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1965-04-27 第48回国会 参議院 文教、石炭対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十七日(火曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————    委員氏名    文教委員     委員長         山下 春江君     理 事         久保 勘一君     理 事         二木 謙吾君     理 事         吉江 勝保君     理 事         小林  武君                 植木 光教君                 木村篤太郎君                 北畠 教真君                 近藤 鶴代君                 笹森 順造君                 中野 文門君                 中上川アキ君                 野本 品吉君                 秋山 長造君                 千葉千代世君                 豊瀬 禎一君                 米田  勲君                 柏原 ヤス君                 高瀬荘太郎君    石炭対策特別委員     委員長         小柳  勇君     理 事         亀井  光君     理 事         堀  末治君     理 事         阿部 竹松君     理 事         大矢  正君     理 事         鬼木 勝利君                 石原幹市郎君                 大竹平八郎君                 川上 為治君                 岸田 幸雄君                 剱木 亨弘君                 郡  祐一君                 高野 一夫君                 徳永 正利君                 野田 俊作君                 二木 謙吾君                 松平 勇雄君                 山下 春江君                 吉武 恵市君                 阿具根 登君                 大河原一次君                 豊瀬 禎一君                 藤田  進君                 石田 次男君                 田畑 金光君     —————————————   出席者は左のとおり。    文教委員     委員長         山下 春江君     理 事                 久保 勘一君                 二木 謙吾君                 小林  武君     委 員                 木村篤太郎君                 近藤 鶴代君                 笹森 順造君                 中野 文門君                 中上川アキ君                 豊瀬 禎一君                 柏原 ヤス君    発議者          豊瀬 禎一君   石炭対策特別委員    委員長          小柳  勇君    理 事          亀井  光君                 阿部 竹松君                 大矢  正君                 鬼木 勝利君    委 員                 郡  祐一君                 徳永 正利君                 野田 俊作君                 松平 勇雄君                 大河原一次君                 田畑 金光君    政府委員        警察庁保安局長  大津 英男君        文部政務次官   押谷 富三君        文部省初等中等        教育局長     福田  繁君        厚生省社会局長  牛丸 義留君    事務局側        常任委員会専門          員        渡辺  猛君    説明員        法務省刑事局青        少年課長     安田 道夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産炭地域における公立小学校及び中学校の学  級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関  する法律案豊瀬禎一君外四名発議)     —————————————   〔文教委員長山下春江委員長席に着く〕
  2. 山下春江

    委員長山下春江君) これより文教石炭対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会委員長の職をつとめます。  それでは、産炭地域における公立小学校及び中学校学級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は、順次、御発言願います。
  3. 小柳勇

    小柳勇君 法案提案者に質問いたします。  昨年、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律が大々的に改正されたにもかかわらず、この法律を出しておられますが、その真意について簡単に御説明願います。
  4. 山下春江

    委員長山下春江君) ちょっとこの際申し上げますが、政府側から出席しておられる力は、警察庁大津保安局長文部省福田初等中等教育一員厚生省牛丸社会局長が出席いたしております。
  5. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この法律案を提案いたします際に、かなり詳細に本法律案提案理由について申し述べておりますが、現行定数法におきましては、四十五を目標としながら、逐年一名ずつの生徒が減少していくという法律でございます。私どもが提案いたしております法律は、一学級を直ちに四十名に編制するという内容でございまして、その理由は、産炭地域荒廃によりまして、家庭あるいは社会環境、あるいは学校、こういったすべての部門にわたりまして、非教育的な現象が累積いたしておるわけでございます。したがって、それらの学力、あるいは非行家庭指導、こういった面につきまして、教師負担が他の地域に比べましてきわめて重くなっておるわけであります。したがって、できるだけ児童数を減少することによって、一方におきましては、消極的には教師負担を軽減をしていく、積極的にはできる限り一人一人の児童に対して指導教育をすることができるようにしたい、このように考えて四十名にいたしたわけでございます。もちろん逆な立場から申しますと、四十名よりも二十名、三十名がよろしくはないか、こういった反論も断然起こり得ると思いますけれども、私どもとしては、現在の実情の中から、最小限度四十にしていけば何とかやっていけるのではなかろうか、このように考えまして、全般的な配慮のもとに、現行定数法を、産炭地におきましては特別に四十名に編制していくように改正をいたしたい、このような考え方に立って提案しているわけでございます。
  6. 小柳勇

    小柳勇君 この法律の最後のところに経費の問題がありますが、「この法律施行に要する経費は、昭和四十年度において約十二億七百万円の見込みであるが、そのうち四千五百万円は昭和四十年度予算計上済みである。」と書いてあります。四千五百万円の使途と、それから十二億七百万円から四千五百万円引きましたその残り使途について概要御説明を願います。
  7. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 まず最初に、法律施行に要する経費といたしまして、大体一般教員——法律第三条及び第四条に要する教職員給与費でございますが、大まかに申し上げまして、一般教員千八百名、カウンセラー等二千四百六十名、養護、事務含めまして約五千名の増員を見込んでいるわけでございます。それに要する経費が、本法案内容といたしましては最も多くを占めておりまして、約十億を見積もっております。法第五条による教材費とございますが、それが約四千万、法第六条による就学援助費が七千六百万、その他学用品費通学費修学旅行費、さらに通学用品費、これは通学のために必要なズックその他のものでありますが、そういうものを含めまして、いま申し上げましたように十二億七百万になっているわけでございます。
  8. 小柳勇

