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1965-02-26 第48回国会 参議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十六日(金曜日)    午前十時二十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第七号   昭和四十年二月二十六日    午前十時開議  第一 原子力委員会委員任命に関する件  第二 文化財保護委員会委員任命に関する件  第三 人事官任命に関する件  第四 緊急質問の件  第五 国務大臣報告に関する件(昭和四十年   度地方財政計画について)  第六 所得に対する租税に関する二重課税の回   避のための日本国政府フランス共和国政府   との間の条約締結について承認を求めるの   件  第七 地方自治法第百五十六条第六項の規定に   基づき、海運局支局出張所設置に関し   承認を求めるの件(衆議院送付)  第八 鉄道敷設法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  第九 会計法の一部を改正する法律案内閣提   出)  第一〇 物品管理法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第一一 銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正   する法律案内閣提出)  第一二 昭和三十七年度一般会計歳入歳出決   算、昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算、   昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算   書、昭和三十七年度政府関係機関決算書  第一三 昭和三十七年度物品増減及び現在額総   計算書  第一四 昭和三十七年度国有財産増減及び現在   額総計算書  第一五 昭和三十七年度国有財産無償貸付状況   総計算書     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一 原子力委員会委員任命に関す   る件  一、日程第二 文化財保護委員会委員任命に   関する件  一、日程第三 人事官任命に関する件  一、日程第四 緊急質問の件  一、日程第五 国務大臣報告に関する件(昭   和四十年度地方財政計画について)  一、日程第六 所得に対する租税に関する二重   課税の回避のための日本国政府フランス共   和国政府との間の条約締結について承認を  求めるの件  一、日程第七 地方自治法第百五十六条第六項   の規定に基づき、海運局支局出張所の設   置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)  一、日程第八 鉄道敷設法の一部を改正する法   律案内閣提出)  一、日程第九 会計法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  一、日程第一〇 物品管理法の一部を改正する   法律案内閣提出)  一、日程第一一 銃砲刀剣類等所持取締法の一   部を改正する法律案内閣提出)  一、日程第一二 昭和三十七年度一般会計歳入   歳出決算昭和三十七年度特別会計歳入歳出   決算昭和三十七年度国税収納金整理資金受   払計算書昭和三十七年度政府関係機関決算   書  一、日程第一三 昭和三十七年度物品増減及び   現在額総計算書  一、日程第一四 昭和三十七年度国有財産増減   及び現在額総計算書  一、日程第一五 昭和三十七年度国有財産無償   貸付状況計算書     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、原子力委員会委員任命に関する件を議題といたします。  内閣から、原子力委員会設置法第八条第一項の規定により、青木均一君、武藤俊之助君、西村熊雄君を原子力委員会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、文化財保護委員会委員任命に関する件を議題といたします。  内閣から、文化財保護法第九条第一項の規定により、石田茂作君、細川護立君を文化財保護委員会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、人事官任命に関する件を議題といたします。  内閣から、国家公務員法第五条第一項の規定により、島田巽君を人事官任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第四、緊急質問の件。  大矢正君から、北炭夕張炭鉱爆発事故に関する緊急質問が、森元治郎君から、椎名外務大臣の訪韓に関する緊急質問が、それぞれ提出されております。  両君の緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。順次発言を許します。大矢正君。    〔大矢正登壇拍手
  11. 大矢正

    大矢正君 去る二十二日夕刻、北海道夕張炭鉱において発生したガス爆発事故に関し、私は日本社会党を代表し、総理通産労働の各関係大臣に、以下若干の質疑を行ないたいと存じます。  質問を行なうに先立ち、このたびの災害により殉職された六十一名の方々の御冥福を祈り、あわせて、十七名の重軽傷者方々のすみやかなる回復を祈念いたしたいと存じます。  一昨年十一月、三池炭鉱において、戦後最大と言われる、一瞬にして四百五十八名の生命を奪った大惨事は、今日なお、そのつめあとを残し、病床に呻吟する多数の一酸化中毒患者がおりますことは、御承知のとおりであります。このたび重ねて、夕張炭鉱において、六十一名の犠牲者を出す人災とも言うべき惨事を繰り返しましたことは、まことに遺憾のきわみであります。  私は、災害発生と同時に現地におもむき、つぶさに状況を調べた一員として、このたびの爆発事故ほどその事故理由の明らかな災害はないと考えておるのであります。それは、すでに新聞等において報じられておりますように、今回の災害と過去における災害の大きな状況の相違は、停滞流動を問わず、爆発原因となるガス量増加がしばしば指摘されていたからであります。従来、炭鉱災害原因については、常に不可抗力もしくは原因不明で片づけられてまいりましたが、今回の災害については、いかに逃げようとしても逃げることのできない裏づけがあります。その一つは、読売新聞紙上に掲載された保安担当者巡検報告であり、その二は、二月の十二日に示された保安監督官監督票であります。今回の爆発事故中心と思われる、右三、六尺ロングは、すでに報じられておりまするように、今月一日より採炭を開始した所でありまして、採炭開始以来、幾回となく、通気の不完全による停滞また流動ガス許容量をこえる増加指摘されており、当然のこととして、坑道の拡大ガス払い強化等、その対策措置がとられなければならない個所であったと思うのであります。しかるに、出炭を急ぐ会社側は、保安確保が不十分のまま採炭にかかり、ために、濃度の高いガスを蓄積させる結果となったことが、このたびの災害を招く重大な原因である点は、疑いの余地のないところであります。鉱山保安確保について指示監督立場にある通産省、特に最高責任者通産大臣として、今回の惨事原因責任は一体どこにあるのか、この際、明確にお答えをいただきたいと思うのであります。  次に、私は石炭産業現状認識について述べてみたいと思います。最近の石炭産業は、表面的に見る限り、あたかも企業として採算点にほぼ達したかの印象を与えておるようであります。しかし、一皮はいでその実体を見る限り、その現状と将来に憂慮すべき事態のあることを指摘しなければなりません。第一次石炭調査団が示した再建策一つであるスクラップ・アンド・ビルド化は、それを実行する政府及び経営者の、計画を無視した強行策によって、閉山の増加に伴う予想以上の出炭減と、逆に、出炭減を補うための増産態勢、すなわち人命無視生産第一主義となってあらわれております。今日の石炭政策最大の欠陥は、石炭産業再建を、働く人々中心とした労働面からこれをとらえるのではなく、経営者立場、すなわち企業の面からのみとらえているところに、重大な問題点があると思われます。今日の炭鉱労働者労働密度は、まさしく戦後最高であります。将来に対する不安感、給与に対する不満等もさることながら、労働強化が激しくて、つとまらないとの理由で退職する者が、最近非常に増加をいたしております。労働強化のきびしさと保安の不備による事故続発に伴う生命への不安は、退職者増加させ、退職者増加しても、計画出炭はこれを確保しようとする経営者考えは、勢い出炭面人員を集中させ、その集中がさらに保安の不完全と事故続発を引き起こすという悪循環が、今日の炭鉱のまことの姿であります。私は、今日この時点でこの悪循環を断ち切らない限り、石炭産業の将来はないと考えておるのであります。この際、政府は、石炭産業の将来を考え、これからの石炭政策中心的な柱を、生産第一主義から人命尊重保安確保に置きかえるべきであると思うのでありますが、総理並びに通産大臣所見を承りたいと思います。  次にお尋ねをいたしたい点は、政府保安対策具体化についてであります。一昨年の三池災害の際、当時の池田総理並びに福田通産大臣は、災害原因をすみやかに調べ、保安対策の具体的な方向を検討したい旨の発言を、当本会議場において行なっております。ところで、三池災害以降今日まですでに一年数ヵ月を経過しておりまするが、総理並びに通産大臣の言明にもかかわらず、何ら見るべき保安確保対策は、法律上また行政上とられておりません。もし政府において、三池災害発生以降今日までの間、この本会議場報告するに値いする措置がとられているといたしますれば、この際その具体的な内容をお示し願いたいと思うのであります。  次に質問をいたします点は、従来もしばしば指摘されてまいりました保安監督行政所管についてであります。御了承のごとく、通産省という機関は、その名称に示されておりますように、物をつくり、また生み出すために、国の施策を行なう機関であります。言うならば、生産を促すための省であります。この省に保安監督行政を置くこと自体が、生産第一主義に通ずるものであります。今日まで、生産第一主義ではいけないと歴代の通産大臣はしばしば述べておりますが、みずからそれを破っているところに問題があります。この際、保安監督機構労働省移管を積極的に検討すべきであると思いまするが、総理通産労働、各大臣所見を承りたいと思います。  次に、監督行政についてお尋ねをいたします。このたびの災害発生に際し、監督立場にある保安監督局は、今回の災害発生現場である最上坑には、昨年じゅう五たびにわたり検査を行なっている旨、述べているようであります。なるほど、年に五回の検査は、従来に比べ、やや強化されていることは認めたいと思います。しかし、今日の炭鉱は、機械化合理化等強行によって、変化が著しいことも事実であります。二カ月に一度巡回をして危険個所指摘するだけでは、監督官制度の意義はありません。このたびの災害についても、二月の十二日、巡回結果をまとめ、危険個所指摘はしておりますが、その危険個所改善措置は、みずからそれを確かめるのではなく、単に会社側保安担当者報告させるにとどまっていたことも、事故原因一つであると判断できるのであります。危険個所については早期に追跡検査をすることが、事故防止の上にぜひ必要なことであります。