運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-03-19 第48回国会 参議院 本会議 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十九日(金曜日)    午前十時二十四分開議     —————————————議事日程 第九号   昭和四十年三月十九日    午前十時開議  第一 所得税法案法人税法案及び租税特別措   置法の一部を改正する法律案趣旨説明)  第二 地方税法の一部を改正する法律案及び地   方交付税法の一部を改正する法律案趣旨説   明)  第三 原子爆弾被爆者医療等に関する法律の   一部を改正する法律案閣法第二〇号)(趣   旨説明)  第四 地方行政連絡会議法案(第四十六回国会   内閣提出、第四十八回国会衆議院送付)  第五 特許法等の一部を改正する法律案内閣   提出)  第六 石油資源開発株式会社法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  第七 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内   閣提出衆議院送付)  第八 郵便振替貯金法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、日程第一 所得税法案法人税法案及び租   税特別措置法の一部を改正する法律案趣旨   説明)  一、日程第二 地方税法の一部を改正する法律   案及び地方交付税法の一部を改正する法律案   (趣旨説明)  一、日程第三 原子爆弾被爆者医療等に関す   る法律の一部を改正する法律案閣法第二〇   号)(趣旨説明)  一、日程第四 地方行政連絡会議法案(第四十   六回国会内閣提出、第四十八回国会衆議院送   付)  一、日程第五 特許法等の一部を改正する法律   案(内閣提出)  一、日程第六 石油資源開発株式会社法の一部   を改正する法律案内閣提出)  一、日程第七 郵便貯金法の一部を改正する法   律案内閣提出衆議院送付)  一、日程第八 郵便振替貯金法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。上林忠次君から、病気のため十三日間、館哲二君から、病気のため二十九日間、それぞれ請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、所得税法案法人税法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案趣旨説明)、  三案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。田中大蔵大臣。    〔国務大臣田中角榮登壇拍手
  6. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 所得税法案法人税法法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案趣旨を御説明申し上げます。  政府は、昭和四十年度税制改正の一環として、国民負担現状に顧み、中小所得者中心とする所得税負担軽減及び企業課税軽減を行なうとともに、納税者理解を容易にする見地から、現行所得税法及び法人税法の体系的な整備平明化をはかるため、この両法について全面的な改正を行なうこととし、また、最近の経済情勢に応じ、当面要請される諸施策に対応する税制上の特例措置を講ずるため、ここに所得税法案法人税法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案提出した次第であります。     —————————————  まず、所得税法案内容について、その大要を申し上げます。  第一は、中小所得者中心とする所得税負担軽減をはかることであります。  すなわち、基礎控除を現在の十二万円から十三万円に、配偶者控除を現在の十一万円から十二万円に引き上げることとするほか、扶養控除についても、十三歳以上の者の控除額を現在の五万円から六万円に、十三歳未満の者の控除額を現在の四万円から五万円にそれぞれ引き上げることとしております。  また、最近における給与所得者負担現状に顧み、給与所得控除について、定額控除を現在の二万円から三万円に、控除率二〇%の適用範囲限度を現在の四十万円から五十万円に、最高限度額を現在の十四万円から十五万円にそれぞれ引き上げることとしております。  さらに、最近における一般的給与水準上昇等を考慮して、青色申告者及び白色申告者専従者控除についてそれぞれ三万円ずつ引き上げることとしております。  以上申し述べました諸控除の引き上げにより、所得税課税されない所得限度は、夫婦子三人の計五人家族の標準世帯を例にとりますと、給与所得者では現在の約四十八万円から約五十六万円に、事業所得者のうち、青色申告者については現在の約四十三万円から約五十万円に、白色申告者については現在の約三十七万円から約四十二万円にそれぞれ引き上げられることになるのであります。  このほか、医療費控除について、現在十五万円とされている控除限度額を三十万円に引き上げることとし、また、少額貯蓄非課税制度についても、非課税元本限度額を現在の五十万円から百万円に引き上げることとしております。  第二は、納税者理解を容易にする見地から、規定の体系的な整備表現平明化中心とする税法整備をはかるため、現行所得税法の全面的な改正を行なうこととしたことであります。  この全面的な改正にあたっては、租税法律主義をたてまえとしつつ、同時に、一般納税者にわかりやすい法令体系にするため、現在、政令または省令で規定されている事項で重要なものは法律において規定することとするとともに、規定の配列、表現平明化等についても理解しやすいものにするよう配意しております。  また、このほか、課税標準及び税額の計算並びに申告、納付及び還付の手続に関しましても所要の整備合理化をはかることとしております。     —————————————  次に、法人税法案内容について、その大要を申し上げます。  まず第一は、中小法人中心とする法人税負担軽減をはかることであります。すなわち、各事業年度所得に対する留保分法人税率を、普通法人にあっては、年三百万円以下の所得金額について現在の三三%から三一%に、年三百万円をこえる所得金額については現在の三八%から三七%に、公益法人協同組合等にあっては、現在の二八%から二六%にそれぞれ引き下げることとするほか、同族会社課税留保所得を計算する場合の控除額を、現在の所得金額の二〇%と百万円とのうちいずれか大きい金額から、所得金額の二五%と百万円とのうちいずれか大きい金額に引き上げることとしております。  第二に、所得税法の場合と同様、納税者理解を容易にする等の見地から、法人税法の全面的な改正を行なうこととしたことであります。     —————————————  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案内容について、その大要を申し上げます。  第一は、利子所得及び配当所得源泉徴収税率軽減措置につき、現在の五%の税率を一〇%に引き上げて、なお二年間存続することとする一方、資本市場育成等に資するため、利子所得分離課税特例適用期限を二年間延長することとし、また、新たに配当所得について次のような措置を講ずることとしております。  その一は、昭和四十年一月一日から二年間に支払いを受ける株式配当金のうち一銘柄につき年五万円以下のものは、確定申告を要しないこととすることであります。  その二は、昭和四十年五月一日から二年間に支払いを受ける株式配当金については、一銘柄所有株式数発行済み株式総数の五%以上の株式配当と一銘柄につき年五十万円以上の配当とを除き、一五%の税率による源泉選択制度を創設することであります。  第二は、鉱産物資源開発促進等に資するため、探鉱準備金制度及び探鉱費特別控除制度を創設し、昭和四十年四月一日から三年間に限りこれを認めることとしております。  第三は、国際競争力強化等に資するため、技術等海外取引特別控除制度適用対象に、新たに対外支払い手段を対価とする建設請負修理加工及び映画上映権譲渡等を加えることとしております。  第四は、中小企業近代化等に資するため、中小企業近代化資金助成法に基づく一定共同店舗について、初年度十分の一の特別償却制度を創設することとしております。  第五は、最近における交際費の支出の状況に顧み、法人交際費課税特例について、その損金不算入割合を現在の三〇%から五〇%に引き上げることとしております。  第六は、農業協同組合等留保所得の一部非課税措置特例を、生産事業を行なわない森林組合及び同連合会についても適用することとしております。  第七は、山林所得に対する所得税課税について、昭和四十年一月一日から三年間再植林費特別控除を行なうこととするほか、山林所得概算経費率算定方式合理化をはかることとしております。  なお、以上申し述べましたもののほか、外貨債の円滑な発行及び消化に資するため、特定利付外貨債償還差益非課税とし、また、ブドウ糖消費促進をはかるため、一定の規格のブドウ糖混和砂糖について砂糖消費税税率軽減し、さらに、中小企業近代化資金助成法工場等集団化計画の実施にかかる土地の所有権取得登記登録税及び遠洋区域に出漁する漁船の所有権保存登記等登録税について税率軽減することとしております。  また、このほか、昭和三十九年度末に期限の到来する特別措置のうち、特定公共事業の用地の買収等の場合の課税特例事業用資産の買いかえの場合の課税特例農業生産法人に現物出資した場合の納期限の延長の特例鉱業用坑道及び造林費特別償却特例並びに特殊の外貨借り入れ金等利子税率軽減等について、なお二年間その適用期限を延長する等の措置を講ずることとしております。  以上、三法律案趣旨につきまして御説明申し上げた次第であります。(拍手
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。木村禧八郎君。    〔木村禧八郎登壇拍手
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいま上程されました国税三法の改正案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして質問をいたすものであります。  この国税三法の改正中心とする四十年度税制改正は、戦後最悪改正であると思います。その理由は三つございます。  その第一は、税制調査会二つ答申を尊重しないどころか、これに逆行した税制改正を行なっていることであります。税制調査会二つ答申をいたしました。その一つは、わが国の基本的税制に関する考え方、もう一つは、四十年度税制改正に関する答申でございました。税制調査会は何のために設けたと、私は大蔵大臣質問いたしましたら、大蔵大臣は、日本税制政府だけできめないで、学識経験者意見を十分に聞いて、そして正しい税制をつくりたい、そのために税制調査会を設けたんだ、こういう御答弁でありました。したがって、この税制調査会は、日本税制をきめる場合の民主的な手続一つであると思うのです。したがって、その答申を尊重しないとが、それと逆の税制改正を行なうのでしたら、私は税制調査会の意義がなくなる。むしろこの税制調査会は、何が政府がいかにも税制を民主主義的にきめているような錯覚を、印象を、国民に与える一つのカムフラージュになってしまい、全く税制の民主的な改正という、そういう手続が形骸化してしまう、形だけで制度を設けて、いかにも民主的なような仮装を装う、こういうようなことになってしまったら、私は重大な問題だと思います。  第二に、民主的税制のうち最も重要なものは、租税負担の公平の原則だと思うのです。ところが今回の改正は、この公平の原則を全く無視しているわけであります。著しく不公平な税制改正を行なっていることであります。詳細、具体的には、委員会等で、いかに負担不公平な税制改正になっているかは、徹底的に私は追及をいたしたいと思います。  第三に、佐藤首相は、せっかく人間尊重という、非常に高度の政治理念に基づく政治を行なわれると公約されましたが、しかし、それが予算に反映しなければ、また税制に反映しなければ、それは口先だけのスローガンであり、これは描ける「もち」にすぎないのであります。ところが、この税制改正は、佐藤首相人間尊重の公約に全く反して、大法人、大資産所得者優遇の、きわめて非人間的な税制改正になっている。この三点から、私は、今回の税制改正は、戦後最悪税制改正であると言わざるを得ないわけです。  こういう観点に立ちまして、との三つの国税改正案につきまして、これから大体八つの点にわたって質問をいたしたいと思います。こまかいことは委員会あるいは分科会等質問いたしますが、重要な法案でございますから、大筋につきましても八つばかり質問しなければならないわけであります。  その第一点は、税制調査会答申をなぜ尊重しなかったか、あるいはまた、尊重しないどころか、逆の税制改正を行なったかということなんです。これは私が言うだけではなくて、これは新聞社説、それからすでに十六日に衆議院大蔵委員会公聴会が開かれておりますが、そして税制調査会委員の、また、そして前に大蔵省主税局長もやられました、もう税制については権威である松隈さんさえ、税制調査会答申を尊重しなかったことは非常に不満である。特に、利子課税あるいは配当課税について、税制調査会はこれを廃止せよという答申なんです。こういう不労所得について、一部の高額所得層優遇を与える、こういう資産課税租税特別措置、これは廃止すべきだという答申なんです。それを尊重しないで存続し、むしろそれを強化してきている。これについて、松隈さんさえ、と言っては失礼でございますが、あの税制権威者松隈秀雄氏も、非常に不満である。また、武蔵大学の佐藤進——新進財政学者、この佐藤進君も、税制調査会が、こんなに答申が無視されたことは、前例がないと言っています。