    小柳勇君 説明を聞きますというと、教職員養護職員及び事務職員経費残りであって、あとはまあまあ若干今年度予算に計上したようでありますから、私は残りました問題について、前点的に御質問いたします。抽象論を省略いたしまして、具体的に質問をしていきたいと思います。  石炭調査団答申は昨年の十二月十六日に出されまして、その中に文教対策として、次のようなことが書いてあるのであります。「産炭地域家庭環境社会環境が悪化したため、児童生従不良化する者や長期欠席する者がふえてきているので、産炭地域学校教職員は、本来の学校教育とともに、家庭教育社会教育の面をも担当することとなっており、一方、産炭地域地方公共団体は、文教関係対策について自力で十分の措置を講じ得ない場合が多く、このような地域においてこそとくに必要な学校給食の開設が遅れているといった事情もある。  このため、産炭地域青少年関係の各機関、団体等は相互に緊密な連携をとり、良き生活環境、良き社会環境の醸成に努める必要がある。また、産炭地実情を勘案し、いわゆるカウンセラーなどの増員を図り、これを重点校に配置する等極力非行少年対策上効果があるよう配置する。  さらに、就学援助給食設備教材理科教育および産業教育設備学校建物などが円滑に実施されるよう特段の配慮を払う。  なお、産業地域における高校生を対象とする育英奨学資金の貸与については、特別の配慮をする。」、これが石炭調査団からの答申であります。文教対策としての答申でありますから、これを重点的に各項質問してまいります。なお、教材及び通学出品などについては、いま豊瀬委員から説明がありましたから省略していきますが、まず第一に、児童生徒不良化する傾向及び長期欠席がふえるということが書いてありますが、この点について、まずこの法案提案者豊瀬委員から説明を求めて、あと具体的に警察庁からその具体的な例並びに文部省からその具体的な例を御説明願います。
  9. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 最も新しい資料一つといたしましては、福岡県警が、二月であったと思いますが、三十九年の十二月で一応県内犯罪統計をいたしておりますが、それによりますと、全犯罪の四〇%を青少年非行が占めております。そうしてその中で、十四歳の青少年犯罪が四〇数%、半数近くを占めておるという統計が出ております。しかも、その中におきまして、産炭地域における青少年犯罪がほとんど、と言っては若干オーバーになりますけれども、かなり多くの部分を占めておるわけでございます。福岡教育委員会が当委員会に提出いたしました資料を見ましても、非行少年の増大が記されておりますが、私どもが最も寒心にたえないのは、他の地域における青少年非行に比べまして、一つ傾向といたしましては、犯罪といいますか、非行の質が非常に悪いということ、それは何といいますか、子供心でつい人のものを取ったといったようなものでなくして、何人か集まって、いわゆる徒党を組む、集団化しておる。それからさらに性犯罪、あるいは計画的な盗みと申しますか、こういったもの、あるいは計画を立てて人を襲撃する、あるいは女性を襲う、そういった犯罪中学校、あるいは小学校六年生ころまで及んできておるわけでございます。それと同時に、これは教育的な非行と言っても差しつかえないと思いますが、勉強に対するといいますか、学校教育に対する熱意というものが非常に喪失されまして、学校に行って何になるか、あるいは勉強しても何にもならぬじゃないかといったような投げやり的な空気というのが非常に年とともに強くなってまいっておりまして、これが勉強ができるとかできないとか、あるいは学力があるとかないとかという問題よりも、勉強をしても何にもならないという生徒の気持ちに対して、どう指導していくかということが産炭地教育におきましては非常に重要な課題となっておるわけでございます。したがって、宿題もしてこない、家でも勉強もしない、あるいは机にすわっておってもぼう然と窓の外をながめておる。先生の話は聞いていない。そういったいわゆる教育的な非行と、先ほど申し上げましたいわゆる犯罪的な非行と申しますか、刑罰等にも触れる可能性のある非行、その両面がどちらも進行しておるというのが現状でございます。大体以上でございます。
  10. 小柳勇

