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1965-04-08 第48回国会 参議院 法務委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月八日(木曜日)    午前十一時十二分開会     —————————————    委員異動  四月二日     辞任         補欠選任      後藤 義隆君     坪山 徳弥君  四月三日     辞任         補欠選任      坪山 徳弥君     後藤 義隆君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石井  桂君     理 事                 後藤 義隆君                 稲葉 誠一君                 和泉  覚君     委 員                 植木 光教君                 源田  実君                 中山 福藏君                 宮澤 喜一君                 柳岡 秋夫君                 山高しげり君    政府委員        法務大臣官房司        法法制調査部長  鹽野 宜慶君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長   菅野 啓蔵君    事務局側        常任委員会専門        員        増本 甲吉君    説明員        総理府恩給局恩        給問題審議室長  近藤  功君        法務省民事局参        事官       宮脇 幸彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 石井桂

    委員長石井桂君) これより法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  四月二日、後藤義隆君が委員辞任せられ、その補欠として坪山徳弥君が選任され、四月三日、坪山徳弥君が委員辞任せられ、その補欠として後藤義隆君が選任されました。     —————————————
  3. 石井桂

    委員長石井桂君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  ただいま委員異動について御報告いたしましたとおり、後藤義隆君が一時委員辞任せられましたため理事に欠員が生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井桂

    委員長石井桂君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事後藤義隆君を指名いたします。     —————————————
  5. 石井桂

    委員長石井桂君) 次に、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、本案の質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 恩給関係の方がおいでになっておりますから、その点をちょっと先に質問しますが、執行吏恩給支給を受けるのは、その根拠はどういうところにあるんですか。
  7. 近藤功

    説明員近藤功君) お答えいたします。  ただいまの御質問でございますが、執行吏に対します恩給根拠規定は、執達吏規則というのがございまして、これの二十一条に、「執達吏ハ官吏恩給法ニ照シ恩給受ク其恩給年額ハ第十九条ニ定メタル金額俸給額ト看做シテ算定ス」と、こういうような規定がございます。これによりまして恩給支給されております。
  8. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまのあれは、条文上の根拠はそれでわかったのですが、理論的な根拠はどこにあるんですか。なぜ執行吏恩給を受けるのかということです。
  9. 近藤功

    説明員近藤功君) 執行吏につきましては、実は、私ども恩給局におきましては、執行吏恩給の企画、立案等はやっておりませんで、これは執行吏人事管理という意味におきまして法務省においてやるということでございます。
  10. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 執行吏恩給を受けるのは、法的ないまの条文はわかりましたが、それでは理論的にいって執行吏はどうして恩給を受けるということになるのでしょうか。国家公務員であるということはわかるんですが、国家公務員であってもどういうふうな形の国家公務員なのか。常勤のものでもないし、それから国家公務員恩給をもらえるものともらえないものとに分けるとどういうふうになるんですか。国家公務員全部が恩給をもらえるわけなんですか、もらえない者もあるんですか。
  11. 近藤功

    説明員近藤功君) ただいまの国家公務員という概念から申しますと非常に広うございますけれども従前どもが言っております恩給は、御承知のとおり、原則といたしまして官吏、判任官以上の者、それからその待遇を受ける者が原則になっておりまして、若干それに関連しまして小学校の先生でございますとか、あるいは軍人、これは兵たちもはいりますが、そういうものがはいっております。大体、従前恩給法は、そういった者をその対象としておるわけでございます。
  12. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま受けるのは、旧官吏恩給法というのによって恩給支給を受けているんですか。
  13. 近藤功

    説明員近藤功君) 執行吏恩給につきましては、先ほど執達吏規則の第二十一条を読み上げましたとおり、これが根拠になりまして恩給給付せられておる、そのように解釈するわけでございます。
  14. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 執達吏規則の二十一条はわかりましたが、その母法とも言うべきものは、旧官吏恩給法というので恩給支給を受けているんじゃないですか。これは宮脇さんがそういうふうに書いているんですが、違うんですか。
  15. 近藤功

