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1965-03-13 第48回国会 参議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十三日(土曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員の異動  三月十三日     辞任         補欠選任      大倉 精一君     北村  暢君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         平島 敏夫君     理 事                 大谷藤之助君                 迫水 久常君                 日高 広為君                 村山 道雄君                 中村 順造君                 藤田  進君                 鈴木 一弘君     委 員                 植垣弥一郎君                 植竹 春彦君                 江藤  智君                 大竹平八郎君                 草葉 隆圓君                 木暮武太夫君                 白井  勇君                 田中 啓一君                 竹中 恒夫君                 中野 文門君                 野本 品吉君                 前田佳都男君                 森 八三一君                 吉江 勝保君                 稲葉 誠一君                 加瀬  完君                 木村禧八郎君                 北村  暢君                 小林  武君                 鈴木  強君                 鈴木  壽君                 瀬谷 英行君                 米田  勲君                 鬼木 勝利君                 小平 芳平君                 市川 房枝君    国務大臣        大 蔵 大 臣  田中 角榮君        文 部 大 臣  愛知 揆一君        厚 生 大 臣  神田  博君        自 治 大 臣  吉武 恵市君        国 務 大 臣  小泉 純也君        国 務 大 臣  高橋  衛君        国 務 大 臣  増原 恵吉君    政府委員        内閣法制局第三        部長       荒井  勇君        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     瀧本 忠男君        行政管理庁行政        監察局長     山口 一夫君        防衛庁長官官房        長        小幡 久男君        防衛庁防衛局長  海原  治君        防衛庁教育局長  島田  豊君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君        防衛庁装備局長  國井  眞君        防衛庁参事官   志賀 清二君        防衛施設庁総務        部長       沼尻 元一君        防衛施設庁施設        部長       財満  功君        経済企画庁調整        局長       高島 節男君        大蔵大臣官房財        務調査官     吉國 二郎君        大蔵省主計局長  佐藤 一郎君        文部大臣官房会        計課長      岩間英太郎君        文部省初等中等        教育局長     福田  繁君        文部省体育局長  前田 充明君        文部省調査局長  天城  勲君        文部省管理局長  齋藤  正君        厚生省社会局長  牛丸 義留君        厚生省保険局長  小山進次郎君        社会保険庁医療        保険部長     坂元貞一郎君        建設省住宅局長  尚   明君        自治省財政局長  柴田  護君        自治省税務局長  細郷 道一君    事務局側        常任委員会専門        員        正木 千冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十年度一般会計予算昭和四十年度特別会計予算昭和四十年度政府関係機関予算、以上衆議院送付の三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。加瀬完君。
  3. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵建設大臣に伺いますが、政府は、社会開発ということで大量に庶民住宅を建てるということを重点にいたしたようでございますが、いままで住宅の建たなかった理由はどういう点にございますか。
  4. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 住宅が建たなかった理由ということでございますが、住宅は、昭和二十年以降三十九年までに建設された住宅戸数は約一千万戸でございます。政府施策住宅はそのうち三百三十万戸に達するように計算されますので、住宅が建たなかったわけではありませんが、量的な問題から質的な状態にだんだん移りつつございますし、それから住宅の絶対量が相当不足であるというのは、世帯が非常に細分化をされているということでございます。人間のふえたのが戦後二十年で大体四%ぐらいだと思いますが、世帯のふえたのは一二・何%、こういうところに住宅戸数の絶対量の不足がある。こういうことで現在また新しく一千万戸計画というものを樹立して遂行中でございます。
  5. 加瀬完

    加瀬完君 建設省に伺いますが、持ち家比率というのが前回の調査に比べて非常に減っているんじゃございませんか。この理由は何ですか。
  6. 尚明

    政府委員(尚明君) 三十八年十月に実施しました住宅統計調査によりますと、全国における持ち家の数は千三百九万戸であります。これが全住宅数に対して占める割合は六四・三%であります。なお、昭和三十三年十月現在の全国持ち家数は千二百四十二万戸でありまして、その全住宅数に対する割合は七一・二%でありました。  そこで貸し家に比べて持ち家がこの五年間にふえる率が比較的少なかったことは、一つは、土地価格等が上がりまして、持ち家建設がややおくれぎみであるということが一つ。それから一方、比較論といたしまして、大都市におきまして、いわゆる木造アパート等が非常に多く建ちましたので、その比較におきまして、持ち家がやや少な目に比較されているわけでございます。
  7. 加瀬完

    加瀬完君 そのアパートに入るよりも、経済的な条件が許せば、家を建てたいというのが人情であります。結局、持ち家比率が減ったというのは、家をつくる経済的条件戦前と比べて劣っているということが原因ではございませんか。
  8. 尚明

    政府委員(尚明君) さようでございまして、所得から考えまして、中以下の人たち所得から住居費負担ができる額から考えまして、持ち家を持つまでには至らず、民間比較的小さなアパートの家賃を払えるのがせいぜいだ、そういうことのために民間アパートが多く建っておると思います。
  9. 加瀬完

    加瀬完君 経済企画庁に伺いますが、戦前昭和九−十一年、この平均をとりまして、物価並びに給与は何倍になっておりますか。
  10. 高島節男

    政府委員高島節男君) お答え申し上げます。戦前比較いたしまして、消費者物価賃金の動きでございますが、御承知のように、戦前と戦後との間には統計のディスコンティニュイティがございまして、若干の推定が入っております。消費者物価のほうは大体四百倍ということに相なっております。賃金のほうは、この点非常に戦前と戦後の統計の間にズレがございますようですが、一応労働省で推算されましたところでは、七百倍という見当になっております。
  11. 加瀬完

    加瀬完君 大体ではなくて正確な数字を出していただきます。人事院でお出しになりました数字とは、給与の問題についてははるかに違いますね。
  12. 高島節男

    政府委員高島節男君) 消費者物価のほうは総理府調べ東京都でございます。全国のがございません。東京都でいたしまして四百十三倍という程度になっております。  それから賃金のほうは、労働省のほうの推算を私は間接に承っておりますところで、七百倍という計算になっております。いずれも昭和九−十一年を一とした数字でございます。ただいまのところその程度しか資料がございません。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 三十八年を押えると、消費者物価は三九七、それから公務員を押えますと、国家公務員課長クラス二百六十倍、こういう統計人事院から前に出されておりますね、はるかに違います。経済企画庁長官にひとつお答えをいただきたいと思います。
  14. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 人事院統計がどういうものでありますか、承知いたしておりませんが、私ども一のほうの調査によりますと、先ほど調整局長から御答弁申し上げましたとおり、昭和九−十一年を一といたしますと、昭和三十九年の消費者物価は、総理府調べ東京でもって大体四百倍ということに相なっております。  賃金については、その間の連絡なんかなかなかむずかしいのでございますが、労働省の推計によりますと、製造業生産労働者賃金が約七百倍という程度でございます。  それでこれを推計いたしました根拠は、消費者物価戦前比較し得るところの数字は、総理府統計局作成のものが東京のみについてあるわけでございますが、それが昭和九−十一年を一といたしました場合に、昭和三十九年は四一三・三ということに相なっておるわけでございます。賃金については、それらの数字から推計された数値にその後の賃金上昇率、これはもう戦後のものははっきりしておりますので、そういうものをリンクさして計算いたしますると、約七百倍、こういうふうに相なっておるわけでございます。
  15. 加瀬完

    加瀬完君 全国統計を一番端的に示すものは、国家公務員給与関係だと思うのです。国家公務員給与関係は一体何倍になっておりますか。
  16. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) お答え申し上げます。国家公務員昭和九年ないし十一年と今日との基本の体制が多少違っておりますので、ことに年齢構成等を入れますと、とうてい正確なパーセンテージが出ませんけれども……。
  17. 加瀬完

    加瀬完君 課長クラスだけでいいです。
  18. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 課長クラスだけで申しますというと、昭和九年ないし十一年で、上のほうの奏任の一級俸というのが月三百三十八円、奏任の三級俸というのが二百八十三円でありました。それが昭和三十九年の十月の現在でそれに相当するものを出しますというと、上のほうの三百三十八円に対応するものが十一万九千六百五十五円、これは三百五十四倍になります。それから先ほど申しました奏任の三級俸の二百八十三円のものに対応するものが、三十九年では七万二千七百五十円、倍数で二百五十七倍に当たっておるわけでございます。
  19. 加瀬完

    加瀬完君 労働省統計とおっしゃいますのとははるかに違っておりますね、訂正はいたしませんか。
  20. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) それはむしろ人事院のほうでお答えすべき筋合いかもしれませんが、公務員給与については昔は下のほうの階層課長局長クラスとの間の幅が非常に大きく存在したわけでございます。したがって、公務員一つ階層だけをとってみた場合、ことにその上級のものをとった場合においては、そういうふうな一般労働者の場合の数値よりも相当違った結果が出ることはこれは当然だろうと私は考えます。
  21. 加瀬完

    加瀬完君 これだけで問答するわけにまいりませんが、これだけじゃないのです。いいのは、局長古参級のものだけが四百倍こえておって、あとは三百倍以下です。これはあとでお調べ願いたいと思います。  そこで次に伺いますが、同じころと比較して、木造建築費指数宅地価格指数はどうなっておりますか。
  22. 尚明

    政府委員(尚明君) 昭和十三年を基準にいたしますと、木造住宅建設費につきましては、昭和三十年が三百八十七倍、昭和三十九年は七百九倍となっております。それから宅地価格全国平均で、住宅地におきましては、同じく昭和十三年を基準にいたしますと、昭和三十年では二百八十六倍、昭和三十九年は一千五百七十二倍となっております。
  23. 加瀬完

    加瀬完君 それは全国平均ですか。
  24. 尚明

    政府委員(尚明君) これは全国平均でございます。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 東京近郊はどうなりますか。
  26. 尚明

    政府委員(尚明君) 東京近郊数字はまた調べお答え申し上げます。
  27. 加瀬完

    加瀬完君 それでは経済企画庁に伺いますが、昭和二十五年を——二十五年と申しますのは、これは公営住宅が建て始まった年でございます。これを一〇〇といたしますと、木造建築費単価指数木造公営住宅建設費指数幾らになっておりますか。
  28. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) この指数はそろばんをすればすぐわかると思いますが、実数を申し上げますと、私ども調査によりますと、木造建築費指数昭和二十五年が一四二一六、これは昭和十三年を一〇〇とした指数でございます。
  29. 加瀬完

    加瀬完君 いやいや、二十五年を一〇〇として現在どうなっておるかというのです。
  30. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) それで、この一四二一六に対して昭和三十五年の指数は七〇八八〇と、こういうことに相なっております。したがって、約四・何倍かになっておるかと思います。
  31. 加瀬完

    加瀬完君 これは四九九になりますね、木造建築費が。それで公営住宅建設費は一七二です。大体五倍に上がっておるわけです。単価が五倍に上がっておりますのに、補助基準になりますのは一・七倍、これで住宅が建ちますか。そこでこの関係は四十年度予算でもあまり変わりがないと思うわけでございますが、四十年度予算政府のおっしゃるように、住宅が大幅に建つという裏づけが予算の上にありますかどうか、伺います。大蔵大臣
  32. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 公営住宅にいたしましても、公団住宅にいたしましても、多少実施をする費用との間に差はございますが、現在の価格で建っておることは御承知のとおりでございます。
  33. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 先ほどの数字は、これは政府数字じゃございませんので、日本不動産研究所統計と、民間調べ統計でございますので、どういうデータを集めて、どんな統計をとったか、その辺の……つまりその統計にどの程度正確性があるかという点については、私ども十分承知はいたしておりませんが、私どもの手に入る統計がこれ以外にないものでございますから、そのことを申し上げた次第であります。
  34. 尚明

