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1965-03-26 第48回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十六日(金曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————  昭和四十年三月二十五日予算委員長において、  左のとおり本分科担当委員を指名した。                 植垣弥一郎君                 佐野  廣君                 白井  勇君                 田中 啓一君                 前田佳都男君                 森 八三一君                 瀬谷 英行君                 鈴木  強君                 藤田  進君                 浅井  亨君                 高山 恒雄君                 佐藤 尚武君     —————————————    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     加瀬  完君      加瀬  完君     田中  一君      高山 恒雄君     中村 正雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         田中 啓一君     副主査         瀬谷 英行君     委 員                 植垣弥一郎君                 佐野  廣君                 白井  勇君                 前田佳都男君                 森 八三一君                 加瀬  完君                 鈴木  強君                 田中  一君                 藤田  進君                 浅井  亨君                 中村 正雄君    国務大臣        運 輸 大 臣  松浦周太郎君        郵 政 大 臣  徳安 實藏君        建 設 大 臣  小山 長規君        国 務 大 臣  高橋  衛君    政府委員        内閣官房長官  橋本登美三郎君        総理府総務長官  臼井 莊一君        経済企画庁総合        開発局長     鹿野 義夫君        運輸大臣官房長  堀  武夫君        運輸大臣官房会        計課長      須賀貞之助君        運輸省海運局長  若狭 得治君        運輸省船舶局長  芥川 輝孝君        運輸省船員局長  亀山 信郎君        運輸省鉄道監督        局長       佐藤 光夫君        運輸省自動車局        長        坪井 為次君        運輸省航空局長  栃内 一彦君        運輸省観光局長  増川 遼三君        海上保安庁次長  有田  毅君        気象庁長官    畠山 久尚君        郵政大臣官房長  浅野 賢澄君        郵政大臣官房電        気通信監理官   畠山 一郎君        郵政大臣官房電        気通信監理官   野口 謙也君        郵政省監察局長  稲増 久義君        郵政省郵務局長  長田 裕二君        郵政省貯金局長  武田  功君        郵政省簡易保険        局長       田中 鎭雄君        郵政省電波監理        局長       宮川 岸雄君        郵政省人事局長  曾山 克巳君        郵政省経理局長  北脇 信夫君        建設大臣官房長  鶴海良一郎君        建設大臣官房会        計課長      多治見高雄君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  鮎川 幸雄君        建設省河川局長  上田  稔君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君        建設省住宅局長  尚   明君        建設省営繕局長  小場 晴夫君        消防庁次長    川合  武君    説明員        内閣総理大臣官        房広報室長    三井 芳文君        大蔵省主計局給        与課長      秋吉 良雄君        大蔵省主計局主        計官       嶋崎  均君        大蔵省主計局主        計官       長岡  実君        会計検査院事務        総局第二局長   樺山 糾夫君        日本国有鉄道総        裁        石田 禮助君        日本電信電話公        社総裁      大橋 八郎君        日本電信電話公        社職員局長    中山 公平君        日本電信電話公        社営業局長    千代  健君        日本電信電話公        社計画局長    宮崎 政義君        日本電信電話公        社経理局次長   遠藤 正介君    参考人        日本住宅公団総        裁        挾間  茂君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選参考人出席要求に関する件 ○昭和四十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     —————————————   〔年長者植垣弥一郎主査席に着く〕
  2. 植垣弥一郎

    植垣弥一郎君 ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもって、私が正副主査選挙管理を行ないます。よろしくお願いいたします。  それでは、これより正副主査互選を行ないますが、互選は、投票によらないで、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 植垣弥一郎

    植垣弥一郎君 異議ないと認めます。  それでは、主査田中啓一君、副主査瀬谷英行君を指名いたします。     —————————————   〔田中啓一主査席に着く〕
  4. 田中啓一

    主査田中啓一君) ただいま皆様の御推挙によりまして、私が主査に、また瀬谷君が副主査に指名されました。何ぶんにもふなれな両人でございますから、何とぞ皆さまの御協力をいただきまして、円満に審議を進めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  審議に入ります前に、御報告を申し上げます。当分科担当委員異動についてであります。  本日高山恒雄君が委員を辞任され、その補欠として中村正雄君が選任をされました。     —————————————
  5. 田中啓一

    主査田中啓一君) なお、審議の進め方につきまして、皆さまにおはかりをいたしておきたいと思いますが、本分科会は、昭和四十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算のうち、農林省運輸省郵政省及び建設省所管を審査することになっております。議事を進めます都合上、本日は郵政省運輸省建設省順序にいたしたいと存じます。非常に強行軍でございますが、何とぞよろしくお願いをいたしたいと思います。  なお、二十七日も三省関係予算審議をいたしますが、三省とも大臣の御都合が悪うございますので、大臣への質疑は本日集中してお願いをいたしたいと思います。それでもどうしても残るという向きは、月曜日にお願いをいたしたいと思います。  なお、二十九日午前は農林省という順序で進めますが、先ほど申しましたように、どうしても残ったものはそこで出すということにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中啓一

    主査田中啓一君) そのように取り計らいます。     —————————————
  7. 田中啓一

    主査田中啓一君) それではまず、昭和四十年度予算中、郵政省所管を議題といたします。  政府から説明を求めます。徳安郵政大臣
  8. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 当省所管会計昭和四十年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、郵政事業特別会計予算でありますが、この会計歳入予定額は、三千六百二十四億七千七百万円でありまして、前年度予算額に比べて四百九十六億五千五百万円、すなわち二八%の増加であります。このうちには、収入印紙失業保険印紙等のいわゆる、通り抜けとなる業務外収入が八百九十六億八千一百万円含まれておりますので、これを差し引いた郵政事業実体的予算、すなわち郵政事業運営に必要な経費財源となる歳入は二千七百二十七億九千六百万円であります。これを前年度予算額に比べますと三百四十二億四百万円、一四%の増加となっております。この収入内訳は、郵便為替振替業務収入が一千二百二十六億八千四百万円、他会計等から委託された業務運営する経費財源に充てるために受け入れ受託業務収入が一千三百五十三億二千九百万円、収入印紙等売りさばき手数料などの雑収入が四十九億二千九百万円、郵便局舎等建設財源に充てるための借り入れ金等資本収入が九十八億五千四百万円となっております。  次に、歳出予定額は三千六百八十一億一千五百万円でありまして、さきの歳入予定額に比較し、五十六億三千八百万円の歳出超過となっておりますが、これについては持ち越し資金を充当する予定であります。また、歳出予定額から業務外支出を除いた実体予算額は二千七百八十四億三千四百万円でありまして、前年度予算額に比べ三百九十八億四千二百万円、すなわち一七%の増加となっております。この増加のおもなものは、業務運営費の三百七十五億二千九百万円、郵便局舎等建設費の十五億四百万円等であります。  次に、四十年度予算に盛り込まれております重要施策事項について申し上げます。  業務量増加等に対応しまして六千七百五十一人の定員増員を行ないますほか、職員雇用難を緩和し、その定着率を高めるため職員住宅、被服の改善等の諸施策を講ずる所存であります。  また、事業面におきましては、建設予算百十五億七百万円をもって郵便局舎等改善を行ない、二十三億一千六百万円の経費作業環境整備改善に充てるほか、郵便物処理方式につきましても、引き続き集配運送施設改善を行ない、新たに郵便番号制度を実施し、あるいは郵便作業機械化を促進するなど、その近代化につとめることといたしております。  窓口機関の設置につきましては、無集配特定郵便局三百局、簡易郵便局五百局を増置いたしまして利用者の利便をはかりますとともに、簡易郵便局手数料を、実情に沿うよう引き上げることといたしております。  貯蓄の増強につきましては、新年度における郵便貯金純増目標額を三千八百億円、簡易保険新規募集目標を四十三億円、郵便年金十億円とし、その達成につとめることといたしております。  次に、郵便貯金特別会計予算について申し上げます。  この会計歳入予定額は一千六百六十七億一千万円で、前年度予算額一千二百七十五億三千九百万円に比べ、三百九十一億七千一百万円の増加であります。この増加は、主として郵便貯金増強に伴います資金運用部への預託利子収入によるものであります。  また、歳出予定額は、一千四百六十三億五千三百万円でありまして、前年度に比べ二百七十二億六千六百万円の増加となっております。この増加のおもなものは、郵便貯金預入者への支払い利子及び業務委託費としての郵政事業特別会計への繰り入れであります。  簡易生命保険及郵便年金特別会計予算について申し上げますと、この会計におきます歳入予定額は、三千一百八十六億三千三百万円で、前年度に比べ四百五十億四百万円の増加であります。歳出予定額は二千三百三十一億三千七百万円で、前年度に比べ九十五億七千三百万円の減少となっております。この減少は、満期契約減少に伴い、保険金分配金支払い減少することによるものであります。  なお、四十年度財政投融資原資のうち、簡保年金資金は、一千一百億円を予定いたしております。  次に、一般会計予算について申し上げますと、当省所管一般会計歳出予定額は、三十七億三百万円で、前年度予算額に比べ一億四百万円の増加となっております。  この予算の中には、当省の重要施策としております宇宙空間開発研究に必要な電波施設整備費八千万円、電波標準施設整備強化に必要な経費七千五百万円、電波監視体制整備強化と、受信障害防止対策の推進に要する経費三千五百万円が含まれております。  次に、日本電信電話公社予算案について申し上げます。  この予算損益勘定におきましては、収入四千八百十四億円を見込み、前年度に比べ六百五十八億円の増加となっております。また、支出は四千三百八十二億円でありまして、施設及び要員の増加等により、前年度に比べ七百三十一億円の増加となっております。以上の結果、収支差額は四百三十二億円となり、前年度に比べ七十三億円の減少となっておりますが、この収支差額建設財源債務償還等に充てられることになっております。  建設勘定におきましては、総額三千三百六十九億円で、前年度に比べ五百六十億円の増加となっております。その財源は、内部資金一千七百五十億円、外部資金一千六百十九億円を予定しております。外部資金の調達は加入者債券設備料一千二百三十一億円、財政投融資等三百八十八億円を予定しております。  この支出内訳は、一般工事計画として三千三百七億円、農山漁村電話普及計画として六十二億円となっております。  以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なお、詳細な点につきましては、御質問をいただきまして、お答え申し上げたいと存じます。  何とぞすみやかに御審議くださいますようお願い申し上げます。
  9. 田中啓一

    主査田中啓一君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 白井勇

    白井勇君 私、郵政省に二、三点は伺いたいと思いますが、それに入ります前に、主査お願いを申し上げたいと思いますのは、月曜の農林関係審議関係で、資料を御注文申し上げておきたいと思います。表つくりまして、おもに米のことにつきましての資料でありますが、事務当局にあげておきますから、これに基づきまして、月曜までに資料が出るようにひとつお願いいたします。
  11. 田中啓一

    主査田中啓一君) 御発言のとおりに取り計らいます。
  12. 浅井亨

    浅井亨君 郵政会計におきまする、ほかの会計からの受け入れについてちょっとお聞きしたいと思います。  郵政事業特別会計では、郵便事業のほか、郵便貯金簡易保険郵便年金等業務を取り扱っておりますので、これらの業務経費郵政事業会計の負担となっているので、木郵政会計では、これらの業務取り扱い経費財源に充てるため、郵便貯金会計簡易保険年金会計等から、それぞれ所要業務経費受け入れており、その受け入れ総額歳入総額の四〇%近くに達しております。したがって、郵政会計にとって、これら他の会計から業務経費受け入れるにあたっては、その受け入れ予算額は、特に適正に見積もることが要請されているわけであります。しかし、これらほかの会計からの受け入れ予算額のうち、その相当部分を占める郵便貯金会計簡易保険年金会計からの受け入れについて見ますと、四十年度予算でも、木郵政会計では、郵便貯金会計から四百二十二億円、それから簡保年金会計から四百七十八億円、このように受け入れることになっているが、従来受け入れた額は、郵政会計が、これら郵便貯金簡易保険所要経費をまかなうべく適切または適正であったかどうかは、これは疑問に思うわけなんでございます。というのは、今日までの検査院報告によりますと、郵政事業会計におけるこれらの事業別損益計算書によりますと、為替貯金事業費では三十六年度四十七億円、三十七年度が五十三億円、三十八年度が五十六億円、このようになっております。郵政会計にとっては、毎年度受け入れ不足となっておって、これは主として郵便貯金会計からの受け入れ不足によるのではないか。このように見られておるわけです。そこで、またこの反面、簡保年金事業では三十六年度十九億円、三十七年度には二十三億円、三十八年度には二十四億円で、簡保年金会計からの受け入れ額は、郵政会計にとっては毎年度受け入れ過剰になっておるのであります。郵政会計において受け入れば、予算または繰り入れでありますから、この決算で多少の開きを生ずるのは、これはやむを得ないと思うのでありますが、毎年度このように開いてまいります過不足の額でございますが、これは逐年どちらも増加いたしております。このような過不足の額が検査院の御報告のとおりだとするというと、独立した特別会計経理としはほうっておくわけにはいかない、こういうふうに思われるわけでございます。そうすると、郵政事業は企業的に経営せねばならぬと思いますが、三十八年度郵政会計の黒字が三十五億円というけれども、実質的には受け入れ過不足を相殺しますと、六十七億の黒ということになり、損益自体把握できないのであります。また、三十八年度郵便貯金会計の黒は決算上は八十二億となっておりますが、右繰り入れ不足を考えますと、実質的には二十六億円の黒にしかならぬということになるわけでございます。簡易保険剰余金決算上の額より二十四億円も多かったことにも思われますし、それらの場合、加入者利益保険料というものに、私は影響していくんじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、お聞きいたしたいのは、検査報告にいうところの過不足の論拠は、事業別に分計された損益計算書にあるので、このような過不足の数字が、はたして郵政会計における受け入れ額使用経費との過不足の実績を示しているのであるかどうか。さらに、さかのぼって考えますと、この損益計算の基礎になる事業別経費の分計が、その方法等において妥当なものであるかどうか、これは郵政省検査院のほうから、ひとつその見解を聞かしていただきたいと、こう思うわけでございます。
  13. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) ただいま御指摘を受けました会計検査院報告に基づく御質問でございますが、まことにごもっともな御質問だと思います。三十七年度、三十八年度とも過剰いたしましたり、不足いたしましたりする決算が出ておるわけでありまして、その適正化はまさに御指摘のとおりでございます。これははかるべきであると思います。そこで、三十九年度には十分注意をいたしまして予算を組み、また四十年度におきましても、かような指摘がないように、この過剰あるいは不足等の問題が起こらないように、これを解消すべく十分の注意を払って編成したつもりでございます。その内容等につきましては、政府委員から御答弁さしていただきたいと思います。
  14. 北脇信夫

    政府委員北脇信夫君) ただいま浅井先生の御質問の点でございますが、郵政会計会計から申しますと、郵政固有業務でありますところの郵便郵便為替及び郵便振替貯金業務のほかに、受託業務でありますところの郵便貯金簡易生命保険郵便年金電信電話業務及び恩給国庫金の受け払い事務等を総合して行なっている事業会計でございまして、固有業務につきましては、それぞれの事業収入でまかないまして、受託業務につきましては、ただいまお話がありましたように、それぞれ業務運営に必要な財源郵貯会計簡易保険会計電電公社等から受託業務収入として受けれ入ているわけでございますが、その収入郵政収入全体の五〇%をこえる状況でございまして、その受託業務収入の中には、それぞれの直接費、つまり直接の業務運営費のほかに、いわゆる管理共通費と申しますか、本省、郵政局等業務運営に必要な経費、それから各郵便局の庶務、会計、厚生、こういったような業務共通費、それから病院診療所等運営経費あるいは郵政研修所等、こういうような教育機関経費、そうしたものをわれわれは総掛かり費と申しておりますが、その総掛かり費分担金を含めて、事業費繰り入れとなっているわけでございます。このように郵政会計としましては、郵便郵便貯金関係それから保険関係電信電話、この四つの大きな業務を営んでおりますので、郵政会計全体としての決算なりあるいは利益が出た場合に、事業別にどこにその原因があるかということを探求する必要が事業経理上必要である。かような趣旨から、郵政事業独自の立場で、昭和二十七年の通達によりまして発足したわけでございます。実はそういうわけで、本来、外部に発表するというよりは、経営上の自己反省資料として始めたわけでございます。また、それがたまたま検査院のほうでも取り上げられまして、三十七年度、三十八年度検査報告に上がった次第でありますが、事業別分計を実施していく上におきまして、非常に大きなウエートを占めておりますところの特定局経費の分計の問題でございますが、普通局につきましてはおおむね分課がございますので、たとえば郵便課とか、あるいは貯金課とか、保険課とか、その課によりまして事業別経費の分計が比較的把握しやすいわけでございますが、特定局は大体において総合服務形態をとりまして、一人の人が郵便もやれば貯金もやるというような形態をとっておるわけであります。したがいまして、全国でこれは層別に六つの層に分けまして、受託局、つまり電信電話委託を受けておる局と、その委託を受けていない局、それから宿直、宿あけのあるところとないところと、種類別の層に分まして、各層から無差別抽出によりまして、約千二百局の調査を行ないまして、各四半期に一回ずつ、一週間の勤務時間の調査をやりまして、各人に自分の実際に担務した事業別の時間を書いてもらいまして、それを集計しまして、全特定局事業別の分計に使っておるわけでございます。したがいまして、かりにこの調査した局の記入が若干の誤差がございますと、これを拡大いたしますので、その誤差が大きくなるというような欠陥もございます。これにつきましては、昭和二十七年度特定局経費分計基準というものをつくりまして、それ以後、これについては多少の修正はございますが、大きな修正はやっておりません。いま申し上げましたように、実は郵政会計としましては、現在約人件費が八〇%を占めておりますので、この事業別の人の担務の種類と申しますか、これがちょっと違いますと、事業別経費配分率が非常に違ってくるわけであります。物件費につきましては、事業別のはっきりしておるものはその事業につけまして、その事業別のはっきりしないものにつきましては、事業別のいま申し上げましたような人員比によって配分する、こういう方法事業別の分計をやっておるわけでございます。そういうわけで、悉皆調査でございませんので、若干の誤差率があるのじゃないかというようなことは考えております。そうしてその結果、予算実行の問題では誤差がございまして、検査報告にも上がりました。したがいまして、この予算定員実行定員と申しますか、実際に配置されておる事業別定員にいかに近づけるかというような趣旨から、為替局につきましては千数百人の郵政個有業務でありますところの為替振替に従事しておる定員貯金会計事業面のほうに持ってまいりました。その面で十一億円ぐらいの郵便貯金会計分担がふえまして、またいろいろ調べて見ますと、予算上の郵便貯金会計単価に比べまして、実際上の俸給単価が高いというような、つまり相当高級者が多いというようなこともわかりましたので、予算編成の際に、貯金につきましては俸給予算単価を実際支給単価に近づけるように修正してまいりまして、この点で十七億円修正いたしました。また、先ほど申しました管理共通的な総掛かり費の分損率の面につきましても、是正をやってまいりまして、その面で約二十億円が修正できました。こういうような修正をやりましたので、郵便貯金会計につきましては、昭和四十年度予算におきましては、ほぼ予算実行との面においては損失あるいは利益というようなものが出ないのじゃないかというふうに考えております。また、簡保会計につきましても、いま申し上げました貯金会計と逆に、繰り入れ過剰の問題でございますので、総がかり費の貯金予算上の分担率を上げる。逆に簡保会計につきましては下げる。あるいは俸給単価率にも若干の修正をする、こういうことによりまして、われわれのほうの事業別分計の結果を四十年度予算に反映する、これによってそれの是正をはかる、かようなことをやったわけでございます。
  15. 樺山糾夫

    説明員(樺山糾夫君) 大体ただいま郵政省からお答えになりましたとおりであると思いますが、私どもといたしましては、この三十八年度で申しますと、為替貯金事業で五十六億の収入不足となっておりまして、そのうち郵便貯金関係が約四十五億と計算されておりますが、この為替貯金事業会計の大体一割程度の不足になっておるというような事態が、特別会計の真の損益をあらわしてないという意味においてやはり問題があるのではなかろうか、こういう考え方で検査をいたしておるような次第でございます。ただいま御説明のありましたように、あるいは見込みでこれを計算して繰り入れる、あるいは分計の中でいろいろ困難な作業があるという点は、もちろん私どももよく承知いたしております。ただ、この点につきまして、三十八年度、三十九年度予算では、ただいま御説明のように相当の改善をされているようでございますが、なお、今後もこの点につきましては留意していきたい、こういうように考えております。
  16. 浅井亨

    浅井亨君 いまの御説明聞きますと、大体見当はつくのですけれども、これは特別会計ですから、やはり別々に検査院のほうではそのようにおとりになっておるのですね。そうでございましょう。これは郵政省のほうでは——私これ毎年々々この決算報告を見ますと、このようにだんだんとこの為替貯金のほうが不足のほうが多くなっているのです。検査院報告ではね。それから簡易年金のほうですね、これはだんだんとたくさん出している、こういうことになってくるわけですが、そうすると、この簡易年金のほうの収益がほかに回されている、こういうふうに私は感ずるわけなんです。そうすると、簡易保険とか年金に入っておられる方々のいわゆる利益というものが減殺されるのじゃないか、こういうふうに考えるわけなんです。特別会計としてこういうふうに別々に出ている以上は、郵政省のほうではこれを次のほうに、また四十年度予算にそれを反映させている、こういうふうにおっしゃっていますけれども、私見ますと、これは反映しておらないと思うのですよ。これは簡易年金保険の四百七十八億になっておりますが、これまた人件費の上昇とかいろいろなものがありますと、これはもっと多くなると思うのです。そういう点はどのようにお考えになっていますかね。
  17. 北脇信夫

    政府委員北脇信夫君) 四十年度に反映していないというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、四十年度予算編成におきましては、総がかり費の分担を変えまして、郵便貯金会計分担率を引き上げまして、それに総体的に簡保会計分担率は引き下げるというようなことで反映しているわけでございます。
  18. 浅井亨

    浅井亨君 それが私、そういうのはけっこうなんですが、私は昭和三十六年、七年、八年とだんだんと向上している、どちらも。で、それがこの四十年度もまた同じような形になるのじゃないか、こういうような心配なんです。そこを心配しているわけです。それでは何をやっているのだか、さっぱりわけがわからない、こういうわけなんですが……。
  19. 北脇信夫

    政府委員北脇信夫君) いま申し上げました総がかり費の分担率の是正は、実は四十年度予算にやったわけでありまして、したがいまして、三十八年度、九年度ではやっておりません。そのための定員の移しかえとか、単金は三十九年度でやりましたが、総がかり費の分担率の是正は四十年度でやりました。そういうわけでございますから……。
  20. 浅井亨

    浅井亨君 了承しました。じゃ、大体いまお聞きしましたので見当つきましたから、これで私の質問は終わります。
  21. 中村正雄

    中村正雄君 電電公社関係予算についてお聞きしたいと思います。四十年度予算を見てまいりますと、利息が二百七十七億、支出の面で計上されておる。借り入れ金の返済が百六十二億計上されております。また、建設勘定を見てまいりましても、内部資金外部資金がほぼ等しいくらいの規模がある。こういう関係で、大ざっぱな数字でけっこうですが、現在電電公社の債務といいますか、政府からの借り入れ金、財政投融資及び債券発行高等の、いわゆる外部よりの借り入れ金の総額はどのくらいになっておるか、お知らせ願いたい。
  22. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 三十九年度末におきまして、これはいまお示しのものは、お尋ねの分は約六千六百六十億円でございます。
  23. 中村正雄

    中村正雄君 六千六百六十億円の債務総額として、これも大まかな数字でいいのですが、内訳においては電話債券とか、政府からの借り入れはどうという内訳の大綱を示してください。
  24. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) お答えいたします。  電信電話債券で約六千二百七十六億円、その他は内国債、外国債借り入れ金でございます。
  25. 中村正雄

    中村正雄君 債務総額が六千六百六十億で、電話債がそのうち六千二百七十六億、したがって残されました約四百億ぐらいがその他の債務と、こういうわけですか。
  26. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) さようでございます。
  27. 中村正雄

    中村正雄君 財政投融資と言われまする額、いままではどういうふうになっておったわけですか。
  28. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 財政投融資という御質問でございますが、概算で、ただいまの六千六百六十億のうちで七百二十億程度でございます。
  29. 中村正雄

    中村正雄君 現在までの財政投融資と言われまするワクの中の借り入れ金総額が七百二十億と、こういう意味ですか。
  30. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) さようでございます。
  31. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、債務総額六千六百六十億のうちで電話債券が約六千三百億とすると、この関係はどうなるんです。総額と勘定が合いませんが。
  32. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 先ほど申し上げました電信電話債券の中にいわゆる加入者加入者債といっております電信電話債券と、それから先生のおっしゃいました財政投融資等の中で発行されます公募債、あるいは外貨債というものがございます。したがいまして、いま最後におっしゃいました六千三百億というものは加入者債の総額になるわけです。
  33. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、債務総額は約七千億近いわけですが、これの利子は大体どういう分類になっておりますか。種類によって、大ざっぱな数字でいいですから、こういう債券は年にどのぐらい、こういう借り入れ金はどのくらい払っているとか……。
  34. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 加入者債、いわゆる加入者電電債が七分二厘、それから公募債が七分でございます。
  35. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、本年度の利子二百七十七億を予算に見ておりますね。これと、いまおっしゃいました利率との関係はどういうふうになるわけですか。
  36. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) この内訳をお聞きでございましょうか。利率によりまして今年度支払います利子の総額ですか。
  37. 中村正雄

    中村正雄君 私の質問しておりますのは、大ざっぱにいって七千億の債務で七分であれば約五百億近い利子がいるわけですが、計上されているのは二百七十七億ですから、そのつじつまの合わない点を御説明いただきたいと、こういうわけです。
  38. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) この中に割引債というものがございます。この数字をちょっとただいまはっきり申し上げることはできませんですが、その分だけ、いま先生のおっしゃった意味では利子額が少ないといいますか、なろうかと思います。
  39. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、債務総額のうちの約四割近いものが割引債、こういうわけですか。
  40. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 先ほど申し上げました約六千三百億の加入者債のらち約三千百五十億ばかりが割引債になっております。
  41. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、本年度の建設に関しまする資金計画を見てまいりますと、内部資金が千九百十三億、外部資金が千六百十九億、相当外部資金がだんだんに年度を追うに従って多くなっていると思うのですが、そうしますと、いまやられておりまする第三次五カ年計画を遂行する上におきまして、今後の資金計画の見通しについて、総裁か、副総裁から御説明願いたいと思います。
  42. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) ただいま御指摘のとおり、過去約十年といいますか、公社が設立いたしましてから十年ぐらいの間は収入状態が非常によろしゅうございまして、したがって、収支の差額というものが相当建設費の中に繰り入れられたのでございます。最近になりまして収支の状態がだいぶ悪くなってまいっております。と申しますのは、従来の電話は大体事務用の電話、あるいは営業用の電話が大部分でありまして、個人住宅の電話は比較的少なかったものでございます。したがいまして、全体を平均した一電話器当たりの収入単金というものは相当高いものであります。ところが、最近生活の向上といいますか、とにかく電話というものが家庭生活の必要な道具となりまして、したがって、個人住宅の申し込みが非常にふえてまいりました。したがって、架設する数も、住宅の方面に非常に多くつけるようになりましたので、全体を平均いたしますと、一電話器に対する平均収入というものはだんだん減ってまいります。したがって、この収支決算から出てまいります建設費に入る自己資金というものはだいぶ減ってまいっております。したがって、御指摘のように、最近は従前に比べて自己資金の割合が少なくなってきておる、こういうことは事実でございます。したがって、これを今後どういうふうにして建設の費用をまかなっていくかということについて、目下それぞれ研究中でございます。将来の問題に対しては多少そういう問題は残っておるわけでございます。
  43. 中村正雄

    中村正雄君 本年度予算を提案されて、四十年度事業計画、建設計画の見通しは一応ついているわけでございますが、この情勢で推移いたしますると、四十一年度以降、この計画を遂行するについては、外部資金の依存の率がもっと多くなると思いますが、これに対しまして、監督官庁でありまする郵政大臣としては、今後電電公社の財政計画、電話需要に応じまする設備拡充に対する事業計画等についての資金を、どういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  44. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 先ほど総裁が話されましたように、最近電電公社の収入の上昇率がだんだん少なくなってまいりまして、結局電話をつければつけるほど、いなかのほうに普及はいたしますが、一本に対する利用率というものが少なくなる、平均いたしますと。そういうことで、非常に利用率の多かった場所につけておりました最初よりは、だんだん農村地方に普及せられればせられるほど、一本の平均利用率というものが少なくなる、料金の収入も少なくなるという情勢でございます。したがって、四十年度予算はただいま提出いたし、御審議を願っておるわけでありますが、電電公社におきましても、今後の財政計画見通し等につきましては、一応の過去の実績等によりまして四十六年、七年ごろまでの見通しは、机上の上ではついておりますが、はたしてこれが実際問題として妥当であるかどうかということにつきましては、私は、もう適当な機会に再検討さるべき時期にきているのではないか、かように思います。したがって、最近調査会をこしらえまして、料金等を含めてそうした問題についても研究してみたいという公社の話もございますので、私どもその調査の結果に大きな期待をかけておるわけでありますが、ただ、従来のような安易な考え方ではなしに、もっと——いままでも真剣でございましょうが、この転換期に際して、考え直す時期にもうすでにきているのではないかと考えておるわけでありまして、そういうことにつきましては、今後相協力して指導していきたいと考えております。
  45. 中村正雄

    中村正雄君 電電公社の財政に関連しまして、巷間電話料金の値上げが一部では言われておるようなんですが、少なくとも本年度については、一応予算ができ上がっておるわけでありますから、そういうことは考えられませんが、今後電話料金の値上げ等に関して、調査会を設けて検討するとかなんとかいう御答弁ですが、そういう中には現在の料金が妥当かどうかという問題も含まれる調査会、あるいは諮問委員会などもお考えになっておるわけですか。
  46. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 特に料金問題のために調査会を設けたわけではございません。とにかく現状を把握いたしまして、このままで従来のような拡張計画でよろしいかどうか、根本的にその問題を考究していただく調査会でございまして、そのうちには、自然御指摘の問題に触れるかもしれません。
  47. 中村正雄

    中村正雄君 私も予算書なり、電電公社のこの決算書等を見てわからないわけなんですが、一言で言って、現在電電公社の財政から見ました場合、現在の料金で黒字か赤字かという面で御答弁願えるとすれば、いまの電電公社の財政はどういう財政になっているわけですか。
  48. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 単純に赤字か黒字かとおっしゃられれば黒字であります。現在、四十年度予算においても約四百億円程度の繰り入れ金をしておるわけであります。それだけ黒字と申して差しつかえないと思います。
  49. 中村正雄

    中村正雄君 そういたしますと、拡充計画等に、内部資金でなくして外部の資金が、拡充計画に必要な資金が得られるのであれば、現在の料金で十分やっていけると、こういう意味ですか。
  50. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) これは問題がだいぶ複雑になりますが、収支の状態だけは先ほど申し上げましたとおりでございます。しかしながら、それだけの程度の繰り入れ金で、従来の私どもの理想としている将来の計画がやられるかどうかということになりますと、これは問題なんです。もともと、現在収益が四百億も出ておるということは、これは皆さん御承知のことと思いますけれども、公社ができたのは昭和二十七年でございますが、二十八年度から第一次の五カ年計画というものが始まったのでありますが、その一次の五カ年計画を立てるときに、どうもそのときの財政状態から見て、適当な第一次五カ年計画を立てることがなかなか困難だったのであります。そこで当時約二割の料金の値上げというものが提案されまして、それが国会の御審議において認められたわけであります。そのときの理由としては、これによって生ずる増収は、半ばは、当時の情勢から見て、減価償却の積み立てがどうも不足する状態だから、そのほうをやる。また一部は将来の建設資金の財源のためにこれを使いたい。こういう二つの理由で当時二割の値上げが認められたわけであります。それによって当時の五カ年計画というものが組み立てられた。それからそのほかに、第二次五カ年計画の改定のときに、いまでも、御承知のとおり、加入者から十五万円以下の債券の引き受けを、加入者債券の引き受けをお願いしておるわけであります。それが一つの財源になって、第二次五カ年計面以後は従来の増収と合わせて建設財源として使用されてきた。そのほかにもう一つの財源として考えられたことは、御承知のとおり、電信電話に関しては、新技術の開発でございますが、この新技術の開発によって、だんだん一方において物価の騰貴なりいろいろあるにかかわらず、建設費を増さずに建設ができた。こういうことで今日まで、第三次の拡充計画まで移行してきたわけでございます。先ほど申し上げましたように、最近は収支状態というものがだんだん悪くなっておりますので、このまま続けた暁には、私どもの理想とする計画というものはちょっと立ちにくい状態と、いまのところは私ども観測いたしております。四十一年度以降の計画については、私どもとしてはまずさらに検討して、新しい計画を立て直す必要があるのではないかということで、目下研究しているわけでございます。
  51. 中村正雄

    中村正雄君 それでは、財政に関しまして、最後にもう一点お伺いしたいわけですが、四十年度予算を見ますと、借り入れ金の返済が百六十二億、利息が二百七十七億、大体四百三十億程度は負債関係経費になっているわけです。それがいま約七千億近い借り入れ金、いつか返すわけなんですが、今後の見通しとして、年間利息と借り入れ金の返済、期日によって、年度によって違うと思いますが、そういうものがどういう大体数字の見通しになっているか。現在の段階において、大体の見通しがつけば、五、六年間の見通しをお知らせ願いたい。それと並びにそれが電電公社の財政に与えまする影響についで、総裁から御答弁願いたい。
  52. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) こまかい数字は、いずれ局長から申し上げます。  大体ごくざっと見まして、先ほど申し上げました引き受け債券というものの償還がだんだん迫ってまいります。これが昭和四十五年になりますと、その制度が始まってからちょうど十年、それから以後計画が非常に大きくなりまして、引き受け債券が非常にふえる。したがって、四十五年から償還すべき額がぐんと一時に飛躍的にふえます。したがって、現在のところでは何か特別のことを考えない限り、その償還というものはよほど困難ではないか。実は、四十五年を待たずともだんだん積み重なっている部分だけでも相当今後の償還が困難になる。借りかえができますれば、これは非常にある程度まで継続はできるわけでありますが、ところがほかの公募債のごときは、多くは金融業者の負担で持ってもらっているわけでありますので、これは借りかえということも従来行なわれていることでありますが、私どもの加入者債券は、個々の加入者が一枚ずつ持っているわけで、借りかえということが非常に困難であります。したがいまして、その償還の点だけ考えましても、今後の問題としては相当これは重要な問題である。現在、私どもの研究している重要課題の一つでございます。
  53. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) ただいまの御質問に対して、補足的に御説明申し上げますが、四十年度の利子とか債券取り扱いは大体三百億ぐらいになっているわけでございますが、これが多少ふえてきまして、それから債務償還額が百六十億ぐらいになっていますが、これも大体いまの見通しでいきますと、漸増していきまして三百億ぐらいにふえていきますが、四十五年度ぐらいになりますと、例の拡充法やりましたのが三十五年度でございますので、その償還が出てまいります。そのためにおおむね千五百億ぐらいになるのではないかという見通しであります。四十五年まではだらだらと上がっていくのでございますけれども、四十五年度からは急激に上がると、こういう見通しでございます。
  54. 中村正雄

    中村正雄君 次に、郵政大臣にお尋ねしたいわけですが、要員の問題について。  電電公社の事業経営を見てまいりましても、相当合理化その他によって部分的には人員が少なくて済むところもあるようでありますが、全体としては要員が相当多く必要になってくると思います。また、郵政問題についても同じことが言えるのではないか。ただ郵政と電電との間におきまして、いろいろ重複した事業も相当あると思います。そういう問題についての人事の交流等については、どういうふうにお考えになっているか。
  55. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 私も人事交流につきましては、あまり詳しいことを知りませんので、人事局長から御答弁させますからお聞きとり願います。
  56. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) ただいまお尋ねの電電公社のいわゆる設備拡充によって生じます要員関係の問題につきましては、電電公社と省側との間におきまして発生した過員につきましては、過員協定というものがございます。その協定にのっとりまして、円滑に執行しておるような状態でございます。
  57. 中村正雄

    中村正雄君 電電公社の総裁または郵政大臣にお尋ねしたいわけなんですが、御承知のように、郵政の中にも組合が二つあり、電電公社の中にも組合が二つあります。で、配置転換の場合に、その両組合の差によっていろいろトラブルが起きていることを末端で聞くわけなんですが、一つの事例として九州の電気通信局で起きた問題なんですが、ことしの二月十一日に福岡県の幸袋の鯨田郵便局で、電報配達業務が配置転換に伴いまして郵政と公社との間でいろいろ具体的な人の問題で交渉いたしておったわけなんですが、そのときに九州電気通信局の職員課長が、郵政省の中に全逓と全特定と二つの組合がありますが、そのうち全特定の組合員は全逓労組との関係上とりたくないというような、いわゆる不当労働行為といわれるはっきりした言明を行なって、それが問題になったことがあるわけなんですが、それは郵政大臣なり大橋総裁は御承知ですか、その事実を。
  58. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 私は初めて承ることでありまして、実は存じません。もし何か御答弁申し上げる必要があれば、職員局長から……。
  59. 中山公平