    説明員近藤功君) 確かに、いまの恩給法の前身でございます官吏恩給法、それが根拠になりまして、根拠と申しますか、それに照らして出すというふうになっておりまして、実は私もこの照らしていくということにつきましてはよくわかりませんけれども、これは恩給法恩給そのものではないわけでございます。たとえば地方公務員等につきましても、旧制度におきまして、府県制市町村制におきまして府県吏員あるいは市町村吏員につきまして退隠料といういわば恩給類似退職年金があったわけでございますけれども、こういったものにつきまして恩給法準用するというふうな条例等規定をもちまして退隠料を出す。その場合に、たとえば東京の例のように、恩給というような名称を使っておる場合もありますが、これは私どもの扱っておりまする恩給とは全然別個のものでございます。で、言うなれば執行吏恩給もそういう意味恩給と解していいのではないか、このように考えておるわけでございます。
  16. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくは恩給のことはよくわかりませんので申しわけないんですが、旧官吏恩給法という法律があることはあるんですか。
  17. 近藤功

    説明員近藤功君) ございます。
  18. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、具体的に言うと、どういうふうなものなんですか。旧官吏恩給法というものの中に執行吏恩給をもらえるという根拠法律の明文にあるかどうかは別として、理論的な根拠はそこにあるんですか。そこがどうもはっきりよくわからないのですがね。
  19. 近藤功

    説明員近藤功君) 旧官吏恩給法自体には、執行吏に関する規定はございません。
  20. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それで法務省お尋ねをするのですが、現在でも執行吏は旧官吏恩給法による恩給を受けていると、こういう説があるんですが、これはどういうんですか。
  21. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 御承知のとおり、執行吏恩給制度は非常に古いのでございまして、その関係を若干御説明申し上げますと、「官吏恩給法ニ照シ」と、こういうことに執達吏規則二十一条でなっておりますが、実は、その当時の恩給制度から申しますと、官吏恩給法というのと官吏遺族扶助法というのと二本立てであったわけなんでございます。そこで、その二本立て恩給制度のうち、執達吏規則の二十一条によりまして、「執達吏ハ官吏恩給法ニ照シ」と、こういうことで、その片っ方だけを使うという形になっているわけであります。したがいまして、官吏恩給法に載っておりましたのは、現在の制度で申しますと、普通恩給——普通年金でございますね、年金式恩給、それと、それから増加恩給という形のもの、すなわち公務上の傷痍または病気によって不具廃疾になったために退職したという場合の恩給の増額の制度でござますが、そのもの官吏恩給法の中に規定されていたわけでございます。そのほかに、現在ございますような遺族扶助料的なものは、官吏遺族扶助法のほうに規定されていたわけであります。そこで、どういうわけか古いことではっきりはいたしませんが、二本立て制度のうち執行吏には官吏恩給法のほうだけを照らしていくと、まあ準用というのとは多少違うかもしれませんけれども、そちらだけを合わしていくという形をとったわけでございます。その後、大正十二年になりまして恩給法が制定されまして、この恩給法官吏恩給法官吏遺族扶助法と二つのものが合わさって恩給法という一本の法律になってきたというのが沿革のようでございます。  そこで、先ほどお尋ねの、それでは執行吏官吏恩給法に照らすのか、恩給法に照らすのか、こういう問題なのでございますが、私どもが考えておりますところは、確かに「官吏恩給法ニ照シ」と、こういうことになっておりましたが、大正十二年に官吏恩給法から恩給法にかわりましたので、その照らす内容はおのずから恩給法内容に照らすと、こういうことになるというふうに考えております。ただ、しかし、先ほど申しましたように、大正十二年の恩給法は、官吏恩給法のほかに、遺族扶助法のほうの扶助料規定を含んでおりますので、その分につきましては従前どおり執行吏には適用と申しますか準用がない、従来認められていたものの限度で新しい恩給法に照らして支給すると、こういうふうな解釈をいたしているわけでございます。
  22. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、大正十二年に恩給法ができたときに、前にあった官吏恩給法というものは廃止になったのですか。
  23. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 廃止いたしました。
  24. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、ここに書いてある——ここに書いてあるというのは、「自由と正義」に「強制執行法改正の展望」として宮脇参事官が書いた中に「(現在でも執行吏は旧官吏恩給法による恩給支給を受けるが、」と、こういうふうに書いてあるのですが、それはどういう意味なんでしょうか。
  25. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) それは、こういう趣旨であろうと存じます。先ほど申しましたように、その支給する恩給種類官吏恩給法に定められた種類に限定されているという意味で、官吏恩給法の範囲内で、ただ、発生、消滅とか支給勤務年限というようなものについては恩給法内容に照らしていく、こういうことになるのだと考えております。
  26. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私もこれを読んでみてよくわからなかったというか、何かちょっとはっきりしかかったんですが、官吏恩給法という法律はすでにもう廃止になっているわけですね。ですから、それによって恩給支給を受けるというのはよくわからなかったんですが、いまの説明で大体のことわかりました。  それはまあそれとして、じゃ、なぜ執行吏恩給を受けるということになるのですか、その理論的な根拠はどこにあるのでしょうか。国家公務員であっても、とにかく一般職公務員とか、それから常勤の者であるとか、こういうふうなものであれば、恩給を受けても理論的に筋が通っていると考えるのですが、そうすると、執行吏国家公務員としてどういうような性質のものと見ていいんですか。ぼくは公務員制度のことはよくわからないのですが、公務員の中にもいろいろの種類があると、こう思うのですがね。どういうふうに分けたら一番正確なんですかね。
  27. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 執行吏は、国家公務員でございますが、要するに俸給支給を受けない国家公務員である、こういうふうに考えられるわけでございます。
  28. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ですから、国家公務員の中にいろいろな公務員種類というか、分け方があるんじゃないですか。それはどういうふうに分けるのが一番正確なんですかね。俸給支給を受けない国家公務員だというんでしょう。それじゃ、俸給支給を受ける国家公務員俸給支給を受けない国家公務員とあって、俸給支給を受ける国家公務員の中にはこういうような分け方がある、そういうようなことになってくるんじゃないですか。そこはどうなんですか。これは法務省よりむしろ恩給局のほうが専門じゃないですか、そういうことは。
  29. 近藤功

