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1965-05-25 第48回国会 参議院 文教委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月二十五日(火曜日)   午後二時二十五分開会     ―――――――――――――   委員異動  五月十九日     辞任         補欠選任      丸茂 重貞君     野木 品吉君      亀井  光君     田中 茂穂君      北條 雋八君     柏原 ヤス君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         山下 春江君     理 事                 久保 勘一君                 吉江 勝保君                 小林  武君     委 員                 植木 光教君                 北畠 教真君                 近藤 鶴代君                 笹森 順造君                 中上川アキ君                 野本 品吉君        発  議  者  小林  武君    政府委員        文部政務次官   押谷 富三君        文部大臣官房長  西田  剛君        文部省大学学術        局長       杉江  清君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    参考人        学徒援護会理事        長        生悦住求馬君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○女子教育職員出産に際しての補助教育職員の  確保に関する法律の一部を改正する法律案(千  葉千代世君外四名発議) ○学校教育法等の一部を改正する法律案千葉千  代世君外四名発議) ○へき地教育振興法の一部を改正する法律案(豊  瀬禎一君外四名発議) ○公立盲学校聾学校及び養護学校幼稚部及  び高等部整備に関する特別措置法案小林武  君外四名発議) ○国民祝日に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○参考人出席要求に関する件 ○教育文化及び学術に関する調査  (学徒援護会に関する件)     ―――――――――――――
  2. 山下春江

    委員長山下春江君) ただいまより文教委員会開会いたします。  委員異動について報告いたします。去る五月十九日、丸茂重貞君、亀井光君及び北條雋八君が辞任され、その補欠として野本品吉君、田中茂穂君及び柏原ヤス君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  3. 山下春江

    委員長山下春江君) 女子教育職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本法案についてはすでに提案理由説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 久保勘一

    久保勘一君 ただいま御提案になりました法律案につきまして、一、二お尋ねいたしたいと思います。  女子事務職員に対して産休法適用をなさろうという御趣旨の御提案でありまするが、これに該当します女子職員というのは、概数どれくらいいるものであるか。また、出産適齢期と申しますか、出産可能な年齢層に該当する数がどれくらいのものか。したがって、パーセントがどれくらいなのか。なお、実績等がおわかりでありましたならば、実績概数について御説明をいただきたいと思います。  それから第二点としましては、事務職員産休法対象にすることによって、他の関連しております職種、たとえて申しますと、都道府県あるいは市町村の教育委員会に勤務する女子職員等のこれとの関連はどのようにお考えであるか、以上二点について御説明いただきたいと思います。
  5. 小林武

    小林武君 該当する事務職員の数でございますけれども、これは小中学校においては、総数が、これは概数でございますけれども、三千九百五十名、内訳を申し上げますと、公立が三千八百名、国立が百五十名、高等学校総数が三千三百六十名、内訳公立三千二百名、国立が百六十名、盲聾養護等学校におきましては、女子は百七十名、公立が百六十名で国立が十名、したがって、合計は七千四百八十名になるわけであります。これに該当するも大体子供を産めるのは何人あるかというお尋ねでございますけれども、これについて、年齢別にどのくらいあるかというようなことは調べておりません。ただも大体百五十人くらい出産推定数を見ているわけであります。と申しますのは、出産率は大体二%と見てよろしかろう。しかし、一昨年は昨年よりかも高いパーセンテージでありましたから多少の異同はこの間にあるけれども、大体二%でよろしいのではないか。約百五十名、国公立まぜて見ると、小学校が七十九人、高等学校が六十七人、盲聾養護等は四人程度、このように考えておるわけであります。  それから、他との開運がどうなっているかというお話でございますけれども、これはまあ、女子が職業を持った場合に、これは産休の中に取り扱いをしてあるというようなことはこれは当然のことなんでありますけれども、ただ、ここで取り上げているのは学校関係でありまして、学校関係をやったらほかのものはどうかという、そういう何といいますか、かかわり合いの問題はあまり議論する必要はないのではないか。ただ、私ども提案理由の中で御説明申し上げましたとおり、四十六国会においてこの女子教職員出産に際しての補助教育職員確保に関する法律が改正されまして、女子実習助手が法の対象に含まれている。したがって、この国立公立小学校、中学校高等学校等女子教育職員の中で適用を受けないのは、ただひとり、この学校につとめている事務職員だけであるということ、こういう観点から考えてみましたときに、当然これは、ただいま申し上げたような数でもございますし、大体二%程度出産率考えますというと、やはりこれはお認めいただかなければならないのではないか。なおまた、教育関係だけの問題としてこれを考えます場合に、事務職員といってもこれはやはり教育の一環の仕事をやっていることであって、ここで人手が足りなくなりますというと、結局そのしわ寄せは教育全般に負担させることになりますので、この点はひとつやはりそういう角度からお考えいただいて、女子事務職員だけが除外されているというような現状をこの際改正していただきたいというのがこの法案趣旨でございます。
  6. 山下春江

    委員長山下春江君) 他に御発言がなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にいたします。     ―――――――――――――
  7. 山下春江

    委員長山下春江君) 学校教育法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本法案については、すでに提案理由説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 久保勘一

    久保勘一君 この法案につきましても、一点だけお尋ねをいたしたいと思います。  御提案の御趣旨は、養護助教諭実習助手及び寮母職務内容学校教育法に明記するということが中心になることであると思うのですが、そこで、この養護助教諭実習助手及び助手については問題はないと思うのですが、寮母については御承知のように資格が定められて、いないと思います、で、かりに御提案のように資格を限定するということになりますと、寮母採用が困難になるおそれはないか。現在でさえなかなか寮母確保がいろいろな問題がありますので、この際、資格を限定することによってさらに採用に困難を来たすというようなことがありますると困ると思うのですが、この点についてどういう御見解であるのか、御説明いただきたいと思います。
  9. 小林武

