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1965-04-21 第48回国会 参議院 本会議 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十一日(水曜日)    午前十時五十九分開議     —————————————議事日程 第十六号   昭和四十年四月二十一日    午前十時開議  第一 緊急質問の件  第二 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案   及び牛乳法案趣旨説明)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、新議員の紹介  一、請暇の件  一、国土開発縦貫自動車道建設審議会委員の選   挙  一、日程第一 緊急質問の件  一、日程第二 加工原料乳生産者補給金等暫定   措置法案及び牛乳法案趣旨説明)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第百五十四番、地方選出議員、宮城県選出高橋文五郎君。    〔高橋文五郎君起立、拍手〕     —————————————
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 議長は、本院規則第三十条により、高橋文五郎君を建設委員に指名いたします。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。館哲二君から、病気のため二十三日間請暇申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      ——————————
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  欠員中の国土開発縦貫自動車道建設審議会委員一名の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
  9. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 国土開発縦貫自動車道建設審議会委員選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  10. 亀井光

    亀井光君 ただいまの柳岡君の動議に賛成いたします。
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 柳岡君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって議長は、国土開発縦貫自動車道建設審議会委員鈴木強君を指名いたします。      ——————————
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、緊急質問の件。  羽生三七君から、緊迫せるベトナム問題に関する緊急質問が提出されております。  羽生君の緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。発言を許します。羽生三七君。    〔羽生三七君登壇拍手
  15. 羽生三七

    羽生三七君 私は、日本社会党を代表して、緊迫せるベトナム情勢について、政府の所信をただすため、緊急質問を行ないます。  実は、ベトナム問題について、私は去る二月十七日、この同じ演壇で緊急質問を行なったのでありますが、二カ月後の今日、再び同じ問題について緊急質問を行なうに至った事態を、遺憾かつ不幸と思わずにはおられません。  さて、ベトナム問題の今日の段階で、われわれが当面する課題は、そもそも何でございましょうか。また、この段階で、日本政府が平和のためにどのような寄与をなし得るか。また、寄与し得ることがありとすれば、その寄与役割りとはどのようなものであるのか。これが日本にとって当面の課題と言わなければなりません。今日いよいよ激化していくアメリカ北ベトナム爆撃と戦禍の拡大を憂慮する世界各国は、それぞれの立場において、また、それぞれの考え方を持ちながら、平和的解決糸口をさがし求めているというのが、今日の実情であると存じます。率直にいって、いろいろな提案がなされながらも、それが現実問題としては十分に具体的な成果をあげ得るに至っていないということは、まことに遺憾でございます。では、日本政府は何もなすべき役割りはないのかといえば、私はそうは思いません。今日、日本が置かれている地位立場から見て、果たし得る、しかも貴重な役割りが十分に存在していると確信をいたします。それは、日本政府アメリカに対して、北ベトナム爆撃戦争行動即時停止することを勧告することであります。私の想像にして誤りがなければ、いや、事実、そのつどの政府答弁にもうかがわれることではございますが、政府方針は、うまい解決条件が出そろってくれば、日本もそれから動こうということではないかと思います。しかし、今日の事態解決の妙手などはどこにもございません。問題の重点は、すべてアメリカ行動にかかっているからでございます。そうであるとすれば、日本政府が、北ベトナム爆撃戦争行動即時停止アメリカに呼びかけることが、ベトナム問題に寄与し得る最大かつ最高の役割りであるといえるのではないかと思います。具体的な解決策はその後でもおそくはありません。ベトナム問題の根本的解決は、米軍の撤退にあることは言うまでもありませんが、いま私が提起している問題は、当面する日本政府役割りについてでございます。  ここで、私が、特に総理の注意を喚起したいことは、椎名外相のしばしばの答弁にもあらわれておりますように、何かと言えば、日本米国日米安保条約を結んでいるから、こういう問題でございます。私は、ここで日米安保条約本質論をやろうとは思いません。しかし、たとえ安保条約を結んでいても、いまのようなアメリカのやり方は、安保条約でいう極東の平和と安全に役立たないばかりか、かえって極東の平和と安全を脅かし、世界大戦にまで発展する危険性を持っているという立場から、今日の米国行動について、必要な勧告呼びかけをすることがあってもよいし、また、今日の段階ではそうすべきであるということであります。この政治的、外交的視野に立っての判断力を持たない場合は、安保条約のいう極東の平和と安全という問題が、いつも不断に軍事的行動に限定をされ、日本はまたその制約を受けるという、全く受動的な、そしてまた、日米運命共同体とでもいうべき論理と立場におちいってしまうことになります。  アメリカジョンソン大統領は、さきにその演説で、無条件交渉の用意あることをほのめかしながら、その翌日は北ベトナム爆撃をやっております。これは、右手で人のほほをなぐり、左手で握手を求めても、だれも応じないであろうと同様の問題であります。アメリカ無条件話し合いということがもし真実であるとすれば、それを事実をもって立証すべきでございましょう。したがって、日本政府北爆停止アメリカに呼びかけても、それは決して不合理ではなく、十分合理的な勧告と言えると確信いたします。  特に付言いたしたいことは、アメリカ政府は、去る十四日、全国から招いた新聞放送関係代表に対し、二日間、ベトナム戦局に関する外交政策背景説明会を行ない、その中で、(一)一平和解決糸口発見はほとんど絶望的となったが、まだあきらめない。(二)しかし、外交環境に変化が見えるまでは、これまで以上に軍事圧力を強化するほかはない。(三)したがって、向う一、二カ月間の軍事対決がこの戦局の岐路となるかもしれない。以上の三点に要約できることを明らかにいたしたのであります。