    説明員近藤功君) 先ほども申し上げましたとおり、恩給局といたしましては恩給法施行関係をやっておりまして、執達吏関係恩給は直接には関係がないわけでございますが、ただ、感じといたしまして、先ほどお話を受けました官吏恩給法は、確かに大正十二年に引き継ぎまして新たな恩給法、これは大正十二年法律第四十八号でございますが、これができたのでございますけれども、この法律のもとになりましたのは、先ほどお話ありましたように、官吏恩給法、それから遺族扶助に関する法律と、それから軍人関係警察職員関係教育職員関係、これらのそれぞれの恩給に関する法律がありまして、これを統合いたしまして、官吏恩給法等を統合いたしまして現在の恩給法ができ上がったわけでございます。執達吏につきましては、明治二十三年から執達吏のための恩給がありまして、これはやり方につきましては、当時の官吏恩給法に照らすといいますか、準用みたいなかっこうによってやっておったわけでございますが、この執達吏関係は、先ほど申し上げました官吏恩給法等恩給法に統合された際に、これは先ほどお話が出ましたように国家公務員というような常勤公務員とは違うという意味恩給法にはなじまないと、そういう関係でおそらく大正十二年法律第四十八号の恩給法の中にははいらなかったのじゃなかろうか。ただ、沿革上のことがありまして、引き続き執達吏規則という形において生きておりまして、執達吏——現在の執行吏恩給が給せられる、こういうふうに考えるわけでございます。
  30. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 よくわかりませんがね。恩給法にはいらなかったというなら、恩給を払うのはおかしいんで、どうもそこら辺のところがぼくにも理解できませんな。私の聞いておるのは、それはそれとして、よくわかりませんが宿題として、報酬を払わない国家公務員だというわけですね、法務省のほうでは。それじゃ、国家公務員をどういうふうな種類に分けるのが一番正確なのか。それでないと、報酬を払わない国家公務員というものは国家公務員全体の中でどういう位置づけになるかということがわからないでしょう。だから、ぼくはそれを聞いているわけですよ。恩給を払う理論的な根拠があるかないかはだんだんあとになってくると思うのですけれども、それを聞いているわけですが、きょうでなくていいですよ、それは。報酬を払わない国家公務員という形で執行吏を定義づけるのがはたして正確なのかどうか、これもなかなか議論があるところじゃないかと思うのですが、ここはどうでしょうか。
  31. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) その点につきましては、裁判所法の六十二条に、「各地方裁判所執行吏を置く。」と、こうございまして、「執行吏は、最高裁判所の定めるところにより各地方裁判所がこれを任命する。」と、こういうことで、裁判所職員ということは裁判所法上明らかになっておりますので、その意味国家公務員であると、こういうことになるわけでございます。そうして、裁判所職員は、御承知のとおり、国家公務員法の二条の規定によりまして特別職ということに定められておりますので、その意味で、執行吏国家公務員法上の特別職である、こういうことになるわけでございます。ただ、さらに進みまして、それじゃ各種職員の中で俸給を給するものと給しないものとその分類が正確に分けるとどういうことになるかという問題につきましては、もう少し研究さしていただきたいと思います。
  32. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の疑問は、いま言った報酬を払わない国家公務員だとすれば、それになぜ恩給というものを払わなければならないかということがちょっと理論的に納得できないような気がするわけです。それから報酬を払わない国家公務員というものに全体として一体何と何があるのか、これが明らかにならないと私いかぬと思うのですが、これは法務省では直接の関係ではありませんから、内閣のどこでやるのかわかりませんけれども、それと、常勤ではないわけでしょう。これははっきりしているでしょう。それはどういう形をとっているのですか。常勤という解釈をとるのですか、非常勤という解釈をとるのですか。——あとでけっこうです。ぼくも実は執行吏になぜ恩給をやらなければならないかという理論的な根拠がどうもよくのみ込めないんですよ。のみ込めれば問題ないんですけれども、わからぬものですから、よく研究していただきたいし、ぼくも研究したいと思います。  それから問題になってきますのは、宮脇参事官の論文ばかり引用して恐縮ですけれども、三ページのところに「執行吏は旧官吏恩給法による恩給支給を受けるが、国家公務員共済組合法による給付はその手数料制の故に受けられない」とあります。国家公務員共済組合法による給付は受けていないわけですが、公務員であるのに国家公務員共済組合組合員にはなれないわけですか。その給付を受ける受けないはあとの問題として、国家公務員であるのに国家公務員共済組合にはいれないというのはまたどういうことなんでしょうかね。法律的な根拠というより、理論的な根拠はどういうところにあるのでしょうか。
  33. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 御指摘の国家公務員共済組合法規定によりますと、俸給を受ける職員を中心にして国家公務員共済組合が成立いたしておりますが、先ほど来申し上げておりますように、執行吏につきましては給与がございませんので、そういう関係共済組合には加入していないというかっこうになっているわけでございます。
  34. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国家公務員共済組合法に、はっきりとした形でそれが出ていますか。
