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1965-03-29 第48回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十九日(月曜日)    午前十時十七分開会    委員異動     —————————————  三月二十九日     辞任         補欠選任      加瀬  完君     小宮市太郎君      小宮市太郎君     横川 正市君      中村 正雄君     高山 恒雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         田中 啓一君     副主査         瀬谷 英行君     委 員                 植垣弥一郎君                 佐野  廣君                 白井  勇君                 前田佳都男君                 森 八三一君                 小宮市太郎君                 藤田  進君                 横川 正市君                 浅井  亨君                 高山 恒雄君                 佐藤 尚武君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        郵 政 大 臣  徳安 實藏君    政府委員        農林大臣官房長  中西 一郎君        農林大臣官房予        算課長      太田 康二君        農林省農政局長  昌谷  孝君        農林省農地局長  丹羽雅次郎君        農林省蚕糸局長  大口 駿一君        農林水産技術会        議事務局長    武田 誠三君        水産庁長官    松岡  亮君        水産庁次長    和田 正明君        郵政大臣官房長  淺野 賢澄君        郵政大臣官房電        気通信監理官   畠山 一郎君        郵政大臣官房電        気通信監理官   野口 謙也君        郵政省監察局長  稲増 久義君        郵政省郵務局長  長田 裕二君        郵政省電波監理        局長       宮川 岸雄君        郵政省人事局長  曾山 克巳君        郵政省経理局長  北脇 信夫君    説明員        郵政省貯金局次        長        岸本 四郎君        日本電信電話公        社総裁      大橋 八郎君        日本電信電話公        社総務理事    平山  温君        日本電信電話公        社職員局長    中山 公平君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十七年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 田中啓一

    主査田中啓一君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。本日、加瀬完君、中村正雄君が委員を辞任され、その補欠として小宮市太郎君が、また高山垣雄君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 田中啓一

    主査田中啓一君) 昭和四十年度総予算中、農林省所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。農林大臣
  4. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 昭和四十年度農林関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  最初に各位の御協力を得て御審議をいただくにあたりまして、予算の裏づけとなっております農林水産施策基本方針について申し上げたいと存じます。  まず、最近における農業動向につきましては、さきにこの国会に提出いたしました昭和三十九年度農業動向に関する月次報告にも明らかなように、農業生産は、昭和三十八年には気象災害なともあって前年に比へやや減少しましたが、昭和三十九年には前年に比べ相当増加しております。また、農業所得は、昭和三十八年度においても、農産物価格の上昇もあって相当増加を示し、農業生産性もかなりの向上をみており、農業従事者生活水準は、農外所得増加もあって順調に向上しております。しかし、農業の非農業に対する比較生産性及び勤労者世帯に比較した農家生活水準の開きは、それぞれ前角度と同程度ないしわずか改善されている程度であり、なお、農業と他産業との生産性及び生活水準格差相当著しいものがあります。また、農業経営を積極的に高度化して高い農業所得をあげる農家が次第に力強く形成されつつありますことは注目されるところでありますが、他方、生産性の低い第一種兼業農家増加する等、農業発展にとって楽観を許さない事情が生じていることも事実であります。このような動向に対処して、今後、国民食糧の安定的な供給及び農業と他産業との格差の是正をはかるためには、農業生産選択的拡大生産性向上及び農業構造改善を根幹として、農業近代化を一そう強力に推進することがきわめて重要であると考えられるのであります。以上の点は、事情に若干の差はありましても、林業及び漁業についてもほぼ同様であるということができるのであります。  さらに、農林漁業をめぐる国際情勢に眼を転じますと、開放経済体制への移行に伴って、今後、農林水産物輸入数量制限撤廃輸入ワクの増大、関税の引き下げ等国際的要請が漸次強まるものと予想されるのであります。これに対し、わが国農林漁業特殊性と現状について諸外国の理解と協力を得られるよう努力いたすのはもちろんのことでありますが、基本的には、農林漁業構造改善生産性向上をはかり、国際競争力を強化することが、長期的に見て国際情勢の推移にも対処し、日本農林漁業を発展させるための本格的な道であると考えるのであります。  以上申し述べましたように、農林漁業をめぐる内外のきびしい諸情勢のもとにおいて、農林漁業近代化して、これを国民経済の健全な一環として育成することは、単に農林漁業従事者福祉向上観点からのみでなく、国民生活向上国民経済安定的発展という観点からもきわめて大切であると存じます。  以上のような考え方に基づきまして、昭和四十年度におきましては、農林漁業生産性向上構造改善生産選択的拡大価格の安定、流通合理化等農林漁業近代化をはかる上において重要と考えられる諸施策を推進することとし、農林漁業者が安んじてその経営改善に邁進できるよう基本的諸条件を着々整備してまいりたいと考えております。このようなことを基本方針といたしまして、昭和四十年度予算を編成した次第であります。  まず、一般会計における農林関係予算の総体について申し上げます。農林省所管合計といたしましては、三千三百六億円となっておりますが、これに総理府、大蔵省、文部省、労働省及び建設省所管を加えた農林関係予算合計は三千七百億円となります。これを昭和三十九年度補正後の予算三千四百八十五億円に比較いたしますと、二百十五億円の増加となりますが、さらに、これを予算編成変動要因の多い食糧管理特別会計繰り入れ農業近代化助成資金繰り入れ及び災害復旧等を控除した金額で比較しますと、昭和四十年度は二千四百三十七億円、昭和三十九年度は二千八十一億円で、三百五十六億円の増加となっております。  昭和四十年度予算編成にあたり、最も力を入れましたものは、農林漁業生産基盤の整備、農業経営規模拡大農林漁業構造改善事業の推進、農業生産選択的拡大農林水産物流通合理化価格安定及び農林漁業金融の拡充の諸施策であります。  以下、これら施策につきまして順次触れてまいりたいと存じますが、御質疑の御予定もございますでしょうし、以下は速記録にとどめ、朗読は省略さしていただきたいと存じます。
  5. 田中啓一

    主査田中啓一君) 皆さまにおはかりします。  ただいま農林大臣発言のとおり、以下のところ各論にわたる部分説明を省略して速記録にとどめることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中啓一

    主査田中啓一君) さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 ちょっとお断わりいたしておきますが、病後でございますから、このままの姿でどうぞお許しを願いたいと思います。  時間がたっぷりないようでありますから、直接の農林関係予算大臣説明については質問を省きまして、特に水産問題についてお尋ねしたいと思います。  まず第一は、もう大詰めに参りました日韓会談漁業協定に関する問題ですが、特にアウター・シックス出漁点については、韓国側主張を認めたといっておりますが、そうなりますと、低潮線から十二海里幅の漁業専管水域が決定されてくるのでございます。ですから、その範囲内は韓国政府の一方的権限に服さなければならぬと、そういうことが確認されることになるわけでありますが、いかがでございますか。
  8. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまお話しのように、漁業水域漁業に関し沿岸国の一方的な管轄権を行使し得る水域であります。その水域アウター・シックス出漁し得ることを認める漁業協定先例はあるのでありますが、それは出漁実績があり、かつ沿岸国がその実績を認めて入漁を承諾する場合に出漁し得ると、こういう性格のものであります。今回の日韓交渉におきましては、このような国際先例参考といたしまして、日本出漁実績があることを強調しまして、アウター・シックスへの出漁を承諾するよう交渉してまいりましたが、韓国側は強くこれを反対いたしました。そういうことから、日本としては今次の交渉にあたりまして、李ライン実質的撤廃と、従来の操業実績確保を主眼としてまいる安全操業相当強く貫徹し得ましたので、日本側主張を通すことができた、こう考え、大局的立場から、お話しのようなアウター・シックス出漁の点については韓国側主張を認めた、こういうことにいたしました。その結果、漁業水域沿岸国の一方的な管轄権を行使し得る水域と、低潮線あるいは直線基線から十二海里の水域におきましては一方的管轄権を行使し得る水域ということに相なるわけでございます。
  9. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 池田内閣時代に、池田総理大平前外相も、漁業入り会い権確保する方向交渉に臨むとはっきり言っていたと私は思うわけです。赤城農林大臣はいま御発言のとおりに、十二海里をも認めたと、こういうことも御発言になったんですが、どうもそこらに非常に日本として後退をしておるという感じを持つことを免れ得ないわけです。何か取引といいますか、何か交渉かけ引きで放棄したのではないかという疑いを特に持つわけです。そこで、入漁権を放棄された理由というのは国際法上例がない、幾らかあるけれども例がないというようなことが非常に強調されているのですが、何かそこらに割り切れないものが交渉の過程にあるというように思いますが、理由というのは一体何でしょうか。
  10. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 池田総理大平外務大臣も私も、アウター・シックス出漁する国際先例があるのでそれを主張することを申し上げておったわけであります。今回の交渉に当たりましても、そういう国際先例参考といたしまして、また出漁実績があるということを強調したのでございますが、韓国側が強く反対して、結果においては韓国側主張を認めたわけでございますが、それについてはどういう理由があるか、あるいはどういう何か取引があったのかと、こういうことでございますが、別に取引というものはございません。考え方からみまするというと、李ラインというものが相当広範囲にわたって事実上存在しておったわけでありまして、それを沿岸十二海里のところに押し込めよう、一方的管轄権を持っているものは十二海里ということに押し込めようということで相当苦心をいたしました。そういう苦心の結果、実質的撤廃ということが実現するようなことに相なりまして、また共同規制区域内における日本操業実績確保する、こういうことも大切なことであり、あくまで必要なことでありますので、その点につきましても折衝を重ね、この二点につきましてほぼ日本側主張を通すことができた、こういうことでございますので、大局的立場からアウター・シックス先例はとらないで、韓国側主張を認めた、こういうことでございますので、直接に何かの取引があったと、こういうことではございません。大局的立場から韓国側主張を認めまして、私のほうの主張を引っ込めたと申しますか、そういうような実情でございます。
  11. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 赤城農林大臣のいまの総合的実績というのが非常にわかりにくいわけですが、実際には警備艇零細漁民を見のがしておったというようなことも聞いておるわけです。このために多数の日本漁船入漁しておるということも私は聞いております。それが正式であったか非公式であったか、その点わかりませんけれども。したがって、入漁権の放棄ということに相なりますと、日本零細漁民に手痛い打撃を与えるんじゃないか、その実態農林大臣対島にもいらしたのですから、対島と朝鮮半島というのはもう目と鼻で、実に見えるところなんです。ですから、これらの日本零細漁民に対してどういう措置をとられるつもりなのか、あわせてひとつ御説明いただきたい。
  12. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) なお政府委員から詳しく御答弁はいたすつもりでございますけれども規制対象といたしましたのは以西以東の底びき及びまき網、それにサバの六十トン以上、これを両方対等公平な規制をしよう、それから沿岸漁業につきましてはこれは自主規制をしよう、こういうことで自主規制隻数等もきめたのでございますので、沿岸漁業零細漁業実績等も十分見て話し合いをつけたわけでございます。でございますので、アウター・シックスには入漁はしないけれども共同規制区域内においていままでの実績を十分尊重して取りきめをすることに相なりますので、犠牲にするようなことはないと、こういう確信のもとに交渉を進めたわけでございます。
  13. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 そうすると、実績を尊重するというのですが、実績というのは両国でどういう機関といいますか、どういうような方法できめるのでしょうか、その点ひとつ。
  14. 和田正明

    政府委員和田正明君) 私からお答え申し上げますが、第一には、再管水域十二海里の外に共同規制水域を設定することに合意しておるわけであります。この共同規制区域出漁いたします以西の底びき、以東の底びき、まき網及び各種沿岸漁船につきましては、すでに合意をみました隻数は私どもが過去における統計、あるいは業界の意見等をしんしゃくいたしまして、李ラインの設定以後も引き続きその海域に出漁しておった実数そのものでございます。したがって、出漁実態については十分過去の実績確保できたというふうに考えております。  第二、協定の本文またはその付属書に規定をすることでなしに、参考的に利用いたす資料として漁獲量基準を定めることに合意をいたしておりますが、それは総基準量十五万トンで、年間上下に一割のアローアンスをつける。したがって、最高限は十六万五千トンまでよろしいということになりますが、沿岸漁船の分はその中に含みませんので、以東底びき、以西底びき、まき網、三種の漁業について過去における統計その他から考えますと、年によって変動はございますが、大体十六、七万トン程度漁獲を上げておったという統計がございます。ただいま申しましたような十五万トンを基準にした一側の上下アローアンスとして十六が五千トンまでが一つの目安として出漁していい漁獲量ときめられましても、それとほぼ過去における漁業実績確保し得たというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  15. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 これは長くやりますとずいぶんかかると思いますので、この程度で終わりますが、終戦以来、九州を中心にした水産業者との関係は非常に激突をするような状態までいった、いろいろな感情があると思いますから、将来ともこの点については取り扱いについて十分な御配慮方を願っておきたいと思います。要望でございます。  次に、韓国産の農水産物輸入自由化に対してでございますが、新聞の報ずるところでございますから完全な報道であるかどうかは別といたしまして、われわれ知っておる範囲内——知る機関としては十分な機関でございますから、それに基づいてお尋ねしたいと思います。それによると、国内の社会的、政治的事情があるため慎重に対処するが、買いつけ増加については将来考慮すると言っておる。国内の社会的、政治的事情があるため慎重に対処するということと、買いつけ増加について将来考慮するという二つ発言は重大な関係が私はあると思うのです。で、どういう事情になれば買いつけ増加について考慮をするのか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  16. 和田正明

    政府委員和田正明君) 一次産品の輸入増加の問題は、日本に限らず欧米諸国でも大きな問題であることは御承知のとおりでございます。今回の日韓間の関係が正常化いたしました後におきましては、第一には、少なくともそれが無制限、あるいは制限した数量で入ってくるにいたしましても、生産者価格と申しますか、生産者所得に悪影響を及ぼして、生産者しわ寄せがいかないような措置が少なくともとられる必要がある。そのような措置が講じられ得るものとするならば、それをとった上でなら、ある程度の増額を考えることもあり得るであろうということが一つでございます。第二に、たとえば本年のように、するめが非常に不漁でございまして、国内に原料が不足なために著しく高価格になっておりますが、そういうような国内需給関係から見てアンバランスな状態が生じました場合には、韓国から輸入をして、そういうアンバランスを是正していく、そういう二つの点を考慮すると、こういう趣旨でございます。
  17. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 そうしますと、国内的な事情等から考えて、いま対象品目になっているのは、ノリ魚介類畜産物、米、葉たばこ、こういうものがあげられておるわけですが、いずれも日本零細農漁民に直接関係のあるものばかりだと私は思うのです。特にノリの点については、従来一億枚、それを昨年は緊急に二億枚、さらに七千万枚を輸入したと思うのです。そうしますと、これらのいろいろな国内事情といいますか、どういう事情にあった場合にこの買いつけをふやしていくか、なかなかそう簡単に言えないと思うのですが、いかがでしょう。
  18. 和田正明

    政府委員和田正明君) ただいまノリについてお尋ねがございましたが、昨年は御承知のように、国内生産が著しく不足をいたしましたので、例年の一億枚のほかにプラス一億枚までの輸入をいたしました。いま小宮さんのおっしゃる最後の七千万枚というのは、事実そういう輸入はいたしておりません。なお、今後どういう状態になったら輸入の買いつけをふやすかということでございますが、私どもとしては、生産者しわ寄せのいかないような方法措置ができたらという、韓国側の間では抽象的に考えておりますが、たとえば、輸入いたしましたものが生産者のサイドで調整、保管等が行ない得て、国内価格をにらみながら、それが市場に放出されていくことがもし可能であるとするならば、価格の形成、その他で生産者しわ寄せがいかないということも一つ方法としてあり得るのではないかというふうなことも考えておりますが、まだ最終的にそういうことでやると決定したわけでもございませんが、いずれにしても生産者側も十分納得して、こういう方法なら安心だという考え方ができるまでは、追加割当をするというようなことは急いでやるというつもりはないわけでございます。
  19. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 これももっと聞きたいのですけれども、時間もないようですから略したいと思いますが、これはまあ漁業全体に関係してですが、最近やっぱり農業と同じように、いわゆる漁船員というものが非常に老齢化をしてきた。結局、若年労働者がほとんどないとは言いませんけれども、非常に減ってきたわけですね。最近の、まあ福岡県の統計などを見ますと、水産高等学校をつくったんだけれども水産関係会社に行こうなんという者がほとんどなくなったというような情報まであるのです。私のつかんでいる数字によりますと、二千八百人おるが、平均年齢は三十六才。で、いま中小合わせて水産会社が三十三社あるけれども、若手の労働力不足のために、統合といいますか、だんだん営業を狭めていくといいますか、営業状態を狭めていくという状況も起きているやに聞いておるのです。特に福岡には大洋漁業手繰り船乗組員というのを引き揚げて、下関、長崎の方向に持っていこうというような機運さえあるようです。そういうことで、漁業に対する熱意といいますか、そういうものが、若年労働者、若い者に少なくなった。いろいろ事情があると思います。農業と同じように事情があると思う。そういう点について、まあ農林省としてどういうように考えておられるのかですね。
  20. 松岡亮