    説明員(中山公平君) 九州の、先生の御指摘をされましたような局で、九州通信局の職員課長がそういうことを明言したということについては、私、いまお聞きしたところでありまして、調査いたしたいと思いますが、先生の御指摘でない局で、いまこれは九州電気通信局と熊木の郵政局とで折衝中の問題で、宗像の局の開局の問題で、現実に受け取る受け取らないで、一人の人のことについて問題が起こっておる。そのことについては承知をいたしておりまして、この点では、この方がどちらの組合の所属であるということが問題ではなくて、すでに郵便局のほうで主事という役職についておられる関係で、受け入れた場合の処遇あるいは公社側のそういう業務上の必要度といったようなことが問題になる関係で、目下折衝が行なわれておるということでございまして、この点について、先生の御指摘のようなことがあったかどうかということについて、私、昨日調べてみたのでございますが、事実はそういうことではなくて、いま私が申し上げたようなことが問題になって、いま折衝中である。いずれにしましても、組合の所属がどうであるかとか、あるいは組合に入っているか入っていないかとか、そういうふうなことで差別をするということではございませんし、私どもそういうことは方針にいたしておりません。もっぱら郵政省側で過員が発生して、希望なさる方は、こちらの欠員がある限り、なるべく多数補充する。補充する場合におけるものの考え方の基礎としては、役職についた方等については業務上の必要ということを主に考えるということでやっておりまして、昨日も九州の職員部長に確かめたわけですが、郵政との間でこの点については話が進行中である、こういうことでございますので、もし誤解がございましたら、この際に私どもの方針とするところを申し上げまして御理解いただくとともに、かりにそういうことがございました場合には、今後注意いたしたい、かように考えております。
  60. 中村正雄

    中村正雄君 職員局長は給田の郵便局の問題は御存じないわけなんですね。
  61. 中山公平

    説明員(中山公平君) さようでございます。
  62. 中村正雄

    中村正雄君 方針としては十分わかりましたし、御存じないのであれば、この問題で質問してもむだでございますので、私が申し上げました点、事実かどうかお調べ願いたい。一応お調べ願った上のことにいたします。  私の質問は、一応打ち切ります。
  63. 中山公平

    説明員(中山公平君) 十分調査をいたしまして、正すべきは正す、私かように考えております。
  64. 白井勇

    白井勇君 皆さんお急ぎの事情でもあるようでございますが、私も郵政大臣にお伺いしたいと思いますが、ごく要点だけを伺うことにします。  まず、郵政省にお伺いしたいと思いますが、一点は、郵便事業近代化の問題であります。去年の十一月に答申が出まして、四十年度予算に、ある程度の関係予算が組まれたようでありますが、私の承知いたしております限りにおいては、どうもせっかくああいう答申が出ましても、近代化の重要性は認めるけれども、具体的にはその方向に沿うて進んでいないように思うのです。大臣は、これからどういうふうに処置される御予定でありますか、まずその点を承りたい。
  65. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) ただいま御質問がございましたように、郵政審議会からも答申がございまして、郵政事業各部面にわたって近代化することが必要だという御趣旨でございまして、これはかねがね私ども郵政省としましても考えておったことでございます。非常にその御答申は適切な勧告であると思っております。そこで、私どもといたしましては、その御趣旨に沿いまして郵便物の規格化、集配制度の改革、それから作業の機械化郵便輸送の近代化、従業員の雇用対策、こういう各面にわたって研究もし、本年許される範囲において予算にも織り込んだわけでございます。近代化に伴いまして、組合等との関係もございますが、最近は、私どもの関係する各組合でも理解しまして、機械化等につきましても全面的に協力するような態勢になりつつあるように思います。したがって、郵政省もこの際踏み切って予算処置ができますれば、部内の摩擦等もないように思いますので、そういう方面に今後突き進んでまいりたいと思いますが、その内容等につきましては、政府委員から御質問によって御答弁いたさせたいと思います。
  66. 白井勇

    白井勇君 その近代化を進めてまいります場合に、おそらく考えていらっしゃると思うのですけれども、私も郵便業務はしろうとでありますけれども、見ておりますと、もともとは信書の送達ということから発していると思うのですね。ところが最近の郵便局の現況というものを見ておりますると、何と申しますか、広告の配達人に化しているような姿なんですね。そういうような仕事を担当させられておりまする現場の職員といたしまして、まず誇りを持って現業をやっていこうというような気は、おそらくわからないものだと思う。私は、こういうものをはたして配達をしなきゃならないものかというような価値判断をもって見まするならば、これは昔の、信書を配達するというような考え方がまるで変わってきておりますような現状なんです。しかもそのことを申し上げてみますに、それぞれ赤字を生じまして、赤字負担の上でやっておる。基本的にこういうところの考え方がどうも間違っている気がする。やはり郵便業務というものは、これは信書というものを送達するというところに重点があるのであって、その性格が基本であるのです。それを利用いたしまして、付随的にいろいろやっていても差しつかえないと思いますけれども、それならば、それに引き合うような料金体制というものを考えなきゃと思うのです。ところが、ことしの初めごろに郵政当局の御発表になったものによりますと、まず近代化を考えるにはいろいろあるだろうけれども、内部の機械化をやって、あるいはそれでも追っつかないから、結局四十一年度から、はがきは八円にいたしますと、あるいは封書は十二円にしなければ追っついていきませんと、こういう値上げをもってけりをつけていくという考え方なんですね。これはしかし、値上げを考えます前に、やはり内部の、少しいま申し上げましたような線に沿いましての現業の合理化というものを考える必要がなかろうか、こう私は思うのですが、いかがですか。
  67. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) まさに私もそのとおりだと考えております。
  68. 白井勇

    白井勇君 そこで、私はこれは提案にもなるのでありますけれども、ここに印刷物を二、三持ってきておるのですが、こういうものは、ほとんど大部分各家庭に配送されるわけですね。これはかみそりの刃の宣伝です。これは印紙は十円。こんな広告が十円。こういうものを職員が末端に配達をしておる、こういうかっこうになっておる。私は、やっぱり国際間の飛行便等におきまして、具体的に申しますれば、封書が一定されておる、同様に、いまの官製はがきというものをどういうふうに規格を改正しなきゃならぬか知りませんけれども、まずそれを一定にして、封書もいま郵政事務当局におきましても何種類というのも考えていらっしゃるようでありまするけれども、そういうことじゃなしに、少なくともこういう姿のものであるならば、いまの五円なり、あるいは封書でありますれば、十円で必ず引き受けますよ、こういう規格の統一が先決であろう。それはいま申し上げましたような現行料金だけでやるべきであろうと私は思うのです。そのほかいろいろ航空便とか、あるいは従来扱っておりましたようなものが、やはり取り扱い上に必要ありとすれば、それはそれで引き合うような、赤字を生じないような料金を取ればいいじゃないか。そうでなしに、いま事務当局が多少お考えになっていらっしゃいますような、非常になまぬるいような規格なり機械化のことを考えていらっしゃいましては、これは幾ら毎年七千人かあるいは八千人なり職員を雇い入ればできるといたしましても、追っつかない姿になるんじゃなかろうかというふうに私はまず思うわけですよ。ところで、あの答申が出ましてから、郵政省内部におきましては、私の知っておる限りにおきましては、あの答申を受け入れまして、あの線に沿いまして近代化を進めていきますような事務体系は確立されておりませんね。一日も早くそういう点につきまして、何らかの、やっぱりもっと一つの機構的にも責任ある体系をつくりまして、そしてまずそれを合理化をしていくようなことを進めてまいらなきやならぬと思うのですが、そこは大臣どうごらんになりますか。
  69. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 御方針まことにごもっともでございます。私どももそういう方針で進みたいと考えております。したがって、現在行なわれておりまする各種の郵便物の規格を何とかせなければならぬということも、もう刻下の焦眉の急だと思います。これらは法の盲点もございましょうし、郵政省は普通の商売じゃなくて国営でございます関係から、いろんな盲点ができていると思いますが、しかし、いずれにいたしましても、そういった盲点をこのままほうっておくことは、これはやはり現体制におきましても望ましいことではございませんので、この点につきましても、もう研究を進めておると思います。で、現にその答申が出ましてから、やはり各部局等におきましても専門委員会をつくりまして、それぞれ作業をいたしておるようでございますが、何しろ問題が各社会に非常に大きな関係を及ぼす問題であり、あるいは法律の改正等も必要でございますために、その点、進み方がはかばかしくないことは事実でございます。しかし、その進行状態等につきましても、政府委員のほうから、御質問等に応じましてこの点御答弁さしたいと思いますが、決してなまけてほうっているわけではございません。着々として予算化すべきもの、法律改正すべきもの等につきましても、先般の逓信委員会でも申し上げたと思いますが、次の国会には、まとまりますれば、また、まとまるように努力いたしまして、こういう問題に対する法律の改正等も考えて提出したいということを申し上げておるわけでございまして、これには各方面の御意見等も十分参酌いたしまして、速急にまとめるように努力いたしたいと思っております。
  70. 白井勇

    白井勇君 そういう御決意を承りまして安心いたしましたが、次に、一般の通信関係だけではなしに、小包につきましても同様に私は考えております。いまのように極端なことを言いますと、まるで国民にはかってなことをさせますような姿でものをやらせる——ということじゃなしに、やはり一定の、二つくらいの箱を準備いたしまして、一つのものの二倍か、これだけの大きさであるというような一定の箱くらい準備をさせまして、そうして安い料金で扱ってやる、こういうような姿で十分だと私は思うのです。いま大臣のお話のように、次の国会に法律改正案というようなものを出すというお考えでありますれば、これはいろいろ技術的な問題が私は要ると思う、規格の問題なんかありますから、やはりこれはいまからそういう体制でもとって進めてまいりませんと、おそらく次の国会にも、ただ値上げによって措置を講ずるというような結果にならざるを得ないと思うのです。そこは大臣のほうで十分ひとつ御配慮を願いたいと思うのです。近代化の点はこれにとどめます。  もう一点私が伺っておきたいと思いますことは、放送法の改正であります。これは今度あれだけの答申で、なかなか重要な問題を含んでいるわけでありまするから、事務当局とされましても、御努力なさってもなかなか結論は出ないというような点もありまして、おそらく今国会には改正案をお出しにならないというように承っております。それならば、今後は、一体いつごろまでにそういうような法律改正というようなものが進められるのか、そのお見通しを承りたい。
  71. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 御承知のように、ただいま再免許の作業が非常に大きな負担になっておりまして、六月一日に全部に対する再免許があるものでございますから、ほとんど朝から晩までぶつ通しでやっているような状態でございます。したがいまして、答申の趣旨につきましても分析をし、行政的に行なえるものを、あるいは法律的に踏み切らなければならぬもの等も、十分分析がしてございますけれども、しかし、まだまだ大きな筋におきましては、やはり政府の方針とか、またわが党の方針等も聞かねばならぬ面もございます。また、野党の諸君の御意見も聞くものもあると思います。でありまするから、一応この再審査が済みましたあとに、本格的にかかりたいと思います。これは総理もそういう方針で、先般の予算委員会でもFMの問題とあわせてひとつ再免許が済んだあとに、本腰になって方針をきめて進んでまいりますということを答弁されております。また私どももその気がまえでおるわけでございまして、これは長々と延びる性質のものではございませんから、本年は今回には不幸にして提出ができませんでまことに残念に思いますけれども、次の国会には必ず間に合うようにされるべきであり、また、間に合わすべきである、かように考えております。
  72. 白井勇

    白井勇君 そうしますと、次の国会までにいろいろ準備を進められまして法案提出になる、こういうことになりますと、これはあれだけの答申でありまするから、相当大きく変わってくるんじゃなかろうかというような私たち感じも持つわけでございますが、非常に関係しているところが大きいだけに、いまお話のありました再免許をやられまする場合に、その期間というものは、次の国会に放送法の改正が出て、そこで論議をされまして一応の結論が出るわけでありますから、そうしますと今回の再免許というものは、したがいまして従来のように三年とかという長い期間じゃなしに、その放送法が次の国会に提出をされまする、あるいは成立をされる、それを予想されました短期のものだ、こう判断をして差しつかえないのでありますか。
  73. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 御承知のように日本は法治国でありますから、現在法律がございます以上は、その法律を適用していくほかには方法がないと思います。しかし、答申の趣旨というものはおおよそわかっておりますから、その趣旨にどうしても沿い切れないものは、あるいはそういう処置もあり得るかもしれません。しかし、そうでないものは、やはり法が改正されて、そうしてこれが公布されて実行されるまでは、いまの法律でやってまいりますということで、ひとつ御了承いただきたい、かように思います。
  74. 白井勇

    白井勇君 大臣がおっしゃるとおり、電波を国民のものにするという考えでやられるわけですから、やはりこれは相当将来のことを考えて、今度再免許もいまのお話のように処置をしなければならぬと思うわけです。したがいまして、私たちは相当短期なもの、一年ぐらいなもので一応やっておいて、次は次という、放送法の改正に伴いまして長い期間のものが処置をなされるべきじゃなかろうかというような気がしているわけです。  もう一つ。そうしますとあれでありますか、そういうものが延びた結果、それに関連をするような行政措置というようなものも、これはやはりある程度手控えなければならないというようなものも出るわけですね。
  75. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 法律を待たなくてあの答申の趣旨に沿うために行政的に考え直さなければならぬのもあると思います。そういう行政措置によって行なえるものは、これはもう生かしていいと思いますから、これは生かしていきたいと思います。ただ、法的にどうしても改正しなければならないもの、こういうものは、やはり法律が公布されますまでは、いまのものでやっていく。いまの放送法も数回継続審議等にもなりまして、衆議院、参議院ともに衆知を集めてできた法律でございますので、時勢の変化によりましてこうもしたらどうだろう、ああもしたらどうだろう、NHKの性格はどうとか、あるいは教育放送はどうすべきか、あるいは経営委員会はどうすべきかとか、受信料はどうすべきかとかいうようなことにつきましても、時の変化によって考え方は違ったものが出ております。もし法律を出しましても、かりに改正案が出ましても、一国会で通るか通らないかもわからないわけでございます。努力はいたしますが、あるいは継続審議にならぬとも限りません。そうしますと、すべての行政事務は、その法が動くまでは——新しい法ではないから、改正ですから——それが動くまでは、行政のほうは渋滞している、高見をしているというわけにはまいりませんので、やはりこれは法律に基づきまして進行をよどみなくしていかなければならないと思いますが、しかし、いずれにしても、やはりただいま申し上げましたように、行政措置で答申の趣旨を組み入れるべきものはできるだけ組み入れて善処していきたい、かように考えておる次第でございます。
  76. 白井勇

    白井勇君 よくわかりました。  次に、私は電電の監督の立場にありまする郵政省にひとつ伺ってみたいと思います。私、前から思っておるのですが、五カ年計画なり三カ年計画なんというものを立てますと、現状よりも三年後なり五年後というものは、必ず電話でありますれば充足率は三のものが四になり、五になる、これはあたりまえだと思います。ところが、電電さんだけはこれは必ずしもそうなっていない。どこに一体そういう誤りがあるのかということを私いつも不思議に思うのです。その将来の予想というのは非常にむずかしいわけでありましようけれども、経済の成長率でありまするとか、何とかかんとか一般の産業経済の動きというようなものを基礎にされまして電電さんがはじいておる、見通しというものを。しかし、電話というものはこれはランプが電気に変わったようなものでありまして、経済状態がどう動こうが、それはそれ自体としての特別の需要度というものがある。そこらあたりのどうも見通しというものが欠けておるからああいう結果になるんじゃなかろうかというふうに私は判断をしております。これにつきまして、監督の立場にある郵政省は、どう判断しておられますかということ。  それからもう一つ、こまかいことになりますけれども、これは他方にも大いに電話を拡充してもらわなければならぬわけですけれども、たとえば東京なら東京にまだ十万円余りもしておりまするやみ値の電話がある。そういうところはなぜ一体早く解消できないのか。それを解消することによって、いわゆる一台当たりの単価というものが非常に安くなって収入に影響を来たすということになるのであれば、また考えなければならないけれども、そこらあたりのことを考えますと、まずやはり地元の主要都市というようなもののやみ値の解消をするような措置は、簡単にいきそうだと思いますが、ここらあたりは、監督の立場にあります郵政省は、どういうふうに判断されておりますか。
  77. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 電電公社にはりっぱな経営者がおり、しかも技術的にもすぐれた諸君がおられまするので、私どもは深くこれに信頼いたしておるわけでございます。しかし、いまのようなお話もごもっともでございます。がしかし、一面には、やはり地方でもむしろ東京よりか電話のやみの価格が高いところがいまございます。私ども驚いたのでございますが、私の鳥取県のごときは、米子でも一台の電話が二十万円もしておるというふうなことを先般も言っておるわけでございます。そういう、非常に工業、産業の発達している地域は、非常に不便を感じておりますから、もちろんそういうところを勘案して計画を立てられておるように思うわけでございまして、ただ、将来どうするのだという問題につきましては、私どもも内容をお聞きしまして、従来のような安易な考え方はもうこの際一擲されて、そうしていかなることに遭遇してもやり遂げられるような再建計画をお立てになるということが必要ではないかという私は感じを持っております。これは総裁も同一意見であって、先ほどから御答弁がございましたように、各方面からの諸君を委嘱して衆知を集めてそうしたものに対して取っ組んでおられる最中でございますから、そういうものを拝見しながら、私ども協力して非難のないように、御期待に沿うように努力したいと思います。
  78. 鈴木強

    鈴木強君 総理府総務長官に、最初に時間の関係がありますからお伺いをいたしますが、実は予算   〔主査退席、副主査着席〕 委員会のほうで準備をしたんですができなかったのですが、実はことしの政府予算の中に、総理府関係で広報宣伝費、これは幾ら計上されておりますか。
  79. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 昭和四十年度予算でございますが、それは総額が六億五千七百五十一万一千円でございます。
  80. 鈴木強

    鈴木強君 この六億の予算を使ってどういうふうな宣伝活動をされますか、大綱だけ……。
  81. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) これは広報室関係経費全部でございまして、一般事務費がそのうち千六百八十六万三千円、それから放送諸費が三億一千五百九十六万八千円、それから出版関係の諸費、これが一億八千三百九十六万一千円、それから事業諸費、まあこの内容は、映画とかスライドとか、それから地方委託の費用でございます。これが八千五百六十八万円、それから公聴会の諸費、これが七百五十五万五千円、そのほか世論調査の費用が四千七百四十八万四千円、まあ大別いたしまして、大体以上のようでございます。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 所要経費内訳はわかりましたが、広報活動の重点的な施策といいますかね、施策というものの重点的なものを一つ、二つ……。わかりますか。
  83. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) この広報室の活動は、もうすでに御承知のように、政府施策のありのままを国民に伝えまして、その理解を深めるということでございまして、それからこの広報室におきましては、各省庁が政令の定めるところに従いまして、いろいろ広報をいたしますが、その施策の事務的な総合調整とともに、さらにこの資料に、予算に出ておりまするように、政府施策に対する国民の率直な声を聞くために世論調査をいたす、こういうようなのが、おもな実施する目標になっております。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 そのうち放送関係が三億数千万円で、一番額にして多いと思うのです。この放送関係については、大体どういうのを利用なさるか大体テレビその他ございましたらお知らせいただきたいと思います。
  85. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) これは四十年度の計画も、ほぼ三十九年と同様にいたすわけでありますが、電波関係では、中波において、たとえば「日本の動き」というようなことで三十八局に流す、これは全国ネットであります。週一回三十分間。それから短波におきましては、「暮らしのマイク」ということで週三回、うち一回は自主的十五分間、こういうことであります。それからテレビにおきましては、現在やっておりますように「九千万人の広場」これは公共放送系列十九局、週一回十五分、またもう一つは、テレビ「世界を見てやろう」とか、またそれにかわるような日本テレビ系列十八局週一回十五分、こういうことでございますが、そのほかの臨時番組に、中波の三十五局三十分間一回とか、テレビ三十一局三十分間四回とか、大別いたしまして、大体そんなような方向で予定をいたしております。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 臨時のテレビの三十一局は、それはどこでやらせるのですか。
  87. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) この内容は、これは室長のほうでひとつ……。内容を、臨時の番組ですね。
  88. 三井芳文

    説明員(三井芳文君) これはフジテレビ系列を使ってやります。大体年に四回ないし五回程度のものであります。
  89. 鈴木強

    鈴木強君 長官、この放送関係の広報活動は、非常にこれはむずかしいと思うのです。政府の押しつけになってもいけませんし、公正中立の立場に立って、政党を離れて、ただ政府施策を国民に知らしてやるということですから、私はそのこと自体はけっこうなことだと思いますが、しかし、やり方によりますと、いろんな批判が出てくると思います。ですから、その内容等、番組編集その他については、もちろん民間放送を御利用になる場合のことですから、それぞれのスポンサーもつくでしょうし、番組審議会等の意見も聞いてきめると思いますが、私は、やはり厳正公平な立場に立って、この放送は、テレビといわずラジオといわず、ぜひやっていただきたい。とかくあれを見ました方々からも、政府のどうも押しつけのようなかっこうの宣伝になっているのではないか、もう少し変わった意見も入れたらどうかという声も聞きますものですから、長官として、今日までテレビ・ラジオを御使用になって、特にそういったふうなことをお聞きになったことがあるかどうか、もし聞いたとすれば、それに対しては今後どういうふうにしていこうとされるか、その点をお伺いいたしたい。
  90. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) これはまことにごもっともな御意見でございまして、当初申し上げましたように、政府施策についても、ありのままをできるだけ率直にお伝えする、それから国民の声にしましても、できるだけ広く遠慮のない御意見を、これは世論調査と思いますが、聞くと、したがいまして、実際実施いたしまして、テレビ・ラジオ等につきましても、それに対する国民の御批判でございますね、これなども十分やはり知る必要がございますので、そこで、モニター等を委嘱いたしまして、そしてできるだけ詳細にそれに対する一般国民の御批判を伺って、そして将来なお反省すべきものは反省し、改良すべきものは改良して、それで十分当初申し上げたような使命を果たすようにと、こういうことに努力をいたしておるわけでございます。
  91. 鈴木強

    鈴木強君 それから、日本には民放がたくさんございますね、この放送をやる場合に、東京テレビとか、あるいはフジ系のテレビとか、日本テレビとか、いろいろあると思いますが、おしなべて各民間放送に大体おやりになるような考え方か、それとも純教育放送の十二チャンネル、それから十チャンネルもあるのですから、そういうふうなところを科学的な話をするときにはお使いになるとか、教育的な活動の場合にはお使いになるとか、そういう多少の配慮はしているのですか、各テレビ会社を使う場合の方針ですね。
  92. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) これにつきましても、いま申し上げましたように、できるだけ広く政府施策の方針がわかるようにするのが本旨でございますので、なるべく広くということで……。でございますから、局なども、従来は、ことしやったところは今度ほかに変えるという場合もありますけれども、なるべく併用して、回数を減らしてでもなるべくできるだけ平均して、公平にといいますか、もちろん人口の稠密度合いというものもありますが、ただ機械的に平らにならすというわけにいきませんし、いろいろそういう点も考慮しなければなりませんけれども、公平にひとつ扱うと、こういうたてまえでやっております。
  93. 鈴木強

    鈴木強君 それから放送関係三億の中に、テレビ・ラジオのほかに、何か電気設備を利用してやられているものはございませんか。
  94. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) これに対しましては、いま申し上げたように、放送のモニターとか、それから有線放送でございますね、有線放送等も農村方面に広まってまいっておりますから、これを委託いたしまして放送する、こういうふうなことも、なるべく広い機関を利用するように努力しております。
  95. 鈴木強

    鈴木強君 実は、私はそこに一つの問題があると思うのです。御承知のとおり有線放送は全国二百五十万近くになっておりまして、特に最近になりましてから、有線放送が、放送よりもむしろ電話に活用されておる。政府のほうでもその間の電話の通話についてはこれを認めて、これにも書いております。ところが、そういうたてまえが立てられておるわけですから、放送と電話をどういうふうに使っていくかということは、これは非常に問題になっておるわけですね。特に有線放送オンリーのところは、これはいいですよ。しかし電話ができる場合、これは有線放送電話に関する法律によって規制があります。それとの関係は、長官御存じでございますか。
  96. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 正直申し上げまして、私もその方面にはそう詳しくございませんで、ただ、政府としてやる場合には、フィルムシートと申しますか、放送のそういうものをつくりまして、それによって各方面にやるようになっています。もちろんその法律に違反したやり方はしていないと私は信じているわけでございます。
  97. 鈴木強

    鈴木強君 実は、まだ私も全国的に全部の調査は終わっておらないのですが、私が調べてみました中にも、かなりございます。これは有線放送法の第四条によって、営利を目的とすることじゃいけない、こうなっておるわけです。ですから政府がそういう施策をされる場合に、有線放送電話法の第四条というもののあることを承知の上で、これに抵触しないようにおやりになるというのがこれは筋だと思うのです。これは長官もそういうこまかいところまでおわかりにならないだろうと思うのですが、そういう問題があると思うのです。たとえば、私がある有線放送電話地区に電話したときに、たまたま政府の広報放送をやっておった。これは電電公社は関知できませんから、先方の裁量にまかすわけです。これはいま放送中だからちょっと待ってくれと切られてもしかたない。せっかく接続した電話が効力がなくなる。そういうたてまえから「営利を目的として」というふうにして、規制しているわけです。聞いてみますと、これは赤字を埋めるためにやっているとか、いろいろ意見は出ております。それによりますと、明らかにこれは抵触すると私は思うのです。ですからこの有線放送電話については十分そういうことを配慮していただかないと、せっかく法律ができて、その法律を守る立場の政府が逆に抵触しあるいは疑義を持たれるのでありまして、この有線放送電話を活用するということは、十分注意してもらいたいと思う。私はこれをもう少し実態をみずからも調べてみたいと思っておりますが、そういう点をあなたよくお知りでないようですが、よく御了解の上でしていただきたい。他にも、まだ農林省とか自治省あたりでやっておられるところもあります。自衛隊のやっておられる隊員集めの放送はソノシートを配ってやらしてもらっているというようなことですから、これは営利目的と判断できるかどうかこれはちょっと疑問があると思いますが、そうでなくて、政府からのある金が直接有線放送電話の業者に行っているとは思いませんが、中間にそういう介在するものが最近はできまして、そこを通しておやりになっておる。そうすると、明らかにこれは商行為である。営利を目的とした法人なり会社というものがスポンサーである政府との中間に立ってお世話をしているということでしょう。そして一千万円なり何千万円なりの金を政府が払って、そこで放送してもらっているということが実態であると思いますから、そこは私は四条にかなり抵触すると思います。場合によっては違反の点もあると思う。営利の目的であるかどうかという解釈は十分御注意をいただきたいと思います。いかがですか。
  98. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) その点につきましてはごもっともでございます。私のほうもひとつ十分その点を調査いたしまして、いまお話のように、いかに政府施策のための広報とはいいながら、これが長時間電話をふさいで、他に緊急の用に使うための者に迷惑がかかるようなことがあってはなりませんので、そういう点なども、やり方なども、そういう方法で法に適してやっているかどうか、おそらく差しつかえないようにやっていると思いますけれども、なお一度よく十分調べまして、そういう点の違反等のないようにいたしたいと思います。
  99. 三井芳文

    説明員(三井芳文君) 有線放送は製作の委託費だけを出しておりまして、それ以外は金は出ていない。ソノシートの製作費だけを製作会社に出しているだけで、有線放送をのせるときの金は一銭も出していない。
  100. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、自治省とか農林省のほうは別として、総理府でやっているものは、自衛隊を集めるための宣伝活動だけですか。
  101. 三井芳文

    説明員(三井芳文君) 私どものほうはそういうことはやっておりません、自衛隊は。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 そうでしょう。ですから自衛隊はソノシートだけでしょう。しかし、総理府の場合は、製作費だけ払ってあるのだが、その製作費というものは、いうなれば有線放送電話を使う業者に——団体ですね、農業委員会とか農業協同組合ですね、そういうところでやっているわけですね——そういうところにストレートに払わないで、中間的な何か業界を通してやっているのじゃないですか。
  103. 三井芳文

    説明員(三井芳文君) ソノシートの製作だけ専門の団体とかに、そこへ金を出して、あとは、でき上がったものを施設の御希望のところへ無償で配付するわけです。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 これはもう少し実態を調べてみてください、実態を。私のほうでももう少し調べてみますから。ただここで、特に政府の立場でおやりになることですから、一方では郵政省がありますから、郵政大臣に、ひとつどうだ、関係法律もあるけれども抵触するだろうかということぐらい相談になっておやりになったほうが私はいいと思います。そうしませんと、おたくのほうでは知らないで、便利なものであるから使えばけっこうだということでお使いになっておると思いますが、やっぱり専門は専門のそれぞれ立場がありますから、そういう点を十分御連絡の上でやっていただきたいと、こう思うのです。お願いいたします。いいですね。
  105. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) なおひとつよく調べて、違反等のないように気をつけるようにいたしたいと思います。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 官房長官たいへん忙しいようですが、実はこれは政府のほうにどういうふうに御連絡があったか、あなたのお考え方をお聞きしたいのですが、実は新聞を見ますと、三公社の職員の兼職禁止の問題が今度の国会に出てくるような記事を見るのでございますが、もう二十日ぐらい前ですか、一度そういう記事がございまして、党からも正式に総理大臣に理由をあげて兼職禁止をすることは不当であるから中止するよう申し入れてあるのですが、官房長官ごらんになっていただいたと思いますが、それで、二、三日前また新聞を見ますと今度の国会に出てくる、これは議員立法になるのか政府提案になるのかわかりませんが、いずれにしても出てくるという話を聞くわけですけれども、それはどうなんですか。
  107. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) ただいまの御質問ですが、簡単に申し上げれば、政府としては現在のところ考えておらない。ただいまおっしゃったように、新聞等では、私も党のほうでそういうことの案を進めておるやに承知しておりますが、正式にといいますか、党のほうからその提案方の愈愈は別に何らの申し入れもないのです。そのあるなしにかかわらず、政府としては、現在のところ、さような意味でのいわゆる法律改正をやる考えは時っておらない。ただ、この機会にそういう議論が起きましたのも、私、実は鈴木さんも御承知ですが、当時特に電電公社関係の法案をつくるときの委員長でありましたから、その法案の内容については、御承知のように市町村議員というところに限定しております。ただし特別を除く。これは実は当時いろいろ意見がありまして、はたして業務上の運営に影響を与えるであろうかどうか、これは当時いろいろな質疑が行なわれたわけであります。もちろん当時の当局からは、業務上の支障は当時ないというような考え方で、できるだけ国民の主たる権利である被選挙権というものは認めてやろう、認めようということからして、かような立法になったのでありますけれども、私、もちろん党側がどういうような考えを持っているか承知いたしませんが、これの運営については、そういうようなせっかくの法律の趣旨にいたしましても、いわゆる業務上の影響はないという前提に立ってのああいう規定でありますからして、これはいわゆる郵政省当局あるいは電電公社当局、この関係で申しますれば、そういうような運営上に差しつかえないような措置は、お互いに話し合いで進めていってもらえば、そのような心配は出てこないのじゃなかろうか。そういう点を考えますと、私個人の考えからいえば、国民の権利である被選挙権というものは、できだけ制限はしたくない。しかし実際上の問題として、これが両立しないような問題が起きれば別でしょうけれども、いま私自身としても、また政府当局にいたしましても、おそらく郵政大臣からもそういうような答弁があったと思いますが、目下この問題については考えてはおらない、かように御了承願いたいと思います。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 官房長官は、この法案審査のとき委員長をされまして、よく御存じだと思いますから、たいへん適切な御答弁をいただきました。私も当時の審議を拝聴いたしておりましたので、全くそのとおりだと思うのでありますが、最近自由民主党の中に、たとえば給料を二重取りしているとか、いろいろなためにする意見が出ているようですが、調べてみると、八十一日間休暇がございまして、週休とか年休とか祝祭日とか、そういうものを入れまして、あと議員が活動する場合には議員休暇というものを取りまして、その日は賃金カットされているわけです。しかし、これは本会議とか何かそういう場合のことであって、大体給料を二重取りしているということは私はたいへん認識の相違だと思うのです。ですから、そういう点も私どもよく調べてみまして、その上で、それは党から政府のほうに申し入れもあるわけでありますので、議員立法で出てくるかこないか、これは議員の自由な発議権ですから、そこまで長官の立場ではできないと思いますから、党の中において認識の不足している点につきましては、当時の関係者として長官等もそういう点はひとつ誤解のないようにしていただく。どうしてもやらなければならぬという正当な事由があるならば、これはまた論議することになると思うのですけれども、そうでなくて、新聞等で見ますと、どうもわざわざ業務に支障があると言ったり、あるいは給料の二兎取りをしているというようなことを書いているようですから、どうかひとつそういう点を御配慮いただいて、そういうことのないように今後ともよろしくお願いしたいと思います。  それから大蔵省の主計官は見えておりますか。——郵政のことしの予算は、拝見しますと五十六億の出超になっておりますね。この持ち越し資金というのはどういう性格のものでございますか、特別会計のほう。
  109. 嶋崎均

    説明員(嶋崎均君) 郵政事業特別会計法の第三十二条に「支払元」ということで規定がございまして、「この会計における毎会計年度の歳出金及び前年度から持ち越した未払金の支払額は、前年度からの現金の持越額のうち歳出の財源に充てることができる金額及び当該年度歳入の収納済額の合計額を超過してはならない。」こういう規定があるのであります。普通、一般会計の場合は、財政法の四十一条の規定によりまして、剰余金がありますと、翌年度繰り入れるという規定になっておりますが、同じく財政法の四十五条で、特別の定めを特別会計においてはすることができる、こういう規定になっているわけでございます。それに関連しまして特別会計では、各会計——現業の会計ですね、特別会計においては同じような規定があるのでございます。その規定によりまして、予算書の付属の明細書の中にも書いておきましたように、たまたま郵政の場合には、五十六億三千八百万なにがしかの歳出超過になる。しかし、それは前年度からの持ち越しの資金、まあ剰余金でございますが、それがたまたま五十六億四千万程度ありますので、それをもって充当をします。その根拠は、郵政事業特別会計法の三十二条の規定から、これは一般的にそういう——それから過去におきましてもそういう前例がありまして——同じような扱いをやっているような次第でございます。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 持ち越し資金の性格はわかりましたが、簡単にいうと、特別会計ですから、収入をもって支出をまなかう。赤字ができても一般会計からの繰り入ればできないわけです。そういうたてまえ上、剰余金が出た場合にこれを翌年度に繰り越す。電電公社関係予算と同じようなシステムだと思います。それはよくわかります。ただ私は、持ち越し資金としてそれが何年も何年も別に積み立てられておって、一朝有事のときにそれを出して使うというようなことが、予算のなにとからんでやるということについては、ちょっと私は疑義を感ずるのです。ですから、繰り越し金なら繰り越し金としてちゃんとすればいいので、それを前年度のやつから持ち越して会計へ入れておけばいいのです。それをあえて積み立てて、数十億の金がそういうかっこうで留保されているということですね。ですから、われわれは一番心配するのは、一体こういう変則的な予算編成に対して、持ち越し金というものを活用するためにやっていることはわかりますけれども、しかし収支のバランスからいったら、そういう変則予算は私は組むべきじゃない、こう思います。その点、大蔵省はどう考えているのですか。
  111. 嶋崎均

