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1965-03-26 第48回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十六日(金曜日)    午前十時二十八分開会     —————————————  昭和四十年三月二十五日予算委員長において、  左のとおり本分科担当委員を指名した。                 江藤  智君                 太田 正孝君                 古池 信三君                 木暮武太夫君                 日高 広為君                 吉江 勝保君                 北村  暢君                 木村禧八郎君                 羽生 三七君                 白木義一郎君                 向井 長年君                 岩間 正男君     —————————————    委員の異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      木村禧八郎君     伊藤 顕道君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         吉江 勝保君     副主査         北村  暢君     委 員                 太田 正孝君                 木暮武太夫君                 日高 広為君                 伊藤 顕道君                 木村禧八郎君                 羽生 三七君                 白木義一郎君                 向井 長年君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  小泉 純也君        国 務 大 臣  高橋  衛君    政府委員        防衛庁長官官房        長        小幡 久男君        防衛庁防衛局長  海原  治君        防衛庁教育局長  島田  豊君        防衛庁人事局長  堀田 政孝君        防衛庁衛生局長  軽部彌生一君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君        防衛庁装備局長  國井  眞君        防衛庁参事官   麻生  茂君        防衛庁参事官   志賀 清二君        防衛施設庁総務        部長       沼尻 元一君        防衛施設庁総務        部会計課長    大浜 用正君        防衛庁施設庁施        設部長      財満  功君        防衛施設庁労務        部長       藤本  幹君        経済企画庁長官        官房長      村上孝太郎君        経済企画庁長官        官房会計課長   平山 正隆君        経済企画庁総合        計画局長     向坂 正男君    説明員        経済企画庁長官        官房参事官    矢野 智雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和四十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     —————————————   〔年長者太田正孝主査席に着く〕
  2. 太田正孝

    太田正孝君 ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもって私が正副主査選挙管理を行ないます。  これより正副主査互選を行ないます。  互選は、投票によらず、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 太田正孝

    太田正孝君 御異議ないと認めます。  それでは、主査吉江勝保君、副主査北村暢君を指名いたします。     —————————————   〔吉江勝保主査席に着く〕
  4. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) それでは一言ちょっとごあいさつさせていただきます。  ただいま主査に選任されましたが、なれないものでございますので、どうぞ皆さまの御協力をお願い申し上げます。  審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたします。  本分科会は、昭和四十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府のうち、防衛庁経済企画庁科学技術庁並び外務省大蔵省及び通商産業省所管を審査することになっております。議事を進める都合上、主査といたしましては、本日、経済企画庁及び防衛庁、あす通商産業省及び大蔵省、二十九日月曜日に外務省及び科学技術庁という順序で進めてまいりたいと存じますが、御異議ございませんですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) 昭和四十年度総予算経済企画庁所管を議題といたします。  時間の都合上、説明はこれを省略いたしまして、お手元に配付してあります資料をごらん願うこととし、なお、説明資料はこれを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれより質疑に入ります。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 経済企画庁関係で一点質問いたしたいのですが、それは、国民生活局企画庁設置法が通れば新しく発足するわけです。これはだいぶ前から懸案の問題でしたが。この国民生活局は、設置目的、何のためにつくるのか、そうしてどういう仕事をするのかですね。それから予算幾らなのか、まずその点について伺いたいと思います。
  9. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 御承知のとおり、現在、国民生活と申しますか、消費者サイドから政治全般をながめるという空気が、ものによってないことはないのですけれども生産者は同時に消費者であるわけではございますが、どうしても農林省農林省で物の生産という面に重点を置いて施策が考えられ、通産省通産省でそれぞれ産業別に、むしろ生産サイドからその産業をどういうふうに育成していくか、どういうふうにするかという問題を論議しがちだ。それで御承知のとおり、物価の問題は経済企画庁が主管いたしておるのでございますが、これは調整局物価政策課というところでやっているのでございますが、この物価の問題というのは、もう一番重点を置かなければならぬのは、それが国民生活にいかなる影響を与えるか、また、そういうふうな物価が、もちろん国際収支に関連する問題もございます。しかし、今日問題になっておるのは、もっぱら消費者物価の問題で、その消費者物価の問題という問題を論議する際に、一番われわれが関心を持たなければならぬのは、国民生活にそれがいかなる影響を与えるかという面に重点を置いてものを考うべきであると、かように判断をいたしておるわけでございますが、そういう場合に、国民生活全体として国民生活がどういう姿であるかという実態調査もまとまった調査が、なかなか十分な調査はできておりません。昨年度初めて国民生活白書というものを出しまして、今年度さらに第二回目のこの白書を出すようにして準備は進めておりまするが、また諸外国の例等もそれぞれ研究をしておりますし、また同時に、御承知のように経済企画庁に付置されております国民生活向上対策審議会もございまして、この審議会に、政府から将来の日本国民生活のあるべき姿についての、俗なことばでいえばビジョンと申しますか、そういうようなものについても諮問をし、これは非常にまじめに御勉強願っておる次第でございます。そういうふうな諸般の問題をやっていくためには、現在の調整局の一部に物価政策課とか、またはその他の消費雇用課というのがございますが、その程度の小さなスタッフではなかなかこなし切らぬという状況でございますので、これはやはり物価の問題かこれほど国民生活に大きな影響を与えるという状況になってき、また、OECDの各国の状況等をながめてみましても、経済の今後の動向というものを考えてみますると、どうしても消費者サイドから問題を相当掘り下げて十分な検討を行ない、そうしてその問題に対するところの確固たる政策を樹立していくという必要が当然非常に重要な問題であると、かように私ども判断をいたしておる次第でございます。そういうふうな関係から、昨年度、三十九年度の予算にこれを計上いたしまして、設置法の改正をお願いしたのでございますけれども、遺憾ながら国会の御賛成をいまだ得るに至らなかった。その理由は、もっぱら臨時行政調査会におけるところの結論が出ていない、そのために、こういうふうな部局新設については、せっかく臨時行政調査会というものがつくられておるのだから、その意見を待って、しかる後に設置すべきであるという国会側の御意見、これは衆議院側でございますけれども、御意見によって、結局否決という形ではなしに見送りというかっこうで、それまで待とうじゃないかということで今日に至ったような次第でございます。その後、臨時行政調査会において消費者行政重要性を強く指摘せられまして、そうしてぜひひとつそういうふうな機構を必要とするというむしろ積極的な御意見もございましたので、そういう趣旨で今回再びあらためて臨時行政調査会の御答申趣旨も含めて、多少表現その他において変えたところはございますが、実質においてはそう変更はないという状態で再び審議をお願いしておる次第でございます。なお、詳細については事務局のほうから御説明申し上げたいと思います。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 予算幾らですか。
  11. 羽生三七

    羽生三七君 大臣、もうちょっと大きい声で……、わからないんだ。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 予算幾らですか。
  13. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 予算は来年度五千八百万円ばかりの予算を組んでおります。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう少し具体的に事務当局から伺う前に、ただいま長官から、臨時行政調査会でやはり部局新設については慎重にしなければならない、そういう答申があったので、三十九年度にこれを発足するはずだったのがおくれた。その後、消費者行政は非常は重要だからということから国民生活局を設ける意義もそこにあろうというので、その答申趣旨もあったので、そこで国民生活局を発足させようということになったというお話でしたが、この部局新設については、これは行政合理化調整点から、むやみに部局を置くことは好ましくないわけですが、いままでの話を伺ってみますと、これまで経済企画庁の中にも物価の問題、その他生活の問題を取り扱っておるところがたくさんありますし、各省にもある。しかし、通産省農林省等は、これまで大体生産を主とした行政であって、消費の面についてのそういう行政というものがウエートが非常に低かったし、また個々ばらばらであって、総合的な消費というものを中心としたそういう行政が不十分であった、こういうお話ですが、そうしますと、いままでの機構を寄せ集めて総合するというだけか、やはりここで国民生活局というものを新しく発足させ、そうして部局新設をするわけなんで、それにはかなり積極的な意義がなければならないと思うのです。いまのお話ではどうも納得できないのですね、積極的意義が。ですから国民生活局を設けてどういう仕事をやるかということとも関連してくるわけです。中身とも関連してくるのですが、もっと問題意識をはっきりさしていただきたい。先ほど国民生活向上対策審議会ですか、そういうところにはかって、日本国民生活のあるべき姿、いわゆるビジョンみたいなものをいろいろ勉強してもらっておるというようなお話もありました。ですから、そういう国民生活向上対策審議会で勉強したような国民生活のあるべき姿とか、ビジョンとか、そういうものがどういうふうにいろいろ討議され、大体の輪郭みたいなものが出てきて、そうして特に佐藤内閣になってから人間尊重政治だとか、人間性を取り戻す政治とか言われておりますが、そういうものとも関連さして、かなり積極的な意義をそこに見出さないと、国民生活局を、ここに新しくそういういう局を設けるという積極的意義がどうも見出し得ないのですが、もう少し問題意識というか、ここでこの際国民生活局という新しい局を設けて発足するにあたっては、こういう積極的意義があるのだという点について説明してほしいと思うのです。一応それだけ伺っておきたいと思うのです。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 それからついでに、そういう大綱的なこともだけれども、ここに予算が一応計上されておるのだから、どういう形でこういうものが積み上げられてきたのか、それに関連してくると非常に内容がよくわかると思う。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それをこれから聞いておこうと思っておる。五千八百万円という予算ですが、この程度予算一体できるのかできないのか。それを次に質問していこうと思ったのです。
  17. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、最近ずっと日本経済成長は非常に高度に実現をしてまいったわけでございまするが、経済成長そのもの目的じゃないので、その経済成長をどうして国民福祉に結びつけ、国民福祉というに形おいて実現させるかという点に非常に問題があると思うのでございます。そういう趣旨で、それじゃ国民福祉にどんなふうに結びついていく姿がいいかという問題と、現実にどう結びついておるかという問題と、その両面からこれは進めていかなければならぬ問題であろうと思います。また同時に、もう一つ問題は、日本のこれからの将来の国民生活のあるべき姿、さっきビジョンということばを申し上げましたが、あるべき姿がどういう姿がいいんだろうか、こういうことについてもやはり一つビジョンを持ちながら、これはもちろん統制じゃございませんから、かれこれ言うべき筋合いじゃございませんけれども、やはり一つ国民運動的な、自然に盛り上がる形として、こういう姿がよくはないかというふうな一つビジョンを持つことがどうしても必要だろうと思います。同時に、さしあたりの問題として、国民生活をしからば圧迫しているものは何か、または国民がほんとうに現実に要望しているものは何か、そういうふうな問題を個々にとらえて、そうしてそれに対する対策を立てていく、この両面が今日消費行政と申しますか、国民生活に対する政府対策としてどうしても充実を要する点でなかろうかと、かように、むしろこれが今日非常に緊急な問題じゃなかろうか、かような考え方を持っておる次第でございます。  今まで戦後の復興から今日の成長に至るまでの期間、むしろ経済成長ということに非常に大きなウエートが置かれて、とにかく復興しなければいかぬ、とにかく人間らしい生活をさせなければいかぬ、国民の窮境を思わなければいかぬというふうな、むしろうしろ向きと申しますか、そういうふうな考え方要素でもって今日まできたような感じがするのでございますが、そこで、いわゆる佐藤内閣人間尊重政治と申しますか、社会開発と申しますか、要するに、経済成長がすなおに国民福祉に結びついて、そうして相互にそれが助け合って、さらに経済成長の堅実な基盤となりながら、同時に福祉向上に貢献していく、こういう姿に持っていきたい、そのためにはどうしてもそういう観点から問題を掘り下げて、絶えず深い研究もしながら、対策も同時に常時講じていく、こういう局を一局どうしても必要とする、こういうふうに考えたわけでございます。御承知のとおり、経済企画庁調整局というのがございまして、調整局でこれを主管しておる次第でございますが、調整局はむしろ各省のやっている経済政策総合調整ということが、これが中心的な課題であるわけでございます。各省がややもすればばらばらな方向経済行政が行なわれる、それを調整していくという非常に一方において大事な使命を与えられておるのでございますが、一人の局長でもってそういうふうな非常に重大な、しかも掘り下げて検討を要するような問題をたくさんかかえながらやっておるという状況でございますと、なかなか十分にその目的を達成することがむずかしいというふうな観点から、ぜひとも、部局はできるだけ増設すべきじゃないという基本的な考え方の中に立ちながらも、国民生活局調整局から分けて独立さしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう少し具体的に伺いたいですね。ビジョンビジョンを言うけれども、それはだれでもこれまで言ってきたことなんでありまして、それをもう少し、このビジョンを必要とする国民生活問題を特にここで強く取り上げなければならなくなった背景ですね、背景とか、それから、これは単なるいままでの消費者行政という狭い範囲でもなさそうなんですよ、伺いますと。たとえば企画の統一とか、あるいは家庭商品品質表示の問題とか、商品検査とか、そういうような狭い範囲消費者行政ではなくして、もっと、それなら何もここに国民生活局設ける必要もないと思うのですよ。ですから、国民生活局日本国民生活あり方ビジョンというものを打ち出すということになると、これはかなり広範にわたる問題ですし、先ほど長官も言われましたが、その前提として、いまの日本国定生活一体どういうようになっているか、その把握がまず第一に必要だと思うのですよ。それがこの国民生活局を設ける背景になると思うのですね。こういうことからどうしても必要だ。それは、私の意見を申し上げれば、高度経済成長政策が失敗した。それは総理が、一面では非常に高度成長していい面がもると言うけれども、他方でひずみというものをもたらした。物価の問題あるいは住宅なり、あるいは地価が高騰したとか、あるいは農業の問題なり、中小企業の問題なり、非常にいろんな摩擦が出てきた、高度成長摩擦と、これは両方私は総合して考えるべきで、どうも佐藤総理なんかにきくと、高度成長はよかった、しかし他面摩擦が出てきた、こういうふうに分離して考えてきているのですよ。そうじゃなくて、これは一体として考えるべきであって、だからプラスマイナス一体として、じゃプラスになったのか、マイナスになったのか、そこで高度成長そのものまでも含めて一体的に考えなきゃならぬのですよ。だから、国民生活の問題を考えるには、高度成長の問題それ自身もやはり含めて考えなきゃならぬ。単にそれから出てきたひずみだけを取り上げるというだけでは、やはり高度成長そのままやっていけば、またひずみが出てくるという問題も起るわけです。そこで、もう少し問題をコンクリートするために、こういう点を御質問したらいいんじゃないかと思うのですが、まず第一に、国民生活向上対策審議会日本国民生活あり方とか、ビジョンについていろいろ勉強してきた。そこで何かまとまったものですね、まとまったようなものを、それはコンクリートじゃなくても、どういう議論が起きて、どういう問題意識日本国民生活あり方とか、ビジョンについての議論が出てきて、そうしてその中のどういう問題をどういうふうに取り上げるかということで、それじゃ国氏生活局が必要だと、こういうことになってこなきゃならぬわけですよ。ただ、最初から国民生活ビジョンが必要だ必要だ、これはだれでもそんなことが必要であることはもう自明の理なんであって、もう少し具体的にいまの日本国民の非常なひずみが出てきている実態と関連して、こういう方向に持っていく、それにはどういう問題点があって、その問題点をどういうふうに処理していこうと、こういう何らかの準備段階というものがなきゃならぬはずですよ。そういうものをもう少し詳しく具体的に説明していただきたい。
  19. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) ごもっともでございますが、その前に高度成長は失敗だったとか、いい面がある、悪い面があるというふうないろんな御意見がございますが、これは御意見ではございますが、私どもとしては、やはり戦後復興の時代から今日の発展に至るまで、それぞれその段階に応じてとらるべき政策があったと思うのであります。そういう意味で、それが御批判は御批判として、政府としてはあのときにおいてはああいう政策がとられておったことがよかったんだ、そういうふうに判断をいたしておるわけでございます。しかし、どんな問題についても、いわゆるたて両面がございまして、そのたて両面の一方の面だけを見ておるのでは、全体としての功罪はなかなか論議できない。また、子供成長と同じで、非常な成長期子供成長を押えて、しいてほかのことばかりやらせるということも必ずしも自然でないし、妥当でもない、そういうふうな、つまり経済についても成長するときにおいては相当成長力を生かしていく、しかしながら、同時にそれを絶えず調整していくという努力もしなければいかぬ。そういう意味佐藤総理が調和ということばを言い出され、人間尊重政治をやり、社会開発をやるのだというこの考え方は、今日の事態においては最も適切な、また必要な事柄であろうとは存じますが、しかし同時に、いままでそれじゃ、それが間違っておったかというと、開放経済を迎えるにあたりまして、また、国際貿易の伸長にどうしても日本が乗って、日本経済発展は何と申しますか、貿易相当大きく今後も依存せざるを得ないという宿命的な状況にあるという観点からも、これはそういうふうなことが行なわれたことが、今日、日本がこれだけの成長をなし得たことであろうか、かように私ども判断をいたしておる次第でございます。それはあるいは見解の相違になる問題かもしれませんが、それはそれといたしまして、国民生活向上対策審議会に対しましては、かつて消費者保護に関する問題について諮問をいたしまして、これに対する答申は出てまいっておるのでありますが、しかし、もう少し高度な意味において、先ほど御答弁申し上げましたとおり、あるべき国民生活の姿はどうであるか、また、こういうふうな経済発展段階を迎えて、経済成長の成果を、国民福祉に結びつけるという場合に、国民の幸福という面から見て、どういうふうな国民生活あり方がいいのであろうかというふうな面から、この国民生活向上対策審議会に対して、昨年の十一月でございますが、新しく諮問をいたしたのであります。その諮問案は…。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大臣、時間があれですから、もしあれでしたら政府委員でいいですから、もっと具体的に詳しく……。
  21. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) それじゃ、その諮問案事務当局から御説明いたさせます。
  22. 矢野智雄

    説明員矢野智雄君) 昨年十一月に再開いたしました生活向上対策審議会に対しましては、将来に望ましい国民生活内容及びその対策いかんという諮問を出したわけでありますが、ここでの考え方の焦点は、つまり国民生活向上をはかります場合に、当然、一方では経済全体の規模が大きくなることが必要な条件であるわけでありますが、しかしまた、同じ経済規模でありましても、その資源の配分をどうするかということによりまして国民福祉は違ってまいりますし、また、経済発展に伴って、ややもしますと、公害その他国民生活を圧迫する面もないわけではない。そういう観点に立ちまして、国民生活向上対策審議会におきましては、まず経済規模は一応与えられたものと前提いたしまして、つまり経済規模をどのくらいにするかということは、経済審議会と別にまた経済企画庁としても検討しておるわけでありますので、こちらの審議会では、経済規模を与えられたものといたしまして、そのもとで国民生活に関連しますいろいろな諸要素——衣食住その他、いろいろ国民生活関係いたします諸要素をどういうふうに組み合わせていき、また、どういうふうにその資源を配分するのが最も国民福祉向上させるのか、つまり福祉の効率が最もよくなるかと、こういう観点で問題を検討していく、つまり国民生活のうちには非常に日本として進んでいる面もありますけれども、片や諸外国等に比べましても、まだこれから伸ばしていかなきゃならないという面も多々あるわけでありますが、しかし、すべてのものを同時に、一斉に伸ばすというわけにはまいりませんので、どういう形でどこに重点を置き、どういう優先順位で伸ばしていくのが最も国民福祉の効率を最大限に発揮し得るかと、こういう観点に立ちまして、このために、若干新しい方法論も準備いたしておるわけでありますが、まだ、これは今後検討を要することでありますけれども生活連関表というような新しい構想もつくりまして、   〔主査退席、副主査着席〕 そういう一つの方法論を一つの足がかりにして、国民生活の諸要素をどうかみ合わせるかということを検討する。もちろん、生活の問題はそういう数字だけでは出ない点も多々ありますので、審議会に入っておりますそれぞれの部門の専門家の御意見も伺いまして問題を検討していただいておるわけでありますが、要は、ただ一つ一つを無計画に伸ばしていっても、国民生活は必ずしも十分向上するとは限らない面もあるかと思いますので、そういう、いわばかみ合わせと申しますか、たとえば住宅がふえましても、それに関連する諸施設が望ましい形においてかみ合わさっていかなければ、十分、国民福祉を限られた資源のもとで最大限に向上させることはできないと、こういう観点で、それをどういう形でかみ合わせ、どういう優先順位で与えられた経済規模のもとにおいて最大限に国民生活向上させたらいいかと、こういう現実的な検討及び若干数学的あるいは理論的な方法論を一方で加味して、これを具体的に描いていきたい、こういう考え方のもとで諮問を出したわけであります。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その国民生活連関表ですか、産業関連表みたいなものでしょうか、ああいうものは経済企画庁でつくったのですか。
  24. 矢野智雄

    説明員矢野智雄君) 現在まだでき上がっておりませんが、一部の学者先生にも依頼いたしまして、また、われわれのほうでもそのほうに一、二の専門的にその担当を設けまして、大体、方法論の目安はついておりますが、現在、試算の段階でまだでき上がってはおりません。近く試算できました上で、国民生活向上対策審議会に、専門家の計量部会というのがございますので、そこの専門家に検討していただくという考えでございます。大体、方法論の第一次的な試算の段階での大体の見当はつけておりますが、新しい試みでもありますので、実際に数字を当てはめていきませんと、どの程度それが具体性を持ち得るかどうか、これは今後検討すべきものだと、こう考えております。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 参考のためにそういう資料的なものを出していただけませんか。
  26. 矢野智雄

