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1965-05-12 第48回国会 参議院 本会議 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十二日(水曜日)    午前十時二十九分開議     —————————————議事日程 第十九号   昭和四十年五月十二日    午前十時開議  第一 砂糖価格安定等に関する法律案及び沖   繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一   部を改正する法律案閣法第一三二号)(趣   旨説明)  第二 優生保護法の一部を改正する法律案(社   会労働委員長提出)  第三 港湾労働法案内閣提出衆議院送付)  第四 戦傷病者特別援護法の一部を改正する法   律案内閣提出衆議院送付)  第五 戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給   法案内閣提出衆議院送付)  第六 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を   改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第七 閉鎖機関令等規定によつてされた信託   の処理に関する法律案平島敏夫君外一名発   議)  第八 電波法の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第九 日本自動車ターミナル株式会社法案(内   閣提出、衆議院送付)  第一〇 小規模企業共済法案内閣提出衆議   院送付)  第一一 核原料物質核燃料物質及び原子炉の   規制に関する法律の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第一二 食料品総合小売市場管理会法案(第四   十六回国会内閣提出衆議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、常任委員長辞任の件  一、常任委員長選挙  一、日程第一 砂糖価格安定等に関する法律   案及び沖繩産糖政府買入れに関する特別措   置法の一部を改正する法律案閣法第一三二   号)(趣旨説明)  一、日程第二 優生保護法の一部を改正する法   律案社会労働委員長提出)  一、日程第三 港湾労働法案内閣提出衆議   院送付)  一、日程第四 戦傷病者特別援護法の一部を改   正する法律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第五 戦没者等遺族に対する特別弔   慰金支給法案内閣提出衆議院送付)  一、日程第六 戦傷病者戦没者遺族等援護法等   の一部を改正する法律案内閣提出衆議院   送付)  一、日程第七 閉鎖機関令等規定によってさ   れた信託処理に関する法律案平島敏夫君   外一名発議)  一、日程第八 電波法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  一、日程第九 日本自動車ターミナル株式会社   法案内閣提出衆議院送付)  一、日程第一〇 小規模企業共済法案内閣提   出、衆議院送付)  一、日程第一一 核原料物質核燃料物質及び   原子炉規制に関する法律の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第一二 食料品総合小売市場管理会法   案(第四十六回国会内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。       社会労働委員長  藤田藤太郎君       逓信委員長    占部 秀男君       建設委員長    安田 敏雄君       決算委員長    柴谷  要君       懲罰委員長    武内 五郎君から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。  いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) つきましては、この際、日程に追加して、  常任委員長選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
  7. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 常任委員長選挙は、その手続を省略し、いずれも議長において指名することの動議を提出いたします。
  8. 亀井光

    亀井光君 私は、ただいまの柳岡君の動議に賛成いたします。
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 柳岡君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  よって議長は、  社会労働委員長小柳勇君を指名いたします。    〔拍手〕  逓信委員長田中一君を指名いたします。    〔拍手〕  建設委員長中村順造君を指名いたします。    〔拍手〕  決算委員長藤原道子君を指名いたします。    〔拍手〕  懲罰委員長岡田宗司君を指名いたします。    〔拍手〕      ——————————
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、砂糖価格安定等に関する法律案及び沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案閣法第一三二号)(趣旨説明)、  両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。赤城農林大臣。    〔国務大臣赤城宗徳登壇拍手
  12. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 砂糖価格安定等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  わが国甘味資源対策につきましては、政府は、昨年制定されました甘味資源特別措置法によりまして、適地における甘味資源作物生産振興し、農業経営改善農家所得の安定、砂糖類自給度の向上及び甘味資源にかかる国際競争力の強化に資する方針で、甘味資源保護育成のための施策を進めてまいったのであります。幸い、寒地てん菜及びてん菜糖をはじめ、南西諸島におけるサトウキビ及び甘蔗糖イモでん粉原料とするブドウ糖等、着実な生産の伸長を見せ、農業経営改善農家所得の安定に大きく貢献しつつあるところであり、また、砂糖の著しい消費の増大にもかかわらず、砂糖類自給度も逐年向上し、沖繩産糖も含め現在三割以上に及んでいるところであります。  しかし、わが国砂糖需給現状は、なおその大部分を輸入糖に依存しておりますため、世界砂糖市場特異性による国際糖価の激しい騰落によりまして、国内糖価は大幅な変動を続けており、今後とも不安定なまま推移することを余儀なくされるものと考えられるのであります。このような不安定な事態は、甘味資源振興対策に対しても重大な悪影響を及ぼし、これら原料作物生産農家所得をもきわめて不安定ならしめるとともに、これを原料とする国内産糖及び国内産ブドウ糖にかかる関連産業の健全な発展を阻害することになり、国民生活の安定上も好ましくないことは明らかであります。  すなわち、昨年来の国際糖価暴落により国内糖価は予想以上に下落するところとなり、政府は、国内産糖及び国内産ブドウ糖買い入れ措置を講じ、農業所得の安定と甘味資源作物価格支持につとめてまいったのでありますが、現状においては、政府買い入れ砂糖市価回復の効果を生ぜず、政府買い入れ措置も、かえってその政府在庫糖価低迷原因となり、いたずらに政府の損失を増大させる結果を招来し、甘味資源対策は、現在きわめて困難な状況に直面しているところであります。  したがいまして、かかる事態の解決のためには、すみやかに糖価の安定と甘味資源価格支持方式改善につきまして、抜本的な対策を確立する必要があると考えられるのであります。もとより、わが国開放経済に向かっている今日、国際糖価の趨勢に照応し、自由化のメリットを生かしつつ、生産合理化糖業の健全な発展をはかるべきことは言うまでもないところであります。  