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帆足委員 私はそのただいまの御
報告を伺いまして、
日本国民として割り切れぬ感じが残るのですが、と申しますのは、那覇三十日
発清水特派員による
報道によりますと、「
沖繩の
米軍当局は三十日午後「
台風避難のため
嘉手納基地にきていた約二十五機の
B52
戦略爆撃機は、
グアム島に帰島のため同
基地を離れた」と語った。」と、こういう
報道があるのです。これには
二つのことがある。
一つは、やはり
台風を
口実にしておる。第二には
グアム島に帰った。
そこでさらに確かめますが、
B52が
板付に参ろうといたしましたときに、二十九日来ました
あと、二十九日夜すでに
気象庁が明らかにしておりますように、
気象状況は、
グアム島近辺にごく軽い
熱帯性低
気圧があったけれども、激しい
台風が同島を襲うという
徴候はなかった。また
外務省当局は、
アメリカの
台風避難という
ことばを一応すなおに耳に入れまして、純然たる
台風避難であると理解する、
台風が去れば直ちに退去する保証がある、このように当時
新聞記者各位に語っていた、こう
報道されております。したがいまして、
グアム島
周辺に
台風の
徴候がそれ以上ない以上、
B52
爆撃機は、
板付にしろ、または
嘉手納にしろ、当然
グアム島に帰るものとだれしも予想していた。しかるに実際は、
渡洋爆撃がそのとき行なわれていたというならば、
台風避難ということは
口実にすぎなくて、今後とも同じ問題が繰り返されるおそれがある。だれしも心配することです。ここに問題がありますのは、
日本本土の場合と、残念なことには
沖繩の
基地とが
差別的待遇をされるような況状に置かれておることでございますから、一応法理的には
二つは
差別されるでしょう。
そこでまず
二つに問題を分けまして、第一
日本国土、第二には
沖繩の
基地、私ども
日本国民としては、この
二つのものに
差別を置きたくありませんし、
外務大臣が、
二つの間に
法的差別があろうとも、
沖繩についてわれわれは割り切れない
国民感情を持っておると語っておられることは、われわれもよくその気持ちが理解できるのでございますが、時間も限られておりますし、
戸叶議員が同じ問題についてまた互いに足らざるところを
政府に問いただす順序になっておりますから、簡潔にお伺いしますが、まず第一は
日本国土の場合です。
日本本土の場合、御
承知のように、
安保条約によってわれわれは
基地を貸しております。しかし
安保条約を改定しましたときの
合意議事録によりますと、もし
沖繩を含むこれらの島々に対して
武力攻撃が発生し、または
武力攻撃の脅威がある場合には、
日米両国は、もちろん
安保条約第四条の規定に基づいて緊密な
協議を行なわなければならぬ、
合衆国政府はこれらの諸島の防衛のために必要な
措置をとる、さらに
日本政府の方針としましては、
武力攻撃が発生し、または発生するおそれがあるような場合には、
日本政府は島民の福祉のためにとることのできる
措置を
合衆国とともに検討する意図を有する、こう書かれておるわけです。したがいまして、まず第一に、
本土の問題といたしまして、先ほどの明確な御
答弁のように、もう
台風等の
緊急避難、これはまた別問題として、この
客観的妥当性に対してこういうことがあれば検討を加えねばなりませんけれども、しかし
戦略行動として、すなわち、単なる生物学的、物理学的
行動としての
避難ではなくて、
戦略行動としての
日本の
基地移動がある場合には、当然
事前協議の
対象になるという御
答弁がありましたから、一応問題は明らかになりました。ただ
台風に
ことばをかりて、こういうことが今後繰り返されることはおそるべきことでありまして、もし
嘉手納からでなくて
板付から出撃していたならばどうであるか。もちろんその場合の衝撃はもっと強いというようなことをわれわれは言うわけでありません。
沖繩も
日本も同じでございますし、
沖繩の同胞もわれわれも同じ兄弟でありますから、国の安全に関して国民が心配しております気持ちは同様でなくてはならぬ、またそのような気持であります。ただ、法制的に言うならば、残念ながら区別があるということを申し上げただけであります。とに
かく台風ということを
口実にして、こういうことが繰り返されて行なわれることに対して、せっ
かくの
外務大臣の明確な御
答弁にもかかわらず、われわれはなおかつ不安を感ずる次第でありますから、この問題については、また後日私どもも専門的に検討いたしまして、そして御
質問いたしますから、
政府も
台風に名をかる
戦略行動に対して、もう少し警戒を怠らないようにしていただきたい。たとえば直ちに
気象庁に
連絡するというようなこともなされていなかったそうでありますけれども、そういうことではちょっと準備において欠くるところがあるような気がいたします。