    説明員(嶋崎均君) 本年度郵政事業特別会計予算編成にあたりまして、いろいろ歳入の伸び方ももちろん最近の郵便物等の伸びに対応して想定されます。しかし、それと同様にまた支出の面でも、必要なものは必要としてそれを見なければならぬということで計算をしてみますと、相当苦しい予算になりそうだということはわかっているわけであります。そこで、考え方としましては、そういう単年度で見て赤字が生ずるというような場合においては、何らか経費面において合理化の努力を行なうとか、あるいは歳入面でより確実な財源が確保されるように、値上げ等のことも考えるべきであろうというふうに思われるわけでございます。特に郵政事業特別会計の場合においては、御承知のように八〇%が人件費でございますので、合理化の余地というようなものは非常に窮屈である。そこで、どうしても値上げの問題というものを考えるべきではないかというようなことは、われわれの部内においても議論があったわけでございます。しかしながら、御存じのように最近の経済環境は、ことに公共料金の値上げというようなことが諸物価に及ぼす影響というようなことも慎重に考えなければならぬというようなことで、かたがた、これは隠し持っているわけではありませんで、会計のやり方としましては、「支払元」という規定もあるわけでございますから、その辺のところを活用するならば、何とかことしはしのげるのではないか。かたがた、すでに先ほども質問にありましたように、郵便事業近代化ということについての答申がありまして、それに基づいて郵便体系全体の調整、合理化というようなことも考えられておるわけでございます。それらとの関連も考えあわせまして、この際は、単年度としてはまことに苦しいが、過去の支払い元の剰余金もほとんどすべてこれに充当するという形において予算を組むのが最も妥当なあり方ではなかろうか、こういうことで形式的には赤字になっておりますけれども、まあ非常にへ理屈を言うようでございますが、借り入れ金も歳入になり得るわけでございまして、そういうようなことで形を合わすよりも、会計自体として特別会計でございますので、できる限り会計の中で赤字を処理するほうが妥当であるという判断のもとにおいてこういう処理をいたしたわけでございます。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 どうも主計官の言うことは私にはよくわかりませんね。やはり予算編成の基本的なあり方というものは、特にことし何かの会議があって、五十六億というものが臨時的に出ていく、来年はそれは消えていくから総体として収支のバランスがとれると言うんならいいんですが、聞いてみますと非常に含みがある合理化を一面にやりながら、料金の値上げもできないというので、ことしは五十六億のちょうど金があったからつじつまを合わせた、ところが、来年、再来年度と行政水準を落として、そして郵便サービスを落とすと言うんなら別だが、やはり近代化の方向にいくということになると、資金も要るでしょうから、合理化すると言ったって金のかかることですから、そうなりますと、ことし以上に歳出はふえてくるということになりますと、来年こそ大事なんですからね。だがことしは金がたまたまあったから、補てんをしてつじつまが合ったんでしょうけれども、来年以降どうするかということなんです。われわれ予算を拝見をしたときに一番疑問に思うのですよ。ですから何か聞くところによると、郵便料金の値上げは郵政省と大蔵省の間で、来年から上げるということは大体約束がしてあるということまで流布されているわけだ。ですからそうしなきゃ合わぬのでから、これは、たてまえとして。この予算を組むのは私は違法ではないかもしらぬけれども、あんた、大蔵省の良識から見たらちょっとおかしいと思わぬですかね。これは苦しまぎれにやったということだと私は思うのですよ。会計法上、財政法上許されておるからこれで文句はないんだという、そういう開き直り方はせぬと思うのだが、それは理屈であって、来年度以降一体どうして郵政の収支を合わしていくかということ、これはたいへんだと思います。ですからそういう点についての私はあなたに政策的なことまで聞いてもこれは無理ですから、それはまあきょうは答弁を求めませんけれども、やはりわれわれはこういう予算をつくったことについては非常に問題がある。一体来年以降はどうするんだろう、いま言ったような合理化だけで、郵便料金値上げというようなことはどう思っておるんだ、残りが五十六億あるんですから、あればいいんだけれども、そうもないでしょう。ほとんど使い果たしているんだから、来年はそういう手持ちの金もないということになると、手品したって手品はできませんよ。ですからやはりおかしいでしょう。こういう予算の編成というのは、ほんとうならば足らなければ郵便料金を上げるんなら上げて、収支をまかなっていくというのが筋じゃないですか。そしてその持ち越し資金というものについても私はもう少し考えてもらいたいと思うのですよ。たとえばあした払わなきゃならぬ資金も準備しなきゃならぬと思う。だからそういういろんな操作資金というものは必要ですから、ですからある年度——二年度たったら二年後にはいまの持ち越し資金は繰り越し資金にして入れていく、そういうようなやはりたてまえをとっておかぬと、何か国民はそういう制度があっても、毎年何か知らぬが、五十六億円郵便省は持ち金があったんだというようなやはり変な気持ちを持ちますね。あまり得なことじゃないですよね。もっと堂々と、そういう措置を二年なり三年おやりになったらどうですかね。そういう意味においての私は制度の改正もあわせて考えていただきたいと思いますが、その点どうです。
  113. 嶋崎均

    説明員(嶋崎均君) 御意見ごもっともな点が非常に多いと思うわけでございます。ただ本年度の問題としましては、いろいろ含みのあるような形というのは、ともかく単年度における限りにおいて収支相償わないそういう予算になったという現実があるわけでございまして、これを将来引き伸ばして、一体どういう形になるのかということにつきましては、郵便事業の特殊性から申しまして、経費の節減につとめるといってもそれには限界があるわけでございますので、その形がどういうことになるか、さらにまた、郵便事業も三十四年度ぐらいのところから非常に何というか変化してきて、それがいいか悪いかの論議は別にしまして、非常に親書以外の郵便物の伸びというものは意外に大きかったわけでございます。そういうものにささえられてともかくきているわけであります。しかし、これがいつまでもこのような形でないということをある意味ではことしの予算は示しているだろうと思うのであります。ただ非常に大事なことは、いささか政策論にわたって恐縮でございますけれども、こういう物価情勢が非常に微妙なときに、一年でもしんぼうをするということが非常に大事なことだということで、まあ制度的にも認められることでありますし、また、郵便料金はできるけだ低く国民にサービスをするという法の規定もありますので、そういう点も加味しまして、ことしのところごらんのような予算になったわけでございます。なお、立法論としまして、こういう支払い元という制度、私はこれは法律に書いてありますからわかるはずだと思っておりますけれども、たまたま予算上正式に剰余金として受け入れてないということがどうであろうかというような点につきましては、これは特別会計法を通ずる問題でございますので、御意見のような考え方も十分私理解できるところでございます。そういう意味合いで、内部でも御指摘のような線に沿って、また、実はこういう支払い元の制度ができたのには会計のやり方が一般会計と違って現金の会計でございますので、いわゆる企業会計の原則にのっとって経理するということ等とのからみもございますので、それを立ちどころにそういうことに受け入れられるのが法律的にあるいは法制的にいいのかどうかというような議論も含めまして、ひとつ議論をして検討に値する御意見であるというふうには考えております。御了承願いたいと思います。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと私誤解があるといけませんから——郵便料金を上げてバランスをとれといったこと、私は賛成するというんじゃないんです。純予算技術の問題として申し上げたわけですから、われわれは郵便料金の値上げには反対なんだから、これは私誤解があると困るので申し上げておきます。ただあなたのほうで技術的に考えた場合そういうこともやむを得ぬでしょうが、これは私ひとつ明らかにしておきたいと思います。  それから、郵務局長にお伺いしますが、毎年特殊郵便切手を発行されておるのですが、ことしは大体何種類ぐらい四十年度中に御発行になるお見込みか、それをひとつ伺いたい。
  115. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 四十年度につきまして、大体国家的な行事等を記念する記念切手を十一件、十二種、それから国立公園、国定公園等四件、六種、それからシリーズもの五件、五種、それから恒例的に出しております切手趣味週間とか国際文通週間等のものを三件、三種、合わせまして二十三件、二十六種を予定しております。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 この切手は非常に各方面から希望が多いわけですよね。私たち見ておりますと、子供たちが朝早うから郵便局の前に行列をして待ちかまえて買っている。ところが、学校に行くんだけれども、そわそわしながらも売り切れて帰る姿なんかたまに見ることがあるんですけれども、もう少しこう種類も多くしたりそれから枚数なんかも多くして、そうして国民の期待にこたえるようなことはやっていただけませんでしょうか。
  117. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 仰せのようなこともございましたので、年々特殊切手の発行枚数をふやしてきておりまして、昨年秋のオリンピック切手などにつきましては、もう年末を過ぎましても、まだたとえば東京中央郵便局などには残っているというような状態でございます。最近は切手の発行枚数が少ないというような苦情は非常に少なくなっているように私どもは承知しております。なお、今後とも御趣旨のような点はよく注意してまいりたいと思います。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 余るようなやつは、あまりいいのじゃないのです。そこは郵政省がもう少し紙の質とか、デザインとか、みんなが少し高くても買うようなものをつくってくれなければ。だから売れないことが自慢でなくて、私はやはりみんないいやつは売り切れちゃう、買えない。われわれもほしくないようなやつは、たまに行っても買えるというようなことですから、その点はひとつもう少し特殊切手の発行について、各方面の御意見も聞いて、日本の特殊切手は世界一だというようなものをつくってください。私もちょっと昨年外国を回ってきましたけれども、やはりなかなか力を入れてやっていますよ。型の大きいばりっとしたやつです。だから日本もそういうところまでいけるように研究してみてくれませんか。どうですか。
  119. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 先ほど申し上げましたオリンピック切手につきましては、その行事の性格等からいたしまして、ほしい人の手に渡らないようなことがあっては申しわけないという趣旨から、特に多く発行した点などもありまして、先ほど申し上げましたようなことになったわけでございますが、特殊切手の発行あるいは普通切手の意匠や品質等につきましても、今後とも仰せの御趣旨に沿って努力してまいりたいと思います。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 それから大臣、十二チャンネルの経営は非常に私ども聞いていますと、赤字経営でもってたいへんだということを伺うのですけれども、内容を大臣御存じでございますか。
  121. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 承知いたしております。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 ここで私は幾ら赤字があるとかいうことをお聞きするのはたいへん影響があると思いますから、それは差し控えますが、先般も大臣が倉田会長をお呼びになったのかどうか、これは知りませんけれども、何かの御注意か何かをやったようにも伺っておりますが、実は十二チャンネルは出発当時から問題がございまして、現在も行政訴訟中の中央教育放送などもございますね。したがって、六月の再免許を控えて、一体郵政省が負けるのか勝つのか、これは裁判をしてみなければわかりませんが、科学技術財団として出発した十二チャンネルが、もしもいまのような経営状態であるならば、これはやはり見通しについての郵政省の責任も私は出てくると思うのです。認可をした立場になると。しかもそれが再免許の年を迎えているということですから、これについては私は適切な御処置をなさって、そうしてもし問題があるならば、経営の抜本的な健全化への努力をしなければいけない。大臣の決意だけを伺っておきたい。
  123. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 鈴木委員と同じ考えを持っておりまして、ただいま内応につきましても、検討を加え、さらに最高責任者にも決意を促しておるわけでございます。
  124. 鈴木強

    鈴木強君 で再建というか、経営の健全化というか、収支がペイするような自信と確信はあるのでございますか。持てますか。
  125. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) そういうものにつきまして、ただいま十二チャンネルのほうに資料の提供あるいは見通し、そういうものを、私どもが信頼し得るものができるかどうか、内審に立ち至っていま検討を加え、かつまた向こうからの資料等を求めておりますので、再免許につきましては誤算のないように、言いわけの立つような処置をとりたいと考えております。
  126. 鈴木強

    鈴木強君 私は詳細な資料を持っておりますからね。ですから私はたいへん心配しております。したがって、いま大臣の御決意のようなことで御処理いただくようにお願いしたいと思います。  それからこれは郵政省と電電公社にお尋ねしますが、労働組合側の賃金引き上げについて、先般たいへんな御努力をいただきました。幸いにして従来のようなゼロ回答などというものは影をひそめたのでありますが、しかし、五百円という金額が出ております。私はせんだって家内から聞きましたけれども、ネギのこのくらいのやつが一本五十円するということですね。そうすると五百円ではこのネギが十木しか買えない。ですからこの回答で郵政省も電電公社も決して私は満足しているとは思いません。したがって、団体交渉においていまの当事者能力の限られた制約の中で御苦心なさって出した額でありまして、当然団交が決裂をしていま調停の段階にいっておるわけです。まあすでに郵政省も一回済んだようですね。国鉄も調査は済んだようです。電電のほうはまだ聞いておりませんが、いずれにしても調停の段階で私はこれを解決しなければならぬと思います。きのうも労働大臣にその点については質問を申し上げました。労働大臣も五百円で決して満足なものと思っていない、しかしながら、組合が言っているような第二次回答をいま出すといってもそれは無理だ、したがって、私は調停委員会の中で解決できるように努力を今後もしたいのだと、こういう趣旨の御答弁がございました。ですからいま調停の進行する中で、公社、郵政当局ともそれぞれあの第三者機関の中で御意見を述べておられると思いますがね。やはりひとつ五百円では無理だとあなた方もそう思われると思いますから、ひとつ調停の進行の中でできるだけ労使間の意見も聞くわけでありますから、組合の意見に沿うようにひとつ決断をもって善処してもらいたいと、こう思いますけれども、その点いかがでございますかね。
  127. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 昨日でございましたか、予算委員会において鈴木委員質問に対する労働大臣の答弁、これは政府の全く統一した見解でございまして、私も同様の見解を持っておるわけでございます。したがって、できるだけ円満に調停その他の方法によりまして解決をすることを望んでいるわけでございます。今後ともそういう方向に努力したいと思っております。
  128. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 現在の段階では、先般回答した五百円で私どもが回答し得る限度と考えておりますが、なお、今後どういう妙案が出てまいりますか、それを見た上でないといいとも悪いとも言えませんから、静かにどういう回答が出るか待っておるわけでございます。
  129. 鈴木強

    鈴木強君 それはおかしいですよ。静かに待っておったんではいけないので、当然皆さんは公労委のほうに呼ばれますね、いまの意見もお出しになるでしょう。ですからやはりそれぞれの情勢も動いてまいるでしょうし、政府の統一した見解も大臣からお述べになっておるのですから、そういう方針に基づいて調停段階において円満に解決できるような陳述といいますか、意見というものは労委の中で述べるんじゃありませんか。ただ何もしないで、行ったら黙っておって、出てきたものがあったらそれを待つと、こういうことではないでしょう。
  130. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) もちろん調停段階でうまく話がまとまった場合、いい案ができれば非常にけっこうなことだと、私どもそれはそれで非常にけっこうだと思いますが、必ずこの五百円以上のものが出るかどうかということをいまここでどうこういうことはちょっと申し上げられないと思います。
  131. 鈴木強

    鈴木強君 それは私があなたに幾ら金を出すということを言えというのではないのです。要するに、調停の場を通じて皆さんも五百円で満足していないならばもう少し上げてやるべきだ、それは財政上その他の公社法にきめられた一つの基準もあるわけですから、そういう点を勘案して、そういうものの立場で当局は公労委に臨むわけでしょう、そういう努力をしなければいかぬでしょう。全然努力をしないということですか、そうじゃないでしょう。
  132. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 努力をしないとは申しませんが、とにかく団交というものになっておるわけでございますが……。
  133. 鈴木強

    鈴木強君 団交じゃないのです。
  134. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 団交ではございませんが、それだから今度は調停委員が加わっていろいろ意見の交換をして、そしてお互いにのみ得る状態のものがあれば非常にけっこうだ、こういうふうに考えております。
  135. 鈴木強

    鈴木強君 じゃこういうふうにお聞きしましよう。どうもわからないのだが、わからないのか、意識的にわからない答弁をしているのかもしれませんが、あなたは、団交が決裂して公労委に移った。公労委から電電公社に来てください、皆さんの意見はいかがです。こう言われたときに、黙っているのですか。何か言うのですか。どうかですか。
  136. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 従来から申し上げておるような、おそらく五百円を出したときの理由なり、現在の状態はこうだということの返事をするだろう、また、意見も述べるだろうと思います。
  137. 鈴木強

    鈴木強君 その最後の意見を述べるというところが問題だ。これは郵政省の曾山人事局長が三月十一日の午後の第一回調停委員会の際に、四月に入って民間賃金の動きが出ればさらに検討する、こういう意見を述べておられるようですね。昨日か、一昨日、国鉄の当局も、四月になって民間賃金が確定するような段階も来るだろうし、そういう動きもあるから、それらの点を考慮してやりたいのだ、こういう趣旨のものが出ておる。これはけさの朝刊か、きのうの夕刊で私拝見したのです。ですから、そういう考え方については、これは概念なんです。これは否定しない。それをやらないということでは、それは総裁の資格がないと思います。どうですか。
  138. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) それは申すまでもなく、御承知の公社法の三十条の第二項で、公務員の給料または民間の給料、その他の事情を勘案してきめる、こうなっておりますから、むろんこれからの民間の動きというものは相当に重大なファクターだろうと思います。今後の適当な給料をきめる重要なファクターである。これは間違いないと思います。
  139. 鈴木強

    鈴木強君 それでいいのです。それ以上私はあなたに伺おうとは思ってない。だから公社法に賃金のきめ方について一つの基準がある。その基準に基づいておやりになるのでしょうねと言ったところが、どうも返事をしない。黙っているのですから……。よくわかりました。ひとつぜひ当事君能力がない中で、ああいうかっこうになったことは残念ですから、当事者能力をつくることは、これは法制にも関係がありますから、われわれも努力しておりますから、ひとつぜひ円満に調停委員会で解決できるように特段の御配慮を願いたい、こういうふうに思います。  私はきょうは時間がないので、次にまた運輸省のほうに審査が移るそうです。したがって、次のあれもありますから、電電公社のほうにも幾つか伺いたいと思いますが、別の機会にいたします。  ただ一つだけ大蔵もいらっしゃいますから伺っておきたいのですが、例の三十九年度電電公社予算の中で、われわれが認めました二千万ドルの外債の発行について、例の利子平衡税等が出ました関係で非常に難航しておりますが、幸いにして電電公社の場合は、ごく最近何か向こうのほうで引き受けてもらえるような見通しがあったというお話を伺ったのですけれども、現在の段階、どういうところまで進んでおりますか。
  140. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) ことしの二月でありますか、大統領教書におきまして、従来と違って、一億ドルの範囲内においては利子平衡税を課さない、こういう教書が出ました。この教書が出た結果、従来はユーロダラーで、ヨーロッパで発行するというのが大体の傾向であったのでありますが、従来の関係もあり、また何ぶんアメリカで発行できれば一そうけっこうなので、アメリカで発行するようなことになりまして、すでに三月十一日にSECに登録をいたしまして、その結果を待って、その後の大統領教書に基づく大統領のさらに命令が吊るそうでありますが、その命令が出た暁に正式の約束をして発行する、こういうことになっております。その命令の出るのを静かに待っておるということであります。おそらく近いうちに出るだろうと思っております。
  141. 鈴木強

    鈴木強君 そういたしますと、一応登録は済んだが、大統領が最後のボタンを押さない、したがって、年度内の発行はもう不可能ですね、不可能といっていいか……。
  142. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) これは何ともちょっと申し上げられませんが、だいぶむずかしいのじゃないかと思います。それにいたしましても、おそらく四月上旬にはこれが発行できるのじゃないかと考えております。
  143. 鈴木強

    鈴木強君 大蔵省にちょっと伺いますが、そうしますと、皆さんが承認をし、国会で議決をした電電公社の三十九年度予算の中で、これは建設財源の問題でありますから非常に重大な問題なんですよ、電話建設に対する外部資金の一環としての外債でありますから、七十二億、調達がおくれていきますと、実際にその分だけの電話の建設計画というものはおくれていくわけです。したがって、私はそれを取り戻す場合にたいへんな苦労が四十年度にかかってくると思います。これは大蔵省の責任だといって大蔵省を追及しようということじゃないが、相手があるわけでありますから。考え方としてはそうなんです。したがって、公社のほうでは、いま四十年度の計画が国会に出されておりますが、持ち越される七十二億の計画は四十年度に加算されてくるわけです。建設資金的には。できるだけ早く七十二億については四十年度の段階でやらなければならぬと思います。おくれた分を取り返さなければならない。そうすると、一番困るのは建設資金です。金ですよ。これは大蔵省としては、電電公社から要求すれば、別途これに見合うだけの一時貸付金、公社から言えば借り入れ金ですね、これは公社法でできますが、そういう点は大蔵省として責任を持って資金的な配意をしてもらえるというふうに理解してよろしいのでございますか。
  144. 嶋崎均

    説明員(嶋崎均君) 御指摘のとおり、本年度一般会計予算総則の第九条別表2で、本年度予定しているところの外債がもし年度を越すということになれば、来年度はそれに加算をしてやっていくという方式になっておりますから、われわれとしてもできるだけ早目に外債の現金を受け取りたいという考えには間違いありません。たまたま国際金融市場の変化ということに遭遇いたしまして、なおまた電電公社の立場等も考えて、ユーロダラーによる発行よりも米国の市場での発行のほうが発行条件等が有利な面もありまして、そういう面で努力いたしまして、もうそう遠からず妥結するのじゃなかろうかというふうに私は聞いております。主計局のことでありませんので、こまかいそういう点についてはわかりません。なお、本年度の資金繰りはどうか、事業計画との関連はどうかという点につきましては、電電公社のほうにもよく資金繰りの状況を把握していただきまして、実際の建設支払い計画に支障を来たさないようにその状況を毎日々々克明に伺っているという状況でありまして、いままでのところその金が年度をまたがって少しおくれて入っても支払いには差しつかえないというような状況であるというふうに聞いているというようなわけでございます。なお、大蔵省といたしましても、その点についてぐあいが悪いというときには、それに対する準備をいたしているというふうに聞いております。
  145. 藤田進

    藤田進君 この際、郵政それから電電公社総裁、大蔵省関係に聞きますが、昨年の分科会で私問題にした駐留軍関係の、解釈の相違で、当時は六十ですか、これはどういうふうになりましたか、解決しましたか。
  146. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) いやまだ解決いたしておりません。
  147. 藤田進

    藤田進君 えらい自慢げにおっしゃるが、どうするのです。資金繰りだの何だの、去年も申し上げたように、国内の滞納等があればびしびしと電話をとめてまでおやりになる。外交ルートに乗せてやるか、その後累積してくるんじゃないでしょうか、いま金額は幾らになっていますか。電電公社ベースでいけば金利なんていうのは一体どういうふうになるのか。そんなルーズな経営でいいのですか。
  148. 千代健

    説明員(千代健君) ただいま六十五億円程度になっております。
  149. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) ただいまお答え申し上げたように年々ふえておるのであります。これははなはだ遺憾なことであります。決して私自慢げに申しているわけではございません。まことに遺憾に思います。ただ両方の解釈の相違でありまして、要するにこの解釈が異ったとき、話がつかなければ日米の合同の委員会でこれを解決するという申し合わせになって委員会にかけたのでありますが、その外交委員会でもやはり話がつかないで年々おくれてきているわけでございます。ちょっと私どもとして何とも手の施しようがないわけでありまして、まあどう解決していいか、むしろ外交交渉に移っておると申してもいいのではないかと思います。
  150. 藤田進

    藤田進君 郵政大臣どうします。
  151. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 私もその後こういう問題、話を聞いて不可思議に思っているわけなんですけれども、だんだん切り下げて聞いてみますというと、いま総裁がお話のように、外交関係に移りまして、そうしてもう今日は本国との話し合いでなければつかないような状態になっておるそうでありまして、私のほうも電電公社に協力して、外務省のほうにはすみやかに解決ができるように機会あるたびに話はしているそうでございますけれども、ただいまやはり向こうに交渉する主役が外務省に移っているために、まだ満足するような回答が得られないというような状態でありまして、こんな問題いつまでもほっておくなんていうことはほんとうにおかしと思うのですけれども、見解の相違で押したり押されたりということで、実はまだ解決がつかないということでありますが、いま申し上げたように、私どもまことにこんな問題をどうしてもだめだということで、もう私らのほうがアメリカ側の言うことが正しいということに感づけば切ってしまって別な方法を考えると、電電公社としても考えを出すわけでありますが、あるいはあくまでも正しいというようなことがあるならば、突いて突いてどこまで突けば解決するのですか、これは外務省だって相当やはり考えを持って接していると思いますから、さらに私ども外務省のほうに伺ってよく聞きまして、電電公社に御協力することにいたします。
  152. 藤田進

    藤田進君 日本人の場合にそういう解釈であれ何であれ、非常に倒産寸前でどうにもならぬとかいったところで電話をおとめになるのですね。このままずっと続けておやりになればだんだんその対立している金額はふえるわけです。私はアメリカだからソ連だから中国だからと、そんなことでなしに、日本人が場合によれば電話料金を上げなければならぬというようなことを聞くときに、あるいは外債だと言われているときに、そういう問題、わがほうの主張が正しいということは再三聞きました。古池郵政大臣のときも再三聞いた。だとするならば、その解決というものがなおざりになっていると言わなければならぬ。それをどうしてこんなにいつまでもルーズなやり方でおやりになるのか不可解千万です。これは場合によれば三十日からの総括質問で総理に追及しなければならぬと思います。何をやったって、合同会議の委員会にかけたとか、向こうと対立してどうにもならぬのだということでは、それはもう払わない分は結局ごね得ですな、これこそ。正しいのでしょう、総裁あなたのおっしゃるのが。解釈はどうなんです。
  153. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 私どもとしては、従来のように私どもの解釈は正しいと考えております。
  154. 藤田進

    藤田進君 これはどうしますか、これから。どうしようもないからほうっておくのですか。
  155. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 先ほども申し上げましたように、解釈の意見の合わないものは日米合同委員会で解決するという定めになっている。その定めに従って委員会のほうに上げたのでございます。その委員会でも解決がつかないで今日に至っている。何かほかに妙案があれば非常にけっこうなんですが、私どももそのことをいつも考えているのですが、なかなか妙案がなくて今日まで至っている。こういうことになっております。
  156. 藤田進

    藤田進君 とめたらどういうことになるのですか。日本人の場合とめますけれども、国内法ではいけないのですか。
  157. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) これは例の条約関係の経緯で実施されておりますので、日本の内国法の関係ではございません。
  158. 藤田進

    藤田進君 電話とか電気とか水道とか一応あることはわかるけれども、料金を払わない場合でもなおこれを継続して供給しなければならぬというような条項があったら見せてください。正規の料金を払わないで、その場合とめていい、あるいはとめちゃいかぬとか、そんなはずはないですよ。そんなものがありますか。それはほかにもありますよ、水道とか電気。けれども金を払わないのに供給しろと、そんなことはないですよ、行政協定には。そんなものがあるのなら見せてください。
  159. 千代健

    説明員(千代健君) この問題は終戦処理支弁と、安全保障処理支弁の責任にかかるものでございますが、これが例の地位協定第七条というのによって、私どもの主張は公益事業及び公共の役務とこの提供のための施設は当然使用料を支払うべきだという立場をとっております。米軍側はこれに反しまして地位協定の第二条に、施設及び区域の運営に必要な設備、備品、定着物に該当するという観点からこれはこの地位協定に無償と定まっておりますからその条項によって主張しているわけでございます。私どもと立場が、私どものほうは七条、米軍側は二条、この相反するような解釈になっておりますので、したがって、この問題は先ほど総裁からるる説明なさっておるように膠着状態で外交交渉でも話し合いがなかなか進まない。ただ投げっぱなしにしているわけではございませんで、何とか私どもの主張を向こうで了解してくれるように、もうすでに数十回にわたってこの会合をやっているわけですが、遺憾ながら今日までその決着を見ておりません。ただこういったものに対するいわゆる保守というような、保守費が要る。こういうものについての年々の特別に要る金はこちらがもらっております。
  160. 藤田進

    藤田進君 郵政大臣、どういう努力をしてこられたのか、いませんさくしようとはいまのとき思いませんが、椎名外相がアメリカにも行き、代々総理も行ってきたのに、総理がいきなり大統領に話さなくても、これだけの大きな問題になって、しかも将来めどのつかないような問題、これをほったらかしにしておくというのは、いまの内閣を疑いますよ。そこで郵政大臣どうしますか。これ納得いく答弁をいただければ私これでやめますが。
  161. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) 法律上、条約上の解釈の相違でございますから、私がこの電電公社の主張、これは政府でもそれを支持して正しいと今日まで思って折衝して努力しているわけでありまして、これには間違いないわけでありますが、押したり押されたりして今日になっておるわけでありますから、本日の御質問趣旨もございますから、ひとつ外務大臣にもよくもう一ぺん話してみまして、その後の経過、私も最近つまびらかにしておりませんからどういう折衝をしてどの程度まで進んでおりますか、先ほど申し上げましたようにもう全然とにかく幾らやったってだめであるのか、その点についても見通しをいま私どもよく聞きまして、政府としても腹をきめ、また、電電公社にも話し合いをしまして、承知しなければならぬような事態になるではないかというように考えますので、もうしばらくお待ちをいただきたいと思います。私どもでもせっかく努力しております。
  162. 藤田進

    藤田進君 一両日……。
  163. 瀬谷英行

    ○副主査瀬谷英行君) しばらくというのはいつまでですか。
  164. 徳安實藏

    国務大臣徳安實藏君) いま一両日というお話でございましたから、私のほうから話し合いをする機会を——きょうでも外務大臣に会いまして、そうして経過等を開きます。そうして外務省がどういう方針でおりますか、向こうにゆだねておるような形でありますから、私どもの見解をお話ししまして、そうして外務省の見解等を聞いた上で御返事をいたしたい。
  165. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 先ほどの私の答弁で数字が間違った点をちょっと訂正させていただきます。一万ドルの範囲内と申し上げましたが、一億ドルの間違いでございます。
  166. 瀬谷英行

    ○副主査瀬谷英行君) ほかに御発言ございませんか。郵政省所管に対する質疑は、本日はこの程度にいたし、二十九日の午後引き続き質疑を続行いたします。  午前の審査はこの程度にいたし、午後は一時四十分より再開し、運輸省所管について審査をいたします。  暫時休憩いたします。    午後一時十二分休憩      —————・—————    午後一時四十七分開会
  167. 田中啓一

    主査田中啓一君) ただいまから予算委員第三分科会を再開いたします。  委員異動がございましたので報告いたします。本日鈴木強君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。     —————————————
  168. 田中啓一

    主査田中啓一君) 昭和四十年度予算運輸省所管を議題といたします。政府から説明を求めます。松浦運輸大臣
  169. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 昭和四十年度運輸省関係予算について御説明申し上げます。まず一般会計の規模について申し上げますと、歳入予算総額は、十八億三千五百八十二万九千円、歳出予算総額は、他省所管計上分八十八億九千七百十五万七千円を含み一千十五億三千四万一千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、百四十億六千六十五万三千円の増加となっており、約一六%の増加率を示しております。  この増加額の内訳を見ますと、行政費では六十一億九千七百七十九万円、公共事業費では七十八億六千二百八十六万三千円の増加となっております。次に、特別会計について申し上げます。まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は、四億二千四百五十二万一千円で、前年度に比較して約七千万円の増加となっております。自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額を前年度予算額の約二倍に当たる六百二十八億五千百八十二万九千円といたしております。港湾整備特別会計歳入歳出予算額は、昭和四十年度を初年度とする新港湾整備五カ年計画に基づいて港湾の整備を推進するため、前年度より約七十八億円増額して五百五十億九千七百三十二万三千円といたしております。自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は十七億八千五百八十万二千円で、前年度に比較して約二億六千五百万円の増加となっております。なお、以上の経費のうちには一般会計特別会計を通じ、定員二百五十九名の純増に伴う経費が含まれております。  このほか、昭和四十年度財政投融資計画中には、当省関係分といたしまして、約三千三百七十三億円が予定されております。  次に、日本国有鉄道予算について申し上げますと、昭和四十年度予算の編成にあたりましては、まず、四十年度におけるわが国経済の見通し及び国鉄輸送需要の動向を考慮して、収入を見積もり、損益勘定において収入支出予算は六千九百三十一億円を計上し、資本勘定において収入支出予算三千五百六十七億円を、工事勘定において収入支出予算三千億円を計上いたしまして、新長期計画の実施の初年度として、大都市通勤輸送の改善及び重要幹線の輸送力増強並びに保安対策の増強等を推進してまいりたいと考えております。  運輸省関係予算の部門別の重要施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十年度運輸省予算の大綱及び昭和四十年度日本国有鉄道予算説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いを申し上げます。  なお、お手元に配付してあります予算説明につきましては、主査におかれまして会議録に掲載していただくよう御配慮をお願い申し上げたいと存じます。
  170. 田中啓一

    主査田中啓一君) ただいま運輸大臣の御発言のとおり、会議録に載せることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 田中啓一

    主査田中啓一君) さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  172. 加瀬完

    加瀬完君 運輸大臣に伺いますが、問題の新国際空港が霞ケ浦に内定したという報道がございますが、新空港の位置は霞ケ浦と内定をしたわけでございますか。
  173. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 新東京国際空港の位置に関しましては、一昨年、航空審議会の答申に基づきまして、霞ケ浦及び富里の二カ所が適当であるという答申を受けております。その後航空関係閣僚懇談会におきましても、他の要請もございますので、それぞれ現在は慎重に調査研究中でございます。
  174. 加瀬完

    加瀬完君 本日付の朝日新聞によりますと、「政府は、新東京国際空港を建設するため、今国会に新東京国際空港公団法を提出するとともに、建設敷地の決定を急いでいたが、佐藤首相ら政府首脳の間で、茨城県の霞ケ浦が適当であるとの方針が固まったので、来週早々にも新空港関係閣僚懇談会を開き、関係閣僚の意思統一をする。政府としては、同公団法案の国会成立後建設敷地を霞ケ浦とすることを正式に閣議決定し、本年中にも建設に着手したい考えである。」こう報道されておりますが、この報道は何ら根拠のないものでございますか。
  175. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 私もけさ起きまして、すぐ新聞に目を通しましたところが、朝日のトップにその記事がありまして、驚いた次第でございます。われわれの間では、かようなことを決定したことはございません。しかし、いろいろ研究はいたしております。けれども、いまお読みになりましたようなふうには、まだ決定をいたしておりません。
  176. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、政府のほうでただいま衆議院のほうに提案されております新東京国際空港公団法によりますと、東京都の周辺の地域と限定を、国際空港の位置についてしているわけでございますから、こういう限定によりますと、いずれにいたしましても霞ケ浦か富里附近か、このいずれかということに了解してよろしゅうございますか。
  177. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 先ほど申し上げましたように、審議会の申答はそうなっておりますが、そのほかに関係閣僚間におきましてもいろいろな御意見もございますので、これらもまじえまして検討いたしまして、閣内全体が一致するところにきめていきたい。同時に、東京周辺ということは、これはハワイから日本までやってくるのに二時間半ないしは二時間四十分で到着するというのでございますから、大体こういう飛行機を利用する人は、首都の東京におもに用事のある人が来る。そうすれば、飛行機からおりてから二時間もかかるところに飛行場を置いたのでは、それではとても問題になりませんので、利用者の便利、サービスのためにはなるたけ東京に近いところに置く。また、飛行場と東京との間には高速道路も新設いたしまして、この新航空機にふさわしい設備を備えることが国際空港として当然のことであると思います。そういう意味におきまして、それならば東京の西のほうはどうかということになれば、これは御存じのように、四つのアメリカの飛行場がございまして、全然これは向こうのほうには手が出ないのでございますから、やはり東北地方——東京の東か北の方面に置く以外にないのでございますから、おのずと限定されてくると思われるのでございます。
  178. 加瀬完

    加瀬完君 東京周辺というのは、大体五十キロ以内、時間にすれば一時間程度で車で通えるところという、以前からの御説明のとおりに承ってよろしいわけですね。そういうことになりますと、結局富里附近か霞ケ浦か、この公団法の東京周辺の地域ということになりますと、一応この二つに現在は限定されていると考えてよろしいでしょう。
  179. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) こまかしい点は、局長から答弁させていただきます。
  180. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) ただいまのお尋ねの東京周辺という点でございますが、これは一応関東各県あるいは場合によっては山梨県等も東京の周辺ということに、文学的にはなるかと思いますが、いまおっしゃいましたように、実際問題としましては、やはりこの飛行場の性格からいって、せいぜい一時間程度、もちろん高速道路が前提でございますが、というふうに考えるべきであろう、かように考えます。この点お説のとおりでございます。  それから候補地でございますが、候補地につきましては、航空審議会の答申によりまして、富里附近また霞ケ浦周辺というものが、一定の条件はついておりますけれども、出ておりますので、運輸省としましては、このいずれかが適当ではないか。ただ、現在閣僚懇談会でいろいろ議論されておりますので、別個の見地から候補地があるいは出てくるということもあり得ることと思いますが、いままでの経過で申しまして、運輸省としましては、航空審議会の答申を尊重せざるを得ないわけでございます。
  181. 加瀬完

    加瀬完君 この公団法案によりますと、空港の設置、管理は公団法で行なうとしても、問題の位置は政令できめるということになっておるわけでございますね。そうすると、二十一条によりますと、空港の基本計画はしかも運輸大臣が定め、公団に指示するとあるわけですから、位置を定める政令としての手続は、公団法の中にはただ「政令で定める」ということだけあるわけですので、この運輸大臣の基本計画で、位置を定める手続はきまることになるのですか。
  182. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) この法案によりますと、第二条で、空港の位置は「東京都の周辺の地域で政令で定める位置に設置する」ということになっておりますので、この法案が通りますれば、以上に基づく政令による指定ということがまず行なわれる、かように予想しております。で、場所がきまりましてから、諸般の公団設立の準備行為が行なわれて、そうして公団が成立する。しかる上、二十一条でもって基本計画について運輸大臣が公団に指示をする、こういう段取りになると思います。
  183. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、運輸大臣が定める基本計画の中には、空港の場所をどこにするかということは含まれておらないわけですね。
  184. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 第二条の「政令」につきましては、この「位置」と申しますものは、最小行政区画を、何々市、何々町、何々村というような形できまるというふうに予想しております。で、この政令の起案は運輸省でいたすことになると予想しております。それから「基本計画」のほうの場合には、むしろ基本計画につきましては、どの程度の長さの滑走路がどういうような配置であるべきであるというようなことが基本計画でございまして……。
  185. 加瀬完

    加瀬完君 わかりました。と、「基本計画」というのは、空港の構造といいますか、施設といいますか、そういう問題に対する基本計画ということで、位置の決定ということは、これは別ということになりますね。——そこで、そうすると、位置の決定は、これは政府がきめることになりますね。で、空港のもろもろの交渉というものは公団がおやりになるということになりますね。そうすると、関係者から異議の出た場合は、交渉の相手は政府になるのですか、公団になるのですか。位置は政府がきめるのでしょう。飛行場の事業は公団がおやりになるのでしょう。そうすると、位置についての異議というものは、これは相手は政府になるわけですね。公団に交渉したってしようがないですね。しかしながら、政令できめられてしまえば、位置についての異議の申し立てをしたところで、これはあとの祭りということになりますわね。この間の関係は、大臣、どうなっておるのですか。
  186. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 政令で、御指摘のように、最小行政区画の範囲内という点につきましては政令できまります。したがって、政令できめるということは、政府の責任できめるということになるわけでございまして、政府に対して不満であるというような点はお述べになるということになると思います。
  187. 加瀬完