    小林武君 提案趣旨の中で、この点についてはすでに御説明を申しておきました。ただ、いま久保委員の御質問も、これを現状を判断いたしますというと、まあ、やかましいことを言えば、人が集まらぬのではないか、こういう御心配も私はごもっともであると思うのであります。しかしながら、寮母というような仕事内容考えてみますときに、やはりこれは単なる洗たくをするとか、便所につれていってやるとかいうようなことも一つ教育でしょうけれども、そういう観点からだけでなく、やはり寮に帰ってからの彼らの生活の全般、あるときは学習につながる問題等もこれはあると思うのですが、そういう点を考えますというと、これは決して軽視さるべき性格のものではないと、このように考えるわけであります。なお、御承知のように、この寮母になっている現状等考えましても、必ずしも全く、何といいますか、学歴だけから言うようなこともちょっとおかしいのですけれども短大出の者もあれば、たいていは高等学校は出ているというような現状等を把握いたしますというと、これはやはり教育の中の位置づけをはっきりする必要があるのではないか、私はたいへんどうも久保さんとは意見が適いまして申しわけないのですけれども、逆にそういう一つの教官の中における位置づけをすることによって、寮母という仕事の権威といったら非常に悪いのですけれども教育の中に占めるところの立場が明らかになるというので、私は逆にその使命感をもって寮母という仕事――名前も私はあまりけっこうな名前だとは思いませんけれども、この仕事に携わりたいというような者が逆にふえるのではないかと、こういう考え方もいたしておりますので、ごもっともな御意見ではございますけれども、逆にそういう積極的な面をとらえて御賛成をいただきたいと、こう考えるわけです。
  10. 山下春江

    委員長山下春江君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にいたします。     ―――――――――――――
  11. 山下春江

    委員長山下春江君) へき地教育振興法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案については、すでに提案理由説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 久保勘一

    久保勘一君 この僻地教育を振興いたしますために、いろいろな問題につきましての御提案でありますが、特に御提案の中の一点についてお尋ねをいたしますが、この僻地手当支給割合を、現在からそれぞれ二%ないし五%引き上げる、さらにその上に調整額という名前のもとに、それぞれ一級地、二級地には千円、三、四級地及び五級地には二千円という定額制をおとりになろうとするのですが、ここでこの支給割合を引き上げるということについては、まあ額の問題は別としてもその趣旨には私も同感でありますが、さらにその上に調整額を上積みするということが、給与体系と申しますか、そういう方面からながめて多少疑問を抱くのですが、調整額についてどういうふうな性格のものであるのか、御説明をいただきたい。
  13. 小林武

    小林武君 調整額等につきましては、すでにその調整額というものの法的な意義づけはされているわけでありますから、これについてかれこれ申し上げる必要もないと思うのでありますが、ただ、率を引き上げてさらに調整額と、それから前の国会においては、昇給等についてたいへんだくさんの方々の御努力をいただいても昇給期間の短縮というような問題も起こった。そういうことで、僻地教師にとってはかなりやはり――物質的なことで直ちに使命感が一〇〇%燃え上がるとは申し、ませんけれども、それによってやはり意気込みも違ってきた、これだけは私は認めなければならぬと思うのです。そういうまあ優越することによって、とにかく僻地振興の一助としたいということは提案理由の中でるる述べました。ただ、賃金体系の上から見てどうなのか、これは賃金そのもの議論から始めなければいかぬと思うのであります。手当そのものにつきましても、何々手当というような地域的な一つ手当もあれば、いろいろな寒冷、その責任の度合いによって受ける手当もある。若干、手当の数が多いのではないか、そうして本俸との関係においてはどうだろう。そういうやり方というものは一体賃金そのものを向上するあれにはならないのではないかというようなことを、これはどなたの側からもやはり議論されているわけであります。私もまあいまそういう角度からいろいろ議論すれば、教職員関係するいわゆる諸手当の問題、あるいは調整額の問題では、これは相当議論しなければいかぬ。また、そうすると当然本俸というものに対して抜本的な解決策をとらなければならぬ、こういうことになると思うのでありますが、そのことはいまここで議論をするのを避けまして、その場合に、私はこれによって特段に不便を来たすということにはならないのではないか。むしろ私に言わせれば、管理職手当というようなものがかなり問題点があるということを考えております。しかし、これもいまここで議論するあれではありませんから申し上げませんけれども、私はまあ現状をひとつこう見て、この点が非常に給与その他の体系に大きな影響を与えて不合理をさらに上積みするというような考え方には立っておらないわけであります。このくらいの配慮をひとつしてですね、人事の円滑な運営ということもひとつできるならばたいへん幸福じゃないか、このように考えているわけであります。
  14. 山下春江

    委員長山下春江君) 他に御発言がなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にいたします。     ―――――――――――――
  15. 山下春江

    委員長山下春江君) 公立盲学校聾学校及び養護学校幼稚部及び高等部整備に関する特別措置法案議題といたします。  本法案については、すでに提案理由説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 久保勘一

    久保勘一君 この法案につきましても一点だけお尋ねをいたします。  御提案の御趣旨は、盲聾等特殊学校幼稚部高等部に、義務制と同様の取り扱いをしてはというような内容が主たるものだと理解をするわけですが、そこでお尋ねいたしたいと思いますことは、御承知のように、一般幼稚園一般高等学校にもやはり義務制のそういう制度がしかれてないのに、特殊学校幼稚部高等部だけにそういうものをお取り上げになろうという御趣旨について御説明をいただきたい。なお、それに関連しまして、御承知のように、現在は特殊学校幼稚部高等部には地方交付税による交付金によって国としては財政的裏打ちをしておる、こういうように思うのですが、御提案のように、これが二分の一の国庫負担になりました場合に、一体いずれが得になるか、得ということばは妥当かどうかわかりませんが、地方公共団体としていずれが財政上便宜になるのか、そういう御計算がありましたらその点について御説明をいただきたいと思います。
  17. 小林武

