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1965-03-19 第48回国会 参議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十九日(金曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————    委員の異動  三月十九日     辞任         補欠選任      藤田  進君     稲葉 誠一君      加瀬  完君     鶴園 哲夫君      田畑 金光君     曾祢  益君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         平島 敏夫君     理 事                 大谷藤之助君                 迫水 久常君                 日高 広為君                 村山 道雄君                 中村 順造君                 鈴木 一弘君     委 員                 植垣弥一郎君                 植竹 春彦君                 江藤  智君                 太田 正孝君                 草葉 隆圓君                 古池 信三君                 郡  祐一君                 佐野  廣君                 白井  勇君                 田中 啓一君                 竹中 恒夫君                 野本 品吉君                 前田佳都男君                 丸茂 重貞君                 森 八三一君                 山崎  斉君                 稲葉 誠一君                 木村禧八郎君                 小柳  勇君                 鈴木  強君                 鈴木  壽君                 瀬谷 英行君                 鶴園 哲夫君                 羽生 三七君                 鬼木 勝利君                 中尾 辰義君                 曾祢  益君                 田畑 金光君                 高山 恒雄君                 佐藤 尚武君                 岩間 正男君                 市川 房枝君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  田中 角榮君        文 部 大 臣  愛知 揆一君        厚 生 大 臣  神田  博君        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        通商産業大臣   櫻内 義雄君        労 働 大 臣  石田 博英君        建 設 大 臣  小山 長規君        自 治 大 臣  吉武 恵市君        国 務 大 臣  小泉 純也君        国 務 大 臣  高橋  衛君    政府委員        内閣官房長官  橋本登美三郎君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君        防衛庁参事官   麻生  茂君        経済企画庁調整        局長       高島 節男君        外務省アジア局        長        後宮 虎郎君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        大蔵省主計局長  佐藤 一郎君        大蔵省関税局長  佐々木庸一君        大蔵省理財局長  佐竹  浩君        大蔵省銀行局長  高橋 俊英君        国税庁長官    吉岡 英一君        文部省初等中等        教育局長     福田  繁君        厚生大臣官房会        計課長      戸澤 政方君        厚生省公衆衛生        局長       若松 栄一君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省薬務局長  熊崎 正夫君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        厚生省保険局長  小山進次郎君        厚生省年金局長  山本 正淑君        農林大臣官房長  中西 一郎君        農林省農林経済        局長       久宗  高君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君        農林省園芸局長  林田悠紀夫君        水産庁次長    和田 正明君        通商業省通商        局長       山本 重信君        通商産業省繊維        局長       新井 眞一君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君        中小企業庁長官  中野 正一君        労働大臣官房労        働統計調査部長  大宮 五郎君        労働省労政局長  三治 重信君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省職業安定        局失業対策部長  住  栄作君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君        建設省住宅局長  尚   明君        自治省選挙局長  長野 士郎君        自治省財政局長  柴田  護君        自治省税務局長  細郷 道一君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君    説明員        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十年度一般会計予算昭和四十年度特別会計予算昭和四十年度政府関係機関予算、以上衆議院送付の三案を一括議題とし、前回に引き続き一般質疑を行ないます。小柳勇君。
  3. 小柳勇

    小柳勇君 まず外務大臣に質問いたします。けさの新聞報道によりますと、日韓会談は相当進展しておりまして、特に漁業会談につきましては、次回の会談くらいで妥結するのではないかという報道をいたしておりますが、現状について御報告をお願いいたします。
  4. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 漁業交渉につきまして、少し長くなりますが経過を御報告いたします。  私どもは、李ラインの実質的な撤廃日本操業実績確保する、こういうことを主眼として漁業交渉を続けておるわけでございます。そこで、李ライン実質的撤廃でございますが、最近の国際慣例にのっとりまして、韓国の一方的管轄権を行使する範囲を十二海里以内、いわゆる漁業専管水域に限定するという方針で進めておりまして、これが大体きまりました。その外側に帯状の共同規制水域を設ける、この共同規制水域におきましては、その中の漁労等につきまして、一方的な権限を持つということはやめにして、両国平等に公平に適用されるようにして漁獲をしていく、こういう共同規制区域を設けることに、これもほとんどきまりました。なお、取り締まり権及び裁判管轄権でございます。これはいまの李ラインのあるように、一方的な取り締まりとかあるいは管轄権があるようなことは、私どもこれを認めておりませんが、これからもそういうことがあってはなりませんので、共同規制区域あるいは公海上におきましては、わが漁船等につきまして停船を命じたりあるいは臨検をしたりあるいは拿捕する等の行為が行なわれないようにするために、取り締まり権及び裁判管轄権船舶の旗の国——旗国専属権限とすることの大体これも取りきめに相なっております。この専管水域共同規制水域及び取り締まり権及び裁判管轄権、こういうものによりまして李ライン実質的撤廃確保するということにつとめまして、大体その確保に近いところまでいっております。  第二に、日本操業実績確保するため出漁隻数を規制する、こういうことにつきましていま折衝中でありますが、それにつきましても漁船出漁数わが国実績を下回らないように交渉をいたしておりますが、この点におきましては、まだ最終的な合意には達しておりませんが、実績確保は、ほぼめどがついておるというような段階であります。ただ、この間じゅうもお話し申し上げましたように、隻数だけでは困るというような話がありまして、ほかの国との交渉等にもありまするように、量をきめてもらえないか、こういうことでございますので、隻数と相伴って十五万トンの一〇%上下のアローアンスを設けて、その漁獲量めどにしていこう、こういうような話し合いをしております。しかし、もしも漁業協定ができる場合におきましては、隻数を正式の取りきめといたしまして、漁獲量等につきましては、合意議事録のほうに回そうかというような話し合いもいたしておる次第でございます。現在の交渉は、以上のような諸点につきまして大体最終的な詰めに持っていけるかというような段階に来ていることは、新聞報道のとおりでございます。ただ、済州島付近の専管水域を決定する基線及び専管水域の線でございますが、これに若干の問題を残しております。国際的に悪い前例とならないように配慮をいたすとともに、日本漁船の操業し得る漁場が不当に狭められないように十分の努力をしながら目下折衝しておる、こういう段階でございます。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 ただいまの農林大臣答弁によりますと、基線の話と、それから出漁漁船の話が一緒にされておるようでありますが、新聞報道などでは、基線のほうで相当譲歩して出漁漁船の数のほうを話しておるように印象を受けますが、その点いかがですか。
  6. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 基線のほうと出漁隻数は関連を持ちません。基線はほとんど決定いたしました。決定いたしておりませんのは、いまの済州島の問題でございます。いまのお尋ねは、でありまするから、済州島の基線の問題と隻数の問題とに何か取引でもあるのかと、こういうことかと思います。これは私ただいま申し上げましたように、出漁隻数等につきましては、ほとんどもうきまったといいますか、きまったような段階で、これとの取引ではございません。済州関係は、国際慣例に悪い前例とならないように、また、日本漁場が狭められて、漁業上の差しつかえがあるようなことであっはならない、そういう観点から、線の引き方等につきまして折衝いたしておる、こういう段階でございます。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、現在の実績で大体妥結しそうだとおっしゃいますが、現在の実績を下回って妥結しないと確約できますか。
  8. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 下回るとか、下回らないとかいうことになりますと、非常に厳格になりますが、実績を尊重するということで話し合いをしていまするし、私のほうといたしましても実績をそこなわないように出漁隻数等を折衝いたしておりまして、大体そのめどはついておるという段階でございます。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 私は、ここに本年の二月末に提案されたと報じられておる数字がありますが、この数字は、日本側韓国側相当開きがありますが、この点いかがですか。
  10. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まだ数字等につきましては外へ出したことはございません。二月の、どこの数字でございますか、あるいは新聞等に出ていたものかと思いますけれども、私のほうとはちょっと違っておるのではないかと思いますが、まだ外へ出た数字というものはないと私は思っています。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 現在の実績を下回らないという方向交渉が進められておるような段階のようでありますから、この数字については最終的には別途の機会に確かめたいと思いますが、西日本などの漁業界では、漁獲トン数もそうでありますが、隻数に非常にウエートを置いていま期待いたしておるところであります。したがいまして、その隻数の問題で譲歩されないように期待をいたします。  それから水域の問題でありますが、国防ラインにつきましては、実質的に撤廃するように話を進めておると言われておりまするが、調査水域国防ラインとの関係韓国側はどのように理解しておるか、お知らせ願います。
  12. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 韓国側国防ラインをどうというような考えがあるかどうかということは、漁業交渉の場では私ども確かめておりませんけれども漁業交渉の場で両方で話し合っていることは、共同規制水域の外に、いわゆるいまの李ラインというのがありますが、そういう線は一切認めない。将来調査をすることは、魚の資源の保存の点におきまして、共同委員会等におきまして線などは引かないで、調査をすることはありましょう。しかし、基線等は一切私どものほうでは認めない。また、向こうでも共同水域の外に漁業に関する線等を設けるという意思はない、こういうところには話は進んでおるわけであります。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、さっき大臣が言われました規制水域外での違法行為という、その違法行為というのはどういう行為でございますか。
  14. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 規制区域外におきまする違法行為というものは別にないと思います。国際的に何か違法行為でありまするか、もしも何といいますか、いろいろな約束違反しておるというようなことがあります。たとえば網目だとか光力とか漁期とか、そういうものもありますが、そういう約束共同規制区域等において違ったような場合に、その取り締まり権及び裁判管轄権等につきましては自分の国、日本なら日本日本船に対しては日本韓国側韓国、こういうふうにいたしております。こういうふうにいたしておりますので、違反というようなことは、いま言う共同規制区域内における光力とか網目とか、そういうことかと思います。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、いまの違法行為というのは、漁獲方法に関してそれぞれの国が定めている方法違反したという意味でございますか。
  16. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 公海における漁業に、違反とか制限を付せられる理由は一つもございません。共同規制区域内においてお互いの協定違反した場合、こういうことに相なると思います。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 共同規制水域の外に国防ラインなるものの仮定があるようでありますが、将来その空間で漁業しておる場合に不当に拿捕されるということは一切ないという取りきめをこの交渉でできますか。
  18. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 当然共同規制区域外拿捕されるというふうなことはあり得ないし、そういうことはさせないという取りきめはするつもりであります。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 高杉代表会談の中で、拿捕船及び船員に対する補償を要求しておられるようでありますが、これに対しては当然だと思いますが、外務大臣、いかがですか。
  20. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私から答弁いたします。  拿捕漁船及び乗り組み員の損害賠償につきましては、再々申し上げておりまするように、その事件のつど外交ルートを通じて請求権を留保してまいったのであります。そこで、今回の漁業交渉につきましてもこれを強く請求いたしておりますが、この交渉一括解決のたてまえになっておりまするので、全体が解決するまでの間にこれを一般外交ルートに移しましてそうして何らかの解決をするようにということで、漁業交渉のほうから外交ルートのほうの交渉に移しまして、この日韓問題が解決するときにはこの賠償問題も解決するという方向で進めてもらっております。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 だから私は、外務大臣に質問しているわけでありまして、外務大臣、その場合のあなた方の頭の中にある拿捕漁船並びに逮捕された船員の数はどのくらいの数があるのですか。
  22. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 事務当局からお答えいたします。
  23. 和田正明

    政府委員和田正明君) 昭和二十二年以降、韓国によって不法に拿捕されました隻数は三百二十六隻でございます。その乗り組み員は三千九百二十五名でございますが、そのうち二十一名は船舶拿捕の際に脱出をいたしましたので、実質的には三千九百四名になります。現在未帰還の人はございません。船舶のうち、百八十二隻が現在未帰還になっております。
  24. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 死亡者がいるでしょう。
  25. 和田正明

    政府委員和田正明君) 拿捕されました船員のうち、死亡をいたしました者は八名でございます。
  26. 小柳勇

    小柳勇君 外務大臣、ただいまの拿捕漁船並びに船員補償について、金額に換算してどのくらいを考えておられますか。
  27. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 概略七十億となっております。
  28. 小柳勇

    小柳勇君 農林大臣は、この問題も一括解決のときに解決するのだとおっしゃいましたが、外務大臣一括解決めどは今月じゅうくらいに妥結いたしますか。
  29. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) このほかに法的地位の問題、それからまだ請求権の問題が終局的に妥結しておりませんのでその問題等がございまして、ただいまのところ、できるだけ早期妥結方針をもって話を進めておりますが、いろいろ問題がございまして、相手もあることでございまするので、スケジュール等はつくっても意味をなさない状況でございます。できるだけ早く妥結したいと、そういう考え方で進めております。
  30. 小柳勇

    小柳勇君 漁業問題について、最後にもう一問農林大臣に質問いたしますが、妥結する出漁隻数などについてわれわれは農林大臣に期待いたしておりますけれども西日本漁業界としては、隻数は相当減るのではないかと心配いたしておるところであります。したがいまして、現時点における現状とそれから将来、そういう心配をしておる人たちに対して、農林大臣方針をお示し願います。
  31. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほどお話がありましたように、たとえば以西底びきなどが百六十隻というふうに新聞に一度出ていまして、西日本漁業者相当ショックを与えているように考えております。しかし、そういう事実はございません。と同時に、水産庁を通じまして何といいますか、調整といいますか、よく理解、納得の得るような方法を講じ、私のほうといたしましては、できるだけこの実績確保するあるいはそれ以上にいたしたいというふうに折衝いたしております。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 関連して。農林大臣外務大臣にお尋ねいたしますが、きのうは車さんの健康で会談が持てなかったようですね、漁業交渉は。そこで、たいへんきょうは農林大臣は丁寧な報告をされておりますが、われわれはそれを聞きまして、もはや漁業交渉に関する限りは、まあ済州島周辺の基線の問題もありますが、大体もう最終的なところにきているだろう、こう私は感ずるんです。そこで、きょう会談が持たれましたら、おそらくいま御報告になった線で最終的に妥結するんではないか、こう私、思うんです。そのことに対しての御回答と、それから、いま小柳委員に対して外務大臣から御答弁がありましたが、おそらく漁業問題が一応の解決を見ますならば、残された法的地位問題等含めて早急に日韓交渉妥結をすると、こういうふうに判断がされるんです。いま時期について明確にあなたは言えないような御答弁でありましたが、どうもここ数日の間に最終的な結論に達するような気がしますが、われわれ社会党は、御承知のとおり、この日韓交渉というものが決して将来に向かってのわが国利益にならない、また、韓国利益にならない、こういう立場から実は反対をし、中止をお願いしているわけです。そういう段階で、どうも情勢として、もうここ数日の間に妥結をするだろうというような見通しを感ずるんです。この点に対して、ひとつ重ねて外務大臣からも御回答願いたいと思います。
  33. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私は、国会でありまするから、いままでの経過を詳細に、そして日本立場がそこなわれるようなことのないように交渉してきました経過を取りまとめて御報告申し上げた次第でございます。しかし、まだ、ほぼめどがついているとはいうものの、出漁隻数につきましても、あるいは済州島近辺の線の引き方等につきましても、あるいはまた、もう一つ漏らしましたが、漁業協力資金という問題もございます。そういう問題にはまだ触れておりません。でございまするから、まあ相手方があるのでどういうふうになるかわかりませんが、まだまだもう少し時間をかさなければならないのではないかと、こういうふうに考えております。
  34. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まだ漁業の問題も残っておりますし、また、法的地位の問題はかなり問題が多岐にわたっております。そういうことで、請求権の問題につきましても結論まで詰めるのはそう簡単ではない。御指摘の、数日の間に妥結に達するということは、なかなか見通しとしては困難ではないかと考えておりますが、われわれとしては、まあ相手のある問題でありまして、一方的にこれを詰めるということは非常にむずかしい。困難な、不可能な問題でございます。できるだけ早期妥結という方針ではございますけれども、いまのところはっきりした見通しは困難である、かような段階でございます。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 外務大臣に質問いたしますが、米国放送によりますと、日韓会談は早まったと盛んに放送いたしておりますが、何か根拠があるのでございましょうか。
  36. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 新聞にそういったような記事が出ておりますけれども、私は、どういう根拠で、どういう気持ちで発言をしたのかよくわかりませんけれども、そう確たる根拠があって話されたのかどうか、これはまあわかりません、結局わかりません。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 外務大臣は、一括解決を唱えておられますが、漁業問題については近く妥結するような話であります。あと、法的地位の問題あるいは竹島の問題など残っておりますが、残りました問題についての、現時点において話し合われたととろをここで御報告願います。
  38. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 交渉の最中あるいはこれから交渉しようという問題でありまして、ただいまの段階ではその内容を詳細に申し上げることができないことをまことに遺憾といたします。     —————————————
  39. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいま委員の変更がございました。藤田進君が辞任され、稲葉誠一君が選任されました。     —————————————
  40. 小柳勇

    小柳勇君 国民が非常に重大に考えております日韓会談につきまして、アメリカのほうからの放送では、近く会談妥結するのではないかと報道されておるのに、当事者である外務大臣国民の前にその残された問題の話し合い内容報告されないということは、われわれは理解できないところであります。  竹島の問題はどうですか、どういうところで話が進んでおりますか、具体的に御説明を願います。
  41. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 竹島の問題につきましては、少なくとも最終的に決定する方法について、はっきりしためどを立てて、そして一括解決と、こういう段階に運んでまいりたいと考えておりますが、まだ竹島問題につきましては、今回の第七次会談においてはこの問題の討議にまだ入らない、これから入ろうとするところでございます。
  42. 小柳勇

    小柳勇君 報道機関が、こぞってその内容についても外務大臣が言われた以上のことを報道しておるわけです。国民もそれを承知しておるところでありますが、そういうとぼけたような答弁では納得できないのでありますが、それでは、請求権の問題は、いまいかがになっておりますか。
  43. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 請求権の問題も、今回の第七次会談では、これから委員会を構成いたしまして、そしてこの問題の最終的な解決話し合いを進めていくと、こういう段階でございます。
  44. 小柳勇

    小柳勇君 私は、いまような姿で日韓会談が進められ、国民に真相を知られないまま、ごく一部の人で会談が進められ、しかも妥結に至ることは反対であります。しかし、ここでいたずらにこの平行線で論議いたしましてもしかたありませんので、外務委員会など担当委員会で追及していただきますが、ただいまの外務大臣答弁、まことに不満であります。不満の意を表明して、次の問題に入りたいと思います。  次は、厚生大臣に質問いたします。  昨日の新聞で、また社会保険審議会が混乱をいたしまして、薬価基準引き下げの分離実施は困難であるという厚相の話で紛糾しておるようでありますが、その真相について御報告を願います。
  45. 神田博

    国務大臣(神田博君) 薬価基準の引き下げ等の問題につきまして、昨日の社会保険審議会で紛争しているではないか、この真相をひとつ説明しろというふうに小柳さんから承ったわけでありますが、御承知のように、薬価基準の問題につきましては、昨年の四月、中医協の有澤答申がございまして、三十六年以降改訂を見ておらなかったわけでございます。薬価を実勢価格に合わせて、そして医師の技術料に振りかえるようにというようなことでございまして、昨年の暮れの十二月にこれを中医協に諮問いたしております。そこで、その内容は、約三%というようなことになっております。これを技術料に振りかえたいと、こういうことでございます。そこで、諮問中でございますが、その後、これは昨年の十月一日を基準として調査した実数でございます。ところが、御承知のように、貿易の自由化等によりましてその後薬価が下がってまいっております。あるいはまた、製薬業者の企業の整備あるいは近代化等によりまして薬価が下がってまいったと申しましょうか、下がり得るような情勢ができてまいったのであります。これを、いま薬価がどのくらい下がるかということをこの三月一日付をもちまして実勢価格の調査に入ったわけでございます。  そこで、問題は、二月の二十七日でございますか、政府側を代表して官房長官、それから与党を代表して幹事長、政調会長等が中医協の支払い団体の方々とお目にかかって調停していることは御承知のとおりでございます。この調停によりますと、その三%以外に、いま調査して、下がるであろうという薬価をこれと切り離して下げたらどうか、こういうことでございまして、私といたしましてもその調停の精神を十分尊重いたしまして、そういうような考え方で検討いたしておる最中でございます。ただ、たまたま昨日は、御承知のように、三%をいま諮問いたしておりまして、今後、まあ一%が出るのか一・五%が出るのか、あるいは二%が出るのか、これは調査の結果にまたなくては正確な数字が出ないわけでございます。これを、三%を切り離して一・五を下げるかどうかということにつきまして、政府と与党との統一見解をひとつ明らかにしてもらいたいと、こういうことでございまして、このことの見解、統一した考え方を申し上げて目下審議をお願いいたしておる、こういう実情でございます。
  46. 小柳勇

    小柳勇君 官房長官に質問いたしますが、この前、官房長官と支払い者側団体の間で了解文書がかわされております。二月二十七日に。この中で、「政府は薬価基準の引き下げについて早急に努力する」と書いてあります。これは、引き下げるということも当然でありますが、「早急に」というのは一体いつごろのことをそのときは話し合ったのでございますか。
  47. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) 御承知のように、支払い者側と私並びに三木幹事長及び政調会長との間でいろいろ医療問題についての懇談が三回にわたって行なわれたわけでございます。これはまあ御承知のような事態で、当然窓口が厚生大臣でありますから、支払い者側も厚生大臣と懇談をし、あるいは交渉をすべき性質のものでありましたが、御承知のような事態で、そういうような機会をお互いに——というよりは、支払い者側のほうで持つ意思がない。さような事情からして、まあ小柳さんが官房長官であれば、やはり私と同じように何か支払い者側とそういう道を見つけるべき努力をするようなことをおやりになるんではないでしょうか。私も政府の一応窓口の一人として、今日まあ御承知のような保険三法が出ておる。これがどういう形かで解決されなければ医療保険の財政の問題にも大きく響いてくる。その他いろいろの問題があるわけであります。さようなことからして、数時間——一回七時間ないし八時間の長時間にわたって三回ほど懇談をした結果、御承知のような結論が出たわけでありますが、ただ結論だけにまつというと、いろいろな解釈が出てこようかと思いますけれども、その際に、やはりその根本的な問題になりましたのは、いまの保険医療制度というものが、従来は一つの慣行の上に立って進められてまいりました。薬価問題にいたしましても、事実上は薬価の従来の慣行からして、いわゆる診療側に支払われていると同じような実際上の慣行が長い間続いてまいっておる。こういうような事柄は、かつてから、この問題を中心にしての会議もしくは識者の意見においてはそういう慣行はあったにしても、もっと前向きの正しい姿で保険医療関係というものを規制すべきではないか。これは、学識経験者の皆さんもさような御意見を持っておられるわけであります。しかし、いま直ちにそういう問題に持っていくためには、かなりいままでの慣行というものが大きな力を持っておりますので、直ちにさような面に持ってまいることはできないということから、あの申し合わせの第一項に、全面的な諸問題として、内閣総理大臣にあずけるという問題は、いままでのいろいろな苦心、関係といいますか、そういう問題もありましょうけれども、それだけではなくして、全体として医療制度の問題を政府は前向きの形で考えてもらいたい。また、考えるべきである、また考えましょう、こういうような考えがあの最初の第一項にあるわけであります。その第一項を引き継いで、あとの二項、三項、四項、五項というものがつくられたのでありまして、その中で薬価の早期引き下げという項目は、御承知のように、厚生大臣が御説明申し上げましたが、すでに昨年七月の時点においての薬価の値下がりの状況等を勘案して、そこで三%というものが振りかえとして診療者側に振りかえしてもらいたいというこういう考え方で中医協のほうにかけられておるわけであります。ところが、それが皆さん御承知のような事情で、中医協というものが開かれてまいらない。そういう問題から、官房長官がもう一つの窓口と言っては恐縮ですが、政府の一員でありますからして、政府の全体的な姿勢として、これに取り組む必要があるということから、かつまた、党側にも十分に知ってもらいたい、また党側の意見もありますので、そこで党と一緒になって支払い側と話し合いを申し合わせ、あるいは話し合いというものを進めるに至ったわけであります。  その結果出ました、早期にこの薬価を引き上げるように努力するという、特にこれはもちろん時期の明記はありません。ということは、いま申しましたように、この問題の大きな解決、恒久的な解決は、調査会等によって、保険医療制度がどうあるべきかということが大きな流れになりますが、当面の解決の問題として、三%を診療側に振りかえる問題と、同時にまた、最近における薬価の値下がり等を勘案して、かつまた、一方においては医療保険側の財政等の問題も勘案して、そこで実勢を調査して、そこから出るものがあれば保険財政のほうに寄与しようという考え方でいま目下調査中でありますからして、その結果のできることをなるべく早く期待をいたしておりまするが、いつごろこれが実施に至るかどうかということは、調査中の問題でありますので、それらを勘案してみませんというと、いつごろこれが実施できるかという点については答弁しかねる状況であります。
  48. 小柳勇