    加瀬完君 位置は政府がきめるんでしょう。しかし、公団によって空港の建設事業は進められるわけですね。で、位置の問題について公団に交渉したところで、公団は、おれのほうは政令できめたとおりやっているのだということになれば、これは相手にはならないわけですね。そうなってまいりますれば、責任の所在というのがはなはだあいまいではございませんか。位置を決定するまでの手続というものは、公団法によってはきめられておらない。別の法律でも定められておらない。政府がここだときめればそれっきりだ。公団に文句を言ったって、公団は交渉の責任はない、こういうことでは、はなはだどうも政府の責任の所在というものが不明確になるのじゃありませんか。これは法律上の形式論を私は言っているのですよ。事実論を言っているわけじゃないのですよ。公団は何にも責任をとらないわけですね、敷地の決定については。
  188. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 最小行政区画の範囲内におきましてという単位においての決定は政令で決まりますので、これは政府の責任でございます。それから、具体的にどの場所がその区画の範囲内、あるいは行政区画が二以上にまたがることもあり得ると思いますが、その場合に、どういうようなふうに具体的にきめるかという問題につきましては、公団のほうがいろいろ調査をしまして決定をするということになると思います。したがって、具体的に何村のどういう字を入れるか入れないかというような問題の範囲内におきましては、公団というものが具体的な現地の実情を勘案して敷地をきめるということになるわけでございますが、最小行政区画の範囲内、これは複数の場合もございますが、それは政府の責任できめる、こういうことでございます。
  189. 加瀬完

    加瀬完君 しかし、この公団法案によれば、そういうようには読み取れないじゃないですか。位置は政令で定めるということになっているのですから、その位置というものは、第一段階の行政区画である、さらに実質的な空港の敷地になるところは、これは公団できめるのです。こういう解釈はこの文言からは読み取れないでしょう。いいですよ、あなたのほうで責任待てるとおっしゃるなら、交渉の相手がはっきりしたわけですから、けっこうですよ。よろしいですか。
  190. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 空港の位置と申しますのは、従来から最小行政区画ということで、たとえば東京都とかあるいは何々市というふうにきめておるわけでございまして、具体的にどこの字のどの辺の部分と、まあそこまできめます場合には、技術的には図面を添付しなければ政令等できめ得ないと思いますが、そういうふうにはきめておりません。したがって、今回の場合にも、図面を添付するようなきめ方ということは政令の段階ではいたさない、政令の段階では最小行政区画をきめて、具体的な問題はやはり現場の事情をよく調査して、そして区画はこうする、あるいはここはある場合には出っぱらせる。ある場合には引っ込めるというような問題もあると思います。そういう点は、公団のほうで検討をすると、こういうことになっております。
  191. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、いま局長の御説明になられるような手続は公団法の中で規定されておらなければならないはずですね。しかし、何にも、細部の大字何番地というものが敷地になるかならないか、これに対してどういう手続を踏まなければならないかといったようなことは公団法案の中にはどこを読んでも読み取れるところはないわけですね。  じゃ、具体的に伺いますがね。これは航空審議会が答申をしたから、それだけで位置をきめるということはないと思いますので、財産権に伴う住民の権利の主張、あるいは反対とか賛成とか、まあ賛成ならけっこうですけれども、反対といったような地方の市町村会の議決、あるいは農業委員会とか各種委員会の議決、こういう意思表示がありました場合、どう取り扱われますか、公団法で、法案の内容として。
  192. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 公団法案の第二十四条に業務方法書という規定がございますが、この業務方法書につきまして、公団では具体的などういうふうな字、どこの字を入れるか入れないか、境界線はどういうものを境界線にするかというような詳細なものをつくりまして、そして業務方法書によって運輸大臣の認可を受けるということになっております。
  193. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、そこまで固める前の手続というものが全然ないわけでございますが、一体それでよろしいのか。たとえば地方議会の議決とか、農業委員会の議決とか、こういう住民の思意表示がありましても、これらは何も問題にされないのですね。それでよろしいのか。あるいは、そういう点の扱いというのは書いてあるのかないのか。
  194. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) その周囲の住民なり、あるいは公共団体の御意見というものは、これは航空法で準用いたしまして、航空法の四十条を準用いたすことになっておりますので、これによって、従来、着手飛行場につきましても公聴会を開いておりまして、その公聴会の制度というものを、準用によって、これは新しい空港につきましても行なう、こういうことになっております。
  195. 加瀬完

    加瀬完君 どうもこまかいことを言って、恐縮ですがね、地域内の市町村道も、当然空港ができます場合は、その敷地としてこれは収用の対象になるわけですね。ところが、道路法の第十条で廃止反対の議決をした場合は、これは当該道路の変更はできなくなりますね。こういう場合どうしますか。
  196. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 道路等の問題につきましては、これは具体的な場合には、当然、建設省なりあるいは地方庁、府県——まあ府はございませんが、県に相談をして、建設省の道路計画その他というものとの調整は十分にこれを行なうということで建設省と話し合いをしております。
  197. 加瀬完

    加瀬完君 建設省はいいですよ。都道府県道もいいです。了解がつくでしょう。市町村道は、市町村が空港反対だという議決をしている限りは、その道路は変更は認めませんよ。そういう場合困るのじゃないかという一例を出したわけです。私がこういう問題を出しますのは、国際空港の必要性というものを認めない者はないのです。問題は、もっと地元あるいは住民に受け入れられる態勢という手続を十分に踏んで敷地の決定というものをするように公団法そのものの内容を制定されなければ、ちょっと一例をあげれば、いま言ったようなトラブルでどうにもならなくなるのじゃないか。もっと言うなら、この空港の位置を決定する場合、不適条件といいますか、阻害条件といいますか、こういうような条件では空港をつくるわけにはいかないのだという問題点について、もっと運輸省は究明をすべきじゃないか、体制を立てるべきじゃないかと思うのです。で、具体的に申しますと、たとえば該当地域の絶対反対という者が三〇%以上あった場合、これはつくろうといったってつくれますか。売り渡しをしませんよという人が五〇%以上あった場合、できますか。これは富里とか、霞ケ浦ということではないのですね。客観的に見て、どこかつくりたいとあなた方がおっしゃるところに住民の賛成が五〇%もとれないという状態で、一体できますか。
  198. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) まあ何%の反対があったらできないか、あるいは困難であるかという点は、反対の程度にもよりますし、また、情勢の変化ということもございますので、一がいには結論は出ないと思いますが、相当多くの反対がある場合には、結論は出ないと思いますが、相当多くの反対がある場合には非常に困難である。また、その御了解を得るにはかなりの時期を要する、かように考えます。
  199. 加瀬完

    加瀬完君 土地を収用される者のうち、営農希望者の代替地あるいは離職者の転業対策、これがどうやってもうまく立たないといったような場合は、位置の決定にこの問題は考慮をされますか。
  200. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 現在富里村付近または霞ケ浦周辺というものがかなりの候補地にあがっておりますが、富里村の場合でございますと、営農を継続してやられたいという方がかなり残ったという場合には、やはり周辺の地域でもって代替地というものをお世話をして、営農を続けていかれるような態勢をつくるようにわれわれとして努力をするというように考えております。
  201. 加瀬完

    加瀬完君 いや、あなた方が努力をなさらないとか、あるいは問題にしておらないということで私は伺っておるわけじゃない。いろいろおやりになっても対策が立たないという場合は、やはり決定という点から言えば、これは若干考慮の余地があるのじゃないか、そういうお考えはお持ちかどうかという点を伺っているわけです。
  202. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 富里村につきまして、あのまた周辺を含めまして、非常に強い反対をしておられる方があるということは承知いたしております。ただ、一方かなり強い誘致の運動もございますので、現在富里村が場所として全く不適当であるというふうには現在のところ考えておりませんし、また、反対されている方にもいろいろな点で御不満の点を一つずつ解決していくということは、私は可能である。ただしかし、全体の方が一人残らず賛成なさるというところまでいくにはかなり時間がかかるのではないかと、かように考えております。
  203. 加瀬完

    加瀬完君 私は富里に関係ありますからね、あなたは富里ばかり実例に出しましたが、いま客観的な問題を聞いているわけです。客観的な問題を——富里か、霞ケ浦か、木更津か、どこそこということではなくて、住民が次の生活の維持ができないという問題があった場合どうするのだ、こういう意味でお聞き取りをいただきたい。  それでは、あなたが富里、富里とおっしゃいますから、富里を具体的に出しますと、立ちのき戸数では千五百戸以下だとあなた方のほうでは推定をされておりますが、千葉県でも三千三百戸だとおっしゃっている。少なくも隣の酒々井町という、滑走路の方向になる町は千二百戸ございますけれども、ほとんどこれは移転をしなけりゃならないような状態になるでしょう。一つの村がほとんど解体をするというようなときには、これは空港に賛成、反対ではなくて、当然そういう状態−町自体の解体されることに対して、地元としてはこれは郷土意識で反対を起こしますよ。そういう一町村が解体をしなければならないという犠牲までも何ら考慮する必要はないとお考えになりますか。移転問題です。
  204. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) いま、具体的な町名をおあげになりましたが、私も図面の上でその町名は存じております。ただ、かりに富里村あるいは八街町を含めて、あの付近に決定するということになりましても、いまお尋ねの酒々井ですか、酒々井がどの程度の影響を受けるか、また酒々井の影響をどのように緩和するかというような問題、その他具体的な問題としましては、今後いろいろな問題がございます。したがって、私どもとしましては密集した部落というものはできるだけ影響から避けたいというようなくふうをいたすということを考えております。酒々井に何戸の部落があるかまでは、現在、私自身としては承知いたしておりませんけれども、その村なり町なりが解体するようなやり方をしなければならないということは、私は必ずしもいえないのであって、できるだけ既存の町なり村なりというものが解体しないで済むように、また、解体しない場合でもできるだけ騒音等による被害が少なくなるようにというようなくふうをやる。しかし、その場合に業務方法書というものによって公団が現地の実情に合わせてできるだけのくふうをするということによって、飛行場用地の方はもちろんのこと、その周辺の方々にもできるだけ御納得をいただくように努力するというふうに持っていきたいと思います。
  205. 加瀬完

    加瀬完君 こういう問題の解決は業務方法書以前の問題じゃありませんか。あらゆる不適条件というものを勘案して、あまりに不適条件が多いところは空港適地としてこれは適当でない、こういう判定を下して、あらゆる条件から見て、最大公約数これならばいけるであろうというところに地域が決定されて、業務方法書が講ぜられるということでなければおかしいでしょう。あなたいろいろおっしゃいますけれども、一枚の地図の上でこっちに飛行場を持っていくか、あっちに飛行場を持っていくかということで、この地図全体の面積を伸ばすわけにはいきませんよ。酒々井を避ければ成東、成田を避ければ佐倉、こういうふうに代替地域と推定されるところに四つの町があれば、どうずらしたってどっちかへひっかかるわけですよ。ですから、ひっかからないのに反対とか、賛成とかいうことをきょうは申しません。そういう点を十二分に業務方法書の出る前に調査をして、これは無理だとか無理でなくて済むとか、こういう研究というものをもっとしていただかなければ困るじゃないかということでございます。  それから、富里地区の場合はかえ地があるとおっしゃいますが、かえ地があるとおっしゃっているのは千葉県の知事だけです。どう計算したって、一番広いところをとっちゃって、まわりの狭いところへ押し込もうとしたってかえ地なんかありませんよ。しかも、この営農は、落花生の生産が大体千葉県の三二%、それからビール麦の生産が千葉県の四二%、ビール麦と落花生をつくっていれば生活に困難を生じなかった農家ですよ。これに稲作やれといったってできますか、野菜やれといったってできますか。かりにかえ地があったって、印旛沼の干拓地へ持っていって水田耕作やれといったってできない人たちですよ。こういう点は、すなわち、他の地域に代替地を得たところで、稲作とか野菜作というものは営めないような農家の経営であるというようなことになれば、こういう点は、一体不適な条件として勘案をされないのか、いかがですか。農林省は、移せないような農家の土地を取り上げるわけにはまいらないと、こうおっしゃっているが、当然だと思うんです。やはり運輸省でも、つくる、つくらないの前にこういう点を一応問題点として御研究をなさる御意思はございませんか。
  206. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 代替地の問題につきましては、飛行場にかかる地域に住んでいる方々のうち何割が営農を継続されるかというような問題との関連もあると思うんです。それから、ただいま印旛沼の干拓地というお話もございましたが、印旛沼の干拓地に移ることを希望するという場合にはそれもけっこうでございます。それから、あの付近からいろいろ伺っておるところでは、富里村の中でもあるいは八街町、その他付近の町村においても、この際、代替地として公団が買ってくれるならば売り渡してもいいというような希望がかなりあるというお話も承っておりますので、必ずしも水田に全部の方が行かなければならないというよりも、適当なところに移るということが、周囲を広く考えた場合には可能ではないか、かように考えております。
  207. 加瀬完

    加瀬完君 このごろ図上作戦というものがはやっておりますが、そういう空中楼閣的な御説明では納得できませんよ。私はたんぼのほうに行きたいという人があるということを申し上げておるのではない。畑作ばかりで、しかも、ビール麦や落花生というものだけを長い間つくってきた人たちだから、田に行ったり、野菜に移ったりしては耕作能率があがらないので、土地を離れたくないという人が大ぜいだと思うのです。あなたがそうおっしゃるなら、それなら、飛行場によってつぶれる土地は幾らだ、富里、八街で提供しようという、その同等価値のある農地は一体幾らだ、あるいは離農をしようとする者は何人であるか、営農を続けたいという者が何人あるか、こういう調査を何にもやっていないでしょう。そういう点を緻密に調査をいたしまして、この点ならば飛行場をつくるも無理がないということで運んでいるのじゃない。これは大臣にもお聞きいただきたい。事務的にそういう運びはない。場所をここだ、ここだといってきめてしまって、あとでそういうことをやろうとする。そういうことをやろうとしても、きまったものをもう動かすわけにはいかないでしょう。しかし、そんなら敷地の提供者が出てくるかというと、ますます頑強になって、どうしたって提供なんかするということはがえんじませんよ。そうなったなら、これは結局富里案というものは空に浮いてしまうじゃありませんか。それだから、事前に不適条件というものを拾い上げて、十二分に調査をして、これならばという最大公約数をはじき出すような方法をとっていただかなければ困ると思うのです。大臣いかがでしょうか。人間尊重ということを佐藤内閣はおっしゃっているのですから、大いに人間尊重をしていただいて、住民の意思というものを納得させるような事前のいろいろの調査というものを、適地か、不適地かという調査をもう少し綿密にやっていただかないと、これはもう反対は大きくなりまして、かえってまとまる話がまとまらなくなると思うのですが、事前の十二分の調査というものをしていただけますか。
  208. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 富里及び霞ケ浦というものはもう満一年以上前に答申を受けておるのでありますから、それぞれ綿密な調査をいたしておりますし、また、富里村からも反対もたくさん来ております。血判の反対状もあります。また、賛成もたくさん来ております。反対の三倍ぐらいの数の賛成も来ております。けれども、おっしゃるように、農家の土地を取り上げることですから、それは生命を取り上げるようなものであります。でございますので、われわれは、この場合においては他に転業できるなり、あるいはおっしゃるように、自分のいままで営農しきたった技術を生かすことのできる土地を求めることのできるような価格で補償をする、それ以外にこれは方法はないのである、こういうふうに思っておりますが、その場合に政府にあっせんしろということであるならば、国有林の開放でもその他の方法でも、できるだけ努力したい、こういうふうに思っております。
  209. 加瀬完

    加瀬完君 大臣はどう事務当局から伺っているか知りませんが、賛成をするのは、飛行場ができれば値上がりをするという空港の敷地に予定されている土地以外のまわりの人々が多いのです。敷地に予定されているところの富里村は八七%が反対、それから八街町は六五%が反対である。町の調査、村の調査でそういう統計が出ているわけです。ですから五〇%以上の反対でと私が申し上げたのはそういう状況なんです。地域が指定をされてしまったのではおしまいですよ。指定をする前に、はたして受け入れられる条件あるいはその他の空港条件として適当かどうかという問題点をもっとあげて検討をしていかなければならない。たとえば航空審議会は二カ所を推薦をいたしまして、最後に、しかし騒音については慎重にこれは対策を立てなければならないとございますね。しかし、これから参議院には提案される空港公団法案を見ましても、運輸省があるいはその公団が、騒音に対する責任というものはどこにも明らかにしておりませんね。音のしない飛行機をここでは飛ばすのですか。現在の飛行機ならば騒音が激しいということは、これは自明です。しかも騒音対策については慎重に考慮をしなければ位置をきめてはならないという意味にも受け取れる答申ですがね。ところが、公団法どこさがしたって騒音対策について考慮しなければならないと、公団の責任で騒音対策をするということはどこにも書いてない。ございますか。だれがやるんです。騒音対策は。
  210. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) ただいまおっしゃいますように、御審議を願っております公団法案には騒音対策ということについて特に規定してございません。これは公団法の性格からいってまた差しつかえないことであろうと思っております。そこで、しからば運輸省としてこの騒音問題に全く無関心であるかと申しますと、決してそうではございませんので、航空審議会におきましても騒音問題をどうするかということは、いろいろ御心配を受けました。で、私どもも飛行機が騒音を発するということは決して否定しているわけではございませんので、問題はどの程度の騒音が出るかという程度の問題、あるいは頻度の問題というものを具体的に見まして、それに応じた措置をやっていくということであろうと思います。これにつきましては、今後公団が設立されるならば、どこに場所がきまるかということによっても非常に状況は変わってまいります。その状況に応じまして騒音対策をやっていくと、これにはいろいろな方法があると思います。たとえば……。
  211. 加瀬完

    加瀬完君 方法はいいのです。騒音ということに対しての運輸省はその担当当局ではございませんから、非常に私は粗略に扱っていると思いますね。法務省の人権擁護局長が勧告を出しまして、防衛施設庁が昨年の九月の八、九、十日ですか、三回にわたって横田周辺で騒音調査をいたしましたのです。九月九日のを見ると、六時から十八時の間の調査で八十ホンから百ホンが百四十六回、百ホンから百三十ホンが百三回、こう報じているんですね。三分二十秒に一回の割りで、少なくとも生活には非常に耐えられないような大きな音がするわけですね。羽田で一部扱っても大体四百機ぐらいの飛行機が離着陸するとこの第二空港の場合も推定されるでしょう、あなた方の資料からすれば。そうすると、騒音の度合いというものがどの地域でどのくらいで、どこまで離れればどのくらいかという点で、騒音対策ができるかできないかという、これは研究が当然なさるべきでしょう。危険区域というのは、一体どう飛行場の地図を引くと危険区域がどこになってあるいは移転区域がどこになるか、防音対策を立てなければならない地域がどこなのか。こういうものを図面でいろいろ検討して、これは無理だと、これならだいじょうぶだということが初めて出てくる。飛行場ができ上がりましたら考えましょうと——あなたの腰を折りましたけれども、防音林の必要とかなんとか言うんですが、横からくる音は防音林で防げますけれども、上からくる音を防音林で防ごうと思っても防げない。ソニックブームということをあなた方は研究しておりますけれども、ソニックブームがあるということを、法務省の人権擁護局長はソニックブームが認められるということを言っている。外国でもソニックブームということを問題にしている。そうなってくればそこの住民にはたして了解のつく騒音対策であるかということを検討しないで位置を怪々にきめるなんということは、これは基本的人権を無視するも最たるものだと言わなければなりませんよ。こういう一体調査をなさっておりますか。霞ケ浦でもけっこうです。富里でもけっこうです。霞ケ浦の場合の騒音はこういう意味で防げる、富里の場合はここまで防げる、これからは防げないという調査がありますか。全然そういう調査はないでしょう。あるいは中間に立っている県でもおやりにならない。町ではやろうと思ったって技術的にできませんよ。ですから、そういう調査を緻密にやって心配がないという結論を出していただかないで位置をきめられるならば、かりにあなた方の言うように結論は心配がないにしても、心配がないという保証は何もないわけですから、騒ぎが大きくなるわけですし、事務的に粗漏じゃありませんか。騒音が一番問題になっているときに、騒音の対策が立つか立たないか。どうして立てようかというくふうの前に立つか立たないか、地域条件、環境条件というものを十分騒音と対比して研究もしないでよろしいんですか、それで。
  212. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 騒音の問題でございますが、現在米軍の飛行場あるいは自衛隊の飛行場、これは戦闘機——マッハ以上の戦闘機が飛んでおりまして、しかも戦闘機は離陸するときにアフターバーナーというものをやりますので非常に音が出ます。これに反しまして民間機はジェット機といえども軍用機ほどの音は出ませんが、しかし、それにしましてもプロペラ機よりも被害が出ますので、これは羽田等におきましてもいろいろな対策を講じております。今度新しい空港におきましては、もちろんいわゆるSSTの受け入れということを考えておりますが、やはり従来のジェット機もかなりたくさんここを利用するであろう。したがって、両方の飛行機がここを使うわけでございます。  そこでSSTの問題につきましては、この騒音というものはいろいろな説がございます。現在まだ現物はできておらないわけでございますので、アメリカにおきましてもFAAが中心になってこの騒音対策を検討しておりますことは私も承知しております。いわばいろいろの想定をもとにしてやっております。ただ、ソニックブームの問題につきましてはこれは一番大きな問題でございます。ただソニックブームが起きますのは、いわゆる音速を突破するというようなことと関連いたしておりますので、音速を突破するという場所を陸地の上で避けるというようなことをすれば、ソニックブームはこの旅客機におきましては、私は陸上に被害を及ぼさない。いわば洋上に出てからスピードを増す、あるいは相当の高度をとってからスピードを増すというようなことで防げると思います。この点につきましては、アメリカにおきましては大陸横断の場合にはどうしても陸上を通らなければならないので、大陸横断についてはいわゆるソニックブームが大きな問題になっておりますが、洋上を飛ぶ場合にはそれほど問題になっていないというように承知しております。それからまた、一説によりますと、SSTは重い飛行機でございますので、かなり大きな推力を必要とする。したがって、騒音も多いという説もございます。また、離陸後の上昇性能というものによって周囲に対する騒音がかえって少ないという説もございます。いろいろ説がございますが、いずれにしましても現在のジェット機と同じ、あるいはかりに飛行機ができました場合に大きな音を出すとしましても、それほどいまのジェット機より大きくない。これはFAAのSSTをつくる場合の要求性能につきましても、騒音については現在のジェット機以内であるということが出ております。もちろん要求性能どおり製作可能かどうかということは将来の問題でございますが、そういうような配慮もいたしております。したがって、ソニックブームというものは避けられませんが、これにつきましては洋上において発するというようなことで解決できる。したがって、残ります問題は、結局スピードの問題ということになるのではないか。これらはいろいろな対策によって、私は騒音ができるだけ被害を与えないようなくふうというものは可能であるし、また、そのために努力すべきである、かように考えております。
  213. 加瀬完

    加瀬完君 ソニックブームは原則としては海上へ出てからということになりますよね、しかし、近いですからね。海上に出ない場合にソニックブームが起こらないという保証はない。軍用機の場合は、離陸後二キロぐらいでソニックブームが起こるという報告政府の機関からなされているわけですからね。そういう速い速度は結局旅客機の場合は出せないわけですけれども、防衛施設庁の係官は、軍用機は上昇力が強いから瞬間的に大きな音を出しますけれども、時間は短い。ところが、旅客機の場合は、急に、急カーブの離陸ができないわけですから、低空で長く飛ぶ時間が想定をされるので、騒音については旅客機のほうが大きいと想像しなければならないとおっしゃっているのです。ですから、この騒音の対策というものは、結局その大きな音が出るのではないか、出てもだいじょうぶかだいじょうぶでないかという立場で勘案をして対策を立てませんで、大体、これからいろいろ進歩をするだろうからこれからの飛行機はあまり大きな音が出ないのじゃないかというそら頼みで騒音防音というものをおろそかにされては困るわけでございます。時間もあまりありませんから、結論的に申し上げますが、こういう解決のつかないたくさんの問題をはらんでいるところに何ゆえに無理に候補地を選定をする必要がありますか。湖面を埋め立てても、あるいは山林原野のあまり人に影響のないところでも……。東京のまわりにだってないわけじゃない。そういうところでも求めたらいいでしょう。ですから、一がいに霞ケ浦がいいとは私は言いませんが、少なくとも富里付近ではいまのような条件が解決されない公算が大きいですから、慎重に考慮をして、他により適当な候補地を見つけることにやぶさかでない、こういう点だけは明らかにしていただかないと困るのです。大臣どうです。大臣答えてくださいよ。そのとおりでしょう。航空局長は富里に取りつかれているからだめだ。
  214. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) おしかりを受けるかもしれませんが、やはり十以上の候補地というものを調べたわけでございます。おのおの一長一短ございまして、最大公約数というお話がございましたが、いろいろな点から考えまして、技術的な見解といたしましては、富里と霞ケ浦周辺が現在においては一番いいのではないかという点は技術的な結論として出たわけでございます。この具体的に場所をどういうふうに御決定になるかというような問題は、現在上層部のほうで御相談になっておるような段階でございますので、事務当局あるいは技術的な見地、特に航空の技術、航空管制その他の面、特に安全面というようなところから見まして、やはり富里、霞ケ浦というものがいい候補地であるというふうに私は考えております。
  215. 加瀬完

    加瀬完君 ですがね、富里は買収補償に難があるということで、閣議、関係閣僚の懇談会も富里を一応たな上げしようという空気になっているように新聞の上では推測されるわけです。こういう形に動いてまいります場合に、富里はもう固執するようなことはないのでしょうな。
  216. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 私がいま答弁しましたのは技術的な見地、あるいは事務当局として申し上げましたわけでございますので、内閣としてどっか適当なところにおきめになれば、それはもちろんそれが御決定であるということは私も承知しております。
  217. 加瀬完

    加瀬完君 念のために大臣、いろいろ話を聞いてみると、やっぱり富里はこれはたいへんだ、なかなか問題が多い、とは御認識くださいましたか。
  218. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 加瀬さんのお話を聞くまでもなく、血判状をあれだけたくさんいただいておりますから、それはもう四カ月、五カ月ぐらい前から、これはたいへんなことだということはわかりまして、それぞれ、まあここではちょっと言いにくいのでありますが、密使を発して、内容をよく調べております。おっしゃることはよくわかっております一われわれのほうにこまかく通っております。また、警察からもすべてをとっております。しかし、いま局長の申しましたように、航空審議会が答申したのは陸の問題よりも空の問題なんですよ。それで遺憾なことにはブリュー14があって、西のほうは全然使えないのです。先刻申し上げましたように、東北の面しか使えない。そうなると千葉県か茨城県しかないのです。それで千葉県と茨城県も——それなら木更津はどうかという木更津の問題もあるのですよ。あるけれども、これはなかなかいろんなことがあるのです。この木更津をやれば貝が死んじゃうのです。それは問題です。場所がないのです。電信柱も踏切もないから空は広いように見えるけれども、ただいまお話しのように、早い飛行機が飛び回るものですから、これはとっても問題にならない。そこでそういう面から検討していくというと、お話しのように、非常にお墓もあり家もあり、土地を愛することは自分の身を愛するの次に土地を愛する農村の土地を取り上げなければならぬということになるわけなんです。ということで、まことにおっしゃることは一々ごもっともでございますが、いまのところではその二カ所が候補地になっておりますが、しかし、その二カ所のうちで海に一番近い、洋上に一番近いのが遺憾なら富里なんでございます。それで、霞ケ浦よりも近いのです。海に近いところが被害が大体総合的に少ないということで、とにかく第一候補地にあげられておるわけでございますから……。まあお話を伺いまして、われわれがいろいろな方面から集めました情報と一致する点が多いのです。ということでございますから、最後の決定の場合には十分参考にいたしたいと、かように申し上げます。
  219. 加瀬完

    加瀬完君 これでやめますがね、海岸の埋め立てをしたっていいし、まだ山林原野だって開発すれば飛行場にならないこともないわけですから、ただ、おどかすわけじゃございませんが、砂川の二の舞になりますから、ならないようにひとつ御配慮をいただきたいと思います。  たいへん、総裁、お待たせしましておそれ入りますが、都市通勤輸送の改善をする、そういう予算を組んであるという先ほどの御説明もございましたが、この都市近郊の通勤輸送関係というのは非常に現状困難な問題が多いように思われるわけでございます。  これは最初に大臣にもお答えをいただきたいわけでございますが、社会開発構想という中に通勤とか通学条件の悪化、または交通事故等の国民生活を圧迫している社会現象を政治的に解決をする、こういうお考えもおありと思うんですけれども、そう考えてよろしいでしょうね。
  220. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 何ですか、もう一ぺん……。
  221. 加瀬完

    加瀬完君 社会開発ということを政府が取り上げておりますね。その中には、いま問題の交通ラッシュ、こういう問題の解決もしなければならないというお考えがおありなんでしょうね。
  222. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) わが省から言えば、この問題が社会開発の先端であるといっても過言でないと思います。したがいまして、今年の正月、昨年の秋、総裁と総理大臣と私、三人であのラッシュ時における状況をわざわざ一時間にわたってよく見まして、よくけが人も出さずにこれでいけるもんだという、非常に決意をいたしまして、その結果、国の財政上も非常に困難なときでございますけれども、七カ年に二兆九千七百二十億という金を出してもらうことにいたしまして、通学、通勤、いわゆるラッシュ時における交通緩和、あるいは幹線における複線、複々線、電化というような方面の近代的な設備にするという総裁の計画並びに基本問題調査会の答申に基づいた案を取り上げまして、これを今年第一年度といたしまして、先ほど説明いたしました額を計上いたしました次第であります。
  223. 加瀬完

    加瀬完君 一体、群衆事故の許容限度というものをどう把握していらっしゃいますか。これは事務当局でけっこうです。ラッシュのようにたくさんの群衆が集まりましたときの事故の起こらない許容限度というものは、一体どう把握しておりますか。
  224. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 私は、現在が限度に達していると思います。これ以上延ばせないと思います。
  225. 加瀬完

    加瀬完君 皇居前の広場の事故が十六・一人だそうですが、それから日暮里駅が十五・七人だそうですね。現在非常なラッシュのときには十四人から十五人の間にいっているそうですね、国鉄電車のラッシュ。そうすると、だれかがころぶとか何かの衝撃があれば、これは事故発生のおそれが十二分にあるわけですね。これはお認めになりますか。
  226. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 私は、いまの東京近郊、大阪もそうですが、全くこれは交通地獄だ。加瀬さんは総武線及び常磐線のほうに非常にインタレストを持っておられるので、ことに総武線、常磐線というのは実にひどい。どうしていいかということは国鉄として実に頭の痛い次第です。それで第二次五カ年計画のときには、通勤、通学なんというものに関しては八百億足らずの予算でやったのですが、これはこのままでいった日には、たいへんなことになる。いまでももう交通地獄なんです。しかも一年にまず八%ぐらいの割合で通勤者がふえている。ことに総武線のごときにおいては、これはさらにひどい。そこで第三次計画においては、われわれは思い切って五千百億の予算で何とかこれをしなければいかぬ、こういうことに踏み切った次第であります。  それから加瀬さんに申し上げますが、これは一体どうしてこういうことになったかという、こういう問題なんです。これはあなた方にも責任があるんじゃないでしょうか。要するに、過去における過少投資の累積ですよ。そうしてもう一つはこれは私は国鉄にも責任があると思う。通勤、通学の問題というものはこれは主として東京都の問題だ。国鉄というものはそうでなくてさえ幹線輸送のほうで、もうにっちもさっちもいかなくなっている。まず第一に主力を入れなければならぬ、国鉄の使命というものは、むしろそこにあるのだからということで、通勤、通学のほうに対してははなはだこれはお恥ずかしい話なんだが、それで適当の注意を払っておらなかった。適当の力を入れてなかった。こういうことは私は言えると思うので、この点は政府の責任であり、国会の責任であり、国鉄の責任であるということを私はいえると思うのです。
  227. 加瀬完

    加瀬完君 総裁の非常に御熱心な御答弁をいただきまして、やってもらえばいいわけで、質問をする必要はないわけでございますが、これは私どもの責任ということは、国鉄に対して十二分に問題点を提出しなかったということも一つだろうと思いますので、運輸省に伺いますが、総武線が千葉まで電化したのは昭和十三年ですね。このときの一体輸送人口をどのくらいに見たのですか、現在の人口増と、それから客車両の増と、どういうバランスになっておりますか。
  228. 佐藤光夫

    政府委員佐藤光夫君) 運輸省から答えよということで、申し上げますが、総武線は、いまお話しのように、最近において非常に、特に輸送量が増加したわけでございます。三十九年十一月の調べで、ラッシュの一時間の最大の乗車効率は二八五%という数字になっているわけでございますが、先ほどお話がございましたように、ラッシュのときにどの程度の乗車効率を考えるべきかという問題があるわけでございまして、現実には三〇〇%以上になるものが区間的にはあるわけでございますが、われわれとしては、国鉄においては二四〇%程度を基準にすべきではないか、ただ、線区によって、区間によって相当違いがございますので、そういうものを標準にして考えているわけでございますが、現在の状態でそのままいくとすれば、総武線については昭和四十五年度に三六八%ぐらいになるということが推算されますので、先ほどちょっと国鉄総裁からもお話がありましたが、総武線の改善計画が出されまして、すでに運輸省でもこれに対して認可をしているわけでございます。そのほかに、総武線関係といたしましては、営団が建設しております地下鉄五号線の延長というものが計画にのぼっておりまして、これの計一画も四十年度以降推進していく計画になっております。
  229. 加瀬完

    加瀬完君 電車乗客の許容限度といいますか、安全限度というのは何%増ぐらいですか。
  230. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 私から御説明いたします。これはむずかしい問題ですが、現在でも総武線なんか三〇〇%ぐらいに達していると思いますが、もう三〇〇%以上に私はするということはできないというのですが、はたして三〇〇%までに押えることができるかできぬかということが、これが問題なんです。たとえば御質問には触れませんが、われわれいまどうしているかというと、結局増線の問題ということと、そして地下鉄を利用すること、これは総武線においても常磐線においてもしかり、たとえば総武線においては五号線を船橋までもっていって、あそこから乗り入れる。常磐線のほうは綾瀬まで九号線の地下鉄をもっていって、あそこに乗り入れるということなんですが、これは加瀬さんも十分御承知だと思いますが、私はそれを増線をし、地下鉄との連結をするまでになかなか日がかかるのです。それまでをどうするかということ、これがやっかいな問題なんです。第一、最近総武線においては八両編成を十両編成にするということになりました。私はそれをとめたのです。ということは、秋葉原の乗りかえというのは限度にきている。ちょうど総武線は八両編成を十両編成にしますと、一升しか入らない胃袋に一升二合入れることを欲するようなもので、実に危険千万なんです。あなたはあそこへ行ってごらんになれば、実にもう危機一髪のところまで来ているので、これは実に国鉄としての責任上全く申しわけないと思いますが、これは国鉄ばかりの責任でもない。できるだけひとつ最善を尽して早くやる。さらに、総武線の問題つきまして申し上げますが、かりに、これ、あれですね、地下鉄と船橋でもって乗り入れしますね。ただ、船橋と両国の間がふえてくるので、それがまた秋葉原へ行く。秋葉原というのは、もう余裕がない。だから、しかたがないから、ひとつ両国から東京駅まで地下鉄を敷いて、そしてあすこに吸収する。そして秋葉原というものを救う。こういうような手を打つことを考えております。
  231. 加瀬完

    加瀬完君 電車乗客の安全限度は二八%増だ、それ以上の増になれば、これは完全な安全性が保てないといわれていますね。ところが、先ほど運輸省がお答えになりましたが、昨年の十二月の総武線のラッシュは百四十四人の定員に五百人以上が乗っているわけですね。もう三〇〇%をはるかにこえているわけですよ。で、こういった原因は、公団住宅が非常に建ってきたわけですね、あるいは公団住宅の建つのに伴って人口の社会増というのが非常にあの沿線に多くなって、昭和十三年の乗客のまわりの人口との比率と比べてまわりの人口が非常にふえたのだから、当然これは住宅がふえれば対策が立てられなければならないはずですね。ところが、公団住宅は幾らでも建った。ところが、それを運ぶところの輸送関係の対策というものは全然なかった。こういうことも一つのラッシュの原因をつくっているんじゃございませんか。
  232. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 私からお答えいたします。これは加瀬さんに申し上げますがね、たとえば公団でもって住宅をつくるときに、これだけつくるから国鉄用意しろ、こういうことでもおっしゃればいいが、そんなことは何も相談も何もあらへん。しかも、住宅をつくることはたちまちにしてできるが、国鉄の輸送力増強ということはそうなかなか簡単明瞭にはいかぬ。たとえば総武線の線増にいたしましても、どうしたってこれは四、五年はかかりますよ。結局、そのギャップ、これはどうも国鉄の責任ということにお考えになるのは少し酷だと私は思うのであります。
  233. 加瀬完