しかし、追跡検査をするといたしましても、監督官現状人員をもってしては不可能であります。四十年度の予算に盛られた監督官増員は、わずかに全国で七名しかありません。このようなことでは、災害を未然に防止する監督機構は、その効果を発揮することはできません。この際、政府はすみやかに監督官増員待遇改善のための予算措置を講じ、あわせて、勧告後の保安管理者改善措置の監視に遺憾なきを期すべきであると考えるのでありますが、通産大臣所見を承ります。  今日、石炭産業は、運転並びに設備資金確保に想像以上の苦しみを感じておりますことは、いまさら申すまでもないところであります。このことは、当然のこととして、経営者保安設備より生産設備資金を向けさせる結果となっております。この際、政府は、従来の無利子の保安設備資金のワクを大幅に拡大するため、特に保安設備資金に限り、新たな予算措置を講ずべきであると思うのでありますが、大臣所見を承ります。  また、過去の三池災害、特に今回の夕張災害の経緯にかんがみ、通産大臣みずから、法律及び規則改正を行ないたい旨、述べられておりますが、具体的にはどのような改善措置を講ずるつもりか、あわせてお答えをいただきます。  今回の災害は、事故発生の十日前、監督官現場巡回があり、その結果が保安責任者及び保安委員に示されているようであります。しかしながら、保安委員会はおよそ月一同程度の開催が実情であり、保安委員それ自身、改善措置実施の権限は持っておりません。したがって、私はこの際、監督官巡回結果は必ず労働組合並びに職員組合に対しましてもなされるよう、配慮すべきであると考えておりまするが、通産大臣所見を承りたいのであります。  保安確保のための最後質問として、現場保安担当者保安係員の再教育について、お尋ねをいたします。御承知のごとく、作業員、すなわち鉱員は、一たび入坑いたしますれば、自分生命の一切は現場係員にゆだねられることとなっております。自分作業現場にどの程度ガスがあり、どんな危険な状態にあるかも知ることができません。このような多数の生命を預かる保安係員立場は、まことに重要であります。かりに保安関係者会社側生産第一主義協力をいたしたといたしますれば、それは災害発生の道につながることは明瞭であります。したがって、政府はこの際、国の予算責任において、保安現場責任者等に対し、精神的また実務的な指導を行なうための会議、その他の措置を講ずべきであると考えますが、通産大臣の見解を承ります。  最後に、私は殉職者遺家族援護策についてお尋ねをいたします。炭鉱災害発生をし、殉職された方々遺族に対する補償は、申すまでもなく労災による遺族補償であります。このたびの夕張炭鉱ガス爆発による殉職者遺家族遺族補償について、私が調べたところによりますと、平均で百二十万円前後、最も低い人は九十一万円という金額になっております。これから養育に長い年月を必要とする幼児をかかえた未亡人に、九十一万円の金額がはたしてどれだけ生活の支えとなるかは、私が申し上げるまでもないところであります。しかも、ただいま申し述べた数字は直轄鉱員と呼ばれる人々であり、俗に組夫と呼ばれる人々遺族補償はまだまだ低額であります。この際、政府遺族補償費の大幅な改善を検討すべきであると考えますが、労働大臣所見を承りたいと存じます。  また、遺家族生活手段及び就職等は、しばしば指摘されるところでありますが、限られた企業の中のみによって措置することは困難であります。この際、労働省として、個々の遺家族の実態を確かめ、責任を持って生活が立ちいくよう協力体制をしくべきであると考えますが、労働大臣のお考えを承りたいと思います。  以上、私は十点にわたり政府考えをただしましたが、今回の夕張炭鉱爆発事故による殉職者の中に、かつて私とともに語り合った多くの友がおります。六十一名の冥福を祈る意味におきましても、関係大臣の誠意ある御答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今回の夕張炭鉱ガス爆発により多数の犠牲者を出しましたことは、まことに遺憾にたえません。私は、不幸にしてこの災害をこうむられた方々並びに遺家族に対し、心から哀悼の意を表したいと思います。  ただいまいろいろお尋ねがございましたが、基本的な考え方は、大矢さんの御指摘になるように、人命を尊重しなくて何の生産ぞや、かように言いたいと思います。私がしばしば申し上げておりますように、生産拡大もちろん必要なことでありますが、その根本におきましては、人間尊重、人を相手の経済発展であります。その立場に立ちまして、現在の炭鉱業務を見たとき、こういう点において、なお万全を尽くすという観点から欠いておるものがあるのではないか、こういう意味で、ほんとうに身の締まるような思いで、今日までやってきたことを再び検討しておるわけであります。御承知のように、わが国の石炭産業は、申すまでもなく国内における重要な基幹産業でございます。その意味におきまして、石炭産業育成強化が最も大事なことであります。二次にわたる石炭調査団報告等も、この意味合いにおいて取り上げられ、そうして十分検討されておるわけであります。ただいま御指摘になりましたこの調査団報告、これを尊重して通産省労働省が取り組んでおる、これはよくおわかりだと思います。  私は、かような意味合いにおいて、ただいまの石炭産業そのものを十分見ておるつもりであります。ことにスクラップ・アンド・ビルド——高能率炭鉱を造成し、非能率のものを整理する、こういう観点に立ったときに、いろいろ生産上の問題もあるやに伺いますが、もちろん、そのために保安をないがしろにする、こういうことであってはならないと思います。生産保安、これが石炭産業においては一体である、こういう観点で今日までこれと取り組んでおるのも、ただいま申し上げたような観点であります。したがいまして、調査団報告による基本的方向、これについて政府が真剣に取り組み、これは政府のみならず、同時に、保安確保、また労働環境改善整備、こういうことも指摘されておるのでありまするから、もちろん、その方向において努力してまいるつもりであります。  ただいまの現状において、この保安監督労働省に移せ、こういう点を御指摘になりましたが、石炭産業の本来の姿から申しまして、ただいまの制度が実は望ましいのではないか、かように私は思っております。しかし、もちろん何ら研究をしないというわけではありません。労働省におきましては、一般労働者観点に立っての行政をあずかっております所でありますから、通産省におきましても、労働省と十分の密接な連携をとることはもちろんでありますし、また、現在の制度そのものに、さらに私どもが、くふうすべきものがあれば、くふうしたい、かように私は考えます。(拍手)    〔国務大臣櫻内義雄登壇拍手
  13. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) お答えに先立ち、このたびの夕張炭鉱災害につき、その責任の重大なることを痛感し、おわびを申し上げるとともに、今後の対策に万全を期したいと思います。この災害により、おなくなりになられた六十一人の方々の御冥福を祈り、負傷され、御療養中の皆さまの、一日もすみやかな御回復を心から祈るものでございます。  最初に、災害原因責任の所在のお尋ねでございました。今回の災害の直接の原因につきましては、目下、札幌鉱山保安監督局において、その詳細を調査中でありますが、現在までわかりましたところでは、ほぼ夕張炭鉱の一礦丁未坑最上区域右部内におけるガス爆発によるものと考えられております。災害原因究明に関しては、現地監督局による調査をさらに進めますとともに、学識経験者からなる技術調査団を、この二十八日に派遣をいたし、調査解明をする所存でございます。  災害最大原因は、石炭合理化施策にあるのではないかという御趣旨の御質問でございました。御指摘のような、出炭減を補う生産強化だと、こういうふうに私は考えません。私は、石炭産業近代化であり、合理化である。すなわち、まず労働環境をよくし、施設をよくする、その上での合理化であるのだ。すなわち、こういう考え方に立っていきますれば、保安確保なくしては生産確保はあり得ないという見地に立ちまして、今後万全の施策を講じてまいりたいと思います。  三池事故以降の政府のとった対策はどうであるか、こういうことでございました。炭じん規制強化鉱車逸走防止施設設置基準強化退避訓練の徹底その他の災害防止のための具体的措置を講じましたが、また、鉱山保安法令改正の必要を痛感いたしまして、先般、保安法改正を提案し、保安統括者制度を新設するとか、あるいは保安監督員補佐員制度等を設ける、あるいは鉱山保安法に基づく鉱山保安規則改正した次第でございます。  保安行政所管については、ただいま総理お答えをいたしたとおりでございますが、この際、私の所信を申し上げますならば、鉱山の場合のような地下資源の場合は、まず、最初保安ということが考えられなければ、生産はあり得ないと思うのであります。特に地下資源のこの鉱床の複雑な状況から考えますならば、掘るというほうが優先ではないと思うのであります。保安施設があって、それから生産が出てくる。すなわち、ここに、保安生産の一体的なところがあろうかと思うのでございまして、労働省との間に緊密な連絡をとって万全を講ずるのは当然でございますが、現在の通産省における保安行政が、御指摘のような所管がえが必要であるかどうかということにつきましては、ここで私は御所見に賛意を表するよりも、いま申し上げたような信念に立ちましてやっていくべきである、かように考える次第でございます。  保安監督官人員の問題についてのお尋ねがございました。ただいま御審議をちょうだいしております四十年度の予算におきまして、鉱務監督官七名の増員のほか、札幌、福岡両監督局に、総合監督実施及び予防保安のための措置の総括を行なう鉱務監督管理官——局長の次に位する職でありますが——各一名を増員することといたしております。さらに、鉱務監督官現場における措置が的確迅速に行なわれるよう、今後とも一そうの努力を払うとともに、技術近代化におくれないよう、十分な訓練教育等を一そう強化してまいりたいと思います。  災害防止のことにつきまして、労使が協調して徹底した自主保安体制を確立するということは、これは当然なことでございまして、現在、監督官巡回検査の結果に基づく監督局部長通達書は、これを鉱山労使双方によって構成されている保安委員会に公表しておりまして、今後ともこの制度の十分な活用を期していきたいと思います。  現場保安責任者についての政府予算における再教育につきましては、現在、炭鉱保安技術職員教育について、全国十カ所に保安技術講習所設置し、年四十回くらい、一回当たり二週間程度技術及び実務教育実施しているところでございますが、さらに、新たに設立された鉱業労働災害防止協会による訓練体制整備と相まって、保安教育の一そうの強化拡充をはかりたいと思います。  今回の事故発生に伴いまして、新たに保安確保のための具体的方法としての予算措置、あるいは法及び規則等改正についてどう考えておるか、こういうお尋ねでございました。現在進行中の監督局による原因究明、また、ただいま申しました技術調査団による原因究明の結果を待ちまして、今後この保安行政については、的確迅速に行ない得られるように、法、規則等改正の必要があれば、もとよりこれをやるべきでもあり、また、予算措置につきましては、十分対処していく考えでございます。(拍手)    〔国務大臣石田博英登壇拍手
  14. 石田博英