前例がない。毎日新聞の論説を御紹介しますと、これは昨年十二月二十九日であります。こういうふうに批判しております。「まず税制改正について、金持ち優遇策である大蔵原案が何ら修正されることなく政府案になったのは遺憾である。佐藤首相はさる七月四日に、私が政権をとれば、所得税中心に三千億円の減税を行なうと天下に声明したが、それは政府案ではどうなったのか。税制調査会の、初年度八百九十億円、平年度千二十五億円というわずかな所得減税案さえも削って、中堅所得層負担軽減するための税率改正を見送り、逆に、利子配当によって高額の所得を得ている層に有利なように税制を変えた。いまの日本経済には、資本蓄積が大事であるということはよくわかるが、それは一部の高額所得者優遇することによってではなく、全面的に所得税負担軽減することによってこそ可能なのである。こんどの減税案でも、所得税課税最低限は引き上げられるが、それは物価上昇医療費の値上げなどによって食われてしまい、実質的な税負担はあまり軽くならないと思われる。しかも、こんどの税制改正の注目すべき点は、金持ちから多く税金をとって、経済的社会的に有意義なことに予算を支出するという、財政税制の大原則が根本からくつがえされるところにある。このような不十分な所得減税金持ち優遇税制改正は、決して人間尊重政治とはいえない。」、これは痛烈な批判でございます。このように、私が言うだけではなく、毎日新聞社説が、今度の税制改正について、適正な、厳正な批判を行なっておるわけです。そればかりじゃなく、先ほど申しましたように、衆議院大蔵委員会公聴会で、また、十七日の参議院予算委員会で、一橋の教授の木村元一先生、この木村先生税制調査会委員であります。やはり、税制財政権威者であります。この木村元一氏も、この公述におきまして、「今度の税制改正税制調査会答申を尊重してないということは、非常に遺憾である。特に税制の一番大事なことは、公平に欠けることである。それは政策的な減税もありましょう、いろいろ租税の目的はあるけれども、一番基本は、昔からずっと、何といっても、アダム・スミスの租税原則から始まって、負担公平の原則ということが一番重要だ。ところが、ややもすると、最近はこの公平原則を軽く見て、だんだん、資本蓄積が大切であるとか、ほかの政策も、これも、もちろん重要でないとはいえないけれども、軽視することはできないけれども、その上にやはり負担公平の原則を行なわなきゃならぬ」ということをいわれております。これを軽視してはいけないということを、木村元一先生も警告しております。この改正案は、その原則に反しております。また、利子課税あるいは配当課税を減らしても、資本蓄積に十分に役立つとは思えないというのです。そういう政策的な効果が十分に望めないのに、なぜそういう方面に大幅減税をして、しかも、所得税のほうの減税を減らして、税制調査会が八百九十億減税せよというのを、政府案は、大体八百二億しか減税しない。約九十億を利子とか配当所得のほうの減税に向けている。こういうことは、これは税制調査会答申を尊重したものではないということを、木村先生参議院予算委員会公述で指摘しておられます。このように、私が野党であるから、ただこの非難攻撃するだけではないのであります。もうこの大新聞社説でも、公述人も、ほとんど世論の大部分があげて、今度の税制改正は戦後最悪税制改正であるといっている。なぜこんなにごうごうたる世論の非難を無視してまでも、こういうような改悪を、悪い改正を行なったか、まず第一に、この点をお伺いいたしたいわけです。  第二には、政府税制調査会答申を無視されましたが、それでは政府は、今後の日本基本的な税制あり方について、どういう考え方を持っておられるか。その具体的内容については、私は通告してございます。内容は通告してございますので、時間の制約がございますから、一々ここでくどく申しませんが、つまり第一は、租税原則税負担あり方について伺いたい。  それから第二は、税体系、特に直接税と間接税あり方。  第三は、法人税あり方法人税は、税制調査会答申でも、国税地方税を通じまして、日本法人税は、いろいろな特別措置が行なわれていますから、実効税率を見ますと、これは外国より決して重くない。むしろ低いです。大体、昭和三十八年の大蔵省調査では、国税地方税を通じて、法人負担は、大体四六%くらいの負担です。外国ではみな五〇%以上です。西独なんかもっと、五五、六%くらいと思います。日本は四六%、もうすでに非常に日本の大法人優遇されているのです。それをまた今度の税制改正で、三八%から一%下げて三七%にする、これは私は納得できません。税制調査会でも、この点は、日本法人税はこれだけ下げる必要はないのではないか、こういう意見であります。どうして減税しますか。また、今後の法人税あり方について御答弁願いたい。  第四は、租税特別措置、特に利子配当課税あり方です。これについては、先ほど申しましたが、こんな不公平な減税はありません。特に利子につきまして、源泉五%を一〇%に上げましたけれども、非課税限度を、五十万円をなぜ百万円に上げたのですか。大体、非課税貯蓄をしている人は、大蔵省の調べですと、大体一人当たり平均十四、五万円ですよ。だから、現在の五十万の非課税で十分です。なぜ百万円まで上げたのですか。これは問題であります。それから配当課税につきましても、これは前から陳情がございましたが、池田総理の当時、池田さんは税制に十分に通じているから、さすがに池田さんは、配当分離課税はできなかったと思うのです。こんな不公平な税制はございませんよ。一五%分離課税にしてしまう。そうすると、総合課税最高税率七五%払わなくてもいいのです。こんな不合理な税制改正はございません。しかも、それが資本蓄積に十分に役立つかどうかは疑問なんです。実証されておらない。したがって、私は、今後の日本税制あり方として、税制調査会答申では、租税特別措置、特にこの資産課税である利子配当課税は廃止すべきであるという答申であります。したがって、今後政府は廃止をするのか。また、廃止する時期はいつであるか。税制調査会答申を尊重されるならば——もちろんすぐには無理かもしれませんが、ある程度の経過措置を講じて、昭和四十三年なら四十三年ごろまでに廃止する方針であるか、具体的にひとつ御答弁願います。あなたのほうの山中試案では、大体四十三年ぐらいだ。いまの所得税法三十七条がこの利子配当基本法であります。この三十七条、源泉で二〇%課税したあとで総合課税する。昭和四十三年までにそこに戻るかどうか。この点です。  それから、地方税制あり方につきまして、自治大臣に伺いたいのです。前に自治省は、昨年の十月ですね、税制調査会の小委員会に、今後の地方税あり方について、大体地方税収入の五〇%ぐらいは地方の税収で占めるようにと、今後の地方税制あり方について報告をしております。税制調査会も大体それと同じような答申をしております。したがって、今後その点につきましての自治大臣のお考え、しかもこれは単に希望的でなく、今後それがどの程度に具体化されるのが、具体化見通し等につきましても、また政府の努力につきましても質問したいわけです。  次に、四十年度所得税実質減税額物価調整効果。  第四は、所得税減税税制調査会案よりも減らして、利子配当課税税制調査会案よりも軽減した理由。  第五は、財源難であるのに、なぜ利子配当有価証券譲渡所得に対して四十年度千十九億円も減免税をするか。これを廃止して社会保障費に回せないか。  第六は、配偶者控除基礎控除をなぜ同額にしなかったか。これは前に総理大臣が公約したのです。
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 木村君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君(続) はい。第七は、明年度税制改正で以上の欠陥を是正するがどうか。  それから最後に、これは直接三法の改正に関するものでございませんが、これに関連して、政府は、所得税法及び法人税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律を出してきております。この中で、税務官吏権限が強化されるようにならないかどうかというのが第一点と、この改正によって納税手続が複雑煩瑣になるおそれはないかどうか。もしそういうおそれがあった場合、この手続法改正は、それはもう間違いであるので、政府の本旨は、税務官吏権限を強化するのではないのである、手続を繁雑にするのではないのである、そういうことを、ここではっきりと言明していただければ、——もしそういう点があれば、それは今後改正をすることも可能でございます。
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 木村君、簡単に願います。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君(続) そういう点について御質問をいたします。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  13. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 木村さんにお答えいたします。  ただいま税制調査会、あるいは税の公平の原則、さらにまた人間尊重観点から、御批判をいただきましたが、私はただいまの御議論に対しまして、全然反対の感じを受けておるのであります。ただいま税制調査会答申を無視している、これに反しているということですが、今回の改正におきましては、重点的にはこの答申の線に沿っておる、かように私は思っております。ことに、この減税規模等につきましては、答申を上回っておる、むしろかような立場で調査会答申を尊重しておる、そのことを政府は確信しておるのでございます。  また公平の原則、これはお説のとおり、税は公平でなければならない。そういう意味で、特に注意はし、また、これを絶えず守っておると思います。今回の改正におきましても、本来の公平の原則、これはどこまでも守るのですが、いわゆる原則でございます。また、その趣旨に立ちまして、ときに経済情勢に対応した税制もつくらなければならない、こういう点も御了承いただきたいと思います。  また、大法人、大資本に対して、たいへん有利だ、かような御指摘でございますが、私はかようには必ずしも思いません。今回の例をあげられました五十万円の貯蓄を百万円に引き上げた、こういうことを言われますが、これは庶民の貯蓄の層から見ましても、これは適当なことだと思います。ことに、今回の課税の最低限を引き上げた、これなぞは、庶民大衆にもちろん大きなプラスである、有利である、かように私は思いますので、ただいまの御批判を実はあまり賛成しない。  しかし、たいへん御熱心に御説明なさいますし、その説には私も耳をかすべきものがあるように思います。ことに、税のあり方として、所得税——まあ直接税と間接税、これは一体どうするのかというような御議論であった。あるいは法人税あり方等につきましては、これはお説はしごくもっともだと思います。今回の減税におきましても、所得税中心に私どもが減税をしたということ、これは木村さんもお認めになるだろう。全体の七五%は所得税減税である。この点を私は指摘して、御趣旨のように向かっているということを申し上げたいと思います。  最後に、今後の法律、この税の減税は、私ども政府基本的な態度でございますから、あらゆる機会に国民負担軽減するように努力してまいるつもりでおります。ただいまの制度そのものが、いわゆる租税特別措置なるものは、いわゆる特別措置である。そういう観点に立ちまして、今日この時限立法をしておるような次第でございますので、こういうような特殊事情も勘案して、御了承いただきたいと思います。また、あらゆる機会に減税の努力を続けるということを申し上げます。また、今回の改正におきましても、御心配になるような権限強化、これなぞは絶対にいたさない。むしろ、法律平明化、同時に税務官吏がサービス官庁であり、これは相談の場所である、こういうように私はいたしたい、かように考えますので、これらの点も御了承いただきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣田中角榮登壇拍手
