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1965-02-18 第48回国会 参議院 法務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十八日(木曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————    委員異動  二月十八日     辞任         補欠選任      山口 重彦君     杉山善太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石井  桂君     理事                 後藤 義隆君                 迫水 久常君                 和泉  覚君     委員                 大谷 贇雄君                 木島 義夫君                 亀田 得治君                 杉山善太郎君                 柳岡 秋夫君                 山高しげり君    政府委員        法務省民事局長  新谷 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        増本 甲吉君     —————————————   本日の会議に付した案件検察及び裁判運営等に関する調査  (司法書士登記取扱手続に関する件)     —————————————
  2. 石井桂

    委員長石井桂君) これより法務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、山口重彦君が委員を辞任され、その補欠として杉山善太郎君が選任されました。     —————————————
  3. 石井桂

    委員長石井桂君) 本日は、検察及び裁判運営等に関する調査議題とし、司法書士登記取扱手続に関する件について調査を行ないます。本件につきまして、亀田君から発言を求められております。
  4. 亀田得治

    亀田得治君 昭和三十九年の十二月五日に、「登記申請書補正を命ずる場合とその方法について」と、こういう民事局長通達法務局長地方法務局長あてに出されておるわけですが、それに関連して本日は若干御質問をいたしたいわけですが、まず最初に、この通達が出されるに至った経過並びにその理由を一通り御説明を願いたいと思います。
  5. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 私、新谷でございます。本年初めに民事局長を拝命いたしましてまだ日が浅いものでございますので、何かと先生方の御指導を仰ぐ必要があろうかと思うのでございます。何ぶんよろしくお願いいたします。  ただいま御質問のございました昭和三十九年十二月五日の民事局長通達でございますが、これは一口に申し上げれば、最近登記所仕事が非常に増加いたしておりまして、いろいろと申請人の方その他にも御迷惑のかかっているよう点もあろうかと思うのでございます。これはただ事件が増加しているということだけにとどまりませず、事務処理の面あるいは申請をさせる方々取り扱いの面、そういったところにもいろいろと問題が伏在しているようでございまして、そのために登記事務がある程度の渋滞を来たすというふうな遺憾な結果も生じておったわけでございます。特にこの通達のねらっておりますのは、登記事務の適正迅速な処理をはかりますため、司法書士とかあるいは土地家屋調査士を代理人としまして登記申請が行なわれる場合の申請手続上の不備が非常に多くなっております。そういった点を是正するための措置をこの通達によってやろうということになっておるのでございます。  なぜこういうふうなことになったかということでございますが、ある程度数字をあげて状況を御説明申し上げるほうがよろしいかと思うのでございますので、ちょっとその点を申し上げますが、現在、登記申請が出ましてすぐそのまま右から左に受け付けられて処理されるというふうな案件がきわめて少ないというふうな現状にございます。申請書が出ましても、いろいろと不備な点がございますために、その補正をしてもらいまして、正しく申請書が直されたところで正規の登記手続に入るということになるわけでございますが、その間かなり日数を要するというふうな実情が出てまいっております。特に事件が非常にふくそうしております大きな登記所におきましては、これはまことに残念なことでございますけれども、申請書が出ましてから登記処理されますまでの間に五日あるいは七日というふうに、かなり日数を要しておるのが実情でございます。なぜこういうことになるかと申しますと、まあ大部分の登記申請事件司法書士さんを通じて出るわけでございますが、現在司法書士さんもいろいろ仕事がふえてくるというふうな関係上、補助者かなりたくさん使っておられるのが現在の実態でございまして、その補助者人々が十分に調査をしまして申請書をつくるのであれば、そうした間違いもあるいは起きないのではないかと考えられるのでございますけれども、実情をいろいろ調べてみますと、登記簿の閲覧もしないで、いきなり依頼者の言うままに申請書を作成してしまう。これも司法書士人々がみずから申請書をつくるというのではなくて、場合によればその補助者に一任されておるというふうな場合もあるようでございます。そういった事務扱い上の問題から、いま申し上げるように、申請書に非常に不備な面が多くなってくるというふうになってまいりました。はなはだしいものにつきましては、申請書不備補正するとこれがやりきれなくなりまして、一たん申請を取り下げて、もう一ぺん書き直して出すというふうなことを何回も繰り返しまして、はなはだしきは一件の登記申請について三回とかあるいは六回も取り下げをやらざるを得ないというふうな実情まであるわけでございます。また、補正を要します件数でございますが、これはある地区について特別に法務省のほうで調査いたしました結果によりますと、各司法書士取扱事件各人別調査いたしました結果によりますと、件数といたしまして、多いのは八〇%、少ないのでも四、五〇%、平均いたしますと約六〇%ぐらいのものがこの補正を要するということになっておるわけでございます。これは一件ごとについてのパーセンテージでございますので、その一件の中にもさらにこまかい点についていろいろと補正しなければならない個所があるわけでございますから、その個所を一々あげましてどのくらいかということになりますと、これはちょっと答え切れないと申し上げざるを得ないのが実情でございます。そのような状況になっております関係上、事件の多い登記所におきましては、補正を要する申請が一度にたくさん重なってまいりますと、その関係登記簿がそのまま山積みされまして補正待ちという状況になるわけでございます。そういたしますと、その登記簿に登載されておる不動産についてその他の登記事件申請あるいは処理にもこれが支障を来たすというふうな結果になりまして、だんだんと事務渋滞原因を積み上げていくというふうな結果になっております。さらにまた、補正事件が非常に多いものでございますので、司法書士方々から、あの事件はどういうところを補正されるのか、補正個所はあるかないかというふうなことを電話で聞いてこられるわけであります。さなきだに忙しくて人手の不足いたしております登記所におきまして、執務時間中に電話でそういう照会が非常に多く殺到してまいりますと、これは登記所事務そのものにも非常に影響いたすわけであります。いま申し上げますように、補正を要する事件が相当多うございますために、関係登記簿冊が別に保存されております。その中に申請書を差しはさんで補正、されるのを待っておるわけでありますが、そういった書類があちこちに山積みされております中からそれを引き出してさらにまた電話で答えるということは、実際問題としてこれは非常な手数がかかりますのみならず、事務処理そのものにも非常に影響を及ぼすということになるわけであります。先ほど申し上げました五日あるいは七日の事務渋滞が起きるというのも、そういうところにも大きな原因があるわけであります。  そういうふうな状況が起きてまいります一番大きな原因をいろいろ探求いたしました結果、事務処理適正化をはかりますために、登記申請不備補正をどのようにしてやるか、あるいは不備申請が出ました場合に登記所としてはこれをどう扱うべきかということを検討いたしまして、この通達になったというふうに私承知いたしておるわけでございます。  ただ、この通達の突如として出たような御印象をあるいはお受けになるかもしれませんが、いろいろこの通達が出されるまでの経緯を私聞いたところによりますれば、すでにこの問題はもう長年の問題でございまして、昭和三十三年ごろからこういった問題が議題になりまして、法務局部内でもこれをどうしたらいいかということが問題になっておったようでございます。三十四年、三十七年にも司法書士事務処理適正化をはかるために民事局長通達が出されているようでございますが、なお改まらないという現状でございました。法務局長会同とかあるいは登記課長会同の際にも常々この点を指摘いたしまして事務処理適正化をはかってまいったのでございますが、これもなかなか思うようにいかないということで、数年来法務局ことにブロック法務局単位不動産登記事務能率化方策研究会というのを設けまして、これは単にこの問題のみに限りません、登記事務の万般の問題につきまして能率化方策研究をさせております。その研究会にも本省からも出席いたしますこともございましょうし、また、相互の意見の交換もいたしまして、約二年間この研究会を通じて研究されました結果が、本省にも意見が出されまして、それに基づいてこの通達ができ上がった、こういうふうな経緯になっておるのでございます。
  6. 亀田得治

    亀田得治君 その三十四年、三十七年に通達が出されたというのは、どういう通達でしょうか、中身は。
  7. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは、いま申し上げましたように、司法書士事務処理が必ずしも適切でない面がその当時からあったわけでございますので、それを何とか適正な方向に持っていこう、ことに補助者の使い方が悪いために登記申請不備な面が出てくるというふうな実情でございましたので、それを適正に処理するように司法書士事務処理を改めていこう、こういう趣旨通達でございます。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 その通達をひとつ資料として後ほど御提出願いたいと思うのですが、いいですね。
  9. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 承知いたしました。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 それから本件については民事行政審議会に諮問されたわけでしょうか。
  11. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 先ほど申し上げましたように、この問題は前々から窓口の実際の事務扱いといたしまして問題になったわけでございまして、各ブロック法務局に設けられております不動産登記事務能率化方策研究会において二年間にわたっていろいろと実務の面から研究いたしました結果を積み上げてこのようになったのでございまして、特に民事行政審議会に諮問したということはございません。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 能率化方策研究会というのは、どういうメンバーでやられたわけでしょうか。
  13. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは主として法務局実務担当者中心にいたしまして構成いたしております。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 実務担当者中心にして、そうしてどういう諸君がそこへ参加してできておるわけですか。
  15. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは民事行政部の所管でございますので、あるいは民事行政部長が出している場合もございましょうが、主としてブロック法務局登記課長、それから管内の地方法務局登記課長、その他登記所出張所長でございますとか、そういった実務家中心にした研究会でございます。
  16. 亀田得治

