましたように、入院四名、通院二十名ということで大体固定いたしておるような状況でございます。  この患者につきましては、御承知のように、三井三池の事故の直後、医療委員会を設置いたしまして、治療指針及びいろいろな手当てをいたします場合の基準医療委員会として設定し、その基準にのっとりまして、各病院に分散しております患者医療内容をほぼ統一しよう、規制しようというふうに考えたわけでございます。山野の場合にも、その医療指針にのっとりまして医療を実施しておりますが、何分にも、一酸化炭素中毒に対する治療方法につきましては、わが国医学界そのものにおきましても十分な研究を遂げていない面もございまするので、本年度におきましては、一酸化炭素中毒に関する臨床、病理、生理、特殊治療法など、各分野にわたる研究を、北大、九大、熊本大学といったような、最近の炭鉱災害による一酸化炭素中毒患者を多く扱っておりますような大学を中心にいたしまして、研究を委託しておるわけでございます。この委託研究の成果を待ちまして、さらに治療内容基準を高度化し、適切な処置を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。
  26. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 このCO患者の問題につきましては、先般社会党の佐々木委員長が、通炭労働厚生大臣と懇談をしていただいたわけです。その際に、これについては努力を今後ともやっていきたいというお話でありましたので、それを期待をし、さらに詳細については別の機会に質問をいたしたい、かように思います。しかし、災害が起こりまして、忘れた人々の中に入って、そうして非常に苦しんでおる。いま三池の話がありましたけれども入院二百九十川、通院三百六十という数字方々が、全く社会から取り、残されておるという状態を、おそらく国民もあまり知らないのじゃないか、こういうように思います。これらの人々についての問題、ことに、社会党が出しております一酸化炭素中毒症に関する特別措置法等についても、今後御意見を承りたいと思います。  そこで、通産大臣のほうから先ほど所信表明で、石炭鉱業調査団から二度にわたって答申をいただいたけれども、その答申は、昭和四十二年度から自立安定するものと見込まれておったけれども、その後予想外労働者の離山、計画を上回る合理化整備費用の増大、資材費の値上がり、ビルドの相対的おくれ等によって深刻な事態に直面するに至りました、そうして、昨年はさらに調査団を派遣して云々と言っておる。そうして、私はこのような見地に立って石炭鉱業安定化のため抜本的な対策を策定し実現していく決意です、こういうように所信表明がありました。そこで、抜本的な対策というものを、どういう方向で、どういう構想でお持ちになっておるのか、これをお聞かせ願いたいと思うのです。そうして、これは二度にわたって答申がなされたけれども、依然として危機は解消しないどころか深刻になりつつある。これは私はみな認めるところであろうと思うのです。そこで、一体どういう構想で大臣は抜本的対策を策定しようとされておるのか。  率直に言いますと、政府施策というのは常に後手後手になっておる。その認識が、新しい、推移をしておる将来にわたっての認識がない。常に、過去のその事態に対する手当てに終わっておる。私は非常に残念だと思うのです。われわれは、少なくとも、昭和三十年度石炭鉱業合理化法が出ましたときに、これではとてもだめだと思った。石炭鉱業合理化法は、今後いい炭鉱を残して悪い炭鉱をつぶすために買い上げ方式というのをつくった。あれが昭和三十年にできた。昭和三十年という時点は、ちょうど昭和二十八年、九年くらいから非常な深刻な石炭不況の状態になった。ことに、九州におきましても、筑豊ではなくてむしろ西部地区、佐賀とか長崎という、北松炭田であるとかあるいは佐賀炭田、こういうところに起こりまして、特に中小に最初起こった。これはむしろ販売網の確立がなかったわけですね。朝鮮ブームで高いところに高いところにと売っていったものですから、不況になったらぱたっと販売網を切られたという関係で、ばたばたと倒れた。商社を中心として倒れ、それが中小に波及した。そのときに私は、むしろ販売網の確立が必要だということを当時叫んだ。ところが、それには目を伏せて、そうして、要するに、悪い炭鉱をつぶしていい炭鉱でいくのだ、こういう方式をとられた。それだけで終わった。それがずっと続いているわけです。  私たちはその際に次のことを提案をしたわけです。  第一には、石炭企業というのは、これは経営者の努力もさることながら、自然条件というのに非常に左右される、だから、自然条件にこれほど左右される企業というのはないのだから、ある一定の努力をしてもなお赤字だ、しかしその炭鉱を残さなければならぬということであるならば、やはり価格プール的なものが、ある程度価格の弾力性というものが必要ではないか。  その次に、第二には、将来において、暖房用の小売りは別として、ほとんど電力に集中され、鉄鋼に集中されるのだから、やはり、石炭の販売というのは、この大口需要については一手でおやりになったらどうですか、こういうことを当時主張をした。そうして石炭鉱業石炭販売公社でもつくってやったらどうか、こういう話をしたところが、これはかつての配炭公団の二の舞いだ、こういう非難を受けた。ところが、配炭公団というのは、これは率直に言って当時の政府と経営者がサボったのです。とにかく粗悪炭ばかりが山のように貯炭になった。そういうばかなことはないのですよ。粗悪炭ばかりが出るわけはないのです。三木さんはむしろ当時社会党連立政権におられて推進されたほうですから、あなたを私非難をするわけではないけれでも、自由党を中心としての、要するに当時配炭公団をなくした側の意見というのは、こんなに非能率じゃないかと言う。それは、将来もとに返るのだという見込みがあれば、だれでもいい石炭出しませんよ。悪い石炭ばかり掘ったわけです。ですから、悪い石炭ばかりが貯炭になったわけですね。二百万トンかの貯炭になったわけです。配炭公団失敗だ、こう言っておるけれども、それは、悪い石炭ばかり出せば、だれでも失敗しますよ。ですから、いわば当時の配炭公団をなくしようという政府と経営者が一体となってこれをつぶした、こう言わざるを得ない。ですから、ドイツだって、私企業ですけれども、御存じのように、現在その販売会社でやっておるわけです。ですから、これはやはりどうしても当時考えなければならない問題であると私たちは指摘した。  その次に私たちが指摘しましたのは、開発というのは、もう当面私企業でできないだろう、電力については、現実電源開発株式会社をつくって、九電力と並列して開発された、石油の場合も、石油資源開発株式会社をつくって、現実に帝国石油その他の鉱区の譲渡を受けておやりになった、現実に私企業と並列して開発をやっている、石炭の場合だけなぜできないか、石炭の場合むしろやるベきではないか、なるほど鉱区の所有権者がおるでしょうから、その鉱区は現物出資をしてもらって、石炭開発株式会社でおやりになっていいじゃないですか、こういう話をしたわけです。ですけれども、これは公社とか公団とかをつくらないで株式会社でけっこうです、それは電発がやっており石油資源がやっておるとおりでもいいじゃないかという当時話をして、その柱をつくったけれども、それもおやりにならない。  その次に、終山をする場合、残暑のある鉱区、それを買い上げる場合、いわゆる残量炭量を中心として計算をされておるけれども、あれは誤りではないかということ。とにかく、つぶす炭鉱に幾ら鉱量があっても意味がないのだ、価値がないのだが、そのつぶす炭鉱の鉱量を中心にして、トン当たり千二百円を中心にして、その具体的な作業をおやりになっておるわけです。これは、大資本家はいいけれども、多くの鉱区を持っておる人はいいけれども、終山処理として意味がない、終山処理としてやるならば、一体未払い金がどのくらいあるか、労働者の退職金が幾ら要るのか、鉱害の量がどのくらいなんだ、あるいは中小企業等の未払い金がどのくらいであるというような要素を加味して終山処理をやられたほうがいいじゃないか、当時、われわれはこういう提案をしたわけです。  われわれの側から言えば、残念ながら、私がいま申しました全部が当たっておるわけですね。当時それをなぜしなかったかと思うのです。現実に販売会社も、電力用炭販売株式会社というのができておるでしょう。ですから、現実に電力だけは一手販売になっておるでしょう。それから、価格の問題も、一律に価格を引き上げられたけれども、それでもうまくいかぬというので、現実に、杵島炭礦とか、明治炭鉱とか、あるいは高松炭鉱とか、貝島炭鉱というような問題が起こっておるでしょう。さらにまた、開発も全然思うようにいってないですよ。最近は、開発した炭鉱ほど経理が悪い。成功しないからですね。全部が成功すればそういうことはないけれども、開発をした炭鉱、たとえば名前を言っちゃ悪いけれども、住友炭鉱がやった昭嘉というのは、二十億を費やしたけれども全然ものにならないです。明治鉱業だって、庶路炭鉱をやったけれども、二十億以上を費やしたけれども、全然ものにならない。そうすると、開発をやったけれども、開発して失敗したことによって、もともとの企業まで体質を悪くするわけです。こういう状態ならだれも開発しませんよ。イージーゴーイングな状態でいきますよ。ですから、それほど危険があるから、開発だけは政府でおやりになったらどうか、そのあとの経営は鉱区の所有権者にやらせるかどうかは別として、これほどリスクの多いものを私企業にゆだねられるのは無理じゃないか、こう言った。これをやらないから、現実は全然開発がおくれておる。それから、終山処理の問題も、いま起こっている問題は、千二百円で買い上げておるけれども、大体六千円から五千円です。トン当たり六千円から五千円なければ終山処理はできないですよ。ですから、どんどん非能率の炭鉱をつぶした炭鉱ほど、これまた逆に言うと借金がふえておる形になっている。ですから、企業全体としては経理はよくないですよ。炭鉱はどんどんつぶして能率をあげたけれども、残った炭鉱でかぶるだけの余裕が出てきてない。  ですから、これらを勘案してみると、政府政策というのは、常に、前を向かないで、そのときを何とか糊塗しよう糊塗しようという対策しか出てきてない。ですから、対策に飛躍的な前進がないですよ。そうすると、事態はますます深刻化しておる。テンポは早いですよ。ですから、残念ながら、先生方に答申をいただいたけれども、私企業のわがままも一緒に手伝って、成功していない。あるいは政府の援助も十分でなかった。ですから、この際一体どういう方式で考えられようとするのか、これをお聞かせ願いたいと思う。
  27. 三木武夫