このようなアメリカ強硬方針に対抗して、すでに北ベトナムにはソ連地対空ミサイルが配備されたこと、さらに、要請があれば、北ベトナムへ、ソ連義勇軍を送ることも決定されたようであり、さらにまた、アメリカ使用する同種の兵器で報復するとのソ連の対米警告も行なわれる等、ベトナム戦局はいよいよ憂慮すべき方向に進んでおります。加うるに、ベトナム出兵韓国兵の戦死、これは関係国拡大していくというだけでなく、韓国国内にも複雑な波紋を巻き起こしているようであります。日本政府真実に平和への寄与を欲するならば、いまこそアメリカに対して、北ベトナム爆撃戦争行動即時停止を呼びかけるべきではございませんか。これが質問の第一点であります。  なお、この際つけ加えたいことは、総理は十五日の衆議院での答弁で、「現状は、南ベトナムにおける反政府活動北ベトナムが支援していることが重要な要因となっている」と述べられております。ではアメリカはどうでしょう。南ベトナム援助するなどというなまやさしいものではなく、アメリカ戦争の先頭に立っているのではございませんか。質問の第一点にこれをつけ加えまして、次に進みます。  さきジョンソン大統領演説は、無条件交渉の用意があると言いながら、だれが交渉相手か全く不明確であります。フランスのフォール元首相も、ベトコン輸入組織ではない、ベトコンと話し合えと言っておりますが、植民地独立民族解放運動世界史的な意義を理解し、ベトコン地位を認めて、これを交渉相手に加えることが、平和解決の重要な条件と思います。総理の所見はいかがでございますか。あるいは、これはアメリカ自身の問題と総理は言われるかもしれません。しかし、この問題は、総理がよく言われる、条件を整えるということに通ずるのではないかと思います。そして、このこともまたアメリカに直言をしたほうがよいと思います。爆撃戦争行為停止は、話し合い条件をつくることに役立つかもしれません。そして、ベトコン話し合い対象として、その後、話し合いの中で、南ベトナムの問題、北ベトナムとの関係等を調整することが、事の順序ではないかと思います。総理はどうお考えになられますか、これが質問の第二点でございます。  次の問題は、以上のような要請アメリカに対して行なうとともに、他方、ソ連イギリスフランスその他の諸国とも連絡して、ベトナム問題の平和的解決のための機運を盛り上げるように、何らかの外交的行動をとることを求めたいのでございます。佐藤総理に抱負があれば、この機会に伺いたいと思います。また、このことは、私が総理にお尋ねする十分の根拠があると信じます。と申しますのは、総理は、前回の私の緊急質問に答えられて、こう言っておられます。「この問題を、ただジュネーヴ会議に参加した国々が取り上げてくれればよいというだけでなしに、もっと積極的な意思を持っている」、こう述べられ、さらにまた、「外務省を通じて米国ともそれぞれ連絡を持っている」とも答えられております。したがって、この問題における総理積極的意思とはどのようなものか、また、アメリカとどのような交渉を持っているのか、お聞かせを願いたいのであります。また、昨日も学者グループとの会見で、総理平和解決を熱望する旨を答えられておりますが、問題は、具体的にどのような外交活動を行なうのかということであります。したがって、ここでは具体的なお答えをいただきたいと思います。これが質問の第三点でございます。  次は、日本人LST乗船問題であります。  日本政府は、安保条約に基づいて乗員のあっせんをすると言われますが、日本人海外に渡航する場合、外地における日本人生命財産を保護するのは、政府に課せられた義務であると思います。したがって、危険な地域への渡航は、たとい本人の自由意思といたしましても、そのような危険な仕事に従事することをやめるよう勧告することは、政府に課せられた義務ではございませんか。そして、今日の段階では、これは明白な戦争協力でもございます。政府は、この際、何らかの措置をとって、かかる事態の発展を防止すべきであると思いますが、政府方針をこの機会に伺います。  なお、このLST乗船の問題について、外相は、日米行政協定の規定から、役務調達では米軍援助する義務があると言っておられますが、日本の領土、領海を離れた場合の役務調達は、安保条約範囲をこえることと思いますが、いかがでありますか。また、衆議院での答弁で、外相は、「現地」の範囲ベトナムまで拡大解釈しているようでありますが、その根拠をお聞きいたします。安保条約審議の際の統一見解フィリピン以北という一応の限界は、はずれたのかどうか、いつ、はずしたのか、この機会に伺います。また、在日米軍が一たん沖縄に移動して、しかる後ベトナムへ出撃するような場合、これは事前協議対象になるのではございませんか。また、この機会に、これと関連して、米軍日本基地使用拒否事前に明確にしておくべきであると思いますが、同時にお答えをいただきます。これが質問の第四点であります。  次の問題に移ります。ジョンソン大統領は、さき演説で、十億ドルにのぼる東南アジア開発計画を発表し、佐藤総理もこれに協力する旨を述べておられますが、これはベトナム戦争が片づいたあと、条件に見合った協力ということにすべきではございませんか。ベトナム問題がこのような段階にあるときに、どのような協力をしようというのでございましょうか。また、これと関連をして、南ベトナムに対して九百十万ドルの援助をするといわれますが、これも当面は見合わせるべきではございませんか。また、政府援助内容はどのような性質のものなのか、この機会にあわせて伺いたいと思います。これが質問の第五点であります。  次の問題は、目下伝えられているロッジアメリカ大統領代理の来日についてでございます。報道によれば、アメリカ大統領代理としてロッジ氏が日本等極東六カ国を訪問するため、すでに出発しているようであります。これは、もちろんベトナム戦局と関連しての訪問であることは間違いないと思います。その際、米国意思を聞くこともよいが、先ほど来、私が述べてきたように、戦争拡大の防止、これが平和的解決のため、積極的にこの機会を活用して、日本意思米国に伝えるべきではないかと思います。北爆即時停止話し合いによる解決促進等の問題を積極的に提起して、最大限にこの機会を活用してもらいたいのでございます。ベトナム問題の現状は、こちらからアメリカへ出向いてでも話し合うべきであるのに、大統領代理が来日するというのでありますから、最もよい機会考えます。アメリカの言い分を一方的に聞くような会談になってはならないと思いますので、この際、総理見解を伺いたいのでございます。これが質問の第六点であります。  結論をいたしますが、ベトナム問題のむずかしさを、ウォルター・リップマン氏は次のように言っております。すなわち、「今日の基本的な事実は、相手方南ベトナムにおける勝利は目の前に見えていると信じているのに、大統領は、南べトナムにおける軍事的敗北を阻止するだけでなく、敗北の死地から勝利をもぎ取ることを約束している点である」、リップマン氏はこう言っております。私も多分、今日の基本的事実は、リップマン氏の言っているとおりであろうと存じます。それとともに、アメリカが名誉ある解決を欲していることも事実であろうと思います。ところが、私の考えでは、これは一種のパラドックスかもしれませんが、米国の名誉は、戦争拡大し、全世界から孤立し、際限のないどろ沼におちいることによって得られるのではなく、戦争をやめて、ベトナムの問題はベトナム人民自身解決にゆだね、その平和的意思を全世界に示すことによって得られるものと、確信いたします。これこそが、アメリカの名誉を回復し、かつ、高める、唯一の道であると存じます。ベトナム戦争のいよいよ高まりゆく危機を前にして、佐藤総理が、平和のために、勇気をもって、いま直ちに問題に取り組まれることを強く要請いたしまして、私の緊急質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  ベトナム紛争につきましては、皆さんとともにたいへん心配をいたしております。