    政府委員(尚明君) 先ほど公営住宅値上がり指数一般木造住宅値上がり指数に非常に開きのあることを御指摘になりましたが、二つの観点で若干この比較に問題があるのでございます。  一つは、一般木造住宅指数比較は、通常のかわらぶきの壁、しっくい塗り天井板張りというような在来工法のものを、ずっと指数をつくっていったものでございます。公営住宅は、御承知のように、屋根もスレートあるいは鉄板ぶき、あるいは天井壁等も合板もしくはベニヤ等を使います。そのようにして工業製品を非常にたくさん使っております。そのことが一点でございます。  それからいま一つは、公営住宅のうち、木造は最近では全部町村だけしか建てないようになっておりますので、指数の差は非常に開いておりますが、これ自体がすべての差を含むものではございませんで、その間にそういう差異がございますことを追加補足説明させていただきます。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 どういう御説明がありましょうとも、補助単価が低いということはいなめない事実です。  それではあらためて伺いますが、大体東京近郊宅地価格指数は一万六千百八十一倍ですよ、昭和十三年ころに比べて。それで、おっしゃるように、建築費指数は七百九倍。そこで、四百倍の物価の中で、給料幾ら上がったといっても三百倍前後。どうして家が建ちますか。経済企画庁長官、ひとつお答えいただきます。
  36. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほどのお答えは、課長級についてということでございましたので、その点だけの倍数だけを申し上げましたけれども、全体のお話をされておりますと、やはり平均した全般の数字を申し上げておきませんとちょっとぐあいが悪いように思います。これは、私どものほうで調べましたのは、全体の平均ベースで申しますというと、大体六百倍ということになっておりますことを申し添えておきます。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 この調査は基礎が違うんです。年齢も学歴も何も考えないで、いまの高年齢になったところを前の低年齢のところと比較しても比較にはなりませんよ。だめですよ、こんなものは。経済企画庁長官に伺います。給料が安一ですよ。それで一万六千倍というような土地価格、それで七百倍の建築費指数持ち家をつくるといっても、これはできますか。
  38. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) ただいま一万六千倍というお話がございましたが、私ども調査によりますと、一千五百七十倍ということに相なっておりますが、これも日本不動産研究所統計によるものでございます。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 私も日本不動産統計ですよ、東京近郊が千五百倍と、そういう統計を出しておりますか、不動産研究所が。
  40. 尚明

    政府委員(尚明君) 不動産研究所資料によりまして私ども見ますと、千六百六十倍くらいになっておるわけでございます。地域は、六大都市市街地価格推移指数によっているわけでございます。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 一けた違っておりますよ。とにかく、物価に比べて給与というものが不安定なところに、持ち家がふえないという一つ理由があるとはお考えになりませんか。
  42. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 加瀬さんも御承知のとおり、地価の問題が今日非常に重大な問題であるというところから、今年度の物価対策を見ます場合に、地価の問題をその一項目として取り上げて、これを抜本的な施策を打ち立てようとしておる次第でございますが、これが相当障害になっているということは私どもも、十分承知をし、しこうして、そのためにこそこれに対する対策を打ち立てたいと努力いたしておる次第でございます。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 国家公務員に準ずる地方公務員の市町村給与は、大体国家公務員の八七%という実態調査が出ておる。中小企業のほうはもっと低い。そうなってまいりますと、いまのこういう物価あるいは地価あるいは建築費というものをそのままにしておいて、なかなか家を建てようといったってできないじゃないですか。
  44. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) ただいまの数字町村についてのお話だと存じますが、都市部については、国家公務員に対して、自治省のほうの調べで、一〇八かになっておるようでございます。したがって、ただいまお述べになりました地価についての数字は、先ほど建設省からお答え申し上げましたとおり、六大都市についての数字でございます。したがって、その一方は非常に安いところをとり、一方は高いところをとると、なかなかその比較はむずかしいことになろうかと存じます。
  45. 加瀬完

    加瀬完君 私の言うのはそうではない。こういう給与体系そのもの物価に対してアンバランスだ、その中で持ち家制度というものを進めても、物価対策そのものをもっと進めなければ困難ではないか、そういうところです。物価対策の必要がなく、家ができるという現状ですか、どうですか。
  46. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) お話のとおり、そういう点に非常な困難な問題がございますので、地価の問題を今日政府として本格的に取り上げて対策を講じようとしておる次第でございます。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、大蔵経企両大臣に伺いますが、四十年度の予算物価抑制対策というものがどのように顕著に織り込まれておりますか。
  48. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 物価抑制物価安定というためには、四十年度予算の姿勢は健全均衡財政を貫くということであります。また、経済に対しては、安定成長ということで、実質七・五%、こういう目標を立てまして、財政金融政策を通じまして物価の安定に寄与したいということでございます。具体的に申し上げますと、まず低生産部門生産性の向上をはかるために、農林漁業関係につきましては、まず農業生産の基盤の整備として九百二十三億、農業構造改善事業等としまして百六十三億、畜産生産振興費及び園芸生産振興費として百八十億、林業関係整備振興費としまして百四十八億、水産業関係整備振興費として百四十五億。中小企業関係につきましては、中小企業高度化資金特別会計繰り入れ六十七億。中小企業設備近代化補助として五十億、信用保険公庫出資として六十億、小規模事業対策費として四十一億。農林漁業関係コスト節減のための施策として生鮮食料品市場対策費として七億円、畜産物流通改善対策費として三億円、畜産振興事業団出資金として三十八億、水産物等流通改善対策費として六千万円、こういう低生産部門コスト・ダウンに資するような施策を行なっております。  なお、労働力流動対策としましては、中高年齢層雇用促進費として五十億円、職業訓練充実強化費七十八億円、広域職業紹介活動費として百二十四億円、それから競争条件整備のための施策として、公正取引委員会関係費二億六千万円、生活必需物資の供給の安定のための施策としまして、食糧管理特別会計繰り入れ一千五十五億円、野菜生産安定事業費等に一億六千万円、産地冷蔵施設建設費等に二億円、住宅費としましては、住宅地価対策の安定をはかるために三百六十五億円、こういうことを計算をいたしておりますので、予算では総額三千五百三億円、こういうものが物価安定対策費に投ずる費用でございます。
  49. 加瀬完

    加瀬完君 金額だけ述べれば大金のようでございますけれども、全体の国家予算構成比幾らになっているかという点を見ますと、全くそれで物価対策ができるかと疑わざるを得ない問題でございます。しかし、私は問題を次に進めまして、それならば伺いますが、地方水道等公共料金上昇に対してどういう対策政府は持っておられるか、自治大臣に伺います。
  50. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 水道料金の問題でございますが、これは昨年の七月に地方公営企業制度調査会を設けまして、民間の有識者の方に御委嘱をして調査、研究をしていただいております。加瀬さんも御承知のところだと思います。これはなお審議中でございまするけれども、昨年の十一月に中間答申を得たわけでございまして、その答申によりますと、第一は、水道料金はストップしてはいけない、適切な時期に改訂を、適切なる是正をすべきであるということが第一点でございます。しかし、それは同時に、その企業における合理化を強力に推進すべきである、ただ赤字が出たからそれを料金におっかぶせるということじゃなくって、できるだけ節約といいますか、合理化といいまするか、あらゆる点においてそれをひとつつとむべきである、そうして負担をできるだけ軽くしたい、こういうことが第二でございます。それから第三は、同時に、政府もまたこの水道企業のみならず、他の交通にいたしましても公営企業に対しては、できるだけ長期な政府資金を低利に融通してやるというような処置を講ずべきだという、この大体三つの答申を得ておるわけでございまして、私どももその線に沿うて実はやらしております。
  51. 加瀬完

    加瀬完君 ストップさせてはいけないということであれば、山形では七五・八%、青森では七〇%上げると言われておりますが、これを認めざるを得ないということになりますか。
  52. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) まだ各地の状況を全部把握しておりませんけれども、まあ一例をあげますと、東京都の問題がいま目下非常に問題になっております。これは平均して六四%のアップでございます。しかし、その内容を検討いたしますると、一般の家庭用にいたしましては四二%のアップになっておりまして、大体十トン当たり従来百四十円でありましたものを二百円にするという程度のも一のであります。大阪は約五〇%か四〇何%かと思いますが、それぐらいなアップになっておりまして、これも従来十トン当たり百円でありましたものをそれだけ上げるという程度でございます。そこで、水道の料金につきましては各地各様でございます。それは、それに投下いたしました設備資金や何かの関係で、いろいろの事情があるわけでございまして、一律に幾らと、こういうふうにきめてかかるわけにいかないのであります。そこで現状はどういうふうになっているかと申しまするというと、実は、大阪にいたしましても、十トン当たり百円というのは全国では非常に安い地域でございます。大阪の府近の地域がどうなっているかというと、茨木でありましても、田でありましても、その辺は大体二百円から二百五十円ぐらいに現状はなっているわけでございます。でありまするから、そういう点から見まするというと、今度の大阪あたりの値上げは、そう全体から見て高くなったと言うわけにもいかない。ただ、いままでストップしておりましたから、大体五年ぐらい東京にしましても、大阪にしても料金の改訂を行なっていないものですから、それで急にこれを上げるということになりますると、相当値上げになる。東京にいたしましても、十トン当たりが百四十円というのは、この付近から見まするというと、まあ安いほうであります。千葉県あるいはまた埼玉県等を見ましても、成田でありましても一、佐原でありましても、あるいは銚子でも、大体現状はすでに十トン当たり二百円から二百五十円ぐらいになっておるわけでありまするから、したがって、今度の東京都の値上がりというものは、それらから比較しまするというと、決して高いと言うわけにはいかない。そういうふうでございまするから、私どもは値上げについては、できるだけ大幅の値上げはひとつ遠慮してくれということを言っておりまするけれども、それじゃ一体何ぼならばいいかということは、もしそれをあまり抑制をいたしますると、ちょうど昨年ストップいたしましたように、赤字が累積いたしまして、その次にはまた大幅な値上げをしなきゃならぬということで、ちょうど地方制度調査会が答申をされおりまするように、適切な時期に適切に変えていくという処置を講じないというとかえってよくない、こういうふうに私どもも考えておるわけであります。
  53. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、東京都の試案のとおりに水道料金が値上がりをするとすると、標準家庭では一カ月幾らになりますか。それは所得税の減税と比べてどういう比率になりますか。
  54. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 東京都は先ほど申しましたように、十トン当たりが従来百四十円でございましたものを二百円にいたすのでありまするから、まあ四二%アップでございまして、普通の標準家庭がどれくらいかということになるのでありまするけれども、普通大体住民の三分の二程度は十トン当たりでも間に合うかと思っております。ちょっとお待ちいただきます。数字がございますから。一般家庭で月に五・五立方メーター使用いたしまするのが四十万軒でございます。それから一般家庭で月十立方メーター、先ほど申しました十トン当たりが六十二万軒でございまして、これを合わせまするというと、大体三分の二以上がそれに該当いたします。三分の二以上じゃございません。両方で約百万軒になるわけであります。それで、一般家庭で月二十トン、二十立方メーター使いまするのが二十二万軒、それから、月三十立方メーター使っているものが十二万軒、それ以上はわずか二万軒でございまするから、まあ、普通十トンから十五トン程度が多いかと思いまするから、したがいまして、先ほど申しました基本料金といいますか、百四十円が二百円、したがって、二百円から二百五十円程度じゃないか、かように思っております。
  55. 加瀬完

    加瀬完君 この改正案による所得負担軽減額という資料によりますと、勤労者、給与所得者でございますと五十万円で、標準家庭は千八円減税になるわけですね。ところが、東京都の資料によりますと、標準家庭は千五百六十円の一年間に水道料金が上がるわけですよ。少なくも、低所得階層に対しまして非常な配慮があるとは言われないではございませんか。
  56. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) これは自治体のやることでございまして、国のほうが、大体この水道料金というのは各府県、各市等できめられることでございまして、公共料金政府が認可する事項じゃございませんから、あんまりどれがいいこれがいいと言うわけにまいりませんで、それぞれ、東京都は都議会で検討されるでありましょうし、大阪は大阪の市会等で検討されることでありますが、大阪市あたりの例をとってみまするというと、上げ方に低所得者とそうでない層に段階をつけておるようなところもございます。それはそれぞれの自治体の議会等で検討されてきめられることでございまして、東京は、いま言ったように十トン当たり幾らというようにいたしておりまするから、それにまあ若干の値上がりになって、負担になってくるかもしれません。
  57. 加瀬完

    加瀬完君 経済企画庁の長官に伺いますが、低所得階層の生計赤字が、三十四年以後どのように変化をしておるか御存じですか、月額でお示しください。生計費の赤字……。
  58. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 申し上げますが、これは総理府統計局の家計調査数字でございます。昭和何年から……。
  59. 加瀬完

    加瀬完君 昭和三十四年。
  60. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 昭和三十四年で申しますと、これは可処分所得に対する消費支出の指数で申し上げますが、平均では、昭和三十四年が八六・一、三十五年が八五・一、三十六年が八三・五、三十七年が八三・八、三十八年が八四・三、こういうふうに相なっております。
  61. 加瀬完

    加瀬完君 赤字はふえておりませんか。
  62. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) その差額は、可処分所得に対する消費支出の割合ですから、その差額は黒字というふうに相なっております。
  63. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、昭和三十九年九月の総理府の調査がございますが、低所得階層平均収入は二万三千八百二十七円、支出は二万六千七百四十一円、これはお認めになりますね。
  64. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) ただいまお述べになりました数字は三十九年の数字でございますが、昭和三十八年度の数字を申し上げますと……。
  65. 加瀬完