    小林武君 幼稚園のこのほかのものは義務制になっておらない、それなのに義務制にするのはどうか、さらに、高等学校の場合も同じだと思うのでありますが、ほかの高等学校義務制でないのに高等部義務制扱いにするのは一体どうか、こういうことも関連してくると思いますが、ごもっともなことだと思うのです。ただ、私が考えますのには、元来、幼児教育というものは義務制にすべきだというような議論をここでしても始まらないし、また、政府のかつて責任者義務制にしたいというような意向を漏らしたこともある。その後だんだんまあそういう重視するような傾向が出ておりますけれども、まだ、いまその議論を展開する段階ではないと思います。ただ、私は振り合いの問題をひとつ考えた場合に、特にこの盲聾とか、あるいは肢体不自由とか、あるいは精薄であるとかという子供たちに対しては特別なやはり考えを持たなければならぬ。これはまあ一般教育においても幼児教育というものは重要性を持っておりますけれども、これは特に心身の状況の悪い子供にとっては必要なんで、まあ一番いい例が、たとえば聾学校の場合なんかは、幼児教育をすることによって大体話をすることができ、普通の学校に行って教育を受けることができる者も出てくるわけであります。これが全部なることはできませんけれども、私も事実そういう子供を現在自分の近所で見ておる。こういうことを考えますと幼児教育重要性がよくわかる。あるいは高等学校段階考えますと、心身の不自由なものはとにかく足手まといだというような考え方が、これはどうも古くからそういう間違った考え方がある。しかし、確かにそういう人たち社会に出ていろいろ働くというようなことについては問題も相当多い。これに対して皆がやはり同情の手を差し伸べなければならぬということはもっともでございますけれども、それにしても、私どもはこれに対して全力を注いでやらなければならぬと思うのです。そういう角度から考えますというと、普通の子供よりかも義務制をしくならば、まずこの恵まれない心身障害のある子供たちにということに私たちはなると思うのであります。でありますから、そういう観点からひとつお考えをいただきたい。  私はあまり御質問もないようでありますから、ここで、この法律案については両三度提案をしたという立場から申し上げますと、ひとつやっていただきたいという気持ち、何らかの形で皆さんの御賛同を得たい。特に考えますのは、最近は重度の心身障害というものの子供の問題も取り上げられておる。これなんかも、全くああいう子供たちを一体教育できるだろうかどうかという可能性の問題が頭にくるほどのあれでありますが、親の立場になり、その子供をかかえた家庭の立場にわれわれがなって考えてみた場合に、当然これはもう国全体がこれに対してとにかく手を加えなければいかぬということになるわけでありますが、この盲聾学校その他の点については、とにかくここでひとつ十分に皆さんの御賛同を得たい。このように思うわけであります。  なお、それと関連することだと思われます損になるか、得になるか、義務制にしたらですね。そのほうからよけい金をもらえるのかどうか。これはかつてそういうお話を聞いて、どういうものになるかとちょっと計算をやってみましたけれども、実はよくわかりません。率直に言ってよくわかりませんが、私はその計算の過程から考えましたことは、いろいろ金の額についてはどうかわかりませんけれども、これがいまのような扱いをたとえばする。たとえば教材費の問題にしても、学校を建てる問題についても、教師給与の問題についても、この義務制並みにするということになれば、私はこれは地方自治団体その他が、いかなる特例を受けたよりかも責任を感じて、そうしてこのことについて全力をあげなければならぬという結果になりますので、効果的に考えますというと、やはりその道をたどるべきだと、私はこのように考えておるわけであります。そういうふうにひとつ御理解いただければしあわせだと思います。
  18. 山下春江

    委員長山下春江君) 他に御発言がなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にいたします。     ―――――――――――――
  19. 山下春江

    委員長山下春江君) 国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本法律案については、すでに提案理由説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。  ちょっと休憩いたします。    午後二時五十一分休憩      ―――――・―――――    午後二時五十九分開会
  20. 山下春江

    委員長山下春江君) これより文教委員会を再開いたします。  国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案質疑に対して、臼井総理府総務長官出席がただいま得られませんので、次の問題に移りたいと思いますが、総理府総務長官出席が可能になりましたならば、その質疑を続行いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 山下春江

    委員長山下春江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  22. 山下春江

    委員長山下春江君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。学徒援護会に関する件について、本日、学徒援護会理事長生悦住求馬君の出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 山下春江

    委員長山下春江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  24. 山下春江

    委員長山下春江君) 教育文化及び学術に関する調査中、学徒援護会に関する件を議題とし、前回に引き続きこれより質疑に入ります。  御質疑のある方は順次御発言を願います。なお、政府側より押谷文部政務次官杉江大学学術局長出席しております。
  25. 小林武

    小林武君 生悦住理事長さんにちょっとお尋ねいたします。例の学生会館でございますが、五月二十日に、あそこにいる学生のうち百四十名については、午前五時ごろ、パトカー、私服刑事三十名くらい来て、若干のトラブルがありましたけれども、移転した、こういうことになっており、ますが、当日はやはり警官を入れて移転をやったわけでございますか。
  26. 生悦住求馬

    参考人(生悦住求馬君) ただいまお尋ねのありましたとおり、学徒援護会で新館に入寮を許可しました学生との間にトラブルが起こるおそれがある、いろいろそういう情報もございましたので、さような不測の事故を避けるために、また妨害等の排除のためにやむを得ず警察の出動を要請しました。
  27. 小林武