一日も早くこれが平静に帰するように、そうして平和がもたらされるように、心から願っておるものでございます。しこうして、抽象的なことではなくて、ただいま私のところに対しましても、学者グループの方も見えますし、あるいは平和委員の方も見えますし、また過日は、エドガー・フォール氏にも今いましたし、あらゆる方面におきまして、各方面意見も伺って、またその線に沿っての私の努力もいたしております。ただ私は、この際に申し上げたいことは、こういう紛争は一方的な問題ではなくて、必ず相手のあることでございます。したがいまして、それぞれの立場においてそれぞれが話がしいい場合、たとえば私なら、ただいまおっしゃるように、アメリカに対しては、日米関係から申して忌憚ない意見が言えるであろう、かように要望なさいますが、同時にまた、エドガー・フォールさんのような方ならば、必ず北越に対しても、あるいはソ連に対しても、また中共に対しても、その感ずるところ、世界平和のために発言ができるであろう、こういうことを実は端的に申しまして、お互いがそれぞれの立場において、それぞれの主張を明確に相手方に考慮していただく、それによって平和をもたらすように一そう協力しようではないか、この話を実はいたしたのでございます。私は、そういう立場で今日の問題を処理すべきではないか、かように思います。したがいまして、ただいまお話になりますように、一方的に、アメリカ北爆をやめればというだけでは、問題の基本的な解決にならない。しかし、少なくとも現状において、戦いが一方的にはそれでとまると、こういうことが指摘されるのであります。この問題自身は、しばしばアメリカが声明しておりますごとく、北越浸透作戦、それに対する対応策としてただいまとっておるのでございますから、この平和をもたらす、こういう観点に立てば、お互いに慎むことが必要だと、かように思います。かような意味におきまして、今回のジョンソン大統領演説、並びにその際に示された具体的方法については、私どももこれは賛成であると、そういう意味で、これが平和への糸口になる、見つける糸口になる、こういうことを実は期待いたしておるのであります。ただ、これにつきましても、相手方が不明確ではないか、かように申しておりますが、アメリカ政府の、ジョンソン大統領演説にもありますごとく、無条件話し合いであり、もちろん、ベトコン相手にすることも辞さない、かように実は申しておるのでありますから、アメリカ側としては、十分の条件を具備した申し入れをしておる、かように私はとっておるのであります。ただいまそういう観点にありますから、この機運を一そう醸成したい、かように心から念願しておるものでございます。  次に、関係各国十分連絡をし、そうして具体的な処置をとるべきではないかというお話でございます。もちろん、ソ連から私どものほうに対する申し入れのあったことはすでに申しましたし、また、今日、川島あるいは周恩来首相との会談ども行なわれておりますから、たぶん、こういう話も出ておるだろう、まだ報告は十分聞いてはおりませんけれども、ただいま関係国——ソ連イギリス、カナダ、フランス、これらの国々がこういう問題につきましての国際的な動向、そういうものが高まってくる、こういうことが解決への糸口と、かように私も思いますので、私もそういう観点に立ちましては、これらの国々十分連携をとってまいるつもりであります。  次に、LST乗船の問題でありますが、その中にも、お説にもありましたとおり、これは自由意思で決定される限りにおきまして、私ども普通の状態ならば、何らこれに関与する考え方はございません。しかしながら、日本国民が危険にさらされる、こういう状態ならば、もちろん注意しなければなりませんし、それがまた、軍事行動戦争協力だと、かような誤解を受けるようなことがあってはならないと思います。しかし、現状においては、ただいま言われるごとく、非常な危険にさらされておると、こういう実情のようには私どもは見受けませんし、また、このLST行動自身は、これがいわゆる戦争協力ということは、やや言い過ぎではないかと、かように思いますので、私は、ただいまの状態においては、これをとめる考え方はございません。  次に、十億ドルのアジア開発計画についての当方考え方でございますが、ただいままで、これはまだ具体的にその内容は示されておりません。国連中心にして、いろいろの開発計画が進められるであろう、その具体化することを心から願っております。ただいままでのところ、かつて国連中心メコン開発計画をし、日本もそれに技術的協力をしたと、こういうことはございますが、ただいまの紛争でこの計画は一時とんざしておりますので、その後の状況を十分見きわめ、今後話が具体化をする、そういう際には、これと協力していく、かような立場でいたいと思います。  また、九百十万ドルの問題についてお尋ねがございましたが、この九百十万ドルは、御承知のようにベトナムに対する賠償取りきめの一環として、賠償協定が発効した後五年たったら、民間べースで九百十万ドルというものを経済協力しよう、かような申し出がありまして、これをベトナムが受けておるわけであります。ただいまその点でございますが、この計画で、過般ベトナム交通土木副大臣が参りまして、そして九百十万ドルのうちにミトアン橋という、いわゆるメコン河に橋をかける、そういう計画申し出ております。ただいまのような内政の実情にある際に、ただいま積極的にかようなことができるかどうか、ただいまの治安状況その他から見まして、これがはたして実を結び得るかどうか、ただいま研究中でありまして、ただいままでのところ具体化しておりません。  問題は、先ほど来お話がありましたように、また御意見は私も十分拝聴いたしたのでございますが、日本国民あげてのたいへんな大関心事でございます。一日も早くこの問題が解決するように努力するのは、政府の当然の責任だと、私かように心得ております。今日までも公式にはそれぞれ一々新聞等には発表いたしておりませんが、在日大使館を通じ、またワシントンの大使館を通じ、それぞれ連絡を緊密にとり、当方意見も率直に申し入れをしているような実情でございます。できるだけ皆様方の御協力を得て、この事態が平静に復するようにいたしたい、かように考えます。(拍手、「答弁漏れ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣椎名悦三郎登壇拍手
  17. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 米軍日本人を雇う場合、間接雇用と直接雇用の二つの場合があるのであります。地位協定で定められておりますのは、間接雇用の場合でありまして、この場合は、まず日本政府雇用主になって、実際の使用は、米軍がこれを使用する、こういう場合でございます。この場合、もちろん日本国内において働くということになっておりますけれども、船員でございますので、領海をたまたまはずれる場合があっても、仕事性質上、これは差しつかえないという解釈になっております。LSTの場合は、これはいま申し上げたような間接雇用でなくて、直接雇用。でありますから一般の外国船日本人雇用する場合と同じでありまして、これは必ずしも領海内において働くとかいうような制限はないのでございますから、これは差しつかえございません。それから領海外に出ても差しつかえない。かような制限は受けないのであります。  第二の御質問でありますが、極東範囲は、フィリピン以北である そうすると、ベトナムフィリピン以北ではないから、いわゆる極東範囲外である、こういうお話でございます。大体において、この極東範囲は、フィリピン以北ということになっております。しかしながら、その範囲周辺において起こった事件が、極東の平和と安全を脅かすという場合には、これを排除するためにとられる行動は、必ずしも極東範囲でなくてもよろしい、その周辺に出かけてこの脅威を排除することができる、こういうことになっておるのですから、さよう御了承願います。  第三は、在日米軍沖縄へ移動して、さらに沖縄からベトナムに移動するということは、事前協議対象にならないかというお話でありますが、これは事前協議対象にはなりません。  第四番目は、米軍日本基地使用をあらかじめ禁止するということをやるべきではないかというお話でございましたが、ただいま、御承知のとおり、米軍は直接作戦行動のために日本の基地を使用しておらない。将来、戦争があるいは拡大して、日本の基地を作戦行動の直接の発進地として使用するという場合には、その場合に当面して手を打つのではおそいから、事前にこういうことは明らかにすべきではないかというお話でありますが、さような状況にまだ達しないのに、それを想定してとやかく言うことは、かえって適当ではない、かえって人心を不安ならしめるというような要素がありますので、それは適当でないと考えます。(拍手