    説明員矢野智雄君) 近く、大体の方法論だけですと、非常にややっこしい点もありますので、大体の試算ができましたところで国民生活向上対策審議会にはかりたいと思っておりますが、その段階にはお出しできるかと思います。まだ現在のところ、計算は相当膨大な、電子計算機でもちょっと小型では入らないくらい非常に膨大な計算になりますので、近々、ある程度の計算はできるかと思いますが、そのときにお出しいたしたいと思います。
  27. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) これは実は専門の学者の御意見を伺いまして、そうしてどういうふうな方法論でいくべきかというような問題について、ある程度意見の調整がまとまりかけている程度のものでございますので、その点お含みくださいまして、その程度のものでお出しすることにさしていただきたいと思います。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 われわれにも、非常に関心の深い問題ですから。これは初めての試みでしょう、量的に国民生活あり方を電子計算機みたいなもので、産業関連表みたいにしてつくっていくということは初めてですよね。そういうものがかりにできると、これは今度順位の問題と言われましたが、順位を立てるわけでしょう、そこで、そういうものが立った場合、一体それをどういうふうにして、やっていくかということも問題なんですが、経済企画庁はただそういう作業をするだけなんですか。
  29. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) もちろんその考え方そのものについても、専門の学者の御意見を伺いながら、方法論についてただいま検討を続けている段階でございます。それで、できるだけ早く試案をまとめて、まとまった段階でごらんに入れたい、かように思います。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこで五千八百万という予算内容ですが、一体いまそういう諮問をしたり、それから試算として、いろいろ国民生活関連表みたいなものをつくったりすることも一つでしょう、さらに具体的にどういう内容仕事をするのですか。
  31. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 先ほど申し上げました新しい国民生活局の事業費の中身を簡単に御説明することが、いまの御質問に対するお答えになるかと思うのであります。約六千万円の予算の中で、先ほど申し上げましたような生活向上対策審議会関係のいろいろな作業、ここでは事項的に福祉水準の測定と生活連関表の作成というような名目で三百八十万円計上しております。それから審議会自体の機関の事務費としまして、それと大体問額の三百八十万円、約七、八百万円のものがこの関係で組まれておるわけでございます。その他六千万円余りの予算の中の大きな部分は、国民生活局の外郭団体といたしまして国民生活研究所という特殊法人がございますが、それの事業費の補助といたしまして四千五百万円ばかり計上いたしております。その他国民生活の実情調査とか、あるいは白書の作成等々の金を集めまして、合計して約六千万円ぐらいの予算というものが来年度の事業費として計上されておるわけでございます。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 調査研究が主たるものですね、そうですね。
  33. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) これは今度出しておりまする国民生活局設置法の中にもございまするように、私のところでは、企画あるいは総合調整というふうな仕事がおもでございまして、現業的な関係には手を出しておらない官庁でございまするので、いわば頭悩を使う補助手段としての調査、分析、研究というふうな関係の経費ということで、やっておりますることは、非常に膨大な仕事でございまするけれども予算としては六千万円余り、こういうことになっているのでございます。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 調査研究につきましても、この程度の五千八百万円、その大部分が国民生活研究所に対する補助四千五百万円でしょう、で、何かさっきの構想を聞くと、ものすごい国民生活あり方ビジョンをここで描いていくというのですが、この程度予算で人員はどのくらいなんですか。
  35. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 現在、調整局などにおりまして、この関係仕事をしております二十四名と、それから新らしく増員をいたしまする二十名と、合わせまして四十四名ばかりの人員でこの仕事を発足さしていきたいと思っております。もちろん将来における国民生活というものの福祉施策の重要性から考えまするというと、この局が将来順調に拡大していくことをわれわれも期待いたしておるのでございまするが、何せ先ほど申し上げましたように、問題自体の取っかかりにやっとたどりついたという現状でございまするので、最初から膨大な機構をつくりまして、それが十分な仕事ができないということでは、先ほど木村委員もおっしゃいましたような、いたずらに官吏の数をふやすが能でもございませんので、まずそうした取っかかりの仕事を固めてから、今後における国民福祉というものの重要性の累加するに従ってこの局も発展さしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はここで、そういうまあ、私は決して予算はこの程度予算でたいしたことはできないと思うのですけれども、さっきの構想を聞きますと、とにかくまあわれわれの立場からも、内容はとにかくとして、そういう作業が必要だと思うのですよ、やはりね。これをさらに充実させる必要があるのですが、そういうものができた場合、これが政府の全体の政策の姿勢になっていかなきゃ何にもならないのですよ。これはもう長官のほうも問題ですが、せっかくここでこういうものをやっても、実際の政治の姿勢というものは反対の方向にどんどん行ってしまうのでは何にもならない、どういうふうにこれを政策に反映するようにしていけるのか、そのつながりはどうなっているんですか。ただここで作文つくってそれだけということに終わるならば、その作文自体もこれは無意味とは言いませんけれども、そっちのほうの、そういうことをやってどういうふうに政策に反映していくか、そのつながりはどうなんですか。
  37. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 先ほどからいろいろ御議論がございますように、福祉国家における政策の究極の目標というものは、国民生活福祉の増進であろうかと思うのでございまするが、しからば、国民生活福祉を増進させるためには一体どういうアプローチの方法があるかといえば、これには、大きく言って経済規模を拡大することによって福祉を増進するという方法と、それからそれの再配分過程あるいは財政等々の活動を通じての福祉の増進という、まあいわば生産と分配というこの二つの方法があろうかと思うのでございます。一体、両支柱のいずれに重点を置くかということは、これはその国の経済発展段階によってきまってくるのではないかと思うのでございまして、生活福祉というものを構成します要素を考えまするというと、たとえば消費支出の面とか、あるいはまた生活資本のストックの面、あるいは生活環境の面、その他教育、衛生というふうな文化的な環境の面というふうにいろいろあるわけでございまして、非常に経済発展段階の低い国におきましては、まず消費の水準を高め、あるいは所得の水準を高めるということが一番重要な問題でございまして、そのためにはパイの大きさをまず大きくすると申しまするか、高い賃金が得られるような雇用の機会をふやしてやる、経済を拡大してやることの手段が、まず比重的には重点を置かるべきだと思うのでございまして、そういう経済発展段階の低い国におきましては、生産という問題が大きな意味を持つかと思うのでございまして、先ほどから高度成長の問題が出ましたけれども日本の場合において、高度成長が歴史的意義を持つとすれば、そうした面における生産の面から国民の所得をまず増大する、分ける場合のパイの大きさを大きくするということが、その当時における日本経済の実力からして一番大きな意味を持っておったのではないかと思うのでございまするが、ここ数年来の高度成長によりまして、ある程度資源的に余裕か出てきた。生活福祉のいわば分配の面からのアプローチの方法も、それを可能にします資源というものは非常に膨大なものを要するわけでありまして、その膨大な資源を生み出しますソースは、やはりこれは成長経済の拡大という面からのみ可能であるわけでございまするから、今後におきましても成長の問題が決して意味を失うというわけではないのでございまして、許された日本資源の中で、まず何をあすの成長のためにとっておくかということ、それからその成長のためにできるだけの資源を、何といいますか、余裕を残しておいて、そうしてその他の生活福祉に直接役立つ分配の方面にどれだけの資源を取り得るかという問題、これは御存じの、経済計画というものを経済企画庁でつくっておりまするが、そういう長期あるいは中期の経済計画においてそうした大きな資源の配分をまずやりまして、そうした経済計画のもとにおきまして福祉に直接配分される資源というものを、先ほどから申し上げております福祉函数とか、あるいは生活連関表を使いまして、最も大きな国民福祉の増大というものに役立つような資源配分の計画をつくっていくということで、今後は長期あるいは中期の経済計画とともに、それと同じような意味における福祉の長期あるいは中期の計画というものを経済企画庁でつくりますようになりますれば、いま申し上げましたような順序に従って、現在、経済企画庁が果たしておりまする企画、あるいは総合調査という仕事の中にこの作業が生きてくるのではないか、こういうふうに考えております。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あとに羽生さんの質問があるそうですから、あまり議論していると時間がたちますから、簡潔に質問していきますが、ただ、さっき長官も言われましたが、高度成長は決して悪くはなかったのだ、それからいまのパイ理論ですね、また下村理論とかいう、これは非常にわれわれ問題があるところで、これはだれも成長を否定するものはないのですよ。ただ問題は、いままで経済企画庁がやって、計画計画といいますが、その計画どおり行ったことがありますかね。自由企業を原則として、そうしてそういう施策をやっても必ず計画と実績が狂っているのでしょう。行き過ぎた行き過ぎたといっているのです。なぜ行き過ぎたか、だからもっと根本的にぼくはさかのぼらなければ、いままでの自由企業原則でいいのかどうか、投資を調整するったって自主調整できないでしょう。一番行き過ぎたのはシェアの拡大競争をやり過ぎちゃって、だから、日本銀行からどんどん成長企業に出しちゃって、そうして設備過剰になって、そういう景気変動を繰り返すから、好ましくないから安定成長に行っているのでしょう。安定成長なぜできなかったか、そこに根本の問題があるのですよ。だから、経済連関表を使ってやることはいいのですよ、それからそういういろいろビジョンもけっこうですよ。だけれども、もっと私は基本にさかのぼった、いままで高度成長がなぜこういうひずみをもたらしたか、こういう点にもっと根本的な徹底的な検討を加えて、もっと謙虚な、私は少なくともそれに必ずしも全面的に賛成じゃないのですけれども、混合経済くらいに行かなければ、ある程度の統制管理をしなければできっこないですよ、自由企業原則でやっても。もっとそういう点についても、ビジョンを考える場合に、それから諮問をする場合にも、もっとそういうことを行なう一番基本になる制度の問題、いままで自由企業原則をもとにしてずっとやってきたのだけれども、それが多くのひずみをもたらしてきている。このひずみをもたらすこういう原因は一体何か、もっと私は深く謙虚に検討する必要がある。そこに触れると、もう今度はパイ理論になっちゃって、パイ理論になったらこんなことはもう自明の理なんだ、トルーイズムですよ。トルーイズムであって、だれも成長する必要はないのですから、それが成長が、全体の均衡を取りながら成長さすところに政治があるのですから、そこにむずかしさがあるのですから、安易なあれで成長をどんどんおっぱなしてやる、あとで行き過ぎを直す、こんなむだなことをやって景気循環を繰り返すことは矛盾ですよ。これは私の議論ですから御答弁要りませんが、そういう点もやはりもっと根本的に考えないと、ずいぶん大きな問題と取り組んでいるのですよ、せっかく取り組むなら、もっと基本的な問題にまで掘り下げてやらないと、もうから回りですよ。で、五千八百万円でも国民の税金ですから、むだにならないように、そういう点についても考えていただきたい。  それからもう二つ質問いたしますが、あとすぐに羽生先生にバトン渡しますが。いまの生活実態ですね、生活実態に対する総合的調査政府にないと思う。たとえば課税最低限です。所得税の課税最低限をきめる場合に、大蔵省国民生活研究所でマーケット・バスケット方式に基づいてやっているでしょう。あれはだれが見たって、常識からいって、二千五百カロリーで成年男子百六十七円四十八銭でいけるという人はだれもいないですよ、常識として。それでは献立表だって実際にはできない。それから防衛庁では三千三百六十カロリーで百六十三円でできる、だから、もしこれで、国民生活研究所というのはどういうものをおやりになっているか知りませんが、憲法二十五条でいう、健康にして文化的な最低生活というものは量的にどういうものであろう。もちろんヨーロッパと日本と違いますが、日本的なこれは社会福祉、社会保障、そういうものの基本になると思うのですよ。そういう調査なり研究をひとつやってもらいたいと思う。それで、あれは大蔵省がただ国民生活研究所に頼んで、マーケット・バスケットでやっているでしょう。そのつどやるのですよね、課税最低限きめるときに。われわれから見れば、あれはつじつまを合わせるためにやっていると思う、試算といっていますけれども。何かそういう科学的な権威のあるものを一つつくってほしいと思う。それは完全なものでなくていいから、それが出ればまたいろいろな批判が出る。こういう点が足りるとか足りないとかね。それはまたそれで批判を十分いれて積み上げていく。何か社会福祉とか、社会保障と、こう言うけれども、一番基本になる日本の標準生活なり、あるいは製造費がどのくらい、生活費にどのくらいでと、前に労働科学研究所でつくったことがあるのですよ、労研で。だから、そういうこともあるのですから、労研あたりに委託調査やらしてみると、あるいは国民生活研究所にもっとやるとか、何かこういうものについて一番この基本になるのだから、そういう調査研究をひとつできないですか。これひとつやれば、これはたいへんな私は仕事になりますよ、有意義な。これ、ひとつ研究されませんか。権威のあるものが一つもない。社会保障だのあるいは社会福祉だといったって。
  39. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 文化的な生活の最低基準がどうだというふうなお話、現在いろいろのところで研究いたしておるわけでございまするが、われわれの考えております福祉概念というものは、むしろもっと総体的な問題でございまして、一般の生活水準が上がってくれば、たとえわれわれがこの程度で十分な栄養がとれる。この程度で人間的な生活は満足されると思っても、やはり欲求不満というものは出てくるわけでありまして、現在われわれがやっておりまする一つ重点は、そうした現在の国民生活における欲求不満というものがどういう部面において、どういう程度の強さを持っておるかというふうな、そうした関係重点をおいてまとめておりまして、これだけの所得ならばそれでよいというふうな、そういう最低基準の問題については、税制の関係から、そうした調査をしておりまする大蔵省とかその他にまかしておるというわけでございまして、今後われわれがそれをまた取り上げるとなりますると、二重行政ということで問題にもなろうかというふうに考えておりまして、現在そうした調査は、必ず私のほうでやるということは、予算を担当しておるわけでございませんので、ここでお約束はできかねるということをお答え申し上げたいと存じます。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんなことではだめですよ。大蔵省政治的なんですからね。もっと、せっかく国民生活局というものを設けて、それから国民生活研究所に予算を大部分使うのじゃないですか、四千五百万円。一体それじゃ国民生活研究所というのは何をやるのですか、どういうことをやるのですか。
  41. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) この国民生活研究所の研究テーマにつきましては、先ほど矢野君からもお答えしましたように、今後における日本の限られた資源というものを、どういう国民生活の分野に投入した場合に最も大きな福祉向上が得られるかということに関連しますいろんな副作業がございまして、従来この国民生活研究所で生活実態調査を各地域ごとにやっておりまするが、相当実績を持っておりまする機関でもございまするので、今後、国民生活向上対策審議会の計量作業がだんだん進んでいくにつれまして、そうしたことに必要ないろんな作業のテーマを与えてやらしていきたいと、こう存じます。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっき私が申し上げたようなことをここでできない、国民生活局で。それこそ総合官庁ですから総合的に、各省でやっているのを自分でやれば二重行政になると、こう言うのですけれども、そうでなくて、各省ばらばらにやっているから、そこで経済企画庁が、厚生省のたとえば生活扶助の問題を考える場合に、その基準あるいはまた社会保障を考える場合、国民年金を考える場合にも、何かそこにかなり科学的なそういう、これはもちろんヨーロッパと日本とは違いましょう。しかし、そこに関連表までつくってやるというのですから、何かそこである程度の権威のある仕事をここでやらないと、このけじめつかぬですよ。   〔副主査退席、主査着席〕 ただ、ビジョンビジョンといったって、一番基本になるものをここでひとつ、そういう研究をぼくは考える必要があると思うのです。日本における最低生活はどのくらいのものであるか、その時点で研究して、もちろんそれに程度が大きくなれば大きくなったように、弾力的にそれは考えていいわけですけれどもね、何かそういうものが必要だと思うのですよ、大蔵省政治的に最低課税限なんというのを全体の予算の中からずっと考えて、それで夫婦子供三人、五十四万四千円くらい課税最低限やればどのくらいの税収になると、そういうことを積み上げてやっているから、マーケット・バスケットはそうなんですから、あんたものは実際には通用しないですよ。ですから、もう少し権威のあるものを、だれも信用してやしませんよ、ああいうものは。だから、せっかく国民生活局をつくるならば、そういうくらいのものはここでやる努力をされたらどうですか、むずかしいですよ。むずかしいからやらなければいけないので、それならこれっぱっちの予算ではいけないですよ。われわれもっと予算を大いにつけろ、もっと予算をつけることに賛成ですよ。五千八百万円くらいでやれというのは無理ですよ。もっと予算をつけて、十分につけてそういうことまでやらなければ、生活実態なんて聞きましても、実際にいまの勤労者の家計実態からどういう勤労者の家計になっているかなんて質問しても、長官なんかよう答えられないですよ、失礼ですけれども伊藤秋子さんの例をあげましたから、伊藤秋子さんに聞いてみましたら、そう大して困ってないとか、もう民間ではこのごろ生活協同組合でも、みんな家計調査やっておりますよ、実態は。そういうものを権威のあるものを一つつくるとか、そういう基本的な作業を、これはぜひ私は要求したいのですが、いかがですか。それで、やはりもっと予算をつけなければいけないと思いますよ。
  43. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 私のところの予算にたいへん応援をしていただいて、まことに感謝する次第でございますが……。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう仕事をすればね。
  45. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 最低の生活基準というものを一体どういう理念のもとに組み立てるかという問題があろうかと思うのでありまして、先ほど大蔵省は免税点というものの測定で最低の課税除外所得水準をきめるという意味で、ああしたマーケット・バスケット方式によって食生活の水準をきめているのだろうと思います。また、厚生省では国民の保健という面からそうした最低水準というものをきめようかと思うのでありますが、私たちのやっております国民生活局の理念から申しますると、いわゆる国民福祉という観念から考えるわけでございまして、これは非常に相対的なものであろうかと思うのであります。先ほどからも繰り返しますように、いわば人間の欲求不満というものは、一定の消費水準に達したからそこでなくなるというものではございませんで、他の水準が上がっていくと、従来それで十分な健康な生活をおくれるような水準であっても、さらにまた欲求不満が起こるかと思いまするし、また、そうした意味においてのものの考え方からすると、われわれの測定します福祉の水準というものは経済全体の水準がどうであり、国民全体の所得がどうであり、そうしたものの中における欲求不満の強いものから、これを解消するように資源を投入していくという、そういう立場が常に前面に押し出されるわけでございまして、いまおっしゃったような食生活の絶対基準というふうなもの、あるいは水準というようなものをわれわれにやってみろというお話はまことにありがたいのでございますが、むしろそうした厚生省なり大蔵省等々のやっておりまする水準を、われわれが国民生活福祉あるいは欲求不満のソースとして、さらにチェックしてみるという立場で当分はやっていく。国民生活局というものが非常に充実して、そういう面にまで実際にわれわれが現実調査、分析をしなければならぬということになりますれば、またその際にはいろいろ御協力を賜わりたいと思うのでございますが、ここ一年の間の国民生活局の大きな仕事は、いわば従来の生産の面から生活福祉向上にアプローチしようという考え方に対して、福祉の面から直接にもっとものを考える時代がきたのではないかという、そうしたいわば新しい理念が必要とされておる。この環境に処しまして、まず方法論を固めていくということにじっくり足を置いて仕事を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の質問はこれで終わりますけれども、私は意見を申し上げておきますよ。それは福祉というものは相対的であり、欲求不満はいつまででも……、しかし、やはり一番基本になるものは最低生活費ですよ。そういうマーケット・バスケットにしても、そういうものの最近の調査がないんですよ、権威のある。前に労研でやりましたよ。あれは桐原さんか何かがやったんですよ、最低生活費、青年男女十八才の。それから厚生省でも国民栄養調査というのをやっていますよ、一日一人当たり平均してカロリーがどれだけ、たん白質が幾らと、そういうものが一つの基準になるんですよ。そういうものさえないんですよ、はっきりした、最近の。そういうものさえはっきりしていないで、それで国民生活局を設けて、さっきお聞きしたようなことをやるといったって、まず基本の調査のほうをもっと固める必要があるのですよ。それはいろいろお調べになってごらんなさいよ。そういう権威のあるものはないですよ。厚生省あるいは労研に行ってお聞きになってもわかりますよ。もっと努力しなければだめですよ。これは私は要求しておきます。それについて労研なら労研にまた委託して調査をやらせるなり、あるいは厚生省のあれをもっと活用するなり、国民栄養研究所を、あれをもう少し何か気のきいたものにしなければ、大蔵省はあんな献立表をつくって、だれだって常識からいって理解しておりませんよ。これは長官、ひとつそういう点についてもっと努力する必要があると思いますが、御意見いかがですか。
  47. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) この前、木村先生から御意見がございまして、エンゲル係数がだんだん下がったことについての御批判がございました。私どもそういう問題についても、国際比較をすれば、たとえば日本は一日二千三百カロリー、アメリカの場合は三千三百カロリー、ヨーロッパの場合はその中間のところにあるわけでございますが、これはどうもその一日一人の摂取カロリーがそれだけ違うから、したがって、日本ではこれはいかぬのだ、非常に食生活が悪いのだと、こう即断することは非常に誤りをおかしやすいので、たとえば私の場合、アメリカに行ってあの料理を食べる場合に、大体ハーフ・ポーションで十分で、一人前は食ったところで消化できないというように、それぞれ体位に応じてこれは摂取カロリーの適当な量が自然的にきまってくると思うのでございます。これが子供の体位がどんどん向上してまいりまして、何年か後にはその子供が青年になり、そうして相当なカロリーを取っても、また動物質のたん白を取ってもそれが十分な栄養になるという状態になれば、それでもって、その場合に摂取カロリーが体位に対してはなはだしく不足だという状態が判断できる時代もくると思うのでございますが、私ども現在の状態においては、ここ数年間、大体千九百何十カロリーくらいのところから、最近の数字では二千三百カロリーまで、年々着実に上がってきておるという面から見まして、やはりカロリーも上がっておって、エンゲル係数も下がってきておるということは、国民生活全体としてだんだん向上してきておるんだという総括的な判断はしてしかるべきだと思うのであります。  そこで、私どもが問題にしている点は、国際比較においても、一体日本においては食生活、また環境衛生関係の問題、または住宅の問題、または教養娯楽の問題、さらには文化的な要求としては、音楽とか、美術とかいうふうな面、そういうふうな国民生活全般にわたって、今後、日本人というものは大体どういう国民生活が望ましいし、また国民がそれを要求しておるか、双方の面から、そういうふうな問題も相当深く掘り下げて調査をし、それを基本にして政策全般のことを考えていきたい。それで、先ほど官房長からも申し上げましたけれども生活保護基準の問題とか、または課税最低限の問題、これはやはりそれぞれ専門のところで具体的にお調べ願うということのほうが妥当であって、総合企画官庁としては、むしろそういうふうなマクロ的と申しますか、そういうふうな観点から国際比較もし、日本の歴史的な発展段階を考え、そうしてずっと各政策についての位置づけをするのに役立たしていくということが、さしあたりのわれわれの一番大切な仕事じゃなかろうかと、かように考えるわけでございます。
  48. 羽生三七

    羽生三七君 私の質問は簡潔にやりますから、政府の答弁のほうも要点だけ答えてください。  この四十年度の企画庁関係予算の中に、長期経済計画に関する経費として二千百七万八千円組んでおるわけです。この企画庁の言う長期経済計画というのは、いままでの所得倍増十カ年計画とはどういう関連になるのか、中期計画とは、どういう関連になるのか、残る期間をさすのか、あるいは新たに十カ年計画をつくるのか、ある一定期間ダブるわけですか、どういうことを想定しておるのか、まずその点からひとつ。
  49. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 御承知のとおり、中期経済計画は昨年の十一月に答申がございまして、その後、政府自体でもさらにそれを検討いたしまして、今年の一月二十二日に、これを基本的な考え方として閣議決定をいたした次第でございます。しかしながら、この中期経済計画においても、なお今後掘り下げを要する部分ということで、閣議決定の際にも五項目にわたってそれぞれその点を指摘いたしておる次第でございますし、また、経済審議会においても、企画部会に地域部会というのを特に設置いたしまして、要するに経済企画庁の主管として地域開発と、つまり国土全体の総合開発という問題、地域開発と全体の開発との関連、そういう問題がまだ十分に検討ができていない、十分な掘り下げが足りないという面から、特に地域部会というものを設けまして、これをなおずっと検討を続けておるような次第でございます。  なお、具体的にそういうふうな部会はつくっておりませんが、そのほかに、先ほど申しましたように、閣議決定におきましても、残された問題として、たとえば農業については、農業というものの性格上、五カ年程度の短期的な問題の取り上げ方では、なかなかほんとうのあるべき姿というもの、また将来に対する方策を考えなければ、現時点におけるところの政策の確立も必ずしも適切にいきかねるというような問題もございまして、そういうふうな点がございますので、そういうような問題をそれぞれ検討していただくという意味において、この予算を残しておる次第でございます。
  50. 羽生三七

    羽生三七君 質問の要点に答えられておらないのです。私の言うのは、いまの所得倍増十カ年計画、それはそれとして、新たに現在の時点を基礎として新しい長期計画をつくるのか、所得倍増の残された期間内をさすのか、あるいはタブって、新しい長期計画、所得倍増十カ年計画を先に越しても、さらにタブる時期もあるのか。これは一応長期計画といいますが、中期計画も出ておるでしょう。それと別に長期計画というからには、一体所得倍増十カ年計画とどういう関連になるのか。この位置づけを明確にしていただきたい。
  51. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 御承知のとおり、中期経済計画では、あの前文に書いてありますように、所得倍増計画の期間中であるところの昭和三十九年から四十三年までの間の期間について中期経済計画を立てる、こういうふうに相なっておるのでございます。その中期経済計画自体においても、絶えず計画と実績との検討と申しますか、俗なことばでいえばいわゆるアフターケアと申しますか、そういうことを常時していかなければならない性格のものでございますので、そういうふうな問題をするとか、中期経済計画自体において、先ほど申しましたように、残された問題、なお掘り下げを必要とする問題がございますので、そういうふうな問題を検討していただく、そういうふうな観点でこの予算を計上しておるのでございまして、したがって、今後さらに新しい長期経済計画を立てるか立てぬかという問題については、何らまだ決定しておるわけではございません。
  52. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、倍増計画の残された期間、四十五年までのその期間を、たとえば四十三年というような中期計画の期間設定でなしに、終わりまでをさしての長期計画ということなのか。それから、もっとさらに先に伸びることも出てくるのか。その点がはっきりしないというと、どうも……。
  53. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 事務的なことでございますので、御説明申し上げまするが、ここで長期経済計画といっておりまするのは、中期計画のことではございません。
  54. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、木村委員からも先ほど御指摘があったし、政府の御答弁の中にもあったけれども、計画と実績との違いですね。そこで、中期経済計画というものが、一種のアフターケアともいうべきこういうものが策定されたわけです。ところが、私が前に何回も歴代の企画庁長官に申し上げていることは、所得倍増計画という名前はやめなさいということ、これはもう非常に明白なことで、たとえば農業一つとってみても、計画と実績とのズレが、短期間、一、二年とかあるいは三年というならこれはよろしいが、しかし、農業の経営面積の、自立経営農家のように、十年計画を二十年にしても達成できる見込みのないようなこういう場合に、所得倍増計画という名前が適当かどうか。私は、経済十カ年計画というべきだと思う。前の藤山企画庁長官は、この質問のときにうなずいておりました。答弁に立とうとしたら、総理が押えて、自分で、この名前を変えたら自民党が政策大転換をやったように思われるから、そういうわけにいかぬというような御発言がありました。私はそんな政治的な意味の発言をしているわけではないのです。というのは、国民は、この前申し上げましたように、国民生産国民総所得で所得が倍になるとは思っていないのです。個人個人の所得が倍になると思っているのです。ところが、農業の場合なんか、明らかにいろいろな計画と実績との食い違いができてくる。そして今度は中期計画を示されたが、この中期計画でも具体的な資金的な裏づけというものは明白にされておらない。はたして計画内に目的が達成されるかどうか。そうすると、ずいぶん私は違った面が出てくると思う。しかし、そういう場合に、政党のキャッチフレーズにはいいかもしれないが、まじめな経済の運営のあり方としては、私はこの倍増計画という名前にいつまでも固着してやっていくのは適当ではない。これは経済十カ年計画と変えるべきだと思うし、もしどうしても倍増計画という名前を今後とも継続されていくなら、計画に示されたとおりのことをやらなければ、これは国民に対してはなはだ私は罪は深いと思う。明白な計画を示したのですから、これは一応のめどである、目標でありますというようなことで済まされる問題では私はないと思う。ですから、この点は非常に私は重要な問題だと思うので、これをひとつ長官の見解を伺いたい。
  55. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) これは羽生先生よく御存じのとおり、いつも申し上げることでございますけれども、自由主義経済において計画という文句がはたしてこういう場合に使っていいかどうかという問題があろうかと存じます。しかし、計画という文字を使ってきているわけでございますから、今回の場合においても、所得倍増計画の期間中におけるところの五カ年間をとって中期経済計画という名前をつけたわけでございます。自由主義経済におけるところの計画というものは、中期でも長期でもそういう意味のものであるということは、十分羽生先生も御承知のことだと存じますので、その点最初に申し上げておきます。  それから、いま一つは、所得倍増計画という名前がいけないという御指摘でございますが、中期経済計画はいわば一般法に対する特別法、法律用語を使えばそういうようなものでございまして、したがって、所得倍増計画のこの十カ年の期間中において四十三年度までは中期経済計画が実際のよるべきところの経済の運営の基本的な考え方である、こういうふうにお取り上げを願いたいと、かように考えるわけでございます。
  56. 羽生三七

    羽生三七君 私、なぜこういうことを言うかというと、計画どおりにいかなかった場合に、政治的責任はどうなるのですか。倍増ということをはっきり言っているわけですね。総所得ではないのです。国民が受け取っているのは、一人一人の所得が倍になるのだと。松下幸之助さんと保護世帯の人を一緒にして、平均して倍になるとは考えていない。実際に個人個人の所得が倍になると思っている。ですから、そういう計画を立てて、計画どおりにいかなかった場合には政治的に責任があると思う。経済の計画なら、ときにずれが起こってもやむを得ないと思うが、所得が倍になるというのでしょう。国民全部が所得が倍になると思っている。これが物価値上げのムードをつくった原因でもあったと思う。ですから、そういう意味からいって、そういう所得倍増計画という名前を今後続けるなら、やはり続けるに値するように、計画どおりに国民にその約束を果たしていかなければいかぬ、それを私は言っているわけです。
  57. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) これは前の国民所得倍増計画そのものでございますが、この文章にはっきりと、今後十年以内に国民生産二十六兆円、すなわち倍に到達することを目標とする、こうはっきり書いておるのでございまして、決して国民一人一人の所得が倍になると書いておるわけではございません。ただ、そういうふうに一人一人の所得が倍になるというふうに受け取っておられる方も相当あることは、これは御指摘のとおりでございますが、この正確に国民所得倍増計画として閣議決定し世間に発表いたしておりますものにおきましては、その点はきわめて明確に表現をいたしておる次第でございます。
  58. 羽生三七

    羽生三七君 国民生産国民総所得で年率七・二%の成長率で、複利計算でいけば倍になると。それは所得倍増計画の出発のときにうたわれておるけれども国民に与えておる印象は、そうじゃない。そんなむずかしいことがわかっているわけじゃない。それなら、みんな自分の給料は倍になる、商人の人は自分の売り上げが倍になる、農家の人も農業所得が倍になると……。今度は農業所得が変わってきて、いよいよ農家所得でしょう。表現が、農業所得から農家所得に変わってきた。農業所得で倍増計画が実現できないとわかったから、家族の兼業収入も含めて、農家所得という表現にすっかり変えてしまっている。これは何でもないことのようですけれども、農業所得が農家所得に変わったということは、重大な私は問題だと思うのです。  だから、そういう意味からいって、政府の策定した原文には、そういうことがうたわれておるけれども政治的な意味で適当でない。これは政治的責任があるということを私は言っておるのです。そんなら、ちゃんと計画どおり実現するために、それぞれの階層、それぞれの立場のものについて、倍増を約束するような具体的な予算的裏づけをしなければ責任を果たせない、私はそれを言っておるのです。
  59. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 国民所得倍増計画そのものにおきましては、国民一人当たりの所得はどうなるか。これは大体八割程度というふうに表現をいたしておりまして、農業所得とか農家所得という区分のしかたはいたしておりません。それで、先般米農林大臣からお答え申し上げておりますとおり、いわゆる農業基本法に基づくところの格差の是正というふうな観点から御質問になった際に、それは農家所得としての格差の是正の問題を検討しておると、こう農林大臣からお答え申し上げておったようでございますが、私も、国民所得倍増計画のずっとアフターケアをし、またその実績を検討いたします際におきましても、これはやはりそういうふうに把握するほうが正しいのじゃないか、かように私どもは考えておる次第でございます。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して。どうも、長官、ちっとも羽生さんの質問に答えていないですよ。時間だけたつのですが、前に総理に私が質問したときに、一人一人の所得がふえるというのは誤解であると、はっきり総理が言っておるのですから。一人一人の所得かふえるのじゃなくて、平均の所得が倍になるのだと、総生産が倍になるわけだと、こういう意味で、一人一人の所得が倍になるというのは誤解だと総理は言っておる。所得倍増ということばは誤解を与えるから、そういうことばを使わないほうがいいじゃないかと羽生さんは言っているのですよ。その一点について、今後は誤解を与えるから、それじゃ倍増ということばをやめましょうとか、羽生さんの先ほど言われたように、計画としましょうとか、そこを答えてくれればいいのですよ。それができるかできないか。できないならば、なぜできないかをはっきりしていただければいいのです。
  61. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) そういうふうな誤解を与えるから、この倍増計画という名前を変えろという御質問のようでございますが、ここに明確に掲げてある内容は、そういうふうな誤解を与える心配のないように表現をいたしておる次第でございますから、これはPRが悪かったということがあれば、そのPRのやり方は今後注意を要すると思います。また、今後の問題じゃなしに、むしろ以前のPRのやり方が悪かった点があるのかもしれませんけれども国民所得倍増計画の記述自体においては、何もそう変更を要する点はない、かようにお答え申し上げておきます。
  62. 羽生三七

    羽生三七君 それは倍増計画がスタートするときに、池田総理予算委員会でこの問題を説明したときから、私はこの問題を指摘しておるわけだ。何年も前からの話だ。いまに始まったことじゃない。それはそれでいいが、何らかの機会に、国民にこの点を明らかにしておく必要がある。われわれは承知しておりますよ。皆さんももちろん承知しておるが、しかし、どこに行っても、だれに会っても、自分の所得が実質倍になる、それが所得倍増だと。それなら、他人が利益を倍にするなら、おれのほうも倍にしなければ合わない、こういうのが、これが一つのムードになっておる。ですから、私はこれは政治的に見て非常に無責任だと思う。だから、それはそれとして、次の問題、もう一点だけ伺います。  それは、今度の問題、中期経済計画では、今後八・一%の成長率を想定しておるわけです。で、この成長率が高いか低いかという議論はいたしません。ただ、私は、いわゆる先進国といわれる国々がおおむね二・三%から多くても四・五%という条件の中で、かなりに高度の成長をした日本経済が、なおかつ八・一%の成長を今後とも持続し得るというこの条件は、一体何なのか。つまり、歴史的に見てみたら、日本はそういう下村さんの言うような勃興期、まだそういう段階にあるのか、あるいは労働雇用関係からまだ余地か残されているというのか、潜在的需要があるというのか。いろいろな意味で、どういうことで、日本だけが、政府が下げると言ってもなおかつ八・一%の成長を持続し得る、そういう条件を持っておるというのか、この条件をどういうふうに想定しておるのか、それをお伺いしたい。
  63. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 御承知のとおり、過去十カ年をとってみますと、実質成長率が約一〇%であったわけでございます。また、過去三年をとってみますと、一一%であったわけでございます。そういうふうな過去の実績等で勘案いたしまして、また、御指摘のとおりに最近特に若干労務者において労働需給の逼迫が相当きつくなって、いわゆる労働過剰の経済から労働不足の経済にだんだん移ってきている、そういう過程にあるということも、私ども十分承知をいたしております。また、その他の今後のつまり生産力人口として入ってくる人の数等についても十分な調査をし、将来の計画に関して数字的にも検討しておる次第でございます。  ただ、なおかつ八・一%という程度成長を確保し得るという見通しを立てましたゆえんの根本は、ただいまお話のありましたとおり、なるほど、若年労働者についてはそういうふうな状況でございますが、中高年齢層におきましては、相当にやはりそれぞれの能力を十分に発揮し得ないような環境で働いておられるという方々がずいぶん多いと、かように判断をいたしておるのでございます。また、かりに農業等について例をとってみますると、農業については今後年々三%程度農業から他の産業に就業人口が移動するという想定をいたしておりますが、これらの人は新しく労働に入ってこられる純増になるわけでございます。そういうふうな点も考え合わせますると、日本経済はなるほど相当に成年期に差しかかってきてはおるが、なお相当な潜在的な発展力を持っておるのだ、こういう判断をいたしておる次第でございます。  なお、詳細につきましては、局長からその根拠について御説明申し上げさせていただきたいと思います。
  64. 向坂正男