    三木国務大臣 いま多賀谷委員の御指摘になっておることは、そういう面が多分にあることを私は認めます。どうも、そのときの対策に追われて、長期的な石炭鉱業の安定策というものがおろそかになっていることは、事実そのとおりだと思います。今度も、こういうことでは石炭鉱業に携わる人たちが安定して長期の計画を立ててやることがなかなかむずかしかろう、ここで石炭鉱業というものをもう少し全体のエネルギーの中で位置づけをして、そして、みながこれだけの石炭はどうしても国策上掘るのだという目標をきっちりきめて、そして政府が助成するものはするということでやらなければ、どうもその日暮らしではだめではないかということで、通産省としても、石炭局は、従来のことにとらわれないで検討を始めようということで、検討をやっておるわけであります。また、総合エネルギーの調査会とか、石炭鉱業の審議会にも、そういう考え方で検討を願うことにしております。これはやはり根本的な問題でありますから、きょうあすにということにはならぬかもしれぬけれども、いま御指摘のような面がある。石炭政策に対してはどうも後手後手に回っておる点があることを私は率直に認めます。たとえば、いま御指摘になった新鉱の開発にしても、何かやはり、原料炭を中心にして、いままでのような方式でないことを考えざるを得ないのではないか。新鉱の開発をやればそれがまた赤字の累積の原因になるということでは、これはだれも意欲を失うわけですから、一般炭というわけにはいかぬが、原料炭の開発というものは従来の方式でないやり方を考えてみる必要があるのではないか。それからまた、トン当たり千二百円という、この終山処理の方針が実情に沿わないことは御指摘のとおりです。いろいろ退職金も高くなっておるし、その他いろいろな値上がりがあって、千二百円ということでは、かえって整理したがためにその赤字の負担に悩んでおるということは、御指摘のとおりだと思います。だから、これについても、千二百円という実情に沿わないこういう処理の方式も問題であるし、また、いま御指摘になったような、埋蔵量だけでそういう計算をやるという方式が実情に沿うのかどうかということも一つの問題点だと思います。これは再検討をいたしたいと考えております。
  28. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 かなり前進的なものをつくろうとする意欲はうかがえたわけですが、どこの国も実は石炭にはかなり悩んでおることは事実です。しかし、日本ほど深刻なところはないわけですが、アメリカの上院の内務委員会においても、アメリカの燃料及びエネルギーの研究というのを諮問いたしまして、その研究グループから最近答申を得ているようですね。かなり膨大なものです。それから、西ドイツにおいても、やはり、石炭企業はかなり保護しておるけれども、悩んでおる。そこで、私は、石炭協会が出した雑誌の中に次のようなものを発見したわけです。それは最近の記事なんですけれども、ライン鉄鋼株式会社の取締役会長で、総支配人であって、往年ルール石炭鉱業のスポークスマンであったゼーンゲンという人が、とにかく石炭は単一企業に吸収すべきだ、こう言っている。これは私企業においてですけれども、私経済的基盤に立つ石炭鉱業の単一会社の設置を提案したわけです。これは、この人が一評論家ではなくて、現実にその鉄鋼界の責任者である。かつて石炭も経営している。しかもドイツの場合は鉄鋼会社というのは自分で炭鉱を持っている。ですから、いわば相当画期的な提案で、これに対していろいろなところから反響が出ておることは事実ですね。しかし、ドイツにおいてももう単一会社にすべきだということで、この人は自由主義経済の立場ですから当然私企業の話をしておるわけです。しかし、いまやドイツは単一企業にして炭鉱の集中化をやるべきだ、こう言っているわけです。そうしなければとてもやれっこないぞ、こう言っているわけです。この中にはわれわれから見るとどうかと思う点もあるのですよ。たとえば、今後の賃金のベースアップについては政府が持て、こういうことも言っておりますから、これは全部賛成するわけにはいかない問題はいろいろあるのですが、とにかく、こういう重要な地位にある人がそれくらい提案しているという状態で、将来における深刻さもさることながら、日本においては財界人からこういう提案がないのですね。石炭企業についてかくすべきであるというようなことがないのですよ。とにかく、日本の財界というのは、石炭については何かものを言おうとしないですな。言ったらばからしい、こう見るのか、とにかく私は非常に残念です。ですから、これだけの国産エネルギーの資源の不足を告げられておる今日、石炭の地位というものに対して財界がものを言わない。それは、財界の人でも何かの委員になっていれば委員としてものを言いますよ。しかし、財界は黙して語らずですね。ですから、私は、この財界の態度、経済界の態度というものは、今日の石炭の地位というものを非常に低めておるのじゃないかと思うのですよ。ただ炭価を若干上げたらいいとか、あるいは利子補給をしてやったらいいとかというような状態ではいけないのじゃないか。海運の場合は再編成をやりましたね。再編成というのは一つの画期的なことですよ。会社としてはそれでとにかく切り抜けようとしている。事実切り抜ける見通しがついてきている。ところが、石炭については何らそういう方策がない。まあ、現状における石炭の再編成とか、その企業の合同ということが必ずしも石炭企業としていいということを私は言っているのじゃない。それほど画期的なものを出さないとだめだということを言っている。鉱区の統合ということを話されるが、鉱区の統合ということはいままで全く出ていない。企業の集中化、炭鉱の集中化と言われているが、全然やった例がない。ですから、これはひとつ、あなたは実力者大臣と言われ、しかも政策大臣と言われ、将来総理大臣になるという有力候補ですから、石炭の将来に対する抜本的な対策をひとつぜひ講じてもらいたい。もう一度その決意をお聞かせ願いたいとともに、どういう機関で、いつごろを大体目標にしてお出しになろうとしておるのか、これもお聞かせを願いたい。   〔委員長退席、小笠委員長代理着席〕
  29. 三木武夫

