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1965-04-09 第48回国会 参議院 本会議 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月九日(金曜日)    午前十時二十一分開議     —————————————議事日程 第十三号   昭和四十年四月九日    午前十時開議  第一 新東京国際空港公団法案趣旨説明)  第二 国務大臣報告に関する件(沿岸漁業等   振興法に基づく昭和三十九年度年次報告及び   昭和四十年度沿岸漁業等施策について)  第三 オリンピック記念青少年総合センター法   案(内閣提出衆議院送付)  第四 消防法及び消防組織法の一部を改正する   法律案内閣提出)  第五 財政法の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第六 製造たばこ定価法案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、特別委員会設置するの件  一、社会保険審査会委員任命に関する件  一、日程第一 新東京国際空港公団法案趣旨   説明)  一、日程第二 国務大臣報告に関する件(沿   岸漁業等振興法に基づく昭和三十九年度年次   報告及び昭和四十年度沿岸漁業等の施設につ   いて)  一、日程第三 オリンピック記念青少年総合セ   ンター法案内閣提出衆議院送付)  一、日程第四 消防法及び消防組織法の一部を   改正する法律案内閣提出)  一、日程第五 財政法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  一、日程第六 製造たばこ定価法案内閣提出)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。田中清一君から、病気のため二十九日間請暇申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。  内閣から予備審査のため送付されております  結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案  地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、  国家公務員法の一部を改正する法律案及び  地方公務員法の一部を改正する法律案  を審査するため、委員二十五名から成る特別委員会設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  よって、国際労働条約第八十七号等特別委員会設置することに決しました。  本院規則第三十条により、議長特別委員を指名いたします。その氏名を参事に朗読させます。      ——————————
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  社会保険審査会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  内閣から、社会保険審査官及び社会保険審査会法第二十二条第一項の規定により、軽部弥生一君、川嶋三郎君を社会保険審査会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件は同意することに決しました。      ——————————
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、新東京国際空港公団法案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。松浦運輸大臣。    〔国務大臣松浦周太郎登壇拍手
  11. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) ただいま議題となりました新東京国際空港公団法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  最近におけるわが国経済の目ざましい発展に伴い、航空輸送需要は、国際線国内線ともに激増の一途をたどりつつあります。現東京国際空港も、昭和四十五年ごろには、その能力の限界に達するものと予想されるのであります。加うるに、近時の科学技術発達に伴う航空機の進歩は著しく、現在開発途上にある超音速旅客機も、早晩実用化されることが明白でありますが、現東京国際空港においては、これが受け入れば不可能と考えられるのであります。欧米主要国においても、超音速旅客機の出現に対処すべく、すでに新たな大空港建設計画を立て、あるいはこれを実施に移しつつあります。このような現東京国際空港の量的及び質的な行き詰まりを打開し、あわせて、わが国国際航空における要衝としての地位を確保してゆくため、東京都の周辺に、新東京国際空港を早急に整備することが強く要望されているのであります。  従来、国際空港整備は、政府直轄事業として行なってきたところでありますが、新東京国際空港建設は、きわめて大規模事業であり、しかも急を要するものでありますので、政府といたしましては、かねて、これを円滑、かつ、効率的に行なうため、別個の組織を設けて、専心この事業に当たらせることを考慮いたしておりましたところ、航空審議会からも同様の趣旨の建議がありましたので、その趣旨をも尊重し、具体策について検討いたしました結果、新東京国際空港建設及び経営については、公団方式を採用し、その建設段階から一貫した責任体制のもとに強力にこれを推進すべきであるとの結論に達し、この法案を提出した次第であります。  この法案の内容は、政府の出資により、新東京国際空港公団を設立し、新東京国際空港設置及び管理を効率的に行なわせることにより、航空輸送円滑化をはかり、もって航空の総合的な発達に資するとともに、わが国国際的地位の向上に寄与せんとするものであります。  以上がこの法案趣旨でございます。(拍手
  12. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。吉田忠三郎君。    〔吉田忠三郎登壇拍手
  13. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私は日本社会党を代表して、ただいま説明されました新東京国際空港公団法案について質問をいたすものでありますが、質問の前に、私は、今後の国会運営あり方について、若干、自由民主党の総裁たる佐藤総理大臣に伺っておきたいことがございます。そのことは、申すまでもなく、本院の運営がここ数日間遅滞したことであります。御承知のとおり、このことの最大の原因は、農林水産常任委員会において、仲原委員長が、理不尽な、自由民主党のみで単独審議強行採決をしたことによるもので、まさに民主的な議会運営国会ルールを無視したもので、断じて許されない行為であります。  総理は、昨年の十一月二十五日の本会議におきまして、わが党の藤田議員質問に答えて、「過去におきまして、あるいは単独審議だとか、あるいは強行採決だとか、かようなことがしばしば行なわれましたが、私は、民主政治のもとにおいて、かようなことはまことに忌まわしいことだと思います。私のとるところではございません。」と答えました。さらに、十二月九日、予算委員会で、阿具根議員に対して、「過般もお尋ねのありました強行採決あるいは単独採決、これは私のとらないところでありますということを申し上げたのであります。」、さらにつけ加えまして、「私は、本来、かような強行採決単独採決、こういうことがしばしば行なわれるということは、まことに遺憾なことだ、さような意味から、私はかようなことはとらない、こういう気持ちでございます。」と答え、言明をいたしたところであります。これは国会を通して国民公約したものであります。しかるに今回、仲原委員長のとった態度は、前に申し述べた総理答弁方針に逆行しており、まことに遺憾と言わなければなりません。国民公約をしてきた重大なる事柄だけに、この際、総理大臣見解を求めるものであります。  次に、新東京国際空港公団法案について御質問いたします。この際、総理並びに関係大臣の所信を明らかにしていただきたいのであります。  まず、佐藤内閣運輸交通政策基本について伺います。政府は、さき所得倍増計画の中で、交通機関利用者たる国民の立場に立って将来の交通体系構造的発展を促進する投資策がとられるべきであると、国民公約をしたのであります。総理もまた、池田政策を踏襲する旨たびたび言明してきたところでございます。特に、人間尊重、ひずみの是正を政策基本として、大々的に宣伝をいたしてまいりました。しかるに、運輸交通現状は、政府宣伝とは全く逆に、ますます悪化の傾向にあります。その一例は、都市交通政策で明らかなように、交通麻痺の問題、通勤通学輸送の問題、安全、保安の対策踏切の問題等々、幾多の問題が山積しています。これに対して、政府は、いまだ効果的かつ具体的な施策を施していないのであります。私は、この機会に、総理の言う人間尊重、これを基調とした運輸交通政策とはいかなるものか、具体的に示していただきたいのであります。  次に、航空政策についてであります。わが国航空現状は、政府みずから認めているように、国際的には市場条件としてはきわめて恵まれているにもかかわらず、諸施策はこれに反し、まことに立ちおくれの感があります。しかも、今日これらはいまだ何ら克服をされていません。その一つに、国際的な問題があります。すなわち、国際航空協定の問題です。不平等きわまる日米航空協定、対イギリスフランスパキスタン等々の航空協定問題、加えて日ソ航空協定、とりわけ日中相互乗り入れなど、未解決案件が山積しています。かかる問題を総理はいかに処理する考えか。特に日米航空協定のごときは、過去二回にわたり交渉、今日、政府交渉再開アメリカに申し入れたとのこと、これに対し依然としてアメリカ側は強硬な態度であり、なお壁は厚いと言われているのであります。総理は、さきジョンソンとの会談結果を過大に評価をし、もっぱら国民に向けて宣伝をしてきたところであります。私は、今日までの交渉経過、またその実績から見ますれば、結果的に、国内向け宣伝とは全く逆に、アメリカに対して政府はきわめて弱腰で、後退の連続であります。このことは、まさに、佐藤内閣外交姿勢アメリカ一辺倒であり、軟弱外交であるかを、みずから暴露したものと言わなければなりません。