    小柳勇君 警察庁願います。
  11. 大津英男

    政府委員大津英男君) なかなか福岡県下、特にまあ産炭地域少年非行条件はどうかというこまかいデータは取りにくいのでございますが、できるだけまあいろいろ面から調べてまいったわけでございますが、まあ傾向といたしましては、やはり全国的な傾向と同様に、福岡県下におきましても非行少年の数が年々増加をしておるということでございまして、福岡県におきましては、三十九年中の刑法犯少年触法少年を含めましての数字が一万二千七百九十五人、これは昭和三十年の一・七倍ということでございます。御参考までに全国の刑法犯少年の数は、二十三万八千八百三十人ということで、これは昭和三十年の二倍ということで、まあ福岡県の全体の率よりは全国的のほうがやや上回っておるという数字が見られるわけでございます。  それから、福岡県におきましても、全国的な傾向と同様に、十五歳以下の少年非行、特に中学生を中心としました学生、生徒増加が激しい、こういう傾向が見られるわけでございます。また、ただいまもお話がございましたが、増加率といたしましては、凶悪犯、あるいは粗暴犯増加が目立っておる。強姦等犯罪もあるというようなことでございまして、罪質的にも憂慮すべき点があるわけでございますが、福岡県内を一応、福岡地区筑豊地区北九州地区筑後地区というように四地区に分けて犯罪少年だけについて調査をしてみましたところによりますと、これは触法少年を除いておりますが、三十九年の刑法犯少年状況、それから十四歳から二十歳までのそういう少年人口千人当たりの犯罪者率というものを調べてみますと、福岡地区では刑法犯少年が、犯罪者率が二三・六人、筑豊地区が二〇・六人、北九州地区が一八・六人、筑後地区が一四・五人というようなことでございまして、福岡地区に次ぎまして筑豊地区が高率である、こういうようなことも出ておるわけでございます。また、具体的な事例ということになりますと、いろいろな問題があるわけでございますが、このほか私ども注目しておりますことは、少年福祉を害する犯罪、成人によって、むしろ被害者未成年者少年であるという犯罪相当数ある。これはまあ全国的にみて福岡が非常にふえておるというのではございませんけれども、一応申し上げますると、三十九年中の福祉犯罪被疑者検挙者が六百四十一名でございまして、被害少年の数は八百五十六人、いずれも三十八年に比べて増加をしておるということでございます。被疑者検挙数は二三・七%の増加、それから被害者の数が九・三%の増加でございます。この福祉犯被害少年地区別被害状況を見ますと、産炭地筑豊地区が一番多いということが出ておるわけでございまして、全体の約三一%が筑豊地区被害少年である。福岡が三〇・六%、北九州地区が一八・九%、筑後地区が一九・五%、こういうようなことになっておるわけでございます。で、具体的にどんなそういう問題がいままであったかということでございますが、二、三申し上げますと、産炭地貧困家庭長欠中学年等を愛知、岐阜等パチンコ屋従業員としてこれらの少年職業紹介をしておる。そうしてこれを不法に使用し、搾取をしておる。こういうような事例検挙をされたというような事犯、それから和歌山県等の温泉地芸妓置屋にやはり産炭地の少女が人身売買被害者になっておる、こういうような事犯、あるいは石炭の盗掘のために小中学生を坑内労働に使用しておったというような事犯、その他同様の事犯相当数ございまして、こういうような点は警察といたしましても福祉事犯を重点的に取り締まるというようなことをいたしておるわけでございますが、具体的な事例といたしましては、ただいま申し上げましたようなものでございます。
  12. 山下春江

    委員長山下春江君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  13. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記を起こしてください。
  14. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいま警察庁のほうから詳しく御説明がありましたとおりでございますが、私どもとして調査いたしましたところによりますと、最近、生徒児童不良化あるいは犯罪傾向は全国的な問題ではございますけれども、特に産炭地状況は、先ほどの御説明にもありましたように、格別その傾向が強いようでございます。福岡県の産炭地の特殊な事情といたしましては、生徒児童不良化非行問題というものが年々増加してきておるようでございまして、しかも、その内容から申しますと、そういう非行の質の変化がかなり顕著ではなかろうかというように考えております。非行内容先ほども御説明ございましたが、かなり悪質なものが出てまいっておる。それから集団化する傾向が強くなってきておるということでございます。これは一つには、ことばは悪いんですが、家庭欠損家庭が多い。たとえばおとうさんやまたはおかあさんのいないような家庭がかなり多くなっている。あるいはまた夫婦が別々になっているというような家庭もかなりあるようでございます。そういう関係から子供のめんどうを見る者がない。子供が放置されているというような傾向が強いようでございまして、特にまたあの地域はいわゆる石炭産業の不況から離職者が非常に多いために、父兄の勤労意欲の減退という傾向もかなり強いようでございます。これなどがやはり家庭教育の上にかなり悪影響をもたらしているということは、これは否定できない傾向であろうと思います。警察にあげられました非行件数につきましても、たとえば小柳委員の御承知の嘉穂郡だけをとってみましても、昭和三十六年に八百七十一件でございました。三十九年にはそれが千七百八十七件というように急激にふえております。内容は暴行だとか、傷害だとか、恐喝、窃盗等が大体半数くらいを占めているようでございます。残りは夜遊びだとか、盛り場を俳回するとか、あるいはわいせつ行為をするとか、そういうような性的犯罪等も含まれて、かなり増加してきているという傾向にあるようでございます。こういう傾向が特に筑豊地区等に一番県内でも多いように感じられるのでございます。簡単でございますが、以上でございます。
  15. 小林武