    国務大臣石田博英君) お答えを申し上げます前に、今回の不祥事に対して、きわめて遺憾に存じますとともに、犠牲になられた方々に対しまして、心から哀悼の意を表したいと存じます。  最初の私に対する御質問は、保安行政所管についてでございますが、御承知のごとく、この問題は、労働基準法制定の際にも問題になりました。ただ、戦前から通産省所管であったこと、また、当時石炭の増産が非常に重大な課題となっておりましたこと等の理由によりまして、現在の状態になっておることは、御承知のとおりであります。現段階におきましては、通産省と緊密な連結をとりまして、労働者保護に万全を期してまいりたいと思っておるのでありますが、同時に、将来の問題としては十分検討しなければならぬ課題と存じております。  それから、第二は、このたびの補償の問題について、現在の労災保険法の規定では不十分ではないかということでございます。御承知のごとく、平均賃金の一千日分と、同六十日分の葬祭料にとどまっておるのでありますが、法律上はこれ以上の措置をすることは不可能でございますけれども、遺族方々の就職のあっせんその他について万全を期したいと存じますと同時に、労災保険法の運営にあたって改正を加えたいと存じまして、ただいま労災保険法の改正案を国会に提出しておりますところでございます。  それから、遺族方々の将来の生活の安定、あるいは負傷せられたり中毒せられた方々の援護につきましては、あるいは職業のあっせん、訓練生活の援護等を通じまして、できる限りの努力をいたす所存であることを申し上げておきたいと存じます。(拍手)     —————————————
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 森元治郎君。    〔森元治郎登壇拍手
  16. 森元治郎

    森元治郎君 私は、日本社会党を代表して、椎名外務大臣の韓国訪問について御質問をいたします。  外務大臣は、初め、親善ムードづくりや情報交換が主たる目的であると、ちょうど、ゆかたがけでいくようなかっこうをして韓国を訪問しながら、あっという間に国家間の基本関係を律する重大な条約に仮調印をやってのけたことは、眼中に国会なく、また、国民を愚弄するものであります。外相は初めからこの企図を持って出かけられたのか、あるいは思わずつり込まれてしまったのか。われわれは、外相からこの間のいきさつを明らかにするように要求いたします。足かけ十四年も、もみ抜いた末の基本条約をつくったのに、出てきましたものは条約文と一枚の共同コミュニケだけの発表であります。さんざんごたごたしたあとでありますから、仮調印に至るまでの数々の往復の書簡もあるはずでありますし、議事録の類もたくさんあると思います。これらを発表すべきであるのに、出さないのはどういう意味でありますか。非常に暗い感じを与えます。また、公表をはばかる秘密取りきめがあるのではないか。こういう点も外相にただしたいと思います。  さる十九日、両国の対立から会談が行き詰まったとき、総理は、外相の問い合わせに対して、譲歩して仮調印に酪み切らしたといわれまするが、その内容を明らかにしてもらいたいと思います。同時に、出先にあった外務大臣の心境も伺いたいものであります。  歴代の自民党政府、そして佐藤内閣も、もちろん、懸案を一括解決してから国交正常化へ進むと公言しましたが、一夜にしてこの基本方針を捨て去ったことは、まことに許しがたいことであります。政府は、国交樹立の最終目標であるこの条約を仮調印したのであるから、うっちゃってはおけない。幸い、国会は開会中であるからという論理で、この国会にかけて、これ一本でも批准を強行しようという腹と思われまするが、われわれは、これにはもちろん反対であります。総理の所信を伺いたいと思います。それとも、ほかの懸案解決が一せいにそろうまで気長に待ってもやるつもりかどうか。政府の言う「解決」ということは何を意味するのか。最終的に片づけるのか。または方向づけだけをして、後日に持ち越すたな上げのやり方もあるのか。外務大臣からはっきりしてもらいたいと思います。  また、このつくられた条約をごらんなさい。まことに一夜づけであります。第一に、韓国政府の現実の支配が北に及ばないのを知りながら、昭和二十三年の国連総会の決議、これは、決議といっても、実は何の法律的拘束力はない勧告にすぎないものでありまするが、その百九十五号のうち、自分の都合のいい部分だけを抜き出して、韓国が朝鮮にある唯一の合法政府であるとして、全鮮にその支配が及んでいる合法政府であるかのごとく、ないかのごときの小手先を弄しております。決議というものはその全文をもってその趣旨が尽くされるのであります。なぜ全文を引用しないのか。全文を載せれば、韓国は南を支配するだけの政府であることがはっきりしております。これでは決議の引用は効果がありません。  領域についての含みのある折り合いなどということは前代未聞であります。韓国の管理権の及ぶ範囲はどこと思って折衝しておられるのか。全鮮なのか休戦ラインなのか、休戦ラインの北にある北鮮の政権の存在はいかに認識しているかを伺いたいのであります。なお、参考のために、韓国の面積、人口なども、この管轄権の問題と関連がありまするので、ちょっと参考までに聞きたいと思います。  政府は、かねがね、領土問題がはっきりしない場合は、日ソ国交回復にあたっての共同宣言のように、韓国の場合もその方式しかないとの立場をとっていました。しかるに、今度は、これまた懸案一括解決方式を転換したと同じように、条約の形式をとったのは、全くの場当たり外交というほかありません。  竹島、これは小さい島でありまするが、大きな問題であります。この帰属が問題になっているのはふしぎであります。というのは、この島は去る昭和二十七年の六月に、日米合同委員会で、日本はこれをアメリカの爆撃演習場として貸しまして、そして翌年の二十八年の三月にはアメリカからこれを返されて、解除に同意したのであります。こういういきさつなんです。日本のものであることは、これでも明々白々でありまするが、このような竹島をうやむやにしておいて、基本条約などというものはあり得ません。  外務大臣から伺いたい第二には、一九一〇年八月二十二日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結された条約は、もはや無効であることが確認されたと、条文にあります。日本はサンフランシスコ平和条約第二条によって、朝鮮の独立を承認しております。したがって、それまでの条約、協定などというものは御破算になっている。しかるに突然ここに挿入されている意味がわかりません。どんな条約、協定があったのでありましょう。これを明らかにしてもらいたい。もはや無効になったではわかりません。いつから何が無効になったのか。ひとりのみ込みでは困るのであります。  第三には、この条約は、実におもしろい、お急ぎ条約といったらいいかもしれません。急ぐ、急ぐが、何カ所ありますか、ここに拾ってみましょう。「遅滞なく」、「実行可能な限りすみやかに」が二カ所、「できる限りすみやかに」と、四つも出てまいります。条項はわずか六つか七つの中に、ずいぶん短い中にこれだけあります。これは相互信頼のない証拠とも受け取れます。何か、これを見ますと、どこかの国に言いわけをしているようで、はなはだこっけいであります。条約案文を見ますと、気持ちだけが先で、実態は食っついていけない不合理のごまかしであると思います。  次に、日本政府は、基本条約に仮の署名を終えた勢いで、ほかのものに手をつけようとしています。そこで李ラインの問題について外相に伺います。きのう大臣は、李ラインの撤廃については、韓国側も了解している旨の発言がありました。われわれは、韓国側からは、公式にも非公式にも、さような意向を耳にしてはいません。はたして外相の発言は韓国に非常な反響を与えて、問題が一そうこじれそうであります。あわてた外務大臣は、談話を昨夜発表したようでありますが、いつものことでありまするけれども、大臣のおっしゃることはよくわかりません。韓国は李ラインの撤廃を承認したのか、あるいは、日本側が李ライン撤廃を交渉の方針としていることを韓国が了解している、だから、向うが交渉に応じているところを見ると、日本の方針を了承しているのだと解しているのかどうか。重大問題でありますから、もう一度この本会議を通じておっしゃって説明をしていただきたいと思います。こんなあやふやなことでは、これは外交の権威の失墜であり、あなたの重大な責任となることを知らなければなりません。なお政府は、韓国が李ライン存置をあくまでがんばるならば、漁業交渉は即時中止するばかりか、一括解決方針というのですから、基本条約の批准を思いとどまる決意があるかどうかも伺いたいと思います。  漁業に関する会談について、赤城大臣に伺いまするが、あくまでもわがほうの出漁漁業の既得権は守っていくつもりかどうか。そしてまた、漁業規制の問題とか、海外漁業協力資金の問題とか、これについての内容を伺いたいと同時に、李ラインの問題について、もう韓国側とは話し合いをしなくても、向こうは廃棄を了解しているのだという外務大臣のお説、あのとおりの腹で交渉をやっておられるかどうか。大臣から伺います。  また、法務大臣から、在日朝鮮人の法的地位についての交渉、これは、じみではありまするが、長く問題となり、台湾人あるいは中国人、北鮮の人等にも関係がありますので、この機会に伺いたいと思います。  なお、国交正常化に伴う若干の問題について伺います。  コミュニケによりますると、自由と繁栄に基づく平和をうたっておりまするが、しかしこの条約のねらいは、安全保障という、軍事が優先しているように見えます。韓国の外務大臣も、自由陣営の拡大強化を強調して、そして椎名さんに対しては、一体、南ベトナムはどうやって収拾するのか、あんたの意見はどうだと尋ねているほど、熱心であります。大臣はこれに対して何と答えられたのか。重大であると言っただけなのかどうか。この点は発表されておりません。これを伺いたいと思う。と同時に、東南アジア外相会議に出てくれ。——これは私は出るべきではないと思う。ところが大臣は、研究してみる。——何を研究するのか。この研究は、もうこれから一週間も過ぎておりまするから、研究の結果を発表願いたいと思います。アメリカは、日韓条約仮署名に至る間、側面的に大いに援助をしたことは、隠れもない事実であります。反共の戦略体制が固まった点に、非常に喜んで、拍手を送っております。事実、アメリカは、日本、フィリピン、台湾、韓国、この四つの有機的つながりの中心になっておりまするが、こちらで力を集めますると、向こうにも反響がいきまして、北鮮、中共、ソビエトなどは、さらに警戒心を高めて、結局は五分五分であります。私は、外交というものは、やはり、あちらこちら全体を見てやらなければならないと思います。全朝鮮の統一も、いかなる外国も関係せずに、その民族だけにまかせておけば、遠くない将来には必ず達成できると思います。ベトナムにしても同じであります。韓国がアメリカの要請にこたえて、南ベトナム南方までも派兵したことは、間違いであります。これは反対すべきであります。内政干渉ではない。ほんとうにアジアの平和を願うものは、反対をすべきであります。われわれは、忍耐強く、統一の機運が醸成されるように援助することが大事だろうと思います。少なくも、分離国家をわれわれの近所につくることに加担すべきではないと思いまするが、調和の精神を説かれます佐藤総理大臣のお考えを承ります。  いま政府は、韓国との交渉に熱中しておりまするが、北鮮というものも厳然と存在しております。日本の外交の究極の目的は、全鮮との友好であります。朝鮮独立に伴う日本との関係は、財産請求権問題をはじめ、文化財返還にしても、国籍の問題にしても、たくさんあります。