もしそうでないとするならば、総理は、即時、日米不平等航空協定をすみやかに改定するため、アメリカに対し、強力な発言と、より積極的な行動を、身をもって起こし、国民の負託にこたえるべきであると思うが、その決意のほどを伺いたいのであります。  また、今日、内外を問わず、一般的に航空企業者は、いわゆる政府航空政策では先を見越した事務計画すら立てられないと批判しています。総理はこれに対してどうこたえるか、政策基本問題だけに、明快な答弁を求めます。  次に、航空の実態について伺います。一言にして申し上げますれば、わが国の空は日本のものではないということであります。その中心たる東京上空航空管制上の問題が確固たる証拠として記録されます。ブルー・ラインの問題、軍民共用問題、つまり航空管制図が示すとおり、東京上空はまさに空路のひずみと言わなければなりません。このことは、明らかに日米安保条約に基づくもので、いまだ航空管制は、アメリカ占領体制、いな戦時体制下にあると言ってもあえて過言ではないのであります。この弊害は、今日、日本の随所にあらわれています。特に、ただいま問題になっている新国際空港問題の中にも存在をしているのであります。私は、この弊害を取り除くことなくして、わが国航空、とりわけ空港問題を論ずる価値もなければ、何の意味もないと信ずるのであります。したがって、総理は、東京上空航空管制上のいわゆるひずみを具体的にいかにして解消しようとしているのか、伺っておきたいのであります。   私は、根本的な解決策一つあると考えます。それは勇気の伴うことでございます。また決断が必要であります。端的に申し上げますれば、それは、東京周辺米航空軍事基地返還を求めることにあると考えます。総理は、この際、米軍事基地返還要求国民の名において求める御意思ありやいなや、率直に伺います。  次に、本法案を提出するに至った経過についてであります。  政府諮問機関たる航空審議会は、昭和三十八年十二月に、諮問第九号に対する答申を行ないました。その骨子は、空港規模候補地航空管制上の関係騒音問題、気象条件建設工事上の問題等々からなっております。政府は、一年有余の  日時が経過した今日、この答申をどのように扱おうとしているのか。また、関係閣僚懇談会での意見一致を見ないとの風説もあるが、所管大臣たる運輸大臣から、この間の経緯を伺っておきたいと思うのであります。  また、今日までの討議の中で、河野国務大臣意見が何かと取りざたされています。その一例を新聞記事で紹介してみましょう。一つには、「運輸省案たな上げ」、二つには、「法案だけは折れ合ったが勝負はこれから」、「河野松浦両相鋭く対立、応援団二つに」等々であります。国民には何のことやらさっぱりわかりません。まさに奇々怪々と言わなくてはならないのであります。この際、懇談会座長たる河野国務大臣の、忌憚のない、この間の経緯を解明していただきたいのであります。  また、この問題をめぐって、一説には、佐藤内閣内部主導権争いの材料ともなっていると言われております。今日、財界首脳自由民主党国会議員ともども、入り乱れてたたかわれているような印象を率直に受けるのであります。この問題は、何と申しましても、第一義的には、国民理解と納得の上に立たなければなりません。いやしくも、政治や権力、利権、そして与党たる自由民主党主導権争いなどの党略に使われては、断じて許すことのできないことであります。総理は、この問題解決のために、いかなる考えを持っておられるのか。  次に、運輸大臣答弁を求めます。  第一に、米軍基地との関係航空管制技術発達に伴う空港建設の諸条件整備の問題。  第二に、騒音の問題、公害問題に対する具体的な対策を示していただきたいのであります。  第三に、候補地の問題であります。審議会答申では、霞ケ浦であり、その二は千葉富里地区であります。私は、この答申は事務的に単純に扱われたものではないかと理解しています。なぜならば、この両地区は、それぞれの特殊条件を持っております。つまり、一つには、漁業権問題、一つには、移転戸数千八百戸をかかえる、いわゆる富里地区の問題があります。しかも、この問題は、いずれも、政治行政上きわめて複雑困難なる事情をはらんでおります。加えて、周辺住民に与える騒音被害は、はなはだしいものであります。したがって、ただいま今日の段階では、両地区とも不適地と言わなくてはなりません。政府はこの際、新たなる観点に立って建設地を検討すべきものであると考えます。元来、新国際空港は、平和な国際連帯に沿ってつくらるべきものであり、いやしくも、戦争目的軍地基地として、ひとりわが国住民の犠牲の上にのみ、つくられてはならないものであります。この際、運輸大臣答弁を求めます。  最後に、総理に、政治あり方について伺います。  総理施政方針の中で、政治基本人間尊重だと説きました。私もそのとおりだと信じます。しかるに、運輸大臣は去る三月十九日、にわかに、候補地富里である旨、発表しました。総理、この富里地区は、移転を要する農家戸数は三千三百戸あると、千葉県庁の調査でも明らかになっています。しかも、富里八街地区は、千葉県が誇る農業生産性の高い地方でございます。赤城農林大臣の自賛する農業構造改善指定地でもあります。したがって、農民の営農意識はきわめて高いのでございます。それだけに、空港建設には強い反対をしているのであります。こうしたときに、今日、政府が一方的にこれを押しつけようとすることは、総理の唱える人間尊重の精神にも、もとり、憲法違反の疑いも生ずるのであります。したがって、断じて許されない行為だと私は考えます。総理見解と、日本農業振興対策から農林大臣答弁を私は求めます。  私は、本来、この種空港建設は、答申で指摘しているように、その基本は、第一に、資金調達にあると考えます。二千億円もの建設費をどう調達するかという根本的な問題が、今日なお残っているのであります。資金調達は、候補地選定以上にむずかしい問題だと考えます。大蔵大臣の所見と、いかなる資金調達計画を持っておられるのか、具体的に明らかにしていただきたいのであります。  私は、この資金調達の問題と、航空安全を守るために、航空管制上の諸問題を解決することこそ先決であり、しこうして、候補地を選定し、その上に立って初めて公団設置の提案がなさるべきものだと考えます。候補地選定を急ぐあまり、いやしくも、国家百年の大計を誤ってはなりません。かかる見地から、今回政府のとった態度は、残念ながら、まさに本末転倒と言わなくてはならないのであります。あえて政府の反省を強く求めまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  私も、最近の参議院の運営につきましてしばらく遅滞したということについて、たいへん心配いたしておりました。しかし、さすがに皆さま方の良識によりましてこれが解決をした、このことを非常に喜んでおります。私は、ただいまお話にありましたごとく、しばしば、単独採決あるいは強行採決、こういうようなことは私のとらないところであります、ということを申し上げてまいりました。その点はよく御承知のことだと思います。しかし、同時に申し上げてあると思いますことは、国会審議は、できるだけその審議を尽くさなければならない、そういう意味において審議を尽くした結果、最後には、やはり民主主義ルールもあるのだ、ということをつけ加えたと思います。(拍手)私は、それらの点につきまして、国民の期待するものは、お互いが国民の代表として十分審議を尽くしたかどうか、そうして最後において、その意思決定をするその場合に、民主主義ルールが守られたかどうかということにあると思います。そういうふうに私は努力したいと、かように考えております。  次に、ただいまの運輸大臣説明についてお尋ねがございました。私がお答えするのは二、三点にいたしまして、あとはその他の大臣お答えをいたさせたいと思います。  まず第一は、運輸交通政策基本はどうかというお尋ねでございます。私は、海陸空、この三つ交通政策観点に立ったときに、いずれの場合におきましても、交通機関は、安全、迅速、正確であること、この三つをあげたいと思います。ことに、その安全ということについては最も力を入れなければならない。もちろん、こういう際でありますから、迅速でなければならない。しかもまた、それが正確でなきゃならない。この三点が、運輸交通基本的な考え方だと思います。この点に立ちまして、それぞれ、空におきましては、航空機整備、あるいは空港整備、また要員の確保等が問題でありましょうし、さらに輸送力を増強する意味においても努力を払わなければなりません。航空の問題においては、国際航空、同時に国内航空等につきまして、航空路開設等にいろいろ努力しておるところであります。また、鉄道輸送におきましては——陸輸送におきましては、ただいまのような基本的の原則に立ちまして、そうして今日真剣に取り組まなきゃならないものは、御指摘にありましたように、ラッシュアワーの解消であるとか、あるいは踏切の問題であるとか、その他、騒音等につきましても真剣に取り組んでいくということが望ましいと、かように思います。また、海の問題につきましても、輸送力の増強、これらのことは十分はかっていかなければならないと思います。今日、吉田さんの特に注意されたことは、おそらくこの交通政策として鉄道輸送に特に重点を置かれたのではないかと思いますが、御希望の点は、そういうことで、経営者、特に管理者等が非常な注意を払っておることをつけ加えておきます。  次に、ただいまの国際航空の問題でございますが、ただいままでに問題になっておりますのは、日仏日英日パ日ソ日中等、いろいろあるが、特に日米間について、日米航空協定が、過去二回も交渉して、まだそれが解決しておらない、至急にこれに対しての態度を示せということでございます。私は、過般ジョンソン大統領会談をいたしました際も、日米間の不平等航空協定、その実情を改善すべきことを強く申し出たわけ、であります。その点は共同声明にも伝えられておりますし、また、新聞報道等も十分伝えておると思います。今日、ビヨンド・ニューヨーク、こういう意味国際線開設、これがわが航空界の悲願といいますか、熱望しておるものである。そういう意味において、政府も十分の力をかすつもりでございます。もちろん、これは日米間だけの問題でなくて、欧州各国もこの線について関心を持っておる問題であります。なかなか容易な問題ではない、かように思いますが、日米両国とも、その基本的な態度には十分の理解があるようでございますので、これは積極的に進めて、まいるつもりでございます。  日仏日英日パ等につきましては、これは他の大臣からお答えをいたしますから、お聞き取りをいただきたいと思います。  