    小林武君 関連文部省にちょっとお尋ねしますがね。いま福岡県のことをお話しになったが、北海道にも同じようなことがあるのだが、産炭地としてあなたのほうで一体調査をしたりしているところの県名とか、あるいは地域名とかいうものがあったらそれを示してもらいたいし、また、そういうところではどういう問題が、一体福岡と同じなのか、全く心配ないのかどうか、その点も一つ概括的でいいですから。
  16. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私ども調査いたしました地域は、北海道産炭地域と、それから常磐地帯地域と、それから山口宇部地区産炭地域でございます。それからそのほかでは福岡県の筑豊地帯、それから大牟田、荒尾地区、それから佐賀県の産炭地域、それから長崎県の主として北松地帯を含めての産炭地域でございます。そういうものを一応調査をいたしてまいったのでございますが、ただいま申し上げましたのは、特に福岡県の筑豊地帯中心に申し上げたのでございまして、ほかの地域におきましては、私ども調査いたしましたときにおきましてはそれほどまあひどい傾向はなかったようでございます。北海道にいたしましても常磐地帯にいたしましても、あるいは山口県、あるいは佐賀県等におきましては、それほどの問題はなかったように思いますが、しかしながら、他の地域に比べますと、やはりそういう傾向は若干出ておりまして、その点は注意を要すると考えておったのでございますが、特にやはり最もはなはだしいのは、福岡県の産炭地区であるというように報告を受けております。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 法務省の青少年課長来ておりますね。いまの問題ですがね、われわれは抽象的にいろいろ聞いておりますし、具体的にはいま警察庁と、また文部省から報告がございましたが、法務省から見た産炭地域におけるあるいは離職者をかかえた県におけるそういう青少年犯罪などいかがですか。
  18. 安田道夫

    説明員安田道夫君) 産炭地におきます少年非行の現況につきましては、数字的にも、また質的にも、ただいまお話しのありましたのと私ども考えておりますのと、そごするところはございませんが、実は件数だけで見ますと、必ずしも産炭地域非行少年の数はそう急激にふえておるというような現象はないわけでございます。しかしこれは、直ちに産炭地域における非行原因となるような条件が解消しておるとか、あるいはそれが少ないということを意味するのではなくて、やはり依然として産炭地域においての少年非行原因となるような条件は深刻であるということをいわざるを得ないと思うのであります。それは二つの面からいえるわけです。一つは、産炭地域において少年非行の数がそれほど急激に増加しないというのは、産炭地域における人口がそれほどふえていないということ、すなわち、かなりの人たちが炭鉱から離職して都会その他への移動をしておるという、こういう人口の減少あるいは横ばいというようなことに伴いまして、やはり少年非行もその点ではふえていないわけで、いわゆる最近の少年非行現象大都市に集中しておるということ、これは産炭地域そのものにおいての少年の数はふえませんけれども大都市における少年非行というものが産炭地域におけるいろいろな条件と無関係であるかというと、必ずしもそうはいえないということです。端的に申しますと、やはり産炭地域における生活荒廃と申しますか、貧困というような事柄が、それが先ほどからのお話にありますように、学校長欠になったり、あるいは家出というような現象が出てまいりまして、いわゆる産炭地域における生活に希望を失った少年たちが、特に出てもなく都会のほうへ家出していく、そこであるいは暴力組織の歯牙にかかるとか、いろいろな非行に陥るわけで、これがやはり部会における少年非行産炭地域との結びつきとしてやはり考えてみなくちゃならないんじゃないかというように一つ考えられます。  それからもう一つの点は、産炭地域そのものにおける非行現象ですけれども、これは先ほどからのお話にありましたように、確かに非行の質も悪くなっており、また、その数も必ずしも減っておるとはいえないのですけれども、しかし、特にその中で窃盗関係の占める比率が、全国的に窃盗が占めておる比率よりもやや高いように思われます。これも産炭地域における生活荒廃という事柄が、やはり非行現象としてそのような形であらわれておるということを物語るのではないかというふうに考えられます。  もう一つ産炭地域においての少年非行原因と申しますか、少年非行との関連において注意しなくちゃならないことは、先ほど初等中等局長のほうからのお話にもありましたように、いわゆる産炭地域生活荒廃、それからいわゆる失業というようなことで、その地域におけるおとな世界において勤労意欲というようなものがやはり喪失されておる。子供おとな世界のことを模倣いたしますので、そのような、たとえば失業保険というようなものに頼って、失職しておるというような生活条件というものが少年の健全な育成にとっては非常に有害であるというようなことも、私どもとしては注意しなければならないんじゃないかというふうに考えております。で、少年非行に対する対策としていろいろな活動がなされておるわけですけれども、特に地域社会における地域社会としての非行対策ということの強化がいろいろ問題にされておりますけれども、これもまた離職、転職というようなことで、そこに居住する人たちが安定していないために、その地域的な対策も十分行なわれていないというような事柄どもわれわれとしては非常に関心を持っておりますので、これらの悪条件のもとにおいて学校教育というような面での充実ということが一そう望ましいというふうに考えております。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 ただいま四者から非常に含蓄のある、しかも統計による御報告を受けました。産炭地という、この局限したことばではあるいは表現できないかもわかりませんが、福岡の例をとられました警察庁の例で、福岡というのは市部でありますが、大都会非行少年犯罪の発生が多いといわれて、いまの法務省の話と符合いたしました。あとは筑豊地区は純粋な産炭地である、北九州というのは工業地帯、筑豊地帯は農村地帯でありますから、農村地帯のほうは産炭地帯よりも五割から六割の犯罪である。これだけの数字で判断はできませんけれども、非常にいい具体的な例を聞きましたが、なお将来の論議の必要もありましょうから、各関係省とも具体的な例をひとつ出していただきまして、あまりこまかくいたしますと、かえって抽象論になりますから、いま法務省からお話のありましたような、おとな失業によって生ずる子供世界の動揺、そういうものが非常に原因じゃないかと思いますから、そういうものも具体的にお調べおき願いたいと思います。  次に、文部省のほうにこれに関連して質問するのですが、要保護及び準要保護児童増加というものが非常に重要な問題であります。全国平均いたしまして産炭地におけるこの児童数増加についての御報告を願いたいと思います。
  20. 福田繁

