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木村禧八郎君 あとに
羽生さんの質問があるそうですから、あまり
議論していると時間がたちますから、簡潔に質問していきますが、ただ、さっき
長官も言われましたが、
高度成長は決して悪くはなかったのだ、それからいまのパイ理論ですね、また下村理論とかいう、これは非常にわれわれ問題があるところで、これはだれも
成長を否定するものはないのですよ。ただ問題は、いままで
経済企画庁がやって、計画計画といいますが、その計画どおり行ったことがありますかね。自由企業を原則として、そうしてそういう施策をやっても必ず計画と実績が狂っているのでしょう。行き過ぎた行き過ぎたといっているのです。なぜ行き過ぎたか、だからもっと根本的にぼくはさかのぼらなければ、いままでの自由企業原則でいいのかどうか、投資を調整するったって自主調整できないでしょう。一番行き過ぎたのはシェアの拡大競争をやり過ぎちゃって、だから、
日本銀行からどんどん
成長企業に出しちゃって、そうして設備過剰になって、そういう景気変動を繰り返すから、好ましくないから安定
成長に行っているのでしょう。安定
成長なぜできなかったか、そこに根本の問題があるのですよ。だから、
経済連関表を使ってやることはいいのですよ、それからそういういろいろ
ビジョンもけっこうですよ。だけれ
ども、もっと私は基本にさかのぼった、いままで
高度成長がなぜこういうひずみをもたらしたか、こういう点にもっと根本的な徹底的な
検討を加えて、もっと謙虚な、私は少なくともそれに必ずしも全面的に賛成じゃないのですけれ
ども、混合
経済くらいに行かなければ、ある
程度の統制
管理をしなければできっこないですよ、自由企業原則でやっても。もっとそういう点についても、
ビジョンを考える場合に、それから
諮問をする場合にも、もっとそういうことを行なう一番基本になる制度の問題、いままで自由企業原則をもとにしてずっとやってきたのだけれ
ども、それが多くのひずみをもたらしてきている。このひずみをもたらすこういう原因は
一体何か、もっと私は深く謙虚に
検討する必要がある。そこに触れると、もう今度はパイ理論になっちゃって、パイ理論になったらこんなことはもう自明の理なんだ、トルーイズムですよ。トルーイズムであって、だれも
成長する必要はないのですから、それが
成長が、全体の均衡を取りながら
成長さすところに
政治があるのですから、そこにむずかしさがあるのですから、安易なあれで
成長をどんどんおっぱなしてやる、あとで行き過ぎを直す、こんなむだなことをやって景気循環を繰り返すことは矛盾ですよ。これは私の
議論ですから御答弁要りませんが、そういう点もやはりもっと根本的に考えないと、ずいぶん大きな問題と取り組んでいるのですよ、せっかく取り組むなら、もっと基本的な問題にまで掘り下げてやらないと、もうから回りですよ。で、五千八百万円でも
国民の税金ですから、むだにならないように、そういう点についても考えていただきたい。
それからもう二つ質問いたしますが、あとすぐに
羽生先生にバトン渡しますが。いまの
生活実態ですね、
生活実態に対する総合的
調査は
政府にないと思う。たとえば課税最低限です。所得税の課税最低限をきめる場合に、
大蔵省が
国民生活研究所でマーケット・バスケット方式に基づいてやっているでしょう。あれはだれが見たって、常識からいって、二千五百カロリーで成年男子百六十七円四十八銭でいけるという人はだれもいないですよ、常識として。それでは献立表だって実際にはできない。それから
防衛庁では三千三百六十カロリーで百六十三円でできる、だから、もしこれで、
国民生活研究所というのはどういうものをおやりになっているか知りませんが、憲法二十五条でいう、健康にして文化的な最低
生活というものは量的にどういうものであろう。もちろんヨーロッパと
日本と違いますが、
日本的なこれは社会
福祉、社会保障、そういうものの基本になると思うのですよ。そういう
調査なり
研究をひとつやってもらいたいと思う。それで、あれは
大蔵省がただ
国民生活研究所に頼んで、マーケット・バスケットでやっているでしょう。そのつどやるのですよね、課税最低限きめるときに。われわれから見れば、あれはつじつまを合わせるためにやっていると思う、試算といっていますけれ
ども。何かそういう科学的な権威のあるものを
一つつくってほしいと思う。それは完全なものでなくていいから、それが出ればまたいろいろな
批判が出る。こういう点が足りるとか足りないとかね。それはまたそれで
批判を十分いれて積み上げていく。何か社会
福祉とか、社会保障と、こう言うけれ
ども、一番基本になる
日本の標準
生活なり、あるいは製造費がどのくらい、
生活費にどのくらいでと、前に労働科学
研究所でつくったことがあるのですよ、労研で。だから、そういうこともあるのですから、労研あたりに委託
調査やらしてみると、あるいは
国民生活研究所にもっとやるとか、何かこういうものについて一番この基本になるのだから、そういう
調査、
研究をひとつできないですか。これひとつやれば、これはたいへんな私は
仕事になりますよ、有
意義な。これ、ひとつ
研究されませんか。権威のあるものが
一つもない。社会保障だのあるいは社会
福祉だといったって。