○鈴木強君 私は、伊藤議員の
提案いたしました重
宗雄三議長を信任せずの決議案に対し、賛成の討論をいたしたいと存じます。
すでに
提案者並びに同僚議員から、重宗
議長の御経歴につきましてはお述べになっておりますから、私は触れませんが、その人格、識見、経歴におきまして、私
どもひとしく尊敬し、信頼し、また、敬愛をいたしておったのでございます。
議長に御就任以来、私
どもは、たった
一つ心配をいたしておりましたのは、このようなりっぱなお人柄であられます
議長が、はたして国権の最高機関の
議長として、自由民主党の党籍をお持ちのまま、厳正、公正、中立な
議長の職責が果たされますかどうか、危惧をいたしておったことは事実でございます。案の定、すでに例の石炭
国会といわれましたときの木内四郎
委員長の場合の補正予算、さらに、また、私が
社会労働
委員長でありましたときの失対法の
中間報告等、明らかに、
委員会に付託をされ、
提案理由の説明を聞いたのみで、何らの
審議もいたしませんものを、
国会法五十六条の三をかってに解釈いたしまして
中間報告を求めてまいっておるのであります。これは明らかに、私
どもが心配いたしました、自由民主党の圧力に屈して
議長がおやりになりました、議会政治にあってはならない暴挙であったと存ずるのでございます。しかし、
一つ私が感心いたしましたのは、先般の北村議員が論及になりました、俗称スーパーマーケットの
審議の際、これは本年の四月二日でありますが、
社会党、公明党、民社党の
委員のおらない中で自由民主党は単独
審査を強行実施いたしたことがございます。これは非常に問題になりまして、
国会対策の場におきましてもいろいろと協議がなされました。すでに仲原
委員長は、
議長の手元に可決
報告書を送っておったのであります。しかし、重宗
議長は、この場合には、佐藤総理の単独
審査はしないということ、民主主義の原理に立って、この可決
報告書を
委員会に差し戻し、
委員会の
審議をもとに戻して再出発されたことであります。私は、この措置はまことに
議長として適切なものであり、過去二回の
中間報告の暴挙は、この
一つの事実によって、私は必ず今後重宗
議長の信条として、
議長でいらっしゃる間は、必ずやらないことを実現していただけるものと信頼をしておったのでございます。ところが、今回の
農地報償法案の
審議に際しまして、この私の強い信頼は一挙にくずれ去ったことは、まことに遺憾と言わなければなりません。本来、この
法案の重要性は、いまさら論ずる必要はないと私は思います。少なくとも千五百億の血税が一部の
人たちに二重払いになるという大事な
法案であります。私
たちは、与
野党を問わず、予算案と並べて今
国会のきわめて
重要法案として、この
審査に当たってまいったはずであります。御
承知のとおり、
衆議院におきましては、先般十三日、わが党の川俣清音代議士が
質疑中に、強引な自由民主党の
質疑打ち切り、討論、採決によって、これが可決されたと称し、十四日の本
会議に通過をして、こちらに回付されました。私
どもはのこ
審査につきましては、問題が問題だけに、しかもまた、
衆議院段階におけるあのような不正常な形において採決をされました
法案であるだけに、いまこそ、
参議院の本来の
使命に
かんがみ、
衆議院の足らざるところを補い、
慎重審議をいたし、
国民の前にわれわれの
責任を果たしたいと、かように考えておったのでありますが、御
承知のとおり、今日
中間報告をされます段階において、三つ問題が残されております。その
一つは、少なくとも
衆議院段階がきわめて横暴、無謀な
審査をいたしておりますが、それでも
連合審査と
参考人の皆さんの
意見だけは聴取をいたしております。しかしながら、
参議院におきましては、この
連合審査、
参考人の
皆さん方の御
意見すら聞けなかった、聞かなかった、聞く耳持たなかった。さらにまた大事なことは、亀田得治議員あるいは野溝勝議員等があの
委員会において、この
法律案の一番重要であります
国民の血税二重払いの問題に対して、
農地解放以来の歴史的な見地から、
提案者である臼井総理府総務長官に
質疑をいたしましたが、その
答弁は何びとも納得できない
答弁でありました。したがって、
政府の
責任者である佐藤総理大臣に御出席をいただき、所信をただすべく、亀田議員はその主張をいたしておったのでありますが、御
承知のとおり、十八日午後九時八分、
自民党の多数横暴によって
質疑の打ち切りが敢行されました。ですから、こういう大事な
法案で、尽くすべき
審議も尽くさなかった。私は非常に残念に思います。民主主義というものは、少数は多数に従う、しかし、多数は少数を尊重することであります。私は、かつてILOの総会に日本の労働代表として出席をしたことがございますが、ここにお集まりの皆さんより以上に多くの、全世界の百数十カ国の代表が集まっております。その皆さんが、本