    加瀬完君 これはお認めになるかどうか。
  66. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 昭和三十八年度におきましては、第一分位——五分位層の第一分位、一番低所得階層でございますが、この実収入が三万二千百五十円、可処分所得が二万九千七百九十円、消費支出が二万六千八百二十一円でございまして、黒字が月平均でございますが二千九百六十九円、こういうことに三十八年度は相なっております。それで、三十九年のただいまお述べになりました数字は、非常に不安定な所得の方、つまり一カ月ぐらい全然所得のないような人の階層のものが入っておりますためにそういうふうな数字が出てきておるものと、かように私どもは見ております。
  67. 加瀬完

    加瀬完君 とにかく平均すれば収入より支出のほうが多い、こういう階層が四十年になりまして所得幾ら伸びるのか、支出増が幾らになるのか、そのバランスがどう変化するのか、推定をなさっていらっしゃいますか。
  68. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 申し上げますが、昭和四十年度についての推定はいたしておりませんが、三十四年から三十九年に至るところの実収入の伸び率を申し上げますと、総平均では七一・六%の伸び率になっております。ところが、そのうち第一分位層においてはそれが七七%、一番高く相なっておるわけでございます。総平均に対して。したがって、この傾向に昭和四十年度においても……。
  69. 加瀬完

    加瀬完君 七〇……。
  70. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 総平均が七丁六%の上昇、それに対して第一分位層は七七%というふうに、第一分位層、第二分位層がそれぞれいずれも高くて、上にいくほど低くなっておるという数字に相なっておるわけでございます。
  71. 加瀬完

    加瀬完君 違いませんか。所得が七〇%も一伸びているという統計ですか。
  72. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 三十四年から三十九年に対しての問題でございます。したがって、四十年度についての推計はいたしておりません。
  73. 加瀬完

    加瀬完君 三十九年度と四十年度の推計はどうなるか。
  74. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) その点の推計はしていません。
  75. 加瀬完

    加瀬完君 結局、人間尊重あるいは社会開発とおっしゃっても、一番開発しなければならない低所得層に対する目標というものははなはだ私は不明確だと思う。  そこで、保険税をこのたび引き上げるわけでありますが、これが生計費に影響をいたしませんか。
  76. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 具体的な数字の推計はいたしておりませんが、加瀬さんもよく御承知のことと思いますが、大企業中小企業における賃金の格差はどんどん最近狭まってまいっておるわけでございます。そして、中期経済計画においても具体的にその幅がどれだけ狭まるかという推計はいたしておりませんが、これが狭まる傾向はなおずっと持続するものという前提のもとに諸般の計画を立てておる次第でございます。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと関連して。水道料の問題でお尋ねしたいのですけれども、先ほどからの御質疑を伺っておりますと、吉武自治大臣は、政府が御決定になっておりました公共料金ストップの政策というものをお忘れになって、何かいま上げようとすることに対してこれをバックアップするような立場に立っておられるように思いますから、この際お伺いしたいと思いますけれども政府公共料金ストップないし抑制策というのは、水道料金も入っておったかどうか、これは経済企画庁長官からもお尋ねしたい。そういう抑制策に協力をしてきた地方自治体がかなりの赤字が出ていることは、これは事実であります。したがって、いま東京とか大阪とか全国に赤字によって苦しんでいる事実はありますが、それはそれなりに合理化もし、いろいろとくふうをこらしておったと思うのです。にもかかわらずそういう事態が出てきたということだと私は思うのです。したがって、審議会からストップしておりたことはまずかったという答申が出ておるということを吉武自治大臣はここでことさらにおっしゃるわけですね。だから、ストップしておいて、それが正しいものとすれば、それは政府の政策と相反する政策じゃなかったのですか。ですから、そこら辺の関連を明確にしてもらいたいことと、それからこれは参議院段階ですから私はお尋ねするのですが、衆議院予算通過に際して、いま申し上げましたような水道料金に対する対策として、特に政府施策に協力しておった地方自治体に対しては特別の御措置をとる、こういうふうに話し合いができておると私は聞いておるのですね。これはひとつ大蔵大臣にもお伺いしたいのですが、一体具体的にどういう措置をして、政府に協力して生じた地方自治体の赤字をバックアップしてやるのか、この点をひとつ明確にできたらしていただきたい、こう思います。
  78. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) ただいまのお尋ね、ごもっともなことでございます。私の先ほどの説明で多少足らないかも存じませんが、御承知のように、昨年は公共料金のストップをいたしまして、それから水道料金のように公共料金でなくてもそういう性質のものはできるだけひとつ自粛をしてほしいという通牒を出しまして、各地方庁も協力をされてストップになったわけでございます。そこで、その間の事情がどういうふうになってきたかというと、実は赤字がだんだんと累積してきたわけでございます。そこで、私どもこのままに放置できないというので、昨年の七月に公営企業制度調査会というものを設けまして、そうして各方面の権威の方に御審議を願って、そうしていまもやっていただいておるわけでありますが、そう一年も答申をしないでおくというわけにもいかぬ、大事なことだからひとつ中間答申をしようということで、先ほど申しました三つの、大体三つにわたる答申があったわけであります。その答申の趣旨は、いま言ったように、ストップをするとかえってあとで困るのだから、適切なときに適切な是正をすべきであるという答申を得ているわけであります。しかし、それには、ただ赤字が出たからそれを料金に全部はね返すというようなことをしないで、合理化をできるだけ推し進めるということがこれに第二にくっついておるわけであります。それから、そればかりじゃない、やはり政府もこれに対していわゆる資金の融資をする、こういうことになっているわけであります。そこで、ことしの一月にも、物価総合対策を企画庁で立案されまして、閣議決定になって、できるだけ物価の抑制ということを総合的にやっていこうということでございまして、これはしかしストップではないわけであります。ストップではございませんが、方々でどんどんどんどん値上げ値上げというムードになりますることはたいへん困ることでありまするから、やむを得ず上げるものはしかたがないとしても、しかしそれについてはできるだけひとつ協力してほしいということをさらに私からも各地方庁に通牒を出しているわけであります。ですから、これはストップという昨年のとは趣旨が違いまして、やむを得ず上げるものは上げなきゃならぬだろうけれども、すなわち中間答申の線に沿うて上げなきゃならぬ場合はやむを得ぬと思うけれども、しかし、ややもすると、赤字が出た、その赤字をすぐ料金へおっかぶせて償還計画を立てるというきらいになりがちでございます。その点は特に注意しなきゃならぬというので、私からも通牒を出しまして、万やむを得ないものは中間答申の線に沿うておやりいただくとしても、それには合理化というものを必ずお考えになって、できるだけ料金にはね返るということを少なくするようにという通牒を出したわけであります。しかし、それだけでこの問題はよろしいというわけにまいりませんで、中間答申にもありました第三の、政府政府でつまり融資の点について努力をすべきだということが出ておるわけであります。それで、御承知のように、東京都の今度の問題にいたしましても、大阪にしましても——東京都は、従来、戦前に投下した水道の設備によっていままで水道というものを使っておりましたから、よそよりは非常に安かったわけであります。先ほど埼玉や千葉を申しましたのは、これは比較的近い期間において布設されましたから、投下した資本が荷いために料金に高くはね返ってきておるわけであります。しかし、東京も、御承知のように、ここ三年、四年というものは、もうほうっておけないで、どんどん、どんどん拡張しております。拡張し七も間に合わないというような状況でございます。そうすると、その赤字というものは急激にふえてきたわけであります。つまり、その償還というものを短い期間に償還をよしうとすれば、それは当然料金へよけいはね返ってきまするから、たくさん水道料金というものに影響してきますから、これを、長い期間——大体水道は御承知のように耐用年数は五十年といわれておることでございまするから、五十年で償還計画を立てるというわけにはいきませんけれども、まあこれを三十年ぐらいの償還計画に立てまするというと、比較料金にはね返る率というものは少なくて済むわけであります。それには長期の資金というものを世話しませんと、現在水道は拡張に追われておりまするので、従来、政府資金が四割、民間資金が六割ぐらいの幅でございます。そうすると、政府資金は、御承知のように、預金部の金でありまするというと二十年、公庫の金でありますると十八年。利子も、政府の資金ですというと六分五厘、それから民間資金だというと大体七年で八分ぐらいであります。そうすると、七年七年で借りかえをやっていかにやならぬ。また利子も八分ととなりますると、相当の利子になるわけでありまするから、これをできるだけ政府資金に切りかえていく、そうして期間を長くしていく処置をとろうということで、実はせんだっても衆議院予算段階で、これに対して何とか政府が処置を講じないかということで、大蔵大臣からも資金の融資等についてはできるだけ努力をいたしますよということを答弁されているわけであります。実はこのことを私どもは察知しまして、昨年の暮れの予算措置をいたしまするときに、水道については特に政府資金をよけい割り当てないというととうていやっていけないぞということで、昨年は三百七十億程度政府資金を、四十年度は五百億の融資ワクをとりまして、これでやっていくわけでございますが、しかし、期間も、そういう衆議院予算委員会の段階においての話し合いもございましたので、いま大蔵大臣と折衝いたしまして、二十年の償還期間をもうちょっと長くできないかということを大蔵大臣といま話しつつあるところでございます。まだはっきりと申し上げる段階ではございませんけれども大蔵大臣も、なるほどそういうことだからひとつ考えようじゃないかという段階に至っておるわけでございます。そういう点をひとつ御了承いただきたいと思います。
  79. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いま自治大臣が申し述べたとおり、地方公営企業、特に上水道の問題につきましては、借り入れ金、起債等、可能な限り最大の努力をいたしたいと思います。
  80. 加瀬完

    加瀬完君 大蔵大臣にもこれはあとお答えをいただきたいのでございますが、昭和四十年の市町村での保険税の前年比は二五−五〇%増が非常に多くて、中には九〇%増というのもごいますね。これが実情でございますが、お認めになりますね。
  81. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) ちょっと失礼いたしましたが……。
  82. 加瀬完

    加瀬完君 市町村の保険税ですね。これは大幅に上げるという非常な空気でございますね。二五から五〇%ぐらい上げる町村が非常に多い。九〇%という声もある。  この実情はお認めになりますかというのです。
  83. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 保険税の値上げというものもいま各地で問題になっていることは、御指摘のとおりでございます。七〇%というところは私聞いておりませんが、まあ五〇%程度上げられるところも相当あるように思っております。それで、これは加瀬先生も御承知のように、国民健康保険は一つの保険制度でございまして、その保険制度は普通の健康保険のように被用者保険でございませんので、漁村であるとか、農村でありまするとか、その住民のお互いの保険制度になっておるわけであります。したがいまして、それに対しては政府も相当のいわゆる負担をして、大体の負担区分というものがきまっておるわけであります。御承知のように、七割給付を三年計画でありましたか四年計画でいま実施中でございまして、それを実施しまするというと、七割給付になります。そうすると、三割は自己負担、これは今度の医療費の値上げになりましても、その分だけは、保険制度としてそういう区分があります以上は、自己負担でまかなっていかなきゃならぬかと思いまするし、それはいま別に問題というほどではございません。それから、政府負担いたしまする二五%、はこれは法律でそういうてふうになっておりまするから、国が二五%負担をし、しかも、今度の医療費の値上げにつきましては、その分は当然政府が持つ。それからもう一つは、そのあとの一〇%は政府が調整交付金でやはり持つ。これは一律じゃございませんで、非常に気の毒なところを重点に置いて一〇%で見ているわけであります。これもやはり今度の保険料値上げにつきましては、その分だけは政府がもちろん見なきゃならぬと思います。そうすると、あとのいわゆる二〇%に当たりまする保険料、これはやはり保険料の中でこれを見るということではないと、私は保険制度としては、一応そういう制度になっておりまする以上は、やむを得ないかと思います。しかし、それも、今度の予算折衝で、これは厚生大臣お答えになることかと存じますけれども、市町村にも関係の深い問題でございまするので、私どもも重大な関心を持っておるのでありますが、その中でも、この三十九年の一月から二月、三月までの三カ月分は、この前の補正予算で、約十三億、十二億でございましたか、政府が見てくれる。それから四月、五月、六月の三月間も、これは政府が、まあ保険税を上げるべきだけれども、その分だけはとりあえず国が見ようということで十五億見てくれておるのでございますが、そのあとはこれは保険税で見るということが私はやはり筋じゃないかと思います。  それで、どうして五割ぐらい上げるようになったかと申しますると、実はいままでに上げるべきものがまあおくれがちになって上げていない。したがって、それが赤字となって残ってきておる。現在三十九年度で見まするというと、国保の赤字が、大体市町村繰り入れを入れまするというと、三十九年度末になりますと約二百億くらいございましよう、三十八年度で百三十二億でございましたけれど。それで、今まで上げるのがおくれがちでございましたのが、上げなきゃならぬというので、いま言ったように、五〇%程度上がるのが出てくるじゃないか、かように存じておりますが、先ほど来申しましたように、保険制度はそれぞれの保険制度の負担区分というものがございまするので、その負担区分の中でこれをまかなっていくということでなければしかたがないんじゃないかと、かように考えております。
  84. 加瀬完

