○原(茂)
委員 そうすると、長官も私と同じようにこの点はどうもおかしいというふうにお思いになっているのだと解釈します。そうでないと、実にふかしぎなことが起こるわけなんです。多くを申し上げませんが、これはぜひ、
特許法の中に専用
実施権を公務員たる
特許権者が個人で自由にどこにでも与えることができると解釈できるようになっておることは、全く大きな法の不備だというふうに私は認識しますので、この点を十分ひとつ御討議いただいて、審議会が持たれているのでしたら、急速にその穴をふさぐような、
成果があがるようにひとつ誘導をお願いしなければいけない。これは民間の会社においても重要な問題が発生してくると思う。大きな盲点だと思いますので、いまの御答弁で私と同じように
協力が願える、そういうつもりでこの点はおきます。
そこで、
カッパーに直接いまの問題は
関係なかったわけなんですが、大臣にお考えいただきたいのは、公務員個人が
特許申請をして
特許権を持ちますと、その個人は国、あるいは民間における場合には会社でいいですが、そこと専用
実施権を与えるという契約を結んで、いわゆる
特許権の使用料というものを取る約束、ルールがそこに
一つできているわけですね。いま問題になっております
カッパーのこの問題に関しましては、私は整理をする意味であえて申し上げるのですが、たまたまこれは
特許に類するものはほとんどない。確かにそうだろうと私も思うのです。それから兵器の危険、武器に転用の危険等もいま非常に論議をされまして、私はあえてまた水ぶっかけるわけじゃないのですが、たとえば絹糸だって綿布だって、
輸出したその先でこれがパラシュートに使われてみたり、何かに使われてみたり、米だって兵隊の食う食糧に使われたという意味では武器転用であるといえるかもしれませんが、そこまでチェックすることは不可能だし、私のほうはしろうとですから、
高木先生など、あるいは前回の
委員会において四つの理由をあげてこれは兵器に転用できないのだといわれると、おぼろげながら、しろうとなりに、なるほどそんな小さなものでは火薬を積むのが精一ぱい、これはちょっと武器にならないじゃないか、小さ過ぎるというような感じを率直に受けました。しかしこれがもうちょっと大きなものになると、その半面、私ども武器転用の危険をしろうとなりに感ずるということも事実なんです。この
カッパー8型に対しては、私のようなしろうとは、その武器転用の問題はないのじゃないかという感じがいたしました。したがって、私個人は、もっと大きなものが
輸出される
段階になるとたいへんだから、いま各
委員が言われたようなことの検討を、真剣に長官にもしていただくということが必要だと思います。そこで、いまの
ロケットそのものや
宇宙観測用その他の設備一式は
特許なり実用新案には確かにならないだろうと思います。これは国際的に完全に通用している何か理論的な土台を中心にして
開発研究を進めて
お互いの国がやっているのだろうと思いますから、その意味では
——ただこれは
一つの仮定なんですけれども、
特許というものをとるというある
段階で、たとえ一〇〇という
段階でくるとしますと、何か
開発研究を国の
機関でやっているうちに九九%まできた。
あとで結果的にはわかるのですが、
あと一%何か
研究をされて乗っかると、たいへんな発明になる、
特許になるというような性質のものが、結果論ですが、九九%まで
開発をされている。それがその九九%という
段階でいわゆる公務員である者が何か他動的、自動的な動き、アクションを起こされて、それによって民間の会社に使われる。国家の費用を使って九九%まで
開発されて、
あと一%おやりになると国際的な
特許になると思われるものが、九九%の
段階で知らずに民間に使われているということも、これはなきにしもあらずじゃないかという気がするわけです。それが
一つ。
それから
特許というものには全然
関係のない今度の
カッパーの問題で、とにかく
インドネシアが
日本に
輸出してくれと頼んでくるほどいわゆる技術なりあるいは製造
過程においてすぐれた
日本の技術というものを買いたいといわれるような、発明その他には相当しなくても、あの国ではいまやろうとしてもそれだけの技術
段階を持っていない。ユーゴスラビア、
インドネシアでは……。しかし
日本は、その意味では、これをつくる技術
段階に到達しているという意味では、
特許には
関係ないのですが、この
開発研究のいわゆる
東大の例でいいますと、
東大のこの種の
カッパーの
開発研究の
成果というものは、準ずるということばがあるなら、
特許権を中心に、かようなものに準じて考えていいほどの重要性があるだろうというように思う。ここに今度の問題があると思うのですが、その重要性がある、それを知らない間に、というのは、先ほどからの答弁、前回の答弁を聞きましても、いわゆる国家