    小柳勇君 文書の真意についてはわかりましたので、厚生大臣に質問いたしますが、調査の結果はということばを再々使われますが、九・五%の医療費の値上げに沿って中医協が紛糾いたしまして、その収拾策としていまの取りきめがなされたわけです。そして、薬価基準の引き下げた分は当然健保財源として支払い側に返ると、腹の中でみんな考えながら、この文書がかわされておるものと理解するが、その点いかがですか。
  49. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答えいたします。保険財政に寄与する、その結果、支払い側が何といいますか、その負担が軽減される、こういう御趣旨のとおりでございます。     —————————————
  50. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいま委員の変更がございました。  加瀬完君が辞任され、鶴園哲夫君が選任されました。     —————————————
  51. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、医師会などで言われる、あの引き下げた分は診療側にこれは回るんだということは、これは誤解ですか。
  52. 神田博

    国務大臣(神田博君) 今回の、いま三月一日を基準にして調査をいたしております。いわゆる三%以外に下がる分でございますが、これは貿易の自由化、それから先ほども申し上げましたように、製薬業者の設備の近代化と申しますか、合理化等によって下がり、または下がり得る分でございまして、この点につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、保険財政に寄与させたいと、こう考えております。
  53. 小柳勇

    小柳勇君 この一・五%かなんか、まあはっきり数字が出るでしょうが、それは支払い側に回るものだと。それから、じゃあ、三%はいかがですか。
  54. 神田博

    国務大臣(神田博君) 三%につきましては、これは診療側のいわゆる点数に振りかえてまいりたいと、これは中医協に諮問いたしております。それから、いま調査いたしています——御承知と思いますが、五千七、八百種類になっておりまして、若干の期間がかかります。この点は保険財政にひとつ入れると、こういう考え方でございます。まあ、支払い側に入れると、こう言っておりますが、支払い側が得するという意味であればそのとおりでございますが、保険財政に寄与させると、こういうふうに考えております。
  55. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、きのうの新聞を見ますと、支払い側も診療側も両方とも反対して、社会保険審議会はついに結論を得なかったようでありますが、この内容をちょっと説明してください。
  56. 神田博

    国務大臣(神田博君) 支払い側が反対したということは、もっと急いで調査を進めて早くやれぬかということでございます。それから、公益委員でございます。医師会に籍を置いておられます方のお考えは、いま官房長官のお答えもございましたように、そういう薬価基準の改訂の際は、医師のいわゆる技術に回すべきものだと、それを保険財政に入れるということは好ましくない、こういう御意見でございました。
  57. 小柳勇

    小柳勇君 調査の結果をまってとおっしゃいましたが、調査はいまだれがやってるんですか。
  58. 神田博

    国務大臣(神田博君) 薬価基準の改訂の基本的調査は、厚生省の薬務局でやっております。薬務局で三月一日を選びまして、その三月一日における薬価の実勢調査をいま開始しております。これを保険に取り入れていくということになりますと、保険局の主管になります。だから、言いかえれば、薬務局と保険局で最後に折衝してきまると、こういうことと思っております。
  59. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、薬価基準の引き下げは中医協にはからずに早急に処理するということについては理解していいわけですね。
  60. 神田博

    国務大臣(神田博君) 薬価基準の改訂を中医協にはからないでやり得る場合と、はからなければやり得ない場合とございまして、今度の場合やり得るかどうかということが議論になるわけでございます。三%を先にやってあとから一・五やるか、あるいは同時にやるかということで議論があったわけでございます。
  61. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、いつこの問題が解決するのですか。
  62. 神田博

    国務大臣(神田博君) いつ解決するかということは、調査の結果にまたなくちゃなりませんが、三月一日の基準をとらえまして調査を開始いたしておりますから、実際にわかりますのは、大数がわかるのは四月一ぱいかかると思いますが、実際にそういった保険に取り入れていく、あるいはまた、薬価基準改訂の機会をとらえまして、また新薬も加えなくちゃならぬという問題もあろうかと思うのです。そういうもの——除くもの、入れるもの、それから実勢価格を訂正するものということの準備が完了するのは五月にかかる、こう考えております。
  63. 小柳勇

    小柳勇君 五月一日をごろめどにという話もちらちら出ておりましたが、そういうような、大臣の先の見通しのつかないようなはからいで、中医協もあるいは社会保険審議会も混乱しているのじゃないですか。
  64. 神田博

    国務大臣(神田博君) 中医協の混乱していることは、遺憾のことでございます。社会保険審議会は混乱しているとは考えておりません。そういうことで議論がありましたが、常の議論があったと、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  65. 小柳勇

    小柳勇君 薬価基準引き下げの問題について、もう少し詰めなければなりませんが、次の問題が大事ですから、これは次に入っていきますが、医療業務調査ですね、業態調査については、これも約束がありますが、どうですか。
  66. 神田博

    国務大臣(神田博君) 医師の実態調査ということを言っておりますが、この調査の必要のあることは、もう前々から申し上げているとおりでございます。そこで、それならば調査をいつやるかということでございますが、できるだけすみやかにいたしたいということで、関係方面と折衝いたしている次第でございます。
  67. 小柳勇

    小柳勇君 二月二十七日の了解文書というものは、ただ客観的に必要であるからということではなくて、あの医療問題の紛糾を解決して予算案をどうするかという、せっぱ詰まった重要な段階に立っての取りきめですね。その上に立ってこれを論議しませんと抽象論になりますから、そこで、実態調査をことしやるということは言明できますね。
  68. 神田博

    国務大臣(神田博君) 一日も早く調査を完了したい、着手して完了したいというのが、これはもう厚生省といたしまして多年の念願でございます。ことに、三十九年度は予算もちょうだいいたしておりまするし、したがいまして、昨年度二月以降この準備を進めてまいっておりますが、御承知のように、この調査の正確を期すということになりますと、医師会の同意を得まして御協力と御支援がなければできないことでございます。同時にまた、権威ある学者もひとつわずらわすと、こういうふうなことになっておりまして、その辺のところがなかなかほぐれないので、おくれていることも、御承知のとおりのことだと思っております。こういう機会に進展させたいと、こういうふうに考えております。
  69. 小柳勇

    小柳勇君 医療費が紛糾したときの一番原因は、どうしてそれだけの金が要るかという実態を調査してないままに医療報酬などがきまってまいるから、九・五%の一体根拠は何かと、こういうところに問題があったわけでしょう。したがって、この実態調査について国民もまたわれわれも非常に期待いたしておりますが、ことし実態調査やるとおっしゃいますけれども、予算は一体幾ら組んでありますか。
  70. 神田博

    国務大臣(神田博君) 実態調査で十分資料がまとまりまして、そしてそれに基づいた診療報酬をきめることが一番あり方としてりっぱだと思っております。先般の九・五の改正をしたということは、御承知のように、緊急是正でございまして、根本是正でございません。現行制度において数年間上げてこないので、診療報酬が非常に町勢に合わなくなっておる。そこで、これは実態調査等しておったのでは間に合わない。そこで緊急是正をしろというのが有澤委員長、いわゆる中医協の一昨年の暮れからの調査の問題でございました。そこで、その調査の答申を尊重して九一五という数字が出たわけでございます。そこで、いまお話ございましたように、実態調査を早くやれという御趣旨でございますが、その考えについては厚生省といたしましては全く同感でございまして、お説のとおりでございます。予算も五千万円ほど計上いたしております。
  71. 小柳勇

    小柳勇君 私の持っているこの予算書には、三十九年度は三千百三十六万四千円組んでありますが、四十年度はゼロですがね。
  72. 神田博

    国務大臣(神田博君) 少し訂正さしていただきます。三十九年度は三千二百万円ほどだと聞いておりますが、実際はやるとすると五千万円くらいかかる、こういうことで、そういうふうに記憶いたしておりまして、申し上げたわけでございます。四十年度は予算載ってないじゃないかとおっしゃったのでございますが、お説のとおりでございまして、話がつけば出していただく、こういうことになっております。
  73. 小柳勇

    小柳勇君 官房長官、お聞きのとおりですがね。実態調査をやると、ちゃんとこの文書を二月二十七日に取りかわしてありますが、この厚生省の予算には一円も計上していないのですが、実態調査は一体ほんとうにやる腹でこの文書は取りきめたのですか。
  74. 橋本登美三郎

    政府委員橋本登美三郎君) 御承知のように、この実態調査の問題は、これはもうかねがねからのむずかしい問題であります。そこで、この点は支払い者側といいましょうか、のほうも非常にむずかしい問題であることはよく承知いたしておりまして、そこで、御承知のこの申し合わせの中にも、これに対する表現のしかたが、「今後の医療費の改訂は医業経営実態調査に基づいて行なう方針の下に、その円滑なる実施方法について検討する。」ということをきめておるわけです。なぜこういうようなややこしいといいますか、かなりまるみのある申し合わせになったかということは、支払い者側もこの医業の実態調査というものは非常にむずかしい問題である、それについてこの医療支払い者側のほうも円満なる方法でやられることはまことにけっこうである、ぜひともこの円満なる方法でひとつ実態調査をするようにしてもらいたい、この点は支払い者側もよく理解せられておったようであります。私、もちろんこれは専門家でもありませんし、厚生大臣でもありませんが、今回この支払い者側と数回にわたって懇談したことから痛感いたしますことは、まことにこの医療問題が大きな社会問題であり、あるいは近代社会としては特に重視しなければならぬ問題であるにかかわらず、その中にわだかまっておるいろいろの問題——感情問題を含めていろいろの問題は、なかなか重要な点があるように感じます。佐藤総理が、御承知のように、寛容と調和の精神を説かれておりますが、私はこの問題を通じて感じますことは、患者は非常に心配しておられるだろうと思う。で、病気をかかえておるのでありまするからして、その患者が病気を持って心配をしておられる中に、こういうような空気があるということは、お互いこれはもう小柳さんも皆さんもわれわれも非常に憂慮にたえないといいますか、まことに悲しむべき状態であるということは御了解願えると思うのであります。しかし、医療費というものが、当然にこれは患者に対して相当な負担をかけることになり、必要によっては国もまた考えなければならん。それだけの重大問題でありまするが、何といいましても、お医者さんの家まで行ってやるという方法でありますからして、これはなかなか警察当局がいろいろやるようなぐあいにはまいりませんので、そこで、支払い者側も、円満なる方法でやるということについては十分なる努力をしてほしいというような表現になっておりますのも、いかに実態調査がむずかしいものであるかが御了解願えると思います。したがって、この円満なる方法が、関係者とお話がつきますれば、その調査費のことにつきましては、いま厚生大臣から答弁いたしましたように、政府としては必ず何らかの措置をとってその費用だけは考える、こういう方針でまいっておりますので、その点を御了承願いたいと思います。
  75. 小柳勇

    小柳勇君 厚生大臣に質問いたしますが、三十九年度は三千万円余り組んだけれども、実態調査をやってないわけです。ことしはやれば五千万円くらいかかろうとおっしゃいますけれども、おそらく五千万円でも何でもできんだろう。あるいは一億、二億、どれだけかかるかわかりませんが、とにかくまずやるということの言明とそれから予算を幾ら組むか、ひとつここで言明していただきます。
  76. 神田博

    国務大臣(神田博君) 実態調査をやるという方針につきましては、もうすでに前々からしばしば申し上げておるとおりでございまして、あらためて私申すまでもないと思っております。そこで幾らかかるかという問題でございます。同時に、その金をどう捻出するかという問題でございますが、これは話がつき次第、適当にひとつたいした金でもございませんから、十分措置いたしたい、財政当局とも御相談いたしたいと、こういうことになっております。
  77. 小柳勇

    小柳勇君 いま、参議院の予算案を審議している予算委員会なんですがね、二月二十七日の重要な取りきめです。衆議院で予算が上がるときの取りきめです。それに従って私いま質問を展開しているわけです。それにかかわらず、参議院では実態調査については金が計上しておりませんからこれくらい上げますということを初めに修正くらいしてかかるのが、私は至当ではないかと思うのです。私が指摘して、初めて考え、それくらい要るでしょうとおっしゃいましたけれども、これに幾ら計上するかを、しかも、どのような方法でことしやるかを、もう少しはっきり言ってください。
  78. 神田博

    国務大臣(神田博君) ことしやるかじゃなく、話のつき次第直ちにやりたいと、かように考えております。
  79. 小柳勇

    小柳勇君 この問題は、文献を見ますと、もう昭和二十年ころにも相当問題になりまして、やってない問題です。したがって、今度はですね。ことしは九・五%を契機にしてこの実態調査ができるということで、非常に期待をしているわけです。その期待をしている支払い団体の意向というものを、ほとんどくんでおられない。しかも、ことしかかるかどうかわからんようなことでありますが、ことしはどうすると、予算を幾らかけると、もう一回答弁、もしできなければ、相談をしてください。
  80. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答え申し上げます。  話を進めておりますので、もう話のつき次第、調査に入ると、こういうことでございます。それで、御心配の金の問題でございますが、金のほうも、財政当局も、先ほど申し上げましたように、始める話がつけば支障のないようにひとつしようと、こういうような話し合いでございます。
  81. 小柳勇

    小柳勇君 その始める話というのがわからんのです。いつもそういう答弁でいままで来ておるのですから、いつ着手するかということは、もうこれは一カ月になるのですから、話しておかなければならぬはずですから、もう少しはっきり言ってください。
  82. 神田博

    国務大臣(神田博君) 具体的にいつからということを申し上げませんのは、御承知のように、先ほどもお答え申し上げておりますとおり、厚生省が単独でやれる仕事でないのでございまして、どうしても医師会に御協力をしてもらわなければできない。官房長官からもお話しございましたように、その家計の実態に入って調査をするわけでございますから、権限のない仕事をやるわけでございます。そういう関係もございまして、医師会の御協力をぜひ得てひとつりっぱなものをやっていきたい。同時にまた、学者なんかの御協力も得たい。せっかく国費をかけてやる調査でございますから、その調査の完ぺきを期したい。りっぱなものをつくりまして、そうしてこれを診療報酬に、支払い団体も診療側もいずれも御納得いく、国民もまた御納得いく、こういうことにしたいと、その材料でございますから、そういうような段階を経てそしてできるだけすみやかにひとつやりたい、こういうことでございます。
  83. 小柳勇

    小柳勇君 予算の問題ですから——大蔵大臣がまた見えてないんですよ。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと関連して。先ほど小柳委員が指摘しました実態調査の予算につきまして、先ほど厚生大臣は四十年度で五千万円ぐらい計上されているというようなことを答弁されて、それで、小柳氏から指摘されまして政府委員から聞いたところが、四十年度では計上されてないんですね。それで、先ほどの御答弁では、その程度は何とかなる何とかなるという、そういう——予算審議している場合ですよ、当然計上されなければならないものが計上されてないで、しょうがなくて何とかなる何とかなる、こういうような御答弁でわれわれ予算審議できませんよ。何とかなるというなら、どうして最初からはっきりと計上しておかないか。これは、われわれ予算を審議する議員に対して非常に私は無責任じゃないかと思うのです。何とかなるなら、どの費目から、どの勘定から幾らをこっちに流用すると、こういうことをはっきり言われなければ、予算審議としては、その金額は全体に影響するのですから、かりに予備費として使うたって、この予備費が今度ほかのほうの予備費に関係してくるのですから、そういう点はこの審議の過程ではっきりしなければ、われわれ予算委員としたって非常に無責任になるわけです。政府のほうもそれをはっきりしなければ無責任になると思うのです。この点はけじめをはっきりさせなければ——重大な御発言ですよ。計上されてないものを計上されているように、こんな重大ないま問題になっている費目についてゼロと五千万円、たいへんな問題なのでございまして、こういう点は、どこから流用されるなら流用されると、はっきりそれを示される責任があるんじゃないかと思います。
  85. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 私からお答えいたします。  ただいま大臣のおっしゃいました約五千万円というのは、実は三十九年度に組んであった予算でございます。それで、厚生省としては三十九年度におそらく調査をおやりになるというお気持ちで三十九年度に計上してあったものですから、四十年度に御要求がなかったんだろうと私のほうでは思っております。それで、三十九年度も実施が実際問題としてもうできないと思います。万一四十年度に調査をすると、ただいまの厚生大臣のお話でもそういうお気持ちがはっきりしておられますからして、ぜひそういう調査をしたいと、こういうことになるんだろうと思います。ただそれには、いまもお話伺いましても、いろいろ了解を各方面にとるとか、手順が要るようでありますからして、そういうことがすっかり済みまして大蔵当局に要求がございましたら十分検討したいと、こう思っております。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 関連。  少しくどいようにお願いをしているのですけれども、問題は非常に大事なことですから、小柳委員は執拗に皆さんにお尋ねしていると思うのですよ。  そこで、いま御指摘のように、三千二百万円でなくて約五千万円ということを主計局長は言われましたが、まあ額は別として、三十九年度に実態調査をするということで、あらかじめ予算に計上をし国会の承認を得たものが、もう三月のきょうは十九日になって、これからやろうたってできないでしょう。そういうふうに計上しておきながら実態調査ができなかったということは、これは、やはりあなたのおっしゃっているように、相手のあることだからということだと思います。そこで、私は官房長官が苦労されて社会保険審議会の混乱を収拾して三法の審議を軌道に乗せるために支払い者側と話し合いをして実態調査についてもやろうと、こういう約束をしたわけでしょう。ところが、いままでの経緯からして、そういう約束は当面審議会を再開するための手段になっちゃって、実際にはここできまりましたらやりましょう、金をつけましょうと、こういうふうにおっしゃっても、具体的にここであなたが、絶対やりますと、四十年度中にはやりますということと、そのやるについては、五千万円かかろうが六千万円かかろうが、支払い者側と約束したことについては責任を持って予算措置をいたしますと、それは予備費の流用か費目の流用かこれは別といたしましても、必ずやりますということが、私は、大蔵大臣なり厚生大臣なり、責任のある方々からここに明確に答弁があってしかるべきだと思うのです。それがなければ、実際にわれわれが危惧しておったようなかっこうに実態調査は進んでしまう。私は公聴会でもいろいろと御意見を承りました。医師会は医師会としての調査をやっておるそうです。私が聞いたら、二時間ぐらいかかるそうです。その質問は。資料出してもらいたいということを言いましたが、要するに、そういう医業経営の実態というものが全然わからないでおいて、報酬費の引き上げという点が出てくるわけですよ。それでこの三十万の医療従業員を犠牲にしてやっていると、こういうことが医師会から言われている。しからば、一体犠牲にしていると言うが、具体的には医業の実態こうだ、かくかくであるから犠牲になっているのだということをわれわれは知りたい。そのためには医業経営実態というものは知らせなければならない。むしろ医師会がこれを明らかにしたほうがいいのじゃないか、こういうことを私は申し上げたのです。ですから、やはりこの際明確にやりますということと、予算は責任を持って出すということを明確にここでせぬ限りは、議事は私は進行しないと思います。ですから、委員長は質問者の趣旨をあらかじめ十分理解していただいて、この進行に御協力願いたい。それでないとこれは進みません。
  87. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答え申し上げます。  実態調査の必要性、したがいまして、これをやることにつきましては、厚生省といたしましてはもう態度がずっと前からきまっておりますることは、予算措置等をいたした点を御考慮願っても、これはもう御了解していただけることと思います。そういうつもりをやらなかったということは、やれなかった事情があったのでございまして、まあ今度は特に先般の御承知のような経緯もございますから、なお特段の努力をいたしましてこれをひとつ乗せるようにいたしたいと、こういう所存でございます。
  88. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 関連。  いまの厚生大臣も言われ、それから主計局長答弁の中にもあったことにも関連をするのですが、そうすると、三十九年度の実態調査の費用として厚生省としては大蔵省に幾ら要求をしたのですか。で、それが幾ら大蔵省として認められたのですか。何か数字がはっきりしませんが。それから、四十年度の要求のときに、厚生省は、いま主計局長の話だと、そういう要求をしなかったようにとれる答弁なんですがね。はたしてそのとおり厚生省としては四十年度のときにその要求をしなかったのかどうか、しなかったとすればその理由がどこにあるか、これが質問の第一点です。  それから第二点は、いままでそれが実現をしなかったというのは、具体的にどこに理由があるのか。反対があってできなかったということも聞いておりまするけれども、どこに理由があるのか。  それから第三は、そういうふうに実現しなかったということについては、厚生省側に落ち度があって実現ができなかったと考えていいのか、あるいはそうではないのか、こういう点が第三点。  いま三つの点についてお答えを願いたいと思います。
  89. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) まず第一に、実態調査問題というのが、これほどどなたもやらにゃならぬ、こういうふうにお考えになっており、しかも、当局がやりたいやりたいと言いながら、なぜやれていないかという点を最初に申し上げたいと思います。実は、過去において実態調査の予算を組んだことが二回ございます。一回は昭和三十九年、一回はその前に昭和三十五年でございます。昭和三十五年のときも、医療機関全体がわかるように、したがって、病院、診療所おのおのについて適当なサンプルをとって正確な実態をつかみたい、こういうことで予算も組み、そのための準備にとりかかったわけでございますが……
  90. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 幾らくらい。
  91. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) 金額は後ほど調べて申し上げます。不幸にして、診療所については、診療所に一番関係の深い日本医師会の同意がどうしても得られませんでした。そこで、どうするかということになりまして、昭和三十五年はやむを得ず病院について公的医療機関を調べたのでございます。この調査結果は完全にまとまって発表されております。遺憾ながら、しかし、これは公的医療機関である病院の結果だけでございます。診療所についても公的医療機関である診療所を行ないましたけれども、これは何と申しましても診療所のごく一部でございますから、診療所の全体を論議する場合にはほとんど役立たないような資料になった、こういう経緯がございます。それから三十九年度でございますが、これもどうしてもやりたいということで、ここ一年以内と申し上げていいくらい担当の局長が中心になって調整につとめてまいったのであります。まず、いままで医療担当者側が一番懸念をしておりましたのは、単純に実態を調べてその結果で医師の生活がどうこうという議論だけをされては困る、現在の医療の経営には一つのゆがみがあるんで、そのゆがみがある状態があらわれてくるような面を問題にしなければならぬ、こういうような考え方を持っておったわけであります。まことにもっともだ、したがって、現状がどうなっているかということを調べる場合に、単に収支がどうなっているかということだけではなくて、それはどういう稼働状態のもとにおいてどうなっているかということがあわせてわかるような調査にしましょう。それから、この調査結果がまとまりますのは、通常二年間と従来言われております。しかし、これは努力をすればもう少し早めることができるわけであります。その間に医療報酬について何か手を加える必要が出てきた場合に、実態調査をしているということがそういう問題を取り上げることの障害になっては困る、それはそれで臨時の措置は考えらるべきだ、こういうことが医療機関側の一つの考え方であります。これも大筋としてはわかる。そういう事態にはそういう事態に応じたやはり処置のしかたがあるであろう。それから第三の問題は、そういう調査をする場合に、医療機関側だけの調査では困る、支払い側であるところの保険者の状況がわかるような調査もあわせてしてほしい、こういう主張でございます。これもわかる。ただ、率直に申しまして、保険者というのはすべてこれ公的な存在でございますから、決算を見れば全部わかるようになっているわけであります。一体、それ以外にどこがわからなければならぬかという点については論議の余地は残しますけれども、大筋として両方調べなくちゃならぬという主張もわかる。そういうことで、実は昨年の前半は話がかなり軌道に乗っていたというふうに、私ども担当局長報告を通じ、また側面から見ても、さように感じておったのであります。ところが、不幸にして内閣更迭後直ちにあの調査には応じがたいということを神田厚生大臣が新任されましたところそれから旬日を出ないうちに申し入れがあって、どうもその後話が進みかねている、こういうような状況でございます。  それから第二の、三十九年度の先ほどお話にあった三千二百万あるいは五千万という調査がどういうものであったか、しようとした調査がどういうものであったか、こういうことでございますが、実はこれは両方の金額は決して間違いではございません。小柳先生がおっしゃった三千二百万というのは、いま議論されておりまする調査の根幹をなす医療機関の実態調査でございます。それ以外に、保険者の財政力を調査する問題、それから医療機関が購入しております薬の平均薬価を調査する問題、それから薬の実勢価格を調べる問題、医療機関がどれだけの値段で薬を買っているかというようなことを調べる問題、かれこれたぶん五つになったと思いますが、この五つの調査が、厚生省の医務局を中心として、薬務局、社会保険庁、あるいはそういうところが分散して計上されておったわけであります。そういうものを全部集計いたしますというとちょうど五千万前後と、こういうことになるわけであります。これが三十九年度において用意されておった医業経営関係の費用でございます。  それから四十年度については、要求をしたかどうか、要求したとしたらどういう要求をしたかという問題でございますが、ちょうど予算の話が出ておりましたときはまだ若干話に調整の余地がある、何とかできるならば今年度中にしたい、こういうことで話を進めておったわけであります。それから先ほど経緯を申し上げましたところでたいへんお恥ずかしいことを申し上げたわけでありすすが、厚生省と大蔵省との関係からいうと、大蔵省側としては、二回いわばせっかく金の用意はしたけれども、当初の考えどおりのものが行なわれていない、こういうことになったわけであります。実態調査そのものについてはもちろんもう問題なく賛成なんだ、金もほんとうにやるということになればいつでも調達をする——そう大きい費用じゃございませんから、調達をする、問題は、やりたいとか、あるいはこうするつもりですと、そんなことじゃなくて、どういうふうに話がきまって、もうやれることになったという話をまとめて持ってきてくれ、あとはわしらのほうでいつでも処置をするからと、こういうことで今日に至っている、こういう状況でございます。
  92. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 小柳君に申し上げます。厚生大臣が本会議に出席のため退席いたしますので、同大臣に対する質疑はあと回しにしていただきたいと思います。他の問題について進めていただきたい。
  93. 小柳勇