    亀田得治君 いまおっしゃったような諸君司法書士を集めて講習をするわけですか。どういうことなのか、もう少し具体的に話していただきたい。
  17. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) ただいまの研究会と申しますのは、講習会ではございません。内部的な事務改善のために、事務能率化をはかるために、それぞれの職域においてそれぞれの専門家が集まりまして、自分たち仕事をどう改善していけば能率が上がるかということを内部研究しておる研究会でございます。
  18. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、三十四年、三十七年の通達といい、あるいは各種の合同といい、あるいは能率化方策研究会というものにしても、結局はこれは法務省内部人たちだけの集まりなんですね。しかし、民事行政審議会という機構というものは、内部の人だけじゃなしに、さらに司法書士なり民間の代表も加わってできておる機構でしょう。
  19. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 民事行政審議会は、亀田委員仰せのとおり、内部職員のみならず、部外学識経験者も加えて構成されております。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 それはどういう構成になっていますか、現に。
  21. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 民事行政審議会構成としましては、現在のところ、戸籍関係戸籍部会、それから登記関係登記部会、こう二つございまして、戸籍関係については委員が十七名、登記関係につきましては十九名でございます。そのうちそれぞれ五名は法務省部内職員でございまして、その他が部外学識経験者あるいは学者、そういった方に御参加願っておるわけでございまして、合計いたしますと三十一名になります、五名がダブリますので。三十一名をもって民事行政審議会構成されておる、こういうふうになろうかと思います。
  22. 亀田得治

    亀田得治君 その登記部会をとってみますると、司法書士代表者も相当数入っているわけでしょう。
  23. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 司法書士の方もかなりの数御参加いただいております。
  24. 亀田得治

    亀田得治君 現在、何名参加しておりますか。
  25. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 現在、司法書士の方は六名参加しております。
  26. 亀田得治

    亀田得治君 この登記事務扱い方というものは、法務省はもちろんそれを受け付けて処理をするという立場関係はきわめて重大なんですが、しかし、これを扱う司法書士なり、あるいは司法書士に依願をしておる国民の側からいいますと、またこれきわめて重要な関係があるわけです。で、そういう性格のものを役所側だけの考え方で重要な通達を出すということは、多少考えてみなけりゃいかぬのじゃないか。幸い民事行政審議会法務省設置法に基づく政令によってちゃんと設置されておるわけですから、そこにちゃんといま当面問題になっておる司法書士代表者数名が入っておるわけですね。だから、当然こういう審議会に諮問をすれば、そこでいろいろな意見が私は具体的に出てくると思うのです。なぜそういう手続をおとりにならなかったのか、そこがまあ一番聞きたいところなんです。
  27. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 確かに登記申請ということになりますと、司法書士の方はもちろん、一般申請者につきましても非常に利害関係は前大でございますので、この取り扱いの慎重を期すべきことは仰せのとおりであろうと思います。ただ、この通達ごらんになればおわかりになるのじゃあるまいかと思いますことは、本来の不動産登記法規定に従ってこの事務処理するといたしますと、もっと厳格にこれはやらなければならない筋合いのものではないだろうかと私は考えておるのでございます。そこで、従来のいろいろの実情もございましたし、一挙に法規どおりにやるということもどうかというふうな配慮からこの通達のような形になったのじゃないかと、これは私自身の推測でございますけれども、そのように感じ取られるのでございます。と申しますのは、不動産登記法の第四十九条をごらんになればわかりますように、即日補正できないものはすべて却下するというふうな法律規定になっております。そこを文字どおり運用いたしますと、かえってこれは申請者の方にも御迷惑ではあるまいか、多少そこにゆとりを持たせてこのような扱いにしようということでございますので、あえて全く新しい方策をここで打ち出すというのではなくて、現在の法規から見れば少しゆるやかであるかもしれないけれども、従来の実情から考えるならばこの程度のことはやはり申請者の側でも協力していただきたいという思想に立ってこの通達ができておるわけでございます。  一方、民事行政審議会において議題となる点は、新しい行政措置を考える場合、たとえば不動産登記につきましては、登記事務取扱準則を新しくつくるとか、あるいは登記簿様式改善して新しいものにするとか、あるいは登記申請様式を新しいものにしようというふうな場合に特に民事行政審議会におはかりしてやってまいっておるのでございまして、昭和三十九年十二月五日のこの通達はむしろ法規どおりやることに一歩近づける趣旨通達であろうと私は理解したいのでございます。そういう意味で、事柄は非常に重要ではございますが、民事行政審議会にはかるというよりは、むしろなるべく法規どおりにやっていくように扱いを近づけていくという趣旨から出たものだとしますならば、民事行政審議会におはかりするまでもなく、内部法規の執行上の問題としてこの通達によって処理される、こういうふうに考えたのではないかと思っております。
  28. 亀田得治

    亀田得治君 この通達中身は、何かたとえば新しい書類の形式をつくるとかそういうことにも増して重要な問題がやはり含まれておると私は見ておるのです。その個々のことについては、総括的な質問が終わったあとで疑問のある点について若干ずつお聞きしますから、あとにしますが、単にいままでの法律の線に沿って近づけていくのだというふうなことからだけで解決のつかぬ問題が実際の問題としてたくさんあるわけです。根本的に、登記申請というものを国のほうがすぐしてくれない。申請をしたのですが、すぐ登記をしてくれない。この責任は一体どうなるのか、これは非常な問題なんです。不動産取引など非常に急いでおる場合に、本来ならば、申請をしてすぐ登記官吏がその調査をして、そうして補正をする必要のないものであればすぐ登記をしてくれる、すぐそこで当事者の代金の取引ができる、こうなるべきものなんです。それがもう根本的にずれてしまっているのです。そのずれておる最大原因というものは一体これはどういうふうに理解されておるのです。そこからまずこの法律に近づけるということをおっしゃるならはっきりしなければいかぬ問題です。
  29. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 全くお説のとおりであると私も考えております。事務渋滞する原因がどこにあるかということは、これは登記所内部構成、大きくいいますと、庁舎の問題から事務取り扱いの問題、あるいは職員の訓練の問題、あるいは人員の問題、予算の問題内部的にはそういう問題が全部関連してこようかと思うのでございます。ただ、外部との関係が出てくる仕事でございますので、外部の面からの原因は何かということを考えますと、この通達のねらっておりますような補正事件をなるべく少なくする。いかにもこれでは補正事件が多過ぎるのじゃあるまいか。先ほども申し上げましたように、補正を要する件数が平均して六〇%ということは、いかにもこれは登記事務としては間違いが多過ぎるのじゃあるまいかという感じがいたすわけであります。私ども、ただ申請者の側ばかりを責めようという気持ちは毛頭ございません。登記所内部のいろいろの改めるべき面は改めていくと同時に、外部からの申請する立場に立つ方々の御協力もこれは必要であろうかと思うのでございまして、内におきましては、毎年のことでございますけれども、職員の増員もある程度お願いいたしますし、また、機械の導入によって事務をできるだけ能率化していく、あるいは庁舎改善をはかって執務環境をよくするというふうな努力も重ねておるわけでございますが、ただそれだけではいかんともいたしがたい問題が残るわけでございます。それがこの通達に載っております申請不備が少なくなるようにという問題でございまして、これをできるだけ適正な申請が行なわれるように私どもも希望しなければなりませんし、また、司法書士方々からもそういった趣旨での登記事務の適正迅速な処理という方向に向かうために御協力を願わなきゃならぬと、こういう観点に立ちましてこの通達が出されたものと了解しておるわけでございます。
  30. 亀田得治

    亀田得治君 登記の場合には一字一句要件からはずれてもいけないというふうな制約がありまして、それでなかなか完全な書類というものはむずかしいという点もあるわけですね。それじゃ普通の裁判所で扱う書類にいたしましても、いろいろ訂正個所があるわけですね。これはあとから訂正したり、あるいは適当にやっておるわけですね。行政官庁でもそうです。だから、いずれにしても補正が皆無になるというようなことはあり得ないわけなんです。したがって、補正のために受け付けるほうの役所がある程度の勢力をさかなきゃならぬということは、私はこれは認めてかからなければいかぬと思います。これはだれがやったってそうなりますよ。で、もちろんそれは少ないにこしたことはないのです。ところが、そういうともかく補正なんかでわずらわされるのはかなわぬというふうな状態に登記所がなっておるその最大理由というものは、これは事件の数と物的設備なり人員というものがバランスがとれておらぬわけでしょう。そこが一番の私は原因だと見ておるわけなんです。内部とか外部とか、ともかく総括して考えた場合、私はそういうふうに認識しているのですが、それはどうなんでしょう。ほかの問題は別として、そこのところだけひとつ……。
  31. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) いまお説のように、内部物的施設、あるいは人員執務体制、そういったところにもまだまだ改善の余地はあるというふうに私ども考えまして、その方面の努力はできるだけやっておるつもりでございます。ただ、しかし、事務渋滞原因が一にかかってその面だけかどうかというと、必ずしもそうはいかないということを申し上げようとしているわけでございます。
  32. 亀田得治

