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1965-04-28 第48回国会 参議院 本会議 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十八日(水曜日)    午前十時三十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十八号   昭和四十年四月二十八日    午前十時開議  第一 国会法第三十九条但書規定による議決   に関する件(畜産物価格審議会委員)  第二 国会法第三十九条但書規定による議決   に関する件(蚕糸業振興審議会委員)  第三 国家公安委員会委員任命に関する件  第四 沖繩及び小笠原諸島施政権返還に関す   る決議案田中茂穂君外五名発議)(委員会   審査省略要求事件)  第五 北方領土返還に関する決議案田中茂穂   君外五名発議)(委員会審査省略要求事件)  第六 国民祝日に関する法律の一部を改正す   る法律案趣旨説明)  第七 航空業務に関する日本国政府とマレイシ   ア政府との間の協定締結について承認を求   めるの件(衆議院送付)  第八 在外公館名称及び位置を定める法律及   び在外公館に勤務する外務公務員給与に関   する法律の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第九 訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送付)  第一〇 道路交通法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第一一 外務省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第一二 行政監理委員会設置法案内閣提出)  第一三 運輸省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第一四 海上運送法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第一五 日本国有鉄道法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)  第一六 理学療法士及び作業療法士法案内閣   提出)  第一七 公職選挙法の一部を改正する法律案   (衆議院提出)  第一八 中小企業近代化資金助成法の一部を改   正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一九 中小企業信用保険法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)  第二〇 中小企業投資育成株式会社法の一部を   改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第二一 漁港法の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)  第二二 森林開発公団法の一部を改正する法律    案(内閣提出衆議院送付)  第二三 山村振興法案衆議院提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、日程第一 国会法第三十九条但書規定に   よる議決に関する件(畜産物価格審議会委   員)  一、日程第二 国会法第三十九条但書規定に   よる議決に関する件(蚕糸業振興審議会委   員)  一、日程第三 国家公安委員会委員任命に関   する件  一、日程第四 沖繩及び小笠原諸島施政権返   還に関する決議案田中茂穂君外五名発議)   (委員会審査省略要求事件)  一、日程第五 北方領土返還に関する決議案   (田中茂穂君外五名発議)(委員会審査省略   要求事件)  一、日程第六 国民祝日に関する法律の一部   を改正する法律案趣旨説明)  一、日程第七 航空業務に関する日本国政府と   マレイシア政府との間の協定締結について   承認を求めるの件(衆議院送付)  一、日程第八 在外公館名称及び位置を定め   る法律及び在外公館に勤務する外務公務員の   給与に関する法律の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  一、日程第九 訴訟費用等臨時措置法等の一部   を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第一〇 道路交通法の一部を改正する   法律案内閣提出)  一、日程第一一 外務省設置法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第一二 行政監理委員会設置法案(内   閣提出)  一、日程第一三 運輸省設置法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第一四 海上運送法の一部を改正する   法律案内閣提出)  一、日程第一五 日本国有鉄道法の一部を改正   する法律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第一六 理学療法士及び作業療法士法   案(内閣提出)  一、日程第一七 公職選挙法の一部を改正する   法律案衆議院提出)  一、日程第一八 中小企業近代化資金助成法の   一部を改正する法律案内閣提出衆議院送   付)  一、日程第一九 中小企業信用保険法の一部を   改正する法律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第二〇 中小企業投資育成株式会社法   の一部を改正する法律案内閣提出衆議院   送付)  一、日程第二一 漁港法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)  一、日程第二二 森林開発公団法の一部を改正   する法律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第二三 山村振興法案衆議院提出)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。赤松常子君から、病気のため会期中請暇申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一及び第二の「国会法第三十九条但書規定による議決に関する件」を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  内閣から、畜産物価格審議会委員に本院議員矢山有作君を、蚕糸業振興審議会委員に本院議員八木一郎君を任命することについて、本院の議決を求めてまいりました。  いずれも内閣申し出のとおり、両君がこれらの委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、国家公安委員会委員任命に関する件を議題といたします。  内閣から、警察法第七条第一項の規定により、津田正夫君を国家公安委員会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第四、沖繩及び小笠原諸島施政権返還に関する決議案田中茂穂君外五名発議)(委員会審査省略要求事件)  本案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって本案議題といたします。  まず、発議者趣旨説明を求めます。山本利壽君。    〔山本利壽登壇拍手
  12. 山本利壽

    山本利壽君 ただいま議題となりました、自由民主党日本社会党公明党及び民主社会党の四派共同提案にかかる、沖繩及び小笠原諸島施政権返還に関する決議案につきまして、発議者を代表し、提案趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    沖繩及び小笠原諸島施政権返還に関する決議案   沖繩及び小笠原諸島施政権早期返還は、現地同胞はもとより全国民あげての宿願であるにもかかわらず、米国施政下に置かれることすでに二十年いまなおその実現をみていないことはまことに遺憾である。   よって政府は、さきに本院が行なった沖繩及び小笠原諸島施政権回復に関する決議ならびに琉球政府立法院が行なった過去十一回にわたる施政権返還祖国への復帰要請決議を尊重し、現地同胞の熱烈な祖国復帰願望にこたえ、すみやかにその実現について最善措置を講ずべきである。   右決議する。  以上であります。  沖繩及び小笠原諸島祖国復帰は、九十二万の沖繩同胞及び八千の小笠原島民はもとより、全国民あげての宿願であります。その可及的すみやかな実現のため、不断の努力が続けられてまいったにもかかわらず、いまなお、その実現を見るに至っていないことは、われわれの深く遺憾とするところであります。  申すまでもなく、沖繩及び小笠原諸島に対し、日本潜在主権を有することは、サンフランシスコ平和条約会議の席上、ダレス米国代表の演説により明確にされ、その後も、数次にわたる日米両国首脳共同声明において確認されてまいったのであります。さらに、昭和三十七年三月十九日に発せられたケネディ米国大統領声明においては、「琉球諸島日本本土の一躍であり、……極東における安全保障上の利益が、これを日本の完全な主権のもとに復帰せしめるのを許す日を待望している。」と述べているのであります。  なお、この声明と同時に打ち出された米国沖繩新政策においては、沖繩住民安寧福祉を増進する意図から、沖繩統治に関する大統領行政命令改正する一方、沖繩経済開発のための援助の増額をうたい、さらに、援助の実施を、より円滑ならしめるために、日米が協議してこれに当たることになったのであります。かくて、昨年四月には、沖繩援助に関する日米協議委員会及び日米琉技術委員会が発足するに至ったことは、御承知のとおりであります。さらに、本年一月の佐藤ジョンソン会談の結果として、去る四月二日に日米両国間に交換された公文により、日米協議委員会の機能が拡大され、単に経済援助のみならず、住民福祉向上に関するその他の諸問題についても協議し得ることとなったのであります。  このようにして、沖縄住民福祉は漸次改善の方向に向かいつつあるのでありますが、それを本土と同水準にまで高めるためには、われわれ同胞としてなすべきことがきわめて多いのでありまして、政府においても、このたびの交換公文趣旨を十分に活用し、国民要望にこたえるよう、なお一そうの努力をされたいと思うのであります。  さらにまた、たとえ住民福祉が向上し、その生活水準がいかに高められましょうとも、太平洋戦争において多大の犠牲をこうむり、戦後二十年を経た今田、なお外国施政下に置かれている現地同胞の苦悩は、まことに察するに余りあるのであります。従来、琉球政府立法院数次にわたる決議、その他、あらゆる機会を通じて表明されている現地同胞の熱烈な祖国復帰悲願とその胸中を思うとき、まことに同情と共感を禁じ得ないものがあるのでありまして、現地同胞が一日も早く名実とも日本国民として、喜びも悲しみも分かり合える日の来ることを願わずにはおられないのであります。  サンフランシスコ平和条約がその効力を発しましたのは昭和二十七年四月二十八日でありまして、あたかも本日はその記念日に当たるのであります。政府においては、沖縄経済開発、民生の安定、自治権拡大のために、なお一そうの努力を払うとともに、この際、米国に対して、現地同胞及び日本国民すべての要望を率直に伝え、すみやかに施政権返還実現するよう、あらゆる可能な努力を払うことを強く要望してやまないものであります。  なお、小笠原諸島については、このたびの日栄共同声明により、元島民代表墓参がようやく実現の運びに至ったことは、まことに喜ばしいことであります。しかし、郷土を追われて二十年、いまだに帰島を許されぬ島民心情は察するに余りがあります。その帰島の実現とともに、小笠原諸島施政権返還について、政府最善措置をとられんことを強く要望するものであります。  以上の趣旨によりまして、ここに本決議案提案した次第であります。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。(拍手