    政府委員(向坂正男君) 補足して御説明をいたします。  経済審議会で中期経済計画を検討する過程で、今後の経済成長を見る上の議論された問題について説明さしていただきます。  第一は、日本経済が総括的にいえば、いま大臣説明されましたようにまだ若い経済であるということでありますが、同時に、それはどういう点にあらわれているかというと、輸出の伸びが非常に大きいということ、それは同時に投資率が西欧に比べて非常に高い水準にある、西欧が大体一〇%から十数%なのに対して、日本では二〇%近い投資率が続いている、それにまたそれを裏づける個人の貯蓄率のほうもなお非常に高い、そういったことで民間設備投資の国民生産に対する投資率が高いということに裏づけられて、非常に輸出がよく伸びているということ、これが今後の西欧に比べて高い経済成長を維持するまず第一の条件であるということでございます。  第二は、労働力の問題でございますが、これにつきましては、いま長官からも説明ありましたように、この中期計画期間中は新規の労働力の供給量が非常に大きい時期である。もちろん新規の労働力については需給関係は依然として逼迫状態を続けるであろうけれども、しかし同時に、他方では中高年齢層についてはまだその能力を十分活用していないというものが相当残っているはずだ。それを活用していくためには、低生産性部門の近代化——農業なりあるいは中小企業なり流通機構なり、そういう点の近代化を促進することによって、そういうところで所得が少なく能力が十分発揮されていないような人々の能力を発揮させるという条件をつくっていけば、そこでなお労働力の問題については西欧のように労働力不足から成長率が制約されるというような事態になるとは考えないでいいのじゃないかということでございます。同時に、中高年齢層のみならず、一般的に今後科学技術の振興とかあるいは人々の教育訓練とかあるいはいろいろな制度的な改善によって、人の能力をそれぞれ適所適材で十分発揮できるようなそういう体制も考える必要がある。人的能力の向上及びその有効活用という点について今後の政策を考えていくならば、労働力不足の問題に対していまのような考えでいいのじゃないかということでございます。  大体大きな点は以上のようなことでございます。八・一%程度であれば、国際収支なり労働力不足の問題なり、しのげるのではないかということでございます。
  65. 羽生三七

    羽生三七君 もう一点だけ。そうすると、八・一%でいった場合、先ほど木村委員が指摘されておった問題にも関連しますが、高度成長下の矛盾を解消する条件をこの中期計画でつくり上げていかれる自信があるのか、あるいはまた、それともそういうものはある程度まだ何らかの形で縮小均衡のような形で温存される条件もあるのか、その辺は四十年度予算がひずみ是正より拡大予算だというようなそういういろいろな議論があるけれども、そういうことは別として、自信を持ってひずみ是正といわれるその方向にこれが八・一%との関連で十分確信を持てるのかどうか、その点はどうでありますか。
  66. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 昭和四十年度の経済の運営についての基本方針を経済企画庁が中心になってきめたわけでございますが、その中でも指摘いたしておりますし、また物価対策の面でもこの問題を取り上げたわけでございますが、まず第一に、中期経済計画に指摘しておりますように、低生産部門であるところの農林、漁業、中小企業、そこの生産性の上昇に重点を置いて、ここに大きな力を入れるということが一つの課題になっております。それで、この点はもちろん財源の関係等もございまするし、またこれは一、二年でもって一挙に大きな変化ができる問題ではございません。そんな関係で、たとえば中小企業については伸び率が三一%になっておる。農林関係については農業基盤の整備等について約二〇%に近いところの伸び率になっておるということで、相当そこにこの政策の特徴がはっきりと表現されておると思うのでございます。そしてまた、社会保障関係、いわゆる社会開発関係の問題につきましても、国民所得に対するところの振りかえ所得の比率は、昭和三十八年度が五・三%程度かと存じますが、それを目標年次においては七%のところまで持っていこうという計画に相なっておりますが、これも昭和四十年度においてその方向に数歩進めたつもりでございます。したがって、この四十年度予算を通じ、また中期経済計画の期間を通じて、ひずみの是正と申しますかということの目標が相当に達成できる。もちろん、これからの政策努力は相当必要とは思いまするが、その方向に基本的な考え方として閣議決定もいたしました次第でございますから、今後この政策を踏襲することによって、ひずみの是正が相当達成できる、かように考えておる次第でございます。
  67. 羽生三七

    羽生三七君 質問というより、最後にちょっと意見だけ述べて終わりますが、たとえば、いま中小企業も前年度対比のお話でございますが、それは確かに二二%伸びておる。伸びておるが、その中の六、七%は地価の高騰で食われてしまっておる。住宅の増加は一万六千戸にすぎないんですよ。だから、表面上の予算の増加は確かに御指摘のようなこともありますけれども、実際面で見るとそういう矛盾をそれぞれはらんでおるわけです。  それから、農業の問題も、これはこの前申し上げましたのでくどくは申し上げませんが、簡単に、総理も農林大臣も企画庁長官も、農家所得と言われておる。これは重大な変更ですよ。農業収入とあれだけ何年も言ってきて、昨年から急に農家所得に変わってきた。総理は、兼業農家を育成しますと。あとから農林大臣が補足して何とか弁解されておったけれども、自立経営農家をつくるために農業ではこういう計画を立てるということをいままで言われたわけですよ。それがいつの間にか、総理大臣の答弁すら、いまや兼業農家育成となっておる。そんなばかなことないですよ。速記録にちゃんと出ておる。やむを得ざる現実として兼業農家がございますので、ですから、兼業農家を私は切り捨てろというんじゃなくて、兼業農家もやむを得ないくらいに、農民の切り捨てでない限り、当然これは生かしていかなければならぬ。それはあたりまえだと思うのでありますが、それは重大な政策の変更なんですよ、政治から見るというと。  ですから、そういう矛盾が随所に起こってきておるわけでありますから、そういう矛盾も十分見た上で計画を進めていかないと、表面上の計画で数字はこうなっておるということだけではだめだ、ということを私は特に言いたい。ですから、ここで申し上げていくと非常に長く時間がかかるから、私はこれ以上申し上げません。そういう面についての十分な配慮を私は企画庁長官に要求いたしておきます。
  68. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) あえて反論を申し上げるわけじゃございませんが、中期経済計画には、過渡的な経過としてはどうしても兼業農家か相当ふえていくという過程をとり、また農家所得という形において格差の是正が行なわれていくという形をとるであろうという考えをいたしております。しこうして、自立農家を目標とするという点については、所得倍増計画の場合と中期経済計画の場合には、その目標自体に対しては全然変えておらないわけでございますが、ただいつまでにということは、こういう問題は、非常にむずかしい問題でございますので、なるべくすみやかにという表現で、期限はこれはもう中期経済計画においてはとっていないような次第でございます。  しかし、ただいま御指摘のような点は非常に重大な点でありまして、われわれといたしましても、常にこの点に非常な関心を払い、またそういう方向に絶えず努力をしていかなければならぬ問題だという意欲を持って当たっていることをお答え申し上げておきます。
  69. 羽生三七

    羽生三七君 長官、それは、なぜ私そういうことをくどく言うかというと、自立経営農家は十年計画という。その十年を中期経済計画ではずしちゃってあるでしょう。それはおかしいじゃないですか。ですから、それほど現実の事態が進行しておるときに、なおかついろいろなこれを合理化される理論を展開されると、私もまた理屈を言いたくなると、こういうわけなんですよ。ですから、もう十年内に達成できないならできないということをはっきり述べて、そしていま日本の動いておる農村の現実はこういうものだと、しかしかなり恒常的に兼業農家というような形がやむを得ざる形として残る、それに必要な施策は当面こういうことをしなければならぬ。——これならばわかる。ですから、十年計画、いつの間にか十年のワクを自立経営ではずしちまって、いろいろな合理化の理論をされていくので、私はあえて言うわけですが、よろしいです。あえて答弁は……。
  70. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) もう別に議論するわけじゃございませんが、中期経済計画をよくごらんくだされば、大体御趣旨のような方向で記述をしておると思いますので、その点申し上げておきます。
  71. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) 他に御発言はございませんか。——以上をもちまして、経済企画庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。     —————————————
  72. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) 昭和四十年席総予算防衛庁所管を議題といたします。  時間の都合上、説明はこれを省略して、お手元に配付してあります資料をごらん願うこととし、なお説明資料はこれを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑に入ります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  74. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) 速記をつけて。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡潔に四点伺います。  第一点は、F104戦闘機の減耗補充分三十機につきまして、この予算の編成過程で五十機復活要求したけれども、三十機しか認められなかったと言われましたが、この復活しました経緯、それと、どこの会社と契約しているか。それと、単価ですね、単価。一機幾らで、それで、この追加発注分と前に発注している分との違い、この点についてまず伺いたいのです。
  76. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) F104ジェット戦闘機の三十機追加生産をいま御審議を願っておるわけでございまするが、当初、昨年来五十機の追加生産が必要であるということでございましたけれども、今回三十機の追加生産に落ちついた経緯について申し上げますると、   〔主査退席、副主査着席〕 昨年までは、五十機追加生産をすることによって、第二次防衛力整備計画にございまする七飛行隊の維持ができるということでございましたが、その後F104の成績を見ますると、幸いにして減耗率が当初わがほうで考えたものよりも相当成績がよく、いわゆる事故等が非常に当初の計算で出たものよりも少なくなりまして、十分ではないにいたしましても、必ずしも五十機なくても、最低三十機程度の追加生産をすることによって七飛行隊の維持が可能である、減耗を補充することができる。もちろん今後におきましても、訓練その他に十分なくふうを要し、事故の減少等につきましても最善の努力を払っていけば、三十機程度で可能であるというような見解に立ちまして、大蔵省との折衝の結果、財政上の見地からも五十機というわけにはいかない、三十機の程度ならばということで、三十機生産に落ちついたような次第でございまして、私どもはこの三十機の追加生産をもって七飛行隊の減耗維持、これをりっぱになし遂げていきたい、かように考えておるわけであります。  そこで、契約の相手方が、主契約の相手方が三菱重工業株式会社でございまして、従契約者は川崎航空機株式会社ということになっております。  それから、次のお尋ねの単価の問題でございまするが、いわゆる第一次の104のジェット戦闘機百八十機の平均単価は約四億九百万円となっておりまして、今回追加生産をお願いをいたしておりまするこの三十機の平均単価は約五億八百万円ということになっておるわけでございます。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この第一次で予算要求をするときに、当然この減耗率というものを見込んで予算を要求しなかったのですか。あとになってその減耗を五十機要求したというのは、どうも私はおかしいと思うのです。当然これは減耗率を見込んで予算を要求すべきじゃないか。それで、新聞の伝えるところによると、第二次防衛計画にこれはなかった分だ、なかった分が追加要求してきておる、これが第一点と、それから、なぜ——これは三十機のほうは川崎航空ですか——川崎ですね、さっきお話しの。一億違うわけですね。一億単価が違うのですが、なぜこんなに単価が違うのか。この二点について御説明願います。
  78. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 政府委員でお願い申し上げます。
  79. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいま先生のお尋ねの第一点のほうの、当初から減耗を、補充を見込んでいなかったか、この点について私からお答え申し上げます。  この件は、第二次防衛力整備計画を立案いたします場合に、その前の国会におきまして、当然この五年間の間にある程度の減耗が出てくるのではないか、これの補充をどうして考えないのか、こういうことにつきまして、当時の赤城長官と御質問なされた方との間にいろいろやりとりがざいました。その際に、防衛庁といたしましては、この有人の要撃戦闘機というものとミサイルとの組み合わせをどうするかということについての今後の検討の結果を待って、四十年度に近い時期におきましてこれを決定するということを、実は当時の防衛庁の方針として申し上げておる次第でございます。そのときにおきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、減耗の見積もり等につきましても具体的な数字がございませんので、ともかく二次計画は一応二百機の生産ということで出発する、この二百機の生産が終わる時期に近いときにおきまして、ミサイルとの関係においてF104というものをさらに減耗補充分として生産させるということを検討する、まあこうことを検討する、まあこういうことに当時相なっております。したがいまして、二次計画はその考え方を受けまして、一応二百機の生産を予定したわけでございます。  しかし、その後、ミサイルとの関係におきまして、やはり要撃戦闘機というものの価値を検討いたしましたところ、やはり今後数年間インターセプター——要撃戦闘機というものは、ミサイルよりも別個のすぐれた価値を持つという判断になりましたので、減耗補充分の生産をお願いすることにしたわけでございます。先ほど大臣がお答えしましたように、昨年におきましては一応五十機ということを考えておりました。この際には一万時間当たりの減耗率を四・五であるとかあるいは三・五であるとか、この辺のところに実は一つの数値を考えておったのです。この率でまいりますと、どうしても五十機程度の補充をする必要がございます。しかし、幸いその後の実績を見ますというと、現在までF104は三機しか減耗いたしておりません。これは当時の数字で置きかえますと、八機減耗しておるはずのものです。そういうことから考えまして、今後四十六年度までを考えましても、大体三十機程度の補充をいたしますれば七飛行隊は維持ができる、こういう判断に基づきまして、ただいまは三十機の生産をお願いしておる、こういう実情でございます。
  80. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 一次生産の分の単価と二次生産の分の単価を比較いたしまして、二次のほうが相当上がっておるがどういうことだという御質問でございますが、確かに一次生産の百八十機平均の価格は四億九百万円、先ほど大臣のお答えしましたとおりでございますし、第二次が五億八百万ということになっておりますが、一次生産生産開始されましてからことしの三月完納されますまでに五カ年の日時を要しております。第二次生産は四十年度から計画に入るわけでございますが、第一次と第二次の間におきまして、ある部分につきましては値上がりをする部分と、ある部分につきましては値下がりをする部分と、二つあるわけでございます。値下がりの要素といたしましては、第一次で手当てをいたしましたつまり技術提携費、あるいは専用治工具製作費、あるいは製造準備というような費用等が値下がり要素として働くわけでございますが、これに対しまして、その後の材料、部品の値上がり及び加工費、加工賃等の値上がり等がございまして、これらを相殺いたしますと、結局ただいま申しましたような値上がりになるわけでございますが、さらに今度の第二次生産計画におきましては、第一次生産で国産化率の低かった電子機器というようなものにつきまして国産化率をさらに引き上げております。そういった点からの経費増というようなものを含めまして、先ほどの単価の差になったということでございます。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この日米の負担割合ですね、国産化率といいますか、それはいまどうなっておりますか。いままで第一次はどうなっていて、第二次はどういうふうに変化しておりますか。
  82. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 第一次二百機分の生産の場合の国産化率は、総平均で四三%でございます。それが今回の二次三十機生産におきましては——両方とも約でございますが、後者は約六〇%でございます。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ずいぶん大きな違いが出てきているんですね。ですから、アメリカの負担が今度四〇%になるんですね。そういうことになるんですね。二次では前は五七%……。
  84. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ただいま御質問になっておられますのは、分担率——経費の分担についての御質問かと思いますが、ただいま申し上げたのは生産区分と申しますか、国産化率——どちらでものをどれだけつくるかという生産の比率を申し上げたわけでございます。  金の問題で申しますと、第一次は七千五百万ドル、アメリカで経費分担をすることになっておるわけでございますが……。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一機についてですか。
  86. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 全部含みまして……。それが今度の追加生産については、米国負担の金額というものはございません。これは全部国内の予算で充当する、こういうことになっております。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは非常に私は重大な問題だと思いますのは、いまのお話で、国産化率が多くなったということ、アメリカの無償——分担金ですか、援助といいますか、それがなくなるということ、それから加工賃がふえてきておる、器材費がふえておると。そうしますと、航空機単価についてあとで伺いますが、かなり長期的な生産計画を立てておるわけですが、こういうふうに、当初予算よりずっと値上がりしてきますと、第二次防衛計画を立てたときよりも全体として予算が非常にふくれてくるのじゃないか。その見通しは一体どういうふうになっておるか。この一点から見てもそういうことが予想されるわけでして、第二次防衛計画、あれは全体でどのくらいの予算であって、それがそれでまかなえるのかどうか。これだけ見ても想像がつくわけですが、これはどうなんですか、非常に狂いが生じてくるのじゃないですか。
  88. 大村筆雄

    政府委員(大村筆雄君) お答え申し上げます。  第二次防衛力整備計画を策定いたしました際は、御承知のとおり、三十五年当時から作業を始めたわけでございます。その当時に作業いたしまして、三十六年に、三十七年からの第二次防衛力整備計画の下部決定を見ております。当時、下部決定の内容では、第二次防衛力整備計画を立てました一定の整備目標を達成いたしますために、総額におきまして一兆一千五百億円ないし一兆八百億円見込んでおるわけであります。ただ、実際問題といたしまして、毎年毎年の予算を編成いたします場合には、当該年度ごとの財政経済事情を勘案いたしまして、民生安定のための一般の施策その他との均衡を考慮して決定するということになっておりますので、必ずしも、一応の見込みは立っておりますが、決してそれがフィックスして考えるべきものではないというふうに思います。総額は御承知のとおり、当時一応所得倍増計画が進んでおったわけでございますから、所得倍増計画の資料等を勘案いたしまして、五カ年間における全体の国民生産の全額を想定しまして、それに三十三年度における防衛費の一定の率を勘案して定められた数字でございます。したがいまして、その中で第二次防衛力整備計画を立てました一定の整備目標の達成を意図してまいっておるわけでであります。一応そういうことで、その総ワクの中で私ども事務部内で一応の計画を想定して毎年度予算をお願いして実行いたしておるわけであります。  したがいまして、先ほど防衛局長から御答弁申し上げましたように、三十機の追加生産の経費というものは、第二次防衛力整備計画を策定いたしました当時は特に予定はいたしてございませんでしたが、ただ、そういう計画の作成の経緯内容でございますので、すでに三年、四年たつうちには当時予定したもので内容が若干食い違ってくるものも出てまいります。したがいまして、当時予定していなかったもので特に経理を要するもの、あるいは予定したもので無効になる、あるいは後年度に延びるものもございますので、一応当初の下部決定を見ました第二次防衛力整備計画を立てました、そういう経費の見積もりないしは予算策定の過程等に従って四十年度予算を編成されたものである、そういうふうに御了解をいただきたいと思います。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはあとで継続費の追加要求のときも御質問しますけれどもね、当初の第二次防衛計画の全体のワクですね、これはいままでの実績からではとうていこれではまかなえないのじゃないかということが非常に明らかになってきていると思うのです。すでに。それはいま内容の変化等もございますし、またいあるいはむだというものも、アメリカの打ち切りというものもあります。ですから、非常に大きな変化が来るのじゃないかと当然予想されるわけです。  そこで、具体的に伺いたいのですが、第二次はどうして川崎に変えたのですか。最初は三菱でしょう。
  90. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 第一次の生産のときは、御承知のように、主契約者は三菱重工、従契約者は川崎重工業ということで機体の契約をいたし、またその他エンジン、通信機というようなものをそれぞれ関係会社と契約をいたしたわけでございますが、第二次につきましては、実はまだ予算も御承認を得ておりませんので、契約ももちろんいたしておりませんし、最終的な決定ということにはなっておりませんが、ただ従来の経緯から見まして、生産のための治工具その他を保持している点からの経済性、あるいは技術の所有、それから製造能力というような点からいたしまして、第二次も大体第一次のものと同じような契約をする予定であるというふうに、そういう意味で先ほど長官お話をいたされたわけでございます。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ああ、そうですか。そうすると、第二次も三菱ですね。そうしますと、もう第一次のときは、設備とかなんとか相当投資が必要でしたね。しかし、そのときは単価が高くなるとかいうことは想像つきますよ。しかし、さっきお話しになった、加工賃も高くなった、部品も高くなった、それからアメリカの援助がないということもありますけれども、しかし、第一次は相当の設備投資が必要でしょう。第二次になれば、かなりやすくならなきゃならないはずだと思うのですよ。それを一億も違うというのは、それはできたら、どうしてそんなに違うか、もう少し詳しく原価計算的に資料でもぼくはほしいと思うのですよ。そうでないと、こんなに違いますと、これは今後またいろいろ計画を——非常にたくさんの予算を食うのでありますから、その事情をよく承っておかないと、何が一番の原因であるか——これはこれだけの問題じゃないのです。防衛計画全体に触れる問題になりますから、その点で伺っておきたい。
  92. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 先ほど実は申し上げたわけでございますが、第一次の生産があるので、たとえば投資したいろいろなものは、第二次としてはその投資の必要がなくなるのじゃないか、それからそういった意味でのコストの低下というものがあるのじゃないかという御意見でございますが、確かにその点はそのとおりでございまして、先ほども抽象的に申し上げましたのですが、治工具等の点につきましては、値下がり要素としてそういうものが働いているわけでございまして、そういった値下がりも差し引きまして、その他の値下がりと勘案いたしまして、結局F104の五億八百万という新しい価格になるわけであります。従来の値下がり要素も十分に考慮に入れての計算ということでございます。  そこで、具体的に、それでは一体値上がりのもの、どんなものが上がってくるのだということを申し上げたほうがよろしいかと思いますが、先ほど抽象的に申し上げましたものを具体的に取り上げますと、増加額のおもな増減理由を申し上げたいと思いますが、たとえば射撃管制装置、それから自動操縦装置でございますが、これにつきましては、実は第一次の生産の際は、本体に搭載をいたします分については輸入をいたしております。外国から入れております。そして、初度部品は国産にしておるという状況でございましたが、第二次に入りましては、これを全部初めから国産品とするというようなことで費用かかさんでおるわけでございます。で、この点を金額的に申し上げますと、この点からの増が約六千九百万ほどございます。それから、材料部品関係につきましても、第一次からの時間的な経過等及び輸入品の値上がりというようなことからいたしまして、約五千二百万程度の増加ということに相なっております。それから、加工費でございますが、これは第一次生産の終了いたしますときから第二次生産の開始までの間に、何と申しますか、時間的な空白と申しますか、ある期間が実際に生産され出てまいりますまでにかかりますので、その間だけは工員が完熟度と申しますか、そういった生産上の完熟度の戻りというようなものがございまして、これが工数増という形で出てまいります。それからまた、賃金等の原因もございますし、そういったもろもろの加工費関係の上昇というようなことから、これが約千五百万と増加をいたすわけでございます。まあその他、先ほどの初めに戻りますが、技術提携費、専用治工具製作費、製造準備費というようなもので値下がりをする分がございますが、これとの差し引きをいたしまして、先ほど申しました百八十機、平均のF104が五億八百万というようなことになるわけでごいます。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間がありませんから、これは今後の防衛費をわれわれ推定する場合の非常に重要な資料になると思いますから、差しつかえない程度で、その第一次と第二次のいまのお話をつづめたものを、比較して値下がりの分と値上がりの分と、詳細にひとつ資料として出していただきたい。いいですか。
  94. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 承知いたしました。
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、次に伺いますが、いまも国産化によりましてこの費用がふえてくるということを伺いましたが、アメリカのこの援助がだんだん打ち切られていきますが、それによって第二次防衛計画のときに予定したアメリカの援助はどのくらいであって、それがどのくらい打ち切られる予定であるかという、それをちょっと。
  96. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 二次防のときに当初予定をいたしました米国からの無償援助の額は、約八百九十億程度でございましたが、それがその後、計画の変動その他の要素を考慮に入れまして、最近の時点で勘案をいたしますと、六百三十億程度になるわけでございます。で、それをMAPの最終的な打ち切りのアメリカの態度がはっきりいたしまして、日本としては無償援助を受けられると予想され、あるいは大体決定をいたしました額が約三百億でございます。したがいまして、まあMAPアウトとして残りの三百三十億程度が受けられなくなったということでございます。
  97. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 すると、八百九十億から、受けられなくなった額は三百二十億ですか。すると、差し引きどれだけになるのですか。
  98. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 当初八百九十億そのままで考えますと、三百億がMAPを受けられるということになりましたので、五百九十億の減少ということになるわけでございます。
  99. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうなると、これは第二次防衛計画でそれだけ国産化しなきゃならぬということになりますね。国産化するか、あるいはそれだけ防衛計画ができなくなるか、そういうことになるのですけれども、この影響は非常に重大じゃないですか。これは結局、第二次防衛計画にそれが上積みになっていくわけですか。
  100. 國井眞

    政府委員(國井眞君) その前にちょっと御説明をしなければなりませんのは、八百九十億という一番初めの金額が六百三十億になったというのがどうしてかということであるわけでございます。このおもな理由でございますが、これにつきましては、私のほうで米国の分担率を高く予定をいたしておりましたもの、たとえばナイキ、ホーク等につきまして、米国の分担率が下がったというようなこと、それからバッジにつきましても、これはバッジ全体の建設費が、実はMAPの対象になる建設費が下がったわけでございますが、そういったこともあり、分担率が下がったというようなこと、それからものによって数量の減になっておるものもございます。そういったことから三百億のMAPを受けて、現時点においては、六百三十億との実質的には差額についてどうするかという問題で私ども考えておるわけでございます。  六百三十億と三百億との差額三百三十億でございますが、そのうちさしあたり私ども緊急に必要だと考えますものが約百六十億ございます。これにつきまして国内予算を必要とするわけでございますが、さしあたり四十年度にもその分の予算要求をいたしておるわけでございます。
  101. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 アメリカの無償援助が減少することによる日本の防御費の膨張というものは、もうすでに百六十億ということになっておりますけれども、これはかなりふえてくるんじゃないかと思われます。  そこで、次に、時間が制約されておりますから、伺いますが、継続費の追加要求が出ております。これによりますと、三十八年度の甲型警備艦建造費、それから三十八年度の甲II型警備艦建造費、それから三十九年度甲型警備艦建造費、それから三十九年度の甲II型警備艦建造費、いずれも追加要求が出ているんですね、この継続費について。その理由は、この船艦の「とう載装備品の一部について、アメリカ合衆国から供与される無償援助が期待できなくなった」となっておりますが、これはいつごろから期待できなくなったのか。三十八年度、九年度、みんな継続費の追加要求が出て、それも少ない額じゃないのですよ。たとえば昭和三十九年度の甲II型の警備艦建造費は二十一億も追加要求があるんですよ。この継続費については、これはこれだけにとどまらない。今後そういうふうにアメリカに期待しておった無償援助が打ち切られるたびに、こういう追加要求が出てくる。われわれは一応防衛費をこれだけ予定しておったのに、こういうふうに次から次へとふくらんでくる。これでは予算審議をしておっても何にもならない。われわれは防衛費と全体の民生費の関係をいろいろ検討しなければなりませんけれども、こんなにたくさん継続費に追加要求が出てくることは重大な問題ですよ。それで、「とう載装備品の一部について、アメリカ合衆国から供与される無償援助が期待できなくなった」というのですが、どういうものを期待しておったのか。私は今後もこういう問題がしょっちゅう起こるのではないかと思うのです。防衛計画というものは非常に不安定ですよ。これを具体的に説明していただきたいのです。
  102. 大村筆雄

    政府委員(大村筆雄君) ただいま装備局長から御説明申しましたように、当初六百三十億期待しておりましたのが三百億入りまして、三百三十億ほど打ち切られた。特にただいま既定計画艦の継続費の追加額を引用されましての御質問でございますが、たまたま、御承知のとおり、三十八年アメリカの国会におきまして対外援助法のチャーム修正案が提案されまして、その結果、経済先進国には今後無償軍事援助をやらないということになりまして、その後さらにそれのこまかい詰めを昨年ずっと引き続いて行ないまして、四十年数においてMAPアウトになりましたものについて、今後さしあたり緊急に手当てしなければならぬものが四十一年度までに約百六十億程度残っておりますので、そのうち四十年度所要額といたしまして、御質問の艦艇関係につきましては、継続費といたしまして三十四億一千七百万円の追加をお願いいたしております。その他陸上自衛隊の装備品につきましては、百ミリ自走榴弾砲約二億五千万円でございますが、大部分は艦艇の関係であり、そのほか航空機の関係でHS2という海で使うヘリコプターのエンジン等で約八億五千万円でございます。そういう関係で、総額におきまして、四十年度予算におきまして約八十三億ほどこのための経費の御審議をお願いいたしておる次第でございます。
  103. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それを資料として出していただきたいのです。アメリカが先進国にいままで無償援助していたものを打ち切る、それによって具体的に日本の防衛計画はどう影響されるのか。四十一年度まではわかりました。四十一年度までは百六十億ということがさっきのお話のときに出てきた。それで、それが四十一年度以後については、第二次防衛計画にどういう影響が出てくると予想されるか、それを資料として出していただきたい。出せますか。これは今後の予算案の審議をする場合に重要ですからね。  それから、もう一つ、その装備品の一部についてどういうものが期待できなくなったかを、具体的に説明してください。
  104. 大村筆雄

    政府委員(大村筆雄君) 資料の提出につきまして、なるべくすみやかに提出いたします。
  105. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、装備品の一部に具体的にどういうものがあるか。
  106. 國井眞