それから第二に、それでは
沖繩の
嘉手納基地の場合には、
外務大臣が言われましたように、国際法的にはもう厳密狭義に解釈するならば、施政権は
アメリカの手に移っているからどうにもならない。しかし大局的に言えば、
戦略的に言いましても、
国民感情から言いましても、われわれには非常に不安を感ずる。
外務大臣の
ことばから言えば、遠慮して御
発言になったのでしょうが、割り切れない心持ちが残っておる。もっと率直に言えば、
戦略的に、また
国民感情として、また同胞に対する一体感情として、
板付にわれわれが許さないことを
嘉手納に許すことはできない。それは当然でございます。しかるに、
沖繩は米国の管理下にあって、日米
安保条約の範囲外になっておるから、
沖繩から直接出撃することは
事前協議の
対象にならない、かりにこう明確に言われるとするならば、われわれとしてはこれを補う
措置を超党派的に講ぜねばならぬ。現に琉球立法院におきましては、与党野党の別なく、満場一致、この問題に対して
政府に警告し、また琉球立法院から
日本政府に対して懇切な要望があり、またワトソン弁務官に対して強く抗議が行なわれていることは御
承知のとおりでございます。八月中旬総理が
沖繩に参られるとすれば、こういう問題に対して
日本国の首相として明確な腹がまえなしに、いたずらに
沖繩の同胞を心配させるような、落胆させるような結果を生むようなことがあってはならぬ、これは党派を越えて私ども心配するわけでございます。したがいまして、しかし今日の事態を
考えますと、
B52が
台風避難のためという
口実のもとに、それを
口実にして、やはり
現地の
アメリカの
報道部の
報道によりましても、やはり
台風避難という
ことばを使っておりまして、それを
口実にして
沖繩に足をとどめて、
沖繩から
ベトナムを一これは
戦略爆撃でございますから、きわめて危険な盲爆の一種でございます。
沖繩から北京までジェット機ではおよそ一時間半、
グアム島から北京までは三時間半以上、したがいまして、
沖繩は、もし
ベトナムの事変の戦争のエスカレーションが広がってまいりますれば、きわめてきびしい
戦略状況になるわけでございます。
したがいまして、当然この問題につきましては
沖繩を犠牲
基地にせず、前線
基地にしないために、すなわち
沖繩及び
日本本土のために日米
安全保障条約があるとするならば、
日本が
アメリカの王の前に置かれた歩のような
状況になることを避けるために、
外務省としては
戦略をよく御研究になって、そして必要なときはいつでも広義の
事前協議ができる、すなわち極東の範囲について、また
条約上は施政権を奪われておりますけれども、潜在主権を持っております
沖繩の特殊
状況に対して警告を発し、何人もうべなうような論理的要求ができるような準備をなさっておいてしかるべきと思います。私はこれに対して、
外務大臣が歯切れのよい
答弁をしてくださるかどうか疑問だと思いますが、しかしこれをいいかげんに済ましておきましても国民に空疎な期待を与え、また遺憾な御
答弁があったとしたならば、国民に警告を与えるという意味において、やはり真実に直面さしたほうがよかろうと思いますのであえて言うのですが、
ベトナムの事件が中国との国境地帯で大体おさまって、そして適当に、もしジェネバ
会議が示しておる方向に基づいて問題解決のかぎをつかみ得るということは、いろいろなあらゆる立場に立つ人がともどもに願うところでありますけれども、万が一にもエスカレーションが限度を拡大したということになりますれば、直ちに連鎖反応的に
沖繩は報復
爆撃を受けねばならぬし、国際法上見ましても、こちらが出撃しておる以上
先方から報復
爆撃を受けることに対して抗議をする根拠が見当たらぬということになりますから、事はきわめて深刻にしてかつ重大でございます。
したがいまして、ここで問題をあいまいにしておきますよりも、道義的にも、そして国際連合憲章、
日本憲法それから
安保条約の広義の
日本の安全に関する諸規定、それから極東の範囲についてのいろいろ
政府が御努力になって、
日本の安全に有利な諸規定等を援用されて、そして、この
沖繩がかりに現状においてにらみをきかすための
基地であるとしても、
現実に出撃
基地として、すなわち連鎖反応
爆撃を受けるような
状況に
沖繩が使われてならぬという意思、すなわち
外務大臣がどうも心残りがある、割り切れぬ心持ちがあるという穏やかな表現でございますけれども、その中に含むところの
日本国民共通の憂慮すべき問題を、
外務省は
アメリカに交渉し得るようにいまから研究し、いまからではおそいくらいですけれども、準備し、腹がまえを整えておく必要があろうと思うのであります。もしその準備と腹がまえなくして、佐藤総理が那覇におもむかれるとしたならば、それは非常な困難に当面するものと思われます。
以上に関しまして
外務大臣の御
答弁をお願いしたい。