    小柳勇君 労働大臣が朝からお待ちでありますから、労働者住宅の問題で質問いたしますが、厚生大臣関係の分はあとでまた重ねてお伺いいたします。  ILO勧告の百十五号、一九六一年六月七日の四十五回総会で採択されました労働者住宅に関する勧告について、その後何らの措置もないように思いますが、いかがですか。
  94. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) この勧告は、われわれとしてもおおむね妥当なものだと思っています。そして、その勧告の線に従って具体的な実現に努力をしているところでありますけれどもわが国の経済の実情、あるいは戦後今日まできました種々の情勢から、細部にわたってまで完全に実施するところに問題がございますので、やはりこれを処理いたしましてできるだげ前向きに努力をいたしまして取り上げてまいりたいと思っている次第でございます。
  95. 小柳勇

    小柳勇君 この中に、「公の機関は、必要な限度まで、かつ、実行可能な限り、労働者に対し賃借又は自己所有の住宅を直接提供するか又はその提供を促進することについて責任を負うべきである。」と書いてあります。労働省で大臣が直接責任を持って労働者住宅にどういう施策をやっておられるか、お聞きいたします。
  96. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 労働省として労働者住宅について直接にやっておりまするのは、御承知の中小企業共済事業団の還元融資、それから雇用促進事業団の融資でございます。しかしながら、建設省所管の産労住宅につきましても、密接な連絡をとりつつその有効な活用につとめておるところでございます。また、同省所管で労働者住宅協会が同省の認可によりその運営に当たっているものについても緊密な連絡をとっているところであります。さらにまた、御承知の厚生年金の住宅についての還元融資がございますが、これにつきましても、私ども役所のほうといたしましてできる限りの連絡調整をいたしまして有効な活用につとめておるところでございます。
  97. 小柳勇

    小柳勇君 ことばじりをとって失礼ですけれども大臣、厚生年金還元融資で労働者住宅がどのくらい建っておりますか。
  98. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 数字はちょっと記憶がございませんが……。
  99. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 厚生年金の還元融資でどれだけ住宅が建っておるかということでございますが、還元融資には二種類ございまして、年金福祉事業団を通じまして事業主あるいは労働関係の団体その他生活協同組合といったものに融資いたしておりますものと、それから中小企業の小さいものにつきまして地方公共団体が一括してかわって住宅をつくる、こういう形式のものと、二種類ございまして、年金福祉事業団を通じまして融資いたしております労働者住宅の総戸数は、三十九年度で約八千戸と三万一千人分でございます。それから特別地方債によりまして地方公共団体がかわって住宅をつくっているというものが約二千三百戸と四千七百人分、こういう数字になっております。
  100. 小柳勇

    小柳勇君 私が質問しているのは少し意味が違いますが、あとで厚生大臣が見えてから、またその点はやりましょう。  労働大臣、この百十五号勧告について、細部の問題に入りますと、融資の問題などこまかく書いてありますが、こまかいことをいま大臣に言いましても数字ではわかりませんから、この勧告をどう扱うかという大臣の決意をお聞きしておきます。
  101. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 全体として尊重いたしまして、そうしてでき得る限りやっていきたいと思います。
  102. 小柳勇

    小柳勇君 建設大臣に質問いたしますが、昨年暮れ、十一月二十二日でしたか、厚生省が労働者住宅の建設を考えた、これは年金の還元融資などで考えたのでありますが、建設省は住宅一元化の方針によってこれを拒否したようでありますが、いかがですか。
  103. 小山長規

    国務大臣小山長規君) お答え申し上げますが、そういう事実はないのであります。つまり、建設省としましては、厚生省で扱います住宅も、それから労働省で扱います住宅も、一つの住宅政策の中に入れておきたいという希望を持っているのでありますけれども、資金がそれぞれ違いますので、われわれのほうで厚生省の資金はこういうふうに使ってほしいというようなところまではいまの行政組織ではくちばしをいれるわけにまいりません。したがいまして、いまおっしゃったような事実はないのであります。
  104. 小柳勇

    小柳勇君 新聞報道でありますから、いま大臣答弁を一応了承しておいて、次に厚生大臣が見えましてからまたその点を再質問いたしますが、それでは、労働者住宅協会というのがございます。大臣御存じでしょうが、これに対して建設省はどのくらい援助をしておられますか。
  105. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 数字についてはここにつまびらかにいたしておりませんが、従来、住宅金融公庫を通じて労働者協会にお貸しをしている、それからまた、むろんこれは私ども関係でありませんが、労働金庫でその裏打ちをして住宅をつくっている、こういうわけであります。
  106. 小柳勇

    小柳勇君 建設大臣のひとつ決意を聞いておきたいと思いますが、労働者協会に対して、昭和三十六年から三十九年までの合計をとってみますというと、年金福祉事業団からの還元融資でつくりました住宅のお金は、わずかに八億二千万です。さっき年金福祉事業団の還元融資の話をされました。年金福祉事業団でありません。年金積み立て金の還元融資で、あとで厚生大臣に聞きますけれども、政府がやるべき住宅、あるいは政府がやるべき清掃、そういう方向に約三百億ぐらいの還元融資をされておる。にもかかわりませず、労働者がつくっておりまする日本労働者住宅協会などに対しまする建設省の援助というものは、過去四カ年間にわずか八億であるということ、金額で。いろいろ精神的には皆さんの善意はわかりますけれども、わずか四カ年間の合計八億二千万円でございますが、この点について、いかがでしょうか、今後の御決意をお聞きしたいと思います。
  107. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いま数字を取り寄せましたが、労働者住宅協会に住宅金融公庫からの融資としてわれわれが割り当てました数字は、三十八年度で二千戸分、それから三十九年度で二千二百戸分、で、まだ四十年度は予算が通過いたしませんから確たることは申し上げられませんけれども、われわれとしましては二千五百戸を予定しておる、こういうふうにしておるわけであります。  いま最後に仰せになりました厚生省関係の資金による労働者住宅、これは、先ほども申し上げましたように、私どものほうとの間には命令服従の関係はないのでありまして、これは還元融資の一部の運用として厚生省がおやりになっておるわけであります。
  108. 小柳勇

    小柳勇君 年金積み立て金の還元融資については、厚生大臣が見えましてから一括してまた建設大臣、労働大臣の御意見を聞きます。  労働大臣にもう一問は、労働統計でありますが、毎勤統計、これは経営者も労働者も使っておるものであります。この毎勤統計の統計のあり力が三十人以上の事業場をとっておる。しかも、それには重役クラスが入っておる。で、二十九人以下の作業場にこそ低所得階層がおりますから、世界の賃金を見る場合、水準に比べて日本は非常に高く出ている、毎勤統計は。この点について統計の方法について変えていただきませんと、人事院勧告など将来問題になってまいる。国会で論争する場合、賃金論争自体が狂ってまいりますが、改正の意向があるかないか、この点だけお聞きしておきます。
  109. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 小規模事業場に対する実情の調査という点、非常に事業場の数も多くてむずかしい問題はございます。また、小規模事業場におきまして、その調査の対象が、必ずしも従業員だけでなく、株式会社等においては役職員のような人々まで含めて調査をしているという実情もございます。ただ、この場合は、実態がどうであるか、役職員というのが実態なのか、従業員というものが実態なのか、実態に沿って調査をしているつもりでございますけれども、なお今後実情に沿うように御趣旨に沿った改正の方向への検討をいたしたいと思っております。
  110. 小柳勇

    小柳勇君 労働問題は若干ありますけれども、石炭のほうで通産大臣に質問いたします。  石炭第二次調査団が今回調査答申をいたしました。受けて石炭審議会の答申がありますが、この骨は、石炭をよけい使うように、一般炭三百円、原料炭二百円の値上げが柱であると思いますが、これを需要する側は非常に困っておるわけです。これに対する対策についてまず概略御報告願います。
  111. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 炭価引き上げにつきましては、四月一日以降実施をいたしたいという方針でおります。それに伴う負担増対策につきましては、原重油関税の特別還付制度によっていたしたいと、こういうことで関税審議会で二年間延期をしていただきましたので、そのほうで大体まかないがつくものと思います。
  112. 小柳勇

    小柳勇君 電力会社などに対する特別還付金は、今年度はどのような構想になっておりますか。
  113. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 三十九年につきましては、石炭の増加引き取りに伴う負担増に対し三億五千万円見当の補てんが大体できる考えでございます。  それから四十年度におきましては、これは引き取り基準量を引き下げるという措置を講じまして、しこうして、納付見込みの関税額が大体二十六億円ぐらいあろうと思いますので、これを全額還付するようにつとめたいといま検討中でございます。  なお、鉄鋼につきましては、三十九年三億五千万円、四十年度につきましてはやはり納付見込みの関税額七億三千万円を来年一ぱいに全額還付するようにいたしたいと、こういうようなことで作業は大体結論に近づいておると思います。
  114. 小柳勇

    小柳勇君 聞くところによりますと、電力会社はこの還付金だけでも約五十億円ぐらいないとやっていけないというような話で、この調査団の答申に対しても非常に不満の意を先般も委員会で表明いたしましたが、これからのこの調整について通産大臣はどのようにお考えか、お聞きいたします。
  115. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 現実に電力界がこうむる負担増に対するいまの還付程度ではなかなか満足がしてもらえないと思います。思いますが、私どもとしては、石炭政策の現状からいたしまして、電力業界に極力協力を求めるということでお願いをしておるわけでございますが、去る十七日に電力業界の代表の方が見えられまして、通産省の方針に対する要請書というのを持ってまいりました。いろいろお話がございまして、たとえば四十一年度以降についてはもう一つ考えてくれぬかとか、あるいは、引き取り量に関する量の問題にお触れになるとか、また、低品位炭についてはもう一つ考えてもらえぬかとかいうような具体的な事項が何項かございます。その中には通産省として考えられる点もございますので、われわれとして、せっかくの要請でございますから、これをよく検討いたしましょうと、こうお答えをしております。ただ、私がここで率直に申し上げますならば、これは電力業界も石炭の実情を十分御承知をいただいて、御協力をいただける前提でここに要請書としてお持ちになったものと、こう思うのであります。したがって、私はその善意に報いる努力はいたす考えでございますが、基本的に炭価の引き上げについて答申と全然違うようなことをやるというようなことは考えずに、答申どおり一般炭三百円、原料炭二百円のこの炭価引き上げについては四月以降実施をいたしたいと、こう思っております。
  116. 小柳勇

    小柳勇君 通産大臣に同じく質問いたしますが、第二次調査団の報告によりますと、三十八年度末の累積赤字が石炭業界八百億円、ビルド鉱の造成資金として投資必要だけでも一千三百億円必要である、こういう答申をいたしておるのでありますが、その他労働者対策なり鉱害対策など非常に金が要るのでありますが、現在開発銀行など金融機関のこれに対する協力体制はいかがですか。
  117. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 今回、答申に伴いまして、これが十二月十六日でございましたが、さっそくに財政上におきましては、予算の上に、ただいま御審議を願っておるように、諸対策に盛り込んでまいったわけでございます。その際、金融当局の協力も要請しておるのでございますが、これも財政投融資の関係の一覧表がございます。もし必要があれば政府委員から詳しく申し上げさせますが、この財政措置と金融措置によりまして答申に伴う諸施策の遂行は、御不満の面もありましょうが、まず当面の国家財政の状況、金融機関の資金繰りの状況からいたしまして、この程度でがまんをしていかなければならない、また、ある程度の仕事は答申に大体沿うようにやれる、こういうふうに考えております。
  118. 小柳勇

    小柳勇君 あとで大蔵大臣が見えましてからもう一点だけ関連して質問いたしますが、次は、産炭地振興の問題でありますが、中核企業を誘致せよと答申は出ておりまするが、なかなかりっぱな企業は誘致されない。また、産炭地振興事業団が工業団地の造成をいたしておりますが、土地が高い。せっかく来ました企業もまた運転資金が足らぬために一年か二年で倒れるという現象でありますが、これに対して総括的な通産大臣の見解を承ります。
  119. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 産炭地振興事業団に支払うべき土地代、すなわち土地造成代が高くついておりますために、せっかくの誘致された企業にそれが過重の負担になっておる傾向、これはある程度認めざるを得ないのでございます。したがって、今回これが償還と申しましょうか、割賦支払いの年限を延ばしまして、できるだけ負担の緩和につとめた、こういうようなわけでございます。また、産炭地振興事業団が融資をする面は、御承知のように、設備資金でございますので、企業によりますと土地になじみが少のうございまして、地元の金融機関の融資を仰ぐ困難な面もあろうかと思いますので、先ほどお尋ねのように、政府の機関をしてでき得る限り御協力をさせるようにつとめてまいっておるのでございます。
  120. 小柳勇

    小柳勇君 いま大臣がおっしゃいましたようなことは、産炭地振興事業団法を若干改正いたしませんとほんとうの力を発揮できないと思いますが、必要があれば事業団法の改正についても考えざるを得ないと理解してよろしゅうございますか。
  121. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 支払い条件の緩和につきましては、法律の改正を伴わないでできるのでございます。
  122. 小柳勇

    小柳勇君 少し問題を誤解しておられるようでありますが、産炭地振興事業団がもう少し事業ワクを広げる問題、それから運転資金を融資するためには、還付能力を持たなければなりません。保証能力も必要でありますが、そういう面で必要があれば事業団法の改正もやむを得ない、こう理解してよろしいかということであります。
  123. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 産炭地振興事業団に対する資金量の増大であるとか、あるいはただいま申し上げました返済の方法などにつきましては、立法上の措置を必要としないのでございますが、しかし、産炭地振興事業団の事業内容についてもう一つ具体的にこういうような問題を取り上げてやるがいいじゃないかというような問題が起きてまいりまして、それが立法上改正の必要がありますれば、それは当然考えなければならないと思うのでありますが、現在のところ、私としては、さしあたってそれじゃこういうことで法律の改正が必要だということにつきましては、いまとっさでございますので、該当事項を申し上げかねるわけでございます。
  124. 小柳勇

    小柳勇君 具体的な問題は別途の委員会でまた質問いたしたいと思います。  それから産炭地振興の問題でもう一つは道路建設の問題でありまして、建設大臣にお伺いいたしますが、中堅企業の誘致もできないし、せっかく団地造成いたしましても、これが死んでおる。中堅道路がないものですから、工場が来たがらない、こういうことでありますが、具体的に言いますと、たとえば三号線のバイパスの早期完成とか、あるいは九州縦貫道路をちょっと産炭地を通過してまいるというようなことで、あの広い産炭地、さびれゆかんとする産炭地域を振興する大計画を考えられないかどうか、お考えをお聞きいたします。
  125. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 産炭地域の振興の問題につきましては、道路網の拡充が特に必要であるという答申もありますし、私どもも、この石炭調査団の答申を十分尊重して、いま整備を進めております。  具体的に申し上げますと、二級国道の八幡鳥栖線——このうち直方−飯塚間バイパスでありますが——それから福岡行橋線——これは仲哀トンネルと田川バイパスに手をつけておりますけれども——それから主要地方道路の小倉日田線と田川直方線等の整備、これは強力に現在進めておりまするし、また、工業団地と幹線道路を連絡する市町村道についても、国庫補助を重点的につけておるわけであります。また、北九州の一級国道三号線のバイ。ハスにつきましては、三十九年度ですでに宗像地区の着工をしたことは御承知のとおりでありますが、四十年度におきましては、福岡地区及び香椎地区を着工する予定でおるわけであります。また、九州縦貫自動車道の整備計画については、まだ成案を得ておりませんけれども、やはり産炭地振興という点は十分考慮に入れて計画を進めていきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  126. 小柳勇

    小柳勇君 次は、国鉄総裁に質問いたします。
  127. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 総裁のかわりに副総裁磯崎君が出席しております。
  128. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。  それじゃ、いまの産炭地振興にも直接結びつきますが、西部日本の発展に、新幹線の建設が岡山でぶち切られるということで、岡山以西の各県が陳情しておるのでありますが、なぜ岡山でぶち切るのか。岡山以西の沿線はどういう配慮で延伸できないのか、御答弁願います。
  129. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 四十一年度から始まります私のほうの長期計画の内容に、山陽線並びに北九州の輸送力増強が一つの大きな問題になっておりますが、現在の私どもの推定から申しますと、複線鉄道としての能力の限界を越える時点が大阪−岡山間では昭和四十五年ないし六年、岡山−広島間では大体四十八年、広島−博多間で四十九年から五十年、大体こういう推定をいたしております。したがいまして、その目標のもとにやはりいまの複線鉄道のままではだめだということで、もう一つの複線を敷く必要に迫られるのは明らかな事実でございますが、その複線の敷き方等につきまして目下検討中でございます。現在の東海道新幹線を延ばすか、あるいは狭軌の別線をつくるか、いろいろ案がございますが、現時点におきましては、やはり東海道新幹線を延ばすのが一番いいんじゃないかというふうに考えております。その大阪−博多間におきます鉄道を敷設する際の一番大きな問題はもちろん用地の問題でございますが、その用地問題を除きますと、技術的に三つの大きな隘路がございます。一つは、兵庫県下における六甲山の通過の問題、一つは広島県下における瀬野−八本松と申します非常な山の深いところの問題、さらに第三点は関門隧道、この三つの点が技術上の非常な隘路と申しますか、難点でございますが、いずれ昭和四十八、九年ないし五十年までには博多まで現在の東海道新幹線を延ばすことといたしますと、その三つの隘路につきましては、やはり相当早急に取りかからなければ仕事が間に合わないことになります。さしあたり、今回の計画におきましては、岡山まで昭和四十六年度にぜひ完成さしたいと同時に、岡山以西の問題につきましては、ただいま申しましたとおり、非常な長期の工事が予想されます。関門トンネルをさらにもう一本ふやす、もう一つの関門トンネルを掘るという工事を四十一年度から調査に着手いたしたい、こういうふうに考えております。したがいまして、さしあたり岡山まで延長をいたしますが、それをもって終わりとするのでなくて、その後の延長計画を頭に置きながら、四十一年度からさしあたり岡山以西につきましては、関門隧道の調査に着手いたしたい、こういうふうに考えております。
  130. 小柳勇

    小柳勇君 関連する質問でありますが、いまの答弁によりますと、もうしばらく新幹線の希望がないようでありますが、かわるものとして九州から東京へ、九州はいわゆる支店長文化といわれておりますが、東京に本店を置いて九州に支店だということで足を非常に急いでおる。したがって、せめて博多−東京間をもう一時間短縮できないか、そのために曲線緩和なり、線路増加なり、路盤強化なり、どのくらい予算がかかるか、御答弁願います。
  131. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 東京−九州間の連絡につきましては、昨年の秋も特急を二本ふやしました。また、ことしの秋からも若干の増発をいたしたいと考えておりますが、現在、東京−博多間は一番早い特急が十七時間かかっております。これは昭和三十一年、ちょうど十年前に現在の特急を新設いたしましたときに、十七時間二十五分で走っておりましたが、ことしの秋からこれを十六時間五十五分に短縮する予定でございます。その間、いま先生の御指摘の線路の強化等に約七十億の金を投入いたしまして、もちろん電化その他もございますが、七十億は線路だけの金でございます。さらに今後あと五十分前後の時間短縮をするといたしますれば、約百四十億程度の線路の金がかかりますが、もちろん、これは特急列車を早く走らすためではございません。全体の輸送を安全にし、また輸送力を増強する一つの方策として線路の強化をいたしますが、その派生的な効果といたしまして、百四十億の線路強化をいたしますれば、現在よりも約一時間短縮する見込みでございます。これは今回の計画に入れてございます。
  132. 小柳勇

    小柳勇君 国鉄に対する最後の質問でありますが、いま線増なり、複線電化なり、あるいは車をふやすために利用債を要請されるので、地方自治体としては非常にお手あげの状態であります。駅はほしいが金はないということでお手あげの状態でありますが、利用債にかわる方法はないものかどうか、御検討になりましたか、お考えをお聞きいたしたいと思います。
  133. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 御指摘のとおり、国鉄利用債は相当巨額にのぼっておりまして、昭和二十九年からこの制度を始めまして、現時点におきまして約六百七十一億発行いたしております。すでに九億返済をいたしましたので、実際の発行累計は六百八十億になりました。これはことに利子が六分七厘でございますので、地方財政において利ざやを負担しておられるところにつきましては、相当な負担になっておるというふうに考えます。本年度ただいま御審議いただいております予算にも百三十億の利用債を組んでございますが、まあこれは持ってやろうというところの方々には持っていただくつもりでございますが、やはり地域によりましては、いま御指摘のとおり、すでに負担力がないからとてもだめだというところもございます。これらにつきましては、私どもといたしましては極力財政投融資の増額をお願いする、あるいは自己資金の充実をはかるという方法によりまして、極力地方財政にかける御負担を軽くしてまいりたいというふうに考えておりますが、本年度の百三十億は大体消化できるというふうな見込みでございます。
  134. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  135. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記を始めて。
  136. 小柳勇