    政府委員(國井眞君) おもな例を申し上げたいと思いますが、たとえば艦艇に積みますアスロック射撃式装置というようなもの、それから、これは年度の間によって違いますが、DASHあるいは五インチ速射砲というようなものが、この継続費で要求している内容の中に含まれております。
  107. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで、それは日本で国産化できるのですか。できないとすれば、この装備には欠陥がでてくるわけですよね。そういう点はどうなんですか。
  108. 國井眞

    政府委員(國井眞君) これが全部国産化できるかと申されますと、全部できるとは申し上げられないわけでございます。それで、MAPアウトになりまして、私ども国内予算に切りかえた分のうち、大体向こうから入れますものは、少なくとも半分、金額として半分くらいは向こうから入れなければならないというふうに考えておるわけであります。
  109. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは有償に変わるわけですね。
  110. 國井眞

    政府委員(國井眞君) さようでございます。
  111. 岩間正男

    岩間正男君 ちょっと関連してお聞きしたいのですが、無償援助を受けるとき、これは最初にどういう約束をするのですか。単に期待しているということなんですけれども、ここのところ話し合いがどういうふうになっているのか。あるいは文書かなんかで契約するのですか。いまの話を聞いておりますと、みなくずれてしまっている。一方的にこちらだけ期待しているというようなやり方で、その上に立って防衛計画を立てていると、こういうことになっているわけですね。これじゃ非常に、さっき話があったように不安定なことなんですけれども、そういう手続上の問題はいままでどういうふうにやられているか。最初に八百九十億というのを期待した、こういうときには向こうとどれだけの話し合いができたのか、そうしてそれはいつですか、この経過について簡単にひとつ。
  112. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 計画として立てますときには、私ども最終的にアメリカ側と別に約束をとって、向こうがよこす、こちらがもらうという形できちっとしたものできめておるわけではございません。それで、個々のものにつきまして米側と相談いたしまして、毎年MAPを幾ら幾らどういうものについてということを取りきめていくという形をとっておるわけです。
  113. 岩間正男

    岩間正男君 最初の期待ということはどういうことですか、いままでの実績に立つのですか。こっち側の一方的な期待だけでやっているようなんですが、これではとても計画が立たぬじゃないですか。どういうわけですか。
  114. 國井眞

    政府委員(國井眞君) これは当時の状況からいたしまして、このくらいは期待が受けられるのであろうということで考えておったわけであります。先ほど経理局長から話がございましたように、アメリカ側がドル防衛ということで非常に強い態度をとりまして、MAP打ち切りというような事態は当時は予想されなかったわけでございますが、そういったことで大体このくらいは期待できるであろうというようなことで考えておったわけであります。
  115. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは非常に重大問題ですね。アメリカから無償援助を期待しておったのが、このように期待できなくなった、国産化しなければならぬ、国産化できるものについては。しかし、予算が非常に今度は大きくなります。国産化できないものについては今度は有償援助でしょう。またそれもふえるでしょう。また、国産化できない、どうしてもできなければ、これは装備の欠陥になりますよ。日本の防衛計画は根本的にこれは欠陥を生ずることになる。三矢研究もさりながら、足もとにおいてこういうような重大な問題が起こっているのです。ですから、ここで根本的に第二次防衛計画は再改定しなければ、いままでわれわれに出していたのと内容がまるきり違ってくるわけですよ。  ですから、これは長官に伺います。第二次防衛計画、さっき大ワクで、これは多少弾力性があるのでしょう、一兆一千五百億から一兆一千八百億。これはどうしたって金額においても内容においても、これは再検討しなければ、再改定しなければ、いままでどおりわれわれにこれを出してきて、これに基づいて予算審議するといったって、われわれはやはり予算は長期計画の展望に基づいて予算審議するわけですから、これではとても予算審議の基礎にならないと思います。この改定をして、それを示される必要があると思います。
  116. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) いままでのところでは、先ほど経理局長が申しましたような、大体の大ワクがございますので、そのワク内で何とか操作ができやしないかということで進めておるわけでございます。第二次防衛整備計画の最終年度、四十一年度になりますれば、人件費その他の増加もございますし、多少このワクを越すのではないかということは予想されるのでございますけれども、そういう点については予算の面に手当てをしていただいて、計画どおりの実施をいたしたいと、こう考えて、いまのところは進めておるようなわけでございます。
  117. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんなことで私は承服できませんよ。  もう一言私は伺いたいと思ったのですが、こういうアメリカの無償援助を打ち切られることによる防衛費の増加、それから無償援助が有償援助に切りかわるための増加と、もう一つ物価値上がりをどういうふうに織り込むかですよ。それでさっきから加工賃の値上がりというか、これは継続費ですからね、長期にわたるのですよ。ですから、その間の物価値上がりを継続費にどういうふうに織込むか。おそらくこれは寄せ寄せにしておいて、最終年度のこの年次割り当てまでいって、これは大ワクはこれである程度ならまかなっていけますよ。しかし、最終年度においては足りなくなりますよ、どうしたって。ですから、それをはっきりさせないでわれわれに予算審議させることは、国民をごまかすわけですよ。やっぱり防衛費はこういう理由によってふえていくのだ、だから国民所得に対して何%、予算に対して何%、大体そういうめどでわれわれは予算審議しているのですよ。防衛費だけの問題ではないのですよ。防衛費のいかんによっては、いろいろな公共事業費なり、あるいは社会保障費なり、教育費なり、みんな予算に響いてくるのですよ。そういう観点で、総合的にわれわれ審議していく場合に、非常に大きなウエートを占めるこの防衛費、これは戦前や諸外国に比べればウエートは小さいけけれども、しかし、日本予算としては、他にやらなければならないことはたくさんあるのですから、相対的にいってこれは大きい額と見なければなりません。これが今後どうしたって必然的に増が予想されるのですから、率直に防衛庁長官はここで、第二次防衛計画は再検討する、予算面でですよ。そうしなければ、われわれに非常に無責任ですよ、こういうことが明らかになった以上は。  そこで、もう一つ、具体的に物価値上がりをどういうふうに調整するのか、物価値上がりを。初めの予算を出してきて、継続費で物価値上がりをどういうふうに調整するのか、具体的にどういうふうに調整するのですか。
  118. 大村筆雄

    政府委員(大村筆雄君) 多少事務的でもございますので、私から御説明申し上げます。  防衛費の総ワクの見方につきましては、先ほども説明申し上げましたように、二次防策定の際に、当時見込まれました三十七年度から四十一年度まで五カ年間の国民生産を想定いたしまして、それに対して三十三年当時の防御費の比率をもとにして一兆一千五百億ないし一兆一千八百億を一応見込んでいるわけでございます。ただ、当時の一応の想定される国民生産でございますから、その後国民経済高度成長その他もございまして、ベースアップ等もございまするし、あるいは物価値上がり等もございますから、そういう意味では一兆一千五百億ないし一兆一千八百億という当時見込まれた総額というものは、四十一年度の最終的に予算の編成を見まして総額が確定した際には、ある程度それは変動されてくるということは考えておるところでございます。この間最も大きいのは、御承知のとおりベースアップでございます。ベースアップが、計画を策定した直後の三十五年の補正からすでにベースアップが行なわれております。その後、毎年行なわれておりますから、そういう意味で人件費は相当違ってくるということは言えるかと思います。ただ、物価の点につきましては、これは私どもが調達いたします装備備品というものは、大体卸売り価格で調達されるものでございますから、御承知のとおり卸し価格の変動は、小売り物価に比べましてわずかでございますが、そういう意味ではそれほど大きな影響を、まあ一般的に言ってそれほど大きな影響を与えていないのではないか。たとえばF104についても、これは当初二百機の生産を始めたわけですが、これは五カ年間でやったわけです。当初予算六百九十八億の中でこれも達成をしておる。これはもちろん大部分の資材の手当てを当初やったという関係もございますが、その間の物価の大きな変動は影響を受けなかったその結果でもあろうかと思いますが、そういう意味では、そう大きな影響はないんじゃないか。ただ、ものによってはあるものもございますが、一がいに言えませんですけれども、特にそういう意味で総額に大きい影響を与えておりますものは、いまのところ人件費のベースアップであると、そういうことが言えるかと思います。
  119. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだたくさん質問したいのですが、時間がありませんから、次に、国庫債務負担行為についてお伺いします。  四十年度の国庫債務負担行為、防衛庁で五百八十七億あるのですね。年々この国庫債務負担行為は、ふえてくるのじゃないですか。こういう形で、なぜ継続費にこれをはっきり切りかえないか。国庫債務負担行為は、前に財政法の改正がありまして、三年から五年に延長されましたよ。そうすると、継続費と同じ年限です。どうも私は、継続費という形にいかないで、国庫債務負担行為という形でまかなう。それが次年度にずっと影響してくるのですよ。そうすると、国庫債務負担行為でやると、われわれがそれだけ予算の——これは事務的経費、既定経費でありませんけれども、しかし、契約すれば支払わざるを得ないでしょう。どうしても事務的経費になりますよ。そうしたら次年度にどうしたってそれを計上しなければならない。そうすると、どうしてもこれがふえてくると、これはわれわれの予算審議範囲がそれだけ狭くなってくるわけです。そこで優先的にとられてしまうでしょう。ですからそれを、国庫債務負担行為というものは、もっと安易にできそうに思うのですが、こんなにだんだん毎年ふえていくことになりますと、そうして全体の国庫債務負担行為の一番大きい部分は防衛庁ですよ。それから継続費は防衛庁以外にないのですよ。全部防衛庁です。継続費は。だから、継続費予算と国庫債務負担行為でこんなに大きい額を防衛庁で占めてしまうと、これは残りでほかのものをまかなうということになると、それに非常に制約を受ける。この国庫債務負担行為について、どうしてこれは継続費でやらないのか。そうして今後これはどんどんふえてくると思うのですが、私はこういう安易なやり方について疑問を持つのです。これについてどうですか。また、今後の見通しも……。
  120. 大村筆雄

    政府委員(大村筆雄君) 予算編成技術的な問題でございますので、私から御説明させていただきたいと思います。  なぜ継続費にしないで、国庫債務負担行為でやるのかという御質問でございますが、これは先生御承知のとおり、国庫債務負担行為につきましては、従来は継続費の制度がございませんので、当初は財政補助は国庫債務負担行為しか戦後は認められていなかったのでございます。と申しますのは、戦前の継続費がむやみにふえまして、そのために財政が非常に硬直化したというにがい経験があったからでございますが、その後やはり艦船建造等によっては、やはり継続費がいいのじゃないかという点で継続費の制度を戦後において認められました。これも防衛庁の艦船建造にしか認められておりません。しかも三年以上長期にわたるものにしか認められておりません。したがいまして、それ以外のものは各省予算を通じまして全部国庫債務負担行為で処理される。また私どもの航空機にいたしましても、その他の戦車その他の器材にいたしましても、継続費のように分割契約というわけにいきませんですから、どうしても初年度に一括契約するという必要があるという点で、国庫債務負担行為でやっているわけでありますが、ただ御承知のとおり、私どものほうは相当長期の調達期間を要する、あるいは技術的開発というような相当長期の期間を要するというものがございますので、一応国庫債務負担行為で三年なり四年の契約でお願いしているものが相当あるわけでございますが、ただ、こういう国庫債務負担行為にいたしましても、継続費にいたしましても、こういう制度になれるのは、あまりにこういうものが年々膨脹いたしますと、どうしても財政の硬直になりますので、そういう意味合いにおきましては、極力最小限必要なものに計上したい、そういう所存で私ども予算の策定に当たっている次第でございます。
  121. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 われわれ継続費を財政法で認めるとき、これは結局防御費のほうにこれが適用されるのじゃないかというので、ずいぶん議論があったのですよ。そのとき池田さんは、あのころ大蔵大臣でしたか、そういうほうには決して使わぬ、戦艦大和みたいに二百億も三百億もかかるわけだから、そんな防衛費には使いっこないと言っておったが、継続費は全部防衛庁ですよ、そのほかに一つもないですよ。そういう点で今後の財政の健全化を考える場合、継続費それから国庫債務負担行為、これがどんどんふえていくと、これは非常に不健全になるのじゃないかと思いますが、これは議論になりますから……。  最後に一点、アメリカとの地位協定によりまして、米軍機が事故を起こした。日本国民に損害を与えた場合ですね。前に町田市に起こったような場合、これはアメリカと日本との補償の負担割合はどうなっておりますか。
  122. 沼尻元一

    政府委員(沼尻元一君) 地位協定の十八条によりまして、公務上の損害の場合には、米側が七五%、日本側が二五%持つということに相なっております。
  123. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうして日本側が二五%まで負担しなければならないのですか。
  124. 沼尻元一

    政府委員(沼尻元一君) これは外務省で答える所管かと存じますが、私たちの聞いている範囲では、この協定を締結する際に、北大西洋諸国に米軍が駐留しているわけでありますが、北大西洋条約の締結の関係国と同じ方式によってきめられたというふうに聞いております。
  125. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 日本は自主性を持っていかなければならないわけでして、北大西洋条約の……。それなら安保条約の中で北大西洋条約よりももっと不利な面があるわけですね。不利な面については承知しないで、そうしてそういう何というか国民に不利な面は、それをまねしている。どう考えても、アメリカ軍の飛行機が落っこって、町田市民の生命、財産に損害を与えた。そうして日本国民自身が税金で二五%負担しなければならないということは、それは北大西洋条約か何であろうが、おかしいじゃないですか。これは防衛庁長官、折衝したことございますか。これはおかしいと思うのですよ。アメリカ軍の責任において……、事故によって、そうして日本国民に負担を与えた場合は、当然アメリカ軍が補償する。日本国民が二五%税金で負担するというのは、どう考えてもおかしい。これは私は直すように交渉すべきじゃないか。こんな不見識な自主性のないことはないと思う。長官、いかがですか。これは長官に聞きます。大きな問題ですから。何か機会があったら、これはどうしても直してもらう必要があると思う。
  126. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) この負担率の問題については、いままで防衛庁として交渉したことはないそうでございます。私の代になりましてからも交渉はいたしておりません。いま木村委員の申されることは、私どもも十分一理があると思われますが、また、外務省当局等の御意見も承りまして、何らか検討しなければならないのではないかと、私も考えさせられるものがございます。
  127. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これで終わりますが、とにかくいままで防衛費の予算について質問いたしましたが、今後日本の財政にとってかなり大きな変化が出てきているわけです。防衛費についてですね。したがってこれについては第二次防衛計画について検討されまして、そうしてある程度それを改訂をしなければ、今後予算審議にとって非常に困るわけですよ、全然見当もつかない。また、装備自体についても非常に欠陥が出てくる。だからアメリカの援助打ち切りによる影響等につきましては、さっき私が資料を要求しましたが、差しつかえない範囲でなるべく具体的にわれわれの今後の予算審議に、それは本年度だけではありませんから、予算はかなり長期的に見なければなりません。防衛計画も長期計画でございます。それに見合った形で財政を検討しなければなりませんから。それと最後に、防衛庁長官が、地位協定によって、アメリカ軍が日本国民に損害を与えた場合、日本国民が損害の一部を負担するというのは、どう常識で考えてもおかしいですから、これはアメリカ側と交渉されて、そうしてこういう不利な条件は是正するように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  128. 北村暢

    ○副主査北村暢君) 午後は引き続いて防衛庁所管について、審査を行なうことといたします。午後二時まで休憩いたします。   午後一時三十分休憩      —————・—————   午後二時六分開会
  129. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) 休憩前に引き続いて分科会を再開いたします。  この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  木村禧八郎君が委員を辞任され、その補欠として伊藤顕道君が選任されました。     —————————————
  130. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) 昭和四十年度総予算中、防衛庁所管を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  131. 羽生三七

    羽生三七君 私の質問は、この分科会でお伺いすることが適当かどうかいささか疑問に思うわけで、むしろ総括質問の際あるいは一般質問の際に伺ったほうがいい性質のものでありますが、今度の予算委員会で、この種の問題に触れた方がありませんので、疑問に思っている数点についてお尋ねをいたします。  最初にお尋ねいたしたいことは、国会でも前にはずいぶん論議をされましたが、最近この問題があまり取り上げられておらないので、お伺いするわけですが、この日本の自衛権の、憲法上許される限界というものは一体どこにあるのか、この問題であります。ですから、特殊な憲法を持っているのですから、自衛権にもおのずから限界があると思います。それで、私は自術権がないという、そういう議論じゃないのです。自衛権か独立国家である限り当然許されておることは、これは言うまでもないことで、そういう上に立ってお尋ねすることでありますが、日本の現行憲法上許されておる自衛権の範囲というものは一体どこにあるのか、それをどういうふうにお考えになっておるか、まずこの点からひとつお伺いをいたします。
  132. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 自衛権の問題については、従来しばしば申しておりまするとおり、当然われわれは国の安全のための自衛権があるという観点に立っておるわけでございますが、その限度の問題は、これは非常に国際情勢その他、いろいろ具体的に一言にして断言することはなかなかむずかしいとは存じまするけれども、いままでの、従来考えてまいりました考え方からいたしますれば、直接侵略ないし間接侵略に対して通常兵器によるところの局地戦的な防衛をするというようなところをば、われわれは、われわれ自衛隊の任務として考え、また、そういうようなことを防衛の何と申しますか、範囲と申したらいいですか、いま羽生委員から申されました限度と申しますか、そういうふうに解釈をいたしておるようなわけであります。
  133. 羽生三七

    羽生三七君 たとえばですね。いまお話のあった間接侵略というような場合、そんなことはめったに起こることではないと思いますが、かりにそういう場合を対象にしてもいまの自衛隊でこれを制圧するに不可能だとお考えになっているのですか。
  134. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 自衛隊のいまの考え方におきましては、大体局地戦的な通常兵器による防衛は可能であると、これがまた非常な大きなものになってまいりますると、これはアメリカとの共同防衛体制によって、これに依存しておる面もたくさんあるわけでございまするが、大体においては、通常兵器による局地戦的なことはわが自衛隊の防衛である、また、その程度のことは、現在の防衛力において可能であるというような考え方を持っておるわけでございます。
  135. 羽生三七

    羽生三七君 非常にその点明白になってきたのですが、私の言うのは、これは大規模な世界戦争に発展したような場合を言っているわけではないのです。いまお話しのような間接侵略の場合、あるいは局地戦的な性格の何らかの紛争が起こった場合、それを制圧し得るに足る程度の力は、いまの自衛隊で持っている、こう理解してよろしゅうございますか。
  136. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) さようでございます。
  137. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、このあと、さらに第二次防衛計画も終わったあとは、第三次防衛計画も立てられると思う。その第三次が、第四次になるかそれは知りませんけれども一体どこまでいけばこの自衛隊の拡大というものはとどまるのか、それは日本のいまの憲法の制約とは矛盾しないのかどうか、当面の条件の中でもすでに一応の目的は達しているというお話しがあったので、それなら一体どこまで日本の自衛隊が拡大されていくのか、そういう問題にぶち当たると思うのです。いかがでしょうか。
  138. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 第三次防衛力の整備計画並びにまたその先の問題にも関連を持つわけでございまするが、とりあえずのところといたしましては、御承知のように四十一年度で第二次防衛力整備計画が一応のめどがつきますので、終了いたしますので、これをもって私どもは満足をいたしておるものでございませんし、第三次防衛力整備計画というものは当然計画を立てて防衛力の漸増をはかっていかなければならないという考え方に立っておりますので、今年になりましてから第三次防衛力の整備計画についての大綱を検討するよう指示をいたしたわけでございまして大体のあらましの骨組だけでもこの六月くらいまでにひとつ立ててみたらどうかというような内容の指示をいたしておるわけでございまするが、そういう研究の結果、どういう計画とかあるいは要望とか、また見通しとかというようなものが、そこに現われてくるわけでございまして、今日のところでは、まあ第三次防衛力整備計画は立てて、これをやっていきたいということは考えておりまするが、その先のことまでにはいまの段階では的確なお答えをすることはできないのでございます。
  139. 羽生三七

    羽生三七君 そういうお尋ねをしておるのじゃないのです。もう現行憲法で許されている範囲の自衛力というものが、間接侵略なり、あるいは局地戦的なものに対応する力、これである。ところが、それはほぼ充足されておるわけですね、いまの自衛隊で。それをさらに拡大していくということは憲法上許されるのかどうか、その限界、最初の、当初の限界からもうかなり出ておるわけですね。いまはそうであっても、将来どんな大規模な戦争が起こるかわからぬから、その場合、日本の力で足りないところは安保条約で、さっき大臣お話しがあったが、それは私、あとからお尋ねいたします。だから日本の現行の自衛隊だけで考えた場合に、現行憲法上許される範囲内の自衛力の限界はどこにあるか、それを申し上げておるわけです。
  140. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 現在の情勢においては、私は局地戦的な通常兵器による防衛力はどうにかわれわれとして可能であると申し上げましたが、それも最小限度の可能だというような意味でございまして、いわゆる完全に十分であるというふうには考えていないのでございます。まあ国際情勢あるいは兵器の進歩発達等にかんがみましては、いま言うような第三次防衛力整備計画を立てて、さらにこれを増強する必要があると、かように考えておるわけでございます。
  141. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、限界というものはないんじゃないでしょうか。つまり相手が強い武器を持てばそれに対応する自衛力をこちらもつくらなければならぬ、こういう議論に立てば、もう限界というものはない、そういう議論になると思うのですが、いかがでしょうか。どこに限界があるのですか。
  142. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 限界がないではないかという仰せでございまするが……。
  143. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと途中ですが、いいとか悪いという議論ではないのです。私は純然たる客観的事実をお尋ねしておるのです。
  144. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) そういう限界があるということは、先ほど申し上げますとおり断定しがたい、といって限界なくわれわれは増強していこうという考え方を持つわけではございませんで、もちろんわが自衛隊の成り立ち、わが国国防の基本というものが御承知のような侵略を絶対としない、あくまでも防衛と、こういうことでございまするので、私は、そういうところにおのずから限界というものがおかれてくるのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  145. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、そういう意味の侵略はしないと、純然たる防衛的な性格と、その場合に、そういう意味での自衛隊の将来というものを見た場合に、これは大臣でなくてもよろしいのでございますが、おおよその限界のめどというものはどこにおくのか、兵員なのか、あるいは質的な問題、機数とか、あるいは艦隊のトン数とか、何かそういうことを指しておるのか。大体おおよそのめど、この程度のものができれば大体日本としてはこれ以上は拡大する必要はないという、いい悪いの議論でなしに、そういうめどはどこに、その限界つまりほぼ常識的な限界というものがあるとするならば、それは一体どの辺か。
  146. 海原治

    政府委員(海原治君) 将来の自衛隊の拡大と申しますか、増強に関連しまして、限界をどこにおくかということでございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、周囲の条件というものが当然ございます。相手方というものもあるわけでございまして、その意味では、先生のおっしゃいましたような相対的なものであるということも一応言えると思います。しかし、さらには大臣が申されましたように、わが国は他国に侵略的な脅威を与えないという憲法上の一つの制約と申しますか、国是があります。この辺からくる限界もあるわけです。さらには具体的に兵力、兵員、艦艇、航空機等の数が、どの程度までいけば一体これが憲法との関係においていわゆる戦力になるかならぬかという問題がございます。第四には、財政上に占める地位がどの程度までならよかろうと、この辺のことがいろいろ総合されて判断されてくる。ただ具体的に私ども検討するときは、特に他国に侵略的な脅威を与えないということになるとしますると、たとえば爆撃機というものは持ち得ない、あるいは強大な隣国が核弾頭をつけましたロケットを将来持った場合に、わがほうがいわゆるそれに対応するようなロケットが持てるかということになりますと、そういうものは従来の解釈でこれは持てない。そこにおのずからの限界がある。そういうワク内で、先ほど大臣が申されましたように、一応防御的な使命を果たし得る数的な見積もりはどうかということになりますと、これは実はいろいろと意見が分かれてくるわけであります。したがいまして、私ども過去において何回かこういうものを研究いたしましたが、たとえば一案によりますというと、陸であれば十五個師団程度のものがほしい。海であれば二十二万トン程度の艦艇が必要じゃないか。空であれば航空機約四十隊程度のものがあればどうか、こういう一つの案も出てくるわけであります。しかし、それでいいのかどうか、そこまでいかなければならぬのかということになってまいりますと、先ほど申しましたような周囲の条件等もおのずから関係してくる。特にわが国の場合には、日米安保体制というものが大きく影響してまいります。安保体制というものの前提をとりました場合においては、先ほど大臣申されました第三次防衛力整備計画におきましては、大幅な数的な増加ということは私はないのではないか。むしろ現在持っておりますところの装備の改善、すなわち質的な面の充実という方向にいくのではないか、こう考えるわけであります。たとえば陸上自衛隊に例をとってみますと、現在十三個師団あります。この装備はほとんどアメリカの供与によるもの、これは第二次防衛力整備計画の期間中においてはこの装備の改善はしないことになっております。したがいまして、陸上自衛隊につきましては、第三次防衛力整備計画におきまして、現在持っておりますところの大砲とか、戦車とか、あるいは自走砲とか、こういうものの装備改善というところに一つ意味がある、こういうことであります。航空自衛隊につきましても、現在建設をしておりますところのバッジの建設関係の完了、F104七スコードロンを完全に動かせるような状態、あるいはレーダーサイトの機材を新しいものにかえていく、こういうことになろうかと思います。海上自衛隊につきましては、艦艇の建造と相待ちまして、港湾防備、あるいは海峡の監視能力の向上、こういうことになりますと、大幅な拡張ということはございません。先ほど申しましたような装備の改善ということに相なるかと思います。その限りにおきましては、先ほど申されました際限がないような防衛力の整備ということには相ならない。こういうところがただいまの時点におきます私のほうで申し上げられるところでございます。
  147. 羽生三七

    羽生三七君 くどいようですが、前提条件を私は置いておきますから、いい、悪いということは別です。そうすると、自衛隊自身としては、ある一定限度がくれば、おのずからこれが現行憲法上許される一応の限界だということは、総理大臣が国防会議の議長として判断するとかということとは別に、自衛隊自身としての一応の限界というものは考えておるわけですか。
  148. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) さようでございます。
  149. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、この間一般質問で、どなたかの質問の際に、日本とアジア諸国との戦力の比較がありましたが、こまかい艦艇が幾らとか、人員が幾らとかいうことは要りませんが、大体アジア諸国と比べて日本の自衛隊がどの程度の力を持っておるのか。中国なんか別にしますが、どの程度ですか、一般的に言って。
  150. 海原治

    政府委員(海原治君) どの程度の力かということは、これは……。
  151. 羽生三七

    羽生三七君 これは質的な面があるから、むずかしいでしょう。
  152. 海原治

    政府委員(海原治君) むずかしいところでございますが、たとえばお隣の韓国には第一軍、第二軍合わせて二十八個師団、兵員は五十万おるということになりますと、わが自衛隊十七万の倍以上、さらに台湾には四十万陸軍があるということになりますと、それだけでも向こうのほうが上である。さらに装備等を比べますと、韓国の師団というものは日本の自衛隊の師団よりはやや劣るものであります。しかし、航空機についてみますと、わが航空自衛隊にはF104七スコードロンを中心にいたしました約一千機がございます。この力から申しますと、日本のほうが台湾、韓国より上でありまして、さらに艦艇になりますと十四万トン前後のものではございますけれども、その内容になりますと、日本のほうが上である。しかし、現実にこれが動きます場合の弾薬その他の備蓄ということになりますと、日本のほうがまだ備蓄の量は少ない。そういうことを総合的に判断いたしまして、戦う力としてどの程度にランクされるかということは、これは申し上げにくいことでございますので、ひとつその点御了解願います。
  153. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、自衛隊の現状の力をもってしても、なおかつアメリカ軍の駐留を必要とするかどうか、この問題。
  154. 海原治

    政府委員(海原治君) この問題は基本的なことに関係いたしますが、私ども判断といたしましては、国防というのは結局安全感の問題であると思います。従来しばしば国会委員会等においても御指摘がございましたが、私どもは万一の場合の脅威に備えて、この国が安全でありたいという問題に取り組んでいるのであります。どの程度のものがあれば安全かということは、先ほど申し上げました周囲の条件によって変わるわけであります。そういうふうなことになりますと、私ども判断としては、現在の自衛隊の力だけでは日本の安全というものは保ち得ない、こういうふうな判断でございます。すなわち周囲の情勢というものが基本的な変化を起こさない限り、私どもにとりまして、米軍の日本駐留というものは、日本の安全感というものをささえるためには絶対の要件ではないかというふうに考えております。
  155. 羽生三七

    羽生三七君 一応いまの自衛隊の程度の力で、憲法上許される、局地戦あるいは間接侵略に対応できるそういう力をほぼ備えた、その上にプラスして、いま安全感という問題を出されたのですが、そこで、その安全感に関連をして、これはあとから大臣に、この防御におけるいわゆる外交の地位という問題もあるからお尋ねいたしますが、それはそれとして、いまの自衛隊がこの程度の力で米軍の駐留を必要とするかしないかという問題は、全く安全感だけの立場ですね、実力としてはもうすでにほぼ当初の目的を達しているのが、国際的な安全感という意味でアメリカ軍駐留を必要とするということですか。
  156. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) それはやはり現状における米軍の日本駐留ということも含めて、自衛隊の現在の防衛力をもってして私はほぼ最小限度の安全が可能であるということを申し上げたのでございまして、米軍の駐留というものを除いて、自衛隊だけの力ではまだとうてい安全であるということは申し上げかねるわけでございます。なおまた米軍の駐留ということは、そういうこと以外に、侵略の抑止力といいますか、そういう他国の侵略をば押えるというような面に大きな効果もあるのであります。やはり現状においては安保体制と米軍の日本駐留とわが自衛隊の力、これをプラスして考えての私どもの見解を申し上げたわけであります。
  157. 羽生三七