これらの話をいかに処理されるつもりか。向こうから話し合いがあったらどうされるのか。無視をするのか。この際、外務大臣お尋ねをしておきたいと思います。  終わりに、交渉の前途でありまするが、外務大臣現地に参られて、たいへん向こうは静かでよかったというような、のんびりしたことを言っておられまするが、これは当時ごらんのように、軍、警察の力をもって、治安当局の押えによって静かではありますが、それでも十九日の晩は、三万人以上も集まって、何となく不気味なデモをやっております。ほうとうに、民衆の理解、日鮮両方の理解なしに、韓国、日本両政府間だけの独走では、絶対にこういう条約はできるものではありません。やっても、あとで大きな問題になることを御注意申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま日韓交渉についてお尋ねがございました。大部分は外務大臣からお答えすると非常にはっきりしてよろしいかと思いますが、私に対するお尋ねのうち一つは、今回の外務大臣がイニシアルをしてきたこの条約だけでも切り離して、国会に批准を求めたらどうか、こういうお尋ねでありますが、政府は、日韓交渉については、一括解決方式、この態度を改めておりません。この態度は堅持しております。したがいまして、今回のこの条約だけ一本切り離して批准を求めるような考えはございません。  また、この条約につきまして、アメリカ側が介入しておる、あるいは関係しておるのじゃないかというお疑いを持たれたようでありますが、一切関係はございません。これは、はっきり申し上げておきます。  また、この朝鮮の分離、いわゆる南北の統一をむしろこれははばむものではないか、こういうお尋ねでございますが、私どもはたびたび、一九四八年の国連決議、これを尊重する。また、朝鮮半島の統一方式も、いわゆる国連方式によるということを、毎度申し上げております。今回も、この本会議の席をかりまして、はっきりその方式でやるのだということを申し上げておきたい。いわゆる分離を進めるというような考え方ではございません。御了承願います。(拍手)    〔国務大臣椎名悦三郎君登壇拍手
  18. 椎名悦三郎

    国務大臣(椎名悦三郎君) まず初めに、今回の訪韓において、ムードづくりということを言いながら、急激に基本条約の仮調印をしたのは、国民を愚弄するものではないか、こういうお尋ねでございますが、たびたび申し上げましたとおり、私の訪韓は、いわゆる基本的に両国が国交を設定する、正式な国交を設定するという意味において、両国民の間に十分な機運の醸成を前提とするという意味において、親善といっても、きわめて重要な親善を目的としております。そこに重点を置いて訪韓するのであるということを申し上げたのでございますが、私の訪韓中に、基本条約の案につきまして、交渉がきわめて順調に進みまして、これのイニシアルが行なわれる運びになったのであります。イニシアルは、ただ事務の進行上の一つの区切りをつけるという意味でございますので、これは一括解決の問題に決して支障になるものではない。むしろこれを進める上において手続上非常に適当な方法であると考える次第であります。私は出発前に、私の訪韓中に基本条約のイニシアルがあり得る旨を、予算委員会においても明らかにしておいたとおりでございまして、決して国会あるいは国民を愚弄するなどというものでは絶対にございません。  非常に簡単な取りきめしか発表されておらないが、何か陰に隠れた取りきめはないか、いわゆる秘密取りきめの疑いがあるが、そういう事実はないかという仰せでございましたが、かようなものは一切ございません。全く発表したとおりであります。  それから、総理に対して譲歩の訓令を仰いだというようなことも、これもございません。私の現地における心境は、まことに満足すべき状態であったのでございます。  それから、これは一夜づけのものじゃないか、こういうようなお話でございましたが、一夜づけどころか、本条約に達するまで十年以上の歳月を費やしておることは御承知のとおりであります。  竹島の解決は、これは他の領土と切り離して、両国の主張が食い違っておりまするので、別途にこの問題の解決はいたしたいと考えております。いずれにいたしましても、この竹島の問題については、一括解決の際に十分にその解決のめどをつけてまいりたいと考えております。  それから、条約案の名称を、共同宣言というふうに承知しておったが、条約と変更したのはどういう意味かということでございますが、これはどちらでもよいのでありまして、内容から見て条約としてもよいと考えたのみならず、韓国側の要望もございましたので、条約といたしただけの話であります。  それから、国連の決議は都合のいいところだけを引用しておるのではないかというお話でございましたが、これは疑いもなく全文が引用されておるのでございますから、御了承を願います。  それから、韓国政府が現に支配しておる地域の面積は九万九千五百九十九平方キロメートルであり、人口は一九六二年十二月一日現在におきまして二千六百二十七万七千六百三十五名ということになっております。  条約交渉について、ただひたすらに急いで一夜づけのものをつくったということが、その案文にもあらわれておるというようなお話でございましたが、さようなことはないのであります。  それから、この条約案について、アメリカが何らかのあと押しをするなり関係をしておるのではないかというお話でございましたが、全然関係はいたしておりません。  なお、朝鮮が分裂しておるのは、第二次大戦の生んだ悲劇の一つであって、朝鮮統一が実現することは、われわれとしても切望するところであります。  韓国のベトナム派兵は、韓国と南ベトナムとの関係でありまして、わが国の関知するところではありません。  一九一一年以前の条約、協定はもはや無効だというが、一体これは何を意味しているのかというお話でございます。併合条約が無効となった時点は、同条約の内容と矛盾する事態が生じたとき、すなわち大韓民国の独立が、一九四八年八月十五日に独立宣言が行なわれたのでございますが、そのときに無効になったという意味であります。それから、併合条約締結以前に締結された条約等につきましては、それらの条約等の定めるところに従って、あるいは終了し、あるいはまた併合条約締結によって失効したと、かように解釈されるのであります。  それから、竹島の問題についての御質問がございました。日米合同委員会が、昭和二十七年七月二十六日、在日米軍の使用する海上演習場として竹島を指定し、さらに昭和二十八年三月十九日の日米合同委員会分科委員会が、竹島を演習場区域からこれを除外するということを決定したことは、お説のとおりであります。竹島に対するわが国の主張は正しいと確信しておるが、国際司法裁判所等でその帰属を決定することによって、この問題を円満裏に解決したいと思っておる次第であります。  李ラインについての御質問お答えいたします。一九五二年一月十八日に、李承晩大統領が、広く公海上にわたる海域を画定する大韓民国隣接海洋の主権に対する大統領の宣言というものを発出したのであります。この宣言は、韓国海岸線から最大百九十海里に及ぶ公海の海面の上下に対し、排他的な主権を主張するものでありまして、公海自由の原則を根本的に破壊し、国際漁業協力の基本観念とも相いれない措置であるので、わが国から厳重なる抗議をいたしましたが、韓国側は、国際的先例があると称してこれを受け付けなかったいきさつがあるのであります。で、わがほうといたしましては、向こうの態度いかんにかかわらず、国際法上または国際慣例上もこれを認めることはできません。漁業会談取りきめにより、結局その実体を消滅せしめるということを期待しておる次第であります。わがほうの方針につきましては、たびたび国会においてもこれを明らかにしておるのでございまして、当然、韓国側においてわがほうの方針はこれを承知しておるものと思うと、かような趣旨を昨日も分科会において明らかにした次第でございます。わがほうの方針について承知しておるはずであります。こういうことでございますから、誤解のないようにお願いいたします。  今後の交渉の見通しにつきましては、韓国国民も、あるいはまた韓国世論を代表する韓国の各新聞も、日韓間の国交正常化、その交渉を支持しておる次第であります。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇拍手
  19. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) ただいま第七次日韓会談をいたしておりますが、漁業問題につきましては、漁業委員会で折衝いたしております。その経過及び懸案として残されている主要問題、及び、これに対するわが国の態度を御答弁申し上げます。  第一は、李ラインの撤廃を前提として漁業交渉の妥結をはかるという方針は、変わりございません。  第二は、そのために、いま外務大臣からお話がありました、李ラインは、百九十海里も韓国の沿岸から離れたところに引かれておるのでございますが、そういうことであってはならない。しかし、漁業の専管水域というものは、国際先例にあるのでありますので、漁業専管水域の幅をきめたい。これは先例に従いまして、十二海里ということになっておりますので、十二海里説をとっております。その専管水域をはかる基線につきましては、日本側といたしましては、原則として沿岸の低潮線をとるべきだ、こういうふうに考えておりますが、これも国際慣例に従いまして、韓国の西の岸及び南の岸等におきましては、海岸線の屈曲が激しく、また、海岸に一連の島嶼がある等のことがありますので、低潮線の例外といたしまして、一九五八年の「領海及び接続水域に関する条約」の趣旨及び国際先例に合致すると認められる合理的な範囲内で、直線基線の採用を認めることはやむを得ない、こういうふうに考えております。その十二海里の外側の海域は、公海自由の原則によるべきでありますが、何らかの資源保護の措置をとるといたしましても、それは両国に公平に適用され、かつ、合理的なものであるとともに、実施可能な規制措置でなければならないということで、十二海里の外に両国の共同規制区域をつくっていくということで話を進めております。  なお、具体的な内容につきましては、それぞれ進んでおりますけれども、この際、発言を差し控えさせてもらいます。(拍手)    〔国務大臣高橋等君登壇拍手
  20. 高橋等

    国務大臣(高橋等君) 日韓会談におきまする法的地位のお問いにお答えをいたします。  まず、在日韓国人のどのような範囲の者に永住権を与えるか、永住権を与えた者の強制退去をやる場合には、どういうふうな場合にやるか、それらの者に対する処遇をどうするか等の問題点について、討議をいたしておるのでございますが、これらの韓国人は、終戦の日以前に日本人として来日しまして、その生活の基盤を確立した者及びその子孫でございまして、しかも、自己の意思によらないで日本国籍を喪失して、日本人として受けた待遇を失ったという事情にあるのであります。その特殊な地位を考慮しまして、安定した永住権を与え、また、なるべくよい処遇をするという方針で解決すべく、いま努力をいたしておる次第でございます。(拍手)      ——————————
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第五、国務大臣報告に関する件(昭和四十年度地方財政計画について)  自治大臣から発言を求められております。発言を許します。吉武自治大臣。    〔国務大臣吉武恵市君登壇拍手