  18. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総理大臣から答弁の補足があります。これを許します。    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  19. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たいへん失礼いたしました。先ほど来の私並びに日本政府の態度は、よく御了解いただけたと思いますが、あらゆる機会に、私はこの主張を相手方に十分伝えるつもりでございます。したがいまして、ロッジさんが見えましたら、もちろんたいへんいい機会だ、かように思いますので、その機会になお一そう私のほうの主張を徹底するようにいたしたい、かように考えます。(拍手)      ——————————
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案及び牛乳法案趣旨説明)、  両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者から順次趣旨説明を求めます。赤城農林大臣。    〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  21. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  近年におけるわが国の酪農の発展はまことに目ざましいものがありますが、わが国経済の高度成長、開放経済体制の進展、農業全体の構造変化等、酪農を取り巻く諸情勢は急速な変化を示しつつあります。  また、酪農自体としても、その経営規模は漸次拡大しつつあるとはいえ、なお、一般に零細であり、飼料自給度も低く、全体として、生産性、収益性は低い状態にあります。また、生乳の流通加工面におきましても、生乳取引の公正と安定の確保、集乳路線の整備、乳業の合理化等、数多くの解決しなければならない問題をかかえている状況にあります。  さらに、最近におきましては、生乳生産量の伸び率が鈍化しており、今後予想される牛乳乳製品の需要の増大を考慮するとき、これからの需給の逼迫が懸念されております。  これらの諸情勢にかんがみ、(一) 今後とも増大が予想される需要に対応して、可能な限り生乳の国内自給をはかるよう、生産の安定的拡大につとめること。(二) 乳牛飼養規模の拡大等を通じて、酪農経営の生産性の向上を促進すること。(三) 牛乳乳製品の需給の安定並びにその処理、加工、流通を通ずる合理化を推進することを施策の基本方針としております。また、これが実施にあたっては、需要の急速な増大が予測され、同時に、生産者にとっても相対的に有利な飲用乳の比率を高めるよう、配慮してまいるべきものと考えております。  以上の基本方針具体化する施策の一環として、生乳生産者に対する加工原料乳についての補給金の交付の措置、主要な乳製品について畜産振興事業団が行なう一元的輸入による需給安定の措置、並びに、同事業団が行なう乳製品の買い入れ、売り渡しに関する業務を改善整備するための措置を暫定的に講ずることとし、ここに、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明いたします。  その第一は、加工原料乳生産者に対する補給金の交付の措置であります。畜産振興事業団による乳製品の需給操作を通じて加工原料乳の価格安定をはかることをその骨子とする現行の畜産物の価格安定等に関する法律による価格安定措置につきましては、最近における生乳生産の動向と乳製品の需給実勢から見て、運用上の困難が予想されるところであります。今後、酪農経営の安定向上及び牛乳乳製品の需給の安定をはかるためには、価格安定制度の改善強化を緊要とするゆえんであります。  特に、加工原料乳につきましては、乳製品の国内価格が国際価格に比して一般に割り高な水準にありながら、原料乳に支払い得る乳価は、なおその再生産を確保するに困難な水準であることから考えて、財政上の援助が必要であります。特に、加工原料乳の主要な生産地帯の多くは、今後とも酪農を基幹作目として農業の発展をはかっていくことを必要とする地帯であります。また、これらの地帯は、今後とも急速な需要の増大が予測される飲用乳の将来における供給源として期待される地帯であることも配慮されねばならないところであります。  かかる観点から、現在その乳価形成が不明確な生乳取引を用途別価格による取引に改め、加工原料乳につき、生乳生産者に対して補給金の交付を行なうこととしております。これが実施の方法といたしましては、畜産振興事業団が、都道府県知事の指定を受けた生乳生産者団体に、生産者から委託を受けて販売した加工原料乳の数量に応じて補給金を交付し、その生産者団体は、生乳販売代金に交付された補給金を加算して、生産者に対してその生乳委託販売数量に応じて支払うことといたしております。  補給金は、主要な加工原料乳地域の生乳の再生産を確保することを旨として定められる保証価格と、乳製品の実勢価格を基準として定められる加工原料乳の基準取引価格との差額とし、補給金の交付の対象となる数量には、限度を定めることとしております。  第二は、加工原料乳に対する補給金制度及び乳製品の価格安定制度の適正な運営を確保するため、畜産振興事業団が、主要な乳製品の輸入を一元的に行ない、乳製品の需給及び価格の安定をはかることといたしております。  第三は、右の制度と関連いたしまして、乳製品の消費の安定に資するような一定の水準での価格の安定を確保するため、畜産振興事業団が行なう乳製品の買い入れ及び売り渡しに関する特例措置を定めたことでございます。  なお、この法律案は、今後における酪農及び乳業の合理化の進展と酪農経営にとって価格条件の有利な飲用乳の比率が高まって行くことも期待されますので、昭和四十一年度以降当分の間の暫定措置を定めるものとし、これに伴い、現行の畜産物の価格安定等に関する法律の規定の適用について必要な特例を設けてございます。  以上が加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案の趣旨でございます。(拍手)     —————————————
  22. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 衆議院議員芳賀貢君。    〔衆議院議員芳賀貢君登壇拍手
  23. 芳賀貢