  14. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) まず第一は、税制調査会答申を尊重しているかということでございますが、政府はかねてから、税制調査会答申は十分尊重をいたす姿勢をとっておるわけでございます。四十年度税制改正にあたりましても、税制調査会答申に対して十分な検討を加え、おおむね尊重をいたしておるわけであります。  第二の問題は、租税公平の原則についてでございますが、この問題に対しましては、総理大臣からお答えをいたしたとおりでございます。公平の原則を貫くべきであるという基本的な理念はそのとおりでございますし、政府もそのように考えております。しかし、ある時期においては、租税特別措置法のようなことをやらなければならないということもあるのであります。御承知のとおり、敗戦後の日本の姿を見るときに、無資本の状態から立ち上がって、今日までをようやく築いたのでございますから、国際的な競争場裏に立った日本の産業状態を考えるときに、どうすれば一体、国際的な競争力が培養せらるるのか、また、培養せらるることによってのみ日本人の生活そのものが向上するのでありますから、ある時期において産業政策をとったり、また貯蓄政策をとったり、いろいろな特別措置をしようとするということも、御承知いただけると思います。例を申すまでもありませんが、石炭企業を立ち上がらせるためには、どうしても財政負担を増したり、金融政策だけではなく、あわせて税制によっても措置をする、そして、そうすることによって企業を立て直すということも、御承知のとおりでありまして、日本の将来の国際競争力を培養していくためには、税制上の特別な措置を必要とするということは、御理解いただけると思います。そういうことをある時期行なうということが、租税公平の原則を害するものだ、こういう考えは当たらないことだと思います。  第二は、法人税あり方でありますが、法人税税率そのものから見ますと、あなたが御指摘になったとおり、外国法人と比べてそう高いところではないということでございますが、法人税あり方の根本的な問題に対しては、税制調査会もまだ結論を出しておらないわけであります。法人税あり方についても、十分に調査会の御意見を伺うことはもちろんでありますが、法人というものが、われわれ国民個人と全く別なものではないわけであります。法人自身がコストを下げながら国際競争力をつけ、輸出を伸ばしていくということも、それ自体がわれわれ国民の生活向上に資するわけでありますし、また、法人そのものがコストダウンをはかって、合理化をはかっていくことによって、われわれ国民自身が、その結果、利益を受けるのでありますから、法人税の問題につきましても、もう減税をする必要はないという時代ではないと考えております。  租税特別措置の中で、利子配当課税、これを非常に手きびしく御批判になっております。私も、率直に申し上げて、時間があれば、もっと詳しくも申し上げたいと思いますが、もう予算委員会でも、大蔵委員会でも、木村さんの御意見を十分拝聴いたしておりますし、私の考え方政府考え方もまた述べておりますので、簡単に申し上げます。とのような利子配当に対して措置をとらないで済むならば、私は無理をしてこのような措置をとりたくはありません。私自身、木村さんと同じように、公選でもって出てきている代議士でございますから、国民に憎まれるようなことはなるべくやりたくないと、こういう考えでございますが、しかし、責任の地位に立って静かに思うときに、どうしても、日本の将来を築くために、ある時期において貯蓄の増強が必要である、また資本蓄積が必要であるということが事実であるとすれば、あえてかかる措置をとって、御批判を受けながらも、とるべき措置はとらなければならぬ、こういう立場でございます。あえて批判のあることを承知をしながらイバラの道を選んだ、こういうことに対しては、ひとつ十分な評価を願いたいと思います。  いま、五十万円の貯蓄に対する非課税限度を百万円になぜ上げたかということでありますが、五十万円の非課税限度をつくったことによって、日本貯蓄が非常に行なわれ、それを資本として今日の産業復興があったということは、いなむことのできない事実であります。同時に、いまの社会常識から考えて、一般国民が五十万円を対象にして貯蓄をするということではなく、やはり百万円、百五十万円という限度というものは、一般国民的な要請の数字がこのような限度を必要としておると、こういう認識でございます。特にここで申し上げたいのは、金融の正常化を行なえとか、それから物価対策をやらなければならないと言いますけれども、これらの問題を具体的に解決をするためにはどうするかという問題に対しては、明らかにされておりません。物価問題に対処をしたり、日本の産業がほんとうに国際競争に耐えながら、われわれの時代及びわれわれの子孫の時代に、よりよい状態を築くためには、何が一体必要かといえば、今日、産業資金はいわゆる貯蓄資本蓄積によってまかなわれなければならないわけであります。外資を入れる借金政策はやめなさい、こういうことは言いますが、外資を入れないで借金政策をやめるには、西ドイツが戦後行なったように、みずからの力を、すなわち国民貯蓄にたよる以外にないのであります。また、金融の正常化を行なおうとしても、産業の成長をとめない以上、自己資本比率を上げて、金融による資本と自己資本比率のバランスをとる以外にその道はないわけであります。でありますから、利子配当所得の面からの特例だけで批判をせられないで、そうすることによって、われわれの生活がより向上する唯一の道なんだ、こういう事実をひとつ十分考えていただければ、あえて五十万円の限度額を百万円に引き上げたゆえんも、また、批判があるにもかかわらず、配当課税に対しての特例を開いたということに対しても、評価していただけると思います。  利子配当特例をいつ一体廃止するのかということでありますが、いま御審議をいただくベき法律で二年間ということになっております。二年たったらやめるのか——やめられるような状態がくることこそ望ましい、こういう考えでございます。  四十年度所得税減税の中で、物価調整か要する金額はどうか、こういう御質問でございますが、物価調整というのは、今日の、昭和三十八年に税制調査会で試算をした方式があるわけでございます。この方式で計算をしますと、約六百倍ということになります。しかし、この六百億というものが所得税減税の総額から差し引かれて、この差額だけが実質的な減税だ、こういう計算々することは、実際問題としては事実と違うと思います。  財源難であるのに、なぜ利子配当所得に対して特例を設けたかということは、先ほど申し上げました。  配偶者控除基礎控除の問題でございますが、この問題は、私が四十年度税制改正案をつくりますときに、最後まで検討した問題でございますが、税制調査会答申もございまして、本年度は実現を見ることができなかったわけでございます。この減税額は、おおむね総額において二百億と見積られるわけでありますが、四十一年度税制改正に実現をするのかしないのかという御質問でございます。四十一年度減税も、財源不足のおりからでありますが、やらなければならないと思いますので、その時点において最優先的な事項として取り扱うべきだと考えております。  それから、昭和四十一年度税制改正で欠陥を是正するかということでございますが、いまの税制に対して、木村さんは欠陥が大いにあると考えておられますし、私のほうでは、乏しい財源の中で可能な限り最大の努力をした税制だと、こう考えておりますので、このことはひとつ御理解をいただきたいと思います。しかし、非常にテンポの早い状態に対処しながら、より合理的、より理想的な税制を考えていくべきであるという考えには、政府もそのとおり考えております。  最後に、今回の税法改正は、総理が申されたとおり、見やすく、わかりやすく、系統的に字句の整理をするという、画期的な税法改正案をお願いしておるわけでありますが、これによって、徴税が強化をされ、税務署の権限等が強くならないかということでございますが、こういうことは絶対にあってはなりません。いまの法律が、税を徴税する政府側で見ればよくわかる税法でございますが、納める側ではなかなかわかりにくい税法であることは、御承知のとおりでございます。これを、納める国民側の立場で、より平明に、わかりやすく、合理的にという立場から、抜本的な改正、条文整理を行なったのでありまして、これが結果として徴税機構の強化になったり、徴税官に権限を与えるものであっては、重大なことでございますので、かかることは一度もいたしておりませんし、もちろん、そのようなことは生じないように、自信を持って対処をいたすつもりでございます。  最後に、まとめて申し上げたいと思いますが、今度の税制改正は戦後最悪のものである、こういうことでございますが、まあ野党のお立場で極論をされると思いますが、木村さん、腹の中では必ずしもそうお考えになっておらぬと思います。今年は、税制調査会の方々も、初めは、まあ財源がないので非常に減税はむずかしい、ですから相当荒っぽいことを考えておったわけであります。今度、初年度所得税に対して八百二億の減税をやりまして、それから平年度九百二十二億ということでありますが、税制調査会では初年度八百九十億、政府がやりました八百二億との間に、八十八億しか違っておりません。しかし、この八百九十億の減税をやるためには、先ごろ御指摘がございました特別措置等をやめたりして、差し引きいたしますと、初年度は三百九十五億しか減税はできないだろう。初年度では五百九十九億の減税、こういうことが言われておったわけでございますが、しかし、まあいろいろな努力をいたした結果、いま御審議をいただいておるような改正案ができたわけであります。あなたも御指摘のとおり、財源が非常にむずかしいという事態において、これだけの税制改正をやろうとした熱意は、これはひとつ評価をしていただきたいと思います。よくわかるけれども、その中に利子配当があるから憎たらしい、こういうお気持ちのようでございますが、これも一部の国民を利するものではなく、そうすることによって、九千七百万の将来というものが確保されるのだ、こういうことで十分ひとつ評価をいただきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣吉武恵市君登壇拍手
  15. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) お答えをいたします。  私に対する質問は、地方税制についてどういうふうに考えるか、特に税制調査会の小委員会等において、地方税源として五〇%程度を確保すべきじゃないかという意見も出ていたがどうか、こういうお尋ねでございます。実は私どもも、何とか地方財源を確保したいということで検討を進めておりますが、いまのところ、まだ結論に達しておりません。税制調査会委員会におきましても、長期的な見解としては、五〇%程度に引き上げるようということでございまするけれども、これをやりまするためには、国と地方との事務の再配分というものをやりまして、その上で、国庫の補助というものを整理するということを、あわせやらざるを得ないのでございます。この点につきましては、税制調査会におきましても、今後検討をされるでございましょうし、私どもも、その線を尊重していきたいと考えておる次第でございます。(拍手)     —————————————
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 中尾辰義君。    〔中尾辰義君登壇拍手
  17. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法法人税法並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案に対して、総理並びに大蔵大臣に、若干の質問をいたすものであります。  政府の高度成長経済により、わが国の財政は、三十五年以降、急激に膨張路線をたどり、年々増大をしております。しかも、その財政規模は、毎年、経済の成長率を上回っておるのでありまするが、本年度においても、一般会計は三兆六千五百八十億円、財政投融資が一兆六千二百六億円、合計五兆二千七百八十六億円となっております。三十九年度に比べまして一四・八%の増でありますが、四十年度の経済成長率名目一一%を大きく上回っておるのであります。このように、経済成長率以上の速度で財政の膨張をいたしておりますることは、国民所得に対する予算額の割合が増加をしつつあることを示すものであり、このことは、とりもなおさず、国民所得に対する租税の割合が増加したことであり、換言するならば、膨張予算は、国民税負担を重くすることにほかならないのであります。しかも、毎年の膨張予算は、景気の上昇を刺激する、その反面におきましては、物価騰貴を促進し、賃金の上昇と物価の値上がりの悪循環を繰り返し、国民生活を圧迫いたしておるのであります。今日、佐藤内閣は、倍増計画を社会開発の看板に塗りかえ、その政策を推進しようとしておりまするが、年頭より、水道代、バス代、医療費、授業料等のメジロ押しの値上げムードを起こしておるのは、明らかに、膨張予算の刺激によるものと思われるのであります。したがって、一一%の経済成長による四十年度の税金の自然増四千六百四十七億円は、実質的な所得の向上から生じた増収ではなく、財政の拡大化と消費者物価の連騰による名目的な所得増加もあり、税金の取り過ぎではないかと言わざるを得ないのであります。しかも、税収の伸びの弾性値は、過去十年間を平均しまして、経済成長率一に対して一・五を示しておりますが、中でも、所得税の弾性値は二・五を示しておるのであります。したがって、税金の中におきましても、所得税が最も重税であることが、これによって示されておると思うのであります。物価値上がりの今日、その影響を最も大きく受けている中以下の生活水準にある勤労者の所得税中心にして、自然増の三分の一程度は、減税を断行すべきであると思うのでありますが、どのようなお考えであるか、佐藤総理並びに大蔵大臣にお伺いをいたします。  第二に、所得税課税最低限についてでありますが、税制調査会答申によりますると、平均自民所得に対する課税最低限の割合は、下降の一途をたどっており、三十九年度の割合は、所得税負担の高かった昭和二十五年よりも下回っております。このことは、課税最低限を引き上げなければならない状況に置かれておることを示しておると思うのであります。  さて、改正案によりますと、夫婦と子供三人の標準世帯では、初年度は五十四万四千二百五十九円、つまり、賞与を含んで月給三万五千二百六十五円以上は課税されることになるのでありまして、これでは、住居費、光熱費等もカバーできない過酷な重税なのであります。政府としては、親子五人の課税最低限は、基準生計費約五十四万三千円を上回っていると言いたいところでありましょうが、その額はわずか千円であります。このマーケット・バスケット方式による基準生計費の算定自体にも、大きな問題があるのであります。たとえば、いわゆる「大蔵省メニュー」によって公表された成人一人当たり一日百六十七円四十八銭の基準食料費は、食生活の実態を無視した非人間的なものなのであります。しかも、この算定には、四十年度物価上昇を考慮に入れていない関係上、年初からの値上げ攻勢によって、すでに実態にそぐわないものになっているのでありまして、課税最低限が生計費に食い込むことは、実生活の上から見て明らかであります。このような不合理な数字の上に立てられた改正案に対して、国民は激しい憤りを感じておるのであります。総理が真に人間尊重政治を行なおうとするならば、国民の側に立ってものを考え、この不合理な算定基礎を改定し、課税最低限を大幅に引き上げるべきであると思うのでありますが、総理の所信をお伺いをいたしたいと思います。  