  22. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) このたび昭和四十年度の地方財政計画を策定いたしましたが、この機会に、これを中心として、明年度の地方財政の見通し及び地方財政に関する政府施策の概要について申し述べたいと存じます。  最近における地方財政は、歳入の伸びの鈍化と義務的経費の増高とにより、その運営に困難の度を加えきており、政府としても、その健全化の促進については、格段の努力をいたしているところであります。  昭和四十年度の地方財政は、安定成長の段階に入った経済の現況をも反映し、地方税、地方交付税等の歳入において、従来見られましたような大幅な伸張を期待することが困難である反面、給与関係経費等の義務的経費、社会保障費等の住民の福祉に直結する経費は、ますます増大する傾向にありますため、その健全性を堅持して、負荷せられた任務を遂行するためには、かなりきびしい局面を迎えるものと思われます。したがいまして、主として一般会計を対象とする地方財政計画の策定に際しましては、これらの客観情勢を念頭に置き、国の予算と同一の基調に立って極力地方財源を確保し、財政の健全化と行政水準の向上をはかるとともに、新産業都市の建設等の事業等に対する国の援助措置の確立等をはかることにより、社会開発の推進に資することを基本方針といたしました。  すなわち、明年度におきましては、地方交付税率を〇・六%引き上げ、新たに石油ガス譲与税を創設する等、地方一般財源の充実強化をはかるとともに、新産業都市の建設等の事業に対する国の財政援助措置を確立し、また、前年度に引き続き、地方交付税を財政力の貧弱な地方団体に傾斜的に配分することにより、地域開発の促進と地域格差の是正をはかることといたしております。  また、住宅、上下水道等、生活基盤施設整備、過密化した大都市の再開発及び地方公営企業の健全化等を促進するため、地方債資金を増額いたしております。  以上の施策を重点として、昭和四十年度の地方財政計画を策定いたしました結果、その総額は三兆六千百二十一億円となり、国の一般会計予算三兆六千五百八十一億円に、ほぼ匹敵する規模となっております。その前年度に対する増加額は四千七百四十億円、増加率は一五・一%でありまして、増加額、増加率とも、国の一般会計予算のそれを上回っており、地方財政の占める比重の相対的な上昇を如実に示しております。しかし、総体の規模の伸びは、昭和三十九年度の場合の増加率一九・二%よりは低下しており、全体として引き締め基調というべきものと存じます。  歳入面では、前年度に比べた場合、一般財源の伸びがやや鈍化しておりますが、財源充実のための各種の措置がとられました結果、地方税で二千四十五億円、地方譲与税で七十六億円、地方交付税で七百八十一億円、国庫支出金で千三百十六億円、地方債で三百二十六億円、その他で百九十六億円の増をそれぞれ見込むことといたしました。  歳出面では、給与関係費の増が千八百四十七億円、社会保障関係費、農業構造改善対策費、中小企業対策費等、国の施策に伴う経費の増が六百十六億円、公債償還費の増が百九十二億円等、弾力性の少い経費の増加が比較的に大きく、したがって投資的経費の増加率が相対的に若干低下してはおりますが、なお、公共事業費において八百九十八億円、地方単独事業費において六百八十四億円の増を確保し、さらに地方単独の一般行政費において三百六十億円、維持補修費において百十億円を増額いたしております。  昭和四十年度の地方財政計画の概要は以上のとおりでありまして、政府といたしましては、地方団体が歳入の確保につとめ、経費の重点化、効率化を行ない、その健全化を促進しつつ、住民福祉の向上をはかるための地方独自の施策の遂行を可能ならしめるよう、できる限りの措置を講じているのであります。  なお、公営企業会計及び国民健康保険会計におきましても、その健全化を促進するため、可及的に必要な措置を講ずることといたしております。  もとより、明年度の地方財政は、その歳入の伸びの鈍化から、ここ数年間に比べますと、かなり慎重な運営を必要とすると考えられまするが、地方団体関係者の一段の努力を期待いたしますとともに、政府といたしましても、その指導に遺憾なきを期し、地方財政の健全化について格段の努力をいたしてまいる所存であります。(拍手
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。加瀬完君。    〔加瀬完君登壇拍手
  24. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま御説明のありました昭和四十年度地方財政計画について質問をいたします。最近の財政計画は幾つかの問題点を蔵しております。地方財政の赤字化、地方財源の不足、委任事務における地方の過重負担、相変わらずの税外負担等々、問題は多いのであります。しかも、本財政計画におきましても、これらの点は解決をされておりません。以下、順を追って質問をいたします。  質問の第一点は、地方財政の赤字化の問題であります。最近、地方団体の赤字化が叫ばれまして、ただいまの御説明にもございましたけれども、その原因が過剰な人件費の膨張にあると喧伝をされている向きがございますが、この把握は正しくはありません。たとえば、三十七年決算から見ましても、三十年を基準といたしますと、地方の歳出規模は二・五倍であるのに、建設事業費は約四倍であります。なお、この事業費は、地方独自の事業のやり過ぎではございませんで、国の補助事業や、国の事業の地方負担分の増加、あるいはまた、国の事業に対する地方のつぎ足し分が大部分であります。すなわち、政府の高度成長政策、経済政策が地方に過重な負担をさせて、これが赤字の原因をつくっておるのでございます。本財政計画におきましても、規模を引き締めたといいましても、道路や港湾等の産業基盤強化のための事業は、政府の予想経済成長率を五%も上回っております。さらに、政府が説明するように、ひずみの是正や社会開発の推進を行ないますならば、引き締めは破綻を来たしまして、むしろ財政膨張に転ずるおそれがあるのであります。さらに収入が、この支出に追いつきません場合は、地方財政の赤字化を一そう助長させることにもなりかねません。問題は、地方財政の健全化を真に望みますならば、地方の能力を越えたこれらの負担に対しまして、国の責任が明らかにさるべきでございます。  次の問題は、この過重負担の財源が、何によって補てんをされてきたかでございます。地方団体は、いままでみずからの単独事業を切り捨てまして、これが穴埋めに使ってまいりました。したがいまして、財政計画での最大の問題は、一つは国の事業のための地方の過重負担をどう解消させるか、二つは地方の単独事業費の完全運用化でございます。この解決がありませんければ、地方財政の赤字化を防ぐわけにはまいりません。そこで、大蔵、自治両大臣に伺いたいのでございますが、本財政計画におきまして、地方の過重負担が修正をされ、財政上の国の責任が明らかにされておりますか。あるいはまた、住民の直接福祉を進める単独事業費が確実に確保されておりますか。この二点に対しまして、具体的にお示しをいただきたいのでございます。  質問の第二点は、税外負担でございます。かつて政府は、地方財政計画で幾たびか税外負担の解消の約束をしたはずでございます。しかし、税外負担は一向に解消をされないのでございます。その一つは国有財産への寄付であります。一例を文部省にとりますと、昭和三十三年に比べて、三十七年の決算は約四倍の寄付額になっております。具体的に申しますと、鹿児島大学付属病院の建築には二億五千万円を鹿児島県が、名古屋大学は施設整備後援会の名で十五億円を、埼玉大学付属小学校校舎建設期成会は二千九十八万円を、大阪学芸大学付属中学、幼稚園PTAは三千五百六十一万円を、愛知学芸大岡崎中学校父母と教師の会は、これまた同校に三千万円を、寄付させられておるのであります。これらは、いずれも地方財政法違反のはずであります。国が違反を行なっているのであります。文部大臣は、この事実をお認めになられますか。  その二つは、都道府県に対する住民の税外負担であります。地方財政法の第二十七条の三によりますと、「都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」、こう規定をされております。それにもかかわらず、都道府県は、施設積み立て金、施設永年充当費といったような名目で、ある県においては三十八年度に二十二億円、全国のを推計いたしますと、五百億円以上が税外負担として住民に転嫁をされておるのであります。さらに某県におきましては、事実は、高等学校の建築費に振り向ける目的で、一般財源に寄付し、その寄付額は寄付該当地区の高校建設費に振り向けているのであります。これは地財法の違反であります。しかし、これが地方財政の実態であります。しかも、この実態は、地方財政計画の中には組み入れられておりません。したがって、地方財政計画が何回書きかえられましても、地方財政の真実は伝わらないのでございます。この事実を自治大臣はお認めになりますか。  そこで、あらためて、総理お答えをいただきたい点が三点ございます。  国も府県も、財政法違反を平然と行なっている事実を、どうお考えになりますか。違反行為を黙認をして、歳入歳出のバランスをつくってある財政計画を妥当なものとお認めになりますか。そして、このような不法な税外負担を直ちに解消をする御指示をなさるお気持ちはございませんか。  質問の第三点は、地方の委任事務に伴う経費負担の問題であります。国は多くの国家事務を地方に委任をいたしております。国民年金や国民保険、あるいは農業委員会や生活改善普及員といったごとくでございます。これらの委任事務に対しましては、当然それを行なう財源は国が保障をすべきはずであります。ところが、事実は違うのであります。三十七年度決算で、市町村の農業委員会書記の一人当たり給料は、実支出は四十二万三千六百六十四円、全額国庫負担のたてまえでありますのに、国の補助は十万四千三百四十九円、二四・六%にすぎません。国保事務員経費の被保険者一人当たりの実支出は二百五十五円、補助額は百十九円、四六・七%であります。この傾向は、補助金の予算単価でも同様でございまして、公営住宅の用地費は、支出実額の三千三百十円に対し、補助の単価は八百九十六円であります。義務制の諸学校にいたしましても、ある町村を取り上げますと、補助対象が三千六百八十五坪に対し、二千二百六十五坪、六一・五%しか補助されてはおりません。この問題を解決をするためには、四十年度地方財政計画の国庫支出金は大幅に増加を示すべきであります。しかし、本財政計画は、前年度に比し、その増率において、国庫支出金は約四%、普通補助費負担金は一〇・二%の減となっております。本財政計画におきましても、国の補助負担額は是正をされておらないと思いますが、自治大臣お答えをいただきます。  是正をされておらないとすれば、地方財政法二条二項の、「国は、地方財政の、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」、こういう内容に明らかに違反をすると思いますが、総理大臣お答えをいただきます。  質問の第四点は、公共料金の問題であります。  本財政計画は、ひずみ是正の一環といたしまして上下水道等の生活基盤整備を取り上げ、この財源に地方債を確保すると述べております。しかし、地方債は、借り入れ額と支払い額が、もはやとんとんになってまいりまして、地方債としての財源は限度に来ておるのであります。本年度におきましても、地方債の伸び率は五・八%減っております。