    衆議院議員(芳賀貢君) 牛乳法案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  最近におけるわが国の農業は、高度成長政策に災いされて、農業基本法に掲げる生産性の向上と所得の確保は単なる題目にとどまり、農業就業人口の都市への大量流出、兼業農家の急増等によって、農業生産は停滞し、国民食糧の供給に不安を生じ、今後の農業発展に対し、まことに憂慮すべき事態に立ち至っていることは御承知のとおりであります。  この際、酪農の現状について申し上げますと、昭和三十年の乳牛の頭数は四十二万一千頭であったのが、三十九年には百二十三万八千頭と、十年間に三倍に増加し、いまでは四十万戸の酪農家が平均三頭の乳牛を飼育しており、したがって牛乳の生産についても、昭和三十年には年産百万トンであったのが、三十九年には三百四万トンと、生産量も三倍に躍進しているのであります。また、これに対して、飲用牛乳及び乳製品の国民消費は毎年二二%ないし一五%と順調に伸長を示しているのであります。かかる生産と消費の動向にもかかわらず、酪農政策については、今日、多くの矛盾と欠陥が起伏しているのであります。  最近、政府は、社会開発の推進によって、ひずみ是正をはかり、明るい農村を建設すると宣伝してはおりますが、依然として貿易の自由化を促進し、食糧自給体制を放棄し、安上がり農政を強行しておりますことは、各方面から指摘されているところであり、まさに自民党政府に農政なしの感を禁じ得ないのであります。  しかして、政府は、ここ数年来、農業基本法にのっとり、畜産、果樹等の成長部門に対し選択的拡大の路線を推進してまいりましたが、この施策と併行して実行されるべき飼料資源の開発及び流通管理対策、あるいは牛乳、乳製品の生産と価格及び流通対策が、独占的な乳業資本または飼料会社の利益本位に進められているため、酪農民の適正な労働報酬すら確保されず、毎年のように生産者と乳業者の間に乳価格問題をめぐって紛争を生起させ、結局、生産者には低乳価をしい、消費者には生産者乳価の三倍にのぼる高乳価を押しつけているという矛盾をもたらし、いまや酪農民は政府に対し強い不信の念すら抱いているのであります。  まさに農民不在ともいうべき政府の農政に対して、わが日本社会党の酪農政策の基本方針を申し上げますならば、すなわち、わが国の食糧自給体制を確立し、食生活の消費構造の質的向上をはかるため、農業発展長期計画に基づいて、牛乳、乳製品の生産を確保し、酪農の発展と農民所得の増大を期することとし、国の責任によって、草地の開発造成を行なって、自給飼料の増産等、生産条件を整備し、酪農経営の近代化、共同化を促進するとともに、牛乳の生産、加工、流通、価格、消費等の対策については国の管理を強め、特に価格対策、流通対策については抜本的な改革を行なうこととし、この基本方針に基づく重要な柱として、今回牛乳法案を提出した次第であります。  したがって、本法案の目的といたしますところは、牛乳及び乳製品の生産の確保、価格の安定、消費の増進等をはかるとともに、酪農及びその関連産業の健全な発達と農家所得の向上を促進し、あわせて国民食生活の改善に資するため、生乳についての交付金の交付、牛乳及び乳製品の販売に関する基準価格の設定、乳製品の政府の買い入れ及び売り渡し、学校給食用牛乳及び母子保健牛乳の給付等の措置を講じようとするものであります。  以上が本法案を提出した理由であります。  次に、法案の内容について申し上げます。  第一に、農林大臣は、毎五カ年を一期とする「牛乳等長期需給計画」を定め、これに基づき「牛乳等年度需給計画」を定めて公表することとしております。年度計画内容は、生乳の生産数量、飲用牛乳、乳製品の需給数量、政府の買い入れ及び売り渡し見込み数量及び、生乳の遠距離輸送に関する事項等であります。  第二に、農林大臣は、牛乳年度の開始前に、一、生乳の保証価格、二、生乳の販売基準価格、三、飲用牛乳の販売基準価格、四、飲用牛乳の小売り基準価格、五、指定乳製品の販売基準価格を定めて告示することといたしております。  まず、一の、生乳の保証価格は、食管法に基づく生産者米価と同様に、生産費所得補償方式によって算定された生乳の生産者価格であり、同時に政府の保証価格であります。また、保証価格は、一物一価の原則により、全国同一価格をたてまえといたしております。  二の、生乳販売基準価格は、農業パリティ指数、物価及び消費者の家計費等を参酌して定めることとし、この価格は、生産者団体が乳業者に生乳を売り渡す場合の最低販売価格のことであります。  三の、飲用牛乳の販売基準価格は、生乳の販売基準価格に飲用牛乳の製造及び販売に要する標準的な費用を加えたもので、卸販売価格のことであります。  四の、飲用牛乳の小売り基準価格は、飲用牛乳の販売基準価格に、小売り販売に要する標準的な費用を加えたもので、飲用牛乳の消費者価格のことであります。  五の、指定乳製品の販売基準価格は、生乳の販売基準価格に、乳製品の製造及び販売に要する標準的な費用を加えたもので、乳製品の卸販売価格のことであります。  第三は、生産者団体による生乳の一元集荷多元販売についてであります。  生乳の生産者が構成員となっている農業協同組合または農業協同組合連合会は、生乳生産者団体として、生産者から生乳の販売の委託を受けて、生乳の一元集荷と販売の事業を行なうとともに、全国を区域とする農業協同組合連合会は指定生乳生産者団体として、政府からの交付金を生産者に交付する業務を行なうことといたしたのであります。  第四は、生産者に対する交付金の交付についてであります。  まず、生乳の保証価格から、生乳の販売基準価格を控除した額が交付金の基礎となるのであります。  政府は、生産者団体が一元集荷して、乳業者に販売した生乳の総数量に対し、交付金を交付するものとし、その場合の指定生産者団体は農林大臣が指定した全国を区域とする農業協同組合連合会とし、交付金は農協系統を経由して生産者に交付することといたしたのであります。  第五は、指定乳製品の政府買い入れ及び売り渡しについてであります。  政府は、乳製品の需給及び価格の安定をはかるため、指定乳製品を生産者団体または乳業者からの申し込みを受けて買い入れるものとし、買い入れ価格は、販売基準価格によることといたしたのであります。  次に、政府が買い入れまたは輸入した乳製品の売り渡しについては、その時価が販売基準価格の水準に安定するようにつとめることといたしております。  第六は、乳製品の輸入についてであります。政府は、牛乳等年度需給計画に基づき、需給上必要な乳製品を輸入するものとし、輸入については、政府がこれを行なうことといたしたのであります。  第七は、学校給食用牛乳の無償給付と、母子保健牛乳の給与についてであります。  わが日本社会党は、すでに第四十六国会に学校給食法の一部改正法案及び学校給食牛乳の供給に関する特別措置法案を提出し、今国会において、目下継続審議中でありますが、両法案の趣旨は、義務教育諸学校の児童、生徒に対し、牛乳の学校給食を無償で給与することとし、これが実施に必要な措置内容としたものであります。  したがって、本法案においても、学校給食牛乳を無償で給付する旨を明らかにいたしたのであります。  また、妊産婦及び乳幼児の健康の保持増進をはかるため、母子に対して牛乳、乳製品の摂取に必要な費用の全部または一部を国が負担する旨を明らかにいたしたのであります。  第八は、牛乳審議会の設置についてであります。  審議会は、農林大臣の諮問に応じ、牛乳等需給計画、生乳の保証価格、飲用牛乳及び乳製品の販売基準価格、その他重要事項を調査審議し、あわせて農林大臣に対し建議するものといたしております。  第九は、生乳の遠距離輸送に関する施策についてであります。  政府は、牛乳等年度需給計画に基づき、牛乳の流通の円滑化をはかるため、牛乳の遠距離輸送に必要な牛乳専用貨車または牛乳専用船を建造して、これを指定生産者団体に無償貸し付けを行ない、公共的な牛乳の輸送が期せられるようにいたしたのであります。  第十に、政府は生乳の価格安定をはかるため、生産者団体の飲用牛乳または、乳製品の製造施設等について、経費の一部を補助することができることとし、また、乳業者に対しても、それらの製造施設に要する資金の融通、あっせんを行なうことといたしたのであります。  第十一に、農林大臣または、都道府県知事は、飲用牛乳または乳製品の製造または販売業者に対し、流通経費の低減をはかるため、経営の改善、合理化等に関し、必要な勧告を行なうことができるものとしたのであります。  第十二は、交付金の対象となる生乳の集荷及び販売の適正を期するため、指定生産者団体及び乳業者は、農林省令で定めるところに従い帳簿を備えつけること、農林大臣または都道府県知事が必要とする報告、または立ち入り検査に応ずる義務を明示いたしたのであります。  第十三は、附則におきまして、農林省設置法、酪農振興法、畜産物価格安定法等についての改正及び諸規定の整備を行なうことといたしております。なお、この法律の業務及び会計については牛乳管理特別会計によることとし、別途に法律案を提出することにいたしたのであります。  以上牛乳法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手