第三に、配偶者控除扶養控除についてお伺いをいたします。四十年度から、これらの控除額は一万円ずつ引き上げられておりますが、配偶者控除を見てみますると、妻は夫より一万円低い控除額になっております。これは税制上、妻の座は、戦前同様の家事労働に従事するものとして、一段低く見た考えに立ったものであります。ところが、欧米におきましては、妻の役割りを価値評価して、所得は夫婦同じかせぎをしたものとみなして二分二乗方式が認められております。わが国も先進国の一員であるならば、進んで二分二乗方式に切りかえるのが妥当であると思うのでありますが、大蔵大臣の見解はいかがでありましょうか。さらに、扶養控除についてでありますが、十三歳以上は一律六万円ということになっております。一日当たり二百円にも満たない金額であります。ところが物価のほうは、米価をはじめ、水道代、バス代、医療費等、軒並みの値上げが行なわれまして、都会に子弟を入学させた場合などの経費は、扶養者にとっては相当の負担となるのであり、六万円の扶養控除は、何ら現実的な価値を有していないのであります。そこで、政府に、最近の高校、大学への進学希望者の増加をも考慮して、教育控除の新設を提言したいのでありまするが、総理、大蔵大臣のお考えはいかがでありましょうか。  第四に、法人税についてお伺いをいたします。御承知のように、日本経済は、過去三年間の異常な高度成長によりまして、どうしようもない状態に置かれております。しかも、それに加えて、開放経済という国際経済のきびしい環境下に置かれているため、その不況は一そう深刻になってきております。この中にあって、一番被害をこうむっているのが中小企業であります。そのためには、金融面での措置は当然でありますが、税制面におきましても、当然、中小企業を保護育成していかなければなりません。改正案によりますると、法人税率は、確かに三八%が三七%に、また年所得三百万円以下は、三三%が三一%に引き下げられてはおりまするが、実質減税額は、初年度百六十億円にすぎないのでありまして、中小企業に対する税制上の措置は微々たるものと言わなければなりません。しかも、年所得三百万円以上の法人を一律三七%にすることは、大企業と中小企業を同等に扱うことになり、不合理のそしりを免れないものと思うのであります。むしろ税率を、現行の二段階から四段階に細分すべきが当然と思うのでありますが、総理並びに大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。  第五に、利子分離課税であります。ただいまも大蔵大臣の答弁がございましたが、この制度を採用したからといって、貯蓄増強効果は実証しがたいというのが通説になっているのであります。さらに、改正案では、配当所得に対しましても、事実上の分離課税措置がとられており、これによって、実に、平年度約百五十六億円が減収になるのであります。これは明らかに資産者優遇措置であり、現行の総合累進所得税制は、もっぱら給与所得や事業所得に対するものとなって、事実上、崩壊したと言っても過言でないのであります。われわれといたしましては、このような税負担公平の原則を逸脱した、国民不在の税制は、撤回すべきだと考えているのでありますが、大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。  最後に、総理の決意を聞きたいのでありますが、先般の会計検査院の報告によりますというと、税金のむだづかいが二十三億円の不正不当事項として発表になりました。この中で特に多いのは、建設省、農林省等でありまするが、いずれにいたしましても、これらの金額は氷山の一角でありまして、全事項を立ち入り検査をしたならば、おそらく三百億円以上にもなるのではないか、かように予想されるのであります。国民といたしましては、これは、がまんのならないところでありまして、今後どのように綱紀を粛正し、監督をしていくのか、お伺いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国民負担軽減する意味において、自然増収、その三分の一を減税したらどうか、こういう御提案でございます。御承知のように、税制調査会も自然増収の二〇%を減税することが適当であろう、かような注意をいたしております。この二〇%というのは、単年度において必ずしも二〇%と、こういうわけではございません。ただいまの中尾さんの御提案も、おそらく単年度においてという意味ではないだろうと思います。とにかく、ただいま財政の事情が許せば、私どももさらに減税をしたい、かような考え方を持っておりますが、いかにもただいまの御提案は、最近の経済情勢等から見ますると、まことに困難な御提案ではないかと思います。  その次に、教育費の負担が非常に多いから、教育費についての特別控除の方法は考えられないか。これも、まことにごもっともにも考えられるのでございますが、御承知のように、義務教育だけを終えた人が就職した場合——こういうものとの公平のたてまえからも、問題は一つあるわけでございます。したがいまして、ただいまのような新しい制度は考えないで、これは扶養控除の方法で処理していく、これは先ほど来、御議論のありましたように、扶養控除がいかにも少ない、かような御指摘でございますが、そういう点もそれぞれ段階を追いながら整備していくべきではないかと思います。  法人税のたてまえを二段階を四段階にしろ、こういう御提案でございますが、これまた、法人税の性格の問題をどのように考えるかというような基本的な問題もございます。簡単に、ただいまの制度、段階がよろしい、かように申すわけではございませんが、ただいまの状態では、いまの二段階を維持していくのが適当ではないか、かように思います。  また、もう一つは、課税最低限度を大幅にひとつ引き上げたらどうかとのお話ですが、これまた、私もさようにしたいものだ、かように考えますが、財政事情もございますので、そう簡単に御希望どおり実現しないのであります。  最後に、会計検査院の不正不当等の指摘事項につきまして御注意がございました。全く綱紀粛正——かように申しまして、税が適正に使われるということ、これにつきまして、政府が一そう注意を払わなければならないことは申すまでもないことであります。政府におきましては、人事管理、業務管理等に、さらに注意をいたしまして、万全を期していきたい、国民の負託にこたえたい、かように考えます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮登壇拍手
  19. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 第一問は、自然増収の三分の一程度は減税すべきであるということでございます。減税はできるだけ多くしたいということは、過去十年間の実績でも御承知いただけると思いますが、しかし御承知のとおり、減税することも国民のためでございますが、歳出によっていろいろ環境整備を行なったりすることも、また国民のためでございます。でありますから、減税によってやることと、財政によって行なうことのバランス、その効果ということを十分考えなければならぬことは、御承知のとおりでございます。税制調査会も二〇%程度、ことしの政府案は一九%と、こういうことでございますから、ひとつその間の事情は御了解賜わりたいと思います。  それから、税収の大半は所得税でありますから、弾性値の状態から見ても、企業減税よりも所得税中心にすべきである、これはそのとおりでございます。ことしも、その意味で、七五%は所得税減税であるということであります。  それから、四十年度課税最低限の問題についての御質問でございますが、平年度九百二十億の減税でございまして、四十年度初年度は、八百二億というものの中で、先ほど申し上げましたように、所得税中心課税最低限の引き上げ中心ということで減税が行なわれておるわけでございます。夫婦子三人の標準世帯では、四十八万円の課税最低限が、四十年度においては五十四万円、平年度においては約五十六万円と、八万円も引き上げられるわけでございます。  また、献立の問題もございますが、あの献立は、成年男子が一日働くために必要なカロリー、二五〇〇カロリーに合う献立は一体どういうものだろうということで、国立栄養研究所につくってもらったところの献立でございます。標準献立の一つ、こういうことでございまして、所得税課税最低限の引き上げということについては、お説のとおり、これからも十分主点に置いてまいりたいという考えでございます。基準生計費につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。  それから二分二乗方式についてでございますが、本件は、昭和三十五年当時、税制調査会において十分検討されたわけでございます。その答申にもありますとおり、手続が複雑であるのと、これによって大きな利益を受けるのは、累進税率の適用が大幅に緩和される高額所得者であること、夫婦と独身者との間に不均衡を生ずること等の理由で、これを採用することは適当でないという結論を出しておるわけであります。現在の状態におきましても、二分二乗課税方式をとるということは、非常にむずかしいという考え方に立っております。  それから、中小企業の保護育成のために、現行の二段階制の税率を、もっと変えてはどうかということでございますが、これは、法人税所得税の前取りと考えられておりますので、法人税率は一本であることが望ましいという原則でございます。しかし、中小企業等の問題もありますので、二段階制度がとられておるわけでございまして、これをもっと多分化するということは、むずかしいと考えております。  最後に、利子及び配当所得に対する問題は租税負担の公平の原則に反する一これは、先ほど木村さんの質問にお答えしたとおりであります。利子配当に対する特例をやめられるような状態になることこそ望ましいという考え方は、皆さんと同じ考えでありますが、配当を受けておる人は国民のごく一部であるという考え方は多少古いのでありまして、現状から考えますと、東京証券取引所に上場されておる会社の株主というのは一体幾らぐらいおるか、千六百万人ぐらいおる、こう言われておるのであります。これはダブっておるものもあるとしても、五百万ないし八百万、こういうことであります。現状においても、資本参加をし、証券投資をしておる者は、国民の中でごく高額所得者であるという考え方は、当たらないことでございます。現在でも、もうすでに奥さん方が、みな、へそくりで投資をしておる、こういうことを考えると、これはやはり大衆減税である。もう一つは、利子配当というものの面から考えないで、国民貯蓄したものが、われわれの環境整備に使われるのだ、また、資本参加をすることによって、国際競争力がつちかわれ、国際収支が長期拡大、安定されるとともに、物価の抑制にもなるわけであります。でありますから、利子配当を受ける者が国民の一部である現状に満足すべきではありません。国民全体が資本家になり、資本参加をする、貯蓄をする、そういう考え方税制も行なっておるわけでありますから、これらの措置租税公平の原則を害するものだというふうには考えておらないわけでございます。(拍手
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案趣旨説明)、  両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。吉武自治大臣。    〔国務大臣吉武恵市君登壇拍手
  22. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) 地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  地方税につきましては、最近の数次にわたる改正により、住民負担軽減合理化をはかってまいったのでありますが、ことに本年度におきましては、市町村民税、電気ガス税等について大幅な税制改正を行なったのでありまして、このうち、市町村民税所得割りの負担の不均衡是正につきましては、明年度においても本年度に引き続き実施されることになっているのであります。他方、明年度地方財政の状況を見ますと、国庫予算の増加に伴う公共施設の充実、社会保障の拡充等のための負担の増加、地方公務員の給与改定に伴う給与費の増加等によりまして、予期される地方税及び地方交付税の自然増収をもってしても、これをまかなうのに十分でない現況にありまして、別途、地方交付税率の引き上げを提案いたしているような次第であります。したがいまして、明年度地方税制改正にあたりましては、ただいま申し述べましたような実情を考慮いたしまして、個人事業税の事業主控除額の引き上げ、電気ガス税の免税点の引き上げ等、主として中小所得者負担軽減をはかり、あわせて自動車税及び軽自動車税の負担合理化をはかることを中心として、所要の改正を行なうこととしたのであります。  以下順を追って、地方税制改正の概要について御説明申し上げます。  第一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。道府県民税及び市町村民税におきましては、明年度に行なわれる法人税税率引き下げに伴う法人税割りの減収を回避するため、道府県民税法人税割りの標準税率を百分の五・五に、市町村民税法人税割りの標準税率を百分の八・四に、それぞれ改定いたすことといたしました。  第二は、事業税についてであります。事業税におきましては、個人事業者の負担軽減をはかるため、個人事業税の事業主控除額を二十四万円に引き上げました。  第三は、自動車税についてであります。近年自動車台数の増加は著しく、これに伴って、道路の新設改良等直接道路に関する経費のほか、交通取り締まり等、自動車の増加に原因する行政経費が著しく増加していることなど、現行の自動車税率が定められた後における諸事情を勘案し、また、その反面、国民の生計費等に与える影響をも考慮し、営業用小型自動車、観光貸し切り用バス以外のバス及びトラックを除きまして、その他の自動車につき、今般、自動車税の税率を五〇%引き上げることにいたしました。