    政府委員福田繁君) 御承知のように、要保護、準要保護児童等につきまして、文部省としてこの就学援助措置を講じておりますものの率は要保護が三%、準要保護が七%、合計いたしまして一〇%という率でございまます。大体この一〇%というのが全国平均でございまして、まあ若干、地域によりまして多いところもございますが、いま御質問のありました福岡の場合をとってみますと、最近非常にこの要保護、準要保護児童生徒増加傾向が顕著になっております。昭和三十五年におきまして福岡産炭地を見ますと一二・三%、全国平均をやや上回る程度でございましたが、昨年、三十九年度を調べて見ますと二七・九%、約二八%程度になっております。これは福岡県の産炭地の平均数でございますが、学校の個々のものをとらえて見ますと、三〇%以上にのぼるような学校もかなりあるようでございます。したがいまして、他の地域に比べて特にこの要保護、準要保護児童生徒の数というものが急激にふえてきておるということは、これはこの数字から申しましてもはっきりわかることでございます。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 次に質問いたしますが、この法案の第二の骨子として、もっぱら児童生活の指導を強力にするということがありますが、これは非常に重要な要素だと思うのですが、ただいまの要保護、準要保護児童増加非行少年増加については、いままで御説明があったとおりでありますが、この、もっぱら児童生活を指導するというこの提案者の意図ですが、そういうものについて具体的に御説明願います。
  22. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほどからそれぞれの方から説明がありましたが、その意図を説明する前に、若干、補足説明しておきたいと思います。  いま、初中局長が説明いたしましたように、教育委員会資料を見ますと、昭和三十五年におきましては、生徒数が産炭地におきまして二十七万三千五百八人おって、その中で、先ほど初中局長の説明どおり一二・三%であったわけであります。ところが三十八年になりますと、児童生徒数は二十万三千五百九十人に減少しておるにもかかわらず、三十五年の要保護、準要保護が三万三千五百二十九であったものが五万六千九百九十八になっておるわけですね。生徒数が七万くらい三十五年から減少しておるにもかかわらず、倍とはいきませんけれども、要保護、準要保護の生徒数が激増しておる。また、先ほど非行の問題もありましたが、嘉穂郡のある中学校で、約半年の間で補導した件数と補導した教師の数を月別にずっとあげていっているんですが、かなり詳しい資料ですので、それを一々説明していくと時間がかかりますが、この三十八年末から三十九年の夏ごろまでの嘉穂郡のこの中学校の補導件数を調べてみましても、大体週に二回ないし三回、教師が何人か学校外に授業から出ていって補導しておる。そうしてその中で警察関係の手に渡ったものが七件あります。その他は大体担任の係、あるいはその他のいわゆる補導教員等でやっておるわけです。そこで、お尋ねの、もっぱら生徒の補導に当たるというのは、担任の教師家庭の中に乗り込んでいって、その地域においても、あるいはその地方における恥生委員その他と連絡しながら生徒を補導するというのが一番いい条件ですけれども非行がいわゆる授業時間中に発生しておるという状況です。したがって、警察から連絡がある、あるいは地域の人から連絡がある、その他からいろいろの事件の連絡がある際に、受け持ちの教師あるいは授業担当しておる教師が、直ちにその事件の中に飛び込んでいっていろいろ補導しておる。あるいは校長、教頭等もそうした仕出に手伝いに行っておるわけです。そのために、昨年の十一月に石炭対策特別委員会から筑豊地帯教育事情調査に参りました際に、各学校から述べられた最も強い要望の一つは、一週間平均二、三回はたいてい授業が欠けておる。そういうことのために補導にも十分の手が行き届かない、同時に、残り生徒児童に対する教育のほうもおろそかになってくる。こういう訴えが強いわけでございます。したがって、教師たちは一人の非行少年を早期に発見をして、これを救済するという仕事に対する十分の手が行き届かないという良心の悩みと、同時に、非行でない大多数の生徒に対する授業が欠けていくという悩み、二つの悩みを持っておるわけです。したがって、両面を考えますと、やはり補導するためにはいろいろのそうした問題に対する十分の知識等も要りますし、その地域における実態も十分承知しておく必要がございますので、授業を担当することなく、あるいは学級を担当することなく、産炭地におきまして、専門と申しますか、補導に当たる教員を各学校に配置していくことによって、まず家庭環境調査、あるいはその地域におけるいわゆる高校生的な高年齢の非行を指導していく、あるいは引きずっていく、そういった人たちに対する調査、あるいは手当、こういった事前の調査、あるいは非行に至らない前の指導といった面を考えてまいりますと、どうしても完全に担任、あるいは授業から解放して、それに専念していく教師をつくっておくことが、まずもって非行を防止する、さらに進んでは非行を減少させていくきわめて大事な要件ではなかろうか。また、現場からもそうした声が非常に強いわけであります。したがって、私どもが考えておりますのは、カウンセラーと申しますか、補導の専任の教師を、犯罪が累積しておる学校等におきましては、郡とか、あるいは市町村に何名ということではなくて、当該学校に配置しておいて、そうして、うちの、その学校教師であるという立場の中で補導していくということが最も効果をあげる問題ではなかろうか、このように考えているわけであります。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 いまの鶴瀬委員の説明が、ちょうどここに書いてあるのですが、「本来の学校教育とともに、家庭教育社会教育の面をも担当」していくことになる。あとのほうに、「いわゆるカウンセラーなどの増員を図り、これを重点校に配置する等極力非行少年対策上効果があがるよう配置する。」という答申が出ておりますが、文部省にお伺いしますのは、いわゆるカウンセラーというのと、この法案にありますもっぱら生活補導に当たる教員というものとの関連はいかがでございましょうか。
  24. 福田繁