日ソ間の問題につきましては、過般、ソ連首相から私に手紙がありました際も、この日ソ航空協定を結ぶべきであるという問題を取り上げようということを申しておりますが、この点は、御承知のように、外国の飛行機がシベリアの上空をいつになったら通ることを許してくれるかという問題があるのであります。ただいま、そういう点についてのソ連側の意向がはっきりしておりません。ただいま航空交渉はいたしたいと思いますが、どういうような結論が出てくるか、しばらく申し上げかねるという状況であります。  日中間の問題は、しばしば、言われておりますけれども、ただいまの状態のもとにおきましては、日中間航空協定をつくる、これはその時期にあらず、かように私は考えております。両国間の問題が、さらに改善をみた暁において、こういう問題が取り上げられるべき筋のものでございます。  また、東京上空の問題につきまして、ブルー一四の点に触れられましたが、この点は、米軍基地返還を要求する意思ありゃというお尋ねでございますが、ただいまそう簡単に返還を申し出るつもりはございません。この点は、はっきり申し上げておきます。  それから、この第二空港決定でございますが、これはもちろん、お説のとおりに、国家的見地に立ってこれは決定する、かような態度を堅持しております。御了承いただきたいと思います。  最後に、富里地区についてのいろいろのお尋ねがございましたが、これは申すまでもなく、今日の段階におきまして具体的な候補地等の名前をあげることは、私は、不穏当、不適当だと、かように思いますが、いずれにいたしましても、この具体的な候補地をあげる段階ではまだありませんので、慎重に国家的見地に立って決定をする、かような政府態度であることを御了承願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣松浦周太郎登壇拍手
  15. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) お答えいたします。ただいま総理大臣お答え漏れになっている点だけをお答えいたしたいと思います。  イギリスにつきましては、現在、協定改定交渉を行なっておるのでございます。また、フランスとの問題については、特に現在問題になっておるところはないのでございます。パキスタンが一昨年来、中共を経由して東京乗り入れわが国に要求してきておるのでございますが、現段階では、これを認めることは適当でないと考えております。  そのほか、東京上空は、ほとんど空港交通管制がひずんでいるではないか、まるっきり、もう合衆国軍に占領されてしまっておる、こういうことでございますが、これは御承知のように、ブルー一四というものがありまして、東京より西のほうにはもちろん行けませんから、東京の東北部に新空港を設けるということについていろいろ検討しておるのでございます。この米軍の基地を返還というのでありますが、われわれ返還ということばは、この際、安保条約関係で使いたくないのでありますが、これを利用さしてくれということについては、過般、関係閣僚懇談会におきまして相談の結果、外務省を通じていま交渉することになっております。  その次の問題については、閣僚懇談会の経過における云々ということがございましたが、これは、新国際空港わが国の表玄関をつくるのであります。したがって、航空路線網の中心となるもので、あって、重要な国の施策でございますので、関係閣僚会議を設けて、特に建設候補地や、そのあり方については、慎重に検討しておるのでありまして、別にこれは意見の対立とかそういうものはありません。お互いに慎重審議をいたしておるのでございます。これは国家的見地によってやっているものでございます。  また、空港建設地の決定の最終決定権はだれにあるかということがございましたが、その建設地は、この法案にも明記しているとおり、最終の決定は政令で定めるのでありますから、閣議においてこれを決定するのでございます。  それから、「新国際空港建設についての現在までの調査の結果を明らかにせよ」ということでございますが、新東京国際空港建設につきましては、従来から、関東地域、東海道地域について、幅広く立地条件の調査を行なってまいりました。この間、航空審議会への諮問及び答申があり、また、関係閣僚会議及び関係事務次官会議が設けられ、特に空港候補地について現在まで慎重な検討が続けられておるのでございます。  さらに、御質問の重要な点は、「新国際空港建設地の設定については、地域住民の利害関係を深く考慮するとともに、平和な国際連帯考え方で処理すべきである、これに対する政府考えいかん」ということは、これは重要な問題であります。新東京国際空港建設は、わが国経済及び文化の発展のために重要なものである。したがって、その建設地決定にあたっては、諸般の観点から慎重に検討を加え、関係地元住民に対しましても、その必要性を理解していただくとともに、用地決定後は、補償等についても万全の措置を講じていきたいと考えておるのでございます。  この見地に立ってやっておるのでございますから、閣僚問に、そご摩擦があるとか、そういう、新聞に流布されるようなことは、一々問題にされては因るのであります。われわれは、どこまでも真剣に、国家的見地でやっております。(拍手)    〔国務大臣河野一郎君登壇拍手
  16. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私に対するお尋ねは、総理並びに運輸大臣からお話し申し上げましたところで大体済んでおると思いますけれども、これを要するに、この問題につきましていろいろお話がございましたが、問題が非常に重要であり、しかも緊急を要する問題でございます。閣内におきましても、運輸省はじめ、農林省、建設省、その他関係する省が非常にありまして、これらの間に十分に総合的に意見の調整を済ませまして、そうして、これに取りかかることが必要であろうというような意味合いから、関係各省、各大臣の間に十分に意見の調整をいたしております。そういうことが、たまたまその時点々々において、いろいろのことが新聞等に出ることがありますけれども、ただいま運輸大臣からお答え申し上げましたとおりに、これらは、個々の問題についていろいろ意見がある、しかし、ただいま法案の提出にあたりまして、内閣におきましても、基本的にすみやかに調査を進めて、そして最終的な決定をするということの基本方針をきめて、目下調査中であります。  したがいまして、なるべく早い機会に候補地決定して、そうしてこの法案の裏づけをしてまいるということに相なっておるのでございまして、その間に、お話になりましたような、意見の対立であるとか、なんとかというようなことは、全然ございません。円滑に、順調に、調査を進めて最終決定をするということにいたしておりますから、しばらくおまかせをいただきたい、こう思うのでございます。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  17. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 新東京国際空港設置場所につきましては、御承知のとおり、その候補地につきまして、政府部内で検討が進められている段階でございます。でありますので、どの地区がどうというような批判をこの席で申し上げることは差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、その地域の農林漁業との調整を要する問題がたくさんございます。農林省といたしましては、当該地域の農林漁業の状況等を十分勘案しまして、所要の調整をはかるよう、慎重に検討していく所有でございます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  18. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 新空港建設費の調達方法及び資金計画についての御質問お答えを申し上げます。  四十年度は、御承知のとおり、準備期間でございますので、三十九年度の繰り越し予定額九千万円プラス四十年度分の三千万円を合わせまして、一億二千三百万円を計上いたしてございます。公団につきましては五億円計上いたしたわけでございます。建設が始まれば、政府出資、借り入れ金等によりまして、所要の財源確保に遺憾なきを期したいと思っております。(拍手)     —————————————
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 浅井亨君。    〔浅井亨君登壇拍手
  20. 浅井亨

    ○浅井亨君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま提案されました新東京国際空港公団法案について、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたしたいと思うものであります。  質問の第一点は、わが国航空政策についてであります。  言うまでもなく、今日の交通政策は、国際収支の改善、文化の交流、産業基盤の強化等の推進を基本的目的といたしておるのであります。その中にあって、国際航空は、外貨の獲得、節約等の国家的利益と、国威の発揚等の国家的使命をになっており、このため、各国は、競って自国の航空会社に多額の援助を与えて、国際航空における地位の向上に、つとめているのであります。わが国航空政策も、当然この方針に沿って講ぜられるべきものであります。事実、わが国航空交通は、経済成長と相まって、実に目ざましい発展を示しております。ところが、これに対する政府航空政策はといいますと、その発展に応ずる短期の事業計画すらも満足に立てられない状態なのであります。このため、機種の大型化、高速化という世界的な要請にも即応できず、かろうじて、YS11という国産ジェット機が量産体制に入ったようなありさまであります。このことは、国際収支にも影響を及ぼすことは明らかであり、年々増加する航空収支の赤字は、国際収支の将来に暗い影を投げかけているのであります。私は、これらの現実を直視して、佐藤総理に、交通政策における航空交通の位置づけを明らかにしていただくとともに、航空事業年次計画の構想の有無及び航空収支対策についてお伺いいたしたいと思うのであります。  質問の第二点は、航空協定についてであります。  わが国航空協定を締結している国は、昨年までに、仮調印を含めて二十三カ国に及んでおります。しかし、その中で、ただ一つ、米国とは、航空協定基本とも言うべき首都乗り入れが認められておらず、米国の一方的な政策に、じゅうりんされているのであります。