    小柳勇君 大蔵大臣が見えましたから、午前中のいままでの論議のいきさつ、私が質問の要旨を説明しますが、それは例の九・五%の医療費値上げにからんで、支払い者団体、医療団体など中央医療協で非常に混乱があった。そして九・五%を厚生大臣が職権告示された。その後、それで空中分解しておったときに、衆議院予算委員会の予算を通過するというきわぎわになって、二月二十七日に、官房長官と支払い者側の団体とが了解文書を交換している。その中に、医療事業の実態調査をやる、こういうことを取りきめておるわけです。今度の医療費の改定は、医療経営実態調査に基づいて行なう方針のもとに、その円滑なる実施方法について検討する、というのが第五項にうたわれているわけですね。この医業実態調査というものは、いままで長く言われてなかなかできなかった。ところが、今度の九・五%の職権告示に伴って、一体八%とか九・五彩といいますけれども、何を根拠にしてそう言うのか。医療費自体が何を一体根拠に査定するのかということで、根本は医療業務の実態を調査して、そこからちゃんと合理的な科学的な料金を出すべきであるという期待が国民にもあるいは支払い者側団体にもあるわけですね。したがって、その実施を私は厚生大臣に迫ったわけです。ところが、調査はやるのだと、いつからするということをはっきり言明されないが、とにかくやるのだ、ところが、やるためには費用がかかるわけだ。その費用は三十九年度は、おたくから出ているこの予算書によりますと、三千百三十六万四千円についている。医業経営実態調査委託費と書いてある。ところが、昭和四十年は要求がなくゼロ円になっている。よけい目立つわけだな、全部書いてあるのはゼロ円になっている。ゼロ円になっているから、私はこれは厚生大臣が知っておられると思って質問したところが、いや、ゼロ円と言われぬで、五千万円組んでおるとおっしゃった。ところが、ことしこれを出したところが、それは五千万円もかかるだろうということで、五千万円と言ったんだ。——じゃ、その五千万円はどうするかということで紛糾して、実施の時期も、これはまだいまから聞くんですが、委託費の五千万円すらないということはけしからぬじゃないかと言ったら、あなたのほうの主計局長が出て、その段階で前年度にあるから四十年度はいいものと思っていた、こういう話です。しかし、厚生大臣としては、それでは困るんだ、金が要るんだ、金はどこから出すかと言ったら、財政投融資などから出します。というならば、私はこの予算委員会の席で、予算を論議しておるときに、架空の予算では済まされないわけです。だから、厚生大臣の確たる意向を聞くと同時に、大蔵大臣の証言を聞いておかないと、この予算は通過できない、そう考えましたもので、大蔵大臣が来られるのを待っておったわけです。したがって、厚生大臣はもう一回、ひとつどうやるんだ、したがって、幾らぐらい要るんだ、その金はどこから出すんだ、これを大蔵大臣からひとつ裏づけてもらいたいと思うのです。
  137. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 実態調査を行ないたいということは、御指摘のとおり、明らかにいたしております。しかし、行なうということになれば円満に行なうことが一番合理的でございます。しかし、いま医師会側が反対しておるということも御承知だと思います。しかし、これだけの問題があったわけでありますから、実態調査は行なうことが正しい、こういうことで、できるだけ円満に行なうためには、医師会の了解を取りつけるということは努力すべきだと思います。厚生省はその線に沿って努力しておるはずであります。  五千万円ばかりかかるということでございまして、これが実態調査を行なう場合に、その費用はどこから出すかということでございますが、円満に行なえるというめどがつけば、厚生省の中で流用するという道もございますし、どうしても流用がきかないということになれば、予備費支出ということにもなるわけでございますが、必要な実態調査を行なう財源というものに対しては、十分できるという確信を持っております。
  138. 神田博

    国務大臣(神田博君) 実態調査の必要であること、また、これに対しまして、厚生省が非常に熱意のあることは、これは先ほど来しばしばお答え申し上げておるとおりでございます。なお、先般の内閣及び与党代表の方々が支払い側との話し合いの次第もございます。なお一そう努力いたしまして、円満に、しかも、すみやかに実施できることを私ども努力の最善を払いたいと思っております。  それから予算のことでございますが、私、先ほど五千万円程度と申し上げましたことは、予算の計上額は三千百万円でございますが、その他のほうでいろいろやりくりして、五千万円ぐらいかかるからやりたいということでございますが、今年はもう時間切れでございます。来年度の予算措置につきましては、大蔵大臣もいまこの調査につきまして理解のある答弁をされておりますことは、両省の連絡がついているというふうに御了解願いたいと存じます。
  139. 小柳勇

    小柳勇君 まだ、やるということについての期日など具体的でありませんが、これで、水かけ論になりますので、次の問題に入りますが、大蔵大臣、厚生大臣おられるときに、労働者住宅の問題に関連して、年金積み立て還元融資の問題を質問いたしました。それで昨年の、三十九年の十一月十三日の毎日新聞に、労働者住宅の建設促進ということで、厚生省の方針が出されております。年金融資を利用した地区労中心に責任団体を置く、建設省は難色を示すと、こう書いてある。だから、厚生省は出したけれども、建設省が反対したのではないかと言ったら、建設大臣は、そんなことは絶対ございませんとおっしゃいますが、この構想が立ち消えになったいきさつをお聞かせ願いたいと思います。
  140. 神田博

    国務大臣(神田博君) この労務者住宅の建設につきましては、建設、労働また私のほうの厚生の三省の関係局長がしばしば連絡会議をやっておりまして、そういうことにつきまして十分連絡して推進していることを御了承願いたいと思います。
  141. 小柳勇

    小柳勇君 いや、私がいま質問しているのは、厚生省の方針というものがなぜ立ち消えになりましたかと、こういうことです。
  142. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答え申し上げます。新聞にそういう考え方があるということが漏れたわけでございまして、また、それは実施に至っておらぬ、こういうことでございますが、なお、詳細につきましては、年金局長から答弁させたいと思います。
  143. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 厚生年金の還元融資を通じまして労働省の住宅建設を推進するという方向のもとに、現在も行なわれているわけでございますが、昨年新聞に出ておったという御指摘の点は、従来の厚生年金の還元融資につきまして、福祉事業団の融資は、先ほど御指摘もございましたが、直接労働者住宅といいましても、非常に企業、事業主のやる住宅、あるいはまた、協同組合等のやる住宅等がございまして、直接に労働者のつくっております団体が融資を受けているという額は比較的少ないわけでございまして、そして、何ゆえにそういうふうに少ないかということは、資金の貸し付けでございますので、受け入れ態勢というものが相当強固になることが望ましいわけでございまして、そういう意味におきまして、労働者の持ち家推進というためには、受け入れ態勢も相当に強力なものができ上がり、そして多額の資金が融通できる方向にものを考えたほうがいいのじゃないかというような構想がありまして、それが一つの厚生省の案といったような形で新聞に出ておったといういきさつでございます。したがいまして、厚生省が一つの案を直ちにやるということでかかったわけではございません。基本は、いま大臣が申されましたような方向で還元融資は運用していきたいと、かように思っている次第でございます。
  144. 小柳勇

    小柳勇君 新聞の情報ですから、ことばじりをとってやりたくありませんが、それではみな国民、厚生年金の被保険者が積み立てる年金融資の実態について、厚生大臣からひとつ御説明を願いたいと思います。
  145. 神田博

    国務大臣(神田博君) 数字になりますので、年金局長から説明させたいと思います。
  146. 小柳勇

    小柳勇君 大蔵大臣、この前あなたがおられぬときに、年金局長から還元融資の使い方について説明がありました。それの中に、年金福祉事業団などを通じて労働者住宅に流れている金もあります。しかし、その融資された金が、たとえば特別地方債となって、清掃業務に四十年度百三十二億、国立病院——一般会計から当然やるべき国立病院に九十五億円、あるいは医療金融公庫にも約六十億ぐらい流れておりますが、そういうことでございますが、この金の使い方で、労働者住宅などに還元された融資を使うことについてはいかがですか。
  147. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 労働者住宅につきましては、御承知の公営住宅法の成立を見ますときに、労働者住宅、厚生住宅、一般の公営住宅、こういう労働、厚生、建設の三省の問題があったわけでございます。しかし、結論的には、建設大臣を主管大臣とし、しかも、厚生関係の施設に対しての条件をきめる等の場合には、厚生大臣と協議をする、労働者住宅の場合は労働大臣と協議をするということで現在の制度の中へ吸収されておるわけでございます。しかし、還元融資を労働者住宅に使うという問題をどういうふうな方向解決すればいいかということに対しては、いま直ちに申し上げることはできませんが、この還元融資の内容というものに対しては、先ほども厚生大臣述べましたとおり大蔵、厚生、労働等意見を聞きながら十分調整をして、その年度の内容をきめるということになっておりますので、ただいまの御発言等、将来の問題として検討の中に入れていくべきだと思います。
  148. 小柳勇

    小柳勇君 さっき労働大臣に質問したんですが、ILO条約の勧告百十五号に、労働者住宅の問題をるる述べてありますが、その中に「政府並びに使用者団体及び労働者団体は、協同組合及びこれに類する非営利の住宅協会を奨励すべきである。」と書いてある。そこまで勧告してある。したがって、労働大臣、私は、この年金還元融資などで、おたくのほうは協同組合でありますが、労働者住宅協同組合など仮称をつくりました場合に、そういう金を使って住宅建設をやることについてのお考えをお聞きしたいと思います。
  149. 神田博

    国務大臣(神田博君) 御承知のように、われわれ人間の生活に衣食住が一番大事なものでありますが、現在そのうちの住宅の問題が未解決になっておることが一番今日の世相を混迷にしておる原因だと思います。そこで、住宅の建設については、特に労務者の住宅の建設ということは、私は緊要なことだと考えております。そこで、そういう方面にいまお述べになりましたような還元融資が行なわれるということは、これは私は望ましいことだ、こういうふうに考えております。
  150. 小柳勇

    小柳勇君 住宅協会のほうは建設大臣でございますが、さっき申し上げたように四年間にわずか八億しか還元融資から住宅協会のほうへ行ってない。したがって、今後もっと積極的に奨励してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  151. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 住宅を、住宅政策の立場から住宅はどのようにして供給すべきかということになりますと、困窮の度合いに応じて供給するのが最も望ましい政策なんでありますが、そういう面においては、やはり建設省自体が主になりまして各種の資金を用いてやっていくことが望ましい、こう思うわけでありますが、そこで、厚生年金やあるいは労働省の関係の住宅をつくります場合にも、われわれのほうと協議してもらって、われわれの調査に従って運用をしてもらうようにお願いしておるわけでございますが、いまお話しになりました労働者協会の場合は、これは問題が少しあります。この問題が解決すれば私はさしつかえないと思いますが、一つは、協同組合でありますから加入脱退が自由であります。それで、資金の貸しつけを受けたあとに脱退をされた場合に、一体返済責任をだれが負うのかという問題が一つ。それからもう一つは、住宅をつくる場合には、現在のように一戸建て一戸建てでつくっておりますと相当高いものについてまいりますが、それを安くするためには、どうしても集団住宅といいますか、団地形成をする必要がある。その団地の土地の入手についての能力、あるいはそれの経営その他の能力、そういうものが十分であるかどうか。それからもう一つは、いまの脱退した人たちの分の返済を一体だれがどういう責任でやるのか、こういう問題がありまして、この問題が解決すれば、いまの労働者住宅の問題、住宅協会の問題はさしつかえないと考えておるわけであります。
  152. 小柳勇

    小柳勇君 労働大臣に最後に質問いたしますが、いま厚生、建設及び大蔵のほうからの労働者住宅に対する見解を聞きました。この勧告の線に沿うと、労働省がやはり窓口だと思いますが、積極的にこの勧告の線に沿って労働者住宅建設に対して意欲を示していただきたいと思いますが、御決意を伺いたいと思います。
  153. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 私どものほうが直接窓口になっておりますことは、先ほど申し上げましたとおりでありますが、実際の行政をどこが担当するかということは、これは現実の状態に即してできるだけ効率的な運用をはかっていくことが第一だと存じます。しかしながら、対象となりますものが、私どもの所管をいたしております勤労者諸君でありますので、私のほうで積極的な計画を立てまして、その拡大推進につとめたいと存じておる次第であります。
  154. 小柳勇

    小柳勇君 次に、厚生大臣にお願いいたしますが、国民健康保険事業の問題でありますが、この事業勘定の決算状況について、三十七、三十八、三十九年の市町村組合、これで黒字、赤字の決算状況を御説明願います。
  155. 神田博

    国務大臣(神田博君) 国民健康保険の事業勘定の決算状況でございますが、三十七年、三十八年、−三十九年は推定でございます。赤字の総額、黒字及び赤字の団体数、その赤字等の推移を申し上げますと、四十二年度は、お聞きになりませんけれども、世帯の七割給付を実現するという方針でありますから、この問題についても述べたいと思います。三十七年度の決算においては、黒字保険者が三千四百二十四、それから赤字保険者が百九十四、それから赤字保険者の赤字の総合計額は十五億四千万円、全保険者を通じての収支差し引き額が七十八億八千万円の黒字となっておりますものが、三十八年度決算においては、黒字保険者が三千百五十八、赤字保険者が四百十二と増加しております。赤字保険者の赤字の合計額は二十七億円、それから全保険者を通じての収支差し引き額は三十八億五千万円の黒字となっております。三十九年度の状況は、目下のところ確実に把握できませんが、これは年度中でございますから。赤字保険者数及びその赤字の合計額は、昭和三十八年度のそれぞれ三倍程度と見込んでおります。全保険者を通じての収支差し引き額においても、四十九億円程度の赤字を生ずる、こういうふうに見ております。
  156. 小柳勇

    小柳勇君 時間がありませんから詳しく御質問できませんが、三十八年から三十九年に市町村の組合の赤字が三倍にも増加して、三十七年に百九十四なのに三十九年の私の推定では千六百になります。しかも、厚生省は四十二年度には家族給付を七割にしたいといっておる。この保険財政、健保財政というものはもう崩壊するのではないか、これに対する青写真をはっきり示しませんと、返上論が盛んで、これを説得することができないと思いますが、いかがでございますか。
  157. 神田博

    国務大臣(神田博君) いまお述べになりました世帯員の七割給付につきましては、お話もございましたように、三十九年度から四十二年度までの四カ年計画でございます。これをやってまいりますために、来年度におきましても千百六十一の市町村、これは全市町村の三四%でございますが、この世帯のおおむね四分の一に相当する七百七十万人について七割給付を実施することといたしまして、そうすると四十年度においても、さらに世帯員総数の四分の一について実施する予定でございます。この実施するために、国としては、五割から七割に引き上げますその二割相当分の四分の三の補助をすることになっております。そこで、極力被保険者の負担軽減をはかりながら、その実施を推進いたしまして、計画どおり四十二年度までには完成したい、かように考えております。
  158. 小柳勇

    小柳勇君 スムーズにいくような話でありますが、この保険事業のこのような赤字で、市町村や組合から相当の苦情が出ておると思いますが、具体的な対策はどういうことをするんですか。
  159. 神田博

    国務大臣(神田博君) お尋ねございましたように、医療の給付が向上したということは、地域差の撤廃あるいはそういういろいろのことで給付率が高まってまいりまして、赤字が増加してまいったことは事実でございます。保険料を値上げしておりますが、なかなか追いつかない。また先般緊急是正の関係もございまして、そういうことになっておりますが、政府としては、ひとつできるだけ助成率を高めてまいりたい。先般の緊急是正に伴いましても、三十九年度では十二億円ですか、それから四十年度では九億円の国庫助成を増加いたしておりますとともに、なお三十九年度の決算も明らかになると思いますから、これに対しまして財政措置をいたしたい、財政当局と御相談中でございます。それから将来につきましても、もちろんこれはいままでなかなか被保険者一人当たりの人件費を国が持つこと等につきましても、まあ単価を、伸び悩んでおりましたが、これらもひとつ単価を上げまして、実勢に沿うようにいたしたいと、かように考えております。
  160. 小柳勇

    小柳勇君 具体的な問題はまた社労委員会でお尋ねいたします。  次の問題は、これもいま話題の問題でありますが、アンプル入りのかぜ薬でなくなった方ですね、この人に対する補償、あるいは回収した中小企業に対する補償など、一体厚生省は責任があるのかないのか、このことをお聞きいたします。
  161. 神田博

    国務大臣(神田博君) 先般来、アンプル入りのかぜ薬のために犠牲者の出ましたことは、まことに遺憾でございます。そこで、これに補償を政府が考えておるかということでございますが、目下のところ、そのようには考えておりません。もっぱらその原因をいま調査いたしておるという関係、また御承知のようにアンプルの出回っておりますのを回収いたしまして、そしてそういう心配のないようにいたしたいと、かように考えております。また、原因等の調査をいたしております。  それから、その次のお尋ねでございましたアンプルかぜ薬のこうした措置によりまして、企業が因っているんじゃないかということでございます。仰せのとおりでございますが、大企業につきましては、これは自分で処置できると思いますが、下請企業につきましては、政府といたしまして大蔵省あるいは地方長官等に連絡いたしまして、応急のひとつ資金需要を見てもらいたいと、こういうことを通達いたしております。今回の措置によりまして商品の返品、在庫見込み高を申し上げますと、大体出回ったものが百三十三億円くらいでございますから、その半分くらい回収されたんじゃなかろうか、六十六億円くらいですね。そういうような見方をしております。そして、これが回収経費及び容器包装、能書き等の現在量がその三分の一として二十二億円でございますから、損失総額がまあ八億円くらいになるんじゃなかろうか。そのうちの約三〇%程度というものが中小企業のアンプル禍の損失じゃなかろうかと考えております。その点についてはただいま申し上げたような措置をとっております。
  162. 小柳勇

    小柳勇君 薬事法の問題など重要な問題を含んでおりますが、時間がありませんから、次は自治大臣に質問いたします。  自治大臣、最近参議院選挙を控えましていろんなうわさを聞くんですが、特に私は明るく正しい選挙運動を推進するこのしょっぱなに質問いたします。参議院選挙で某政党が、その選挙区で票読みして票が足らぬと、ほかの選挙区から選挙人名簿に登録をして投票をする、そういうような話を聞くわけです。実際できるかできぬかわかりませんが、これこそ不明朗な選挙だと思いますが、これに対して、法的にできるのかどうか、まずそこから質問いたします。
  163. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) 移動いたしまして選挙補充人名簿に登録することは、法律で規定をされております。しかし、それはそういう事実に基づいてでございまして、もしそうでないということであれば、許されないことかと思います。こういう点は、この前の選挙法の際にも議論になりまして、その点を選挙法改正によって改められまして、補充人名簿を申請する場合は代理申請は許さない、本人の申し出に限ってこれを許す、こういうことに訂正されておる次第でございます。
  164. 小柳勇

    小柳勇君 この前の選挙からでありましょうが、なおそういう心配がありますが、今後の措置についてお伺いいたします。
  165. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) 今後におきましても、改正の趣旨に沿って指導をしておる次第でございます。
  166. 小柳勇

    小柳勇君 自治大臣に要望いたしますが、そのようなことが絶対ありませんように社会に周知できるように、万全の対策をとっていただきまして、明朗な選挙ができますように期待するものであります。
  167. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) 御趣旨に沿いたいと思っております。
  168. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまのに関連して。いまの問題の某政党というのは、こちらのほうを指しているように思われるわけですけれども、いろいろうわさされて、この前も当委員会でその問題について事実であるかないかを、大臣調査してやったのかということを聞いたわけでありますけれども、それについて事実ではなかったという答弁が当時あったわけであります。その後の経緯はどんなふうになっているか、ひとつ伺いたいんですが。
  169. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) 別にこのために実地調査をしておりませんからわかりませんでございまするけれども、指導といたしましては、そういうことのないようにという指導をいたしております。
  170. 中村順造

    ○中村順造君 いまのに関連してお尋ねいたしますが、実地調査の話が出ましたが、将来そういう具体的な問題があるなら、実地調査をされる用意があるかどうか、お尋ねいたします。
  171. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) 従来ともそういうことのないようにということで、選挙管理委員会には指導をいたさしておるわけでございます。もし必要があれば行なうことがあるかもしれませんけれども、いまのところは、管理委員会を通じて指導をしているという状況でございます。
  172. 小柳勇

    小柳勇君 最後に文部大臣に質問いたします。去る二月十日の参議院石炭特別対策委員会で、産炭地教育の振興に関する決議をいたしました。それに「よって政府は、人づくりと人間尊重の観点に立って、産炭地域の教育のために速やかに財政上行政上適切なる措置を講ずるべきである。」と、こう書いてありますが、産炭地教育のためにおとりになりました財政上、行政上の措置についてお尋ねいたします。
  173. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 私も産炭地の教育の問題については、前に申し上げましたように非常に心を痛めておるわけでございます。たとえば要保護、準要保護の児童のある学校における比率のごときは、たいへんな高位にございまするので、これに対しましては、御決議の趣旨もまことに御同感でございますので、三十九年度中におきましても措置を始めたわけでございますが、四十年度におきましても、たとえば人間の問題で申しますれば充て指導主事の配置でありますとか、あるいは教職員の配置等につきましても、現在たとえば産炭地の福岡県で申しますれば、教育委員会とも十分に連絡をいたしまして、法令の範囲内において余裕のある分は、産炭地にできるだけ充てるように、あるいはまた特殊学級の設置も、四十年度で相当認められましたわけですが、これも重点的に、現地の御計画とあわせまして積極的に拡充していきたい。あるいはまた給食の関係などにおきましても、他地域に優先いたしまして十分の措置をするようにいたしておるような次第でございます。なおまた、前回にもこの委員会でも御論議がございましたが、学校の先生がそういう状況下において、学校の仕事以外、つまり教育の仕事以外に非常に手がかかる、こういう点の窮状も、われわれとして十分に理解できますので、これらの点につきましては、関係各省にも御協力をいただきまして善処しておるような次第でございます。
  174. 小柳勇