    三木国務大臣 まず、石炭問題に苦労をしておる通産省でありますから、私は、まあ衆知を集めなければならぬけれども通産省としてもこの根本的な対策について検討を加えるようにという指示をしておるわけです。しかし、石炭が、各国とも、多賀谷委員の御指摘のように、どこへ行ってもやはり大問題であります。それは何かと言ったら、エネルギーの革命といいますか、これがやはり急激に来て、そうして非常に変化の激しいという中にあって、長期的に見通しを立てるということがなかなか困難な事情もあったでございましょう。そこで、やはりエネルギーの総合調査会などにおいて、日本の総合エネルギーというものに対する長期的な見方をどうするか、その検討をするということも根本的に大事であります。それは、将来やはり原子力の発電の問題も具体的な日程にのぼってくるし、こういうことも頭に入れて、日本の総合エネルギーというものは長期的にどう考えていくべきかという検討から始めるべきでしょう。そうでないと、やはり石炭の総合エネルギーの中における位置づけというものはなかなかむずかしい。一つには総合エネルギーの調査会の場というものもやはり重視せなければならぬ。それから、石炭鉱業審議会、これはいろいろ専門家が寄って、いろんなやはり経験、知識を持っておるのですから、この石炭鉱業審議会と通産省、こういう機関を通じて、ひとつこの際に根本的な石炭産業の長期的な安定という角度に立って検討をしてみたい。いつまでにおまえの結論は出るかということは、これは大問題ですから、時間をいつまでということは、そういう調査会、審議会等の御審議も願うわけで、日にちは切れませんが、この問題の根本的な対策、びほう策でなしに石炭産業に対しての根本対策というものを検討したいという意欲を私は持っている、このことだけは申し上げておきたいのでございます。
  30. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 日本の場合は、調査会とか審議会の中に役人が参加しておる。ですから、大蔵省も通産省も入っておる。だから、できた調査会の案というものは、わりあいに実行性はある。ところが、飛躍的なものが全然できぬ。初めから金は幾らなんだというような話をしておるのですから、ほんとうの政府の責任でどうするかということは別として、案そのものが日本の場合はきわめて事務的な案になる。そこに一つの問題がある。こういう点は案外くろうとよりもしろうとがよいかもしれないという気持ちさえする状態ですから、少なくとも根本的な案をつくろうとするならば、それは資料を役所からもらえることはけっこうですが、しかし、委員が高い角度に立って、実行はとにかく政府の責任でやるのですから、ひとつ案はほんとうに最善のものをつくってもらいたい。そうしなければ、私は、こんなテンポの早い石炭企業においては間に合わない、こういう感じがするわけです。  もう一つは、来年度予算、四十一年度石炭産業の予算です。いつ根本政策ができるかわからないけれども、少なくともその根本政策に向かう第一年度、全部できはしなくても、その方向に向かう第一年度の予算というものは、いままでの予算よりもかなり飛躍的な前進がなければならぬと思う。ところが、八月の末までに予算を出せというような調子ではうまくいかない。ですから、通産大臣のほうで大蔵大臣と折衝していただきたいのですが、とにかく、いつできるかわからないけれども、来年度予算というものは十二月までにはつくらなければならない。それまでにはかなり先生方のある方向の意見が出る。そういたしますと、事務当局のつくったいま出した予算にとらわれることなく、どうしても別ワク——別ワクと言っては何でありますが、あとから強力に折衝し得る余地を大蔵大臣と折衝していただいてとっておかなければ、私は第一年度においてつぶれていくのじゃないか、かように考えるのですが、その決意をお聞かせ願いたい。
  31. 三木武夫

    三木国務大臣 私もそのように考えております。どうしても、八月三十一日ですか、こういうことになってくると、事務的な予算にならざるを得ない。したがって、この石炭のようなわれわれとしても重要視していこうという政策のこういう予算については、交渉の余地を残しておくことを大蔵大臣と話して、すでに私はこういうことを総括的に話をいたしましたが、さらに念を押していくつもりでございます。
  32. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これは通産労働大臣ですか、実は厚生年金法が通過をした後に炭鉱の離職者に対する退職金の通算制並びに特別の年金制度については考慮をしてもらいたいという答申が出ておる。かねがね、いままでの各大臣は、厚生年金法の改正案が通れば着手したい、こういうお話をなさっておったのですが、その作業はどういうふうに進んでおるか、これをお聞かせ願いたい。  それから、鉱害の点は滝井先生にお願いして、いま問題になっております明治炭鉱あるいは明治鉱業株式会社、それから杵島炭砿株式会社、それから一応方向は出ました高松炭鉱、これらの資金の問題は、一体財投としては余裕があるのかどうか、それらの点を今後経理審査会のほうで結論を出した場合にどういうようにされるのか、これは通産大臣からお答えを願いたいと思います。
  33. 三木武夫

    三木国務大臣 全体としては財投の資金も相当ふやしておることは事実ですけれども、必要があればふやすということは原則ですが、個別の会社の問題に触れておるので、石炭局長から答弁をいたすことにいたします。
  34. 井上亮

    井上政府委員 ただいま御質問の杵島炭砿あるいは明治鉱業につきましての対策でございますが、これは、後指摘のように、現在両会社ともに非常な危機に立っておるわけでございまして、私どもとしましては、相当可採炭量と申しますか、あるいは実収炭量が長期にわたってあるにかかわらず、また、てこを加えれば再建が可能であるにかかわらず、非常に経理的に困っておる。危機にあるというような企業につきましては、従来、石炭鉱業審議会の中にあります経理審査会、これは中立委員だけで構成しておりますが、ここにはかりまして、十分再建計画検討しまして、国の援助とともに何とか再建の方途を見つけたいというやり方をやっておるわけでございますが、ただいま御指摘の二つの会社につきましても、同様に経理審査会にはかりまして、ここで十分検討して、今後の措置をきめていきたいというふうに考えております。ただいま、二つの会社につきましては、相当困難な問題もありますので、率直に申しまして、なかなか結論的な作業ができないわけでございます。まあ、大体見通しといたしましては、今週一ぱいくらいに一つの見通しが得られる段階でございます。したがいまして、来週早々くらいに経理審査会にはかりまして、善処してまいりたいというふうに考えております。
  35. 小平久雄