  24. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。矢山有作君。    〔矢山有作君登壇拍手
  25. 矢山有作

    ○矢山有作君 私は日本社会党を代表し、ただいま提案されました加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案に対し、総理並びに関係各大臣にお尋ねいたします。  まず、佐藤総理の酪農振興に対する基本方針についてであります。  いま、わが国の農業と農民は、自民党政府の強行する貿易自由化体制の中で、その経営と生活は破壊されようとしており、農民の人間性を疎外し、食料の自給体制を放棄する自民党農政は、みずから最大の成長部門と宣伝する酪農をも崩壊の危機に追い込んでおります。生産者乳価は値下げされ、これに追い打ちをかけるように、学校給食用脱脂粉乳など大量の乳製品が輸入されている。また、このような乳価の不安定とは逆に、飼料価格は著しい値上がりを続けている。しかも、濃厚飼料の輸入は増大の一途をたどり、その輸入依存度は七〇%にも達している。反面、国内の飼料生産は停滞し、麦作転換政策と相まって、麦作放棄を含む不耕作地は二百五十万町歩にも及ぼうとしている。さらに、牛乳、乳製品の生産、加工、処理の体制は、零細経営が大部分で、弱体そのものであり、加うるに、牛乳の流通、特に集送乳、販売、小売り等の形態は不合理きわまる。そのため、生産者には低乳価を、消費者には高価格を押しつける結果となり、いたずらに中間経費を増大する一原因をなしている。従来、酪農対策の方向は、乳業資本の主導にまかされ、酪農政策はこれを容認し、追従してきた。そのため、わが国の酪農政策は、諸外国に比して著しく立ちおくれ、とりわけ、流通、価格対策が不合理なため、生産者と消費者に犠牲をしいてきたのである。最近、大手乳業会社による市場独占がますます強化される中で、その矛盾は一そう拡大されてきている。さらに政府は、原料乳の価格保障の名のもとに、今回本法案を提案したのであるが、その意図するところを一言にして言えば、表面、「農民に、現行畜安法体制より前進し、農民保護を強めるかのごとき幻想を与えつつ、実体はこれより後退をし、乳製品自由化への道を準備し、農民の犠牲強化の中で乳業資本の収奪を一そう強めようとするもの」であり、まさに羊頭を掲げて狗肉を売る典型的なものである。これに対しわれわれは、食料自給体制の確立を前提とし、国民の食生活を質的に高めるとともに、農業の発展と農民所得の増大をはかるため、いまこそ酪農業の飛躍的発展を期さなければならないと考える。このために、これを阻害する諸原因を除去し、国の責任による総合的かつ強力な酪農振興基本政策の確立を強く主張し続けてきたのである。しかるに、政府の農民不在の政策は、われわれのこの主張を無視し続け、その結果は、今日のごとく酪農を危機的状態におとしいれたのである。現在のわが国酪農の実態を踏まえ、今後の佐藤総理の基本的方策を承りたい。  去る六日の衆議院会議での総理答弁は、総理が今日の日本酪農の現状なり問題点を十分把握されているのかどうか、強い疑惑を抱かざるを得ない不得要領のものであったと感じている。少なくとも総理たるもの、わが国酪農の実態を十分に認識され、的確な御答弁を願いたいと思う。でなければ、総理衆議院会議で言っておられるように、いかに「政府方針を信頼してくれ」と言われても、信頼のしようがない。ましてや、これまで自民党農政のもとで裏切り続けられてきた農民は、信頼しっこない。むしろ、従来もいわれていることだが、政府の言うことと反対のことをやっていたほうが安全だとの気持ちを、より強めるが関の山と思われます。  次に、赤城農林大臣にお尋ねします。  第一にお伺いしたいのは、国民の最大の関心は、本法案が現実に動き出したとき、加工原料乳の保証価格、保証対象数量、基準取引価格、指定乳製品の安定指標価格、及び、それらによって算出される生産者補給金の額がどうなるかということであり、したがって、それぞれについて、本法案が実施に移された場合の数字をお示し願いたい。また、乳製品の輸入差益金はどのくらいになり、補給金財源に充当し得る額は幾らであるか。三十九年実績及び四十年度見込みについて示されたい。本制度運用の実態を推察するのに重要なよりどころとなるものであるから、右の点については特に明確に答えられたい。  第二に、本法案によれば、補給金交付の対象となる加工原料乳の数量は、政令により、都道府県知事の認定する数量とし、また、当事者の取引価格を混合乳価制から用途別乳価制に改める、としているが、今日のように、原料乳の需給調整機能が大手乳業資本によって一手に掌握され、需給操作の実態は企業機密として外部にはわからぬ仕組みになっているため、保証対象数量が乳業資本の言いなりに決定され、対象外の生乳は価格が保証されず、買いたたきの対象となり、生産者の受け取る総体乳価は切り下げられるのではないか。また、乳業資本が、加工原料乳の基準取引価格またはそれ以下の低い乳価で買い取った原料乳を、工場間転送して、市乳地帯に持ち込むケースが多くなり、これが市乳地帯の乳価暴落を引き起こすことになり、市乳化促進を阻害することになると思われるがどうか。また、用途別乳価制度の実施は、加工原料乳と市乳原料乳の両生産地帯の農民の団結を弱め、乳業資本の農民分断支配を容易にするのみで、生産農民に益するところはないではないか。したがって、われわれは、一物一価の原則により、全生乳を全国同一価格によって保証すべきであると考えるのであるが、大臣のこれらに対する御所見を承りたい。  第三に、わが国酪農における最大の病根は、生乳の生産者と乳業資本とのはなはだしい力の不均衡に起因する不明朗な生乳取引関係と、不当な低乳価による農民収奪であるが、本法案は、かかる問題の本質に触れることを避け、現状肯定の上に施策を講じようとしている。すなわち、生乳生産者団体の指定にあたり、牛乳の流通実態を無視して、都道府県ごとに、また、自然的経済的条件によっては、これをさらに細分化して指定するものとしていることは、農民の共販体制の推進を阻害し、その力を分断し、従前の乳業資本による農民の従属的集乳地盤をそのまま温存し、乳業資本による農民収奪を放置せんとするものにほかならぬ。私は、生乳生産者の全国一本の一元集荷、共同販売の体制をつくり上げ、これに国の強力な助成のもとに、処理加工施設、牛乳調整工場、集乳車、タンクローリー、クーラーステーション等の集送乳設備を完備させ、生乳の集送乳を一元化し、工場までの流通合理化をはかり、生乳の需給調整を行なわせ、少なくとも、生乳生産者団体が乳業資本と対等の力を持ち、適正な取引のできるように指導育成すべきであると思うが、これに対する大臣の所見を具体的に承りたい。