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最高裁判所長官代理者(
菅野啓蔵君)
会社更生法三十五条の
監督行政庁というものの解釈、実際の運用からいたしますると、従来
裁判所としては各省の設置法等に
監督権ということがはっきり出ているそういう行政庁に限って、ここに
——ここにと申しますのは、
会社更生法三十五条のいわゆる
監督行政庁というふうに解しておった
裁判所が従来は多かったように思うのでございます。そうして、私
どもも
法律の解釈としてはそれでよいのではないかというふうに思っております。
では、先ほど通産省の企業
局長から
お話がありましたような希望と申しましょうか、要望と申しましょうか、そういう要望を受けまして、最高裁の
民事局といたしまして各地の高等
裁判所、
地方裁判所にその要望を伝達した伝達というのはどういう形でやりましたかと申しますと、先ほど企業
局長から
お話がありました趣旨の要望がありましたと、この旨を通知しますという形で伝達いたしたわけでございますが、もちろんこの通産省からの要望の趣旨に沿うて各
裁判所が更生法の処置をしてもらいたいというような趣旨でこれを伝達したのではございません。ただ、しかしながら、全然的はずれな御要望であれば、さような御要望もこれを伝達するはずはないのでございまするけれ
ども、更生法というものは、企業
局長からもちょっと
お話がありましたように、普通の
裁判所における訴訟
事件とは性質が違いまして、関係者と申しますか、
利害関係人というものが、普通の訴訟における原告・被告というような対立当事者間に限られた
事件ではございませんで、そこには株主もあれば、債権者もあれば、企業に雇われている人もある、それからまた下請というような関係もあるというような次第でございまして、非常に広い
利害関係を生ずる
事件でございます。したがいまして、
会社更生法における
事件処理の
手続というものは一応民訴の
手続によってなされるということになっておりまするけれ
ども、しかしながら、民訴における当事者主義のような
手続と違いまして、
裁判所が職権をもって取り調べることができるというような規定になっておりまして、崎ほど申し上げましたように、
監督官庁という
意味は、
裁判所としては狭く解釈し、したがって、三十五条によってぜひ通知をしなければならない
法律上の義務がある官庁といたしましては、狭い
意味での
監督権を持っている
行政官庁に限るという解釈で進んでいってよいものであるとは思いますけれ
ども、しかしながら、更生
手続というものが職権
調査のできる
手続であるとするならば、それは広くいろいろの事実を取り調べまして、そうして客観的な正当な判断ができるようにすることも
裁判所として必要な態度であろうと思われますので、
法律的に通知を必ずしなければならない官庁ではないとしても、広く意見を求めるということはこれは決して悪いことじゃないので、どこにそれじゃ意見を求めるかどうかということは、これは
事件をやっておられるその現地の
裁判所が適当に判断をしてそうしてその態度をきめるべきことであろうとは思いまするけれ
ども、そうして従来もそういうふうに
裁判所はしていたと思うのでございますが、この際、通産省からもそういう要望があったのであるということをひとつやはり
裁判所としても心得ておくということも悪いことではないわけでありまするから、そういう
意味におきまして、こういう要望があったということを通知したわけであります。