    加瀬完君 総裁に伺いますがね、この数年間の京葉地帯の人口増加のもとをなしている、いわゆる工場開発に伴って臨海鉄道とかあるいは武蔵野線とか小金線とか、こういうものは急テンポとも言われないけれども、着実に計画が進められておるわけですね。ところが、人間のほうはさっぱり進められておらない。これはどうしたのですか。物ばかり大切にされて、人間がお粗末にされているように思われますが。
  234. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) お答えいたします。決して人間をお粗末にするわけじゃない。ただ、輸送量の増加ということは、なかなかこれは年月がかかる。ところが、人口の増加のほうはたちまちにしてできるのですね。そのタイミングの差というものが私は今日の原因をなしておるんじゃないか。これは単に総武線ばかりじゃない。東海道あたりもそうですよ。たとえば平塚と茅ケ崎の間に二万五千戸の団地ができる。そうすると、簡単にそれじゃ輸送力をつけようといっても、なかなかそう簡単にはいかない。そういうことはひとつお察し願わなければならぬ。しかし、国鉄としては、できるだけのことをしてこれはつけなくちゃならぬ、こういうふうに考えております。
  235. 加瀬完

    加瀬完君 本日の新聞で総武線の複々線化の計画というものが工事認可をされたという報道があるわけでございます。これによりますと、東京−津田沼間は四十五年三月まで、四十五年から津田沼−東京の快速列車を運転するわけでございますが、千葉−東京の開通するのは四十八年以後ということになるようでございますが、この工期をもっと早めていただくわけにはまいらぬでしょうか。また、どうすれば早められることになりますか。
  236. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 国鉄としては、とにかくできるだけ工期をひとつ早くしたいということは、これは国鉄の投資効果をあげる上からいっても当然のことでありますから、決してあっちでぼちぼち、こっちでぼちぼちとやるわけではない。全部つぶしてやるわけですが、まず第一に、土地の買収の問題、これがなかなかやっかいなんです。そうして、さらに、予算の積算の問題、これまたなかなかめんどうくさい。しかし、予算積算などというのは、これは会計検査院との了解がつけば簡単にできます。検査院長に談判して、あまりめんどうくさい積算なんかやらんで、ひとつ簡単にして要領を得たものにしようじゃないかということで着々やっている。その次に来たのが土地の買収問題。どうしたってこれは一年以上かかりますよ。国鉄は、幸いにして東海道新幹線に関連して、土地の買収というものに対しては相当に苦労いたしましたので、その体験を利用して、ひとつ地方官憲の御協力も得て、できるだけ早くやる、そうして、やったらもうできるだけ早く工事を完了する。あっちでちりじり、こっちでばらばら、そんなことをやらぬということに努力しております。その点はひとつわれわれの努力を買っていただきたい。
  237. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、いわゆる地元で用地買収を促進するという形をとれば、この工期というものは早まると了解してよろしゅうございますか。
  238. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) ええ、それはそうです。
  239. 加瀬完

    加瀬完君 よろしくお願いします。
  240. 中村正雄

    中村正雄君 加瀬君の質問に関連して総裁にちょっと一言。私は計画造船について運輸大臣にお尋ねしようと思ったのですが、いま加瀬君の質問に関連して総裁に一言お聞きしたいと思いますが、確かに都市交通はいま非常に限度に来ているし、何とかこの混雑を改善しなくちゃいけないということで、総裁も相当熱意を持たれているようでありますが、ただ、私はさきの加瀬君の質問からわかりますように、急速に公団その他の住宅が建って、それが一つの大きな原因になっている。ただ、ここで国鉄自体に考えてもらいたい点は、たとえば住宅の建設であれば、これは建設省関係である。公団といえども政府機関なわけなんです。したがって、かってに建つから困るのだという総裁のお考えでありますが、政府部内のやはり意見の調整が十分できておれば、計画は予知できるはずなんです。しかも、もう一歩下がって考えてほしいのは、やはり国鉄を利用する人は国鉄のお客さんです。お客さんの動向というのは、建設省から連絡があったり、公団から連絡がなかろうと、国鉄自体がそういうことも十分察知できるだけの、私は受けて立つのじゃなくして、そういう面も十分研究して、将来の見通しを立ってやってもらいたいと、こういうふうに考えるのが一つ。  それからもう一つ。いま都市交通の混雑の原因は、確かに総裁のおっしゃいましたように、いままでの国鉄自体の経営者が、国鉄は長距離輸送が中心だという美名のもとに、場当たりの計画をやってきた国鉄の大きな責任であり、また、政府自体の私は大きな責任であると思う。最後に総裁のおっしゃった国会の責任ということは、ぼくは納得できないわけです。御案内のように、やはり国の予算は、国会も議員も、国会に提案権はございません。これは政府が責任持って出し、国鉄でも責任を持って出さぬ限りは、国会では審議できないわけです。国鉄の事業計画も、議員には立法権ございません。提案権もございません。国鉄自体が、こういう事業をやるのだということを出してこなければ、国会では審議できないわけです。もし、政府なり国鉄が予算案なり事業案なりを国会に出してきて国会が否決したのであれば、ぼくは国会の責任だと言えると思いますけれども、そういう事例はかつてありません。私は二十二年から議員しておりますけれども、そんな例はかつてございません。したがって、総裁のおっしゃった政府と国鉄の責任は十分わかりますけれども、国会の責任ということは取り消してもらいたい。
  241. 石田禮助

    説明員(石田禮助君) 戦前における国鉄というのは、いまお話しのとおり、始終輸送需要の先を行きよった。それが戦後においてどうして一体その輸送需要のしりばかりついていって、そうしてむしろ日本経済発展の進展を妨げるようなことをしたか、こういうことなんです。これに対しては、第一、進駐軍が来た。かれらは、鉄道というものは、アメリカ式の頭で、これはもう斜陽産業である、こういうことが第一。それで日本の一般の空気も、これからは自動車の時代だ、鉄道の時代はすでに過ぎておる。結局、戦後におけるあの予算を見てごらんなさい。実にそれはもう貧弱なものである。それでろくすっぽ修理もできやせぬ。いわんや、輸送力の増強なんていうものは、さらにできやせぬ。それやこれや、どうしてもいかぬということで気がついて、第一次五カ年計画を立てたのが三十二年ですよ。そのときは、一年に一千億くらいの予算をやっておる。修理が主でもって輸送力の増強は手につかない。これじゃいかぬということで第一次五カ年計画は四年で打ち切って、そして第二次五カ年計画になった。そのときに、まず予算は補正予算を入れて一年に約二千億。まあ、修理のほうは第一次五カ年計画でできたのです。四年ですができましたので、第二次のほうは輸送力の増強と、こういうことを言ったんですが、国鉄が出す予算というものはしょっちゅうぶち切られてしまって、国鉄の希望というものは満足にいれられなかった。それで、第二次五カ年計画も三十六年から始めて三十八年までの三カ年でわずかに四割しか達成しなかった。六割に加うるに四割、これはどういうわけか。予算の査定である。これはいま議会の責任じゃないと言うのですが、議会も多少やはり責任があるのじゃないですか。これはいずれが重きやいずれが軽きや私は知りませんよ。少なくとも国鉄の立場から見れば、予算というものは政府が切るべきものであり、議会が切るべきものであるということである以上は、議会に責任なしと、だれがなしと言い得るや。私はあると思います。私が総裁になってから、こんなことではだめだ、思い切ってひとつやろうじゃないかということで、大体国鉄というのは少し弱かった。しりまくればいいのだが、まくるだけの勇気がなかった。結局、しりまくってやったところが、どうですか。三十九年の予算のごときはほとんど千億ぶった切られてしまった。これではだめだ、どうしてわれわれの責任が尽くせるかということで総理大臣に談判したところ、約一千億円切られたもののうち五百億円復活してくれましたよ。もっとも、この五百億円というのも三十八年度予算として百億円、三十九年度の債務負担ということで四百億円にすぎない。ところが、この四百億円の債務負担は、予算折衝のときのお話では、年度内に優先補正するということだったのですが、御承知のように、五十億円しか予算化されていない実情です。このようなことで、国鉄に責任はないとも言えませんが、政府なり国会に責任ないとは私は言えないと思う。しかし、いずれに責任が重いかといったら、私はそれは知りませんよ。しかし、両方にも責任なしとだれが言い得るか、私は責任があると思いますね。
  242. 中村正雄

    中村正雄君 総裁の常識論はよくわかりますが、それは総裁がわれわれと懇談するときであれば十分意味もわかりますけれども、ただ、私はいままでの責任は、それは政府が一番大きいでしょう。国鉄も何ぼか責任はあります。そういう当事者間の懇談的な問題であれば総裁の常識論も十分理解できますけれども、いわゆる予算委員会の席上で国会の責任と言われると、私は国会の構成員としてこれは対決しなくちゃいけない。国会は絶対に責任はありません。国会が責任を負うのであれば、国会の負うべきところを示してもらいたいと言いたくなる、こういう意味でございます。  次に、運輸大臣に計画造船についてぼくはお聞きしたいと思うのです。政府は、さきに中期経済計画を明らかにされました中で、わが国の保有外航船腹量というものを昭和四十三年度を目標にして千五百五十一万総トン、こういうふうに決定されたことは、われわれも聞いておるわけです。この目標の達成のために鋼船の改良造船ということに着手しようということで、昭和四十年度の計画造船のワクを百五十万総トンにおきめになっております。この百五十万総トンを建造するための一つの財政投融資のワクとして、運輸省が査定しましたのが七百九十億と、私ども聞いております。それで大蔵省と折衝されて予算が出されたわけでありますが、ところが、予算書を見てまいりますと、これが五百六十一億になっております。そうして、説明を見てまいりますと、二十次の計画造船分の二百五十九億九千万を含めまして完全にできるようになっております。そうなりますと、これは大蔵省に対する運輸省の申請が間違っておったのか、大蔵省の査定のほうが間違っておるのか。突っ込んで質問しますれば、この五百六十一億の予算で二十次分の継続分も含めて本年度百五十万総トンの建造ができるのかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  243. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 日本経済の伸張は大体現在八・一%、まあ、四十三年度まではこれは続くであろうという見通しのもとに、七百四十三万総トンで計画いたしました。そこで三十九年度は百二十一万総トン、四十年度は百五十万総トン、おっしゃるとおりに予定をきめまして、大蔵省に要求いたしましたのは、まさに七百十九億であります。ところが、査定されたのは、たしか五百十六億だと思います。その差額は、必ず今後不足を生じた場合には、七百十九億まで融資をするという言質をとっております。
  244. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、海運局長にお尋ねしたいのですが、この予算書を見ますると五百六十一億で、完全に百五十万総トンできるようになっております。それと運輸省が申請した内容と違っておるわけなんですが、この間の事情を御説明願いたい。
  245. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 御承知のように、計画造船の毎年度の金額につきましては、前年度の財政投融資の残りの必要額、それから当該年度に建造すべき船舶の当該年度分の支出分というものを合計いたしまして要求いたしておるわけでございます。前年度に着工いたしたものの当該年度支出分については、これははっきりきまってくるわけでございますけれども、当該年度の着工いたしましましたものにつきましてはどの程度当該年度財政資金を支出するかということは今後の推移にかかる問題でございまして、予算の作成当時におきまして確定することはなかなかむずかしいわけでございます。したがって、われわれは計画造船の過去の歴史を振り返ってまいりますと、従来は、計画造船の貸し付けは契約時四分の一、それから、起工時四分の一、進水時四分の一、引き渡し時四分の一というように四回に分けて融資をいたしておるわけでございますので、当該年度にどこまでいくかという見通しをつくったわけでございます。で、従来は昭和三十二、三年ころまでは大体当該年度に四分の三の融資をするというような計画をやってきておったわけでございますが、最近に至りましては、大体四分の二程度、契約、着工程度の資金を組んでやっていくというような状況になってきたわけでございます。これは、計画造船の制度がだんだん変わってまいりまして、たとえば一度に全部を決定するということをいたしましたために、その決定がおくれて、そのために、たとえば秋ごろにようやく決定するというような状況がございましたために、その年度支出する金が非常に少ない。そういうことを繰り返してまいりましたために、一応四分の二程度の財政資金を見ればいいというような状況であったときがあるわけでございます。で、われわれといたしましては、なるべくそういうような一括決定というようなことをやめまして、業界でどうしてもつくりたいというものは、その必要な時期につくらせるというような制度に改めていきたいということを一昨年あたりから考えまして、そういう制度にだんだん進んでおるわけでございます。したがいまして、財政資金の面につきましても、当初予算におきましては、一応建造トン数は大蔵省との間で十分御相談をいたしまして、その見通しについては一致したものを持っておりますけれども、実際の資金の支出につきましては、必要に応じて出していく、そして年度途中で必要になりましたらそれを追加していただくというような方式をとるようになってきておるわけでございます。昨年度におきましても、十二月ごろに百六十八億円の資金追加をお願いいたしております。また、一昨年も年末にやはりお願いしたような状態でございます。したがいまして、本年におきましても、明年度予算におきましても、そういうことをお願いしていきたい、建造トン数につきましては両省間におきましては百五十万総トンということで進んでおるわけでございます。
  246. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますと、本年度の資金需要の運輸省側の見通しと大蔵省の査定との食い違いというものは、これは資金需要の必要な時期いかんによって調整できるわけで、百五十万総トンについては運輸省も大蔵省も一致いたしておるし、百五十万総トンつくるについて五百六十一億じゃ足らない分については、いままでの例年どおり補正予算でこれは処置するということは運輸大臣としてははっきりとこれは言明できるわけですね。
  247. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) できます。
  248. 中村正雄

    中村正雄君 けっこうです。
  249. 田中啓一

    主査田中啓一君) 運輸省所管に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。明二十七日、引き続き質疑を続行いたします。     —————————————
  250. 田中啓一

    主査田中啓一君) 委員異動がございましたので、御報告いたします。本日、加瀬完君が委員を辞任され、その補欠として田中一君が選任されました。     —————————————
  251. 田中啓一

    主査田中啓一君) これより、昭和四十年度予算中、建設省所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。小山建設大臣
  252. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 建設省関係昭和四十年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、総額について申しますと、建設省所管一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は二十二億三千二百余万円、歳出は四千五百四十二億八百余万円であります。歳出におきましては、このほかに、総理府及び労働省の所管予算として計上されますが、実質上建設省所管事業として実施される予定経費等がありますので、これらを合わせますと、昭和四十年度建設省関係予算は五千二百五十四億七千二百余万円となり、前年度の当初予算に比べ六百九十一億七千百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ六百二億二千六百余万円の増加となっております。なお、このほかに国庫債務負担行為として、官庁営繕に三十億八千百余万円、国立国際会館建設に一億七千七百万円を予定しております。  次に、特別会計予算の概略を御説明いたします。  道路整備特別会計昭和四十年度予算総額は、歳入歳出とも三千四百八十三億七千九百余万円で、前年度の当初予算に比べ四百四十億五百余万円の増でありまして、うち一般会計より受け入れとして、三千百三十八億九千七百万円、地方公共団体工事費負担金収入として二百六十九億二千三百万円、前年度剰余金受け入れとして、六億円を予定いたしております。  なお、このほかに国庫債務負担行為として、直轄道路改築事業に百七十五億円、葛飾跨道橋架設附帯工事に四億八千七百万円、街路事業費補助に三十三億六千万円、首都圏街路事業費補助に二十億円を予定いたしております。  次に、治水特別会計でありますが、本特別会計昭和四十年度予算総額は、歳入歳出とも一千百四十七億六千九百余万円で、前年度の当初予算に比べ百二十九億五千五百余万円の増となっております。これを勘定別にいたしますと、まず、治水勘定につきましては、総額九百八十四億二千六百余万円で、前年度の当初予算に比べ百四十五億六千四百余万円の増でありまして、うち一般会計より受け入れとして、八百九億四千六百余万円、地方公共団体工事費負担金収入として百十七億七千八百余万円、前年度剰余金受け入れとして一億九千九百余万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム工事勘定につきましは、総額百六十三億四千二百余万円で、前年度の当初予算に比べ十六億八百余万円の減でありまして、うち一般会計より受け入れとして百五億四千百余万円、地方公共団体工事費負担金収入として十九億三百余万円、電気事業者等工事費負担金収入として二十億余万円、前年度剰余金受け入れとして三億二千八百万円を予定いたしております。  なお、このほかに国庫債務負担行為として、直轄河川改修事業に十八億六千八百万円、多目的ダム建設事業に四十四億円を予定いたしております。  次に、個々の事業予算の重点について御説明いたします。  第一に住宅及び宅地対策について申し上げます。  政府といたしましては、国民生活の安定向上と社会福祉の充実をはかるため、現下の住宅事情を改善して昭和四十五年度までに、すべての世帯が安定した住生活を営むことができる「一世帯一住宅」を実現することを目標として、住宅対策を強力に推進してまいる所存であります。このため、昭和三十九年度以降七カ年間に政府施策による住宅三百万戸以上を供給することとし、また、昭和三十九年度から四十一年度までの三カ年に公営住宅二十万戸を建設する第五期公営住宅建設三カ年計画の決定を見ている次第であります。  これらに基づきまして、昭和四十年度においては、政府施策住宅約三十四万戸の建設を計画しております。これは、戸数において、前年度より約二万戸の増加でありますが、このほか、特に昭和四十年度におきましては、住宅の質の向上をはかるため不燃堅牢構造の住宅の増加等を行ない、また、建設単価の是正をはかることといたしております。  次に、最近における宅地の入手難及び地価の高騰に対処するため、宅地供給の大幅な増加をはかることとし、このため日本住宅公団における宅地開発事業及び住宅金融公庫における宅地の取得、造成に対する融資についてその資金量の増大をはかるとともに、地方公共団体及び土地区画整理組合が実施する土地区画整理事業方式による宅地造成につきましても資金の融通をはかり、これを推進してまいる考えであります。  政府施策住宅に対する予算措置としては、公営住宅に対しましては、一般会計予算において三百二十七億八千三百余万円を予定し、第一種住宅二万六千戸、第二種住宅三万九千戸、計六万五千戸と、過年発生災害によるもの五百五十五戸の建設に対し、補助することとしております。  住宅地区改良事業に対しましては、一般会計予算において三十一億一千九百九十余万円を予定し、劣悪な局住環境を改善するとともに、市街地の合理的利用をはかるため、不良住宅の除却、一時収容施設の設置及び改良住宅四千五百戸の建設に対し、補助することとしております。  次に住宅金融公庫につきましては、産業投資特別会計からの出資金四十億円のほか、借入金等を合せて一千四十四億二千九百万円の資金のほか、新たに貸付金利と資金運用部資金等借入金利との金利差につき二億四千七百万円の補給を行なうこととして、これにより十三万七千戸の住宅の建設、五百万坪の宅地の取得、三百六十万坪の宅地の造成等に要する資金の貸し付けを行なうこととしており、特に分譲住宅戸数を八千戸増の二万五千戸と大幅に増加し、融資率も五%増の八〇%としております。さらに、中堅勤労者に対する持家の供給を強力に推進していくために、都道府県及び大都市に新たに住宅供給公社を設立して、計画的な資金の積み立てを行なうようにすることとしております。また、公共住宅用の足貸しの融資率を引き上げ、新たに、土地を所有する者が建設する中高層住宅についての高率貸し付け、住宅改良資金の貸し付け及び大規模宅地開発に伴なう学校施設建設資金の貸し付けを行なうことといたしております。  なお、宅地債券については、昭和四十年度におきましては、二十五億円を発行することとしております。  次に日本住宅公団につきましては、借入金等一千百二十七億四千八百万円の資金のほか、新たに賃貸住宅建設事業の算定金利と資金運用部資金等借り入れ金利との金利差につき三億三百万円の補給を行なうこととしており、これにより賃貸住宅二万六千戸、分譲住宅一万四千戸計四万戸及び市街地施設の建設を行なうとともに、宅地については、継続一千七百二十五万坪、新規四百五十万坪の住宅用地及び継続四百九十万坪、新規百万坪の工業用地の開発事業を行なうほか、研究学園都市の建設用地を取得するため、五十八億円を限度として債務負担を行ない得ることといたしております。  また、宅地債券三十八億円を発行することとしているほか、前年度から設けられた住宅債券については昭和四十年度におきましては、九億円を発行することといたしております。  以上のほか、都市における火災その他の災害を防止し、あわせて土地の合理的利用の促進及び環境の整備をはかるため、防災街区造成に対する補助金として、一般会計予算において三億円を予定いたしております。  第二に、道路整備事業について御説明いたします。  道路整備質業につきましては、道路交通需要の増大に即応するとともに、国土の総合的な開発と利用をはかるため、新道路整備五カ年計画の第二年度として、東名高速道路、中央高速道路をはじめとする高速自動車国道等の建設の促進、一般国道及び地方道の整備、特に一般国道の管理体制の強化と奥地等産業開発道路の整備、首都高速道路、阪神高速道路及び幹線街路の建設、都市内の主要な交差点の立体化、雪寒道路事業の拡大並びに交通安全施設の整備等に重点を置いて、積極的に事業の推進をはかることといたしております。  なお、国道については、道路法の改正により従来の一級国道、二級国道の区別が廃止され、一般国道として取り扱うことになりましたが、昭和四十年度から元二級国道の一部についても直轄で改築及び維持修繕を行なうことといたしております。  昭和四十年度における一般道路事業予算のおもなものとしては、一般国道に一千九百七十六億五千余万円、主要地方道に四戸六十四億五千六百余円、一般地方道に四百五十八億四千三百余万円、市町村道に二百四十一億二千三百余円を予定し、これにより約三千キロメートルの改良工事と約四千九百キロメートルの舗装工事を実施することといたしております。  次に、国道の直轄管理体制を強化するため、昭和四十年度においては、総計約一万一千キロメートルの区間について直轄で維持管理を行なう予定であります。  また、奥地等産業開発道路として十六億円を計上し、その整備を飛躍的に促進することといたしております。  なお、高速自動車国道等の調査費として二億四千万円を計上し、これにより自動車道の調査の促進をはかるとともに、本州四国連絡架橋調査費として六億四千五百万円を計上して、おおむねの結論を得ることといたしております。  さらに、積雪寒冷特別地域における道路交通を確保するため、これに必要な道路事業費及び機械費として六十六億一千八百余万円を計上したほか、交通安全対策事業として特に防護さくの設置を促進することといたしております。  また、街路事業予算につきましては、前述の道路関係予算に六百九十六億一千八百万円が含まれておりますが、これによりまして、道路改良、橋梁整備及び舗装新設の街路事業を実施して、都市内交通の円滑化をはかるほか、人家の密集した地区で、幹線街路の整備とともに市街地の合理的利用をも必要とする地区において、都市改造土地区画整理事業と市街地改造事業を実施することといたしております。  次に有料道路について御説明いたします。  まず、日本道路公団につきましては、道路整備特別会計からの出資金百二十億円のほか借り入れ金等を合せて一千二百二十九億五千六百万円の資金をもって事業を行なうこととしており、高速自動車国道については、東名高速道路及び中央高速道路東京−富士吉田間の建設の促進をはかるとともに、新たに国土開発縦貫自動車道については、予定路線が決定している東北、中国、九州、北陸及び中央自動車道富士吉田−小牧間の五路線の自動車道のうち、緊急を要する区間の建設に着手する予定であります。また、一般有料道路については、第三京浜道路等六路線を完成するとともに、大阪天理道路、北九州道路等の工事を進め、明石バイパス等の新規の事業にも着手する予定であります。  次に、首都高速道路公団につきましては、道路整備特別会計から出資金十五億円、地方公共団体からの出資金十五億円のほか、借り入れ金等を合わせて四百四十億五千四百万円の資金により事業を行なうこととしており、すでに実施している七路線の建設をさらに促進し、このうち、二号線環状部分、二号分岐線及び三号線を完成する予定であります。  次に阪神高速道路公団につきましては、道路整備特別会計からの出資金十億円、地方公共団体からの出資金十億円のほか借り入れ金等を合せて二百三十二億八千三百万円の資金により事業を実施することとしており、前年度に引き続き大阪一号線及び神戸一号線の建設を促進し、このうち、大阪一号線の梅田−上大和橋間を完成するほか、新規に大阪二号線の一部の建設に着手する予定であります。  第三に治水事業について説明いたします。  政府におきましては、国土の保全と民生の安定を期する見地から、治水事業の格段の促進につとめてきたところでありますが、近年の災害の発生の状況及び河川流域の開発の進展並びに水資源開発の急務にかんがみ、現行の治水事業十カ年計画の後期五カ年計画を廃止し、新たに、昭和四十年度を初年度とする総投資規模一兆一千億円の新治水事業五カ年計画を策定し、治水事業の一そうの推進をはかることといたしております。  昭和四十年度事業につきましては、新河川法が本年四月一日から施行されることに伴い、一級水系として利根川ほか十四水系を指定する予定のもとに、新治水事業五カ年計画の初年度として、河川、多目的ダム、砂防及び水資源開発の各事業について、緊急施行を要する事業の促進をはかることといたしております。  昭和四十年度の治水事業関係予算のおもなものとしては、治水特別会計において河川事業に六百十五億六千三百余万円、多目的ダム建設事業に二百一億七千三百余万円、砂防事業に二百五億八千三百万円、水資源開発公団交付金に五十二億五千余万円、一般会計において海岸事業に三十六億二千四百余万円、チリ地震津波災害地域津波対策事業に二億九千万円を予定いたしております。  次にそのおもな内容について申し上げます。  まず、河川事業につきましては、経済効果の大きい重要な河川、放水路工事、東京湾、大阪湾等重要地域における高潮対策、大規模な引堤工事、捷水路工事及び低地地域における内水排除施設の整備並びに地域の開発、水害の発生状況等から緊急に改修を要する河川等に重点を置いて事業の促進をはかる方針であります。  すなわち、直轄河川については、一級水系十五水系二十五河川、二級水系七十五河川及び北海道特殊河川として十六河川の改修事業を継続して施行し、さらに、新規に野洲川ほか一河川の改修に着手する予定であります。  補助事業について、中小河川改修事業として継続施行中の四百二十河川のほか、緊急に改修を要する三十河川を新規に採択するとともに、小規模河川改修事業として継続施行中の三百六十三河川のほか、新規に七十三河川の着工を予定いたしております。  高潮対策事業については、東京地区は緊急三カ年計画に基づき事業を進め、大阪地区は前年度をもって完了した緊急三カ年計画事業に引き続き大阪、兵庫地区の事業を実施する予定であります。  次に、多目的ダム建設事業につきましては、治水効果及び諸用水需要の増大を考慮して事業の促進をはかることといたしております。  すなわち、直轄事業では十ダムを継続して施行するほか、新規に矢作川矢作ダムほか三ダムを施行することとし、また、実施計画調査としては二ダムの調査を継続するほか、新規に石狩川の豊平峡ダム及び大雪ダムの調査に着手することといたしております。  補助事業としては、二十二のダムを継続して施行するほか、新規に雲出川君ケ野ダム等二ダムに着手することとし、また、実施計画調査としては五つのダムの調査を継続するほか、新規に増田川樽水ダム等六ダムの調査を実施する予定であります。  また、水資源開発公団において行なう利根川及び淀川の水資源開発事業については、継続施行中の利根川矢木沢ダム等四ダムのほか、新規に利根川河口堰等三ダムの建設事業に着手することとし、これらのダムの建設費の治水負担分として交付金を交付し、その促進をはかることといたしております。  次に、砂防事業につきましては、直轄砂防事業として継続施行中の二十六河川及び直轄地すべり対策事業として継続施行中の四河川について事業を実施することといたしております。  補助事業としては、近年災害発生の著しい河川及び土砂による被害の著しい河川に重点をおいて施行するとともに、都市周辺及び重要地域における予防砂防を実施することといたしております。  次に、海岸事業につきましては、近年頻発する海岸災害の被害状況にかんがみ、重要な地域における海岸保全施設の整備に重点を置き、直轄事業として継続施行中の十海岸の事業の促進をはかる予定であります。  補助事業についても、同様の方針のもとに、高潮対策事業、侵食対策事業として継続施行中の百七海岸のほか、新規に四十二海岸を予定いたしております。  第四に、災害復旧対策関係予算について御説明いたします。  災害復旧対策関係予算総額は、一般会計よりの歳出として四百四十五億九千余万円でありまして、その内訳災害復旧事業費三百九十五億七千八百余万円、災害関連事業費四十七億五千七百余万円、鉱害復旧事業費二億五千四百余万円であります。そのおもな内容を申し上げますと、まず、災害復旧事業費につきましては、直轄災害は内地二カ年、北海道三カ年復旧の方針に基づき、三十八年災は完了し、三十九年災は内地分は完了し、北海道分は八〇%の進捗をはかることといたしております。  補助災害については、緊要事業は三カ年、全体として四カ年で復旧する方針のもとに事業の進捗をはかることといたしております。  また、災害関連事業につきましては、災害復旧事業と合せて適切な実施をはかり、再度の災害を防止するため効果をあげることといたしております。  第五に、都市計画事業について御説明いたします。昭和四十年度における都市計画事業関係予算は、八百四十三億五千八百万円であります。このうち、街路関係事業予算額は、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団に対する出資金を含め七百二十一億一千八百万円でありまして、これにつきましては、すでに申し述べました道路整備特別会計に計上されております。  次に、一般会計に計上されております都市計画事業予算額は、百二十二億四千万円でありまして、これにより下水道及び公園の整備をはかることといたしております。下水道関係予算額は、百十六億九千万円で、前年度の当初予算に比べ二十八億七千万円の増でありますが、事業の緊要性にかんがみ、下水道整備五カ年計画に基づき事業を促進し、都市施設中最もおくれている下水道の整備につとめる所存であります。  また、公園関係予算額は、五億五千万円で、前年度の当初予算に比べ七千二百万円の増であり、これによりまして国営公園、都市公園及び墓園の整備をはかることといたしておりますが、特に児童公園の整備につきましては、意を用いる考えであります。  第六に、官庁営繕について御説明いたします。建設省で実施いたします国費支弁の営繕のうち、建設省所管予算として計上されておりますのは、百四億二百余万円でありまして、前年度予算に比べ二十一億二千四百余万円の増となっております。これによりまして中央、地方及び港湾合同庁舎の建設、その他一般官署の建てかえ国立国際会館の完成等をはかることといたしております。  以上が昭和四十年度予算の概要でありますが、なお、組織関係のおもなものといたしましては、本省においては、宅地行政の総合的かつ効率的な推進をはかるため計画局に宅地部を置き、その下に、宅地政策課を設け、宅地開発課を住宅局から移しかえる等所要の措置を講じるとともに、付属機関においては、建設研修所を改組して建設大学校を設置し、地方建設局においては、本省からの事務の大幅な委譲に伴い各地方建設局に計画部を、また、直轄事業の増大に伴い中部地方建設局に用地部を新設する等所要の整備を行なうことといたしております。  定員につきましては、当行関係のアタッシェが外務省定員に計上されることとなったための振りかえ減一人のほか、すべて既定定員内の振りかえにより所要の整備を行なうこととし、全体としては昭和四十年度における建設省定員は、三万五千七百十九人となります。  以上をもちまして、昭和四十年度建設省関係一般会計予算及び特別会計予算説明を終わります。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  253. 田中啓一

    主査田中啓一君) これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  254. 田中一

    田中一君 経済企画庁長官が、何か時間があってすぐ帰りたいというので、先にちょっと質問しておきますが、懸案のむつ製鉄の善後策はどうなっているかということを伺いたいわけなんです。御承知のように、三菱関係の会社が経営を担当しようということになってきて以来、もはや二年近くなっています。そして一年ほど前には、もう自分のほうでは現在この生産に従事する採算性を失ったから、めどを失ったから辞退をしたいということを申し出ております。しかし、むつ製鉄会社そのものは新規に創立されて、まだそのままで仕事もしない。開店休業の状態にあるのです。これは一体どういうことであるかということ、これはもうだれが聞いてもおかしな話ですよ。この出資の大手筋というのは、結局東北開発会社がこれを担当し、かつまた、東北開発会社は国費をもってこれを事業を推進している性格のものなんです。したがって、これに対する経済企画庁長官の見解、それから将来の見通しですね。私は再三開発局長に伺ってみますと、問題はございますけれども、何とかしてあげたいけれども、どうにもしようがありませんということを言っておる。それだけでは解決しない。そしてまた、この四十年度の新しい予算を納まれておる現在においても、これに触れておらないわけです。むつ製鉄は、昨年までは月間一千万の経費を使っております。何も生産しない。今日なら多少人間等も分散した者があって、やめた者があって七百万程度のものが毎月消費されているわけです。ひとつその見解を伺っておきたい。   〔主査退席、副主査着席〕
  255. 高橋衛