    小平国務大臣 第二次の石炭調査団から、いま御指摘のような答申が出ましたことを私ども聞いております。これにつきましては、主として厚生年金との関係ということが一番重要だと思いまして、目下、通産省、厚生省、それから労働省、この間で検討を進めておる、こういう段階でございますが、いずれにいたしましても、せっかくこういう示唆があったわけですから、少なくも労働省としては積極的に検討を進めていきたいと、こういうつもりでいまやっております。
  36. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これは、石炭企業から見ても、労働者確保の面から非常に重要なことです。また、労働省の面から見ても、これは労働者労働条件改善の問題ですから、きわめて重大な問題ですから、ひとつ早急に作業を進めてもらいたい。  いまお話がありました明治、杵島等の問題は、経理審査会の結論が出れば、財投についてはそのつどふやすことになっておるという大臣お話がありましたので、この件は私企業にわたる問題ですから、いずれ懇談会等で詳しく内容をお聞きいたしたい、かように思います。
  37. 小笠公韶

    ○小笠委員長代理 滝井君。
  38. 滝井義高

    ○滝井委員 いまの多賀谷君の質問に対して、三木通産大臣から、石炭対策の今後の根本的な施策については総合エネルギー調査会なり石炭鉱業審議会にはかってぜひやりたい、同時に通産当局としても抜本対策を進んで考えるべきであるという御意見がございました。   〔小笠委員長代理退席、委員長着席〕 そして、歴代大臣が言わなかった、原料炭については新しい方式をぜひ考えなければいかぬのではないか、一般炭とまではいかないが、原料炭については今後やはり新しい方式を考えるというような、画期的な御答弁もあったわけです。ぜひひとつ、石炭鉱業の長期的な、抜本的な施策を講じていただきたいと思います。先日石炭局長ともいろいろ意見の交換をやったのですが、やはり、いまのこの状態では、金融機関が金を貸す状態でもないし、労働者も安定職場としての魅力を喪失しておりますから、いわば石炭鉱業は四面楚歌の状態です。こういう中で、この四面楚歌の状態から脱却をしていくためには、相当思い切った、大内兵衛先生ではないけれども、蛮勇をやはり政府はふるわざるを得ないのじゃないかと思うのです。ぜひひとつ、そういうつもりで抜本的なものを立てていただきたい。その上で抜本的な問題についてはまた機会をあらためて御質問を申し上げますが、きょうはあとでいろいろまだ懇談会等もあるようですから、私、鉱害の問題と、一、二の多賀谷さんが質問をしなかった問題について質問をしたいのです。  まず第一にお尋ねをいたしたいのは、第二会社の問題です。それと組夫の問題です。  第二会社については、第一次石炭鉱業調査団等の結論から、地域経済に重要な影響を及ぼす、それから雇用安定上どうしてもこれは第二会社にして残さなければいかぬという場合に、第二会社をつくるということになっておったわけです。その後、第二会社を中心として異常な災害が続発をした。そこで、第二会社の問題については一体今後どうするかということはやはり検討しなければならぬと、再々ここで答弁として言われてきたわけです。たとえば今度明治鉱業の赤池炭鉱が経理上の問題で閉山をして新会社になっていくわけですね。こういう問題についても、新会社ならば石炭を掘れるけれども、いままでの明治なり三池、三井というような大手の炭鉱では掘れないのだ、しかし新会社になったら労務費その他が切り下げられるからやっていけるのだという形ではもはやだめであるということを、過去の災害が証明をしておるわけです。そこで、一体、山野なりその他の災害の教訓から、第二会社としては政府はどういう場合にぎりぎりのところ認めていくのか、この、いままでと違った条件というか、方針というものを、ここに明らかにしてもらわなければならぬと思うのです。あの山野の後にずいぶんわれわれはこれをここで質問をして、政府も第二会社については十分今後検討するということを言われたわけですが、その第二会社設立の基本方針は、一体どういう条件が整ったら認めていくのかということを明らかにしていただきたい。  それから、なお、組夫に対する今後の基本的な方針についてでございます。災害が起これば、なくなった組夫の未亡人が、主人は口ぐせのように虫けらになりたいと言っておった。われわれは虫けら以下であったという、こういう嘆きを今後もさせないようにしなければいかぬと思うのです。そういう意味で、一体、組夫を認める基本的な確固たる態度というものは、どういうときにだけ組夫を認めることになるのか、この方針を、それぞれ、第二会社については通産大臣、組夫については労働大臣から、ここでまず明らかにしておいていただきたい。
  39. 三木武夫

    三木国務大臣 第二会社は本来好ましいものではないと思います。できる限りそれは厳重に制限を加えるべきだと思いますが、御承知のように、非常な地域住民の希望があるし、労使双方の熱意があり、また地域経済の安定あるいは雇用問題の確保、そういう点から、どういう場合に許すかということをここで一口に申し上げることは困難でしょうが、ケースバイケースで判断するよりほかにはないと思いますが、そういう場合にやむを得ずこれを認めるということでございますが、いろいろ炭鉱災害どもそういう第二会社に多いというような実情から考えて、今後第二会社というものを認めることについてはできるだけ慎重な検討を加えてまいりたいと考えておるのでございます。  組夫については、われわれも関係がございますが、一般的に組夫がふえておるとは思いませんが、しかし、数の上ではふえてないといっても一般の炭鉱労務者が減っておるのですから、紀夫は横ばいのような状態で、これもまたこの組夫が増加していく傾向というようなものは好ましくないことは申すまでもないのでありますが、しかし、ある一つの坑内における請負のような仕事、これに対して、炭鉱の作業の実態からして、組夫を使ってはならないということでは、石炭鉱業がやっぱり成り立たないと思います。だから、ある組夫の使うことが許されておるその制限というものを、やっぱりもっと厳重に監督をしなければなりますまい。そして、ある一つの限られた仕事、しかもそれを請負でやるような場合においては、現状においては組夫を使うことはやむを得ない、しかし、これがふえていく傾向は好ましくないと思います。
  40. 小平久雄

    小平国務大臣 組夫の問題につきましては、労働省といたしましても非常にこれを重視をいたしておるところでございまして、組夫の状況を見ますると、三十二年には二万五千人ほどいたようでありますが、本年はこれが二万一千人になっておる。若干減っております。それで、この間にあって、常用労働者のほうはどうかと申しますと、三十二年が二十九万人からおるわけです。それが四十年には約三分の一に落ちて十一万人になっておる。こういうことでございますから、常用労働者と組夫との比率というものは、それぞれ非常に違った比率で減少いたしておる。特に常用労働者の減少がはなはだしい、こういうことであります。はたしてこれで常用と組夫とのバランスが適当であるかどうかということも問題でございましょうし、いずれにいたしましても、臨時的な組夫がわりあい減り方が少ないということは、作業上妥当であるかどうかというような点が非常に問題ではないかと思います。そこで、労働省としましても、先般来組夫の実態というものを特にこの際全般的に調査しようというので、いま調査をいたしておるところでございます。
  41. 滝井義高