機関の一部である
東大が
研究をして
一つの
成果が出てきた。その
成果が民間会社にとにかく提供をされて使われた。これは学会誌に毎月出しているのだから自動的に全部の業者が見ていることはわかります。当然そうなっているだろうと思います。それでいいと思うのです。学界の
研究というものは、それでなくても
大学の
成果、
成果といいますが、
大学の
成果ばかりでなく、
大学に行って
学問をし、習ってきた社会人がいわゆる
大学の
研究の
成果を個人的にいろいろ枝葉をつけて発明したり
開発したりしているわけですから、そういう意味では私は矛盾はないと思うのです。そのとおりでいいと思いますが、ただ世間の
常識からいいますと、何か技術的な
成果というものが
商業ベースといいますか、採算上のベースに乗りまして売買の
対象になろうとするときには、そこに価値を生ずるわけです。その価値が生じたときに、利潤が生まれたときに、その利潤の一部は、いままで
東大なら
東大で
開発研究されたその部分が利潤の一部になっているんだという、これは世間の
常識で、そういう解釈が当然成り立つ。にもかかわらず、
東大という国家
機関に利潤の一部もペイされていない、返ってきてないというところに、どうも世間
一般の
常識からいって、通常行なわれている商業の
常識からいって納得できないというところの第一の問題点があると思うのです。したがって、私はあまり時間をとってがたがたとわざわざ聞いたりするのもいやですからあえて続けるのですが、この種の疑いといいますか、世間の通常の
常識からいっておかしいのではないかというようなことを、おかしくないものにしてやることのほうが、今後この種の
大学なり
学術上の
成果というものがもっと広く堂々と使おうとし
開発しようとするところに使われていくようになる。変な疑いを持たれないようにしてやることのほうがいまの
段階では私は必要じゃないだろうかというふうに、逆の
立場で考えているわけなんです。そういうことがもしそうだとするならば、変な疑いを持たれるような世間の
常識からいっておかしいじゃないか、そういうところを除いてやればいい。その点は
一つしかない。民間では
上原さんも会社をおやりになっておりますが、どこかの
特許あるいは
特許になっていないが優秀な技術
開発というものを自分の会社で使おうというときには、必ず考えた人間に、技術者に何らかの支払いをしている。代価を払う。同じように今度の
カッパー8型にしても、
東大の
研究成果というものは間違いなく
プリンスその他二十一社に及んでいるそうですが、
伊藤忠を中心にその二十一社もそれを使って何らかの利益を得たことは間違いないのだ。その利益を得た場合には、
特許じゃないんだけれども国家
機関の
研究機関によって
開発研究されたものを使った場合には、最低何%から最高何%の範囲で国に利益の一部を納めるべきであるということをきめてやったほうが親切じゃないかと思うのです。堂々ととっていい。今度
インドネシアに
輸出したのもそういうきめがあれば、百七十一万ドルですか
輸出をしようとしたときに、これは
東大という国家
機関が
研究したその
成果が土台になっているんだ、広く
公表されたものであるけれども、間違いなく
東大の
研究機関というものが
発表した、それが
もとになっているんだ。また必要に応じては
東大の先生方のところへ
メーカーはおそらく聞きに行ったと思う。この点どうも紙の上だけではわからない、一体こまかくはどうなんでしょうといって
指導を受けているはずであります。ただ学会の誌上に出たというだけで製品が、いわゆるアイディアを生んだ人のとおりにできるなんということは絶対にありませんから、その
研究をされた先生方に
指導を受けているに違いない。これも世間の
常識なんです。とすれば当然国家
機関によって、
特許にはならない一歩手前なんだが、
開発された技術というものがどこかで
商業ベースに乗って使われたとき、その利潤の一部は国に納付するんだということをきめてしかるべきじゃないか。そのきめる範囲内容は問題ですが、そういうところを、できるところから
一つ一つルールに乗せて折り目を正していくと、この種の私たちの持つ疑問というものはなくなってくると思う。その疑問の裏に、もっと深くいやなことを言いますと、疑惑がある。
東大の
研究室の教授なんというものは、自分では
メーカーからふんだんに金をもらっている。そうして助手あるいはその下にいる学生なんかが一生懸命やったのに、たとえば自分のところに一千万円きた中から、おまえは御苦労だったから三万円、助手には五万円というふうにして出したものが五十万円、残りの九百五十万円は自分のふところに入れているというような悪口を言われるくらい、変な疑惑というものが巷間実は伝わっている。そういう面のあることは間違いない。そんなことはあり得ないと思います。