    政府委員松岡亮君) 全般的な問題になりますので私から申し上げますが、御指摘のように、現在、漁業労働力が非常に流出し、またその補充が困難な状態になっております。この場合、沿岸漁家の場合においてもそうでございます。で、老人漁家というようなものが常非にふえておるということも事実でございますが、最も影響のはなはだしいのは中小漁業で、特にマグロとか、まき網といったような、労働力を多量に使う漁業におきまして影響がひどい、こういう事情があることは御指摘のとおりでございます。そこで、水産庁といたしましては、まずこれはまあ運輸省の仕事でもございますが、乗組員養成につきまして、県で行ないます講習会等に対しまして補助金を出しまして養成をはかっておるのでございます。もちろん水産高校出身者が、農業高校の場合と同様に、なかなか水産業についてくれないのでございますが、要するに、運航、航海、機関通信等技術を習得させるために講習会などをやっておりますが、これでまあ年間五千人ぐらいの受講者を持っておるのでございます。  それから、基本的にはやはり海上の労働条件改善する必要があるということから、漁船船員設備改善につきまして、運輸省とタイアップいたしまして各種措置を講じておるのでございます。たとえば、船のトン数を増加して設備改善するというような措置をとっておるわけでございますが、これらまあ一連の対策を講じまして、特にまあ労働条件改善につきましては、そういった船員条件改善などに限らず、固定給部分増加する、そういう指導を一そう強化したり、何とか労働力確保をはかりたい、こう考えておるのでございます。一方、労働力の減少に対しまして従来と同様の考えで多量の労働力に依存するという考え方でもいけないという見地から、省力的な技術をさらに高めるということで、各種機械設備が最近非常に改良されまして普及しておりますが、さらに、マグロ等漁業につきまして省力技術の開発につとめ、またその普及のためには低利資金を融通するというような措置をとっておるような次第でございます。
  21. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 沿岸漁業振興法が出たときにたいへん議論された問題ですが、漁業沿岸から沖合い、それから遠洋と、こういういき方をしておったのが、最近はだんだんまた沖合い沿岸と、こういうように変わりつつあるという議論も出たと思うのです。ところがそのときに、漁民老齢化あるいは若年労働者を育成していく、そして沿岸漁業を盛んにすると同時に、沖合い遠洋漁業も盛んにすると、こういうことが非常に答弁の中にたくさんあったと思うのですが、沿岸漁業振興法のときにいろいろと御答弁になったことが一向実を実らしていない。一年くらいのところだから、いま準備中だと言われると、これはまあそれもそうかなというように思うんですけれども、こういうような急激に日韓会談が発展して妥結をするというようなふうになりますと、どうしてもそういう点を早く軌道に乗して、船員の養成なり、あるいは漁業全般の計画というものを本気になって考えてもらわなければ、世界における水産国とは私は言えないようになって、だんだん影が薄くなってくるという感じさえ持つのです。農林大臣いかがでしょう、この点については。
  22. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かにそう思います。さなきだに労働力不足している、老齢化しているということでございまするから、その対策を講じていかなければならないことになっておりましたが、ことに日韓の問題などが解決いたすということになりまするならば、一つ漁業面におきましても韓国と競争というような面がある程度出てきます。私は韓国漁民がよくなることも、これは大局的な立場から言いますならば、人類の問題からいいましても、両国の問題からいいましても、これは必要だと思いますが、同時に、日本との競争的な立場にもなりますので、日本のほうもいまの乗り組み員の養成とか、労働条件の整備、あるいは省力的な漁撈を進めるということは、一そう力を入れていかなければならないということは御説のとおりだと思うのです。そういうふうに出そう力を入れていきたいと思います。
  23. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 最後ですが、最後に長い懸案でございますが、日本から要求しております捕獲漁船の補償要求について、お尋ねをしたいと思うのです。  聞くところによると、韓国から出されておる船舶請求権、これと日本の捕獲漁船の補償要求とが相殺されるのではないか、こういうようにいわれております。したがって、この船舶請求権の消滅と見合って日本側安全操業確保条件に白紙に戻すことになった、こういうことも報ぜられているのですが、具体的にどういう状況になっておるのか、これをひとつ伺っておきたいと思うのです。
  24. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この問題につきましては、問題も大きいし、直接漁業ばかりの関係ではございませんので、外交ルートに移すといいますか、全体的の観点からこの解決をはかるように、外交ルートのほうに移しております。そこで、この問題につきましては、まだ交渉中の段階でありますので、はっきりしたことを申し上げられないのでございますが、請求権の問題につきましては、韓国側主張する各種請求権の問題と、わがほうが有する各種請求権の問題とがすべて解決または処理されたものとすることを合意しようと、こういうことで話し合っておるというふうに承知しております。でありますので、拿捕漁船の損害請求権問題もこの中に含まれておる、そうしていま交渉中の段階である、こういうふうに了解、了承しております。
  25. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 農林大臣の御存じのとおり、日本漁船の拿捕あるいは人的な慰謝料といいますか、そういうものについて一体どうするんだということを再三にわたって私はお尋ねしたことがございます。そこで、それについては早急に国内にも若干の慰労金の制度もあるから、それでというようなことでしたけれども、実際にその被害を受けた人の中には、悲劇というほどの状況の人もあるわけです。そういう人は一日も早くこれから立ち直ろうという考え方を持っていると思うのですが、何か二転三転をして明確でない。いまお話のとおり全体的な補償の問題だから、まだはっきり言えないというようなことのようでございますが、白紙に戻すということになりますと、結局、国内でこれから補償のことを考えなければならぬということにならざるを得ないと思うのです。相殺ではないとおっしゃるならば、そうすれば、どういうこれから補償の措置をとられるのか、こういう点が非常に問題であろうと思うのです。そこで、私が聞きたいことは、予算委員会で稲葉委員の質問に対して、民間では約百億程度だと、こう言っておる。ところが椎名外務大臣は、そいつはどうも権威のない数字だから、それをとるわけにはまいらぬ、しかし、そのあとですぐ、まあ、たしか七十億程度じゃなかったかということまでもおっしゃっておられる。だから、どういう意味で七十億とおっしゃったのか。その権威のない数字だからと、こう言ったすぐあとでそういうことをまたおっしゃった。そこらの点がどうもあまり政治的で、一般の国民には疑問を持たれるところなんです。少なくとも、農林水産行政の長官であられる赤城農林大臣は、的確な権威ある数字というものをつかんでいなさると思う。つかまなければ、またそれに対処する措置がとれないと、こういうふうに思うんですが、的確の数字というものは一体どうなんでしょうか。
  26. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 大体私のほうでもその数字はにぎっております。なお、詳しくは政府委員から……。
  27. 和田正明

    政府委員和田正明君) この損害賠償の問題につきまして、民間団体が私どもの手元へ出してきております数字は約七十五億前後という数字でございます。で、それとは別に私どもが資料をもとに計算をいたしました数字は、約七十二億円で、全く計算の根拠は違いますが、数字は非常に近い数字になっております。ただ、この七十二億円の中には、すでに御承知のように、漁船保険特別会計の中で、特殊保険として拿捕の損害に対する保険を支払ったり、その他国の制度で支払った金額を含んでおります。
  28. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 いま七十二億とおっしゃったんですが、そうすると、椎名外務大臣のおっしゃった数字とほぼ接近していると思う。そうしますと、私も非常に疑問が深くなってきたわけです。というのは、二千万ドル程度韓国側は請求しておったんじゃなかろうかと思うんです。そうしますと、二千万ドルをわが国の貨幣に直すと大体七十二億になりますかな。そうすると、その二千万ドルと七十二億とは偶然にも一致する数字になるんですが、そうすると、相殺をするんだという考えがぴたりと当たるような気がするんですが、一体どうなんでしょうか。
  29. 和田正明

    政府委員和田正明君) 何かいまおっしゃいました韓国側が二千万ドル請求をしておる云々ということは、私ども請求権問題の交渉に直接タッチしておりませんので承知をいたしません。ただ、先ほど大臣からお答えを申し上げましたように、現在の考え方は、韓国側が要求している各種の請求権と日本側韓国に対して持っておる各種の請求権を、全体の場で相互に全面的に解決をするということだけを承知しておるわけでございます。
  30. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 この二千万ドルというのは、日本の捕獲漁船の補償要求として要求していたわけですね。
  31. 和田正明

    政府委員和田正明君) そのとおりでございます。私どもが拿捕されました船、あるいは抑留をされました人等について計算をいたしました数字が約七十二億円になる、そういうわけでございます。
  32. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 これ一つで終わりますけれども、そうすると、韓国側としては、初めから船舶請求権については、金額としては何ら要求してなかったわけですか。
  33. 和田正明

    政府委員和田正明君) 船舶請求権の問題は、水産庁は全然タッチしておりませんので、どういう数字が出ておったか、かいもく承知をいたしておりませんので、お答えいたしかねます。
  34. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私のほうは船舶の問題にはタッチいたしません。それですから、それと見合いとか、二千万ドルに見合って計算したとかいうことではございません。賠償の損害は七十二億というものは、従来そのつど要求しておりますから、そういうものをずっと計算した積み上げが七十二億、向こうからの船舶とか何とか、二千万ドルとかいうものと、そういうものと見合ってとか何とかいうことは全然関係なしに、私どものほうで見積った七十二億円でございます。
  35. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 いまの小宮さんの質問に関連して質問したいと思うのですが、船舶の補償を白紙にするという問題の白紙の対象になった韓国の船舶請求権の問題でありますけれども日本漁船の場合は、これが七十二億という数字であろうと、七十五億であろうと、数字の計算の基礎がどうであるかは別として、これはもう実態なんですね。事実なんですね。明らかにこれはもうまぎれもない事実だと思います。そうすれば、これを要求するには日本側としては当然だと思うのですけれども韓国が引きかえに持ち出した船舶の請求権の問題については、一体どういう根拠があり、その実態がはたしてどういうものであるかということをつかんでないと、これを引きかえにして白紙にするということはおかしな話になると思うのです。その意味で、いま大臣がお答えになりましたけれども、何か白紙にしたところの韓国側の請求権の内容について、よくつかんでおられないようにお聞きしたわけです。そうすると、韓国日本から請求をされるところの船舶の補償を帳消しにするために、何かそういう請求権という問題を積み上げたという感が非常に強いわけです。そうでなくても、きのうの新聞では、日本側韓国側主張を大幅にのんだ上、「あらゆる懸案で日本韓国側に押しまくられた跡が歴然としている。」、きのうの毎日新聞の夕刊にも出ているのです。韓国側のやり方というのは、何か交渉を有利にするために、日本側から出された当然の請求に対してもこういう言いがかりをつけて、もみ消しにする、極端な言い方をすれば、やくざのゆすりを思わせるような感じがするわけです。あなたの、いま私が質問した根拠なり実態について、どのように把握されているか、お答え願いたいと思います。
  36. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほどから申し上げておりますように、七十二億円に上る私のほうの漁船の抑留その他に対する損害の請求につきましては、一括解決の趣旨によりまして外務当局、外務のルートへ回しまして、その点につきましては、私はタッチしておりません。漁業一切の問題にはタッチしましたが、その問題は外交ルートで交渉しているわけでございます。でございますので、私の承知しているのは、まだ折衝中で、その解決はみていない。韓国側主張する各種請求権の問題と、わがほうが有する各種請求権の問題がすべて解決または処理されたものとして合意をしようということで折衝している、こういう抽象的のことを聞いているだけでございます。そこで、船舶請求権の内容がどうであるか、これを向こうで申し出ているのかどうかということは、実は交渉の折衝の任に当たっておりませんので、私はその内容につきましては知っている立場にはただいまございません。ただ、申し上げることは、全体として解決処理の方針で進めているという打ち合わせがあっただけでございます。
  37. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 白紙にする以上は、バーターにするにふさわしいだけの内容をわれわれのほうも認識しなければまずいと思うのです。特にこれは農林省としては外務省の交渉の以前に、農林省の所管でありますから、漁船の補償の問題は。これに見合うだけの向こう側の請求権がもっともだというふうに認識できる内容のものでないと、私はちょっとおかしいんじゃないかという、こういう気がしたので質問したわけなんです。ですから、そういう点について農林省自体として正確に把握をし、もっともだとお考えになっているかどうかということを聞きたかったわけです。
  38. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私のほうは全体として向こうの折衝に、外務当局にまかしておりますので、その内容は、解決または処理されると、すべてを含んで、こういうふうに承知しています。ただ、私のほうは賠償をしなくてはなりませんので、国内的な問題としましても、その取り扱いにつきましては部内において協議して、十分検討の上、もしこれが交渉が妥結した上においては国内問題として取り扱う、そういう面におきましては重大な関心を持ってこの成り行きを見守っておるわけでございます。
  39. 佐野廣

    ○佐野廣君 韓国問題に関連して、農林大臣ちょうどいらっしゃるから、竹島の問題ですが、昔は島根県の五箇村というところに所属していて、アワビとか、サザエとか、たいしたものはとらなかったようですが、いまはああして離れてしまったわけですが、これは水産物の問題ということはあまりたいした問題でないかもしれませんが、現在どういうふうな状況に漁獲物がなっていますか。それから、この竹島の問題はむしろ領土問題としての解決になるかと思うんですけれども、これは一括解決の中に、今後間もなく何か調印等も行なわれるようですが、この解決はどういうふうになる見通しですか、伺っておきたいと思います。
  40. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは外務省のほうでやっておりますので、私どものほうはそれを的確に申し上げる立場にはございません。けれども予算委員会、その他よりより話を聞いておるのには、竹島の領土問題をここで一挙に解決することはできないようでございます。解決の方法をどういうふうな方法で解決するかという、その方法論で妥結をしたいということで進めておるやに私は聞いておりますが、それ以上のことは私直接この問題には当たっておりませんので申し上げかねる次第でございます。
  41. 浅井亨