政府は、以上の諸般の事情を十分配慮いたし、甘味資源生産の安定とあわせて国民消費生活の安定とをはかるため、国際糖価異常変動を除去して、国内糖価平準化安定化をはかるとともに、さらに国内産糖については、甘味資源作物生産見通し国際糖価動向等を考慮して合理化目標価格を設定して、これが実現をはかることとし、このため、輸入糖との価格調整を行なう一方、甘味資源作物価格支持を強化する等の必要な措置を講ずるため、ここに砂糖価格安定等に関する法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案要旨につきまして御説明申し上げます。  その第一は、砂糖価格安定に関する措置についてであります。  わが国砂糖価格輸入糖価格によって支配されている現状にかんがみまして、次の措置により国内糖価の安定をはかることといたしております。  その一は、毎砂糖年度砂糖上限及び下限価格並びにその幅の中において国内産糖合理化目標価格を設けることにいたし、これにより輸入糖価格調整をはかることといたしております。すなわち、国内輸入される砂糖価格上限価格をこえて騰貴し、または下限価格を下って低落することを防止し、その幅の中に安定するよう価格調整をはかるほか、国際糖価国内産糖合理化目標価格を下って低落するような場合には、国内産糖輸入糖との価格関係調整を行なうこととし、その価格調整方式として糖価安定事業団による輸入糖買い入れ及び売り戻しの措置によることといたしております。  なお、安定上下限価格につきましては、国際糖価の通常の変動上限及び下限基準として定めることとし、消費者に不当な負担と不利益を及ぼすことのないよう配慮するとともに、これにより国内産糖製造事業を含め、精製糖企業の秩序ある合理化が促進され得ることを期待しているところであります。  その二は、糖価安定に関する補完措置についてであります。糖価安定事業団の行なう輸入糖価格調整によって一応国内糖価の安定が期待し得るわけでありますが、さらに国際糖価高騰の際に糖価安定事業団の行なう輸入糖価格調整措置によっては砂糖価格を安定させることが困難な場合にあっては、国は、砂糖についての関税率引き下げ、その他の措置を講ずべきこととし、糖価安定に対する国の責任を明確にすることにしております。また、この法律案は、粗糖の輸入数量には規制を加えておりませんので、砂糖需給が著しく不均衡となり、その結果、安定下限価格に見合う価格を下って国内糖価低落するおそれがある場合に備えまして、かかる際には、農林大臣は、精製糖製造業者に対し、砂糖製造販売数量の制限に関する共同行為を実施すべきことを指示し得ることとし、その指示に従ってする共同行為については、私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律を適用除外することとしております。  第二は、国内産糖及び国内産ブドウ糖価格支持に関する措置についてであります。  糖価安定事業団は、国内産糖製造事業者農林大臣が定める最低生産者価格を下らない価格生産者から買い入れてん菜またはサトウキビ原料として製造した国内産糖を、その申し込みに応じて買い入れ、かつ、売り戻すこととし、また、農村大臣指示に基づき、国内産ブドウ糖製造事業者から、その申し込みに応じて、イモでん粉原料として製造されるブドウ糖買い入れ、かつ、売り戻すこととしております。このような措置により国内産糖及び国内産ブドウ糖価格支持を行ない、糖価安定措置と相まって、甘味資源作物生産農家所得の安定をはかることといたしておるのであります。  第三は、糖価安定事業団についてであります。以上に述べましたような事業の実施にあたるため、輸入にかかる砂糖価格調整並びに国内産糖及び国内産ブドウ糖価格支持のための糖価安定事業団を設けることといたしております。なお、輸入糖価格調整は、昭和四十砂糖年度から行なうこととしております。  以上が砂糖価格安定等に関する法律案趣旨でございます。  次に、沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  沖繩における砂糖生産は、近年飛躍的に増大し、そのほとんどが本邦に輸出され、わが国砂糖の重要な供給源の一つとなっておりますとともに、サトウキビ及び砂糖生産沖繩における農業及び経済に占める地位はきわめて高く、したがって、国際糖価低落時には、沖繩におけるサトウキビ生産農家の受ける影響には著しいものがあると考えられるのであります。  そこで政府といたしましては、沖繩に対する援助措置の一部として、サトウキビ生産者農業経営改善農家所得の安定に資するため、沖繩産糖政府買い入れに関する特別措置法によりまして、国内産糖に準じ沖繩産糖政府買い入れを行なっている次第でありますが、今回、砂糖価格安定等に関する法律案において、国内産糖及び国内産ブドウ糖価格支持方法を改正することといたしたことに伴い、沖繩産糖価格支持方法につきましても国内産糖に準じ改正することが適当であると考えられますので、ここに沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案を提案する次第であります。  この法律案要旨は、第一には、砂糖価格安定等に関する法律案規定により設立されることとなる糖価安定事業団業務として沖繩産糖買い入れ及び売り戻しの業務を行ない得ることとしたことであります。第二には、農林大臣は、毎年、糖価安定事業団沖繩産糖買い入れ価格を定めることとし、これを下って砂糖価格低落している場合において農林大臣指示したときは、糖価安定事業団沖繩産糖買い入れるものとし、買い入れ発動要件を明確化したことであります。  以上が沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。小宮市太郎君。    〔小宮市太郎登壇拍手
  14. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 ただいま議題になりました砂糖価格安定等に関する法律案及び沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案について、私は日本社会党を代表いたしまして、佐藤総理並びに関係大臣質問をいたしたいと思います。  この法案は、農林省が言明するまでもなく、その主目的農政上の問題で、国内甘味資源生産農業保護にあると理解しております。わが国における甘味資源としては、北海道等てん菜原料とするてん菜糖甘蔗原料とする南西諸島沖繩甘蔗糖、それと、国内産でん粉原料とするブドウ糖がありますが、甘味資源生産振興砂糖及びブドウ糖政府買い入れを行なうことを内容とした甘味資源特別措置法が第四十六回国会成立を見たのであります。ところが、昭和三十八年八月末に、抜き打ち的に無謀な原糖輸入自由化が行なわれ、その後、三十八年末に砂糖小売り価格は一キロ百八十九円に暴騰いたしました。精糖メーカーは大きな利益をあげ、設備投資競争を始めたのであります。しかし、その後は国際糖価が大暴落を続け、一方、思惑輸入在庫をかかえたメーカー過当競争も手伝って、現在は小売り価格一キロ百三十円以下に暴落したのであります。したがって、てん菜甘蔗イモでん粉等国内甘味資源に大打撃を与え、ブドウ糖など中小業者経営難を引き起こしております。このような砂糖価格の大変動による消費者国内甘味資源生産農民への犠牲のしわ寄せは、政府の無計画な砂糖政策責任があるのではないか。政府はまず、砂糖類長期需給計画を樹立し、国内甘味資源生産計画についても明確な目標責任をもって示すべきであるのに、今度の法案は、官僚統制色のきわめて濃厚なものを出しておるのであります。こういう法案を出さざるを得なかった真の理由は何か。私は佐藤総理に承りたいのであります。  次に、お尋ねいたしたいのは、この法案が実施されますならば、砂糖消費者価格をつり上げる働きをすることは確実であります。相場が暴騰したときは値下げをすることになると言っておりますが、現在のように諸物価が値上げされている中で、砂糖だけが値下がりで安いときに、消費者は簡単に納得しないと思います。この法案目的には、国民生活の安定に資すると、うたわれておりますが、価格安定の名のもとに砂糖の値段を上げることが、国民生活の安定に矛盾しないか、いかにして消費者を納得させようと考えておられるか、承りたいのであります。  質問の第三点は、政府は、各種公団事業団等、最近乱造の傾向があります。