    政府委員福田繁君) カウンセラーということばが使われておりますが、カウンセラーなるものの役目がまだはっきりした定義がないくらいでございまして、非常に担当いたします仕事の範囲というものがいろいろ流動的でございます。いま御指摘になりました生活指導だけをやる者を私どもカウンセラーとは必ずしも呼んでおりません。これはまた別の問題でございますが、しかし、カウンセラーということでございますと、そういう面も含めて補導あるいは職業指導等の全般的な指導をやる人であろうというように一応考えまして、私どもとしては、生徒指導のための教員の再教育ということを実施いたしております。したがって、いろいろ現地の学校から御要望のありますような点を考えてみますと、やはりまあ授業を持つ持たないはこれは別の問題でございますが、要するに、そういう児童生徒に対して十分指導の手が行き届く、あるいは相談相手になってやれるというような余裕のある、また指導力のある先生が必要であろう、こういうように考えるわけであります。したがって、昨年も福岡県の中学校につきましては、そういう趣旨で約二十一名ほどカウンセラーの役目をする教員を学校に配置したわけでございます。しかしながら、まだこういう方面を担当してくださる十分な指導力のある先生というものは非常に少ないわけでございます。そこに悩みがあるわけでございますが、将来はだんだんそういうことも充実して教師を配置していくように考えていきたいということを私どもは計画をいたしているわけであります。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 私どもカウンセラーカウンセラーと呼んでいるのですが、初中教育局長の頭の中にあるカウンセラーの定義をちょっと教えてもらいたい。
  26. 福田繁

    政府委員福田繁君) 先ほど申し上げましたように、カウンセラーというのは、いろいいろの意味に使われておりますが、私どもとしては、やはり生徒や児戯の学校の場におけるいろいろな生活指導もございましょうし、あるいはその他職業指導、それから進路指導、各いろんな生徒児童に対して指導しなければならない教科以外のことがたくさんあるわけでございます。そういう直接の教科そのもの以外にたくさんの指導すべき事柄がございまして、こういうものをすべて引っくるめて指導してやれるようなものをカウンセラー、こういうように私どもは理解をしております。そういう考え方で現在講習会等をやっておるわけでございます。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、いま豊瀬委員が言われた産炭地域における生活環境なり、あるいは家庭教育のためのもっぱら生活指導に当たる教職員というものと若干違いますね、あなたの考えているカウンセラーというのは。
  28. 福田繁

    政府委員福田繁君) 終局においては同じだろうと思いますが、私どもカウンセラーと一般に申しておりますのは、そういういろんな仕事を担当する者をカウンセラーと言っております。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 少しまだはっきりしないのですがね。いまわれわれ論議している法律の中には、はっきり大きな柱として、第一の柱は学級の定数を四十人にしたい、第二の大きな柱にしているその学級を担任する先生のほかに、もっぱら生活指導をする教職員が必要である。それはさっき法務省なり警察庁報告されたように、家庭の環境なりその他の事情で脱落していく青少年がおる。その青少年が出てこないんだと、学校に。出てこない生徒は、幾らりっぱな先生が教室におりましても教育はできないのだから、したがって、外回りをする、生活指導をする先生が必要だ、これはぼくは非常に大きなこの法律の柱だと思うのですよ。この法律によるもっぱら生活指導をする教職員という概念と、いま言われた、いわゆる文部省で言っているカウンセラーなるものとは若干意味が違う。文部省で育っているカウンセラーというのは、教室の中、あるいは教育課程、あるいは教育の縦の筋において、縦の線において指導するんだ、特に産炭地であれば、産炭地教育の指導性などを発揮するんだ、それで先生方を指導して、まずひとつそこに筋を入れるんだということです。その人は外回りをするという意味ではないのですね。その点はどうなんですか。
  30. 福田繁

    政府委員福田繁君) いまお話を伺っておりますと、提案者の御意図は端的にそういうことをあらわされたんじゃないかと思いますが、私が申し上げたのは、仕事としてはもっと広い意味を申し上げたわけでございます。したがって、それは外回りするか、学校の中にいるかということは別個の問題でございます。外回りすることもございましょうし、学校の中で指導することももちろんあると思いますが、要するに、その学校に在籍する生従児童に対して指導するというのが役目でございます。
  31. 小林武