    ○浅井亨君 佐藤総理大臣はひずみ是正ということについて非常にお考えになっておられる、これを推進しなくちゃならないと、このようにおっしゃっておりますが、一番おくれておりますのは中小企業、農業に対してでございますが、この抜本的な是正をやるといっておりますけれども農林大臣日本農業のあり方についてどのようにお考えになっておられるのか、ちょっとこまかくひとつ御説明を願いたいと思います。そこで、農林省の本年度のこの予算を見ますと、あまりにも変わりばえがないようにも思うんです。どの面に一番重点を置かれた対策を立てておられるのか、それをひとつ御説明願いたいと思います。
  42. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 農業のあり方についてのお尋ねでございますが、現状等につきましては、さきに国会に出しました三十八年度の農業白書といいますか、それにまあ御説明申し上げているようなわけでございます。また農業につきましてどういうふうに持っていくべきかということにつきましては、大体、農業基本法の考え方に沿うて政策を進めておるんでございますけれども、その中におきまして、いま御指摘のように、他の産業との生産性格差、あるいは所得、あるいは生活水準、この格差が必ずしも農業基本法の目ざすようなふうに是正されておりません。大体としましては横ばい的でございますが、一方において御承知のように高度成長の経済政策がとられておったというか、結果において高度成長経済施策でありましたが、他産業の成長は相当ありましたが、農業に対する成長はそれに及ばないというようなことで、格差等におきましても横ばいの状況であります。ことに農業労働力が、こういう高度成長経済下におきまして、これはもとから出ておりましたが、急激に出てきておりまして一年に七十万人から出ておりましたので、非常に労働力不足してきております。こういうような状況でございます。そういうような状況でございますので、このひずみを是正したり、安定した農業に持っていくためにどういう政策を施したらいいかということでございます。労働力不足しておりまするし、あるいはまた生産性を上げなくちゃならぬというような意味からも、農業相当機械を導入しなくちゃならない。機械の導入が相当進んでおりますけれども、もっと大型機械等を導入して、たとえば、ことしの予算にもありまするように、農業協同組合等によりまして大型機械を導入して、この共同作業といいますか、共同化を進めていくということが必要じゃないか。これは第二種兼業が全体の四二%にもなっておりまするので、兼業農家対策としても必要でないかというふうに考えておりますので、そういうことをやっていきたい。ところが、そういうことをやっていくためには、まず土地基盤といいますか、土地が土地改良もされておりませんし、それは相当やりました。やりましたが、まだまだ機械化に適合するようなふうにまで持っていってない面が相当あります。そういう面におきまして、土地基盤の整備ということを一そうやっていかなければならない。揚排水の問題もありますが、なおさらに圃場の整備等をしていく。あるいは今度ガソリン税見合い等につきましても、採用しております農道、従来の農道も加えてガソリン税見合いの農道というふうなものを進めていきまして、そして圃場の整備等まで進め、基盤を整備していくという、この土地基盤の整備ということに相当重点を置いてことしの予算ども計上しております。でありますので、一般予算増加率よりも、土地基盤の整備の予算増加率等はずっと多くなっております。ところが、そういう面も力を入れなくちゃなりませんが、同時に、国内的なひずみの是正からみましても、国際的にみても、日本農業が国際農業の中にまき込まれるといいますか、開放経済下にその波をなかなか避けるわけにはまいりません。波を受けるというようなことに相なります。そういうことになりまするというと、農業そのものの国際競争力というものも強化していかなくちゃならなぬ。そういうことから構造改善等に力を尽くして、ほんとうに強固な基盤に農業を持っていかなくちゃならぬ。こういう点から考えまするならば、日本農業の従来の欠陥であるところの経営規模が非常に小さいということ、資本の装備が十分でないということ、でありまするから、これは自立経営農家の定義でございますが、これを二町五反にするか、あるいは三町にするかというような問題もございます。しかし、これは動きによって、それぞれその時代時代によって変わってくると思います。大体そういう経営の面積もさることながら、所得が大体いまのところでは年六十万以上というものが、自立経営一つのタイプじゃないか。四十三年ごろになりまするならば、これは年収八十万円にならなくちゃならぬものだと、こういうふうに考えていますが、自立経営農家というものを経営規模の拡大において、あるいはまた経営規模が拡大でなくても、都市近郊とか、あるいは経営規模が、土地が取得できないものには、やはり狭い土地でも、花とか養鶏などという、いろいろなものがあります。選択拡大の面で資本装備を力づけてやりまするならば立っていく農家もあると思います。そういう面におきまして、経営規模の拡大あるいは経営規模の拡大が十分でない、でき得ないものには、それぞれの方策、経営面積において適当な農業を営むような方法、あるいは兼業農家等におきましては、共同化によりまして、経営規模が共同の単位として大きくなる。一人一人の分は小さいのでありますけれども、共同化によってその単位は大きくなるというような方向へ持っていきたい、こういうことを考えております。それからいまの資本の装備からいいまするならば、金融面、こういうことが必要でありまするので、農業金融につきましてもさらにワク等を拡大いたしまして、金融面でやっていけるようなことにしていきたい、こういうもろもろの政策が、すべてがいまのひずみを是正していくということに相なろうと思います。御承知のように、農業は収穫からいっても一年一回でありまするし、すぐによくなるような手をかりに打ったとしても、その効果は何年か先になるというようなことでありますので、御期待に沿うような面になかなかなっていかないと思います。しかしながら、いま申し上げましたとおり、基盤整備とか、構造の改善とか、こういう点に力を入れ、そうして金融面の措置等もとりまして資本装備等も充実して、自立経営が、六十万円以上の収入を得られるような自立経営農家がよりふえていくように、こういう指導といいますか、政策をとろう、こういう点で予算の面におきましても、そういうところへ重点的に予算をつける、こう申し上げて差しつかえないと思います。
  43. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまお話しのように、労働力不足、こういうことをおっしゃっておられましたが、いわゆる自立経営農家というものですね、これを拡充していくためには、後継者というのが非常に問題になると思います。その後継者を見ますと、いままでの学校卒業後ずっと見てまいりますと、非常に農家のほうへ行く人が少ない。まあいわゆる他産業が非常に隆盛をきわめておりますから、そのほうへ流れていくというのが非常に現在の状態なのだと思います。そこで、農家の後継者という問題は特に考えたいと思うのですが、昭和三十九年度の中学校卒業以上の生徒を見ますと、農家の子弟は百二十四万人だそうです。そのうち農業に従事した者が七万人で、やっと晃子が四万人足らずだと、こういうようなことであって、ちょうど比較してみますと、約五%にすぎない状態でございます。こういうような状態でございますので、こういう減少に対する施策としてどのように大臣はお考えになっているか。
  44. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かに労働力がだんだん外へ流出している、その中でも若い後継者が流出するということになりまするというと、実際健全なる農業経営ができなくなる、農村を不健全化する、こういうことでございますので、後継者対策につきましては、私どもは深い憂いを持ちながら対策をいたしておるわけであります。そこで、これも直ちにということにはなりませんが、後継者が外に出て行くのを見ますと、やはりどうしても経営面積が少ないとか、あるいは自立経営がなかなかできないという家庭が多いようでございます。そういう面から見ましても、根本的にはやはり相当経営面積を持って、あるいは土地がそう面積がないといたしましても、経営が自立経営として健全に進んでおるということが一番大事なことで、そういう方向へ農政を持っていきますならば、後継者も農家にととどまるという率が相当こくなる、こういうふうに考えますので、いま先ほど申し上げました政策等におきまして、特に自立経営、あるいは共同による一つの単位面積がふえて、農業が共同によってやっていけるという形も必要でございますが、とにかく自立経営的な農家をさらに育成する、こういうことが必要だと思います。  それからもう一つは、近代的な農業に変わってきておりますので、それに即応していけるような教育面が最も大事ではないか、これは自立面、精神面いろいろございますけれども、近代的な農業をやっていけるような教育、伝書農場等各県にありますが、私も数県行って見ましたが、そういうところにおける、そういうところに入っている青年などは生き生きとしております。そしてまた自分でこれから農業をやっていく方向を見出しまして、それに適応するような教育を受け、教育をしている、こういうことでありますので、できるだけ伝習教育的な近代農業経営に適するような教育機関をふやして、そういうところで教育を受けてもらうというようなことが必要だと思います。  第三は、やはり後継者もみずから独立して農業をやってみたいという青年に意欲がございます。そういう面で、昨年度も後継者育成資金も自分で特殊の農業部門を独立してやってみたい、これに対して金が足らぬ、金がほしいという者に対しましては、無利子でその金を、資金を与えるような制度を去年から設けました。そのワク等も五十四億でしたか、少しふやしましまて、希望も多いようです。こういうようなこと等にもよりまして、自分からやってみよう、農村にとどまってみよう、こういう気持ちを助長するというか、そういう気持ちを起こしてもらっていくということが必要だ、こういうことも考えておるのでございます。まあ要するに、農業というものが経済面、金の面だけで絶対他との格差が是正されるということは、しかも、対等になるということは非常に困難である、言うべくして困難であると思います。しかし、農業には他産業にはないよさもあるということで、ある程度補ってもらわなければなりませんが、そのよさを見出しながら、経営面においても、あるいは所得の面におきましてもよくしていくということが、後継者を農村にとどめておく一要素といいますか、だと思いますので、そういう方向に一段と力を尽くしていきたいと思います。
  45. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまお話を聞いておりますと、農村の子弟がわが家を離れて出て行くという、そのいわゆる農村の子弟がわが家を離れて出ていくという、そのいわゆる農村自体に魅力がないということは、いわゆる収益のほかの産業との格差、こういう問題、それからいま自立経営ができない——いろいろ見てみますと、一ヘクタール、それ以上のものとその以下のものとに境があって、一ヘクタール以上のものだったら大体二分の一くらいは使える、だけれども、一ヘクタール以下ですともう五分の一くらいに減ってしまう。こういうようなことで、先ほどから、二・五ヘクタールを基本にしておやりになる、こういうような考え方を持っておられるということでございますけれども、そのあまりにも魅力がないといいますけれども、そのもの自体にはもっと教育の方面で、さっきもお話ありましたが、その面でほんとうに取り組んだならば、その子弟も、昔から持っていたたんぼでもありますし、またそういうことが非常な何というのですか、因習が深いというのですか、放しにくいという気持ちがありますので、何とかして立ちいきたい、こういうふうに考えておると思うのです。そういう教育の面においてどのようにいまひとつやらんとしておられるか、御説明願いたいと思います。
  46. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほど申し上げましたように、近代的農業経営し担当していく資格といいますか、能力といいますか、そういう能力を養う、こういうことに基本を置いて実地に教育等を施し、あるいは教育に参加する機会がない者は会合を設けて、いまお話のように自立できるような希望を持たせ、それに対処するようなそれぞれの技術などを身につけていくというこに重点を置いておりますが、なおこさいに、農業に対する教育をどうやっていくかということにつきましては、農政局長がおりますので、一応御説明いたします。
  47. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 後継者の全体の対策としては、先ほど大臣のお話のとおりだと思いますが、特に農村の場合、また、高校出が、次第にふえてはおりますが、何と申しましても中卒の青年が村に残るという場合のほうが量的には多いわけでございます。そういった意味合いで、私ども農林省が担当いたします青少年教育と申しますか、青少年対策としましては、主として重点を中卒者の実務研修あるいは農業経営に対する自信なり展望なりをしっかり持ってもらうことに置きまして、施設といたしましては、御承知経営伝習農場というものが各県にある、それらの施設、それから経営伝習農場に収容し切れません——もちろん応募者に対しまして入場を許可されます者がおおむね半分くらいでございますから、したがいまして、大多数の在村青年諸君に対しましては、普及教育活動を通じまして、集合研修、あるいは県のそういった研修施設を短期的に使いましての短期講習、そういうような機関で、何と申しますか、青年諸君が村で個々ばらばらで自信を喪失しておる懸念がありますものを、そうした組織の力、普及の援助というようなもので横の連係を保ちながら、自信なり将来の展望、あるいは技術的な技能というものを深めていただくという措置をとっております。なお、その一環といたしまして、ラジオを使いましたラジオ農業学校の制度がございます。これなども非常に有効な役割りを果たしておるものと思っております。  なお、そういったいわゆる教育活動と並びまして、本来の普及員の中にも青少年を特に受け持つ普及員を昨来来きめまして、それらの諸君は学校を出たあとの農業に従事しようとする青少年諸君のめんどうを特に丁寧に見てもらうというようなことを考えておるわけでございます。
  48. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまお話がありましたが、この農業専修学園ですか、これを今度はつくってやると。この研究施設、これはどのような内容になっておりますか、その数字的なものがありますか。
  49. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) おことばにありました農業専修学園と申しますのは、特別に新しいそういう施設と申しますか、新しいものをつくるという感じがやや出るかと思いますが、実質的に私どもの趣旨としてねらっておりますことは、先ほど申しました経営伝習農場に長期的にはいれない、施設の関係あるいは家庭の事情両々相まちまして長期に経営伝習等が受けられない諸君に対しまして、短期間、一応一年間に一回、一週間くらいずつ三回くらい同じ人について集まってもらって、農業のおさらい、あるいは自分の経営の検討、反省といったようなものをやってもらうという趣旨でございまして、いわば短期講習の一つの試みでございます。で、在来もいろいろな名前で各県でやっておりましたものを、専修学園というような名前をつけて特に魅力を少しでも増そうという気持ちでございます。  したがいまして、使用をいたします施設は、各県にございます青年研修会あるいは経営伝習農場等、大体どの県でも同じ場所に設けておりますが、県に設けております短期講習の意味の青年研修会をさらに充実して利用するという趣旨でございます。行く行くはそれらの施設を全県にわたって逐次拡充していったらいいと思っておりますけれども、他面、明年度は特に御熱心な、前進的なと申しますか、そういったものについて先がけてやってみようという県がございますので、それらについて五県分の施設のための予算を計上いたしております。それには特にこの種のものとしての新しい試みといたしましては、経営伝習農場は、御承知のように中卒を対象に現に逐次整備をしておるわけでございますので、これと相並びまして高卒の経営者——だんだん経営規模の大きい階層では、高卒の経営者がふえつつあるわけであります。それらについてさらに高度の専門的な部門——農業一般というような抽象的なことでなしに、たとえば果樹でありますと、果樹の中でもミカンとか、あるいは野菜で申しますれば高度の技術を要します礫耕とかビニール栽培とかそういう特別の高度の技術的な経営、いわば個々の技術というよりも、むしろ経営のほうの面を必要とするような項目について経営伝習施設のそういう面への拡充をはかっていくということで、全国で二カ所ほどそういう新しい高卒者に対する高度な経営者教育というものを講じますための施設についての予算化を、在来の一般的な予算のほかに継ぎ足しております。
  50. 浅井亨

    ○浅井亨君 もう御存じだと思いますけれども、栃木県の農学寮ですか、あすこへこの間行って見学させていただきました。あすこでは三十九年度に二千百十九名卒業者があるそうです。御承知だろうと思いますけれども、そのうち女の方が六十六名おります。そうしてその施設と行き方につきまして技術の面も、また農業経営の面におきましても、ほんとうに真剣になって先生が教えていられる姿を見てまいりまして、これは非常にけっこうだなと、こう思いましたが、何にしても先生と生徒が二十四時間、まる一日一緒になっていろいろな多角的な教育をされておるそうでございます。  で、いまお話しになりましたこの専習学園ですか、これは三週間と聞いておりますが、それはときどきでございますし、なかなかそう簡単にはいかない。ただ、こうすれば農村の子弟はある程度魅力ができるであろうというようないまお話でございましたが、そういう軽い気持ちでなくして、もっとこういうような施設をうんとつくっていくならば非常にいいのじゃないかと、こういうふうに私は考えるのですが、こういう点はどのように今後やっていかれるお気持ちあるでしょうか。
  51. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 先ほど来申し上げております経営伝習農場は経営伝習施設といって、私どもが古くは昭和九年から始まったものでございますが、その後、戦後それを改良普及事業の一環として、後継者対策という観点からそれらを引き継いで私どもがごめんどう見ておりますが、各県それぞれに、教育者としての独特の見識と独特の御熱意を持って、それぞれに非常な成果をあげておられます。栃木県の例等もかねがね承っておりますし、独特の成果をあげておられます。そういった意味で、いわば学校教育ということになりますと、やはり基礎の教育でございますから、ある程度標準的な基準で、一般的な常識的な、広い片寄らない教育ということがどうしても主眼になるわけでございます。私どもとしては、農業高校その他いわゆる学校教育が、そういう意味で、一般的な、世の中に出てからの基礎のものの考え方をつちかうという意味で、まず学校教育を充実していただくことが必要だと存じますけれども、それらの上に、農業という独自の職業でございますので、それに関する一つの信念と見識と、それから熱意というものを、経営伝習農場といったような、ある程度それぞれの担当者の個性の非常にはっきりする施設でそういったことを続けていくということも、非常に有意義なことだと思っております。私どもとしては、経営伝習農場につきましては、県と国とがいわゆる普及事業の一環としての共同施設として認識をしておりまして、施設の近代化、特に新しい企業的農業経営に必要な施設の充実等につきましては、国でも応分の助成をいたしております。そういったことで、今後ともそれらの施設の充実を各県にわたってはかってまいりたいと思います。また、先ほど申しましたように、それに加えて、余力のあるところでは、短期講習あるいは高校新卒者に対する講習等をも、それらの施設の拡張利用によって能率的にやってまいりたい、さように考えておるのでございます。
  52. 浅井亨

    ○浅井亨君 いろいろお話聞いてまいりますと、非常に多角的な角度から見ませんと、この農村というものがたいへんだと思います。私も農村の生まれでございますので、多少は農村というもののあり方というものを、理屈の上じゃなくして、実際の、自分自身の実際の面から考えまして、非常に農家の人は教育程度も低うございますので右往左往していくというのは、これは無理からぬことと思います。こういう面に対しまして、農林省としてはもっと深い考えをもってその子弟を教育していこう、こういう施策をどんどんと立てていただきたい、このように私は念願いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  53. 藤田進

    ○藤田進君 赤城農相にお伺いいたしますが、わが国の重化学工業化ないし消費財産業の非常な設備投資、したがって生産相当急上昇いたしました。むしろ、長い目で見て、それぞれ国内需要ないし輸出貿易等から見ますと、相当な圧力を過剰生産という形で受けるように思うのであります。ところが、先般のジュネーブにおける長期にわたる会議の模様、その後のいわゆる後進地域の一次産品の問題の非常に根強い主張、加えて今度の日韓会談による貿易関係を見ますと、結論的に見て、わが国の農業に対してかなり圧迫を受ける。米の問題を取り上げてみても、これまたバーターの色彩の濃い現状においては、タイなりあるいはビルマなり、その他それに加えて韓国米といったようなものを見返りとしてとらざるを得ないというようなことから、わが国農業にとっては、ことにいま示されている諸般の農業政策から見れば、どうもその辺に重点が置かれなければならないと思われるのに、見るべきものがない。これらの一連の事柄について、まず今後の方策をお伺いいたします。
  54. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かに御指摘のような情勢でありますので、日本農業をいかに確保していくか、健全化していくか、こういうことが重大な問題だと思います。先ほどから申し上げておりますとおり、まただれもがそう承知しておりまするように、一面においては国内の問題になります。他産業の伸びが、いまお話しのように非常に進んでおります。したがって、農業におきましても、他産業と、あるいは生産性におきまして、あるいは所得におきまして、あるいは生活水準等におきましても、その格差を是正していくということが必要でございまするし、一面、国際的に見まするならば、貿易の自由化という趨勢にございます。それに対しまして、日本農業を守っていかなきゃなりませんが、一面におきましては、日本農業よりもなお、日本国内よりもなお劣っているところの東南アジアとかアフリカとか、いわゆる南北問題の波が押し寄せてきているわけであります。先進国からは、貿易の自由化によりまして、どんどん日本へ物を売ろうというような形、また後進国といいますか、そういう国々からは、農産物等を日本に買えというような交渉相当ふえてきているわけであります。でありますので、国内的に、国際的に、日本農業というものが非常に、何といいますか、強化していかなければならぬ現状にありますが、その強化とは逆に、現状といたしましては、なかなかいまの問題の解決が十分に行なわれていない、こういうことでございます。  でございますが、やはりこれは日本の国の経済からいいましても、民族の問題からいいましても、やはり農業というのは非常に大事な業態であると思います、業だと思います。でありますので、できるだけやはり日本の農産物を自給率を高めるということが、実際なかなか困難でございますが、自給率を確保していきたい。御承知のように、いま全体といたしましては八〇%、昨年、一昨年あたり八四%くらいでありましたが、八〇%くらいに落ちましたが、この八〇%くらいを確保していきたい、こういうふうに考えております。その線に沿いまして、国際競争力を強めながら、農業生産性を高め農業者の所得を増す、こういう両面から施策を行なっておるというのが、申し上げ得るいまの段階だと思います。
  55. 藤田進

    ○藤田進君 いや、そのことは、お手元に皆さんお持ちであり、私もいただいております説明書の中でもいまの御答弁程度のことは触れられておるわけです。ところが、二律背反というか、時間的ズレというか、自由化になる、そしてそのワクも相当拡大されてくる、で、一方、通産省所管のものとの見返りといったようなことで、これはかなりテンポが速いように思うのです。もうすでに現在その圧力があると思う。それと、いまおっしゃるような対応するわが国農業生産性向上あるいは所得格差是正というもの、これが——ことに農民所得というものは、もう相当引き上げていかなければ、非農家に対する所得の比率というものは、私の調査では漸次低下しているように思われる。そこで、この所得を上げていくということは、これに相当上回った生産性というものがないといけない。いわゆる後進地域における農民を含む生活水準が非常に低い。朝鮮もそうでしょう。したがって、この部分に関する限り、ある種のソシアル・ダンピングともいえるかもしれないような状態において、わが国の農業所得を上げていくということにおいては、その価格政策なりについては全く相反することになる。そこで、構造改善であるとか、選択的拡大であるとか、いろいろおっしゃいます。そして生産性向上をうたわれるのですが、わが国のような地形、そういった条件、立地から見て、おっしゃるようにそれでいいものだろうかどうだろうか。私は非常に困難だと思うのですが、しかし、それはそうではない。今度の韓国米、やがては韓国が魚類の日本市場への進出も言っているようであります。これは他の委員からも質疑があったように思いますが、南方からは特に農産物を中心に押しかけてくるということになれば、現時点に立つ日本の農政というものはきわめて明確な線を打ち出していかれませんと、これはどうにもならなくなる。だんだんと農業人口が減っていくだけでなくて、日本農業自体に大きな危機が来ているように思うのです。ですから、農政関係学者もいろいろ議論を展開しているようでございますが、その辺のところの、これは事務当局に数字その他は御答弁をいただいてけっこうですから、農民の納得いく方針というものをお聞かせいただきたいのであります。
  56. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) なお、事務当局から御指摘の点につきましてはお答えをいたしたいと思いますが、私は、やっぱり大きな体系からいえば、農業一つの国際的分業というような形にだんだんいくのじゃないかと、こう思います。そこで、日本といたしましては、どうしてもこういうものは日本生産しなくちゃならぬものだと、こういう品目をきめて、こういう品目につきましては、国際競争力が弱くてもこれは保護していく、そして漸次国際競争力を養っていくということでなければならないと私は思うのであります。まあ御指摘の米のような——米の点もありました。韓国から米を入れるということは、これは正常の形ではございません。実は米は、御承知のように三十万トンから五十万トンぐらい年々日本でいまどうしても入れなくちゃならないような現状でございます。でございますから、これにつきましては南方あるいは台湾あるいはカリフォルニア、こういうところから米を常時輸入しているのでございまするから、その範囲内におきまして、韓国におきましても五万トンないし八万トンくらいの希望がございますので、入れてくれという希望がございますので、これは別にまだ確定はいたしていません。去年の暮れも交渉したのでございますが、中途になってしまいました。こういうことで、たとえば米等につきましては、どうしても現状からして一〇〇%自給というわけにはまいりません。しかし、こういうものは、どうしても日本の稲作農業というものはこれは進めていかなくちゃならぬものでございまするし、自給度も維持していかなくちゃならぬもの、こういうようなもの、あるいは麦等につきましても、作付が減ってきておりまするけれども、これは一つの統制間接——でありますが、国家の統制品目として重要視していかなくてはならぬ作物でございます。あるいはでん粉の問題につきましても、あるいは乳製品等につきましても、現在酪農、畜産等を奨励しておりまする関係上、こういうものが手放しで自由化されるようなことになるというと、これは日本農業というものは壊滅する、こういうことでございますので、一つの例でございまするが、そういうふうに日本農業としてどうしても育成、保護していかなければならぬというものがございます。そういうものにつきましては、極力自給率を維持し、高めていくということでなければならないと思います。  そういう意味におきまして、お話のように、あるいは通産関係から、あるいは外交関係から、いろいろ私のほうへ国内的にも言ってきます。ああせい、こうせいという申し入れがあるのでございますけれども、私のほうといたしましては、自由化に対しましては極力慎重な態度をとりながら対処していく。ことに一つの計画も逐次固まりつつあるのでございますが、なかなかまだ十分に固まっておりませんが、重要農産物等につきましては、保護、助長の各方面からの対策を講じていきたい。そして漸次生産性を高めていくよりありません、急速に高めていけませんから。そういうような態度をとっておるわけでございます。
  57. 藤田進