    羽生三七君 日米の安保条約との関係ですが、先ほど大臣ちょっとお触れになりましたが、安保条約には、前文においてこう書いてあります。日本国は武装を解除されているので、平和条約の効力発生のときにおいて、固有の自衛権を行使する有効な手段を持たない。こうなって、その次に、その後段のほうにおいて、これらの権利の行使として、日本国はその防衛のための暫定措置として、日本国に対する武力攻撃を阻止するため、日本国及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する。ですからここでも明らかなように、これは全く暫定処置として、条約の前文で明らかにこれをうたっておるわけですね。でありますから、そうすると、この暫定処置というからには、この一応のめどというものがあるはずだと思う。ですから、先ほど来のお話を承るというと、大規模な国際紛争が起きれば別として、そうでない限りは、一応の目的は現在の自衛隊で充足されておると、こういうふうにおっしゃった。でありますから、そういう意味において、もう暫定の期間というものは限界にきておるんじゃないですか。先ほど憲法の解釈と同じように、これも暫定でなしに、ほとんど恒久的みたいになっていってしまう。それはもちろん条件がありますよ。日本の周辺における国際情勢が安定してきた。何も心配ないというような、いわゆる国際的要因もこれはあるにはあるけれども、それにしても、そういうことをもし議論をしておれば、これはいつまでたったってこの条約は恒久化されていくし、それから先ほどの自衛隊の増強というものももう際限のないところにいってしまう。そういう意味から言ってですね、やはりこの一応の限界というものが、この面でもアメリカ軍の駐留というものに一応の限界があるんではないか。けしからぬ、アメリカ帰れとか、何とかという、そういう議論ではないのです。私のは。ただ事実はそのとおりでしょうが。客観的に見ても、もうそういう限界にほぼきているのじゃないか。もし、それ以上の大規模な戦闘が起こるというような条件が出てくるという場合になると、それは事前協議の場合に日本がどういう態度をとるかとか、あるいは外交上の手段とかいろいろ出てきますが、そういうことは全部別にして、この面でも独立国家として戦後二十年、なおかつ、まだ米軍の駐留を求めなければやっていけないというような、そういう現状でしょう。
  158. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) いま御指摘になりました暫定という問題でございますが、安保条約が十年の期限でやっておりますので、私どもは、この安保条約の期限の十年間というものは、一応暫定という意味の中に入るんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  159. 羽生三七

    羽生三七君 その期限がきて、継続するかしないかは別として、そこらが一応めどで、まじめに検討してみる気持ちは防衛庁にありませんか。
  160. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 現状におきましては、十年間の安保条約の期現を一応暫定とは考えておりますものの、この十年の期限がきたら、ここで日本か独自で防衛をするとかというようなことは考えておりませんで、やはりある程度この安保条約の持続、いまの安保条約による日米共同防衛体制の持続を、防衛庁当局といたしましては希望しておるというのが実情でございます。
  161. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、結局国際情勢に依存をしておって、それに関する限りは、もう日本には、当面見通し得る近い将来には、日本独自の防衛ということにはウエートがなくて、むしろ米軍に依存するというほうにウエートがかかっておると、しかもこれは、かなり長期にわたってそういう立場を政府はおとりになっていると、こう見ていいのですか。
  162. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) これもいつまでというわけには申せませんが、近い、ここ当分は、やはりいまの世界の現状からいたしましても、一国をもって防衛ができるという国はきわめてまれでございまして、世界の防衛の現状が、いわゆる集団安全保障体制というようなことでもございますので、やはり日本一国で防衛の任務を果たし、いわゆる安全感というわけにはいきませんので、いつまでもというわけでもございませんが、ここ当分の間は、やはり現状を維持していく以外に方法はないのではないかと考えられるわけでございます。
  163. 羽生三七

    羽生三七君 まあ国連の憲章で許されておる集団的あるいは個別的な自衛権という点から見てのお話だと思いますが、この場合、それは集団条約結んでおる国々でも、必ずしも相手国の駐留を全部が認めておるわけではないのです。条約は結んでおるが駐留は認めないと、これが原則だろうと思うのです。ままあります。それは。NATOの中にもそういう国が絶無ではありませんが、しかし、原則としては、私はそういうものではない。特に日本のような、アジアの先進国といわれ、世界最高の経済成長を示しておる国で、こんなことをいつまでも言っているのはおかしな話だと思う。  それからもう一つは、米軍が日本に駐留しておることを、日本の自衛力の不足を補うというよりも、私はむしろアメリカがアメリカ自身の極東における米軍の都合のために駐留しておる条件のほうがはるかに多いと思う。私はそう判断しておるのです。ですから、いまのような常時駐留がいいか、有事がいいかというような議論は私はいたしませんが、そういう議論を別としても、今日これだけ近代兵器が発達したときにおいても、常時相手国の駐留に依存しなければならないというような、そんな条件は、いまそういう喫緊の条件というものは、日本の周辺にはないと思う。それはベトナムがあったって日本から利用しないというでしょう。利用しようといえば断わるというでしょう。それでは一体どういうふうに起こりますか、日本の安全が侵害されるということは。ですから、私はこの前の本会議で申し上げたように、予想し得る近い将来に、条件が変わればどういうことになるかわかりませんが、私たちが予想し得る近い将来に、外部から直接日本を攻撃、侵略しようというようなことが起こる可能性はまず少ないと思う。むしろ起こるとすれば、安保条約による米軍の駐留と、日本が事前協議で断わればいいですが、もしこれを許す場合に、そこのはね返りとして起る危険性、これのほうにむしろ危険のウエートはかかっているわけです。でありますから、いまの政府のようなお考えでいけば、これは際限のないジャングルに入っていくだけで、私は問題解決にはならないと思います。ですから、そういうふうに判断していくというと、いまの米軍の日本駐留というものがこの中に書いてありますけれども、安保条約にも書いてあるけれども日本の安全というよりも、むしろ日本を基地としての米軍の行動の利便に供すると、そのウエートのほうがはるかに多いと解しておるが、大臣はいかがでありますか。
  164. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) もちろん日本の安全のために駐留をいたしておるのでございますが、やはりその安全の範囲の問題、対処の方法の問題として、いま羽生委員から申されましたような点も全然ないとは私ども考えません。しかしながら、それもやはりその基本というもの、また押し詰めてまいりますると、これはやはり日本の安全ということに重大な関連のあることであると考えるわけでございます。
  165. 羽生三七

    羽生三七君 まあ三矢問題で、仮想敵国があるとかないとか議論されておるのですが、そういうことは別として、一応議論が、仮想敵国を予想するならば、中国とかあるいはソ連とか北鮮とかいう共産圏を一応さすことだろうと思うのです。しかし、そういうことは名前をあげないほうがいいと思うから、私はかれこれ申し上げませんが、その場合、一応ソ連とは国交を回復していない。まだ平和条約ができておりません。国交を回復していない。  そこで、問題は中国ですが、中国と日本とが将来国交を回復して、中国が国連に加盟をする、それで日本とも普通の国交を回復して、通常の状態に戻って格別のことがない。そういう場合でもなおかつ安保条約は必要ですか。
  166. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) もちろんそういうようなことになりますると、おのずから相当の変化が起こるのは当然とは思いまするけれども、いま何と申しますか、予想されると申しますか、仮定の問題について、的確なお答えはいたしかねるのでございます。
  167. 羽生三七

    羽生三七君 私は、これは総理とか、外務大臣に申し上げることが適当な質問かもしれませんが、日本政治は、防衛における外交の地位というものの評価を全然していないんじゃないか。全部防衛という問題を軍事力に依存をしておるという、それが自国独自の力がなければ米軍の力を借りる、こういう形だと思うのです。ところが、いまのような、ずっと先ほど来お答えいただいておる問題を総合して判断して見てくると、日本だけなら当面直接侵略、間接侵略に対応する力はほぼできたというのでしょう、自衛隊で。そうすると外部からの問題、外部から直接日本を占領しましょうというだけで直接攻撃してくる、侵略してくる条件は近い将来にないと思います。でありますから、もしあるとすれば、先ほど申し上げた他国との関係、アメリカと日本以外の第三国との関係で起こる紛争の渦中に日本がそのはね返りとして巻き込まれるか、こういう問題になってくる。だからそういう場合に日本が外交の力というものをもっと発揮して、そうして日本の周辺における安全というものを外交の力で維持しようという努力が欠けておるために、私はおそらくそういう意味では世界各国を見て日本が一番欠けているんじゃないかという気がいたします。平和外交ということを政府は言われますが、そういう努力が一番欠けておるんじゃないか。これは総理や外務大臣にお尋ねをするべきでありますから、防衛庁長官には直接関係がないかもしれませんけれども、そういう意味の外交の位置づけを十分にして、それで安全をはかりながら、それから防衛力の問題もそれとの関連で論じて私は差しつかえないと思う。ところが、その配慮がほとんどないために、防衛力だけ……、そうなってくると、これはいつまでたったって、外国からどういうことがあるかかわからないからということで、いまの状態を継続しなければならぬ。それから先ほど申し上げるような自衛隊の拡大という問題も、ほとんど限界がなくなってくる。ですから、これは長官にお尋ねするのもいかがかと思いますが、いまの外交と防衛の関係はどういうふうにごらんになりますか。
  168. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) ただいま仰せられました外交と軍事というものは密接な関連を持って国の防衛というものが進められていかなければならぬという羽生委員のお説、私も全く同感でございます。そういう面にも、われわれはやはり政府として特段の努力がなされることを希望申しておるわけでございます。
  169. 羽生三七

    羽生三七君 まあこういう質問は分科会でいつまでやっているのもいかがかと思いまするので、だんだん結論に近づけていきますが、こういう問題の関連で、先日、ソ連が今度のベトナム問題に関連をして、沖繩その他日本を基地としてアメリカ軍が行動をしておる、これは非常に危険なことだからという警告の申し入れがございましたね、日本政府に。あれはソ連の思い違いか何か、そういう事実があるのでありますか。
  170. 海原治

    政府委員(海原治君) 先般、予算委員会において大臣からも御説明申し上げましたように、今回のベトナムの情勢に関連して、在日米軍についての特異な動きというものは全くございません。
  171. 羽生三七

    羽生三七君 それは何か外務省ルートでソ連にはそのことを文書で送らなかったですか、御存じでありませんか。
  172. 海原治

    政府委員(海原治君) 私ども何ら承知いたしておりません。
  173. 羽生三七

    羽生三七君 それは当然私は誤解を解くべきだと思う。黙っておって、それじゃまるで日本が承認したようなことになる。事実がなければないということをはっきり明らかにすべきだと思う。これは外務省のことですが、防衛庁としても外務省にそういう態度をとらせるべきだと思う。
  174. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) その点につきましては、ただいま羽生委員の御注意もございますので、もちろん、外交ルートのことでございますが、私のほうからは一応外務大臣に注意をいたします。
  175. 羽生三七

    羽生三七君 これはずっと前のことでありますが、ライシャワー大使が日米安保協議委員会も近く再開してもらいたいということを発言をしているのですが、これは何か申し入れがございませんか。日米協議委員会……、琉球、沖繩のこれとは別ですよ、混同はして私いませんから、そういう申し入れはございませんか。
  176. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) いままでのところでは、そういうようなことはございません。あるいはもちろん近くそういうお話があるかも存じませんけれども、いままでのところはございません。
  177. 羽生三七

    羽生三七君 ちょうどたまたまいまライシャワー大使の問題で触れたのですが、これもこの間本会議でちょっと承ったことですけれども、ライシャワー大使が記者団と会見した際にベトナム問題との関連ですが、日本の基地を利用して、あるいは施設を利用して発進することは事前協議の対象となる。しかし、一たん他に移動して出撃すれば、これは問題はないということを言われているわけですね。これはもう明らかに私は条約の不当な解釈だと思うのですが、それに対する防衛庁の見解はどうですか。
  178. 海原治

    政府委員(海原治君) 当時、私、新聞でそのことを知りまして、外務省にも確かめましたが、実はこれ口頭の会見でございますので、新聞によりましてもライシャワー大使の言われたことが少し違っております。で、直接行くことはできないが、一たんほかへ行ってしまえば、そこから行けるのだという、積極的に肯定するような報道と、そうなれば別の問題であるということを言っておるような、二つございまして、私のほうが確かめたところでは、安保条約の解釈では、直接戦闘作戦行動に発進することはできないのだということを言われただけであって、それ以外のことはやってもいいのだというような表現はされなかったと、こういうことを聞いております。しかし、これも一応その当時私が外務省当局に確かめたことでございますので、その辺はどういうことであったか、会見の速記がございませんのでそのような報道も二つに分かれたと思います。
  179. 羽生三七

    羽生三七君 今度のベトナム問題に関連して、先日来防衛庁長官予算委員会の部屋で各委員の質疑応答をお聞きになっておっておわかりだと思いますが、まあアメリカから外務省にはベトナム問題に関連してはこれという、何といいますか相談があったことはないという。ところが、過去四回外務省に一応話があったようですね。あったが、それは全部一種の事後通告です。四回と聞いてからだから、もう五回か六回になっているかもしれません、外務省にはあったはずです。それはむしろ事後通告の形、そうすると、これはまあ外務大臣総理に関連する問題で、長官に言うのもいかがかと思いますけれども、そういう場合にも、私はこの前、日本のほうから積極的にやはり向こうに発言をして、必要なことを言うべきではないか、そういう意見を述べておるわけです。これは外交問題ですから防衛庁長官には関係はございませんが、全部受け身で、日本外務省が全部受け身になる。  そこで、今度防衛庁自身については別に今回もベトナム問題に関連して何らの動きも話もないわけですか、全然ありませんか。
  180. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 何ら話もございません。また、予算委員会においても御質問に対して私が申し上げましたとおり、南ベトナムの問題に関連をして、日本の部隊に対する何らの特別な動きはしていない、平常どおりの部隊は勤務をしておるということも申し添えておきます。
  181. 羽生三七

    羽生三七君 時間がきますから結論を言いますが、まあ私のきょうの質問を要約すれば、一言にして申し上げるというと、自衛隊か発足以来相当な年月もたち、これだけの力も持ってきたのだから、それは現状を際限なしにまだ拡大をしていくのかどうか、もうある程度目的を達成したのなら一応——私はこれを認めるわけじゃありませんよ、認めるわけじゃないが、兵員の充足も非常に困難になってきている。ですから、もう一応自衛隊というものはこの程度ということでいいじゃないですか。いや、私は社会党の立場から認めるとか認めぬとかという議論じゃないですよ、そういうことは別にしても、もうこれ以上充足はなかなか困難だから、どうですか、その辺は。
  182. 海原治

    政府委員(海原治君) 先ほど私が一応三次防等の見通し等も申し上げましたが、実は特に御理解いただきたいと思うのは、一応のものになった、こうおっしゃいましたが、その内容をつぶさに調べてみますと、まことに貧弱なものが多いわけでございます。他に例をとってみますというと、たとえばスエーデンという国は御存じのように中立国でございます。人口わずかに七百五十万人の国でございますが、この国の防衛費は日本防衛庁費にほぼ近いものを出している。国民所得の四・四%というものを毎年充てておるわけでございまして、現在の情勢下におきましては、各国とも防衛、国防というものにつきましてはそういう認識をしておりますので、先ほど申しましたように、私どもとしましてはまだまだ、大臣も申されましたように、今後整備していく面が多々ございます。ただ数的な面の大きな拡張ということでなしに、やはり質的な面の装備の改善という方向にいくのではないか、こういうことでございますので、もうこの辺でストップしてはどうかということは、何とぞもうひとつお考え願いたいと存じます。
  183. 羽生三七

    羽生三七君 私も先年スエーデンに行って見てきました。総予算に占める国防費の率は知っておりますが、日本には憲法があるんですよ。憲法がないというんなら局長のおっしゃるとおりです。しかしながら、憲法があるのだから、先ほど来の限界論から見て、当然そういう議論が成り立ってくる。結局さっきのところに戻ってくるのですよ、一番最初の質問に。限界はどうか、結局何のかんの言われても限界がなくなるのではないですか、これでは。それは非常に防衛庁自体が良識を示されて、この程度というときが近くくれば別ですよ。まあしかし、なかなかそれぞれ自分の部局というものはかわいいから、そんなことを簡単に言いっこない。そうなると、日本の憲法と自衛力の関係はどうなるか、その限界は何か、全くそれは際限のないものになる。これはいつも水かけ論になって、いいかげんになっている。確かに水かけ論でしょうがないけれども政府もさようでございますとは言えぬし、私たちも政府の立場を承認するわけにはいかぬ。これは相対立して並行線です。並行線ではあるが、しかし、幾ら政府の立場に立っても、いまの憲法を無視するというんなら別ですけれども、現行憲法を守るというんならば、その範囲における限界というものは一応のめどというものがあってしかるべきです。たとえて言うならば装備とか質的なものは別として、人員はこの程度が限界じゃないかという単純なこの限界論すらもお認めにならないのですか。
  184. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 初めから羽生委員の言われておる議論については、私ども大いに聞くべき点があると傾聴いたしておるのでありまして、国際情勢その他がそういうふうな、一応こういうことでいいのではないかというようなところまで私どもはくることを切望するものでございます。また、できる限り何と申しますか、大きな拡張をしないで防衛というものが、日本の国土の安全というものが期し得られるというようなことは、私どもも心から念願をするところでございます。
  185. 羽生三七

    羽生三七君 それで、先ほどちょっと触れた三矢問題のようなああいう研究はされるが、私がここで申し上げたようなことを防衛庁自身としてまじめに研究されたことがないのですが。そういうこともまじめに検討されたほうがいいのじゃないですか、いかがですか。
  186. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) これはたいへん失礼な申し分かもしれませんが、いままでの羽生委員の御議論については大いに傾聴しなければならぬと申したのでございまして、もちろん十分そういう面もまじめに研究をしなければならない、検討すべきであると考えます。
  187. 羽生三七

    羽生三七君 こまかい問題になって、これで終わりますが、そうすると人員の不足、充足率の不足ですね。これはしょっちゅう議論されている問題です。しかも近い将来解決する可能性はほとんどないと思います。これは状況を変えれば別ですよ、現状のもとにおいてはほとんどその解決の可能性はないのじゃないか。そうしたら、その意味のない計画を立てているよりも、むしろこの辺でストップしたほうが私は現実的だと思う。どうですか。
  188. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) そういう人員の問題等も全部含めてやはり検討していくべき問題であろうと考えてるわけであります。
  189. 羽生三七

    羽生三七君 この辺にしておきます。
  190. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、防衛予算とか、二次防、三次防、こういう問題を中心に二、三お伺いをしたいと思いますが、その前に、臨時行政調査会行政改革に関する意見を昨年九月に、ときの池田内閣に答申しているわけです。この臨時行政調査会意見に対しては、各省庁いずれもこれに対してまた意見を具申しなければならない、こういうことになっているわけです。そこで、本論に入る前にこの点について一点だけお伺いしておきたいと思います。ここにも原稿がございますが、臨時行政調査会が内閣府に付置する機関として五つの機関を指定しているわけです。この五つの機関の中に防衛庁が入っているわけですね。その原文は「内閣府そのものの事務とすべきものではないが、現状のままにするという意味において、防衛庁は内閣府に付置する。」、こういう結論が出ているわけですね。この臨時行政調査会意見に対する防衛庁としての御意見を、基本的な御意見でけっこうです。基本的な御意見一体どういうものなのか、この点について長官からお示しいただきたい。
  191. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 臨時行政調査会はいろいろな議論がありましたけれども、結論は全会一致というようなたてまえをとったというようないきさつもございまして、いま伊藤委員が示されましたような結論になったと私どもは聞いておるのでございまするが、まあ現状どおり内閣に付置するということは、やはりこのいまの防衛庁という、いわゆる現状でよろしいというような意味と解釈をいたしたわけでございます。
  192. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、現状のままでいいという御意見防衛庁としての御意見となるわけですね。
  193. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) いま申し上げましたのは臨調の意見でございまして、全会一致というようなたてまえからそういう結論にならざるを得なかったと承っておるわけでございまするが、防衛庁側の考え方といたしましては、やはり国防省に昇格をしなければならないと、さしていただきたいと、またすべきであるというふうに考えておるわけでございます。また、臨時行政調査会の中におきましても、大多数の委員の方々はそういうことであったというふうに聞いておりますし、全会一致のたてまえをとるというような点からそういう答申になってあらわれたものでございまするけれども、われわれとしてはできるだけ国防省昇格というものを実現をしたいという考え方には変わりはないのでございます。
  194. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この臨時行政調査会は、御承知のように、いまだかつてない大きな規模で、しかも期間においても、内閣委員会で期間を延ばしてまで、相当の期間をかけて、相当規模な運営並びに慎重審議した結論が、昨年九月に臨時行政調査会意見として出されたわけですね。これについては前内閣の池田総理も、また池田内閣としても、これは十分尊重するという態度を堅持し続けてきたと思うんですね。また、これを継いだ佐藤内閣も、当然に臨時行政調査会意見は尊重すると、こういう基本的な態度には変わりはないと思う。そういうことになりますと、その一閣僚である防衛庁長官としても、当然基本的な態度としては意見を尊重しなければならぬ、こういうことになろうと思うんですね。この点はいかがでしょうか。
  195. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) もちろん臨時行政調査会意見を尊重すべきであることは申すまでもないことでございまするが、尊重するということは、全部が全部そのとおりでなければならぬということではないのでございまして、できる限り尊重していきたい、また尊重していくべきであるという考え方であると私は存じております。これを全部そのとおりやらなければならぬということであるならば、調査会というものと政府というものとの、またいろいろな面に問題も起きてくるわけでございまして、そこで池田内閣においてももちろん臨時行政調査会意見は尊重するということではございましたが、昨年度池田内閣の閣議においては国防省昇格を実現すると、国会に提案するということを閣議で正式決定をいたしたいきさつもございまして、国会の終末というようなことから、閣議では決定をいたしましたけれども国会に提出するに至らずしてそのままになったということは御承知のとおりでございますので、私どもは国防省昇格を推進することと、臨時行政調査会意見を尊重することは決して矛盾するものではないと考えておるわけでございまして、また、佐藤内閣になりましても、これはやはり池田内閣と同じような考え方で何ら差しつかえはないというふうに考えておるわけでございます。
  196. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、前内閣も、現内閣も、臨時行政調査会意見は尊重するという基本的なかまえには変わりはないが、ということは、今度は具体的な問題になると反対という、このことに関する限り防衛庁は反対しておるわけです。そうすると、基本的な態度としては賛成だけれども、さてこれが具体的な問題になると反対だということになるんで、ちょっと筋が通ってないように思うのですがね。時間の関係があるので、この問題だけということはできませんので、先を急ぎますが、そこで、お尋ねしたいのは、それは基本的には賛成なんだけれども、こういう具体的な問題があると反対だ、これが現実の姿です。それではいかなる理由でこの臨時行政調査会意見に反対なのか、やはり反対ならこれこれの理由で反対だということを明確にしていただかぬと、私どもは納得できないわけです。そこで、その反対の理由を、ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  197. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 先ほど先生がお読みになりました臨時行政調査会答申の文面の中にも、その趣旨があらわれているように私は拝見するのでございますが、内閣府は、各省総合調整機関としての機能を十分に発揮するという趣旨で今回設けられようとしているわけでございます。ところが、防衛庁というものは、防衛庁という一つのまとまりました行政というものを処理するわけでございまして、そうしたものを総合調整の機関である内閣府の中に置くということは、内閣府を本来設ける趣旨に合わないのではないかという考えでございます。
  198. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、この臨時行政調査会意見に対しては、各省庁みな意見を具申しなければならぬ。私、行管を通して調べたところによると、各省庁の中で、不都合にもまだ出してないところもある。ところが、その点については、防衛庁は非常に忠実に、私調べたところによると、いずれの意見に対しても、いずれも意見を具している。しかし、ほとんど反対、反対の意見です。したがって、いい悪いは別として、非常に意見に対する意見は、忠実に出ているということだけは、ここで確認できるわけです。内容は別ですよ。そこで、内容を見ますると、こういうことを防衛庁意見として出しているわけです。内閣府の事務上の異質性、それと国政に占める位置、防衛に関する責任と権限の明確化、事務の能率化、隊員の士気高揚、こういうような点から独立の省とすべきである、こういう意見を出しているわけですね。こんな大事なこと、いま御指摘なかったわけですから、念のために申し添えておきたいと思うのですそこで、先を急ぎますが、反対の理由もここで明確になりました。そこで、いま長官からもございましたように、国防省の昇格法案の提出ということについて、防衛庁としては、率直にいって虎視たんたんとして絶好の機をねらっている、それが現状であろうと思うのですね。しかし、私どもからすれば、この国防省昇格法案は、米ソの軍事予算の削減という動きを見たり、あるいはジュネーブにおける軍縮委員会の成り行き等々の情勢から見て、こういう点をひそかに検討した場合、これはちょっと世界情勢に逆行するのではなかろうか、こういう考えを持つわけです。この点についてはいかように解釈したらよいか、御説明いただきたい。
  199. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 国防省に昇格をしたいと考えますることは、防衛力の増強ということとか、あるいはまた世界情勢の軍縮というようなこととは直接の関係はないのでございしまて、現在の自衛のための日本の国防というものをば、任務を遂行していく上に、防衛庁よりも国防省という省に昇格することがよりすべての点においてその任務を果たすことに都会がいい、こういうことでございまして、まあ自衛力の増強あるいはまたその逆の軍縮、そういうこととの直接の関連はないものとして、われわれは考えを進めておるわけであります。
  200. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その点はどうも納得できないのですがね、やはり機構上から言って、庁より省のほうが大きい、これはまあ素朴な考え方でもそう言えるわけです。そして防衛庁が前向きに防衛力を整備増強するという、そういう方針を踏まえての考え方ですから、ただ名前が変わるだけということでなかろうと思うのです。しかし、この問題をやっておるとほかに入れませんから、この問題についてはさらに後日機会を見て追及することにして、次に、防衛予算についてお伺いしたいと思います。  まず伺いしたいのは、F104Jの追加生産の問題です。このことについては、こめ予算を見ますると三十機を追加生産しようとされて予算が組まれておるわけです。ところが、昨年の場合を見ると、昨年の場合は五十機を追加生産しようという問題が出たと思うのです。その理由としては、三次防の終わる四十六年ごろになると、F104Jを七飛行隊を維持するたてまえからして、それまでの減耗機数、これを消耗率によって計算して五十機だということになったと思うのです。ところが、そのことについて、今年は三十機に変わっているわけですね。これは一体この損耗率のはじき違いか、いわゆる防衛庁の誤算であるのか、それとも予算に制約されてこうなったのか。昨年は五十機であったと思うのです。これが三十機になったということには何か理由がなければならない。その点を明らかにしていただきたい。
  201. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 昨年度は五十機生産を要望したことは申されるとおりでございますが、その後の航空自衛隊におけるF104ジェット戦闘機の運営訓練の結果に徴しまするときに、決してそろばんのはじき違いというわけではございませんが、非常な努力と、またF104ジェット戦闘機の性能が非常にすぐれておったというようなことからいたしまして、従来世界の名国で使っておりましたその結集による減耗率等から比べまして、幸いなことには非常に成果を上げたと申しますか、事故率等がきわめて少なかったという結果が出てまいったのでございます。世界名国の実例からいたしますれば、大体一万時間の飛行時間で三・五とか四・五の事故率、減耗というものがこれはもう航空界の常識になっていて、日本におきましてもそういうことを標準として減耗率をば考えていたわけでございますが、その後日本においては二万時間で二機しか損耗がなかったというようなことから、大体半分程度で減耗を押さえることができたといういままでの実積が生まれたわけでございます。そういうような点から考えて、決して完全無欠とは申しませんけれども、将来もこういうことで減耗率が食いとめられていく、さらに一そうの事故に対する努力を重ねていき、飛行訓練、演習等についてもいろいろなできる限りの配慮と努力を続けていきますならば、当初五十機の追加生産がなければ七飛行隊の維持はできないと考えておったのが、三十機程度ならば、最小限度で困難ではあるけれども、必ずしも七飛行隊の維持が不可能ではない、かような結論に到達をいたし、財政上の見地等からいたしましても、大蔵省と私のほうで種々交渉、検討の結果三十機生産ということにきまりまして、これをもって七飛行隊の維持を今後の六年間可能ならしめるというようなことに相なったわけでございます。
  202. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、次は生産単価についてお伺いしたいと思いますが、最初の二百機と違って、そのときはアメリカの援助があったと思うんですが、その追加生産については全然援助はないわけですね。そこで、前年につくったら幾らかということになりますと、一機結局四億五千万であったと思いますが、昨年つくれば一機四億五千万の予算でできたはずですね。ところが、昨年は大蔵省とのいざこざの問題でとうとうお流れになって今年になったんですが、今年一機幾らかということになると、五億八百万になっているわけです。約六千万ですね。詳しく言えば五千八百万一機について、こういう差が現実に出てきているわけです。昨年つくるのと今年つくるのと、こういうふうな差が明確に出てきたわけですね。そこで、こういうことはもう前から考えておったのではなかろうかと思う。二百機をつくってこれでいい思ったけれども、どうも五十機足りない。だから五十機追加生産だということになる。ところが、昨年の五十機生産については、以上申し上げたような事情でお流れになった。今度は三十機でいい、三十機でがまんしようということになった。しかし、機数は減ったけれども、単価ははね上がっている。やはりこれは何で買うかというと、国民の血税で買うということになる。こういう点をあわせ考えて、防衛庁としては、先の展望がきかなかったのではないかと、こういうふうにも考えられるわけですね。こういう点についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  203. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 昨年度実は押しつまりまして、予算の折衝の押しつまったころに、前年度の五十機の場合でございますが、要求をいたして、これは実現を見なかったということになるわけでございますが、当時の単価は約四・五億程度と考えておったわけでございます。本年度は、本年度といいますか、今度三十機要求分につきましては単価が五億八百万でございますが、これは私ども三十機として計算をいたしまして、今回の三十機分の単価の積算根拠としましては、当初の第一次生産に比較をいたしまして、コスト関係において値上がりをする分、一部値下がりの分もございます。例として申し上げますと、技術援助費あるいは専用治工具の製作費、あるいは製造事務費というような、第一次のときに大体準備をいたしまして、あとの分にはかからないというようなものがございますので、そういう値下がりを考慮いたしまして、さらに第二次以降の値上がりの要素と申しますと、材料費の値上がりあるいは加工費の値上がりというようなもの、その他国産化率を上げますので、その関係からの値上がりというようなものを考慮に入れまして五億八百万ということになったわけでございます。
  204. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、この三十機の追加生産をもって第三次防に移っていくということであろうと思うのです。そういうことになると、ここで当然考えなければならないことは、第三次防の中ではFXについては一体どういうお考えなのか、この三次防の期間中、いわゆるF104Jで押し進めていくのか、それともそれとは別途に、また何か別にFXについてお考えがあるのか。これはきわめて大事な問題であると思うので、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
  205. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいま先生のおっしゃいましたFXというのが、いわゆるF104の後継機——そのあとに続きますものの要撃機ということでございますので、この三次防については、先ほど大臣から御説明ございましたように、六月ごろに大体の構想をまとめたいということでいま検討中でございますので、私の口からこうだということは申し上げられませんが、大体の考え方としましては、F104に続くFXというものが三次防の期間において国産されるというようなことにはまずならないのではないか。このあとに続くものにつきましての研究であるとか、あるいは調査であるとかいうことは、当然に必要になってまいりましょうが、全然別個の機種をF104に続きまして国産するというようなことにはなかなかその運びがむずかしいと、こういうふうに感じておるわけです。ただ、ことしの予算要求は、大蔵省にお願いしまして認められませんでしたが、たとえばT38というような練習機、目標機として採用したいということでございましたが認められませんでしたが、こういうような機種が考えられる可能性はございます。したがいまして、FXということで言われておりますときには、それはF104に続くいわゆる航空自隊の将来の主力戦闘機ということに解釈をいたしますと、これにつきましては三次防期間中F104の七スコードロンでいくということでございます。
  206. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その点ではっきりいたしましたので、次に移りますが、次にバッジの建設について一、二お伺いしたいと思います。  昨年の暮れに調印されたバッジについての交換公文あるいは細目協定、この内容については知らされておりませんので、この際概略御説明いただきたい。  それと、日米の負担区分は一体どうきまったのか、昨年の予算委員会での説明では、日本側の負担が百五十七億余り、アメリカが三十二億余り、こういうふうになっていたと思うのですが、予算規模の点でずっとそれから大きくなったというふうに考えられるので、一体どうなっておるのか、こういう点についてひとつ明確にしていただきたい。
  207. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 昨年日米間で締結されましたバッジ組織に関する交換公文の内容でございますが、申し上げたいと思いますが、当時実は外務省から発表いたしたわけでございますが、それにつきましては、日本政府設置しますバッジ組織の装備等の経費の二五%——総額で九百万ドル程度でございますが、九百万ドルまでを米国政府が分担するということを骨子とするものでございます。これの内容につきましては、一応読み上げてまいりますが、よろしゅうございましょうか——重要な点はいま申し上げたのが主眼点でございます。  それから、それに基づきます技術取りきめというのでございますか、交換公文の了解に基づきましてバッジ組織の装備、資材の生産区分の決定方法、それから米側経費分の支払い時期、その他のいわゆる技術的な事項を定めておるわけでございます。こういった交換公文及び技術取りきめを基にいたしまして、昨年の十二月四日であったと思いますかこの公文が取りかわされまして、五日に、政府とそれから日本アビオトロニクス株式会社との間におきましてバッジの生産に関します契約を締結いたしました。それからバッジのアビオトロの下請契約と申しますか、アビオトロとの関係におきまして下請関係に立ちますものとして、日本電気及びアメリカのヒューズ社がそれぞれ一定の生産分野を分担いたしまして、現に生産を進めておる次第であります。概略経過を申し上げますならばそういうことでございます。
  208. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、このバッジの国産の問題ですが、アメリカ側のヒューズ社と記憶しておりますが、ヒューズ社と日本の会社と提携して新たな会社が設立されたと思いますが、そのことに関連して、一体、国産のほうは今後どうなるのか。契約は一体どういう要領なのか、こういう点について要点だけをひとつ概略御説明願いたいと思います。
  209. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ただいまの提携会社として会社が設立されたという話は、おそらく日本電気の子会社の日本アビオトロニクス株式会社のことをさしておると思いますが、この会社が政府との主契約者でございます。それから生産の担当といたしましては三社それぞれ生産区分を実は持っておりますが、政府との間の契約ができまして、あと各社とも生産体制を進めてきておりますが、その概略生産体制を申し上げますと、アビオトロにつきましては、すでに機種決定がされましたあと、実は生産内示がございましたので、東京本社にトークスの建設本部を設けまして、生産準備を進めまして、契約締結後に生産を開始しております。なお日本電気につきましては、東京の府中工場にトークスの技術部を設置いたしまして、この日本電気におけるバッジ生産関係業務を統合調整をいたして生産を開始しております。またアメリカのヒューズ社でございますが、これはカリフォルニア州にフラトン工場というのがございますが、そこでトークスのプロジェクト・オフィスが設けられております。なおこれが米国内の飛行機生産業務を統制しておるわけでございますが、日本国内にも東京プロジェクト・オフィスというものを設けまして、日本側との連絡をしておるということでございます。すでにこのヒューズ社におきましては、追尾計算機の組み立て等を一応終わりまして、ヒューズの担当の追尾計算機の組み立てを完了いたしまして、現在テスト中でございます。また、アビオトロにつきましても、また、日本電気におきましても技術資料を入手、検討いたしまして生産を開始しておる、こういう状況でございます。
  210. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、MAPですね、無償援助打ち切りと防衛計画との関連、こういう問題から一、二お伺いいたしますが、昨年アメリカの対外援助法が修正になりまして、ついにことしからアメリカからの無償援助は全く期待できなくなったわけであります。そこでMAP打ち切りと第二次防について、当然二次防計画を修正するのやむなきに至ったと思うのであります。そこで、このことはもうすでに前の国会でも論じられておるところで、同じことを繰り返しませんが、結局二次防全体におけるMAP期待の総額は、私ども計算してみると、大体九百億ぐらいと見ておるわけですが、そこで、防衛庁説明によると、単価などを計算し直してみると大体六百三十億になる。それで、この額のうち二百三十億が承認済みになっておるから、六百三十億からこれを引いて残るのは四百億だ。で、これが不足分であるというならまだいいのですが、実際これの半分ぐらいが二次防に響いてくる、こういう問題であったと思うのですね。このことについては、そのときの池田総理も九百億ぐらいの金なら打ち切りになっても日本経済の力からいけば問題じゃない、日本経済の力をもってすればたいしたことはない、自主防衛でやる、こういうような意味のことを池田総理はその当時述べられておるわけです。そこで、その後の状況をも含めて一体この六百三十億のうちいままで幾ら承認になったのか、それから打ち切りで期待できなくなった総額は一体幾らになるのか、こういうことをひとつあわせて御説明いただきたい。
  211. 大村筆雄

