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最高裁判所長官代理者(
菅野啓蔵君) 確かに御
指摘のとおりでございまして、
執行吏は、
国家公務員でありますけれ
ども、非常に特殊の
身分と申しますか
地位と申しますか、そういうものを持っておるものでございます。したがいまして、これに対してどういう
法律を
適用し、
適用してはいけないのかということになりますと、非常に複雑な
関係になって、割り切れない面があるわけでございます。そういう特殊なものなら、特殊なものには特別の立法をすることが一番筋としては通りやすいわけでございますけれ
ども。それはそれといたしまして、そういう特殊なものに各種の
法律を、ある面では
適用し、ある面では
適用しないという形でやってまいりまして、不合理な面もございましょうけれ
ども、
恩給は、今の
恩給法といいますか、
官吏恩給法に照らして
恩給を出す、しかも前職が
公務員であればそのほうの
恩給も二重にもらえるというふうな変な形にもなっておるわけでございますけれ
ども、そらならそれを一本にすればいいじゃないかというようなことになりますと、
執行吏の
恩給を
現行の
恩給法で
恩給を出せばということになりますと、その基準額はどういうことになるかといいますと、やはりそれは補助
金額というような形になりましょう。そうすれば、長年ほかの
種類の
公務員としてつとめてきた人が年限は通算されて長くなっても、
俸給の基準額は
執行吏の補助
金額を基準にするということになりますれば、非常に低いという意味で不公平になりましょうし、それからまた、もしこれを従来の
公務員として
執行吏になります前の
公務員としての
俸給願を基準としてなおかつ年限を通算するということになりますれば、それはまたそれで
執行吏が
俸給でやっているのではなくて手数料をもらっておるのにもかかわらず、一般の官吏と同じような
恩給をもらうことになりはせぬかという面で、今度は少し高過ぎはしないかというような意味で不公平になりはしないか。その辺のところを、従来の
関係の
恩給は従来の
関係の
恩給として、別にもらう、しかし、また、別に
執行吏は
執行吏としての
恩給をもらうにはもらうが、それは基準とすれば補助金というような非常に低い基準額によって
恩給をもらうというようなことで、二本建てになりましても、形の上では不合理であるけれ
ども、実質的には相当程度の
恩給をもらっておるという形になっているのではないかというふうに思うわけでございます。