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 本案に対し、討論通告がございます。発言を許します。柳岡秋夫君。    〔柳岡秋夫登壇拍手
  14. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は、ただいま議題となりました決議案に対し、賛成討論を行なわんとするものであります。  申すまでもなく、沖縄及び小笠原諸島施政権返還は、現地同胞の多年にわたる悲願であるばかりではありません。全国民あげての要望であります。沖縄現地同胞は、過去十一回にわたる琉球政府立法院決議や、その他あらゆる機会を通じて、祖国復帰の心からなる願望を訴えているのであります。本院におきましても、これにこたえ、すでに第四十回国会において「沖縄及び小笠原諸島における施政権回復に関する決議」を全会一致をもって議決し、政府に対し、一日も早くこれを実現するよう最善努力を尽くすことを強く要求してまいったことは、御承知のとおりであります。しかるに、いまなおその実現を見るに至っていないことは、まことに遺憾と申すほかはありません。  言うまでもなく、沖縄は、太平洋戦争における最も熾烈な攻防の場として、最大の犠牲を払わされたのであります。しかるにその沖縄同胞が、終戦後二十年を経た今日も本土と切断されたまま、依然として米国施政下に置かれ、本土との自由な往来はもとより、日本国民として当然受けるべき権利の多くを制限されているという事態は、われわれの何としても座視し得ないところであります。  ただいまの趣旨説明にもありましたように、沖縄に対するケネディ米国大統領の新政策が打ち出されて以来、現地同胞は、これに大きな期待を寄せたのであります。しかし、これに伴って発足した日米協議委員会日米琉球技術委員会検討事項は、経済援助の問題に厳密に限定され、住民が最も熱望した施政権返還及びそれに向かっての自治権拡大の問題は、全く取り上げられなかったのが実情であります。しかしながら、このたびかわされた日米交換公文により、今後は、経済援助以外の問題も協議する道が開かれたのでありますが、この際、政府は、一日も早く施政権返還実現するために、あらゆる措置を講ずべきであります。  沖縄及び小笠原諸島は、その地理的条件から、現在の国際緊張緩和がなければ返還実現はむずかしいということが、しばしば言われております。しかし、この理由のゆえに、沖縄小笠原がいつまでも外国施政下に放置されてもやむを得ないというのでありますれば、それは、百万近い沖縄小笠原同胞心情はもとより、日本国民全体の感情をあまりにも無視した議論と言わなければなりません。長期にわたって領土同胞の一部が外国統治下に置かれる結果が、関係者はもちろん、国民全体にとっていかに不幸なものであるかは、歴史上その例に乏しくないのであります。この一億国民要望にこたえ、施政権返還を一日もすみやかに実現することこそ、日米両国関係を真に健全かつ安定した基礎の上に置くものであり、ひいては、極東の平和と安全に資するところ大であると確信するものであります。政府においては、この強い願望を一日も早く実現するよう努力するとともに、他方において、現在の国際緊張、ことにアジアにおける緊張緩和のために、さらに一段の努力を結集すべきであります。  さらにまた、小笠原八千の元島民は、家屋敷、田畑をそのままに、祖先墳墓の地から追われてより、すでに二十年の月日がたったのであります。この間、約二百人の日系島民のみは、すでに帰島を認められているにもかかわらず、それ以外の島民は全く帰島を許されていないのであります。白系であれ、それ以外の人であれ、同じ日本国民であり、また同じ元島民であるにもかかわらず、このような差別が行なわれているということは、まことに遺憾であります。われわれは、全島民の一日も早い帰島の実現とともに、施政権のすみやかな返還を強く訴えるものであります。  特にこの際、政府に対し、沖縄及び小笠原諸島施政権返還問題に対する一そうの決意を切望し、さらに、そのための具体的な措置を直ちに展開することを強く要求いたしまして、本決議案に対する私の賛成討論とする次第であります。(拍手
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案全会一致をもって可決せられました。  ただいまの決議に対し、内閣総理大臣から発言を求められました。佐藤内閣総理大臣。    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 沖繩及び小笠原諸島施政権早期返還に対する国民の強い願望は、政府としてもあらゆる機会米側に申し入れてきており、先般の訪米に際しても、ジョンソン大統領に対し特に申し入れたととろであります。これに対し米側も十分の理解を示したことは、共同声明によって御承知のとおりであります。政府は、今後も本決議趣旨に従い、施政権返還早期実現のため、一そう努力していく所存であります。(拍手)      ——————————
  18. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第五、北方領土返還に関する決議案田中茂穂君外五名発議)(委員会審査省略要求事件)、  本案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よりて本案議題といたします。  まず、発議者趣旨説明を求めます。大矢正君。    〔大矢正登壇拍手
  20. 大矢正

    大矢正君 ただいま議題となりました、自由民主党日本社会党公明党及び民主社会党四派共同提案にかかる、北方領土返還に関する決議案につきまして、発議者を代表し、提案趣旨を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。     北方領土返還に関する決議案   歯舞群島色丹島及びわが国固有領土であるその他の北方領土は、ソ連支配下にあることすでに二十年いまなお領土問題の解決をみていないことはまことに遺憾である。   よって政府は、さきに本院が行なった日本固有北方領土回復に関する決議を尊重し、全国民の強い願望にこたえ、すみやかにソ連邦政府との間に領土問題を含む平和条約締結に関する交渉を開始してその懸案を早急に解決し、これら諸島わが国返還せしめるよう最善措置を講ずべきである。   右決議する。  以上であります。  御承知のとおり、昭和三十一年、日ソ共同宣言成立により、海国間の国交は正常化され、貿易関係文化交流等は年とともに発展を見ておりますが、正式な平和条約はいまだ締結されるに至らず、歯舞群島及び色丹島その他わが国固有北方領土は、国交回復後八年を経た今日、なお、ソ連支配下に置かれている現状であります。本院は、さきに院議をもって、これら北方領土回復に関し、本決議案と同趣旨要請政府に対して行ないましたが、いまだその実現を見ていないことは、まことに遺憾にたえません。  そもそもこれらの北方領土は、侵略によって取得したものでないことは歴史上明らかであります。ソ連は、日ソ間の領土問題は、すでにヤルタ協定その他の国際とりきめによって解決済みであると主張しておりますが、ヤルタ協定は、戦時中の一部関係国間の秘密協定であり、わが国の関知しないところであります。現に、日ソ共同宣言成立の際の松本・グロムイコ両全権間の往復書簡においても、平和条約継続交渉には領土問題をも含む旨が約束されているのであります。しかしながら、昭和三十五年一月のグロムイコ覚書や、昨年のフルシチョフ前首相発言などで指摘されておりますとおり、北方領土返還は、極東及びアジア情勢に支配されるところが大であります。わが国としては、領土回復のすみやかな実現のため、この上とも、アジア及び広く世界緊張緩和への努力を積極的に進めるべきであります。幸い、日ソ関係は、最近、年とともに緊密化し、今後さらに発展が期待される段階に来ております。この際、政府は、ソ連邦政府との間に、領土問題の解決を含む平和条約締結交渉をすみやかに開始し、固有領土回復のため最善努力を払い、国民の総意と悲願にこたえるよう強く要望するものであります。  領土問題が解決し、平和条約締結されるならば、両国間の善隣友好関係を維持発展させるための真に安定した基礎が築かれ、さらに、広く国際緊張緩和世界の平和に資するところ大なるものがあると信ずるものであります。  何とぞ本決議案に対し各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。(拍手
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 本案に対し討論通告がございます。発言を許します。亀井光君。    〔亀井光登壇拍手
  22. 亀井光