行政簡素化の点からも問題でありますが、この種の運営は、かなり複雑で、さらに問題が多いことが指摘されているのであります。特にこの法案は、国内産糖類生産農家保護国内産糖確保に重点が注がるべきであるはずなのに、一部精糖業者保護を策していることも異論のないところであります。砂糖値上がり分で潤う精糖業者ひもつき事業団となるおそれがないとは言えないのであります。国民の中には、黒い法案という批判さえございます。この際、食管会計砂糖勘定で国が輸入糖を管理する。すなわち、甘味資源生産振興糖業発展及び糖価の安定をはかるためには、たとえばアルコール専売のごとく、砂糖国家管理方法をとる以外に方途はないと思いますが、総理の所見を承っておきたいのであります。  次は、赤城農林大臣質問をいたしたいと思います。甘味資源特別措置法成立した当時は、世界的な砂糖不足で、国際相場も異常な高騰を見ており、平常時の四ないし五倍にも達しておったのであります。したがって、甘味法がなくても、国内産糖ブドウ糖は採算がとれる状態であったのでありまして、安易な考え方で甘味法を制定したと言うべきで、見通しが甘かったのではないか。甘味法成立を境として、皮肉にも国際糖価暴落を続けました。高騰時の五分の一ないし四分の一という糖価になってしまったのであります。甘味法完全運用を行なうとすれば、恒常的な国内産糖大量買い入れを行なわなければならないこととなり、政府買い入れ予算の大幅な増額を必要とするのでありまして、このため、政府としては、輸入砂糖から差益を取って国内産糖赤字を補てんする内容を持ったこの法案を提案したのではないか。言うならば、糖価低落によって、国内甘味資源業界の苦悩の原因は、池田内閣の無謀な原糖自由化にあると思うのであります。政府は、将来の砂糖類需給をどう考えているのか。また、国内自給度をどう考えるか。また、法案の中で、長期需給計画策定公表について明確に定めるべきではないかと思うのでありますが、具体的に御説明を願いたいのであります。  また、国内甘味資源生産者保護は不十分ではなかろうかと思うのであります。てん菜甘蔗バレイショカンショ等原料支持価格買い上げ数量及び時期を明らかにしてもらいたいのであります。また、生産価格については、選択的拡大重要作物として、生産者米価算定と同様に、生産費所得補償方式に基づいて支持すべきだと思うのでありますが、特に今年は異常気象によりまして冷害が予想されております。耐寒作物でありますバレイショてん菜作付増加が予想されるのでありますが、国内甘味資源買い上げ数量を弾力的に増加し、十分な価格支持を行なう必要があると私は考えますが、大臣考えをこの際、承っておきたいのであります。  また、南西諸島及び沖繩では、台風等の災害に強い作物として甘蔗生産増加しております。沖繩産糖国内産糖同様に保護していく必要があると思います。特に沖繩甘蔗生産増加は、米の輸入自由化で圧迫をされ、水田作付面積が二割に激減しているためでもあります。わが国砂糖類需給計画を正しく策定する上からも、沖繩農業生産農家生活を安定向上させるためにも、沖繩施政権を返還させ、日本農政が行なわれるように前向きの姿勢で取り組むべきだと思いますが、いかがでございましょう。甘味資源特別措置法も満足に行なえないのに、この法案を出してさらに複雑にして混乱させるばかりではないかと私は思うのです。  砂糖価格安定法案では、関税消費税は、ほぼそのままに据え置いて、砂糖価格安定事業団買い入れ売り渡し操作糖価を安定させようというのであります。この場合予想される安定価格は、国際水準等と比較して高過ぎるのではないか。欧米諸国砂糖小売り価格は一キロ当たり約九十円から百二十五円ぐらいであると聞いております。安定上限価格下限価格の幅も大き過ぎるのではないか。われわれは事業団方式でなく、食管会計砂糖勘定で国が輸入糖を管理して、関税相当分で、国内甘味資源保護消費者価格引き下げをはかること、また、消費税を廃止して糖価引き下げていくべきだと考えるのであります。また、砂糖類需給計画策定安定価格生産者価格算定等主要事項を審議するためには、消費者代表生産者代表を含めた砂糖審議会を設置するという考えはございませんか。これも承っておきたいと思います。  次に、サッカリン、ズルチン等甘味剤砂糖換算で約八十万トン程度に相当する量が流通しているといわれております。これらの競合商品に対する何らかの規則が必要ではないでしょうか。なお関連いたしまして、国産イモでん粉影響の強いコーンスターチの輸入規制は、強力に今後も続けていくべきだと思いますが、お考えをお聞きしたいのであります。  次に大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。  事業団方式でなく、食管会計砂糖勘定で国が輸入糖を管理すれば、政府需給計画に基づいて必要量砂糖輸入することとし、政府以外の輸入は認めないということになりますというと、政府輸入立場から、関税を免除して、高い砂糖消費者に押しつけないで済むと思うのですが、どんなものでしょう。また、消費税についても無法に高いという国民の声は強いのでありますが、その消費税を廃止する意思はございませんか。国内産糖でん粉ブドウ糖など甘味資源生産保護立場から、予算の裏づけがなければ甘味資源特別措置法完全運用はできないと初めからわかっております。どのように考えてこれを運用しておったのか。また、今後どうなさるおつもりなのか、承っておきたいと思います。  次に通産大臣に御質問いたします。  精糖業界の業績は、前期、前々期決算から急速に悪化をいたしました。今期も大幅な赤字が見込まれていると聞いております。その直接原因は、業界が多年、原糖政府から割り当てを受け、これを溶糖するだけで、大きな利潤を上げていた。このような安易な経営をしてきたために、原糖自由化されて自由経済競争に入ると、経営者にそれに対応するだけの十分な体制がなかった。自由化が行なわれて二年もたたないのに、多くの精糖会社赤字経営に転落した。客観情勢が悪かったこともありましょうが、業者の不手ぎわであることは事実であります。その失敗を、またぞろ政府援助によって、価格調整生産調整で切り抜けようと考えている向きがございます。国民はこれに対して納得はできないと思うのです。独禁法のたてまえからも問題があるのではないでしょうか。このように消費者を無視した糖価対策を講ずるよりも、業界体質改善が先決ではなかろうかと思うのであります。また、砂糖価格を上げることで企業の安定をはかることをやめて、価格を抑制する措置として、流通過程合理化流通機構の整備など、早急にすべきことではないでしょうか。その指導の具体策があればお示しを願いたいのであります。糖価安定を真に消費者の家計安定のために行なおうとするならば、末端の小売り価格についても適正な標準価格を定めるべきではないか。また、溶糖規制割り当て量基準を明確にする必要があると思いますが、どうでしょう。  最後に、私は経済企画庁長官にお尋ねをして終わりたいと思います。  甘味資源に限らず、わが国農業は、現在直ちに保護政策をやめられない状態にあることは御承知のとおりであります。農業近代化合理化が進められている途上で、その進展も遅々たるものがあります。とても国際競争に耐え得る体制ではないのであります。にもかかわらず、貿易の自由化が進められつつあります。生産者犠牲は、はかり知れないものがございます。この際、農産物の自由化についていかなる方針が臨まれるのか、農民の真剣な悩みとして聞いていただき、確信の持てる御答弁を願いたいのであります。  以上をもって私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  15. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。甘味資源特別措置法をつくりました当時の事情は、小宮さんの御指摘のとおりであります。わが国砂糖輸入自由化をはかる、そのためには、当然、国内甘味資源、これを育成強化して、同時に振興をはかる、こういう立場でそれぞれの準備を進め、そうして二年前にちょうど自由化をするのに適当な時期だ、こういうことで自由化をはかったわけであります。ところが、その後は、お説のとおり、国際糖価の大暴落にあいまして、この暴落国内甘味資源価格にも非常な影響を与えてきた。ただいま申すような育成強化の対策も十分効果をあげ得ないその際に、ただいまのような悪影響を及ぼしてきたということであります。これは御指摘のとおりでございます。