    ○滝井委員 通産大臣のほうの答弁で、雇用上あるいは地域経済の必要上どうしても第二会社にしなければならぬというような場合についてはケースバイケースで検討をしていくという御答弁でございますけれども、やはり、これは、ケースバイケースというと、ノーズロースになる可能性がある。いままでも基本的にはそういうケースバイケースでやるということであったわけです。ところが、ほとんど全部第二会社になってしまったのです。もうわれわれのところで第一会社でやっている炭鉱はない。たとえば田川炭田なんか全部第二会社です。それで石炭はやっぱり月にしたら十七、八万トンから二十万トンくらい出ているのです。昔と同じ程度に出るのです。労働者は、極度に、二万もおったのが七千くらいになってしまった。しかしその中に相当組夫がおるという形になっているわけです。全部第二会社です。だから、ケースバイケースは、ほとんど全部だということなんですよ。これはどこも言う。そこで、第二会社にされようとするならば、労働条件を下げてはいけないわけですよ。あるいは保安その他もゆるめてはいかないわけですよ。これがやっぱり私はポイントだと思う。労働条件は二割も三割も下げる。組夫はよけいに使っていく。これは、いまいみじくも労働大臣が御指摘になったように、三十二年に二十九万の常用労働者がおって、二万五千人の組夫がおったのが、常用が十一万に減ったのに、組夫は二万一千、四千しか減っていないのです。これは、比率が非常に高くなっているということは、坑内における労働力が、相当程度、少なくとも四分の一くらいは組夫に依存し始めたということです。もとは十分の一以下であったものが、二割五分程度は組夫に依存する。こういう形態で、保安の教育その他ができていない企業がやるわけです。しかも、坑内状況は、大きな大手炭鉱がやっておったがらんどうのようなところを、労働力を前よりか三分の一くらいにしてやるのですから、これは坑道の維持なんかできない。掘るほうばかり熱心になっている。こういう点は、ひとつ労働省のほうで、組夫の使用についてはもっと厳重な規制をしていただくし、それから、第二会社を設立する場合の条件についても、通産省のほうは、石炭を掘るばかりでなく、労働条件保安の問題等もさらに一段と考慮をしていただきたい。第二会社と組夫の問題というものは、これは密接な関係があります。これはもちろん第二会社でない大手の会社にも組夫は相当入っていますけれども、しかし、特に第二会社においては、これは私は、厳重な注意を今後していただいて、石炭行政なり労働行政をやっていただきたい、こういうことを特にまず第一にお願いをしておきます。  次は、炭鉱労働者雇用してくださった事業主に対して、雇用奨励金と申しますか、給料一万五千円——いま一万五千円になっておったと思いますが、一万五千円の半分、月に七千五百円ですか、半額程度を補助しますね。それから、住宅は二十万円までは出しますね。四十万の住宅を建てると二十万出すわけです。私たちは、いままで、こういうものについては税金はかからないと思っておったわけです。ところが、これをもらった事業主が、年度末になったら税金を取られておるのですね。一戸について二十万円までの金を国が出すわけです。そうすると、それは炭鉱労働者を雇った事業主の所得になって、税金を取っておるわけです。一体、こういうことが、石炭政策をやる上に、あれだけかねや太鼓で、雇用奨励金を出します、住宅確保奨励金を出します、どうか炭鉱労働者を雇ってくれといって雇わしておいて、住宅を建てて炭鉱労働者を住まわせたところが、年度末になったら、それに対して税務署が来て税金を取るなんということになると、雇用した事業主は、政府はうそを言った。ぺてんにかかった。こういうことになっておるのですよ。こういうことを、いままでわれわれもうかつでありましたが、公然とやられておるということは、たいへんなことだと思うのです。これは一体どういうことになってこういうことになったのか。
  42. 有馬元治

    有馬政府委員 各種の奨励金につきまして、御指摘のように、企業の所得として課税の対象になっておりますが、私ども主税局といろいろ折衝いたしておりますけれども、現在の税法の立て方からいたしますと、これを除外する、免除するということはできない状況になっております。
  43. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 ただいま御指摘になりました雇用促進事業団からの助成金についての課税でございますが、現在、税法におきましては、国とか地方公共団体から出します補助金につきまして、その補助金の目的に沿いまして固定資産を取得いたしましたときには、圧縮記帳ができるという制度になっております。ただ、その場合に、国とか地方公共団体に準ずるものからの助成金につきましてもそういう道が開けるという体制になっておりまして、現在政令で、製塩施設法に基づきます専売公社からの助成金、それから蚕繭事業団の助成金、この二つが、国なり地方公共団体からの補助金に準ずるものということに規定されております。  これに準ずるものという基準でございますが、私どもの従来の考え方は次のようなものでございました。いろいろ事業団ができます場合に、国からの出資だけででき上がっておるというものにつきましては、国からの補助金と同じように、これに準ずるものとして同等の取り扱いができるという考えでございますが、各種の事業団について見ますと、国からの出資のみならず、民間からの出資があるものが相当ございます。そういうものにつきましては、国からの補助金と同じように取り扱うわけにはまいらないわけでございます。この問題になっております雇用促進事業団につきましては、出資は全額国からのものでございますが、民間からの賦課金のようなものをおとりになるやに聞いております。そういたしますと、この促進事業団から出ますこういった助成金について圧縮記帳の道を認めるということになりますれば、民間からの金が事業団というものを通ずることによりまして、圧縮記帳になるという結果になるわけでございます。それで、私どもといたしましては、この雇用促進事業団の、全額国から出資がなされておりますという点、あるいはそれに伴って民間から賦課金を徴収しておるという点、これらを勘案いたしまして、また、他の事業団と何か線が引ける点があるかどうかという点等について検討はいたしておりますけれども、従来からの考えは、以上申し上げましたようなことで現行のたてまえができ上がっております。
  44. 滝井義高

    ○滝井委員 両大臣、いまお聞きのとおりであります。したがって、今後、炭鉱離職者、たとえば未亡人その他を雇用してくれ、幾ぶん国が助成するぞといつて、せっかく産炭地企業誘致をしてもらっても、行った助成金が収入に認定されて税金がかかるのです。そうしますと、企業は、雇ってくれ雇ってくれ、住宅も出すぞ、金も出すぞというので、喜んでやってみたところが、年度末になって税金を取られる。そんなことはわれわれも実は知らなかった。知らないものですから、さて代議士さん、これはおかしいじゃないか、われわれがあれだけ雇え雇えと言われて雇って、家も建てる、補助金等も出すのだからというのでやってみたら、あとで税金を取られて、もとのもくあみになった、雇用だけさして、おかしい、こういうことになるのですね。しかも天下の雇用促進事業団で全額国が出資しておるでしょう。幾ぶん炭鉱の賦課金があるかもしれませんけれども、しかし、こういうところこそ政治的に直ちに解決すべきだ。これは行政指導でできるわけです。これをやらないと、私はこれはたいへんなことになると思うのですよ。だから、前にさかのぼって、取った税金を返してやるべきだと思うのです。そのくらいのことをやらないと、こういう形にいくと、今度は、へまをすれば、鉱害復旧にも、炭鉱業者が納付金を出しておるのだからといって、おまえのたんぼはよくなったから税金を取ると言われだしたら、これはかなわぬです。だから、この点はひとつ責任を持って両大臣が大蔵大臣と話し合って即刻解決してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  45. 小平久雄