また、当初、農林省案では、生乳生産者団体は都道府県別に指定することになっていたのが、本法案では「自然的経済的条件」によってはさらに細分化して指定ができるようになっているが、これは従来の集乳圏を確保温存しようとする意図のもとに、某有力乳業メーカーから強力な働きかけがなされた結果と聞いているが、事実かどうか。もし事実でないと言われるならば、このような従来の乳業資本の集乳圏を温存するような方向になぜ改悪をしたのか、その理由を明確に説明願いたい。  第四に、国際的に見て、わが国の生乳価格はそれほど高いとは言えない。大体、諸外国並みかそれ以下であるのに、牛乳、乳製品の消費者価格はきわめて高いが、その理由の一つは、加工、処理工場の規模の零細なものが多いこと、特に飲用牛乳については、零細な小売り店が資本系列別に交錯販売をしていること等により、処理、加工、販売の中間経費が増大していることによると思われるが、この対策について御所見を承りたい。  第五に、衆議院における、乳製品の安定指標価格が国際価格との見合いで低くきめられ、それが乳価を低くし、酪農民に不利になるのではないかとの意味質問に答えて、大臣は、加工原料乳を不足払いによって価格を支持していく、こういうことですので、むしろ国際価格の波を遮断することとなると言っておられますが、農林省内には、安定指標価格は国際価格及び国内価格を勘案して定めるとか、乳製品の国内消費増進に資する見地から漸次低下をはかるとの意見があると聞いているので、この際、大臣は、酪農民の不安を除去するため、酪農対策の強化により、わが国の酪農が国際競争に耐えられるようになるまでは、輸入制限により国際価格の影響を国内価格に及ぼすことはしないということを、あらためて明確に示すべきである。  第六に、大臣は衆議院で、保証価格については、主要な加工乳原料地帯の生産費を補償することを旨として定めるのが適当であると答えておられるが、保証価格については、政府部内において、乳製品の需給事情等を反映した抑制係数の採用等、不足払い額が乳製品の需給実勢に関係なく増加することを抑制する仕組みを考慮すべきであるとの意見があると聞くが、この意見はどこから出た意見か。また、この見解と大臣答弁との関係はいかに理解したらよいのか。われわれは、このような見解がある限り、保証価格は従来のように生産実態を無視した低位にきめられ、ますます日本酪農を破滅におとしいれていくことを憂慮するものである。真に酪農の拡大発展を思うならば、まず、保証価格は生産費所得補償方式により、酪農民の所得を増大し、酪農生産の合理化を進めるべきではないか。御所見を承りたい。  次に、田中大蔵大臣にお尋ねします。  第一に、補給金の財源は、第二十一条において、予算範囲内で一般会計から交付する道は開かれております。しかし、補給金の財源として乳製品輸入差益金を充てるということがある以上、国家財政の都合で、補給金財源として輸入差益に依存することが多くなり、乳製品輸入増大を来たし、国内酪農を圧迫することになるのではないか。特に、大蔵省関係者が、第二食管になるおそれがあるとして強く補給金制度に反対していたと聞いているだけに、この疑念が強いのである。そこで、政府は酪農を選択的拡大中心として進めてきた責任からも、生産費所得補償方式のもとで補給金は全額一般会計でこれを負担し、乳製品輸入差益金は、飼料自給基盤の強化その他の酪農振興対策に充てるようにすべきではないか。次に、本制度が実施されたとして、大体一般会計からの補給金負担割合を将来どの程度と考えているのか。  第二に、牛乳は将来国民の食生活の上から米に次ぐ重要な地位を占めるものである。したがって、思い切ってこの際、牛乳管理特別会計を設けて、米に準じ国家管理を実施し、需給及び価格の調整をはかる意思はないか、お尋ねをしたい。  次に、機内通産大臣にお伺いをしたい。  大臣は、衆議院において、指定乳製品の需給、価格の安定に影響がなければ、例外的に政令で畜産振興事業団以外の者の輸入を認めても別に差しつかえないとの発言をしておられるが、当初農林省では、乳製品輸入は事業団が一元的に行なうこととしておったのに、この例外規定を設けたのは、乳製品の輸入増大、さらに自由化をねらう通産省の意図から出たものではないか。われわれは、輸入は国内酪農に悪影響のないよう、きびしい制限のもとに完全に一元化をし、計画的に行なうべきであると考えるのであるが、御所見を承りたい。  最後に、神田厚生大臣にお伺いをしたい。  第一に、現行食品衛生法規では、他の生鮮食料品に比し、飲用牛乳の製造、包装、販売施設等にきわめて厳重な規制がなされ、そのため、製造、販売費などの中間経費の増大の一原因となり、これが牛乳の消費増進を著しくはばんでいるのである。これに対し、三十年一月環境衛生部長通達、また、三月には公衆衛生局長通達が知事あてに出され、集団飲用の場合、簡易な高温殺菌や、罐装による販売等が認められた。しかし、局部長通達に過ぎず、その内容においてもかなり厳格に縛っているため、ほとんど用をなしていない状況であり、したがって、牛乳消費増進の上からこれが改正が必要であるが、これについての大臣の所見を承りたい。  第二に、飲用牛乳についてはきびしい規制をしているが、色物牛乳、還元牛乳等の牛乳擬装品は野放し状態である。したがって、これらについて、その含有成分に規格を設け、牛乳成分の含有量を表示させるとともに、牛乳の名称を使用させない等、きびしい規制をすべきであると考えるが、御所見を承りたい。  以上、各大臣の責任ある明確な御答弁を期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  26. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 酪農は、ただいまお話にありましたごとく、農業の成長部門でございます。したがいまして、政府は、特に力をいたして酪農の振興をはかっていくと同時に、また、これが国民の食生活の面から見ましても、食生活の改善向上 こういう点で 牛乳あるいは乳製品を豊富にかつ安定供給をさす、こういう観点に立ちまして、どうしても酪農を積極的に振興していかなければならぬ、かように考えております。ただいま、矢山さんから、各方面にわたって、酪農振興のためには、総合的に、なおかつ強力にこれを実施しなければだめだ、こういう御指摘がありました。確かに私もさように考えております。まず、その自由化の問題であるとか、あるいは飼料の問題であるとか、あるいは加工処理の面において、あるいは流通機構の面において、あらゆる面において、また、価格対策において、すべてを総合的に強力にこれを実施していくということに尽きるのではないか、かように思っております。今回法案を提案しておりますのも、これらの一助になるだろうと、かように思いますので、ぜひとも御協力のほどをお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  27. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 第一のお尋ねは、保証価格、あるいは基準価格、安定指標価格等を幾らにきめるか、こういうことでございます。これらにつきましては、算定資料整備の上、畜産物価格審議会等の意見を十分に聞いた上で、慎重に決定いたしたいと考えておりますので、今日の段階で生産者補給交付金の額等につきましてお答えいたしかねる次第でございます。また、補給金の財源措置につきましては、国庫から畜産振興事業団に対しまして交付金を交付することとしております。  なお、乳製品の需給及び価格の安定上必要な乳製品の歳入によって売買差益が発生した場合には、これは補給金財源の一部に充てることにしておりますけれども、財源としては補充的なものでありまして、これに大きな期待の持てるような額ではございません。また、輸入乳製品の売買差益の見通しにつきましては、需給の見通し、畜産振興事業団の指定乳製品の在庫状況、安定指標価格と輸入価格の水準いかん等によりましてきまるわけでありまして、この段階で想定することは困難でございます。  