    亀田得治君 だから、まあみんな関連はしていることはこちらもわかっておるわけですが、じゃ数字的にちょっと示してほしいのですが、登記件数とそれに従事しておる法務省側人員関係ですね、これはずっと前にも法務委員会で検討したことがあるのですが、あらためてここでちょっとあげてほしいんです。登記がどんどんふえるのに、少しもそれに対する物的人的な関係というものがバランスがとれていっておらぬわけなんですね。それがわずかながらのことじゃたいしたといいますか、それほど注目はしませんが、非常に私はこれはアンバランスになってきていると思うんです。それはどうなんです、数字的にちょっと答えてください。
  33. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) ただいまごく新しいところまでの数字を手元に用意しておりませんが、昭和二十六年を基準にいたしまして登記件数台帳件数の合計した件数で申し上げたいと思います。二十六年と申しますのは、二十五年に台帳事務が税務署から登記所に移っております。その年を越えた二十六年からが完全に登記台帳件数法務局件数として計上される年になりました。そこを基礎として申し上げますと、昭和二十六年におきましては合計いたしまして千四百七十八万件でございました。これを一〇〇といたしますと、年々事件数は増加してまいりまして、昭和三十四年に至りまして五千八百三十五万件でございまして、上昇率は三・九五、三十五年におきましては五千九百八十九万で、上昇率は四・〇五、三十六年におきましては六千六百二十七万件でございまして、上昇率が四・四八、三十七年におきましては七千七百五十八万件でざごいまして、上昇率が五・二五、三十八年におきましては八千三百三十三万件でございまして、上昇率は五・六四ということになっております。これに対しまして人員関係はどうかと申しますと、予算定員もそれから登記台帳事務に従事している職員人員も若干ではございますが年々ふえてまいっております。昭和二十六年を基準にいたしますと、登記台帳事務に従事している職員だけの数を申し上げますと、六千三百二十九人であります。これを基準にいたしましてだんだんと人員もふえておりますが、昭和三十四年には六千九百七十八人、上昇率は一・一、三十五年は七千百二十名、上昇率は一・一二、三十六年が七千百四十二名で、上昇率が一・一三、三十七年が七千三百三十八人で、上昇率は一・一六、三十八年が七千五百三十八人で、上昇率は一・一九、こういうことになっておりまして、確かに仰せのように事件数上昇率と比べますと人員の伸び率はそれほど多くないというのが実態でございます。
  34. 亀田得治

    亀田得治君 それで、国民なり司法書士の側からいえば、その点に対する基本的な不満というものがあるわけだ。だから、こういう通達を出されるにいたしましても、もし民事行政審議会等で議論をすれば、やはり司法書士側からはそういう点についての改善意見というものは出るはずなんです。それはそれとして扱うにしても、司法書士の側の協力をしてもらう点だけを切り離して問題を検討するんだという場合であっても、いま私が指摘しているような点というものが考慮の中にあってやられるのと、そうでなしに、そんなことはもう一つの理由にすぎないんだというふうな気持ちで、そしてともかく司法書士の側の書類不備、そういうようなことだけを追及して締めつけていく、こういうことでは、私ははなはだ高圧的な感じがするわけなんです。だから、あなた、そういうやはりみな協力しなければ登記事務なんというものはスムーズにいかないわけですからね、大きく見たら。そして、国家の側にも確かにこれはもう大きな不備があるわけです。しかし、予算の制約等でなかなかそれがうまく整備できないというのが現状なんでして、それならやはりそういう国としての苦衷などもるる訴えて、その上で司法書士諸君にもこういう点はこういうふうにしてもらったらどうであろうというふうな諮問をすれば、そうすれば、司法書士のほうにしても、いやこの点はやれる、また、無理な点に対してはこういう方法のほうがもっといいのじゃないかというような建設的な意見も私は出てくるだろうと思いますね。そんなことが一つもやられんで、自分の予算措置のできないことはたなに上げて、そしておまえたちの書類だけはきちんとしたものを出してあまり役所に手間をかけぬようにしろと言わんばかりの通達ですわな、これは。私ははなはだ何といいますか司法書士協力の意欲というものを減殺すると思うのですね、こんなやり方は。出てしまうと、役所の人はたてまえをみなでかばうくせがありますが、いろいろな人から私はちょいちょいこの通達について意見を聞かされたものですから、なるほど実際に実務をとっている諸君は決してそんな悪気があってやっているわけじゃないのですから、こういうことはよくないと思いまして、これは一ぺん実情も明確にしたいと思ってこの質問をする気になったわけですが、どうですか、こんなやり方ははなはだおもしろくないと思うのですが。
  35. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは、法務省立場といたしますれば、いままで申し上げたことで実は尽きると思うのでございますけれども、亀田先生のおっしゃるのも御無理のない点があろうと思うのでございます。ただ、くどくど申し上げるようで恐縮でございますけれども、この通達が出されましたそもそもの発端は、司法書士補助者の使い方がまずかった。ことに、本来登記申請というものは、登記簿を閲覧いたしましてから十分に調査した上で申請するというたてまえになっているわけでございます。それを調査もしないでいきなり申請書をつくって出されるものですから非常に混乱が多くなっているということに着目いたしましてこの通達の次第となったわけであります。さればといって、司法書士会の意見も全く無視してやったからこれはけしからぬとおっしゃいますれば、あるいはそういう御意見も成り立とうかと思うのでございますけれども、実はこの通達を出しますにつきましては、いろいろ法務局の現地の運用の問題といたしまして、通達以前にすでに数年前からこれと大体同じような扱いをして成功した法務局もございます。また、通達後の反響を伺ってみますと、大部分の司法書士会では当然のことだというふうな声も出ているやに聞いておるのでございます。あるいは一部の方々には意に満たないという面もあろうかと思うのでございますけれども、おおむねこの通達は当然のことをしたという御意見が実は寄せられておるのでございます。そうは申しますものの、いまお話しのように、この通達は従来の扱いをある意味では変える重大なものでございます。そういう意味において、司法書士方面の意見も伺うことがこれは妥当であろうとおっしゃればあるいはそうかもしれないと思います。  実は、民事行政審議会に諮問いたしませんでしたことは、これは過去のことになっておりますので、何ともいたし方ございませんけれども、それとは別に、現在、登記申請書様式について、民事行政審議会で審議する予定にいたしております。三月の上旬に民事行政審議会登記部会が開かれる予定になっております。その際に、当然この申請書補正の問題が関連する問題になるわけでございまして、その際司法書士会の代表の方にも来ていただきまして、さらにその審議会の場で、この通達を表面の議題とするわけではございませんけれども、申請書様式の改正という問題と関連する問題として私どもは謙虚に司法書士会のほうの御意見を伺いたい、このように考えておるわけでございます。
  36. 亀田得治

    亀田得治君 通達を出してしまってから、そしてそのあと審議会でこの点についても関係者の意見を伺ってみたい、そんなことをされるぐらいなら、当然事前に意見を聞いて、そこでやはり論議したほうが結果もいいわけなんです。それはあなたのほうは当然なことをやったのだというふうに言っておる司法書士意見だけしか耳に入りにくいわけです。司法書士というのは、やはりあなたのほうがちゃんと認可して一種の監督していくような立場に立っておりますから、なかなかほんとうの意見というものは入りにくいわけです。だから、そんな皆さんに賛成の意見だけがあるからというようなことで買いかぶっちゃ私はいかんと思うのです。当然なこととおっしゃるけれども、当然でないようなことも多々あるわけです。これはあとから聞きます。  それから総括的な問題として、この民事行政審議会は過去何回ぐらいやっておりますか。
  37. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 正確な数字はちょっと把握できませんが 大体年一、二回は開催されておるようでございます。
  38. 亀田得治

    亀田得治君 どういうふうなことが議題になっているのです。
  39. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) それも実は私しばらく民事局の仕事と離れておりましたので、はっきり正確に申し上げることは困難かと思いますが、大体登記事務の大きな改善をやろうという場合に、それを議題にして民事行政審議会にはかるわけでございます。過去において一番大きな問題は、登記台帳事務の一元化の問題等もございました。その後、登記事務取扱準則の改正の問題あるいは登記簿様式の改正の問題、あるいは申請書の改正の問題、そういった点が主として議題になっておるわけでございます。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 それから最初の説明の中で登記のおくれが五日ないし七日というふうに言われたわけですが、これは平均しての数字だろうと思いますが、非常におくれるのはもっと日数が長いのじゃないかと思いますが、それはどうなんですか。
  41. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) あるいはそれより長いのもあるかもしれません。十月くらいというのもあるかもしれません。と申しますのは、いま申し上げましたように、申請書補正を要する場合に取り下げが六回にも及ぶというようなことがございますので、最初出されたときから数えますと、おそらくそれはもう十日をはるかにこしておるというふうなものもあろうかと思うのでございます。
  42. 亀田得治