    国務大臣(高橋衛君) お話のとおり、むつ製鉄は、昭和三十八年の四月に東北開発株式会社に対して、むつ製鉄の会社の設立について政府から認可をいたしたものでございます。しかして、その設立の認可をする前に、これは言うまでもなく、あの東北地方の唯一の資源といわれているところの砂鉄資源、この砂鉄資源を何とか有効に活用して、あの地域の開発に寄与いたしたいと、こういうことでかねがね検討が続けられてまいっておったのでございますが、何と申しましても、相当巨額の投資を要する事業でもあり、また同時に、これは高度の技術を要する問題でもありますので、政府におきましても、技術面等について通産省の協力を得てずいぶん検討はいたしましたが、これは同時に民間の企業家の判断と、それからいま一つは、実際に企業をなさる方がそれに参加していただくということによってその判断をすべきであるというような考え方から、認可をする前に、その道の専門家であるところのその当時の日本鋼管の伍堂輝雄さん、それから堀越禎三さん、それから石原武夫さん、それに興業銀行の頭取の中山素平さん、この四人の方にお願いをいたしまして、この問題について経営面、技術面その他万般の事柄についてひとつ検討をして、これを実際に東北開発の株式会社の今年度事業としてこれを実施していいかどうかということについての意見を求めたわけでございます。ところが、その四人の方の一致した御意見は、まず第一に、この問題は非常にむずかしい問題である、しかしながら、可能性がないわけではないように思われる、したがって、もしも三菱グループが技術、経営その他について、資本についても経営参加をしていただけるということであるならば、これは成り立ち得る事業であろうという趣旨の答申があったわけでございます。そこで、政府といたしましては、三菱グループに対していろいろと要請をいたしまして、そういう事柄について協力してもらえるかどうかということについての確認をいたしたわけでございます。その結果として、三菱グループは、その当時の三菱製鋼の社長であるところの三浦さんを社長に、技術陣も出しましょう、それから、資本金はとりあえずは五億円でございまして、そのらち四億円は東北開発の出資、一億円を三菱で出す。しかし、それも将来できるだけそのシェアを増していくというような事柄であったわけです。それから、経営についても、経営と申しますのは、こういう問題については販路——でき上った製品の販路が非常に重要な問題でございます。原料並びに販路についても相当な協力が得られるということが必要でございますので、そういうところを確認いたしまして、そうして、覚え書きの交換をした上で、四人委員会の答申もそうでございましたし、それから、三菱グループもまたそういうふうな状態で覚え書きの交換もできた次第でございましたので、それで認可に踏み切ったような次第でございます。ところが、その後急速に製鉄業界と申しますか、むしろ特殊鋼業界というものが、非常に大きな技術革新もございましたが、世界的な変動がございました。それで、それが最近においては、御承知のように、日本特殊鋼の問題、山陽特殊製鋼の問題、こういうような問題が表面に出てくるというような時代に相なってまいったわけでございますが、根本的には、砂鉄原料によらずとも、高炉銑によって相当優秀なしかも廉価な特殊鋼原料が得られるということができてまいったわけでございます。それで、そんな関係もございましたし、もう一つは、その当時すでにもう砂鉄、特殊鋼の価格がある程度下落を示しておりましたけれども、実はその当時の段階においては、鉄というものは世界的に見まして相当騰落の激しい商品でございます。そういうふうな景気循環的な趣旨によるところの下落であるか、あるいはそういうふうな技術革新によるところの、根本的にそういうふうになっているのかということについての判断は確実にできなかったわけでございますが、政府といたしましては、まあ専門家の意見もそうでございましたが、景気変動的な条件によるところのある程度の下落であろうというような判断を、三十八年の認可をするころの段階においては、そういうふうな判断をいたしておったわけでございます。ところが、それがその後の経過においてどんどん世界的に市価が下落するというような状況がございました。それから、技術面につきましては、その当時スウェーデンにおいて新しい、そういうふうな砂鉄を原料とするところの特殊鋼原料の製鉄方法が発明されておりましたので、これを工業化に実用化することができないだろうかということで、三浦社長みずから技術名を連れてスウェーデンに参りまして、これも相当期間研究に当たったわけでございます。それで、採算的になりますと、相当数量も大きな程度の炉にしなければ、これは採算ベースに合わないというようなこともございますが、とにかくむつ製鉄とされましては、その間第一案、第二案、第三案というふうに、幾つかの案を用意されまして、それを親会社である東北開発株式会社に提出され、その検討を求めておられました。政府といたしましても、問題は認可いたしました問題でございますし、何とか東北地方の開発に寄与するという趣旨で認可をした問題でございますから、一口も早くこれが実現をしたいという熱意のもとに、形の上では正式な提出ではございませんでしたけれども、実際上の事業計画として認可をいたします際に、一日も早くその認可ができるような準備を整えておくというような趣旨をもちまして、絶えずその新しい案を次々とトレース研究をしてまいったわけでございます。ところが、経済界全体の動きも、先ほど申しましたように、技術革新の関係から、なかなかこの採算がとれるような事業計画ができにくいというような状況にもなってまいりましたし、また、その後さらに砂鉄を原料とするところの製銑だけではなしに、さらに進んでステンレスまで入るというふうな案についても、案を検討してみたのでございます。しかし、これについてもとうていそれがむずかしいというようなことがはっきりしてまいりました。その後むつ製鉄においては、第四案と称するものもおつくりになって、実態は別といたしまして、検討しておったのでございますが、当初三菱グループが社長を送り、技術陣を送り、そうして全面的にこれに参加をして、そうして企業として成り立たせようという非常な熱意を持っておられたその三菱グループが、昨年の十二月になりまして、東北開発株式会社に対して、このむつ製鉄の事業に対しては辞退申し上げたいという趣旨の文書を提出されてまいったのでございます。それで、東北開発株式会社としても、また政府といたしましても、先ほど説明申し上げましたとおり、この認可をいたしましたときの条件が、四人委員会の意見がそうでございましたが、三菱グループが政府に、技術についても、経営についても、全面的に参加して、そうして経営の半分の責任を持つならば、それならばこれはやっていい性格の仕事ではなかろうか、であろうという趣旨の答申があったわけでございますが、その前提条件がくずれたことに相なったわけでございます。それで、三菱グループから正式に東北開発株式会社に対して、そういうふうな文書の提出があった、こういう趣旨のことを、昨年の年末の閣議で私から報告をいたしました。しかしながら、これはそれまでに下北地方では、このむつ製鉄を成立させるためにいろいろの地元の協力という意味におきまして、国、県、市町村等の関係から、約七億円程度の、つまり先行投資が行なわれておるわけでございます。そういうふうなことの関係もございますし、また、東北開発株式会社設立の本来の趣旨が、東北地方の開発という点にあることでもあり、また、政府といたしましても、そこまで熱意を持って、何とかしたいということでやってまいった事業でございますので、これを当初の計画をそのまま続けるのは困難であるという事態になったことは、これははっきり確認いたしましたので、今後の措置、つまり、東北地方の開発、特に下北開発ということについて、何か方法がないかということについてこれから検討して、前向きに検討していきたい、かような考え方のもとに、その後も検討を続けてまいっているような状態でございます。それで、特にこの際申し上げておきたいと存じますが、こういう問題は、どうしてもお役所仕事では、これはなかなかできる仕事ではございません。民間の企業が、先ほど申しましたように、三菱がそうやって参加してくださる、また、その他のどこかの企業が参加してくださって、経営なり、技術なり、または販路というふうな面について、ある程度確かなめどがつかなければ、結局、また失敗を繰り返すというふうなことになって、かえって逆に地元の開発じゃなしに、地元に非常な御迷惑をかけるという結果になるおそれがございます。そういうふうな関係から、その内容については、ただいま申し上げることは適当でないと存じますので、御説明は遠慮さしていただきたいと存じますが、しかし、政府としては非常な熱意を持ってこれに対して何か道がないかということで努力をしておるということをひとつ御了承願いたいと思います。  なお、昭和三十八年度までに会計検査院等からも御指摘がございまして、この東北開発株式会社には約六十億円という非常に大きな累積赤字ができてまいっておったのでございます。それで政府といたしましても、これを何とかして根本的に立て直す必要があるということで、再建計画を立てまして、そうして三十九年度から五カ年計画で毎年政府出資を十二億円ずつする。そして従来の累積赤字その他のいろいろな負担を軽減して差し上げながら、同時に、セメントとかまたはハードボードとか、またはカーバイド、またいろいろ事業がございますが、そういうふうな事業、それぞれの事業についてこれの合理化と、それから経費の節約というような方面を鋭意進めてまいっておるような状況でございます。重役等もその点全部責任をとってやめていただきまして、重役陣も少数の精鋭な人に出ていただく、機構も縮小するということによって、その後相当経費の節約もし、そしてただいまの段階では、私どもの見るところ、会社の当局は非常な熱意を持って業績の改善とそれから建設と、さらに本来の目的であるところの東北開発に寄与できるような方向にということで、熱意を持って一体となって当たっているというふうな気魄が感ぜられておるように見ている次第でございます。
  256. 田中一

    田中一君 高橋さんは、一応いままでの経過その他に対する報告と見通しを述べておられるけれども、結局、生産を担当しようという日本冶金が全然いまでは見込みがございませんと言って手を引いているわけです。しかし、民間産業というものは、目の前の採算性だけを目的にして事業を起こすものじゃございません。したがって、長期の展望の上に立って、当然国がするという約束をしているんですから、すべき援助はしなければならぬと思うのです。しかし私は、東北開発会社というものは単に採算性の問題だけで存在しているものではないということは、これはあなたも御承知のとおりです。戦争の始まる以前から、東北地方の貧困、これを救うためにはというので、東北振興という形で出発したこの会社が、ただ単に、民間企業に頼んだら採算がとれないからやめますということだけで済むものじゃないわけなんです。ことに、青森県並びにむつ市はもう七億程度の出資をしております。準備支出をやっているわけです。これは明らかに政府が認可をするから受け入れ態勢を整えろというので、借金をして、青森県が設備投資をやっているわけです。そして現在、御承知のように、三菱グループが手をあげてきたときに、自民党は取り上げました。むろん私どもの社会党も取り上げました。自民党では第四案をもととした再建策をつくっております。あなたはいま、政府の力が及ばないと言っているけれども、政党の力を借りたんでしょう。自民党の東北開発特別委員会ですか、この国会議員が集まって一つの案をつくりました。これはあなたの手元にあると思います。せめてこれは、与党でありますから、この案がおそらく政府の立場も考え、所得倍増計画から来たところの今日のひずみの一つです。地域格差をなくすといいながら、ますます地域格差を広げようという結果になったわけでありますけれども、自民党の案というものも一応の案です。これに対しては十分検討したことはあるのですか、また、これは政府から積極的に自民党にこれを依頼して、再建案というものを立てたのですか、その点ちょっと伺っておきます。
  257. 高橋衛

    国務大臣(高橋衛君) 先ほど、この際私どものやっていることを申し上げたことはないので申し上げたいということで申し上げたのは、自民党の案のことではございません。自民党の東北開発、むつ関係の小委員会がございますが、その小委員会の方々が非常に熱心にいろいろと案をおつくりになり、そして、その検討を政府に求められておられます。その案につきましても、政府としては、ただいま技術的な、または資金的な面の検討を続けておりますが、それと並行してと申しますか、それとは別途に、私ども何かあそこに、下北開発のためにこれを生かしていくということができる方法がないかということで、そういう面から企業界に対して働きかけて、そしていろいろ非常に奔走している段階でございます。それで、ただその成果がどうなるかということについては、いまのところ何とも申し上げかねる状況でございます。デリケートな段階でもございますので、その点はひとつこの時点においては説明を申し上げることは御遠慮さしていただきたいと思います。たいへん申しわけないと思います。
  258. 田中一

    田中一君 しかし、国費を投入してやっているという事業が、もうあなたが一番信頼できる国家経営ではできない。民間に頼んでやるのだ、民間のトップ・メーカーといいますか、日本冶金などは相当なものです。それが手をあげている。そして、それはそれでいいとしても、手をあげたことに対しては、お前は契約違反じゃないかと言ったところがどうにもなりません。ただ、ここに五億円の資本金のうち百人余の人間を入れて三菱グループがここに入ってきた。そして今日、その五億のうち三菱は一億円、東北開発は四億円、この金はどのくらい使っております。そしてまた、相かわらず何もしないで、もう一番最初の時分には月に二千万円、だんだん減りまして一千万、ようやく昨今は人間を整理してきて、月に七百万の経費をじんぜん消費して、そして何も生産のめどがつかないということは、これは一体どう措置するか。あなたはいま言っている、研究しておりますと。しかし、研究しておりますと言っても、その点については言明を避けます。それは言明を避けるということではなくして、研究してもどうにもならぬということなんです。あなたは、あなたがやめたらおれの責任はないのだということしかないと思う。東北開発の問題は、ただ単に、あなたの任期中の問題ではございません。あなたにすれば、火中のクリを拾わなければならないという立場に立っているから困るでしょうけれども、しかし、このままではおけないわけです。むつ製鉄の問題は、少なくとも国が認可をした事業であり、見通しがなければ何とか始末をつけなければならない。始末というのは、これからあと一年、二年、三年とかかれば、それだけのものは国費をむだに使うわけです。会計検査院会計決算じりの問題をとやかく言うのは、それはいいでしょうけれども、それを一つの目的で研究なら研究をしているのだという事実があるならこれはいざ知らず、長期展望の上に立たなければならぬのです。しかし、どうにも方法がございませんということでもって、しばらく時間をかすなんということでは困るのです。これはまあ、あなたがやったことではないから何とも言えぬけれども、しかし、ほんとうに見込みがあるかないかという点だけを伺いますけれども、将来、あの砂鉄の製練というものが見込みがあるかないかということなんです。技術的に。そうして、それがただ単に市場の価格でばかりこれを売って利潤をあげるのだということじゃなくて、もっと国家的見地に立ってやったらいいと思うのです。私は、これが一つの基本産業の国営というものに降りかかって、それこそ民間の衆知を集め、技術を結集して、国営という形でもって大規模な投資計画をもってやるならば、私は決して負けるもんじゃないと思うのです。おそらくその反面には、民間企業から、おまえのほうでそういうことをやられたんじゃ、とてもこっちはかなうもんじゃないから、これはどうしてもやめさせようという意図が、あなた方の背後にある後援者なり、あるいは政府を支援する産業界の諸君から圧力があったというように私は見ているのです。率直に、この見通しはどうですか。それは、いま研究中であるなどと言って、国費を毎月毎月七百万円、年に一億近い金を使うということは、これは許されるもんじゃございません。もうこの辺で最後のピリオドを打つことが必要だと思うのです。さもなければ、もっと積極的な施策をとることです。むつ製鉄の問題と同じように、今度は東北開発の問題が起きてくるわけですね。ことしから十二億の金を融資するのだと言うが、これは何に使うんです。そのうちの相当部分は、むつ製鉄の何も生産をしないところの諸経費に充てられるものだと思うのです。結局においては、三菱は一億円の投資——投資と言うか、出資をぱあにするようになりますから、責任がない。また、現在の三菱から来ている社長、技術陣に対して、物質的な何も弁償の責任の契約はあるわけじゃないと思うのです。そのいまのむつ製鉄の問題だけにつづめてどう処置するか。ほんとうにあなたが、いま言えない、もう少し待ってくれと言うのは、何年待つのか、何カ月待つのか、その点を明らかにする義務がございます。これは。どうですか。
  259. 高橋衛

    国務大臣(高橋衛君) 先ほど御答弁申し上げました中に、数字の間違いがございましたので訂正さしていただきますが、東北開発の累積赤字が六十億円と申し上げましたが、これは四十年度末におけるところの見込みが六十億円でございまして、三十八年度末の実績は、三十五億何千万円かでございます。  それから、いま一つの御質問は、ごもっともでございます。御心配くださるのは、これはもう国民として、また、いやしくも国の税金を扱う事柄でございますから、これはもう、当然、御心配くださるお気持ちは十分にわかりますが、ただ、ここで申し上げられますことは、三菱グループが、あえて正式にその辞退を文書をもって表明して来ました以上、あの方式によるところのやり方はとうていもう見込みはない。しかもその間、御承知であるかどうか存じませんけれども、三菱があれだけ覚え書きの交換をし、非常な熱意を持って積極的に東北開発のために尽くそうと、ことに東北開発の社長は、三菱出身の方でもございます。そういうことで非常な熱意を持って出てこられたにもかかわらず、そういうふうな文書をもってお断わりになるということにならざるを得なくなったという事態からも、おそらくはお察しくださると思いますが、あの系統の方式ではとうてい無理だということは私どもは判断いたしておりますが、それだからといって、一体下北開発計画を全部捨てていいかということになると、これはどうも、地元があれほど先行投資をおやりになって、また、政府としても、いままでそれだけのことをやってきたという、また、東北開発株式会社の本来の目的が、あのおくれた東北地方の開発をやっていこうという趣旨でございますから、そういうふうないろいろな面から、このまま放置すべきではない、何か新しい計画をひとつ考えよう、そうして、企業家にも働きかけて、そうして、一はだ脱いでもらおうという趣旨の努力をただいまいたしておる次第でございます。先ほど御例示になりました日本冶金の問題を言うのじゃございません。また、三菱の関係の問題でもございませんが、どういうことをやっているかということにつきましては、これは、先ほど申し上げましたとおり、そういう熱意を持って当たっておる。しかも、こういう問題は、そんなに長く、いつまでたっても結論の出せぬということでは、これは政府もしようがございません。やはり政府も、向こうの者を中に入れても、真剣にこの問題と取っ組んでいただいて、そうしてできるだけ早く結論を出したい、こういうふうに考えておる次第でございます。  ただ、少なくとも私どものこの問題に対するところの熱意は、ひとつ御信頼くださって、そうして、しばらくその経過を見ていただきたい。かように考える次第でございます。
  260. 田中一

    田中一君 これは、鉄鋼業、ことに特殊鋼については、ただ単に、日本で原料がないわけですから、方々から買っております。たとえばステンレスの問題にしても、大体カナダ方面から送ってきています。これはみなドル貿易です。国際的なそういうドルの圧力というものは、相当大きく響くのじゃないかと思うわけです。たとえば、ステンレスにしても何にしても、アメリカから原料を取ってインポートして持ってきて、圧延してやっております。ただ、圧延工場一つつくるにも、百億かかります。私は、一つの案として考えられるのは、御承知のように、シベリアは、たいへん電力が安いために、アルミニウムのたいへんな飽和というよりもはんらん状態です。これを加工するという技術が、向こうにもない。ヨーロッパ方面にも若干出ていますけれども、これはそんなものじゃない、大量に出てくるのです。日本で電力費が二円幾らという場合に、向こうでは、日本の金に換算して二十銭台でやっておる。山のように積んでいるアルミニウムの用途というものは、相当大きいのです。橋でも何でも、用途がたくさんございます。鉄にかわるくらいある。何かそういう、一番手近で、そうして、東北の経済的な格差というものを解消する方法はあると思うのです。安いですよ。現在、アメリカから輸入している材料の三分の一の価格で日本に入ってまいります。これを、御承知のように圧延する工場がない。現在のアルミの圧延工場も、アルミの製錬をするところは、みんなアメリカの資本とアメリカの技術でやっておるのです。アメリカから、また一連の援助を受けておる。だから、そういうものは、安くていいものも、日本の社会には入ってこないということなんです。これを一ぺん検討してごらんなさい。これだけの先行投資をしておるという仕事を、私は、やめろと言っているのじゃないのです。こういうことを言うのは、一日も早く結論をつけろということなんだ。結論をつけろということは、生産再開せよということです。そうして短期の展望に立って、一つの事業を経営するのじゃなくて——基幹産業です。この鉄鋼という仕事は——長期の展望の上に立って、積極的に出資すべきものは出資しなさいというのです。いまの長官の答弁では、まだ何月あるいは何年、あなたの任期中に解決つかぬと思う。あなたの任期中に解決するという自信おありですか。いまのステンレスをつくるとかなんとかという方法は別にして、新しい開拓を試みるという意図を持っていますか。情熱を持ってやっていると言ったって、情熱を持ってやっているのじゃない。それはすべて依存しているのです。むろん、高橋さんは技術屋じゃないから、技術的な証明をしろと言っても、自信がないでしょうけれども、長官としての立場でもってあなたの任期中に必ず解決しますか。またしていただきたいのです。その点についての自信はどうです。言いのがれではだめです。あなた自身が責任を持って、かけずり回りて、衆知を集めて再建するという方途を見つけなければならぬです。
  261. 高橋衛

    国務大臣(高橋衛君) 昭和四十年度予算にも、先ほど申しました十二億円の出資のほかに、二億円の出資と、別途三億円の融資で五億円、そのほか別途追加して要求をいたしたわけでございます。もちろん、二の金額でもって、十分であるとは存じておりません。問題のありようによっては、大蔵大臣にも相当融資その他の措置のお考えを願わなければならぬということはたびたび申し上げておるような次第でございますが、しかしながら、東北開発株式会社は、会計検査院指摘しておりますとおり、これだけの累積赤字を持っている。政府が助成する限度というものは、資本が、つまり政府が配当の要らない出資をしたり、また融資をして差し上げる、そういうことが結局限度になるところの助成になりはしないか、東北開発株式会社の性格から見て。そういうものは政府の各機関を動員して、それを可能ならしめる力添えをすることは当然でございますが、金銭的な面から申しますれば、そこに限度を持たざるを得ない。そういう限度において、私どもは三年、五年のうちに必ず黒字になるというふうなことでなくてもいい。とにかくある程度の期間を経過した後においては必ずこれが黒字になれるのだという企業採算のできる案でないと、これをまた始めて私ども軌道に乗せるということはこれは妥当でない。われわれの税金を預かる仕事をする面からいいましても、責任が持てない。そういうふうな感じ方から、慎重な態度をとりながら、しかしながら、ただいまかけずり回れというお話もございましたが、私自身ではかけずり回って非常な熱意を持ってこの問題に対処している、むしろ非常に苦労していると、私の時間の分配から申しますと、相当これに大きな時間をさいておるというのが実情でございますが、しかしながら、こういう問題はそれじゃいつまでにできるのだ、おまえ責任持てるかとこう言われましても、事業というものはそういう性格のものじゃなかろうと思います。ただ、何とかして開発の立ちおくれた東北の開発、ことに下北についてはそういうふうな行きがかりもございますので、政治的な観点からも非常な熱意を持ってこの問題の解決に当たるということは、これは当然であろう。われわれの責任はそういうふうな観点から努力をいたしておることを特にこの際申し上げておきたいと思います。
  262. 田中一

    田中一君 これ以上言っても、結局高橋さんしろうとなんですから、だれかの言っていることを、助言を判断していいか悪いかきめる以外にないと思うのです。   〔副主査退席、主査着席〕 ただ単に努力、努力と言うだけじゃ済まない。現実に毎月毎月七百万の出費があるわけなんです。これは結局税金なんです。六十億のいままでの赤字が累積されると言っても。六十億でもってはっきりと東北の経済的格差というものが是正されるならば、赤字なんかこわいものではないですよ。そういう目的で東北開発株式会社はつくられている。この点についてはたいした期待が持てぬと思いますけれども、いまは一応あなたのことばを信用しましょう。一応聞いておきましょう。ひとつ努力していただきたいと思います。この問題についてはこれでやめます。
  263. 田中啓一

    主査田中啓一君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  昭和四十年度予算建設省所管についての審査のため、日本住宅公団の役職員参考人として本日出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 田中啓一

    主査田中啓一君) 異議なしと認めます。さように取り計らいます。
  265. 藤田進

    藤田進君 日本住宅公団の業務について地方都市が漸次住宅難を覚えつつある、いや意外に深刻になってきておるところがあるのであります。これは今後四十年度以降の御計画として住宅公団の支所を設けるとか、どういう御計画があるかまずお伺いしたい。
  266. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) 御存じのとおり、日本住宅公団は住宅難の最も激甚な地方において賃貸住宅また分譲住宅を建設いたしまして、健康にして文化的な生活ができるような大量の住宅を供給をする、あるいは宅地の開発をするということがたてまえとしてできておるわけでございます。現在この趣旨に沿いまして東京周辺、京阪神、中京方面、北九州及び福岡方面というのを主眼として住宅の建設をいたしております。しかし、現在も、たとえば北海道におきまして、わずかでございますが賃貸住宅を札幌に建設いたしました。また、仙台にも、少数でございますが賃貸住宅を建設いたしました。また、会社に勤務する職員の住宅宿舎を供給するために、会社に対して特別分譲住宅という名前を用いておりますが、住宅を分譲いたしますということは、大体全国的に必要に応じていたしまして、労働力の吸収また労働の移動に便利を与えるというたてまえからこれは全国的にいたしております。なお、個人に対する普通分譲住宅もある程度建設をいたしております。来年度におきましては、いわゆる持家対策というたてまえからいたしまして、この普通分譲住宅は相当数の増加をいたす考えを持っております。また、地方の大都市以外の中都市におきましても、住宅難の激しいところにはこれは公団に与えられました一つの予算上のノルマがございますから、それをにらみつつ、たとえば広島であるとか、あるいは新潟というような方面にも、その必要に応じて賃貸住宅を建設するという計画は持っておりますが、現在実際に行なっておりますのは、広島におきまして、御存じの市街地施設としての賃貸住宅を建設するということにいたしております。この点にも注意を払って拡大強化をしていくという必要が社会事情の動きに伴って起こってくるということも考えております。
  267. 藤田進

    藤田進君 時間がないようですから、この点は地方都市がだんだんと間借り家賃等が高くなるということは需要供給のバランスがくずれているわけです。ですから、これは建設省におかれても、四十一年度予算はいずれ確定するでしょうが、これら予算の執行にあたっては、過密都市の緩和とかいったような一連の高次元の政策ともからんで、地方都市の住宅緩和については特に考慮を払っていただきたいと思います。  さて、いわゆる分譲住宅について若干具体的に指摘いたしたいのですが、地価対策その他物価対策から見てもいかがなものであろうかと思われるのは、こうした公的住宅ないし宅地等の分譲にあたって、どうもその分譲単価、価格において高いのではないだろうかと思われるものがかなり多いのであります。本日は大蔵省いますか。
  268. 田中啓一

    主査田中啓一君) 主計官が来ています。
  269. 藤田進

    藤田進君 たとえば、大蔵省もけしからぬと思うのは、産業において、いわゆる会社法人等が社員を対象に埋め立て等をして、そこへ融資もつけてやって安い宅地分譲をするというときに、地方の国税局は、そういう安い分譲をしてはならぬ、周囲の地価というものがあるからということで、わざわざ安い坪一万円そこそこのものを、二万円あまりで売らなければ贈与税で取るとかなんとかね、現実にあるのですよ。私はね、それに周囲がもうべらぼうに地価が上がっているのであって、これは農業その他の収益から見ても採算に合わないような実情であるにかかわらず、二のようなことが政府において行なわれるということは、税徴収の面からいえばそうしたいのかもしれない。つまり、価格を上げておいて、それに対する不動産の取得税なりなんなりですね。けれども、これは少し政府の政策と出先のやっていることとの矛盾が出てきているのではないかと実は思うわけです。これは具体的に例がありますがね。このようなことが影響しているのか、この日本住宅公団についての分譲宅地なり建物あるいはその両者合わせた場合に、現実にかかったコストによってこれが分譲されるというのではなくて、ある種の価格政策に基づいて分譲価格をおきめになるような私はどうも気がしてなりません。原価構成なり、そのコストというものは私にはわかりませんから、ばく然とそう思うわけであります。そこで、いまのような方針を大蔵省がとっているのが、そして日本住宅公団の分譲についての価格算定はどういうふうにおやりになっているのかお伺いしたい。  その前に、時間がないから、たとえば今度出されました外苑分譲ですね。これを見ますと、ここ最近のあれを見ましても、大体あれじゃないでしょうか、全部で百九十六世帯くらいはいれるんじゃないかと思うのです。南東入れまして。これがまだ七十一世帯というか、四割近くが……へ相当これは殺到したようですし、抽せんなさって相当な倍率であったにもかかわらず、実際の契約という段階になってくると、案外これは高い。私もそう思います。五百七十万といったクラスが一番多いのですね。あれは国有地ではないだろうか。ブレス・ハウスに使われたんでしょうが、これ実際にこんなにかかったろうかと疑問を持つわけです。鉄筋コンクリート七階建て坪当たり幾ら幾ら、それに基礎工事を入れて、それに土地が幾ら、その他の設備−電気、水道、ガスとか、そういうものを合わせて坪面積で割って、そうしてA、B、C、Dいろいろありますが、これは面積に掛け合わせて単価が出たというものなのか。ある種の政策的なものが加味されたのか。公団住宅としてこんなに残るということ自体がふしぎなくらいなんですね。こういう具体例も含めて御答弁いただきたい。
  270. 長岡実

    説明員(長岡実君) 先生がおっしゃいました会社の社宅と申しますか、従業員のために分譲の宅地を非常に安く会社が供給するという場合の課税の問題でございますが、宅地その他に限りませず、財産の譲渡の場合、全般的に、きわめて低廉なる価格で譲渡をいたしました場合には、その通常の場合よりも、それだけの利益を与えるという観点から贈与税の対象にするというような課税の方式をとっております。その場合、それでは、一体どのくらいから非常に安いというめどをつけるかという問題が非常にむずかしい問題であるわけでございますけれども、私の聞いておりますところでは、国税当局が現在低廉譲渡と称して判断をいたしておりますのは、大体時価の半分以下くらいの価格という場合には、これはやはり社会通念上から考えまして、非常に低い値段で譲渡したというようなことから、贈与税その他の課税の対象にしておるのではないかと思います。おそらく先生が御指摘になりました具体的な案件は、時価の半分以下の値段であったのではなかろうかと考えます。  それから、住宅公団の宅地造成によります分譲につきましては、公団側からもお答えがあると思いますけれども、住宅用の宅地につきましては、大体造成の原価を回収するというのが原則で宅地の分譲価格をきめておると思います。
  271. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) お答え申し上げます。あとでお尋ねになりました神宮外苑のいわゆるプレスマン・ハウス、これは非常に特殊な例でございまして、御存じのとおり、昨年オリンピックが開催されましたその際に、外国の新聞記者のブレス・ハウスを競技場の近所に設けなければならないという事情のもとに、オリンピック組織委員会、政府において、日本青年館をプレス・センターとして開放して使用されるということに相なりました。したがいまして、それに対して、当初は約七百人と申しておりましたが、千人近い外国からの新聞記者諸君がお見えになりますので、そのプレス・ハウスの近所にプレスマン・ハウスを建設するということが政府の方針、また組織委員会の方針として取り上げられたわけでございます。そこで、その建設主体をどうするかということ次官会議等においても検討されました結果、日本住宅公団においてこれを建設するということにきまったわけでございまして、実は、御存じのように、外苑のどまん中でございますので、非常に場所柄もよろしいし、公団の、なるべく安い分譲家屋を、住宅をつくるということにはぴったり当てはまらないわけでありますが、そういう特殊事情のもとにこれを建設をいたしまして、三十九年の九月一日から十一月末までオリンピック組織委員会に賃貸いたしまして、そうしてそのあとを分譲住宅といたしたわけでございます。したがいまして、大体この神宮外苑の分譲住宅は、そういう特殊事情でございますから、他の住宅公団において建設しております分譲住宅の価格よりは相当高額なものになっておりますが、しかしそれは、政策的に申しますか、相当利益を——利益はもちろん公団に見ませんけれども、高値に分譲するということはいたしておりません。この分譲の価格の決定の基準といたしましては、償還金が第一でございます。それから分譲の事務費、まあ貸し倒れ等を考慮いたしまして、わずかながら引き当て金等を加えまして、これがこの基準でございますが、価格の基準となりまするものは、用地費と建築費でございます。それで、そのうち用地費分は大体一時金として支払っていただいて、あと二十カ年賦で償還を、払い込みをしてもらうというたてまえでつくっておるわけでございます。他の営利会社等において建築されたと仮定いたしまするならば、はるかにこれよりも高価なものになるということは間違いないのでございまして、大体原価を中心として分譲価格を決定して分譲申し上げたわけでごございます。  それから、もう一つのお尋ねがございました神宮外苑の戸数は百九十六戸でございますが、いまのような事情でございますので、あるいは申し込みをして抽せんに当たったけれどもキャンセルするというような人があるであろうという予想のもとに補充を三割方とってあったわけでございます。なお、それでも満たないという場合がございますことを予想いたしまして、抽せん漏れになった方々についても順序を立てまして、そうしてそれに従って分譲をいたすことになっておりました。お話しのとおり、当初の申し込み抽せんに当たられた方でキャンセルされた方がございましたが、それはその補欠で埋めました。さらに、それでも満たないという場合には、第三段階の手段をとりまして、現在、百九十六戸のうち四十五戸は、五十七人の方でいま審査をいたしております。来月の上旬には全部決定を見る見込みでございます。
  272. 藤田進

    藤田進君 これはまあ二十四坪、あれですか、2LKのA1、A2、ずっと表をいただいておりますがね。そうなると、坪当たり二十四、五万近くになるのですが、鉄骨構造にしても、日本住宅公団としては、大体鉄筋鉄骨構造になると、そんなに坪単価出しておりますか。私の聞いたところでは、一般にそういう単価はないと、どういうことなんですか。
  273. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) 先ほど御説明申し上げましたように、土地代とそれから建築費と付帯設備費等を全部加えまして分譲価格を決定したわけでございます。外国の新聞記者が入られる関係がございますので、坪数は相当広くなっておりまして、二十四坪ないし最も大きいものは三十八坪というものになっております。土地代と建築費と、それに対する付帯設備費というものを総合いたしまして分譲価格を決定したわけでございます。
  274. 藤田進

    藤田進君 これは、土地は四億三千万円、これは国有地ですが、単価は幾らなのですか、坪当たり。
  275. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) これは、あそこは地形が非常に造成にむずかしいところでございます。たしか十七万円の評価で出資を受けまして造成いたしました結果、造成費を加えますと、大体坪二十万円ということになります。
  276. 藤田進

    藤田進君 そうすると、この表にはないのですが、坪当たり二十万だが、これは七階あったから七分の一になるかどうか。あるいは建物以外、周辺の空地がむろんありましょうが、複雑でしょうが、いずれにしても建物床面積坪当たりの土地代というものが、これは非常にわずかなものになるだろうと思うのですね。そうすれば、あとの鉄骨構造直接の建設費——用地を除いたものがかなりの単価になっているように思うのです。いかがですか。
  277. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) 七階建てでございますが、しかし、坪数は二千八百十四坪でございます。全体の坪数は。それに百九十六戸が建っておるわけでございます。それと建設費でございますので、建設費は坪当たり十二万三千七百円程度でございます。
  278. 藤田進

    藤田進君 それから、他の周辺地にも、あるいは地方に置かれているものは、大蔵省の答弁のように、原価、若干それにその後の分譲その他の事務費等が加わるとしても、まず原価主義でいっているのですか。
  279. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) 宅地でございますか。
  280. 藤田進

    藤田進君 宅地も住宅も含めて。
  281. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) 住宅につきましては、大体原価主義でございます。二、三この近郊に建てました分譲住宅の価格を申し上げまして御了解を得たいと思いますが、国領というところがございます。ここで建てましたものは3DKと3Kでございます。3DKというのは、三寝室とダイニングルーム・キッチン、3Kというのは、三寝室とキッチンでございまして、3DKは二百八十四万円が分譲価格でございます。それから3Kは二百六十二万円でございます。それから、高根台というのが千葉県の船橋市にございますが、ここでつくりましたのは3LDK——三寝室とリビング・ルームとダイニング・キッチン、これが二百八十二万円でございます。それから三百万というのもございます。これは同じ3LDKでございますが、これは多少面積が広くなっておるのでございます。それから、辻堂につくりました3DK、これは百八十一万円ないし百八十九万円、3LKは二百八十二万円から二百九十三万円というもの、これは大体原価主義で分譲いたしております。  宅地につきましては、分譲宅地は原価主義で分譲いたしておりますが、一昨年工場用地の分譲につきましては、営利事業に対する分譲でございますので、近傍の時価というものを調査いたしまして、それによって分譲するということにいたしております。
  282. 藤田進

    藤田進君 そうすると、建設大臣にお伺いしますが、いまのような大体原価主義でいかれるということになれば、これは土地の物価等で場所によっても違いましょうし、ある程度現実論としては納得がいくわけですが、いまの大蔵省の答弁にあるように、建設省を中心にわれわれも地価対策ということに頭を痛めているわけです。ところが、実際に海を埋め立ててその原価というものが二万二、三千円、ところが、それを社員に分譲しようというときには二万五千円、それ以下で売ってはならないということが国税庁から言われて、そうして、そのことが案外周辺の土地の地価というものをむしろつり上げていく作用をする。私はどうも矛盾するように思うのです。それが実際に会社の経理上の操作で、実は二万円かかったのだけれども、それを一万幾らということに表向きして、それを譲渡するということになれば、これはやはりいけません。これはいけないと思いますが、事実一万二、三千円のものを倍以上に売らせるということは、一体幾ら税がほしいとはいいながら、あまり矛盾したものではないだろうか。これは買うほうも売るほうも当惑したんですよ。これは実例があるのです。かなり大きな面積です。これはどう思いますか。
  283. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) これは税法のたてまえは御承知だと思いますが、いまのように、たとえば原価は一万三千円だ、近傍の価格は一万五千円が正しいのか二万円が正しいのかということは別として、それが客観的にたとえば一万五千円であったものを——それが正しいかどうかは別として、一万五千円であるものを一万三千円で渡す場合に、二千円分は贈与の対象になるというたてまえが税法に書いてある。そこで、贈与税は取りますよと言うんだろうと思いますが、贈与税を取っても、会社は幾らもよけい払うわけではないんですね。贈与税は三割も五割も取るわけじゃないんですから。ですから、それは、会社が贈与税を取られてもいいから社員には一万三千円の原価で渡すんだという決心をしてくれればいいことなんです。私はそういうふうに考えます。
  284. 藤田進

    藤田進君 ややこしい、あなた、考えを持っている。贈与にならないんだ。原価です。それは近所の日本住宅公団は原価で売って、安い。それは殺到するでしょう。ところが、片方、同じ原価で売ろうとしてみても売らせない、国税局は。それは贈与税を出すからと言ったって、国税局がにらめばまたあれこれ差しさわりができるから、言うとおりにしようというのが現実なんです。
  285. 長岡実

    説明員(長岡実君) 具体的なケースを一度伺いまして、私どもも大蔵省に持ち帰りまして、主税当局とも相談をいたしてみたいと思いますけれども、私が先ほど申し上げましたように、その贈与税の対象にするのは、とにかく時価よりも少しでも安ければ贈与税の対象にするということではございませんので、おそらく時価の半分というようなところをめどにいたしまして、それよりも低く譲渡する場合には、やはり譲渡を受ける者はそれだけの利益を受ける。そういうことを申し上げますとおしかりを受けるかもしれませんけれども、仮定でございますけれども、かりに会社が従業員に対して、土地を安く譲渡してやるから、まあ、はっきり言いまして、ボーナスその他についてはこの程度にしておけというようなことがあった場合、やはり税法上は問題がある。そういうようなこと、あるいは贈与税の場合に、低廉譲渡をなぜ贈与の対象にするかというのも、これはやはり通常の場合であれば、贈与が行なわれれば贈与税の対象になる。それを贈与を行なえないために、贈与でないという形をとるために若干の代金を取って低く譲ったという形にした場合には、贈与を贈与以外のものに仮装する場合もあり得るわけでございまして、そういうようなことをあわせ考えて、大体時価の半分以下ぐらいのときには、常識的に考えて非常に低いというようなことで贈与税の対象にしておるんだと思います。ただ、ただいまの問題につきましては、具体的に造成の価格がどのくらいかかった、会社はその造成に要した経費等を考え、いわゆる原価主義で売ろうと思ったんだけれども、しかし、一方において、そこにでき上がった造成宅地が、すぐ付近で言えば幾らしておるというような具体的な金額を承りまして、主税局とも相談をいたしまして、検討さしていただきたいと思います。
  286. 藤田進

    藤田進君 建設大臣、実態を若干あなた間違って解しております。日本住宅公団は原価主義で売っていると、周囲の地価というものについては、これは工業団地について例外的にあったとおっしゃるわけです。これについては、周囲より半値であっても贈与税とかそんなことはないわけで、しかし、会社法人等がいま指摘されたように、ボーナスはひとつ他産業より低目にこらえてくれ、そのかわり安くこれを売るというようなことがあるとか、そういうものがあれば、それは当然摘発されていいと思う。そうではなくて、地方公共団体が埋め立てをして、そうしてちゃんと契約して明らかに筋が通って、坪幾らで公共団体から買い受けて、その買い受けた事務費等も加えて分譲しても、なお一万二千円というものが国税局からは、それは安過ぎると、周囲から見てね。だからということでちょっと倍に売らなきゃならぬ、こういう実例があるわけですよね。これはまた別に指摘をいたしますが、相当な面積がこれで困っている。これでは、地価対策だなんといって安く——税法もそんな何もごまかしちゃいないんですからね。筋が通っているんですから、ずっと。だとすれば、安くすることにおいて、これが百坪か二百坪ならたいしたことはないですけれども、もう何万坪ということになりますと、やはりその周辺の地価というものを釘づけにするのじゃないか。そこで、分譲する場合には、五カ年以内に必ず住宅を建てること、建てなければその契約は無効にするということがもうそれがちゃんとしてあるんですね、従業員と会社との間に。そして、その際に、百万円なら百万円というものは住宅資金として貸し付けをいたしますと、金利は五分五厘というようになっているのに、それを倍に売らなければならぬということになりますと困るんです。それは、買ってすぐ売るのであるならば、えらい安く買って、所得がもうあるのだから、これは贈与税でもかけなければならぬ、こうなるのだけれども、これは会社そのものが不当利得というかそういう傾向がむしろ強くなる。一方、地価対策としてどうも好ましくないと思います。
  287. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) いや、おっしゃるとおりだとすれば、それはいかにもおかしいんですよ。それはそういうことで事実その地方公共団体——私はさっき勘違いしておったのですが、自分でつくってやると思っておったのですが、地方公共団体が明らかに買った値段がわかっておって、そしてそれに利益を見ないで社員に分譲をするのに、その分譲価格はいかぬということを税務当局が言う権限はない。そういうことで売った場合の税法上どうするかということは、これは税務当局に権限はあるかもしれませんが、高く売らなきゃならぬとか、そんな権限はあるはずがない。これはもしそうであるとするならば、われわれのほうも事実そういうことがあるかないか調べたいと思います。
  288. 藤田進