    小林武君 私も実はこの委員会の中で、実はそういうことを前から聞いておりましたので、なるべくそういう事態が起こらないように文部当局に対しましても特段配慮をしてもらうことを、政務次官、また関係者に御要望を申し上げておりました。私が考えますのに、警察官を入れてやるというのは、これは理事長さんも、これは相手が学生でございますから、これはもうきわめていい方法であったとはお考えにならないのだろうと思いますし、私もそういう事態でものごとを解決するということはなるたけ避けたいと思いますから、何とかうまい方法がないかというようなことを申し上げて、若干、その際に、こういうことをしたならばうまくいくのではないかというような私の見解の一端も申し述べて、御配慮を願えないかといったようなことを言ったのですが、私は非常に、これはなぐり合いこそ始まらなかったけれども、たいへん残念な成り行きだったと私は思うのです。初めに私はお断わりしておきますが、いまでも、ひとつ事態解決ということについては、これはもう学生のほうも、それから援護会のほうも、これに関係するというか、監督的な立場にある文部省も、これはもうやはり十分御努力をなさって、いまからでもおそくはない、いろいろな手当てというものがあるのではないかと思っているわけです。そういう角度から申し上げるので、ひとつその点からいろいろな忌憚のない御意見を承りたいと思いますが、そこで私は、これは一般社会において起こった問題としても、これはなかなかたいへんなことだと私は思うのです。私も実は専門法律家にちょっと聞いてみましたけれども、私の法律知識ではなかなかうまく、どういうことかよくわからぬものですから、もしこれがうんと問題が混乱してまいりまして、そうして事態がはなはだどうもおもしろくない方向にいくということになれば、わが党にもそういう専門家もいることでありますから、まあ委員になってもらっていろいろお尋ねもしたいと思うんですけれども、まあ私のしろうと考え的なことから申し上げても、ちょっと無理ではないかと思うのは、これは一般借家人だか借主人立場と比較してみて、ちょっと無理じゃないかと思うんです。とにかく新しいあれを借りてそこに入ることはともかくとして、さあ早く出て行け、これは学生側から聞く話でありますから全面的にはどうか知りませんけれども、私は大体あまり違わないのじゃないかと思いますが、三十日には何か首都閥整備なんかのためにその建物はこわされちゃう。そうして電気もガスも水道もみなとまる、おまえたちはいれないということになりますと、まあこれは一般の者でもたいへんなことだと思うんです。私もかつてそういうことを一度経験したことがございますが、これは学生会館じゃなくて、借家をしておった者として、なかなかこれはどえらいことです。私は協力して、何とかその期間内に移ってやろうと思って努力したのですけれども、たいへんな苦労をいたしたのですが、いわゆる学生であって世の中のことはあまり知らない三百数十名に余るものを、さあおまえらどこかへ行け、三十日にぶちこわしてしまうのだ、こういうやり方でただ追っ払われるということになりますと、こういうことは一般のところでもこれは成り立つものかどうか。学徒援護会というような教育立場にあるものがこういうことを一体やっていいかどうか、法的にそういうことは一体可能なのかどうか。法的にもし可能であっても、私は道徳的、教育観点からすれば、これは重大な問題だと思うのですけれども、これは一番ひどい、極悪何とかというと悪いけれども、冷酷むざんな家主だとか、何とか暴力団の親方みたいなやつがやっているアパートならば、それくらいのことをやりかねはしないのですけれども、それとやや軌を一にするような、形式的に見れば。私は決して援護会がそういうことをやったというようなことを申し上げませんけれども、まあその表面から見ているというと、実際ややそれと似たようなことになりはせぬかということを思うのですが、この点についてはどうなんでございますか。
  28. 生悦住求馬

    参考人(生悦住求馬君) 最初にお話がございました基本的な考え方でございますが、これは私どももいまお話になったとおりに考えておりまして、あたたかい気持ちで事を円満に運んでまいりたいという大乗的な気持ちにおいては同じことでございます。ただ、何分にも在館学生は最初からこの移転に反対である、なお、われわれの実施をしました会館管理運営規程に従わない、こういうただ反対反対という主張に終始しておりますので、私どもといたしましても非常に苦慮いたしておりますような次第でございます。ところで、反対とは申しますものの、この新会館もだんだんできてまいりまするし、現在の在館生には優先的に入居させるのが筋であるということを考えまして、あらかじめ在館生に対して、新会館に移りたい希望の向きは申し出るようにということを、あらゆる手段を講じ、再三にわたって学生に徹底をはかりまして、それで、先ほどお話のように百五十名ばかりのものが、新規程に従い成規の手続を経まして新会館に移りたいという意思を表示したものでありますから、これを三月かに新会館に移した、こういう事情であります。ところで、残余の学生については、これをそのまま旧会館に残していくということはわれわれも忍びないのでございまして、最後までなお向こうに移転ができる道を開いて置こうというので、最初は四月一ぱいに申し出るようにということを申しまして、それを五月の十五日まで日延べをいたしました。さらに三回目に五月の三十一日までさらに日延べをするから、その間に新会館管理規程に従い成規の手続を踏んで願い出るようにということで私どもは勧奨をいたしているようなわけであります。まだその最終の期限がまいりましたわけでもありませんので、私どもは最後まででき得るだけの手を尽くして、いま御指摘のような遺憾な事態にならないようにいたしたいと、かように考えまして努力をいたしているわけでございます。
  29. 小林武

    小林武君 まあ私の聞きたかったことは、意見が多少合おなくても、残ったものが入りたくないとは言っているわけではありませんから、それをあすこへ置いていって、そうしてぶちこわしをやった場合に三百一十名はどうなるのか、こういうやり方についてどうかということが聞きたかったわけでありますけれども、たいへんいまのお答えを聞いていて、非常に良心的なお答えだったので、そういうことをここであげつらってあなたと議論をするよりも、たいへん、いまのようなお考えならば、これは解決の道はあるのじゃないか、かように考えますので、この質問に対するお答えはひとつここでは抜きまして、お伺いしたいのですけれども、いま理事長さんのお話だというと、五月三十一日まで残余のものについても入れる道を開いて置く、こういうお話でありますから、これはどうなんでしょうか、残余の学生は、そうすると、会館側の責任者であるあなたといろいろなことについてある程度の納得のいく線が出ました場合には入れてもらえると、これは了承してよろしゅうございましょうか。
  30. 生悦住求馬