もしも、このまま推移するならば、今後予想されるべき日ソ、日中の航空協定にも悪影響を及ぼすことは必至であり、かつ、国際航空における地位の向上にも大きな支障となってまいります。そこで、総理にお伺いいたしたいのでありますが、今年初頭のジョンソン会談で、当然話題になったと思うのですが、総理はどのような要求をされ、また、どのような回答を得られたのか、明白にしていただきたいと思うのであります。それと同時に、米国があくまで首都乗り入れを拒否するならば、協定を破棄する覚悟があるかどうかも、お聞かせ願いたいと思うのであります。さらに、日ソ、日中航空協定の締結について、これを積極的に推進するべきであると思いますが、政府はどう対処されるのか、お答え願いたいのであります。  質問の第三点は、新東京国際空港建設計画についてであります。  当局の計画によりますと、昭和四十五年までに、主要滑走路二本及びこれに対応する諸付帯施設の建設をおもな内容とする第一期工事を完了し、五十年までに全工事を完了する工程計画であると聞いております。ところが、いままでの経過を見てきますと、候補地決定もできない状態であり、たとえ近い将来において候補地決定を見たとしても、今度は土地の収得で多くの日数を要するのではないかと考えられるのでありますが、はたして計画どおりに工事が完了できるのかどうか疑問なのであります。この点に関して運輸大臣の所信を明らかにしていただきたいと思います。質問の第四点は、候補地決定と用地獲得対策であります。  候補地決定権は運輸大臣にあるはずでありますが、先ほどの話によりますと、政令と、このようにおっしゃっております。しかしながら、運輸大臣が確固たる決心を持っておるならば、この問題は解決するのではないかと思うのであります。いままでのそのいきさつにつきまして、明瞭に子のお答えをしていただきたいと思うのであります。大臣は、いつごろまでに、はっきりした候補地決定するつもりでありますか。最近、新聞の報道によりますと、建設用地に対する政府首脳の基本方針が固まってきたように報道されております。この点について、国民の前にそのいきさつを明らかにしていただきたいと思います。また、用地獲得についてでございますが、候補地と目されている所では、地元民から強い反対があるのであります。地元民にとっては、生活権にもかかわることでありますので、当然と思うのであります。その不安を除去するために一段と充実した方策が必要でありますが、政府はどのような対策考えておられるのか、お伺いいたしたいのであります。また、地元民にとっては、これに伴って職業転換という難問題があるのであります。この点の対策はどのようにお考えになっておられるのか、明確にしていただきたいと思うのであります。  質問の第五点は、賃金確保であります。  所要経費は二千億円ないし三千億円といわれており、その調達は、長期、短期の借り入れ金と空港債となっております。そこで、大蔵大臣お尋ねしたいのは、相当多額の空港債が発行されることになるわけでありますが、その債券を消化する前提たるべき公社債市場をどう育成されるのか、はたして引き受けるだけのゆとりがあるのかどうか、また利回りなどの条件もかなりよくしなければ消化できないのではないかと思われるのであります。これらについて、どうお考えになっておられるか。さらに、債券発行に伴う利子がばく大であることを思うとき、将来利子補給されるのかどうか、この点、明らかにしていただきたいと思います。  最後お尋ねいたしたいのは、本計画がいたずらに政争の具に供されているのではないかということであります。すなわち、現在までの経過を見ますと、何カ所かの候補地があげられておりますが、その推薦者には必ずといっていいくらい、いわゆる政界の実力者の名前が見られるのであります。しかも、これらの実力者が、随所においてかってな発言をするために、候補地にあげられたところの農民は、満足に作付もできなければ、家の改築もできない、子供の進学についても迷っている。また、賛否両者の陳情費用等に、住民は頭をかかえて悩んでいる。さらに、悪質な土地ブローカーが暗躍し、目に余る地価のつり上げが行なわれているのであります。これらの深刻な住民の被害は、すべて実力者の無責任な発言によるものであります。そればかりではありません。土地選定をめぐる閣内の不統一は醜悪の限りであり、国民には党内における激しい主導権争いの一環としか考えられないのであります。国民とともに進むと言われた佐藤総理の約束は、いまや画餅に帰せんとしているのであります。国民は、佐藤内閣のこのような国民不在の政治姿勢に深い魅惑の目を向けているのであります。これらに対する政治責任を、総理並びに運輸大臣はどのように感じていられるのか、この際、国民の疑惑を一掃するためにも、明確な答弁を要求いたしまして、私の質問を終了いたします。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) わが国航空政策につきまして、先ほど吉田議員にお答えした点もありますので、重複を避けまして、そのときに申し上げなかった点につき、また特にお尋ねの、日本航空事業についてどういう位置づけをしているかという点に、特に力点を置いて、お答えをいたしたいと思います。ただいまのお話にもありましたように、もちろんこの国際空港ともなれば、国際収支にも関連し、また、国内航空も最近非常に需要がふえてまいっております。そういう意味で、この新しい交通機関としての航空機、これは政府もたいへん将来性を考えて力を入れているわけであります。御承知のように、日本航空という会社ができている、これがすでに、政府がこの会社をつくり、またそれに対して財政的にも援助もし、また資金の獲得等についても特に注意しているということで、航空基本をこの会社に置き、そうして国際航空、特にその伸展ぶりについて、政府が見守っている、こういう実情にあることを御了承いただきたいと思います。ことにまた、見方を変えてみますと、わが国国際航空路の要衝に当たっている。ただいま申し上げるように、すべての——欧州からも、米州からも、日本を経由して、そうしてアジアに出かける、またアジアを経由して日本、さらにビヨンド・トウキョウ、こういう意味で、米州にもつながっていくと、こういうことを考えまして、いわゆる国際航空路の要衝にある日本、その地位を確保したい、さらにまた、それを高めるというような努力をしたい、こういう考え方を持っているのであります。  今日御審議をいただきました、第二東京空港の公団をつくろうというのも、こういう国際的要請にこたえる、かような意味でございます。これから先、どんどん大型化し、高速化していく際でございますので、将来を考えまして、一そう力を入れていかなければならない、かように思います。  また、国際航空協定についてのお尋ねがございましたが、これは吉田君に対する詳細なお答えをいたしましたので、この際は、その点は御了承いただきたいと思います。  最後に、今回の空港決定について、実力者がいろいろと容喙しておる云々というようなお話がございましたが、どうも私にはこれがのみ込めなかったのであります。先ほども吉田君にお答えいたしましたように、この大事な空港決定であるから、どこまでも国家的見地立にって、そうして最終的にこれを決定する。もちろん、こういう事柄は、長く時間をかけますと、いろいろ迷惑する方もあるようでありますので、慎重な調査はいたしますが、その調査がまとまれば、内閣におきまして、私が責任を持って決定する、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣松浦周太郎登壇拍手
  22. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 内閣総理大臣お答えになりましたから、多く申し上げることはいやしませんが、ただいまの御質問の中で私のお答えすべきものは、新東京国際空港の完成がいつごろを目途としているか、また、資金確保その他具体的な方法はどうかという御質問に対してでございます。  新東京国際空港は、昭和四十五年ごろを予想されておる。現在、東京国際空港羽田は、量的に行き詰まっております。つまり、超音速機SSTが昭和四十五年に来なくても、羽田は四十五年まで保つか保たぬかということでございますから、まずこのことを片づけることが大事でございますので、これに対処するのとあわせて、近い将来に世界の主要国際空港に就航すると考えられる超音速機の受け入れ態勢を整えるということが、この際の重要な問題であります。このような要請に対処するために、新東京国際空港は、昭和四十五年ごろを目途として第一期工事を完了すべく、諸般の準備を進めております。  また、建設に要する資金としては、政府から出資及び融資のほか、公団債の発行による民間の資金の導入も考えておる次第でございます。先ほど、運輸大臣は閣議が決定すると言ったじゃないか、こういうことでございますが、閣議に案を提案する権限及び閣議の了承を得て決定するのは運輸大臣でありますが、この閣議を総裁されるのは総理大臣でございますから、結論総理大臣でありますが、私どもは、この閣議に案を出し、それを了承を得て決定を受けるというだけのことはしなければならぬと思っております。  それから、いままで一体何をしているのだ、非常なおしかりでございますが、各省の意見を取りまとめるために——それはこれだけの大きな問題でございますから、皆さんのいろいろな意見がございます。自分に権限があるとて、閣内の意見を統一しないで行なうことはできません。したがって、その意見をまとめることが重大でございますから、河野先輩がこのことに当たられまして、いろいろと皆さんの意見をお聞きしておって、統一をしておられる。それがだんだん話はもう煮詰まってきております。そこで、それには本法律を早期に決定してもらって、そうしてこれの第二条の条項を受けて場所の政令をきめるということになっておりますから、願わくはこの法律を早く決定していただきたいと、重ねてお願い申し上げます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  23. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私のお答えいたすべきものは、新空港建設資金の問題についてでございます。  本件につきましては、先ほど吉田さんにお答えをいたしました。空港規模年次資金計画、子れからそのときの財政事情等によって、おおむね政府出資、借り入れ金等によって遺憾なきを期しますと、こうお答えを申し上げたわけでございます。空港債をどの程度発行するのかということでございますが、先ほども申し上げたとおり、まだ事業計画がきまっておりませんので、どのような事情でどのくらい発行するかということは、いま申し上げられないわけであります。  第二の、公社債市場の育成についてどう考えるかということでございますが、公社債市場は、この問題がなくても十分育成強化をしていかなければならないということで、現在十分検討いたしておるわけでございます。  第三点は、発行するとすれば利回りをどうするのかということでございますが、どのくらい発行するか、発行するかしないか、時の財政事情によらなければわからないわけでございますから、申し上げられないわけでございますが、もし発行するとすれば、市場環境等も十分考えながら、消化可能の利回りということを考えなければならないということは当然でございます。また、利子補給は一体どうするのかということでございますが、これは先ほども申し上げたように、政府出資ということもあるわけでございまして、いまどの程度利子補給が必要なのかも定かでございませんので、利子補給については申し上げられないわけでございます。しかしいずれにしましても、先ほどから政府で申し上げておりますように、この空港規模がきまりまして、事業が始まれば、この事業に必要な資金調達につきましては遺憾なきを期してまいりたいと存じます。(拍手