  35. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 国家公務員共済組合法の二条の一項一号の一番終わりのあたりに、「国から給与を受けない者で政令で定めるもの以外のものを含まないものとする。」という規定になっております。
  36. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 「国から給与を受けない者で政令で定めるもの以外のものを含まないものとする。」というのですから、国から給与を受けない者であっても、政令で定めるものは国家公務員共済組合法適用を受けるのですか。
  37. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) この規定解釈はそういうことになると思います。
  38. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、国から給与を受けない者であっても、政令で定めた場合にはじめて国家公務員共済組合にはいれるんですか、あるいは、国から給与を受けない者は原則としてはいれないんだと、例外として政令できめればはいれるんだと、こういう解釈ですか。あとのほうですか。
  39. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 規定の立て方は、いまおっしゃったとおりでございます。
  40. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、政令できめたものはあるんですか。国から給与を受けない者で、政令できめて国家公務員共済組合にはいっているものはあるんですか。
  41. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) ちょっとこまかいことになりますので、正確にはお答えいたしかねますが、いまの規定の前のところにも、「国家公務員に準ずる者で政令で定めるものを含む」云々という文言がございますが、それと、あとのほうの「政令で定めるもの以外のもの」という、「政令で定めるもの」がここに二カ所あるわけでございますので、これを一括いたしまして、国家公務員共済組合法施行令に並べてございますが、第二条に、この規定により職員に含まれるものはこれこれとするということで幾つかのものが掲げられておりますが、その中に、国から給与を受けないで云々というようなものに該当するものを見ますと、たとえば休職になって一時給与支給を受けないというような者をこの政令で含ませるというふうな取り扱いになっているように思われます。
  42. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、国家公務員共済組合法による給付は、その手数料制のゆえに受けられないという意味になるんですか、あるいは、国から給与を受けないからということでこれにはいれないということになるのですか、実質的には。結果としては同じことになると思いますが、たてまえとしてはどっちになるわけですか。
  43. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 仰せのとおり、いずれにしろ裏表のことでございますが、どちらかと申せば、やはり国から給与を受けていないということのほうが柱になる問題ではなかろうかというふうに考えます。
  44. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国から給与を受けないからということで国家公務員共済組合にはいれない、国から給与を受けていないということで恩給法適用になるというのは、これはどういうのですかね。片方適用になって片方適用にならない理由がどうもはっきりしないようにもとれるんですが、どうもそこのところがはっきりしませんが。
  45. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) この点につきましては、執行吏恩給制度自体が非常に古い制度で現在まで踏襲をしておりますので、現在の制度に照らし合わせてみますと、必ずしも理論的に全部がすっきり割り切れているかどうかということには多少の問題があると存じます。ただ、ただいま仰せ共済組合の問題につきましては、御承知のとおり、共済組合保険数理を基礎として成り立つているという色彩がきわめて強いのでございまして、国庫負担金に比して組合員掛け金のほうにかなり大きな比重が置かれているものと考えられます。したがいまして、従来の恩給の場合のように執行吏について掛け金の納付を必要としないというふうな考え方でこの共済組合の中に吸収していくということにはかなり問題があるんじゃないかと思います。御承知のとおり、従来は、執行吏には恩給支給しておりますが、一般公務員でございますと国庫納金をしているわけでございますが、執行吏についてはそういう国庫納金をしないでしかも恩給支給しているという、こういう特別の形の恩給になっているわけでございます。
  46. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 本人が希望すれば、掛け金もするからということで希望すれば、国家公務員共済組合にはいれるんですか、やはりそれは政令が必要になるわけですか。
  47. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 共済組合法規定から申しますと、この政令で定め得るかどうかという問題になってくると思います。ただ、先ほども申しましたように、掛け金の問題が非常にむずかしい問題になってまいりまして、一般給与を受けている公務員でございますと、給与基準になって掛け金の額というものが算出されることになると思いますが、執行吏手数料は、個々の執行行為についての手数料というものはきまっておりますけれども執行吏ごとに自分の収入になる手数料の額というものはそれぞれ非常にまちまちになっておりますので、それらについてこの掛金というものをどういうふうに定めていくかということ、これは非常にむずかしい問題であると思います。