    ○藤田進君 それは、まあ農業については確かに一農林大臣だけを追及してみましても、そんな速効肥料はないと思います。それはものによっては、米価その他のそういう直接的なものもありましょうが、概して政策浸透は遅効肥料になると思うのですが、それにしても、非常にむずかしいことは私もわかりますが、どうも赤城さんは、過去の経験等から見まして、農業についてはことに深い関心を持たれていることはわかるのだが、しかし、それにしても、なかなかこのまままいりますと、私の杞憂かもわかりませんが、私の地元、広島においても、米の質においてはいいけれども、耕地面積が狭い。狭いにかかわらず、さらに離農、挙家離村というか、もう部落で全く荒れ果てているところも出てきました。あの瀬戸内海の沿岸の谷間でも出ているのであります。これを見るときに、あるいは自分たちの周辺を見るときに、およそ百姓ではやっていけない。そこで、少々苦労はするけれども、どこかつとめたい、守衛みたいな二十四時間勤務して二十四時間休むようなところはないだろうかと、これはもうとても多いんです。われわれの広島においても非常に多いんです。それから、私も方々かけめぐっておりますが、どこに行っても農業というものが引き合うというところにめぐり合わしたことがない。そういたしますと、いま石炭産業において同様のことを憂慮するわけですが、とにもかくにもそういった産業について、農業をはじめ漸次あるいは急速にこの青年たちが離れていくという傾向はいなめないのであります。  そこで、おっしゃることは、国際的専業化段階に入るだろうということについては、私もいろいろ検討してみましたが、まずEECのような一つのブロックを形成していて閣僚会議を持つといったところは、かなり私はそれは対立はあるけれども農業はじめ、ことに第二次産業の専業化というものが進められると思います。世界の趨勢というものはそういうふうになるだろうと思う。ところが、これには大きな前提が必要であって、特に日本のような島国の場合、アジアの軍事その他の事情が必ずしも平穏でないということだとすれば、なかなかこれは専業といってのんきにその線に乗っていくことがはたして得策であるかどうか、きわめて疑問に思うわけです。それはちょうどエネルギー源は重油だということでも、いまの段階で石炭を放棄するわけにはいかない理由一つにあると同様であります。  そこで、専業化ということに触れられましたが、私はそういう傾向はあらゆる産業についてすでに論じられておりますしするけれども農業に関する限り、特に緊急を要する食糧を持っていること、特に生鮮食料品等においてはということになりますと、話はもとに戻って、結局は農民が引き合う農業、都市に出るよりも農村にいたほうがいわば文化生活ができる、せめてその辺まで、あるいは一歩譲っても都市の産業労働者と変わらないのだという、生活の安定というものがなくてはならない。結局は所得政策。ところが、それは価格政策になるでしょうし、国の行財政に依存しなければならないというのが現状だと思う。その辺が、なるほど待てば海路のひよりありというものが政策からは出てきていないのです。総理の、あるいは大蔵その他の本会議における所信をいろいろ聞いておりますが、その後の委員会の模様をずっと私聞いておりますが、それがない。  そこで、この予算の最終段階に立ち至りましたここで、この四十年度予算ではしかじかであるということなんだが、今後の長期政策として、四十一年度以降の一つのイメージがあるはずなんです。その辺も聞かせていただきたいと思うんです。
  58. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御指摘の点、一々肯綮に当たっていると思いますので、そういうふうに私も考えます。  そこで、これからこういう現状に対してどうするか、イメージはどうかということでございます。私はやっぱり何といたしましても、農業が引き合うようにもっていく、こういうためにはひとつ自立経営農家の育成というのが一つの何といいますか、筋ではないか、こう思います。その自立経営農家というのは、耕作反別ばかりで規定されるべきものではないと思います。おたくのように非常に狭い土地で農業をやっているところもございますし、しかしそういう狭いなら狭いなりに、資本装備等を強くいたしまして、そうしてやっていけるようなものもないわけではございません。たとえば愛媛県におけるミカン産業のごときものは相当発達しているということでございます。そういう意味におきまして、土地の経営規模ばかりじゃございません。経営規模は一つの大きな要素だと思います。しかし、経営規模ばかりでなくて、資本装備等につきまして、いまの考えでは年収六十万以上の農家相当数多く育成していこう、あるいは中期経済計画の四十三年度には八十万くらいに見なければならぬだろう、こういう見方をいたしておりますが、そういう意味におきまして、自立経営農家の育成ということはやはり進めるべき対策である、一つの大きな筋であると思います。  しかし、いまお話しのように、経営面積も少ない、あるいは兼業農家、——第二種兼業農家は四二%にもなっております。こういう形で、これは一人一人がそういう自立経営というわけにはまいらぬと思います。そういう意味におきまして、離農もこういう人たちに多い。しかし、中には、やっぱり農業として立っていきたい、こういう意欲を持っている人も相当あるのでございますので、こういう面はやはり共同化といいますか、相当集まりまして、共同の単位においては自立できる。その中の個人においてはなかなか自立は農業そのものだけでは困難であると思います、所得の面からいいましても。しかし、単位として、一つの共同化したものとしては相当農業生産性も上がり、やっていける、こういうような形。その中の個人としては他からの収入も得なければやっていけないということもあると思います。しかし、そういう意味におきまして、これも私は一つの単位として農業相当やっていけるような形を共同化によって進める、こういうふうに考えて、農業所得あるいは農業者の所得等も確保できるように、あるいは、したがってまた生産性も上がり得られるような形をもってやっていく。そういうためには、自立農家の定義にもよりますけれども、自立農家を数多くつくっていく、こういうのが大きな筋であるというふうに考える次第でございます。
  59. 藤田進

    ○藤田進君 そう言われても、零細農が解消するかという議論については、私は農民のこれは頭の切り変えも必要です。土地に対する執着というか、封建残渣というか、残っておる。私は先般対島、それから天草の辺ですね、赤城農政でおやりになっておるあとを見て歩きました。これは果樹をやっている天草の場合は、見ると成績をあげているようだし、そうして年齢層もかなり低いそうだから、有望のように思われますが、農業という長い目で見るべき産業から見ますと、一体そのあと継ぎがあるのだろうか、どうだろうか。お医者さんとかなんとかになりますと、いま入学難でも、それは一口数百万かけても入学させてあと継ぎさせてやっております。お医者さんのあと継ぎは大体お医者さん、これは万難を排してやっておいでになる。ところが、農業については、まあ昔から親しんぼう子楽といったような、もっと顕著に、桃をやってみても、ナシをやってみても、リンゴにしても、営々として苦心してみましたところで、子供らがこれを継いでくれるかどうか。その点はもうわかりませんといっているのが現状なんですね。そういう状態で、だから、これを譲り受けてといったようなことが非常に困難でしょう。  そこで、だんだんそれは根性も変わってこなければならぬでしょうが、農民自身の。ただ、零細農の解消、そうして自立経営、共同——おたくのほうでは協業化とおっしゃるわけですが、西ドイツのグリューネプランを見ると、これは家族農場の規模でも十五から二十ヘクタールというように、以下フランスの場合あるいはアメリカはむろんのことです、これはもう家族農場という範疇ではあるけれども、これは土地柄国柄で非常に規模が大きいのですね。したがって、機械化も容易でありましょうし、資本力もありましょうが、日本の場合、東北地域はいざ知らず、少なくとも箱根から西といっていいかもしれないけれども、ほとんどの地域というものは、大型機械化ということは、これは非常に無理なんでありまして、こう考えてまいりますと、共同化、協業化というもの自体にも限界性があるように思う。  そうなると、大きな政策としては、こういったいわば山間部における農業というものは、何か少なくとも水稲中心ということでなくて、まあどんどん町に出てこいというわけで、農民人口というのは一〇%台でいいのだというようなところに落ちついてしまうのじゃないだろうかと思われるのであります。  それから、協業化と言われますが、わが国におきましても農業法人化を認められていることは承知いたしておりますが、しかし、耕うん機二十五、六万、農協で金借りてといったようなことで、大体一町歩前後の農家でも各自自分で持たなければ承知しない習性というものがあるのですね。他人に貸すのをきらうのです。それから借りるのもきらう。まあそういったものは他人に反当数千円で貸すというようなやり方はあるけれども、おおむね自分で持つということなんで、これは一例を耕うん機にたとえましたけれども、これはなかなか自主的に協業化ということをやれといってみても、これから六月にかけてある田植えはある程度共同して昔からやっておりますけれども、ことに農薬散布などについては各戸が明々にやってみたところで効果がないと思うのですね。隣のたんぼに逃げてしまう。一連の交換分合ができておりませんから、小さいたんぽで三畝か四畝のたんぼ、その隣は他人ので、はるか飛んでまた自分のだというようなことで、大体部落別にくらいは、旧字くらいはそういった農薬散布もやり始めてはいますが、大体付近の山やあぜに逃げるし、また来年も害虫発生といったようなことなんで、いま私が調べてみますと、農林省におかれてもヘリコプターも相当いま活用されているようにも思われますが、これは地形にもよりましょうが、私は生産所得補償方式ということを、これを肯定せられるとするならば、あえて農林大臣がちゅうちょされることもないので、農薬、これが散布については国の規模において、これは公社をつくるとかなんとか、これは別ですが、そういうものは一連の国でおやりになったらどうなんだろうか。しかし、それは農薬なりそれを散布いたします手間なりといったようなものは、生産費から控除されたっていいんじゃないかと、簡単にいえばね。まあまだ協業化といっても、将来を見てもなかなか統一的なものがない。害虫駆除の万全を期していない。と同時に、いまのような協業化の面から、コスト安というか、そういう面から見ても、一部では行なわれているそうでございますけれども、広いところはヘリコプターとかあるいはそうでないところはその次の手段とかいうように、もうそろそろそういった国でおやりになる段階じゃないだろうかというふうに思うのです。  いろいろ申し上げましたが、零細農というものの解消が実際問題としてはむずかしい。そこで、重点を共同化、協業化に置かれようとしましても、農民の旧来の習性があるといったようなことなので、これをこわしていくという面からも、国でもう少し可能な限り直接的な協業化のテコ入れができないものだろうか。たとえばいまの農薬のごとくという意味でありますが、いかがでございますか。
  60. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは一つの革命といいますか、大きな課題であろうと思います。決して事自体に反対するわけではありませんが、一つの転換でございますので、そういうことがいまの何といいますか、個人的の企業になっておりますので、農業はいまお話しのようになかなか採算がいくほどにいっておりませんから、企業的農業とはいいませんけれども農業そのもののあり方が個人的な企業的な面で進められてきておりますので、その単位においてそれを単位として共同化ということを進めておるわけでございますが、これを一歩飛躍して、今度は国でたとえば農薬の散布というようなことを受け持ってみたらどうかと。一つ考え方ではあろうかと思いますが、そこまでどうもいくということはちょっとどうかと思うような面もございます。いまのお話しのように、機械にいたしましても、自分で持っていたい、人に貸したくない。小さい機械を持っている。農地が分散している。共同化に対しましての支障も相当ございます。しかし、一面御承知のように請負耕作というものが相当進んでおります。私はその形態はいろいろ問題はあろうと思います。こういう形態、これはいい悪いは別といたしまして、現実がそういう面に進んできておると、こういうふうにも理解しておりますので、こういう形態等もなお分析いたしまして、いまの国でどうこうということではなく、個人的な単位を存置しつつ共同化のほうへ零細農家等につきまして向けていったらどうか、せっかくそういう方面に進めておる次第でございます。
  61. 藤田進

    ○藤田進君 まあそうおっしゃいますがね、私は、これでまいりますと、結局じり貧のような気がするのであります、やはり弱肉強食といったようなことで。農地関係の今度公団をおつくりになるようですけれども、これ自体も、それは地域にもよりましょうが、なかなか農地を手放すということができないところに協業化と共通の観念があるのですけれどもね。その辺に農政を農林大臣以下執行されるにあたっても困難なところがあると思うのです。  結局どういうことになるのですか。農政の進むべき道というものについていろいろ言われておりますが、零細化ということ、これは協業化で解決しようということのように思われます。すると、協業化しても、結局外国から安いものが入ってくるということになれば、米麦中心の農業の場合におきましても、何といっても米価関係においてコントロールされて所得に大きな影響を持つ。ところが、一方生活ないし生産手段の農機具とかいったようなものについては、あるいは肥料も同様ですね、農民とは無関係にその価格が形成されると。今日の農業というものは確かに、私どもの子供の時代から比べてみても、相当自給自足経済であったと思われるものが、いまは私はまさに商品経済農業だといっているのですが、早い話が、昔は塩を買ってくれば、あとはみそとかしょうゆとか、われわれの母親がやっていたのをまだ覚えてます。ところが、いまみそだのしょうゆだの、ほとんど購入してきて、家でつくるというのは特殊な人というか、部落ということじゃないでしょうかね。このように、肥料にしても、堆肥だとか何だとかいっていたものが、百姓が金肥を買ってくるという、いわば商品である。生産されたものが、これがいろいろ議論があっても、時のいろいろな事情で、生産費並びに所得補償方式とはいいながらも、現実にはこれが伴っていないような気がする、他物価との比較において。ところが、多くの買い入れについては以上のような仕組みということになってまいりますと、どう考えてみても、商品経済としての農業が立ちいくはずがない。結局は根本的な国の保護政策というものをきちんとおかなければ、単に自立経常ということのようですが、これは中途はんぱで、どうにもならないのじゃないか。いま農民が耕うん機買って、いや二十万だ、三十万だ。いま若い者は小型のトラックくらいは一台買ってやらなければ、なかなか百姓を残ってやってくれないですよ。私でもこうして出ているものだから、実際困っている、私自身でも。どうにもならぬというのが実情なんです。若い者でも頼んで、トラックでも買ってやってということになると、道路でもよくしてやらなければならぬということで、かろうじて何とかしておりますけれども、そんなようなものに五十万だ、あるいは百万だと負債が累積しますと、金利に追われて、元木の消却というものがおよそできません。そのことを十分考えていただきませんと、低金利、長期資金を貸しつけるというのではあまり魅力がないです。ですから、もっと徹底した保護農政、私は農本主義を言っておるわけじゃないけれども、しかし現状から見て、それだけの気がまえと実体がなければ、日本農業というものは、これはゆゆしい事態になるような気がいたしますので、申し上げているのですが、自立経常ということからさらに進んで、保護助成政策の徹底ということに切りかえができませんか。職をかけてもやっていただきたい。
  62. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かに農村経済も、自給自足経営時代に私は育ってきたのでありますが、現在においては商品経済になっておるというか、貨幣経済の波に入ってきておるわけであります。そういう意味におきまして、商品生産の業態といたしましては、農業そのものはまことに不利な立場といいますか、他の業態と比較して商品生産の競争力が非常に薄いと思います。そういう意味におきましては、私は農業に対して保護政策というもの、これはどうしても農業というものを存置していく、残していくということから考えますならば、保護主義がなければ農業というものは成り立たない、そういうふうに基本的に考えております。これは日本ばかりじゃないと思います。先ほどお話しのような、ドイツのような経営面積が十五から二十平均のようなところで、あるいは農業というものがごく小さい範囲に狭められたイギリスのようなところに見ましても、やはり保護政策というものは農業においてはとらざるを得ないと思います。そういうことから、基本的には、私は保護政策というものが不可欠である、こう思っております。  その保護政策を具体的に当てはめていく場合に、どういうふうな当てはめ方をするかということに苦心もあるし、問題もあろうとは思います。たとえば生産所得補償方式で、米等も、他の産業の従事者と同じ賃金を得られるような、製造業者等の賃金に匹敵するような自家労力でやっていけるようにというようなことにしております。その他農産物の七割は価格支持をしております。価格支持につきましては、やはり米のように非常に強い支持をしておるものもあるし、あるいは間接的な支持をしておるものもあります。しかし、どうしてもそういう保護的なことはもちろん必要でありますが、それは合理的な生産といわれるような面もやはり頭に置いていかなければいけないということは、私から申し上げるまでもないと思います。どういう低生産位であっても、それを全部補償しようということになると、これは国家全体の経済から見ていかがかと思いますが、合理的な生産に対しての保護ということが考え方の基本ではなかろうかと思います。  繰り返して申しますと、保護政策というものは私は不可欠であると、農業には。それをどういうふうに当てはめていくかということに問題があろうと思いますが、根本的な考え方においては、いま御指摘のようなことに同感でございます。
  63. 藤田進

    ○藤田進君 ところが、これはわれわれのほうでも、農政については特に議会でも力を入れようということを、もう数年前から言っているが、農業用かんがい用水路を、あるいはまた道路を見ましても、幾ばくかの補助金で、地元負担、こういうことで、なかなか地元負担に耐えられない。ですから、比較的率のいい林野庁系統の林道とかなんとかといったようなことで、国有林でも奥にあって、その木材搬出その他に使うのだという理由で道路もつけてもらえないだろうかという——地元負担に追われている。ところが、都市のほうでは、産業に水がないとどうにもならないということになれば、すぐもう水資源公団ができて、ちゃんと仕事は全額国庫支出でおやりになって、それはそれを購入するトン当たりの単価についてもある程度消化できるということもありましょうが、あるいはまた道路公団にしろ住宅公団にしろ、いわば都市一連のものについては、すぐ国の資本で事業というものが進んでいくわけです。農民に対してはあぜ道一つ、かんがい用水路一つでも国がやってくれたというようなことはないのじゃないだろうかね。  そうして一般の農業指導におきましても、たとえば乳牛なども、いつかこれは農林大臣もおっしゃったことがございますが、その指導をする指弾員の経験というものがまだまだ積んでいないし、これが教育が不徹底——予算の点もありましょう。だから、ある部落ではコンクリートをちゃんと打って、その上に牛舎をつくらせていったが、どうも乳牛は下痢し、ついに斃死していく。いろいろ調べてみましたところ、農業指導員が言ったとおりやったところが、体が非常に冷えてだめだった。それがあとからわかった。そういうことで農業指事の面においても、これは経験交流が、ときには県でやっている場合もありますが、まだまだ非常に不徹底なものがあるのですね。抽象的ではなく、具体的にそういう指導の面、あるいは農業生産手段の設備等の充実といったようなことを、もっと、保護農政に徹する以上、一部に補助金政策を再検討するという池田内閣からの問題もありますし、私も賛成でありますが、要するにそれは不可欠、重点的にやるべきであるという趣旨につながると私も思うので、そういう点は専門家である農政当局が、いま私の言うぐらいのことはもうとっくにお考えになっておるはずだと思うのです。それをわれわれ議会人も行政府の皆さんも一体となって何とかしていかなきゃならないんじゃないだろうかと思うので、以上のような点を指摘しながら保護農政の徹底を申し上げたわけでありますが、これらの点については特段の施政をしていただけますか。
  64. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 零細農補助金だとか、あるいは補助の目的を達したと、こういうふうなものを整理するということには私は賛成でありますので、そういう対策は講じてきました。しかし、根本的には補助金とは別に、国が相当な負担をしなければ、農業、農村というものはよくなりません。これは補助金という考え方とは別でございます。国が相当な公共投資をしなければならない、負担をしなくちゃならない、こういうふうに考えます。そこで、例にも出されましたが、そういうかんがい排水などにつきましても、建設省関係の国道等におきましては、国が負担し、その残りは地方公共団体が負担すると、これだけで、国の負担率が相当多いわけであります。ところが、農業におきましては、国が負担したそのあとを、公共団体と農民の団体——土地改良区というようなふうに負担をいたしておりますので、私は、ことしの予算などにおきましても、これはひとつ公共団体だけが負担するというような形にならないかと、こういうふうにずいぶん折衝いたしたのでございますが、ただ、道路などと違いまして土地の所有がまだ個人という形でございます。その個人の所有地のかん排水等がよくなるということでございまするので、全然受益者負担というものをなくするということは、たてまえ上困難であろうかと思います。ではございますが、その負担は非常に少なくしていくと、こういうことで国あるいは地方公共団体の負担で、大部分は公共事業でございまするから、そういう事業などはやっていけるようにというふうに配慮をいたしてはきておりますが、十分ではございません。その他、先ほど例にありました林道にいたしましても、あるいは農道等にいたしましても、圃場整備等にいたしましても、公共事業等におきましてはできるだけ国の負担によってまかなっていけるように、こういうふうにしたいものだ。ものによってはそういうふうに相当進め得たものもございますが、進め得ないものもまだ相当ございますございますが、その方針はこれからもとっていきたいと、こういう考えでございます。
  65. 藤田進

