○松本賢一君 私は
日本社会党を代表いたしまして、ただいま御
説明のありました
地方交付税法及び
地方税法の
改正案につきまして、
佐藤首相ほか関係閣僚に対し御
質問申し上げたいと存じますが、同じ答弁を何度もお伺いしても意味がありませんので、この
法案に関連して、いままでに衆参両院において行なわれました質疑応答などを参照しながら、重点的にお伺いいたしたいと存じます。
実は、私、昨年もこの席におきまして、同じく
地方税の問題について
質問したのでしたが、当時の首相
池田さんは、実は私の郷土の先輩であり、古くからおつき合いをしておりました関係上、
質問申し上げるにも少々ぐあいの悪い面もございましたが、幸い
佐藤首相は、お顔はよく存じあげておりますが、まだ一度もことばをかわしたことのない間柄でございますので、その点、はなはだ好都合に存ずる次第であります。
まず、
地方交付税からお伺いしたいのですが、およそ
法律を実施するには、常に、その
法律の目的、精神を忘れてはならないことは申すまでもありません。ところで、この
交付税法の目的は、第一には、
地方財源の均衡化をはかることと、第二には、
地方行政の計画的な運営を保障すること、そうして、それによって
地方自治体の独立性を強化することにあることは、この
法律の第一条に明記されておるとおりであります。この目的、精神を頭に置いて、いまこの
改正案なるものを見てみますと、一口に申し上げて、これは
地方自治体に対して顔向けのできるしろものではないと言わざるを得ないのであります。
この
改正案のでき上がったいきさつを伺ったところでは、最初、自治省は交付
税率の一・五%引き上げを要求されたそうであります。この一・五%という数字は、
国税の
減税による交付税の減収約三百五十億円を補てんするだけの、まことに遠慮深い要求で、自治体の独立性を強化するというなどの目的からはほど遠い、いわば屋根の雨漏りを防ぐだけのものであります。しかるに
大蔵省は、この自治省の要求に対し、ゼロ回答を与えられたんです。雨漏りなんぞ防ぐ必要はない、ぬれて寝なさいというわけなんであります。実は、昨年も、住民税の
改正によって市町村に三百億円の減収が見込まれたとき、自治省の要求に対し、
大蔵省は最初ゼロ回答を与えたのであります。私は、昨年この席から、田中さんのような苦労人の人情大臣が、なぜそのような冷たい仕打ちをなさるのかと申し上げたのでございましたが、そのとき田中さんから、「初めは筋論からゼロ回答をしたのだけれども、私は新潟県、早川
自治大臣は和歌山県、お互いに貧乏な、いなかを抱えているので、二人で話し合っているうちに、筋は筋だが、やっぱり何とかしようやということで、三分の二出すことにした」と、こういう舞台裏の人情話を聞かせていただきたいものでしたが、今年も最後に、新潟県の田中さんと山口県の吉武さんと舞台裏の一幕があったわけでございますが、一体いかなる筋論から最初ゼロ回答が出され、また、どのような人情話から〇・六%の復活がなされたのか、お聞かせ願いたいと思います。と同時に、たった〇・六%の増率で、この
法律の第一条の目的に沿っていけるとお考えになっているのがどうか、あわせてお聞かせ願いたいと存じます。
あなたは先日、同僚加瀬議員の
質問に対して、今年の国の
予算と
地方の
予算と比べると、実質的には
地方のほうが約倍になっている、だから交付税の引き上げ〇・六%というのは相当思い切った処置だと、こう言っておられますが、そんなおかしな弁明は通用しないと思うのです。
日本人はみんな、どこかの
地方に住んでいる。だから
日本の
予算が
日本人の住んでいる
地方のために使われるのは、あたりまえのことであります。しかも、
地方予算の
内容たるや、大きなひもつき財源に首かせをはめられた
予算なんです。そのあわれな
予算を、単に、ずうたいが大きいだけを取り上げて、何がたいへんに
地方自治体が潤おっているかのようにおっしゃって、わずか〇・六%のスズメの涙ほどの交付税を、思い切った処置だなどとは、私には納得がまいりません。妙な筋論は即刻改められて、この