    加瀬完君 厚生大臣に伺いますが、健康保険の三十九年度の赤字、四十年度の赤字というのは、それ、それの項目でどうなっておりますか。
  85. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答え申し上げます。政府管掌の健康保険につきましては、三十九年度におきましては三百九十一億円になっております。それから日雇い労働者健康保険につきましては六十一億円、そういう見込みでございます。それから四十年度におきましては、政府管掌健康保険につきましては六百五十九億円、日雇い労働者健康保険につきましては、八十五億円という赤字を見込んでおります。それから国民健康保険につきましては、三十九年度の赤字額は目下のところ確実に把握できませんが、三十八年度に比べまして約二倍くらいに達するのではないかということでございます。この結果、収支差し引き額においては四十九億円くらいの赤字がある見込みでございます。そこで、政府管掌保険においては政府から三十億円、日雇健康保険においては三億円、こういうような金額を処置したいと、こう考えております。それから国民保険についての政府の保険料負担増加分につきましては三十九年度十二億円、四十年度については十五億円を計上いたすと、こういうことでございます。
  86. 加瀬完

    加瀬完君 ここは大事なところでございますから、もう一度御確認をいただきたいのでございますが、四十年度の赤字見込みの総額は幾らになるのか、これに対する政府の補てん額は四十年度予算では幾らふえたのか、これをお示しください。
  87. 神田博

    国務大臣(神田博君) いま申し上げましたように、政府管掌保険におきましては六百五十一億円、それからこれに対して政府が三十億円、それから日雇い健康保険につきましては八十五億円、これに対しまして政府が三億円、こういうふうになっております。
  88. 加瀬完

    加瀬完君 一体、赤字の見込み額とこれに対する補てん額のバランスがとれておるとお考えですか。
  89. 神田博

    国務大臣(神田博君) これはなかなかたいへんなことでございまして、予算折衝におきましても、そういうような数字では容易に収支の均衡はとれないということで、財政当局に十分要望したわけでございますが、非常に財政上困難だというようなことで、以上の結果になったわけでございますが、これはしかし、いま御承知のように社会保険審議会、社会保障制度審議会等におきまして、この案の適否につきまして諮問をいたしております。この諮問につきまして近く答申があろうと思っております。この答申を尊重いたしまして再調整したい、こういうことになっておりますので御了承願いたいと思います。
  90. 加瀬完

    加瀬完君 自治大臣に伺いますが、一体、国民健康保険というのは国家事務なのか、地方の固有の事務なのか、この点はどうお考えですか。
  91. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 国民健康保険は、国が法律でこういう制度を設けまして、市町村単位につくらしておりますから、国の事務と言っていいかと思います。しかしながら、元来、市町村の住民の福祉に直接関係のある仕事でございまするから、これは市町村の重要な一つの私は仕事であると思います。ですから、法律上国民健康保険というものを国がつくって、そうして一つの制度としてやらせているから国の仕事ではございまするけれども、同時に、それはまた市町村にとっては重大な事務と言っても私はよかろうかと思います。そういうふうに、私どもは国の事務だから国がやるんだ、市町村には関係がない、あるいはそれは市町村の住民に直接関係する福祉の事務だから国はどっちでもいい、そういう性質のものではございませんので、今日国の仕事も住民の福祉につながる。国民年金にいたしましても、国保にいたしましても、これは重要な国の事務である、同時に、市町村の住民の福祉に直結する仕事であると思っております。
  92. 加瀬完

    加瀬完君 法律的には。
  93. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 法律的には国の事務と言ってよかろうかと思います。
  94. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連。国民健康保険の赤字の問題につきまして、厚生大臣の赤字の額の見方、それから自治大臣の赤字のとらえ方、これは違うのですね。そこで、厚生大臣もう一度あなたのほうで、国保の赤字を三十八年度でどのくらいあると見ておるのか、三十九年度にはどの程度になると考えられるのか、これと、あとでまた自治大臣に聞きますが、まずそれを最初に明らかにしていただきたい、厚生大臣から。
  95. 神田博

    国務大臣(神田博君) 鈴木委員お答え申し上げますが、考え方が違っておりますので、自治省と多少違う観点で言算いたしております。詳細、政府委員からよく答弁させたいと思います。
  96. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) 申し上げます。昭和三十八年度の状況は、全体の被保険者の数、保険者の数は……。
  97. 鈴木壽

    鈴木壽君 そんなこと聞いているんじゃない。
  98. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) それでは、まず赤字を申し上げますと、赤字を出した保険者の数は四百十二、赤字の金額は二十七億でございます。ただし、このほかに未払いで次の年度に持ち越したものがございます。これは名目上は赤字になってあらわれておりませんけれども、これは実質上は赤字と見るべき性質のものでございます。これが黒字、赤字両方の被保険者を合わせて二十二億の未払いが翌年度に繰り越されております。おそらくこれの大部分は、やはり赤字保険者が繰り越したものと見ることが適当であろうと思います。そういう意味で、私ども昭和三十八年度における実質赤字は、およそ四十九億程度、こういうふうに見ております。ただし、これについては、自治省の見解として、こういう収支が成り立っているのは、相当多額の市町村繰り入れ金があるからである、これを加えるか加えないかというのが両者の考え方の違いでございます。なお、昭和三十九年度は目下調査中でございますが、見当としては、先ほど大臣が申し上げましたように、この赤字の保険者の数は四百十二がまず二倍に強ふえそうだという見込みでございます。また、赤字の額はおそらく二倍半程度にふえそうだ、こういう見込みでございます。
  99. 鈴木壽

    鈴木壽君 いま局長から三十八年度の赤字、未払い分を入れて大体四十九億ぐらいというふうにお話しがございました。衆議院の段階で局長は四十七億と、こうおっしゃっています。その一億、二億の額は私ここでどうのこうのということを申し上げるつもりはありませんが、三十八年度にはいずれ四十九億ということにまあ見ることにいたしましょう。ところが、自治省のほうでは、先ほど自治大臣は三十八年度で百三十一億と、こう言っています。百三十二億と、こうおっしゃっている。この大きな違いですね。これはいま局長お話ありましたが、一般会計からの繰り入れを一体どう見るかというようなことにあるようなことをおっしゃっておりますが、保険財政、保険会計として、そのものとして一体赤字がどのくらいになるかということ、これははっきりしておかないと、同じ政府部内で、一方では四十九億円だ、一方では百三十二億だと、こういうようなことを言われたんでは、これは大へんなことになると思うのです。赤字対策そのものにもこれは大へんな影響がくることになるのでありまして、一体どう見るのが正しいのか。自治省がいうように、一般会計からの繰り入れというものは、保険会計において赤字が出るからそれを埋めるために出すのだから、実質的にこれは赤字なんだ、こういうふうに見るのか、この点ひとつはっきりしないと、この保険会計、保険財政の問題あるいはその問題に対する手当の問題、これがいろいろ変わってくると思いますから、この際はっきりしておきたいと思いますが、いかがでございますか。
  100. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 先ほど厚生省の赤字の数字と、自治省が申しました、私が先ほど申しました数字の違いというものは、大体、私のほうでは三十八年度の決算で、いわゆる保険団体、つまり国民健康保険会計、その団体自体の赤字が三十六億でございます。これに対して、厚生省のほうでは未払い金が二十二億ほどあるので、それを含めるということでありますが、未払い金の中には団体に入ってくるものもございましょうし、また入ってこないものもあるかもしれませんので、この辺は、私のほうの計算ではこれを三十六億と見ております。これは実質上のいわゆる保険団体の赤字でございます。そのほかに、先ほど申しましたように、保険料がいわゆる思うように入ってこない、入ってこないということで赤字がふえる、しかし会計はやっていかなければならぬというところで、市町村のほうから繰り入れをしておるわけでございます。その繰り入れが、三十八年度で繰り入れとか補助がちょっとありますが、全体で九十五億ございますから、三十六億の実質の団体の赤字と市町村から繰り入れましたものを合わせますると百三十二億になる。で、これは先ほど私が申しましたように、この健康保険組合といいますか、この団体はいわゆる制度としてきちっとできておりまして、そのうちで、本人は今度七割給付になれば三割は自己負担で自分が払う、国は二割五分を負担するということであれば、それを国がきちっと払う、そうして保険料のそのほかに国は一〇%の調整金もございます。これも国として払う。それから七割給付になりますれば給付率が変わりまするので、それのいわゆる四分の一になりますか、これも国がだんだん見ていかなければならぬかと思いまするけれども、それにしましても、保険料でみる分の二〇%というものはそれで見ていくわけでございまするけれども、それがいままできちっと二〇%で見ていけない。これはまあ農村でありましても漁村でありましても、先ほど加瀬先生から御指摘になったように、低所得者が多いものですから、それで思うように入らない、そこで赤字が出て、その赤字をほうっておけないから市町村から繰り入れる、こういうことでございますから、私はやはり保険制度というものがきちっとできている以上は、その制度の中でまかなっていくというたてまえをとらざるを得ぬのじゃないか。もしそれがやはりいけないということであれば、制度そのものを考えていく、こういうことに私はなるべきものだと考えております。
  101. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) なるべく簡単にお願いします。
  102. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連ですから簡単にしなければいけないと思いますが、ただ、はっきりしなければいけないと思うので……。これは自治大臣は私の聞かないことまでお答えになっておるのですがね。厚生省では、三十八年度の赤字を二十七億と見る、未払い分二十二億あるが、これの大部分は赤字と見る、したがって、四十九億ぐらいと、こういうお話、ところがいまの自治大臣は、団体の赤字は三十六億円と、こう言う。ここでまず一つ違ってくる。どういうこれは押え方でこんなことになってくるのか。さらにいま一つは、さっきもお聞きしましたように、一般会計からの繰り入れ九十五億円というものを、一体これは赤字が出たからやむを得ず一般会計から繰り入れたものとして、したがって、これは保険財政そのものからすればこれは赤字なんだと、こう見るか、いや、これは一般会計からの繰り入れというのは、まあまあこういう仕事の性質上あってもいいんだからというふうに見て赤字と見ないのかどうか、これで違ってくると思うのですよ。そこを一つはっきりしていただかないと、いろいろなこれからの論議でも、赤字対策でもこれはおかしなことになってくる。厚生大臣自治大臣がいま言われましたね、団体のそのものの赤字三十六億円、あなたのほうは二十七億円、これの違いを一体どうごらんになりますか。これはひとつ政府部内で意見統一をやって、はっきり国保の赤字として一体どれが正しいのか、これはここではっきりさしていただかなければいけないと思うのです。
  103. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私ども数字と厚生省の数字の違いでございますが、先ほど保険局長からおっしゃいました支払い繰り延べの問題は、私どもの三十七億の計算の基礎には、赤字団体分の支払い繰り延べは実質赤字として計算することにしております。これは一般会計でも従来そういう取り扱いでございますので、そういう取り扱いをしております。実体的に非常に違いますのは、一般会計から繰り入れをしております額を赤字と見るか見ないかというところに基本的な違いがあります。これは数年来訪し合っておりますけれども、その辺の見解はなかなか一致しない。私どもは先ほど大臣から申し上げましたように、保険財政として完結しておるから、それに対して繰り入れ額はやはり赤字補てん的性格を持つものだ、したがって、保険会計の赤字としては赤字と見るべきだ、かように考えてずっとやってきたわけであります。その関係の違いが一番大きいわけでございます。
  104. 鈴木壽