    小平国務大臣 お話の点につきましては、いま私伺っておりましてもどうも納得がいかぬ面もありますし、事務当局にも検討させますが、私自身も大蔵大臣とよく話し合ってみたいと思います。
  46. 滝井義高

    ○滝井委員 これは、いままでいろいろ国から出す形は、たとえば年金福祉事業団の金を貸す場合でも、労働者自身には金を出さない、企業主に金を出す、あるいは補助金を出す形になっている。だから、これを労働者賃金として国がやれば、どうせ労働者は限度以上だったら税がかかるけれども、免税点以下だったら税がかからない。ところが、企業にやるところにひとつ問題があると思うのです。これは税制の根本になるわけです。あるいは今後の年金福祉事業団その他の金を貸す場合の根本論にも触れてくると思いますけれども、そういう根本論は根本論として論議をしていただくにしても、この税金だけは速急に、前にさかのぼることが不可能ならば、四十年のものからは非課税にするという形で検討してもらいたいと思います。その点大蔵省もいいですか。
  47. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 検討いたします。
  48. 滝井義高

    ○滝井委員 ぜひそういう形で………。  次は炭鉱の住宅の問題です。御存じのとおり、最近急激に炭鉱が閉山をし、あるいは第二会社化をしていきますと、いままで千人とか千五百人雇用されておったのが、第二会社になるとともに三分の一かそこらになってしまう。そうしますと、そこに現実炭鉱に働いていない炭鉱離職者が住んでいる炭住ができてくるわけです。離職者にしてみれば、もう平均年齢が三十八、九歳になっておるわけですから、すぐには雇用先がないわけです。そこで、その炭住にとどまってしばらく様子を見よう、あるいはできればその地域で働きたい、こういう気持ちになるのは当然です。ところが、炭住は御存じのとおり電気の配線その他が業物用の配線になって、普通の住宅になれば全部入れかえなければならぬことになる。電気の配線からやり変えなければならぬことになる。水道その他も、市町村に移せば水道料は自分から払わなければならぬ。し尿の処理もやらなければならぬ。こういう問題になってくるわけです。非常にややこしい問題が起こってくる。そこで、住民としてはこれを払い下げてもらいたいということになるわけです。これまでの大手の炭鉱の炭住は、かつての復金の資金その他で建てて、もう減価償却は終わっておるものなんです。だから、安く払い下げていいわけです。ところが、どっこい、炭鉱は経理が苦しいものだから、そんなに安い金では払い下げぬという形が出てくるわけです。それで、現在たとえば北九州近くの小倉炭鉱にも払い下げてくれというのが起こっている。今度は高松炭鉱がずっと人員を減らせば、ここにも起こります。大正鉱業にもあった。明治鉱業の赤池にも起こり、三井田川にも起こっている。こういう閉山炭鉱の炭住を、旧方式では、場合によっては、その炭鉱労務者が住んでおって、あけますというような形になれば、全部一ぺん合理化事業団で買い上げてくれた。そうしてまたその労働者払い下げることも可能であったわけです。ところが、新方式になると、土地、炭住は買い上げないでそのままほうっておくわけです。これはもちろんそれぞれの炭鉱の担保になっております。ある場合には国税庁が差し押えております。いろいろの形態がある。したがって、炭鉱が閉山し、第二会社に移行したとたんに、離職した炭鉱労務者には住宅の不安が起こってきているわけですね。これを政府は解決をしてやる必要があるわけです。たとえば、三井田川のごときは七千戸の炭住がある。第二会社に使われている人は四、五百人です。今度これはセメントとかタイルとかの会社をつくりましたから、そこにも通勤をしております。いろいろの人がいる。生活保護者がまじり、失対の労務者がまじり、五千戸の炭住はいまのままだったらスラム街になってしまう。炭鉱はもう閉山をしたのですから、それに手を加え、修理をして、もとの炭住のような生活環境を保つことができないわけです。七千戸の炭住があり、そこに五千世帯が住んでおりますと、し尿の処理、それから汚物の処理、これはたいへんなことです。こういうものはいままで炭鉱が責任を持っておった。いまもまだ炭鉱のものですから、自治体も積極的にやらない。こういう形で急激にスラム街化し、そこに青少年の不良化が起こってくるわけです。地域の大問題になりつつある。ところが、これについては政府としては何ら施策をやらない。今度大手の炭鉱が不動産会社をつくって、家賃を取ってこれを管理しようとする。ところが、いままで炭住であって、ほとんど無料に近い形で置いておったものを、今度不動産会社ができて家賃を取ってやる。それじゃ雨漏りその他の修理を積極的にやるかというと、これはやってくれないわけです。こういう形になっていくわけですね。だから、閉山炭鉱の炭住の問題については盲点ですから、私は先日以来この問題を取り上げるのはこれで三度目なんです。政府は何か積極的な施策を打たなければいかぬと思うわけですが、やっていないわけです。全部もう自然に放置しておる。こういうことではいけないと思うので、ひとつ離職者対策とあわせて炭住問題を積極的にやってもらいたい。  実は、さいぜんの住宅確保の問題でございますが、たとえば、第一の会社が閉山をして、第二会社雇用されます。そしてその炭住なり新しい家に行くと、炭鉱雇用された者については住宅確保の奨励金が出ないのです。炭鉱以外に行かなければだめなのです。いま、炭鉱労務者が不足をして、住宅を確保してりっぱな住宅に炭鉱労務者を入れてやることが、雇用安定のまず第一の大前提であると思うのです。ところが、炭鉱雇用される人については住宅確保奨励金を労働省はやらないのです。私は、これはやるべきだと、石田君が労働大臣のときに強硬に主張した。そこで、私は法律上の根拠を調べてみたけれども、法律には炭鉱雇用された人に住宅確保奨励金をやらぬとは書いてないのですね。全くこれはあなた方の懇意的な——私はあえてこれを恣意的と言うのです。恣意的な行政でやっておるだけであって、その炭住に住んで、お隣のセメント会社とかタイル会社とか、その他の縫製工場に行くときには住宅確保奨励金をくれるのです。ところが、炭鉱に行った人にはくれない。第二会社に雇われた人にはくれない。こういう矛盾があるのです。いまや炭鉱労務者確保は非常に重要な問題になっているので、思い切って、あの裏長屋みたいなものに住まわせぬでも、近代的な企業がやっているようなりっぱなアパートをつくって炭鉱労務者を住まわせてもいいわけでしょう。ところが、それをやらないで、昔ながらの炭住に住まわせる。第二会社に行ったら金は出さない。こういうことは、炭鉱労務者を軽べつし、炭鉱労務者を無視しておる政策だと思うのです。こういう点、ひとつ労働大臣どうですか。炭鉱離職者の住宅確保の問題と、それから、炭鉱離職者自身が炭住を買いたいという場合には積極的に政府が助成して住宅を持たせるということ。持ち家制度というのは今度の佐藤内閣の重要な政策でしょう。炭鉱労務者だから、閉山した炭鉱の離職者だから持ち家を持ってはいかぬということはないと思うのです。どうですか。
  49. 小平久雄