  48. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 給与ではないと。そうすると、執行吏補助金というものをもらった場合に、それは所得としての税金はかからないわけですか。
  49. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) いま仰せになりましたのは、執行吏手数料収入の問題だと思いますが……
  50. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 補助金です。国から補助金が出るでしょう。
  51. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 一定の金額に達しない場合の国庫補助金でございますか。
  52. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうそう、その場合。
  53. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 実は、そこまでこまかく分析したことはなかったのでございますが、理論的には、国庫補助金額でございましても、収入といたしまして所得税対象にはなると存じます。しかしながら、御承知のとおり、この国庫補助金基準額というのは非常に低いのでございますので、各種控除等をいたしますれば、これだけの収入であるとすれば、ほとんど課税の所得にはなってこないのではなかろうかという感じがいたします。
  54. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあちょっと手数料収入があった場合には、これはあれですか、源泉徴収という形で払うことになるのですか。そこはどういうふうになっているんですか。
  55. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 源泉徴収はございません。
  56. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 国家公務員であって源泉徴収でない公務員というのはあるんですか。——別に質問を楽しんでいるわけではないですがね。(笑声)
  57. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 国家公務員に対する一般給与の場合には、各官庁ごとに国から支給されますので、源泉徴収も可能なのでございますが、この手数料の場合には、個々の執行行為ごとに手数料が支払われると、こういうことになりますので、その関係では手数料につきましては源泉徴収ということはできないと存じます。
  58. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あとでまとめて所得を申告するわけですね。そのときに、執行吏収入としては何が収入になるのですか。いわゆる必要経費という形で当然落とすべきものは落とさなければならぬわけですね。だから、実費とかその他のものが落ちてきて、残りが所得になるのだと、こう思うんですが、執行吏の場合には、手数料全部が所得という形になるのか、どの程度までが所得になるんですか。実際どういうふうになるんですか。
  59. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) 実際にどういうふうに課税されているかということは、ただいま承知しておりませんので、正確にはお答え申し上げかねますが、手数料収入である、所得であるということは、税金の面でもそういうことになるだろうと思います。そのほかに、御承知のとおり、立替金というものがございますが、これは出かけていった場合の旅費というようなものが中心でございます。これは実費というたてまえでございますから、これはそれ自体は収入にはならないというふうに考えられます。ただ、厳格にこまかく見てまいりますと、立替金の中に書記料というようなものがはいっております。これは執行の調書の謄本をつくって渡すというような、実体は手数料的なものだと思います。これが手数料規則によりますと、立替金というほうの中にはいっているわけでございます。したがいまして、立替金がすべて実費であって、手数料だけが報酬所得であるかというふうに厳密に申しますと、必ずしも分けられない面があるんじゃなかろうか。ただ、手数料所得だといたしましても、すぐにそれが所得税算出の基礎になるというわけではないわけでございます。これは、普通の所得の場合と同じように、それぞれ必要経費というようなものがそれから差し引かれまして、その残りが課税総所得全額、こういうことになってくるのだろうと思います。したがいまして、この手数料の総額がすぐ課税の対象になってくるかどうかということについては、なお問題があると思います。
  60. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 きょうはちょっと時間がないものですから恐縮ですけれども宮脇参事官の論文に、「執行吏制度の改革が非常に困難な問題をはらんでいるが故であって、時日が経過するほどに公務員制度に関する法律が変化し、それが執行吏制度との著しい矛盾を次第に増すだけに、その困難さは増加こそすれ減退する可能性はないのである。」と、こういうふうに言われておるのですが、そうすると、公務員制度に関する法律が変化したということと、執行吏制度との間の著しい矛盾を次第に増すんだ、これは具体的にはどういうことを言っておるのですか。
  61. 鹽野宜慶