    小柳勇君 これで質問を終わります。
  175. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 小柳君の質疑は終了いたしました。  午後二時再開することにいたし、これにて休憩いたします。    午後一時二十一分休憩      —————・—————    午後二時二十分開会
  176. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) これより予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。中尾辰義君。
  177. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 倍増計画が社会開発に切りかわりましても、高度成長経済のひずみ是正は佐藤内閣の一応の使命であると私は思うのであります。そこで、最近に至っては国際収支は幾ぶん好転をしております。しかしながら、物価の急騰、中小企業の非常な倒産の続出、あるいは農業の立ちおくれ、地価は上昇してまいりましたし、交通事故は毎日ひんぱんに続発しております。こういうようなひずみの是正のために、政府はどのように対処をしたのか、またそれが予算面にどうあらわれておるのか、これを中心に私は質疑をいたしたいと思うのであります。  そこで、昭和四十年度のこの経済を展望いたしてみまして一番気になるのが、消費者物価というのが一体どこまで上がっていくだろうか、もう一つは、この中小企業の倒産が一体どうなるんだろうか、こういうことが非常に気になるわけであります。最初に物価の問題について経企長官に私はお伺いしますが、これは御承知のとおり、ことしに入りましてから、消費者米価の一四・八%値上げを筆頭に、いろいろな諸物価、授業料、水道料金等が大幅に上がっておるわけでありますが、そこで一月以降値上げをされたもの、これは全部とまでは言いませんけれども、大体五%くらい以上のものでよろしいと思いますが、値上げをされたものが、何が幾らのものが幾らに値上がりをして幾ら上がったと、こういうふうに具体的に答えていただきたいと思います。それから値上げ決定のもの、三番目は値上げが計画中のもの、この三つに分けて具体的に、パーセントではなしに、幾ら幾ら上がった、こういうふうにお答えを願いたいと思います。
  178. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 御承知のとおり、佐藤内閣は、物価対策の第一の根本的な考え方として、経済の成長を安定的な基調に持っていこうということで、しばしばお答え申し上げておりますとおり、昭和四十年度の見通しにつきましても、中期経済計画の八・一%を下回るような実質七・五%の成長という見通しを立て、それに応じたところの財政規模またはその他の経済の運営の方針を立ててまいったような次第でございます。こうして、昭和三十九年度につきましては、御承知のとおり、当初の見通しはCPIで四・二%でございましたが、その後の経済の成長の度合いが相当増してまいりまして、昨年の暮れにこれを四・八と改訂いたしたような次第でございまするが、その背景をなすものは、昭和三十九年度におけるところの経済の成長が、実質が当初の見通しが七%でございましたものが九・四に大体改訂いたしたことによるのでございます。最近の私ども見通しによりますと、それがさらに九・八程度になるんじゃなかろうかというふうに推算をいたしております。そういうふうに、実質経済成長が相当伸びますと、またしてもそれが消費者物価に影響を与えるというような影響もございます。しかしながら、御承知のとおり、昭和三十九年−暦年でございますけれども、暦年で比較いたしますと、昭和三十八年は七・六%の消費者物価の上昇でございましたが、これが三十九年においては三・八%というふうに、相当安定的な方向に物価も落ちついてまいったのでございます。もちろんこれは、昨年一年間公共料金を据え置いた、オール・ストップをかけたということも相当大きく影響いたしておったのでございます。しこうして、この公共料金の問題につきましては、一年後は、抑制をするという基本的な方針は変えておりませんが、企業等につきまして、はなはだしく採算割れのもの等につきましては、それが一つの独立採算として、または企業として成り立ち得る程度まで最小限度の料金の引き上げを認めるということに方針を変更いたしてまいっておる次第でございます。それがこの一月からずっとある程度の影響が出てまいると、そういうことも加味いたしまして、同時に経済の成長自体が実質において一〇%近くになるというような事柄もあわせ考えまして、昨年の暮れに四・八というふうに見通しを変えたわけでございます。現在のところ、私ども政府といたしましては、この四・八という見通しはこの範囲内にとどまるものと、かように観測をいたしております。  しこうして、ただいまお尋ねの点でございますが、非常に広範にわたりますので、こまかいことはいずれ、局長が参っておりますので、局長から御答弁申し上げることにいたしたいと存じますが、大口のものを申し上げますれば、消費者米価がこれはすでに御承知のとおり一四・八%という上昇を本年の一月から実施をいたしておるわけでございます。また医療費は、今年の一月からやはり九・五%の引き上げということをいたしておるのでございます。米価につきましては、相当に全体のCPIに及ぼすところのウエートが高うございますから、大体一%程度の影響を与えるものでございますが、医療費についてはその影響はわりあいに少ないのでございます。ウエート自体が丁八七%でございますから、その約一割足らずのもののウエートでございますから、この影響はそれほど大きくないと思います。なお、つい先般の経済閣僚懇談会におきまして、中部電力の料金の引き上げを決定いたしました。これは四月からでございますけれども、四月から実施ということにいたしたわけでございます。この平均の引き上げ率は六・五五%でございます。しかしながら、一般の家庭生活に影響を及ぼす部分につきましては、家庭用の電力につきましては引き上げ率は〇・二二%、ほとんど従前に変わらぬ程度に家庭生活を圧迫しないという趣旨でもって押えたわけでございます。しこうして、またこれがたとえば私鉄その他の料金の引き上げの原因となるようなことがないように、そういうふうな方面についても特に配慮をいたしまして、そういうふうな原因にならぬように、言いかえれば、つまり国民生活を圧迫するような方向の値上げをすることはすべて避けて、そしてこの料金の引き上げを認めたわけでございます。それからなお、地方公共団体関係につきましては、ちょうどただいま地方におきましても地方議会の開催中でございまして、期限が切れたということで、水道等につきまして各市でこの料金を引き上げたいという御提案が各理事者のほうから相当あるようでございます。いろいろな私どもも情報を得ているわけでございますが、私どもといたしましては、しばしばお答え申し上げておりますとおり、何とかして政府の物価を安定させていきたいという方向に対して、地方公共団体においても極力御協力を願いたい、合理化をよく徹底させ、そして一般財政で負担し得るものは負担してもらうというようなことによって、何とか家庭生活を圧迫しないようにお願いしたいということで、その働きかけを強力にいたしておりますし、自治大臣から通達をお出し願っておるような次第でございます。したがって、そういうような観点から、ここで全体がムードとして物価を上昇してくるような状況にはただいまないと、かように判断をておるのでございます。また、食料品が季節的な商品としていろいろな大きな影響を持っておりますが、実は昨年の暮れ、相当夏の干ばつ等が響きまして上がりましたので、非常に心配をいたしたのでございますが、その後冬の気象条件がわりあいによかったというような条件から、大体食料品が落ちついてまいっております。したがって、先ほども申しましたとおり、昭和三十九年度全体としては見通しの大体四・八の範囲で十分に押え得ると、かようにただいまのところ考えております。
  179. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 経企長官の答弁は、総体的に述べていただいたのですが、私がお伺いいたしておりますのは、そういうパーセントでなしに、実際ですね、何が幾ら上がって何割上がったと、こういうふうに答弁をしてほしかったのでありますが、私のほうからそれでは読みますけれども、大体これは東京を主体としたものでありますが、まず値上がりをされた承のが、お米代が一月一日から、普通配給米十キロについて、乙地のほうが九百五十五円から千百十円、甲地つまり大都市におきましては九百七十五円が千百二十五円。今度は医療費になりますと、一月一日から先ほどの九・五%値上げでありますから、一般の開業医におきましては初診料の六十円が二百四十円に値上げ。入院料が大病院におきまして一日七百七十七円が千円に値上げ。バス代は公営、大手私営一月十六日から一区間が十五円が二十円。今度はタクシーにまいりますと、名古屋が八十円から百円、神奈川県が百円から百二十円。今度は食堂の御飯、これは東京都の民生局指定でありますが、一月一日から御飯が一食三十円が三十五円。今度はしょうゆが二リットル二百十円から二百三十円。みそが一キロ当たり大体十円くらいの値上げ。今度はお酒が二月から、特級酒で五十円の値上げ、一級酒が三十五円、二級酒が二十五円。大体そういうことでありますが、今度は値上げがきまったものは、学校給食費が四月一日から一カ月について、小学校は五百三十九円が七百五十円、中学校は六百五十九円が八百八十四円。それから高等学校の授業料、東京の場合は三三%の値上げで、六百円が八百円、都立大学は一万二千円が一万五千円、そのほか私立大学は相当な額を上げております。今度は保育園の保育料は大体二割くらいの値上げ。入場料は、動物園がおとな五十円が百円、これは倍ですね。それから競輪が後楽園五十円が百円。競馬が大井五十円が百円。それから都営産院の分娩料一回、これは四月一日から二千円が三千円。それからごみ処理場、百キロについて四月一日から百円が百八十円。これが大体決定的なものであると思います。そのほか、値上げを計画中のものは、電力料金——いまほど上がりましたが、そのほか私鉄の運賃、ふろ代とか、そういうものがございますが、具体的に言いますと、これはもうそんな三%や五%といったような問題でなしに、五〇%、一〇〇%、ものによりましては四〇〇%、このように上がっているわけでありまして、だから私は一番最初に、パーセントではなしに、実際の値上げ額についてお答え願いたい、こう言いますと、実感がわくわけです。  そこで、これは今度はパーセントでけっこうですが、一月以降は大体何%上がっておりますか。
  180. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 各品目について非常にくわしく御調査のあれでございますが、おそらくそのとおりであろうかと存じますけれども、地方公共団体のものにつきましては、これは提案された値上げの幅でございます。私どもは、それであるがゆえに、東京都につきましても、知事、副知事においでを願って、特にそういう点について、国としては、最も企業採算が悪くて困難なものにつきましても、大体二割五分程度の見当で押えていただきたいというような事情もお話し申し上げまして、もちろんこれは独立の機関でございますから、政府でどうしろと指図する問題ではございませんが、ぜひ御協力願いたい、こういうようなことを申し上げているような次第でございます。各地方ごとにそういうような状態があろうかと存ずるのでございます。  しこうして、ただいまお尋ねの一月以降のCPIの上昇の状態はどうかという御質問でございますが、一月は十二月に対して全国の都市のCPIの総平均で二%の上昇に相なっております。それから二月は、これは東京都だけしかとっておりませんが、大体東京都の数字が多少下回る場合もあり、上回る場合も多少ございますけれども、一つの相当大きな標準になるわけでございます。この前月比較において〇・一%の上昇ということに相なっておりまして、一月につきましては、先ほどもお話し申し上げましたとおり、消費者米価を一四・八%上げたのと、医療費の九・五%上げた、こういうふうな影響が特に出てまいっておりますので、その程度は上がるのであろうということを当初より予想せざるを得なかったのでございますが、二月はそれに続いて大体落ちついておりますので、したがって、先ほどお答え申し上げましたとおり、昭和三十九年度の年度平均といたしましては、四・八程度に落ちつき得るものと、かように考えておる次第でございます。
  181. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大体一月以降二%くらいの値上げである、そういうことでございますが、先ほどの答弁のように、本年度の物価上昇の見通しは大体四・八%である。もうすでにこれは半分近く上がっておるわけですが、私どもはやはり、今年度は七%くらいは上がるのじゃないか、こういろ見通しを持っておるわけです。そこで、いろいろと御説明ありましたが、政府の四・八%上がる見込みである、これにつきまして、政府側の確たる根拠ですね、これこれの根拠がある、これこれの理由でもって四・八%くらいに上がるであろうと、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  182. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 政府がいつも前年度で比較いたします際の比較の根拠は、前年同月と本年同月の比較をずっといたしまして、それを一年間で総平均したものをもってその年度における上昇率、こういうふうにいたしておるのであります。そういうことで、月によりましては、ただいまお話しのように、七%程度上がった月もございますが、そのかわり、前年同月とほとんど変わらないという月もございました。そういうものを総平均した結果が、今年度は四・八%以内にとどまると、こういうふうに見ておるわけでございます。こまかい数字の問題でございますので、事務当局からお答え申し上げさせることにいたしたいと思います。
  183. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 もう一つ私は納得がいかないのでありますが、いろいろな季節的なことによりまして多少の上下はありましょう。それを合計いたしましてこのくらいに上がるのだ、こういう答弁でありますけれども、それは季節的な要因を入れただけでありまして、政策的に見て、あるいは海外の状態、日本の景気、そういうものが、これこれの理由であるから、こういうふうに四・八くらいは間違いなかろう、こういうような答弁が私はほしいのでありますが、これはどうなりますか。
  184. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 消費者物価については、いわゆる季節調整というふうなことはいたしておりません。出っぱなしの、そのときにおいて現実に消費者がお買いになった値段をずっと調べまして、それを指数に換算をした結果を申し上げておるのでございまして、季節的に、たとえば野菜が非常に不足で野菜の値段が暴騰したというようなときには、その暴騰した値段がそのまま指数にあらわれてまいっておるのでございます。
  185. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、相当業界の近代化ということも叫ばれておりますし、多少進んだ点もあろうと思いますが、生産性の向上の余地が相対的に少ない公共料金あるいは民間のサービス料金の値上がり、そういうものは別といたしまして、設備の近代化あるいは合理化等によりまして、当然  一方におきましては値上がりがあっても、一方においては値下がりするものがあってもいいのじゃないか、このように思うわけでありますが、それらの値上がりに伴う支出の増加を相殺してくれるような値下がりですね、そういうものがないのは、これはどういう理由に基づきますか。
  186. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 中尾先生よく御承知のとおり、卸売り物価はずっと過去十数年間安定して、むしろ下がりぎみでまいっておるのでございます。それで、その卸売り物価の内容を各商品別に検討してまいりますると、いわゆる生産性上昇の行なわれておるところの製造業関係、そのうちの設備投資がどんどん行なわれておる大企業関係の製品については相当な値下がり、その反面、食料品等については相当な値上がりを見た。そういうふうなことがそれぞれ相殺された結果として、卸売り物価はずっと安定してまいってきておるのでございます。  ところが、しからば、一体なぜそれが、消費者物価においては、卸売り物価がそういうふうに安定しておるのにかかわらず、消費者物価が上昇しておるかという面でございますが、これは私どものほうで分析してみました結果として、昨年の三十九年の暦年でございますが、一年間三・八%の上昇を見たということを先ほどお答え申し上げましたが、その三・八%の上昇について、一体何がそれだけ上がったのか。つまり、それだけ物価が上がったことについての寄与率をずっと比較区分をしてみて分析してみますると、主として中小企業関係の製品というものが、生産性の上昇が非常にむずかしい。反面、経済全体としては成長が安定的な基調に移ってまいりましたような関係もございまして、価格にそれを転嫁することが困難であるというふうな事情もございますが、しかし、結局、コストが上がれば価格にある程度は転嫁せざるを得ないというような関係がございまして、その占める割合が全体に対して七三・三%になっておる、こういうふうに相なっておるのでございます。  それで、私どもといたしましては、これは常々主張いたしておるのでございますが、従来も、少なくとも卸売り物価については、大企業製品において値下がりがあって、それが一方において値上がりのものと相殺されて卸売り物価の安定を来たしておる。消費者物価についてもそういうような関係がもう少し顕著にあらわれるような経済の運営に持っていっていただきたいと、これはもちろん、その生産性上昇の結果として生まれてきたところの付加価値、その付加価値を賃金と利潤と、それから消費者とにどういうふうに分配するかという問題によってきまる問題でございますが、そういうときに、賃金と利潤だけじゃなしに、消費者にも分配するという考え方でぜひお願いしたいということを私どもは絶えず申しておるわけでございます。  最近ヨーロッパ諸国等でいわれておるところの所得対策という考え方も、そこから出てまいっておるような次第でございまして、これは絶えず呼びかけておるのでございますが、実情としては、最近なかなかそれが困難な状態になってきておると、こういうことを申し上げざるを得ないのが実情でございます。
  187. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いま経企長官から所得政策ということばが出ましたが、それに関連いたしまして、  一体、日本の賃金というものは外国に比べて高いのか安いのか、いろいろな要素がありましょうけれども、その点だけ、とりあえず、物価問題に入る前に聞きたい。
  188. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 賃金が高いか安いかということを何を基準にしていうかということで、すべて見解が異なりますので、安いとか高いとかということを簡単に申し上げることは、非常にむずかしい問題でございます。政府として、日本の賃金は安いのだ、あるいはまた、日本の賃金は高いのだ、こういうことを独断で申し上げることは、これは差し控えるほうが妥当ではなかろうかと、かように存じます。かつてドイツのエアハルトが日本に参りまして、日本は低賃金国だというきめつけ方をしたわけでございますが、日本の政府としては、決して日本の賃金は安くない、低賃金国ではないんだということを、いろいろ資料を提供して説明をいたしまして、エアハルトもその後その説を変えてきたということが、もっぱら事実としてあらわれてまいっておるような事情もございます。  しかしながら、一体、日本の賃金がそれで高いのかということになると、まあそれぞれ対象になる国もございますし、また業種もございます。全般としてどうかということになると、これはなかなか簡単に申し上げられる事柄ではないと存じます。ことに中小企業もあれば、農林漁業もございます。したがって、そういう全般としての国民所得という面から見れば、日本国民所得の水準が先進諸国に比べて相当に低いということは、これは数字にはっきりあらわれているところでございます。
  189. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、賃金問題はまた後日にいたしまして、政府は総合的物価対策といたしまして、十項目の対策を閣議決定をいたしておりますが、これらの物価対策というものは、これはもう池田内閣当時からあったものでありまして、別に新しいものではないように私は思います。しかし、それに関連をいたしましてお伺いをいたしたいと思います。  流通機構の問題について農林大臣にお伺いをいたしますが、消費者物価の中で、最近特に鮮魚の値上がりが目立っております。野菜の場合は昨年十二月、一キロ百九円もしたキャベツが大体三十円くらいに下がっておるんじゃないかと思うのでありますが、魚のほうは、中ないし高級の魚を中心に、じりじりと値上がりをいたしまして、東京の築地市場の卸売り価格で、マグロは一キロ五百円くらいになっておる。そこで、流通機構の改善ということについて、これは政府もいままで推進をしてきたわけでありますが、その中でも、中央卸売市場等の取引機構の近代化ということについて、政府はどういうような処置をしたのか。形の上にあらわれたものは、水産物にいたしましても、あるいは青果物にいたしましても、卸売り人の手数料の引き下げとか、あるいは共同せりくらいじゃないか、このように思うわけですが、そこで、どのようにその成果をあげてきたのか、改善をいたしたのか、具体的に農林大臣にお伺いしたいと思います。
  190. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 流通対策につきましては、生産、出荷、小売り段階、それぞれやってきましたけれども、特に卸売市場に対してどういうふうな対策を講じたかということでございます。生鮮食料品流通のかなめであります中央卸売市場につきましては、いままでやってきたことは、卸売り人の手数料の引き下げ、その他取引の合理化をはかってきたわけでございます。それとともに、計画的に市場の新設と施設の整備を進めておるような状況でございます。  そこで、それにつきまして、魚が非常に上がってきておるということでございますが、御承知のように、上がったり下がったり相当しております。特に多獲性の魚の時期的、地域的な水揚げの集中によりまして、あるいは魚価が暴落することもございますし、そういう暴落を防止するのに、冷蔵庫の建設や冷蔵自動車の設置、さらに加工処理施設の整備等に補助することによりまして、産地における処理能力の増大等につとめてきた。また、出荷調整の必要性が増大してきましたので、東京及び大阪の二大消費地に近代的な大規模冷蔵庫等を建設したこと、さらに水産物の流通改善につきましては、品質の保持がしやすく、比較的安定した価格において供給が可能である冷凍魚の消費普及が重要であるという見地から、冷凍魚の普及事業に対しまして国が補助するとともに、明年度から農山村にも冷凍魚の消費普及をはかりまして、あわせて農山村における食生活の改善に資するよう、農業協同組合に冷凍ショウケースを設置させることを奨励いたしておるような次第であります。  要は、非常に水産物等におきましては、上がったり下がったりいたします。青果物でもそうでございますが、非常に暴落あるいは相当高くなるということでございますので、私どもとしては、安定といいますか、その幅が少ないような方法を講じて、こういうことから生産、出荷調整、いま申し上げました中央市場の機構を整備して、消費段階におきましての——いま法案を出しておりますが、総合小売市場の問題等もございます。そういうふうに一貫して安定さしたい、こういうふうに考えております。
  191. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 上がったり下がったりとおっしゃいましたが、上がったり下がったりでは、これは買うほうも、また売るほうも困るわけで、それで、いろいろと機構の改革等をやっておるわけですが、それで・施設の拡充ということにつきまして、いまも御答弁があったのですが、東京の神田と築地市場はどういうふうになっておりますか、その後どうなっておりますか、その点について——近代化が進んでおるのかとうか、それについて。
  192. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 築地のほうは相当広く設備をいたしまして、神田につきましても、道路等が非常に狭いので、その方面を広くとるような方法を講じましたが、なお詳しいことにつきましては、事務当局から答弁させます。
  193. 久宗高

    政府委員(久宗高君) ただいま大臣から申し上げましたように、築地のほうは広げる余地がございますので、そういうことが可能であると思うのでございますが、神田は高層化いたしませんと、あのままでは非常に余地が少ないわけでございます。関係者におかれましても、いろいろ検討しておられますが、あそこのままでいけば、神田はやはり高層化による以外に方法はございません。  そこで、全体といたしまして、東京都の拡大に伴いまして、また過密化に伴いまして、どういう構想をとるかという問題がございます。そこで、私どもといたしましては、中央卸売市場審議会からもいろいろ御要望がございまして、昨年来、主として日通を中心といたしました特殊な研究機関がございまして、そこに研究委託いたしまして、東京都におきますもっと拡大されました中央市場のあり方につきましての総合検討を委託調査をいたしておるわけであります。去る二月に一応の第一段階調査報告書が出てまいりまして、非常に膨大なものでございますので、それを調整いたしまして、三月末には中央卸売市場審議会に御報告いたしまして、さらにそれをどの程度に細分化しまして検討いたしますか、おはかりをしたいという考え方でございます。
  194. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 市場の施設の拡充につきましては、やはり東京が一番おくれているんじゃないか、私はこういうふうに思うわけでありまして、先ほどから質問をしているんですが、もう一つ、東京都の芝浦屠場の施設でありますが、この芝浦屠場は、まだ中央市場にはなっておらない、単なる屠場である。ところが、これが日本の食肉の取引の基準になっておるわけであります。が、その施設が非常に不衛生である、きたない、そういうことで新聞にも出ておりますし、また都議会でも問題になっておりますが、これをちょっと読んでみましょう。芝浦屠場で解体される牛、馬、豚等は、一日一千八百六十頭に及んでおる、ところがこの解体作業に水が一千百トン毎日要るわけです。ところが上水道として配給される量が一日約半分の五百七十トンぐらいしかない。そういうことで冷蔵庫の冷却水として使用するはずの井戸水、あるいは下水等の処理水を使用している。さらに内臓の水洗いに至ってはふんだらけのドラムかんの中でゆすぐといったような状態である。しかもそういうものを無検査のまま食肉が市場に出されておるということである。そのほかここにはネズミですね、こいつが肉を食べていますから、ものすごく大きいのがいる。このネズミがワイル氏病の病原菌を持ったものもあるし、たいへんなしろものである。昨年はこれにかまれて一人が死んじゃった、二人が重体になった、こういうことで都議会でも問題になったんですが、これでは監督は一体どうしておるのか、この点につきまして、東京都のほうに直接責任があるわけでありますが、厚生大臣から、今後の監督処置等についてお伺いいたしたいと思います。
  195. 神田博

    国務大臣(神田博君) 屠場の監督は厚生省がやっておりまして、全国約七百カ所ほどございますが、いまお述べになりました芝浦の屠場は非常に古い施設でございまして、そのような新聞の出ましたことも承知いたしまして、さっそく調査をいたした次第でございます。お述べになったようなとおりの事実がございますので、厳重な警告をいたしております。御承知のように、厚生省といたしましては、市場の改善をしたいということで年々融資の制度を設けておりまして、ここもう六、七年来継続いたしておりまして、全国七〇%ぐらいの市場が整備になっておりますが、芝浦屠場はまだそのことをやっておりません。昨年度も十一億でございますが、四十年度も十一億の融資の資金も設けております。東京都の直轄の屠場でございまして、調べましたところ、御承知のように、経済局が営業をやっておる、衛生局が検査をやっておるというようなことでございまして、三十五年以来、もう三十回近い厳重な注意を衛生局から経済局に要望しておったんでございますが、まだそういうような状態であったということが判明いたしたような次第でございます。厚生省といたしましては、実地に調査をいたしまして、その事情も把握できましたので、今後も十分ひとつ監督をいたしまして、そのようなことのないようにいたしたい、かように考えております。
  196. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまの、三十回以上、厳重に注意もしたけれども、さっぱり結果が出ない、こういうことですが、一体それは原因はどこにあるんです。
  197. 神田博

    国務大臣(神田博君) いろいろ原因があるようでございますが、都政がマンモス化していると申しましょうか、要するに、内部の検定が円満にいっていなかったということと考えております。また、経済局の営業方針がルーズであったということと考えております。厳重に注意をいたしまして、なおひとつ、当分常時監督して、設備の改善、営業の是正をひとつ要望いたしたいと思っております。
  198. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまの点につきましては、ただ注意をするということだけでなしに、ほんとうに実績があがるように、厚生大臣といたしましても、厳重にひとつやってもらいたいと思います。これは私のほうからお願いをいたしておきます。  それで農林大臣にお伺いしますが、いまの芝浦屠場というのは、現在はまだ市場になっておらない、中央市場になっておらないのですが、いつごろ中央市場にするのですか。その点についての今後の見通しなり、そしてそれがおくれておる理由ですね、そういう点について、ひとつお答え願いたいと思います。
  199. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 中央卸売市場化するといいますか、市場として発足するように進めておるわけでございますが、いまお尋ねございましたので経過を御報告申し上げます。  三十八年の七月九日に、生鮮食料品流通改善対策要綱が、御承知のように閣議決定されまして、東京都がこの要綱に即して食肉卸売市場を設置する方針をきめました。その方針のもとで、芝浦屠場につきまして食肉中央卸売市場を設置するということ。第二に、せり売りを原則とすること。第三に、市場の卸売り人は一社とすること。第四に、市場施設をできるだけ整備すること。こういう点を明らかにいたしたのであります。そうして、昨年の十二月十七日に、この方針どおり、芝浦の中央市場化をはかるために、市場化に伴う必要資金の融通措置を、総額十五億円とすることを主たる内容とする都の最終方針をきめたわけであります。そこで、都の方針に基づきまして、荷受け機関の設立につきましては、既存の芝浦屠場の卸売り業者に参加の意思をただしましたところ、ことしの一月二十日までに全員参加の意思表示があった、こういうことになっておりまして、市場の組織、業務運営につきましては、東京都が中心となりまして具体的検討を逐次進めることになっておりまして、二月下旬に、卸売り会社の設立準備会も発足したという状況で、市場化についての諸準備を進めております。政府におきましても、そういう事情でありますので、市場化に伴う諸施設整備につきましては、重点的かつ優先的に助成する考えで、その取引の健全化についても十分指揮監督していきたい、こう考えております。卸売り人のほうで一本になるということがきまってまておりますので、今度はそう長い期間でなく中央市場化していく、こう考えます。
  200. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは通産大臣にひとつお伺いしますが、先ほど申し上げましたように、しょうゆが二リットル二百十円から二百三十円に、まあ二十円も値上がりをした。そうかと思うと、みそが五%ほど上がってきた。ところが、この消費者物価の約六〇%というものは、これはもう農水産物あるいは中小企業の製品でありまして、物価対策という面から見ても、指定業種の近代化促進ということが言われております。また、法律も出ておりますが、その実施計画はどうなっておるのか、また、それによって現在どのように実績をあげてきたのか、また、本年度の予算措置はどうなっておるのか、そういう点についてひとつお伺いいたします。
  201. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 近代化促進法に基づきまして、みそ、しょうゆ、パン、木製家具、それから縫製品製造業等がいま指定になっておるわけでございますが、近代化の基本計画ができましたのはパンだけでございまして、あとの分については、まだ基本計画はできておらない、こういう実情でございます。詳しくはただいま中小企業庁の長官からお答えいたします。
  202. 中野正一