会議場で論議する場合には、どんな小さな国でも自由に発言をし、時間制限やそんなことはありません。そして、
議長は、最後に、もう発言はございませんか。言いたいことはありませんか
——ここまで
意見を聞きます。そうして採決をいたします。その場合に、少数の
人たちは、われわれの
意見を十分に聞いてくれたということによって、その採決に不満はあっても従っていくのであります。私は、願わくば、この民主主義の原理というものが国権の最高機関である
国会の中に築き上げられることを願うものであります。ですから、言論の自由を封殺し、時間制限によってこれを押えようとするその行き方が、私は間違いだと思うのであります。そういう幾つかの問題点を残したこの
農地報償法案に対して、
草葉隆圓さんは、ちょうど失対法のときにも、あなたは
中間報告の
動議を出しました。私はまだ忘れられない。そういうわけで、そういう
動議がもし出たとしても、私は、
議長は少なくともそこにおいて最善の努力をすべきであります。
国会法五十六条の三に、
中間報告の制度はございますが、これはレア・ケースでありまして、本来軽々に発動すべき規定では私はないと思います。日本のように、恒常的に、恒例的にこれが行なわれるということは、これは民主主義のまだ未発展な段階におけるきわめて遺憾な現象だと、私は思うのであります。したがって、あのとき
議長は、なるほど、各党の
責任者を
議長室にお呼びになりました。そうして
一つの案を示されましたが、それは、私
たちに死刑の宣告をするような、自由民主党の立場に立った一方的な考えを押しつけようとしたものでありまして、これでは私
たちは絶対に納得できません。ですから私は、かりに百歩を譲って、この
中間報告を発動したとしても、この
内容の中には、時間をかけて
委員会において
審査をすることのできるものもあります。このようにして、いままで
審議のできなかった点を十分に
審議を尽くすことを、なぜ
議長はわれわれに言っていただけなかったのでしょうか。そういうふうな当然わかり切っていることをおやりにならないで、自由民主党の力に押されて、
議長があえてこの
中間報告を取り上げ、
議長職権によってこの本
会議を招集したということは、
議長の
責任を私は果たしておらないと思うのであります。
かような立場に立ちまして、私
ども信頼しておりました重宗
議長が、スーパーマーケット
法案のときは、ほんとうの
気持ちではなくて、再びもとに戻ってしまった。これでは私
たちは、今後信頼をして重宗
議長のもとにこの運営をすることはできない。これが私のこの信任せずの決議案に賛成する大きな
理由の
一つでございます。
なお私は、たいへん恐縮ですが、もう一言だけ触れさせていただきたい。これは他の議員からも論及されておりましたように、少なくとも私は、
議長、副
議長は党籍を離脱すべきであるし、また、副
議長は第二党である
社会党に渡すべきである。この考え方は、ぜひ今後
国会の中で私は実現したいものだと思うのであります。そうすることによって
お互いに相協力をし、この中に融合を見出し、統一を見出して、必ず私は、もっとよりりっぱな
国会の運営ができることを信ずるのであります。
重宗
議長は、最初当選されたときは無所属で出られまして、したがって、その後
自民党に入られておりますが、他の
議長と違って、たとえば
議長になられる場合でも、確かに重宗さんの心の中には、どこかに党籍を離脱しようという
気持ちのあったことを、漏れ承っているのであります。しかしながら、それができなかった。それから、また、副
議長の問題につきましても、かつて重宗さんが自由民主党の議員会長であらせられましたときに、前の私
どもの千葉会長との間に、この副
議長の問題についても、
国会正常化の大きな柱として寄り寄り御相談がございました。私
たちは当時の千葉会長から、そのことについては、重宗
議長も了解を大体されている、そうして機会を見て実現するというお考えだということを、私
たちは伺いまして、まことにりっぱなお考えを持った方だと思っておりました。ですから、そういったことも
お互いにひとつ考えてもらう。そうして重宗さんが勇断をもって私は自由民主党の党籍を離れ、公平の立場に立ってやってもらうことと、もう
一つは、副
議長をぜひ第二党である
社会党に渡してもらって、今後の正常化のために努力するように、私は期待するものであります。
以上をもちまして私は賛成の討論といたします。(
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