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1965-03-30 第48回国会 参議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十日(火曜日)    午前十一時八分開会     —————————————    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      後藤 義隆君     堀本 宜実君  三月二十七日     辞任         補欠選任      堀本 宜実君     後藤 義隆君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石井  桂君     理 事                 木島 義夫君                 後藤 義隆君                 稲葉 誠一君                 和泉  覚君     委 員                 大谷 贇雄君                 源田  実君                 鈴木 万平君                 中山 福藏君                 宮澤 喜一君                 柳岡 秋夫君                 山高しげり君    政府委員        法務大臣官房司        法法制調査部長  鹽野 宜慶君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   寺田 治郎君        最高裁判所事務        総局総務局第一        課長       長井  澄君        最高裁判所事務        総局人事局長   守田  直君        最高裁判所事務        総局人事局給与        課長       宮崎 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        増本 甲吉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 石井桂

    委員長石井桂君) これより法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  三月二十六日、後藤義隆君が委員辞任せられその補欠として堀本宜実君が選任され、三月二十七日、堀本宜実君が委員辞任せられ、その補欠として後藤義隆君が選任されました。
  3. 石井桂

    委員長石井桂君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。  ただいま委員異動について御報告いたしましたとおり、後藤義隆君が一時委員辞任せられましたため理事欠員を生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございせんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井桂

    委員長石井桂君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事後藤義隆君を指名いたします。     —————————————
  5. 石井桂

    委員長石井桂君) 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、両案の質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 今度の予算の中で、政府に対して最高裁判所が多数の人員要求をして、結局、認められたのは簡易裁判所判事の十六名だけなんですが、それで一体他の事務支障を来たさないでやっていけるのかどうか、そこのところはどうなんでしょうか。常識的にも、あなたのほうでこれだけ必要だというふうなことで要求をして、それが認められないわけですから——しかし、それがたとえば事物管轄拡張するということに伴っての人員増ならば、それが認められなかったからということで理由もわかりますし、それから借地借家法改正に伴うものとしての要求は、借地借家法改正の提案がないということですから、これは理論的にわかりまけれども、その他の理由によって、裁判官なり書記官調査官事務官等の増加を要求して、それが認められなかったということになってきますと、それだけ事務の中で支障を来たしてきて、現実にいまいる人に対する仕事の量が多くなるとか、いろいろな問題が起きてくるわけですが、ある事件がさばけなくなってきておくれるというようなことができてくると、こういうように考えるのですが、その点はどういうふうにして最高裁側として処理をしていくのか、あるいは支障がないのか、そういう点についてひとつ御説明をお願いしたいと考えます。