    政府委員(中野正一君) お答え申し上げます。  いま大臣から申しましたように、中小企業近代化促進法の指定業種として、消費者物価に関係の深いみそ、しょうゆ、パン、木製家具、縫製品、この五業種を指定しておりまして、このうちでパンにつきましては、本年三月中に基本計画をつくり、残ったものにつきましても、いま計画を急がしております。この五業種のうちで、みそ、しょうゆ、パン製造業等につきまして、生産性を向上するために、いわゆる協業化、共同化の動き、あるいは合併というような動きが最近顕著に見られておりまして、そういう合併、協業化等につきましては、その所要資金を政府のほうから貸し付ける、また税制上も優遇措置をやるというようなことをやっております。それからなお、近代化促進法でなくて、もう一つ近代化資金助成法という法律がございまして、これは無利子の五年間の金を、府県を通じて国から貸し付けるわけでございますが、御承知かと思いますが、これにつきましても、従来は主として輸出振興とか、あるいは産業構造を高度化するというような見地から業種指定をやっておりましたが、物価問題が非常にやかましくなりました三十九年度からは、消費者物価対策の見地を加味しまして、たとえば食肉加工であるとか、あるいはクリーニングというような、国民生活に関係の深い業種を指定をする。それから家具等につきましても、従来は輸出実績がないと、近代化助成の対象にしておりませんでしたが、輸出実績というような条件をのけて、国内向けに売る場合で毛、そういうものの生産性向上のために貸し付けをやろう。これは三十九年度で府県を通じまして約百四十三億の金を出しております。来年度はこれが百七十七億になる予定でございまして、百四十三億のうちで約五十億程度が、この消費者物価に関係がある金に回っておるというふうに、今後もそういう業種をふやしまして、金もふやしていきたい、こういう考えであります。
  203. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 じゃ、大蔵大臣にお伺いしますが、この近代化指定業種の中で、最近の中小企業の倒産のあおりを食って倒れた、あるいは経営が非常に困難になった、そういうものがございますか。
  204. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 近代化資金の指定は、通産省になっておりますから……。
  205. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 企業の倒産、企業の経営の悪化についてのお尋ねでございますが、一般的に一昨年の金融引き締め後、財務内容が悪化をした、こういうことは言えるのでありますが、それじゃ、個々に指定業種の企業内容がどうなっておるかということにつきましては、ここに詳しい数字の手持ちがございません。
  206. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 じゃ、あとでまたひとつ資料を出していただきたいと思います。委員長、お願いします。  それでは、今度は金融面につきまして大蔵大臣にお伺いしたいと思うのですが、最近、御承知のとおり中小企業が非常に倒産をいたしておりまして、これはたいへんな問題になっております。佐藤内閣は中小企業の倒産内閣じゃないか、こういうふうな汚名を受けるようなことがあっては相ならぬと私は思うのであります。そこで年初来、金融もゆるんだ、そういうかけ声は大きいわけであります。公定歩合の引き下げあるいは預金準備率の引き下げ等もございましたが、実際面におきましては、日本銀行から市中銀行までは金はきておるけれども、それから先は詰まっているじゃないか、こういうふうに言われておりますし、実際この預金準備率の引き下げによって、九百億ばかり市中銀行もゆとりができたけれども、実際問題は、そのうちの三分の二ぐらいというものは、銀行の金庫の中にしまわれておるのじゃないか、こういうようなことも言われておりますが、しかも、都市銀行の貸し出しの状況を見まするというと、日銀のこの一月から三月までの貸し出し増加規制ワクに対しましても、なお千四百三十億円の余裕がある。まあそういうことで、銀行が選別融資というものをますます強化をして、そこへ持ってきてこの決済条件が非常に悪くなって、あのような倒産が出ておる、こういうことでありますが、まあ私も実は去年の十二月を山にして、大体もう下り坂じゃなかったかな、こう思っておったのですが、そこで、大蔵大臣は今後この救済策としては、一体どういうふうにやっていくのか。ただあれは放漫経営だからしようがないじゃないか、かってに設備を拡大してシェアの競争をしたのだから、倒れることはやむを得ない、ただもうかる有望な企業を助けていくのだということであれば、これは非常に国民の側に立ちまして、はなはだこれは不満である。ですから、今後の方策につきまして私は大蔵大臣に見解をお伺いしたい、こういうわけです。
  207. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 中小企業の倒産が依然としてあとを断たないということに対しては、はなはだ遺憾であります。大蔵省といたしましても、通産省の要請を待つまでもなく、中小企業の資金の確保ということに対しては、格段の配意をいたしておるわけであります。しかし、現実問題としては倒産があとを断たない、こういうことに対しては、新しい角度からも十分な配慮をしなければならぬと思います。この倒産の内容を見てみますと、どういうことかといいますと、やはり戦後の量的拡大の時代から質的な時代に入る過程における事件と、こういうふうにやはり基本的に見て、これに対しては金融引き締めや金融緩和というようなことで対処できるものではないので、ある時間をかげながら正常な状態に戻るまでは、金融等に対しても十分な配慮をしていかないとならないのではないかと思います。公定歩合の引き下げが行なわれましたが、その後も倒産は続いておるわけであります。いま御指摘のように、金融機関が金があるにもかかわらず、中小企業に貸さないのではないか、また、金融機関が中小企業に貸さなければならない金をコールに出したり、どうも中小企業向けの資金が円滑に流れておらない、こういう趣旨で御指摘のようでありますが、現在金融機関が中小企業向けの金融を押えておるというような事実はないと思います。私も十分検討いたしましたが、中小企業に対しての金融も出ておるのであります。おりますが、これが常識的なものの考え方で申し上げると、その後倒産が引き続いておりますので、いままでのようなことではなく、貸し出し先の相手方の内容を、十分把握しなければ無制限に金をつぎ込めないという気持ちはあるようであります。いままで放漫ともいえる貸し出しをしていって、急激に締めれば倒産するのはさまっておるんだから、そういう意味では、慎重な配慮が望ましいと金融機関にも善処を促しておるわけであります。現在、率直に申し上げろと、設備をすればもうかる、金は借りられるものだ、という前提できたと思います。それが、ペイしない企業は金は借りられない、また金も貸せないという正常な状態に入りつつありますので、そこで中小企業の金繰りが非常に苦しいと、こういうことでございます。  もう一つ申し上げると、販売競争といいますか、シェア確保といいますか、そういう意味で、お互いに競争しながら、だんだんと売り上げ代金というものに対しては延べ払いとか分割払いとか、こういうことがだんだんと大きくなってきたために、この手形が現金化せないという問題、また民間でも、こういういろいろ一流企業等が倒産をしますと、手形を落とさない、待ってくれと、こういうところに、中小企業の金繰りが、いろいろめんどうな問題もあるようです。もちろん、中小企業庁とも十分連絡をしながら、今度の下請代金支払遅延等防止法に対しましても、これで一体いいのかということで、再度検討しておる事実をごらんになっても、この中小企業に対しては、確かに、まっこうから取り組もうという気持ちでございます。佐藤内閣は中小企業倒産内閣になっちゃたまらぬ、これはえらいことになっちゃうということで、そういう考えでいま一生懸命やっております。     —————————————
  208. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいま委員の異動がございました。  田畑金光君が辞任され、曾祢益君が選任されました。     —————————————
  209. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私も、その間の事情はある程度心得ておるのでありまして、ただ、大蔵大臣にお答え願いたいのは、倒産のいきさつの説明だけでなしに、今後どういうふうにしていくかと、これを聞いたわけですが、これはある程度の期間をかけてゆっくりやらなきゃいかぬと。ゆっくりやられたんじゃそのうちに金が詰まっちゃって倒れていくということになるわけです。  そこで、選別融資を強化したということが、つまり優良な事業には金を貸すけれどもちょっとあぶないのは貸さない、これは貸すほうからいえばそうではありましょうけれども、しかし、それは銀行屋の仕事でありまして、やはり政治という面から見た場合に、はたしてそういうことでいいのか。銀行屋というのは、やはり金を貸して金をもうける、これは当然であります。そういうことは。政治の面から考えて、今日に至りました中小企業倒産というものは、何といいましても政府の高度成長経済の結果そういうふうになった。これは何人も認めるところであるわけです。そこのところを少し責任を感じで、中小企業倒産内閣といわれないように、ひとつ具体的な配慮をしてもらいたい。  そこで、企業間信用というものが最近非常に膨張しておる。日銀券の発行は一兆八千億ですか、大体それの十倍程度、二十兆程度の企業間信用はあると。一体、これは政府としてはどういうふうにしていくのか。結局、金が詰まりますと、手形を発行して、信用によって商売をやると。それがだんだん大きくなってきたと。これから先は一体どうなる。もっとふえるのか、それをほぐすにはどういうふうにしていくのか、そこら辺のところですね、まあ手形法の改正とかいろいろやっていらっしゃるのでしょうが、なかなか結論も出ないようです。お伺いしたいと思います。
  210. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 最近における企業間信用の総額は約二十兆円、こうもいわれております。この淵源ということはなかなかむずかしい問題がたくさんございます。金を無制限に貸せれば、無制限に企業間信用は膨張するということになるわけであります。急激に締めれば、倒産続出ということになるわけであります。この間の事情を十分承知をしながら、結局企業責任の確立を一方にやりながら、そのタイミングに合わせて金融の正常化もはかっていくということでないと、いろいろな問題が起きてくるわけであります。そこを中尾さんが言われておるわけであります。  しかし、金融機関の自主的な運営——金融統制いたしておりませんし、民主主義の中で金融を考えれば、金融の自主的な運営ということに結論づけられるわけでありまして、政府は民間金融機関に対しても、企業間信用を膨張さした責任も金融機関にも一つあるのだから——金融機関も貸し出し競争をやったわけであります。また、業者もシェア拡大で、無制限な拡大というような無制限な方向でやったことは事実であります。ですから、やはり金融機関がみずから、回収だけを一方急いで、きゅうきゅうに締めるということだったら、これはもうたいへんだと思います。ですから、その企業の実情を十分把握しながら、正常な状態に導いていくような金融配慮をしなければならない、こういって金融機関には十分の配慮を依頼しております。これだけではどうにもならないと思いますので、中小三機関の資金ワクの増大につきましても、昨年度対二〇%余増大をいたしたわけでありますし、その他保険制度の活用等、中小企業の安定成長というところまで持っていくためにいろいろな施策をやっておるわけであります。
  211. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 もう一つ要領の得ないような答弁でありまして、キツネにつままれたような感じもするのですが、結局あんまりきめ手がないのじゃないかと、こういうふうに私は感ずるわけなんですがね。  そこで、日銀のほうが四月以降の金融政策というものを発表いたしております。これを見ますというと、現行の三カ月ごとのワクを六カ月ごとに多少の貸し出しに対する弾力性を持たせる、こういうことでありまするが、これにいたしましても、結局窓口というものを規制しておれば、窓口でとまっちゃって、あんまり従来と変らぬのじゃないか。問題は窓から先のほうじゃないか、こういうふうに私は思うのですがね。こんな調子では、また金融緩和というものは掛け声だけに終わっちゃって、あるいは第二の山陽特殊製鋼の倒産というようなことがまたあるのじゃないか、こういうふうに心配するわけです。この点につきまして、金融の点について大蔵大臣はどうお考えになるのか。
  212. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 金融は緩和の方向にあるということは事実でございます。公定歩合の引き下げが行なわれるとしても、行なわれた結果でという前提で窓口を締めておれば、金はあっても貸さなければ、警戒ムードが強過ぎて金を放出しないということであれば、金融緩和の効力というものは中小企業に及ばない、こういうお話でございますから、金融機関も金を貸すことは商売でありますし、警戒ムードが強過ぎるということは理解できますが、私は金融機関にも、そのような放漫に金を貸したのはあなた方の責任でもあるのだから、連鎖倒産とか黒字倒産とかいうことが起こらないように、十分配慮をしながらつなぎ融資とか正常になるまでの融資に対しては十分の配慮を願いたい、こういう行政指導をしておるわけであります。金融だけでしぼったり、また緩和したりというだけでは、なかなか片づかない問題でございまして、そのために中小企業庁というものもあるわけなんでありますから、中小企業庁がひとつ中に入って、正常な安定成長の段階にどういう過程を経て中小企業を持ってくるかということに対しては、中小企業庁でも十分な検討をしておると思います。  中小企業に対しては、ただ保険制度とか金融制度とかいうことだけじゃないのです。御承知のとおり、企業とはこうあるべきだ、企業責任とはどうあるべきだ、こういうことをやるために役所があるわけでありますから、そういう面で、大蔵省は金融を、通産省、中小企業庁は中小企業の本筋をひとつやっていきたいと思います。いろいろ両省で協議をしながら、適切な具体的な対策を進めてまいりたいと思います。
  213. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 どうも、大蔵大臣、話をそらすことがおじょうずでありまして、金融のほうは十全な配慮をするように行政指導をする、しかし金融だけで中小企業というものが改善されていくのじゃない、それぞれ通産省、中小企業庁等にも責任がある、その話を聞いてくれ、こういうふうな答弁でありました。私は金融の面においてあなたに聞いておる。その面を答えていただけばいいのです。通産省のほうは、また別の機会もあるでしょう。ここのところ、それは日本銀行総裁じゃありませんから、はっきりと言われないかもしれませんけれども、やはりこれは大蔵省と関係があるから、私はお伺いしておる。それでは聞かぬことにしましょう。  それで、例の下請代金の支払い遅延の防止法案、これまた問題になっておりますが……。
  214. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 関連して。話は別ですが、大蔵大臣、金融の問題なんですけれども、先ほどちょっとコールがふえるのじゃないかというようなお話があったのですが、相互銀行であるとか、あるいは信用金庫のコールローンというものは前よりもふえてきておる。かなり一年前と比べると増大しておるわけです。それに対して、中小企業への貸し出し率というものはそう向上もしていない。こういうところはまた一つ中小企業への金融が細まっておる証拠だと思います。そういうような傾向といいますか、都市銀行との連携でどんどんコールローンがふえてくるとなれば、相互銀行やあるいは信用金庫というものが一つの都市銀行化していくという傾向にあるのです。そういうようなところは、これは法制的な問題になるかもしれません、制度上の問題かもわからないのですけれども、そういう相互銀行であるとか、あるいは信用金庫についても、できる限り中小企業のほうへパイプをつないでおくという、コールのほうをある程度上へかけられるような法制化のようなものは考えられないのか。
  215. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 原資に余裕があれば、コール運用もいたしておることは事実でございます。しかし、金融機関別に財務比率につきましては相当こまかくきびしくやっております。もちろん、信用金庫は相互銀行とあわせて中小企業専門金融機関でございますので、コールに重点を置くということならば、これは十分規制していかなければならぬと思います。いま中小企業向けの金融機関である信用金庫とか相互銀行は、コールに出しておる率が多いとは聞いておりません。系統金融である農林中金がコールに回しておる、こういう資金はもっと考えられないかということは議論があり、政府部内でも十分検討いたしておる問題でございます。いずれにしても、金融機関が本来の使命を達成しないで、ただ利益追求にいくというようなことは、これは厳に慎しまなければならぬことでありまして、行政指導で可能なことでありますので、十分措置いたしたいと思います。
  216. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そこで、いま問題になっております下請代金の支払い遅延防止法案に関する手形の期間の法的規制ですが、新聞等で拝見しておりますが、その後どういうふうに最終案がなったのか、それについてひとつお伺いしたいと思います。
  217. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 実は大体の案がまとまったのでございますが、なおその後若干の意見が出ましたので、最終的にははっきりしておらないのでございます。しかし、重要な点を申し上げますと、まず第一が、納品後の検収というものをいたします。その検収がいたずらに延引して、その結果、下請業者が非常に影響を受けますので、六十日以内に検収も終わるし、また同時に現金を払う、あるいは金融機関で現金化できる手形で払うようにということを、従来もそういう方針をとっておるのでございますが、これを法律上明白化していきたいという点が第一点でございます。  それから、親企業と下請企業との間には原材料の支給や物品の提供等の問題がございます。それをかってに差し引かれたような計算でやられたのじゃ下請企業も非常に困りますので、その辺も改善してもらう。あるいは親が注文する場合に、現金がどのくらいある、手形はどの程度の割合で払うというようなこと、検収期日などについてそれをはっきりさせるようにするというような点を、これが従来の法案ではどうも十分でないというので、これを今度の改正法ではできるだけはっきりいたしまして、下請の保護に当たりたい、こういう趣旨であります。
  218. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 時間がありませんから、次に参ります。  山陽製鋼の倒産の原因等につきまして新聞紙上等で私も拝見しておりますが、最近は山陽の倒産がヨーロッパあたりでも非常に反響を呼んでいる。そういうことでキャノンや東洋レーヨン等の日本の民間の外債の相場が軒並み急落している、こういうことが報じられております。これは今後の民間外債の発行に大きな障害になると思いますが、実情はどうなっているか、その辺のところをひとつ大蔵大臣にお伺いいたします。
  219. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 山陽特殊製鋼が特殊製鋼界の代表企業であるということで、しかも外資が入っておるというので、市場では多少駆ぎが出たという報告は受けております。しかし、御指摘になったように、急激に外債市場が混乱をして、日本の銘柄が売りたたかれておるというようなことは全然ございません。私たちも非常に心配をして、出先に対しても十分な配慮をしたわけでございます。結果的には確かにそういう動きがあったようでありますが、現在は鎮静をいたしておりまして、この山陽特殊鋼という企業も、破産をしたというのではなく、会社更生法というものに対しての御理解がなかったということもあるでしょうし、それから、外資に対しては金融機関が保証しておりますので、期日が来れば、山陽特殊鋼の状態いかんにかかわらず、金融機関が自動的に保証を履行するということになっておるわけでございますから、いずれにしても、当初は多少混乱の激しい状態であったということでございますが、いま御指摘のような状態は全部払拭されております。
  220. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまの会社更生法でありますが、これもまあ倒産会社のほうと、また下請企業のほうと、両方の面から、いろいろな見解の相違があるわけでありまして、それですから、この問題につきまして、倒産の会社のほうにもやはり従業員もおりますし、まい下請企業のほうにも従業員がおるわけです。そういうことを考慮してみますと、大蔵大臣はこの法案に対してどういうような見解を持っておるのか、若干お伺いしたいと思います。
  221. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 会社更生法につきましては、企業を破産せしめないで更生せしめるためにつくられた法律でございますが、この運用ということが乱用されておるのではないか。というのは、これは裁判所が認定をするというのではなく、金融機関その他のものが、このままの状態でもって正常に復するにはたいへんだから、会社更生法の適用を受けたほうがより簡単にいきそうだと、こういう安易な考え方で会社更生法の適用を申請するとしますと、これは下請とかに非常に大きな影響があるわけであります。それで、しかも会社更生法が適用になった場合には、常識的に言いますと、担保をとっているというような人は、いつの日にか返るわけであります。そういう意味からいって、金融機関により有利ではないかということを言う人もあります。私はやはりこの会社更生法というものに対しては、法律的な体系論だけではなく、実情に合うということで、新しい角度から検討を必要とする、こういう考えでありまして、総理大臣も、また関係閣僚も、これが改正の必要があれば、十分改正しようという姿勢で、いま検討をいたしておるわけであります。  それからもう一つは、下請代金支払遅延等防止法ということであります。これはいま改正案が出ておりまして、次の閣議には何とかまとめて、早く提出をしたいという通産大臣の意向がありますので、私たちもできるだけそのように運びたいという考えでありますが、六十日以内に現金化できる手形で払わなければならないと、こういうのですが、その現金化できるかできないかというのは、支払った振り出し人の信用ではなく、その受けた下請企業の信用——バックがあるかないかということによって、割り引きできるかできないかということでありますから、これを一体どうするのか。この六十日以上に関しては、通常の金利でするというのですが、これも百二十日なら百二十日たってなお割り引きできないものは、当然現金と交換することができないか、こういう法制ができないかどうか。こういうことで、この間ストップしたわけでありますが、公正取引委員会としては、六十日以上のもので割り引きできないものに対しては勧告を出す、勧告を出してまた応じなければこれを公表する。法制上のたてまえではそれが常識的かもしれませんが、何十億万円という非常に大きな手形の数、しかも下請が弱いですから、公取に飛び込むというようなことは一体可能なのかどうか。そういう意味で、合理的に考えれば、現金で払うということが原則のものを手形で払うものでありますから、手形に対しては期日を付する。それから期限がきてもなお割り引けないものは、現金と引きかえる。こういう方法が法制上できないかという閣議の議論がありまして、ところが、法制上の議論はなかなかむずかしいということで、議論している過程でございます。ですから、下請と元請という観念、少しどぎつい言い方かもわかりませんが、私はやはり労使の関係と同じように、法人をある時期に規制をする必要があるのではないか。そうでないと、どうしても大企業は下請に対して手形を払っていく。中には原料などに対しては二年間先ぐらいの手形を払っていくという例もあるようであります。これはもうその金利を付すというような問題ではないのではないかと思います。そういう意味で、元請と下請との間を法律的にもっと明確に規制する。こういうことでなければ、なかなかこの問題解決できないのではないかと思います。あるところの元請企業が長い手形で全部払っておって、土地が上がるだろうからということで、五年前に土地を買っておる。こういう事態がいま許されるはずのものではないわけであります。私はそういう意味で、いままでの考えとは違う、労使の関係と同じような立場で、元請と下請というものを法的に規定をするという時代ではないか。このたびの山陽特殊鋼という問題、非常にわれわれもショックでありましたが、あなたに先ほど、第二市場は鎮静いたしましたと、こう申し上げましたが、鎮静しないのは、私たちの腹の中は鎮静しないのでありまして、こういうことが起こってはたいへんなことであります。日本自体の信用にも関するものでございますし、そういう意味でも、親と子の関係、親子といいますか、どうも親子でない、現実的には。そういう状態に対処する法制の整備が必要ではないかという立場で検討を進めたいと思います。
  222. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあそれは、たいへんだ、たいへんだと言っているうちに、ずるずるとまた倒産がふえていく。そういうような気もするわけです。私はね。  それで、時間がありませんので、通産大臣にお伺いしますが、最近、貿易が好転をいたしておりまして、外貨の準備高も二十億五千万ドルばかりになっている。こういうふうに聞いておるわけですが、しかし、これはまあこの国際収支の好転ということは、手放しに楽観は許されないのではないか。そこで、通産大臣にお伺いしたいのは、いまの輸出でありますがね、輸出は確かに順調に伸びておりまして、当初の目標を上回っておりますけれども、   〔委員長退席、理事村山道雄君着席〕 いろいろ調べますると、重電機関係等が出血輸出が行なわれておるように私も聞いておるわけです。そこで、輸出の実情がどうなっておるのか、もうかっておるのか赤字になっておるのか、まあその辺の実情につきましてお伺いをしたいと思います。
  223. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 個々の企業によりまして、その実態が違うことは言うまでもないことだと思うのであります。そこで、お話しのように、あるいはこれは出血輸出ではないかと思われるような節がないではないと思います。すなわち、国内価格に比べて輸出価格が非常に低いという場合もままございますが、しかし、最近における統計を見てみますと、一九六〇年から六二年までの平均を一〇〇として、六四年は一体どうかと、こういうと、一〇〇・二になっているのであります。この数字だけでものを言うのもいかがかと思いますが、まあ一応出ておる指数からいたしますと、横ばいの輸出価格でございまして、一がいに出血輸出をしているのだというようなふうには言えないと思います。
  224. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私のほうで調べたところによりますと、重電機や乗用車、あるいはプラント、工作機械、そういうものは赤字である。黒字になっているのは雑貨、繊維、塩化ビニール、バス、トランジスターの石、トランジスター・ラジオ、そのくらいであるというふうに見ております。大臣の御見解はどうですか。
  225. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) この輸出の場合には、輸出契約に伴いまして種々好条件と申しましょうか、国内の販売に比較しまして条件のいい場合がございます。たとえば注文のロットが大きいとか、それから操業度を維持していくことによるコストダウンとか、あるいは現金決済であるとか、そういうような取引上の好条件もございますので、いま御指摘の品種が直ちに赤字輸出だ、これはもう企業にとってマイナスだと、こういうふうにはいかないんじゃないかと思うのです。やはり品種別に検討する必要がある。いずれかと言いますならば、輸出によってやはり企業にはいろいろな意味における裨益するところがある、こういうふうに判断をしておるわけでございます。
  226. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ業種によっていろいろあると、こういうことでありますが、しからば、造船界ですね、これは一応黒字と言われておりますけれども、最近は延べ払い等もございますし、かなり苦しい状態にあるんじゃないかとこう思うのですが、これはどうですか。
  227. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 最近における取引状況があるいは御指摘のような面を持つ会社もあろうかと思いますが、しかし、一般的に申しまして、造船業界が非常に不況である、悪いというような範疇には入らないと思います。
  228. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、時間がありませんから次に移ります。  これは防衛庁長官にお伺いをいたしますが、まあ最近は交通事故という問題が非常に毎日毎日新聞に出ております。数字的に具体例を申しましても、三十九年度で交通事故でなくなられたのが一万三千三百一人、その中で踏切事故によって死亡された方が千人ぐらいはある、こういうことですね。この交通事故の防止政策というものも、従来のような警察関係取り締まりの強化という人間の注意力だけでは、その効果がもう限界にきたのではないか、こういうふうに思うわけであります。そこで、この現状を打開するためにいろいろと対策を講じられておりまするが、私がお伺いしたいのは、いろいろの施設の中でも、踏切の除去あるいは横断歩道橋、歩道設置、待避所の設置等の特殊の改良あるいは立体交差等の作業につきましては、地方団体や建設省あたりもやっておりまするが、むしろ自衛隊を当たらしたらどうだろうか、そして急ぐものは早いところそれをやって、そして交通の事故防止に一役買わしたらどうか、まあ三矢事件ということもありますが、そのほうよりかこのほうが愛される自衛隊になるのではなかろうか、そういうふうに思っているわけです。これは自衛隊法にも出ておりまして、自衛隊法の第百条におきましても、「長官は、自衛隊の訓練の目的に適合する場合には、国、地方公共団体その他政令で定めるものの土木工事、通信工事その他政令で定める事業の施行の委託を受け、及びこれを実施することができる。」こういうふうになっておるわけですが、そこで私は、防衛庁長官に、ただいまのことに対する答弁を承りたい、こう思うわけです。
  229. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 最近の交通事故等の激化にかんがみて、これらを解決すべく地下道とか、あるいは踏み切りとかそういうような大衆のためになる仕事を自衛隊がひとつ協力してやったらどうかと、こういう御趣旨に存じますが、今日まで自衛隊におきましては、地方公共団体の要請によりましていろいろと民生協力という面から御協力を申し上げておるのでございます。しかし、これは大体いままでのところは御承知のとおり土工を中心とした仕事をやっておるのでございまして、装備とか機材とかいうような関係から、どうしても土工中心の仕事に民生協力をいたしてきたというのが実情でございます。いま中尾委員の御要望に沿うようにするといたしますれば、相当鉄筋コンクリートの工事とか、あるいは鉄骨の工事とかということにもだんだん広がっていくのではないかとも存ぜられまするが、私どもはできるだけ国民のための自衛隊として御協力を申し上げるというのが念願するところでございますので、民間の事業を圧迫しない範囲内で、そうしてまた自衛隊の今日の装備や機材等によってできる限りのことはひとつ検討をしてみる必要があるのではないか。御趣旨はきわめてごもっともと存じまするので、十分そういう面にも時代の趨勢にかんがみまして実情に沿うような協力をすることが好ましいことである。何も土工中心だけで、ほかは一切やらないというような考え方でなしに、でき得ればそういう面にも貢献をしたい。十分検討してみたいと存ずる次第であります。
  230. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ただいまの御答弁がありましたように、なるべく協力をさせていただきたい、こういう答弁でありますが、自治大臣及び建設大臣のこれに関する御意見を伺いたいと思います。
  231. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) 御協力をいただくことはたいへんけっこうだと思います。
  232. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 私のほうは、御承知のように交通安全施設についていろいろ直轄でやっているところもありますが、補助事業でやっているところもあるわけであります。補助事業については、地方公共団体から自衛隊なら自衛隊に対しまして御要望になった場合には、今度は地方の公共団体と自衛隊との間の協力になるわけでありまして、したがって、私どもがそれはいいとか悪いとかという立場にはないわけでありますから、したがって、町村と自衛隊との間にそういう契約ができることは、私ども立場としましても、普通にやりますよりもおそらくたくさんの個所ができるかもしれませんので、望ましいことだとは考えます。
  233. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 最後に、住宅関係につきまして建設大臣にお伺いをします。予算編成の際におきましても、住宅難の解消ということにつきましては政府も重点的に優先的に取り上げられたと、私も聞いているわけでありますが、ふたをあけてみますというと、まあそれほど庶民の夢にこたえるほどではなかったのじゃないか。こういうふうに考えるわけであります。そこで、昨年から住宅七カ年計画というものができておりまするが、その計画に基づいてどういうふうにやるのか。現在住宅が足らないのはどのくらいあるのか。そういう面についてひとつお伺いしたいと思います。
  234. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 御承知のように昭和四十五年度までを目標にいたしまして、一世帯一住宅という目標を掲げておるわけでありまするが、これはこの期間中に七百八十万戸の住宅を建設すれば一世帯一住宅が可能であるということを前提としておるわけであります。その中で、従来の官民の大体の比率をとってみますと、六割見当が民、つまり自力建設、四割見当が政府の援助による建設、こういうふうになっておりますが、そういう率でいきますると、政府としましては三百万戸以上の計画を立てて実施をいたしませんければ七百八十万戸は不可能なわけであります。そこで、一体それでは政府施策の住宅は年率何%ぐらいずつその後伸ばしていけばいいかということになりますと、大体年率昭和三十九年度を基点にいたしまして一〇%ぐらいずつ伸びていくと、この目標には達するわけであります。四十年度の場合は、三十九年度に比べて一〇%まではいきませんで、九%何がしだと思いますが、今後経済の成長の伸びに応じましてこの年度計画を実行していけば、三百万戸をこすのは四十五年度までにできるもの、こういうふうに見ておるわけであります。
  235. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 政府が一世帯一住宅を四十五年までやろうと、こういうわけでありますが、結局七百八十万戸不足するけれども、その中で六割というものは民間の皆さんでお建てなさい、政府がやるのはその四割である、こういうことになるわけでありますが、そこで、実際住宅難で困っておりまするのは相当低所得者の方があるわけでありまして、ですからわれわれの従来の方針というものは、どうしてもこれは政府が建ててやるべきじゃないか、住宅難の今日まで追い込んだのは政府の責任でありますから、当然これは政府が公営、公団住宅等を建ててあげるべきである、こういうふうに思うわけであります。最近に発表になりました総理府の統計局の住宅事情の発表がありますけれども、これなんかも五カ年間で借家二百万戸ふえたとか、いろいろ出ておりますが、政府のいわゆる一世帯一住宅というものは、民間自体の持ち家建設、あるいはその中でも借家の数というものは、一夜式のベニヤ板で仕切ったような木造アパート、そういうものが東京、大阪等の過密都市では相当あるわけでありますが、こういうものも一世帯一住宅の中に入っておるのか、またこの統計の数字の中にも入っておるのか、その点のことについてひとつ答弁してください。
  236. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いまお話がありました分が、非常に狭い住宅ということであれば、それはわれわれの一世帯一住宅の中には入らないわけであります。一世帯一住宅といいますときには、一戸当たり九坪以上ということを、七百八十万戸の場合は考えているわけであります。また、いま住宅の問題は民間にまかしておるのじゃないかというお話でありますが、元来住宅は、個人が最後には自分の安住の場所として、営々として貯蓄をし、そうして家族団らんの場所として求めるのが住宅なのでありますけれども、なかなか学校出たての人たちがいきなり住宅、自分の家を持つということはではないわけでありますから、そこで、従来の例でいきましても、まあ長い間の貯蓄の結果、あるいは退職資金などをあてにしまして、それぞれみんな住宅を持つようにしておったわけでありますが、それを誘導するのは、いわゆる民間資金でもって誘導するのは税制でただいまのところやっているわけでございます。税金を、こういう場合には固定資産税を安くしてあげますとか、あるいは不動産取得税を安くしてあげますという形で、税制で誘導しておりますが、政府がやります分には、そういう自分の住宅を持つことがむずかしい人、つまり借家でよろしい、借家でがまんせざるを得ないというようないわゆる所得の低い人々を政府は主たる目標にしておるのでありまして、その意味で公営住宅、あるいは住宅金融公庫が金を貸します場合にも、いわゆる坪数の少ない人を相手にしておりまするし、日本住宅公団が建てます場合にも、やはりできるだけ安い家賃であることが望ましいということ。そういう趣旨で住宅を供給するという政策を従来もとってきておるわけであります。
  237. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 住宅対策の中で一番問題になっておりまするのは、本年度の予算も見たのですが、予算の規模の割合に建設戸数の伸びが少ないじゃないか。予算は二〇%ほど伸びておりますが、戸数はわずか八%ほどしか伸びていない。そういうことで、財源の面にも問題はありましょうけれども、建設省と大蔵省との予算要求の関係におきまして、用地費のことにつきまして、建設省は坪当たり五万円を要求した。ところが、予算案では八千九百円というふうに、全国平均でなっている。これはなぜこういうふうになったのか、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  238. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 建設省の要求のような単価がつけられないということは、予算の制約があるわけでございます。しかし、ことしからは実情に合うように単価を引き上げたり、土地を造成するような場合には単価を引き上げたりということはいたしております。いずれにしましても、建設省もだんだん考えておりますが、公営住宅も公団住宅も、政府施策住宅というものは、戦後つくられたような安かろう悪かろうというような平家建てのバラックをつくるということではなく、永久建築といいますか、不燃建築の率をだんだんと多くしていくということによって質が改善をせられていくわけであります。昭和二十年から二十六年までは、もう全く収容者住宅、引き揚げ者住宅のようなものであったわけです。二十六年に公営住宅ができたと思いますが、そのときの坪数は七坪五合ぐらいが最低でありました。それが十二坪になり、十三坪になり、十五坪になるというふうで、一戸当たりの単位もだんだんと多くなっていくわけでありますし、そういうふうに質は改良せられつつあります。  ただ、さっきあなたが、こういうものは政府住宅で——家が足りなくなったのは政府の責任だから、政府がやるべきだ、こういう御発言がちょっとございましたが、やはり住宅というものは、いろいろな施策を行なって、民間人が自分の力で建てるということが筋であります。   〔理事村山道雄君退席、委員長着席〕 そのためには、各国でもいたしておるような、税制上めんどう見たり、そうすることによって自己住宅、自家住宅というものが促進される。また、生命保険とか損害保険とか、こういうものが住宅投資を行なうということが主であります。ただ、日本は急激に家庭の細分化ということが進んでおります。戦後もう一千万戸できたわけでありますが、まだ足りないということでありますから、国も合わせて住宅施策を行なっておるという次第でございます。
  239. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは民間が、持ち家を持ちたいという人たちにうちを建てるべきである、こういうことでありますけれども、民間が投資しまして建てましても、現実におきましては家賃が高いのですよ、御存じのとおり。ですから、やはり低家賃のものを建てていかなければとても追っつかないじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。それが一点。  それからもう一つは、先ほどの私の質問に対して、用地費の単価が低いということ、つまり八千九百円しか予算単価を上げていない、建設省の要求は五万円である、この点について答弁がもにゃもにゃして私聞こえなかった、もう一ぺんはっきりお伺いしたい。
  240. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 建設省の用地費の要求が五万円であるというお話でありますが、そういう要求は実際はいたしていないのであります。またその単価も、用地の単価も場所場所によりましていろいろ違っておりまして、二千七百円のところもあれば、一万四百円くらいのところもあり、一万一千三百八十円というところもあるというふうになっておるわけでありますが、確かにおっしゃるように、東京や大阪あたりをとりますと、この予算では少し無理な点が出てまいります。それは地方団体の力を借りまして全部国がこれを出すわけじゃないのでありますから、地方団体と一緒になってうちをつくるわけでありますから、そこで、一方において地方公共団体の負担が重いんじゃないかという議論も出てくるわけでありますけれども、大体東京、大阪を除けばまあまあこの用地費でやっていけるというふうに考えておるわけでございます。
  241. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 建設大臣の、妥協した答弁でありますが、実際はそうでないと私はこう思うのであります。時間がありませんから、最後に、住宅供給公社というものが建設大臣の御自慢の策として新しく出てきたわけでありますが、その点につきまして、内容につきましてお伺いをいたしまして、私は質問を終わります。簡単でけっこうです。
  242. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いずれ詳細なことは委員会で申し上げますけれども、大体のことを申し上げますと、住宅供給公社というものを各都道府県あるいは五十万以上の都市につくりまして、それは都道府県なり市が全額出資をする公共団体でありますが、その公共団体がわれわれと連絡をとりまして、そうして建設戸数をきめていきまして、そうしてその建設戸数に見合う、いわゆる持ち家を持ちたいという人たちを募集してきます。そうしてその人たちが計画的に建設費の二割に相当する程度の頭金を貯蓄をする、これは大体三年ないし五年と考えております。この貯蓄ができ上がった人には、住宅金融公庫から残りの八割を貸し出していきましょうという構想で住宅供給公社をつくるわけでありますけれども、この建物はばらばらにつくるのではなくして、住宅供給公社が一まとめにつくりまして、そしてできるだけ安く質のよい建物を供給していこうと、そしてその建物ができまして、いよいよ入りますと、今度は年賦で、木造の場合には十八年、鉄筋の場合には二十五年でありましたか、その辺のところはちょっと忘れましたが、長い期間かかって月賦で払っていく、そうして自分たちの持ち家を得やすいようにしてあげる、これはまあサラリーマンに対する一つの夢を与えるものでありますから、そこで、名づけてサラリーマン住宅という俗称をつけたわけであります。
  243. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 中尾君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  244. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、高山恒雄君。
  245. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は繊維の総合的な政策の問題について御質問したいと思います。新法が化合繊を規格の対象からはずしたと、こういうことから、これはまあ非常に大きな誤りであったと私は考えるのです。綿と合繊の複合繊維時代といわれておる今日、密接不離であって、これを一体的にやはり政策を検討すべきであったのじゃないかと、また、大いに伸びるといわれていた化合繊は、いまは過去の設備の拡大が表面化して、今日自主的な操短に入らざるを得ないと、これが現状だと思うのです。  そこでもう一つは、この二対一の廃棄の問題ですが、予想外にこれが三年という期間をおかないで進展しておる。すでに三分の一以上が完了しているという事態ができておるわけです。それだけ格納の改造分が従来の稼働錘数に上積みをされることになっておる。で、これが生産量の増加となって、まあ繊維の不況が今日到来しておる、こう言っても過言でないと思いますが、通産大臣はこの点についてどうお考えになりますか。
  246. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 高山委員は繊維のほうの御専門でございますので、私がへたなことを申し上げるのもどうかと思うのでありますが、不況には間違いないと思うのであります。しかし、最近における綿糸の市況を見まして、昨年新法実施後におきましては、御承知のように、百五十八円少しであったと思いますが、一月には百七十三円に少し回復いたしました。最近はまあ団体百七十円ぐらいかと思うのでございますが、そういう情勢から見ますと、新法実施後のこの六カ月経過をしてみますと、次第に供給過剰の状況も緩和されてきておるのではないかと、かように見るのであります。合成繊維の関係につきましては、これはいま御指摘がございましたが、新増設が一気に相次いで行なわれまして、そのために非常に供給過剰になりましたが、このほうは東レ、日レ、それぞれの会社の自主調整によりまして、若干市況が変わってきたと思うのです。スフ糸、梳毛糸につきましては、これはあまりやはりよいとはいえませんけれども、まだ綿糸、合成繊維に比較いたしますならば、まあそう深刻ではないのじゃないか、こういうふうに観測をしておるのでございまして、したがって、新法実施後の時日の経過に伴いまして、だんだんに繊維業界の状況が改善されるものと、かように思います。
  247. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 廃棄に伴う新設の格納解除については、これまでの新設はごくわずかで、大部分は格納解除となっている。これは新設資金が乏しいからそうなったのではないかと思うのです。あるいは凍結されていたものが新しい機械であったことなのか。新しいものでないとすれば、このように解除に偏するということは、新法審議の際に唱えられていたいわゆるスクラップ・アンド・ビルドの方針に反するのではないか、こういうふうに考えるわけです。この点はどう考えておりますか。
  248. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 使用停止の解除後の状況を見まするに、本年二月一日現在で、ちょっと数字がもう古いかと思いますが、四十三万錘の稼働増加が見られまして、精紡機は約一千三十七万錘にのぼっておるかと思うのであります。しこうして、いまお尋ねの新設のものが多いか、あるいは格納解除のものが多いかと、こういうふうに考えますときに、どちらかというと二対一と、こういう二を廃棄して一を解除するのでございますが、格納されておるものが解除されていったのが多いんではないか、こういうふうに見ます。
  249. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 さらに新法制定のときに、施行後の中小紡の統合の動きですが、これは政府は指導するという立場をとっておられたのですが、その後どういうふうにこの指導が現実にあらわれてきているのか、この点について見通しをひとつお聞かせ願いたい。
  250. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 私の承知しておるのでは、積極的に企業の協業、統合を慫慂してはおらないと思うのであります。私自身の考え方といたしましては、いまちょっと数字がはっきりつかめないのでありますが、百何社ぐらい合繊関係があろうかと思います。そういう点から考えまして、これらの会社の協業化あるいは集約化を、今後においては、やはり先ほど申したように、六カ月の経過から見て多少よいとはいいながらも、しかし、もっと抜本的な考慮をする必要があるのではないか、かように私観察をしております。
  251. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 新法では、旧法のような短期需要調整はできないということになっておることは御承知のとおり。ところが、いま通産大臣は、そう悪くないと、こうおっしゃつておるのですけれども、全体の見方から見て非常に大きな誤りではないかと私は思うのです。相場を見ましても、つまり二十番手のポンド当たりのコストが大体百五十円前後ですね。そうすると、現実にはどうかと申しますと、これはごく最近ですが、百四十円前後なんですね、コストを割っているわけですよ。通産大臣の、新法施行後の景気がいいという考え方は大きな誤りではないかと私は考えますが、大臣、これ肯定しますか。
  252. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 私先ほど、最近非常によくなったという表現はしてないと思うのであります。ただ、新法実施当時の、これは私がとりましたのは四十番手をとったのでありますが、それとこの一月あるいは最近の価格を見ると、改善をされておるのじゃないか。また、昨年十二月の在庫を見ましても、たしか六十六万四千コリくらいになっておるので、特にこの在庫が増加したとも思えなかったので、新法実施の当初にはいろいろ問題があったが、時日の経過とともに鎮静してきているのじゃないか、こういう見方でございます。しかし、その不況状況というものは紡績も紡繊も、また、スフ、梳毛糸等についてもあるという事実を私も否定はいたしません。
  253. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 新法施行後鎮静したのではないかという見方は、私もそう否定はしておりません。しかし、コストを割っておるのだという事実は、これは大臣として大きくひとつ認識をしていただかぬといかぬと思うのであります。それで、この上に問題がありますのは、やみ紡機の処理なんです。政府は、この新法制定のときに、大体一般から見ても八十万錘ではないかという見方をしておったのです。ところが、この十月一日からの新法が施行されて、総錘量を割ってみますと、百五十四万七千錘という大きな数字が予想を上回って出たわけです。このうち、当面問題となるのは、第一区分の綿スフ織の精紡機であるが、これが百十万錘であります。したがって、新法によって認められた第四区分の自由糸の需要予測というものは約二十万錘と見られております。百十万錘のうち、十万錘は十大紡の台がえです。精紡機で格納中のもので、これは動く心配がないということになっておりますから、これは問題はないと思います。残る百万錘が、自由糸需要予想の二十万錘を引いた残りの八十万錘が法に違反して制限糸を引くおそれがあるのじゃないかと私は思うのです。現実にもそういうことがあるのではないか、この間の調査結果を見ましても。したがって、通産省ではその対策に苦心して考えておられることもよくわかりますが、第四区分の登録のこの精紡機について半数を凍結するということ、残りについては第一区分の登録を認めてやろう、こういう通達を出しておられるはずですが、そうしますと、四十万錘がふえるということになるわけです。従来でも、大体やみが三十四万錘くらいあったので、実質的には影響がないであろう、こういう予想でおられたことが大きな問題として支障になるわけです。で、そのことから判断いたしますと、この第四区分の登録そのものを、一体第一区分に登録がえを認めるのかどうかということが問題の焦点になろうかと考えます。それで、もし認めた場合に支障が生じないのか、あるいは、また、そのほかの考え方を持っておるのか、その点をひとつ、新法に基づく予想外のやみ紡機に対しての対策をちょっと具体的にお聞かせ願いたい。
  254. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ただいま御指摘のとおりに、法律施行前に予想していた数よりも、結局私の資料では百五十二万になっていますが、四万であった、大体そういうことだと思うのでございますが、非常な開きであったということは事実でございます。なお、それによりまして自由糸に対する需要は二十万錘見当、これもそのとおりだと思うのでございまして、お話のように、百万錘見当をどうするかということが、これは大きな問題だと思います。しかし、ただいま御指摘のように、区分がえを四十万錘くらいはするのじゃないか。これにつきましては、現在少なくとも私の段階では全然考えておりません。むしろ需給関係を乱すおそれがございますから、登録区分の監視を大いにやれと、こう言っておる次第でございますが、場合によりましたら、繊維局長からこまかく御説明申し上げます。
  255. 新井眞一