    小林武君 委員長ちょっと関連さしてもらいたいのですが。いまの小柳委員の質問に対して文部省の答弁を聞いているというと、何だかはっきりしないですね。カウンセラーとこの一般教職員とどこが違うのか。あなたの話を聞いていると、進路とか、職業指導とか、あるいは生活指導とかいうものは一般教育ではやらないのだ、これがはっきりしないのですよ、私は。あなたのほうのやり方の中に往々こういうのが出て困っている。たとえば、あなたのほうで人間像ということを言われている。人間像って何だと聞いたら、さっぱりわからない。何べん聞いても人間像わからない。定義ははっきりしませんというようなことを最後には言う。カウンセラーというものが置かれて、これは予算化されているのですよ。その場合に何をやるのかはっきりしない、定義が明らかでないという、そういう言い方は私は通らない。だから、カウンセラーというものは一体何をやるものとしてあるのか。これはカウンセラーについてのいろんな見方、それぞれの立場で見るような見方もあるだろうけれども文部省としては一体何をこのカウンセラーというものにやらせるのか。カウンセラーにこれだけのことをやらしたら一般の教員は一体何をやるのか。一般の教員との間にけじめをつけられるようなものがあったら、これは何なんだと、これをはっきり言わなければ、連合審査をやって、他の委員会からこられた方々が何を議論しているかわからないようなことになるのじゃないですか、その点はっきりしてもらいたいと思います。カウンセラーとは何なのか。豊瀬委員が提案されているところの法律案にあるカウンセラーというのは、あなたのほうで誤りなら誤り、そういうものでないというならないとはっきり言ったほうがよろしい。それをはっきりお伺いしたい。
  32. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私が申し上げておりますのは、授業を持つか持たないかということは別の問題でございます。一般の先生が授業を担当して、しかもカウンセラーの行なうべきものとして、言われておりますような仕事も、いままでは一般の教員がやったわけでございます。しかしながら、こううい特殊な場合におきまして、特にカウンセラーなるものを置いて、専門的知識のもとに生従児童を指導しようということでございますが、かりに授業を持たなくても、そういう一般の補導あるいは進路、職業指導というような点について十分指導できる者を私はカウンセラーというような一応の定義をつけておるわけでございます。こういうことでございます。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 まだはっきりしないのですが、もう少し私は具体的に聞きます。御存じだと思うのですが、四、五年前から、キリスト教神学の学生と青山学院の神学校の学生が若宮町の服部団次郎牧師の教会を中心にして産炭地青少年の相手になって、ずっと塾みたいなものを、青空教室をやって、これが非常に評判になって、私の家には再三学生諸君が遊びにきているのですが、産炭地における教育というものは一体どういうものであろうか。さっき法務省警察庁もいろいろ報告されましたが、教室に出てくる生徒は優秀な先生がおれば教育ができる、教室の中で。出てこない生徒は一体どうするのか。おやじさんが失業し、あるいは日雇いに出ている、そういう学用品もない、月謝もないから行けないという生徒もたくさんいるであろう。こういう者はパチンコ屋にいって遊び、あるいはさっき言われた窃盗して金が入ったら映画館に入るだろう、あるいは盛り場にいくかもしれない。学校へ行かない生徒なり青少年を一体どうして教育するのか、そういうものがもう一歩産炭地教育の中に入るのではないか。そういうところがこの提案されている産炭地教育の基本的な大きな第二の柱ではないかと思っておるわけです。そういうものを文部省はどうとらえられるか、それを聞いてからカウンセラーの定義をもう一ぺん聞きたい。
  34. 福田繁

    政府委員福田繁君) いまのお尋ねでございますが、私は学校の外と内と別に区別して申し上げているわけではございません。その学校に在籍する児童生徒というものが補導なり指導の対象になり得るものであれば、当然に学校の先生たちとしてはこれを指導すべきでございます。それは家庭を訪問して指導することもございましょうし、あるいは学校の中で出てきたときに指導することもございましょう。それは要するに、いわゆるカウンセラーと言われておりますのは、専任のほうが望ましいわけでございますが、必ずしも専任でなくても、兼任のカウンセラーも他の地区にはおります。そういうやり方の問題は別でございますけれども、要するに、そういう対象になり得る生徒児童というものを十分指導、補導していただくということが主眼でございます。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 そのカウンセラーの定義を、われわれは非常に簡単にカウンセラーということばを使いまして、少し文部省にだまされたような気がしてならないのです、カウンセラーは。それで、産炭地教育に相当積極的に増員をはかられるという印象だったのですが、いまの話を聞きますと、それは当然、文部省がやるべき筋道の先生であって、そのことは特に産炭地教育と銘打ったものではないのではないかという、いま私はそういう気がしているわけです。私は教育が専門ではありませんからよくわかりませんが。もう一つ聞きますが、学校放課後、産炭地教育の先生が、出てこない生徒の家を回られるだろう、あるいは悪いことを耳にして心配していられるだろう、そうして放課後、一生懸命になってそういう者にかかって、そうして実際これは学校の成績を採点しなければならない、試験をやって。特別ないろいろな学校の仕事もあるけれども、クラブ活動もあるけれども、放棄しながら、そういうふうな出てこない生従、あるいは帰っていった生徒を追っかけ回す先生の姿というものは実態的に把握されておるだろうか、お聞きしておきたい。
  36. 福田繁