    小平国務大臣 ただいま御指摘の点でありますが、私ども事情をいままでよく承知いたしておりませんので、局長からよく実情を御説明申し上げ、また、労働省として、特に先ほども申し上げましたとおり、坑内夫等は不足もいたしておるという際でございますから、改むべきことは改めていく、こういうことで善処していきたいと思っております。
  50. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、問題は必ずこれは自治体が関連をしてくる。し尿の処理とか水道とかいうものは全部自治体に行くわけです。それから、炭住が五百戸、六百戸、千戸になりますと、その炭住の中の道路というものはみな炭鉱が持っておるわけです。炭鉱の私有地です。ところが、炭鉱が閉山すると、道路の修理をやらぬから、がたがたの道になってしまう。排水溝もだめだ。そこで、どうしてもそういう道路を市に移さなければならぬという問題が出てくるわけです。そうしますと、道路等が市に移り、し尿の処理、汚物清掃、ふろというようなものは自治体が管理せざるを得ないことになる。そうしますと、そこに必然的に、炭住その他についても、自治体が責任を持ってくれるならば、その炭鉱当局は払い下げてもいいという形になってくるわけです。そこで、自治体がその中に介入をするとすれば自治体がこの炭住なり何なりをとりあえず買って、その後住民に払い下げるとすれば、自治体は買う金をくめんしなければならぬ。ところが、そういう施策については、この前吉武さんが自治大臣のときに質問しましたら、ケースバイケースでやりたい、こうおっしゃるのです。いま自治省の財政課長がいらっしゃっていますが、こういういわば炭住問題が起こったときに、自治省というものは積極的に協力ができるのかどうかということですね。ケースバイケースで考えますというお話があった。これは直接住民の住宅の問題なりそういう環境整備の問題ですから、自治省がある程度中に入るということは、その当該市町村が積極的に前面に出るということであり、これに通産省なり労働省協力をする、自治省がやっぱり財政的な協力もする、こういう形にならぬと炭住問題は解決しないのです。経営者と個人ではどうにもならぬ。離職者ですから。この点、自治省は、前の大臣はケースバイケースでやりますと言ったが、内閣がかって大臣も全部かわっちゃったのですから、もう一ぺん復習をしておかぬといかぬ。
  51. 岡田純夫

    岡田説明員 お話はこの前から伺っておりまして、非常にむずかしい問題だと思います。先生のおっしゃった考え方もわかると思いますけれども、やはり、この問題は、基本的には、三井田川という企業体、要するに住宅を持っておるところの企業体と入居者との間の問題であるというふうに考えざるを得ないのじゃないかと思います。したがって、通産省の御意見を聞いて、自治省としても、地域団体の問題でございますので、検討いたしたい、こういうふうな立場に立っております。もちろん、入居者と企業体の関係と申しましても、地域問題として、これは産炭地域振興の問題でございますから、地方公共団体が介入と申しますか、いろいろと心配して会社とのあっせんに立つということは十分に考えられる。しかしながら、直ちにそれが経済的負担に結びつくべきものとは判断しておりません。したがいまして、通産省の御意見なり、あるいはまた地元市町村の見解なりというものを伺いまして善処いたしたい、かように考えます。
  52. 滝井義高

    ○滝井委員 これは十戸か二十戸の問題でないので、何百戸、何千戸の問題ですから、個人と会社との話ではできないわけです。しかも、もとは炭鉱労働者であったけれども、いまや入居者は千差万別です。セメントに行く、タイルに行く、あるいは失対なり、生活保護なり、学校の先生がおる、さらに普通のサラリーマンというように、千差万別。したがって、当然自治体が前面に出ないと、こういう問題はうまくいかないわけです。自治体は土地と家屋を買っても財産が入るわけですから、将来に向かって土地を処分すれば、土地は十年間に七倍程度の値上がりがあるわけですから、自治体としては損はないと思う。何らかここに自治省がある程度バックアップし、通産労働その他の協力を得てこういう炭住問題を解決する。これは何も三井田川の問題でなく、小倉炭鉱もある。今度明治鉱業も出てくる。高松炭鉱にも出てくる。みんな九州至るところに出てくる。だから、ひとつぜひ積極的に自治省の協力を得たいと思うのです。ほんとうはきょうは永山さんに来ていただいてハッスルをちょっとしてもらいたいと思ったのです。しかし、永山さんがいらっしゃっておらぬものですからあれですが、ぜひひとつ大臣に伝えておいてもらいたいと思うのです。御協力をお願いします。  次は鉱害の問題です。時間がないそうですから、ちょっと重点だけをすっといきますが、まず第一に、鉱害の予防的な措置についてでございます。炭鉱鉱害の予防的な措置をやろうとする場合に、現在臨鉱法の適用にならないわけです。臨鉱法の適用になる場合は、炭鉱が掘ってしまって、三年なり四年で鉱害が安定期に入ったときに初めてこれは臨鉱法の対象になって、国か補助金を出してくれるし、鉱業権者の負担と合わせて復旧することができる。ところが、前もって炭鉱が予防的にひとつやっておこう、あの地帯というものはこれから掘る場合には異常な陥没が起こってくるから前もって少し上げておいてやろう、こういう場合については、これは助成がないわけです。それで、ことしの政府施策の中に、今年度鉱害予防を積極的にやるという施策を出している。一体鉱害の予防についてこれをどのように具体化していくのかということです。
  53. 井上亮

    井上政府委員 鉱害の事前予防の問題につきましては、ただいま御指摘の、現在の臨鉱法のたてまえでは、これはなかなか簡単に解決はできないことでございます。しかし、私どもとしましては、最近の事例の中で、やはり鉱害につきましてはできるだけ事前予防をしていったほうがいいというようなケースが非常に多くなっておりまして、したがいまして、これにつきましては、さしあたり、できますれば明年ぐらいから融資措置ができるように、例の鉱害賠償基金という融資をするための機関があるわけでございますので、こういうところを通じて、できるだけ融資していくというようなことで、ただいま検討中でございます。しかし、事柄は、鉱害がまだ起こらない場合のことで、起こったあと復旧だとか、あるいは起こったあとの金銭賠償というようなことになると、これは現在の法体系に乗れますから、これらの助成策については比較的考えやすいわけです。ところが、これは、炭鉱でいろいろ掘れば起こるかもしれぬということで、必ずしも起こるとは言えません。これは、山間僻地をやります場合には事前予防は要らないわけであります。しかし、実際問題として、田畑の下を掘れば起こるかもしれませんというような問題でございますから、そういった地点に応じてやはり配慮していかなければならぬ、地域について考えていかなければならぬというふうに考えております。これは私どもも相当重大な関心を寄せておりますので、今後これについても前向きに十分検討していきたい、そう考えております。
  54. 滝井義高