    ○藤田進君 最後に、それは農林大臣は熱意はあっても、国の行財政全体から見て思うようにいかない、今度の場合でも、それぞれ農林省要求についてなたをふるわれた点もあるわけでありますから、思うようにいかないと思うのでありますが、しかし、来年度予算については、赤城さんはおそらく内閣改造になっても残られることだろうと思うけれども、もう少しがんばられてもいいんじゃないかと思う。案外もろくおさまってしまう。他の国際的な規模を持つあと押しがあるというものについては、漸次国の予算の全額においても伸び率がよくなったりしている点も、まことに力なき農民としては嘆いている点だと思うのであります。国内においても、先ほど指摘したように、大企業、大都市といったようなところには——私は建設関係の表をつくっているんです、これは建設大臣にやろうと思うのですが、経済圏の中心地が大都市にあって、だんだんと遠ざかるにしたがってまことに国の予算も薄いという点がありますから、ぜひひとつ農業については、私ども予算を多く獲得され、これが実施されるについては、ものによっては協力できるわけでありますから、社会保障と同様がんばっていただきたいと思います。  時間もないので、以上で終わります。
  66. 高山恒雄

    高山恒雄君 大臣に御質問したい点は、だいぶダブる意見もございまするので、そういう問題を出すのは控えたいと思うのです。先ほどの大臣の説明の中で、「四十年度におきましては、農林漁業生産性向上構造改善生産選択的拡大価格の安定、流通の合理化」、こういう近代化をはかってこれをつまり推進していく、こういうことを申されておるわけです。しかし、このことは、農業基本法ができたのちに、農林省としてはそれを中心にして今日までやってこられたわけですが、しかし、結果論としては、いま藤田委員指摘されたように、全くむずかしい問題であると同時に、その解決のつかない場面がたくさん出ておるんではないか、こういうふうに思うわけです。  特にその中で私は指摘したい問題は、今度労働省が、「失業保険制度の現状と問題点」という問題を出しております。で、この問題はほとんど農村の格差を基礎とした、しかも農業法人に対する保険の悪用だという指摘をしているわけですね。これは保険の趣旨から見ればそうもとれるだろうし、業者にも責任のあることもあるだろうと思うのです。しかし、年々ふえるいわゆる短期出かせぎ労働者ですか、これに失業保険をやっぱり適用しているということになるので、それで、これも労働省で出しているのですが、大体三十六年度の十二月から七年度の三月まで最もピークでその受給者がふえております。また、三十七年度の十二月から翌年の三月まで、これも同様です。それから九年度も同様でありますが、こういうふうに大体年間五万人から、ひどいのになると十万人もふえているのじゃないかと私は思うのです。この対策をどうするかという問題も問題でしょうけれども、いま政府がやっておられるこの農業生産の基盤の整備だとか、農業経営の規模の拡大あるいは農林漁業構造改善事業とかいう、これだけでは全く解決のつかない問題があるんではないかと私は思っておるのです。この点、大臣はどうお考えになっておられますか。
  67. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) たいへん基本的な問題でございますので、私としても答弁しにくいのでございます。いろいろな対策を講じておるが、たとえば出かせぎ労働者の問題ひとつをとってみても、なかなか解決が困難ではないか、こういうお尋ねかと思います。まあ出かせぎの失業保険制度等につきましては、この雇用者のほうでは、失業保険制度をいかして出かせぎ労働者でも常用みたいな人には適用していると思いますが、そこにありますように、仮装法人と申しますか、仮装法人というものをつくりまして、そうして出かせぎしている間は農業の失業者だというようなことが間々あるやに聞いております。そういう面がまだ労働省としては割り切れないんだ、こういうふうにそこで述べておるのではないかと、私も考えておりますが、まあ出かせぎ労働者の問題を、単に失業保険の問題で解決すべき問題だとか、あるいは農業対策——いろいろなことを私から申し述べておりますることだけでは、なかなか解決できないのではないかというふうなお話でございまするが、しかし、この農業そのものが、時期的な面が相当ございます。ところが、最近におきましては、機械化したりしておりますので、農閑期といいますか、農業にひまな期間も相当ふえてきていると思います。そういう面で出かせぎ、あるいは他に出て行って所得を得よう、こういう面が相当ふえている。あるいはまた農業におきましても、御承知のように、収入もふえました。収入がふえましたけれども、支出が相当ふえている。こういうことで現金の収入を必要とするものがますます多くなってきています。そういう意味におきましても、私は出てくる率がふえておるというふうに了解しております。そこで、こういう問題はやっぱり農業の根本的な問題の解決だと思いますが、私はやはり何としても農業が、繰り返して申し述べるようでございますけれども、自立的にやっていける、企業的とは言わなくても、引き合う農業になっていくということでなければならないと思います。そういう面におきまして、今度の管理事業団などは非常に規模が狭いし、パイロット的なものでございまするので、そう期待はいまのところできませんけれども、やはり経営規模が大きくて、農業所得相当であるというような農家等におきましては、比較的やはり出かせぎ等も少なくて、農業を年じゅうやっていけるというような態勢であろう、こういうふうに了解いたします。そういう面におきまして、やはり農業そのものを強化するということがいまの問題の解決だろうと思いますが、ただ、お引き合いに出された政策等は進めておりますけれども、その一つだけによってこれがきまっていく、解決できるという問題ではないということは御指摘のとおりだと思います。
  68. 高山恒雄

    高山恒雄君 そこで、いま大臣は、土地管理の事業団の問題に触れられましたから私も申し上げますが、お聞きしたいんですが、こういう事態の出かせぎが行なわれるということは、また、こういう出かせぎで家計の一部をささえておるという実態の中で、一体その土地管理の事業団というものをつくって、売る人があるか、こういうことを疑わざるを得ないんです、一方では。私は大臣にも前にもお聞きしたように、今度の土地管理事業団というものを設置される限りにおいては、どういう層を対象にされるのかということがやっぱり問題の焦点にならざるを得ないのですね。ただ、ばく然と事業団をつくってあっせんをやるというのなら、土地の売買のあっせんというのは、いなかにはもう何人でもおるのですよ。これはもう金がないだけで、あっせんをする人はたくさんおるわけですね。ただ、それを買う人がないというのが現状でしょう。したがって、やるからにはやっぱり対象的なものを考えて、第一種兼業農家というものを中心にして、そうして大臣が言われるように、農業の好きな人がここに集約される方法を第一種農業にまず手をつける、こういう方針がなければいかぬじゃないかと思うのです。第二種兼業農家というものを対象にしますと、これは歴史的にやっぱり長い兼業農家なんですね。そうすると、この第二種兼業農家というものは、一体何とこれを結びつけるかというと、これは地域開発のおくれた地域に産業が移動する、いわゆる企業の移動をする。そういう基本的な、具体的にやっぱり農林省なり、あるいはこれは通産大臣もおられるといいのですけれども、通産省も十分なる検討をされて、そうしてそういうところに移動する。それには農業と同じような長期融資をしてやるとか、こういうふうにして、いわゆる政策的な面に対する具体性が欠けておるのではないか、私はこう考えるのです。それでなければ、今度の土地管理事業団というものをおつくりになっても、なかなかその問題の解決のつく問題にはならない。その間にもう一つ前進して、先ほど私が申し上げた失業者は増大するでしょう。年々いまふえているのです。この増大するということで、失業保険をもらったもらわないという問題は、これは法律上から言うならば、労働省が指摘しておるように、農業政策が悪いということを指摘しておりますから、これは当然なことだと思いますが、したがって、そういう面に対するいわゆるこれを防止する方法もやっぱりそこから生れてくる。それでなければ、いかなる買い上げ機関をつくってみても、私は成功しないのではないか。単なる一部の人の利益を擁護しておるというにすぎないのではないか、こういう考え方を持つのですが、この点について大臣、どう考えますか。
  69. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほども申し上げましたように、いまの管理事業団の構想は、非常に規模も小さいので、パイロット的でありますので、大きな目からどれだけ経営規模拡大に寄与できるかということは、単年度によりましてはそう期待はできないと思います。しかし、その方向はぜひ進めてだんだん拡大していきたい、こう思っております。というのは、いまもお話しのように、土地の売買のあっせんをする者は農村にもたくさんおります。ただ、御承知のように、各所で申し上げておりますように、七万町歩からの土地の移動がございますが、これは必ずしも経営規模の拡大方向に移動するということではございませんので、町村等におきまして構造改善に熱心なところ等を指定しまして、そういう盛り上がりのあるところにおきましては、経営規模の拡大のほうにあっせんを、土地の売買をあっせんしていく、あるいは事業団そのものが土地を買い取る、そうして経営規模拡大の人に売り渡す。買う者がないと言いますが、なかなかいまの金では、買ってやっていけるかという問題がございますので、そういう面もございます。でありますので、三分、三十年、こういうような資金等も融通していこうかと、こういうのでございます。しからば買うのをどうするか。いまのように第一種兼業農家はけっこうだと思います。専業的な農家及び第一種兼業農家、こういうものは、あるいは六反歩でも七反歩でも、その耕地面積が何も二町五反に近いとか、一町五反に近いとか、そういうことではなくても、面積が少ないところであっても、ほんとうに農業をやっていく、こういう者でありましたならば、そういう人にはやっぱり土地を持たせる、こういうようなあっせんや計画があってしかるべきだと、おっしゃるとおり第一種兼業農家などにも土地が多く持てるような方策を進めていくことが、これは必要だと思います。  それから第二種兼業の問題でございますが、二つ方法があろうと思います。一つは、いまお話しのように、地域開発を進めていって、そして就労の機会を近くに得る、こういうことが必要だと思います。ことにオリンピックに備えまして、公共投資が東京とか中央に非常に多かったのではないかと思います、この段階では。しかし、これからは、やはり先ほどのだんだんお話がありましたように、私は公共投資を地方の開発に相当向けていくべきだ。いまのお話しのような第二種兼業農家の多いようなところにやはり地域開発をして、そういう面におきまして就労の機会を地元で与える、こういうことが必要であると思います。しかし、第二種兼業の中でも、やはり農業を捨て切れない、やっていこうというような者がありまするから、これはやっぱり共同作業等を通じて共同化してやっていくということを、農業面からは講じてやらなければいけない。しかし、国全体としては、いまお話しのとおりに、地域開発を進めて、第二種兼業の就労の機会を近くに得られる、所得相当多く得られるということが、一面においてはやはり土地を手放すことにも相なろうかと思いまして、管理事業団のほうの進め方にも寄与してもらえると、こう思いますので、お説のような考え方は、私も全く賛成でございます。
  70. 高山恒雄

    高山恒雄君 それでですね、私はいまの段階では、むろん政府がお考えになっておる二・五ヘクタールの自立経営農家というものを育成強化されるという意味から、やっぱり相当のそれに対しては予算的な面で、農業はもとより、買い上げ機関で買い上げて、かりに長期返済ということになればこれはいいでしょうが、いまの中小企業をそういうふうに移すということについては、これはまあ通産大臣に言うべきでしょうけれども、その点は農林大臣はもっと大きくついて、私は、地域開発にこの農業政策を含めてやらなければ成功しない、こういう見方をするわけです。年々失業者がふえておる事態から見ても、しかもまた政府施策のあやまちが農民にそういうあやまったいき方をさせるということも、これは農民が悪いのじゃなくて、私に言わせるならば政府施策が間違っておる、こういうふうに責任の追及を言わざるを得ないのです。と申し上げますのは、それでようようにして生活をしのいでおるということのほうが正しいのではないか。もしそういうことになるとするならば、今後の失業保険の取り締まりも強化されるでしょうが、先ほど私が申し上げましたように、大臣も御賛成願っておるように、静岡県等においてはそういうのがないですよ、あまり。これは東海道沿線に面して中小企業も多いし、産業が開発された地域じゃないですよ。純然たる日雇い労務者というのはおりますけれども、そういうのがなくて済む。やはり地域開発がおくれておる点に問題がある。それは農業だけでは食えないという事態がかくまでやっぱり追い詰めておる、こういう見方をせざるを得ないと思うのです。そうしますと、いまの政府が、二・五ヘクタールの自立農家をつくる、つくる、そうして生産拡大をはからなくちゃいかぬ、こう言っておられるけれども、しからば酪農なら二十五頭を中心にして一体どれだけの利益があるのか、原価計算してみると大体年間百二十万であります。そうすると、二人かかって二十五頭の牛でやってみても、これはお互いにパー、パーという結論の地域がたくさんあることを知っております。そうすると、これは乳価の問題になる。したがって、流通機構の改善ということもここから生まれてこなければ、やっぱり農業育成、酪農育成にもならぬし、専業農家の育成強化にもならぬと思うのです。そういう点が相まってこそ初めて二・五ヘクタールの自立農家を育成することができると思うのです。ところが、それがどうも総花的の状態で、今年の予算からながめてみましても総花的な行き方であって、もっと総花的な予算を、重点的に今年はこれをやるのだ、したがって、これを成功させる、こういういき方の政策を立てるならば、農民もそれに飛びついて希望を持ち、いわゆる後継者の青年も持っていくのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、こういう面に対する重点施策ですね、それはどうお考えになっておるか。四十年度はこれでいくけれども、来年のことは、責任を負えぬとおっしゃるかもしれませんけれども、希望としては、一体重点的にやるのかやらないのか。いまのままでいけばじり貧だと、私はそう考えておるのですが、大臣はこの辺どういう御所見を持っておるか、お聞きしたいと思います。
  71. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かに予算面が総花的的でありましては、何か力のいれどころがわからぬ、まあ率直に言えば、だらしないようなかっこうになるわけでございます。農業そのものが非常に広範にわたっておりまして、これをやめる、あれをやめるというわけにはまいりません。しかし、お話しのように、やめることは、やめないにいたしましても重点をどこかに置かなくてはならぬと思います。ただ、言いわけをするわけではございませんが、農業におきましては、重点を置きましてもなかなかその重点の効果があらわれるのは数年後であります。  そこで、どういうことを重点と考えておるかということでございますが、私は、何としてもいまの農業近代化をはかる、機械化をはかるということから考えても、土地基盤が整備されておらなくては、これは何をやろうといっても、選択的拡大をやろうといっても、これはよくいきません。そういうことから、ことしなども、土地基盤の整備——これは従来から重点でございます。土地基盤の整備というようなことは、これは重点的に取り上げておるわけでございます。  それからそれに関連して、いまの自立経営農家の育成ということ、これは二・五ヘクタールばかりではございません。収入面におきましては、六十万円以上の収入ということで、静岡県のような耕地が少なくても収益をあげておる農家もある。耕地ばかりにとらわれません。そういう意味におきまして、自立経営農家がより多くできるように、今度の農地管理事業団なども取り上げたのでございますので、これも一つの重点でございます。あるいは、いまお話しがございましたように、価格政策、流通対策というものも必要でございますので、いま例に取り上げられた酪農等につきましても、自立対策が大事じゃないかという御指摘でございますので、過去、牛乳に対します補給金制度といいますか、不足払いというような面から——これは一面でございます、全部ではございません、酪農対策の……。そういう面からも考えていく、こういうふうにいたしまして、去年などは金融面に相当力を入れましたが、ことしは金融面ではワクを拡大するというようなことのほうに意を用いたのでございます。ただ、高山さんも御承知のように、農業におきましてはきめ手というものがない、これやればすぐよくなる。工業面ですと非常に私は楽だと思います。農業面におきましてはきめ手というものがございません。したがって、重点がぼけてるんじゃないかと、こういう御批判はあろうかと思います。しかし、いま申し上げたようなものを重点的に考え、その他もこれは全然無視できない問題が非常に多いのでございます。でございますので、総花的という御批判もこれはないわけではなかろうと思います。私もそう感じないわけでもございません。いま申し上げたような線で、自立経営農家といいますか、農業が他産業と足並みをそろえてやっていけるような方向生産面におきましても持っていきたいし、農民の所得という面におきましても足並みをそろえるような水準にしていく、こういうことを頂点といたしまして、それに伴う施策を遂行したいと、こう考えておる次第でございます。
  72. 高山恒雄

    高山恒雄君 もう時間がありませんから、私の希望をちょっと申し上げて終わりたいと思いますが、私は失業保険の実態から見まして、大体五十万から六十万になるのも早いと思います。そうしますと、いままではそういうもので生活をある程度つないでおった積雪の多い地域だとか、山村においてはそういうものが生活のかてになっておったと思うんですね。労働省はそういうものをきちっと縛ってくるし、しかも、先ほど大臣がおっしゃったように、法人資格を適用してやみにやるということも、労働省は書いておりますが、全くそういうこともあり得ると思うんです。そういうことは法の裏でしょうから、取り締まるのは当然のことでしょうが、しかし、いま農林省がお考えになっておるような改善事業とか、選択的拡大を奨励もし、指導もしてやっておられるけれども、地域格差もそうですが、一般産業との格差ですね、これはますます開くと見ざるを得ないんです。それは、先ほど産業のようにはいかぬとおっしゃいましたが、私は産業にもだいぶん携わった経験を持っておりますが、昭和二十五年から三十八年までの統計を見ますと、大体半分人が減っておるんです、産業界というものは。昭和二十五年から十年間の間に約半分人が減ってんです。それで生産は同等にあげておるんですね。農業は同じ人間が同じ生産しかやってないという、多少の生産は上がっておったって、個人当たりの収益というものはわずかな問題です。ところが、それに耐えられないから、そういうことでやっぱり失業保険でも適用して、何とか臨時工で働こうと、こういう傾向になったと思うんですね。それも法でいかぬと、こういうふうに縛ってくれば、結局はますます格差が開くという私は見方をするわけです。したがって、まあ開かねば幸いですけれども、大臣のいままでの答弁をなさったような安易なものではない。もっと農村との格差は、企業別の産業との拡差がひどくなる。そうなった場合の農業政策の二・五ヘクタールのいわゆる自立農営だけを育成強化し、土地の改善事業をやらなけりゃ農業がいかぬのだということよりも、そのほかに打つ手はないのかというと、私が申しましたように、やっぱり産業の、企業の移動ですね、これに長期補助をして、そして移動させる。さらに、婦人を内職として働かす。そして、主人をできるならば本農に返してやる。協業させる。その中から選択的拡大で、酪農をやろうと、豚業をやろうと、養鶏をやろうと、選択をさせる。こういう一つの筋道の通った行き方の指導というものがもっと強化されなければますますこの格差というものは是正できない、こういう観点に立つわけです。そういう点に対してひとつ、大臣も今後私の希望をかなえさせてもらって努力していただけるかどうか、伺いたい。
  73. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 非常に一つのりっぱな御意見だと思います。地域開発等につきましては、先ほど申し上げましたように、私も賛成でございまするし、第二種兼業農家対策から考えましても必要なことである。それが農業全体についても非常なけっこうなことだと思います。そういう面を十分配慮をいたすようにこれからいたしたい、このように考えます。
  74. 白井勇