    参考人(生悦住求馬君) いまのお尋ね、たいへん含みのあるお話でございまして、具体的にどういうことにお考えでございますか、その点私もお答えに迷うのでありますが、これまでの経過にかんがみまして、私どもが新会館に入れることにしようと考えまするには一つの前提が要るんであります。と申しますのは、今後できた会館の管理規程を頭から否認するんだと、その上でおれたちの言うことを聞けという態度では、これは話にならない。まず第一前提として、新会館は、これは順法しよう、その基盤の上に立って、ひとつ入れてもらいたい、こういうことになってまいりますれば、それぞれ手続もちゃんときめてありまするし、運営委員会という機関の議を経まして、入館選考の対象とし、これを詮議にかける、こういうことになっておりますので、まあ無条件に入れろということは小林さんもおっしゃるわけじゃないと思いますけれども、そういう前提で、まず規則をそれじゃ認めるということになりまして、認めりゃそれでいいかといいますと、われわれのほうにはそれぞれの審議手続もありますものですから、認める以上は、それに従っておとなの考え方でやってきてもらわぬと困る、こういうふうに考えております。
  31. 小林武

    小林武君 あまり含みはなかったわけです。そのとおりなんです。ただ、私も無条件でということは、これは言わないんです。なお私は、学生の代表者が実は二、三度尋ねて来ました。この間もこの委員会でその内容の一部を私が言ったんです。私の態度を言った、どんなことを言っても、学校であろうが、あるいはあそこの援護会であろうが、学生の自主的な運営とか何とかいうことは認める、認めるということはわれわれもよろしい、しかし、幾ら学生ががんばってみても、最終的の責任というものは、大学ならば大学の責任者にある、援護会ならば援護会にあるということは事実なんだ。それを自分たちだけで何でもやって、責任も何でも負えるなどということを考えるようではぐあいが悪いと、私は率直に言ったんだということをこの前申し上げた。私はやはりそういうことを前提として考えている。ただしかし、あなたたちのほうにもお考え願いたいことがひとつあるわけです。生悦住さんもおそらくそういう御経験があるだろうと思いますが、実はこの間、テレビの話をしてどうかと思いますけれども、テレビを見ておりましたら、今度東京にできました全寮制の高等学校のことが取り上げられておりました。そしてそのことについて政界、財界の方でしょう、私なんかも名前を知っているし、それから参議院の同僚の議員の方もいらっしゃった。いわゆる昔の旧制高等学校の寮生活を御経験なさった方ばかりである。その方々が、いまの東京にできました全寮制の高等学校を見たとき、鈴木万平さんとおっしゃる方だと思うんですけれども、ちょっといまの高等学校のあれは、全寮制の高校というのは幼年学校式のものなんで、われわれのときはそうじゃなかった、非常に自主的な自由なものであったということをおっしゃって、しかし、この高等学校の中で、われわれは人生のうちで再び味うことのできない、いまでもなおかつ当時を思い出してもほんとうになつかしさにたえない、またそのときにこそ、ほんとうの友人、親友というものができたのは、そのときだけだったということを、こういう追憶がそれぞれの方からなされた。私はやはりそこらまでひとつお考え願いたい。いまの全寮制の高等学校は、これは年齢的にいえばだいぶ旧制の高等学校とはちょっとのあれですけれども、あれがある。しかし、これは大学の学生ということになると、これはいまの全寮の高校のような、いまの幼年学校とおっしゃったのはまことに当を得た御発言であったと思うのですけれども、そういうものがいわゆる統一館規則の中にちょっとぼくはそういう傾向があり過ぎるのじゃないか。この点は大学学術局長にもひとつぼくは考えてもらいたいのだけれども、大学の問題でも何でもこの問題が非常にやかましく言われておるけれども学生の言い分の中にも聞いてやらなければならないことは、やはり自治的な運営といろもの、しかし、そのことが無制限であって、全部自分たち責任を負えるなどというようなことを考えるというのは、これはおかしい。いわば、私に端的に言わせれば、それを管理するところのほんとうの責任というものはどこにあるかといえば、これは学校にあり、援護会なら援護会にあるということは当然なんです。しかしながら、その運営の点については、学生の自主的なものを十分そこに取り入れて、そしてその中で、いわゆる旧制の高等学校が万全だと私は思いませんけれども、それに対するいまの年とった人たちが持っているあこがれのようなものを、将来この学生たちが持てるような仕組みにしなければいかぬ。その点については私は話し合いができるのじゃないかと思うのです、理事長さんと学生との間で。私はそれをぽんとはねつけて、聞く必要なし、とにかく無条件で入れろということならば、私どももこれはなかなか賛同しがたい。しかしながら、そういう点も認めるものは認めて、君らの言うことは何だということをひとつ聞いてやって、認めて、そしてできるものならば、私はこの際円満な方法というものはあるのではないか、こう考えるのですが、その点についてどうお考えなのか。  もう一つは、そういうことをもし納得した学生の諸君は、私の考え方にけさあたりからはずっと寄ってきたと思うのです。そういうことを文書でよこしておりますよ。ただし、これは私はあそこへ行ってみて、なかなか全体をまとめるような学生がいるのだろうかということについて多少不安もありますけれども、一応君らだけの考えではだめですよ、全体がそうなる、少なくともそういうことを引き受けたらまとめるという力がなければならぬということをぼくは言って、そういう覚悟でひとつやってこい、やっていらっしゃいということをきのう話した。それを聞いてから私はこの問題の取り上げ方というものは自分できめます。こう言ってあれしたら、けさのところでは私の考え方に非常に近い考え方になってきた。ということになると、私は今度は生悦住先生のほうがずっとやっぱり今度は大きくこれを包容していくというような話しかけのしかたというものがないのだろうか、これが一つですよ。もう一つは、そういう段階になって、それじゃひとつ入れてください、こういうあれをやったら、先ほど選考ということばがあったが、これは私のほうでは今度は逆に含みがあるのじゃないかという気がするのです。さて、選考になった、それからたいへんこの前やりよったなと、そういうことを言われて、落とす気持ちがあるのかないのかということも不安なのですが、そういう点はどうなのか、その二点についてひとつ御意見を伺いたい。
  32. 生悦住求馬

