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政府委員(
鹽野宜慶君) まことに
仰せごもっともでございまして、
裁判官に優秀な人材を得るために
裁判官についての待遇をよくしていくということが非常な重要な問題であると存じます。この点につきましては、昨年
臨時司法
制度調査会の内閣に提出されました意見の中にも、
裁判官、検察官の給与の
改善という一条項がございました。政府といたしましても、その趣旨にのっとりまして、できるだけの努力をいたしたいと思っております。その一部につきましては、昨年実施いたしました。その他の部分につきまして、さらに一そうの待遇の
改善ということに努力したいと考えております。
それからさらに
執行吏の待遇の問題でございますが、これは先ほど来いろいろ御説明申し上げましたとおり、現在の
執行吏は国からは俸給を払っておりません。
手数料によって生活を立てているという形になっているわけでございます。そこで、先ほ
どもお話のございましたように、この
手数料は
昭和三十八年に一度ベース・アップをいたしたわけでございます。そのときの基本的な考え方は、
昭和三十年から三十七年までの
物価の
変動を見込みまして引き上げをした、こういうことでございます。ところが、そのときの引き上げは、
昭和三十七年現在を基準にして引き上げをいたしておりますので、それから今日までさらに
経済事情が
変動しているわけでございます。そこで、今回
手数料の引き上げを考えましたのは、従来と多少考え方を変えまして、
執行吏の
手数料は、御承知のとおり、国家の
執行行為に対する対価であるという面が一つございますと同時に、他面、
執行吏の給与に該当すると、こういう面がございますので、今回は
執行吏の給与に相当するものという面に主として着目いたしまして、
昭和三十七年から本年
昭和四十年までの勤労者の実
収入のアップということを勘案いたしまして、今回は総計としては三割五分の
手数料のアップをする。こういうことにいたしたわけでございます。で、最近における
執行吏の
手数料の
収入を全国平均いたしてみますと、
手数料の
収入は一人年間約六十六万円という数字が
最高裁のほうの統計に出ているわけでございます。そこで、今回、これを総体として三割五分のアップということを見込んでおりますので、今回の
改正案が
法律として制定されますならば、
執行吏の平均年間
収入というものは、
手数料につきまして約百万円、こういうことになるわけでございます。さらに、
収入といたしましてはそのほかに
立替金の
収入がございますが、これは相当部分が実費ということになると存じますので、
手数料だけで申しますと、いまのような計算で、これで十分かどうかということについては、私
どももなお十分に
検討しなきゃならないものがあると存じております。その点につきましては、最初に御説明申し上げましたように、
執行吏制度を全体について
検討いたしておりまして、大体の方向はやはりこういうような
手数料制の
執行吏ということよりは、有給の
国家公務員制度に切りかえるということのほうが
制度としてはいいんじゃないかということで、理想的な方向としてはそういう方向に向けていま
検討いたしている次第でございます。
ただ、その
制度を実際に組み上げますには、なおどの程度の権限をその新しい
公務員となるいわゆる
執行官に持たせるか、あるいは、その新しい
執行官の地位というものをどういうふうに格付けしていくか、それによってはたして
執行手続、
執行行為を全部まかなうだけの
人員をうまく吸収できるかどうかというようないろいろむずかしい問題がございますので、それらの諸点についてただいまの鋭意
研究中の
段階でございます。できるだけの努力を続けたいというふうに考えております。