    ○白井勇君 時間がたちましたので、ただ一点簡単に伺っておきます。  それは米の生産の見通しの問題であります。これはその方面専門の事務当局の方に伺ってみたいと思いますが、前はたしか生産というものは大体年率一・一%前後で増産されていくというような見通しであったように思うのですが、最近また、農林省の見方としましては、米の生産というものは、三十五年以来というものはおよそ横ばいであるというようなお考え方のようでありますが、最近私たち見ておりましても、都市近郊は、御承知のとおり特殊なものを除きましては、どうしましても兼業農家関係生産している。一方におきましては、東北なり北海道方面、いわゆる深耕の米作地帯と申しまするか、それは反収の上がっておる面もあるわけでありますが、機械化に伴いまして、いわゆる一般機械化に伴いますロスのほかに、どうしても深耕になる。深耕に伴います耕作技術というものが必ずしも伴っていないというような点もあるようでありまして、むしろ、いわゆる従来米地帯といわれておりました地帯におきましても全体的に落ちておるように私思うのであります。そこらあたりをどういうふうに分析をしておられますものか、専門家の御意見を聞きたいと思います。たとえば、こういう点におきましては生産が落ちておる。しかし、こういう点におきましては増配がされておる。したがって、結果的には、遠き将来のことは別としまして、まあこの四、五年の見通しにおきましては、この程度の増収は確保できるものであるというような結論を、分析したものでひとつお話を願いたい。
  75. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 本年度の農業動向報告でも述べておりますように、米の生産につきましても過去のように順調な伸展が必ずしも楽観できないというふうなことを、結論として申し述べておるわけであります。その理由といたしましては、やはり労力関係の問題あるいは少ない労働力に対応しての生産技術なり生産体制がまだ十分に浸透していないといったようなことが理由としてあげられております。一方、つまり兼業農家の振興等の問題を含めての問題がございますが。  そこで、今後の見通しとしてどういうふうに考えておるのかということを、端的に結論的に申し上げますと、御承知の中期経済計画が最近における専門家の作業の一つの結論として参考になりはしないかと思うわけです。その中期経済計画におきましては、水陸を合せまする今後の米の見通しとしては、三十七年を基準として増加年率〇・六、ただし、水稲だけをとりますれば〇・七といったような年率の増加を一応結論として持っておるわけです。これには私どもの試験研究機関あるいは奨励行政等をやっておりますものも参画しての作業でございますので、一応、現段階での唯一の信頼すべき見通しと考えてよろしいかと思います。その場合、特に増加の要因となっておりますものは、やはり反収の増加をかなり見ております。作付面積につきましては横ばいあるいは現状維持で、陸稲の場合には若干減るというふうにも考えられますが、やはり反収につきましては、まだ今後ある程度伸びが期待できるというところにその推定のおもな論拠があるように思います。それにつきましては、やはり特に飛躍的な技術ということではございませんと思いますが、現在あります高位水準にある生産の水準がなお普及をし、広い面積にそれらの高位水準の水稲技術が普及する余地がかなりあるということが、一つのそういった反収の増加を織り込んでいる作業の測定の根拠になっているように思われます。
  76. 白井勇

    ○白井勇君 いまお話がありましたとおり、前の所得倍増計画のときは、たしか一・一%前後の年率伸び率、今度中期経済計画におきましては〇・七前後ということで、だんだんに落ちてきているわけですね、見通しにつきましては。いまお話しの中期経済計画によりますというと、私持っております資料では、四十三年には千三百四十一万四千トンですか、こういう見通しのようでありまするが、それを土台にしていきますと、予定の数量が要るということになりますと、やはり四十三年にはいまよりも二十万トン、あるいは十万トンから二十何万トンぐらいですか、不足をするような結果になるんですね。その場合に、先ほど大臣がお話しになりましたように、国内の稲作だけでは需給はまかなえない。結局足りないものは入れなければならないというようなことのようでありまするが、一時は、特殊な一般外米を除きましては、食糧となりますものはほとんど輸入はゼロに近かった時代もあったわけでございますが、その後漸次十万トン、二十万トン、三十万トンとなって、四十年度はたしか五十万トン近く要るのじゃなかろうかという御推算のようであります。そうしますと、生産は順次当初よりも必ずしも伸びていかない。そういう場合に、一体、将来の稲作に対しまする農林省の指導方針というものはどういうかっこうになるものであろうかと私は思うのでありまするが、足りないものは、結局大臣のお話しのように外国から入れざるを得ないのだ、こういうふうに翻り切ってしまうものなのか。やはりアメリカあたりは、もし足りないということになりますれば幾らでも増産はしてくる。最近入りました南部米なんか見ますると、現在の蓬莱米や韓国米よりはるかに品質がいいということもあるようでございまするが、そういうふうに一応足りないものは順次増高していけばいいんだというような稲作奨励方針なるものになるのか、あるいはまた、大体食糧としての外米の輸入量というものは、ことしかりに五十万トン入れるとすれば、その程度にとどめるような生産奨励政策というものがとられるのかどうか。これは貿易政策上の問題もありましょうし、労働の配分の問題もありましょうし、農業所得の問題もありましょうし、なかなかむずかしい問題ではあろうかと思いまするが、見通しをどのあたりに置いて、いま申し上げましたように、あくまでもやはり現在程度輸入量に食糧としてはとどめるという見地に立って生産奨励をするものなのか、あるいは従来どおりの政策程度のものであって、あとは足りなければ入れればいいんだ、こういうように割り切られるものなのか、そこらあたりはどうなんでしょう。
  77. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 足りなければ入れたらいいという漫然たる考え方ではございません。先ほどからこの席でも再々申し上げておりますように、やはり自給度というものは維持していくというのが基本でございます。自給度を維持していくといたしましても、どうしても足りない分は、これは国民の食糧がまかなわれなくては困りますから、その分だけは輸入していかなければならない、こういう考えで、漫然と足りなければ輸入していくのだ、そのために稲作とが、米の生産が減ってもいい、こういう考え方ではございません。農業基本法にもありますように、総生産を維持拡大していくということが一つの政策でございます。特に米等につきまして何か生産を増強しなくてもいいのだというふうに受け取られた面がございます、選択的拡大というようなことで。しかし、これは誤りだと私は考えております。やはり米等につきましてはどうしても自給度を高めていく、しかし、いまの四十三年度の見通しにつきましてもなかなか自給度を高めるというのは困難でございます。しかし、少なくとも維持していくというような線で進んでいかなくてはならぬ問題だと思います。それにいたしましても、米の消費も個人的には減っているのでございますが、人口の増の分だけふえているようでございますので、そういう面とにらみ合わして需給計画は立てていかなくちゃならぬと思います。でございますので、根本的にやはり、ことに米作地帯におきまして、私は再々言うのであります、選択的拡大方向に持っていってもなかなか困難でありますし、実態に合いません。そういう面におきまして選択的拡大の面に持っていける面は持っていってもいいと思います。果樹もしくは畑作地帯はいいと思いますけれども、水田を果樹に持っていく、酪農ということもありますが、本格的酪農になかなか持っていけません。そういう意味において米の生産は増強して、自給度は維持していく、こういう方向、足りない分だけは輸入していくという方針であります。
  78. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、四十三年を初年度とします中期経済計画のこの数字が正しいとしますと、やはりいま申しましたように十万トン、二十万トンというのは、これは切れないという見通しになるわけですから、そうしますと、今後の農政というものは少なくも、それは穴埋めするような農政がとれる。ことばをかえれば、十万トン、二十万トンは四十三年に穴が出ないような稲作奨励を政府がとられるものである、こうふうに承知していいわけですか。
  79. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほど申し上げましたように、ことしは初め三十万トンくらいに思っていましたが、五十万トンくらいの輸入が必要でないかと思います。しかし、輸入が本旨ではございません。国内の米の増産といいますか、生産が主体であると、私は先ほどから申し上げておるとおりでございます。でございますので、四十三年等におきましてもこの計画に沿って生産を進めていく、輸入の面はできるだけ少なくしていく、こういう線で進めていきたい、こう思います。
  80. 田中啓一

    主査田中啓一君) これをもちまして農林省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  午前の審査はこの程度にとどめまして、午後は一時四十五分から郵政省所管について審査をいたします。  暫時休憩いたします。    午後一時十九分休憩      —————・—————    午後一時五十四分開会
  81. 田中啓一

    主査田中啓一君) ただいまから予算委員会第三分科会を再開いたします。  分科担当委員異動についてまず御報告します。  本日、小宮市太郎君が委員を辞任され、その補欠として横川正市君が選任されました。     —————————————
  82. 田中啓一

    主査田中啓一君) 昭和四十年度総予算中、郵政省所管を議題といたします。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  83. 横川正市

    横川正市君 まず最初に、郵政のこのことしの予算の、郵便関係の前年度比の増減表を見ますと、事業収入のうちの郵便業務収入が、その伸びで九・二%という伸びになっておるわけですが、大体この九・二%の伸びというのは、どういう諸目の予定を概略数字に出されたものなのか。まずその点お聞きいたしたいと思います。
  84. 北脇信夫

    政府委員(北脇信夫君) お答えいたします。  九・二%の郵便業務収入の増でございますが、基本収入の見込み額といたしましては、自然増収率を前年度比七・二%に見たわけでありまして、これは三十四年度から三十八年度までの実績によりまして、これを最小二乗法によって物数を出しまして、四十年度の物数を一応予定いたしまして、七・二%、金額にいたしまして一千百五億五千四百万円、これが基本収入でございまして、そのほかに、切手収入の中で特殊切手収入といたしまして十一億四千八百万円予定いたしましたが、これは三十九年度の特殊切手の中で、オリンピック関係を除いたものを四十年度にそのまま載っけたわけでございます。そのほかに、はがき売りさばき代に、年賀はがきといたしまして、十億六千万枚発行する予定といたしまして、収入四十二億四千万円を含めまして、合わせまして郵便業務収入一千百六十一億余円でございまして、これは対前年度比九・二%増と、かような結果になっております。
  85. 横川正市

    横川正市君 そうすると、大体郵便収入としての現況は、自然増収の七・二%と見込まれるものと、それから年賀はがきの発行数の増加に伴うものと、それが大体ことしの九・二%の増率と、こういうことになりますね。
  86. 北脇信夫

    政府委員(北脇信夫君) さようでございます。
  87. 横川正市

    横川正市君 そうしますと、私はこれは郵政大臣にお伺いいたしたいと思いますけれども、本年度の見込まれる事業関係の支出の中に、第一点は、近代化、合理化に伴う答申の実現を、これを予算的に、私はこれは説明要らぬと思いますが、もし間違っていれば訂正いただきたいと思うのですけれども、合理化のための施策という点では、当初の郵政省の予算からみると、現実の予算は削られているのじゃないかと思うのです。その点がひとつの理由です。  それからもう一つは、ことしも——あとでちょっとお聞きいたしたいと思いますけれども、郵政省はベースアップ等に五百二十円の支出をいたすような回答をいたしたようでありますけれども、これはまあそれで大体済まないような状況ではないか。これは何か新聞で見ますと、他産業の状況を見て、もう一度態度をきめたいというような意思表示もありましたから、これはまあ五百二十円で済むというふうには情勢としては判断をいたしておらない。現在のこの経済情勢を見ますと、諸掛かり、事務費、その他の面でも、これは逐次増額しなければならないというふうに、ふえる面をふえなくてもいいというふうに押さえられるような情勢ではないと、私は実は判断をいたしております。そうしますと、この郵便業務収入の実際の増減表を見ますと、自然増として七・二%と、あとは年賀はがきの増加発行の部数等に頼るというような、非常に収入面が消極化されてきているときに、郵便関係の業務遂行上、いまのような収支状況でいいのかどうか。言ってみますと、いまのところ公共料金の引き上げについては非常にきびしい情勢であるわけですが、郵便事業自体としては、一体郵便事業経営のために現在の収支で将来どういう状況になると判断をされているのか。国鉄あたりでは運賃の値上げの問題をすでに何回か発表いたしておりますし、また、黒字続きであるという電電公社でもその点を検討しなければならぬというようなことを仄聞いたしておるわけですが、私どもとして、いまの状況下で郵便事業を遂行するというたてまえから考えた場合に、この点の当局の考え方はどういう考え方を持っておられるか。これは本年度予算とはあまり直接な関係はないかもわかりませんけれども、ひとまずお聞きしておきたいと思います。
  88. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 郵便事業の近代化につきまして幾ら予算を要求し、幾ら削られて幾らになったかということにつきましては、むしろ政府委員のほうから数字的に申し上げたほうがいいと思いますから、そちらから答弁することにいたします。  春闘に対する回答五百二十円、これではむろん済まされないと思うが、というお話でございます。政府のほうといたしましても、一応これは足がかりにはいたしておりますが、あとうべくんばなるべく話し合いで解決したいという方針は変りありませんけれども、ただいま調停も出ておるわけでございますので、客観情勢をにらみ合わせながら、できるだけ円満に解決したいという基本方針を立てておるわけでございまして、そうした方針によりまして、民間等との比較等もいずれ出てまいりましょうから、そのときには十分に検討いたしまして、無理のない話し合いで解決すればしああわせだ、そういう方面に相携えて協力しようという考え方でいるわけでございます。  来年度の予算についていまお話がございました。御指摘のように、非常に窮屈になっていることも事実でございます。また、この郵便事業がその支出します点において、人件費が八割も占めているというよう関係から、人件費はますます高くなってまいりますし、合理化しようとしましても、そう思い切った目に見るような大きな合理化による剰余金等もすぐさま出てくるとは考えられませんが、しかし、国民全体に非常に大きな影響を及ぼす料金でありますから、あとう限り部内の合理化も行ない、また、扱う郵便物に対する郵政審議会等の答申もございますので、それらにもしさいにわたって検討を加えまして、なおかつ、どうしてもこれ以外はないということになりますれば、料金の値上げというものも必至になるのではないかと思います。しかし、これはいずれにいたしましても、この予算が通りまして、来年度の予算の作業の前に政府としまして慎重に検討をすることでございまして、いま直ちに値上げしますとか、賃上げしますとかいうようなことは言いかねますけれども、しかし、部内的には非常に窮屈な予算であるということだけは、私ども承知いたしておりますので、適当な機会には政府の方針を決定いたすべきが本筋ではないか、かように考えます。
  89. 横川正市

    横川正市君 この点は、近代化合理化の問題を論議するときに、私のほうで十分考え方も述べて、大臣の所見もお伺いいたしたいと思うのでありますけれども、私は、いまのままで近代化あるいは合理化の方針というものをどうとらえるかという点を一つとってみましても、先般京都の中央郵便局を、ちょうど旅行の途中でありましたから、あそこをのぞいて見した。これも後日によく論議したいと思いますけれども、いわば近代化とか合理化とかいうようなことば、郵政事業に関する限り、定員増とか予算増とかいうことを招くのであって、事実上他の企業に見られるような、定員とか予算とかを削減するための合理化というのは非常にむずかしい企業だというふうに一応判断できると思うのです。そうすると、この近代化合理化の問題は、その面から予算を減らすということは非常にむずかしくて、予算をとらなければこれはできない仕事ではないか、こう判断をいたしました。それから給与関係も、いまの政府の政策をそのまま手がかりなしに遂行いたしていきますと、自然労賃のアップは必要だ、しかも郵政事業の場合は全体の八三%が人件費である。こういうふうになりますと、これまた、いまの状態予算を少なくするような状況にはならない。かえって物増に伴う定員増ということがある程度考えられていくだろう。こうなりますと、予算の削減というのは予定できない。相当予算を必要とする。それから、ここに増収業務の中に自然増収率七・二%とありますけれども、これくらいな増収見込みというのは、一般事業関係や施設関係その他で当然ふくらまっていくのじゃないか。たとえば当初予算を組むときに、一年の予算を組むと一五%程度はどうしても予算がふくらまってきますね、国家予算全体が。そういうかね合いからすれば、増収見込みは私は自然増で消えてしまうのではないかというふうに考えられるので、この点から事業経営ということになりますと、私は、料金問題というのは非常に真剣な問題になるのではないだろうか、こういうふうに思うわけです。  そこで、私どもでは郵政事業に関する限り、いまの状態で、たとえば自前でやっていくということについては、利用者負担によってこれをまかなうか、一般会計で当然赤字を埋めるか、この二者のいずれかをとらない限り、郵便経営というのは非常にむずかしくなるのじゃないかという判断をするわけであります。そこで社会党としては、これは当然アメリカのように、一般会計からこの分の赤字について当然補てんすべきではないかという考え方を持っているわけですが、ひとつ前段の見通しと、それからいま公共料金の問題が非常に重要だということになれば、一般会計から赤字について繰り入れるか、この点、大臣としてどうお考えか、この点だけお聞きいたしておきたいと思います。
  90. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 先ほど御質問の中に、郵便の近代化が財政逼迫のために十分行なわれないのじゃないかという点がございましたので、その点につきましてお答え申し上げたいと思います。  郵便の近代化問題の中には、たとえば封筒の規格というように、直接経費を伴わない面もございます、国民の協力とか、そういうような面で経費を伴わない面もございますし、また、局舎の改善とか作業環境の改善というように、一般的に他の事業とあわせて進めるという点もございます。これらにつきましては、御承知のように相当予算の増額もみている次第でございます。郵便の作業方法、業務のやり方等に関しまして、近代化の問題で経費に直接関係のありますものは、たとえば郵便の翌日配達関係で、航空機塔載の問題、あるいは専用自動車便を増発する問題とかいうようなこと、それから局内作業の機械化、自動区分機その他の局内作業の機械化の問題、あるいは窓口におきまする各種機械器具の近代化の問題、それから配達部門におきます機動車の増備の問題、あるいは住居表示制度の実施に伴ないますこちらの対策の問題等が、直接郵便の作業方法、業務の取り扱い方法と結びつく近代化の内容であります。で、そのうち、輸送関係では、航空機塔載の問題は、実は速達の収入減を招くおそれがあるというような見地からいたしましても、また、区分のやり方を変えていくという問題等とのからみ合いからいたしまして、四十年度は見送ることにいたしたわけでございますが、それ以外の自動車便の増設とか、あるいは局内もしくは窓口の機械化の問題、あるいは機動車の増備の問題、そういう面につきましては、ほぼ事業として昭和四十年度必要だと思われる程度のものは予算の中に確保しておる次第でございます。近代化の全体のプログラムからいたしまして、四十年度の予算が特に窮屈で、近代化計画の遂行に支障を来たすというほどにはなっておらないものと私どもは考えております。
  91. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 横川委員の先ほどからの、各方面にわたって検討してくれば結論はここになるのじゃないかというお話でございますが、私どもも、せんじ詰めればそういう議論が現在では大多数を占めているわけであります。しかし、窮すれば通ずると申しますか、それをいろいろと議論をして国民の負担を大きくしなくとも済むことができるならばそうしたいということも政府としては考えねばなりません。特に非常に国民の負担を多くすることでございますから、慎重の上にも慎重にいたさなければなりませんので、値上げ等につきましては、国民全体がさもありなん、もうやむを得ないのだという納得のいくような処置をとりませんで、直ちにそのほうに移ってしまうというようなことは慎しむべきだと思います。あらゆる面についてこの国会で審議が済みまして、あるいはこの予算が通過いたしましたら来年度予算に取り組むわけでございますから、その時期におきまして今後の収支をどうするかということを真剣に考えねばなりません。そうすれば、いまお話のような点に一つ一つ突き当たるわけであります。あらゆる知能をしぼりまして、なるべく値上げをしないように努力したいという気持ちは政府としても考えているのでありますけれども、しかし、昭和二十六年十一月に改正いたしまして以来、第二種等は全然そのままであります。こういう料金がはたして現在適正であるかというようなことを考えてみますというと、国民の大部分も多少うなずいてくれるのではなかろうかというようにも考えられておりますので、従来のこの特別会計の性格から申しまして、二十六年度の当時の料金をそのままに据え置いて、足らざる赤字を一般会計から持ってくるというようなことは、あるいは私は至難ではないかと思います。でありますから、研究に研究を重ね、衆知を集めて調査いたしました結果が、どうしてもこれは料金の改定をせざるを得ないという事態に至りますれば、当然まかない得られる程度の料金の値上げも考慮の対象になる、かように考えておりますので、足らないところは一般会計という考え方は、いまのところでは政府は持っていないということを申し上げていいと思います。
  92. 横川正市