    亀田得治君 それは申請書の手落ちによって特別延びるというふうなことをお聞きしたわけじゃない。恒常的に七日以上のものはないというふうに言えるのかということを聞いておるのです。
  43. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) ちょっと自信をもってはっきりないと言い切れるかどうかと申しますと、ちょっと必ずしもはっきりしたお答えができないのでございますが、大体七日くらいが最高ではあるまいかと考えております。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 それから小さな登記所では、こんな五日もおくれないのでしょう。どうなんです。
  45. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 先ほど五日あるいは七日と申し上げましたのは、大きな登記所事件のふくそうしておるところを中心にして考えました場合に、おおむねその程度ではあるまいか。これは必ずしも全部が全部そうなっておるというわけでございませんで、渋滞しておるところはその程度になっておるという意味でございます。したがいまして、小さな登記所におきましては、即日処理がどんどん行なわれておる こういうことになっております。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 即日処理がやられておるのはどの程度ですか。
  47. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 他方の小さい出張所はほとんど即日処理するだろうと思います。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、この十二月五日の通達というものは、遅滞のあるところについてだけ適用するわけですか、通達自身はそういうことは書いてないわけですが。
  49. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) この通達は 登記事務全般の問題としましてこうありたいという考えに立っておるのでございますが、主として直接影響してまいりますのは、結果的には事件の多い登記所が一番関係が強くなってこようかと思います。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 補助者のことにつきまして先ほど説明がありましたが、補助者の方が書類を間違うというようなことが多いということであれば、その点だけを特に対策を立てたらいいのじゃないですか。
  51. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) まことに仰せのとおりでございます。私どもも、この通達は、窓口一般の取り扱いの問題としまして登記事務申請のルートに乗った場合の扱い通達で書いておるわけでございますが、いま仰せのように、問題は補助者のところにあるといたしますならば、補助者を認めるか認めないかというところにさかのぼって検討を要する点があることは申すまでもないと思っております。また、そういった点についてもさらに今後検討を加えていきたいと考えております。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 いや、私の言うのは、あなたのほうでこの問題を取り上げた最大理由補助者の間違いだということを言われるから、それならば補助者というものは間違いを起こさぬように、ちゃんと仕事がやれるように、たとえば教育をするとか、よく注意をするとか、そういうことをまず考えるべきなんで——補助者のこともここへ載っておりますよ。載っておりますが、全般的に何かいろいろなことが書かれておるわけです、九項目にわたって。中には納得できないこともあるわけなんです。だから、それは順序がどうも逆のように思うんですよ。だから、こういう実質的に重要な意味を持つ通達であれば、やはり審議会に諮問をしてそこでいろいろな意見を出してもらえば、これは司法書士のほうで自発的に補助者において間違いがないようにもっと努力する。そのためにはこうしようというふうな積極的な案がまた出てくるかもしれない。だから、どうもやり方が、審議会を無視した点といい、あるいは補助者の間違いを何か司法書士全般に広げてこの通達を出されておるということで、はなはだ扱い上遺憾な点があると考えているんです。しかし、そういう総括的なことはこの程度にしまして、この九項目の通達自身についてひとつ少しずつ疑問点を聞いておきたいと思います。  まず、三項目の点ですが、電話補正書類の有無について問い合わせを司法書士がした場合に答えないと、こういうことを書いてあるわけですね。これは、登記所の人が非常に忙しいときに電話がかかってくると、ああ、めんどくさいと、その気持ちはわかりますけれども、どこの役所でも、自分の出した書類についてあの書類はあれでいいでしょうかと確かめることをしないというところはないですよ、そんなことを拒否するというのは。仕事が忙しいのはわかっている。だけれども、どうもこういうことを一つの通達としてぴしゃっときめてしまう、これだったら、それほどおくれのない登記所においても、これは局長の通達だからやはりこれでやらなければいかぬということになりますよ。今後はもう一切そういうことはせぬと、こう書いてある。それは、ほんとの役所であれば、ほんとうは人手の余裕はあるわけですが、書類を預かってまずいところがあったら、あなたのところはこうですよと逆に注意してやるべきなんです。登記所というのは、しょっちゅう言うようにサービス機関なんですからね、それを逆に、司法書士にしても、事務所は一カ所ですから、だから相当離れたところの登記所に行くという場合もこれはあるわけでしょう、一つの府県をとってみても。そういう場合に、電話をかけて、それに対して返事をしない。ちょっと非常識じゃないかと思うんですがな、こんなことが通達に出るというのは。それは幸いそのことで相当補正のあるものだったらいい。何もきずのない書類だったらまことに気の毒な話ですね。司法書士が一ぺん登記所まで来なければわからぬと、こんなことがこのとおり実行されていいんでしょうかね。これは原則だとおっしゃるかもしらぬけれども、原則なら原則として書いておいてもらわないと、民事局長の命令ですもの。それはどうなんです。
  53. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 電話の利用が非常に盛んになっております現在の社会情勢のもとで、いかにも電話を使うことを禁止するというふうなことはどぎついじゃないかという御意見でございます。まあ電話という面から見ますれば、まことに御意見のとおりだろうと思うのでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、申請書類が非常に不備なために、その不備案件不動産登記のなされておる簿冊がそれぞれ別に補正待ちの形で倉庫に整理されないで山積みされているのが忙しい登記所現状でございます。一人の司法書士さんの申請される件数で一つの登記所に出てまいります事件の数、これが多いのは四十数件になるというふうな例もあるそうでございまして、忙しい登記所におきましては司法書士の数も非常に多いわけで、一般の申請人もまたそこに入ってくるという現状におきまして、これは現場を見ていただけばおわかりになることと思いますけれども、補正を要するために動きがとれなくなって山積みされている書類というものが非常に多いわけであります。その中から電話によってこれはどうなっているかということを聞かれますと、一々それを引っくり返して探し出して、その中でこの個所がどうだ、あの個所がどうだということを返事するということになるわけでございまして、従来もこの電話がひっきりなしにかかってくる。まあ小さな登記所仕事の少ないところでしたらたいした不便もないと思うのでございますけれども、大きな忙しい登記所になりますと、事務机にすわって本来の事務をやるいとまもないくらいこの補正の問い合わせの電話で忙殺されるという現状になっております。そこで、この通達によりまして補正をなるべく少なくしようということをねらっておるわけでございますが、かたがた、いまの社会情勢から見れば、あるいは非常識だという御非難があるかもしれませんけれども、登記所の側からしますれば、電話の応待を一々やっておったのじゃほかの仕事にも影響するというふうな事情にございますので、まあ電話で一々お答えするということは、これはもう何とかお許しいただきたい、こういう趣旨でこの通達はできておるものと考えるのであります。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 しかし、即日補正ができるような役所だってあるのでしょう、即日登記ができるような。そういうところは電話でやったっていいじゃないですか。この通達は、あなた、そんな例外などを少しも書いてないですよ。
  55. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは、たてまえとして「応じないものとする。」と、こうございますので、一人庁の一日に一件か二件しか出ないようなところでもだめなのかとおっしゃいますと、これはまことに非常識な結果になるわけでございます。まあそこまでやるつもりはおそらくあるまいと思うのでございます。問題は、この通達を出さなければならないようになりましたいきさつは、一人庁、二人庁の平常の事務で動いておるようなところについては問題はないのでございますけれども、大都会の事件の殺到してくるところについては特にこの措置をとらなければならないということからこのような次第になったわけでございまして、全国一律にこれをこのまま一回の電話の照会も断わるというふうなどぎつい考えでやりたいというふうには考えていないわけでございます。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 その中間のところがたくさんあるわけですね。登記所関係の役人が親切心があれば幾らでも応待できるところがたくさんあるわけです。だから、そういうものもこれはとめることになるわけですね。とめる必要は私はないと思うのです。ことに補正を要しない書類については、積極的に役所がむしろ電話をしてやるべきだと思うのです、逆に調査日に。来なくてもいいですよというふうに言うてやるべきですよ。来てみたわ、いや補正は必要はない、もとのままでいいんだ、電話でちょっと言うてくれれば来ぬでもよかったのにと、そういうものについては言うべきじゃないか、逆にね。そういうことになれば、今度は電話のかかってこぬやつだけは向こうから調べに来るわけです、司法書士のほうから。それだけでもいままでの半分ぐらいは手間が節約できるわけです。そして、司法書士としても一応その線ならということで納得もできるわけです、自分のほうに補正があるわけだからね。完全なやつだけ電話してもらえるということになれば、非常に気分もいいわけですよ。だから、たとえばこういう電話一つの問題にしても、自分たちの手間を省こう省こう、そういう気持ちだけからこんなところへ書くもんですから、はなはだきつい感じを与えるわけですね。完全な書類については私はそう電話を逆にすべきだと思うのですが、どうなんです、それは。
  57. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) サービス機関としての登記所の理想的なあり方といたしますれば、亀田委員仰せのようにサービスを徹底するということが望ましいことは間違いないと思います。ただ、人員関係とか予算関係、あるいは事務の繁忙度の問題、そういったものがからみましてそこまでサービスが届かないというのが現在の実情でございます。ただ、補正を要しないものについて電話で一々それを知らせるかどうかということでございますが、登記申請がございましてすぐ処理ができるものは、これはもう窓口で待っていただいているうちにできるわけでございます。できないものは、これはあすの十二時までかかるとか、あるいは明後日の三時までかかるというふうなことを申請人に伝えまして、そのときに来ていただくわけでありますが、もしも補正を要しないものであれば、登記が完了いたしますと、申請人のほうに登記済証を必ず渡さなければなりません。これはほっておいても申請人のほうが受け取らなければなりませんし、また、受け取ることを希望して必ず登記所へその時間に出向いて来られます。したがいまして、補正がない場合には、登記済証の交付ということによって事件処理されたということは当然わかるようなことになるわけであります。また、補正を要する場合には、ここに書いてありますような処理をいたしまして、できるだけ相互の協力によって事務渋滞を避けよう、こういう考えでこの通達ができておるわけであります。亀田委員のお話のように、将来そういう理想的な形に向かっていくということを私どもも希望はいたしておりますが、いまの段階でそこまでいくということは実情としてはやや困難であろう、このように考えております。
  58. 亀田得治

    亀田得治君 しかし、それは国として間違いですよ。登記申請して、すぐそれを調べて、そうして補正があるかないか調べて、間違っておればそこで直してそしてすぐ登記をしてもらう、これが何といったって原則なんですからね。その原則が国の事情で延びているわけなんです。すぐできないと。だから、数日延びる。ただし、その場合でも、書類を調べたら申請者書類がどうも不備だという場合には、これは申請者のほうが若干責任を持つという意味で、それについては返事せぬ、申請者のほうから来て確かめてくれという態度も若干の理があります。しかし、少なくとも完全な書類を出しておるのに国だけの都合で延ばされておるというようなものについては、これは当然私は役所から知らしてあげるべきだと思うのです、今度来るときはそのつもりで来てくださいと。これは取引の当事者でも、そのことが知らされる知らされないで、いろんな金の都合もあるでしょうし、非常に違いますよ、これは。だから、ぜひこういうところはやはり検討してもらわなければいかんですよ。実際にそういうふうに局長通達がなれば、やれるところもあるわけですから、これですとまことにこれは不親切なやり方です。まあひとつ要求しておきます。  それから第四番目ですが、補正をする場合には受付のカウンターまたはその周辺の机でさせる、こういうことが書いてあるのですが、これはちゃんと机と腰かけを用意して、そうして場所をちゃんとつくってくれるわけですか、設備を。
  59. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 登記所の窓口にはすべてカウンターがございまして、立ったままでもそこで簡単な書類の作成はできるようになっております。「補正机」と、こう書いてありますが、補正をするために必要な机という意味でございまして、特殊な机じゃございません。窓口に多く置いてあります机を利用してやっていただきたい、こういう趣旨でございます。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 書類を持って帰って自分の事務所で補正をするということは、これはどうしていけないわけですか。多少複雑な補正であれば、そういうことも必要な場合もあるんじゃないですか。どこで補正しようとそんなことは自由じゃないですか。場所を一体指定するというのはどうもふに落ちないのですが、どんな根拠から出てきたのです。
  61. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) ここに補正とございますのは、その場ですぐ修正できるようなものを言っておるのでありまして、いまお話しのように、全部書きかえなければならないような極端な場合、そういう場合があろうかと思いますが、そういった場合には、その出ました申請は一応取り下げていただくか、あるいは却下するか、どちらかにすべきだろうと思います。いずかにしてもこれはすでに受け付けしたものでございますので、これは事務所に持って帰って処理するということは登記所側としては困るわけでございます。
  62. 亀田得治