    政府委員鹽野宜慶君) こまかい具体的な問題になってまいりましたので、執筆いたしました宮脇参事官からお答えいたします。
  62. 宮脇幸彦

    説明員宮脇幸彦君) 私の論文を引用していただきまして恐縮でございますが、非常に短く書きましたために、だいぶ舌足らずの部分があると思います。たとえば、いま稲葉先生が御指摘の国家公務員共済組合の点につきましても、執行吏側からは、早く加入さしてくれ、何か加入の方法を考えてくれということがあったわけであります。しかし、先ほど鹽野部長からも申し上げましたような難点があって、今日まで実現しておりません。それからたとえば国家賠償法の点につきましても御質問があったと思いますが、たとえば執行吏代理の行なった違法な執行に基づく国家賠償をどういうふうな根拠づけで認めるかということになりますと、解釈上非常にむずかしい問題があろうと思います。現実に裁判所ではそういった国家賠償仏法を引用してはおられますけれども、どうも理由づけになりますと、かなり苦しいように考えるわけであります。結局、現在の国家公務員制度は、私の理解するところでは、俸給制の普通の公務員を念頭に置いてすべてつくられております。したがいまして、手数料制の、性格の非常にあいまいな執行吏制度とはいろいろ矛盾がそこに生じている。そういう点を包括的な表現で書いたわけであります。執行吏自身がそういうふうな処遇を国家公務員法上受けるということは、執行吏自身の意識の上にも悪影響が同時にあるわけでございまして、ひいては執行の権威を落とすというようなことにもつながってまいろうと思います。そういったことも含みにいたしまして簡潔に書いたわけでございますが、そういう点をお読み取りいただければ幸いと思います。
  63. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま言われたのはよくわかりますが、そうすると、執行吏制度とのいろいろな矛盾というか、著しい矛盾というのは、いまのは、国家賠償法の関係と、もう一つは国家公務員共済組合法関係ですか、二つあげられましたが、その他にもいろいろな形であるわけですか。あれば、いまここでなくてけっこうですけれども、この次に、それを整理されて、こういう点に現行の公務員制度との間の矛盾があるというようなことをもう少し明らかにしていただきたいと思います。  きょうはこの程度で終わります。
  64. 石井桂

    委員長石井桂君) ほかに御質疑はございませんか。——なければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。次回の委員会は四月十三日に開会いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午前十一時五十八分散会      —————・—————