    政府委員(大村筆雄君) MAPのいわゆる無償軍事援助の期待額は、御指摘のとおり二次防衛期間中は全額にいたして約六百三十億というように見積っていたのでございますが、そのうち援助が認められましたものが約三百億でございますので、したがって残りが三百三十億ということに相なります。そこで、MAPアウトとなりました結果、二次計画達成のために最小限必要な金額はどのぐらいであるかということを検討を行ないました結果、百六十億円程度あれば二次防達成上まずまずいいんじゃないかということで、百六十億円というふうに現在見積りまして、それに基づきまして四十年度の予算要求をいたしまして、その結果四十年度予算におきまして、ただいま継続費、国庫債務負担行為を合わせまして約八十三億の御審議をいただいておるわけでございますが、このうち二次防衛期間の四十一年度までの歳出額といたしましてはおおむね七、八十億あれば間に合うのじゃないかという見当をいたしておるものでありますから、二次防期間中の予定しております経費を極力節減等はかりましてやりますれば、おおむね予定の計画の中で達成可能じゃないか、かように考えておる次第でございます。
  212. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、御答弁を聞いておると、前回もそうであったわけですけれども、私どもとしてはどうも了解しがたいのです。九百億が単価を計算し直すと、まず六百三十億になってしまう、こういうこともどうも説明を承っても了解しがたいと思う。打ち切られた額のうちから、日本側のぜひとも必要なものはその半分でいいんだという考え方もどうもおかしいと思うのですね。こういう点もわれわれとしては了解できない。そこで、私どもとしてはとにかく九百億の中から承認済みの三百億を差っ引いた、あと残り六百億、その六百億がMAP打ち切りで二次防に影響するのではないか、これは私どもの素朴な考え方から見た数字になるわけですね。ただ、単価を計算し直すと九百億が六百三十億になってしまうように、そういう手品が入ってくると、ちょっとわれわれには了解しがたくなるわけですね。そこで、このことによって、MAPの打ち切りによって二次防の修正を相当せざるを得ないと思うのですね。いずれにしても額のいかんを問わず、額か打ち切りになっただけは計画が狂うわけですから、当然修正ということが出てくるわけですね。そこで、MAP打ち切りの影響で二次防を修正しなきゃならぬ、こういう問題が当然出てくると思うのですが、これはこまかく個々の問題で御説明いただこうとは思いませんので、その大綱について概要をひとつ要領よく御説明いただきたい。
  213. 海原治

    政府委員(海原治君) 第一点の、二次防の当初において九百億と見積っておったのが六百三十億に値上がりしたのはおかしい、これはまことにそのように御解釈になるのは当然と思いますが、実は私ども二次計画をつくりましたときの、この九百億の見積りでございますが、アメリカでたとえば戦争であるとか、あるいは自走砲であるとか、こういうものを無償でもらおうということを考えます場合には、その価格の見積りはアメリカの当該年度におきますところのプライス・リストと申しまして価格見積りがございます。そういうものを前提にして算定したわけでございます。これはアメリカのたとえば陸軍省でございますと、毎年改定されます。たとえばことしの中古戦車かかりに千ドルであった、一年たつとそれが八百ドルに見積られる、こういう値下りもあるわけであります。したがって、二次防を作成いたしましたときにおきまして見積ったものは、日本側で、いうならば防衛庁側として見積ったわけであります。これが九百億でございましたが、それに相当するものの価格をもう一度新しい価格によって評価し直してみると、それは六百三十億円相当になった、こういうことでございます。この点は決してかってにその品物かなくなったり減ったりしたわけではございません、評価の差額でございます。次には、この二次防で考えました対日援助はこれは無償援助でございますので、平たく申しますと、たとえばただでもらえるならもらう、しかし、それに金を払うなら、またひとつ考え直そうというものもあるわけであります。当時考えましたのは、これは当時御説明申し上げましたが、軽特車であるとか、あるいは百五ミリの自走りゅう弾砲、百五十五ミリの自走りゅう弾砲、自走砲車M42、小銃、艦艇装備品というようなもののほかに、ナイキとかホークがございます。こういうものにつきまして先ほど申しました、ただでもらえるならもらうけれども、買うとなると考え直すというのが、主として先ほど申した中古のものでございます。で、したがいまして、先ほど経理局長から、現在の時点において考え直して見ると、手当てするものは百六十億円相当である。こういうことは、日本側が金を出すということであるならば、もうやめるというものが相当あるわけであります。したがいまして、こういうものが現に入ってきませんでも、その後の自衛隊におきましての関連装備品の損耗状況を見積ってみますと、それが参りませんでも、いわゆる二次防の目標達成には影響がない、こういうものでございます。先ほど経理局長が申し上げたことに相なる次第であります。
  214. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、欠員の問題と二次防との関係についてお伺いしたいのですが、この欠員の問題については先ほど羽生委員からも御指摘があったわけですが、これも二次防、三次防と関係するところきわめて大きいので、そういう視野から一、二お伺いしたいと思います。  で、私がここで申し上げるまでもなく、いま自衛隊で、特に陸上では三万の欠員がある、恒常的に存在している。で、充足率も八五%、しかし、この八五%というのは全体のものでありますから、部隊によっては相当、二分の一くらいの充足率のところも当然あるわけです。で、特に士においては三分の一が欠けておる。六万に対して二万の欠、こういう率になるわけです。そこで、お伺いするわけですけれども、この傾向はおそらく三十五年ころからの現象であって、まあこの点は防衛庁としては非常に頭痛の種で、地方連絡部を督励して、街頭に出てまでかり集めの募集を続けておる、そういう苦慮がそこに見られるわけですが、そこで、このままにしておくと勤務か早く回ってくるわけですね。兵隊さんの勤務が非常に早く回ってくる、人数が少ないのだから。それでこれが士気にも影響する。訓練にも支障を来たす、こうなる。こういうことで羽生委員も先ほど御指摘になったように、いまこの現実を踏まえて考えると、この編成についても十分検討すべき段階にあるのではなかろうか、そういうふうに率直にものが考えられるわけです。で、防衛庁としては、特に政府としては、対米考慮から十三個師団の十七万、こういう編成を今日までくずさないで計画を進めてきたわけですけれども、現在の定員を中心として考えてみた場合に、やはり二次防がいま三年目の半ばにあるわけですけれども、この辺で当然に考慮すべき段階だと思うんです。そういうことについて長官としてはどういうふうにお考えになるのか、要点だけを御説明いただきたい。
  215. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 欠員が依然として続いておる問題については御指摘のとおりでございまして、私ども最も遺憾に存じ、また、この対策には真剣になって取り組んでおるわけでございますが、にわかに欠員の補充ができないといたしましても、現在の編成をそのために変えるということは今日考えておらないのでございます。と申しまするのは、編成をくずすということになりますると、これは基本的な訓練その他に非常な欠陥が生ずるのでございまして、やはり自衛隊というものは、人数だけありましてもそれが直ちに役に立つものではございません。相当期間の訓練をして初めて防衛の任務を完遂することができるのでございまするから、欠員が続いておるから、それを縮小するとか、編成を変えるというようなことはなすべきではないという見地に立っておるのでございます。なおまた、欠員の問題については、従来申しておりますとおり、隊員の処遇の改善、還境、設備の改善、あるいは募集広報活動の強化等、いろんな問題を総合的に検討をいたまして、できるだけその対策を講じて、現在のような恒常的な欠員の状態を打破していく、募集率を向上させて欠員の補充ができるようにしたいという懸命の努力をいたしておりますし、それは決して不可能ではない、その歩みは急速には上昇することがなくても漸次向上をできるという私どもは見通しを持ってこれに取り組んでいく考えでございまするので、欠員が多いということは残念なことではございますが、そのために編成を変えるとか、定員を縮小するとかいうようなことは毛頭考えておらないわけでございます。
  216. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま御答弁の中で、自衛隊の訓練は相当長期を要する、だから、人数ばかり集めたって長期の訓練を経なければ役に立たない、そういう意味の御答弁があったと思うんです。そういうことになるとおかしいと思うんですね。いま三十五年以来大体三万の欠員がほとんど慢性化している、恒常化している。このことについては先ほど羽生委員からも御指摘があって、これはぎりぎりの限界じゃないか、だからこの辺でひとつ現状を見て編成がえすべきだと、こういう意味のお尋ねがあったと思うんです。私も同じような趣旨からやっておるんで、ただ、そうやって現状に即した編成がえをすれば、社会党はこれを認めるということではございませんが、そういうことは別問題として、とにかく現状に即した編成がえというようなものは当然考えていいんじゃないか。聞くところによると、自衛隊内にすらそういう意見の方があるやに聞いておるわけです。当然そういう意見が出てしかるべきだと思うんです。こういう観点から、このことは、第三年目に入った現在の二次防に関連すると同時に、やはり四十二年から入る三次防にも当然関係してくると思うんですね。幾ら計画しても、実際に集まらなきゃどうにもならぬでしょう。やれ編成がえしちゃまずいとおっしゃいますけれども、現状に即した編成がえをやれば、無理のない運営ができるんではなかろうかと思うんですね。地方を回ってみますと、部隊によっては五四、五%の充足率のところもある。もちろんこれは士の場合であって、幹部にはほとんど問題はないわけです。海空もほとんど欠員がない。陸においてこういうことが言えるわけです。だから、陸についてはそういう現状に即した運営をやり、無理のない運営をやるのが賢明ではなかろうか。現実に地方を回ると、たとえば一万の定員のところに五千しかいない。そうすると、勤務がひんぱんに回ってくる、そうして訓練にも事を欠く。したがって、どうしても五千しか集まらないのならば、五千を単位として編成すれば無理のない運営ができる、こういうことになろうかと思うのです。この点はまことに大事で、二次防の計画にも、三次防にも重大な影響のある面であるので、ひとつこの点についてさらに明確にお答えをいただきたいと思います。
  217. 堀田政孝

    政府委員(堀田政孝君) 充足問題につきましては、私の所管でございますのでお答え申し上げます。いま長官から、編成については手を加える考えは全然ない、特に部隊の訓練については期間を要することであるので、編成については手を加えることは適当でないというお話がございましたが、これは次のように御理解をいただきたいと思います。  たとえば十三個師団ございます現在の第一線部隊を、人が足らないから八個師団にする、そうすると、あとの五個師団というものは将来何かのときに急に集めてやったらいいではないかということでございますと、やはり幹部要員をすぐにそろえることができない。たとえば大隊長が十五年、中隊長でも六、七年かかりませんと一人前にならないという現状からいたしますと、やはり幹部については相当に時間がかかる。そういう意味で、やはり急に編成に手を加えることは適当でないというふうに長官はお答えになったのだと私は考えるのであります。ただ、先ほど伊藤委員が御指摘になりました陸の士について約二万数千人の欠員があるのは事実でございます。しかしながら、陸上自衛隊全体として、それでは士がいないのではなかろうかと申しますと、そうではございません。たとえば師団、特科、空挺施設というような第一線部隊を除きました場合、教育団等には、三十九年十一月末の数字でございますが、約三千四百、士が教育中の隊員として入っております。これは戦前の軍隊でございますと、中隊に初年兵として入りまして、そこの古参兵から教育を受ける、そういう姿を現在とっておりません。約二十週間にわたりまして教育団もしくは教育連隊に入るというたてまえになっておりますので、これが一応落ちております。なおまた、地区補給処、地区病院、地連で臨時に出ております士、あるいは業務隊で管理業務についておる者、こういうようなものを集めますと、やはり中央の機関だけで六千五百人ぐらいの士がいるわけであります。失礼いたしました。いまのは地方に散らばっておる部隊の士でございますが、中央のたとえば補給処、あるいは陸幕機関、こういうところにおります者を見てみますと、やはり三千名程度の者がおります。したがって、全然士がいないのだとすればやはり考え直さなければいけないのでございますけれども、もし士が絶対に足らないならば、上記の士をどうあんばいするかということを考えました場合には、これらの人間を一体どういうふうに第一線に配置がえするかということが検討の対象になるのではないか。そこで、教育の組織等についても十分に勉強してみなければいけないということで、私どもは現在寄り寄り勉強いたしておる状況でございます。  それから絶対数がはたして集められるか、こういう問題でございますが、これは伊藤委員承知のように、充足率というのは、集める員数と集まってまいります員数と、それから脱落をして去っていきます員数をプラスマイナスをいたしました現在数が、定員に対して何名かということでございますので、幾らがんばりまして集めましても、脱落をしていく者が、満期除隊を含めて去っていく者が多うございますと、どうしても数字が悪くなる。ちなみに、これは二等陸海空士の総数が三十四年くらいからどういうふうに変わってきたか。入隊いたしました者がどういうふうに変わってきているかということを見てみますと、三十三年が三万三千、三十四年が二万二千、三十五年が二万五千、三十六年が三万一千、三十七年が三万四千。このように青年を集めるほうの数はけっこう集まっておるわけでございます。ところが、それに引きかえ退職者——満期で除隊していく者あるいは途中で脱落をしてやめていく者、これが追っつかないくらいに多い。そのためにプラスマイナスは結局悪い数になり、充足率はしたがって悪いと、こういう現状になっておるわけでございます。したがって、ことし私どもがいろいろくふうをして四十年度予算——ただいま御審議いただいております四十年度予算で、まず募集をするための組織を少し強化していただきたい。これは数を多くとるための力をつけていただきたいということでお願いをいたしておりますが、それだけでなく、脱落を防止するための措置、たとえば老朽隊舎を建てかえていただきますとか、あるいは北海道の隊員に年一回郷土に帰れる措置を講じていただくとか、あるいは営外の居住者に待機宿舎を与えていただくとか、あるいは下士官に、曹に昇格をいたします承認をいたしますワクを広げていただく、こういったようないわゆる隊の生活が魅力あるものとなるというような措置を今後お考えいただくというふうにいたしまして脱落をするのを防ぐ。片や募集の力をつけていただく、片や脱落するのを防ぐというのをやってまいりますと、ある程度変わってくるのではないか……。
  218. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) 人事局長、簡略にひとつ……。
  219. 堀田政孝

    政府委員(堀田政孝君) そういうことで、私どもは四十年度のこの措置である程度、第二次防の期間中の四十一年度までの姿というものはある程度わかるんではないかというふうに考えております。なお三次防につきましては、いま基礎的な研究をいたしておりますが、四十年度の施策の成果というものを見守りながら見通しを立てなければならないんではないか、このように考えているわけでございます。
  220. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私に与えられた時間が刻々迫ってまいりますので、少し三次防を途中で切りまして、最後に一点だけお伺いしておきたいと思いますが、自民党の内閣ではこういう意味のことを表明しておるわけですが、自衛のために必要な小型核兵器を使用することは憲法違反とはならないけれども政策上持たないんだと、表現は多少違いますけれども、こういう意味の表現を繰り返してきたわけです。ところが、この小型核兵器についてこういうものだという答弁は何回伺ってもいままでは得られなかったわけです。きょうはその面で、専門家もおられるわけですから、小型核兵器というのは具体的には一体どういうものをさすのか、こういう点をお教えしていただきたい。
  221. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいま先生おっしゃいました小型核兵器ということばでございますが、自衛隊はこういうものを持つことを考えておりませんので、いままでそういうことの定義はございません。なお一般的に行なわれておりますことばは、外国におきましてはいわゆる戦略的核兵器、戦術的核兵器ということばが使われております。戦略的核兵器となりますと、ICBM、IRBM、MRBM戦術的核兵器となりますと、一番小さいものでは昔の重砲級の砲に装備できるものや、デビークロケットといいまして、二人でもって操作できる、シープに搭載できるものがございます。こういうものが一番小さいものでございまして、しかし、これにつきましても必ずしもどの範囲が戦術的核兵器というふうな定義はございません。
  222. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題はおかしいと思うのです。小型核兵器、いま一部御指摘ございましたが、その程度なら憲法違反ではない——核はあげて一切憲法違反だとはっきり答弁すれば、こういう質問は出てこないわけですね。憲法上は違反じゃないのだけれども、現内閣は政策上持たない——この政策上持たないというところが実に危険千万であって、憲法で禁止しておれば国民はみんな安心できるわけです。ところが、憲法違反でないと明確に答弁なさっておるわけです。しかし、御安心なさい、政策上持ちません——この政策は世界の情勢が変わり、また内閣がかわる、同じ内閣でも方針が変わってくれば政策はいつでも変えられるわけです。あすでも変えられるわけです。憲法はそうはいかない。そこで、核はあげて憲法違反だと、そういう御答弁があれば、こういう質問をする必要はないのですけれども、小型のものなら自衛上使う場合は違反じゃないのだ、しかし、ちっとも心配要らぬじゃないか、国民の皆さん御安心ください、政策上持ちませんというだけでは安心ならぬわけですね。政策だからいつでも変えられるわけです。現に内閣がかわるごとに政策は変わっておるわけですね、部分的には。ということで、この問題はきわめて重要な問題であるので、いまの御答弁では、自衛隊は核は持たないのだから、使わないのだからあまり研究していないような意味のこともあったですけれども、やはり核である以上、世界の情勢に勘案してみても、自衛隊は、小型核兵器はこれこれこれと、そういう明確な答弁ができるように当然研究していると思うのです。ただ発表しないだけであって、そういう見解が確かにあろうと思うのです。そういう点を率直に言っていただかないとわれわれとしては理解できないわけです。こういう点をひとついま一ぺんわれわれでも理解できるように御答弁いただきたいと思います。
  223. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 核兵器と憲法の問題につきましては、別に憲法に核兵器を持ってはいかぬということは書いてないわけでございます。従来政府の自衛力に関する考えは、自衛のため必要最小限度の実力と組織というものは持てるというぐあいに申し上げてきておるわけであります。したがって、核兵器がそういう実力、組織の中で持てるかどうかということは、この自衛のため必要最小限度内のものであるかどうかという基準に照らして判断するよりほかないわけであります。先ほど羽生先生の御質問に対しましても、他国に侵略的なあるいは攻撃的な脅威を与えるようなものはこれは憲法の認めているところではないであろうという御説明を、大臣からも、あるいは関係政府委員からも御説明いたしたわけでありますが、したがってただ核兵器という名前がつけばもう憲法違反だというわけにはいかぬだろうというのが従来の政府考え方でございます。  なお、政府としては政策として核兵器は保持しないということを言明してきておるわけでありますが、この政府の方針以外に、原子力基本法におきましては「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り」と、こういう規定があるわけでりあます。したがいまして、自衛隊が核装備をしようという場合におきましては、この原子力基本法の改正の問題というようなものもからんでくるわけでございまして、いずれにしましても政府としては核兵器を持とうという意図は持っておりませんので、具体的な核兵器について、これは憲法違反である、これは憲法違反でないというところまで詰めておらないというのが真実でございます。
  224. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま御答弁ございましたけれどもね、自衛上必要の最小限度の核といったところで、また、先ほど私がお伺いした小型核兵器といっても国民にはわからぬですよ。だから、これは大事なことだから、こういうことをはっきり国民に納得できるように説明する義務があると思うのですね。国民にわからぬような答弁しておって、自分だけわかっても、政府だけはわかっておっても国民にわからぬような答弁では意味ないと思う。国民にわかりますかね。自衛上必要な最小限度の核だ、一体どういうものだということに当然なるわけですか。小型核兵器、自衛のために必要な小型核兵器——わからぬですよ、さっぱり。どういうものか具体的に言わなければ。こういうことについてなお追及したいのですが、時間がありませんから……。  そこで、このことに関連して、第三次防では、一体ナイキ・ハーキュリースを取り入れるのかどうかということをひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
  225. 海原治

    政府委員(海原治君) 第三次防衛力整備計画につきましては、先ほど大臣からお答えいたしましたように、本年六月ごろまでに基本構想を固めたいということで、目下関係部局で鋭意作業中でございます。したがいまして、そのころになりませんとナイキ・ハーキュリースにつきましても結論が出ないという事情でございますので、ひとつ御了解願いたいと思います。
  226. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、もちろん第三次防としての正確なものは国会の終わった直後の六月と、こういうのは、防衛計画一次も二次も、みないままで国会開会中には計画を発表されないで、国会が終わるのを待って発表される。今度もその轍を踏んだと思うのですがね。それは別問題として、正確なものは六月ごろにと長官も先ほど御答弁あったことは私も承知したわけですが、そこで、そういう全体として成案を得るのは六月でありましょうけれども、現時点に立って、このナイキ・ハーキュリースの取り入れについては、一体防衛庁としてはどうお考えか、これは長官ならおわかりになると思うのです。長官、そのお考えはいかがですか。これを取り入れる構想でおるのか、取り入れない構想であるのか、簡単な御答弁でけっこうです。
  227. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 六月ごろまでをめどとして作業をするようという第三次防衛力整備計画の長官としての指示は大綱でございまして、第三次防衛力整備計画の柱ともなるべきいわゆる大綱だけでも六月くらいまでに一応立てて、そうして作業を進めるべきではないかということを指示いたしておるわけでございますから、六月になって第三次防衛力整備計画の内容が明らかになるわけではございませんので、その点は大綱である、大体の構想ということに御理解をいただきたいのでございます。さようなわけでございますからして、いまナイキ・ハーキュリースの問題のごときも、まだいずれにいたしましても、そういう具体的な問題というものはさらにさらにあとになると考えておるのでございまするが、いま大綱を各幕で検討している最中でございますから、ナイキ・ハーキュリースの問題等については、いまだ何とも申し上げる段階ではございませんし、私もまたこれに対してお答えできるような構想は現在の時点までには持ち合わせておらないのでございます。
  228. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、もう時間がまいりましたからやめますけれども、簡単な御答弁でいいのです。断定的な御答弁でなくてけっこうですが、第三次防にはナイキ・ハーキュリースをいまのところ取り入れたいと思いますとか、取り入れようとは思いませんか、そういう簡単な御答弁でけっこうですから、ひとつ。
  229. 海原治