  24. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。  質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、国務大臣報告に関する件(沿岸漁業等振興法に基づく昭和三十九年度年次報告及び昭和四十年度沿岸漁業等施策について)  農林大臣から発言を求められております。発言を許します。赤城農林大臣。    〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  26. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 先般国会に提出いたしました「昭和三十九年度漁業の動向等に関する年次報告」及び「昭和四十年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」について、その概要を御説明いたします。  これらの報告及び文書は、沿岸漁業等振興法第七条の規定に基づいて、政府が毎年国会に提出するものの三十九年度分であります。  まず、「昭和三十九年度漁業の動向等に関する年次報告」について申し上げます。この年次報告は、「第一部 漁業の動向に関する報告書」と「第二部 沿岸漁業等について講じた施策に関する報告書」とに分かれております。  第一部の「漁業の動向に関する報告書」におきましては、昭和三十八年における漁業の動向を説明いたしております。  その概要を申し上げます。  第一に、漁業生産について申し上げます。わが国経済の高度成長に伴い、水産物に対する需要は引き続き増大し、質的にも高級化しつつありますが、三十八年の漁獲高は、異常冷水等の影響もあって、約六百七十万トンと前年よりわずかに減少いたしました。このため、水産物の価格は上昇し、水産物の輸入も、供給量全体から見ればわずかでありますが、増加いしたました。わが国の漁業生産は、三十六年までは、沿岸漁業の停滞、中小漁業、その他の漁業の発展という傾向をとってまいりましたが、三十七年以降においては、沿岸漁業の生産量が増加し、漁業生産全体に占める比重が高くなってきていることが注目されるのであります。  第二に、漁業の就業者数と経営体数の動向について申し上げます。両者とも引き続き減少の度を強め、特に中小漁業の雇用者と経営体の減少が目立っております。また、沿岸漁業、中小漁業のいずれにおきましても、比較的上層の経営が増加しているのに対し、下層の経営は減少し、漁業経営の階層構成が変わってきているのが目立っております。  第三に、沿岸漁家経営の動向について申し上げます。漁業所得及び漁家所得は、水産物の価格の一上昇にささえられて大幅に増加し、三十八年には前年よりそれぞれ一八%及び一五%の顕著な伸びを示しました。そのうち、養殖漁家の所得の伸びがやや停滞的であったのに対し、漁船漁家の所得が著しく増加したことが目立っております。しかし、所得額の絶対水準は、なお低位にあります。また、無動力船を使用する経営階層、三トン未満の漁船を使用する経営階層、すなわち零細規模経営においては兼業の比重を高めておりますが、三トン以上の漁船を使用する上層経営は逆に専業化の傾向を強めております。  第四に、中小漁業経営の動向について申し上げます。中小漁業においては、水産物の価格の上昇等により漁業収入が増加したため、経営収支はかなり改善されたといえます。しかし、総じて物的生産性の伸びが停滞していること、カツオ・マグロ漁業等の業種において収益性が低下していること等に問題があるのであります。階層別に見ますと、上層の一部の経営を除いては、収益性は低く、また労働条件の近代化もおくれております。すなわち、下層の経営では特に資本装備率や生産性が低く、中ないし上層の経営では自已資本が不十分なため利子の負担が大きいという実情にあります。  第五に、漁業就業者の一人たりの生産性は、前年より二三%増加し、その伸び率は、第二次、第三次産業就業者のそれをもかなり上回りました。しかし、絶対水準ではなお低位にあり、特に沿岸漁業就業者の一人当たり生産性は、第二次、第三次産業の就業者のそれに比べて、約六割の水準に達したにすぎません。  以上は第一部の概要であります。  次に、第二部の「沿岸漁業等について講じた施策に関する報告書」について申し上げます。これは、昭和三十八年度を中心とし、三十九年度にも触れつつ、政府沿岸漁業等について講じた施策を、おおむね沿岸漁業等振興法第三条の項目の分類に従って記述したものであります。     —————————————  最後に、「昭和四十年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」について、その概要を申し上げます。  この文書は、年次報告にかかわる漁業の動向を考慮して、四十年度において政府沿岸漁業等について講じようとする施策を明らかにしたものであります。最近における漁業の動向は、ただいま御説明したとおりでありますが、政府といたしましては、このような動向を考慮しまして、沿岸漁業等振興法に示されました沿岸漁業及び中小漁業についての施策基本的方向に従って、諸施策の推進をはかることといたしております。  四十年度において沿岸漁業等について講じようとする施策の重点といたしまして、  まず第一は、水産資源の維持増大につとめ、水産物の供給の増大と漁業生産の継続的発展をはかることであります。このため、沿岸漁場の改良造成、遠洋漁場の開発、海外漁業の育成等に特段の措置を講じますとともに、保護水面の管理、水質汚濁の防止等の対策を強化して、沿岸及び内水面における魚貝類の繁殖を保護し、また、引き続き、サケ・マスの人工ふ化放流、内水面魚類の増殖、沿岸魚類の稚魚の放流等を実施することといたしておるのであります。  第二は、漁業の生産基盤である漁港の整備を促進することにより、漁業生産の安定的発展をはかることであります。漁港の整備につきましては、事業量の拡大とともに沿岸漁業の構造改善に資するための補助率の引き上げを行ない、また、新たに漁港関連道の整備等の措置を講じて、その促進につとめることとしております。  第三は、沿岸漁業及び中小漁業の近代化と合理化をはかることであります。沿岸漁業につきましては、構造改善事業を拡充実施いたしますとともに、新たに中小漁業について実態調査を行ない、これに基づいて業種別の振興対策を策定することといたしております。また、漁業経営発展に大きな影響を及ぼす漁業金融につきましては、農林漁業金融公庫の融資ワクの拡大等を行なうほか、中小漁業融資保証制度について保険料率の引き下げ等の改善措置を講じ、沿岸及び中小漁業金融の円滑化をはかることといたしております。  第四は、水産物の流通及び加工対策を充実し、その供給の円滑化と漁業者の所得の安定をはかることであります。最近における流通及び消費形態の変化の動向にかんがみ、農山村に対する冷凍魚の普及、産地における魚体処理方法の改善等について新たに助成措置を講じますとともに、従来に引き続き、流通及び加工施設の整備、取引の合理化等につとめ、さらに水産加工業の実態に即応した適切な対策を講ずるため詳細な実態調査を行なうこととしておるのであります。  この文書におきましては、これらの昭和四十年度において講じようとする諸施策を、おおむね沿岸漁業等振興法第三条の項目の分類に従って、農林省所管事項にとどまらず、各省所管事項をも含め、沿岸漁業及び中小漁業に関する施策全般について記述いたしております。  以上、「昭和三十九年度漁業の動向等に関する年次報告」及び「昭和四十年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」につきまして、その概要を御説明いたした次第であります。(拍手
  27. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。大森創造君。     〔大森創造君登壇拍手
  28. 大森創造