したがって、今日かような状態で、国内甘味資源も育成強化しなければならない。どうしたらいいかというのが、今回の法律案の提案になったのでありまして、皆さん方の御審議を得まして、価格の安定、需給の調節等をはかってまいりたい、かように私どもは考えているのでございます。  この問題をめぐりまして、できるだけ需給の計画を立てて、そうしてそれに基づいて国が処理すべきではないか、こういうお説がありますが、この点は、最後の私に対するお尋ねにも関連をいたしますが、しかし、もちろん需給計画そのもの全然なしにこういう甘味資源というような大事な問題に取り組んでおるわけではございません。しかしながら、いわゆる統制的な、計画的なものじゃないということは、これも御承知がいただけるだろうと思います。  また、自由経済のもとにおきましては、価格変動は、これは避けられないものでありますが、しかし、著しい価格変動その他は、消費者の家計にも悪影響がある。私は、消費者の家計は安ければ安いだけがいい、こういうものでも必ずしもない。これが不当に安ければ、必ずそのうちに上がるときもある。そのことも考えなければならない。かように考えますと、価格変動自身はできるだけないようにしなければいかぬ。これはだから安定することが大事だ。したがって、ただいま申し上げますような、上限下限、それをつくりまして、そうしてその範囲内においての安定をはかっていく、こういうことで、いわゆる急激な変動を与えないようにいたしたいものだと、私どもは考えております。  第三に、この問題は、国内甘味資源を育成強化しようというのにかかわらず、いわゆる黒い法案、一部の砂糖業者等の利益のためにこれをやるのではないかというお尋ねでございますが、御承知のように、私どもの考え方では、砂糖業者間のいわゆる自由競争、これは従前どおり行なわすつもりでございまして、これに対して何らの制約をするものではございません。したがいまして、企業の不当利益を保護するというような考えでないことも御承知がいくだろうと思います。これによりまして、どこまでも価格平準化安定化をはかってまいる。そして企業合理化は一そう積極的に進められる、そして国内甘味資源の開発、これも強化される、かような方向で今後とも指導してまいるつもりでございます。  以上のような考え方でおりますので、お尋ねになりましたような、いわゆる重要な甘味資源だから、これを国家管理にして、そうして価格を安定していく方向が望ましいのではないかというお尋ねでありますが、政府としては、砂糖国家管理をやる考え方は毛頭ございません。御承知のように、私どもは、どこまでも自由経済のもとにおいてりっぱな成績をあげてまいりたいと、かように考えておりますので、企業の自主性を尊重し、また、合理化の努力をどこまでも尊重してまいるような考え方でございます。この点、御了承いただきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳登壇拍手
  16. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 今回の法律を提案いたしました理由につきましては、先ほど申し上げ、また、ただいま総理からもお話がありましたが、国内甘味資源特別措置法によって国内生産確保し、価格を支持していくということで、甘味資源特別措置法をつくったのでございますが、何にいたしましても砂糖は国際商品でございます。そういう関係で、ただいまお話がございましたように、あるときは非常に暴騰し、あるときは非常に暴落すると、こういうようなことでございまするので、輸入糖価格調整ということも行なわなければ、国内糖価の安定も、もたらせられませんし、また、甘味資源作物価格支持も困難に直面いたしましたので、このたびの法律を提出いたした次第でございます。  国内甘味資源自給度をどの程度にするか、現在三割程度でございますが、私のほうでは計画というものはつくりませんが、見通しはつくりまして、四十六年度の見通し、その前の四十三年度の見通し等をつくって、その自給度確保していく。このためには、価格支持ばかりでなく、生産振興対策を講じて自給度を高めていくと、こういうことにいたしております。  価格の支持と国家管理の問題でございますが、国家管理をしたほうが適当でないかということにつきましては、ただいま総理からの御答弁がございました。今度の法律にありまするように、上限下限の中間において価格の決定を見たい、取引は精糖会社生産者団体との自由にしたい。その範囲内におきまして、生産者に対しましても消費者に対しましても、安定した価格を支持していくことが適当であると、こういう立場から本法案を提出いたしておるわけでございます。  第四は、沖繩を内地と全く同様にしたらいいじゃないかと、施政権の返還を求めてやれと、これはごもっともでございまするし、できればそれにこしたことはないのでございますが、現状におきましては施政権がありません。でありますが、この甘味資源の取り扱いにつきましては、甘味資源特別措置法におきましても内地に準じて、内容は全く同じような形、今度の法律におきましても内地に準じて、内容におきましては全く同じように、買い入れあるいは価格の支持等を行なうことにいたしておる次第でございます。  次に、人工甘味資源について規制等を加える必要があるのではないか、こういうお話でございます。これは、糖価の安定がこういう法律によって期せられることにいたしまするならば、人工甘味資源影響力はそれほどではないというふうに私どもは見ております。しかし、その動向を見守って対処していきたいと思います。  それから、甘味資源の競争品になっておりますところのコーンスターチにつきましては、御承知のように、四月一日から、原料トウモロコシの輸入につきまして関税割り当て制度を実施いたしたのでございます。これによりまして需給に見合う生産を行なっていきたい、かように思っております。これは、向こう二年間この措置を行なって、そうして競争を——競争といいますか、圧迫を避ける、こういうふうに考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  17. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 第一点は、砂糖事業国家管理にすることと、それに伴って輸入関税を免除したらどうかということでございますが、国家管理にはしにくいものであるということは、総理大臣農林大臣からもお答えをいたしたとおりでございます。現段階におきましては、国家管理をするという意思がありませんので、必然的に、これに伴う関税につきましても、引き下げには賛成しがたいという態度でございます。  第二点は、砂糖消費税の撤廃もしくは引き下げについての御質問でございます。まず、砂糖消費税は三十八年十二月、五厘引き下げまして、二十一円を十六円にいたしたわけでございます。現在の砂糖消費税を含めた間接税の状態国民負担の状態でございますと、おおむね妥当な水準にあると考えられるわけでございます。しかし、今後、国民生活の向上に見合いまして、税財源の許す範囲内において、国民の税負担の軽減合理化をはかってまいりたいと存じておりますので、考えるとすれば、その時点において考えたいと存じます。  第三は、国内甘味資源の財政対策でございますが、先ほど申し上げたように、三十八年の十二月、消費税二十一円を五円引き下げて十六円にいたしたのでございますが、なお予算につきましても、財政の許す限り配慮をいたしておるわけでございます。(拍手)    〔国務大臣櫻内義雄君登壇拍手
  18. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 砂糖業界が安易な経営をしておったのではないかという御指摘は、私もそのとおりだと思います。今後、体質の改善については十分指導してまいりたいと思います。また、小売り価格についての御質問でございましたが、通産省として、ただいまのところ、特に何か措置をする考えは持っておりません。(拍手)    〔国務大臣高橋衛君登壇拍手
  19. 高橋衛

    国務大臣(高橋衛君) 私に対する御質問は、農産物の自由化に対する政府の方策いかんということでございますが、御承知のとおり、日本農業は非常な零細規模でございますために、これが生産性の向上は、相当に政府保護政策によってその方向に努力はいたしておりまするが、時間を要する問題であろうかと存じます。したがって、生産性の上昇が行なわれない段階において農産物の自由化をいたすということは、これは原則としてなすべきでない、かように考えておる次第でございます。(拍手
