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石野委員 クーデターが行なわれたときに滅共統一ということを言いました。その滅共統一という
ことばはいまも使われておると思うのですが、訳文ではよく勝共統一ということでなにします。この意味はいま
後宮局長が言われた
ような
内容であったとしても、これは中身は非常に複雑です。しかも北の共和国と南の
朝鮮との政治、経済の事情や、
国内の社会的な安定、不安定の度合いというものは格段の
相違がございます。そういう中で客観的に私
たちが第三者として南と北の
朝鮮を見ていきます場合には、これは
ことばの上で言う滅共とか勝共という
ことばは、そのままうのみにすることはできない。むしろ北のほうは社会的な諸制度も非常に高度に進んでおります。南のほうは非常におくれた、非常に混乱した、腐敗した不安定な状態にあるわけです。これが北に勝ち抜いていくということになりますと、容易なことではないわけです。
朝鮮の内部におけるところの人民の統一への要望というものは非常に強い。そういうふうに北と南との
国内情勢の違いがあるにもかかわらず、生きるためには統一が必要なんだということを言って、その運動が盛んに行なわれている。
すでに
政府も御承知の
ように、去る七月の十八日に
日本で
韓国民族自主統一同盟
日本本部というものができたはずです。これは在日約六十万の
朝鮮人の中で、これは南も北も熱望している問題だと思いますが、南
朝鮮におけるところの「民族日報」、いわゆる朴政権のもとで虐殺されました「民族日報」の趙社長時代に、この人
たちが、南
朝鮮六十万の人々とともに
朝鮮の統一問題を説いておる。ところが南
朝鮮では、朴政権のもとでは統一ということはタブーになってしまっておる。そのことだけも言えないという
ような事情に、ほとんど戒厳会と同じ
ような形で統一ということは言えないという事態にありまするので、そこでこの在
日韓国民団——これは北
朝鮮のほうではない、総連の諸君ではなく、民団の側の諸君百二名が去る七月の十八日に新宿の
日本青年館に集まって、いわゆる
日本本部なるものをつくった。南におけるというよりも、
朝鮮の統一に対する偽らざる真の姿だというふうに私
たちは思います。こういう運動がこの
条約の中で助けられて育っていくのか、あるいはむしろこの
条約のためにこういう運動が押えつけられて、圧殺されて、そしてこういう運動を独自にやることはできなくなるのかということは、
日本にとってきわめて重要です。この
日本本部の結成されたときの宣言の中にはっきりこういう
ように書いてある。「祖国の統一は、ひとえにわが民族が自主的に成し遂げねばならないからであり、
国内の統一運動が表面化できない現在、
日本で火ぶたを切らねばならないからである。」これが民族自主統一同盟が結成された理由だ、こういうふうにうたっているわけです。しかもこういう
内容を含めて、この人
たちは「「韓日協定」と「ベトナム派兵」問題は、民族的感情を激発させ、“統一のみが生きる道”という
国民大衆の非願をより強く内燃化させている。」こういうふうに言っておるわけです。だから私
たちは、
日本の
政府の
説明を聞いておると、
国交正常化などと言いまするけれ
ども、統一を要求している人
たちから言いますると、韓日協定とベトナム派兵の問題は、まさに統一を阻害する。統一のみが生きる道だという
国民大衆の非願を圧殺していくものだ、こういう見方をしておるわけです。だから私は、
日本の
政府がこういう問題に思いをいたして、そうして統一の問題を阻害しない
ようにしなければいけないんじゃないか、こう思います。
政府はこういう問題について、やはり何らかの対策なり
考え方を持っておるかどうか、これは
大臣にひとつ聞いておきたい。