    政府委員(新井眞一君) ただいまお話のございました数字は、先生お調べのとおりでございまして、先ほどお話のございましたように、現在の市況上、これはたいへんな一つの大きな問題であることはお示しのとおりでございます。これはどうするかという問題でございますが、先般繊維新法を御審議いただきました際にも、これは制限はやらないのだ、こういう御答弁を申し上げております。いま大臣のおっしゃったようなことでございまして、慎重にひとつ検討をいたしまして対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  256. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大臣の就任中はそういうととを考えていないということであると同時に、いま繊維局長も慎重にやっていきたいということですが、しかし、現実には、それは規格内の糸を引かねばやっていけない現実が中小企業にある事実は、これは政府としても承知をしておいてもらいたいのです。それだけ繊維界というものは今日不況に陥っている、こういうことです。それが大きな問題だと私たちは考えるわけです。なお、この問題でお尋ねいたしますことは、その八十万錘の処理、あるいは現状の市況、この新法後は多少安定に入りつつあるような傾向はございますが、しかし、コスト割れだ、これはどの繊維を問わず、そういう事態だと私は思うのです。このままいけば。これは現在の新法精神からいくならば、これは勧告もできないということになるだろうと思うのです。その精神からいけば。さらに、また、この不況カルテルを適用するということにもいろいろ問題があるのではないかというような私は気がします。一体、通産大臣はこのまま押し切って、この不況下に、いわゆる新法施行後の弱肉強食、中小企業というのが倒産してもいいというような考えで、勧告もやらない、こういうつもりなのか、大臣のひとつ見解をお聞かせ願いたい。
  257. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) この不況カルテルの結成ということが、これは手段として考えられなくもないと思うのです。ですから、これはこれとして考えて別にしていきたいと思います。いま何か通産省はこういう不況の事態を放置しているような、こういう御印象をお持ちのようでございますが、なるほど安易な操短対策はとり得ないし、また、とるべきでもないと思うのでありますが、先ほどもちょっと触れましたように、需給関係を乱す登録区分の違反の監視などは、これは一つの一応の対策だと御了解が願えると思うのでありますが、それ以上に、何といっても輸出振興対策を強力に実施するとか、あるいは先ほどやはりこれもお話が出ましたが、貿易業の構造改善、これをやるとかというような対策が考えられると思います。それから、合成繊維の関係につきましては、すでに官民協調懇談会なども設けられまして、設備投資の適正化もはかられつつあるわけでございますので、全然私どもが無責任な態度をとっているわけじゃないのでありまして、いま申し上げたような施策を講じつつ、なおこれでも不十分である、立ち直りができないということでありますれば、さらに突っ込んだ考え方をいたしたい、こう思います。
  258. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そこで、いろいろ政府としてはその施策を持ち、指導の立場をとっておられるという御説明ですが、そうでごさいましょうけれども、現実は合繊メーカーの操短の影響として、非常に問題が多いのじゃないかと思うのです。ナイロン等、ポリエステルの在庫増と市況の低落に対処するために、これは何としても大メーカーはそれをやらざるを得ないものですから、一月から操短やったこのあおりを受けて、北陸地方におけるところの織物の受注がもう激減して、倒産の一歩手前にいっているのもありますし、繊維の倒産はどの産業よりも一番多い倒産があるわけです。全くこれは憂うべき問題じゃないかと思うのです。ところが、大臣も御承知のように、新しい繊維においては系列化が進んでおりますから、品種の転換とか減産に伴う損失の補償ですか、織り工賃の支払い面での配慮は何とかメーカーがめんどうをみておるというのが現状ではないかと私は思う。ところが、系列外の業者は、こういうことになるとまず受注の削減です。これはしかも、受注競争の中にあって、採算は全く無視されているわけです。私は、一つの例を申し上げますが、塩瀬という銘柄ですが、昨年の秋の工費は、一匹当たり七百円であったわけです。それが一月は四百五十円、一月の中旬以降は百六十円、二月は百円というような状態になったことが報道されております。北陸機業の地は、メーカー系列外の業者が多いために、メーカーの減産措置の影響が最もきびしくて、これが現に大きな影響としてあらわれているということです。これら北陸の機業に対しては、一体どういう手を打っておられるのか、これについてひとつ通産大臣のほうから御説明を願いたいのです。なおまた、大蔵大臣からも、こうした中小企業に対する対策はどういうふうにおとりになっているか、御答弁願いたい。
  259. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 自主減産の影響、あるいは親企業との関係のない企業について、種々現実の不況の状況を御指摘でございました。事実お話のように、塩瀬の五十ヤール七百円が現在百円近くまで下がっている。これは実にゆゆしい問題だと思うのでありますが、これにはどうしても新しい需要が起きてきて、市況の改善というものがなければ、これはなかなか問題だと思います。当面の緊急の対策といたしましては、何といっても地元の金融機関に協力を得るとか、あるいは政府の三機関が協力するとかいうようなことによりまして、倒産のおそれをできるだけ少なくするとか、あるいは企業が多少でも続けられるような措置を講ずるとか、きめこまかく指導する以外にないと思うのであります。したがって、通産省といたしましては、地方通産局を中心にいたしまして、関係の、いま申し上げたような三機関とか、あるいは大蔵省の財務局の関係とか、あるいは地方自治体とか、あるいは地方金融機関、よく私申し上げている金融懇談会を開催いたしまして、その地方の実情に沿って対策を講ずるように努めてまいっているのでございます。しかし、なかなか深刻な問題があるということで、私自身も非常に頭を痛めているような次第でございます。
  260. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 現在の段階における繊維企業対策は、通産省が主になってやっておりますが、しかし、これらの金融対策が必要だと思いますので、政府中小三機関及び民間金融機関等に対して、好意的に取り扱うように行政指導してまいりたいと思います。
  261. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 その弁明では、結果的には倒算を認めていくという以外にないと私は思うのです。これは重大な問題だと思うのです。したがって、政府は下請業の最低加工賃を保証するための立法措置を講ずる意思はないか。たとえば標準加工賃、そういうものを制定する意思はないかどうか、これをまずひとつ通産大臣にお聞きしたいと思います。なお、もう一つは、同時に、行政指導を通じて適正な加工賃が保証されるということになれば、これは中小企業が一番困っている雇用対策においても非常な安定になるのではないかと、私はこう思うのです。政府としては、こういう問題に対する具体的な考え方はないか、ひとつお聞きしたいと思います。
  262. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 最低加工賃を保証する施策を考えないかと、こういうことでございますが、私は大体、長期的に発注の見通しが立って、市況が次第に回復してまいりますれば、自然にこの加工賃の問題は解消していくのではないかと思うのであります。かりに、最低加工賃を保証するといっても、こういう施策というものは、現実にやる場合に、なかなか私はむずかしいと思うのです。最低加工賃を保証する法律を出して、それではそれを守らなければ、体刑にでもするのかどうかというようなところまで考えられるかどうかというようなことを、いろいろ検討していきますと、にわかに結論は出しにくいと思うのであります。むしろ、現在のこの企業不況の状況からいたしますならば、系列中小企業の希望するような発注量は、メーカー側が積極的に協力をして、一体となって不況を克服するのだというような、そういう気がまえが出てくる必要があるのではないかと、こういうようなことで現在さような行政指導のもとに努力をしております。私から、こう申してはなんでございますが、多少深刻な不況感というものが鎮静化しているのではないか、こう思うのであります。これは客観的な観察でございますが、私が甘いといわれれば、現に非常に問題なんでございますから、やむを得ませんが、私としてはある程度の効果があらわれてきていると思っております。
  263. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 下請けの最低加工賃をきめるということは、そうむずかしいことではないと私思うのです。もしそれが徹底してやろうとすると、多少の問題があろうと思いますけれども、農産物に対する標準価格を出しているじゃありませんか。これと比較したらどうなるのか。たとえば、イモの反当たりが何ぼだという標準価格を出しているじゃありませんか。そういう一つの標準的なものでも政府がつくって、それよりもべらぼうに安い工賃でたたく、こういうことは過剰設備があってもそういう傾向が出るし、こうした不景気になってもそうした傾向が出るのであります。したがって、これはもう例年のことでありまして、通産大臣がおっしゃるように、いわゆる発注があるような原糸をそれだけ増産すればいいのだ、こういうことでは問題の解決にならない。せめて銘柄に適合した標準加工賃でもきめるべきではないかと、こういうことを申し上げておるのです。したがって、いまの福井あたりの現状は、先ほど私が申しましたとおりに、一匹当たり百円という加工賃は労働者を遊ばすよりも、働いて何ぼでもとらにゃしようがない、赤字は覚悟の前でやっているんですよ。こんな機業が北陸三県を中心とする、あるいは兵庫の西脇地方もそうですが、こういう事態は、一体それなら半年先にこれがなおるかというと、それはなおらぬと思うんです。これは政府が金融の引き締めをしておるところに問題があるわけなんです。政府の大きな責任ですよ。こういう問題の解決をつけないで、政府が原糸さえ増産してやればいいんだということでは、私は解決つかないと思うんですね。生活問題です。中小企業の生活問題ですよ。どういうふうにお考えになっているんですか。
  264. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) おっしゃっておることはよくわかるんでありますが、まあ責任を持ってお話のようなことを私どもが具体化するということについては、なかなか問題があるようでございます。まあ現状からいたしますれば、日本絹人系織物工業組合連合会のような、そういうところが中心になりまして、おそらくこれは、お互いにダンピングしあって、そういうふうな実情に入っていった傾向もあるんじゃないかと思うんであります。したがって、こういう組合が中心になって自粛をしてもらうというのも一つの方法かと思うんであります。なお、詳しい実情につきましては、私欠くるところがございますので、繊維局長から一応実情を申し上げます。
  265. 新井眞一