    亀田得治君 じゃ、その中間のものがあるでしょう。非常に不備で却下に値するとかそういうものじゃなしに、簡単な補正じゃなしに若干補正も複雑だ、数も多いという場合に、たとえば登記所の近くに司法書士事務所がたくさんあるでしょう。じゃ、そこへ行ってじっくりとかまえてやろう、きちっとすわって。なんでそれがいけないのですか。
  63. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは受け付しておる申請書でありますので、またこれを持ち帰られてそのままでなくなってしまうということは登記所則としては困るわけであります。やはり登記所の窓口ですぐ補正していただくということをしませんと、事務処理に非常にめんどうが起きるわけであります。受付番目の順序に従って登記というものが行なわれるわけであります。持ち帰っている間にほかの登記申請が出てくるということになりますと、登記所としてはその書類がどうなっているかわからないというふうなことになりまして、これは非常に大きな手続上の間違いを起こしやすいもとになるだろうと考えますが、そういう意味で、その場でやはり補正できるものは補正していただく、補正できないものは取り下げるなり却下の措置で一応その事件の終了処分をやった上で処置しなければならない、このように考えます。
  64. 亀田得治

    亀田得治君 それもちょっと私極端な言い方だと思うのですな。それは自分の利益のために出しておる書類ですから、早く持っていきたいのはやまやまなんです。そういう種類の書類について、その場でできることは、こんなこと書かぬだってそうしますよ。却下まではいかない、しかし補正個所が相当あるから、それからまたちょっと聞きたいというようなこともあるでしょうし、それを何か小学校の子供にものを指示しているようなこんなことまで書く必要があるのかどうか。じゃ、これをしなかった場合、一体どうなるのです。これはちょっと複雑だと。事務所といっても、裁判所の近く、あるいは構内にあるものもたくさんあるわけです。そこに持って帰って補正して持ってきた、それはいかぬのですか。そのほうが便利でいいじゃないですか、登記所にしたってそんな受付やそんなところにごさごさたくさん人がおるより。何かそういうことで書類が紛失したりして大きな間違いでもあったのですか。そういうことから出てきたんですか、こういうことは。
  65. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 印紙の紛失、あるいは書類の紛失、事件処理がどうなったか不明になる、こういうようなことを防止しますためには、やはりその場所で補正をやっていただくということが一番望ましいということでございます。特にここにははっきり書いてございませんけれども、この規定を置きます——規定と申しますか、この条項を置きました理由は、従来、司法書士の方あるいは補助者の方が登記所事務室の中に入り込んで来られまして事務机の上でいろいろおやりになることが多いのでございます。これがまた非常に事務を混乱させるわけであります。事務室で処理をするのに妨げになるようなことでは登記所能率にも影響するというので、受付カウンターを中心にしてそこで補正をやっていただく、こういうことにしたわけでございます。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 じゃ、それなら、登記官吏事務のじゃまになるようなやり方で事務室の中でいろんな書類をあけて補正などをやらぬようにしてくれと、これでいけばいいわけですね、目的がそこにあるんなら。ちょっと一町ほど離れたところに事務所がある、そこで間違いないようにじっくり直してきても何も差しつかえない。そのことまで何かとめているような印象ですね。だから、あなたの言うようなことなら、そのこと自体を書いておけばいいんじゃないですか。それを何も「カウンター」とかそういう指定のしかたをしなくても、それはそこでできる人はしたらいいんでね。
  67. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) この条項のねらいはいま申し上げるようなところにあるわけでございますが、そうかといってこれを外に持ち出して処理するということになりますと、これは一般のほかの役所でも同様だと思いますが、取り下げもしない、却下もされない、すでに役所では受け付けた書類を自宅に持ち帰ってそこで直すというようなことは、おそらくどこの官庁でもそういうことはやらせないだろうと思うのであります。特にこれは登記申請でございまして、権利関係に非常に重大な影響を及ぼす問題でございます。万一申請書がどこに行ったかわからないというような事態になりますと、あとに続いて出る登記にも非常に影響するわけでございます。登記所の責任の問題もそれにからまってくるわけでございます。受け付けた以上は、やはり登記所の窓口で可能な限り補正していただくと、こういうことにいたしませんと、かえってあやまちが大きくなっていくんじゃあるまいかというふうに考えるわけであります。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 私はまあ司法書士の方から聞くわけなんですよ。そんなカウンターに並んで中腰で補正すると、やっぱり文字も乱雑になりますし、きちっと書きたい、こういうことからやはり来ておるわけなんです。だから、こういうようなことも、最初に言うたように、やはり実際に実務にタッチしておる諸君から意見を聞けば、もう少しまた書き方があるわけなんです。私もこれを読んで、はなはだちょっとこまかいことまで指示しているのだなという感じで不自然に感じたわけですから伺ったわけです。  それから次は、まああまりこまかいことは抜きにしますが、第五番目、予定された「期限内に補正されなかった申請書は、その期限の満了時に「取下」の印を押して三の整理箱に入れる」、こういうことが書いてあるのですね。取り下げというものは本人がやるわけでしょう、本人が。本人が取り下げもしないうちに「取下」の判を役所のほうで先に押してしまう、これは私ははなはだ行き過ぎた判こじゃないかと思うのですね。こんなことはどうですかね。
  69. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは、第一項の期間内に補正されません申請書は、本来ならば、当然不動産登記法第四十九条の規定により却下すべきものになるわけであります。そうかと言っていきなり却下するのもいかにもぎらつく措置でございますので、できれば取り下げるという形でこいつを処理しようという趣旨でございます。「取下」の判を押すというのは、取り下げされるべき案件であるという目安としてこの判を押すわけでございまして、役所のほうが取り下げるという意味ではむろんございません。それでもなおかつ放てきされる場合でありますれば、結局補正されないままで放置されるわけでありますので、これは最終的には法律規定によって却下する、こういうことになるのであります。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 しかし、取り下げに値するものかどうかということについて、申請者と当の登記官吏意見が合わぬ場合もあるのじゃないですか。そういう場合に、これはもう取り下げじゃというふうに判こまで押していいのですかね、それは。
  71. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) この一項の規定そのものも、最初に申し上げましたように、不動産登記法規定からいいますれば、多少緩和した扱いになっております。それですら守れないということになりますと、これはもう規定どおりやれということになりますと却下ということになるわけなんであります。ただ、取り下げるか、あるいは却下するか、あるいは補正するか、そういったことを申請人登記所の間で相談したらどうかというお話でございますが、そこまでいけば、おそらくこれは補正で片づくのじゃないかと思うのでありますが、どうしても申請人の側が出てまいりませんで、書類がそのままたなざらしになってしまうということになりますと、関係の簿冊が結局処理未済のままで別に保管されて整理がつかないというふうな結果になるのでございますので、いつまでもそういう状況でおかれることは登記所の側としてははなはだ迷惑なことなんであります。なるべくその結末をどうするかということを早くつけませんと、結局ほかの申請人に非常な迷惑がかかっていくという結果になるのでございますので、取り下げするかあるいは却下するか、どちらかを選ばなければならないという事態になった場合のことがこの一項で書いてあるわけであります。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 しかし、不動産登記法四十九条は、これは事実上実行されておらぬわけですね。だから、この補正のことだけを不動産登記法四十九条で書いておりますけれども、即日補正というのは実際問題として実行できない。登記所側の受け入れ体制の関係からこの通達の第一にあるようなやり方を考えているわけでしょう。だから、四十九条は、すでにそういう意味じゃ修正されてしまっているわけです、事実上。そう法文を直したらいいんですよ、「遅滞なく」とか。そうしなければ実際に合っておらぬわけですよ。そのそもそもの原因は、それは国の受け入れ体制の問題から出ているわけなんです。申請者側にも若干問題はあるでしょうけれどもね。それは現に完全な書類であったって翌日まで行くのですから、総合的に見たらそこに問題があるわけなんですよ。そうすれば、たとえば一字か二字直さなければならぬというふうな補正書類、そういうものが期間内に間に合わなかったからというて却下してしまう、そんなことは私ははなはだこれは行き過ぎだと思う。取り下げなければ却下だ、時間過ぎたら。ところが、本人にしてみたら一字か二字のことです。そんな一時間や二時間おくれてもいいじゃないですか。それは交通事情や何かの関係でおくれることはありますよ。しかし、指定の時間にはおくれたと。そうすると、あなたのほうは、取り下げか却下だ、書類にはちゃんと「取下」と書いた。申請人は、おれのほうは取り下げる意思はない。それじゃ却下しますと。こういうことははなはだ酷な場合がたくさん出てくると思うのです。いや、そういう気の毒なことを大目に見ていると、みんなそこに便乗してきて、結局日限を切っていることが意味がなくなってくるというふうにあなたのほうはおっしゃるわけでしょうが、しかし、そうも人間を悪うばかり解釈しても私はいかぬと思うのです。やむを得ずおくれる場合だってあるのです。しかも、そんなものを却下したり無理やりに取り下げさせたりすることは気の毒だと登記官吏自身が思うものもたくさんあるはずですよ。そういうものは一体どうなるのか、第五の通達があった場合。むだなことですよ、そんな書類についてまた出さすというのは。
  73. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは、いま申し上げますように、事務処理の区切りをつけていきませんと、結局全体の登記事務渋滞してくる。補正を要する申請をしたその申請人の落ち度によってその他の一般の補正を要しない申請人登記まで未処理のまま残されてしまうというふうなことにもなり、かたがた登記所事務全般がそのために遅延していくということになりますので、それを防止するためになるべく早く申請事件処理しなければならない、こういう考えに立っておるわけであります。不動産登記法の四十九条の規定は、これは登記の権利の順位の関係とも関連してくる問題でございまして、本来ならば、あの規定どおり厳正に処理すべきものであると私どもは信じておるわけでございますが、いままでの扱いが多少ルーズになっておったというところに登記所事務全般が遅延する原因があったわけでございますので、それをなるべく少なくして、できるだけ不動産登記法のねらっておる方向に持っていくというつもりでこの通達ができておるわけでございます。したがって、取り下げか却下かということになりますれば、補正されない限りはやはり取り下げという措置処理するか、あるいはやむを得なければ却下まで行くか、そこまで行きませんと仕事のけじめがどうしてもつかないようになっていくわけでございます。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 そんな考えじゃ、それは、はなはだ一方的ですよ。たとえば午前中が補正時間だ、しかしやむを得ない事情が起きて登記所電話してきた。二時までには必ず着きますからと。そういう場合も許さぬのですか。却下するのですか。しかも補正する個所は一字か二字直しゃいいんだと。どういうことになるんですか。
  75. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) まあたかだか一時間くらいの遅延が厳正にこれによって処理されるかという御質問でございますが、これはやはりその登記所実情に応じて妥当な処置をするように登記官吏もやることと私どもは考えております。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 だって、こんなあなた通達中身を見たら、そんな妥当にやれるような書き方じゃないでしょうが。原則としてこういうふうに処理するとかといったような書き方じゃなしに、きちっともうはっきり書いてあるわけなんです。切り捨てごめんのような感じがするわけですよ、これは。自分の調査のほうは事務がたまっているからというて次々おくらしているわけです。それでお客さんのほうだけは呼び出立はきちっといくと。これじゃ私はいかぬと思う。だから、ここらの第五の書き方などでも、もう少し幅を持ったことを考えておりませんと。しかし、そのために全部がルーズになるということでは困るでしょうが、そこが私はもっと深い検討が要るというわけですよ。  それから第七に、この補正補助者にはさせないと、こういうことが書いてあるのですね。これは私はこの通達の中でいままでの慣行に対して非常に大きな修正だと思うんですね。これは何十年と認められておる補助者による書類補正、修正、これをここで禁止するんです。一体こんなことはどんなものでしょうかね。常識的に考えたって、弁護士の訴状にしたところで、行政官庁のどんな書類にしたって、補助者の訂正を認めないなんて、そんなことはどこの世界にもないでしょう。どうなんです。
  77. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) お話のように、この規定は、この通達の中で従来の扱いを改めるという点では一番大きな意味を持っておる点でございます。もともとこの通達を出されるようになりましたいきさつが、司法書士人たち補助者にもう一任してしまっておる。登記簿も見ないで申請書をつくって、そのためにあやまちが出てくる。したがって、窓口が混乱し、一般のその他の申請者にも迷惑を及ぼす。また、登記所事務もそのために渋滞するというのが忙しい登記所の実態であるとしますならば、そこは厳正にやるべき必要があろうと私ども思っております。ことに、書類の作成は司法書士の責任においてやることでございます。補助者は、その手足で、書類作成についてただ補助的な事務をやれるだけでございます。結局、申請書の作成の責任者は、司法書士であり、あるいは土地家屋調査士本人でございます。却下されるかどうかという重大な場面に当面した場合に、だれが責任をもってこれをやるかということになりますと、やはりその司法書士本人にやっていただくのが最も妥当な行き方であろうと考えるわけでございます。先ほど申し上げたように、補助者にすべてが放任されているという現状をまず改める必要がある。多少この規定はきついような感じをお受けになるかもしれませんけれども、まずこの辺から引き締めてかかる必要があろうというふうに考えられるわけでございます。
  78. 亀田得治