ふえておりますのは、使用料、手数料の六%、雑収入の四%、むしろ料金のほうであります。このことは、各地におきまして、水道料金、授業料等が社会問題を起こしている事実に徴しましても明らかでございます。上下水道の膨張は、必ずしも住民の責任によるべきものばかりではございません。国の人口政策なり、住宅政策なりの、しわが地方に及んで、住民の意思にかかわりなく規模の拡大に迫られているのが実情でございます。国の政策のひずみや社会現象の変化のしわを住民だけに押しつけますことは、これでは国の責任がいずこにあるかと疑わざるを得ないのでございます。  次に、水道料金が上がり、授業料が上がり、さらに歳入の伸び率が全部減っておりますのに、使用料や手数料だけが六%もふえておるということは、公共料金は少なくとも政府の物価上昇予定率の四・五%をはるかにこえて上がると見なければなりません。地方の公共料金をこのように野放しにいたしておきまして、政府は物価上昇を予定の線で押えることが可能なのか、経済企画庁長官に伺いたいのでございます。  さらに、公共料金が上がることは、資材、労賃が上がることになりまして、財政計画全体が破綻を来たすことになるのでございますが、大蔵、自治両大臣に、この点の御説明を伺います。  さらに、公営企業の独立採算制をたてまえにとっておるようでございますが、独立採算制は平常な業務の運営において行なわれるべきものではないでしょうか。拡張費や経営のまずさまでも全部住民に転嫁されるということは不当でございます。社会開発の意味を拡張するならば、国が責任を負うべき性格のものではないかと思います。あわせて御説明を願います。  私は、最後に、本財政計画最大の矛盾を指摘したいのでございます。  政府は、地方の公共料金の引き上げを無条件に行なおうといたしまして、さらに税収の見積もりにいたしましても、府県民税所得割では三六%、市町村民税所得割では三三%の過大な増加見積もりをいたしております。国民所得の伸びは、三十九年度では一二%でありますのに、住民の所得だけを三三%とどうして見積もれるのか。結局、これでは大衆課税の方法をとらざるを得なくなります。国は減税、地方は増税、こういうことが再び繰り返される懸念があるのでございます。このような過大な歳入見積もりをいたしまして、これがうまくいきませんときには、基準財政収入額はくずれてくるのでございます。基準財政収入額の寡少を見越しまして、地方財政審議会は、「明年度の地方財政は一そう困難な財政事情が予想をされる。従来の例から見ても、少なくも地方交付税率を一・五%引き上げることが妥当である」、こういう勧告を政府に対して出しておるはずでございます。しかし、ただいま御説明のように、交付税率の増は〇・六%であります。同じ地方財政の中で、公営企業は何十%の歳入増を必要といたしまして、一般会計は、地方税も、地方譲与税も、国庫支出金も、目一ぱいに見込んでも、全部伸び率が減っておりますのに、交付税の伸びは〇・六%で足れりということは、どういうことでございましょうか。交付税の算定方法は完全に修正されておるのでございましょうか。どういう単位費用の積み上げをいたしまして〇・六%でいいという結論が出たのでございましょうか。審議会の答申の一・五%の必要はないという理由を明示していただきたいのでございます。さらに、一般財源が〇・六%の交付税の引き上げで十分であるとするならば、逆に、なぜ、はるかに比率をこえた公共料金の値上げを行なうのでございますか。同じ地方財政に対処いたしますのに、一般会計では余裕がありと見、特別会計だけが、はるかな不足であると訴えます点は、大きな矛盾でございます。矛盾でないとおっしゃいますならば、自治大臣に、矛盾でない理由を十二分に御説明を願いたいのであります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  国と地方との関係、また地方自治体のあり方等につきまして、加瀬さんからいろいろ御意見をまぜてのお尋ねがございました。もちろん、その財政の観点に立ちましては、国も健全財政、地方もやはり健全財政でなければならないと思います。これは基本的態度だろうと思います。しかして、ただいままでのところ、この地方財政計画を立てるにいたしましても、また、ただいま御指摘になりました税外負担の問題にいたしましても、また、国が委任しておる事項、あるいは委託しておる事項等につきましても、必ずしも全部が理論とおりに一つの分配の原則によっていると——一応はよっておりますが、必ずしもそのとおりになっておらない。ことに税外負担などは、これはやめろ、もうずいぶん長い問題でございます。また、国が地方に仕事を委任し、委託する場合でも、超過負担をさせないように、これが毎回問題になっております。しかしながら、なかなか解消されない。この上とも私ども努力するのはもちろんであります。しかして、こういう事柄がなぜ解消できないか。これには、やはり中央と地方とのあり方について、その結びつきについて、在来からのいろいろの慣行もあるようであります。また、その慣行自身が私は全部が悪いとは思いません。しかしながら、この慣行あるいは歴史的な沿革、そういうものだけにたよっておりますと、御指摘になったような点は改善されない。かように思いますので、ただいま御指摘がありましたが、いま、地方の行政並びに財政制度調査会が開かれておりますが、この調査会がいずれその答申を出してくることだと思います。そういう際に、政府考え方とあわせて、十分に地方と中央との分配の問題、これは財源をも加味しての分配の問題、そういうことを気をつけてまいりたいと思います。しかし、いわゆる税外負担と言われるもの、ただいま御指摘になりました文部省関係のものなどについては、これは解消すべきだ、また、地方財政法もそれを要求しておる、またそれを禁じておる、かような立場でございますので、国においてはもちろんのこと、税外負担——この意味で国民の負担の均衡を失するようなことのないように、また国の行政自身が誤解を受けないように厳に戒めておりますが、また地方団体自身も地方の行政の範囲においての税外負担を避けるという、これは自治体自身の努力にぜひとも期待をかけたい、かように思いますので、官民一緒になりまして、ただいまのような御主張を具現していく、かようにいたしたいものだと思います。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  26. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私からお答えいたしまするものは、国の事業のため地方の超過負担が非常に多い、その超過負担がありますために単独事業が非常に圧縮せられておるということ等であります。  国の補助単価につきましては、総理からもただいま申し上げましたが、これは実績単価というのではなく、標準単価で補助をいたしておるわけでございます。なお、補助金等合理化審議会の答申等も十分しんしゃくをいたしまして、毎年実情に即して単価の是正等をはかっておることは御承知のとおりでございます。  それから単独事業が非常に少なくなったということでございますが、単独事業は、今年度、御承知のとおり、一般行政経費の増三百六十億円、維持補修費の増百十億円、建設事業費の増六百八十四億円等の増を織り込みまして、総額九千四百四十六億という計上でございます。これは昭和三十九年度に比べますと千百五十四億円の増額となっておるわけでございます。ただ、単独事業と補助事業ということを別々に考えないで、これがあわせ行なわれるところに、地方住民の福祉の向上がはかれるわけでございますので、このバランスを十分とっていきたいと考えておるのであります。  第二点は、交付税率の引き上げが〇・六%になった、これは十分ではないということでございますが、御承知のとおり、国家財政も安定成長期に入りまして、税収の伸びもいままでのように期待することができない状態になっております。地方も国も健全な財政を築いていかなければならないことは言うをまたないわけでございます。ことしの国の予算と地方財政の予算を申し上げますと、国は三兆六千五百億でございますが、その中から地方に対する交付税及び国よりの支出金九千数百億円を計算をしますと、国の予算の中で実際は地方の予算であるものが一兆七千五百億余あるわけでございます。でございまするから、国単独の数字は約一兆九千億ということになります。でありますから、実質的には地方財政は国の財政の約倍でございます。こういう実情を考えていただくときに、両方とも健全均衡を維持しなければならない状態のときでありますので、現在四十年度予算において〇・六%の交付税率の引き上げということは、政府としても相当思い切った処置だと考えておるのであります。(拍手)    〔国務大臣吉武恵市君登壇拍手
  27. 吉武恵市

    国務大臣(吉武恵市君) お答えを申し上げます。  第一点は、地方財政が赤字になっている原因は、人件費と言っているけれども、超過負担が多い、こういうお尋ねでございますが、もちろん超過負担もございまするけれども、先ほど御報告申し上げましたように、三兆六千億の地方財政のうちで、人件費は一兆三千億、約三七%を占めておりまして、来年度のいわゆる伸び四千七百億のうちで百八十四億というものが人件費の増でございますので、相当多くの部分を占めているということは御了承いただきたいと思います。  なお、超過負担につきましては、お話のように地方にだんだんに仕事が増加してまいります。したがって、その超過負担が相当になっていることも事実でございます。超過負担に対する是正の点につきましては、四十年度の予算編成に際しましても、私のほうから各省にお願いをし、そうして先ほど大蔵大臣からもお答えがありましたように、学校の建設費の単価にいたしましても、あるいは国民健康保険の事務費の引き上げ等にいたしましても、相当の是正が行なわれておるところでございます。今後もこれにつきましては、努力をするつもりでございます。  なお、税外負担の点は、先ほど総理大臣からお答えになったとおりでございまして、私どもといたしましても、地方財政法のたてまえからいたしまして、これは極力やらせないようにいたしていくつもりでございます。  次に、公共料金の点でございますが、最近、水道その他の料金の値上げが地方のほうで行なわれつつあるのでございますが、この公共料金はやはり独立採算制のたてまえをとっておりますので、このいわゆる赤字を一般会計で負担するということはいかがかと存じまして、私どもはその独立採算制の中でまかなっていくように指導をしているわけでございます。ただ料金の値上げにつきましては、これがあまり多くならないように、できるだけ自粛をしていただきたいということを申しておる次第でございます。  なお、先ほど大蔵大臣からお答えがございましたように、だんだんと国の事業が委任されていって、したがって、地方の団体の単独事業というものが減ってきているじゃないかというお話でございますけれども、今度の四十年度の予算編成に際しましては、できるだけそういうことのないようにということで、単独事業につきましては、一般が一五・一%の伸びでありましたけれども、この単独事業はやや上回って計画をしております。それは財源のほうはどういうふうに生み出しているかとおっしゃいますると、ごらんのように税の伸びはそうあまりございませんので、地方債のワクを広げて、これでまかなうようにしているような次第でございます。  なお、地方交付税率が〇・六では少ないではないかというお話でございますが、これは私どもとしては、当初もう少し増額をということを考えておりましたが、この最初の一・五%の交付税率の引き上げを要求いたしました根拠は、三十九年度と四十年度に行なわれました国税の減税が、直接地方交付金の減収になりまするものを補てんするといたしますれば、一・五%を必要とするということでございます。しかし、御承知のように、国の財政も四十年度の財政では非常に緊縮の財政をとられておる中でございまするので、〇・六%はやむを得なかったであろうと思います。これでも従来よりは百四十五億の増額になっておるような次第でございます。  以上、お答え申し上げます。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登壇拍手