    ○大森創造君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題に供されました漁業の動向等に関する年次報告について、総理農林大臣及び大蔵大臣に対して若干の質問をいたしたいと思います。  今年度の報告は、第三次漁業センサスの成果を取り入れたためか、なかなか内容も多岐にわたっており、触れていない問題はないといわれております。しかし、少し注意深く読むと、案外そうではなく、政府にとって都合の悪いことは用心深くこれを避けていることがわかるのであります。だれかがいみじくも申しましたように、何が書いてあるかではなく、何が最いてないかを見ることによって、日本漁業の真の問題点が明らかになるといってよいかと思うのであります。  私は、まず、政府がきわめて用心深く避けている漁業における階層分化の問題についてお伺いいたしたいと思います。昨年の報告と違って、ことしは、大資本の営む漁業についても、その他の漁業として若干触れていますが、このように平面的に、大資本漁業、中小漁業、沿岸漁業を並列しただけでは、真の問題点は出てきません。中小漁業及び沿岸零細漁業が、生産及び流通の場で、どのように大資本漁業によって圧迫収奪されているかを具体的に分析することなしには、中小漁業や沿岸漁業の真の発展の道を求めることは不可能であります。そこで総理大臣にお伺いいたしますが、ますます開いてくる傾向にある漁業内部の格差を縮小するため、大資本漁業の活動を、中小漁業に対する圧迫と収奪を押える意味において、その限りにおいてある程度規制する意思が、そして勇気がおありかどうか。それをあえて行なう意思と勇気がなければ、中小漁業の活路はないのではないかと信じますが、いかがでしょう。どのような具体的施策によって、漁業と他産業間及び漁業内部における格差を解消しようと考えているかを、率直にお示し願いたい。私がここでちょうちょう申し上げるまでもなく、聡明な総理は事態をおわかりのはず、ただ、それを実行に移す勇断をお持ちかどうか、念のためお伺いいたします。  次に、報告は、沿岸漁業における所得格差に触れているが、それによると、機船漁業では、北海道海区、中区太平洋海区及び瀬戸内海区が全国平均を越え、ノリ養殖では、有明海、東海海区及び瀬戸内海区、カキ養殖では、瀬戸内海区の所得が圧倒的に大きいと述べております。しかるに、政府は、一方で沿岸漁業の振興を唱えながら、他方では、これらの優良な漁場が、工場汚水の流入や埋め立てによって失われていくことに対して、目をおおっていることは納得できないところであります。わが党が提案した水質汚濁防止法案を、独占資本の要求に基づいて骨抜きにし、いわゆる水質二法を衆を頼んで成立させたようでありますが、これが、ざる法にすぎないことは、二法の実施以来かえって汚水による被害が激増していることによっても明らかであります。そこで総理に伺いたいが、水質二法の効果が、事実によって、ほとんどないことが示された今日、この二法を抜本的に改正強化する意思がおありかどうか、また、このような沿岸漁業にとっての優良漁場を次々に荒廃させておきながら、なおかつ、沿岸漁業の振興を言い得るために、一体どのような施策をとろうとするのか、具体的にお示し願いたい。  次に、農林大臣お尋ねしますが、大臣は、沿岸漁業の発展のために重要なこれらの漁場を資源保護水域として指定、同水域において漁場を荒廃させ資源保存の妨げとなるごとき汚水の流水等を阻止し、あるいは漁場の埋め立てを規制する措置をとる決意を持っておられるかどうか、さらにまた、沿岸漁業におけるかかる地域差をなくすために、生産性の低い地区に対してどのような振興対策をとろうとしているのかをお伺いいたしたい。  第三点として、漁業金融の問題について伺っておきたいのであります。白書は漁業金融に触れて、漁業では自己資金が少ないために借り入れ金が多く、経営を圧迫していると述べております。事実、中小漁業では過剰投資の傾向が著しく、資源との関係経営がますます困難になってきています。たとえば、きのうまで中小漁業の花形としてうたわれていたマグロ漁業も、今日では、資源を無視して行なわれた政府の許可の乱発と漁業者の漁船大型化競争によって、著しい過剰投資を招き、その結果として資源条件を悪化させ、漁獲率の低下、漁場の遠隔化による操業経費の増大等によって、経営状態を悪化させているのであります。このため、一時、トン四十万円以上もしていた許可の権利が、今年は十万円近くまで下がり、許可を担保とする金融を困難とするに至り、必要資金を手に入れるために、従来にもまして不利な条件を押しつけられております。金利負担の増加——はなはだしきは水揚げ総額の三割近くも金利負担に取られる者もあるように聞いておりますが——その金利負担の増加によって、中小漁業の経営はいよいよ困難となっております。また、十トン以下の漁家の借り入れ先を見ると、有利な政府資金はわずか全体の一割に満たないのに、個人その他からの借り入れ及び漁協からの借り入ればそれぞれ四割近くに達しております。そこで大蔵大臣及び農林大臣にお伺いするが、政府は、中小漁業及び沿岸漁業の金利負担を軽減することと、漁業経営の立て直しをはかるため、少なくとも漁船漁具の建造資金については、年利三分五厘以下、償還期限三十年以上の長期低利の政府資金を大量に供給することを御提案申し上げますが、お考えのほどを一お聞かせいただきたいのであります。また、十トン以下の漁家漁業の金融の円滑化をはかるため、制度金融の中に沿岸漁民用の特別資金ワクを設け、個人や漁協からの高利の金を借りなくても済むようにする施策をいたす意思がないかどうか、明確なお答えをいただきたいのであります。なお、固定債務のたな上げについても、この際お考えを聞いておきたい。  第四点として、水産資源の問題についてお聞きしておきたい。最も重要な資源の問題がことしも全く触れられていないことは、納得できません。歴代政府の怠慢によって、資源の動向に関する研究が十分ではないため、完全に科学的な分析をあらゆる分野にわたって行なうことは困難ではありましょう。しかし、いやしくも漁業白書が水産の動向を正しく把握し、それに基づいて適当な施策を打ち出すものである以上、たとえ十分なものでなくとも、生産の基礎となる資源の動向をつかんだ上でなければ、権威ある施策とはなり得ないのであります。そこで農林大臣にお聞きしますが、あなたは、来たる四十年度の白書では、資源の動向、特に漁業経営の面から見た資源の動向について報告する用意があるかどうか、率直にお示し願いたい。  次に、国際漁業の問題に関連して、総理並びに農林大臣お尋ねしたい。白書によれば、従来、日本漁業の発展をささえてきた国際遠洋漁業の伸び悩みによって、日本漁業の生産量が全体として低下したことが示されております。国際遠洋漁業の漁獲が減少した理由には、資源条件の悪化によるものも含まれているが、同時に、日本漁業に対する国際的な規制によるものが大きいことは、政府といえども否定できないと思います。しかるに、政府態度を見ていますと、どこまで真剣に国際漁業の発展に努力しているかを疑わしめるものがあることは、きわめて遺憾であります。たとえば、昨年六月条約期間の満了した日米加漁業条約の改正問題についても、わが党のたび重なる要求を無視して軟弱な交渉に終始し、ついにその廃棄通告すらなし得ず、いまだに不平等条約改正の目途さえも立っていないありさまであることは、周知のことであります。現在行なわれている日韓漁業交渉についても、同様の感がいたすのであります。国際法を無視し、広大な公海に一方的に設定された李ラインの無条件撤廃の要求さえも、日韓会談の早期妥結の妨げになるとの考えによって放棄し、韓国側が公然と、李ラインは漁業保護ラインとしてもあくまでも守ると主張していることを知りつつ、漁業交渉が妥結すれば李ラインは自然に消滅するかのように国民を欺いております。総理にお聞きするが、李ラインの問題についてどのような保障の確約を得ているかを、この際あらためて、はっきりと、この本会議において国民の前にお示しいただきたい。  以上を要約してみますと、いずれにせよ、現在は日本漁業の一大転回期と言えましょう。この転回期にあたり、日本漁業の向こうべき方向を政府が示すべきであり、そのあるべき姿を明示するため漁業基本法を提案し、その実態を明らかにする意思があるかどうか、伺いたいのであります。わが党は、この白書の基盤となった沿岸漁業等振興法が提案された昭和三十八年、第四十三回通常国会に、同法案とともに漁業基本法案を提案し、漁業に関する新たな政策の目標とその原則を明らかにしているのであります。漁業界にありましても、白書に言う「その他の漁業」業界においても、基本法を制定すべしとの声の高まりを聞くのでありますが、総理のお考えを承りたいのであります。  また、沿岸漁業等従事者の労働条件と海難について伺います。労働力の不足、漁業労働従事者の賃金引き上げ要求の激化等を考えますときに、漁業労働賃金の支払い制度の旧態依然たるを感ずるのであります。このことは、漁業経営の近代化が進んでおらないことに根本問題があるのであって、経営者自体が、賃金には歩合制をとって漁夫のしりをたたき、かつ、その資本装備を惜しみ、おのずから漁夫をして他産業へ追いやるのみならず、ひいては経験不足の船員を雇い、海難事故を招く結果となっていると考えられるのであります。昨一年間で、北海道だけでも沈没した漁船七十四隻、死亡、行くえ不明百七十九人になっております。海難事故防止のため諸種の規則等がありますが、しかし、漁獲物の限度以上の積載、船員の無資格、救命艇等の欠除など、人災とも言える事故が多かったのではないだろうかと私は考えます。私は、少なくもこの冬期間に起こった海難事故の直接間接の原因を究明して、来たる四十年度に講じようとする施策に再々検討を加え、早急に少なくも来たるべき冬までに万全の措置をとるべきと考えるが、農林大臣のお考えを承りたい。  水産物の輸入について、農林大臣お尋ねします。  その輸入額は二百十四億円で、輸出額の二一%にすぎないが、今後も輸入の増加が見込まれるだろうと白書は述べています。輸入品目の大半は、中小漁業者の漁家経済に影響するものが多いのであります。わが党の漁業基本法案では、「国は、水産業の安定に資するため、国内水産物と競合する外国産水産物について、関税の適正化、輸入制限その他必要な措置を講じなければならない。」としておるのであります。したがって、貿易自由化のあらしがわが国経済の底辺にある沿岸漁民にまともにおおいかぶさってくることは必至であります。最近輸入の急増をみております魚粉、高級魚にしても、しかりであります。農林大臣は、この沿岸漁民の貧困さを思うとき、貿易自由化あるいは国際友好の美名に迷わされることなく、わが国の水産物の生産量と需給、また、その価格の動向により、漁家経済の安定を第一として輸入量を決定されると考えますが、その決意のほどを承りたいと存じます。  なお、韓国ノリの輸入については、本院の農林水産委員会の決議もあることでありますのに、今回の日韓漁業交渉において二億枚以上の輸入を認められておるようでありますが、その交渉経緯をお聞かせいただきたいのであります。  以上御質問申し上げた点について、誠実かつ明確なお答えをお願いするとともに、来年度の報告においては、階層分化の問題及び資源の問題について、避けて通る態度を改め、科学的分析を加えるよう努力するとともに、価格の問題についても、価格の値上がりによって漁業所得が増大したと、全階層を楽観一色に塗りつぶしてしまうのでなく、階層別に見た価格の推移、及び、三十七年以来実施している沿岸漁業構造改善事業の成果と欠陥についても報告するよう、重ねて要望して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  漁業の内部格差をいかにして是正するかというお話であります。