    亀田得治君 それはとんでもないお答えで、補助者というのは、大体これは法務局長が承認して置いておるわけでしょう。どうなんです。
  79. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) そのとおりでございます。
  80. 亀田得治

    亀田得治君 これはどういう基準補助者というものを承認しているんですか。
  81. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは当該の司法書士から補助者の承認の申請法務局長あるいは地方法務局長に出てまいります。そういたしますと、その司法書士の取扱件数その他の状況を勘案いたしまして、法務局長なり地方法務局長が補助者を何名置いてよろしいという承認を与えるわけでございます。
  82. 亀田得治

    亀田得治君 そういうふうにちゃんと一つの関門をくぐってきておる補助者ですね。それに対して補正を認めぬというのは、全くこれは行き過ぎで、そんなことをいうても実行できぬのじゃないですか、司法書士仕事の実態からいうたら。どうなんです。
  83. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 司法書士の実態のお話が出ましたので、私この席上で申し上げないつもりでおったのでございますけれども、若干敷衍させていただきます。  すべての司法書士の方がそうだというわけでもございませんが、私の聞いておりますところによりますと、ある司法書士の方のごときは みずからは書類の作成に全くタッチしていないという極端な例があります。すべて補助者まかせにしてある。しかも、その司法書士は あちこち関係のところを回りまして、自分のところへ事件をくれというふうなことで、一種の事件の誘致のようなことをやって、しかも書類の作成は補助者に一任してしまっている、そういう例が非常に出てきておるようでございます。ことに、ある都市の司法書士が他県に出向いてまでそういうことをやる。しかも、肝心の書類の作成、登記所の窓口への提出はすべて補助者に一任しておるというふうな実態があるやに聞いておるのでございます。そこに実は問題があるのであります。ただそれだけをそれじゃ取り締まればいいじゃないかという御意見が出ようかと思うのでございますけれども、現在の司法書士の業務の運用の実情をながめますと、そういう極端なものもございますけれども、そこまでいかなくても、司法書士補助者にすべてを一任し切っておるというふうな面がございまして、これでは困る司法書士法の規定によって一定の資格のある人が司法書士として認可されるのでございますから、重要なこういう書類の作成を責任をもってやる、本人によってこの書類の作成も行なわれ、また重要な点の補正もしていただくということがどうしても必要であろう、こういうふうに考えられるのであります。いろいろそれは司法書士の本人にとりましては不便な面も出ることは間違いございません。ございませんが、現在の司法書士のそういった傾向を是正する意味におきましても、もっと責任をもって司法書士本人によって書類の作成なり提出ということが行なわれるように私どもは希望しておるわけでございます。補助者といいますのも、これは単なる事実上の手足となって動くという意味でございまして、司法書士の代理人ではございません。その権限をもって補助者がやるということになりますと、司法書士の認可制度にもこれは響いてくるわけでございまして、補助者司法書士と同一の行動をとれるということになりますと、司法書士のたてまえにも影響してまいります。司法書士の認可と補助者の承認というものはこれは全然別個のものでございまして、あくまで補助者補助者としての範囲を出られないというふうに考えるのが相当であると私どもは考えております。
  84. 亀田得治

    亀田得治君 あなたは先ほどから極端な例ばかりを出されますけれども、いまおっしゃったようなことがそうたくさんあるわけじゃないと思うし、それがはなはだ不都合だというなら、それだけに対する対策というものを研究されたらいいんですよ。たとえば、まじめな司法書士が一人いて、そして相当信用のある方で、事件も相当ある。そういう関係から補助者が二人ほどいるといったような事務所などでは、これはもうたちどころにこんなことは困ります。だって、日によっては補正するために半日ほどくぎづけになるわけでしょう。それを一々司法書士がそこに行っておらなければならぬといったら、今度は事務所のほうはからっぽになるじゃないですか。本式の書類のことを言っているのじゃなしに、補正でしょう。そういうことを、しかも認められた補助者が一字か二字訂正するのも許さぬ、こんなことは、私はもうはなはだもって残酷しごくだと思うのです。裁判官だってそうじゃないですか。いろいろ最高裁あたり特に補助者を使ってやっているでしょう。これは第七項は何とか再検討してもらわなければ、実際上こんなことは実行できませんよ。別に支障がなかったらいいわけですから、まじめにやっている補助者もあれば、いろいろあるのだから、それをともかく悪い面、悪い面からこういう規制をして、まじめにやっている人まで動きがとれぬというようなことをしては、これははなはだ酷ですよ。だから、何といいますか、そういう規則だけではなかなかこういう運用というのはいきませんよ。国に予算がないならない、ひとつ司法書士諸君協力してくれ、そのためには取扱実務はこういうふうにここをこうしようじゃないかとか、それはもっと相手方の立場も考えたことをやってもらわぬと、まじめな司法書士にとってはたいへんなことじゃないですか。そういうことは考えませんか。
  85. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 先ほど申し上げたように、司法書士補助者というものの職分の限界というものは当然あるわけでございまして、責任をもって処理するのは司法書士本人であるというふうに考えざるを得ないわけであります。補助者司法書士の代理にして、司法書士の行ない得ることをすべて行ない得るということにいたしますと、これは司法書士そのものの認可と同じような結果になってしまうわけでありまして、それは行き過ぎであるということになりますれば、やはり補助者補助者司法書士司法書士としてのそれぞれの責任の限界をはっきりさせる必要があるということでございます。これは理屈の問題でございます。かたがた、何回も申し上げておりますように、補助者を使用する場合に、いろいろの補正事件というものが出てまいります。そういった現在の実情を頭に入れまして、ただいまとるべき措置としてはこの七項にあるような措置以外にはあるまい、こういうふうになったものと私は理解したいのであります。
  86. 亀田得治