  7. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ただいま稲葉委員からお尋ねのございました点、非常に重要な点と存ずるわけでございます。御指摘のございましたように、裁判官あるいは書記官要求いたしておりますその要求の「事由」というものを先般提出いたしました資料の中で明らかにいたしておるわけでありすが、その中で、たとえばいま御指摘のございましたように「臨司意見の実現」というものは、これは端的に申せば事物管轄拡張ということに帰するわけでございまして、その法案がこの国会には提案されないことになりましたようでございますので、その関係事由は消滅したということになろうかと思います。もっとも、これも、事物管轄拡張に伴って簡裁判事増員ということを考えました根本は、やはりこれは事件の適正迅速ということであることは間違いないわけでございまして、つまり簡易裁判所の権限が広くなれば、それだけ仕事がふえる、その反面、地方裁判所事件が減ることによって地方裁判所事件処理の適正迅速を期したいと、こういうことであったわけでございますから、その関係では、やはりこの増員ができませんことには、その最初にねらいといたしました地方裁判所事件適正迅速化ということについて不十分の面の出てまいることもやむを得ないわけでございます。ただ、何と申しましても、この関係では、そう大幅な増員ということがいろいろ充員等関係の問題もあって要求を一応おりざるを得なかったというような関係になるわけでございます。  「借地借家法改正」の関係は、ただいま稲葉委員の御指摘のとおりでございます。  そのほか裁判官書記官増員の項目は、先ほど申し上げました資料をごらんいただきますとおわかりいただけますように、「交通事件処理」ということと、家庭裁判所における「一般少年保護事件処理」ということを事由といたしておるわけでございます。交通事件処理関係は、前々からもういろいろの法務委員会でも御審議いただきましたとおり、三十七年ごろかなり大幅な事件増がございまして、それに対処してある程度の大幅な増員を認めていただいたわけでございますが、その後は、交通事件処理関係では、事件の伸びが当時考えましたほどには伸びておらない。他面、御承知のとおりの交通裁判所制度あるいは交通切符制度というものが円滑になってまいりまして、ほぼ全国的に交通切符制度が採用されるというような関係もございまして、処理そのもの合理化と申しますか、そういう処置もあわせてとられました関係がございまして、これはそう裁判官増員にまたなければどうにもならないという問題でもなくなってまいった面があるわけでございます。また、簡裁判事につきましてはこの法律増員をしていただくようになっておりますので、交通事件処理に関してさほどの支障はないのではないかと、まあかように考えているわけでございます。  最後に、「一般少年保護事件処理」でございますが、これまた少年保護事件は漸増の傾向にあるわけでございます。しかしながら、他面、家庭裁判所のもう一つ事件であります家事事件は、どちらかというと増勢が減っている、むしろ減少している面も出ているわけでございまして、そういう面をにらみ合わせますれば、さしあたり事件処理には支障にはないと、かように考えているわけでございます。もっとも、私どもとしては、充員さえ可能でありますなら、裁判官についてさらに一そうの増員が必要であり、それによって事件迅速処理が期せられるということの考え方はいまも変えておらないわけでございますが、何ぶん充員等関係もございますので、この程度増員でさしあたり充員としては一ぱいであり、また、事件処理にもこれでそう支障は生ぜずに、つまり、少なくとも従来どおり、あるいはそれより若干の促進という程度にはやってまいれると、かような自信を持っているわけでございます。
  8. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 成人交通事件処理のために、簡裁判事書記官事務官をそれぞれ何名ぐらい要求したわけですか。
  9. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 成人交通事件処理のために要求いたしましたのは、簡裁判事十九人と、書記官十人、それから事務官十七人と、以上でございます。
  10. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 書記官事務官は全部認められなかったわけですが、そうすると、今度の十六名の簡裁判事増員が認められるというと、それをどういうふうに割り振るというか、そういうふうなことはまだ案はないのですか。
  11. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、御承知のとおり、現在事件が比較的おくれておりますのは大都会裁判所でございます。したがいまして、今回のこの増員が認められますれば、大都会中心にして配置をいたしたい、すなわち、東京、大阪およびこれに準ずる高等裁判所所在地等中心配置いたしたいと、かように考えているわけでございます。
  12. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、十六名がまあふえた。書記官事務官のほうはふえないわけですね。簡易裁判所判事を十九名ふやすのに対応して、書記官十名、事務官十七名が必要だというふうに要求をした根拠はどこにあるのでしょうか。