  28. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、現在まで国立学校が地方財政法あるいは地方財政再建促進特別措置法等に違反するような、違法な寄付金は受けていないと考えますけれども、実質的に地方公共団体その他住民の負担に強制的になるようなことは避けなければならない。この点は御趣旨のとおりと思います。  次に、国立学校の土地建物の寄付等は、たとえば県立大学を国立に移管いたしますような場合に、地方公共団体から寄付を受けたり、あるいは学校の敷地が道路に収用されたことに伴う補償などについて、寄付を受けることがございますが、これは御承知のように法律規定によって認められたものでございます。  それから、次に、国立高等専門学校の用地につきまして、しばしば問題が提起されました。地方公共団体から提供を受けて、無償でこれを使用しているという事実がございますことは遺憾でございます。これは国有地との等価交換等の方法によって処理すべきものと考えるわけでございますので、たとえば四十年度の計画で申しますと、七つの高等専門学校を新設いたす計画でございますが、そのいずれも、国有地、または国有地と地方公共団体の所有地との交換で処理することにいたしまして、実質的にも地方公共団体の負担にならないことにいたすことにいたしましたので、御了承いただきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣高橋衛君登壇拍手
  29. 高橋衛

    国務大臣(高橋衛君) お答え申し上げます。  物価の安定に対して、政府が非常に強い決意をもって臨んでいることは御承知のとおりでございます。先ほど地方財政計画において、使用料の増収見込み六%というお話でございました。これはおそらくは施設増加等によるものを相当大幅に見込んでおるものと私どもは考えておりまして、公共料金の引き上げというふうにこの数字を解釈はいたしておりません。なお、公共料金につきましては、昨年の一月、一年間これを停止するという措置をいたしました次第でございますが、その対象となるところの企業等において、非常に採算が困難な問題等も生じてまいっておりまする関係もございまして、一応、一年間の期限後はその措置を停止することにいたした次第でございますが、しかしながら、公共料金を抑制するという基本的な態度は、いささかも変えておりません。すなわち、合理化その他あらゆる措置を講じて、最小限度成り立つ範囲において公共料金の引き上げを認めるという措置を、しかもケース・バイ・ケースで認めていっている次第でございます。国自体の公営企業につきましては、鉄道料金をはじめとして、これを引き上げないという措置をとっていることは御承知のとおりでございます。したがって、地方公共団体におきましても、国のこの強い決意、この強い態度に即応して、ぜひそういうふうな態度をもって臨んでいただきたいということを、繰り返し強く公共団体に対して要請いたしておる次第でございます。(拍手、「議長、答弁漏れ」と呼ぶ者あり)
  30. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 加瀬君の発言の時間は、すでにありません。答弁漏れのところは御指摘ください。
  31. 加瀬完

    ○加瀬完君 答弁漏れがあるのですよ。先ほどあげました税外負担は法律違反であると思いますけれども、法律違反とは認めないのか。それから、法律違反とお認めになるならば、直ちにこれを禁止をする御指示はなさらないかどうか。この二点。    〔国務大臣愛知揆一君登壇拍手
  32. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 先ほどお答えいたしましたとおり、法律に違反する違法の寄付というものは受けていないと私は考えるのでありますけれども、その法律の趣旨等からいたしまして、改めるべきことは改めなければならない。そこで昭和四十年度における措置についても、先ほど具体的にお答え申し上げたとおりでございます。(拍手
  33. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  34. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第六、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府フランス共和国政府との間の条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長小柳牧衞君。    〔小柳牧衞君登壇拍手
  35. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ただいま議題となりましたフランスとの租税条約につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この条約は、OECDのモデル条約案にのっとったものでありますが、国税のほか地方税をも条約の対象とした点を除いては、従来わが国が欧米諸国との間に締結したものと、ほぼ同様の内容を有しております。  そのおもなるものとしては、相手国に設置した恒久的施設を通じて行なう事業の利得に対する課税の原則。配当、利子、使用料に対する課税の限度。船舶、航空機に対する免税。政府職員、短期滞在の教授、学生等に対する免税。二重課税回避の方法等を規定したものであります。  この条約締結により、両国間の二重課税が回避され、経済、技術、文化の面における交流が一そう促進されることが期待されるとの政府の説明でありました。  委員会におきましては、この条約により、個人及び法人の受ける具体的便益、両国相互の企業進出の現況等について質疑がありましたが、詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  二月二十五日採決の結果、本件全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  36. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本件を問題に供します。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  37. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件承認することに決しました。      ——————————
  38. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第七、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局支局出張所設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)、  日程第八、鉄道敷設法の一部を改正する法律案内閣提出)  以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長松平勇雄君。    〔松平勇雄君登壇拍手
  40. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 ただいま議題となりました承認案件及び法律案について、運輸委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局支局出張所設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。  本件は、厚岸港、小木港及び田子の浦港において、最近、経済の急成長に伴い出入港船舶が激増し、海運関係事務量が増大していることに対処するため、これらの港に海運局支局出張所設置することについて、国会の承認を求めようとするものであります。  委員会におきましては、これらの出張所設置の必要性と業務の内容等について質疑が行なわれた後、討論に入りましたところ、別に発言もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案どおり承認すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、鉄道敷設法の一部を改正する法律案について申し上げます。  鉄道敷設法は、わが国の鉄道網の完成のため日本国有鉄道が敷設すべき予定鉄道線路と、鉄道建設審議会の設置等について定めたものでありまして、敷設予定の鉄道線路は別表に掲げられております。  本改正法案は、東京都及びその周辺並びに琵琶湖周辺の交通事情等の変化にかんがみまして、新たに別表の予定鉄道線路に、東京都国分寺付近より神奈川県小倉付近に至る線を追加するとともに、別表予定鉄道線路のうち、東京都品川付近より千葉県木更津付近に至る鉄道の起点を神奈川県塩浜付近に、滋賀県浜大津より高城を経て福井県三宅に至る鉄道の起点を京都府山科に、滋賀県今津より塩津に至る鉄道の終点を沓掛付近に、それぞれ変更しようとするものであります。  委員会におきましては、追加線路の経済効果と都市交通緩和に及ぼす影響、国鉄第三次長期計画と新線建設計画との関係、及び、鉄道建設公団設立後の新線建設工事の進捗状況等について、熱心に質疑が行なわれましたが、その詳細については会議録により御承知願いたいと存じます。  以上で質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって本法案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  41. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局支局出張所設置に関し承認を求めるの件全部を問題に供します。  本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  42. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件承認することに決しました。      ——————————
  43. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 次に、鉄道敷設法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  44. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  45. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第九、会計法の一部を改正する法律案、  日程第十、物品管理法の一部を改正する法律案  (いずれも内閣提出)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長西田信一君。    〔西田信一君登壇拍手