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、優生保護法の一部を改正する法律案社会労働委員長提出)、  日程第三、港湾労働法案、  日程第四、戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案、  日程第五、戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法案、  日程第六、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、  (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  日程第二につきましては提出者趣旨説明を、日程第三ないし第六につきましては委員長の報告を求めます。社会労働委員長小柳勇君。    〔小柳勇登壇拍手
  23. 小柳勇

    小柳勇君 ただいま議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案につきまして提案理由の説明を、港湾労働法案外三法案について社会労働委員会における審議の経過及び結果を報告いたします。  まず、優生保護法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会を代表して、その提案の理由を御説明申し上げます。  現行優生保護法におきましては、都道府県知事の指定を受けて受胎調節の実地指導を行なう者につき、薬事法の特例を設けまして、その実地指導を受ける者に対し避妊薬を販売することができることといたしておりますが、この販売を認められる期間は、昭和四十年七月三十一日をもって切れることとなっております。ところで、この特例が設けられました趣旨は、避妊薬の簡易な入手をはかることによって、受胎調節の指導を全うしようとするものであります。この必要性は現在なお存続していると思われますので、この期間をさらに五年間延長することといたしたのであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。     —————————————  次に、港湾労働法案について申し上げます。  わが国の港湾労働の実情は、欧米諸国に比し、また他産業に比較すると、著しく立ちおくれており、雇用の不安定、労働災害の多発、福祉施設の未整備等の事情のもとにあるため、必要な労働力の確保が困難であり、港湾における荷役はしばしば渋滞している現状であります。  政府は、かねて、港湾労働及び港湾の運営利用の改善策について諮問中であった港湾労働対策審議会から、昭和三十九年三月三日答申が提出されましたので、この答申に基づき、港湾労働対策について本法案を提案したのであります。  その内容のおもなる点を申し上げますと、  第一に、公共職業安定所長は、港湾ごとに、港湾雇用調整計画で定められた定数を限度として日雇港湾労働者を登録し、日雇港湾労働者登録票及び労働者手帳を交付することとし、これに対応して事業主は、その常用労働者のほかは、公共職業安定所の紹介による日雇港湾労働者の雇用を原則とすること。  第二に、港湾労働者の福祉の増進について、事業主の努力義務及び国等の援助義務を定めること。  第三に、登録日雇港湾労働者に対して、公共職業安定所に出頭したにもかかわらず事業主に雇用されることができなかった場合、または雇用促進事業団の行なう訓練を受ける場合は、雇用調整手当を支給すること。  第四に、登録された日雇港湾労働者に対して、中小企業退職共済法の適用を受けることができる道を開くこと等であります。  なお、本法案の施行期日は、公布の日から「二年をこえない範囲内において、政令で定める。」とされております。  委員会におきましては、熱心に審議を重ね、運輸委員会とも連合審査を行ないました。質疑の行なわれましたおもなる点は、港湾労働等対策審議会の答申との関連、港湾調整審議会の構成、日雇港湾労働者の確保対策とこれに対する福祉対策、港湾荷役業者規制及び集約化の促進、港湾における暴力等の排除と港湾労働の近代化、及び、本法をできるだけ早く施行すべきこと等についてでありますが、詳細は会議録により御承知願いたいと思います。  質疑を終え、討論、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、委員会におきまして、政府は本法の運用に関し可及的すみやかに全面的施行をはかること等の附帯決議を行ないました。     —————————————  次に、戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律について申し上げます。  その内容は、戦傷病者相談員に戦傷病者の相談業務等を委託して、戦傷病者の福祉の増進をはかるとともに、療養手当の額を月額二千円から三千円に引き上げ、また、日本国有鉄道の無賃乗車取り扱いをする戦傷病者の範囲を拡大するものであります。  なお、衆議院において、施行期日につき所要の修正が行なわれました。     —————————————  次に、戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法案について申し上げます。  その内容は、公務扶助料または遺族年金等の支給が行なわれていない戦没者等遺族に対し、特別弔慰金を支給することとし、その額、支給方法等、所要の事項を規定するものであります。  なお、衆議院において、施行期日につき修正が行なわれました。     —————————————  次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  その内容は、恩給法の一部改正による傷病恩給及び公務扶助料の増額に関連して、障害年金、障害一時金、遺族年金及び遺族給与金の額を増額するとともに、留守家族手当の額を増額するものであります。  委員会においては、以上の三法案について一括審議に入り、神田厚生大臣及び政府委員に対し、戦傷病者相談員の業務戦没者等遺族に対する特別弔慰金の性格、戦傷病者戦没者遺族援護法の理念、遺族年金と遺族給与金の不均衡の是正、未帰還者調査の現状とその促進策等の諸問題について、熱心なる質疑応答が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくて、質疑、討論を終了し、三法案について順次採決の結果、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上報告いたします。(拍手
  24. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、優生保護法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  26. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 次に、港湾労働法案戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。四案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  27. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって四案は可決せられました。      ——————————
  28. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第七、閉鎖機関令等規定によってされた信託処理に関する法律案平島敏夫君外一名発議)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長西田信一君。    〔西田信一君登壇拍手
  29. 西田信一