    藤田進君 これは、民間の零細というか、東京都内でも、税金がかかるから、まあ五百万だけれども三百万で売った買いましたということに二重の契約書なり領収書をこしらえたりしている、そういうものはこれは実体のとおりおやりになって私はいいと思うのですが、そうでないものまでについておやりになるのはいかがなものかと思う。それで、これは事実はまた具体的に明らかにします。
  289. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) あとで資料をください。
  290. 藤田進

    藤田進君 これは大蔵省の問題なんですけれども、そこで全国的にこのような状態があると思うので、きょう大蔵大臣がお見えになっておりませんので、建設大臣おかれても——実情あとでお知らせします。そこで、全体的にあるように聞いておりますので、この点はやはり大蔵省とも十分相談されて、このようにだんだんと周囲の地価がつり上がっていく、それにあわせて売らなきゃならぬということは、いかにも政府自体、特に大蔵省自体が地価をつり上げ奨励をやっているように思われるので、税金といったこと以上に大きな国民には問題があるように思われます。この点は十分ひとつ大蔵省とも打ち合わせをしていただきたいと思うのであります。田中さんもお待ちのようですしいたしますから、この辺で……。
  291. 田中一

    田中一君 先ほど大臣から四十年度予算の大綱が示されましたが、昨年のオリンピックの開催を中心とした設備投資は、全部関連事業等も含めまして約二兆円になります。その際に、御承知のように、建設労働者が少ないといって大騒ぎをしておりました。ところが、いまはどうかというと、いまは四十年度予算規模は、公共事業の面においても、たとえば営繕関係事業においても、そうたいして伸びはしておりません。全体的な数字から見た場合に、たいへんな大幅な軽減をされている。  そこで、伺っておきたいのは、労働災害を防止するためにも、現場の日曜全休制というものをとる意思はないかどうかということです。これは神奈川県なぞでは一部実施しております。これは労働基準局が勧奨というか通達でもって、やったらどうかというのでやっていますから、まず範を垂れるのは公共事業です。公共事業の日曜休業というものを実施すれば、必然的に現場は休めるわけなんです。いまの今日の建設力というものは、相当大型化し、機械化され、今度の予算の面に工期というものをどれくらい見ておるか、詳細は知りませんが、そのくらいの踏み切りを、四十年度事業を遂行するためには、公共事業全般にわたって日曜日全休制という制度を取り上げたらどうか。そのために工期が一日おくれるものじゃございません。たとえば一年のうちの五十何日間、あるいは祭日も入れて六十日なら六十日というものを二カ月間を休むのだということにしても、決して工期がおくれるものじゃないと思います。その点はどういう考え方を持っているか、伺っておきます。
  292. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 建設省としてというお話でありますが、建設省では、いまやっておりますのは、直轄はほとんどないわけですね。河川にある。直営は河川に少しある。建築は全然ありませんし、道路の大部分が請負になっておるわけですね。それで、その請負者自体はこれは政府の労働基準法の経緯がありますから、週四日制というものを実施をしておるわけなんです。小さいところで若干まだ——中小企業者とか地方業者の中にまだ週四日制をやっていないところがあるのじゃないかという話を聞きますけれども、これは労働基準法の問題で、労働監督局がやるべきことだと思うのですが、おっしゃるのは、一せいに休ませろという趣旨だろうと思います。これは私どももその方向で進み、指導したいと思っております。
  293. 田中一

    田中一君 とりあえず慣行があり、かつまた、労働者自身が日雇い的立場におりますから、一年のうちに二カ月間手間をもらえないのだということになると、これまた問題だ。せめて月に二日ぐらいは日曜全休、全部休むという方法をひとつことしから、ことしの予算の交渉にあたって実施していただきたいと思うのです。これは、あなた方が契約する前に、これを条件として出してください。したがって、あなた方のほうの監督官は現場に出ませんよということを、みずからそういう計算をして見積もりをすると思うのです。これをひとつ実施するつもりがありますか、四十年度から。それで、それは単に建設省の係官がいないとかいるとかというような問題でなくて、契約条項として、休め、休むんだということを請負の条項にして盛るわけです。で、現在では、基準法上の問題は、休日はやっていますが、これは交代休業なんです。したがって、現場は全部仕事をしているということになっているんです。
  294. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 本省の営繕のほうは、四日のうち二日は一せいに休ませているそうです。ですから、これは工事の性質によっていろいろ違うと思いますので、御趣旨の点はわかりますから、そのために著しい障害を来たすということがない限りは、おっしゃる方向でやるべきだと思います。
  295. 田中一

    田中一君 もう一つですがね。御承知のように、工事現場における福祉施設、いわゆる住宅ですね、特別会計による公共用地の払い下げ等については、積み立てて公務員住宅をつくっておりますが、まあここにいる人たちはみんな公務員住宅に入っていると思う。末端の低所得の連中が、いままあこうやって設置法の改正をやっている、工事事務所の改編もある、そうすると、当然遠隔地に仕事場を持たなければならなくなってくるおそれがたぶんにあるわけです。そんなものやめちまおう、首を切っちまおうという腹なら話は別です。そうでないということを再三大臣は言明しておりますから、そうすると、事業費の一%はそういうものに使ってよろしいということに大蔵省は話ができているそうですが、それを二%に上げろということです。それでなければ、人間は安心して働けるものじゃないのです。これはひとつ公共事業のほうの主計官から伺っておきますが、現在ではこれは何か法律かあるいは政令があって一%はそういうものに使っていいということになっておるのか、あるいは認め方でもって認めておるのか、その点はどうなんですか。
  296. 長岡実

    説明員(長岡実君) 現場の事務所の職員の宿舎の設置に直轄工事費の一%を充てるというのは、別に法律、政令できめておる問題ではございません。現在、建設省その他の公共事業担当各省とも相談をいたしまして、私どもとしてはまず実態調査をしよう、そうしてその実態調査の結果、現場職員については一般の公務員との宿舎充当率のバランスの問題、それから現場の特殊事情というものもあろうかと思いますので、そういうような点について実態を把握し得ました暁には、もっと弾力的に実情に沿うように措置いたしたい、かように考えております。
  297. 田中一

    田中一君 実態調査は何カ月要求するんです。建設省のほうではそれに対する資料はつくっておらないんですか。
  298. 長岡実

    説明員(長岡実君) 何カ月かかって調査をするかはちょっと記憶にございませんが、建設省は相当なところまでもう調査を進めていただいておると承っております。ただ、他の公共事業関係各省がまだ結論を出しておりませんので、大蔵省の立場としては、できましたら、同じ公共事業に従事する職員でございますので、各省ともバランスをとって措置いたしたいと、かように考えております。
  299. 田中一

    田中一君 公平の原則がありますから、公平はけっこうでございますけれども、常にばらばらでもって公共事業を行なう。非常な遠隔地の現場に行くとか、あるいは危険を感ずるような作業場であるいは仮泊をしなければならぬというような現場には、当然そういう施設がなくちゃならないんですよ。建設大臣、どうお考えですか。その点については実態調査はどこまでできておるか、また、それが集約されて大蔵省のほうに提示しておるかどうか、それをひとつ説明してください。
  300. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 建設省関係の実態でございますが、河川関係の公共事業、道路関係の公共事業、ともに充足率約七〇%程度でございまして、これが現在の実態でございます。
  301. 田中一

    田中一君 だから、あとの三〇%はどうなんです。
  302. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) これは、年々、充当といいますか、建て増しましてふやしていっておるわけでございます。先ほど御指摘のありました一%というのは、これは一応の目途でございまして、実際は、各現場の実情に応じまして、その需要の状況にできるだけ近くするという操作をやっておりまして、一%をこえて宿舎をつくっておるというのが実情でございます。
  303. 田中一

    田中一君 建設省設置法が二へん流産したけれども、今回通るか通らぬか知らぬけれども、あれが通ったとするならば、相当大幅な地建関係の現場の工事事務所等の改編をしなければならぬと思う。その際に、実態を把握してあるならば、これは必ずその場合には住宅というものを建ててそれから改編ということにしていただきたいんです。労働攻勢が激しい中でもってそのくらい解決されなければ、あとはやめるものはやめていけというあなた方自身が労働者に対する攻勢をとっているということになるんです。いまのは別にどういう約束もないというならば、長岡君のほうでもそれを認めることです。法律の改正によって職場が遠隔地に行くというような問題が起きるわけなんですから、その場合には、もう先に、他に優先して住宅をつくるということを認めるという態度をひとつとれませんか。設置法の改正されないままでも三〇%はまだ残っている。改正案が通れば相当大幅な問題が起きるのです。その場合にはそういう措置をとってもいいということを認められますか。当然認めるでしょうね、きっと。
  304. 長岡実

    説明員(長岡実君) 設置法の改正に伴いまして本省の事務が地建その他に委譲される、それに伴って今度宿舎事情の問題につきましてはどの程度それが地方の宿舎事情に影響を与えるかという点、私どもも十分にまだ検討いたしておりませんし、それから直轄工事費の一%をめどとして現在建設いたしております宿舎は、あくまで工事に携わっております現場職員の宿舎の問題でもございます。したがいまして、設置法の改正と直ちに結びつくものであるかどうか、ちょっと私もわかりかねますが、宿舎全般の問題につきましては、よく公共事業担当の建設省その他の各省からも実情を伺って、できるだけの善処はいたしたいと考えております。
  305. 田中一

    田中一君 それじゃ、そうなった場合には、建設省のほうでどんどん宿舎をつくってそういう支障のないようにということをしても、文句はありませんね。
  306. 長岡実

    説明員(長岡実君) これは一つは程度の問題であろうと思うのでございますが、一般の公務員につきましてもいろいろの事情によって全国的に転勤を余儀なくされる場合は十分にあるわけでございまして、そういうようなものにつきましても公務員の全体の宿舎の充当割合というようなものは必ずしも現在十分だとは言えないわけでございますので、そういうようなものとのバランスも考えた上で、おしかりを受けるかもしれませんが、公平な措置をとるように検討いたしたいと思います。
  307. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 設置法の関係で予想いたしております配置転換に伴う住宅については、官房長から御説明いたさせますが、手当てはしてあるわけであります。
  308. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 設置法の改正に伴いまして地方建設局がどのように変わるかという問題でございますが、これは、設置法の改正そのものからは、第一線の工事事務所の組織が変わるわけではございません。設置法の重要な内容になっております事務の地方委譲に伴いまして地建で変わりますのは、本局でございます。本局に従来本省でやっておりました仕事の一部を移すということであります。したがいまして、本局所在地におきます地建関係の住宅需要というものは、設置法が通りますとふえてまいるわけでございますが、これにつきましては、御承知のように数年前から委譲をやるということでやっておりますので、すでに数年たっておりますから、手当ては十分いたしております。
  309. 田中一

    田中一君 工事事務所はどうなります。相当減るでしょう。減ればどっかに都合するでしょう。
  310. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 今度の建設省設置法の改正の関係では、工事事務所は減りません。
  311. 田中一

    田中一君 そういう工事事務所の改編、これは河野さんの時代だったけれども、半分以下にするということを言っておりました。着々実行しようとしているでしょう。その場合には、宿舎の問題は先行して手当てをしてから改編なさいということなんです。それはどうですか。
  312. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 昨年度におきまして工事事務所の統廃合をやりました。昨年度計画いたしましたがまだおくれておる統廃合が若干残っております。これも宿舎の関係等もございまして残っておるというようなわけでございます。宿舎の手当てがつき、庁舎ができますれば、統廃合をするということでございます。
  313. 田中一

    田中一君 挾間さんに残ってくれと言ったのは、いまあなた方の目の前に行なわれているところの公団、公社等のストライキの問題、これから委員会が済んだら大臣はいろいろ話し合いをするそうでありますが、少なくともこの収拾は、ストライキにまで突入したということは、公団側が何も要求に対しての回答を与えないということにあると思うんです。これはむろん公団として雇用関係は総裁と職員との結びつきであるのですから、当然総裁はそれに対するところの回答をしなければならないはずでありますけれども、これができないためにストライキに突入しているというのが現状だと思うのです。そこで、こうして昨年の秋から始まっている労使の交渉が最悪の段階にきているということになりますと、われわれもどうしてもそれを検討しなければならない。いろいろ調べてみますと、これはもとは結局大蔵省にあるということになるわけです。これはどういうものか、建設省が三十年十二月十五日に出している「公団業務に関連し事前に連絡を要する事項について」、この中に第三の項で出ております。それから住宅公団法の五十四条に、「公団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定め、又は変更しようとするときは、建設大臣の承認を受けなければならない。」。これはもう承認を受ければいいのであって、監督権もまた建設大臣が持っておるということになっております。ところが、一方、「公団業務に関連し事前に連絡を要する事項」の中に、「公団の職員又は職員の組織する団体より労働条件の改善に関する要求をうけてこれに対し態度を決定しようとするとき。」には必ず大蔵大臣に相談しなければならないということになっておるわけなんですが、これは一体どういう意図からこうなっておるのか。少なくとも公団の総裁は総理大臣の任命だったか建設大臣の任命だったか任命されておるものであり、かつまた、監督権を持っておる建設大臣が了承したならば別に文句を言うことはないのじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
  314. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 先ほど法律上の制約の御指摘がございましたが、御案内のように、公庫、公団、事業団につきましては、政府関係機関でございまして、その事業内容等は公共性の高いことは申すまでもございません。その事業運営につきましては、これは出資金あるいは補助金、そういった面から仰いでおるということが非常に多うございまして、直接間接に租税負担につながる関係が多いわけでございます。そういった意味合いからいたしまして、先生が先ほど御指摘がございましたように、住宅公団あるいはその他の公団につきまして、給与規程、退職規程等につきましてその新設、改廃を行なう場合には、それは主務大臣の認可を受けることになっておりますので、主務大臣はその場合に大蔵大臣と協議するという形になっておるわけであります。そこで、やはりそういった法令上、予算上の制約があるというのは、これは公庫、公団、事業団、政府関係機関の労使は、その労使関係というものはあくまでも労働三法によって処理されるということは当然のたてまえでございますけれども、そういった筋合いからいたしまして、公共性、事業内容、いろいろな関係からいたしまして制約があるというわけでございます。  そこで、先ほど御指摘がございましたように、労働条件の改善その他の事項について大蔵大臣に相談したということは私ちょっと存じておりませんが、つけ加えてお答えを申し上げます。
  315. 田中一

    田中一君 労働組合法の中には、労使の間で話し合いをする。使用者側のほうで何も答弁ができないということになると、これはもう労使の話し合いじゃない、団交じゃないんです。団交権がある労働組合が、使用者であるところの総裁と話し合っても、何もその問題で結論が出ないとなると、これは総裁が建設大臣に相談しないということか、あるいは、建設大臣が大蔵大臣に相談しないということか、どちらかのはずのわけです。しかし、それにしても、どちらか結論が出るわけです。結論というか、答弁が出るわけなんです。そしてまた、役員等の給与にしても、これはわれわれ関知しません。当然われわれよりも倍近いものをもらっているんじゃないかという気持ちはしますけれども、しかし、職員の問題は、やはり国家公務員、地方公務員については人事院が勧告しているめどがある。しかしながら、現在の公団、公社、政府関係機関の労働者が組合をつくって正規な団交によってそれを解決しようとして現在ストライキをやっているところの各労働組合団体の問題について、幸い住宅公団の総裁がここに来ているから、住宅公団の問題をひとつ取り上げますけれども、総裁は建設大臣とその問題について協議をしたことがあるんですか、また、協議をした場合、建設大臣はどういう答弁をあなたにしているか、その点をひとつ伺っておきます。
  316. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) 住宅公団、道路公団、首都高速道路公団、大体政府関係機関は同様でございますが、先ほど大蔵省給与課長からお話がございましたように、その給与の基準の決定、変更については、建設大臣の承認を求める必要があるわけでございます。御存じのように。しかし、一面におきまして労働三法の適用を受けますので、その三法の関係で給与につきましては労使協議によって決定するというたてまえになっておりますから、理事者といたしましては、給与につきましては、たとえばベースアップの問題とかそのほかの決定をいたします場合には、労使の間で協議をして落ちつくところに落ちつけて妥結するわけでございますが、理事者の立場といたしましては、いまお話がございましたように、企業体の公共性、またその資金源等につきましても制約がございますから、そこでその間に立って調整を考えて労使の間で協議をいたし承認を求める、こういう行き方で従来進んでおる次第でございます。
  317. 田中一

    田中一君 それは御説明を受けるまでもなくわかっているんです。しかし、今日ストライキに突入しているという時点において、回答がない、あるいは交渉が妥結したというようなこともないように聞いているんです。私ここにいろいろな資料を持っておりますが、これは住宅公団ばかりじゃございません。道路公団にしても、一応の確認をしながら結論が出ないということは、いま公団法による手続、建設大臣に相談したかどうかという問題はどうなっていますか。
  318. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) それは正式の書面で出します以前におきましてよく打ち合わせをする必要はあると思いますが、その見通しのもとに労使協議をいたしまして、妥結の線に持っていくように努力いたしたいと思います。
  319. 田中一

    田中一君 建設大臣に伺います。建設大臣は、公団の監理官がいるから、そこが窓口になってやっておると思いますけれども、そういう相談を受けたことがあるんでしょう、建設大臣は。その場合に、自主的に労使の間で話がつかない問題について、また問題点があってそれを監督の権限を持つ大臣、同時にまた、この法律にあるように承認を受けるということになると、あなたに何か相談があったと思うのです。また、そのままうっちゃっておいて労使の間でかってにやったんだから知らぬというのじゃ監督が不十分だということになるから、その点、相談がありましたか。
  320. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) これは、事務当局に対しましては、しょっちゅう総裁から連絡があるわけであります。経過についても。
  321. 田中一

    田中一君 あったって、これは建設大臣を代行して監理官がやるんでしょうけれども、建設大臣の意思はどうかと聞いているんです。
  322. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 建設大臣は、給与の基準を改定しようとするときに公団の総裁あるいは理事長から申請があった場合に、それが妥当かどうかを判断して、妥当だと思ったら大蔵大臣と協議をする、こうなっておるわけですから、いまそこまでの段階にはきていないということでございます。
  323. 田中一

    田中一君 そうすると、挾間さん、あなたまだ正式に結論を出して、それを持っていこうという書類は出しておらぬ。しかしながら、口頭ではそれの折衝はしておる、こう言っておられるわけですね、いま。そうすると、建設大臣はそういうものの稟議は受けておりませんということになるわけです。おそらく、公団としては、建設大臣の代行をする監理官なり事務的な折衝をする窓口と相談し、かつまた、大蔵省の給与課長ともよりより折衝があったと思うのです。おそらく給与課長のところにはそういういまの起こっている問題についての相談はございましたか。給与課長は、建設大臣から来なければ、自分はそんなことは相談を受けないという答弁をするであろうけれども、事務的にいろいろ話合いをしているということを総裁も言っている以上、やはり何か話し合いがあったと思うが、その点はどうですか。
  324. 秋吉良雄

    説明員(秋吉良雄君) 本来、この問題は、公団当局の労使によって自主交渉によって解決されることが一番望ましいことでございます。ただいま私ども現段階で伺っております点につきましては、できるだけ妥結をみたいということで双方努力しておるのじゃないかというふうに考えております。
  325. 田中一

    田中一君 非常にこれは無責任な行政をやっておるのであって、総裁だけが苦しんでいる。そうして、自分の事業場にはストライキの紙が張られ、また、ストライキが行なわれて仕事が渋滞する。これは何も直接政府関係機関というより、国民のための機関なんです。国民が迷惑するわけであります。建設大臣は、そういう書類が来ていないから、自分では知らぬと言うし、これは挾間さんどうなんです。どこまで話し合いしているんですか。そうしてまた、こういうストライキというようなこうした現象が今後何日続いてもおれは知らぬ——権限はあなたにあるはずです。しかしながら、それは認められないから知らないんだということでは、これは済まないわけです。これは単に住宅公団の労働問題ばかりじゃございません。政府関係機関全部そのような形のストライキに突入しているのはこれからますます激しくなると思う。どうです。法律を改正して給与その他の問題についてはこれは大蔵大臣の給与課長がきめるということに変えたならば、あなたはほっとして一生懸命建設のために骨身を削ることができると思いますが、こういう二重、三重の機構を持って、全部が責任を取らない形でもって労働者の賃金、ベース・アップ、あるいは処遇の問題についての労働法に基づく交渉を結論を出せないということは、これは少なくとも事業に対しても国民に対しても無責任な姿だと思うのです。いま聞いても、だれに聞いても、建設大臣は、書類が出てないから何もそれは措置する必要はないと。また、給与課長は、おそらく相当なあなた方に圧力——圧力というか、ことばの上で何らかの形で意思表示が行なわれておるから、あなたのほうでも困っておると思うのですが、それじゃ、だれが総裁になろうと、理事者になろうと、これはつとまるものじゃございません。建設大臣が責任を持つというけれども、これは内閣は共同責任の体制です。一々建設大臣が大蔵大臣に相談しなければならぬという、これは内閣部内の問題であって、判断をすれば出すべきであって、また、これも全体の労使の慣行というか労働法を逸脱した要求なり行為があった場合には別でありますけれども、私は当面の担当者である挾間さんを責めたくありませんけれども、このままじゃ困るわけです。どういう結論——結論がゼロならゼロでも、また、ゼロが正しい回答であるならばそれでもよろしいし、何らかの回答は出なければならぬ。出るには、あなたが文書をつけて出すのが建設大臣に対する稟議ならば、文書を出して建設大臣からはっきりとした回答をとっていただきたい。建設大臣も、少なくとも閣僚の一人でありますから、給与課長のところに行って、おい頼むぞとは言わぬでしょう。やはりそれぞれの閣議なりなんなりでもってきめるのでしょうけれども、こういう形のものが、単にことしばかりじゃございません。いままででも何べんでもありました。これは給与課長も知っておるとおり、この際、こうした形の通達ですね、三十年の通達なんというものはなくしちゃって、あとは話し合いでもって、大蔵大臣と建設大臣が話し合ってそれに対するところの意思表示をするということにしたらどうなんですか。また、そういう方向に向かうべきじゃないですか。どれを聞いても、これに対する結論が出ようという要素が見出せないわけです。
  326. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ちょっと、関連していいですか。
  327. 田中啓一

    主査田中啓一君) 答弁を一応……。
  328. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 先ほど問題になっております通達でございますが、昭和三十年の通達の中の、公団の職員または職員の組織する団体より労働条件の改善に関する要求を受けてこれに対して態度を決定しようとするときは事前に連絡してほしいという内容を含んだ通達のことでございますが、これは大蔵省とは無関係でございます。これは公団業務を監督いたしております監理官から公団のほうにあてまして常時連絡をしてほしい、その中でこういうものにつきましては事前に連絡をしてほしいということを言っておる通達でございます。
  329. 田中一

    田中一君 公団法の六十一条の「建設大臣は、次の場合には、あらかじめ、大蔵大臣と協議しなければならない。」というところにちゃんと入っておるんですよ。
  330. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 公団法に書いてあります事項は、まあたくさん書いてございますけれども、建設大臣が、公団から出てまいりました承認事項あるいは許可事項につきまして承認なり許可を与えます場合に、あらかじめ大蔵大臣に協議しなきゃならぬ事項が列記されておるわけでありまして、ただいまの通達とは無関係でございます。
  331. 田中啓一

    主査田中啓一君) ちょっと関連質問を……。
  332. 田中一

    田中一君 ちょっと待ってください、徹底しないから。  六十一条の二号には、「五十四条の規定による承認をしようとするとき。」とあります。五十四条は、さっき読み上げたものが五十四条の規定なんです。したがって、事前に協議しなければならぬようになっておるのが五十四条の規定でしょう。
  333. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 給与に関します基準を承認いたす場合は事前に大蔵大臣に協議しなければならぬというふうに法律で定められておりますが、先ほど来話題になっております昭和三十年の通達というのはそれとは無関係であるということでございます。
  334. 田中一

    田中一君 それじゃ、もうこれは別なら別でよろしい。ただ、いまの公団法にあるところの五十四条と六十一条の関係、これは当然事前に大蔵大臣と協議しなければならぬことになっておるのでしょう。建設大臣は、何も自分のところへそういう書類が来ないから協議していませんということなんです。そうすると、どこにそれを持っていけばいいものか、これをひとつ聞きたい。
  335. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 きょうの第三分科会の最初の郵政関係のときに、やはり電電公社の総裁に対する質問がありまして、これは国鉄の場合も同じでありますけれども、回答としては五百円という回答を出した。ところが、この間の予算委員会でも、国鉄総裁は、五百円という回答で組合が満足するとは思っていない、当然これじゃ拒否されるということは承知しておるけれども、ゼロ回答するわけにいかないから五百円という回答を出したんだ、最後的には公労委の仲裁裁定によってきめられるだろう、この仲裁裁定は労使双方を拘束することになっているから、その裁定を待つんだ、こういう答えだったんです。これは電電公社の総裁も国鉄総裁もみな同じ回答だったわけです。これらの場合は、公労委の仲裁裁定待ちという結論を、いい悪いは別として持っているわけなんです。住宅公団の場合は、法律的にはいろいろな制約を受けて、大蔵省なりあるいは建設省なりでよろしいということでないというと答えが出せないという立場にあるわけなんですが、解決点を一体どこに求めておられるのか、どの機関でもって最後的には結論を出してもらって、どういうふうにして労使間の紛争にけじめをつけようとしているのか、その点、つっかけ持ちでは非常にぐあいが悪いと思うのですから、その決打点だけを明らかにしてもらう必要があるのじゃないかと思うのです。その点をお伺いしたい。
  336. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) いま田中さんのと二つとも一緒にお答えいたします。  第一次的には、公団の総裁が労使関係の責任を持っているわけです。そして、両方が妥結をしたら、その妥結したものを今度は建設大臣に申請をしてくる、建設大臣がそれを妥当だといえば大蔵大臣と協議する、こういうふうになっているわけですから、まず労使間の妥結というものがないとわれわれは動きようがない。それでいまその妥結点について総裁が責任を持って組合と交渉している、こういう段階にあります。
  337. 田中一

    田中一君 従来、監督官庁から圧力をかけて、そのブレーキによって交渉が長引くことが多いんですよ。自主性自主性というけれども、あなたはまかしてある総裁でしょう。それをいろいろな意味でブレーキをかけ圧力をかけるから結論が出ないんですよ。総裁と労働組合との間の話し合いで来たならば、一応要求が妥結したものと認めてそれを承認するのは承認するでしょうけれども、それを必ず認めるということができるかどうかということです。
  338. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) これは、法律に書いてあるとおりに、法律上の制約があり、予算上の制約があるわけなんです。その法律上の制約と予算上の制約のない部分については、総裁はすべての権限を持っているわけですから、そこで、当処労使の交渉をしているわけですけれども、法律上の制約がある部分、あるいは予算上の制約がある部分については、あることを承知して理事者側は交渉しているわけです。ですから、そこに組合側との間に意見の衝突があるわけであります。
  339. 田中一

    田中一君 これは、小山さん、あなたはそんな白々しいことを言っているけれども、建設省の監督官や何かがいろいろな圧力をかけて答弁できなくなっているのが実情なんですよ。それはなるほど文字の上でもって法律を見ればそうでしょうけれども、実態はそうじゃないんですよ。そういう白々しいことを言うべきものじゃないんです。労使の間には。これはもうどこもそうですよ。じゃ、かりに一つの例を言うと、水公団は大体回答が出ました。三十九年には各年末を通じて五千二百七十七円というようなものが出ております。一応。いい悪い、のむのまないは別ですよ。けれども、道路公団、住宅公団の場合は何も出ないんです。部内の公団なら公団内のいろいろな操作でもってなし得るという幅があれば、総裁は喜んでやりますか。
  340. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) これはちょっと違うのじゃないでしょうか。私どもの聞いておるところでは、いま事務当局その他から聞いているところでは、回答はしているはずですよ。
  341. 田中一

    田中一君 ゼロという回答をしている……。
  342. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 回答はしているが、それが妥結しないということであって、ですから、回答を全然していないわけではない。四つばかりあるうち、四つとも回答はしておるわけです。
  343. 田中一

    田中一君 私はここでもって内輪の話をするのは、ここ公の場だから言いたくないんです。言いたくないんですけれども、そういうことではないということだけ言っておきます。よろしゅうございますか。そういうことではないんです。内輪でわれわれが話しておることをここで議事録に残しても困るから言わないんです。責任問題があるから。やはり政府の監督官庁のほうの意図というものを忠実に守るにはゼロ回答しか出ないという結論なんです。私の言っておるのは、その結論がどうとかこうとかいうことよりも、早くこうした事態を解決しろということを言っておるんです。究極のねらいは。総裁からひとつ何か新しい事態があるなら伺っておきます。
  344. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) 賃金の引き上げにつきましては、一月十三日に私のほうで諸般の要素を勘案いたしまして、また、公団自体の財政も考慮いたしまして、最大限度の努力を尽くした結果、号給表の改定の案を提示しております。ただ、その提示した額の内容は、組合側の要求として提示されたものとは相当の開きがあるわけであります。その案と申しますか要求とこちらの提示額とを中心として団体交渉をひんぱんに継続いたしておるわけで、まだ妥結点には達しませんけれども、私としては諸般の事情等を十分考慮し、その上で最荘の案を提示しておるわけでございます。それを中心として交渉をいたしておるわけであります。
  345. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 数字を言ってもらえますか。
  346. 田中一

    田中一君 回答はどういう回答であるか。
  347. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) 数字は号給表でたいへんなものでございますが、大体平均いたしまして八・二%アップくらいのところになります。平均給が三万六千円余りでございますから、このベースアップによりまして平均給三万九千五、六百円ということになると思います。
  348. 田中一

    田中一君 これはいつこういう提示をしたわけです。
  349. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) 一月十三日に提示をいたしました。
  350. 田中一

    田中一君 そこで、これは建設大臣のほうに相談が文書であったのですか。
  351. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 建設大臣は、妥結したときに諾否をきめるわけですから、途中の経過は全部総裁にまかしてあるわけであります。
  352. 田中一

    田中一君 わかりました。それでは、こういう案を、八・二%の賃上げを承認したということなんですね。承認したというよりも、提示をしたということなんですね。
  353. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) さようでございます。
  354. 田中一

    田中一君 その後の団交は……。
  355. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) 両方の考え方の相違もございまして、私といたしましてはこれが最も妥当な案であり、また、これ以上のベースアップということは公団の財政事情から申しましてもとうてい困難である、いわば最大の努力をいたしました結果の案でございますので、それを中心に組合と団体交渉を継続しておるわけでございます。
  356. 田中一

    田中一君 この二月の二十六日に、公団並びに労働組合との間には、こういう申し合わせができておるのです。  賃金交渉についての確認書  日本住宅公団と日本住宅公団労働組合とは、一九六五年二月二十六日の団交において下記事項を確認した。       記  賃金の交渉において、今後労使は社会的な賃金レベル及び生計費の両面から話し合いを進め、その結論については、両者誠意をもって尊重し、実行する。  こういうことが取りきめになっているんです。これは、内容を見ると、社会的な賃金レベルと生活費と両面から見るということを言っているだけであって、公団の経理状態云々ということは言っていないんですね。そうすると、この両面を十分検討した末にこれを固持しておるのだ、これをどこまでも堅持しているということを言うんですか、また、それを検討したんですか。
  357. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) 公団が調査いたしましたものもございますし、また、一面、政府関係機関でございますので、公務員の給与改定、人事院勧告というものが大事な参考の資料となるわけでありまして、人事院勧告は民間の給与並びに物価等も詳細に検討した上で出された勧告でございますので、これを参考資料として考えております。
  358. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 もし、かりにですけれども、八・二%のアップといったようなところで妥結をしたという場合には、これを建設大臣としては承認しないといったようなことはないわけですか。この八・二%であろうと三%であろうと、もしこの金額で労使間で妥結をした、あるいはこの金額を何%か上下を、下回るということはないでしょうが、若干違ったようなところで妥結をした場合には、その場合でも大蔵省と相談の結果これを拒否するなどということがあり得るかどうか、その点はどうなんですか。大蔵省と相談してみなきやわからないということでしょうが、どういうことですか。
  359. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 先ほど何度も申し上げておりますように、それが出てきましたときに大蔵大臣と協議するわけですが、ただ、八・二という数字は公務員のベースアップの数字とは大体見合っているという見当はつけておるわけであります。
  360. 田中一

    田中一君 国家公務員と何も関係ないんですよ。いいですか。準ずる待遇をしていやしませんよ。すべて、賃金の問題となると、そういう自分のほうの有利な材料をひっさげてものをいっている。おそらく、総裁は、やはり監理官の相当な圧力があることは知ってますわね。二人きりで話をすればそういう話も出るんじゃないですか。
  361. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) ちょっと申し上げにくいのですが、私は圧力を受けて平身低頭してやってはおりません。私の考えでやっております。
  362. 田中一

    田中一君 そういうことしか答弁はできないから言いたくないんだけれども、まるで年中行事のようにこういう争議があるのはよくないんです。そして、ストライキに入らなきゃならないような事態を未然に防ぐのがやはり理事者のよい動きであり、かつまた、建設大臣が調停したって一向差しつかえないんです。労使の間に一切介入しませんということじゃなくて、きょうはゆっくりとこの委員会が終わってから労使の間の話し合いに入って妥当なところにきめてもらいたいと思うんです。一向差しつかえない。建設大臣としてじゃなくて、小山長規としてそれをやることは望ましいんですよ。これだけ言っておきます。  これは少しじみな質問なんですが、ことしの——これは公団の挾間さんも聞いておいていただきたいと思うんですよ。
  363. 挾間茂