  13. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、いろいろ従来の実績その他からまいりまして、裁判官一人当たりにどのくらいの書記官事務員がふえるかということをいろいろ出しているわけでございます。しかしながら、それがまた地方裁判所事件簡易裁判所事件とも違いますし、また、同じ簡易裁判所事件でも普通事件交通事件と違いますので、交通事件については大体かような人員でまかなえるであろう、こういう見地から出したわけでございます。
  14. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ですから、簡易裁判所判事だけ十六名ふえて、書記官事務官がふえなくて、それで具体的に事務がどういうふうに遂行されるのでしょうか。簡易裁判所判事が十九名という要求で、それに対応して書記官十名、事務官十七名とした、何といいますか、合理的な根拠というのはあるわけなんじゃないですか。合理的な根拠ありとすれば、簡裁判事が十六名ふえれば、それに応じて書記官が何名、事務官が何名という形にふえなければ、合理的な基準というものが生まれてこないのじゃないですか。説明を聞いていますと、ふえなかったということから出発して、その説明にいまなっている、こう思うのですが、そうすると、これは問題としては筋が違うのではないか、こういうふうに思うわけです。最高裁としては、大蔵省や、その他に対する遠慮というかそういう点があって強く言われないのだとも思いますが、それは少し話が違うので、書記官なり、事務官なりをこれだけ要求をしているわけですから、それを要求するだけの合理的根拠がそこにあるので、簡裁判事だけが十六名ふえたから、それは書記官事務官が全然ゼロになってもそれでなおかつ合理的であるということは少しく理論的におかしくなるんじゃないかと考えられるんですがね。
  15. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ただいまの御指摘はまことにごもっともでございまして、私どもとしても、一応双方を要求して、片方が認められてそれで十分合理的であるというふうには必ずしも申し上げにくい面があるということを承知いたしておるわけでございます。ただ、それで、今後どういうふうに事務処理してまいるかという点でございますが、これは先般来の御質疑に対しましても御説明申し上げたと存じますが、現在、書記官事務官等欠員がかなりあるわけでございます。この欠員充員いたしますると、その充員いたしました人員は、いわば従来の戦力に比べればふえることになるわけでございますので、そういうことで処理してまいりたいと考えておるわけでございますが、御承知のとおり、書記官事務官等は、裁判官と違いまして、全国的な異動ということがいろいろな面から非常に困難な面があるわけでございます。したがいまして、大都会判事増員いたしました場合に、直ちに大都会書記官充員してまいるということが容易にできるかどうかという点もいろいろむずかしい問題があるわけでございますけれども、まあ私どもとしてはできる限りそういう隘路を克復して、そうして不十分なところへ書記官事務官を振り向けてまいるということを書記官諸君の協力を得てやってまいるということによって何とかやってまいれるということがただいまのところの考え方でございます。御指摘の点、理論的にはまことにそのとおりでございますが、いろいろ欠員とか実際の人員配置とかそういう問題がございますので、そういうところをいろいろ総合いたしまして、何とか支障のないようにやってまいりたい、これが私どもの気持ちでございます。
  16. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 関連して。いま稲葉委員からも言われましたけれども、この資料を見てみましても、各職務それぞれ非常に欠員が多いわけですね。それで、これだけの欠員があって、行政監察局なりその他関係方面から指摘をされておこらないのですか。
  17. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) まことにごもっともな点でございますが、現在裁判所全国に六百ヵ所以上あるわけでございます。その六百ヵ所以上のところにそれぞれその勤務地を適当とする方に行っていただくということはなかなかたいへんでありますとともに、たとえばある裁判所で一人おやめになってそうしてそれを充員して欠員が埋まるかと思いますると、今度はまた別のほうでおやめになって欠員ができる、こういうような面も中にはあるわけでございます。一つ裁判所でこういうような欠員がございますれば、これはもうとんでもないことでございますけれども、何ぶん六百ヵ所以上もございます裁判所全部をにらみながら配置をいたしておるわけでございまして、そういう面で非常にむずかしいところもあるわけでございます。  それから、いま申し上げましたのは比較的何と申しますか、若い事務官等のことでございますが、書記官等になりますれば、これは資格とか教養とか要件というものが相当やかましくなっておりますので、書記官研修所において鋭意養成して逐次充員してまいっておる、これが実情になるわけでございます。