    鈴木壽君 厚生大臣……。
  105. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) ただいま財政局長から申し上げたとおりでございまして、実質赤字を三十七億と見るか四十九億と見るかの問題の違いはそう違いはございません。私どもはやはり未払いの大部分は赤字保険者のものであろうと、かように見ておりますが、この点の数字は基礎が同じでございますから、仕訳を進めていけば一致するはずでございます。それから問題は、先ほど来申し上げておりますように、一般会計の繰り入れを全部赤字補てんと見るか、あるいは、そういう面が非常に多うございますけれども、それとは別に、市町村民の福祉のために、市町村財政の許す限度において積極的な意味を持たせて入れていくかというふうに見るかということの違いでございます。結局、程度をどの程度と考えるかという問題はあろうと思いますけれども、全部を赤字と見るということは、いささか行き過ぎだと思っております。
  106. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連で飛び入りの格好でございますので、私、遠慮したいと思いますが、ただ、いまのお答えを聞いておりますと、厚生省では二十七億の赤字、そのほかに二十二億の未払い金の大部分が赤字だと言う。これを詰めていけば合うだろうと言っておるんだが、これはひとつ、詰めなさい。詰めて、そして自治省の言う三十六億円の赤字と一体どうなるのか、これははっきりしなければいけないでしょう。すぐわかることなんです。これは。それをこのままにしておいて、赤字の額はいかにも小さいんだぞというような、変な見せかけをすることはおかしい。それから一般会計からの繰り入れ九十五億円、そのままを赤字のための補てんだと、こういうふうに見るかどうかについてはというような話がありましたが、保険会計はそのものとして、一部負担と国から出る金と、あるいは被保険者が負担する料金、税金と、こういうものによってまかなうことが、これはたてまえなんです。国の事務であるとか事務でないとかいうこともさることながら、それよりも国保の会計そのものとして、いまの、私の言ったようなたてまえでまかなうのが、これはたてまえですよ。ですから、その中で赤字が出るのか出ないのかということを、これは考えるべきなんです。そこで、一般会計からの繰り入れの問題でありますが、いま言ったようなたてまえでの会計の運営の中において、赤字が出ないというのであれば、だれも一般会計から繰り出す必要はないのですよ。何も好まこのんで特別の給付をやるとか、市町村によって特別な手当をするとかいうことのために使うならいざ知らず、そうじゃないんです。会計がもたないから出している。これは赤字が出るから出たと、こういうふうに見ざるを得ないと思うのです。ですからこの問題、これはいま言ったように、私はこれでやめますが、ひとつ、いまの問題、きょうできるならきょう、加瀬委員の質問に関係する問題でございますから、ここで、すぐはっきりさしてもらいたいと思いますが、そうでなかったら、きょうじゅうなり、あるいはあしたまでにこの点をはっきりして、政府部内で、これははっきりさせなきゃいかん。自治省ではこうだ、厚生省ではこうだ、こんなでたらめなことは許されないと思うのです。その点を要望しながら私の質問は終わります。
  107. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) 前段の問題について結論を申し上げます。結論としては、この際、見方として自治省の見方に一致させたいと思います。ただし、これはこういう前提で考えておりますので、そういう前提で一致さしたということで御了承をいただきたいと思います。それは、先ほど申し上げました未払い額を考えます場合に、繰り上げ流用と未払い額を一応赤字と見て、それから国庫補助金のうちで未払い分がございます。たとえば、三十八年度の分が今年度の補正予算で処理をされて今年度で払われる、こういうものがございます。これを計算上、未交付の間に、これは確実に入るものでございますから差っ引く、そういたしますと、三十七億で一致をいたします。  それから後段の問題は、もちろん今後議論を詰めにゃならぬ問題でございますが、先ほど申し上げましたように、この一般会計の繰り入れの中には、黒字保険者のものも相当あるのであります。つまり赤字だから入れるという関連のほかに、保険料の引き上げ等には抵抗が伴いますので、それとの関係で入れる、こういうようなことも一あるわけでございますが、これはなお将来とも一十分両省で調整に努力をいたします。
  108. 加瀬完

    加瀬完君 厚生省のいう四十九億、自治省のいう三十六億は、いまのようなお話で結論を出していただきたいと思いますが、あらためて自治省に伺いますが、繰り入れ分の九十六億というものの、一体、繰り入れなければならない原因は何でございましょうか。
  109. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 先ほどちょっと触れましたが、何と申しましても、この保険団体が漁村、農村等、市町村単位にできておりまするので、いわゆる低所得者という層が相当多いわけでございます。したがいまして、先ほど申しました負担区分によって、保険料でまかなう二〇%の中においてこれを保険料でまかなうと申しましても、事実上低所得者で、保険料のいわゆる取りにくいと申しまするか、そういうものが出てきまするので、したがって、赤字が出てくる、赤字はほっておけないから市町村でこれを繰り入れてまかなう、こういうところ……。
  110. 加瀬完

    加瀬完君 それは三十六億の中に入るでしょう、繰り入れ金のほう。
  111. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) ええ、繰り入れ金のほうはそれは入りますけれども、しかし赤字が多くなりまするから、市町村のほうで繰り入れていくと、こういうことでございます。
  112. 加瀬完

    加瀬完君 厚生大臣に伺いますが、国保には調整交付金制度というのがございますね。これの目的といいますか、性格といいますか、どういうことですか。
  113. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答えいたします。調整交付金は、市町村の国民健康保険の財政を調整する目的を有するものでありまして、その内容は大体次のように考えております。普通、調整交付金、市町村の被保険者の所得を考慮いたしまして算定する保険料収入額が、医療費の額を考慮して算定する収入に満たない市町村に対してその差額を交付する交付金、次に、世帯主に対する給付改善費交付金でございます。世帯主の七割給付の実施によって、保険者負担として増加する二割相当分のおおむね四分の三を補助する、こういうことでございます。次は保険料の軽減費の交付金でございます。低所得者の保険料を減額することによって収入減となる額を補てんしたい、こういうことでございます。それからもう一つございます。その他の特別の事情による交付金、災害による保険料の減免が行なわれた場合、たとえば原爆被爆者等、特別に医療費が増大する場合等、特別の事情を考慮して補助をする、こういうことでございます。
  114. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、先に自治大臣の御説明になった低所得階層が多くて保険料にたえられない。あるいは特別の事情のある場合は、これは調整交付金で当然まかなうべきものですね。それがそういう形に動いておらないで、地方団体からの繰り入れ分でまかなっておるということはおかしいじゃないですか。
  115. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答えいたします。厳格にいうとそういうことになりますが、たてまえはいま申し上げたようなたてまえで算定している、こういうことでございます。
  116. 加瀬完

    加瀬完君 地方財政法の第二条の2項によりますと「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」と書いてありますね。これに明らかにこれははずれますね。法制局答えてください。
  117. 荒井勇

    政府委員(荒井勇君) 地方財政法の第二条の規定は地方財政運営の基本について書いておりますが、その第二条に書いております事項は、法令に基づいて行なわれる国の負担補助等が当該法令に従ってされるものであるという限りにおきましては、この二条の2項に該当するということにはならないと思います。たとえば法令上補助金等について決算補助の方式をとっているというような場合に、これに従って毎年補助を執行した後、決算の段階で補助をする。それまでは地方団体が支弁をしているという事態がありましても、それは法令の規定がそのような仕組みになっているという意味で、何ら地方財政法の問題ではないわけでございます。その法令に基づく負担というのは、その当該の法令に基づいて国と地方団体とがそれぞれ負担をし合い、分け合うということでございまして、それは転嫁の問題ではないわけでございます。それから、たとえば補助金の臨特に関する法律というようなものを国会が制定されまして、従来の補助金の補助率というものが予算の範囲内で二分の一とありましたのを、かりに五分の二というふうに改めるというようなことがありましても、それはその負担の根本をきめる法令がそのように変更されたということであって、それが地方財政法違反の問題ではないということでございます。  それから、いまの調整交付金の問題は、国民健康保険法の第七十二条第2項で一定の限度額が定められております。すなわち読みますと、「前項の規定による調整交付金の総額は、市町村の療養の給付及び療養費の支給に要する費用の見込額の百分の十に相当する額とする。」と法律できめられております。その法律できめられた額をこえて出せということは、それは違法な支出ということになり、その法令の範囲内において支出されるという問題は地方財政法の二条の問題ではないというふうに解釈いたしております。
  118. 加瀬完

    加瀬完君 この国保の事務というのは国の事務でしょう。ですから当然の責任は国にあるわけです。ところが現状において、ただいままでいろいろ御説明のありましたように、その負担はほとんど地方がしょっている。しかも調整交付金制度というのをみれば、厚生大臣のおっしゃるように、たてまえとしてはそこで処理をしなければならない責任があるわけです。法律的に。しかもそれが行なわれておらない。こういうことになりますと、これはおかしいではないか。
  119. 荒井勇

    政府委員(荒井勇君) 地方財政法の第十条を見ますと、「地方公共団体又は地方公共団体の機関が法令に基いて実施しなければならない事務であって、国と地方公共団体相互の利害に関係がある事務のうち、その円滑な運営を期するためには、なお、国が進んで経費を負担する必要がある左の各号の一に掲げるものについては、国が、その経費の全部又は一部を負担する。」とありまして、その第八号の二といたしまして、「国民健康保険の事務の執行並びに療養の給付及び療養費の支給に要する経費」というものが掲げられておるわけでございます。すなわち国民健康保険事業の執行等に要する経費というものは、国と地方公共団体相互の利害に関係がある事務であるというふうに地方財政法の規定で明定されておりまして、それはそれぞれの法令の規定に従って負担を分け合うといいますか、そういうことが書かれておるわけでございまして、具体的な国民健康保険法の定めるところによって負担なり補助という措置がとられているということでございまして、それは国のみが責任を持ってやれというものとしては規定されておらないわけでございます。
  120. 加瀬完

    加瀬完君 その負担の責任がアンバランスになっておりますから、法律上もおかしいのではないかと聞いているわけです。  そこで問題を進めますけれども、この調整交付金の交付方法というものが、必ずしも地方の実態に合っておらない、その年度内に確実に一体交付するということが行なわれているかどうか。
  121. 神田博

    国務大臣(神田博君) お答えいたします。当該年度に予算上に処置しております分につきましては、年度末にいつも交付いたしております。ところが、御承知のように予算措置でございますので、実際問題としては国民健康保険が年々増加をいたしておりますから、その差額につきましては、追加予算その他の措置をとっておくれて交付している、こういうことでございます。
  122. 加瀬完

    加瀬完君 調整交付金の制度というものを、この目的のとおりにもっと伸ばしていくという方法は考えられませんか。
  123. 神田博

    国務大臣(神田博君) もう一度……。
  124. 加瀬完

    加瀬完君 調整交付金制度というものがあるのですから、これのたとえば一〇%に押えられておるけれども、それで赤字が出過ぎるというのは、そのパーセントを伸ばすとか、あるいは支給の方法をもっと具体に合わせるようにするとかというようにもっと改善して、赤字を解消する実効のあるような方法に改める考えはないか。
  125. 神田博

    国務大臣(神田博君) 従来の経過を見ますと、いまお述べになりましたようなことがおおむね多いわけでございまして、はなはだ遺憾と思っております。そこで、年々の予算編成におきましては、逐次増加を大蔵省に要望して、いま増加してまいっている、こういうことでございます。ことに先ほど来御議論がございました事務費等につきましても、ことしは大幅に上げた、かつて被保険者一人当たり十円というような上げ方でございましたが、今年は五十円上げることにして百五十円を二百円にした、こういうような実情でございまして、年々改善してそうして追いついていきたい、こう考えております。
  126. 加瀬完

    加瀬完君 二百八十八円ですね、過重負担があるのに、二百円見てもまだ八十八円残っているわけです。そんな御説明を私は聞こうとは思いません。  そこで、今度は自治大臣に聞きますけれども、今度の保険税あるいは保険料の値上がりによりまして、特に下層といいますか、所得の低い階層に重くて所得の高い階層に軽いという、こういう結果がどうしても出がちでございますが、これはお認めになりますか。
  127. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) これも先ほども申しましたように、保険制度自体できまっておりまするように、保険料は半分が均等割、そうして半分が所得割になっているわけであります。したがいまして、均等割につきましては、同じにいくでありましょうし、それから所得割につきましては、所得の差によってこれが違うわけでございます。しかし、これは所得税と違いまして、大体最高たしか五万円でございましたか、頭打ちがございます。したがって、その中でこれを所得割にするわけでございます。決して低所得者に重いとかどうとかということはございません。ただ、税金とは違いまして保険料でございまするから、その保険料はその保険制度のたてまえの中において、これをいわゆる保険料に割り当てると申しますか、吸収する、こういうことになると思います。
  128. 加瀬完

    加瀬完君 応能の原則ということのとおりには税金でないからいかないにしても、一応、税金的な不満もあるわけですから、応能の原則をはなはだしく破れば、これは負担ができなくなって赤字の原因になる、東京都の試案の場合、二十万円以下のものは三八%上がることになっておりますね、四十六万の所得のものは三二%、ところが百九万円の所得のものは二〇%しか上がらないわけですね。どうしたって下に重く上に軽いということになるじゃありませんか。
  129. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) この点が先ほども申しましたように、いわゆる市町村の税金でまかなうという行政事務とか、いわゆる仕事と違いまして、保険制度でございまするから、この保険制度のたてまえにおいて、先ほど申しました七割納付であれば三割は自己負担になる、その自己負担は低所得者でありましても、なくても、それは自己が負担するというたてまえになっております。  それから国が負担する部分を除きまして、いわゆる保険料でまかなうのでありますが、そのたてまえは、先ほど言った、半分は均等割りで割り当てる、半分は所得割りで割り当てる、しかし、その所得割りは、税金の所得税と違いまして、天井幾らまでということではございませんで、最高幾らということになっておりますから、それだけをおとりになるというと、従来五万円で頭打ちになっておるところは上がりが少ない。下のほうは上がりが多いということになるかもしれませんけれども、それは、保険制度自体がそういうことになっておるということを御了承いただきたいと思います。
  130. 加瀬完