    亀井光君 ただいま議題となりました北方領土返還に関する決議案に対し、賛成討論を行なわんとするものであります。  ただいまの趣旨説明にもありましたとおり、ソ連との間には、領土問題に関する意見が不一致でありますため、いまだ平和条約締結に至らず、北海道の一部である歯舞色丹その他わが国北方領土は、いまなおソ連支配下にありますることは、まことに遺憾なことであります。このため、漁業安全操業、あるいは遺族の墓参等の問題が多年にわたり懸案となっているのであります。幸いにしまして、最近における日ソ関係改善により、コンブ採取に関しましては、一昨年以来、安全操業が一応可能となりましたが、これも、必ずしも安定した基礎が得られたとは言い得ないのであります。また、その他の近海漁業に関しても、まだ多くの障害が残されているのであります。また、墓参につきましては、昨年に至り、ようやく歯舞色丹のみについてその実現を見た次第であります。  申すまでもなく、歯舞色丹は、古くから、地理的にも行政的にも北海道の一部であり、さらに、国後択捉の両島も、かつて外国主権のもとに置かれたことはなく、純然たる日本固有領土であります。このことは、たとえば明治八年の樺太千島交換条約におきまして、いわゆる千島列島とは、ウルップ島以北の十八島のみを指し、国後択捉を除外している事実からも明らかであります。特に、大西洋憲章を受けた連合国宣言等で内外に宣明されておりまする領土不拡大の原則から見ましても、これらの北方領土を、連合国の一員であったソ連が一方的に領有し得る理由はあり得ないのであります。  わが国にとって、これらの領土を寸土たりとも失いますることは、国民感情の上から忍びがたいところでありますとともに、特に、これらの島々に生を受け、祖先伝来墳墓の地として生活を築き上げてきた人々は、終戦によって北海道その他の本土への引き揚げを強制されたのでありまして、今日まで鳥に帰ることをただ一つの生きる望みとして、一日千秋の思いで待ちわびている、これらの人々の現実の姿を、われわれは忘れてはならないと考えるのであります。  しかるに、ソ連は、領土問題はすでにヤルタ協定その地の国際取りきめによって解決済みであると主張し、また、歯舞色丹の引き渡しについてすら、その返還について、共同宣言以外の条件をつける態度に出ておるわけであります。ソ連は、北方領土が、経済的価値は少ないが、軍事的意義を有する点をしばしば指摘しておるのでありまするから、現下の国際情勢から見て、北方領土の早急な解決は必ずしも容易ではないと思われるのであります。しかしながら、わが国といたしましては、領土回復のすみやかな実現のために、アジア及び広く世界緊張緩和への努力をさらに積極的に進めるべきであると考えるのであります。  最近、日ソ間の漁業交渉貿易関係文化交流等を通じ、両国関係は次第に緊密化してまいりました。特に、昨年、ソ連の政変後、コスイギン首相佐藤総理あてに親書を送りまして、佐藤総理ソ連訪問領事条約締結、あるいは航空協定交渉鈍行等を提唱してまいりました。これに対し、佐藤総理も原則的に同意を表明されましたが、さらに総理領土問題の解決を前提として平和条約締結を強く主張されておりますることは、今後の日ソ間の各分野における緊密の度を加える上に、一歩前進を見せたものと考えるのであります。したがいまして、この際、私は、政府に対し、北方領土の元の住民悲願並びに国民の総意にこたえるべくもソ連邦政府との間に、領土問題の解決を含む平和条約がすみやかに締結されるよう、最善努力を払われんことを強く要望いたしまして、私の賛成討論といたす次第であります。(拍手
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  24. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。  ただいまの決議に対し、内閣総理大臣から発言を求められました。佐藤内閣総理大臣。    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの御決議に対しまして、政府の所信を申し述べます。  ソ連との平和条約締結につきましては、北方領土の問題をめぐって、わがほうは、国後択捉両局を固有領土としてその返還を主張してまいりましたが、ソ連側は、領土問題は解決済みであると主張して、根本的に対立しております。それがため、いまだ実現の運びに至っていないことは、御承知のとおりであります。政府としては、領土問題に関するソ連の主張が、法的見地からも、また歴史的事実に徴しても、とうてい容認し得ないものであることを、ソ連に対し、これまであらゆる機会をとらえて指摘するとともに、その再考を促し、わが国固有領土ができ得る限り早期に返還されることを求めてきました。  先般、コスイギンソ連首相との間に、日ソ関係全般にわたる問題についての書簡交換を行なった際にも、私は、北方領土問題が、国際紛争の平和的解決にあたって順守されるべき諸原則によって解決され、日ソ平和条約締結されることにより、両国間の善隣友好関係が安定した基礎の上に置かれる日の近からんことを、強く希望しておいた次第であります。また、北方領土問題に関するわが国の主張が正当なものであることについては、国際的な支持と理解を得ることもにつとめてまいりました。  何ぶんにも領土問題は、われわれ子々孫々にまつわる重大問題でありますので、ソ連との交渉に際して、いたずらにあせって、悔いを千載に残すごときことがあってはならないのであります。このために毛、政府としては、領土問題に対する国論を統一し、挙国一致態勢のもとに、忍耐強くわがほうの立場の正当性を主張し、ソ連政府の説得に成功するまで努力を傾けていきたい所存であります。(拍手)      ——————————
  26. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第六、国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。臼井総理府総務長官。    〔政府委員臼井莊一君登壇拍手
  27. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  国民祝日に関する法律は、昭和二十三年の第二回国会において制定されたものであります。当時の国会における審議の過程において将来なお祝日の増加が予想されていたところでありますが、国民の間に、現行の祝日のほかに幾つか祝日にふさわしい日を加えたいという要望があり、国会におきましても、御承知のとおり、国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案が、昭和三十二年の第二十六回国会以来昨年までに、議員提案として七回提出されましたほか、継続審査が三回ありましたが、いずれも不成立となっております。政府といたしましては、このような事情にかんがみ、今回、政府において、新たに国民祝日を加えることを提案することとした次第であります。  以下、この法律案の概要につきまして御説明いたします。  この法律案におきましては、現行の国民祝日に、新たに建国記念の日(二月十一日)、敬老の日(九月十五日)及び体育の日(十月十日)を加えることとしております。  まず、建国記念の日につきましては、建国をしのび、国を愛し、国の発展を期するという国民がひとしく抱いている感情を尊重して、国民祝日にすることとしたのであります。また、この日を二月十一日といたしましたのは、との日が明治初年以来七十余年にわたり祝日として国民に親しまれてきた伝統を尊重したからであります。  次に、敬老の日につきましては、多年にわたり社会に尽くしてこられた年寄りの方々に感謝するとともに、老後の精神的な安定を願い、敬老の日を国民祝日にすることとしたのであります。また、この日を九月十五日といたしましたのは、昭和二十六年以来十数年にわたり、「としよりの日」として、全国各地においてその趣旨にふさわしい行事が行なわれており、また、昭和三十八年に制定されました老人福祉法においで、「老人の日」として九月十五日が定められていることなど、この日が広く国民の間に浸透しているからであります。  最後に、体育の日につきましては、国民がスポーツに親しみ、その精神を通じて健康な心身をつちかって、明るく住みよい社会を建設することを願い、体育の日を国民祝日にすることとしたのであります。また、この日を十月十日といたしましたのは、昭和三十六年に制定されましたスポーツ振興法において、「スポーツの日」として十月の第一土曜日が定められていることを尊重し、あわせて、成功をおさめました昨年のオリンピック東京大会を記念し、その開会式の日を選んだものであります。  また、以上の改正に伴い、関連する法律についても所要の規定の整備を行なうこととしております。  以上が、国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手
  28. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。小林武君。    〔小林武君登壇拍手
  29. 小林武

    ○小林武君 私は、日本社会党を代表し、ただいま趣旨説明のありました国民祝日に関する法律一の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係一大臣に対し、以下九点について質問をいたしま三  まず第一に、紀元節復活を主たる内容とするこの法案は、昭和三十二年、第二十六国会提出されて以来、今日に至るまで、すでに提案されること七度に及んでいるのであります。このような政府、自民党の異常な熱意にもかかわらず、ついに、いまに至るまで成立を見るに至らなかったのであります。この事実は、言うまでもなく、国民の総意がそれを許さなかったからであります。総理は、このような経過をどう把握しているのか、また、何ら反省するものがないのか、この点、明らかにしていただきたいものであります。また、総理は、「かねてから議員立法で提案を考えていたが、事柄の性質上、政府提案として今国会に出すよう政府方針をきめた」と述べられているようでありますが、総理の言う「事柄の性質上」とは、具体的には何を言おうとしているのか明らかでありません。もともと現行の国民祝日に関する法律は、議員立法で制定されたものでありますから、察するところ、総理の「事柄の性質上」という意味は、法案全体に関するものではなくて、かかって紀元節復活の強い意思表現と見るのが妥当でありましょう。過去七回の提案がことごとく議員提案であったから成立できなかったとして、議員立法は手ぬるい、国家権力による紀元節強行という、いわば、たび重なる挫折に業を煮やした威嚇とも受け取れるのであります。国民は、その総理の言動を不可解としているのであります。所信を明らかにしていただきたいのであります。  第二に、このたびの法律改正にあたって、建国記念の日に加えるに、九月十五日の敬老の日、十月十日の体育の日を設けることになっています。しかし、その真意はあくまでも、建国の日を設けること、すなわち紀元節復活を主眼とし、他の二つは、それを容易にするためのトリックにすぎないことは、国民もよく承知いたしております。とかく政府に遠慮しがちな言論機関も、このことを端的に指摘いたしているのであります。衆目の見るところと言わなければなりません。総理にお尋ねいたします。主権者である国民に対し、政府がトリックをもって祝日を強行しようというような思想は、いかがなものでありましょう。また、国民の立場からは、その大それた必要性が何を目的としたものであるかなど、不満と不安にかられているのでありますが、総理の釈明があるならば承りたいのであります。  第三に伺いたいのは、建国記念の日、すなわち紀元節の復活に対して政府が固執してやまない理由は、天皇制復活と憲法改悪を目的とする思想的役割りにあると考えられるが、いかがでありましょうか。単なる明治の世代の郷愁などという感傷論で片づけられる性格のものではなくて、その再現の切望は、日本の支配層の政策的・政治的必要に基因するものでありましょう。紀元節復活を「てこ」として、天皇を中心とした愛国思想をつちかおうというねらいは、対米従属の外交政策の帰結として、政治の全般にわたる軍事化と、その政策の遂行のための思想的統制と、これに必然的に随伴する憲法改正にあると見るべきでありましょう。このことは、改憲の論議の中に、あるいは政府の政治的姿勢の中に、また、右翼的団体の言論、行動の中に、その政治的病患が随所にあらわれていることによって明らかであります。紀元節復活賛成論者の中にある天皇制復活、天皇を自衛隊の中心に仰ぐという驚嘆すべき主張も、その一つであります。