    横川正市君 私は、たとえばいまいろいろ申し上げましたのは、表面上の当然の理屈として立つ問題を三点に区分して申し上げました。ただ、近代化の問題は、ことしの予算を見ますと、たとえば被服の質の向上ということである程度予算をとったということが言われておりますけれども、実際問題として郵政の場合の、ことに業務をやられるいろいろな点で近代化の必要な点というのはたくさんあると思うんですよ。で、ことに人間感情として、どうしても喜んで仕事をするような、そういう環境に事業全体を持ち込んでいくということになると、これは給与ばかりじゃなしに、厚生福利、それから日常の待遇等も改善しなければいかぬ問題がたくさんあると思う。こういった点はきょうは別に申し上げませんが、いずれにしても、いまの収支状況というのを見ますと、貯金会計とか保険会計とは少しその趣を異にして、非常に困難な状況になるんじゃないか、こういうふうに思われますので、この点については、いま大臣はたいへんどうも言いにくそうに言っておりましたけれども、ぜひひとつ積極的な対策を立てていただくようにしていただきたい。また、私どもとしては、利用者負担がいいか、あるいは一般会計からの繰り入れがいいか、アメリカあたりでは相当な金を一般会計から入れて、当然の赤字の出る事業としてその公共性というのを生かしておるわけです。ですから、そういった点も含めてひとつ検討していただきたいと思います。この点お答えいただいて次の問題に移りたいと思います。
  93. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) もちろん来年の予算につきましては、お説のように、十分検討せねばならぬことでありますから、いま申されましたことを含めまして検討いたしたいと思います。
  94. 横川正市

    横川正市君 三種郵便の取り扱いは、大別いたしますと、三種郵便というのは実際上非常に容積をとって、しかも低料な物であるためにもうからないという点が一面あります。それから、一面は文化費的な郵政省の負担もあります。そういうことで、その後段の問題に関連してちょっとお聞きいたしたいのでありますけれども、三種郵便という、そういう性格について検討をされているのかどうか、全体的な問題として、料金を含めてお聞きいたしたいのが一点。それから、三種の認可ですね、これについてどういう方針をとられようとしているのか。ちょうど四十年の二月の十九日の読売を見ますと、その末尾でありますけれども、多数の社員をかかえて倒産をするほかないというような深刻な状態に置かれているという、そういう業者のその原因に、この三種郵便の認可問題がからんで出ているようでありますけれども、この点郵政としてどういう取り扱いをしようとしているのか、お聞きしたいと思います。
  95. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 三種郵便の制度の検討の問題でございますが、基本的に考えまして、第三種郵便のような制度を残しておくべきかどうかということについては、私ども、国の文化の推進等に相当貢献しているこういう種類のものについて、ある程度の特別の扱いをすることは必要ではないかというふうに考えております。昨年以来、行政審議会の検討を経まして、行政管理庁から郵便制度についての勧告をもらいました。さらに十一月には郵政審議会の郵便についての答申もございましたが、これらにおきましても、大体三種制度の存続ということについては肯定的な見方をしているようでございます。で、問題は、それに対してどの程度、たとえば料金についてどういう扱いをするかということでございますが、現在第三種の料金が非常に安くなって、特に低料三種については現在二円でございますが、これの原価計算をしました結果の収支状況は、非常に利ざやの程度がひどいわけでございます。これらについては、少なくとも直接費をまかなう程度であるべきではないかという意見などが非常に強いわけでございます。これらにつきましては、さらに法律改正等の機会に十分検討の結果をあらわすように努力してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  次に、お尋ねの三種の認可でございますが、現在三種の認可の一つの要件に、第三種郵便物の認可の要件は、「毎月一回以上号を逐って定期に発行するものであること。」、それから「掲載事項の性質上発行の終期を予定し得ないものであること。」、それから「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売されるものであること。」ということに郵便法上なっておりまして、これらをふえんいたしまして、広告の量が非常に多過ぎるものとか、あるいは無料配布の数が非常に多いものとか、あるいは発行部数が一回に数が少な過ぎるものであるとか、こういうようなものは三種郵便の認可の要件であります法律の記載事項に適合しないものとして運用しているわけでございます。で、実際上こういう認可されました三種郵便物についていろいろ調査をしまして、こういう認可の要件を満たさないことがはっきりいたしました場合には、まず予告をいたしまして、おたくで発行しているその三種の郵便物については、発行部数が非常に少な過ぎる、あるいは広告の量が非常に多過ぎる、あるいは広く頒布されるものと考えられないとか、幾つかのデータをあれしまして予告をいたします。予告をいたしました上でその後の発行状況をさらに調べまして、発行者といろいろ打ち合わせました上で、なお要件を満たしておらないようなものについて取り消しをしたりしているわけでございます。
  96. 横川正市

    横川正市君 この認可基準に従って許可申請が出されて、その許可申請のもとで経営をやっている、そのこと自体では私は倒産をしたりなんかするような、いわゆる三種の認可基準がきびし過ぎて倒産をするような、そういった問題は起こってこないと思う。その中には時間的に、経過的にいろんな問題があろうと思うのですが、こういう結果を招くということは、きわめてこれは遺憾なことですが、それがこの三種の郵便の認可にかかっているというようなことになりますと、これは無関係ではないわけで、日常これに対してやはり何か指導的な方法というのはあっていいんじゃないかと思うんですがね。まあ悪いことをしたらやめさせるのはあたりまえだと言って、最後のところでちょんということではなしに、経過的に、やはりその業者が認可を申請した当時と同じような状態を維持するためにも、指導的なそういう方法が必要なんじゃないかと思うのでありますけれども、これは実際上問題のあるものが摘発されてくる、それに対して予告をするというようなことですが、どういう取り扱いをしているんでしょうか。
  97. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 三種の認可を得ました当時の状況をそのまま継続しているようなものについて取り消しが行なわれることはほとんどございません。実際には、認可申請のときには、法律上要求される要件は全部満たして、それが発行以後年月を重ねるにつれてだんだん内容が変貌してくる、あるいは発行状況が非常に変わってくる、そういうようなために取り消し問題が起こってくるのではないかというふうに考えられまして、そのために、初めはよかったのに倒産するというようなことは、実はちょっと考えられないわけでございます。それから、なお、昨年の行政管理庁の勧告等におきましても、三種の認可、あるいは認可した後における郵便物の監査が十分ではない、もう少ししっかりそういうことをやるようにというような強い調子の勧告も受けておりますし、また、結局先ほど申し上げましたように、三種の郵便物は料金が非常に格安になっておりますので、内容がそれにふさわしくないものを認可したままでおきますことは、結局ほかの郵便に負担がかかっていくというようなことでもございますので、やり方につきましては、私どもあまり突然そういうのを取り消しをかけるというようなことのないように、事前にも予告し、さらによく話し合って、発行状況が思わしくないようなものについて、できるだけ要件に合わせるような形に指導をしてまいった上で、なおかつ、どうしても改まらないものについてやるように、郵政局で認可並びに取り消しやっておりますが、各郵政局等とも最近も特に打ち合わせなどしている次第でございます。
  98. 横川正市

    横川正市君 いま問題になっている社内預金の関係でお伺いをいたしたいのですが、大蔵大臣は、先般の関係委員会で、五年後を目標に廃止する方向にいきたい、こういうことを発言をいたしております。しかも、現行社内預金というのは四千七百四十億というような、きわめて膨大な預金が会社に預けられているわけであります。この社内預金の会社側の考え方というのはこういうふうに表現をいたしております。非常に便利である、それから、いまの金融は少しゆがんでおって、そして金を貸借するのにいわゆる金融機関というものが非常に強い力を持っておって、そしてなかなか借りるようなことは容易ではない。それから、三番目には、自己防衛、企業の防衛手段として社内預金というものを考えている、こういうことを企業内では言っているようです。そして、いま五年以内に廃止するという、こういう状態に持ち込まれたとしても、いまの各企業の中では自己資本が充実してきて、金融機関から借入することが必要でないというような状態が来ない限り、あるいは、また、金融機関が継続的に円滑に会社に対して資金の貸し出しをしてくれるということにならない限り、この社内貯金の廃止については反対だと、こういう意見を出しているのが現況じゃないかと思う。そこで、私は、この問題の取り扱いとして、郵政省の貯金業務の一つの業務の方法としてこういうことは考えられないか。たとえばいま団体貯金というようなものがありますけれども、これと変わった形の一つの新しい種別で、会社からの預金を一括して社内からの定額貯金の預金として預る、その預った総ワクについては、これは郵政省が、事実上企業を単位として融資をしている関係銀行へそのワクを与える。そういう運用のしかたをしながら企業に対するところの貸し出しを金融機関が行なっていくという、そういう一つのルートを使って金融ができるような、そういう処置はとれないものかどうか。言ってみますと、私は、いまの社内預金の魅力というのは金利だと思う。それから、もう一つ悪い面では、社員であるから会社の業績に貢献しなければいけないという押しつけもあると思うのです。これはいい面と悪い面だと思う。しかし、もう一つ考えますと、利子が高いという反面、元利ともに返ってこないところの不都合もあるわけです。そういう点から考えてみますと、たとえばそういう形で一括して納められる長期の預金については、金利は別途私はある程度のものは考慮していいのではないか。そして、それだけのものは資金運用部への総額のワクとして渡さないで、郵政省自体がそのワクをもって各金融機関にワクを与えていく、こういうことで、貸す貸さないの最終的な信用関係は、これは各種金融機関が責任を持つということになるから、そういう点では、いまのように資金需要のワクが少ないということで不都合の起こっている問題は当然私は解決するんではないかというふうに思うのでありますけれども、こういった点について、一つの預金の新種として考える余地はあるんではないかと、こう思うのですけれども、ひとつ担当の事務当局からもお伺いいたしたいし、大臣からも考え方をひとつお伺いいたしたいと思います。
  99. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 最近起きました社内貯金の問題とあわせまして、今後のあり方について非常に示唆に富んだお話を承りまして、私ども、先般来、そういうような話も各方面で受けておりますが、何しろこの問題は金融関係の問題でもあり、国家の財政投融資等の関係もございますし、また、運用面だけで自由になることでございませんで、法律を改正せねばならぬものもできてきます。そういう点につきましては、新しい問題として、ひとつ研究してみたいと思います。
  100. 岸本四郎

    説明員(岸本四郎君) いまお尋ねのありました新種貯金の問題でありますが、新種貯金につきましては、非常にむずかしい問題があろうと思います。と申しますのは、郵便貯金本来の使命といたしまして、一般国民にあまねく公平に利用させるということが根本の理念になっておるわけであります。したがいまして、特定の会社の社内預金に対して、そのものに対する新種貯金、あるいはそれに対する特別な金利というものは、いまの貯金のたてまえからいきまして非常に困難ではなかろうかと思います。
  101. 横川正市

    横川正市君 私は、現行の法規とか、いわゆる金融の一元化運用とか、いろいろな隘路があるけれども、こういう社内貯金のようなものが問題になったときは、それを解決する一つ方法としては、一番先には、社内貯金をしなければならないという実情にある企業、その企業に対して最も合理的な、しかも、妥当な方法で企業が要望しているものが満たされるならば、それに対して国が一つの方針をとってやるということはあってしかるべきだと思うのですよ。だから、いまの法規に照らしていいか悪いかというのを聞いているのではなく、たとえば資金運用部に総ワクを持っていかれてしまったのでは、自分のほうの企業のところには金は回ってこないだろう、こういう心配もあるのではないかと思うので、それは郵政省がワクをとって、中小企業金融公庫とか、あるいは小さな企業にいわゆる資金ワクとして郵政省が持たせるような、そういう運用のしかたというものはあるのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけで、これは言ってみますと、貯金の運用権を少しばかり郵政省に持ってこいといってもなかなかうまくいかないから、こういう辺からでも運用のワクを少しでもとったらどうかという気持も実はあるわけです。そうすることが、いまのような大きな目的だけに金を資金運用部で使わないで、いわゆる納めた金は、おれのところのこれだけのワクは一つのワクとして貸してもらえるのだ、ただ、貸借の条件、いわゆる破産をするとか、払えなくなるとか、いろいろな関係は銀行当局がその窓口事務で当然やればいいのですから、私は、そういうワクを郵政省として持ったらどうか、こういうふうに考えるわけですがね。これはもし事務当局の答弁ではむずかしいなら、ひとつ大臣から答弁いただいたほうがいいと思います。
  102. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 事務当局から説明いたしましたように、いまの法律と、いまの郵便貯金の考え方、国の財政投融資の考え方、大蔵省の考えておられるようなこと、そういうところを考えますというと、全くこれは事務当局が説明するとおりであります。それはちょっと不可能だと思います。しかし、私どもは、できることならば、やはり古い型は破ることも必要でしょうし、国民一般が望むことならば、それに即応した法律に改正することも決して不可能ではないと思います。あらゆる観点から進んだ行き方をするという意味において、新しい御意見には耳を傾けながら、そうした問題も取り上げて政治的にも解決すべきだ。しかし、これは研究してみた結果、やはり高い政治的な姿勢から見ても不可能だという結論になれば、これはやむを得ぬと思います。必ずしもいまの法律だけにこだわる必要はないと思いますから、十分研究してみたいと思います。
  103. 横川正市

    横川正市君 私は、これは大蔵関係と郵政関係が、どちらが勝つか負けるかというのを楽しみに見るわけじゃないですけれども、ひとつ郵政省としては、新しい一つの行き方として、ぜひひとつ検討してもらいたいと思う。  それから、もう一つ大臣に要望なんですが、日本放送協会に対する大臣の意見書というのが出るわけですが、この意見書の中にこういう点を書き加えられないかという問題で、ぜひこれは検討していただきたいと思います。それはどういうことかといいますと、日本放送協会は、みずから国民の放送としてのきわめて高い公共性というものがみずからの業務の責任だと、こういうわけです。私はそれはそうだと思います。ただ、いまその一つ機関を通じまして、私は、一般に日本人の生活の中に、生活水準を高めていくための一つの方針とか、生活をエンジョイしていく方策とかが欠けているんじゃないか。言ってみますと、表情がきわめて固いのが日本人の特質だ、こういうようにいわれておりますけれども、固いことだけがいいわけではないのであって、私は、もう少し日本人の生活そのものを豊かにするために、国民の放送機関であるNHKというのを活用すべきではないか。また、NHKはそれに対して責任を持っていろいろな点を検討すべきではないか、こういうふうに思う点があるわけです。その内容は、きわめて高い文化的なものを要求されるわけであります。私は、最近NHKが、たとえばのど自慢、ラジオ体操、それから映画、演劇、いろいろなものを通じて、これを時間帯には放送いたしておりますけれども一つの高い文化的な水準をもって、国民全体を生活の中に解け込んでいくような盛り上げをするような番組は考えられておらないと思う。たとえば東北における民謡は、今度の場合でも九州の人が歌い、九州の民謡を関東の人が歌いというように、民謡自体は非常に好評を得ておるけれども、それなんかは全く一部分に、何か保存会みたいなところに集中されて、大衆がいないわけなんです。そういった文化的なものを、もっと国民の中に入って、国民全体が、たとえば何かのときに集まった全部が輪になって踊れるようなもの、歌えるようなもの、あるいは楽しめる何らかのものをNHKの放送機関を通じて、相当いわば効果的な方法をやっていくようなことを研究しろということを大臣の意見書の中に盛られないかどうか、この点をひとつ。これはとっぴな質問かもわかりませんけれども、お聞きしたいと思います。
  104. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 日本放送協会の収支予算につきまして、また、事業計画について、あるいは、また、資金計画につきまして郵政大臣としての意見書を付して国会に提出したわけでございます。その中にいまお話しのような点を書き加えられないかというお話でございますが、御承知のように、私のほうで意見書をつけましたのは一から五までつけてございまして、おおむねこれはいま申しました四十年度の収支予算、事業計画、資金計画、そういうものに対しまする政府としての統一した意見を述べてあるわけであります。で、広義に解釈しますれば、番組み等に対する意見等をこれに加えることもあるいは可能かもしれませんが、常にそうした番組みの問題につきましては、他の方法によりまして行政的に指導もし、また、意見の交換等も行ないまして、いまお話しのような方向に進むように示唆も与え、協力もしているわけでございまして、従来の慣例もございますので、きわめて限られた範囲においての意見書というものになるわけでございます。しかし、いま申し上げましたように、それだけですべてが済んでおるのかといえば、そうではございませんで、常にNHKとは話し合いをしながら、そうした問題が実現し得るように協力もし、また、示唆も与えておるわけでございます。そういうことでその問題は解決していきたいと、かように考えておるわけであります。これは政府一つの意見として国会に提出しておるわけでございまして、そういうものの中にそうしたものを加えることが妥当であるかどうかということにつきましては、まあ妥当であるかもしれませんけれども、一応従来の慣行に従いまして、限られた範囲のみについて意見を述べたということでございます。しかし、これは決していまお述べになったようなことを等閑に付しているわけではございませんので、機会あるごとに行政措置といたしまして指導もし、また、協力もいたしまして、御期待に沿うような方向に進みつつあるということを御了解いただきたいと思います。
  105. 横川正市