    亀田得治君 ともかく、局長のおっしゃるのは、全然、実情というものを無視して、役所のほうの都合だけを考えておられる。はなはだだからきょうのお答えは私は不満です。最初の手続が間違って一方的にやるからどうしてもこうなる。  それから最後の第九に、不必要な補正はあまりせぬようにというふうなことを書いてあるわけですが、従来ずいぶんこれがあったのじゃないですか、登記所登記官吏の好みによって。
  87. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは、登記所という役所におきまして、昔からの伝統といたしまして、亀田委員仰せのように非常にこまかいところまで調べまして、きちっとしたものにならないと処理をしないという伝統的な取扱方が行なわれてきたわけであります。まあそれがいいか悪いかということは、これはどちらも意見は成り立つだろうと思うのでございますが、現在のような情勢下におきましてあまり厳格にそこをやっていくのは当を得ないということで、法務省としましては、それほどこれはやかましくは言わないというように、可能な限りはなるべく大目に見て、どうしても処理上困るという点にだけ補正を求めると、こういう態度で従来きております。まあこのように今回の通達かなり厳正な取り扱いをやろうという際でございますので、これが逆に登記所に反映いたしましてまた昔に戻るようなことがありましては、私どもとしてはまことに申しわけない次第であります。やはりサービス機関として、片方において厳正にやらなければならない反面、不必要なことまでも申請人に押しつけるということはこれは絶対に避けるべきものと考えまして、第九項に掲げておりますように、処理上どうしても困るという場合はともかくとしまして、そうでない場合には必要以上な補正を要求するというふうなことによって申請人に迷惑をかけないように注意してもらいたいという趣旨でこの条項が入っておるわけであります。
  88. 亀田得治

    亀田得治君 従来補正が非常に多かったということで数字もあげられたわけですが、私は半分ぐらい不必要なものがあるんじゃないかと思うんですが、どうなんですか。ともかく申請者のほうでも困っておるわけですよ。登記所の役人役人によって違うわけなんです。こっちで通ったものがこっちじゃあ通らぬ。いや、私はもうこういうしきたりじゃと。そうして、直しても直さぬでもいいようなものも直さしたり、そんなことが多々あるんですよ。私は、ほんとから言うたら、サービス機関ならまずそういうことから改めていったらいいと思う、実際は。それでやってみて一体どうなるのか。それで足らぬ場合には、補助者の教育がどうも不十分だというんなら、またそういうことも考えるとか、役所の不必要な補正というのは、第九番目に一つだけ——いいことが書いてあると思って読んだのはこれだけなんですわ。これをもっとしっかりやってもらわなければ、権利義務に重大な影響を及ぼすような部分は、それは厳格にやってもらわぬといかぬ。あとは意味がわかりさえすればいいんじゃから。それはどうなんですね。
  89. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) その点は亀田委員の御意見と私全く同感でございます。不必要なものまでもやる必要はもう全くないのでありまして、絶対これは法律上必要だという最小限度にとどめるべきものであると私は考えております。これは前の裁判所に登記所が置かれていました時代はともかく、戦後分離いたしまして司法事務局になり、さらに法務局になりましたが、その間何回となくこの点は中央の会同、あるいは地方の担当者の会議の席、あるいは通達等によって、民事局としても指導してまいっております。いま亀田委員のお話のような全く同じ見地に立ちまして、申請人に迷惑の及ばないように、また登記所事務の適正を欠かない限度で、不必要なものまでしいることはないようにということで私どもはやっておりますし、また、今後もこの方針は堅持してまいりたいというふうに考えております。
  90. 亀田得治

    亀田得治君 それで再度言いますが、第七項の補助者の点は、補助者補正を絶対許さぬ、本人が一々そこへ来なきゃいかぬ、これはもう実情にはなはだしくそぐわぬと私は思うのでして、これはもちろんその司法書士のあるいは個人にもよるし、そこの登記所実情にもよることですけれども、画一的にこんなことをやられては非常に私は迷惑する司法書士があると思うのです。そこを考えてもらわなければ、これによって是正できるものもあるかもしれない。だけれども、どんな制度でも規則一本で全部いくということは絶対いかぬのですから、やはりみんな協力しなければいかぬわけですからね。そうであれば、規則としてはこんなきついことまで書いてしまったのでは、それはもう話にならぬです。検討の余地はないのですか。いろんな要求も私は来ていると思うのです。そんなことは聞かないのですか、民事局長は。そんなことを聞かぬような法務省だったら、これは国民から浮き上っているということになってしまう。
  91. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 何回も申し上げましたように、この七項の趣旨は、司法書士本人と補助者という者との責任あるいは職分の限界をはっきりさせておく必要があるという意味で出した条項であります。この通達全部が、先ほど来申し上げておりますように、補正を要する案件が平均して半分以上というふうな多くの件数に及んでおります。これを何とかして補正を少なくするという方向に持っていくのがまず先決問題であろうと思うのであります。そのためにいろいろ考えましてこういう通達の形になったのでありまして、これによって司法書士方々からも御協力をいただいて、補正を要するような申請書の出ないような状況になってまいりますれば、七項の規定によって司法書士本人に迷惑が及ぶというようなこともおのずからこれはなくなってくるのではあるまいかと思うのであります。現在の実情は、極端な例もございますけれども、補助者に全く一任しているというふうな例が相当あるわけでありまして、まずそこを是正していくためにはどうしてもこの七項の規定は必要であろうと思うわけであります。  なお、他からの要望があったかどうかという御質問でございますけれども、この通達が出るまでの間にはそのような意見は出ていなかったようでございます。
  92. 亀田得治

    亀田得治君 通達が出てからのことを言うのです。通達が出るまでにそんなことは要望は来ないですよ。通達が出てからそんな通達は困るという……。
  93. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 通達が出まして後に、ある程度のこれは反響を呼んだようでございます。ただ、その反響と申しますのも、賛否両論ございまして、最初申し上げましたように、ほとんど大部分の司法書士会では当然だというふうに見ているようでございます。一部意見があるようでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、三月に入りまして申請書様式を検討いたします民事行政審議会司法書士会の方もお呼びして、関連する問題として御意見は伺う予定にいたしております。しかし、おおむねこの通達がすなおに受け入れられている、こういう現実は無視できないものと私どもは考えております。
  94. 亀田得治

    亀田得治君 民事局長、そんなおめでたいことを考えてもらっちゃそれは困るので、先ほどあなたのほうでおあげになったような、本人がまあ事件あさりにあっちこっち歩いて、実際の仕事は全く補助者まかせだ、こういったような事態などは、たとえばこの司法書士法の十九条、こんなようなものに該当しないかどうかといったようなことも考えてみるとかすべき問題なんで、それを善良な司法書士補助者という関係にある者についてこんなきついことを打ち出すことは何としてもこれは間違いです。それは納得しておらぬところもはっきりは言わないでしょうし、それから納得したようなことを言うておるところがあっても、それは適当にやっておるんだ、おそらく。そんなことができるわけがない、補助者なしで。それで補正補助者にやらしたからといって司法書士補助者と混同するとか、そんなことをあなたは盛んに言うけれども、そんなことは違いますよ。訴状の補正だってそんなことは全部弁護士の事務員がやっています。むずかしいところはもちろん先生に聞いて。それをあなたは首をかしげているけれども、私のほうは自信をもってやっているんだから。そんなことをあなたは補助者がやれないというようなことで出すのは間違いです。それより補助者の教育を考えるべきです、積極的に。ところが、補助者が事実上司法書士のようなことをやって、先生は事件集めじゃというような、そんなものは補助者司法書士の何というか資格を詐称しているようなかっこうになるわけで、そんなような研究をすべきです。おかしいですよ。  だから、本日大体明らかになったことは、国の受け入れ体制、これが十分じゃないということ、それから登記官吏が不必要な仕事をいままで命じておった。これはずいぶんあるんですよ。それとまあ申請者側の書類不備、こんなようなものが三つからんで問題があるわけです。強調されているのは申請者側だけですね。それに対してはえらいきつい締めつけがここに出ているわけですね。だから、これはもうぜひ検討をして、もっと実情に合うようにやってもらわなければいかぬと思うのです。そうしませんと、そんな通達は事実上無視されてしまいますよ。で、先ほども質疑の中で明らかになったように、何もこの通達どおりにやらなければならないことがない。もっと親切にやれる場所もたくさんあるわけです。そういうものに対する区別も何もしていないわけです。きわめて大ざっぱな一方的な通達です、これは。大体手続が間違うておる。今度も、なんでしょう、審議会にかけるというのは、ほかのことにからませてこのことについても意見を聞くというのは、やはりいろいろ下部からこれに対する不服が出てきたから、おくればせにおやりになるわけでしょう。言うてみたらおくればせに……。
  95. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 民事行政審議会をその機会に開催するということは、通達が出ます当時にすでに予定されておったようでございます。私は前の事情を詳しく存じませんが、私、着任してみますと、そういう段どりがすでにできておりまして、おそらく先ほど申し上げましたような観点から、民事行政審議会にはこれは付議しませんでしたけれども、事柄が関連するということで当初から民事行政審議会に関連事項としてはかってみようということになっておったと理解しております。おくればせにやったというのではございません。私が率直に引き継ぎを受けましたときにすでにこの計画はあったわけでございます。そういう趣旨では決してなかろうと思っております。
  96. 亀田得治