    加瀬完君 人間を救済する保険が、人間を苦しめるということになっておるでしょう。たとえば所得税の減税分と、この保険税の値上がり分というのを比べますと、四十六万の程度では、東京の場合は、四千六百三十五円昨年に比べて保険税は上がるわけです。標準家族においては減税はございませんよ。ところが、百万の所得になれば一万一千二百四十六円の減税があるわけでしょう、所得税の。しかも、保険料金は四千八百十円しか上がらないわけです。いかに保険税の制度がそうだからといったって、どうしたって下に非常に上げ方が重くなる。上のほうには軽くなる。これでは人間尊重というたてまえをとっておる政府の考え方にしては、政府施策としておかしいじゃないですか。低所得対策なんということはどこにもないじゃないですか。下ばかりかぶってくる。生活ができなくなるでしょう。
  131. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) これはたびたび申し上げることでございまするけれども、これが一般の市町村事務として考えるということになれば、市町村の税負担ということによってこれをまかなっていくということでございましょうけれども、元来これはいわゆる相互扶助と申しまするか、その地域における社会保険としていわゆる成り立っておるものでございまするから、したがって、全然保険制度であるからといって、平等の保険料を取るというわけにはいかぬ、社会保険でございますから。したがって、その半分は均等割りとして割り当て、そうしてその半分は所得割りによって割り当てる、その所得割りは、先ほど申したようなことであります。したがいまして、ごく低所得者につきましては、特別の減免の処置がございまするので、その減免の処置を適用するかと思いまするけれども、そうでないいわゆる低所得者と申しまするか、比較的低いほうの所得の方につきましては、税金と同じように逓減をするというわけにまいりません。これは利益を受ける者は、お互いにその利益に応じて払うというたてまえのものでございます。ただ普通の保険と違いまして、社会保険でありますから、そこにいわゆる所得の差をつけてやるというたてまえをとっておるわけでございます。税金と同じようにお考えになってこれを論じられますると、先ほど加瀬さんがおっしゃったようになると思いますが、したがって、そういうことにどう対処していくべきかということは、保険制度自体の問題として検討すべきものであろうかと思います。現在の保険制度が現存いたしまする限りにおいては、その制度内において、それぞれの負担区分に応じて、それぞれのいわゆる医療費の値上げについては考える、こういうことになると思います。
  132. 加瀬完

    加瀬完君 政府物価を押えると言っているなら、物価に影響する、家計に影響するこういう料金とか、税金というものを当然考えるべきですよ。昨年、三十九年で二九%上がっておる、平均。かりに二五%、あるいは三〇%上がるとして、三十八年度と比べると、九万円以下で七百三十五円、十五万円以下で千五百四十一円、二十万円以下で三千百六十五円、四十万円以下で五千二百五十九円という試算になるのですよ。税金の、所得税の問題にならない層が五千八百四十三円も保険税を取られるということが、妥当なかけ方だと言われますか。これは全国平均から推計して、三十八年度に比べて六〇%上がる、どういうふうなんですか。
  133. 細郷道一

    政府委員細郷道一君) 多少数字の点をお答え申し上げます。  所得税、住民税、それに国保税、三税の負担の変動を、いろいろこれは市町村によって違うと思いますが、一つの仮定を置きまして、五十万円の人について、かりに計算をいたしてみますと、三十九年度におきましては、所得税、市町村民税、国保税合わせまして二万六千百六十円の負担になる。
  134. 加瀬完

    加瀬完君 そういうことにならぬ。市町村によって違う。
  135. 細郷道一

    政府委員細郷道一君) それから四十年では、二万一千九百円というような負担になるのでございます。これは、もとより御承知のとおり、国保税につきましては、その徴収のしかたも、いろいろ市町村ごとに変えられるようになっておりまして、たとえば応能と応益の割合は、法律上の標準は五割・五割という割合にされておりますが、その割合を変更することは、市町村の判断にまかせられておるわけでございまして、三十八年度におきます実績を見ましても、全市町村数三千四百四十三のうち、法定どおりの五割・五割を取っております団体の数は千九百二十二、それから応能の割合よりも応益の割合を低くいたしております団体、つまり応益に割ります部分を少なくしております団体の数は千三百というような状況にございますので、各市町村におきまして、四十年度にこれらの割合をどう勘案していくかというようなことの変化もあわせて考えてみなければなりませんので、なかなか一律にはいきかねる問題であろうと考えております。
  136. 加瀬完

    加瀬完君 あなたのほうの資料で、本年度二五%から五〇%上がるところが一番多いと言っておるでしょう。たとえば徳島の場合は、三十八年度から比べると八七%上がることになりますね。そうすると、五十万円以下の者でも八千四百七十三円という、これは平均推定の負担になりますよ。所得税も納められない者が八千四百七十三円という保険税を払うということが、これが所得の低い者に対する親切な対策だと考えられますか。これは自治大臣お答えをいただきます。
  137. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 先ほど申しましたように、この保険制度というのは、それぞれ一人一人が病気をして医療にかかるということはなかなか容易でございませんので、これを社会保険制度として、いわゆる相互扶助と申しまするか、その地域地域の団体が一緒になって保険制度をつくっておるわけでございます。したがいまして、普通の市町村の行政事務とは違うわけでございますから、税金の高でまかなうというわけではございません。しかしそうかといって、それでは一人一人同じように負担する普通の保険ではないわけでありまするから、先ほど申しましたように、いわゆる保険の給付の二〇%を保険料でまかなうが、その保険料の半分は均等割りにし、半分は所得割りにする、しかも、そのうちで低所得者につきましては、特別の処置をなお講じまして、一世帯九万円までは、均等割りにつきましては、六割の減額をしておるわけであります。そのうち、また家族一人当たりについては、一万五千円ずつでありますから、四人になりまするというとこれが六万、そうすると、九万で六万で十五万以下の人であれば、四割をやはり均等割りは減額する、こういうことになっておるわけであります。徳島の例をおとりになりましたが、私どもの聞いておるところでは、徳島も、そんなに一ぺんに上げているようなことは聞いておりません。大体五割か六割程度かと思いますが、その原因は、いままで上げるべきものを上げなかったために、一ぺんに上げるからそういうふうになるかと、こう思いますが、根本の考え方の相違は、いわゆる保険制度として見るのか、それとも市町村一般のいわゆる行政事務的な考え方で見るかというところの相違かと思うのでありますけれども、やはりこれはいわゆる社会保険制度として現在ありまするので、やはり社会保険制度のたてまえをとります以上は、やはりまあ病気になるならぬの人の相違はございまするけれども、医療費というものにつきましては、その区分によってまかなっていくということになるのではないかと、かように存じます。それから保険料を上げないで済めばけっこうでありまするけれども、御承知のように、医療費といえども物価その他の関係から考えまして、いつまでも据え置きというわけにはまいらないので、やはり時勢とともに上がっていくことはやむを得ないのじゃないか、かように思います。
  138. 加瀬完

    加瀬完君 時勢とともに上がっていくといったって、特に所得対策というものを重視をして所得税などを下げているでしょう。ところが、所得税のかからない階層に、かりに三十八年度に比べて六〇%上がったとしても三十万の所得者に四千二百八十六円、二十万未満の所得者に二千三百六円、こういう負担というものをかけることが当を得た方法と言われるかということですよ。この点、何も住民が負担をしなければ国民健康保険は進まないということではないですから、政府負担分といったような点とも考慮をして、住民の低所得者に対する負担を軽減するというたてまえをとらなければ、人間尊重だの社会開発だのおかしいじゃありませんか。
  139. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) これは私のほうの所管でございませんで、厚生省でお考えいただくことかと思います。ただそのことになりますれば、保険制度自体をどういうふうに考えていくかという根本の問題でございます。現在の制度についてお尋ねでございますれば、私が申し上げたようにお答えをせざるを得ない、かように申しておるわけであります。
  140. 神田博

    国務大臣(神田博君) いまのお尋ねでございますが、制度そのものをどうするかという基本的な問題であれば、これは問題でございますが、現行制度におきましてはやむを得ないのではないか。しかし、私どもといたしましてはできるだけいまお述べになりましたように、低所得者の負担軽減もはかりたい、国民保険の七割給付の完全実施をいたしたい、それについては、財政の許す限り国民保険に支出を増大してまいりたい、こういう考え方でやっております。
  141. 加瀬完

    加瀬完君 京都ではこういう保険税のかけ方はできないから、給付を切り下げると言っておるわけですね。給付を切り下げてバランスをとると言っているわけです。結局保険制度そのものがこわれてくるわけです。政府がおっしゃっていることとは違って。しかし、自治大臣、おかしいじゃございませんか、あなたのほうでは保険財政そのものがアンバランスで九十六億も持ち出し分をしている、しかも住民の負担をさらに多くするということであれば、これは住民の自治あるいは福祉を進める自治省の立場としては、はなはだ好ましからざる税金のかけ方になると、これは配慮をすべきだという考え方をお持になって当然ではございませんか。取れる税金を取っていいということは税務署ですよ、それでは。
  142. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) これは先ほど来申し上げまするように、普通の税でまかなう市町村支弁のたてまえと違いまして、保険制度でありまするから、保険制度でまかなわざるを得ないのでありますが、根本的にこの国民保険制度をどうあるべきかということについては、私は私なりの意見もございますけれども、これは所管大臣というものがあって、所管大臣でお考えになっておりまするから、ここで私は申し上げることは差し控えたいと思います。
  143. 加瀬完

    加瀬完君 経済企画庁に伺いますが、こういう形に保険税が上がりますと、保険税は大体東京都の場合は二千八百四十九円低所得層に上がりますね。それから水道料が上がり、給食費も上がります。それから食料費その他のものも、政府の推計をする比率で計算をいたしましても相当上がりまして、結局先ほど示したような低所得でも二万四千三十一円という、これは支出増ということに四十年推計されますよ。税金を払わない階層が二万四千円税金と同じような形で負担が増になるわけですね。こういう点に対して、何ら対策をお考えにならないでよろしうございますか。特に保険税の問題はどうですか。
  144. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 私どものほうでは、これは相互扶助を目的とするところの保険料でございまして、税とは考えておりません。しこうして、税の負担に関しては、これは中期経済計画におきまして、二二・三という国民所得に対するところの負担割合をずっと変えないでいくというたてまえをとっておるわけでございます。しこうして、この医療費関係でもって個人の負担になる分については、これは当然に消費者物価としてはね返ってくるわけでございまして、そういうような関係から、一月に前月近くにおいて一挙に二%上がりましたのは、これは消費者米価の引き上げ並びに医療費が一番大きく響いてああいうふうな数字になっておる次第でございます。
  145. 加瀬完

    加瀬完君 税ではございませんということはおかしいですよ。あとでお調べになって御訂正いただきます。  とにかく、政府は生計費の対策という立場で物価並びに家計支出ということをお考えになっておられますか。
  146. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 医療に関しては、どこまでもこれは相互保険制度のたてまえに相なっておりますのでございまして、日本においてはこれは保険料でございまして、税ではございません。(「税だよ、税法の中にあるじゃないか」と呼ぶ者あり)
  147. 加瀬完

    加瀬完君 あとで御勉強してください。  ここに先ほどお示しになった課長クラスの大体七万円前後の収入の昭和三十八年十一月と三十九年十一月の家計の比較がございます。増加いたしたものは副食代が二〇%、教育費が四一%、こうなっております。東京都の消費者物価指数でも、最も大きく上がったのは雑、そのうちでも教育費九・八%、教養費九・六%と大きいわけですが、これはお認めになりますね。
  148. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 最近の消費者物価の内訳をずっと検討してみますると、食料費の増大ということよりも、むしろただいま御指摘になりましたような教育、娯楽その他の雑費、または住居費等において消費者物価の騰起の率が大きい。したがって、そういう関係から、食料費の全体に占めるところのエンゲル係数が年々下がってきていることは事実でございます。
  149. 加瀬完

    加瀬完君 この教育費の赤字分を、この人は住居費二三%、衣服費五六%というものを節約をして補てんをしているわけです。このように生活費を切り詰めなければ教育ができないという教育費の高騰の原因はどこにございますか、文部大臣に伺います。
  150. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 端的にただいまの御質問にお答えになるかどうかわかりませんが、試みに昭和三十二年度から三十七年度までの間におきまして、学校教育費の児童生徒一人当たりの平均額を調査したものが最近まとまっておりますが、それによりますと、たとえば小学校におきましては、この五年間に一三四、三十二年度を一〇〇といたしまして一三四、中学校におきましては一五五、高等学校におきましては一三四、こういうような比率になっておりまして、   〔委員長退席、理事村山道雄君着席〕 相当程度の増加になっております。しかし、これがいかなる原因かということになりますると、必ずしも的確に、詳細に科学的に申し上げることはできない部面も多いように思いますけれども、たとえば小学校の場合などにおきましては、やはり一般物価その他の値上がりというようなことがある程度影響しているのではないかと考えられます。
  151. 加瀬完

