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国務大臣(
高橋衛君) 地価の騰貴の状況でございますが、これは公の機関によるところの調査がございませんので、日本不動産研究所というのが「全国市街地価格指数」というのをつくっておりますので、これを申し上げますと、
昭和三十年の九月を
一つの基準にいたしまして、昨年の九月をとってみますと、全国の市街地におきましては、三十年度の九月が一〇六でありましたのが七二六、六大都市市街地におきましては一〇四七、また、六大都市を除く地域においては七一三、こういうふうに大体七倍程度騰貴いたしておるのが実態でございます。そしてただいまも御指摘にありましたとおり、中期
経済計画によるところの
経済の運営につきましても、地価の問題が相当大きなポイントになるわけでございます。しこうして、昨年も
衆議院の本会議において、三党共同提案によるところの地価安定に対するところの決議も提案されましたような次第でございまして、ただいま建設
大臣からお答え申し上げましたような方向で、
政府としては、これが地価の安定的な方向に落ちつくような方策を鋭意
検討いたしておる次第でございます。しこうして、今年の一月に、物価に対するところの十項目の「物価対策要綱」を決定いたしました次第でございます。これにおきましても、特に地価に対して一項目を掲げまして、具体的にどうするという問題は、まだ提案をするのはむずかしい問題でございますが、地価安定に対するところの
一つの「目標を整理する」という書き方でその一項目を承認いたしておるような次第でございます。しこうして、中期
経済計画におきましてもこの問題は取り上げておるのでございまして、大要につきましては、ただいま大体建設
大臣からお答え申し上げましたので、重複を避けますが、要するに、
一つは需給のアンバランスをなくするというふうな観点から、公的機関によるところの大量供給をはかるというようなこと、また、優良な民間宅地造成事業の助成をするという、供給面の対策をするということ、いま
一つは、さらにこれは
政府といたしましても、昨年来取り上げておる問題でございますが、この問題が特に大都市において顕著に起こっておりますで、産業人口分割をして、過度に大都市に集中するその傾向を根本的に是正していきたいというふうな観点から、ただいまそのための閣僚懇談会を設けまして、河野
国務大臣がその中心となって、具体的なそれらの対策を
検討中でございます。そういうことにいたしまして、何とかして大都市に集中し、しかもそのために大都市におけるところの地価の騰貴が非常に急速であるというような状況を緩和していくというのはどうしても必要である、かように
考えておる次第であります。なお、
政府といたしましては、二、三年前からたとえば新産都市建設促進法というふうな法律もつくり、または工特法をつくりましてそれぞれ地方の産業開発の拠点をつくりまして、その拠点を中心にして波及効果をねらい、そうして全国のバランスのとれた、調和のとれた全国全体としての発展を期待いたしておるのでございますが、そういうふうな新しい法律によるところの拠点開発方式をとる場合におきましても、その拠点におけるところの地価の問題が、やはりこれが障害となる可能性は十分にある次第でございます。そういうふうなところから、その開発基本計画を先般認可いたしましたが、その認可いたします場合におきましても、土地の利用区分をどういうふうにするかというような問題を必ず取り上げておるような次第でございます。もちろんこれらの抜本的な解決の方策としては、今後相当に思い切った
法制的な措置を必要とするかと存じます。特に土地についてのいわゆる
公共性、それから私権との間の調整をどういうふうに進めるかというふうな点が非常に大きな問題と相なるかと存ずるのでありますが、そういうふうな問題におきましても前向きに調整をしながら、その問題について積極的に取っ組んで解決策を講じていきたい、かように企画庁としては
考えておる次第であります。