なお、これと同じ趣旨により、四輪以上の乗用軽自動車につきまして、軽自動車税の税率を同じ割合で引き上げることといたしております。  第四は、電気ガス税についてであります。電気ガス税につきましては、零細負担軽減合理化をはかるため、免税点を、電気については月額四百円、ガスについては月額五百円に引き上げることといたしました。  以上のほか、所得税法及び法人税法の全文改正に伴う関係規定整備その他税制合理化のための規定整備を行なっております。  以上、地方税制改正につきまして概要を御説明申し上げましたが、これに伴う明年度地方税の増減収額は、国税改正による影響分を含めまして、総額では、初年度八十億円の増、平年度五十億円の増となるのであります。なお、別途本年度改正により明年度に実質減税となるものとして、初年度二百六十億円の減、平年度二百八十億円の減がありますので、これを通算いたしますと、明年度における実質的な住民負担としましては、初年度百八十億円、平年度二百三十億円の減税が行なわれることとなるのであります。  以上が、地方税法の一部を改正する法律案趣旨でございます。     —————————————  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  地方交付税の算定につきましては、逐年その合理化をはかってまいったのでありますが、明年度におきましては、道路整備事業をはじめとする公共事業費の増大、生活保護その他の社会保障制度の拡充、給与改定の平年度化その他、制度改正等により地方団体の財政需要が増加いたしますので、地方財政の現況にかんがみ、国税三税に対する地方交付税の率を〇・六%引き上げて二九・五%に改め、地方交付税の総額の増加をはかるとともに、これら増加経費に対応する財源を関係地方団体に付与するため、単位費用の改定等、普通交付税の配分の合理化をはかるための所要の改正を行なおうとするものであります。  以上が地方交付税法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。松本賢一君。    〔松本賢一君登壇拍手
  24. 松本賢一

    ○松本賢一君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま御説明のありました地方交付税法及び地方税法改正案につきまして、佐藤首相ほか関係閣僚に対し御質問申し上げたいと存じますが、同じ答弁を何度もお伺いしても意味がありませんので、この法案に関連して、いままでに衆参両院において行なわれました質疑応答などを参照しながら、重点的にお伺いいたしたいと存じます。  実は、私、昨年もこの席におきまして、同じく地方税の問題について質問したのでしたが、当時の首相池田さんは、実は私の郷土の先輩であり、古くからおつき合いをしておりました関係上、質問申し上げるにも少々ぐあいの悪い面もございましたが、幸い佐藤首相は、お顔はよく存じあげておりますが、まだ一度もことばをかわしたことのない間柄でございますので、その点、はなはだ好都合に存ずる次第であります。  まず、地方交付税からお伺いしたいのですが、およそ法律を実施するには、常に、その法律の目的、精神を忘れてはならないことは申すまでもありません。ところで、この交付税法の目的は、第一には、地方財源の均衡化をはかることと、第二には、地方行政の計画的な運営を保障すること、そうして、それによって地方自治体の独立性を強化することにあることは、この法律の第一条に明記されておるとおりであります。この目的、精神を頭に置いて、いまこの改正案なるものを見てみますと、一口に申し上げて、これは地方自治体に対して顔向けのできるしろものではないと言わざるを得ないのであります。  この改正案のでき上がったいきさつを伺ったところでは、最初、自治省は交付税率の一・五%引き上げを要求されたそうであります。この一・五%という数字は、国税減税による交付税の減収約三百五十億円を補てんするだけの、まことに遠慮深い要求で、自治体の独立性を強化するというなどの目的からはほど遠い、いわば屋根の雨漏りを防ぐだけのものであります。しかるに大蔵省は、この自治省の要求に対し、ゼロ回答を与えられたんです。雨漏りなんぞ防ぐ必要はない、ぬれて寝なさいというわけなんであります。実は、昨年も、住民税の改正によって市町村に三百億円の減収が見込まれたとき、自治省の要求に対し、大蔵省は最初ゼロ回答を与えたのであります。私は、昨年この席から、田中さんのような苦労人の人情大臣が、なぜそのような冷たい仕打ちをなさるのかと申し上げたのでございましたが、そのとき田中さんから、「初めは筋論からゼロ回答をしたのだけれども、私は新潟県、早川自治大臣は和歌山県、お互いに貧乏な、いなかを抱えているので、二人で話し合っているうちに、筋は筋だが、やっぱり何とかしようやということで、三分の二出すことにした」と、こういう舞台裏の人情話を聞かせていただきたいものでしたが、今年も最後に、新潟県の田中さんと山口県の吉武さんと舞台裏の一幕があったわけでございますが、一体いかなる筋論から最初ゼロ回答が出され、また、どのような人情話から〇・六%の復活がなされたのか、お聞かせ願いたいと思います。と同時に、たった〇・六%の増率で、この法律の第一条の目的に沿っていけるとお考えになっているのがどうか、あわせてお聞かせ願いたいと存じます。  あなたは先日、同僚加瀬議員の質問に対して、今年の国の予算地方予算と比べると、実質的には地方のほうが約倍になっている、だから交付税の引き上げ〇・六%というのは相当思い切った処置だと、こう言っておられますが、そんなおかしな弁明は通用しないと思うのです。日本人はみんな、どこかの地方に住んでいる。だから日本予算日本人の住んでいる地方のために使われるのは、あたりまえのことであります。しかも、地方予算内容たるや、大きなひもつき財源に首かせをはめられた予算なんです。そのあわれな予算を、単に、ずうたいが大きいだけを取り上げて、何がたいへんに地方自治体が潤おっているかのようにおっしゃって、わずか〇・六%のスズメの涙ほどの交付税を、思い切った処置だなどとは、私には納得がまいりません。妙な筋論は即刻改められて、この法律第一条の精神に立ち返り、スズメの涙でない、人情大臣らしい大粒の涙をそそがれるのが、政治というものであろうと思うのですが、いかがでございましょう。また、自治大臣は、この法律第一条の目的、精神をバックボーンとして、もっと積極的に地方交付税の拡充に努力するとともに、一方では、大衆課税やひもつき財源を整理することによって、地方自治の確立をはかることに強い政治力を発揮すべきだと私は考えますが、自治大臣の決意のほどをお聞かせ願いたいと存じます。  次に、地方税法についてお伺いいたします。  まず、農地に対する固定資産税についてであります。去る二月二十六日の衆議院において、わが党の華山議員の質問に対する自治、農林両大臣の御答弁が、どうも私にはよくわかりません。華山さんは、農業の特殊性から、欧米諸国がやっているような農地に対する課税特別措置を講ずるよう、農林大臣は閣内で努力するかどうかと、こう質問されたんです。特別措置というのは、他の土地よりも農地の税金は特別安くすると、こういう意味であることは、わかり切っているはずであります。ですから、特別に安くするような努力をするとかしないとか、あるいは研究するとかお答えになればいいと思うのですが、お二方の御答弁は、特別措置ということには全然お触れにならないで、ただ、急激な変化がないようにとか、重くならぬようにとか、どちらもピントがはずれてしまっていると思います。いま私からあらためて同じことをお伺い申し上げますから、きょうはピンぼけでない御答弁を簡単明瞭にお願いしたいと思います。  次に、料理飲食税についてお尋ねいたしますが、これは昨年私が質問をいたしました際に、当時の池田首相は「料飲税というものは戦争中につくった世界に類のないもので、そういうものは、やめたほうがいい。だんだんこれを軽くしていくことがほんとうだと思います。」と、はっきり否定的な立場を表明されたのであります。しかるに、ことしの改正案では、料飲税は何の軽減もなされていない。これは一体どうしたことなんですか。国会における大臣の答弁、ことに総理の答弁に対しては、国民は大きな期待を寄せているのですから、政府はもっと責任を持って、期待はずれにならぬよう実現に移すべきではないかと思うのです。たとえ大臣が交代しても、その責任は存続すべきものと思いますが、佐藤首相の御所見をお伺い申し上げるとともに、佐藤さんも池田さん同様、料飲税はやめたほうがいいという見地に立って、直ちに軽減措置をとられるかどうか。もしそれができないとすれば、いかなる理由によってできないのか、国民が納得のいく明確な御答弁をいただきたいと思います。  次に、電気ガス税でありますが、改正案によれば、これは料飲税とは違って免税点の引き上げが多少行なわれております。われわれはもっと大幅に引き上げるべきだと年来主張しておりますが、ともかくこの方向に一歩踏み出されたことは、大衆のために喜ばしいことであります。しかし税率については、昨年私の質問に対し、大蔵大臣は「年々一%ずつは減税するという与党の党議もきまっておりますので、政府もその方向で減税する」という答弁をなさったにもかかわらず、本案にはそれがゼロ%となっております。どうもあなたはゼロがお好きのようです。「そのかわりに免税点を引き上げたからいいではないか」とおっしゃるかもしれませんが、それとこれとは話が違います。免税点の引き上げで、課税されない人の数は多少ふえるでしょう。しかし納める人にとっては少しも減税にならない。すなわちゼロであります。これでは昨年のあなたの答弁は、うそになってしまいます。一体なぜゼロになったのか。大蔵大臣並びに自治大臣の責任ある御説明を承りたいと存じます。「税制調査会答申どおりにやったのだ」とおっしゃるかもしれませんが、先ほど木村さんのお話にも出ましたように、政府のおやりになることは、都合のいいときには調査会や審議会を尊重し、都合の悪いときには無視されるのですから、それはこの際の弁明にはならないことを申し上げておきます。私がこのようなことをやかましく言うのは、決して閣僚の皆さん方を責めるためではありません。もしあなた方が前向きにものを決してくださるなら、少々食言をなさろうと放言をなさろうと、私は何にも申しません。おっしゃることがすぐあとずさりをして国民の期待にこたえてくださらないから、やかましく言いたくなるのであります。  水道事業に対する電気ガス税をやめたらどうかとの、これも先ほど申し上げました華山さんの質問に対する自治大臣の答弁が、またどうかと思うのです。「水道事業は市町村が経営しておるから、免税しても、しなくても同じことになるから、免税の必要がない」と、こういう御答弁なんです。吉武さん、あなたは一体、公営企業というものがおわかりなんですかと、開き直りたくなるような答弁ですが、しかし、もしこれが「免税しても、しなくても同じだから、免税しましょう」と、こういう前向きの御答弁だったとしたら、公営企業に対する認識不足など問題ではなくなると思うのです。先ほどの農地の税金の問題と同様に、いま私が、あらためて華山さんと同じことをもう一ペんお伺いいたしますから、自治大臣の前向きの御答弁を期待いたします。幸い昨日、衆議院委員会におきまして、自民党の皆さんも共同でこれを検討し、善処せよという意味の附帯決議がつけられたそうですから、安んじて御答弁がおできになるものと思います。  次に、今回の自動車税の大幅引き上げは、まさに超党派的な驚きであります。物価高を何とかせねばと、万事抑制ムードの中にあって、かくも思い切った増税を白昼堂々と行ない得る日本政府は幸いなるかなであります。私は、本日この大増税案を爼上に取り上げて、大いに批判するつもりでおりましたところ、はたせるかな、これも昨日衆議院委員会におきまして、「慎重を期せよ」との超党派の附帯決議があったそうでございますので、多くを論じないことといたしまして、簡単に自治大臣にお尋ねいたします。あなたは、この法案参議院においてどうしても原案どおり可決させたい御意向であるのか、そうして参議院を通ったらこの増税の実施を強行せられる御所存であるのか、御答弁を願いたいと思います。また総理大臣は、その実施を、やむを得ないとお考えになるか、それとも附帯決議の趣旨に沿って、政府修正とか何らかの方法によって、その実施を見合わせるような処置をおとりになるかどうか、お答え願いたいと存じます。  以上、地方税法改正案についてお尋ねいたしましたが、この際、私は佐藤総理に対し、この法案の背景をなすところの地方自治そのもののあり方について、その信念と抱負とをお伺いしておきたいと思います。  地方自治は、民主主義のとりでであるといわれておりますことは、佐藤さんもよく御存じのことと存じます。このことばの持つ意味は、いまさら私が説明するまでもなく、地方自治が確立されていなければ、民主主義は崩壊の危機に立たされるということであります。このことは、今日、世界の中で、現実にクーデターや暴力革命によって民主主義の崩壊を招いている国は、きまって地方自治体が弱体で、中央集権の著しい国柄であるという事実によって、実証せられております。ところが、日本の自治体の現状を見ますと、行政面においても財政面においても、ことごとく中央の政治に支配されて、ひとり歩きのできぬ状態に置かれ、ひたすら陳情政治に没頭しております姿は、あまねく識者の憂慮するところであります。これは民主主義の危機であると言っても過言ではありません。そこで、私は佐藤首相にお尋ねいたします。  第一に、あなたも地方自治は民主主義のとりでであるという考え方に立っておられるかどうか。  第二に、今日の日本の陳情政治現状を、これでいいとお考えになっておられるか、それとも、もっと自治体を強化しなければならぬとお考えになっておられるか。  第三に、地方自治体の独立性の強化を、社会開発と同列に佐藤内閣の重要政策としてお取り上げになる御意思があるかどうかということでございます。  昨年、私は同じ趣旨のことを池田首相に質問いたしましたところ、