    加瀬完君 この昭和三十年を基準といたしますと、三十九年は消費者物価で三二%上がっておりますね。ところが父兄負担は小学校が七五%、中学校が八九%、高等学校は一五一%上がっておるわけです。この原因は、父兄の私は寄付等の家計支出の上昇にあると思うわけです。  そこで、順序が若干変更になりまして、御理解がしにくいかと存じますが、増原さんが御用があるそうですから、そこで増原さんに先に伺いますが、地方財政法の第四条の五によりますと、割り当て寄付金等の禁止が規定をされておるわけです。ところが、国の寄付金というのが非常に多い。そこで、施設設備後援会とか、何々校舎建設期成会といったようなものは、「直接であると間接であるを問わず、」といっておる、この間接の団体によって寄付を集めるということには解釈できないかどうか。
  152. 増原恵吉

    国務大臣(増原恵吉君) いまお尋ねの実体的な趣旨は、各地方において、主として学校等が多いわけでございますが、これを誘致するという熱意のあらわれとして、いろいろの形をとっておるわけでございます。間接と明確に言い切れないような粉飾をしておるのでございまして、法規解釈上直ちに間接と言い切れないものもあるようでございます。しかし、これは実体は、法規において禁止をしておる実体のものである場合があるのでございまして、これについては、行管としては、三十六年に監察をいたしまして、そうした事態のないように関係省庁に勧告をいたしておるという実情でございます。
  153. 加瀬完

    加瀬完君 文部大臣に伺いますが、長崎大学の東南アジア研究助成会というのはどういうものですか。
  154. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 長崎大学に東南アジア研究助成会というものがありますことは、承知いたしております。
  155. 加瀬完

    加瀬完君 どういうものですか、これは。
  156. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは担当の政府委員から正確にお答えしたほうがよろしいかと思いますが、私の理解しておりますところでは、旧長崎高商等の卒業生、それから現在の長崎大学の経済学部の卒業生といったような人たちが、特に長崎高商の沿革や伝統から見まして、東南アジアの経済研究調査ということを大いに自分たちの母校において進めていきたいということで、そういう趣旨の後援の目的で設立されたものと私は了解いたしておりますが、なお詳しいことは、ちょっと事前に準備しておりませんでしたので、ここに資料を持っておりません。
  157. 加瀬完

    加瀬完君 これが、長崎大学に三千四百二十万寄付をしているわけですね。国が寄付を受ける団体の基準というものは、文部省が一番寄付をもらっておるわけですから、文部省に伺いますが、どういうものですか。
  158. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 先ほど増原大臣からも御答弁がありましたけれども、いま申しましたような、長崎大学の例にございますような、特定の目的で、しかも特定の人たちが自発的に拠金をして、これを学術研究あるいは大学の研究等に寄付をするということは、法規上も受け入れてしかるべきものかと考えておるわけでありまして、これはしかし、その寄付金の用途あるいは目的等にかんがみまして、その経理その他については監査を十分にすることになっておるはずでございます。
  159. 加瀬完

    加瀬完君 それではですね、名古屋大学施設整備後援会というものが十三億七千五百三十六万虫付をしておりますが、これもよろしい団体だと、寄付はいただいてもよろしいということですか。
  160. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) その件につきましては、私いま承知いたしておりませんので、さっそく政府委員を呼びますから、しばらくお待ちください。
  161. 加瀬完

    加瀬完君 大阪の学芸大の付属平野中学の幼稚園は、三千五百六十一万円やはり付属幼稚園をつくるについて父兄に寄付をもらっているわけです。愛知の学芸大の付属岡崎中学校のPTAでも二千九百八十八万円、これは幼稚園をつくるのに寄付をいたしております。付属幼稚園、付属小中学校をつくるときに、必ず地元寄付というものを求めている。これは、増原さんのおっしゃる御説明によりますれば、違反じゃございませんか。違反が昭和三十三年に比べて三十七年は四倍になっている。こういう実態を文部省はどうお考えになりますか。
  162. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは私は、その寄付の内容なり実体によるものであると思うのでありまして、先ほど申し上げましたように、完全な自発的、自主的、かつ目的のよろしいものでありますならば、これを受け入れてよろしいと思いますけれども、これが強制的、割り当て的というようなものでありますならば、少なくとも法律の趣旨には反するものと思います。したがって、私といたしましては、こういうことは、強制的な寄付というようなことは、全部、かりにそういうにおいのものがあれば、やめさせるべきであると考えまして、昨日当委員会でも申し上げましたとおり、すでに決算委員会等におきましても御指摘のあるところもございますので、こういう点については、まず第一に、あやまちを改めるのにはばからない。四十年度におきましては、国立の高専その他の敷地等の問題についても、そういったような問題が絶対に起こらないように処置をする、こういうかまえ方で用意をいたしております。  それから、三十九年度以前におきまして、たとえば地元、あるいは県その他の所有の土地等の無償の提供を受けておるようなもの、こういうものにつきましても、漸次国有地と交換をする、あるいは有償で借り上げ料を払うというような処置をいたしまして、従来のものにさかのぼりまして筋を立ててまいりたい、かような私は決心で事に当たっておるつもりであります。
  163. 加瀬完

    加瀬完君 付属小中学校だけでも、二億以上の寄付金というものを集めております。それで、私もその席にいた例があるわけでございますが、学長が出て、学部長が出て、そして後援会をつくることを依頼をしておる。それは明らかに、間接ではありますけれども、「寄附金を割り当てて強制的に徴収する」内容にはなりませんか、法制局に伺います。
  164. 荒井勇

    政府委員(荒井勇君) その学校長が、たとえば卒業生でるあとかあるいは後援団体というようなものの会合に出席をいたしまして、寄付を要望するということがあった場合に、地方財政法の第四条の五にいうところの「割り当てて強制的に徴収する」というものに当たるかどうかということでございますが、それは方法のいかんといいますか、自発的な寄付があることを要望するということで、実際において強制するというからには、何らかの担保手段というものをもって、それに従わない場合には不利益が伴う、こういうような方法が同時に伴いまして、そして間接なり直接なりにその納付を強要するということがありますれば、これに当たるか、たとえばそれが同窓会の会員としての資格を剥奪するとか、その他の不利益を伴うとかというようなことがあれば強要であろうということでございますが、それは卒業生等で自発的に納付をするのだということで、それに対して要望をしたいとうような場合に、直ちに四条の五に当たるかどうかについては、それぞれのそのときの実態によると思います。
  165. 加瀬完

    加瀬完君 そんなことを聞いてない。いま実態を出したでしょう。これが違反かどうかということを聞いているのです。後援会をつくるからと言って、学部長や学長の名前で人を集めて、これこれの学校にこれだけの校舎をつくるのだから寄付団体をつくってもらいたいということであれば、これは団体をつくるでしょう、関係者は。つくれば当然それは一面、強制を伴う徴収をするでしょう。明らかに間接であっても第四条の五にぴたりじゃないですか。こういう具体的な例を一体、法律違反であるかないかと、イエスかノーかと答えられないような法制局なら、かわりの人をよこしなさい。  文部大臣、いまのような問題どうお考えになりますか。
  166. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは法制的な御質問でございますから、私がお答えするのもいかがかと思いますけれども、これはまあ事柄が事柄でありますから、率直に申しますと、非常に微妙なところがあると思います。だれしも子供の教育ということには親として非常に熱心な立場にございますから、少しでもよくしたいという気持ちが一方にあるわけでございまして、これが後援会というかっこうになり、そして、それが自発的に、それでは出せるものから寄付をしようというようなことであるならば、私は法の趣旨にも違反しないと思います。しかし、昨日もこの席でも問題になりましたが、ある父兄に対して、たとえば一口三百円ずつ拠出をする、ほとんど強制的になって、そして、出せない場合はこれをだれだれに届け出てその了解を得ろ、こういうことになることは、私は行き過ぎでありますし、違法のにおいがすると思いますから、さようなものについては、許可をすべきではない。これはたとえば縁故債というようなことも昨日も問題になりましたけれども、こういう点については、厳に措置をしなければならないと思います。  しかし、同時に、政府といたしましては、たとえば公立学校の施設費、あるいは国立学校の施設費等つきましても、しばしばここでも問題になっておりますが、たとえば単価の問題であるとか、あるいは構造比率の問題であるとか、こういう点がもっと基本的な問題である。そこで、四十年度におきましては、ずいぶん私どもとしてもくふうをいたしたつもりでございまして、たとえば公立学校の建物の経費などにいたしましても、できるだけ鉄骨、鉄筋等の歩合を多くする、それから、その単価については、前年度の実績と同額のものにしたい、こうすることが私は考え方として正しいと思うのであります。  その考え方に基づきまして、四十年度におきましては、たとえば木造というようなものはできるだけ少なくしまして、たとえば木造の校舎について木造の増築をするというようなものは、これは木造でけっこうであると思いますけれども、新設とか、あるいは老朽校舎等についての代替に建築をするという場合には、できるだけ木造でないものの比率を多くする、そして、とりあえずやらなければならぬことは、最近の実績と同様の単価を認めてもらうということ、これは鉄筋等につきましては、三十九年度の基準になりました単価を八・七%上げておりますが、これはほぼ実績に近いわけでございます。そういう点から、逐次漸を追うて基本的なことを解決していくということが、一番私は大切なことじゃないかと思います。くどいようでございますが、強制にわたるような寄付は、断然排撃していかなければならない、こういう姿勢で文部省としてはやってまいりたいと思います。
  167. 加瀬完

    加瀬完君 この態様は強制みたいではなくとも、実質的には強制をしているのが寄付の性格です。だから、寄付そのものをずばりととめなければ、この問題の解決はできないと思います。この点を要望いたします。  並びに、高校授業料あるいは私大の入学に伴う経費というものが、非常にこのごろかさんでまいりました。高校などは、授業料の前に寄付をとられている。その上に授業料が上がっている傾向でございます。それはともかくといたしまして、こういう授業料の値上げ、あるいは私大の入学に伴う経費の暴騰、こういうことを無条件に許しておけば、これが生計費あるいは物価というものに響きを与えないとお考えになりますか。企画庁。
  168. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、そういうのが出て、家計費のうちで教育費、娯楽費または雑費という形で数字にあがってきているものと承知いたしております。
  169. 加瀬完

    加瀬完君 医科歯科大学の支出ですね。これは平均五十六万五千円という計数があがっております。月平均にして四万七千円、これはお認めになりますか。文部大臣
  170. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 遺憾でございますが、認めざるを得ません。
  171. 加瀬完

    加瀬完君 授業料だけをとりましても、二十万あるいは十五万、そうしますと、月にして一万五千円から一万七千円ということになります。これが七万円前後の家計にどういう影響を与えますか。企画庁長官願います。
  172. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 個々のそういうふうな具体的な場合においては、私は、その家計に対して相当な圧迫になるものと考えざるを得ないと思います。なお、そういう事態においては、過去の蓄積がそういうものに相当充てられるか、あるいは、どういう形でそれらの金が調達されるか、それらの点はいろいろあると思いますが、とにかく一時的にしろ、相当大きな家計の圧迫になっていることは事実であると思います。
  173. 加瀬完

    加瀬完君 所得の伸びを大体一〇%に見て、そうしますと、これは少なくも一〇%をこえるような一カ月の支出ということになりますね。この授業料を押える政治的な対策というものは、政府においてはお考えにならないのですか。もちろん、これは私学に対するいろいろの対策というものは伴うわけでございますが、この点は大蔵大臣、いかがですか。
  174. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 現在、私学の授業料は値上げをされておったり、また、入学に対しての入学金が高くなったり、別途、寄付金を出したり、家計に相当大きな影響があることはもう申すまでもございません。大学でございますから、大体二十歳前後、父親というものは社会に出てから二十四、五年以上になっておるわけであります。でありますから、いま企画庁長官が述べられましたように、過去の蓄積を取りくずして入学金を納めたり寄付を行なったりということになるわけであります。しかし、子供が五、六人もおって、みな大学を出る、こういうことになると、たいへんなことだと思います。非常にたいへんだと思います。たいへんだと思いますが、いまの状態で、財政上も寄付免税の制度をとっておりますし、また、私学振興会から長期低利の金を貸し付ける、こういうことにいたしておるわけでありまして、これ以上経常経費まで一般会計が負担して補助をするというような状態につきましては、これは御議論はたくさんありますが、私学の本質的な立場から考えて、財政負担していくべきものではない、かように考えております。
  175. 加瀬完