    政府委員(海原治君) 事務的に私が取りまとめをする責任がございますので、私からお答えさしていただきたいのでございますが、いま先生が簡単にとおっしゃいましたことが、実は簡単ではございません。これは航空幕僚監部の担当部局におきましては、ナイキ・ハーキュリースをある程度持ちたいという考えはございます。しかし、そのことに関連しまして、一体防空ミサイルとしてナイキ・ハーキュリースの普通弾頭のものがいいか、あるいはホークの系統でいくのがいいかという問題もございます。さらには、これを編成いたします人員等の見積もりもまだ十分でございません。さらには、これをどこに配置するか、配置の場合のいわゆる対空効果等についても現在検討しております。したがいまして、これらの各般の検討がまとまりまして初めて先ほど先生のおっしゃいました簡単な答えが出るわけでございまして、現在におきましては何とも申し上げられないという事情をひとつ御了察願いたいと思います。
  230. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう時間が来ましたから。
  231. 岩間正男

    岩間正男君 私は、大きく言って二点伺いたいのです。第一の問題ですが、これは自衛隊法の七十六条に規定している防衛出動というのがございますが、これはどんな場合に行なわれるのですか、防衛庁長官に伺います。
  232. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 防御出動ということは、わが国に侵略が行なわれたとき、あるいは、また、行なわれるおそれのある場合を考えておるわけでございます
  233. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、二つの場合があるわけですね。外部からの武力行使があった場合、それから、外部からの武力攻撃のおそれがあった場合、この二つの場合が想定されますね。そうすると、あとのほうの、このカッコの中の「外部からの武力攻撃」があったときとは、具体的にどんな場合をさすのですか、具体的におっしゃってください。
  234. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 具体的に申しますと、たとえばわが国に侵入をしてくるというようなのが一つ入ろうかと思います。それから、わが国には侵入してまいりませんが、これに対して武力攻撃をしてくるというような場合、こういうようなものが一番代表的なものではないかというふうに見ております。
  235. 岩間正男

    岩間正男君 侵入してくるときは第二でないでしょう。これははっきり第一の「外部からの武力攻撃」があったときで、このことを私は聞いているのじゃないのです。質問の意味をはき違えないでください。「おそれのある場合」というのは非常にあいまいで、拡張解釈ができることです。しかし、具体的に言えばどうかというと、たとえば私は例をあげましょう。韓国に戦争が起こって、この前もあったんだが、釜山が外国軍隊に占領された、こういう事態が起こった場合、こういう場合もおそれがあると考えるのか。あるいは、もう一つは、日本の海空領域に外国の航空機や艦艇が出没する、そうして、領海や領空を侵犯してきた、入ってきた、こういう事態をさすのか。私は例をあげていますから、こういう場合をおそれがあると解釈しているのかどうか、これははっきりおっしゃってください。
  236. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 「武力攻撃のおそれのある」ということばは、武力攻撃が行なわれることが明白であるという程度に、非常に厳格に解しておるわけでございます。なお、わが国の周辺のわが国の艦船に対して攻撃が行なわれるというような場合は、むしろ「外部からの武力攻撃」というのに入るのではないか。それから、韓国で事態があったということ、それだけで必ずしも「武力攻撃のおそれのある場合」ということにはならないと思います。
  237. 岩間正男

    岩間正男君 どうもはっきりしないのですが、ことばのあやみたいな御答弁でなく、先ほどからどうもぴしゃっとしないですね、これは。自衛隊は軍隊なんですからね、もっと明確にやりなさいよ。私は、そういう点で非常にカッコの中のやつははっきりしない。拡張解釈が非常になされる余地が十分にある。自衛隊法の中で一つのこれは組みたいな、何か関連の網でもって何でも拡大できるようなものではないか、こういうように思います。この点を指摘しておきます。  それから、その次に、伺いますが、この自衛隊法と関連して、安保条約第五条における日米共同行動、これをとる場合、これはどんな事態ですか、この場合は。
  238. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 安保条約第五条の発動される要件は、わが国の施政下にある領域に対しまして武力攻撃が行なわれた場合でございます。
  239. 岩間正男

    岩間正男君 これは安保条約の第五条にはっきり書いてありますね。そうすると、自衛隊法と違いますね。自衛隊法の場合は「おそれのある」というのが入ってくるし、それから、安保条約第五条によると、武力攻撃がはっきりあった場合だけでしょう。これ以外には、これは日米共同行動はとれない、こういうふうにこの条文は読まなければならぬと、こう思うのですけれども、この自衛隊法との食い違いをどういうふうに考えますか。
  240. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 自衛隊法の七十六条では、カッコの中に「(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)」と書いておりまするから、七十六条と安保条約第五条と比較をいたしまするというと、自衛隊の防衛出動を命じ得る場合のほうが広いということは言えると思います。ただ、自衛隊法では八十八条で武力行使のことが規定してあります。そして、その八十八条の第二項では、自衛隊がわが国を防衛するため、必要な武力を行使する場合におきましては、「国際の法規及び慣例によるべき場合にあってはこれを遵守」すると、こう書いてあるわけでございます。この一つには、いわゆる国際連合憲章の第五十二条も入るわけでございまして、したがって、自衛隊としては、七十六条の解釈それだけといたしましては、防衛出動命令によりまして武力を行使し得る状態には置かれますけれども現実に武力行使するのは、国際連合憲章第五十一条に従って行動するわけでございまするから、現実の武力攻撃があった場合に行なう、こういうことになると解しておるわけでございます。
  241. 岩間正男

    岩間正男君 自衛隊法の説明をしていますけれども、安保の第五条はどうかと言っているのですよ。防衛庁長官どうなんですか。これは重大な基本的な問題ですから、これは長官の見解を聞かせていただきませんと、法制的にちょこちょことやられたって話にならぬ問題ですが、これはどうなんです。私は第五条の場合を言っているわけですがね。第五条とそれではぴったりと一致するというのですか、しないというのですか、どうなんですか。はっきりと食い違いがあると認めるのかどうなのか、これは防衛庁長官答えてください、中心問題ですよ。
  242. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 七十六条について少しふえんして申しますと、そのほうがあとの御説明をするのにおわかりいいかと思いますが、七十六条では、外部からの武力攻撃に対して、あるいはその場合は先ほどの武力攻撃のおそれある場合も含めておるわけでありまするが、この場合に、わが国を防衛するため必要と認めるという、そういう認定を内閣総理大臣はされるようになっているわけでございます。それから、安保条約の第五条は、外部からの武力攻撃というものが行なわれますると第五条が発動される要件が充足されると、こういうふうになるわけでございます。
  243. 岩間正男

    岩間正男君 私の聞いた最初の質問をはき違えないでやってもらいたいですね。自衛隊法の「おそれのある場合」、この場合に、これは安保第五条の日米共同行動はとれないと私は思う。これははっきり法制的なたてまえから言えばどうだと、こう聞いているのです。これに答えてくださいよ、これにぴったりするように。
  244. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 要するに、自衛隊の行動だけについて申しますというと、七十六条によって規制をされておるわけでございます。したがって、自衛隊の防衛出動というのは、外部からの武力攻撃、その中には武力攻撃のおそれある場合もありますが、それに対してわが国を防衛する必要があると内閣総理大臣が認定をし、原則として国会が承認を与えた場合、初めて出動が行なわれるということになるわけです。さらに、先ほどつけ加えて申しましたように、現実の武力行使というものは、やはり外部からの武力攻撃が日本の施政下にある領域に対して加えられたとき初めて行なわれる、こういうことでございます。
  245. 岩間正男

    岩間正男君 先回りしておるのじゃないですか。私は自衛隊の防衛出動について言っておる。防衛出動がとれると書いてあるでしょう、七十六条におそれのある場合も。ところが、安保ではおそれのあるなんというものはない。はっきり「武力攻撃」と、こういっておるのですから、したがって、この自衛隊法のおそれのある場合による防衛出動の場合は、これは日米共同行動はとれないのだ、こう解釈するのがあたりまえだと思いますが、これはどうかと聞いておる。よけいなことを言う必要はない、その点だけはっきり答えてください。
  246. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 安保条約第五条で共同防衛の義務が発生いたしますのは、日本に対して武力攻撃が発生したというときであります。
  247. 岩間正男

    岩間正男君 結局とれないのでしょう、おそれのある場合では。
  248. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 七十六条によって、自衛隊かわが国を防衛するため必要あると認めて出動するということは、何ら安保条約の五条で制約を受けておるというふうには考えておりません。
  249. 岩間正男

    岩間正男君 制約じゃない、何だかはっきりしない答弁だね。私の質問の趣旨をはき違えておるのじゃないですか。何か違いますよ。だれかかわってくださいよ。日米共同行動はとれないでしょう、おそれのある場合の出動には。防衛庁長官
  250. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 安保条約第五条によりまして共同の防衛義務が発生いたしますのは、これはわが国の施政下にある領域に対して武力攻撃があったときだと、こう申しておるわけです。
  251. 岩間正男

    岩間正男君 防衛庁長官、どうですか、とれないでしょう。
  252. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 安保条約では、先ほどから説明をいたしておりますとおり、おそれのある場合には日米共同体制はとれないと解釈をいたしております。
  253. 岩間正男

    岩間正男君 そう言ってくれればはっきりする。まさにそのとおり、条約を読めばそうなる。そうすると、これはとれないとすれば、一体どうするのかという問題なんです。実際の作戦に間に合わないということが起こるのじゃないか。実際は武力攻撃のおそれがあるということで自衛隊の防衛出動を下令して、それから米軍はこれと合わせて安保条約の発動を待たずに日米共同作戦に入る。これが実戦の場合、ことにボタンを押す戦争だと、こういわれておるこういう時代には、こういうことでなければ間に合わないと思うのですが、ここに安保条約第五条と自衛隊法との間に作戦上そごがくるような、そういう間隙があると思うのですが、どうですか。
  254. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) いま申されますとおり、条文の上から解釈いたしますれば、必ずしも安保条約と自衛隊の防衛出動というものがぴったりいっておる点が全部であるとは申されないのでございます。しかしながら、これはやはり具体的な事例に当面をしなければ御説明はできないわけでございまして、いろいろな観点が想定をされるでございましょうけれども、そういう想定の問題に対して私どもはお答えを申し上げることはできないのでございます。
  255. 岩間正男

    岩間正男君 先ほど申したように、おそれがある、たとえば韓国にとにかく外国の軍隊が入ってきた、釜山にまで入ってきた。それでさえもおそれがある場合とは言えないとか何とかいう答弁があったのですが、それ以上の事態も考えられるわけですが、その場合に自衛隊では治安出動をやってしまった、おそれがあるというので。しかし、共同作戦はとれない。日米はかってな個別な行動をとらなければならない。こういうような事態になれば、これは当然そこのところに食い違いが出てきましょう。この問題が——いいですよ、あなたそこで忠義ぶってやったってだめだ、やっぱりぴしゃっとしなければ、そんな解釈じゃだめだ、防衛庁長官に聞いているんだから。——そういうことになるので、ここのところの間隙がはっきりあることは明確だ。これを埋めるために何らかの秘密協定をやったんじゃないですか、日米間の。
  256. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 自衛隊の防衛出動については「おそれのある場合」ということが書いてはございますけれども、私どもが考えまするには、単なる推定等によってそういうことをすることは、かえって相手を挑発するということもございまするので、実際問題としては、やはり具体的に侵略を受けるという事態が発生をしなければなかなかそういうことはできないのではないか、また、やるべきではないのではないかとも考えられるのでございます。この安保条約第五条との関連において、食い違いがないように何か協定でもあるか、話し合いでもしているかというお尋ねであるかと思いますが、さようなことはいままでのところは全然ございません。
  257. 岩間正男

    岩間正男君 防衛庁長官の答弁としては、はなはだ奇怪に思います。それなら七十六条は削除しないよ、カッコの中を。そうしなければ合わないです。法制的には残しておいて、それは何ぼでも拡大できるような余地を残している。こういう事態での論議はまだいいですよ、事態が急迫してみなさい、いままでも苦い経験を日本の人民は持っている。そういうことをなぜカッコの中に「おそれのある」ということを残したのですか。これをはっきり削りますか。削らなければいまの答弁では合わないのですよ。いかがですか。
  258. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 法制的のことは別にいたしまして、岩間委員もいろんな場合を、そういう場合があり得るんではないかというような一応の想定のもとに立って論議をされておりますので、私も常識的な見解といたしまして申し上げたわけでございます。その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  259. 岩間正男

    岩間正男君 小泉防衛庁長官の常識は私も期待をしますけれども、常識でやっていければ何も政治は問題がない。しかし、急迫してくるとどんな条文でも生きて芽をふいて、これがものすごいものになってくる。こういうことはいままでの先例も示している。そのために国会議員はその任務を遂行してこうして質問しているわけですから、そういうふうな常識論でものを申すということは望ましくないので、あなたはそういう秘密協定はないとおっしゃいますが、そこで、私は三矢白書を出してくださいと言うんです。これを出せばはっきりする。三矢にそう書いてあるでしょう。三矢に第三動研究問題状況下の研究No12というところの「用兵の基本に関する事項」、これはあなたも言われたでしょう。これははっきりしている。その中にはっきり出ているじゃないですか。すなわち、第一に「日米共同作戦の準拠は先に定めた『日米共同作戦要領』によるものとする。」、そうしてそのあとに第二として「防衛出動を下令された部隊は、日米安全保障条約第5条の適用を受けない事態においても、わが国防衛上必要と認めた場合は、前号による日米共同作戦を実施することができる。」はっきりこのような規定が「日米共同作戦要領」という中に出されている。ここが非常に大きなぼくは問題になってくるところだと思うんですよ。つまり、いまの間隙をはっきり埋めるためにこのように取りきめたものが三矢作戦であることは明白な事実ですよ。なぜこれを率直に国民の前に明らかにすることができないのか、ここに問題があります。私はこういう点からお伺いしたいんですが、日米共同作戦要領は、もうはっきりこれで取りきめられているはずです。したがって、岡田議員から提出要求があり、いま社会党をはじめとする野党で要求しているのですから、私ははっきりこの「日米共同作戦要領」というのを出すべきだ。それから、第二に、国防上の必要だということでこういうことをやるというと、なんぼでも拡張解釈ができる。自衛隊法や安保条約の不当きわまる規定さえ破って、われわれはこの自衛隊法を認めないものだが、それさえも、こういうものでさえも踏みにじって、そして実際はこういったような秘密協定でどんどん作戦を進めていく、ここにはっきり三矢の正体が出ているじゃないですか。あなたはおそらくこれをどういうふうに答弁されるかわからないですけれども資料を出さないでおいてどんな弁解しても通らないのです。この点からはっきりして答弁してください。
  260. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 日米共同作戦要領というものはございませんので、これは前から申し上げますとおり、あくまでも三矢図上研究なるものは、幕僚の想定研究の答案を集めたのでございまして、これは資料を出せと申されましても、従来たびたび申し上げておりますとおり、国会のいわゆる資料と名づくべきものではございませんし、防衛庁の正式見解として責任が持てるものではないので、これは御要望に応じて提出するわけにいかぬということをはっきりお断わり申し上げて現在に至っているわけでございます。  それはそれといたしまして、いま御指摘の日米共同作戦要領というものは実際にございませんので、これはやはり該当者の何か感違いであった、いわゆる単なる未熟な作文であったと私どもは思うのでございます。
  261. 岩間正男

    岩間正男君 また単なる未熟な作文が出てまいりましたね。何か苦しくなるとそういうことを言っているようですけれども、そういうことで通りますか。国民の疑惑の中に包まれている問題ですから、出せばいいのです。そうでない確信があるならば出せばいい。出さないでしょう。一方から出されて、その弁解に立ち回っているということじゃ見苦しいです。そういうことでは話にもなりません。  私は第二の問題に移りたい。大臣にお聞きしたいのは、自衛隊の行動範囲は、つまり用兵区域ということになるのですか、「わが国の施政下にある全領域並びにその周辺海空域」、つまり四つの島とその周辺海空域に限定さるれと思いますが、いかがですか。
  262. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいま先生のおっしゃいました「周辺海空域」という、その「周辺」ということばが実は問題でございまして、先般岡田議員の御配付になりました資料の際にも、この「周辺海空域」、は領海領空ととられまして、そのまた海域ということばを使って、それは公海だというふうに説明されたことを記憶しております。いま先生のおっしゃいましたことばの中で「領域」ははっきりしております。領海領空もはっきりしております。公海において行動することは当然でございます。それがわれわれの自衛隊の艦船、航空機の行動範囲このように了解しております。
  263. 岩間正男

    岩間正男君 「周辺海空域」のいわば定義づけみたいなのがあったのですが、領海領空、さらにそれにつながる公海である。そうすると、四つの島とその周辺の海空域といま限定された、そう解釈していいですね。制限があるわけですね、はっきり。そうすると、私はお聞きしたいのだが、自衛隊の行動範囲と安保第五条による日米共同作戦の場合の行動範囲と同じですか、違うのでございますか。
  264. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 安保条約五条によりますと、それぞれの「憲法上の規定、及び手続に従って」ということばが入っているわけでございます。したがいまして、これは自衛隊につきまして、自衛のために必要な行動をやるということでございまして、それ以上の行動をやるということはないわけでございます。
  265. 岩間正男

    岩間正男君 またばく然とした答弁なんですね。私の聞いているのは、自衛隊の行動範囲と、安保五条による共同作戦による行動範囲は違うか同じかと聞いておる。これは答えられるでしょう。
  266. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 私のいまお答えしたところで尽きるわけでございますが、共同作戦と申しましても、自衛隊でできる限度というものがあるわけでございます。それはわが国を防衛するために必要な限度で行動するということでございます。それ以上に共同作戦をやるということは考えていないわけでございます。
  267. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、いまの答弁では同じだということですね。
  268. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 必らずしも同じというわけではございません。
  269. 岩間正男

    岩間正男君 おかしいじゃないですか。自衛隊のできる行動範囲だと、それ以外には延ばさないんだと、自衛隊のあれと同じにならなきゃいけない。そうでしょう。違うのですか。どう違うのですか、違うところを言ってください。
  270. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) お答えいたします。自衛隊の行動できる範囲というのは、自衛隊の行動がわが国の憲法上許されている範囲であるということ。アメリカは、アメリカの憲法の規定なり憲法の手続に従って行動をするということでございます。その間、アメリカは、いわゆる宣戦布告というようなこともできるわけでございます。したがって、アメリカについては、日本憲法のような、自衛隊のような制約がないわけでございます。もちろんわが国に対して武力攻撃を排除するわけでありまするから、国連憲章からの自衛権行使の制約というものは当然あるわけでございますが、自衛隊が行使する自衛権よりも多少範囲が広いことも、場合によってはあり得る、こういうことであります。
  271. 岩間正男

    岩間正男君 実にあいまいですね。あなたのそういうあいまいなことでやっておっては困る。あなたのは、日米共同行動というのはアメリカ一国でできるんだ、それを前提としなきゃ成り立たないじゃないですか。そんなばかなことを言って、二人でやってるんでしょう。これには限定がある。これは自衛隊というものが共同行動できる範囲というのはきまっているじゃないか、同じじゃないか。そこがあいまいなんだ。あんたたちのあいまいなところ、そこが非常にくせものなんです。いまのこういう答弁をやって、そんな形式論でわれわれを引き回そうとしたって、そんなこと絶対できません。そんなばかなことができますか。同じことだという解釈をとる以外にないじゃないですか。観念の遊戯なんです。そんなものわれわれは要求しているんじゃない。共同行動というのはアメリカひとりでとれるんだという前提があればいま言ったなにが成り立ちます。そんなばかにしちゃいけませんよ、そういうかっこうでね。  それじゃ次に聞きます。それなら安保条約の極東の範囲とどう違いますか、自衛隊の用兵の範囲と、具体的に。
  272. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 安保条約に出ておりまする極東の範囲というのは、その当時政府からたびたびお答えいたしたと思いますが、日本及び日本周辺の区域を申すのであります。フィリピン以北の日本周辺の区域をいうものであるというぐあいにお答えしておるわけでございます。それから、自衛隊の行動は、先ほど申しましたように、わが国に対する武力攻撃を排除するために必要な範囲に限られるわけでございます。あくまで自衛のため必要な限度に限られるわけでございます。極東のフィリピンのほうまで自衛隊が出撃をするということは考えていないわけでございます。
  273. 岩間正男

    岩間正男君 私は三つのなにを、あなた資料としてこれ出してもらいたいと思う。自衛隊では一体どういう見解をとっているのか。自衛隊の行動範囲、第二には、安保第五条による共同行動の範囲。第三は、安保条約の前文にある極東の平和と安全のためという、この極東の範囲、この三つを明確にしておかぬというと困るので、これは資料としてあんたたちやってください。これを要求して私は先に進みたいと思いますが、この点どうですか。これは防衛庁長官どうです。はっきり見解出してください。
  274. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) いままでの御質問に対して麻生参事官が答えたところで十分尽きておると存じます。
  275. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連して。日本の自衛隊自身が行動できる範囲は、領海、領空は別として、国内で、海外出動はできないと、そういうことは考えておらぬということではなくて、それはできないとはっきりきまっているでしょう。それならわかっている。米軍の行動は別です。極東の範囲から見ると、自衛隊自身というものは、もう絶対に海外出動はできないと明確にきまっておるのではないですか。考えておるとかおらぬとかいう問題ではない。
  276. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 要するに、自衛隊の行動は、わが国の自衛権の発動として行なうわけでございます。したがって、あくまでも自衛のため必要最小限度の範囲にとどめるということになるわけです。もう少しはっきり申しますならば、要するに自衛権でございますから、急迫性の侵害があって、これを排除するために他に手段がない、しかも、それを排除するに必要な限度にとどめる、こういう基本的な制約があるのでございます。したがいまして、一般的に言うならば、海外に出動するということはまずないわけでございます。これは自衛隊法なり防衛庁設置法昭和二十九年に国会を通過いたしますとき、参議院の院議でも海外出動は行なわない旨の御決議がございました。したがって、自衛隊といたしましては、この御決議に従って行動するという考えでおります。
  277. 岩間正男

    岩間正男君 先ほどの説明の中で、とにかく自衛隊の行動範囲と、安保第五条による日米共同の行動範囲は違う、そこのところが非常にあいまいにされた。そのあいまいにされたところがくせものだと私言ったのは、実際日米共同作戦のたてまえ上、どうしてもこれは極東の平和と安全を守るという口実で、自衛隊がその行動範囲を越えて行動する場合が当然起こってくる、これを予想しなければ日米共同行動というものは成り立たない、そういうことのためにこれはいまのようなあいまいな解釈が私は残っていると思うのです。日米共同行動で、そして領海、領空に出て行く、公海に出て行く、さて必要が出てきた、このときアメリカからいくと、日本はここから行けないから、これでおいとまします。さいなら、こんなことできますか、こんなことできないでしょう。そこの限界というものはずるずると越えていくのです。だから、私は、そういうような必要上、はっきりこの点について自衛隊の用兵区域というものがあらかじめきめられているのじゃないか、すでに日米間にもう話し合いができているのではないか、こういうふうに考えられるわけでありますが、この点について防衛庁長官の御答弁を願います。
  278. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 岩間委員の申されることも、やはりこういうことが予想されるのではないかというような、予想とか推定とか想定でございますので、私も具体的な問題にならなければ、責任ある御答弁ができないわけでございます。
  279. 岩間正男

    岩間正男君 巧みに答弁されたようなおつもりでしょうけれども、われわれは民族の運命をあずかっている、少なくともそういう確信でおります。だから、先のことを考えるのはあたりまえです。将来のことを考えないで、あすを考えないで一体どのような論議をするのか。いまのような答弁で逃げ切ろうたって逃げ切れるものではない。三矢作戦の前記のあとを見てください。用兵の基本に関する事項、ここでは、そうして先の続きの第三項ですが、「自衛隊の用兵地域は、わが国の施政下にある全領域ならびにその周辺海空域と」一応決定しているが、「海空の部隊がその外域に作戦する必要がある場合は、あらかじめ定めてあるものを除き、そのつど指示する。」、だから、あらかじめ定めてあるもの、きまっているのです。そして、なおかつ必要があれば、それを越えて、あらかじめ定めてあるものをさらに越えて、そしてその外にまで行動する。そうしますと、そのつどの話し合いではどこまでも拡大できるのです。これが三矢の正体ではないですか、これが正体ではないですか。どうしてこういうことを明らかにできないのか。作戦上、用兵上なんと言うけれども、この憲法下における自衛隊として、こういうものが明らかにされない、されないところに自衛隊の性格があるんだというなら、これは自衛隊そのものは明らかに人民のものでないということの何よりの証拠じゃないですか。こういう点について、あなたたち、はっきりもう全く矛盾と混乱の中にいるのですから、そういうものの中で、そう言うと迂回した回答を繰り返していちゃならぬと思うのです。人民をだましちゃならぬと思う。これは非常に重要な日米共同の作戦に関する事態でありますから、これをお伺いしたい。そうするというと、自衛隊のきめられた行動範囲をはるかに越えることはできる、そういうとりきめをやっておるのがずっとこれできておる、そういうことでしょう。
  280. 海原治

    政府委員(海原治君) 先般来、そのつど大臣から、三矢研究の答解なるものは未熟な部分があるということを申されました。政府として責任が持てない、したがって、資料としてお出しできないのだ、こういうことをおっしゃっております。これもまさにその例でありまして、この文章を読んでみますと、よくわかりません。先ほど私が申し上げましたように、先般この文書を衆議院でお配りになりましたときに、この周辺海域、周辺海空域というのを公海と解釈いたしますと、その先の外域になると人の国に入ってしまうのですが、そういうことを考えるものはまずいないわけです。そういうことはできないわけです。そこで、先ほどお答えいたしましたように、この施政下にある全領域ということばと周辺海域、この領海、領空とが一緒のものであるとなりますというと、その外域というものが公海、公空を意味するということになるわけです。そう書くのが常識でございます。ところが、この答案を書いた人は、この領域ということば、あるいは周辺海域ということば、外域ということば、このことばの選択に対して慎重を欠いておる。そういうことでいまのような誤解が生ずるわけです。さらに、この「先に定めた日米共同作戦要領による」と書いてあるから、当然に日米共同作戦要領があるのだというお考えですが、これは文章を読みますと、そのようにおとりになるのは、とられても——ところが、私は、責任上、全部通読いたしましたが、この日米共同作戦要領というものはございません。と同時に、配付されました資料に、日米共同の作戦対処方針というものがあります。したがって、この問題12の答案をつくりました者は、この日米共同の対処方針のことを日米共同作戦要領と誤解したものと、こういうふうに判断する以外解釈の方法がないわけです。先ほど大臣からお答えしましたように、かつまた、先般私が累次の機会に申し上げましたように、現在日米の共同作戦計画というものはございません。これは私政府委員として、責任を持って御説明しているところをひとつ御信用願いたいのでございます。日米共同作戦計画がない以上は、共同作戦要領というものはないわけです。したがいまして、ここに書いてありますところの日米共同作戦要領は、「先に定めた」とありますけれども、定めておられませんし、これに類するものは、同じく配付されましたものは日米共同の対処方針である、こういうように御解釈いただくのが適当かと思います。したがいまして、先ほど来申しますように、自衛隊が本来の守備範囲外に出るということは絶対にございません。さらには、先般西村長官の時代でございましたか、日米の守備範囲につきまして、日本の自衛隊は内野である、アメリカは外野だ、こういう比喩をもって御説明になっておりますが、われわれは当然に、その能力から申しまして、いわゆる内野のことしかできません。これが外野の分野に足を踏み入れるということは、それ自体、共同作戦を混乱させるものでありまして、そういうことはないということをあらためて申し上げておきます。ぜひそのように御了解願います。
  281. 岩間正男