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 松本君、時間が超過しております。簡単に願います。
  26. 松本賢一

    ○松本賢一君(続) 池田さんは、「私は陳情を一切受け付けていない。与えられた行政のもと、与えられた財源のもと、正々堂々とやっていくのが地方自治体の民主主義である。検討を要する点は行政調査会などで研究している」というような、いささか投げやりな御答弁をいただいたのであります。私は、新しい佐藤首相が、地方自治に関してどのような抱負を示されるかを楽しみにして、去る一月の施政方針演説を聞きました。しかし、あの四十分近い長広舌の中で、地方自治に関しては、残念ながら、抽象的なことばがわずかに二十秒間、語られたのみでありました。今日は、願わくは、調査会や審議会等からは生まれてこない、生き生きとした熱意あるあなた御自身の抱負をお聞かせいただきたいと思います。  最後に、私は具体的な二つの提案をいたしたいと思います。  一つは、佐藤内閣は、池田内閣のように毎年自治大臣を取りかえるようなことをしないで、実力ある自治大臣に、何年でも、じっくり腰を落ちつけて仕事をしてもらうことであります。
  27. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 松本君、簡単に願います。
  28. 松本賢一

    ○松本賢一君(続) 二つには、政府と自治体の磁力をはかるため、国務大臣と自治体の代表者とをメンバーとし、指導でも陳情でもなく、対等の資格で協議する中央地方行政連絡会議のごとき制度を設けることであります。以上二つの提案に対する総理の御意見を承ることにして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 松本さんにお答えいたします。前歴が自治体の長もされただけありますので、お話の筋もただいま私ども考えさせられる面が非常に多かったと思います。私が申し上げるまでもないことですが、国と地方との関係、これは対立するものではない。これは一体であるべきものだと、まずそこを一つはっきりさしていただきたいと思います。ただいまは申すまでもなく、地方自治体はこれは自治体だと言わている。また、その自治体が完全自治にならない、いわゆる三割自治だとか、あるいは二割自治だとか、かように言われておりますが、本来ただいまのような制度そのものがはたしていいのかどうか。いわゆる国、地方、県、それから市町村、こういう段階がよろしいのかどうか。さらにまた、県並びに市町村の規模はこの状態ではたしていいのかどうか。また、国と地方との間の事務、行政の分配は、はたしてこれでよろしいのだろうか。また、財源の分け方はただいまのような状態でよろしいかどうか。こういう点がいわゆる税制調査会で議論されたり、あるいは地方制度調査会におきましても基本的にこの点についてくふうをこらすというか、調査研究をしておるのが、いまの状態でございます。私は、ただいま地方自治体をいかに認識するかと、かようなお話でございますが、本来一体であるべきものだ。対立すべきものじゃないんだと。また、その財源の面におきましても、その財源を支払うものはひとしく国民である。これは二重の性格を持つと申しますか、国民であり、国の税も払うが、同時に地方自治体の住民として自治体の財源も負担しておる。この意味では二重な見方があると思います。いずれにしても、国民負担軽減する。それは、国であろうが、地方であろうが、これは負担軽減するという方向で考えなければならぬ。そういう立場に立ちまして、ただいまの地方の財源と国の財源と、また行政の分配と、こういうことを考えることが基本だろうと、かように思います。私はそういう意味で、ただいまのお説には耳をかす点もありますが、やや対立的に物事を考えていらっしゃらないかと、この点は私は残念に思います。たとえば陳情云々の話が出ております。もしも完全自治であるならば、陳情なぞ中央に来てやるべきことじゃないんだ。みずからその独立性でやればいい。しかしながら、いまの状況はさような状況でないんだという点、もっと完全自治というよりも調和が大事だということにお考えをいただきたいと思います。  次に料飲税について、前総理もこれについて言及され、これは悪税だといったんだが、佐藤はどう考えるかということですが、御承知のように、この料飲税については、その免税点あるいは税率あるいは基礎控除等々の所要の改正が加えられまして、いま地方の税として安定した状況にただいまはあると、かように思います。最近の物価の値上がり等がどういうように影響しておるか、くふうをしなければならない際ではあると思いますが、安定した税率であるということをまずお考えいただいて、最近の所要の改正によって国民にもわりと納得ができておる。そういうところで、簡単にこれを廃止するなどとは考えておらない。ただ、最近の物価上昇とどういうような影響を持つか、これをくふうすべきではないか、かように思います。  次に、ただいま審議中の法案の見通しについてのお話がございましたが、私は、国会の審議をまず第一に尊重するそのたてまえにおるのでありますし、ただいませっかく審議中でございますので、どうぞよろしく御審議を願いたいと思います。  最後に、大臣をかえるなとか、あるいは地方自治体との中央地方行政連絡会議を設けろとかいう御意見でございますが、これはただいま——第一の問題は別といたしまして——第二の問題は、先ほど来申すような地方自治体と国とのあり方、その基本的な考え方でいろいろ調整しつつあり、検討しつつある、その段階でございますので、ただいま連絡会議を開催することを御提案されましても、いましばらく慎重にその答申等を待ちたい、かような状態でございます。御了承願います。(拍手)    〔国務大臣田中角榮登壇拍手
  30. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私も松本さんと同じ考えで、国の財政地方財政も、両方とも両々相まって健全性を確保してまいらなければならないという考え方でございます。そういう考え方であるならば、交付税率を一・五%引き上げる要求に対してなぜ〇・六%に削ったかということでございますが、この〇・六%は、削ったのではなく、大蔵省のほうは、初めは、計算いたしますと、地方財政もたいへん苦しいようであるが、国の財政も苦しいんだ、で、計算をしてみると、少し剰余金が出るというのが大蔵省の計算でございました。ところが、自治省の計算は三百億ぐらい不足である。だんだん、だんだん詰め合ってまいりましたら、自治省のほうが多少過大であったということで、〇・六%をもらえば、ちょうどよくなるということでございまして、大蔵省が〇・六%に削ったのではない。両方が歩み寄ってちょうど計算しましたら、〇・六%あればよろしいということで、妥当な妥結点に達したわけでございます。特に三十九年度の国の税金の自然増収をごらんになっていただきますとおわかりになるとおり、六千八百二十六億ということが当初の見込みでございます。しかし、この六千八百二十六億の中で、三十八年度分の自然増収二千三百億程度を引きますと、実質的な自然増は四千五百三十億程度でございます。ところが、三十九年度に比較をしまして、四十年度一般会計の歳出規模は一二・四%伸びておるわけでございます。しかし、その財源となるべき数字は四千六百四十七億でございますから、三十九年度の自然増収額とほぼ同じ額でございます。高度成長から安定成長に入ってまいったので、国の税収というものも、いままでのように多額の自然増収を期待することができない状態になっておりまして、国の財政自体も合理化を十分はかって重点的な予算を組まなければならない状態になっておるわけでございます。地方財政におきましてもそういう傾向がございます。いままでは、地方財政計画と実際の実施計画との間には六千億も八千億も大きな差があったわけでございますが、このような状態では常態を望むことはできないわけでございます。国も地方も両々合理化のために努力してまいりたいと思います。  第二点の電気ガス税の問題でございますが、三十七年から三十九年まで、年率一%ずつ引き下げてまいったわけでございます。もちろん四十年度も引き下げたいということで、自治大臣とも話をいたしましたり、税制調査会意見も聞いたりしたわけでございますが、一%で大体七十億ないし八十億、こういう財源が必要でございます。国がこれを何とかしてくれるならばできるけれども、そうでなければ、なかなかできないということ竹ございまして、いわゆる交付税率の〇・六%引き上げる問題と両方でございましたので、これらの問題を十分検討した結果、電気ガス税の一%引き下げは見送ったわけでございます。昨年の三月十三日、実は本会議で松本さんの御質問に答弁をしております。これは自由民主党も年率一%ずつ引き下げるという党議も決定いたしておりますので、政府もその方向に従って減税をしておるわけでございますと、こういう御答弁申し上げておるわけでありますが、私はやはり一%ずつやりたかっかという基本的な考え方は、前と変わらないわけでございます。しかし、財源問題で急激にいままでのように大きな自然増収を見積もれないという事情がございましたのと、特に、自治大臣との話し合いを十分やりましたときに、一兆三千億に及ぶ人件費の中で、四十年度に、ベースアップ分を含めて千八百億も人件費だけでもふえるので、七十億、八十億やりたい電気ガス税の減免税でありますが、できないという事情で、やむを得ず見送ったわけでございます。事情御了解いただきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣吉武恵市君登壇拍手
  31. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) 松本さんの御質問にお答えをいたします。  第一点は、地方交付税の交付税率の引き上げを〇・六で引き下がったのはどうかというお話でございます。これは、先ほど大蔵大臣からも御指摘がございましたように、私ども当初要求いたしました根拠は、三十九年度国税減税と四十年度国税減税による地方税の減収が約三百六十九億になりますので、この点を補てんをしていただけないかということで、一・五%の引き上げを要求したわけでございます。しかしながら、ただいま大蔵大臣の御説明のように、国の財政も非常に苦しくなって、今度は健全均衡財政のたてまえを堅持されることでありまするし、また、自然増収も四千五百億といいましても、そのうちの大部分はすでに義務づけられた支出でございまする中から、三百六十億の地方交付税を獲得するということは容易なことでございませんので、地方財政も健全財政に合わしていこうということで、百四十五億で決定した次第でございます。今後、国の財政の許す限り、これらの点につきましては努力を一いたす所存でございます。  次に、農地に対する特別措置を考えたらどうかということでございます。これは衆議院の華山さんからも御質問があったのでございますが、御承知のように、三十九年度から三年間、固定資産の新評価をいたしました際に、農地につきましては特別の配慮をいたして据え置きになっておるわけでございます。これを、諸外国のようにうんと低くというお話もございますけれども、地方財政現状から見まして、せいぜい据え置くということが相当の特別処置ではなかろうかと考えております。  次に、料理飲食税の点でございますが、これは先ほど総理から御答弁のあったとおりでございまして、税率の引き下げや免税点の引き下げ、あるいは基礎控除の引き上げ等によりまして、大衆課税はできるだけ避けておる次第でございます。  次に、電気ガス税の点でございますが、これは今回の税制改正によりまして、従来の三百円を、電気については四百円、ガスについては五百円というふうに引き上げております。これはまだ引き上げ方が少ないじゃないかという御意見かもしれませんが、地方財政現状から見まして、やむを得ぬことかと思います。なお、将来は考えていきたいと思います。なお、税率をことしは引き下げなかったということにつきましては、先ほど大蔵大臣から御答弁したとおりでございます。  なお、水道事業における電気ガス税を廃止したらという御意見衆議院の段階でもございました。これは、衆議院でも申し上げましたことは、御指摘のように、同じ市町村が水道をやって、その電気ガス税を減税しても結局同じじゃないかということを申し上げましたが、しかし、内部においては、水道は公営企業、独立採算をとりまして特別会計でございます。一般財源として入るものと特別会計との関係もございますから、これは将来検討いたしたいと思います。しかしながら、水道だけでなく、公営企業はいろいろございます。したがいまして、これに対する電気ガス税を特別配慮するということは、これは相当大きな問題でございまするので、私といたしましては、慎重にこの点は考えていきたいと存じます。  次に、自動車税の点でございますが、これは、御承知のように、自動車税は二十九年からもう十年間据え置きになっております。その間、非常に自動車も増加いたしておりまするし、また一方、道路の新設改修等、相当の経費も要するし、また、交通取り締まり等におきましても相当の行政費用を要することでございますので、税制調査会答申を尊重いたしまして改正をしたような次第でございます。しかしながら、これは自動車税としては全部の自動車について課税すべきが筋でございまするけれども、御指摘のような点をも考慮いたしまして、営業用の小型自動車、タクシー等は、これを除外する、また、一定の路線バス等もこれを除外し、また、トラック等の、産業に関係のあるものも除外をしておるのでございまして、その点は相当配慮しておる点を御了承いただきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  32. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 農地に対する固定資産税の軽減に努力したか、また、努力するか、こういうお尋ねだと思います。地方自治に精通している松本さんに申し上げるまでもなく、三十九年度に実施しました固定資産税の新評価をいたしましたが、その際に、一般は時価主義でやったのでございますが、農地に対しましては特例を設けまして、農業経営の収益を基準として修正率をつくりまして、修正案を乗じて、農地に対する固定資産税は一般よりも率として低くいたしておる次第でございます。その上、さらに三十九年度から三年間は税額を据え置くという特例を設けたのは、農地の課税に対しまして特別な配慮をしたと、こういう結果であると私も考えております。さらに、農地課税の今後の取り扱いにつきましては、西欧諸国の実例をも参考とし、農業経営の動向等と関連させながら、逓減の方向で検討いたしてまいりたいと思います。(拍手