  18. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 先ほどの説明では、欠員があっても何とかやりくりしていく、こういうようなお話であったのですけれども、しかし、この数を見ますと、やりくりという程度のものではないような感じがしますしね。また、そういう考え方があるからこそ、なかなか欠員補充ができないのではないかというふうに思うのですね。したがって、裁判所職員労働というものは非常に強化され、過重になっているのではないかというふうに思うのですけれども、どのくらい超過勤務というようなものをやっておられるか、もしおわかりでしたら教えていただきたい。
  19. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 超過勤務の御説明を申し上げます前に、私の先ほどの発言がやや明確を欠いたかと存じますので、あらためて申し上げたいと思うわけでございますが、私が先ほど稲葉委員の御質問等に対しまして申し上げましたのは、これだけの欠員があっても何とかやってまいるという趣旨ではございませんでして、増員が認められなくても、この欠員を埋めるということにわれわれとしてはまず全力を尽くすべきである。それでまた、これはちょっと前回にも申し上げましたが、内閣のほうでは、一般的には、増員はむろんのこと、欠員補充さえ押える、昨年九月の現在で欠員補充も認めないというような強い線を閣議でお出しになっておるわけでございますが、私ども裁判所としては、そういう方向にはとうてい協力できない限度がある。むろん、協力しなきゃならぬ限度もございますが、裁判部その他においてはそこまではとうてい裁判所としては困るということで、欠員補充は少なくとも裁判部に関します限りは認めていただく、まあこちらでやってまいる、こういうことでございまして、欠員補充にいわば全力を尽くしてまいりましたならば、何とか増員がなくてもやっていけるのではないが、こういう趣旨でございます。で、欠員補充全力を尽くしておるわけでございます。そういう関係で、やや職員諸君労働が多いという面はあろうかと思いますが、これまたいわば意見がましお聞きいただいても恐縮でございますが、全国的組織の機関におきましては、これはどこの役所でもある程度欠員というものは持っておる、持たざるを得ない、つまり、結局そういう実情にならざるを得ないわけでございまして、ただそれに比べまして裁判所欠員が少し多いかどうかということであろうと思います。私どもとしては、欠員充員全力を尽くしておるわけでございます。  それで、超過勤務関係では、これは数時間程度超過勤務をしていただくということになろうかと思いますが、ただ、書記官におきましては、これが先般のいろいろなあれである程度号俸調整関係もございまして、そうして勤務時間を長くやって、補助事務をいろいろやっていただくというような手当にもなっておるわけでございます。
  20. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの欠員関係がどの程度あって——これは資料にもありますが、それを詰める具体的な計画というのはどういうふうになっているんですか。
  21. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) これは、先般提出いたしました「予算定員・現在員・欠員調」というものをごらんいただきながらお聞き取りいただければありがたいと思うわけでございますが、まず、その中の裁判官六十八人の欠員でございます。この裁判官欠員は、これはこの表の上では判事判事補簡裁判事というふうに区分けして欠員が出ておりますけれども、この三月で判事補から判事資格のつく者もございます。また、判事補から簡裁判事資格のつく者もございます。これらの者をそれぞれ判事なり簡裁判事に任用いたしますれば、結局欠員というものは判事補に集約されることになるわけでございます。そこで、その判事補欠員につきましては、当面いま研修所を卒業いたします者の中から判事補志願者が八、九十名程度はあるように承知いたしておりまして、これはこの表に関しまする限り、容易に充員できると考えております。もっとも、これは十二月一日現在の表でございますので、もう少し正確に申し上げますれば、それ以後三月の末までのさらに欠員がふえておるわけでございまして、そういう面では、たとえば弁護士から、検事から、あるいは選考任用簡裁判事と、若干は何かそういうことで結局埋まるということになるわけでございますが、ごく大きかに申しますれば、この三月研修所を卒業する者が充員源ということになるわけでございます。  それからその次に、書記官の百五十二名の欠員でございますが、これにつきまして、この三月に書記官研修所を卒業いたします者が百数十名ございますので、これによってある程度充員ができるわけでございます。まだそれでは埋まりませんものが若干残るわけでございますが、これは四月以降に書記官昇任試験というものを実施いたしまして、その成績いかんによりましては全部充足できるものと思いますし、あるいは充員できない面も出てまいるかもしれないと思いますが、そういう計画でございます。  それからその少し下のほうに速記官十三人の欠員というものがございます。これも十二月現在でございまして、その後ややふえておりますが、これまた速記官研修所卒業生で大体充員してまいれる、こういう計画でございます。  家裁調査官三十七名の欠員についても調査官研修所卒業生が三十名ばかりおりまして、これである程度充員ができるわけでございます。  その下のほうに三角じるしをつけまして四百六十六人とございます。