法律第一条の精神に立ち返り、スズメの涙でない、人情大臣らしい大粒の涙をそそがれるのが、
政治というものであろうと思うのですが、いかがでございましょう。また、
自治大臣は、この
法律第一条の目的、精神をバックボーンとして、もっと積極的に
地方交付税の拡充に努力するとともに、一方では、大衆
課税やひもつき財源を整理することによって、
地方自治の確立をはかることに強い
政治力を発揮すべきだと私は考えますが、
自治大臣の決意のほどをお聞かせ願いたいと存じます。
次に、
地方税法についてお伺いいたします。
まず、農地に対する固定資産税についてであります。去る二月二十六日の
衆議院において、わが党の華山議員の
質問に対する自治、農林両大臣の御答弁が、どうも私にはよくわかりません。華山さんは、農業の特殊性から、欧米諸国がやっているような農地に対する
課税の
特別措置を講ずるよう、農林大臣は閣内で努力するかどうかと、こう
質問されたんです。
特別措置というのは、他の土地よりも農地の税金は特別安くすると、こういう意味であることは、わかり切っているはずであります。ですから、特別に安くするような努力をするとかしないとか、あるいは研究するとかお答えになればいいと思うのですが、お二方の御答弁は、
特別措置ということには全然お触れにならないで、ただ、急激な変化がないようにとか、重くならぬようにとか、どちらもピントがはずれてしまっていると思います。いま私からあらためて同じことをお伺い申し上げますから、きょうはピンぼけでない御答弁を簡単明瞭にお願いしたいと思います。
次に、料理飲食税についてお尋ねいたしますが、これは昨年私が
質問をいたしました際に、当時の
池田首相は「料飲税というものは戦争中につくった世界に類のないもので、そういうものは、やめたほうがいい。だんだんこれを軽くしていくことがほんとうだと思います。」と、はっきり否定的な立場を表明されたのであります。しかるに、ことしの
改正案では、料飲税は何の
軽減もなされていない。これは一体どうしたことなんですか。
国会における大臣の答弁、ことに総理の答弁に対しては、
国民は大きな期待を寄せているのですから、
政府はもっと責任を持って、期待はずれにならぬよう実現に移すべきではないかと思うのです。たとえ大臣が交代しても、その責任は存続すべきものと思いますが、
佐藤首相の御所見をお伺い申し上げるとともに、佐藤さんも
池田さん同様、料飲税はやめたほうがいいという
見地に立って、直ちに
軽減措置をとられるかどうか。もしそれができないとすれば、いかなる
理由によってできないのか、
国民が納得のいく明確な御答弁をいただきたいと思います。
次に、電気ガス税でありますが、
改正案によれば、これは料飲税とは違って免税点の引き上げが多少行なわれております。われわれはもっと大幅に引き上げるべきだと年来主張しておりますが、ともかくこの方向に一歩踏み出されたことは、大衆のために喜ばしいことであります。しかし
税率については、昨年私の
質問に対し、
大蔵大臣は「年々一%ずつは
減税するという与党の党議もきまっておりますので、
政府もその方向で
減税する」という答弁をなさったにもかかわらず、本案にはそれがゼロ%となっております。どうもあなたはゼロがお好きのようです。「そのかわりに免税点を引き上げたからいいではないか」とおっしゃるかもしれませんが、それとこれとは話が違います。免税点の引き上げで、
課税されない人の数は多少ふえるでしょう。しかし納める人にとっては少しも
減税にならない。すなわちゼロであります。これでは昨年のあなたの答弁は、うそになってしまいます。一体なぜゼロになったのか。
大蔵大臣並びに
自治大臣の責任ある御
説明を承りたいと存じます。「
税制調査会の
答申どおりにやったのだ」とおっしゃるかもしれませんが、先ほど
木村さんのお話にも出ましたように、
政府のおやりになることは、都合のいいときには