    岩間正男君 この国会論議は不公平の原則に立っておる。あなたたちは自分のほうのものを読んで内容に入らない。これは三矢に触れるわけです。そして、日米共同行動要領というものはないのだ、日米対処要領の間違いだ、——われわれが判断するところのものは何もないのです。材料が。こういうように国会論議が片ちんばでいいのですか。あなたたちはちゃんと公式のものを出して、その上に話をするなら話がわかる。ところが、出さない。自分だけはこう見ている、どこで見ているかわからぬけれども、そうでしょう。金庫から出しているのか、わからないものを出して見ておる。われわれはそれを聞くよりしようがない。だから、われわれはこういうものを反証としてあげておるのに、あなたたちはそこのところを非常にあいまいにしている。日米対処要領というのは、いまのお話だとあるのですね。これは出してもらいたい。そういうことになるでしょう。いまのお話だと、全くそれはあなた、人の出した資料をたよりにしてそんなことをされちゃ、これだって信用ならないと思うのだ。どうなんでしょう。そういう矛盾にちゃんと落ちているのですよ。三矢論議をやったものを、内容を防衛局長はどう考えておるか知らないけれども、ちゃんと三矢論議の内容を人が書いたのを、おそらくだれか知らないけれども、やっているのです。それはいいです。そういうことをいつまでやっても時間がないから。そういう問題で、海外派兵の問題をだいぶむきになって否定されましたけれども、われわれはだれも安心しておりません。安心しているのはだれでしょうか。ほんとうに防衛庁の何人かの連中でしかないじゃないでしょうか。そんなことじゃだめですよ。われわれは非常に不安を持っておる。  次に進みます。状況下の研究No11、その中で「日本防衛の作戦区域」の中で、「全般的作戦指導上、あるいは直接的に日本防衛上、対象国領域への作戦実施は必至である」と述べておるのに対して、日本側では、必要な時期にあらためて協議したいと答えているが、海外派兵を考えている証拠ではないか、これは海外派兵をはっきり断わってしまえばいいのです。断わっていないですね。そのときに協議しますというのが非常にあいまいなんです。あくまでも海外派兵はしませんと言っているが、これは作戦の必要によって、どうしてもこれは対象国、この対象国の領域に作戦を実施する、つまり上陸でしょう。こういう場合については、あなたはあとは相談しますと言っておる。  それから、時間の関係でその次に聞きますが、日本の防衛のための核使用の場合についても、米側の要求に対して、期未熟だから、暫時情勢を見た上でと答えているでしょう、こういうことです。これも態度としてはなはだ不明瞭と言わざるを得ない、いままでの政府の答弁と食い違いがあります。政府の答弁は、いかなる場合にも、核兵器の持ち込み、核兵器の使用を日本政府としては絶対にこれに同調しませんということを言っておる。ところが、考えますと、これも非常におかしいのです。こういう点のあいまいさというのは、これはなんですが、アメリカ側から押されて、それでこれに対して断わるに断われない、断わる意思もないのかもしれない。しかし、時期が悪い。国民が反対しているそういう態勢の中で、実にあいまいな態度で終始しておる、こう言われてしようがないじゃないですか。どうですか、防衛庁長官
  282. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 防衛庁政府の見解と食い違うと申されておりまするが、食い違うのは当然でございまして、先ほど来申し上げておるとおり、防衛庁の正式見解ではない、各幕僚の一人一人の思い思いの答案である、中には未熟なものもある、勘違いしたものもあるというように申し上げておるわけでございまして、初めからこの問題についての立論の基本が岩間委員と私どもは全然違うわけでございまして、むしろ食い違っておることが、あるいは当然な面もたくさんあるわけでごございます。
  283. 岩間正男

    岩間正男君 それは佐藤総理があんなふうに百八十度変わる前だったら、私はそういうことも一応信用したのです。ところが、研究といえどもゆゆしい問題だ、厳重にこれに対して対処しなければならぬと、それから、なんですか、二、三日たたないうちにくるっとひっくり返った。しかし、そうして一週間後には、今度は当然だと、こういうことを言っておる。こういうようなやり方でいまのような御答弁をなされたって、これはわれわれ信用しません。  それから、もう一つ言っておきます。安保条約第六条の実施の問題で「日本へ配置の重要な変更」、「基地使用」、これが第六条の実施の問題ですが、これについて米側の必要な場合は全面的にこれを実施し得るよう包括的承認を与えることを承認しているじゃないですか。包括承認というのは白紙委任ですよ。基地の全般的な使用、あるいはいろいろな用兵のその後の作戦上について、事前にもう承認を与える、こういうことでどうして一体日本の自衛の範囲などというのは限界が守り切れますか。私はこういうことを考えますと、以上三種の問題で触れたのですけれども、三矢作戦というのは、非常にこれは危険きわまりない構想ですよ。それはベトナムでの壊滅的な敗北を前提として、その立て直しとして第二次朝鮮戦争などというものを予想し、これに対する日米共同作戦を立てて、日本をアメリカの侵略戦にかり立てようとしている、こういう疑いが十分ある。安保条約と安保体制のもとでは、あなたたちが、自衛隊法で常に口にしておる自衛の範囲などという、その範囲をはるかに越えて行動することが書き込まれている。明らかにこれは憲法違反の反人民的な作戦計画である。この全貌を出さないというなら、それをあなたたちはっきり勇気をもって明らかにしなさい。そうでない限りはだれも信用しませんよ。私は時間が非常に少ないから、まだまだ言いたいことがあるのですけれども、まあ三矢の問題についてはこのぐらいにします。  その次にお聞きしたいのですが、これは米国の北ベトナムに対する毒ガス使用の問題です。これは御承知のように、全世界から非難されている。防衛庁長官もこれは御存じでしょう。たとえば英国の労働党の二十二人の人が緊急集会を開いて、自分の国の外相、訪米中のスチュアート外相に抗議さした。あるいはフランスのル・モンド紙が非難をした。それから北京大公報、人民日報などこれに対しまして、「南ベトナムで米国が毒ガスを使用したことは、彼らが国際法を無視し、人道主義の最も重要な基本原則を踏みにじったことを表明し、米国の悪党たちが、これはまさにファシストである。」ことを暴露したものである。」と、この性格を明らかにした。アメリカの内部でさえも、これは非常な動きが起こっておることは御存じでしょう。これはもうノース下院議員など六人が、二十三日、ジョンソン大統領あてに、このような毒ガスを中止するよう訴えている。あるいはニューヨーク・タイムズのレストン記者が「機関銃で人間を殺すより麻痺させるほうがいいというのか。」というような皮肉を言っている。「毒ガス使用のおもな効力は、南ベトナムの政府軍の権限だけでこれが使用されることを知った世界の人々に、世界に嘔吐を催させたことであった。」と、こういう痛烈な批評を与えておる。これはアメリカ内部のことですよ。防衛庁長官、これに対してどういうふうに考えていますか。
  284. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) この問題につきましては、参議院の予算委員会におきましても委員の方から質問がございまして、外務大臣や、外務省政府委員のほうから、南ベトナムで使用されているいわゆるガスの内容についての説明がありまして、私どもこれを承知したわけでございますが、普通、毒ガスと申しますと、一般の世人の常識では、死に至らしめるとか、あるいは死に至らしめなくても、それに近いような危険なものというようなふうの解釈がいわゆる一般の常識であろうと存じております。今回の南ベトナムで使用されたガスは毒ガスではなくて、暴動鎮圧用の催涙ガスみたようなものであるという説明がございましたが、それはそれといたしまして、こういうガスの使用を防衛庁長官はどう思うかというお尋ねでございまして、しいて答弁を求められるといたしますならば、私の考え方といたしましては、予算委員会においても申し上げたとおり、こういうことは好ましいことではないと存じます。
  285. 岩間正男

    岩間正男君 好ましくないくらいでは私済まないという感じがするんですね。ガスの内容についても、催涙ガスぐらいだ、とんでもない話だと思います。私は、自衛隊をあずかる責任者としてのあなたの覚悟を聞いているわけです。それについて、大体国際法規において日本政府はどういう立場をとっているんですか。ヘーグの条約においても、少なくとも三つの国際法規がある。これに対してどういう態度をとっているか、御存じですか。これはむろん防衛庁長官として御存じだと思うんですが、どうですか。
  286. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) ガスの協定なるものがあることは私も承知いたしておりまするが、日本がどういうものに入っているか、そういうことを実は正確に存じておらないわけでございます。
  287. 岩間正男

    岩間正男君 驚きました。使うとすれば自衛隊なんですからね。その自衛隊の長官が御存じない、これはたいへんなことですよ。ヘーグ宣言は、これは批准しているんですか、批准していないんですか、日本は。一八九九年ですね、これはどうですか。
  288. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) いまの御質問は、一八九九年の毒ガス禁止に関するヘーグ宣言のことでございますか。——これは加入しております。
  289. 岩間正男

    岩間正男君 批准しているかどうか。調印と批准とあるでしょう。批准しているんですか。
  290. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) これは一九〇〇年に批准していると思います。それは一八九九年の毒ガスの禁止に関するヘーグ宣言です。
  291. 岩間正男

    岩間正男君 一九〇七年の陸戦の法規慣例に関する規則、これはどうですか。
  292. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) これは加入しております。ただ、直接陸戦の法規慣例に関する条約は、毒ガスということばは直接は出ていない。
  293. 岩間正男

    岩間正男君 これは加入している。——アメリカはどうですか。ヘーグの宣言と陸戦法規についてどうですか。
  294. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 私ちょっとはっきり記憶しておりませんが、陸戦の法規慣例に関する条約については、これはアメリカも加入していると思います。それから、毒ガスの禁止に関するヘーグ宣言については、アメリカは加入していないと記憶しております。
  295. 岩間正男

    岩間正男君 これはヘーグ宣言についてはアメリカは加入していない、日本は批准している。陸戦法規に毒ガスと言ってないといいますが、これは二十二条の「特別ノ条約ヲ以テ定メタル禁止の外、特ニ禁止スルモノ左ノ如シ。イ、毒又ハ毒ヲ施シタル兵器ヲ使用スルコト」と、これははっきり出ている。これはアメリカが署名し、それから批准、寄託しているでしょう。はっきりしているでしょう。これはどうなんですか。
  296. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 先ほど私記憶がはっきりしていませんと申し上げましたが、おそらく陸戦の法規慣例に関する条約はアメリカも入っていると思います。ただ、毒または毒を施した武器というのは、直接毒ガスを規定したものではないということは、きのうも予算委員会でも条約局長から御答弁があったと思います。
  297. 岩間正男

    岩間正男君 一九二五年のジュネーブはどうですか、ジュネーブの議定書。
  298. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 一九二五年の国際連盟の理事会が中心になってできました毒ガス等の禁止に関する議定書、これにつきましては、アメリカも日本も批准をしておりません。
  299. 岩間正男

    岩間正男君 そういう問題は、これは自衛隊なるがゆえにはっきりしてもらいたい。そうして、これに対して毒ガスはむろん自衛隊としては望ましくないことだと小泉防衛庁長官言われたが、あらためて聞きますけれども、自衛隊がこのようなことを、これはどうですか。アメリカとの関係で、やらないという保証がないようにも思われる。これについてどう考えますか。
  300. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) わが自衛隊において、毒ガス使用などというようなことは、毛頭考えておりません。
  301. 岩間正男

    岩間正男君 そういうことを言っていますが、自衛隊の陸幕では、いまその研究を進めているんじゃないですか。また、現に化学部隊を持っているのじゃないですか。これはどうなんですか。
  302. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 自衛隊におきましては、毒ガスの研究をいたしている事実もございませんし、また、そのための特別の部隊を編成しているということもございません。
  303. 岩間正男

    岩間正男君 これは昨年も私はCBR部隊の問題についてただしたのですが、いまだこれに対して回答がない。調べて答えるというのですけれども、はっきりしていないのですが、現にそういう化学部隊がつくられつつある。それから、化学兵器の研究をしていないと言うけれども、これはいろいろあります。これは外局ですか、海空技術調査室、これはどうなんです。これは防衛庁の外局ですか。
  304. 島田豊

    政府委員(島田豊君) それはどういうふうなものでありますか。
  305. 岩間正男

    岩間正男君 これはちょっと読みましょう。海空技術調査室から出している「海空技調第三一〇号」昭和三十七年五月三十日発行の「化学兵器生物兵器とその用法上の問題点」というパンフレットがあります。
  306. 島田豊

    政府委員(島田豊君) わかりました。それは自衛隊とは関係ございません。
  307. 岩間正男

    岩間正男君 これは元軍人が相当これは国会なんかにも証人として立たれる、そういう人たちが関係してつくっておるのですよ。この中に化学兵器——この化学兵器の中にいろいろあげておりますよ。神経ガス、びらんガス、窒息性ガス、血液ガス、くしゃみガス、催涙ガス、精神錯乱ガスなどをあげ、それから、生物兵器として微生物——これは細菌などを含むものです。毒素、それから節足動物などの病原菌媒介体、動植物害虫類、それから対植物用毒性化合物——これは植物を全部枯らす、そういうようなものについていろいろ説明して、最後に、理想的な人道兵器としての化学兵器、生物兵器を大いに開発しなければならぬということをこれは盛んに宣伝している。こういう事実、これはあなたたち見られないと言ったらおかしいと思う。親類同士みたいなものでしょう。これはどうです。
  308. 島田豊

    政府委員(島田豊君) GBR関係につきまして、一応自衛隊としても基礎的な知識というものは持たなければなりませんし、また、そういうものを使用された場合における自衛隊としての防護措置というものは講じなければなりませんので、化学資材につきましても、たとえば発煙剤あるいは火炎放射器、あるいはガスの防護、こういう点につきましては、防護のための教育、解毒のための教育、こういうものを、わずかな時間でございますけれども、やっております。また、細菌に対する教育訓練、これは全然行なっておりませんけれども、文献等によりまして若干の知識は有しております。しかしながら、そういう使用することを前提としてそういうガス類を、毒ガスに類するものを研究をしたり、あるいは使用するための教育訓練をやるというふうなことはやってございません。
  309. 岩間正男

    岩間正男君 日本は、アメリカとともに、同様な毒ガスや細菌爆弾の研究では世界においても名の聞こえたところでしょう。満州軍が何をやったか、石井部隊が何をやったか。これは国際審判の中でも明らかにされた問題ではないでしょうか。そうしてこの前も私四、五年前に問題にしたけれども、あそこから、この戦争が終わると、直ぐに石井部隊二百何人引き揚げてきた。これを米軍がそっくりかかえ込んでおる、こういうことをやった。米軍の化学戦操典という中を見ますと、嘔吐性ガスを化学戦兵器としてこれは完全に規定している。それから、いろいろな例はここで時間の関係から申しません。日本の自衛隊の場合ですけれども、こういう事実があります。「山形県立衛生研究所における自衛隊員の細菌学実習について  山形県立衛生研究所に東北地区各自衛隊から常時約三十五名の自衛隊員が派遣され、細菌学の手技実習がなされている。表面上は災害時における防疫ということになっているが、現在の情勢から見て見過すことのできぬ問題である。これらの隊員とアメリカとの間に細菌学の文献交流がなされていると報ぜられており、アメリカのCBR戦への協力体制がとられているとみられる。野兎病の研究の精力的に行われた。またアメリカのロッキー山研究所との間に病原菌の交換が行われた事実もある。各大学の細菌学教室にもアメリカ、自衛隊から協力要請がなされているものと思われる」云々ということ、これは第十回原水禁世界大会で報告されたその報告の議事録である。当事者から報告された。こういう事態を見るときに、関係がないとか、そういう毒ガスを使うことは好ましくないとか、そういう一片の遁辞で済む問題じゃないと私は考える。米軍に対する協力を公然と進めているのがいまの日本政府じゃないですか。  そこで私はお聞きしたい。安保条約第六条に基づく地位協定十四条に基づく日米合同委員会の合意書、その中の基本労務契約についてであります。この基本労務契約では、これはどうなっているんですか。細菌学職というのがあったはずです。私は四年前に当委員会でこの問題を、安保改定に伴ってこのような行政協定が地位協定になりました。それに伴ってこの改定がされたかどうか。そうすると、用事情報官というものは、もうたくさんの名で、みな落としてしまって、名を変えてしまった。しかし、細菌学職は残しておりますと言っておる。細菌学職というのは、私この資料きのうもらったんですけれども、これは出てこない。出てこないけれども、巧みに変貌されているんじゃないかと思われるのですが、これはどうですか、私お聞きします。基本労務契約の中に出てくるんですが、職種の中の「一〇〇九化学職」というのはどんなことをやっているんですか。そうして何人くらいアメリカに労務を提供しておりますか、いまこの人たちはどこで何をやっているか、これを知らしていただきたい。その職種を読んでください。
  310. 藤本幹

    政府委員(藤本幹君) ただいまの御質問の化学職は、神奈川県に一名現在おります。
  311. 岩間正男

    岩間正男君 どういう化学職ですか。
  312. 藤本幹

    政府委員(藤本幹君) 化学職の職務内容について申し上げます。  「仕様書に基づき、種々の要素の構成割合をきめるため、金属、無機的及び有機的物資、溶液、液体及びガスの質的並びに量的化学分折を行ない、又は見本に存在する要素を識別する。発見した事実の報告書を作成する。過程が、規定された確定限界内にあることを保証するため、清浄及びメッキ液に使用された種々の化学薬品を分析する。石油製品、溶剤、保護資材及び他の化学薬品を分析する。構成、濃度及び混合のため、メッキ事前処理、清浄及び中和の作業工程溶液を分析し、必要に応じ、調整を勧告する。硝酸銀、カリウム臭素、カリウム重クロム酸、沃素、炭酸ナトリウム、炭素四塩基性塩化物、アルコール、アセトン、メチールケトン、銀シアン化物、カドミウムシアン化溶液等のような液体と溶剤を精製し、純化する。鉄質のアンモニア硫酸塩、硝酸銀、ナトリウムチオ硫酸塩、カリウム黄血塩等のような精密な標準溶液を準備する。研究又は遭遇した問題の解決のため、資料及び情報を得る必要のある場合は、他の機関、日本政府調査研究所、大学等の化学研究所の職員と連絡する。割り当てられた他の関連的又は附随的職務を行なう。」
  313. 岩間正男

    岩間正男君 時間の関係から、性格的なことで何をやっているかというそこだけでいいです。  それじゃ一〇〇四の医学研究職というのはどういうのですか。これも人数と、何をやるか、その点でけっこうです。
  314. 藤本幹

    政府委員(藤本幹君) 人数はただいま調べておりますので、先に職務の内容を申し上げます。医学研究職、「バクテリヤ、リケッア、ビィールス、その他の細菌的組織体並びにその発生形体組成及び生命過程、人、動物又は魚類の病気の原因としての重要性、消毒及び統御の方式、病気療法上の利用、衛生、分解、はつこう又は土じょう、生産性に対する活動及び効果等に関する研究又は他の専門的及び科学的作業を果す。典型的作業は、下記のものを含む。(1)研究及び実験室内の実験を行ない、細菌の観察をする。(2)重要なバクテリヤ又は他の細菌的組織体を既定の又は標準的外菌防止媒体内で分離しかつ、培養する生物学的、形態学的、培養的特性の顕微鏡的試験によって細菌的組織体を識別する。(3)湿度、通風、温度、酸度、栄養的要素を調節し、細菌の再生、分裂又は死滅に適当な状態を観察し、合成媒体内のバクテリヤ及び他の細菌的組織体の成長発展、栄養的必要条件について研究する。(4)バクテリヤ並びに他の細菌的組織体によって生物組織に生ずる酸、アルコール酵素のような物質を化学的に分析する。割り当てられた他の関連的又は附随的職務を行なう。」
  315. 岩間正男

    岩間正男君 性格的なことでけっこうです。
  316. 藤本幹

    政府委員(藤本幹君) 人数は三名でございます。
  317. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ、ナンバー71のこん虫学専門職というのは——。性格でいいですから。
  318. 藤本幹

    政府委員(藤本幹君) 職種番号一〇一四、こん虫学職、「こん虫の生物学、分類、分布及び経済重要性について、又はこん虫の絶滅対策についての研究を遂行する。人を攻撃する虫を排除することに限定されない違った段階の虫に対する殺虫剤及び家畜類の殺虫剤を含む材料の研究室又は野外における試験及び実験を計画し、実行する。試験方法を決定し、詳細な処置を行ない、化学者その他こん虫学者に対する手引として使用されうる試験結果を記録し構成する。」
  319. 岩間正男

    岩間正男君 その辺でけっこうでしょう。  それじゃ71の、こん虫学専門職というのがあるでしょう。
  320. 藤本幹

    政府委員(藤本幹君) 71の、こん虫学専門職と申しますのは、「こん虫の生態、分類、分布及び経済的重要度又はこん虫の駆除方法についての研究に関する補助者として勤務する。職務は、次のものを含む。ただし、これに限らない。(1)こん虫群体の維持に参加する。(2)家ばい、蚊、あぶら虫その他の有害なこん虫類に対する殺虫剤抵抗試験の準備及び実施に参加する。(3)医学的に重要な節足動物を受け入れ、標本にし、類別する。(4)要求に応じ、医学的に重要な節足動物の調査又は研究に参加する。(5)試験結果及び野外調査を記録し、表にする。割り当てられた他の関連的又は附随的職務を行なう。」
  321. 岩間正男

    岩間正男君 時間の関係からそれぐらいにしますけれども、いま読み上げられたこういうなにが、実はこの前、細菌学職という名前でそれが問題になった。問題になるとともに、こういうような名前に変わったと思うのです。この化学兵器、それから生物兵器といわれているこの毒ガス、細菌戦というのは、非常にこれは私は重大な問題を持っていると思うのです。こういう事件の中で、しかも、具体的に起こっているのは羽田のサソリ事件というのがありますね。最近、これは御存じだと思いますね、三十九年十一月十七日、羽田の事故で判明したのですが、インドからサソリ空輸、輸入者は米陸軍第四〇六部隊医学研究所こん虫学部長ヒュー・レ・キーガ中佐。米陸軍第四〇六部隊医学研究所は、小田急相模大野駅の西側にあり、六万坪の敷地の中の一角にCBR兵器の研究を専門に行なっている建物があり、細菌学部、化学部、こん虫学部、医療動物学、血液学などのセクション別に米軍医や一般アメリカ人医師が働いている。第四〇六部隊医学研究所には約三百五十人の日本人が働いているが、多くはガードや雑役、これにまじって細菌研究職、防疫専門職の人がいるのは注目される。また、雑役の人の中には、実験用のモルモット、サル、犬やその他の動物の死体処理に当たる人もあり、早くから細菌戦の研究機関として黒いうわさが流れていた。朝鮮戦争の末期、アメリカにとって戦況が不利になったとき、米軍は朝鮮各地で空からコレラ菌の入ったハマグリをまいたり、ペスト菌、炭疽菌の入ったクロバエ、クモ、鶏の羽などを大量に散布し、多くの朝鮮人民を殺した、この作戦を指導したのが米国メリーランド州にある米陸軍CBR兵器研究本部のフォート・デトリックである。相模原にある第四〇六部隊医学研究所も、このフォート・デトリックの一つの付属機関であり、直接朝鮮戦争にも参加した。こういう事態というものは、これはあの羽田のサソリ事件として騒がれた背景になっているわけですね。飛行機でとにかくサソリを運んできた。そういう態勢の中、こういう事態について、これはどうなんですか。一体小泉長官、これは自衛隊と全然関係がない、そして米軍のこのような作戦と日本の自衛隊は関係がない、こういうふうにおっしゃっていますけれども、はたしてそう言い切れますか、いかがですか。
  322. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) いまお述べになりましたようなことは私よく承知しておりません。もちろんそういうこととわが自衛隊とは何らの関係はないのであります。
  323. 岩間正男

    岩間正男君 そういうふうに言われますけれども、私は、自衛隊内にある化学部隊——CBR作戦をやっているそういう部隊、それからいろいろのいま例をあげたので、こういう点は明確にしてもらわなければならぬ。しかも、これは最近三月十日のことですけれども、沖繩で使っているのです。ベトナム戦争と非常に関連が深いんじゃないか。三月十日、対ゲリラ訓練中の米軍クマザキ駐とん陸軍歩兵部隊が宜野座中学校に対し有毒催涙ガスをまき、全校生徒が涙を流し、息苦しくなって校庭に飛び出すという事件が起こった。この日は米軍は早朝から同校の福山一帯に所かまわず演習を行なっていた。彼らは同中学校東側の教室と北西の教室のすぐそばに機関銃を据えつけ、敵味方に分かれて射撃していた。とにかく学校の授業中にこういうことが沖繩では行なわれている。そうして学校の授業が始まって間もなくすると射撃を開始したため、銃声にじゃまされて授業をほとんど続けることができなかった。この銃声が昼食時間になると、ぴたりととまった。生徒は、全員昼食中、最初のどに突き刺さるような痛みと同時に涙が流れ、鼻が痛くなり、くしゃみをする。そして息苦しくなった。これは時間がありませんから、もう読むのをやめますけれども、こういう事態が起こっているのですよ。三月十日です。ベトナムの毒ガス事件というのはそれから十日、この問題が全世界の問題になっているじゃありませんか。こういう点を考えるときに、私は、ほんとうにこの問題に対してはっきりした態度をここで明確にするということが、いまの自衛隊、しかも、その責住者である防衛庁長官の立場だと思うのです。こういうことでは、私はこれはほんとうに許しがたいと思うのです。ヘーグ条約その他の条約に調印した日本、しかも、平和憲法の上に立つ日本軍隊なんですからね。そしていま言ったようないろいろな点で、非常に米軍との関係はこれは深い、こう考えざるを得ないのです。そういう点から、関係はございませんというおことばでありましたけれども、これについてもう一度覚悟のほどを伺いたいと思います。
  324. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 先ほど申し上げたとおりであります。
  325. 岩間正男

    岩間正男君 私は、米軍の協力をこれは断固として断わり、そして疑念を一掃すべきです。  それから、この基本労務契約や——これは時間の関係から、まだまだ十分申し上げるととはできなかったけれども、これは基本的には変わっていないのですね。字句は変わっても。しかし。これは非常に大きな問題になった問題でしょう。つまり安保条約の正体というものは、地位協定だけでもわからぬ、もう一つ下まで下がって、日米合同委員会の三十五に余る約二万ページにわたるこういうものを見なければアメリカの支配の実態というのはわからぬ。日本の組み伏せられたような姿というのはわからぬ。私は、そういう点からこれはやはり十分に検討しなければならない問題だというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  326. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 岩間委員の御意見として承っておきます。
  327. 岩間正男

    岩間正男君 ついでに聞きますが、ナパーム弾や黄燐爆弾に対してどういう考えを持っているか。自衛隊は持っているんじゃないですか。どうなんですか、いかがですか。
  328. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) そういうものは自衛隊は持っておりません。
  329. 岩間正男

    岩間正男君 これは確認してもだいじょうぶですか。あとでいろいろなことが出てくるんでは、これはまずいと思うのですが、どうですか。いいのですか。
  330. 海原治

    政府委員(海原治君) 黄燐爆弾というものはございません。ナパーム弾は、これは合成するわけでございますが、合成しようと思えばできる材料は持っております。
  331. 岩間正男

    岩間正男君 この際、防衛庁長官、自衛隊は、毒ガスや細菌爆弾等は断じて使わないということをここで公表できますか、どうですか。
  332. 海原治

    政府委員(海原治君) 毒ガス、細菌爆弾等は一切使用いたしません。
  333. 岩間正男

    岩間正男君 防衛庁長官、確認してよろしゅうございますか。
  334. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 防衛局長が申したとおりであります。
  335. 岩間正男

    岩間正男君 私は、アメリカの残酷な、非人道的な毒ガス使用に抗議して、こういうことを即時やめるように、長官は閣僚の一人ですから、こういうことをあなたは要求すべきだと思います。政府を動かしてそういうことをやる気はありませんか、どうですか。
  336. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) そういう問題はおのずから管轄なりがございまして、総理大臣や外務大臣等において考えられ、措置さるべき問題であると考えます。
  337. 岩間正男

    岩間正男君 これはまとめのときに聞きますけれども、あなたもそういう決意を表明されたほうがいいと思うのです。アメリカは、南ベトナムがヘーグその他の条約に調印したり、あるいは批准しながら、国際条約に拘束されないなどというのは、これは許されない態度ですよ。一切の毒ガス禁止は、国際的原則として確認されている人類不変の原則なんです。これにアメリカはまっこうから挑戦している。こういう態度については、これはどうなんです。これらに対して、はっきり抗議すべきだと思うのですが、いかがですか。
  338. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 先ほども申しましたとおり、岩間委員の御意見として承っておきます。
  339. 岩間正男

    岩間正男君 承りいただくだけでは困る、行動に。私は、アメリカがベトナムでこれを使ったということは、追い詰められて何ともならなくなったアメリカの最後のあがき、弱さ、それから全く気違いじみたやり方だと思うのです。全くこういうやり方は、全世界から、先ほどあげましたように、孤立していますよ。だから私は、 こういうかっこうで日本政府が、自衛隊がことにいま非常に問題になっているけれども日本の基地を使って、自衛隊がいろいろ協力させられる、あるいは医療班の出動、経済協力、こういうものをはっきり断わって、そしてアメリカは即時ベトナムから撤退する方向を切り開かなければならぬと思う。このことを防衛庁長官に要求してもはじまりませんから、これはこの次に総理あるいは外相に対してやりたいと思います。私の質問は終わります。
  340. 吉江勝保

    主査吉江勝保君) 以上をもちまして、防衛庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。  あすは午前十時に開会いたします。本日はこれにて散会いたします。   午後五時二十八分散会      —————・—————