これは、三角がついておりますとおり、過員でございます。どうしてこういう過員が出てまいるかということを申し上げますと、その下に事務雇の二百六十三人の欠員、それからもう少し下のほうに廷吏の百三十八人の欠員というようなものがございます。それからタイピストの七十六名の欠員というものがございます。こういうものは、ある程度は待遇その他の面で廷吏タイピスト事務官を持っておる者がございまして、そういうものと総合的にお考えいただく必要があるわけでございます。そうして、なおそれに、ちょっとこまかくなって恐縮でございますが、左の欄に書記官補の二百三十九というのがございますが、これが御承知のとおり今度の予算では事務官に組みかえになっておりますので、この人数は四百六十六人から差し引くということになります。したがいまして事務官の過員は二百三十人ぐらいということになるわけでございます。したがいまして、要するに先ほど来申し上げましたいろいろの職種を全部合計いたしますと、大体二百五十人程度の総合的な欠員になる、こういうことでございます。これは大部分は比較的何と申しますか事務的なポストの欠員でございますので、この三月の新制高校卒業生その他でできるだけ充員してまいりたいと考えておりますが、むしろこの関係では任地その他の関係等にいろいろ隘路もございますが、それを克服して充員してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  22. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 少年交通事件処理のために、判事補十名、書記官二十九名、調査官十九名、計五十八名の増員要求をして、これは全然認められないわけですね。少年交通事件は、横ばいになっておるんですか、あるいはふえておるんですか。ただ横ばいだとかふえておるとかということだけでは少年交通事の場合は内容的に正確ではないんで、最高裁中心となってそれらの人々に対する補導委託のようなあるいは訓練のようなそういう制度をやっているわけですね。だんだん質的な面で内容を高めていっておるわけで、ただ機械的に右から左へ処理しているわけでないんですから、ただ事件数がどうかというだけで処理できないのじゃないかと、こう思うんです。事件数の問題と、それから最高裁家庭局の人がきょうは来ておられないようですが、少年交通事件に対して裁判所がいろいろ非常に新しい感覚をもって処理しておる処理具体例といいますか、そういうようなものを二、三あげていただくと、これはどうしても相当な人数をふやさなければやっていけないのじゃないのですか。
  23. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 家庭局長が参っておりませんので、便宜私から私の承知いたしております範囲で御説明さしていただきたいと存じます。  まず、少年交通事件がふえておるかどうかという点のお尋ねでございますが、確かにある程度ふえてはおりますけれども、そのふえ方はそれほど大きくない、あるいは年によってはむしろ減っておるということでございます。簡単に申し上げますと、三十四年が四十二万件、三十五年が五十八万件、三十六年が六十三万件、三十七年が七十六万件と、かようにふえてまいっておりますが、三十八年には七十四万件と、これは約二万件ばかり減っておるわけでございます。  しかしながら、少年交通事件関係は御指摘のように単に件数の増減のみでとらえることはできないということは、お説のとおりであると私どもも考えております。そうしてなお、交通切符関係におきましても、これは少年につきましても逐次交通切符適用範囲というものが広まってまいるわけでありますけれども、これまた稲葉先生承知のとおり、普通の成人事件につきましては交通切符制の採用によっていわば飛躍的に事務量が軽減される、合理化されるのに対しまして、少年事件に関しましては、それに比べますと、合理化すると申しますか、負担軽減と申しますか、というものの度合いが非常に低いわけでございます。  他面、道路交通事件であろうとも少年事件に関する限りは教育的な効果をあげていかなければならないということももちろんでございますので、先ほど来御指摘のございましたように、裁判所においていろいろそのための方策を講じているわけでございます。名古屋付近ではかなりこれは前からいたしておりましたし、最近では東京家庭裁判所でその方法をとっているわけでございます。これは先般来もときどき問題になったかと存じますが、要するに、試験観察の段階の少年補導委託の補導所に預けまして交通の訓練をする、こういうやり方でございます。そういう方法は、結局、一面においては交通事件に対する教育的効果をあげるということとともに、他面におきましては、少年なりの集団的な処理ということにもなるわけでございます。一人ずつたとえば交通規則を説明するのではなくして、合宿させまして、そうしてそこで一定の人から交通法規の教育を受ける、あるいは実際の訓練を受ける、これはねらいはもとより教育的効果をねらっているわけでございますが、結果においてはある程度の集団的処理ということによる合理化ということにもなっておりまして、そういう面ではある程度合理化方策を講じられつつあるわけでございます。しかしながら、実は全体としては非常にむずかしい問題であると考えられるわけでございまして、今後とも法務省と十分御連絡しながら新しい施策の検討を進めてまいりたいというのがただいまの事務総局としての意見でございます。