    参考人(挾間茂君) うしろに控えて聞いております。
  364. 田中一

    田中一君 過日、私は新橋の市街地改造事業を見にあそこの起工式に出たんです。そうすると、一坪二十六万円の家をつくるということを言っておるんです。少し高いじゃないかというと、これは百年もつというようなことを言っておるわけなんです。私はまあこうして建築問題とか住宅の問題をずっと長く調べておりますけれども、大阪の市街地改造事業も大体一坪最低三十八万円で売り渡すんだそうです。これも百年もつ、百年以上もちます。こう言っている。ところが、たまたま大阪市庁の部屋におって市の建物を見ると、とうていいま千円の家賃で借りてくれといっても借りる者がいないほど老朽化している。機能的にもう使いものにならぬということなんです。冷房するにしても、暖房するにしても、何をするにしても、ああいう乱暴なものはありようがない。そこで、民間の資本でどういう建物をつくってもいまの場合は自由ですけれども、少なくとも国が範を示して、建築物の耐用年限、使用年限というものを短縮するような設計、これを短縮するような考え方でいったらどうであるか、こういう提案をするわけなんです一いま、最近できたものをちょっと拾い上げてみますと、三十一年にでき上がったもの、合同庁舎一号館は当時のなにもございますけれども、大体これは冷房がないんです。冷房がなくて十二万八千円ぐらいかかっている。それから外務省の庁舎、総理府の庁舎、大手町の合同庁舎、最近できた気象台の庁舎、それから衆議院の第一議員会館等、全部単価を調べてみると、耐用年限を一応大蔵省のほうでもって金を支出するほうで押えておりますから、相当安全率を高く見過ぎた建築をしているというふうにぼくは感じてきているんです。  それで、耐用年数というものはどういう基礎でこれをつくったかということを調べてみますと、これはいま主計官がいるから言えるのですけれども、所得税法並びに法人税法において工場の耐用年数というものをきめております。ここに固定資産の耐用年数等に関する省令という省令を二十六年の五月に出しております。企業経営における固定資産の減価償却についての基礎、これは税金を取るためにやっていることなんですけれども、大体事務所建築は七十五年、鉄筋コンクリート及び鉄骨鉄筋コンクリートづくりは七十五年、アパート等は六十五年ということになっている。以下それらのものがちゃんと年数をきめております。今度税法上の耐用年数というものを歴史的に見ると、大正七年には鉄筋コンクリートは百年。それから昭和十七年にはこれは八十年になっている。戦時中は六十年で押えている。昭和二十四年には八十年になり、二十五年に七十五年ときめて今日に至っているわけなんです。いま消防庁がここに来ておりますから言うのですが、建築基準法上の耐火基準というものもこれはオーバーなんです。これはアメリカなんかでも三十五年で建てかえております。日本の官庁などでも三十五年くらいで建てかえるという前提で設計をし建設をせよということを言っているんです。そんなわけで、これはいま東京にも相当あります。もうこんなものを使っておるよりも、ぶちこわしたほうが経費が節減されるものがたくさんある、こまかく調べてみると。これはどうしても公共建築物は五十年程度、アパートについては三十五年くらいでもって建てかえるということになるほうがいいわけです。これは国が国家資金でもってつくろうとするものは、アパートあたり三十五年ないし三十年くらいで建てかえるという前提で建てないと、機能的にスラム化してしまう。これはなるほどオリンピックに使った代々木の屋内総合競技場あれなんかこそ一つの記念堂として残す要素を持っている。こういうのは残していいでしょう。公共建築物に建てられたものは、もはやもう五十年では全部建て直すという前提で予算を組むようなことにしなければだめじゃないか。大阪市役所がちょうど五十年たっている。あんなものはだめです。あんなものは早くぶちこわしてしまえとぼくは市長にも言ったんですが、大蔵当局がそれに対してどういう考えを持つか。まだいま百年もつの、七十年もつのと言っている。税金をとるための耐用年限を非常に長く見ておりますけれども、これを軽減すれば軽減するだけ新しい社会に適応した建築ができるのじゃないか。こまかい数字がありますが、調べたものがありますけれども、これはひとつ検討してほしいと思う。耐用年限の問題は、税法上からだけ出てきているわけなんです。住宅公団なんかも、分譲する場合に七十年というものをめどとして考えておる。七十年たってようやく自分のものになったときには、もうそれは使いものになりませんよ。いま現在東京都内にある五十年以上の建築物を見てごらんなさい。大体いまから二十五年から三十年くらい前につくったという人事院が使っている建物は、汚なくて、あんなものはいまどうにも使いものになりません。ことに、人事院が使っているあれはいいけれど、建設省の使っているあれは、スラムもスラム、問題にならないようなものだ。暖房も何もできない。いい環境にするには、やはり耐用年限を短縮するということがきめてじゃないかと思う。  新橋でも、あれが一坪二十六万円でつくって三十八万円で売るそうだ、平均して。下のほうは八十万から百万程度で売らなければならぬということになるそうです。そうしてこれは百年もちますということを言っておる。百年もった場合、零細な居住者がもう一ぺん入るわけですけれども、住めるものじゃない。七十万も八十万もする家に、三坪か四坪持っておでん屋やっている連中がはいれるものじゃない。それには、寿命というものを、建てかえる寿命にしなければだめだ。これに対してどういうお考えを持ちますか。
  365. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) 私もその点に疑問を持ちまして、どうしてそうなっているのだろうというところを調べてみましたところ、いま建築基準法で地震それから暴風、この場合に耐え得る建築基準というものをきめている。そのことからそういう基準をきめて建物を建てると、七十年、七十五年になるというふうなことのようであります。おっしゃるように、国民経済的な面からいうと、確かにこれは短縮したほうがいいと私も思います。思いますが、ただまだいま建築基準法が考えておったのと同じような、これを耐震度あるいは耐風度ということを考え直すということになると別ですが、その耐震度、耐風度というものはある一定の——これはおそらく関東大震災その他の経験から来ていると思いますが、そういう耐震度、耐風度というものに適合する建物をつくらなければならないだろう。しかし、それでいくと、七十年ももちます。いまおっしゃるように、確かに国民経済的にむだなものが出てくるし、わざわざ高いものを買わなければならないという問題が出てくる。これを解決するのにはどうしたらいいかということをいろいろ専門家に聞きました。聞きますと、問題は工法なり材料なんだ。そういう材料が発見できれば、これは当然短縮できるし、短縮すべきである、こういうことであるそうでありますので、私もその点については同感でありますから、それじゃそういうような建築工法ができないものかということをいろいろ検討しているのかと聞きましたら、学会等でもいろいろ検討しているようでありますが、さらに一そう馬力をかけて、やがては建築基準法までいじらないと、おっしゃるような目的を達成することができないと思いますから、そういう面でひとつ検討を命じ、続けさしてみたい、こう思っております。
  366. 田中一

    田中一君 これは、おっしゃるとおり、耐震、耐火ということは事実ですけれども、消防庁の消防法に基づく要求が建築基準法にも載っておりますが、そんな、ばかな話なんですよ。鉄が燃えるもんだときめているんですよ。これはなるほど溶鉱炉に入れると燃えるもん、溶けるもんかもしれません。しかし、三千度ぐらいの熱でなくちゃ溶けやしませんよ。そうして鉄骨を中心にものを考えて、こわすに骨折ってしまう、いまのようにコンクリートを厚くしたのでは。消防法の面からこれは相当検討しなくちゃならぬということなんですよ。一体、この間もある建築屋と話をして笑ったのですが、公団の人は帰ったけれども、いま、公団なんか、ああして不燃アパートが林立するようなところで、まわりに木造建築がたくさんあって、それが火事になったらそのアパートが燃えるんだという前提でもってその構造をつくっているんです。いま、東京は、戦災後相当たきぎがなくなりましたよ。たきぎの中に置いても燃えない、燃え移らないのが耐火建築だと、こういうぐあいに規定してあるんです。燃えくさなんかありませんよ。公団の団地に行ってごらんなさい。それでもやはり同じような防火性を要求しているわけなんです。これはむだです。これに拍車をかけるのは消防法なんです。消防法でいろいろな意味で耐火性ということを非常に窮屈に考えて、環境を問わず最高なる耐火性を要求する。私ここにも問題があろうかと思うんです。コンクリートそのものは燃えやしません。また、鉄だって、何か酸素ガスでもって鉄のところをジュっとやれば穴があくけれども、そんな強いものが燃えくさのないところでもって熱が起こるなんということは考えられないわけです。それでも同じような耐火性を要求している。これは消防庁のほうではどう考えていますか。燃えさくのないところであれば燃えない、そんな鉄骨だけ使ったっていいではないかということになるんですね。鉄骨の被覆の問題ですがね。
  367. 川合武

    政府委員(川合武君) 御指摘のように、燃えくさのないようなところにつきましては、私のほうは消防法の特例を適用いたしまして、その点につきましての緩和と申しますか、免除をいたしておるわけでございます。
  368. 田中一

    田中一君 どういう緩和をしている。何で緩和をしている。建築基準法では緩和をしていますか、緩和規定がありますか。ないでしょう、建築基準法では。
  369. 尚明

    政府委員(尚明君) 建築基準法の中にはございません。
  370. 田中一

    田中一君 そうすると、消防庁では環境によっては緩和している、緩和規定があるということを言っているけれども、建築基準法になぜその緩和の規定をつくらないんですか。
  371. 尚明

    政府委員(尚明君) これはやはりいままでの建築の建てられます状態が、まあ大部分の都市において耐火構造のものを建てますときに、木造の住宅群なり商店の群の中にあった、そういう歴史的な経緯がありまして、特に周囲との環境としてはほんの少しの問題でございますが、隣地との境界が遠ざかっているところは延焼のおそれがないところ、隣地の境界との近いところは延焼のおそれのあるところということで、開口部等について規制を設けて、ごく少ない、私いま全くないと申しましたが、少しは環境との間の関連を持っておりますが、基本的なところでは、在来の建築の状況から見ましてございませんです。しかしながら、御指摘のように、郊外における公団団地のごとく非常に隣棟の間隔等が開いているもの、それから都市の中におきまして耐火建築が立ち並んでいる地区というものが最近はできてきたということについて考えますと、御指摘のような問題は今後の重要な検討事項になると思います。
  372. 田中一

    田中一君 この基準法の改正を始めると、なかなか技術的な問題で、ぼくら手におえないけれども、その点だけでも改正するつもりはありませんか。また、改正ができなければ、それを何らかの形で緩和するということ。法律があってわれわれの社会があるのではないんです。われわれの社会があって法律があるんです。
  373. 尚明

    政府委員(尚明君) 御指摘のような、周辺の環境をもとにしたものそのものの改正ではございませんけれども、たとえば昨年の建築基準法改正におきましても、建物の外壁につきましても、火災等の損害を受けては困る。いわゆる構造耐力になっている壁と、そうでなく張り壁である場所とを区分けいたしまして、そこの耐火性能に段階を設けるというようなことは昨年の改正にありました。しかし、それは必ずしも周囲の環境をもとにして、かかる環境のときはこうする、かかる環境のときはこうするというのではなくて、壁の性質によって、ただぶら下がっているような軽い壁のほうは耐火性が幾らか弱くてもいい、それが張り土で包んでいる強い壁のところはじょうぶにつくらなければならぬというように、非常にゆっくりした改正でありますけれども、逐次改正をいたしておるわけであります。  御指摘のような環境から来る問題というものは、先ほど申したように、そういう必要が十分出てきた社会情勢になったと思いますので、今後検討して、改正できる点を逐次やってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  374. 田中一

    田中一君 まあ重いものよりも軽いもののほうが耐震性はあるそうですよ。私、しろうとでわからぬけれども、そう言っていますよ。鉄骨を中心にしてコンクリートを少なくするという建築をすべきだと思う。これは鉄骨等は、いまセメントも需要が少ないから安くなっているけれども、不況だけれども、鉄骨はもっと不況ですよ。そしてまた、耐用年数を考えると、すぐに解体できるもののほうがいいわけなんです。いまのコンクリート一つこわすといっても、容易なことではないんですよ。そういう面からも、法律の改正によらずして何か緩和規定をさっそくつくるという意思はありませんか。これはできるはずです。法律改正は法律改正として、それを緩和するのですからね、これは何らかの形でもって。いま住宅局長が言っているような考え方、これはもう今日どの建築を建てようとする者も、ことに公共事業の場合、公共事業というか公団住宅等は、全然あんなむだなことをする必要はないのです。そして建築単価を引き下げる。もし法律改正が必要ならば、政府が出さないならば、私どもは各党で話し合って議員提案でその部分を建設委員会でつくってもらって出して一向差しつかえありません。部分的な手直しというよりも、緩和規定ですよ。オーバーです。むだな投資をしていることになる。そしてまた、耐用年限などを考えても、ことにまた昨年通した超高層の建築にしても、むだな投資をしなければならぬということになるわけなんです。その点、ひとつこの国会中に、そんな右顧左べんしないで、これがほんとうに国民経済の上にあるいは公共投資の上においてもいいのだというときには、やるおつもりはございませんか。これは主計局に聞こう、その考え方に対してどういう態度をとるか。主計局だって金が安くなればいいのじゃないですか。
  375. 長岡実

    説明員(長岡実君) ただいまの建築物の耐用年数短縮の問題に関しましては、建築基準法その他非常に技術的な問題にも関連いたしますので、私からとやかく申し上げるべきではないと思いますが、公共事業全般につきましてできるだけコストを安くして、国民経済的に見まして非常に経費を節約して最大の効果を上げるということは、私どもとしてももちろん十分に関心を持っておるわけであります。なかなかそこまでは至っておりませんけれども、公営住宅、公団住宅等につきましてプレハブを推進するというような御要求が出ましたときに、私どももその趣旨から賛意を表した次第でございます。今後ともそういうような公共事業全般、住宅建築まで含めまして公共事業全般の経済的な施行につきましては十分に私どもも検討いたしてまいりたいと思います。
  376. 尚明

    政府委員(尚明君) いま先生のおっしゃられた方向は、私どももできるだけ早くそういうことを実現したいというふうに考えているのでございますが、実を申しますと、少し技術的な話になって恐縮でございますけれども、たとえば鉄そのものの性質にいたしましても、なるほど溶けますのは三千度ですけれども、四、五百度のところから急に非常に弱くなる性質等を持っておりまして、まあそういうことにならないようにしながら比較的そういう内部の鉄の温度を上げないようにして、まわりを囲う簡単なる被覆材料でかつそれが経済的であるものの出現を実は各界とも非常にいまそれの研究をいたしておるわけでございます。私どももそれを待望しておるわけでございまして、そういう技術的な開発と相あわせまして、いまのお話のような環境に応ずる緩和の規定というようなものをできるだけ早い機会に検討いたしたいと思います。また、そういう研究を学界あるいは建築研究所等に依頼をしております。  わが国におきまして鉄骨を中心にしてビルをつくるというのは、これは諸外国でもそう長い歴史はございませんで、在来コンクリートがかなり多かったわけでございまして、その点で技術のある程度未開発な部面が多うございまして、いま先生のおっしゃったように直ちにとおっしゃいましても、なお、これは非常に国民の生命財産にも関係するものでございますから、その範囲においては、できるだけ早く開発するのが私どもも国家経済のためだと思いますけれども、ここ何カ月というわけには必ずしも実現できかねるかもしれませんが、しかし、できるだけ努力はいたすつもりでございます。
  377. 田中一

    田中一君 建設大臣、これは常識になっているんです。基準法がネックになっている。ぼくは、消防法がネックだと思ったけれども、消防法にも緩和規定があるというのだから、これは消防庁には文句は言いませんよ。それを基準法でなぜ部分改正にしても緩和しないか。建設大臣、早急に検討してください。検討していくべきだと思うんです。
  378. 尚明

    政府委員(尚明君) 消防法の緩和規定と建築基準法の緩和規定は、若干性質を異にしておりまして、消防法のほうにおきましては、消防の設備を設ける度合いの緩和をいたしておるわけでございます。建築の構造体につきましては、これは建築基準法でやるわけでございまして、その意味におきましては、まさに建築基準法を御指摘になっていらっしゃることだと思います。  そこで、いま申し上げましたように、端的に申しまして、まわりが木造が非常に少なくて絶対安全だというような地区というものの出現が、ごく最近の話でございますが、これは現実にわが国の大都市ではそういろ地区ができてきたわけでございますから、これに順応した基準法の緩和規定なり何なりというものは先ほども申しましたように必要だというふうに考えております。
  379. 田中一

    田中一君 公団の団地などは、これは早急にやったほうがいいんじゃないかと思う。
  380. 尚明

    政府委員(尚明君) 日本住宅公団の団地につきましても、これがいまの構造がおっしゃられるように火災からくる部分によってきつくなっている部分があるとするならば、それは至急直すことがいいと思いますが、実は、公団のアパート団地の設計等は、あの構造ができましているのは、主として構造力学的なほうの最小限からきておりまして、火災の面から節減し得るところがどこにもないかということはもう少し検討してみなければならない問題があるかと思いますが、大部分は構造耐力のほうからきております。  それからなお、いまの公団のような壁式構造を採用しておりますものは、実は正直のところ言って、耐用年数が普通のオフィス・ビル等の鉄筋コンクリート、鉄骨コンクリートのものよりもあの壁式構造のほうは若干低いのではないかというふうに考えております。
  381. 田中一

    田中一君 若干低いというのはどういうことですか。  公団、公社等でも、七十年、五十年で償還するような方法をとっておりますからね。
  382. 尚明

    政府委員(尚明君) 先ほど申しました耐震、耐火の規定によりまして、建築基準法によりまして、普通にございます柱、はり等の太い鉄筋コンクリート造は、一応耐用年数のほうは七十五印になっておりますけれども、あれは耐震、耐火の災害を守る規定を順守してやっております。いまのビルは、物理的だけに考えましたら、おそらく百年以上もつのではないかと思います。そこで、それに比べて住宅公団のやつは一、二割低く、つまり太い柱等がないので、壁ばかりでできておりますので、若干低くなっておるんじゃないかというふうに考えます。
  383. 田中一

    田中一君 これはまあぼくもあまりそういう技術的な問題はわからぬから、追及できないで残念だけれども、これはもう急速に基準法全般の改正ということに待たないで、その地域的な緩和規定ぐらいは当然つくらなければいかぬと思うんですよ。そうして、この耐用年限をその時代の社会に一番効果のあるように使えるというようにしなければいけないと思う。大臣も与党とも話し合って、その点だけの改正案を出してもいい。これはもうきみらの考えていることが実現できるじゃないか、その時期が来たのじゃないか。公団等だって、いま四階の壁式構造ばかりじゃいけません。これから鉄骨造の相当大きなものにしなければならぬという傾向になっておりますから、四階以上の壁式構造は困難なので、これには、鉄骨を使って、鉄骨の被覆度を緩和して、建設費の低減と、建てかえるときには容易に解体できるようにすべきであると考えますが、ひとつ考えてください。建設大臣どうですか、できるでしょう。どうです。
  384. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) いまだんだん聞いておりますと、こういうことだと思うのですね。地震のほうは異論はないわけですね。そうすると、あとは台風です。台風のほうとそれからもう一つは火災。火災の場合の話を盛んにされておりますが、聞いておりますと、要するに、よそから燃えるところじゃないのだから、自分のうちから火を出した場合には、それはこわれてもいいというつもりで建設方法を変えたらいいじゃないかという御議論のように聞きますが、これはやはり一つの形式だと思うのですよ。それはそういう考え方で法律をつくるとかつくらぬとかということになれば、よほどこれは違ってくる。ある地域についてはそういうふうなものの考え方で——私もしろうとですから、そういうふうなものの考え方で法律というものをつくっていいものかどうか、この点十分検討します。
  385. 浅井亨

    浅井亨君 だいぶ時間がたちましたので、簡単にひとつお聞きしたいと思いますが、東京の過密化の問題ですが、これを緩和するために、研究学園都市ですね、これを閣議で決定されたのが三十六年九月一日でございます。それから二年たちまして、やっと筑波にしよう、こういうふうにきまったと思うのですが、二年間たっているわけですね。ところが、東京の過密化というのはどんどんどんと進んでいるわけなんですが、非常に緩慢なような気もするのですが、こういうことに対して非常に心配しまして、私も現地へ行って一ぺん見てみました。ところが、やはり今日でもまだ土地の買収もちょっともしていない。おまけに登記所へ行ってみますと、その現在の土地の権利の売買というのですか、これが非常にたくさんになりまして、三十七年度からみますと、七年、八年、九年と、三年間に十五倍にのぼっている、こういうわけなんです。で、そのようなことになっておるんですが、土地のまた値段も非常にどんどんと上がっているのですけれども、この三十九年度でこの地区の用地取得のために国庫債務負担行為の限度額も百四十七億円予算計上しているのですが、この問題は、いま現在はどのように処理されているのか、ひとつ詳しくお話し願いたいと思います。
  386. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) これは、こういうわけであります。研究学園都市が決定されまして筑波ときまりましたのが二年ばかりたっているわけですが、そこで、当時の政府は、茨城県の知事といろいろ打ち合わせをしたわけです。そこで、一番問題になりましたのは、その地域に、最初考えた地域に農地が含まれることになっております。そこで反対が強かったわけです。そこでまた計画を変えまして、できるだけ農地にかかる部分が少ないような計画がえをするように相当手間をとったわけですが、そして現在でもまだ百何十町歩か農地が入るようになりますので、そこで、農民の側からすれば、売った金でよそで農地を求めてまた農業をやろうという人もおりますし、あるいは、売った機会にその金で商売でも始めようかという人もおるのですが、その中に相当数土地を売ってもまだ農業を継続したいという人たちがおられるので、そのいわゆる農民対策をどうするかという点をいま知事と市町村長とでいろんな協議をしているわけであります。それで具体的な買収に入ることができないというのが現状でありまして、したがって、三十九年度に用意しました債務負担行為は、結局あと一週間くらいしかありませんから、これは使えない。今度は四十年度には五十八億円の債務負担行為をとりましたのは、あれは坪当たりたしか平均千円ということを基準にしてやっていると思いますが、それで五百八十万坪ですかの数字になるのであります。
  387. 浅井亨

    浅井亨君 この研究学園都市の三十九年十二月十八日の閣議で了解した内容がありますが、その内容をひとつ説明していただけませんか。
  388. 尚明

    政府委員(尚明君) 三十八年九月十日の閣議了解は、三項ございまして、研究学園都市の建設地域は筑波地区とする、第二に、研究学園都市の計画はおおむね四千ヘクタールを予定する、第三に、研究学園都市の用地の取得、造成は日本住宅公団に行なわせる、ということでございます。
  389. 浅井亨

    浅井亨君 学園都市の建設についての了解事項ですね、これは四つあるんじゃないですか。いわゆる新都市建設は四十年度より着手、おおむね十カ年で完成する、これが一つ。新都市の建設にあたっては、十分な都市施設を整備するとともに、移転機関等の施設設備についてはその充実をはかる。用地を提供することによって生活の基礎を失う者には、適切な生活再建の措置を行なう。総理府に研究学園都市建設推進本部を設け、新都市の建設に関する連絡調整及び推進に当たらしめる。このように四項目になっていると思うんですが。
  390. 尚明

    政府委員(尚明君) 私が申し上げましたのは三十八年九月の閣議了解事項を申し上げましたので、三十九年十二月の閣議了解は御指摘のとおりでございます。
  391. 浅井亨

    浅井亨君 私のいま申し上げたのは、三十九年の十二月のを申し上げたんです。そうしますと、この閣議了解では十カ年で完成すると言っておりますが、十カ年の総事業費は、新聞などで見ますと、二千四百億円になっております。だけれども、国費のほうでは千二百六十億円と、こういうふうになっているんですが、総事業費はどれぐらい見込んでいるんですか。現在と当初とだいぶ違うんですか。
  392. 鮎川幸雄

    政府委員(鮎川幸雄君) いま総事業費のお話がございましたが、現在は、先ほどお話がございましたような閣議了解の線でいろいろ内容を検討している段階でございます。特に、今回は、これはどういう手法によってこれを実施するか。いま考えておりますのは、用地の取得、都市の建設につきましては、全面買収の方式、あるいは都市区画整理方式、あるいは新住宅市街地開発事業等の手法によってやることで検討いたしておりますが、そういう用地取得のことについてただいま検討をいたしておるわけでございまして、総事業費等につきましては、関係の各機関等の関係もございますし、総理府、首都圏整備委員会におきまして、いろいろのところと連絡しながら検討中の段階でございます。
  393. 浅井亨

    浅井亨君 三十九年度に土地の坪単価が千円と見積もられておりますが、今日この四十年度予算を見ると、五十八億ですね。これは相変わらず千円になっておりますが、そうすると土地の値上がりということは全然考えておられないのでしょうか。それとも、その土地は、土地柄として価格が安定しているのですか。
  394. 鮎川幸雄

    政府委員(鮎川幸雄君) 用地取得につきましては、今後地元とよく実施機関とが相談して実施してまいるわけでございますが、これにつきましては、国の仕事をやります場合には公共用地取得の基準等もございますので、それに基づいて実施するわけでございますので、いま単価幾らということはちょっと申し上げかねるわけでございます。
  395. 浅井亨

    浅井亨君 それじゃ、この学園都市の建設の方法が途中で変更になったというのですが、その変更になった状態をひとつ話していただけませんか。
  396. 鮎川幸雄

    政府委員(鮎川幸雄君) ただいま変更になったと御指摘になった点、おそらく計画の坪数、規模の問題かと思いますが、この点につきましては、先ほど大臣からお話がございましたように、従来は農地等がたくさんあったので、いろいろ現実に即さない点があるということがございまして、できるだけ農地等を避けて山林等を主にして、現実に即した計画ができるようにというようなことで、規模等については当初の計画よりもいろいろな点で若干縮小される点もあろうかと思いますが、検討されている点が変更になった点であります。
  397. 浅井亨

    浅井亨君 そこで、三十九年の十二月十八日の閣議了解事項ですね、この三本目のところに、用地を提供することによって生活の基礎を失う者には適切な生活再建の措置を行なうと、こういうように出ておりますが、こういう農家のためとか、その生活再建のためにとられた措置に対する予算というのは、四十年度予算に計上されているのですか。
  398. 鮎川幸雄

    政府委員(鮎川幸雄君) ただいまのところは用地の取得が主になって考えておるわけでございますが、それに関連しましていろいろそういう問題が出てまいりますと、私どもそういう点につきましては十分考慮を払っていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  399. 浅井亨

    浅井亨君 それは、予備費か何かでまかなっていくという考え方ですか。
  400. 鮎川幸雄

    政府委員(鮎川幸雄君) そういう段階に至るかどうか、まだそこまで至っておりませんわけで、そこまで考えておらないわけでありますが、もしその段階に至りますならば、部内でできるいろいろな点を考慮いたしまして、実情に即すように措置すべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  401. 浅井亨

    浅井亨君 そこで、現地の農民の方ですが、先ほど話しましたとおり、ブローカー連中が入ってきまして、値段がどんどんつり上がっているわけなんです。そういうような筑波の土地をきめるというようなそういう情報ですね、それは事前に漏れているというようなことはないでしょうか、どうでしょうか。そういうようなことは建設省としてはいろいろな面で考えられると思うのです。何か仕事をしようと思うと、その情報が先へ先へと行ってしまって、それでブローカーがそこで暗躍して土地の価格をつり上げるというようなことが非常に多いと思うんです。そういうことに対して建設大臣としてはどのようにお考えになっているんでしょうか。
  402. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) この点が一番われわれの難点なんです。と申しますのは、たとえば土地収用法を適用するのにしても、そのときの時価でやるということになっておるものですから、そこで、一番理想的な方法は、こういうものをきめるときには、いまやがて提案しょうと考えております新市街地開発法ですか、ああいうふうな方式で、もうきめると同時にすぽっと発表してぱっとやれる方法があればいいんですが、現在の法制は時価主義をとっているために、どうしてもこの問題は避け得られない、その点はまことに残念であります。
  403. 浅井亨

    浅井亨君 何かいい方法というのをお考えになっておりませんか。
  404. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) これはいまやがて国会に提案しようと思っておりますが、一定の区域を、相当広い面積ですれども、それを限りまして、そうして計画を決定したらそこで基準の時価をきめまして、それを基準にしてあとででき上がった土地と交換するんだという内容の法律をいま準備の最中なんですが、まだ法制局あるいは各省との間の調整が十分つきませんので、まだ成案に至りませんけれども、やがて今国会に提案したい、こう思っているわけであります。
  405. 浅井亨

    浅井亨君 それについて、一定期間とかまたは一定の区域をきめて、それを停止しておくとかなんとかいうそういうような考えはないですか。
  406. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) そこまでいきますと、今度、憲法上はたしてそれが許されるかどうかという問題がありまして、そこで、今度の案も、宅地審議会にかけましたころは相当憲法的に疑義があるという話も学者の間に二、三あったんですけれども、大多数の人が憲法上この程度は差しつかえなかろうという結論が出まして、それでいま提案の準備をしておるわけでございまして、そういう点がいまの私有権を侵すことにならないかという問題、それからもう一つ申し上げますと、一般に付近の土地が上がっておりますときに不当に安く買いますと、生活の根拠を失うおそれが出てくるわけです。小地主の場合には。大地主の場合には一町のうちに一反歩というのは差しつかえございませんが、五反歩しか持たない人が五反歩全部ということになってその価格が社会経済的に見た価格より安いと、今度は生活の根拠を失いますから、その人の生活の保障という問題が出てまいりますので、その辺のかね合いがなかなかむずかしいわけであります。
  407. 浅井亨

    浅井亨君 いまの現在の状態で、いわゆる坪積算単価は千円になっておりますが、そのような値段で買えるということはないのでしょうね。
  408. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) これは全体の平均価格ですから、それで中には三百円、四百円というところもありましょうし、中には千五百円、千八百円というところもありましょうし、その点をいま知事におまかせをしまして、われわれのほうは千円だぞ、それでひとつおさめてくださいということでいま話を進めておるわけであります。
  409. 浅井亨

    浅井亨君 そうしますと、そのもしも差額ができますと、それを地元の公共団体にしわ寄せにするということはないですか。
  410. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) そこまでは考えておりません。その辺でおさまるでしょうし、あるいは非常に合理的な根拠がまた別にあれば、これはまた若干のことは考えなくちゃならぬかもしれせん。
  411. 浅井亨

    浅井亨君 そこで、その土地ですが、売買しますと、その代金に対する租税上の減免措置はどのように考えたらいいのですか。
  412. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) ちょっとその点は事務局からお答えさせます。
  413. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 現在、土地収用法の対象になる分につきましては、土地を国が買い上げた場合におきましては、通常の売買と違いまして、譲渡所得税を課する課税標準をだいぶ下げております。その適用が今度の場合も受けられるのではないかと考えます。
  414. 浅井亨

    浅井亨君 受けられるのじゃないかというお考えなんですか。
  415. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 事業が収用にたえ得る事業として行なわれる場合には、当然収用法による特別措置がとられるというわけであります。
  416. 浅井亨

    浅井亨君 時間も迫っておりますし、そこまで聞いておきまして、また次の機会にお伺いすることにします。  以上で終わります。
  417. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣にちょっとお伺いしますが、先ほどの田中議員の質問の際に公団のストライキの話が出ましたけれども、どうも非常に長引いておるようです。それで、いろいろ考えてみましたら、当事者能力というのがどうも公団側に実質的にはあまりないということから紛争が長引いておるじゃないかという気がするわけです。つまり、組合としては、公団の総裁と交渉してみても、公団には建設大臣の承認がなければいけない、建設省としては大蔵省と話し合いをしなければならない、そういう逃げ道のようなものがある、そのために団体交渉そのものに気乗りがしない。したがって、また、公団の総裁のほうも責任をもって回答できない。あいまいな態度のままそのままストライキに突入してしまう。こういう機構上の不備な点があるのじゃないかという気がするわけです。だから、こういう点を改めないと、いつの場合においても公団のストライキというものが変に長引いて無用のトラブルが尾を引くという結果になるのじゃないかということを懸念をするわけですが、その点は一体どうしたらいいかという点を大臣からお聞きしたいと思います。
  418. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) これは、いまたびたび申し上げましたように、公団というものの性質からくる面があると思います。つまり、民間の会社ならばその資金もみずからの責任において調達する。したがって、もし利益が出ないときには、お互いに、場合によっては会社を解散しなければならないということがあるかもしれないというおのずからそこに共通の意識があるわけです。ところが、公団の場合には、資金は政府がめんどうを見るのだ。というのは、政府がめんどうを見なければ安い住宅を提供することはできないし、また、便利な道路を提供することもできない。そういう性格、目的から公団という形にしたわけですが、したがって、公団の本質そのものにある程度民間の労働組合、民間の労使関係とは違った部面があるということの認識がおそらく失礼な話ですが組合側にも欠如しているじゃないかという気がするわけです。おのずからそこには予算上の制約があるんだということが、たとえば賃金の場合について言いましたならば、予算上の制約があるんだ、その予算は国民の貯蓄あるいは国民の納めた税金の中から流れてきておるんだ、そこにはおのずから予算上の制約があるんだということの認識がないと、組合側からいえば、その認識がありませんと、じゃ幾らでも出せるじゃないか、大蔵大臣と交渉すれば幾らでも出せるじゃないかと、こういうことになりかねない。それから一方、公団側からいいますと、自分たちの与えられた使命というものは要するに予算の範囲内でやるんだ。したがって、予算の範囲以上には出ません。予算の範囲内でやり得る点は、たとえば、初任給は幾らにするか、その昇給率はどうするかということ、これはできるわけであります。予算総額の中でやるべきことですから、それが組合側の要求にこたえておるかどうかという点は、これは理事者側としてはその点は組合側と十分話し合いをして、そうしてその要求が満たされるように、それはあくまで総額の範囲内ということになるわけです。それをやってもらわなければならないと同時に、もう一つは、公団の給与の水準というものは公務員の給与水準にならっている。それはいいか悪いかということはまた別でありますが、公務員の給与水準にならっている。公務員は民間の給与のベースを基準にして人事院がきめておるわけですから、したがって、公務員の水準というもののやはり一つのものさしにならわざるを得ない。こういうところにまだ理事者側と組合側との間にも十分な認識がお互いに共通のベースでものを言っておるというところにないのじゃないかという気はするわけであります。また、同時に、公団の組合は労働三法の適用を受けておるわけですから、したがって、どうしてもストライキに突入しなければいかぬというときには、要するにこれはよき慣行が成立しておれば、労働委員会というものがあるわけですから、労働委員会に持ち込んで第三者の裁定を受けるということがあるんです。これは当然そういう第三者のものがあれば、政府としてもこれを全然無視してというわけにはいかない。そういうようなよりよい労働慣習をお互いにつくっていくというところに問題の解決点があるのじゃなかろうかと、こういうふうに思うわけです。
  419. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 何にしましても、いままで労使間の紛争というものは、公団関係は非常にややこしくなっておるわけです。長引いておるわけです。だから、ここでもってきっぱりときまりをつけられるという場所をどっかに置いておかなければならぬ。組合としては、公団の総裁は、言い方は悪いですけれども、ロボットみたいなものだ、こういうふうに見ているから、その間の団体交渉というものは真剣に軌道に乗らないといううらみがあるのじゃないかと思うのです。こうなれば、やはり建設大臣が、賃金紛争あるいは要員問題、いろいろな問題があると思いますが、これらの問題の解決のために誠意をもって努力をするということが近道じゃないかという気がするわけですが、その点で建設大臣としては大蔵大臣との関連もいろいろあるでありましょうけれども、いまの機構がはたしてこれでいいかどうかという検討の問題と、それから現実に起きている紛争の解決の問題について、本腰を入れてかかるという誠意を示していただくことが私一番必要だろうと思うのでありますが、その点はどうでしょうか。
  420. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) これは、三公団だけではなく、政府関係機関全部共通の問題なんです。つまり、政府資金、政府の援助でやっている公団や公社の労使の関係は一体どういうふうにして律していくべきなのかというこれは根本問題なのでありまして、建設省だけの三公団関係だけでこれはなかなか律することはできないと思います。したがって、現在あります公団そのものと労組の関係は、国会が承認した法律に準拠してやっておるのですから、ですから、法律以上のことはやはりだれがどんな善意をもってしてもやれないわけです。しかし、それが円満にいけるようにということで内部指導はしておるのです。やはり内部指導はしておりますけれども、それはあくまでも総裁の責任においてやってもらう。その点は全然ほったらかしておるわけではなくして、内部指導はしておるわけでありますが、やはり何度も繰り返して申し上げますように、法律上の制約と予算上の制約だけはあるんだ、これをやはり組合側でも知っていただかないと、そして、平生から始終理事者側は労組側の意見を聞き、労組側は理事者側の立場、また法制的の立場というものもしよっちゅう知っておってもらって、そしてわれわれの限度はここにあるんだということを組合側でも知っておいてもらわぬと、やはり同じ問題が起こるんじゃないかと思います。
  421. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 事実上の決定権を持っているのはだれかということに組合としては目をつけるわけです。決定権を事実上持っていない相手であっては、形式的に妥結ができる相手であっても、それは交渉に気乗りがしなくなってくる。単なる一つの段階として形式的に事を運ぶにすぎないということになってしまう。したがって、決定権を持たせるか、あるいはその持たせるような機構の改革ができなければ、決定権を多く持っておる当事者が腹を割って組合側と交渉して結着をつけるという方法をとるのが一番私は紛争を解決するためには早道であろうと思うのでありますが、その点について大臣としてはどのように指導し、かつ解決をされようとなさっておるか、この点を最後にお聞きしたいと思います。
  422. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) この点は、内部の指導はしておりますが、結局は、政府全体として考えてその資金が、たとえばベースアップの場合、あるいは年度末手当の場合もそうでありますけれども、その資金というものが、現在の制度上あるいは現在の予算上、筋道を立てて出し得るものかどうかというところにかかってくるわけなんです。これは、一建設大臣、一大蔵大臣だけでなくして、やはり政府全体が考えて結論を出す問題だ、こう思うわけです。
  423. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 その制度上の問題については、やはりいままで何回か公団のストライキを経験してきて、どうも隔靴掻痒の感といいますか、非常に繁雑といいますか、まだるこしい点があるということとは経験をしてきているわけですから、それらの点についてはやはり基本的に検討を加えるということが本来必要ではないかという気がします。それと同時に、組合側とも大臣の責任において折衝をするというか、内部指導をして問題の解決を促進をするということが私は必要であろうと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
  424. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) この点は、根本的になりますと、全部大蔵大臣が決定しなければならぬと思いますが、それはまた不可能だろうと思う。そうかといって、いっそ民営にしてしまうかということになっても、これまたおそらく不可能な問題であろうと思います。ですから、いまの制度を続けていくとすると、どうしても一つの壁といいますか、労使関係の壁というものは、これはあると思うんです。それをどのようにうまく円滑に運営していくかということなんでありまして、制度を全部やり直すということは、その中間のいい案があれば別ですけれども、なかなかむずかしいのじゃないかというふうに考えております。
  425. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最後に、内部指導の面について、争議が長引いておりますから、内部指導でも何指導でもいいんですけれども、その指導の面において解決をするということに建設大臣として誠意をもって当たられるというお気持ちがあるかどうかという点についてお伺いしたい。
  426. 小山長規

    国務大臣(小山長規君) これは、もう就任以来そういう点について特に決意を新たにしておりまして、その点は私も誠意をもってやっているつもりであります。ただ、事の結果がうまくいくかいかぬかという点だけが心配でありますが、誠意をもってやっております。
  427. 田中啓一

    主査田中啓一君) 建設省所管に対する質疑は、本日はこの程度にいたしたいと存じます。  なお、質疑の残っております運輸省及び建設省所管については、明二十七日午前十時から、郵政省所管につきましては二十九日の午後、それぞれ審査を続行いたします。  それでは、本日はこれにて散会をいたします。    午後七時二十三分散会      —————・—————