ある者は、派閥争いの結果生まれた総理大臣に、軍隊に対する指揮命令の権利を持つ資格がないとして、「自衛隊の中心に天皇を」という結論を引き出す者があるのであります。日本民主化の中に死滅した天皇神格化と、統帥の大権との結合という思想が、再生の奇蹟を国民の前に示したのであります。もともと、日本国憲法のもとで認められ得ない再軍備を、数にものを言わせて、なしくずしにそれを完了した日本の保守党は、日本国憲法のもとで、絶対制天皇制下に掌握されていた統帥権を議会に吸収し得たかに見えたが、平和憲法無視、紀元節復活等に見られる、政府みずからの政治・教育等の反動化の持続の中に、この驚くべき反動の風潮を育て、今日、公然と主張される事態を招いたのであります。この種の思想、運動に対する総理の見解と対策、また、このような憂慮すべき風潮のあらわれにも、なおかつ紀元節復活を強行しようとするのか、お答えをいただきたいのであります。  第四点として、こうした統帥権にかかわる問題として、あなたの足元で最も具体的にあらわれたのが、今国会を騒然とさせた三矢計画だと思います。統幕議長以下中堅幕僚は、最高責任者である総理も知ることのできない仕組みの中で、中国、朝鮮を仮想敵国と想定する戦争計画を樹立し、アジアの平和に暗影を投げかけ、しかも、これらを遂行するための国策要綱なる立案は、言論、経済統制の計画から、国内革命勢力の排除と称する国民弾圧計画まで樹立し、さらに、戦時諸法案を臨時国会に緊急上程し、全法案の成立をはかるなど、議会政治破壊を直接の目的とした計画立案がなされたこの事実は、わが国に文官優位の原則はもはや存在しないと危惧されるのであります。軍部独走のための錦の御旗、統帥権独立のねらいが、この思い上がった三矢計画の中にむき出しに示されていると思いますが、総理は、これらの思想的動向、政治的現実に対し、いかなる見解を持っているのか、お尋ねをいたしたいのであります。  第五点として、文部大臣にお尋ねいたしたいのであります。さる一月十一日に、あなたの所管する中央教育審議会は、期待される人間像に関する中間草案を発表いたしました。その中に、当面する日本人の課題として、「われわれは、祖国日本を敬愛することが、天皇を敬愛することと一つであることを深く考えるべきである。」と述べ、つまり人間像の背骨をここに求めているのであります。表現が、現行憲法下のことでもあり、多少の配慮が示されているかに見えるのでありますが、これはまさしく忠君愛国の戦後版であります。忠君と愛国とを一体とする思想は、かつて国定教科書の冒頭を厳然と飾った神勅、すなわち、天孫降臨の神話を背景としたものであり、絶対主義的な天皇制からだけ導き出される思想であります。現人神としての天皇と、天地とともにきわまりない統治権を有する日本国土との一体不離の関係は、また、おのずから人民との関係において画然とした君臣の別を規定しているのであります。したがって、国を愛することはすなわち天皇に対する忠誠につながるという、忠君と愛国との一致を説いたものであります。日本国憲法と教育基本法に基づく日本の教育に、公然と忠君愛国の思想の導入を強調し、それが期待すべき人間像の課題として要請されているのであります。祝日法案に明記された、神話伝説としての神武天皇即位の日を建国記念の日として、国を愛する心を養うという発想は、当然の帰結として、教育の目標としての期待される人間像と相呼応して、わが国の教育を戦前のそれに引き戻し、ひいては日本国憲法の否定を直接教育目的とすることになると思うが、民主教育推進の立場から、文部大臣の見解を尋ねたいのであります。  第六点として、紀元節復活に象徴される、天皇制復活論を頂点とする復古的思想は、必然的結果として、天皇家の祖神としての伊勢神宮の国教化に傾斜するのであります。一部保守党議員によって提唱されている、伊勢神宮を重要文化財として指定し、国費支弁を導入する意見がありますが、これこそ、なしくずしの伊勢神宮国教化の第一歩でなくて何でありましょうか。さらに、このことは神社神道の復活に当然結びつくものであり、日本国憲法の根本理念をゆるがすものとして、断じて評すべきものでないと考えるが、総理の見解をお尋ねいたしたいのであります。また、文部大臣は、重要文化財指定という所論に対してどのような見解を持つか、明らかにしていただきたいのであります。  かつて「袞竜の袖に隠れる」ということばがありました。絶対的な神格としての天皇の威徳に隠れて、国の政治を壟断し、民民の利益を奪い、その自由を束縛し、これを弾圧するという多くの事実は、日本歴史に数々の汚点を記録したのであります。第二次世界大戦への無謀な突入も、むごたらしい国民犠牲も、また、そこに基因するのであります。天皇制復活につながる紀元節復活等の時代錯誤的議論は、言うなれば「袞竜の袖に隠れる」という天皇制利用の底意につながるものと断定して誤りがありません。天皇が、みずから過去の誤った天皇観を否定されて、人間天皇を宣言された今日、再び神の座につき、高ねおろしに民草をなびかせるなどという、憲法無視のお考えはないものと考えるのであります。しかし、その意思の有無にかかわらず、結果的には、一部の人たちの天皇制利用の魂胆によって、天皇家を、日本国憲法の改悪、明治憲法体制への遂行という、過熱的政治争点の渦中に巻き込むものと考えるのであります。総理のこの点の見解を伺いたいのであります。これが第七点であります。  臼井総理府総務長官は、去る三月二日の衆議院予算委員会において、「学校においてはほとんど歴史を教えていないというところに、義務教育においても非常な欠点がございました。したがいまして、この建国記念日をつくることによりまして、学校においても当然歴史を教えざるを得なくなる。日本書紀に書いてあるがままに教えることは、決して教育上マイナスにならぬ、」と述べているのであります。この発言は、二月十一日を建国記念日にすれば、歴史教育はそれに従ってしなければならぬということであります。これは単なる休日ではなくて、歴史教育そのものの規制であることを明らかにしているのであります。総務長官の答弁は、佐藤内閣の教育に対する重大な公式発言であると考えます。  総理並びに臼井長官に対してお尋ねしたい。二十世紀後半を迎えて、科学は飛躍的発展を遂げ、いわゆる科学時代、民主主義時代の中に生きる日本国民歴史教育の教材に、なぜ神話を持ち込まなければならないのか。そのために、科学的歴史教育を規制し、否定しなければならないのか。その教育的根拠、政治的理由を、国民の前に明らかにしていただきたいのであります。これが第八点であります。  最後に、文部大臣に歴史教育に対する方針を承りたいのであります。なお、科学技術庁長官も兼務されておりますので、その立場も含めてお答えを願いたいのであります。文部省はここ数年、歴史教育は科学的であってはならないという立場をとっているのではないかと思うのでありますが、いかがでありましょう。一例を申しますと、文部省は、日本史高等学校教科書の検定にあたって、「神代の物語はもちろんのこと、神武天皇以後の最初の天皇数代の間の記事に至るまで、すべて、皇室が日本を統一して後に、日本を統治するいわれを正当化するために構想された物語である」という一節を、文部省は無理やり削除させたという事実があります。このことは、学界の定説を否定し、若者の学問的良心を押えることを、検定という権力の行使によって行なったことになると思うのですが、文部省は、本気に、神武天皇即位を中心とする神話が歴史的事実であると認めているのですか。それとも、歴史的事実を曲げても、ある種の思想を教育しようとしてのことなのでありますか。また、中学校社会科教科書検定も同じであります。天皇は神である、万世一系の皇統を臣民に教えよ、神話は歴史的事実であるといった方向に、方針が急角度に偏向を強めているのであります。  昭和二十一年、教育の指針として、あなたの所管する文部省は次のような反省を行ない、教師にもあやまちを再びおかすことのないよう協力を求めたのです。「国史の教科書に、神が国土や山川草木を生んだとか、大蛇の尾から剣が出たとか、神風が吹いて敵軍を滅ぼしたとかの神話や伝説が、あたかも歴史的事実であるかのように記されていたのに、生徒はそれを疑うことなく、その真相やその意味をきわめようとしなかった。このように教育された国民は、竹やりを持って近代兵器に立ち向かおうとしたり、神風による最後の勝利を信じたりしたのである。軍国主義や極端な国家主義は、日本国民のこうした弱点につけ込んで行なわれたものである。このような教育を受けることによって、日本国民は、批判的精神に欠け、権威に盲従しやすい国民となり、したがって合理的精神が乏しく、科学的働きが弱いのである。」、文部大臣、これは文部省の自己批判であります。教育のざんげであります。非科学的な歴史教育が、  日本国民にこのような害毒を流したということを、厳粛な事実の上に立って述べているのであります。その文部省が、学問、研究の自由を圧迫し、非科学的歴史教育を横行させるための行政を、文部大臣であり科学技術庁長官であるあなたの責任のもとに、命令のもとに行なわれている、この事実をどう思われますか。文部大臣の責任ある答弁を要求いたします。
  30. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 小林君、時間が超過しております。
  31. 小林武

    ○小林武君(続) 国民祝日に関する法律には、国民祝日は、自由と平和を求めてやまない日本国民が、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるためのものでなければならないとしているのであります。紀元節の復活は、法のいう国民祝日には値しないことは、すでに明瞭であります。しかし、そのため老人の日や体育の日が紀元節反対の声の中に消し去られることは、きわめて遺憾のことと言わなければなりません。祝日そのものの中に、新生日本の理想をうたい、その実現のための国民的エネルギーを育てようとするならば、政府は紀元節復活をいさぎよく撤回し、国民の総意に基づく祝日を設けるべきであります。このことを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  国民祝日に関する法律は、御承知のとおりに、昭和二十三年の第二回の国会で制定されました。その際にも、祝日の増加、これからふやすというようなことが、ある程度予想されたのでありますが、その後、国民の間に、現行の祝日のほかに、幾つかの祝日とするのにふさわしい日を加えたいとの要望がありました。国会においても、御承知のように、すでに議員提案でしばしば御審議を願ったわけであります。もちろんそれらのものは、いずれも成立を見なかったのであります。しかし、今回政府は、右のような事情にかんがみまして、国民要望にこたえ、建国記念の日、敬老の日、体育の日等が、現在及び将来の日本にとりまして、追加することが最もふさわしい、かように考えまして提案いたしたわけであります。別に、国家権力などで、この国会でぜひともこれを通すという意味ではございませんが、しかし、必ず審議の結果御賛同を得るものと、かような確信のもとに提案をいたしておるわけであります。御承知のように、国民がひとしく祝う日、これこそは、議員提案も、その制度から望ましいような言い方もされますが、政府自身が責任を持って提案し、そうして御審議をいただくことがふさわしいことだ、かように私は信じましたので、これを提案いたしたわけでございます。