東大の先生におこられてしまいますから、あり得ないと思いますけれども、そういうようなうわさすら飛ぶという原因もそこにある。もっと私は明確にすべきだと思う。そうしてまた、そうでなくて事実問題として大蔵省のいろいろ予算の査定等もありますから、文部省もずいぶんお骨折りになっておるのでしょうが、
大学の
研究費をこれだけほしいといっても予算をたっぷりくれてはいないでしょう、
日本全体のいまの予算の分布から見ますと。そうすると、私はどうしても合法的な手段でできる限り
研究につぎ込める金を、国以外のところからもし合法的に入るならほしいという気持ちすら、私は
研究者の
立場で当然あるのじゃないだろうか、あって当然だと思います。
研究に対する情熱が深ければ深いほど、その意味の費用というものを何とか充足したいと考えるだろうということを考えますと、先生方のためにも、業者のためにも、あるいは
日本の国全体の
立場からいって、この種の技術がもっと広く国家的なものにどんどん発達するためにも、私は何かそこに
一つルールをきめていいんじゃないだろうか。さっきから言われているように、
特許権ができたときに、
特許権を中心に何かが行なわれるのだというばかりでなくて、
特許の一歩手前の、あるいは
特許に
関係ないようないわゆる生産技術の面における技術
開発研究であろうとも、その種のものが国家
機関で
成果をあげたとだれが見ても認定されるものに関しては、これを利用したと明瞭にわかったときには、範囲と内容は別ですけれども、何かの規定をつくって返してやる、国に納付させるということを何かのルールに乗せてやることのほうが私は正しいんじゃないかということを一点考えるわけです。この点大臣の、
お互いに整理をするという意味で御答弁いただきたいのですが、ああ言うと何か言われはしないか
——絶対に言いませんから、何でもかまいませんから、私は前向きにほんとうにこうしたらどうかということを申し上げているだけですから、それが一点。
二つには、先ほどからも言われているのですが、少なくとも国家
機関で何らかの
研究の
成果があがったというものを、今度の場合には
科学技術庁の
宇宙開発推進本部ですか、これも
一つ関係があり、それから
東大の
研究所も
関係がある。二つのことが考えられる。そのほかに
政府そのものもある。そうしたら一体どこか
——私に言わせると、どこでもいいのですが、どこかが一元的に統一して、この種の
宇宙開発中心の
研究の
成果あるいは
開発された技術というものを一カ所で、これはもう
大学の
研究から外部のいわゆる利用にまかしてよろしい、あるいはまだ早い、危険がある、まだ未熟だ、この
研究は進めるべきであるというような判定をすると同時に、いま疑惑を生んでいるようなだれが一体
——ロケットは
プリンスです。あるいは推進力は何とか化成かもしれません。そういうようなところへその技術を使わした
——使わしたんじゃない。
学術研究書を見るとわかるわけです。実際にはそれを見て業者はよしこれをやろうというわけでやっていくんだろうと思うのです。思うのですが、しかしほんとうの
もとは、あるところでけじめをつけまして、この
研究はもう外部に
発表をしこれを使わしてよろしいという決定の
機関が一カ所統一されてありさえすれば、私はこの種の問題はそこで責任を負えばいいと思うのです。毎月のマンスリーに
発表する、その一歩手前のところで、
発表していい、
発表してはいけないという決定でもけっこうです。公開して
発表した以上は、どこの
メーカーが使おうとこれは自由にきまっています。しかし、その公開していいかどうか、あるいはある程度全部がまとまるまで、コンクリートするまで全然学会の誌上にも出さなかったというようなものがもしあった場合には、それを一ぺんに
発表していいとか悪いとか、部分的に
発表していいとか悪いとかいうことを、どこか一カ所総合的に
相談して
発表していいとか悪いとかの決定をする
機関というものを国の
立場でお持ちになることのほうが、今度のような問題の疑問というものがうんと少なくなるし、問題の解決にいいんじゃないかと思うのです。どうも前回の
委員会でもそうなんですが、今度のこの問題に関する限りは、集約するとその二つに尽きるように思います。武器その他の問題は、これはもう後日の
研究に待たなければいけませんし、
研究していただきたいと思うのですが、究極するところ、変な疑惑を一掃するために、あるいは技術がもっとフリーにおおらかに国全体で利用され、
開発されていくために、あるいは
宇宙観測というものが、国際的にもっと
日本の技術が
協力できるためにというふうなことを考えてきますと、いまの二つに集約されてくるのじゃないかというふうに思いますので、これは大臣の
立場でその点の見解を、もし差しつかえなければはっきりとひとつおっしゃっていただいて、これで終わりたいと思います。