    参考人(生悦住求馬君) ただいま御指摘のとおり、私ども旧制高等学校の学寮生活をいたした経験がありますので、そのいいところも悪いところも十分承知をしておるのであります。いいところから申しますと、私どもが経験したような、ただいま御指摘のような雰囲気の学寮の建設と申しますか、そういうことを私どももまた望ましい状態であると考えております。いまお話がございましたように、自由の面のいいところはこれはあくまでもとる。規律節制のあるところもあわせてこれを実行していく、こういうことであくまでもルールに従った中で自由な雰囲気のうちに自主的に寮生活をする、こういうことでなければならぬと私は思いますが、そういう精神で新管理規程も立案をしてございます。いま御指摘のように、あくまでも最終責任というものはやはり管理運営に当たる学徒援護会側が負うべきものである。したがって、入れるとか出すとかいうことは、その重要なる管理行為の一つとして私どものほうでいたしますが、入寮してからあとの寮生活を営む上において自主的にやっていくということは、これはひとつ認めていこう。それについてはやはり自治委員会というものもできて、規約もりっぱに整ったものができることが望ましい。それからどういうことを考えているか、どういう仕事をするか、どういう運営をするかということをお互いに相談して規約をつくって出してこい。出してきた上で、よろしいということになれば自治委員会の組織活動というものを認めていこう、こういうことにいたしております。どういうことを自治委員会でやるかということも規程の中にうたっておりまして、私どもは骨組みだけ書いておりますというと、まことに枯れ木の校みたようなことばかり書いておりますけれども、それに肉づけをする、気持ちにおいてはほんとうに情理かね備わったやり方をやっていきたい、こういうふうに考えておりまして、ほんとうに青年学徒諸君と愛すべき学寮をつくっていきたいという理想は私どもも持っております。ただ、現実の問題としてはいまトラブルが起こっております。これを筋を立てて解決をしてからあとで、学寮の経営というものについては、われわれの理想像として描いているような学寮をひとつ運営していきたい、かように考えております。ですから、いま私どもがやや強きに過ぎるとか、あるいは理に走り過ぎるというような感じを持つ面もあるかと思いますけれども、これはこの際とるべき手段方法としてやむを得、さるに出ている面が多々あるということをひとつ御了承おきを願いたいので、将来の考え方としてはそういうふうに考えておりまして、決して自治を否認する、これを制約して押えつけていこう、あるいは規則づくめでやっていこうというような考えはございません。青年の濶達な気持ちを伸ばしていく面がなければならぬということは私ども考えておりまして、そうようじの先で重箱のすみずみまでほじるというような気持ちはございません。  それからもう一つ、第二点のお尋ねの選考ということばは私が使ったのでございますが、これはやはりまあ規則づくめの話をするようで恐縮でございますけれども、管理規程にちゃんと選考基準というものを書いてありまして、通学の範囲内におる者であるとか、健康の状態であるとか、勉学の態度であるとか、いろいろなことが条件にあがっておりまするし、さらに、大学当局から推薦があるというような要件がございます。それは決してやみくもにむちゃくちゃに、坊主憎けりゃけさまでというようなやり方をするつもりは毛頭ないので、あくまでも良識に従って常識的に判断をしていきたいと思っておりますが、しかし、全然そういう点を手続なしにいくというわけにもいきませず、また、これの選考につきましては、その規程にもありますが、関係大学の代表者、学識経験者、それから援護会当局と三者をもって構成する運営委員会というものを構成しまして、それの議を経て衆知を集めてきめていくということにいたしております。まあ私は妥当な選考が行なわれるものと、かように期待をいたしております。その点はひとつ御信用をいただきたい、かように考えております次第でございますが、いかがなものでございましょうか。
  33. 小林武