第二番目には、保証対象数量を乳業資本家がかってにきめて、酪農農民を圧迫するのではないか、こういうことでございますが、保証対象数量等につきましては、審議会の意見等を聞きまして、これは農林大臣が決定することになっておりますので、乳業資本家がかってにこれをきめるというようなことには相なっておりません。でありますので、加工乳業の関係者と飲用乳業者との関係とを分断するのじゃないか、こういうことはあり得ないのでございます。  第三に、用途別乳価の制度、この制度も農民を分断するのではないか、こういうお尋ねでございます。用途別乳価制度をしくことは、御承知のように、加工原料乳の不足払いの前提といたしておるのでございまして、また、この量は販売数量等に応じまして全国的にきめていくのでございます。こういうことの前提でございますので、これによって農民の分断ということに相なりません。また、需給実勢を反映して、公正な乳価の形成を意図しているのでございますので、この加工原料乳の不足払いを行なうことによって、飲用乳の関係も有利な価格形成に相なって、相互公平に行なわれるものと考えております。農民の分断ということには相ならぬと思います。  価格を全国の一つの段階できめていくように、たとえば米のようにしたらどうかということでございますが、これは実態に沿わぬばかりか、地域的に酪農農民の利害の錯綜混乱を招くと思います。でありますので、法案にありますように、県単位で乳価プールの範囲をきめていく、県単位がおおむね同一水準になっておりますので、県単位できめていくことが妥当である、こういうふうに考えます。そこで、県単位の中でも、これを分けてやるというような例外の場合もあるかどうかということでございますが、これは、同じ県でも、島とか、あるいは山村地帯、僻地等によりまして、自然的な条件も異なって、かつ、生乳の生産事情、流通事情等が異なる場合には、乳価プールも同一に行なう必要がないというふうに認められるので、県内の地域を区分する場合もあり得るのでございます。  次に、この乳製品の輸入等を行なう、あるいはこういうような価格制度を行なうが、自由化によりましてこれを遮断するのか、あるいは遮断しないで、国際価格にさや寄せをして、引き下げを意図するのか、こういうことでございまするけれども、国際競争力が非常に不十分な現状でございますので、そういう関連から不足払いを行なおうということでございますので、この日本の酪農製品が相当生産コストが低下するというまで、輸入等につきましては規制を継続しておかなければならぬことは申すまでもございません。(拍手)    〔議長退席、副議長着席〕  次に、保証価格の問題でございます。保証価格につきましては、趣旨説明でも申し上げましたように、主要な加工原料乳地帯の生乳の再生産を確保することを旨として定める、こういう考えでございますが、同時に、生乳の生産条件や需給状況の動向をも考慮すべきでありまして、さらに、非効率な生乳生産を助長することがないように配慮すべきものと考えております。具体的な算定の方法等につきましては、畜産物価格審議会等の御意見を十分聞きまして、制度の本旨に即するよう適正を期してまいりたい、こう考えております。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  28. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 矢山さんにお答えいたします。  第一点は、補給金は一般会計で全額負担すべしということでございますが、補給金の財源につきましては、御指摘のとおり乳製品の輸入差益のみに依存するものではございません。政府が予算の範囲内におきまして交付をすることにもなっておるわけでございます。財政の関係もございまして、全額一般会計で補給金を負担するということは現在考えておりません。  第二点は、補給金財源に輸入差益金を充てることは、乳製品の輸入増大となって国内酪農を圧迫するということでございますが、乳製品輸入は国内における需給及び価格の安定上必要なものだけを輸入することになっておりますので、この制度が国内酪農を圧迫するとは考えられないわけでございます。  第三点は、生産費所得補償方式の採用についての御質問でございます。わが国酪農は成長過程にありまして、酪農及び乳業の合理化がなお不十分でありまして、国際競争力に乏しい現状におきましては、かえって非効率な牛乳生産を助長することにもなりかねず、わが国酪農の健全な発展を期する上におきましても、生産費所得補償方式の採用については不適当だと考えております。  第四点は、本制度による一般会計からの補給金の負担割合は将来どの程度になるのかということでございます。これは乳製品の輸入量がどのようになるのか、将来における乳製品全体の需給事情にも関係がありますので、はっきり現在において申し上げられないわけであります。(「質問していないことに答弁する必要があるか」と呼ぶ者あり)質問してございます。  第五点、牛乳を米と同じく特別会計を設けて需給価格の調整をはかる意思がないかということでございます。牛乳は御承知のとおり腐敗性の高い農産物でありますし、また、わが国の酪農及び乳業は現に発展過程にあり、生産面におきましても流通面におきましても、今後一そうの合理化が要求せられ、期待されるものであります。したがいまして、米と同様に国家管理をすることは、商品の性格上からいたしましても、酪農及び乳業の将来の発展のためにも、適当でないと考えておるのでございます。  この五点は御質問お答えをいたしたわけであります。(拍手)    〔国務大臣櫻内義雄君登壇拍手
  29. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) お尋ねの事業団以外のものの輸入につきましては、全く需給及び価格の安定に悪影響を及ぼさない場合に、例外的に政令で認めるのでありまして、私としても輸入の一元化に賛成であります。また、輸入の自由化については考えておりません。(拍手)    〔国務大臣神田博君登壇拍手
  30. 神田博

    国務大臣(神田博君) 第一点は、牛乳の消費増大のため食品衛生法の改正を行なうべきではないかというお尋ねでございました。  牛乳の消費増大を促進することは、食生活の改善向上に、また、国民体位の向上のために望ましいことでありますので、法の運用にあたりましては、衛生の確保される限り実情に沿うように十分配慮をしてきておるところであります。将来とも同様にしてまいりたいと考えております。しかし、牛乳の特性から考えまして、現行法で定めておられます衛生基準は厳格に守るべきものであると考えております。しかし、そのために、関係局長の通達を守るために過ぎて、消費水準が上昇しないということでありますならば、これはその趣旨が違うわけでございますから、これらの点については十分ひとつ検討いたしたい。いわゆる衛生維持と消費促進とが両立できるように、その方策につきまして一そうの検討を加えまして、牛乳の消費の増大をはかりたい、かように考えております。(「早くやらなければいかんよ」と呼ぶ者あり)承知いたしました。  次は、第二点でございます。乳の原料は野放し状態であるが、含有成分の規格を設けてこれを規制すべきではないか、こういうお尋ねでございました。乳飲料についての含有成分の規格を設けるかどうかは、まだなかなかこれは十分に検討に値する問題ではないかと、かように考えております。そこで、さしあたっては、含有乳成分の量を消費者にさらに見やすいように表示いたしまして、そして品質の向上をはかって、御質問の御趣旨に沿いたいと、かように考えております。(拍手
  31. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十九分散会