  47. 西田信一

    ○西田信一君 ただいま議題となりました二法律案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  まず、会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  従来、国の債権者に対する支払い手続上の特例として、隔地の債権者すなわち支出官の取引先日本銀行の所在地外にいるものに限り、日本銀行に必要な資金を交付して、債権者の銀行預貯金口座に支払い金を振り込む方法により、支払いを行なわせることができることとなっておりますが、本案は、この銀行振り込みによる支払い方法を、当地の債権者すなわち支出官の取引先日本銀行の所在地にいるものについても取り入れることとし、債権者の利便、事故防止及び国の支出事務の合理化等をはかろうとするものであります。  委員会におきましては、本案と臨時行政調査会の意見との関係、国の会計事務合理化状況等の諸点について質疑がなされましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、物品管理法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、物品管理法昭和三十二年一月施行されて以来の物品管理の実情にかんがみ、事務処理手続を実情に即して改める等、管理の簡素合理化をはかり、より実効性のあるものとするため必要な改正を行なおうとするものであります。  おもな改正点を申し上げますと、第一は、物品の分類の設定、分類がえ等をする場合の、各省各庁の長からの大蔵大臣への協議を廃止しようとするものであり、第二は、各省各庁の長が、物品の分類がえや管理がえの命令及び承認、不用決定の承認、職員に対する弁償命令の権限を、部下の職員に委任できることにしようとするものであり、第三は、物品の需給計画及び運用計画制度を廃止し、物品管理官が物品の管理に関する計画を定めることにしようとするものであります。なお、そのほか、物品管理機関の補助者についても弁償責任を課することにするとともに、物品の管理に関する報告及び検査制度等について簡素合理化をはかることにしようとするものであります。  委員会におきましては、物品の増減及び現在額総計算書について会計検査院の検査を不要とした理由、物品の亡失等の事故発生状況、弁償責任決定の実情、異なる省庁間の物品の効率的活用の方法、物品の一括調達と中小企業の契約参加への配慮、臨時行政調査会の意見に対する当局の方針等について質疑がなされましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  48. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  49. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。      ——————————
  50. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第十一、銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長天坊裕彦君。    〔審査報告書は都合により第十一号末尾に掲載〕    〔天坊裕彦君登壇拍手
  51. 天坊裕彦

    ○天坊裕彦君 ただい左議題となりました銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果について報告いたします。  この法律案は、最近における暴力団その他により銃砲刀剣類が不法に所持及び使用される実情にかんがみ、これを規制しようとするものでありまして、第一に、拳銃等は、国、地方公共団体等を除き、何人も輸入することを禁止し、新たに輸入罪を設け、その罰則を重くしたことであります。第二に、許可を受けた銃砲刀剣類を譲り渡し、または貸与する場合には、譲り受け人または借り受け人が適法に所持できる者であることを確認し、または許可証の提示がなければできないことにするとともに、登録を受けた銃砲刀剣類を授受する場合についても、登録証とともにしなければならないこととし、登録証のみの譲り渡しまたは譲り受けを禁止し、譲り受け、相続等をした場合の届け出期間を二十日以内に改めることとしたことであります。第三に、建設業の用途に供するため必要なびょう打ち銃等につきましては、所持許可を受けた者の監督のもとに建設作業に従事する者が業務上使用する場合は、所持の禁止から除外することとしたほか、罰則その他規定整備をおもな内容とするものであります。  本委員会におきましては、二月二日、吉武国務大臣から提案理由の説明を聞き、暴力団取り締まり対策及び火なわ式銃砲等の古式銃砲の登録に関する規定の取り扱い等の諸問題につき、活発に論議が行なわれ、慎重審査いたしましたが、その詳細は会議録によってごらんいただきたいと存じます。  かくて二月二十三日質疑を終局し、二月二十五日討論に入りましたところ、別に意見もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  52. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。  本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  53. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  54. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第十二、昭和三十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十七年度特別会計歳入歳出決算昭和三十七年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和三十七年度政府関係機関決算書、  日程第十三、昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書、  日程第十四、昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算書、  日程第十五、昭和三十七年度国有財産無償貸付状況計算書、  以上四件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。決算委員会理事相澤重明君。    〔相澤重明君登壇拍手
  56. 相澤重明

    ○相澤重明君 ただいま議題となりました昭和三十七年度決算関係四件につきまして、決算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、昭和三十七年度決算関係四件は、昭和三十八年十二月二十四日国会に提出され、自来委員会を開くこと二十二回に及び、慎重に審議を重ねたのであります。その詳細は会議録によって御承知を願います。  当委員会は、本件決算審査の過程で明らかになった事実及び会計検査院の指摘した事項等にかんがみ、内閣に対し警告を発し、財政処理の改善を促すことを必要と認めました。その大要は次のとおりであります。  すなわち、行政管理の乱れるのは、公務員の綱紀弛緩によるところが多いので、政府は綱紀の粛正に一段と留意し、ことに業者との接触にあたっては格段に清廉な態度をもって臨ましむべきこと、  不正不当事項の責任者に対する行政処分は、いたずらに温情に堕することなく、執行を厳正にすべきこと、  歳出予算の繰り越し額及び不用額を少なくするよう、予算の計上については一そう合理的根拠に基づくべきこと、  補助金等の整理統合については、これを一段と強力に推進し、それによって捻出された財源を有効に活用すべきこと、  防衛庁は物件の調達にあたり、必要量の調査を十分に行なうなど不当経理の一掃につとめ、また、基地周辺における民生安定の諸施策を一段と強化するとともに、米駐留軍接収施設に基づく損害の補償及び施設の返還について積極的に解決に努力すべきこと、  国有財産の管理処分については、財産の実態を明確に把握し、かつ、処分の相手方の選定、処分価格を適正にすべきこと、  国の教育施設等に要する用地の調達については、地方財政法第十二条及び地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項の趣旨にかんがみ、地方公共団体に負担のかかることなきよう、国有地と地方公共団体の土地との等価交換を行なうなど、国と地方公共団体の間の財政秩序を正すため早急に措置すべきこと、  公立文教施設整備補助に関して補助基本単価が実施単価に比し低価であることなどにより、地方公共団体の実質負担が増大している問題については、さらに改善を推進すべきこと、  農林省は経理全般にわたって一そう厳正を期し、不当事項の絶滅に努力すべきこと、  郵政省は部内における職員の不正行為を根絶すべきこと、  近年、物価、労賃、地価の高騰がはなはだしく、ことに土地問題については、公共事業の施行のみならず、国民の住生活にも及ぶ重要な課題であり、抜本的な対策を検討すべきこと、  日本国有鉄道における東海道新幹線用地買収に関し、近江鉄道株式会社に支払った補償費のうち、旅客収入の減少に対する一億円は妥当な補償とは認めがたく、将来かかることのないように厳に慎むべきこと。  など十二項目に及んでおりますが、詳細は審査報告書をごらん願います。  委員会は、二月十九日質疑を終局し、討論に入りました。討論において、社会党代表横川委員、自由民主党代表野知委員、民主社会党代表田上委員から、政府に対し綱紀粛正の要求と問責の警告を強調された後、本件決算には議決案のとおり異議がないと述べられましたが、公明党代表二宮委員は、本院から内閣に対して発する警告には賛成であるが、この決算について会計検査院の検査が不十分であること、政府の財政運営は法の趣旨を生かしていないことなどにより、本件決算承認できない旨を表明されました。  かくて討論を終わり、採決の結果、本件決算四件は、多数をもって審査報告書のとおり異議がないと議決されました。  次に、昭和三十七年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十七年度国有財産無償貸付状況計算書昭和三十七年度物品増減及び現在額総計算書につきましても、採決の結果、多数をもって異議がないと議決いたした次第であります。  以上をもって報告を終わります。(拍手
  57. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  四件全部を問題に供します。四件は委員長報告のとおり決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  58. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって四件は委員長報告のとおり決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十分散会