    小林武君 生悦住理事長と私と二人の間の話し合いであれば、大体いまのところずっといくと、これは信用をして理解し合えるというところにいくでしょう、二人の関係では。私もそういうふうになればたいへんけっこうだと思うんですけれども、何しろ相手は、あそこに事実三百何十名という者がとにかくこれはたむろしておる、これが入る入らないでごたごたしておるというようなことになりますというと、これはここで理解したといっても、具体的な問題にぶつかって解決能力のないような話し合いでは、これはぼくはきわめて不親切なやり方で、事が起きてしまってから、これはもう少しやっぱり突っ込んで親身になって考えてやるべきであったというようなことでは、私は相済まないと思うのですよ。こういうことは往々にして、いままででもあると思うのです。相手がやはり青年であり少年であるという場合には、ことさらやはりおとなの場合には大きな配慮をしなきゃならぬ。特に立場とすれば、教育関係者がそういうことを議論しておるわけでありますから、これは一そう責任の重大さを考えなきゃならぬと思うんです。そういう意味で、私はそこらを一いまのような御趣旨であれば私も理解できると申し上げたのは、そういうことをあの若者たちにやっぱり説得し、また若者たち意見もいれて、こういう君らの不安があるのは今度はこうだということになると、ぼくらがだいぶ前に会ったときの学生の諸君の態度と今日の態度は非常に変わって、かなりそういうものについて納得のいけるようなところまで来ているように、私は一応信用するほうですから、そういう気持ちを持っておる。それならばやはり、規則はこうだからあとは見ておれというようなことだけではなかなか青年を納得させられない、一歩踏み込んでいって彼らの気持ちにぶつかってやるということがやはり必要でないかと、こう考えますので、そういう点をある程度踏み切ってお考えになることができないものなのかということが一つあるわけです、率直に言って。それと、私も統一館規則の中には――こないだも学生の諸君に言ったんだが、君、この規則が全部問題にならないなんというようなことを考えるのはおかしい、これがどれもこれもみな気にくわないというようなことを言うのはおかしい、これはいいことも書いてあるし、また当然やらなきゃならぬことも書いてある、それを君たちが全部認めないなんというような言い方をするんじゃちょっとそれはおかしいぞと、こう言った。そのことも私はこの文教委員会で言ったわけです。それから、こないだあなたのほうの寮に入られる学生の諸君が十人近くぼくのところにいらっしゃって、そのときもぼくはそのことを話したんですが、それで、君らはけんかするなというような話をした。学生同士の間でそういうことはやめろ、とにかくここはお互いに仲よくいけるような道を考えろということを言ったら、ぼくらの考えとあなたの考えと同じだというようなことを学生の諸君は言った。だから私は、そういうことを考えていますから、何でもあなたのほうが悪いとも思っておりません。ただ、いまあなたもおっしゃったけれども、あれを見て、学生の自主的なあれをよくこの中に取り入れているという感じは私は率直に言ってしない。これは先ほどあなたが、何か規則ずくめでちょっとあれするというような、それに近いような表現がございましたけれども、私もそれは学生の諸君がちょっとひっかかるんじゃないか。そしてお互いに疑いを持っている場合にはなおさらひっかかるんじゃないか。だから、そういうことのかみくだいた解釈が必要じゃないかということと、もう一つ、やっぱり選考委員なんかについてももっと考慮する必要があるのじゃないか、これは大学学術局長に聞きたいのだが、これに関する答申があったときに、選考なんかについては学生がやってもよろしいという項目があった、学生がやるというやり方があるし、それから学校がやってもよろしい、いろいろな方法を二つか三つ出しているはずだ。だから、学生がやるという方法だって認めてもいいと思うけれども、それはいまの段階学生だけがやるといったってまとまらない。しかし、その選考委員の中に学識経験者もけっこうですけれども、もう少し若い者の発言のできるような、意見をその中に入れるような配慮が一体できないものなのかどうか。ぼくはそういうことは、おとながぐるっとひとつ大きくなってのみ込んでやっていいのじゃないかと思うのですよ。そういう具体的なことをある程度、これはまあたとえ文部省がどういう指導をしたにしろ、答申があって、答申の解釈をどうしようが、学徒援護会という団体の性格からいって、私は理事長さんの権限でそういうようなことをやることもけっこうだし、あるいは役員会を開いてそういうことをやってもけっこうだ、やられるべきだと思うのですよ。それが私は、ちょっとやはりそういう点のことをあげつらえば多少ある、学生の言い分にも問題がある、なるほどと思うところがある。いいところばかりではない。ひっかかるのもよくわかる、こういうことになるわけでありますが、もう一つそこらは、理事長さんとしてここでふんばってもらいたいと私は思うのです。学生の諸君もたいへんぼくは変わった考え方になってきているじゃないか。それを入れないというようなやり方をして、あそこへ三百二十名あれしても、さあ取りこわしになった、あの若いエネルギーがそういうことによって反撥を感じた場合にはどんなことになるかというようなことは、これはよその国の例で、少し事件の違ったことを言っておかしいですけれども、それは韓国にしろベトナムにしろ、どこだって若い者というのは、われわれがびっくりぎょうてんするようなことをやり出すこともある、そういうことを考えますと、私はこれは事業そのものの信用の問題にもなることだと思うので、この点は一体どうなのか、ひとつ私はお考えの余地がないものかどうかをお尋ねしたいのです。衆知を集めているということも私は認めますけれども、この点についてはもっと考慮の余地がある。なお、答申の中にもそういうことが非常に自由な考え方の答申もある、どれということにこだわっておらないような気もするのです。どうかそういう点について、いまあそこに三百二十名の学生の諸君がいる。いまその中に新館に入ってもいいというような気持ちになっている、そして、率直に言って皆さんのそれに対する、管理に対するあなたたち責任も認めるというところまで歩み寄っている、そういう段階に、あらためてこういう問題を具体的にあの人たちと話してみる気持ちがあるのかどうか、そこらをちょっとお話をいただきたいのです。
  34. 生悦住求馬

    参考人(生悦住求馬君) 前段の、もう少しお互いに胸襟を開いて踏み込んで話し合いをするような態度でいったらどうかというお話でございます。私も、実はもう余日も少ないことでありますし、中にはどうも四囲の情勢上成規の手続をとりかねておる学生もおるのじゃないか、そういう学生をいかにして新会館に入寮を許可するかということで苦心をしておるわけなんであります。まあ願わくは、この残余の期間中に新館規則に基づいて手続を踏んで、メンツにこだわらずにひとつ出願手続をとってくれる学生がどんどん出てくれるということになれば、私は事態は非常に解決に近づくし、また緩和もいたしてくるのではないか。ただ、私どもは一生懸命に周知をはかろうと思って掲示をやってもすぐ破いてしまうとか、また張りにいかにゃならぬというようないたちごっこをやっておるようでは、学生にもう少し考えてもらわねば困るという気持ちでおるのです。ほんとうに新会館にいきたいならば、ひとつ援護会当局とも、向こうもひとつわかりのいい態度に出てきて話し合おう、ひとつどうだ、私も行きたいのだがどうだ、ついては、手続を踏むからというような態度に出てもらわぬというとはなはだ困る面もある、私どもとしてはあくまでもいかぬ、いかぬといって、まあはねのけておるということではないんでして、まあ大きなことを言うようですけれども、ちゃんとした手続を踏んでくれれば、来たる者は拒まずで受けていく。だから、この残余の期間中に大いにそういうことは――まあ小林さんなどもいろいろ陰に陽にお骨折りいただいていることは私も聞いております。この残っている学生のうちで良識ある学生にどんどん出願をするようにということを私は期待いたしておるわけでございます。  第二の点は、ひとつ文部省のほうからお答えを願ったらどうかしらと思います。
  35. 小林武