ただいま、三つの日を定めた、これは政府のトリックだ、こういうようなお話がございますが、これはトリックではございません。はっきり申しますが、どうか慎重に御審議のほどお願いをいたします。  天皇制の復活についていろいろお話がございました。さらに統帥権だとかいうようなお話だとか、あるいは天皇家を政治に巻き込むんだ、こういうようなお話がございましたが、これでよく社会党が本案に反対されておる理由がわかりました。私どもが今日のこの建国記念の日を制定することを提案いたしましたのは、国民がひとしく建国をしのび、国を愛する、そうして将来の発展を期するという、国民がひとしく感じておる、その感情及び意欲、これを率直に表明しようということでございまして、ただいま言われるような憲法改悪を意図するものでもなく、また、天皇制復活などを考えておるものではございません。この点は、はっきり申し上げます。したがいまして、ただいま言われるようなことこそ、社会党が牽強付会とは私申しませんけれども、非常に回りくどい言い方をして本案に反対しておられる、かように私は信ぜざるを得ないのであります。御承知のように、今日は平和憲法ができております。私どもは、この憲法のもとにおいて、政治の遂行をしているのであります。かような観点に立てば、いまさら天皇制復活だとか、さらに論理の飛躍をみて、その天皇制の復活から統帥権まで復活するんだ、それを制定するんだ、かような論理的発展などは許せないことであります。これはもちろん慎重にお考えをいただいて、そうして、この種の法案についての、政府が真に考えておる、率直に考えておるその点を、十分御批判をいただきたいと思うのであります。私は、現在の憲法を改悪するような考え方は毛頭持っておりませんし、この問題が憲法改悪につながるというようなことではないのでありまして、その点は、はっきり申し上げておきます。  また、神道をもって国教とするのではないかというような御意見でございますが、御承知のように、この憲法のもとにおきましても、私どもは信教の自由をちゃんと保障されております。さようなことにおいて、かような心配は毛頭ございません。  また、天皇を政治的な紛争に巻き込む、こういうおそれはないかということでありますが、天皇は、御承知のように、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であります。その地位は、主権者たる国民の総意に基づくものでありまして、今回の、この建国記念の日をつくることによりまして、天皇の地位を何ら変更するものではないということを、はっきり申し上げておきます。  その次に、なぜかような神話を教材に取り入れるのか、こういうようなお話でございますが、私ども神話を教材に取り入れるような考え方は持っておりません。先ほど提案理由でも申しましたように、二月十一日はわれわれ国民に最もなじみの深い日だ、そういう意味で二月十一日をきめたのです。そうして、神話は神話として意義があり、価値がある、このことは、はっきり申し上げておきます。幾ら現代は科学時代と申しましても、神話は神話として意義があり、価値がある、このことは忘れてはならない、かように思います。  私は、同時に、申し上げたいのでありますが、政治そのものは、これは簡潔でなければならない、国民の望むもの、国民大多数が希望するもの、それを率直に取り入れる、こういうことが政治の要諦ではないかと、かように思います。社会党の方は、頭が特別にいいのかわかりませんが、いろいろ論理を発展されておるようでございます。論理の発展もけっこうでありますが、どうか簡潔なものの見方をしていただきたい、これをお願いして、御審議に御協力のほどをお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登壇拍手
  33. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 総理が全部の御質問に対してほとんどお答えをしたように思われますので、私からは簡単にお答えいたしたいと思います。  期待される人間像の問題でありますが七これは小林議員が十分御承知のとおり、中教審の部会が中間の草案として発表されたものでありまして、これから各方面の意見を求めたいという段階でございますから、政府としてこの中間草案についてまだ意見を申し述べる時期ではございませんので、御了承願いたいと思います。しかし、それはそれといたしまして、ただいま総理からも言われましたように、日本国憲法第一条に規定しておりますように、天皇は国民の総意に基づいて、日本国の象徴である、日本国民の統合の象徴でもあられる、この国の象徴を敬愛することは、国を愛することに通ずるものである。国を愛する心情をつちかうことは、教育基本法に何ら違反するどころか、教育基本法の趣旨にかなうものである。かように私は確信をしておるものであります。  その次に、歴史教育の方針等についてのお尋ねがございましたが、これもよく御承知のとおりに、小学校、中学校及び高等学校とも、学習指導要領によっておるわけでございます。そうして、学習指導要領等におきましても、たとえば、古典に見える神話や伝承等についても、正しく取り扱って、当時の人々の信仰や、ものの見方等に触れさせることが望ましい、こういうふうに私どもは規定をいたしております。さらにはまた、記紀などの古典に見える神話や伝承については、当時の人々の信仰や、ものの見方に触れさせることも大切である、外国の神話等に触れることも望ましい、こういうことも規定されておるのでございまして、こういう点をよく御承知を願いたいと思うのです。小林議員の言われるような、学問としての歴史科学というようなことと、この問題は、私は別に取り上げてしかるべき問題であると思います。科学としての歴史というものは、おのずからまた学問他のの角度で取り上げてしかるべきものと思います。  検定の問題につきましては、小林議員の言われるような、持って回ったような、あるいは御心配が非常に過ぎるような、何らかの意図を持って検定に当たるというようなことは、毛頭いたしておりません。  その次は、伊勢神宮の問題につきまして、これも総理が答弁されたとおりでありますが、伊勢神宮には重要文化財等としてもきわめて意義の深いものがあると、私は信じておりますが、これらの点につきましては、別の機会にまたいろいろ御論議があろうかと思います。(拍手)    〔政府委員臼井莊一君登壇拍手
  34. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 私に対する御質問は、去る三月二日の衆議院予算委員会における発言をもとにされて、何か、建国記念の日を設けることによって、歴史教育を規制するのではないかというような御質問でございました。これは非常な誤解でございまして、そのとき竹本委員の御質問は、二月十一日にすることによって、学校等でその日のいわれを聞いたときに、正しく答える自信があるかという御質問であります。私は、戦後、小学校、中学校の義務教育におきましても、歴史歴史として系統的に教えていなかった時期がある。これはまあ占領軍の政策によることでございましたが、社会科の中で地理も歴史も一緒に取りまぜてその他のこともやっていたということでございました。その後、いま文部大臣のお話のように、昭和三十三年から、ある程度これは系統的に義務教育にも取り入れられるようになったのでございまするが、しかしながら、いずれにしても、国民が当然知りたいと願っているわが国の建国に関する神話、伝承についても、学校等においても十分従来教えられていなかったものと考えられますが、この神話、伝承というようなものは、諸外国におきましても、歴史の古い国におきましては、これはもう当然あるわけでございまして、この建国の記念の日を設けることによりまして、この日が、日本の最古の文献といわれている古事記とか日本書紀に基づく神武天皇の即位の神話、伝承を基礎にして定められたものであることを、これは正しくそのまま教えていただくことが期待されるのでありまして、これを、何も、うそを教えろということではございませんで、したがいまして、私どもは、建国の記念の日を設けることにより、特に神話、伝承を史実とするような歴史教育の方向に推進しようという考えではございません。伝説は伝説、神話は神話、こういうことで教えていただきたいというのが、そういう機会ができるであろうと、こういうことでございます。  なお、天皇制との問題、いろいろございますけれども、しかし、現在の国民祝日法におきましても、四月二十九日、明日の天皇誕生日も、戦前はやはり天長節でございました。それから十一月三日、現在の文化の日も明治節でございました。明治時代の天長節でございます。三月二十一日の春分の日、九月二十三日の秋分の日も、やはり春季皇霊祭とか秋季皇霊祭、十一月二十三日は勤労感謝の日でございますが、昔はこれがやはり新嘗祭でございました。したがいまして、こういうふうに、やはり伝統がある日を二月十一日に定めても一向御心配はないということを申し上げるのであります。(拍手
  35. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  36. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第七、航空業務に関する日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件(衆議院送付)、  日程第八、在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  以上両件を一括して議題とすることにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長小柳牧衞君。    〔小柳牧衞君登壇拍手
  38. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ただいま議題となりました条約及び法律案につき、外務委員会における審議の経過並びに結果をご報告申し上げます。  まず、マレイシアとの航空協定につき申し上げます。  日本航空株式会社は、日英航空協定に基づき、昭和三十三年以来、シンガポールへの運航を行なっておりますが、昭和三十八年九月、シンガポールがマレイシアの一部となったため、マレーシアとの間に新たに航空協定締結する必要が生じたのであります。この協定締結により、わが国及びマレイシアの航空企業は、それぞれ両国間に定期航空業務を開設し得ることとなるのであります。  次に、法律案は、アフリカその他の地域において、大使館三館、総領事館二館、領事館一館を新設するほか、公使館一を大使館に、領事館二を総領事館にそれぞれ昇格するとともに、これら公館委員会における質疑の詳細は会議録により御承知願います。  四月二十七日、採決の結果、マレイシアとの航空協定は、全会一致をもって承認すべきものと決定し、また、法律案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手)    〔議長退席、副議長着席〕