調査会や審議会を尊重し、都合の悪いときには無視されるのですから、それはこの際の弁明にはならないことを申し上げておきます。私がこのようなことをやかましく言うのは、決して閣僚の皆さん方を責めるためではありません。もしあなた方が前向きにものを決してくださるなら、少々食言をなさろうと放言をなさろうと、私は何にも申しません。おっしゃることがすぐあとずさりをして
国民の期待にこたえてくださらないから、やかましく言いたくなるのであります。
水道事業に対する電気ガス税をやめたらどうかとの、これも先ほど申し上げました華山さんの
質問に対する
自治大臣の答弁が、またどうかと思うのです。「水道事業は市町村が経営しておるから、免税しても、しなくても同じことになるから、免税の必要がない」と、こういう御答弁なんです。吉武さん、あなたは一体、公営企業というものがおわかりなんですかと、開き直りたくなるような答弁ですが、しかし、もしこれが「免税しても、しなくても同じだから、免税しましょう」と、こういう前向きの御答弁だったとしたら、公営企業に対する認識不足など問題ではなくなると思うのです。先ほどの農地の税金の問題と同様に、いま私が、あらためて華山さんと同じことをもう一ペんお伺いいたしますから、
自治大臣の前向きの御答弁を期待いたします。幸い昨日、
衆議院の
委員会におきまして、自民党の皆さんも共同でこれを検討し、善処せよという意味の附帯決議がつけられたそうですから、安んじて御答弁がおできになるものと思います。
次に、今回の自動車税の大幅引き上げは、まさに超党派的な驚きであります。物価高を何とかせねばと、万事抑制ムードの中にあって、かくも思い切った増税を白昼堂々と行ない得る
日本国
政府は幸いなるかなであります。私は、本日この大増税案を爼上に取り上げて、大いに
批判するつもりでおりましたところ、はたせるかな、これも昨日
衆議院の
委員会におきまして、「慎重を期せよ」との超党派の附帯決議があったそうでございますので、多くを論じないことといたしまして、簡単に
自治大臣にお尋ねいたします。あなたは、この
法案を
参議院においてどうしても原案どおり可決させたい御意向であるのか、そうして
参議院を通ったらこの増税の実施を強行せられる御所存であるのか、御答弁を願いたいと思います。また
総理大臣は、その実施を、やむを得ないとお考えになるか、それとも附帯決議の
趣旨に沿って、
政府修正とか何らかの方法によって、その実施を見合わせるような処置をおとりになるかどうか、お答え願いたいと存じます。
以上、
地方税法改正案についてお尋ねいたしましたが、この際、私は佐藤総理に対し、この
法案の背景をなすところの
地方自治そのものの
あり方について、その信念と抱負とをお伺いしておきたいと思います。
地方自治は、民主主義のとりでであるといわれておりますことは、佐藤さんもよく御存じのことと存じます。このことばの持つ意味は、いまさら私が
説明するまでもなく、
地方自治が確立されていなければ、民主主義は崩壊の危機に立たされるということであります。このことは、今日、世界の中で、現実にクーデターや暴力革命によって民主主義の崩壊を招いている国は、きまって
地方自治体が弱体で、中央集権の著しい国柄であるという事実によって、実証せられております。ところが、
日本の自治体の
現状を見ますと、行政面においても
財政面においても、ことごとく中央の
政治に支配されて、ひとり歩きのできぬ状態に置かれ、ひたすら陳情
政治に没頭しております姿は、あまねく識者の憂慮するところであります。これは民主主義の危機であると言っても過言ではありません。そこで、私は
佐藤首相にお尋ねいたします。
第一に、あなたも
地方自治は民主主義のとりでであるという
考え方に立っておられるかどうか。
第二に、今日の
日本の陳情
政治の
現状を、これでいいとお考えになっておられるか、それとも、もっと自治体を強化しなければならぬとお考えになっておられるか。
第三に、
地方自治体の独立性の強化を、社会
開発と同列に佐藤
内閣の重要政策としてお取り上げになる御意思があるかどうかということでございます。
昨年、私は同じ
趣旨のことを
池田首相に
質問いたしましたところ、