  24. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの交通事件を起こした少年補導委託というようなかっこうで、名古屋とか、あるいは東京方面は秩父でやっているのですか、どこでやっているのか忘れましたが、いろいろやって集団訓練といいますか、それをやってこの効果が非常にあがっているというふうなことを聞いているわけですが、これはきょうでなくてけっこうですが、直接のあれじゃありませんが、家庭局なんかでどういうふうなことをやって、そのやった結果としてその後少年交通事件が減ったとか、いろいろ効果があらわれたとか、あるいはまだ問題点はこういうふうにあるという形のものをあとで資料という形で出していただきたいと、こう思うわけです。  それに関連をして、そういうときには、裁判所のあれだといって書記官とか調査官とかあるいは判事補だとか、そういう人たちがその訓練をしておるところに行くんですか。それをやることに対して人数増員ということをやらないでやりくりしてやっていっているとすれば、本庁関係の人はそれだけ人数は少なくなってくるんじゃないかと、こう思うのですが、そこはどういうふうにやっているのですか。
  25. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 私の承知いたしております範囲で御説明申し上げたいと存じますが、東京家庭裁判所では便宜交通安全塾というような名称をつけましてそうしてやっているというふうに承知いたしております。そうして、その効果ということでございますが、これもまだそう大量にあるいはそう長い期間にわたって行ないましたのではございませんので、はたしてこれも数字自体で誇るに足りるかどうかということはやはり疑問であろうと思いますが、再犯率が非常に一五%程度にまで下がったと、こういうような報告は出ているわけでございます。そういう点から申しますと、ある程度の効果はあげつつある、こういうように私どもとしては理解いたしているわけでございます。今後そういうデータが積み重なりますれば、それによってどの程度の効果があるかということについてもっと具体的な資料が得られると考えられますし、また、立法の資料にもなろうかと考えておるわけでございます。  それに関連いたします職員の定員その他の問題でございますが、これは、非常に形式的な言い方ではございますが、要するに事件処理の一環でございます。従来は裁判所の中でたとえば一人一人交通法規を説明してやったものを、集めてやるということでございますから、かりに調査官がその現場へ出向きましても、それはどこでやるかの違いであり、むしろ一人ずつやったものを大ぜい集めてやるということで、それだけのむしろ合理化がはかられておるわけであろうと思います。しかしながら、他面、従来はやらなかったような、実際に動かしてみさせてそれを指導するというような、従来必ずしもやらなかったようなものまで入ってまいります関連におきましては、事務増の要素も含まれておると思います。事務増の要素と事務減の要素と両方含まれております。それから定員をどう算出するかということは非常にむずかしい問題だと思いますが、その辺は今後データが重なるに伴いまして私どもとしても十分検討し、また、予算その他のほうの措置も講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  26. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは、いま全国的にやっているのはどことどこであれですか。二十名から三十名くらい集めてやっておる程度ですか。
  27. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 私どもの持っております資料では、現在四十九の家庭裁判所のうち、三十五の家庭裁判所において大なり小なりこれを行なっておるというような説明になっております。ただ、私その詳細のところは直接でございませんので存じませんが、かなりに行なわれております。そうして、人数は、つまり一時期にはおっしゃったような数字で、つまりそれを何度も交代してやる、こういうような方法のようでございます。
  28. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 少年保護事件処理判事十八名、書記官四十五名、調査官九十八名、合計百六十一名を要求して、全然認められない。そうすると、少年保護事件の増加の傾向と——家庭局長が来ていないのであれですが、これは私のほうの連絡が悪かったんですが、増加の傾向と、少年保護事件はふえておるけれども、家事審判の関係と家事調停の関係が減っておるというようなことを前に言われたように聞いたんですが、どういうような事実関係になっておるのですか。