ことに中小企業が大企業に収奪されておる、こういう表現をされておりました。しかし、私は、いわゆる大企業と中小企業とは、おのずから活動の分野を異にしておる、また、活動の分野が一緒であるような場所においては、いわゆる許可制の運用によりましてその間に協調が保てるように、農林省が特に指導しておると思います。したがいまして、いわゆる共存共栄の立場において大資本と中小資本との間の育成強化をはかっていくことが望ましい姿ではないかと思います。  第二点といたしまして、水質二法についての御批判がございました。私もこの沿岸の瀬戸内におりまして、水質二法が沿岸漁業に十分の効果を発揮しておらない、こういうような点については、私も同様の感じを持っております。ただいまのようなお話が、各地におきまして、沿岸漁業の魚礁をいためておるとか、また、成育する魚族に変化を来たしておる等々の問題があるだろうと思います。今日、水質二法がございますので、その運用につきまして、特にただいま御指摘になりましたような点を十分検討して、また、公害防止の技術開発等についても、私どもが特別なくふうをすべき、そういうときではないだろうか、かように思います。ただ、水質二法によりましては全部保護できない、かような結論に達すれば、これが改正等についてもさらに研究すべきものだろうと私は思います。  次に、国際漁業についてのお話がございましたが、日米条約等については農林大臣からお聞き取りをいただきたいと思います。また、賃金あるいは海難事故等の重要な事項もお尋ねがございましたが、これも農林大臣に譲ることといたしまして、この際に、いわゆる日韓交渉のうちで、漁業関係につき、李ラインというものをいかに見ているかという点についてのお答えをいたしたいと思います。  おそらく、この点は、農林大臣等からしばしば他の機会にお話を申し上げたことだろうと思いますが、今回の日韓交渉にあたりましても、漁業問題において李ラインがいかに処置されるかという、これはたいへんな重要な問題でございます。特に私ども関係者といたしましては留意して、そうして漁業交渉をまとめた、かような気持ちでございます。したがって、いわゆる韓国側の漁業に関する一方的な管轄権、この一方的に管轄権の及ぶ範囲を、専管水域、さらに共同水域というものをきめてまいりましたが、いわゆる沿岸十二海里、これは一方的に管轄権の及ぶ専管水域なんだ、しかし、その十二海里の外側、いわゆる公海の部分においては、今度はいわゆる旗国主義によって裁判管轄権等を行なっていくということにきめたのでありまして、したがって、公海の漁業の取り締まりは、今後は事かわって、いわゆる日本の旗を立てている日本の漁船に対しては日本がこれを取り締まっていくということになるのであります。したがいまして、この前文等につきまして、公海自由の原則が尊重されるべきものであるということも明確にうたうのでございますが、今後は、この協定が実現いたしますれば、いわゆる不法に韓国の官憲によりまして追跡あるいは拿捕等の事態が今後は起こらない、いわゆる安全操業ができる、こういう状態になるという確信をいたしておるのでありまして、いわゆる李承晩ラインというものが、今回の漁業関係では、そういう意味で、別にこのラインをどうこうとは申しませんけれども、実際的にただいま申し上げるような処置がとられるということによりまして、長い間の問題の解決を見る、かように私は信じておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  30. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 水質汚濁につきましては、総理からも答弁をいたしましたが、私のほうからも申し上げます。いまの水質汚濁防止の二法律がございますが、その法律の効果が鈍いことは私たちも承知しています。これではいけない、こう思います。水質汚濁による被害の著しい水域を指定して、これにつきまして水質基準を設定し、工場排水等の規制を行なっているのでございますが、今後は、さらに関係官庁と協議しまして、水域指定を急いでいきたいと思います。それから指定水域数をふやすことにつとめて、せっかくの水質汚濁防止の二法律を活用していく、こういうふうに考えております。  第二に、漁業の金融の問題を御指摘になりました。漁業の金融に関しましては、金利とか償還期限等につきまして、大幅な改善をはかり、特に、融資ワクにつきましても、毎年増加してまいってきております。漁船漁具に対する政府資金の融通は、御承知のように、農林漁業金融公庫の沿岸漁業構造改善事業推進資金等によって行なっております。そのうち、特に重要な施策目標としておりまするこの資金につきましては、相当部分につきまして、いま御指摘のように、金利は三分五厘の利率、償還期限等は、漁船等の耐用年数に基づきまして現行十五年、こういうことにいたしておりますので、これで間に合うというふうに私どもは考えております。  また、沿岸漁業向けの制度金融としては、沿岸漁業構造改善事業推進資金等により、漁船、漁具、養殖施設等につきまして、すでに長期低利の金融を行なっておる、また、貸し付け計画につきましても、四十年度は前年度を上回る二十九億九千万円、こういうふうに予定して、沿岸漁民の金融の円滑化につとめておるわけでございますが、さらに一そうその線を進めていきたい、こう考えます。漁業資源について、来年度の年次報告報告できるような措置をとれ、こういうことでございますが、水産資源の現状及び動向につきましては、私ども大きな関心を持っており、長年にわたりまして、かなり大規模な調査研究を継続してきております。今後とも、水産資源に関する調査研究は、一そう充実していきたいと考えております。四十年度におきましては、遠洋漁場調査のため、大型調査船の建造等の措置を講ずることとしております。しかし、水産資源につきましては、その性質上、調査研究の現段階ではなお未知の分野が多く、その状態を正確に把握することが困難な面が少なくないのでございます。しかし、御趣旨はごもっともでございますので、できるだけ御趣旨に沿っていきたいと思います。  国際漁業について、日米条約について廃棄通告も行なわないではないか、不平等条約の改正に努力を欠いておるのじゃないか、こういう御指摘でございますが、日米加の関係を無条約状態に置くということは好ましくないことでございますので、これが改正を協議いたしておるわけであります。その協議におきましても、不平等の点は、これはぜひ直させなくてはならぬということで、三回にわたりまして漁業の交渉を続けておるわけでございます。第三回目のオタワにおきます会議等におきましては、三国の相互理解が相当深まってきております。一面、お互いの見解の相違点もまたはっきりとしてきていまして、最終的合意を見るには至らなかったけれども、わが国の要求等は相当理解を深めております。でありますので、不平等の点をやめさせるように、従来どおりの方針条約改正のために今後も努力する考えでございます。  李ラインの問題につきましては、総理から御答弁があったように、専管水域を設け、あるいは共同規制区域を設け、あるいは取り締まり等は旗国主義でいく、こういうことでもって、いままでの李ラインの区域を専管水域の十二海里の区域内に限定するというような措置をとることにいたしましたし、また、協定ができる場合に、それを確認するために、公海自由の原則をさらに確認させる、こういう措置をとっておりますので、安全操業ができるという確信を持っております。  次に、漁船の海難防止のことでございますが、漁船の海難が、運航の誤りと機関取り扱いの不良等の人的な事故に基づくものが多いということは、御指摘のとおりでございます。そういうことにかんがみまして、漁船の運航、機関及び無線技術者の養成に対する助成等に力をいたしていきたい、こういうふうに考えております。  次に水産物の輸入の問題でございますが、水産物の輸入は現在大部分が自由化されておりますけれども、沿岸漁業に与える影響の大きい特定の水産物、たとえばノリとか、ブリとか、ニシンとか、イカとか、アジ、サバ、サンマ、イワシ、コンブ、魚粉等、こういうものにつきましては、なお当分輸入の制限を続けたい、こう考えております。  これに関連いたしまして、韓国ノリの輸入につきましてのお尋ねがございましたが、日韓交渉におきまして特に韓国側から強い要請がありました。けれども、私どもの立場としては、国内産のノリの需給状況とにらみ合わせて、国内生産者に悪影響を与えないという前提で、輸入は二億枚から五億枚の間でふやすということは考慮する、しかし、前提はあくまでも生産者に悪影響を及ぼさないということが前提でございます。その前提の上に立って二億枚以上を輸入することも考慮する、こういう話し合いをしておったわけでございます。以上、お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  31. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私に対する御質問は二点ございます。その一つは、漁船漁具等に対して長期低利三分五厘、期間三十年というようなものを設けてはどうかということでございます。第二点は、沿岸漁業の一そうの振興をはかるため、制度金融の中に特別ワクを設けよ、また、固定負債等をたな上げする考えはないかということでございます。本件につきましては、農林大臣からただいま御説明がございましたが、重要な問題でございますので、私からもつけ加えて申し上げます。  御承知のとおり、漁業金融、特に沿岸漁業の中小零細漁民に対する金融につきましては、政府本可能な限り努力をしておるわけでございます。一般の漁船資金につきましては、七分五厘、十五年以内ということでございますが、農林大臣も申されたとおり、農林漁業公庫におきましては、沿岸漁業構造改善事業推進資金におきましては、非補助分において三分五厘、補助分については六分五厘、また、沿岸漁船整備促進資金におきましては五分五厘という低利な制度を設けておるわけであります。しかも、この沿岸漁業構造改善事業推進資金につきましては、四十年度から、非補助分は、一つの地域当たりの平均融資額が二億四千万円でございましたが、四十年度から三億四千四百万円に引き上げ、特に中小漁業者の需要に十分こたえていきたいという考えでございます。  第二点目の問題につきましても農林大臣からお話がございましたが、農林漁業公庫以外から負債を負った負債で償還が困難で、その結果、漁船とか漁具とかを売らなければいかぬ、またそういうことによって経営に大きな支障があるようなものにつきましては、整理資金とか経営安定資金の制度を公庫の中に設けまして、五分、二十年以内という低利の道を開いておるわけでございます。注あ漁業資金につきましては、農林省とも十分相談をしながら、現状に適合するように格段の努力をしてまいりたいと存じます。(拍手