  39. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、航空業務に関する日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  40. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本件承認すすることに決しました。      ——————————
  41. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 次に、在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。
  42. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長石井桂君。    〔石井桂君登壇拍手
  43. 石井桂

    ○石井桂君 ただいま議題となりました訴訟費相等臨時措置法等の一部を改正する法律案について、法務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  本法律案の要旨は、第一に、執行吏の手数料等を全体として三割五分程度の増収となるように増額すること。第二に、一般公務員恩給の改正に対応して、執行吏の恩給についても二割程度の増額、その他一般公務員恩給の改正と同趣旨改正を行なうことであります。  委員会においては、執行吏等の執務状況に関する諸問題、執行吏の身分と一般公務員との差異、俸給制など、執行吏制度の改正に関する審議の経過と見通し、執行吏恩給の支給状況、根拠法規、一般公務員恩給との関係等について、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。  質疑を終わり、討論に入りましたが、別に発言もなく、次いで採決の結果、本法律案は、多数をもって原案のとおり可決すべきもの決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  44. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  45. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  46. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第十、道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長天坊裕彦君。    〔天坊裕彦君登壇拍手
  47. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、自動車における人身事故を防止し、その他、自動車の安全運転の確保をはかるため、  第一に、一定台数以上の自動車を使用する者は、安全運転管理者を選任しなければならないことにするとともに、現行法の自動二輪車、二輪の軽自動車及び第二種原付自転車の運転者等に保護帽の着用義務等を課し、  第二に、軽自動車等に対する運転免許の資格要件を強化し、かつ、その制度の合理化をはかるため、自動三輪車免許及び第二種原付自転車免許を廃止するとともに、自動車等の種類として自動三輪車を普通自動車とし、二輪の軽自動車、第二種原付自転車を自動二輪車とする等、関係規定を整備するものでありますが、四輪及び三輪の軽自動車につきましては、その資格要件をいま直ちに強化することは、社会的に少なからぬ影響があると考えられますので、その実施を三年間延期し、三年後に自動車の種類としての軽自動車を普通自動車にすることにいたしております。  第三に、高速自動車国道における交通の特殊性にかんがみ、危険を防止し、交通の安全と円滑をはかるため、特に必要があると認めるときは、交通の規制、取り締まり等について、国家公安委員会は都道府県公安委員会に対し、必要な事項を指示し、一元的に処理させることができること等を、おもな内容とするものであります。  本委員会におきましては、二月二十五日、吉武国務大臣から提案理由の説明を聴取し、交通事故防止対策問題、軽自動車の運転資格要件強化問題等を中心に慎重に審査いたしましたが、詳細は会議録によってごらんいただきたいと存じます。  かくて、質疑を終了し、討論に入りましたところ、林委員から、各派共同により、交通事故防止対策の強力推進及び軽自動車運転資格要件強化の改正趣旨徹底に関し、附帯決議案提出され、採決の結果、本法律案全会一致をもって可決すべきものと決定し、続いて附帯決議案も同じく全会  一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  48. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  49. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  50. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第十一、外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  日程第十二、行政監理委員会設置法案内閣提出)、  日程第十三、運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長柴田栄君    〔柴田栄君登壇拍手
  52. 柴田栄

    ○柴田栄君 ただいま議題となりました法律案三件につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、外務省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案の内容は、第一に、アメリカ局の中南米地域の事務と移住局の事務をあわせて中南米・移住局を設置するとともに、アメリカ局を北米局と改め、移住局を廃止すること。第二に、欧亜局の中近東アフリカ部を局に昇格すること。第三に、在外公館の新設並びに増強のため、特別職二人、一般職六十三人、計六十五人の増員を行なうこと等であります。  なお、本法律案は、衆議院において施行期日につき所要の修正が行なわれております。  本委員会におきましては、臨調の改革意見に対する外務省の見解、中南米・移住局設置の経緯、対中近東アフリカ外交の強化、海外移住の現状、低開発国に対する経済協力等の諸点について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、行政監理委員会設置法案について申し上げます。  本法律案は、民間の意見を導入して行政の改善に資するため、行政監理委員会の設置を提案している臨時行政調査会の意見を尊重して、提案されたものでありまして、その内容のおもなる点は、第一に、行政監理委員会を国家行政組織法第八条の機関として行政管理庁に設置すること。第二に、行政監理委員会は、重要な行政制度及び行政運営並びに行政監察の方針、その基本計画及び監察の結果に基づく重要な勧告事項について審議するとともに、行政管理庁長官に意見を述べ、並びにその諮問に答申すること。第三に、行政監理委員会は、行政管理庁長官をもって当てる委員長及び国会同意を得て内閣総理大臣任命する六人の委員で組織すること等であります。  内閣委員会におきましては、本委員会を国家行政組織法第八条の機関として行政管理庁に設置する理由委員長に行政管理庁長官をもって当てる理由委員の人選、行政審議会と本委員会との相違点等の諸点について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  最後に、運輸省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案の内容は、第一に、本省の地方支分部局である港湾建設局の所掌事務に、飛行場の建設等に関する国の直轄の土木工事及び委託による飛行場工事の施行に関する事務を加えること。第二に、港湾審議会に港湾の管理に関する重要事項を調査審議させること。第三に、運輸省の定員を、本省において百二十三人、気象庁において五十人、計百七十三人増加すること等であります。  なお、本法律案は、衆議院において施行期日に    〔江藤智君登壇拍手
  53. 江藤智

    ○江藤智君 ただいま議題となりました二法案について、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  海上運送法の一部を改正する法律案について申し上げます。  改正点の第一は、道路整備が進むにつれて自動車交通が活発になり、これに伴って、自動車航送船、いわゆるカー・フェリーが、近年、瀬戸内海を中心に全国的に急増する趨勢にありますので、これらの事業の適正化をはかるため、自動車航送を行なう定期の貨物航路事業を許可制とするほか、運賃料金、運送約款を認可制とするなどの規制を加えることであります。  第二は、定期航路事業における貨物の運送秩序に関する勧告が、不定期航路事業者に対しても行なえるように改めることであります。  委員会におきましては、カー・フェリー事業の現状、カー・フェリーの構造と安全性の確保、運賃料金設定の基準及び外航定期航路の安定と独占禁止法運用との関連等につきまして、熱心な質疑が行なわれた後、討論、採決の結果、全会一致をもって、本改正法案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について申し上げます。  日本国有鉄道法は、日本国有鉄道の組織と運営に関する基本法でありますが、  本法律案による改正点の第一は、志免炭鉱の閉山に伴い、業務の範囲から採炭事業を削除したことであります。  第二は、業務の運営上、特に必要がある場合に限り、現物出資をすることができるように投資条項を改めたことであります。  第三は、鉄道債券の債権者に、民法の規定による一般の先取り特権に次ぐ先取り特権を与える旨を規定したことであります。  委員会におきましては、出資条項に新たに現物出資に関する事項を明文化した理由、現物出資財産の評価の方法、国鉄出資会社の経営の現状及び特別鉄道債券消化の方策等につきまして、熱心な質疑が行なわれた後、討論、採決の結果、全会一致をもって、本改正法案は、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  54. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  55. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。      ——————————
  56. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第十六、理学療法士及び作業療法士法案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長藤田藤太郎君。    〔藤田藤太郎君登壇拍手
  57. 藤田藤太郎