    ○滝井委員 通産大臣が急いでおるそうですが、これから一番大事なところを聞くので、もうちょっと待っていただきたいと思うのです。商工も石炭も同じ委員会ですから、ちょっと待っていただきたいと思います。  そこで、いまの問題は、予防的なものについては何も処置がない。それから、鉱害復旧をやって再び鉱害が起こった場合の処置についても、現在は非常に困難です。予防が全然しようがない。そして、起こったときには、これは臨鉱法で安定したらやります。しかし、安定して臨鉱法でやったものがまた、掘らないでも、自然鉱害で、いわゆる浅所陥没その他で起こってくる場合もある。こういう場台については、これは合理化事業団が買い上げた炭鉱については責任を持ってやることになるのです。ところが、これがなかなかできない。いまこういう両極に問題がある。予防に問題があり、一回やったあとの問題、こういう問題があるということだけをひとつ御記憶願っておきたいと思います。  そうしますと、問題は、いまの臨鉱法の問題です。一番まん中のやつですね。石炭山、特に九州の石炭山は、ほとんど閉山をするところは閉山をして、残っているのは非常に少なくなってきた。そこで、いわば昭和三十五、六年ごろから積極的な閉山方針が進んで、いまや四十年、四十一年は安定期に入ったわけです。したがって、鉱害復旧を非常にやらなければならぬことになっている。ところが御存じのとおり、今年の予算は鉱害復旧費というのは三十七億八千万円ですね。これは三十九年度予算に比べて二割五分程度の増加です。これは他の予算の一割四、五分くらいの増加に比べたら倍くらい増加していて、多いです。多いけれども鉱害というのは、どこも一緒に安定期に入る。明治三十七、八年ごろから掘り出したものが、みんな一緒に閉山をして、安定期も一緒になってきたわけです。したがって、鉱害復旧も全部一緒にやらなければならぬという形になってきているわけです。ところが、三十七億か八億くらいの予算しかつけられない。御存じのとおり、政府の予算編成方針は前年度予算の三割増です。三十七億の三割まるまるもらっても、これは十億かそこらしかふえない。そうすると、四十七、八億か五十億。ところが、たとえば福岡県がことしどの程度要求をしておるかというと、復旧事業団も加えたら、おそらく八十八億くらいになる。他の予算も大事ですけれども、掘ったあとあと始末を一体政府としてはどうするかということ。三割増の予算ワクで縛られてしまったら民生安定はできない、こういう問題が一つあります。これに対して一体どうお考えになっているか。  もう一つは、そういう形になると、鉱業権者は去年負担率をうんと引き下げてもらったわけです。たとえば農地の場合、三割五分鉱業権者が負担しておるのを、一割五分でいいことになっている。したがって、鉱業権者としては、去年と同じ財源を持っておればことしは二倍の仕事ができるわけです。ところが、予算のワクが締められたために、二倍の仕事ができないわけです。できないためにどういうことが行なわれているかというと、これは鉱害賠償基金その他から金を借りてやる以外にないわけです。施越し工事をやるか、あるいは事前着工でやるか、どっちかでいく以外にない。ところが、これをやれば借りた金の利子を払わなければならぬわけです。国か予算のワクを組んでくれなかったので、金を借りてやったために利子を払わなければならぬというような形が出てくる。じゃ、これをやらなければいいじゃないかというが、やらないとすれば、年々賠償を払わなければならぬ。だから、鉱業権者は王手飛車取りにかかっている。予算のワクがあるために、金を借りてやれば利子を払わなければならぬ。やらなければ年々賠償を払わなければならぬ。だから、一体どうしたらよいかといって、進退きわまっているというのが、いまの実態である。そこで、いまのこの実態をどう解決していくかということです。
  55. 三木武夫

    三木国務大臣 財源にもむろん限度があるわけですが、一応三割というものを限度にして、第一次の予算案の計上提出はそういうことになっておりますが、むろん、これは、どうしても緊要なということになれば、それは絶対のものではないわけであります。原則としては、一応それを限度にしてわれわれ事務的な予算は組むことになっておりますが、緊急の度合いによっては、その問題については、その限度をこえる折衝もすることは、政治として当然でございます。
  56. 滝井義高

    ○滝井委員 これで終わりますが、ぜひそれを積極的にやっていただかないと民生安定というものができないという形がある。もう一つは、それならば、いま言ったように、予算のワクが小さいということで金を借りてやった場合に、一体その利子補給ぐらいは考えるかどうかということが一つ。それから、いま一つは、有資力、無資力のものについては何らかの施策がある。ところが、自然閉山の炭鉱は、これもむろん有資力か無資力かどっちかに入るのですけれども、もう石炭は掘り尽くしてしまってこれで閉山しようというもの、いわゆる合理化にかからなくて自然閉山した、これが一番問題である。これは鉱害被害民が行くところがない。自然閉山した鉱業権者はどこに行っているかわからない。権者不明というわけにもいかない。どこかにおるけれども、細々として生活している。行っても、私は金がないですからと言って無資力にもなりたがらない。無資力になるものは、その市町村が全部財産を洗って、これは金がありませんという証明がなければならぬ。そういうことは自分の名誉にもかかわるし、仕事をやることができない。だから、これもやらないという自然閉山の炭鉱の問題をどうするかということです。この二点だけをお答えになっていただいたらけっこうです。
  57. 三木武夫

    三木国務大臣 前段の利子補給の問題は、検討いたします。  それから、あとの問題は、自然閉山ですから、これは無資力の中に入れて考えざるを得ないわけでありますが、自分が無資力になってくると信用に関するというけれども、しかし、やはり一方において鉱害を与えておるという社会的な責任もあるわけでありますから、自然閉山の場合だけを取り上げて別の対策を立てるということもなかなか困難で、いまは無資力の中に入れて、無資力の中においてそういう事情のあるものについて何らかの検討を加えるということが限度だろうと思います。
  58. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣はけっこうです。  それから、ちょっと事務当局に尋ねます。予算のワクが少なくて、炭鉱が賠償基金その他からの借り入れ金その他で積極的に鉱害復旧をやった場合についての利子補給を検討するというお話でございました。これはひとつぜひ来年度から実現をするように積極的にやっていただくと、あなた方の予算の確保が少なくても相当前進があるわけです。  それから、もう一つは、一体三十九年度における施越し工事と事前着工ですね、これはどの程度あったのか。それから、同時に、四十年度、今年度の施越し工事と事前着工が一体どの程度になる見通しなのか、これをひとつ明らかにしてもらいたい。
  59. 佐成重範

    佐成説明員 ただいま御指摘の施越し工事でございますけれども、施越し工事は、一般的に申しますと、これは会計法の関係から申しますときわめて例外的にしか認めない筋合いのものでございます。したがいまして、三十九年度におきましては、無資力復旧についてのみ一億円これを認めた次第でございます。有資力の復旧につきましては、これは、私どものほう、実は正確に了知いたしておらない次第でございます。四十年度につきましても、本来から申しますと、この施越し工事は予算の繰り上げ使用でございますので、なるべくこれを抑制につとめるというのが本来の筋かと存じます。したがいまして、四十年度におきまして四十一年度の予算をどの程度繰り上げ使用いたすかということにつきましては、今後検討いたすべき問題と考えております。
  60. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、四十年度は何もわかっておらないのですね。それでは、佐成さん、これはあとでもけっこうですから、三十九年度の無資力、有資力の施越し工事と事前着工と、それから四十年度の施越し、事前の有資力、無資力、これをひとつ調べて、資料でいいから出していただきたいと思うのです。  これでけっこうです。
  61. 加藤高藏

    加藤委員長 次会は公報をもってお知らせすることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会