    小林武君 文部省はまあいいです。まあたいへん弾力的なお考えをお持ちであることは私もたいへんけっこうだと思うのです。ただ、理事長さんにお願いしたいのは、その中でまともな学生だけはもし入れなければかわいそうだ、こういう考え方をやると、これはやっぱりわれわれも経験がございますけれども、そういう扱い方をされるということは、まあかたまっているものに対する分裂工作という受け取り方をするものだから、だからそういうようになるとばっと反発を感じてしまう。だから、私はそうでなく、これはそういうことをいまここで出してははなはだあれですけれども、日教組も文部大臣と会うような時勢になったんですから、あれぐらいいろいろなことがあったのですが。だからやっぱり理解し合うという気持ちがあれば、相手方が青年ですから、私はそういうふうにいい者もいる、悪い者もいるというようなことになると、あそこに行った者がそれじゃいいか悪いかという話も出たのです。そういうことをいって私は人を傷つけたりあげつらったりすることは、学生同士がやるとしてもいかぬし、われわれもいかぬ。だから、大きくかまえてもらいたいということは、それは多少手のつけられないやつもいるし、率直にいって、こいつら人が一生懸命やっているのにという気持ちもそれはたまにはしますよ。しますけれども、やっぱりもう少しそれを全体をかかえるようなことで、そしてお話をいただきたいと思うのです。まあメンツのことからいえば、これは失礼な言い方だけれども理事長さんにもメンツのことがあって、なかなか進みかねるところもあるだろうし、学生には学生の一本気なそういうものもあるだろう。これはそこは負けたとか勝ったという問題じゃありませんよ。これは一番いいのは、私は事態があまり変なことにならないできれいに片づけば、これほど双方ともメンツの立つことはない。こんなりっぱなことはないわけですから、だからそういうためにはやっぱり全体に対して、君ら手続せい、いろいろな内部の、中に入った問題についてはぼくらも考慮するところがある、こういうようなことで、たとえばどういうことだというような話を聞いてやる。いまここで心配をして解決をしてやることがあったらしてやればいいし、将来、中に入ってお互いにこのことはやろうということがあったら率直に、まあほんとうに大きな立場から子供をさとすような気持ちで、ひとつ理事長さんなり、幹部の方々がやってくだされば、私はこれはあまりひどいことにはならないで済むと思う。それを私はやっていただきたいと思うのです。これはいまそれをいろいろ答申がどうだとかということを言っても、私は答申があったことは間違いないと思う。答申のしかたにもいろいろあるだろう。これは旧制の高等学校の寮のことなんかも考えの人がある。おもにそういう人がつくったことですから、それは自分の昔のことを考えればいろいろよきにつけ悪しきにつけ、また悪いと思ったこともいま考えてみればそう悪いことでなくていいこともあるでしょう。そういう点で、若い者の立場で私は解決していっていただきたい。これ以上いろいろ議論してもしようがありませんから、何とかしてあそこで、悪いことばですけれども、けがをしたとか、血を流したとか、また頭を割られたとか、手を折ったとかということが起きないような、こういうやり方をしてもらいたい。それから、あそこから出て行き場所がなくて、そして学業を放棄しなければならぬとか、ぐれたとかというようなことのないようなことをやってもらいたい。率直に言って、どうしても入れない者があったら、学徒援護会対象とする学生には、行き先のことも心配してやるという親心があってしかるべきだと思うが、そういう御配慮もしていただいて、これは別にあなたと団体交渉をしているわけではありませんから、これ以上のことは申し上げませんが、御配慮をいただきたいと思う。私も陰に陽にやって、よく思われているか、悪く思われているかはっきりしませんが、私は私なりに自分の信念を曲げない程度で、どっちのほうにもいいかげんなことを言っていい子になるなんという根性は全部捨てて、そうしてとにかく解決をなるべくはかりたいという気持ちも持っておりますから、私はほかのことには力がありませんけれども学生はそういうことを言って、来たから、学生にはそういうものの言い方をするし、一貫してやっているわけです。そういう態度でいきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいのです。  なお、私が聞いてみてなるほどと思ったのは、たとえば彼らが非常に何といいますか、生活協同組合ですか、このことを非常に言うのです。それで何か生活協同組合の従業員も入れてくれというような話もあった。そのときに、私は無理だと言ったのです。それは確かに部屋の数がたくさんあって、従来のようなものならばなるほどいいだろう。しかし、いま一人でもあそこへよけい入れたいという場合に、これは援護会考えるだろうし、また、われわれがもし親であれば、少しでもとにかく暮しに困らないような角度から、ああいうところにむすこを入れたいと思うだろう。ということになると、なかなかそう思うようにいかないのではないかということを話したら、実は夜、勉強する者が帰ってきてもめしが食えなかったとか、アルバイトで朝早く行かなければならないときに、食事もしないで行かなければならないということになったりすると、あるいはよそで高いものを食わなければならないというような場合を考えると、それをとにかくそういうことのないようにしてもらえさえすればいいじゃないかと言ったら、そうだと言う。それならばひとつそれは学徒援護会のほうで責任を持ってもらうようにして、学徒援護会のほうでも、泊り込みの者を置かなければその措置ができないということになれば置くだろうし、また置かせるように君らも大いに相手方に当たればいいということを言ったのです。私はそういうことで、単なる金持ちのお坊っちゃん連中を集めて整った寮の運営ということよりも、勤労学徒のうちでも特にあそこは金のない者も入っておりまして、そういう者の生活を十分考えるということの運営のしかたというものをひとつ考えていただきたいということを御要望申し上げるわけであります。どうぞひとつよろしく。
  36. 生悦住求馬

    参考人(生悦住求馬君) いまだんだんとるるお話がございました点は十分に拝聴をいたしました。御忠告としてちょうだいいたしておきたいと思います。
  37. 山下春江

    委員長山下春江君) 別に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  38. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後三時四十八分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