    ○藤田藤太郎君 ただいま議題となりました理学療法士及び作業療法士法案につきまして、社会労働委員会における審議の経過と結果を報告いたします。  本法律案は、理学療法士及び作業療法士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるよう規律し、身体または精神に障害のある者に対する医学的リハビリテーションの普及及び向上をはかることを目的とするものであります。  本法律案の要旨は、  第一に、理学療法及び作業療法の概念を明確にするとともに、厚生大臣の免許を受けて、医師の指示のもとに、理学療法、作業療法を行なうことを業とする者に、それぞれ理学療法士、作業療法主なる名称の独占使用を認めること。  第二に、理学療法士及び作業療法士の資格要件、国家試験、免許等について規定するとともに、経過的な措置として、現に病院等で理学療法または作業療法に従事している者については、特例試験の受験を認めること。  第三に、理学療法士及び作業療法士と、看護婦、あんまマッサージ指圧師等との業務の調整をはかるため、所要の規定を設けていること等であります。  委員会においては、神田厚生大臣及び政府委員に対し、名称独占と業務独占との関係、特例試験と養成機構の問題理学療法とあんまマッサージ、医業類似行為との相違、リハビリテーション指導体制の一元化、及び、身体障害者の現状等について、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、討論、採決の結果、本法律案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、委員会において、全会一致をもって次の附帯決議を行ないました。   政府は、理学療法士及び作業療法士について、急速にこれが充実対策を進めるとともに、併せて附則第四項に該当する者の活用について次の点に留意すること。  一、経過措置としての試験については、従来の経験を充分にしん酌して行なうよう配慮すること。  二、病院、診療所以外において、理学療法又は作業療法を業としている者であっても、医師の指示の下に、一定数以上の患者を扱っているものについては、受験資格を附与するよう考慮すること。  右報告いたしました。(拍手
  58. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  59. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  60. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第十七、公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する特別委員長白木義一郎君。     —————————————    〔白木義一郎君登壇拍手
  61. 白木義一郎

    ○白木義一郎君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、公職選挙法改正に関する特別委員会における審査の経過並びに結果を報告いたします。  御承知のとおり、補充選挙人名簿の登録手続並びに連呼行為ができる時間等はつきましては、昨年七月改正が行なわれたのでありますが、本案は、さらにそれらの事項の制度面並びに運用面につきまして合理化をはかろうとするものでありまして、  第一に、補充選挙人名簿は、選挙の期日の公示または告示の前日までに登録の申し出をした者について調製することとして、選挙期日の公示または告示後に登録の申請ができる制度を廃止することといたしております。また、登録の申し出をしようとする者は、必要がある場合、選挙人名簿または抄本の閲覧を求めるととができるものとし、登録の申し出及び名簿等の閲覧請求のできる時間を、市町村選管の職員の執務時間内に限ることとしたのであります。  第二に、運行中または停止中の選挙運動用自動車または船舶の土における選挙運動のための連呼行為のできる時間について、衆議院議員選挙及び知事選挙の場合を参議院議員選挙の時間と同一に統一して、一律に午前七時から午後八時までの間に限ることといたしております。また、確認団体が政治活動のために連呼行為のできる時間についても、前の場合と同様に改正することをおもな内容とするものであります。  なお施行期日は、補充選挙人名簿に関する事項の改正規定昭和四十年五月一日から、連呼行為に関する事項の改正規定は、衆議院議員の選挙については次の総選挙から、参議院議員の選挙については次の通常選挙から、知事選挙については公布後一カ月を経過した日から、それぞれ適用することにいたしております。  本委員会におきましては、四月十三日、提出衆議院議員鈴木善幸君から提案理由の説明を聴取して後、慎重審査をいたしましたが、その詳細は、会議録によってごらん願いたいと存じます。  かくて四月二十七日質疑を終局し、討論に入りましたところ、公明党から、本案は、公示または告示によって選挙に対する関心が高まるのが一般の実情であるのに、公示または告示後の登録申請が打ち切られることは、公明選挙のはなはだしい後退であること、このたびの参議院通常選挙の場合、公示後、現行法による補充名簿調製現在日までに新たに二十歳に達する数万人の者が選挙権を失うこと、登録申し出等の受付時間を制限することによって、選挙民の自由をはなはだしく制限することになり、民主主義に逆行する改悪であること等を内容とする反対意見が述べられ、また日米社会党から、選挙は民主国家の基本であることにかんがみ、選挙法の改正には議員立法は避けるべきであること、国民の意思や行動が、取り締まり当局の判断にまって精神的に制限を受けることのないよう配意すること、今回の改正法の施行により、いささかでも不都合の起きないよう選挙民に周知徹底させ、遺憾のないようにすることの要望を付して賛成意見が述べられ、次いで採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上報告を終わります。(拍手
  62. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 本案に対し、討論通告がございます。発言を許します。鈴木一弘君。    〔鈴木一弘君登壇拍手
  63. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております公職選挙法の一部を改正する法律案に反対の討論をなさんとするものであります。  反対の第一の理由は、本改正提出に至る不純な動機であります。その動機は、いわゆる集団移動の問題にあると見るのでありますが、衆議院の島上議員の発言によって、集団移動をあたかも公明党が行なっているような印象を与えたことから、この問題が起きたのであります。集団移動に対しては、わが党の小平議員等が、さき国会に、赤澤前自治大臣にその真否をただし、今国会では吉武自治大臣に再度質問して、その席上、その事実はあり得ないという政府答弁があったのであります。この答弁からもわかるように、集団移動なる愚劣なる行動は、事実無根であったのであります。しかるに、わが党の衆議院進出の声に驚いた各党は、水鳥の羽音に飛び立った平家のごとく、この問題を取り上げ、これが今回の本改正案となってあらわれたと見るのであります。これは全く、公明党の進出を国法の力で押えようとする、卑劣きわめる策謀であり、治安維持法下の弾圧と少しも異ならないのであります。このような、事実無根に基づく、認識不足もはなはだしい不純な動機から生まれた本改正案には、わが党は絶対に反対するものであります。  反対の第二の理由は、選挙法改正の姿勢についてであります。公職選挙法は、選挙人の自由な意思により、選挙が公明適正に行なわれることにより、民主政治の健全な発達を期することを目的として制定されているのであります。したがって、選挙法の改正は慎重であらねばならないし、その上に、民主政治の発展によりよく貢献しなければ、百害あって一利なしということになるのであります。とのことからしても、選挙法の改正をなさんとするには、まず選挙制度審議会に諮問し、その衆知による結論によって審議を行なうべきが常道であり、正しい姿勢であります。ところが今回の改正は、その答申を求めるのでもなく、急遽、自民、社会、民社の三党共同提案でなされているのであります。いわば、調査も不十分なら、意見を徴することも不十分な、即席的な改正であります。このような、最も民主政治の土台となる選挙法を思いつきで訂正しようとする姿勢は、民主政治の発達を阻害するものであり、われわれのとうてい承服できないところであります。  反対の第三の理由は、公明なる選挙に逆行するゆえであります。選挙制度審議会の答申によれば、第一次答申以来、選挙に関しての寄付と政治資金の規正の合理化を進めるよう言っております。しかるに、現在に至りましても、会社、労働組合、その他の団体が、選挙や政治活動に関し寄付をすることを禁止するべきであるという答申は、何らの実現を見ていないのであります。買収供応を禁止して明朗な選挙を行なうことは、国民の心からの願いであります。かかる国民全部の要望であるところの選挙の公明化、浄化への基本的問題を、何ら取り上げないで、いたずらに選挙権登録の問題という末梢的技術的改悪を強行することは、選挙民を愚弄することもはなはだしい限りと言えるのであります。  反対の理由の第四は、憲法に保障されている国民固有の権利である選挙権に対する不当なる弾圧であります。本改正案の内容を見ますと、補充選挙人名簿は、選挙期日の公示または告示の日の前日までに登録の申し出をした者について調製することにして、現在の選挙の公示または告示後に登録の申請ができる制度を廃止することになっております。これは選挙の管理の面を重視するあまり、選挙民の立場を無視するものと言わざるを得ません。さきの通常選挙の例によると、東京二十三区で一日平均三万七千五百人の者が申請期間のわずか一週間の間に申請を行なっております。このため、物理的、時間的に調査確認ができないままに登録してしまったと言っておりますが、これはあくまでも選挙管理上の問題であって、是正の方法はほかに求めるべきであります。それを公示後の登録申請廃止にしたということは、選挙の自由の侵害であり、圧迫であります。選挙民のほとんどは、選挙が公示されて後に初めて、自分の固有の権利があるかないかに関心を持つのが実態であります。本法律案には、この点の配慮が何もなされておりません。しかも、東京、大阪のような大都市においては、住民の移動が激しく、基本選挙人名簿に漏れている人々が三割も四割もいるのであります。このような人々にも、広く選挙の権利をあとう限り行使させるのが、民主主義の基本であります。今回の改正によれば、これらの人々は、そのほとんどが、選挙権行使の条件がありながら、名簿から漏れて、行使できなくなるおそれがあるのであります。まさに、民主政治の危機と言っても過言ではありません。一方においては、選挙法において選挙の自由を叫びながら、他方では圧迫を加えるということは、絶対に承服できないのであります。  登録の申請に対する調査確認が物理的にも時間的にも不可能であるという理由は、選挙管理委員会の事務能力が適正に行なわれていないという問題であって、選挙民に帰すべき問題ではないはずであります。