    ○西田信一君 ただいま議題となりました閉鎖機関令等規定によってされた信託処理に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、本院平島敏夫、安井謙両君の提出にかかわるものでありまして、閉鎖機関令による指定閉鎖機関で、債権者の所在不明等のため、特殊清算を結了できないでいるものにつきましては、現在、清算人が債権者のために弁済すべき財産を信託することによってその債務の支払いが続行されておりますが、これら債務のうち、役職員の給与、退職金等に関しましては、戦傷病者特別援護法、恩給法の一部改正等の施行に伴い、債権者の所在が多数判明してまいりましたので、信託契約存続の残余期間内にこれを処理することは手続的に不可能と予想されるに至りました。また、これら信託契約の存続期間満了の際に残っている財産は国庫に帰属することとなっておりますが、この権利は、本来、積極的な理由により国に発生したものではないので、本案は、信託の受託者においてその意向がある限りは、引き続き信託事務を行なうことができるようにするため、信託契約の存続期間を五年間延長しようとするものであります。  なお、閉鎖機関令による信託のうちには、給与等以外の債権のものもありますが、これを形式上区分することは困難であるほか、旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の規定による信託に関しても同様の事情があるので、これらを同様の扱いとすることといたしております。  委員会におきましては、格別の質疑もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  30. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  31. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ─────・─────
  32. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第八、電波法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員会理事横川正市君。    〔横川正市君登壇拍手
  33. 横川正市

    ○横川正市君 ただいま議題となりました法律案について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を報告いたします。  本改正案の要旨は、電波天文業務等の用に供する受信設備の運用を混信その他の妨害から保護すること、無線従事者資格検定制度を簡素合理化すること、地震、台風など非常の場合における通信体制の整備をはかること等であります。  逓信委員会におきましては、政府当局につき、熱心な質疑を行ない、慎重審議をいたしましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたが、別に発言もなく、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定しました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  34. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  35. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  36. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第九、日本自動車ターミナル株式会社法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長松平勇雄君。    〔松平勇雄君登壇拍手
  37. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 ただいま議題となりました日本自動車ターミナル株式会社法案について、運輸委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、最近におけるトラックによる貨物輸送の急速な発展、及び、大都市における道路交通のふくそう化等の現状にかんがみ、トラック輸送の合理化と道路交通の円滑化に資するため、日本自動車ターミナル株式会社を設立し、トラックターミナルの整備促進をはかろうとするものであります。  本法律案のおもなる内容について申し上げますと、  第一に、本会社は、大都市及びその周辺の地域において、トラックターミナル事業を行なうことを目的とするものと規定しております。  第二に、政府及び地方公共団体は会社に対し出資することができることとされておりますが、当初の資本金としては、政府出資五千万円、東京都出資五千万円のほか、民間出資二億五千万円が予定されております。  第三に、会社は、運輸大臣が監督することとし、このための諸規定を設けておりますが、おおむね他の特殊会社の例に従っております。  第四に、会社の設立に際し、昨年十二月、民間出資により設立された東京トラックターミナル株式会社は、これに営業の全部を出資することになっております。  以上が本法律案の概要でございます。  委員会の審査におきましては、都市交通政策上から見ての本会社の果たす使命、会社の事業計画、収支の見通し、及び、会社運営にあたっての公共性の保持、その他、自動車行政全般にわたって熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、浅井委員は公明党を代表し、本法律案は、中小企業者に対する配慮が不十分であるとして、反対意見を表明され、次いで、相沢委員は日本社会党を代表し、本法律案に賛成の意見を表明されるとともに、「政府は、日本自動車ターミナル株式会社に対する出資金の大幅な増額をはかる等、積極的助成につとめ、もってトラック輸送の合理化と道路交通の円滑化に万全を期すべきである。」との趣旨の附帯決議案を提出されました。  かくて討論を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次いで、相沢委員提出の附帯決議案を採決いたしましたところ、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  38. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  39. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  40. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第十、小規模企業共済法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。商工委員長豊田雅孝君。     —————————————    〔審査報告書は都合により追録に掲載〕     —————————————  小規模企業共済法案右の内閣提出案は本院においてこれを修正議決した。よつて国会法第八十三条により送付する。  昭和四十年四月二十七日          衆議院議長 船田  中   参議院議長 重宗 雄三殿     —————————————    〔豊田雅孝君登壇拍手