  32. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  33. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、オリンピック記念青少年総合センター法案(内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。文教委員長山下春江君。     〔山下春江君登壇拍手
  34. 山下春江

    ○山下春江君 ただいま議題となりましたオリンピック記念青少年総合センター法案につきまし て、文教委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法案の提案の理由とその内容を簡単に申し上げます。  オリンピック東京大会は、昨年秋、大成功裏に終了いたしました。その大会の際に選手村として使用した施設を、オリンピック東京大会を記念するとともに、次代をになうわが国青少年のための宿泊研修施設として使用することは、まことに有意義なことであります。これがため、法律に基づく特殊法人オリンピック記念青少年総合センターを設立することになったのであります。  法案の内容としましては、本センター設立の目的のほか、この特殊法人の資本金、組織、業務、会計、監督等に関し所要の規定を設けております。なお、附則において施行期日等のことを定めております。  委員会の審議におきましては、各委員から、法人業務の具体的内容、特に宿泊と研修との関連、身体障害者に対する利用の配慮、運営の適正を期するための役職員の人選、オリンピック選手村あとの施設中、国税庁職員宿舎の追加出資の問題等につきまして、きわめて熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、二木委員より、施行期日の「昭和四十年四月一日」を「公布の日」に改めるとともに、その他関連条項につきましての修正案が提出され、その理由が述べられました。  かくて採決の結果、全会一致をもって、二木委員の提出にかかる修正案及び修正部分を除く原案を再決すべきものと決定いたしました。  次いで、委員長より次のような附帯決議案が提出されましたところ、全会一致をもって委員会の決議とすることと決定いたしました。  附帯決議を朗読いたします。    オリンピック記念青少年総合センター法案に対する附帯決議   オリンピック記念青少年総合センター設置の目的にかんがみ、政府は、オリンピック選手村跡の施設中、国税庁職員宿舎として使用予定の土地建物(六棟)を、二カ年以内に追加出資するとともに、青少年の心身の健全な発達をはかるため、その運営に十分な配慮をなすべきである。  以上をもって御報告を終わります。(拍手
  35. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案の委員報告は修正議決報告でございます。  本案全部を問題に供します。委員報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  36. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正どおり議決せられました。      ——————————
  37. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第四、消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長天坊裕彦君。    〔天坊裕彦君登壇拍手
  38. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 ただいま議題となりました消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、委員会の審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、火災をはじめ各種災害の現況に即応するため、政令で定める危険物施設等に対し、施設保安員、予防規程、自衛消防組織設置義務等を規定することにより、危険物に関する規制の強化をはかること、消防用設備の工事に関し消防設備士制度を設けること、非常事態の場合に消防庁長官を通じ他府県の消防に応援を求めることができることとする等を、おもな内容とするものであります。  委員会におきましては、三月四日吉武自治大臣から提案理由の説明を聞き、家庭用小型消火器の検定、危険物に対する規制、消防協力等に関し質疑を行ない、慎重に審査を行ないましたが、その詳細は会議録によってごらん願いたいと存じます。  かくて質疑を終局し、討論に入りましたが、別に発言もなく、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上報告を終わります。(拍手
  39. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  40. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  41. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第五、財政法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、  日程第六、製造たばこ定価法案内閣提出)、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長西田信一君。    〔西田信一君登壇拍手
  43. 西田信一

    ○西田信一君 ただいま議題となりました二法律案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、財政法の一部を改正する法律案について申し上げます。  改正しようとする第一点は、財政法第六条の規定の特例を設けようとするものであります。財政法第六条の規定によりますと、歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らざる金額を、翌々年度の国債等の償還財源に繰り入れなければならないことになっておりますが、国債等の残高が相対的に著しく減少している実情にかんがみ、昭和三十十八、三十九両年度の剰余金からの国債等の償還財源への繰り入れについては、五分の一を下らざる金額にしようとするものであります。  第二点は、財政制度審議会の機構を整備しようとするものでありまして、今後、財政会計制度の全般にわたって本格的な検討を行なうため、広く有識者の参加を得るよう、委員を十三名増員して二十五名とする等の改正をしようとするものであります。  なお、本法の施行がおくれることになったのに伴い、衆議院において、施行期日「昭和四十年四月一日」を「公布の日」とし、国債等の償還財源への繰り入れの特例については昭和四十年度予算から適用するという修正が加えられております。  委員会におきましては、財政法第六条の特例措置を講じようとする理由、二年後における特例措置の扱い方、昭和三十九年度の税収減少の見込みと対策、予算財源の減少傾向に処する財政運営方針等について、質疑がなされましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、採決の結果、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、製造たばこ定価法案について申し上げます。  現行の「製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律」は、製造たばこの品目ごとに、その最高価格、名称、型式及び品質等を規定しているため、これらの事項の軽微な変更についても、そのつど法律の改正を要することになっております。他方、最近における消費生活水準の向上に伴い、製造たばこの銘柄の多様化、品質の改善等の要望は次第に高まっておりますので、これら消費の動向を適切かつ迅速に製品に反映せしめる必要が認められます。したがいまして、本案は、製造たばこの定価の決定に関する手続を簡素化することとし、専売事業の円滑な運営をはかろうとするものであります。  本案のおもな内容について申し上げますと、  第一に、日本専売公社の製造する製造たばこの定価について、その種類ごとに、品質に応じた等級区分を設け、等級別に最高価格を定めようとするものであります。  第二に、製造たばこの品目ごとの定価は、等級ごとの最高価格の範囲内で、その品質、規格及び消費の動向等を勘案して、妥当なものであり、かつ適正な専売収入を確保し得るように定めることにしようとするものであります。  第三に、「製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律」は廃止し、その際、現在販売している製造たばこについては、所要の経過規定を設けようとするものであります。  委員会におきましては、等級ごとの最高価格を法定することによる製造たばこの実質的な値上げの意図の有無、輸入葉たばこの価格及び混入率の状況等について質疑がありましたが、詳細については会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  44. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、財政法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  45. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  46. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 次に、製造たばこ定価法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  47. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十四分散会