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国務大臣(
佐藤榮作君) 木村さんから関連
質問でお話がございました高度
経済成長、これはもうたびたび申しておるように、それなりにりっぱな功績をあげてまいりました。しかしながら、一昨年来、この高度
経済成長に対してこれは引き締めをすることが望ましい、そうして
経済を安定
成長の基調へ乗せよう、こういう努力は払ってまいりました。このこともその当時としてはこれはけっこうなことだ、こういうことで、各方面から御
賛成を得、そういう
意味で金融引き締めを実施いたしたわけであります。私になりましてからはむしろ金融はゆるめた。こういう
状況であり、この金融をゆるめたことについてむしろ逆な批判がある。ただいまの
経済はもっと
責任性をはっきりしなければだめじゃないか、かような
意味からもおしかりを受けておるというのがいまの現状でございます。ただ、私は千葉さんに対するお答えも、ただいま中小企業の倒産なんか、あるいはいわゆる開運あるいは下請産業としての失業なのか、そういう点を十分ひとつ分けて
考えていただきたいと思うのです。先ほど来あげましたような、会社が更生に入る。そのためにその下請産業として存在していた中小企業、それらのものが非常な
影響を受ける、これを何とかして救済しよう、かように実は申しておるのでありまして、いわゆる一般中小企業に対する
対策、これは大企業も同じでありますが、もちろん
責任をもって経営に臨んでもらわなければならない。しかしながら、今回のような大企業が倒れることによって、その企業に依存して、そうして下請の形において中小企業を経営している、これには全然
責任は実はないのであります。そういうものがいわゆる連鎖倒産という形で倒産されることは、いかにもそのままほうっておくわけにはいかないじゃないか、だから、こういうものに対しては特別に金融の
措置をとろうじゃないかというので、そういうものはめんどうを見ておるということを実は申しておるのであります。
一千万円以上の資本金のもので中小企業は一体どういう実情にあるか、こういうことを仰せになりますが、私は中小企業も一がいに簡単には言えない。その経営自身におきましても、十分その
責任のとれるような
立場にある中小企業もあるし、ただいま申し上げるような、下請産業としてその存在が許されていた、そういう場合はどちらかというと、大企業
——自分がたよっている親企業自身が倒れた、何ら
責任がないのだ、こういうところのものを私
どもは救済しなければならない。中小企業の中にこれはほとんど一〇〇%その企業にたよっておるというものがある。自分ところの製品納入先はその会社だけだ。こういう場合には、そういう企業について心からの同情を示す特殊な金融をしなければならない、かように思います。しかして、一般の企業については、冒頭に申しましたように、それは年末金融の施策なりあるいは盆の施策なりで特殊に金融の量はふやしてそれぞれめんどうを見ておる。また、今回の
予算編成にあたっても、中小企業
対策というものを特別にやっておる。これでよくおわかりだと思いますし、また、一般の中小企業の方も御理解がいただけるのじゃないか。ただ、ただいま申し上げるいわゆる連鎖倒産、こういうものについては私
ども特に気をつけていかなきゃならない。もう一つは、一般
経済界の問題でいわゆる黒字倒産、こういうようなものに追い落とされておる中小企業もあるし、そういうものに対しては、その特殊性にかんがみまして、私
どもが格別に救いの手を差し伸べる、これが当然のことだと、こういう
意味で、
大蔵大臣なり通産
大臣がいろいろ努力しておる。どうか誤解のないようにお願いをしておきます。