  41. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいま議題となりました法案について、商工委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  本法律案は、小規模企業者の福祉に寄与するため、小規模企業共済制度を創設し、その運営に当たる共済事業団の組織、業務、その他の事項を定めようとするものであります。  内容を申し上げますと、小規模企業者が事業廃止等の際に共済金の支給を受けられるようにするもので、そのために毎月掛け金を行なうものであります。掛け金は月額一口五百円で一人十口を限度とし、共済金は、業者事業の廃止、会社の解散及び三十年満期の際に受け取るのでありますが、なお、六十五歳以上で掛け金が二十年以上に及んだ場合とか、会社等の役員は、退職の際にも支払いを請求できることになっておるのであります。共済金は掛け金の納付月数に応じて支払われますが、業者事業廃止、会社等の解散と満期の場合には、若干有利になっております。また、この掛け金については、生命保険料控除の対象となり、税の減税が認められることになっております。  本制度の実施の主体につきましては、全額政府出資による小規模企業共済事業団を設立して運営することになっております。昭和四十年度においては、資本金として四千万円、ほかに事業費補助金三千万円を補助することといたしております。  この事業団は、右の共済事業のほか、積立金の一部を共済契約者たる小規模企業者またはその団体に対し還元融資も行なうことができることとしております。さらに、物価等経済事情の変動等に対処するため、掛け金及び共済金等の額は少なくとも五年ごとに再検討するという条項もあります。  なお、衆議院におきましては、小規模企業の組合などの役員も、企業者と同様、本制度の対象とすることができるよう政令で定める旨の修正が行なわれました。  以上がこの法律案要旨でありますが、当委員会では、質疑において、本制度と貯金との有利性の比較から、掛け金に比べて共済金の額が低きに過ぎるのではないかという問題、したがって、政府出資や事務補助費をさらに増額するとか、税法上の優遇措置を講ずべきではないかという問題などを中心に、熱心な論議が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、討論もなく、直ちに採決いたしましたところ、本法律案は全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  42. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  43. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  44. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第十一、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員会理事光村甚助君。    〔光村甚助君登壇拍手
  45. 光村甚助

    ○光村甚助君 ただいま議題となりました法律案について、科学技術振興対策特別委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  最近、原子力船の開発が進展しておりますが、この原子力船の運航につき、「一九六〇年の海上における人命の安全のための国際条約」というのが、近く、今月二十六日に発効の運びとなります。それに加えて、外国の原子力船がやがてわが国へも寄港することが予想され、また、わが国でも原子力第一船の建造が計画されている等のことがありますので、これに対処するため、わが国においても、外国及び国内の原子力船の入港に際し規制を加える必要があり、そのため本法律案が提案されたのであります。  本法律案内容は、軍艦以外の外国原子力船がわが国の水域に立ち入る場合には、その原子炉を保持することについて許可を受けなければならないこととし、その際、安全審査を行なうのみでなく、あわせて、万一、原子力損害が発生した場合に必要な損害賠償措置等についても審査を行なうことを明らかにし、また、この原子力船をわが国の港に立ち入らせようとするときには、あらかじめ内閣総理大臣に届け出ることを要し、その場合、内閣総理大臣は運輸大臣等と相協力して、万一の場合の災害防止について遺漏なき措置を講じようとするものであります。  本委員会においては、わが国の原子力船建造に関する入札問題、各国における原子力船開発の現状、原子力船の安全性確保、原子力潜水艦の入港問題、原子力委員会の中立性等の問題を中心に、きわめて熱心に質疑応答が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して瀬谷委員から、「原子力商船は本法により今後各種の規制を受けることになるが、原子力潜水艦の入港に際しても厳重な態度をとるべきで、その際、原子炉の安全性確認について、原子力委員会は、その中立性の立場から、科学的、客観的判断を下し、政府はその意見を十分尊重すべきである。また、茨城県東海村の米軍射爆場の移転については、すみやかに解決をはかるよう格段の努力をすべき旨」を要望して、賛成意見が述べられました。  次いで採決いたしましたところ、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  46. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  47. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  48. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第十二、食料品総合小売市場管理会法案(第四十六回国会内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長仲原善一君。    〔仲原善一君登壇拍手
  49. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいま議題となりました法律案について御報告いたします。  この法律案は、食料品総合小売市場管理会を設立し、近代的な経営方式を導入して、総合的に生鮮食料品等の小売り業を経営する小売り市場の設置及び管理等を行なわしめ、生鮮食料品等の流通合理化を促し、適正な小売り価格の形成に資し、国民生活の安定に寄与しようとするものでありまして、去る第四十六回国会に提案され、衆議院から送付を受け、その後、本院において継続審査に付されていたものであります。  委員会におきましては、さきの第四十六及び第四十七回国会並びに本国会を通じて、十七回にわたる審査が行なわれました。本国会においては、生鮮食料品をめぐる生産、流通、価格に及ぶ対策の経過と改善方策、近代的流通のあり方、中央卸売り市場の改善整備等をはじめ、本法実施上問題となる小売り業の実態、小売り市場設置の構想と合理化の効果、市場入居業者の選定方法及び経営方式とその指導方針、管理会の運営と性格、市場周辺などの一般小売り業者への影響と助成指導、生鮮食料品の産地直接仕入れについての考え方、本法案に対する世論の動向、臨時行政調査会の意見、小売り段階における通産、農林両省の行政指導、大都市周辺の住宅建設計画と食料品の流通販売市場との関係など、広く諸般の問題について慎重な質疑が行なわれたのであります。この間、六人の参考人から意見が徴せられました。  なお、四月二日の委員会では、一たん討論、修正議決が行なわれましたが、その後、八日の委員会において、本法案の修正議決報告書を撤回することが決定されました。  五月十一日、質疑を終了し、討論に入り、日本社会党を代表して渡辺委員から、「本法案は、価格引き下げの保証がなく、業界の反対の官製スーパーで、営農集団による計画生産・出荷・価格安定・近代的流通、中央卸売り市場の抜本改正はもちろん、消費者団体の組織化など、生産から消費に至る一貫した総合対策がなく、その効果は疑問である」として反対され、自由民主党を代表して森委員から、附則の規定中、管理会の最初の事業年度、所得税法と法人税法の改正規定の条文整理に関する修正案が提案され、管理会の運営、生鮮食料品の生産価格の安定、小売り業の近代化などのため、本法の効果的施行を希望し、修正部分を除く原案に賛成の意見が述べられ、また、公明党を代表して北條委員から、むしろ既存業者保護助成等を強調して反対意見が述べられ、さらに、民主社会党を代表して高山委員から、流通機構の根本改善が先決で、本小売り市場の設置のみでは効果がなく、行政簡素化にも反するなどの反対意見が述べられました。  続いて採決に入り、森委員提案の修正案どおり、多数をもって本法案は修正議決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  50. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。北村暢君。    〔北村暢君登壇拍手
  51. 北村暢