    横川正市君 総理府が担当しております新生活運動とか、あるいは婦人に対するところの何らかのエンジョイ策とかやられておりますけれども、それはそれなりに意味がかりにあっても、たとえば総理府の官房か何かが出しております雑誌、政府機関誌なんかを見ておりましても、一面の意義はあっても、大衆性というのはなかなか持てないので、大衆性を持たせるということになれば、いま最も国民的な立場に立ってその責仕を負うている日本放送協会が、この問題については十分検覈を深めて、しかも、その効果の上があるようにやってみたけれども参加者が少なかったというのは、これは知恵が足りなかったのであって、やったら怒濤のように参加者があったという、そういう方針を考え出すことは、これは不可能ではないというふうに思うのでありす。そういうことでこのことをぜひ実現できるような、そういうことをNHKに考えさす、こういうことを、これは郵政大臣の権限としてどうこうということじゃなくて、一つの発案としてやってみたらどうか、私はこういうふうに思っているのでありまして、なお一そうこれは検討していただきたいと思います。  それから、次に、これは電電公社にお伺いをいたしたいのでありますけれども、電電公社の企業経営一つの、いわば手の行き届かない点として、私がさきの委員会でも御質問をいたしまして、検討していただくようにお願いをしたわけであります。それは現在郵政省に委託業務として委託されております電信電話取り扱いの業務を、これを全般的に電電公社が経営するように企業の内容を変えるべきじゃないだろうか、私はその点を先般質問をいたしました。最初の答弁は、非常に私は期待をして答弁をもらったのでありますけれども、その後になってからこれを修正されました。その後修正されたのでありますけれども、事実上それは私の納得のいかないものであったのです。ことに公社の一つの業務として、少なくとも日本じゅうどこに行っても電話がかけられる、だれでも申し込めばすぐ電話がつく、そういう一つの目的をもって運営されているわけでありますから、そういう目的に合致した行き方をするには、これはやはり小局の運営について電電公社は本格的に取り組む必要があるのではないか、私はこう思います。隘路として一点あるのは何かといいますと、それは予算の問題である。もちろん予算なしに仕事はできませんから、私はむちゃは言わないのでありますけれども、これは予算関係あるから現行でいいんだという制度では私はないと思う。ある程度の方針と方策をもってしても、経営については、当然電電公社が都市から農山漁村まで一括して業務を経営していくという、こういう形態をとるということが至当なんじゃないか、私はこういうふうに思うわけでありまして、先般は、これを検討するというお返事をいただいておるわけですが、その後この問題については具体的にお返事を得ておらないわけでありまして、その後どういうふうな検討をされたか、まずお聞きをいたしたいと思います。
  106. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 最近何かお尋ねになったかどうかは存じませんが、私は、去年でしたか一昨年でしたか、たしかそういう御質問をいただきまして、一応お答えしたつもりでございますが、その後、取り消したとか、もう一ぺん検討するということはほかの何かの機会にあったんでしょうか。
  107. 横川正市

    横川正市君 最初の答弁は、これは小局経営というものについての予算面からすれば、委託費と直轄の場合を比べて、とんとんか、あるいは幾らか委託費のほうが高くなっているような印象の答弁です。それから次の機会の答弁は、全部上から下まで直轄経営すれば電電公社がひっくり返ってしまうような、そういう意味の答弁がありました。しかし、これは事実上具体的にまだ公社が検討された結果ではないので、私は、この点についてはぜひ検討して、次の機会には小局経営についての案を示していただきたい、こういうことで前の質問は終わっているわけなんであります。私は、これはぜひ実現したいという年来の期待を持っておるわけですから、この際、四十年度予算予算委員会分科会のこの機会に公社側の意見を聞いておきたい、こう思うわけです。
  108. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 私は二回目のお返事はちょっと記憶にないのでありまして、あるいは私が忘却をいたしたのかもしれませんが、何でもこの前のときの質問に対して私が答えましたのは、やはりこれは経済上の問題でそのように申し上げたのでありまして、大体相当数量の電信電話のある局は、これは直轄局に逐次改めていることは御承知のとおりであります。まだ一定の数量に達しないで、独立して局を形成するまでにならぬような小局の場合には、まあ従来の関係もあり、郵便局で、ひとつ委託してやっていただきたい、こういうのが現在の制度であります。そこで、これを全部直轄にしてしまうというのは、これは全部一番すっきりした形になると思います。制度としては最もすっきりした形になると思いますが、そうなりますと、どうしてもやはりこれはいわゆる経済的に不経済な制度ということはやむを得ないのじゃないかという感じを持つのでありまして、できますならば、たいへん御迷惑かもしれませんけれども、従来の関係もあり、一応現在のままでひとつやっていただきたい、かように考えておるわけであります。
  109. 横川正市

    横川正市君 これは私は、迷惑とか迷惑でないとかいうことではないと思うのです。実際上公社に小局経営の具体的な案がないのじゃないかと思うのです。たとえば今度の第三次五カ年計画が遂行されて、そうしてその遂行率というのを見ますと、前回の答弁も、ちょっと私記憶でたどってみますと、千局か千二、三百くらいしか実は郵政に残らないようになっておるわけです、小さな局で電話の交換業務を扱うのが。それから人員にしても非常に少ないものになるのじゃないか、こういうふうに実は記憶いたしておるわけであります。第三次五カ年計画が終わったときには、たしかそのくらいの数字だったと記憶いたしておりますが、そういうことで、電電公社の一つの業務として、たとえばサービスについての公平さ、利用についても当然取り扱いは差があってはならない。それから事実上職員の待遇問題を考えてみましても、たとえば直轄になった局へ行きますと、あなたのほうでは、もう休憩室なんか行ったら、それはたいへんなじゅうたんを敷いたソファーで、テレビがあって、これは実にりっぱなものができているわけです。ところが、特定局に入って行くと裏長屋みたいなところの、ごみごみしたところに、まだ入るか入らないか、もうスペースなんか関係なしに詰め込んで業務が行なわれておるということから、私は、これはどうしても、職員の待遇問題からいってみても、当然電信電話の取り扱い者は公社でやるべきだ、こういうふうな考え方を持っております。それから、経費の問題も、私の考えではそれほど違うような状態にはならないのじゃないか、こういうふうに思うのです。いまさしづめやられる内容としては、これは郵政省も、特定局長から局舎の坪数を何坪といって借りているわけです。そして借り上げ料を払っているわけです。それならば電話に使用している坪数を電電公社が借り上げればいいわけです、いまの局長との契約で。事実上は分室長かだれかを置けば、実際上全部待遇問題も一貫して行なわれるということになるわけです。そういった点があるものですから、この点については、当然電電公社として一つの企画の中に入れて、少しくらい時間がかかっても検討すべき問題ではないか、こういうふうに私は思っておるわけなんでして、そういう点からひとつお答えをいただきたいと思います。
  110. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) ただいま御指摘になりました小局経営の問題は、私どもでむろん研究いたしております。そして、できるだけ早くあまり御迷惑にならぬようにだんだん直轄に移していくという方針で進んでおりますけれども、この際、急に全部やるということになりますと、ちょっとなかなか実施は困難じゃないかと思います。いま一応私どもの考えておりますのは、第三次五カ年計画が終わりまして、第四次のさらに五カ年計画が終わって、従来からしばしば申し上げておるように、ほぼおおむねの局がそのときになれば自動交換になる、そして、また、ほとんど大部分が直轄局になるわけでありまして、一番おそい時期を考えましても、四十七年度までにはほとんど大部分がお説のとおりになるのじゃないかと思います。ただ七年、八年先のことでだいぶ長いですから、もっと早くやったらどうかということになりますと、もう少し精細に検討いたさないと、直にそうやれるかというようなことは申し上げかねるのであります。
  111. 横川正市

    横川正市君 私はそういう方針を出してもらいたかったわけなんです。何かやはり郵政に委託しておけば、それでそのうちにだんだんなしくおしに直轄化されていくのだからいいのだということでなしに、積極的に経営について直轄化していくような方針を出してもらいたい。こういうことを前回も強く希望いたしました。やはりそういう年数や何かは検討しないとわからないから、十分検討されて、それの実現の方向に向かって進めていただきたい、こういうふうに思います。
  112. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 大体御趣旨のようなことになると思いますが、ただ釈迦に説法になりますが、現在の特定局というのは、大体各部門の数量が、わりあいに小さな貯金についても郵便についても、保険についても電信電話についても、共通含みでやれるような形でありますから、それが小局を経営するのには一番経済的だということで今日まで存続しておるわけでありますから、その趣旨からいきますと、いましばらく従来の方針でいく、しかし、できるならば四十七年度末までには全部きれいに一掃はできますまいが、おおむね大多数の局が自動化する、いまのお説のように直轄化するということになろうかと思います。
  113. 横川正市

    横川正市君 そこで、いまのぼつぼつ直轄化されていく局で、私はどうも少し郵政関係にも問題がありますし、電電公社にも問題がある、こういうふうに思うのですが、まず郵政関係についてお聞きをいたしますが、いまの都市における定員配置状況、それから電通の合理化等も含めて、過員としての滞留している状況、そういった状況はいまどういった状態になっておりますか。
  114. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) ただいまお尋ねの都市という点でございますが、まず郵政に滞留している残留過員のほうから先に答弁いたしますと、昭和三十九年度末——最近の数字におきまして、郵政から電電のほうへ転出してまいりませんで、当省に残留しておりますその過員が約四百五十名であります。これの措置につきましては自局、その周辺の局に分散配置して、定員の増加、あるいは減耗に処していきたいというふうに考えております。  なお、先生の都市とおっしゃいました趣旨が、都市周辺の場合にはわりに配転がしやすくて、地方の場合には配転がしにくい、そういう御趣旨でありますか。
  115. 横川正市

    横川正市君 都市の定員状況というのは、これは私は、たとえば年々定員増加がはかられているけれども、一体増加された定員というのは、その増加の目的に従って配置されているかということを聞きたかったのですが、これはいいです。  そこで、電信の直轄化に伴なって、定員が過員になった場合の処置の問題ですが、郵政の四百五十名過員というのは、これは全体の中のそれよりか、大体公社で配転を必要とする定員のうち、公社で身柄を引き取ったもの、それから部内で配転したもの、あるいはこの前の特別措置によるところの退職者の数、それから、これは自局に過員として滞留しているもの、こういうふうに分けて、これは三十九年くらいまでのものがもしあれば、二、三年くらいのところでお聞きしたいと思います。
  116. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) 当面の問題になっております電電公社の設備改善、なかんずく、自動化に伴って発生しました当初の過員の措置について先に申し上げます。  ただいままで本年度におきまして発生しました過員が六百七十五毛おります。そのうち、公社へ転出いたしましたものが二百五十一名ということになりまして、退職者が百七十九名おります。これは先生御承知の、先年御審議いただきました給付金の対象になるものでございます。残りのものが部内配転、あるいは自局に残留した先ほどの数字でございます。
  117. 横川正市

    横川正市君 この数字は、郵政から見た場合には、一体これは定員の配置状況としては好ましいか好ましくないかということは、聞き方がちょっと変だと思いますけれども、目的に従っての配転としてはこのような状況でいいのかどうか。しかも、これは四十年度、四十一年度だんだん数が、増加をしていくのですが、それに対してどういう処置をされようとしているのか。  それから、公社側にちょっとお聞きしたいのですが、公社としては、電話関係業務のうち、まあ昨年の場合には六百七十五名のうち、二百五十一名公社に配転されているわけですけれども、これは協約によってやっているのだとは思いますが、実際上はこれはどういうことでしょうか。取り扱いとしてはこれ以上はとれないということですか、何かその点について理由があるのでしょうか。
  118. 中山公平

    説明員(中山公平君) お答えいたします。  過員協定に基づきまして郵政御当局と協議をしながら、郵政の委託局で発生いたしました過員の中で、こちらへ転出を希望される方を私どもお受け入れしておるわけでありますが、この過員協定が三十一年に結ばれたものでございまして、その後いろいろと郵政御当局と、昭和三十六年ごろであったと思いますが、委託局の協議会をつくりまして、電電公社の設備拡充がだんだん委託局のほうへも広がってくる状況に応じたような取りきめをしたいという両者の希望から、協議会においていろいろと協議をしてまいったわけでございますけれども、電電公社側も、実は最近の状況といたしましては、お受け入れをする周辺の局において、市外電話の関係で自動即時化が進んでまいっておる、こういう状況もございまして、お受け入れすべき公社側の欠員というものが、周辺局においてあまり多数発生しないというような状況が一つございます。しかし、過員協定の基本にもございますように、郵政御当局及び公社それぞれ努力をして、この措置を円満にしてまいろうという精神から、三十八年度、三十九年度上期、三十九年度下期、三回に分けまして、この過員協定の運用をよくするための覚え書きをつくりまして、郵政局ごとに計画に基づく受け入れの積み上げをやりましては、はっきりした人数をきめてワクをつくって、そこで運用をはかっていくと、こういうことにいたしておるわけでございまして、そのワクから申しますると、実際に郵政省のほう、委託局のほうから、受け入れられる実績の数は若干少なくなっております。これは通勤時間一時間半以内のところでお受け入れをするということでこの数を組んであるわけなんですが、やはり御希望がいろいろな関係から少ないという点もあろうかと存じます。集約しまして、いまのような状況の起こっておる一つは、公社のいわゆる周辺局においても自動即時化が進んで、受け入れるべき欠員数が少なくなってきておる。一つは、御希望が若干少ない、こういうことであろうかと存じております。
  119. 横川正市

    横川正市君 ちょっと時間がないですから、十分にお伺いできないのは非常に残念ですが、郵政関係の人にも知っておいていただきたいと思いますのは、私が地方へ行きますと、女子で郵便の行のうを締めたりなんかするのを見ているのですよ。どうしたのかと聞いたら、実は電話の過員で郵便の仕事に回されたのだというようなことで、仕事も女子のいわゆる作業内容としては少しひどいのではないかと思われるような仕事もしているようです。いま中山さんの事情も私わからないわけじゃないわけですが、これはたしか合理化協定の中にも、あまりこの点は無理しないような公社側の約束もあったのじゃないかと思うのです。その点は、ひとつぜひ職員の過員の処置についての取りきめは郵政との中にあるようですけれども、一そうひとつ新たな観点に立って、来年、再来年とだんだんふえていくわけですから、検討していただきたい。これは要望いたしておきたいと思います。  それから、もう一つ公社にお聞きしておきたいのですが、質のいい作業をしてもらうためにも、これはぜひ公社としては管理監督十分でなければならぬのではないかと思うのですが、これは公社の設備会社の請負経路と、それから、その設備会社の下請に仕事を出している状況と、これに対する請負金額の支払い方。私は聞いたところによると、まず、何か天引きは、これは理由あって天引きするのだろうと思うのですが、形態として、下請企業というその企業形態というのは、これはいまの現状ですから無視できないと思う。ただ、聞くところによりますと、六カ月とかそれ以上の手形支払いというのが行なわれて、実際上一番末端の下請企業の倒産ということも起こっているようです。同時に、これは作業の質のできぐあいの問題にも関係してくるわけで、これは電電公社としては、当然管理監督や方策については考えているんじゃないかと思うのでありますけれども、現況までの状況をどう把握されておられるかということと、それから、それに対してどう対処されているか、この二点だけお聞きをしておきたい。私どもは、現状についていろいろ見聞きしている問題と関連して、これは公社としてはやはり注意せにゃいかぬ問題じゃないかと思うわけですけれども、その点ちょっと追加いたしますけれども、一言お聞きいたします。
  120. 平山温

    説明員(平山温君) お答えいたします。  いま御指摘がありました電電関係設備の請負業者の下請の問題は、御指摘のように、非常に重要な問題だと存じます。特に良質の工事、いい品質を確保するという意味で最も重要だと思います。また、先生のお話にありましたように、こういった請負制度の今日の実情からいいますと、下請を一切禁止するということは、やはり現実問題として無理があるようにも思います。そこで、私どもとしていまとっております方法につきましては、下請会社を使用いたします場合には、その下請会社技術内容に応じまして、元請会社から必ず事前に、こういう会社を使いたいということを公社へ届けて、公社の許可があったものに限って下請ができる、こういう方法を昨年からとっております。  それから、下請に対して元請会社が支払う金額でございますが、やはり元請会社が絶対的な一つの責任を持っている意味におきまして、ある程度の経費を元請が負うことはやむを得ぬと思います。また、当然だと思いますが、必要以上に元請がとって、下請には実際的な経費がいかない、これはやはり粗悪な工事の原因になりますから、これにつきましても十分管理をしていくつもりでございます。それから、最近一、二の会社にございますような手形払いによるところのものは、これはやはり会社経営の非常に放漫な結果がそういうことになったと思いますので、こういった問題につきましては、今後とも設備工事がふえてきまするし、下請が工事するケースも多くなってくると思いますので、私どもとしましては、業界のほうに対して、経営が放漫に流れないように十分注意しているところでございます。さしむきの問題といたしましては、下請については、必ず事前に公社の許可を受けること、公社といたしましては、元請会社経営が悪くなると下請に手形払いのようなことになりますので、その経営の監査の方法につきましても十分やってまいりたい、かように思っております。
  121. 横川正市

    横川正市君 いまの点については具体的な事例が幾らかありますから、これはまた後の委員会ででも十分論議をいたしたいと思います。きょうはこのほかに有線放送関係の質問をいたしたいと思いましたのと、共済関係の改正法案について意思をただしたいと思いましたが、きょうはだいぶ何か時間が食われて三時までという予定だそうですから、質問は残りましたけれども、私のきょうの分科会での質問は終わりたいと思います。
  122. 田中啓一

    主査田中啓一君) 郵政省所管に関する質疑はこれをもって終了したものと認めます。  以上をもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省運輸省、郵政省及び建設省所管に対する質疑は終了いたしました。これをもって本分科会の審査を終了いたします。  なお、予算委員会における主査の口頭報告の内容及び審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 田中啓一

    主査田中啓一君) 御異議ないと認めます。さように取り計らいます。  これにて散会いたします。    午後三時十五分散会      —————・—————