  33. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  34. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案閣法第二〇号)(趣旨説明)、本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。神田厚生大臣。    〔国務大臣神田博君登壇拍手
  35. 神田博

    国務大臣(神田博君) 原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  昭和二十年八月広島市及び長崎市に投下されました原子爆弾の被爆者につきましては、原子爆弾被爆者医療等に関する法律によりまして、健康診断、医療の給付等を行ない、被爆者の健康の回復保持をはかってきたところでございますが、被爆者が現在なお置かれている健康上の特別な状態にかんがみ、来年度においては、健康診断の強化、医療の拡充、病床の増加、福祉施設の整備等、大幅な改善をはかる考えであり、この法律案は、その一環として、医療手当の支給額の増額々はかろうとするものであります。  すなわち、現行法では月額最高二千円とされているのでありますが、これを月額最高三千円に増額することとし、現在、支給限度額法律により定められているのを改め、これを弾力的に運用するため、支給額については政令で定めることとしたりであります。  以上をもってこの法律案趣旨説明を終わります。(拍手
  36. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。中村順造君。    〔中村順造君登壇拍手
  37. 中村順造

    ○中村順造君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、佐藤総理大臣並びに関係大臣に若干の質問をいたすものであります。  本法律案内容は、ただいま厚生大臣の趣旨説明のとおり、従来、本法によって定められていた医療手当月額二千円を改めて、政令によって二千円をこえて支給することができることとした、きわめて単純な内容のものであります。そこで、私は、ただこれだけの内容では、原爆被爆者は決して救われないという前提に立ち、以下、今日までの若干の経過を付して、具体的に質問いたすものであります。  原子爆弾投下という具体的事実は、本来、政府の責任によって開始した戦争により、一九四五年、アメリカ人の手によって、人類の上に、国際条約を無視して、全く無辜の人民非戦闘員に対して行なわれたことを、われわれはまず銘記しなければなりません。以来二十年を経過した今日、いまなお白血病の脅威にさらされ、生命の危険と生活苦とたたかう被爆者、さらには、原子爆弾の放射能の影響により、半身不随のまま、原爆古老と言われながら、朽ち木の倒れるように病床に倒れている数多くの原爆被爆者に対して、全く、から手形とも言うべき本改正案提出した政府の態度に対し、私は激しい憤りを感ずるものであります。御承知のように、本院は、昨年三月、第四十六国会におきまして、原子爆弾被爆者の援護強化に関する決議を満場一致をもって採択をいたしましたが、その際、政府は、その実施に関しての決意を表明したことは、まだお互いの記憶にきわめて新たなところであります。最近、特に池田内閣以来、政府国民に対する約束不履行、また、院内における附帯決議や院の決議を無視する傾向は、一段と目に余るものがありますが、この被爆者援護強化の決議は、与党みずからの強い要望によって、自民党みずからの提案の決議であるだけに、この際、政府のとった院議無視の態度は、断じて許すことのできない態度と言わなければなりません。  また、昨年五月二十四日、当時の池田内閣小林厚生大臣は、一日厚生省などと大々的に宣伝して、わざわざ広島に出かけたのでありますが、その際、現地で記者会見まで行ないまして、「私は、被爆者対策について、これまでの施策から前進をする決意をしたからこそ広島に来ました」、こういうことを言って、被爆者に大いなる希望を与え、さらには会議らしきものを開きまして、その中を通じまして、次期国会には、予算的にも法律的にも十分な対策を講ずるよう善処するとか、あるいは、従来の医療面から生活援護にまで拡充強化させるために、被爆者全員に援護手当を支給し、その援護手当は月額五千円とするなど、昨年四月、社会党が本院に提出した内容をそのまま盗用して、あたかも政府案のように宣伝をして、これまた数多くの期待と夢を現地の被爆者県民に与えましたが、今回の政府提案は、これらの人々を全く欺瞞し、ぬか喜びに終わらした結果を招いたものであります。  そこで、まず総理にお尋ねいたしますが、なるほど昨年五月はまさに池田内閣の時代でありました。厚生大臣も小林厚生大臣でありましたが、あなたは自民党総裁を池田さんから引き継がれたのでありますから、公党としての公約は、前内閣のものといえどもこれを守る義務があると思いますが、先ほど来、私が申し上げた、本院における決議無視の問題、さらには広島における一日厚生省の公約違反につきまして、いかなる御見解を持っておられるか、お答え願いたいのであります。また、小林前厚生大臣にはまことにお気の毒でございますが、小林前厚生大臣のかたい約束を、全くの、から手形、から念仏に終わらせた原因の一つは、池田内閣が、やれ一日内閣だの、やれ一日何々省などと無責任な地方巡業を行なったことにもあるのでありますが、佐藤内閣は、今後依然として無責任な地方巡業の方策をとられるかどうかも、あわせてお答えいただきたいのであります。  次に、問題の厚生大臣にお尋ねをいたします。  あなたは、広島の一日厚生省なるものを知っておられたかどうか、もし知っておられたとするなら、厚生省の昭和四十年度原爆被爆者対策予算要求の中に、広島で宣伝これつとめた被爆者全員援護手当支給の公約も、医療手当三千円増額の項目も、要求の中には全然入っておりませんが、いかなる理由によって削除されたのか、この際、明確にお答え願います。  また、四十年度予算の中で新しく認められたものは、わずかに、特別被爆者の範囲の拡大、定期外検査、医療手当千円の増額、実態調査費の計上、所得制限の一部増額等、その全部を含めても、その増加分わずかに二億六百万円であります。原爆被爆後二十年、政府みずから認めた被爆者の数は、いまなお二十六万九千人に対し、年間わずかに十六億四千万円の予算を計上しておりますが、これでは断じて政府みずからが言う生活援護強化にはならないと思いますが、特に、霧のように消えてなくなった広島の公約は、厚生省の予算要求の中にすらないということは、あすをも知れぬ病床にある被爆者を欺瞞したことにもなり、その責任をいかに考えておられるか、あわせて厚生大臣のお答えを願います。  次に、田中大蔵大臣にお尋ねいたしますが、先ほど来、私が申しておりますような経緯のある原爆被爆者援護強化の問題について、特に厚生省との予算折衝の過程におきまして、原爆障害者健康診断費用、通院交通費、原爆障害者死亡葬祭料、原爆病院拡張整備費、福祉施設等、ことごとく削除、削減し、まことに冷酷無情なものがあるのであります。人情大臣にふさわしくない措置をとられたのでありますが、あなたは前内閣でも大蔵大臣でありました関係があります。小林前厚生大臣の一日厚生省には、一体、反対をされたのでありますか、賛成をされたのでありますか、それとも小林前厚生大臣に渡されたものは、初めから空手形であったのか、この際、明確に御答弁を願いたいのであります。  最後に、重ねて佐藤総理にお尋ねいたしますが、戦後二十年を経ました今日、その二十年間に、遺族補償、戦争未亡人の問題、外地引揚者の問題等、程度の差こそありますが、多くの戦後処理の問題が処理されました。今国会では、わが党が多年強く反対しております旧地主報償の問題まで提起されておりますが、ひとり、悲惨な原爆被爆者援護の問題は取り残されておるのであります。私はこの際、去る昭和三十八年十二月七日に出されました東京地方裁判所の判決をここに引用いたしまして、あらためて総理の御所見を承りたいのであります。  この訴訟は、広島市の原爆被爆者下田隆一氏ほか四名によって、政府を被告として、原爆投下は国際法違反であり、米国に対して、サンフランシスコ条約第十九条によってその請求権を放棄した政府は、被爆者に対してその損害を賠償すべきであるといった訴訟でありますが、結果的に、裁判所はその判決において、原爆の国際法違反は明快に断定をいたしました。しかし、個人の損害賠償請求権はこれを否定をいたしました。しかし、判決は、その主文の最後の項、請求権の放棄による国の責任の項で、次のように述べておるのであります。人類の歴史始まって以来の大規模かつ強力な破壊力を持つ原子爆弾の投下によって損害を被った国民に対して、心から同情の念を抱かないものはないであろう。戦争を全く廃止するか、少くとも最小限に制限し、それによる惨禍を最小限にとどめることは、人類共通の希望であり、そのため、われわれは日夜努力を重ねているのである。けれども、不幸にして戦争が発生した場合には、いずれの国もなるべく被害を少くし、その国民を保護する必要があることは言うまでもない。このように考えてくれば、戦争災害に対しては、当然、結果、責任に基づく国家補償の問題が生ずるであろう。現に、本件に関係するものとしては、原子爆弾被爆者医療等に関する法律があるが、この程度のものでは、とうてい原子爆弾による被害者に対する救済救援にならないことは明らかである。国家はみずからの権限とみずからの責任によって開始した戦争により、多くの人々を死に導き、傷害を負わせ、不安な生活に追い込んだのである。しかも、被害の甚大なことはとうてい一般災害の比ではない。被告(国)が、これにがんがみ、十分な救済策をとるべきことは多言を要しないであろう。しかしながら、それはもはや裁判所の職責ではなくて、立法府である国会及び行政府である内閣において果たさなければならない職責である。しかも、そういう手続によってこそ、訴訟当事者だけでなく、原爆被害者全般に対する救済策を講ずることができるのであって、そこに立法及び立法に基づく行政の存在理由がある。終戦後十数年を経て、高度の経済成長をとげたわが国において、国家財政上これが不可能であるとは、とうてい考えられない。われわれは、本訴訟を見るにつけ、政治の貧困を嘆かずにはおられないのである。」、このように判決は結んでおるのであります。この判決は、出されてからまだ一年余りしか経過いたしておらないのでありますが、総理はこの判決に対し、いかなる御所見を持っておられるのか、ただ一片の下級審の判決で、取るにも足らないものと考えられるのか。あるいは、数多くの戦後処理の問題の中にはこうした深刻な問題を残しておることを率直に認められ、必ず近い日に、現行医療法を被爆者援護強化のために抜本的に改正する御意向があるか。御所信をただすとともに、本案提案の内容の貧困さに大いなる不満を表明して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  38. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 原爆被爆者に対する援護の問題は、衆参両議院におきまして、両院においても強い決議があった。これは御指摘のとおりでありまして、これに基づいて、政府はそれぞれの所要の措置をとっておるわけでございます。ただいま内容がまことに単純だということで、御不満の意を示しておられますが、ただいま申し上げるような決議の趣旨を尊重してやっておるということでございます。  次に、一日厚生省の問題が引用されまして、前小林厚生大臣がこれは約束したのじゃないかということを言われておりますが、ただいまの厚生省におきましても、この前厚生大臣の発言したその趣旨に沿って、ただいま援護をいたしておるわけでございます。御了承いただきたいと思います。  また、佐藤内閣においてはこの種の事柄を引き続いてやるかと、ただいま地方巡業と言われましたが、巡業は私どもいたしておりませんけれども、行政の面におきまして、国民と直結する機会、これは、この議会制度のもとにおきましても必要なように私ども考えますので、そういう機会はつくりたいと、かように思っております。(「無責任ではだめですよ。責任を持たなくちゃ」と呼ぶ者あり)もちろん。  それから、最後に判決の問題についてお触れになりました。これは御承知のようにただいま上訴中でございます。この判決は二つの意味を持つ。一つは国際法違反である。こういう意味で、国としての損害賠償請求権、もう一つは被爆者に対する援護の問題、損害賠償請求権の問題、かように、私、二つ考えられるように思いますが、ただいまこの訴訟、上訴中だという判決自身がいかようになろうとも、この被爆者に対する援護、これは、それをまた別に、政府自身が積極的にすべきことは御指摘のとおりでありまして、私はこの種の犠牲者に対しまして心から御同情申し上げるとともに、これらの被爆者に対する援護、医療その他については、万全を期するようにいたしたい、かように思います。(拍手)    〔国務大臣神田博君登壇拍手
  39. 神田博