また、昨年十月一日から施行された登録の常時申し出制度はきわめて順調に行なわれていると言っておりますが、補充選挙人名簿調製の現在期日は、いつ公示されるか、前もって予定できないのであります。そのため、申し出が順調に行なわれたといたしましても、それに対する調査確認は、公示の日まではできないのであります。申し出制度一本に改正しても、調査確認の事務はやはり一時に集中することは避けられないのであり、このことは、事務能力の適正化を行なうならば、あえて公示後の申請の制度を廃止する必要が全くないのであります。  さらに、補充選挙人名簿の登録の申し出と、選挙人名簿の閲覧のできる時間を、選管の職員の執務時間内にしております。このようになりますと、土曜日の午後及び日曜日などには、登録ができなくなってくるのでありますが、これは全く、選挙民を無視した、官僚専制の姿であります。通常のサラリーマン等は、会社を欠勤したりしなければ登録は不可能となり、また、勤務時間の長い労働者や遠距離通勤の者には、絶対に登録ができなくなるのであります。また、執務時間終了時に行列をつくっているときには、行列の途中で締め切られることも考えられるのであります。なるほど、役人は楽ができるかもしれない。そのために、選挙権を当然有している者が登録締め出しを受けるのであります。これでは全く選挙の権利の停止であり、役人の言うとおりしなければ斬殺に処せられた封建時代の役所と何の変わりもないことになるのであります。これでは、どこに民主主義の精神があると言えるでありましょうか。  われわれは、第二次大戦で、ばく大の犠牲を払って、その結果、現在の民主政治を獲律したのであります。その民主政治の基礎である国民の選挙権を封殺せんとする今回の改正案には、国民の名において、絶対に反対をするものであります。  以上をもって、反対の討論を終わります。(拍手
  64. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  65. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  66. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第十八、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案、  日程第十九、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、  日程第二十、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案、  (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  67. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。商工委員長豊田雅孝君。     —————————————    〔豊田雅孝君登壇拍手
  68. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいま議題となりました三法案について御報告申し上げます。  第一の、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案は、中小企業の近代化を一そう促進するために、中小企業高度化資金の償還期間を五年から七年に延長し、さらにまた、公害処理施設を助成するため、汚水またはばい煙処理施設の貸し付け金の償還期間は、七年から特に九年まで延長しようとするものであります。  次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案は、小企業者に対する金融の円滑化に資するため、特別小口保険制度を創設しようとするものであります。  一定の要件を備えた小企業者に対して、信用保証協会では、担保、保証人なしでも、三十万円を限度として信用保証をなし、協会は保険公庫と特別小口保険を契約することにより、万一返済不能等の事故が生じましたときには、その八割までを保険によりカバーしようとするものであります。  小企業者の範囲は、使用する従業員五人以下、ただし、商業、サービス業では二人以下でありますが、本法案では、新たに、企業組合で従事組合員数五人以下のものも小企業者とすることにしております。  第三の、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案は、中小企業の自己資本の充実を促進するため、この会社の営む事業に転換社債の引き受け及び保有を追加するとともに、投資先企業の増資後の資本金が二億円までの場合も、増資新株の再引き受けができる等の改正をしようとするものであります。  商工委員会では、右三法案を便宜一括して審査をいたしました。政府の中小企業対策、特に中小金融、中小企業の近代化、高度化等、多方面にわたり、各委員政府側との間に、きわめて熱心な質疑応答が重ねられたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、討論に入りましたるところ、椿委員より、三法案に賛成するが、中小企業投資育成株式会社法の一部改正案については、「政府は本法の実施に当り、中小企業投資育成株式会社の事業活動を活発化するため、令後その増資、低利資金導入及び税制優遇に関し、格別の措置を講ずるよう努めると共に、投資業務の実施については会社の自主性を尊重すべきである。」という附帯決議を付したい旨の発言があり、向井委員より、三法案並びに右の附帯決議案賛成する旨の発言がありました。  討論を終わり、三法案を順次採決いたしましたるところ、三法案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次いで、椿委員提出の附帯決議案を採決し、これまた全会一致をもって委員会決議とすることに決定いたしました。  以上御報告いたします。
  69. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  70. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって、三案は可決せられました。      ——————————
  71. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第二十一、漁港法の一部を改正する法律案、  日程第二十二、森林開発公団法の一部を改正する法律案、  (いずれも内閣提出衆議院送付)  日程第二十三、山村振興法案衆議院提出)、  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長仲原善一君。     —————————————    〔仲原善一君登壇拍手
  73. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいま議題となりました三法律案について御報告いたします。  まず、漁港法の一部を改正する法律案は、沿岸漁業構造改善事業が行なわれております都府県の第一種漁港及び第二種漁港について、漁港修築事業を国以外の者が施行する場合、当分の間、これに要する費用について、国が当該費用の百分の五十を補助しようとするものであります。  委員会におきましては、漁港の指定、第三次漁港整備計画漁港と、それ以外の漁港の整備状況、改修、局部改良事業に対する法適用の必要性、国の費用の負担と補助並びに地元負担の軽減との関係、漁港の整備と沿岸漁業構造改善事業との関連等が問題となりました。  質疑を終わり、討論に入り、自由民主党を代表して森委員より、本法律案成立の延期に伴うための修正案が提案され、採決の結果、全会一致をもって、森委員提案のとおり修正議決すべきものと決定いたしました。  続いて、委員長より、局部改良事業の補助率の引き上げ並びに今回の補助率の引き上げに伴い、地元漁民とその団体に利益が均てんするよう配慮すべき旨の附帯決議案提案され、全会一致をもって委員会決議とすることに決しました。  次に、森林開発公団法の一部を改正する法律案は、地理的条件の劣悪な奥地の森林資源を開発するとともに、地域開発として意義の高い林道の開設を計画的に推進するため、この事業を森林開発公団に実施させ、あわせて、同公団の監事の権限の強化等をはかろうとするものであります。  委員会におきましては、林業基本法関連法案の状況、林道行政の総合化、今回の新しい公団林道の性格、全体計画、維持管理、費用負担並びに公団の組織、職員の処遇等が問題となりました。  質疑を終わり、討論に入り、別に発言もなく、続いて採決の結果、本法律案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  続いて、委員長から、林道関係法の整備、公団事業予算の確保、公団職員の給与及び臨時職員の定員化について、四項目の附帯決議案提案され、全会一致をもって当委員会決議とすることに決定いたしました。  次に、山村振興法案は、山村における経済力の培養と住民福祉の向上をはかり、地域格差の是正と国民経済の発展に寄与するため、山村振興の目標と、これに対する施策の拡充、振興山村に指定された山村についての山村振興計画の樹立、山村振興審議会等を定めたものでありまして、昭和五十年三月末までの限時法としております。  委員会におきましては、本法施行に伴う行政機構、特別助成、国有林の活用の方針、山村の範囲、審議会の構成等が問題となりました。  質疑を終わり、討論に入り、別に発言もなく、続いて採決の結果、本法案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  続いて、委員長から、国有林野の活用、行政機構の整備及び予算の確保について、三項目の附帯決議提案され、全会一致をもって当委員会決議とすることに決定いたしました。  なお、これらの三つの附帯決議に対し、政府側から、趣旨を尊重し善処する旨の発言がありました。  右御報告いたします。(拍手
  74. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、漁港法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告のとおり修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  75. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正どおり議決せられました。      ——————————
  76. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 次に、森林開発公団法の一部を改正する法律案及び山林振興法案全部を問題に供します。  両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  77. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十六分散会      ——————————