    亀田得治君 まああとから不服が出て、おくればせにやったんじゃないという御説明のようですが、それならこの十二月五日の通達が出るときに、すでに次回の民事行政審議会には本件をあわせてかけるというふうな意向が当初からあったというなら、かけてからむしろやるべきじゃないですか。これは二回聞いたっていいじゃないですか。あとから文句が出て、じゃこれも一ぺん事後承認を得るようなかっこうにしておこうかということなんでしょう。
  97. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 先ほど申し上げましたように、この通達そのものは、本来、法規どおり実行するとしますれば、もっときつい措置になるわけでございますが、そこまでいくのもいかがかというのでこの程度にとめられたわけでございます。その措置をとるために特に民事行政審議会にはかる必要は、私の意見としてはなかったであろうというふうに考えますので、おくればせに反対意見が出たからいまあわててやっているんじゃないかというふうに御懸念されるようでございますけれども、決してそんなものじゃなくて、当初から民事行政審議会にかけた上でこれをやるという性質のものではなくて、たまたま当時申請書様式の統一問題について民事行政審議会も予定されていることであるから、あわせてこの問題についてもさらに意見を聞いてみよう、この程度のものと私は理解しているのでございます。
  98. 亀田得治

    亀田得治君 ともかくも、登記書類の形式の変更とかそういうことなら審議会にかける、本件はかける必要がないのだというふうなことを盛んに言われますけれども、それはもう間違いですよ。書類なんて、そんなものは物です。扱う人間が一番大事なんじゃないですか。扱う人間、その人間の問題について大きな変更をやろうというときに、それを一方的に押し切るようなことをやっちゃいかぬですよ。いわんや、いまの説明のように、いや、初めから三月の民事行政審議会が開かれた場合にはその際に本件もあわせて出されるのだという意向があったというようなことをおっしゃるわけですが、それなら本件だけで十二月なら十二月に開いて十分討議をしたらいいんですよ。そんなことはちょっと説明としては受け取りにくい。  それから司法書士の制度ですね。これは認可制度になっているわけですが、認可の基準というのは一体どういうふうなことでおやりになっているんですか。
  99. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 司法書士の認可につきましては、司法書士法に規定してございますように、各地の地方法務局長におきまして一定の資格のある者についての選考をいたしまして、選考の上で認可するということになっております。選考としましては、実際は試験をやったり、あるいは面接をしたり、いろいろの方法をとっているわけでございます。合格点がどのくらいであれば相当であるとかいうふうな大体の基準を各現地の法務局において定めまして、それで運用しているわけでございます。
  100. 亀田得治

    亀田得治君 これは法務省では統一していないわけですね。
  101. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 法務省では統一して何点以上ということはいたしておりません。
  102. 亀田得治

    亀田得治君 もう一つお聞きしたいのは、各地の登記件数などに見合った人数を採るというふうな基準などはあるんですか。そういうことじゃなしに、試験をして、この法務局長がきめている点数以上とれば皆通していくというやり方なんですか。どっちなんですか。
  103. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 件数が多いから多く採るとか、少ないから少なくしよう、そういう裁量はいたしておりません。単純に一定の合格点を定めまして、それに合格した者ということで扱っております。
  104. 亀田得治

    亀田得治君 現状では、司法書士の数は、事件数などと比較すると、どういうふうに判断しておりますか。
  105. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 総数でおおむね一万二千人司法書士がございます。ただ、その法務局管内の事件数とそれがうまく均衡を保っているかどうかということになりますと、これは必ずしもそうはいっていないようであります。おおむね事件数の多いところには司法書士の数も多くはなっておりますが、定員の配置のようにぴしっと事件数と均衡がとれているということは、言えないかもしれません。
  106. 亀田得治

    亀田得治君 その点、登記件数に比較して司法書士の数ですね、これは多過ぎると見ているのか、少な過ぎると見ているのか、どっちなんですか。
  107. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは一がいにはちょっと申し上げにくいかと思います。たとえば、いなかのほうに参りますと、司法書士が一人もいないところもございます。さりとてこれは不必要かと申しますと、そうではないわけでございまして、これはどこに事務所を置けということは法務局側としては指示できません。本人の意思に基づいてここに事務所を置きたいということで認可の申請が出るわけでございますので、事件数が多いとか少いとか、あるいはこの登記所の管内には司法書士がいないから一人そこに行ってくれということはできないたてまえになっておりますので、どうしてもそこのバランスがとれないような事態も起き得ると思います。
  108. 亀田得治

    亀田得治君 だから、いま問題になっているのは、東京とか大阪とかそういう登記のふくそうしているところですね。そういうところではどう見ているかということを聞いているわけです。
  109. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) これは頭数との関係になりますと、ちょっと何とも申し上げられませんが、特にある司法書士のところには事件が非常に殺到するかわりに、ある司法書士のところには非常に少ないというふうな現象もございますので、現状でそれほど不都合が生じているというふうには私ども考えておりません。
  110. 亀田得治

    亀田得治君 どうも答弁がはっきりしませんが、大体のところとしては、一応、件数仕事司法書士の人数というものはバランスがとれている、こういう見方なんですか。場所によっては過不足のあることはわかりますが、大体において。
  111. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 私、正確な記憶はございませんけれども、過去十年くらいの間に司法書士がおそらく千人くらいふえたかどうかという程度ではないかと思います。私、前に民事局におりましてこの関係を承知しておった時代に、たしか万人を少しこすくらいのところではなかったかと思うのでありますが、現在一万二千でございますので、それほど数はふえていない。このことは、司法書士になる希望者が少ないということなのか、それとも、それだけの必要性がないので自然そういうふうに人員がふえていないということになるのか、その辺の実態がちょっと私ども把握できませんけれども、それほど大きな人員上の変動がないところを見ますと、おおむね全体的にはこれでカバーされているのではあるまいかというふうに考えられます。
  112. 亀田得治

    亀田得治君 登記官吏もたいしてふえておらないし、司法書士もちょっとふえているが、たいしてふえていない。事件の数だけはむやみにふえているわけです。だから、どこから見ても、そういう事態の中でこの補助者というのは非常にやっぱり重要な問題になるわけでしょう。登記官吏というのは一体どこまでを言うんですか、正規には。登記所の人が全部正規のものじゃないでしょう。
  113. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 登記所に勤めております職員全部が登記官吏ではございません。これは特に法務局長地方法務局長が指定した者だけが登記官吏でございまして……。
  114. 亀田得治

    亀田得治君 何割ですか、それは。
  115. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) ちょっといま正確な数字を申し上げられませんが、大体一般の登記所は、一名とか二名とか三人の登記所が一番多いわけでございますが、ここでは出張所長登記官吏でございます。あと事務の補佐をやっております。それから大出張所になりますと、所長はむろんでございますが、係が分けてあるところもございます。そういうところは、係長の責任においてやらせるわけでございますので、その係長が登記官吏に指定されております。この数は、大きなところでもあるいは四名ぐらいではあるまいかと思います。
  116. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、国自体が大事な権利書について補助者を使ってやっておるわけです。だから、この補助者という問題はどこにもある制度なんですから、もう少しこれは検討してもらいませんと、ともかく書いたものが事実上無視されるということは一番よくないことです。そのためにはやっぱり実情に合うように書きませんとよくないですよ。私まあうっかりしていたんですが、案外そうすると少ないわけですね、登記官吏というやつは。あとはみんな補助者なんです、言うてみたら、実質は。それでは、あなた、登記官吏司法書士だけでこの激増する登記事件をやれといったって、全くそれはお手あげですよ。登記官吏の補助をしていろいろなことをやっているんです、事実上、同じようなことを。ところが、申請者側に多少でも同じようなかっこうが出てくると、そこだけびしびし——悪質なやつはそれはいかぬですよ。それはもう少し実態を検討してやってほしい。これは要求しておきます。
  117. 石井桂

    委員長石井桂君) 最後に私ちょっと関連してお伺いしたい、一言だけ。きょうは亀田君から司法書士に対しての非常にこまかい御質疑がございました。私も、司法書士土地家屋調査士とがやや仕事において重なっておるところがあるために、両方の会員が非常にまずい気持ちで働いているようなことが耳に入ってきます。そのことが民事局のほうへも反映していると思うのですが、そういう何といいますか情報は入っておりますかどうですか。たとえば司法書士の方が土地家屋調査士のことを批判し、土地家屋調査士の方が司法書士のことを批判し、あるいはおのおのの方が民事局のことをいろいろな方面から批判するということが、両方の会員に友人が多いものですから、非常に雑音が入ってきておるんです。そういうことを民事局長なり香川第三課長はお聞き及びになっておるか。お聞き及びになっておれば、どういうふうに処置しているか。聞いていなければ聞いていないでもいいわけですが、そのことを一音だけ御答弁いただきたい。
  118. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 土地家屋調査士制度ができました当時に、確かにお話のような職分の限界の問題がございまして、司法書士としての職分はどの範囲であり、土地家屋調査士としての職分はどの範囲であるかということが確かに問題になったことがございます。その際にも、双方の会員の方にも来ていただき、両方の職分の限界をなるべくおかさないような方法で話し合いをいたしまして、お互いに協力し合ってやっていただきたいということをお願いしてやってきたわけでございます。その後、私最近まで直接この仕事を担当しておりませんものでしたから、私の耳に直接そういうことはまだ入っておりません。しかし、制度ができました当時にこういった問題がございましたので、あるいは現在もまだそういう問題があるかもしれません。まあ今後もできるだけこういった同じ登記に関連する職業でございますので、しかもそれぞれまた仕事の内容が実質的に違っております。そこで、双方の調整という問題が当然出てこようかと思うのでございますが、できるだけ両方の代表の方にも十分御意見を聞きまして、摩擦の少ないように私どもとしては努力いたしたい、このように考えております。
  119. 石井桂

    委員長石井桂君) ほかに御発言ございませんか……。それでは、本件については、本日はこの程度にいたします。次回委員会は二月二十三日に開会いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十一分散会