    国務大臣(神田博君) 昨年、広島で前厚生大臣が、心身の特殊性に適応し得るよう福祉を進める旨を発言した趣旨を踏襲いたしまして、なお、衆参両院の決議の趣旨をも配慮して、四十年度予算においては、特に、被爆者の範囲拡大、医療手当の増額、所得制限の緩和、健康診断制度の改善、福祉施設の整備等を行なうべく予定をいたしております。次は、援護法のような制定をしてはどうかというお尋ねでございましたが、一般戦災者その他の戦争……(「そんなこと聞いてないよ、聞いてないこと答えなくていい」と呼ぶ者あり)本予算折衝につきましても、厚生省の重大事項といたしまして、大蔵大臣と十分折衝した考えでございます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮登壇拍手
  40. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 原爆被爆者対策につきましては、政府も十分意をいたしておるわけでございます。四十年度予算編成にあたりまして、厚生省とも十分協議検討をいたしまして、特別被爆者の範囲の拡大、医療手当の増額及び支給要件の緩和、健康診断の拡充、こういうような問題に対しては措置をいたしたわけでございます。  しかし、御指摘にありましたとおり、厚生省の要求を認めなかったものを二、三申し上げてみたいと思いますが、健康診断の一般検査及び通院医療について交通手当を支給せよという要求がございました。また、被爆者が死亡した場合、葬祭料を支給しなさいという要求もございました。原爆病院の増床を行なうことということもございまして、また、第四点として、被爆者の福祉施設を設ける。この四点につきましては、いろいろ問題があって見送ったわけでございます。なぜ見送ったかといいますと、交通手当の問題と葬祭料の問題につきましては、一般戦争犠牲者との権衡の問題がございますので、認めなかったわけでございます。なお、原爆病院の増床につきましては、三十五年度に長崎の原爆病院が厚生年金の還元融資で二百床の増床が行なわれたわけでございます。こういうように融資によってできるということでありますので、認めなかったわけであります。しかし、この四点目の被爆者福祉施設センターのごときものを設けるということにつきましては、これは予算としては認めなかったわけでございますが、社会福祉施設整備費の予算が二十八億円ございますから、この中でひとつ検討しようという態度で、認めなかったわけでございます。  第二点の、岡山における一日厚生省、これは新聞で承知したわけでございまして、大蔵省が知っておるわけではございませんが、しかし、広く国民の声を聞くということにつきましては、先ほど申し上げたとおり、三、四の問題に対しては検討いたし、四十年度予算予算化をはかったものもございます。この岡山一日厚生省の中で、医療手当……(「広島」と呼ぶ者あり)広島でございますか。——広島でございます。広島でございますが、これは新聞で承知をした内容をここに書いてございますが、医療手当二千円を五千円にしろという質問に対して、金額については厚生大臣は御返事をしておりませんが、検討すると、こういうことがございましたので、四十年度予算で三千円に増額をいたしております。それから、医療手当支給制限を大幅に引き上げてくれということに対して、そのような方向で進むように検討をする旨、答えておられます。本件に対しては、四十年度予算所得制限四十四万円を六十六万円程度に緩和することにいたしております。それから、健康管理センターの整備をはかってもらいたいということに対しても、検討をするということでございます。先ほど申し上げたとおり、この予算は認めなかったわけでございますが、社会福祉施設整備費というものが二十八億ございますので、この中で実施をするような方向で検討をいたしております。(拍手
  41. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総理大臣から答弁の補足を求められております。これを許します。佐藤内閣総理大臣。    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  42. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど判決、これが上訴中だと、かように申しましたが、これは私の不勉強でございまして、御指摘のとおり、確定したそうです。これだけ訂正さしていただきます。(拍手
  43. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  44. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第四、地方行政連絡会議法案(第四十六回国会内閣提出、第四十八回国会衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長天坊裕彦君。    〔天坊裕彦君登壇拍手
  45. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 ただいま議題となりました地方行政連絡会議法案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、第一に、地方における広域行政の総合的な計画及び実施について必要な連絡及び協議を行なうため、全国九ブロックごとに都道府県及び指定都市をもって地方行政連絡会議を組織するものとし、第二に、会議は、知事及び指定都市の市長のほか、おおむね数府県の区域を管轄する国の地方行政機関の長、その他、地方における広域行政に密接な関係のある機関の長で構成するものとし、第三に、会議の構成員は、協議のととのった事項については、これを尊重して、それぞれの担任事務を処理するようにつとめるものとし、第四に、連絡会議は、関係行政機関等に対して必要な協力を求めることができることとするほか、必要に応じて、関係大臣、公共企業体等の長に対して意見を申し出ることができるものとすること等を、おもな内容とするものであります。    〔議長退席、副議長着席〕  本委員会におきましては、三月二日、吉武自治大臣から提案理由説明を聞き、広域にわたる行政の諸問題と本法律案の運用等について熱心に質疑が行なわれ、慎重審査いたしましたが、その詳細につきましては会議録によってごらん願います。  質疑を終局し、三月十八日討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は、多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、報告を終わります。(拍手
  46. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  47. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  48. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第五、特許法等の一部を改正する法律案、  日程第六、石油資源開発株式会社法の一部を叱正する法律案(いずれも内閣提出)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議なしと認めます。まず、委員長の報告を求めます。商工委員会理事上原正吉君。    〔上原正吉君登壇拍手
  50. 上原正吉

    ○上原正吉君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  まず、特許法等の一部を改正する法律案は、一九五八年、リスボンで改正されました「工業所有権の保護に関する条約」及び「原産地の虚偽表示の防止に関する協定」へ加入することに伴い、この改正条約への加入には国内法制の整備が必要となっておりますので、この際、特許法、実用新案法、商標法及び不正競争防止法のそれぞれ一部を改正しようとするものであります。  本法律案による改正の要点は、第一に、優先権主張の基礎となる最初の出願を参照しやすくするため、優先権を主張する者は最初に出願した国の出願番号を届け出なければならないこととし、第二に、特許権者等をより厚く保護するため、権利の不実施を理由とする強制実施の請求は、出願の日から四年を経過してから始めて請求できることとし、第三に、商標権所有者の保護のため、代理人または代表者が、所有者の承諾なしに、日本でその商標を出願し、または使用する場合、所有者は、その登録について異議を申し立て、登録を無効にし、及び使用を禁止することができることとし、第四に、国際連合、欧州経済共同体等の記章等についても、これと同一または類似の商標の使用を禁止することとし、第五に、原産地について、真の生産地でなく、有名産地などで産出されたように誤認されそうな表示の使用差しとめを行ない得ることとし、第六に、商品の製造方法または用途についても、誤認を生じさせる表示は、これを禁止することとし、第七に、公の博覧会等でなくとも、そこへ出品した物にかかる発明等について、一定期間内に出願すれば、新規性を失なわないことにできることとするものであります。  商工委員会におきましては、審査、審判の処理渋滞の解消策、特許庁の定員と技術職員の待遇、リスボン改正条約及び協定への加入のおくれた理由、原産地表示の地域範囲の概念、公務員の職務発明と特許権との関係、物質特許等の問題について、質疑が行なわれましたが、詳細は会議録をごらん願います。  次いで、討論に入りましたが、別に発言者もなく、引き続いて採決いたしましたところ、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたした次第であります。     —————————————  次に、石油資源開発株式会社法の一部を改正する法律案について申し上げます。  石油資源開発株式会社は、昭和三十年に設立されてから、現在まで、わが国の石油資源の探鉱開発事業を進めてまいりましたが、最近においては、海外の原油探鉱開発事業にも積極的に取り組むことになって一おります。したがいまして、同社の事業規模の拡大に対処して、事業の円滑な遂行をはかるため、今回この法律案提出されたのであります。  まず、この法律案内容を申し上げますと、第一は、現在、同社の取締役の定数が「七人以内」となっているのを、新たに二人増員して、「九人以内」と改めようとすること、第二は、同社が海外の地域においても、石油資源の開発に関し、必要な事業を営むことができることを明定するとともに、海外進出の際は、通商産業大臣の認可を受けなければならないこととしております。その他、鉱業権の譲り受けについても、若干の改正を行なおうとしております。  本委員会におきましては、慎重に審査いたしましたが、質疑のおもなるものは、取締役増員の必要性とその担当業務、石油資源開発会社を含めて、石油及び天然ガスの探鉱開発に対する国の財政的援助措置、石油関係の税収と探鉱等補助金との関係、油田の開発に関するインドネシアとの交渉経緯、その他、石油政策全般の問題にわたったのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたが、別に発言もなく、次いで採決いたしましたところ、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上で、二法案についての報告を終わります。(拍手
  51. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  52. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。      ——————————
  53. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 日程第七、郵便貯金法の一部を改正する法律案、  日程第八、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、  (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長占部秀男君。    〔占部秀男君登壇拍手
  55. 占部秀男

    ○占部秀男君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、郵便貯金法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案のおもなる改正点は、郵便貯金の預金者一人の最高預け入れ制限額を現行の五十万円から百万円に引き上げることとし、さらに預金者の権利を保護するため、郵便貯金の権利の消滅に関する中断事由を改めること等を内容とするものであります。  次に、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案のおもなる改正点は、加入者及び事業者の利便をはかるため、電気、ガス、水道等の公益事業の料金の支払いに関し、定期継続振替制度を新設すること等を内容とするものであります。  逓信委員会におきましては、右二法案につき一括審議を行ない、郵政大臣及び郵政当局に対し熱心な質疑を行ないましたが、その詳細は会議録によって御了承願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、直ちに採決の結果、右二法案は、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  56. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  57. 重政庸徳

    ○副議長(重政庸徳君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十八分散会      ——————————