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国務大臣(
赤城宗徳君)
農業のあり方についてのお尋ねでございますが、現状等につきましては、さきに国会に出しました三十八年度の
農業白書といいますか、それにまあ御
説明申し上げているようなわけでございます。また
農業につきましてどういうふうに持っていくべきかということにつきましては、大体、
農業基本法の
考え方に沿うて政策を進めておるんでございますけれ
ども、その中におきまして、いま御
指摘のように、他の
産業との
生産性の
格差、あるいは
所得、あるいは
生活水準、この
格差が必ずしも
農業基本法の目ざすようなふうに是正されておりません。大体としましては横ばい的でございますが、一方において御
承知のように高度成長の経済政策がとられておったというか、結果において高度成長経済
施策でありましたが、他
産業の成長は
相当ありましたが、
農業に対する成長はそれに及ばないというようなことで、
格差等におきましても横ばいの状況であります。ことに
農業労働力が、こういう高度成長経済下におきまして、これはもとから出ておりましたが、急激に出てきておりまして一年に七十万人から出ておりましたので、非常に
労働力が
不足してきております。こういうような状況でございます。そういうような状況でございますので、このひずみを是正したり、安定した
農業に持っていくためにどういう政策を施したらいいかということでございます。
労働力が
不足しておりまするし、あるいはまた
生産性を上げなくちゃならぬというような意味からも、
農業に
相当機械を導入しなくちゃならない。機械の導入が
相当進んでおりますけれ
ども、もっと大型機械等を導入して、たとえば、ことしの
予算にもありまするように、
農業協同組合等によりまして大型機械を導入して、この共同作業といいますか、共同化を進めていくということが必要じゃないか。これは第二種兼業が全体の四二%にもなっておりまするので、兼業
農家対策としても必要でないかというふうに考えておりますので、そういうことをやっていきたい。ところが、そういうことをやっていくためには、まず土地基盤といいますか、土地が土地改良もされておりませんし、それは
相当やりました。やりましたが、まだまだ機械化に適合するようなふうにまで持っていってない面が
相当あります。そういう面におきまして、土地基盤の整備ということを一そうやっていかなければならない。揚排水の問題もありますが、なおさらに圃場の整備等をしていく。あるいは今度ガソリン税見合い等につきましても、採用しております農道、従来の農道も加えてガソリン税見合いの農道というふうなものを進めていきまして、そして圃場の整備等まで進め、基盤を整備していくという、この土地基盤の整備ということに
相当重点を置いてことしの
予算な
ども計上しております。でありますので、一般
予算の
増加率よりも、土地基盤の整備の
予算の
増加率等はずっと多くなっております。ところが、そういう面も力を入れなくちゃなりませんが、同時に、
国内的なひずみの是正からみましても、国際的にみても、
日本の
農業が国際
農業の中にまき込まれるといいますか、開放経済下にその波をなかなか避けるわけにはまいりません。波を受けるというようなことに相なります。そういうことになりまするというと、
農業そのものの
国際競争力というものも強化していかなくちゃならなぬ。そういうことから
構造改善等に力を尽くして、ほんとうに強固な基盤に
農業を持っていかなくちゃならぬ。こういう点から考えまするならば、
日本の
農業の従来の欠陥であるところの
経営規模が非常に小さいということ、資本の装備が十分でないということ、でありまするから、これは自立
経営農家の定義でございますが、これを二町五反にするか、あるいは三町にするかというような問題もございます。しかし、これは動きによって、それぞれその時代時代によって変わってくると思います。大体そういう
経営の面積もさることながら、
所得が大体いまのところでは年六十万以上というものが、自立
経営の
一つのタイプじゃないか。四十三年ごろになりまするならば、これは年収八十万円にならなくちゃならぬものだと、こういうふうに考えていますが、自立
経営農家というものを
経営規模の
拡大において、あるいはまた
経営規模が
拡大でなくても、都市近郊とか、あるいは
経営規模が、土地が取得できないものには、やはり狭い土地でも、花とか養鶏などという、いろいろなものがあります。選択
拡大の面で資本装備を力づけてやりまするならば立っていく
農家もあると思います。そういう面におきまして、
経営規模の
拡大あるいは
経営規模の
拡大が十分でない、でき得ないものには、それぞれの方策、
経営面積において適当な
農業を営むような
方法、あるいは兼業
農家等におきましては、共同化によりまして、
経営規模が共同の単位として大きくなる。一人一人の分は小さいのでありますけれ
ども、共同化によってその単位は大きくなるというような
方向へ持っていきたい、こういうことを考えております。それからいまの資本の装備からいいまするならば、金融面、こういうことが必要でありまするので、
農業金融につきましてもさらにワク等を
拡大いたしまして、金融面でやっていけるようなことにしていきたい、こういうもろもろの政策が、すべてがいまのひずみを是正していくということに相なろうと思います。御
承知のように、
農業は収穫からいっても一年一回でありまするし、すぐによくなるような手をかりに打ったとしても、その効果は何年か先になるというようなことでありますので、御期待に沿うような面になかなかなっていかないと思います。しかしながら、いま申し上げましたとおり、基盤整備とか、構造の
改善とか、こういう点に力を入れ、そうして金融面の
措置等もとりまして資本装備等も充実して、自立
経営が、六十万円以上の収入を得られるような自立
経営農家がよりふえていくように、こういう指導といいますか、政策をとろう、こういう点で
予算の面におきましても、そういうところへ重点的に
予算をつける、こう申し上げて差しつかえないと思います。