    ○北村暢君 私は、日本社会党を代表して、本法案に反対の討論をいたします。  反対の第一の理由は、政府は本法の食料品総合小売り市場の設置をもって物価対策の一枚看板としていますが、ほとんどその実効は期待できないからであります。  その一は、提案理由の説明によると、政府は、生鮮食料品の生産面における各般の施策を推進するとともに、出荷の安定と計画化、中央卸売り市場の改善、整備等の措置を講じてきたが、流通面の小売り段階の経費が最も大きいので、本法の実施によって食料品総合小売り市場のモデルを設置し、小売り業者合理化近代化を促進しようというのであります。しかし、今日の生鮮食料品の値上がりが、いかにも小売り段階にのみ問題があるような説明には納得がいきません。たとえば、最近の野菜の値上がりには、家庭の主婦は悲鳴をあげております。東京都の標準小売り価格について、昨年四月十六日と本年同期とを比較いたしますというと、ジャガイモ一キロ当たり二十二円が六十九円で約三倍、新キャベツ十一円が百円で約九倍となっており、他の野菜もこの間で値上がりしています。この驚くべき値上げ幅は、小売り価格の一割程度の引き下げで解決できる問題ではないことは明らかであります。しかも、標準小売り価格政府みずからが指導しているのであって、小売り業者責任ではないのであります。政府は、野菜指定産地の安値補てん制度など諸施策を実施してきたにもかかわらず、その実効があがらず、農民の相変わらずの投機的生産と、気象による豊凶も手伝った野菜の激しい価格変動を繰り返していることに、最大の問題があるのであって、政府農政の貧困を暴露したものであり、政府責任であります。  その二は、流通過程合理化消費者物価の値下げをしなければならないことは当然であります。しかるに、畜産物、水産物の産地における旧態依然たる取引方法、その機構の複雑性の問題は、一向に解決しておりません。また、政府の直接監督している中央卸売り市場において、仕切り改算などの不正行為が日常茶飯事のごとく行なわれている事実は、政府の重大なる責任であるといわなければなりません。これら流通改善上の重要問題に根本的なメスを入れることなく、合理化の名のもとに、末端小売り業者にしわ寄せし、その責任を転嫁することは、私の断じて容認できないところであります。  その三は、生鮮食料品小売り業者は、東京都では一万五千店、全国では十三万一千店に及んでおります。これらの小売り業者は、その大部分が零細経営であり、高度成長のひずみのもとに苦しい経営を続けているのが実態であります。政府は、本法の実施によって、差しあたり東京都に二十カ所の食料品総合小売り市場のモデルをつくり、小売り業者経営合理化の参考にしようというのでありますが、資本力の弱い一万五千店の小売り業者にとっては高ねの花にすぎません。このモデル市場に入居できるものは、比較的信用のある、ごく限られたものであります。入居できない大部分の小売り業者に対する手厚い施策があって、初めて小売り段階の経費節減による消費者価格引き下げが全地域に実施できるのであります。農林省の何らの裏づけのないモデル市場の設置は、かえって付近の小売り業者を圧迫するだけで、弊害のほうが多く、物価対策にはならないのであります。  反対の第二の理由は、本法の実施は流通行政の混乱であり、地方公共団体の自主性を無視することになるからであります。  その一は、昭和三十八年に出現したスーパーマーケットは、その後、目ざましい発展を遂げ、最近では、大資本の進出に加え、有力スーパーのチェーン組織の拡充などから、小規模スーパーの整理倒産が目立ち始め、日本的スーパーのあり方に転機がきたといわれております。このようなスーパーマーケットの進出が小売り商業者に与える影響は甚大であり、通産省は、これらの対策として、昭和三十八年度より、小売り商業店舗共同化資金を都道府県を通じて貸し付け、小売り業者の協業によるスーパーマーケット、寄り合い百貨店等の設置を実施しているのであります。したがって、本法施行によって、農林省の監督のもとに官営のモデル・スーパ−マーケットをつくることは、明らかに行政の混乱であります。関係業界は、農林省の監督のもとに一カ所一億円で二十カ所のモデルをつくるよりも、通産省の指導のもとに一カ所一千万円で二百カ所の公設スーパーマーケットをつくってもらいたいと、強く要望しているのであります。  その二は、市場の設置は地域商店街と密接な関係があり、その協力がなければ成り立たないことは言うまでもありません。したがって、地域の総合行政の観点から、モデル・スーパーマーケットの設置は、農林大臣の監督下に置くことは不適当で、地方自治体に権限を委譲することが適切であると思うのであります。通産省所管の小売り商業店舗共同化はこの趣旨ですでに実施されており、さらに一歩前進して、公共的性格を強めようとするならば、大阪市の公設市場が成果をあげている例にならい、これを一そう近代化した公設スーパーマーケットに国が助成をするという方式をとるべきであります。  反対の第三の理由は、性格のあいまいな管理会では行政効果を期待することができないからであります。  その一は、臨時行政調査会の答申によれば、人事管理の行き詰まりなどの理由から、政府関係機関が無秩序に乱立する傾向にあることを指摘し、これの整理統合を全面的に検討し、その改革の実施を早期に実現することを強く勧告しているのであります。その具体的例として、各省を通じ十八の例示のうち、農林省関係は八つを占めているのであります。しかるに農林省はこの答申を無視し、整理どころか、次々と事業団や特殊法人を新設させているのであります。その無軌道ぶりにはあきれるほかはありません。臨時行政調査会の答申の趣旨を尊重する意味からも、管理会は設立すべきでありません。  その二は、管理会の役員人事並びに業務の監督権は一切農林大臣が握り、地方公共団体の長はわずかに意見を述べることができることになっております。したがって、管理会は、独立法人としての期待される能率発揮は不可能となり、農林省の出先機関化し、古手役人のうば捨て山となることは、従前の例に徴し、疑う余地のないところであると思うのであります。  その三は、生鮮食料品の販売業は長い経験と鋭い感覚を必要とします。その上、協業スーパーの経営は、関係者の人的協調と周密なる計画と、完ぺきな管理組織が絶対の要件でありますから、管理会の役人上がりの未経験者が指導監督し、業務の一部を担当することは、初めから無理な相談であります。すでにスーパーが過当競争のために倒産が続出し、転換期にきたといわれるときに、官僚支配の手かせ足かせの状態で入居小売り業者経営が順調にいくかどうか、はなはだ疑問であります。  その四は、入居小売り業者は、いままでの自営業を廃業して協業スーパーに参加するのであるから、もし万一失敗した場合、一体どうなるのでしょう。法律には何らの保証措置もないのでありますから、小売り業者をモルモットにした生体実験以外の何ものでもありません。  以上、反対理由を申し述べましたが、最後に、本法律案に対する反対運動の現状について若干触れてみたいと思います。  本法案内容が質疑を通じて明らかになるに従い、関係業界の反対運動が日増しに高まってきたことは、御存じのとおりであります。青果関係は、卸、仲買い、小売りの各団体が反対であり、特に全国青果小売商組合連合会が、総会の決議により、わずか数日のうちに数万の反対署名を集約し、政府与党に陳情したこと、あるいは、中政連など九十二団体の参加する反対期成同盟が激しい反対陳情を重ね、四月二十八日には、ついにたまりかねて、都内の魚屋さん、肉屋さん、八百屋さんなど食料品関係小売り業者二千人以上が、生まれて初めての都議会と国会に対する請願行動を敢行したことは、いかに本法案に対する反対が激しいかを物語っていると思うのであります。また、東京都は、三十九年度の本法関係予算は他に組みかえ、四十年度は内部の反対のため予算を計上するに至っておりません。以上のごとく、かりに本法案成立しても、東京都に受け入れ態勢がなく、入居者にはボイコットされるような状態であります。政府は、このできの悪い法案の通過を断念し、再検討して出直すことを強く要望をいたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  52. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。本案の委員長報告は修正議決報告でございます。  本案全部を問題に供します。委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  53. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は委員会修正どおり議決せられました。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時一分散会