    政府委員(新井眞一君) 大臣から御答弁がございましたように、現在北陸のほうで、先生のおっしゃいますように非常に深刻な問題がございます。ただ、たとえば合繊の場合はかなり新しい繊維でございますので、これも先生御承知のように、下請とはきわめて連携をとってやっておる。最近のこういう不況によりまして仕事が減ったという場合には、最低加工賃と申しまするよりも、むしろ加工賃の保証というふうなことをやっているわけでございますが、ただそれをやりました際に、なかなかむずかしい問題だと存じますけれども、かえって、そのおかげでほかの安いものをやる、遊んでいるわけにはいかぬという実情がございます。なかなかその辺、業者との関係がむずかしゅうございますので、いま大臣の御答弁がございましたように、指導といたしまして中小企業の団体のほうで調整規定と申しますか、そういう点もございますので、そういう点からの指導をやっていきたい、かように考えているわけでございます。あるいは下請をやります場合には、仕事をもらうときに、これだけの設備をするんだ、それなら仕事をこれだけ保証してもらわにゃいかぬ、そういうような形で、企業間の問題としてできない点は団体として話し合ってやっていく、こういう形で現在指導いたしておるような次第でございます。
  266. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そこで、繊維局長にしても大臣にしても、どうすれば現在の繊維界がよくなるかということに苦慮されておることは、私もわかります。しかし、施策がないということは苦労するということと違うわけですね。政策をどういうふうに立てて、どうするかということのめどがつかなければだめだと私は思うのですよ。こういう実態の中で、これは通産大臣、大蔵大臣外務大臣に聞きたいのですが、二、三日前の新聞で問題になっております中共ビニロンプラントの問題ですが、これについては日立は、輸銀を認めるというようなことになったようですが、繊維界が最も悪いという状態の中にありながら、どうして政府はそうした差別待遇をするのか、これをひとつ通産大臣なり外務大臣のほうからも御説明願いたい。大蔵大臣は、これはいうまでもなく御承知のように、一体、輸銀法に基づく、昭和二十七年四月からの法律改正に伴っての精神は、当時まだ日本にはGHQの財政顧問としてドッジ氏がおった時代ですね、その精神は輸銀の機能は簡単なものにしていこう。大蔵大臣がこれに対する支配権なんかは握るべきじゃないと、こういうことが大原則のもとに、この改正が行なわれたと私は思うのです。それを、このニチボープラントだけに一体そういう干渉を加えて、政府みずからが法を犯すような方針をとっておられるということは、非常にこれはまずいことじゃないかと私は思うのです。ただし、私は追及はいたしませんが、その後何か対策があるのかないのか、それだけ大臣から答えてもらいたい。
  267. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) これはすでに両院においてしばしばお答えしたところでございますが、通産省といたしましては、標準外決済になりますので、日立の船舶、ニチボーのビニロンプラントに対して申請がございましたので、これに対する許可を与えたと、こういう経緯になっておるのでございます。しこうして、よく言われるように、あとは民間ベースで考えてもらおう。その場合に、それぞれの企業がこれではそろばんにのるとか、のらぬとかいう問題がございましょう。また相手との間の契約の問題もございましょう。しかし、それらの点につきましては、われわれとしてできるだけの協力をしていく。こういうたてまえで終始しておるのでございます。私としては、現在の対中共貿易の昨年度あたりの非常な伸び方から見まして、また、きびしい国際情勢の中にあって、今後共産圏貿易のみならず、各国との貿易の拡大について前向きに、積極的に対処していくということには、方針は変わりはないのであります。
  268. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ニチボーのビニロンプラントの問題につきましては、契約の期限が切迫をしておりましたので、さしあたり通産省において輸出許可を行なったわけでございます。しかし、御承知のとおり頭金もございますし、輸銀を使用するかどうかという問題につきましても時間的余裕がありますので、政府としましても慎重にいま検討中でございます。  また輸銀法に基づく、輸銀と政府との関係でございますが、これはもちろん輸銀に干渉したりするという考えはございません。ございませんが、輸銀や海外経済協力基金というものは、政府の施策というものと非常に密接な関係を持っておりますので、個別の問題、特にブラジルのミナスの問題につきましても、政府と輸銀が協力をして、ものを片づけていくというようなこともございますので、政府がいろいろ新聞報道せられておるような姿勢をとると、やはり輸銀も幾らか慎重にならざるを得ないということもあると思います。思いますが、本件につきましては、いま私がすなおに申し上げたように、時間的余裕もありましたので、さしあたり輸出許可を与えたということでございまして、ビニロンプラントに対しては一切輸銀を使わないという最終決定をいたしたわけではございませんし、対中共貿易と政治をからませることなく、できるだけ拡大していきたいという考え方に立っておりますので、時が解決をするものというふうに考えております。
  269. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大蔵大臣にもう一つ聞きたいんですが、この新法に基づいて大体政府がやっておられますところの、つまり二錘を廃棄すれば、あとの一錘は新設を認めていこうという新法があるわけですね、これは、大体政府は三十九年度十億ということで認めているわけです。そのほかは、いわゆる開銀の融資を求めようということですね。ところが、申請六十二件に対して三十七件の推薦ということになって、三十九年度は大体十四億六千五百万円ですか、これを大体やろうということですね。そうなると、この問題については開銀を適用するということですから、私はそれでいいと思うんです。ところが、中小企業がやる場合は近代化資金でやろう、こういうことになっておるんですね。  そうすると、これは最初質問すればよかったんですが、私の調べている範囲内では、中小企業の、えらいところには金利の高いものにして、そうして返済期間が短い。一方金利が九分であって、さらにこれが五年だと。そうすると、逆に開銀を適用する大企業等においては、これは八分七厘ですか。さらにまた、逆にこれは七年となっておる。一体中小企業をいじめる気なのか。大蔵省がこういう考えで中小企業を見ておられるところに、私は、先ほどの公明党からの御質問のあったときに大蔵大臣が言っておられますけれども、大きな責任はやはり政府にあるんですよ、これは。一体あなたは、大臣のときに何回金融引き締めをやりました。三回でしょう。金融引き締めのときは、設備改善なんというものはできるものではないんです。企業家として。こういう不況状態が来ておるところを見ると、これは全く、中小企業のためには、これはただし書がありますが、大蔵大臣のほうでこのただし書きを適用するというふろに取り扱っていただくことを私は希望いたしますが、どうですか。お聞きかせいただきたい。
  270. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 開銀融資は、御指摘のとおり年利八分七厘でございます。ところが、中小企業金融公庫は別ワク融資ということになっておりませんので、現在は、開銀が八分七厘に対し、年利九分ということでございます。開銀が五年ということで、中小企業金融公庫が七年。これは、中小企業をいじめるというような考え方では全然なく、中小企業金融公庫の一般的なものが全部同じ年利九分ということになっておりますので、特別ワクというようなものをつくっておらないということで、こういう状態になっておるわけでございます。いますぐ中小企業金融公庫の金利を下げるということを申し上げられるような段階でもありませんし、とにかく中小企業の金利や条件というものは絶えず軽減するような方向で政府も努力をいたしておるわけでございますから、かかる政府の態度に対して御理解をいただきたいと思います。
  271. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 時間がありませんから、もっと申し上げたいんですが、飛ばします。  労働大臣、席におられるようですから、先に御質問申し上げます。  秋田県、和歌山県に起こっております職安の問題ですね、非常な不正が出ておる。これは、昨年の職安のやり方というものは、大体学校の職業指導員を中心に私はやってこられたと思うんです。そうしてああいう、経営者も競争するし、地域においても、いろいろなものが流れていくという状態ですね。職安の政策は、本年はかなり大臣もやっておられるようですが、職安のほうの政策が悪いからああいう問題が——悪いことをしたから悪いのだというのじゃなくて、私は政策の誤りだと思うのです。こういう点については今後どういう政策をとろうとお考えになっておるか。ひとつ大臣のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  272. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 長崎県、熊本県、秋田県で、職安の職員の間に若年労働者のあっせんをめぐって不正事件が生じまして、かなり多数の取り調べを受け、相当数の起訴者を出しまして、これはまことに遺憾に存じておる次第でございまして、そのためには、まず第一に綱紀の粛正を厳達いたしまして、姿勢を正すことに鋭意努力をいたしております。なお、いままで、学校の就職担当者というものの活動と、それから職業安定行政との間の連絡の問題も、確かに御指摘のような点があったと思います。そういう点につきましても、職安行政の上で一定の計画を立てまして、その範囲の中で学校関係者と連携をとっていく、そういう方向を確立してまいりたいと思っておる次第であります。と同時に、業者の過当競争、これは、人は足りないのでありますから、ある点ではやむを得ないとも言えないことはないのでありますが、しかし、これはまあ、私ども役所を預かっておる立場から申すのではありませんけれども、役人が不正を犯しますと、起訴されたり有罪になりますと、一生を棒に振ってしまいます。ところが、業者が贈賄をいたしまして事件を起こしましても、これは一種の向こう傷みたいなものになってしまいまして、そちらのほうに対しての社会的な指弾と申しますか——社会的な責任を感じてもらうと同時に、われわれとしましては、職安行政の規律を乱した業者に対しては、少なくとも、その地域においては当分の間あっせんをしないというくらいの強い気がまえで臨んでまいりたいと思っておる次第でございます。
  273. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それで、職安としても人員の強化をしなければいかぬという考え方も大臣が持っておられるということを、いままでの答弁でよく聞いております。それなら、私たち全繊同盟が二年前から申し入れいたしております——たとえば、最近は、なんですね、移動性が強いわけです。それで、一ぺんやめますと、もとの会社に行くのはいやだというわけですね。それで、何とかして無料でお世話したいというので、全繊同盟は、いわゆる法律に基づいて、職安法の三十三条ですか、に基づいて、名古屋と宮崎にそういう施設をつくろうという、無料で職安のお手伝いしようというのですが、これを許可しない理由は何ですか、おかしいですね。
  274. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) その事実はむろん承知をいたしておるのでありますが、繊維産業の労働者は基幹産業の労働者でありますので、いま、職業安定行政以外で許可をいたしております業者は、基幹産業じゃ、ございません。基幹産業の労働者でございますので、特に諸般に及ぼす影響等を考慮いたしまして、ただいま検討中でございます。
  275. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 検討中というのは、私は二年越しに聞いておるわけですが、どういうことがその大きな問題になるのか、お聞かせ願いたい。
  276. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 基幹産業にこれを及ぼしてまいりました場合に、職業安定行政の規律と申しますか、一本化と申しますか、そういうものとの関連がどうなるかということ、そのほか、安定行政推進上の諸問題について検討を行なっておるということでございます。
  277. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 時間がありませんから次に移りますが、外務大臣にお聞きしたいんですが、目下ワシントンで行なわれております綿製品の協定の改定交渉ですね、このその後の状態はどうなっておるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  278. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 先般、総理が訪米の際に発表されました日米共同コミュニケにおきまして、「日米両国間の懸案事項につき相互に満足しうる公正な解決が得られるよう、両国政府間で緊密な協議協力をはかることが重要であることについて意見の一致をみた。」と、こういうことが述べられておりますが、日米綿製品取りきめの問題をも含めまして両国間に懸案事項が討議されたのでございます。現行の日米綿製品取りきめは一昨年の八月に結ばれたものでございますが、本年一ぱいでこれが失効することになっておる。で、過去二カ年の本取りきめの実施の経験にかんがみ、また、取りきめを結んだ当時と米国綿業界の事業状況等の事情に変化を生じておる事実を考慮いたしまして、本取りきめのうち、グループ間の振りかえ可能率がいまどうも窮屈である、これの拡大、またワクの分類が非常にこまかく分かれておって、いわゆる過度の規制が行なわれてみるという諸点につきまして、取りきめの内容の一部手直し方を米政府に申し入れて、米政府においてもこれを考究しておるという状況でございます。
  279. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そのことは私もよくわかっておるんですが、したがって、協定の一〇〇の輸出に対して九四%しか輸出ができないということですが、一体この考え方は納得いかない。業者も政府もそうだろうと私は思うんです。ところが、経済外交をどうするかという問題だろうと私は思うんです。香港やインドから見たら別のワクがはめられておるわけです。いまアメリカは拒否しておるといっておるんですが、政府は今後どういうふうな処置をとって交渉しようとお考えになっておられるのか、その態度をお聞きしたいんです。  さらにつけ加えますが、毛製品も、アメリカは少なくともこの問題に対して規制をしようとしております。これまた重大だと思っております。外務大臣なり通産大臣の、政府のこれからとっていこうという態度ですね。一体どういう方向でこれは徹底さして改正しようとお考えになっておるのか、それをお聞きしたいんです。
  280. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御質問の中の毛製品協定についての問題についてお答え申し上げます。  米国政府及び米国業界は、毛製品について綿製品の長期取りきめと類似の国際取りきめを締結したいという希望を持っておるのでございまして、わが国のみならず、他の毛製品の輸出を行なっておるイギリス、イタリー等に種々の働きかけを行なっておるのでございます。わが国といたしましては、国際会議の場その他におきまして、機会あるごとに、国際取りきめは新たな貿易障害をつくるゆえんであり、これに対しては絶対に賛成できないということを明らかにしておるのでございまして、ただいまにおいても、その方針に変わりはございません。他の問題は政府委員から。
  281. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 通産省の担当といたしましては、綿製品交渉の改定あるいは毛製品に閲する国際会議の申し出で等につきましては、国内産業に対する影響がきわめて大きいのでありますから、慎重に対処しておりますが、ただいま繊維局長がその交渉の衝に当たっておりますので、この点をお答えさせます。
  282. 新井眞一

    政府委員(新井眞一君) 先ほど外務大臣から御答弁ございましたように、ああいう趣旨で、本年六五年までの現行の日米綿製品協定の修正を一月二十九日にしたわけでございます。かなり時間をかけて向こうも検討いたしたようでございまして、現地時間で三月十五日にその第一回の回答が参っておるわけでございます。ただいまその内容を、かなり豊富にございますので、慎重に検討いたしておりますけれども、総じて申し上げますと、満足すべきものではないというふうに感じておるわけでございまして、なお関係方面とよく打ち合わせもいたしまするし、最後の検討をやりまして、できるだけ早急にひとつこれに対する態度を決定してまいりたい。いまその検討のまっ最中でございますので、御了承いただきたいと思います。
  283. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それで、この綿製品の改正ができるかできないかということになりますと、ガット一般協定による会議も開かれるわけですからね。そこに持っていこうという腹もアメリカにあるかもしれません。これを私は、外務省と通産省が、従来と変わった態度を決意してもらって、やってもらいたいと思うんです。そのゆえんは、いまさら私が申すまでもなく、通産大臣もおっしゃったように、当時これのなにを決定いたしますときには、かなりアメリカの事情が悪かったですね。これは、アメリカの農政の問題として、アメリカは原料を八セント高く買っておった。ところが、それはもう国際的に全部一緒になっちゃって、アメリカ綿業としては、最近は六・五セントの補助金まで受けておる。ものすごい利益もあげておるわけですね。片や日本は、逆に、先ほど私が申し上げましたように、コスト以下の相場で苦しんでおる。伸ばそうとした合繊ですら、いまのような外交による対策を繊維に立てておられるとすると、非常にこれは不利な立場日本はなるんじゃないか。たとえば、中共のプラントの問題にいたしましても、もし日本が今後そういうことをやっていかなければ、イタリーなり、あるいはフランスなり、ドイツなり英国なり、手をつけて待っているわけですね。日本は積極的に政経分離の姿で外交をやると、こういうことであるならば、私は、国内でそういう問題を起こすまでもなく、積極的な方法でこの経済外交をやってもらいたいと思うのです。そうすることが、池田内閣がとった所得倍増計画の日本の産業拡大が輸出によって消化されて、日本がそれだけ富んでくるということに私はなろうかと思うのです。そういう面が、どうも外交においては、そういうふうにへっぴり腰になつちゃってやっていくというようなことになり、国内においては打つ手も十分でないということになれば、一体繊維界はつぶれる以外にない。これは極端な話ですけれども、そういうことになろうかと思うのです。どうかひとつ、この問題については、真剣な取り組み方をしてもらいたいと思うのです。  さらに私は、その意味で、時間が参りましたから多くをお尋ねしませんが、今後継続して、この申し入れしたものをやろうとしておられるのか。毛製品に対しては、アメリカからそういう申し入れがあっても絶対やらないという意思なのか。これは日本としてやるべきじゃないと、こういう決意でおられるのか。その点をお聞きしたいのです。
  284. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) それは、いま申し上げたとおり、たとえアメリカの要望がございましても、これはやらないと、かように申し上げておきます。
  285. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ただいま外務大臣が言われたとおり、通産側といたしまして、業会に対する影響も多いことでございますから、毛製品交渉には応ずる考えはございません。  なお、貿易を伸ばす上に、経済外交の重要性はよく承知しておりますので、一そう努力をいたすことをお約束いたします。
  286. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ちょっと、時間が来ていますけれども委員長
  287. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) もう民社党の持ち時間が二分超過し、総括質問のときも超過しておりますので……。
  288. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 委員長、一分だけ……。
  289. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) じゃ、高山君。
  290. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 毛は、それで、私はその態度はきれいだと思うのです。綿のほうは、いま交渉されておって、アメリカは拒否しておるという態度をとっておるが、日本はどうするのか。これについて、綿のほうの改定はどうお考えになっておるのか。それは一番大事なところです。
  291. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 現在、日本側の主張というものがあるわけでございますが、この主張がいれられない場合には決裂もやむを得ない、こういう態度でいま臨んでおるわけでございます。
  292. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 高山君の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にいたしまして、来たる二十二日午前十時に委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十二分散会