    加瀬完君 文部大臣に伺いますが、私学の授業料、入学金その他の一年に要する経費というもので、非常に高い各学校の調査がおわかりでございましたらお知らせをいただきます。  もう一つは、このほかに、入学をするときにいろいろの条件をつけて寄付を取られておりますね。こういう問題を何らか阻止をする方法はないのか、あるいは私学振興等について政府としてのお考えがないのか、これらの点を伺います。
  176. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 先ほども御指摘がございましたように、医学部の私立の場合などは、一番そういった意味で経費がかさむわけでございます。それから一般的に申しましても、大体私立大学の月謝だけをとってみましても、平均して、四十年度は七万円近くになっておると思いますが、これは、国立に比しまして非常な高額の授業料になっております。そのほか、入学に際しましては、いろいろの名目でいろいろの金を取られる。これは先般、慶応義塾におきましての紛争にも象徴されているところでありまして、私どもとしては実に心を痛めている問題であります。  御承知のように、これまでは、私学に対しては、何と申しましょうか、サポートはある程度必要であろうが、いわゆるノー・コントロールということで、私学を尊重し、また建学の精神をたっとんで、政府としては、ノー・コントロール、いわゆる口は出さないということを原則として考えておりましたけれども、今日の実情から申しますと、大学生が百万人、そうしてそのうちの七十万人が私学である。この比率は、おそらく今後大学志願者が急増するピークの時期においても変わることはなかろうかと思います。そういう点から考えまして、いま大蔵大臣からもお話がありましたように、いろいろの点で四十年度においてもくふうをこらしたわけでございますが、これにとうてい満足しているわけにはまいりませんので、さしむき四十一年度を目がけまして、私学助成方策について、ひとつ広い範囲で徹底して取り上げてまいりたい。そうして、緊急対策と恒久的に私学のあり方ということをどうとらえていくか、実は昨日も、御承知かと思いますが、ある新聞に、憲法問題と私学の助成ということについての一つの意見も出ているくらいでございまして、この問題は実に私もむずかしい問題であると思います。しかし、むずかしいからといって回避するわけにまいりませんので、財政的ないろいろの助成方策のあり方、あるいは大学の一体どういう点を拡充したらいいか、あるいは資質を向上するのにどうしたらいいか、あるいはまた先生は、必要な、りっぱな人たちを末長く確保するのにはどうしたらいいか、というようないろいろの問題をあわせまして、真剣に、これは全国民的な問題として取り上げ、かつ対策を至急樹立していかなければならないと考えております。その中の一つとして、たとえば授業料あるいは入学金等に対しても、政府がある種のコントロールをやることは適当であるかどうか、やるとすれば、その背景になり、基礎になるようないろいろの条件をまた具備しなければならないと思います。そういう点から、そういう点をもあわせまして取り上げてまいりたい。いま直ちにここで御答弁を申し上げますのには、あまりにも大きな問題であると思いますので、いましばらく時間的な余裕をお与え願いたいと思います。
  177. 加瀬完

    加瀬完君 私のささやかな調査で見ましても、ある歯科大学は八十万、そのうち建設費に対する寄付が五十万。ある女子の医大は六十七万、このうち三十五万は建設の寄付。ある大学の歯科は七十八万、このうち五十五万が建設の寄付。そうすると、寄付金を納められない者は、能力がありましても、私立におきましての学習に入るということはできないということになりますね。こういう現状というものをどうお考えになるか。しかも、国立大学で全部まかなうわけにいかないのですから、私立に行かざるを得ない。そうなりますと、これは大きに家計にはね返りまして、教育費が四〇%増というようなこともあり得る。これは、物価対策という立場から、私学の授業料等を、あるいは入学に伴う経費等を、このままにしておいていいかどうか。これは経済企画庁の長官に最後に伺います。——聞いてなければだめですよ。
  178. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) ただいまのお尋ねは、私立大学に入学する際に、相当入学金のほかに多額の寄付金を要請されておるのが現実の姿である、こういう姿の状態で、はたしていいのかどうかという御質問だったと存じますが、これは本来文部大臣からお答えいたすべき筋合いの事柄であろうと思いますが、物価の面から申しまするならば、これが直接に物価に影響するとは存じませんけれども、国民の生計費に相当大きな負担になるということについては、これは御指摘のとおりだろうと存じます。したがって、こういう面については、何とかできるだけそういうことが少なくなるような措置をとるような努力をすることが望ましいと、こう申し上げざるを得ないと存じます。
  179. 加瀬完

    加瀬完君 最後に、防衛庁の長官に伺いますが、首都防衛のために陸上自衛隊は東京周辺に四カ所のホークの基地をつくるということでありますが、その中に、千葉の柏、下志津は候補地だということでございますが、さようでございますか。
  180. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 御指摘のとおり、四十一年度にホーク二個大隊を設置することが第二次防衛計画にきまっておりまして、一個大隊は、すでにこの二月でございますか、千歳地区に配備を完了しておりまして、あと一個大隊を、首都防衛のために東京周辺に設置したいと、目下候補地を物色中でございます。いま加瀬委員から御指摘の千葉県の下志津、柏の問題は、それが一つの候補地として——幾つも検討しておりまするけれども、いまだ、ここにホーク大隊を置くと決定したようなことはございませんで、全体にわたって東京周辺を検討をいたしておる段階でございますので、千葉県の柏と下志津が必ずしも候補地というところまでには、まだいっていない段階でございます。
  181. 加瀬完

    加瀬完君 土地買収は進行中でございますね。
  182. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) これは地元で加瀬先生一番御承知のとおり、柏の射撃場は関東地方でただ一つの射撃場でございまして、各部隊がここで射撃を行ないますので、数年前から、射撃場が狭い、何とか拡張をしてもらえないかという要望がございまして、付近の方々にも相談を進めて、土地が得らるれば拡張をしたいということを今日までやっておったわけでございますが、最近、これもまだ決定ではございませんが、多少の土地が入手できるというようなことで、地元側と交渉を進めておるということは私も承知いたしております。
  183. 加瀬完

    加瀬完君 これは、現在使っております射撃場の拡張だけでございますか。そうではなくて、この射撃場はホークの使用地にも当てはまる、そういう意味も含まれておらないのですか、全然。
  184. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) これは前から、射撃場が狭いので拡張をしてほしいという部隊の要望がございまして、地元の方々にも一お願いをしておったのでございまして、ホーク大隊、ホークの基地をここに置くということは関係なしに、いままでの県案をできるだけ解決したいということで、鋭意地元の方々にお願いをいたしておるわけでございます。   〔理事村山道雄君退席、委員長着席〕
  185. 加瀬完

    加瀬完君 ホークの基地には、土地取得の暁にもならないということは保証されておるのですか。
  186. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 射撃場を広くいたしますために、いま土地の取得をいたしておるわけでございまするが、その結果は、ホークの基地にはならないとか、なるとかということは、いまの段階では明瞭に申し上げる段階でございません。ただ、いままでの懸案としての射撃場を広くしたいという要望を満たすために土地の取得を進めておるという段階でございます。
  187. 加瀬完

    加瀬完君 いまの射撃場の面積は幾らですか。それから拡張をする面積は幾らですか。
  188. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 政府委員から答弁いたさせます。
  189. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) お答え申し上げます。  柏の現在の面積は約一万七千坪ございます。で、現在話をいたしておりますのは約二万坪程度のところを取得できないかどうかということを地元と相談をいたしております。  それから下志津のほうは、これは大体現在あります駐とん地の隣接しておりますところを約一万坪、これは話が進んでおる……。
  190. 加瀬完

    加瀬完君 これも射撃場……。
  191. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) これは、下志津は学校でございます。
  192. 加瀬完

    加瀬完君 柏の場合は、射撃場の拡張という言い分でございますが、下志津の場合の一万坪の拡張は、学校の敷地を拡張するという名目ですか。
  193. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) 下志津の訓練場は現在約九万七千坪程度でございますが、車両が非常に多うございまして、なかなか狭隘をきわめておるわけでございます。したがって、約一万坪程度を外側にふやてくれということは数年前から地元のほうから要望されておりまして、今回その話がようやくまとまった、こういう次第でございます。
  194. 加瀬完

    加瀬完君 この射撃場の拡張が、やがてホークの基地に発展をするということであれば、率直に、これはホークの基地にもなる可能性があるという点をやはり指摘をして地元に交渉をしていただかなければ、私は困ると思う。  で、防衛上、政府は、その地域の発展あるいは住民の福祉、こういうものを阻害しても建設を進めなければならない、こういうお考えではないと思う。この周囲の状況を御存じですか。地方開発の計画で、工場地域として指定をされ、あるいは住宅地域として指定されて、大体この射撃場の敷地と目される所から四キロ以内に二つの公団団地がございますね。周囲の四キロ以内の人口は大体二十万ございますね。こういう点が何ら考慮されなくてホークの基地というものに将来なる可能性というものを防衛庁はお認めになるかどうか、この点をまず聞きます。
  195. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 基地を設置いたしますには、当然地元の方々の御了解、御納得をいただき、そうして将来にわたってもそれに協力をしていただくということでなければならないのでございまして、今回東京周辺にホークの基地を設置いたすにつきましても、十分地元側の御了解、御納得をいただいて進めなければならないということで、私もそれを指示いたしておりますし、ただいまどこということではなく、要するに、基地としてホーク大隊を置く場所としてこちらで要望する場合には、地元の方と十分の話し合いを進めて御了解を得た上に設置しようと考えている次第でごございます。
  196. 加瀬完

    加瀬完君 地元の市長が防衛施設庁を訪ねて、ホーク基地か、単なる射撃場の拡張というのか、ホークの基地ということであれば遺憾ながら賛成しかねる、地元の意思が、ホークの基地であれば反対をしなければならないということなんだが、どうなんだという問い合わせをいたしたはずでございます。そのときに、ホークの基地になるかどうかはわからない、ただ射撃場を拡張するという、いま大臣がおっしゃったことと大同小異の御説明しかない。そうなってまいりますと、地元の市長としては、住民からはホークの基地について反対をしろと言われるし、ホークの基地かどうかということは、関係当局にただしても、はっきりお答えがないで困っている。もっと率直に、ホークの基地に将来ならないとか、なる可能性があるとか、この点をひとつお答えをいただきたい。
  197. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 地方の方々のお考え方はよく了承しておりますので、ただいま加瀬委員からお話のありましたような地元の陳情もあるということは私も承っております。先ほど来申し上げましたとおり、万一ホークの基地にしたいというような具体的な検討に入る場合には、基地周辺の方々の御協力がなければ将来もうまくいかないのでございますので、あくまでも御了解を得た上に話を進めていくという方針を堅持いたしておるわけでございます。
  198. 加瀬完

    加瀬完君 この射撃場の二キロ以内には、精神病院が二つ、結核病院が二つ、それから五百メートル、六百メートル付近には学校が二つ。御存じですね。ここには東電の十万ボルトの送電線が通っている。こういうものは、一体基地を設置するための不適当な条件とはならないのかどうか。ホークの場合ですね。
  199. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) いま地元の加瀬委員からも御指摘のとおり、いろいろな周辺の事情を今後も十分調査をいたしまして、あくまでも地元の御了解、御納得を得た上で物事を進めていくという、どこに限らず、方針をきめておりますので、鋭意そういう方向に十分注意して、万一候補地となった場合においても、地元の方々の意思、周囲の事情等を慎重に勘案して進めなければならないと考えております。
  200. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、場所は千葉県柏市大字大室、大体三万坪の土地を買収にかかっておりますね。ホークの基地でないということが明確になるまでこれは交渉には応じない。よろしゅうございますね。
  201. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) いま事務当局で地元の方々と交渉の継続中だそうでございまして、地元の方々と十分御相談の上で進めるように私からも注意をいたしておきます。
  202. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 加瀬君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  203. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 委員の変更がございました。  大倉精一君が辞任され、北村暢君が選任されました。     —————————————
  204. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) この際、去る四日の委員会において、公述人の数及び選定は、これを委員長に御一任いただいておりましたが、次のとおり決定いたしましたので御報告いたします。  一橋大学教授木村元一君、京都大学教授桑原正信君、大阪市立大学教授近藤文二君、日本労働組合総評議会政治局長安恒良一君、日本医師会常任理事川合弘一君、角丸証券株式会社常務取締役中村孝俊君、商工組合中央金庫調査部長小林恒夫君、武蔵大学教授小沢辰男君、朝日新聞論説副主幹江幡清君、日本生活協同組合連合会副会長十二村吉辰君、大学院学生林丈樹君、以上であります。  本日はこの程度にいたしまして、明後十五日午前十時に委員会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時二分散会