  29. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) 件数の関係で申し上げますと、少年保護事件は一ころ非常な勢いでふえてまいったわけでございます。そのふえ方の多かったのは、たとえば三十三年が五十三万件、それに対して三十四年が六十万件、それから三十五年に至っては七十八万件というような非常に大幅な増加であったわけでございます。しかしながら、その以後はやや増勢が鈍っておりまして、三十六年には八十三万件、三十七年には九十七万四千件となりましたが、三十八年は九十七万三千件と、これはわずか千件ばかりでございますが減っております。そこで、私ども予算折衝をいたします段階におきましては、この三十八年の数字がわかり、三十九年がある程度わかりつつあるという段階であったわけでございますが、三十八年の最終的な件数は、横ばいといいますか、減っておるとは申せないと思いますが、ほぼ横ばいだというようなことが少年保護事件についての増員要求の迫力を弱くしたということは疑いないところであろうと考えられるわけでございます。  そうしてなお、これに関連いたして、家事審判、家事調停の関係でございますが、家事審判の関係は二十九年の三十四万件というのがピークでございまして、その以後は漸減という表現が当たろうかと思いますが、三十七年には二十五万件、三十八年には二十三万件と、こういうふうに二十九年当時に比べますと、十万件以上も減っておるわけでございます。家事調停の関係は、これはまあ大体横ばいという表現が当たろうかと思いますが、ピークは三十年の四万三千件でございまして、それに対しまして三十七年も四万三千五百件、三十八年が四万二千七百件ということでございますから、若干の出入りはございますが、まず家事調停はほぼ横ばいという数字であろうと思います。結局、家事審判事件がかなり減っておる、それから少年事件も差しあたり横ばいに近い数字であるというようなことが予算折衝の段階におきましてどちらかというとこちらの大蔵省に対する説得力を弱めた結果になっておるということは、やはり私どもとしては否定できないような感じを持っておるわけでございます。
  30. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 少年保護事件処理といっても、内容はだんだん変わってきて、ことに調査官による試験観察が近来急激にふえておるわけですから、それだけ事件数というよりもむしろ質的な形では何といいますか重くなっているということで調査官の負担が非常に大きくなっているのじゃないでしょうか。
  31. 寺田治郎

    最高裁判所長官代理者寺田治郎君) ただいま稲葉委員の御指摘の点は、全くお説のとおりというふうに全般的には私ども感じておるわけでございまして、少年保護事件というものの処理というものは、普通の訴訟事件裁判所事件のようにいわば形式的には参りませんので、数が減ればそれだけ楽になるということを直ちに言えない面を多々持っておると存じます。そうしてまた、これは一そうその内容を充実してまいらなきゃならぬという意味におきましては、民事訴訟事件なんかの処理というものとは非常に違った面を持っておりますので、ことにまた、判事と違いまして調査官は十分な数を確保したいということも常々念願いたしておるわけでございます。ただ、何と申しましても、これは先般来裁判所法の関係でもちょっと申し上げました単なる法律的素養ではなくして、社会学、教育学、心理学というような裁判所としては非常に特殊の素養をお持ちになった方でございますので、これを家庭裁判所調査官研修所で養成してまいるということにもある程度限度がございまして、まあ鋭意増員充員をはかっておるというのが実情でございまして、そういう御指摘のような方向に努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  32. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 きょうは、私、予算委員会に行かなきゃならぬものですから、この程度にして、明月は、行(二)の問題、行(二)が全然認められなかったものですから、その関係中心に聞きたいというふうに思います。  それから簡易裁判所増員の問題がいま出ておるのですが、簡易裁判所で実際に裁判官が常駐しておらないところがどの程度あるのか、あるいは、裁判官が常駐していても、民事、刑事両方の裁判をやらないで刑事裁判しかやらないところもあるし、それからそういうようないろんな簡易裁判所というものがあっても、実質的に簡易裁判所の十分な役目を果たしておらないというところも率直に言ってあるわけですね。そういうのは一体どの程度あるのか、ひとつ資料にして、これは前にいただいておるかもわかりませんけれども、あらためて明日出していただいて、それに関連して質問したいと思います。  それから簡易裁判所判事の人の、これもこの前にいただいたかと思っていますけれども、前にどういうふうなことをやっていられた方が簡易裁判所判事になっておられるのかということ、それと簡裁判事のあれは特別号みたいなものがあるのですか、そういうのはどういうような人がおもになっておられるのか、そういう点についてお伺いをしていきたい、こういうふうに考えます。
  33. 石井桂

    委員長石井桂君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  34. 石井桂

    委員長石井桂君) 速記をつけてください。  それでは、両法案に対する質疑は本日はこの程度にいたします。次回委員会は明三十一日に開会いたします。本日はこれをもって散会いたします。   午前十一時五十一分散会