    政府委員福田繁君) そういうお話をよく現地の校長さん力から伺っております。全部じゃないかもしれませんが、そういう事例はあるようでございます、ただ、文部省にだまされたというようなお話がございましたが、そうじゃなくして、いままでの小学校でございますと、学級担任、中学でございますと教科担任、それぞれ先生がいるわけでございます。そういう先生方が十分指導するたてまえになっておりますけれども、なかなか最近の、いわゆる青少年不良化の問題、あるいは非行の問題等、とられてみましても、いろいろな原因あるいはいろいろな事情というものが非常に複雑でございます。そういうものをやはり解明して、十分、生従児童を指導するには専門的な知識も必要でございます。いろんな、各方面多岐にわたりますので、そういう専門的な知識も必要であると同時に、やはり相当な経験も必要でございます。そういった専任の先生がいることのほうが、各学校のそういう指導面に非常に大きな好影響を与えるという立場から、学校に専任のカウンセラーを置く、こういうように私どもは考えてきておるわけでございます。したがって、そういう趣旨に従って、いわゆるカウンセラーというものを、あるいは日本語でいえば補導教員と一口に申しますが、そういうものを置いていきたい、そういう計画を進めておるわけなんであります。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 その問題はあとでまたしますが、厚生省に質問いたしますが、生活扶助家庭がふえましたし、生活扶助家庭の中における児童数もふえていますが、その最近の趨勢ですね、産炭地におけるここ二、三年の趨勢を御報告願いたいと思うのですが、山がどんどん閉山になりまして、離職者がふえておることは御承知のとおり、特に福岡県など、産炭地域で多いわけですね。それが一つと、それから、その扶助家庭子供のいろいろの生活扶助といった事務を学校の先生がやっておるという陳情を受けておるわけです。その実態を厚生省は把握しておられるかどうか、お伺いいたします。
  38. 牛丸義留

    政府委員牛丸義留君) 生活保護の被保護者の人員の傾向でございますが、三十六年度からの状況をちょっと申し上げますと、全国の指数で申しまして、三十六年を一〇〇としまして、三十七年の、これは毎年十月現在で統計をとったわけでございます。全国の指数は、三十七年が一〇一・三、三十八年が一〇五・八、三十九年十月が、ちょっと減りまして一〇二、三というような数字を示しております。それに対しまして、産炭地域の都道府県のこれは集計でございまして、これは先ほど産炭地域よりも、北海道等も含めまして、少し地域は広いわけでございますが、三十六年の十月を一〇〇といたしまして、三十七年は一二、九、三十八年の同じく十月、一二六、七、三十九年、昨年の十月は少し減りまして一二二、四、したがいまして、全国の増加傾向に比しまして、産炭地域増加傾向は、三十六年の十月を一〇〇といたしまして、三十九年は一般が一〇二、三に対しまして一二二・四、大体二割以上の増加を示しておる。依然としてその増加を示しております。これに対しましてその他の府県は、むしろ、三十六年の同じ月を一〇〇といたしますと、三十七年が九、六・九三十八年が九七・一、三十九年が九一・九というふうに減少しておるわけでございまして、一般的には生活扶助の保護人員は減少しておるにもかかわらず、産炭地域は、三十八年を最近四年間のピークといたしまして、三十九年は減少したとはいえ、依然としてなお二二・四%の増加を示しておる、こういうふうな傾向を示しております。第二の生活保護の家庭に対しまして、これはもちろん教育扶助費、一般生活扶助費を支給しておるわけでございます。この生活保護の適用は、これは世帯単位、御存じのように世帯単位で保護をするというのがたてまえでございますから、そこに子供のある家庭におきましても、子供生活費及び子供教育扶助費というものはその親に支給するというのが原則でございます。しかし、ただいまのように、いままでのお話にもございましたように、いろいろと少年がそういうふうに非行を重ねておるというようなこともございますが、同町に親もこの子供に対しまして当然支給すべき教育扶助費が教育扶助に回らないで、結局パチンコ代に回ったり、あるいは飲みしろに回ったりする現実がございます。したがいまして、学校当局からも、こういうものが正確に子供のその目的に沿う保護費として充当されるようにということで、その支給の方法として、一般の原則でございます親に対して一括して支給するという原則を破りまして、学校の先生に、担当の先生に、そのクラスの子供の保護費を一括してお渡しして、そして実際に教育の保護に回せるようにする、こういうふうな便宜措置をとっておるのであります。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 いまの便宜措置で、先生方が生活費を、教育扶助の事務取り扱いをやっているということは文部省御存じでしょうかね。
  40. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私どもその点はよく承知いたしておりまして、実は私の記憶では、昭和二十八年か九年のころであったと思いますが、やはり産炭地の問題が非常に国会でも御論議になりましたことがございまして、特に、いま一般の原則と違った方法でもちまして、子供に確実にそういう就学援助が行なわれる方法をとるべきではないかというようなことから、厚生省と文部省とが相談をいたしましてそういう方法をとったわけでございます。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 われわれの普通——教育にはしろうとですけれども、普通の頭でするならば、学校の先生はそういう事務はしないで、ちゃんとそういう仕事をするのは事務職員がおられて、学校の先生はもっぱら教育に従事する、教育扶助費の取り扱いまで学校の先生にやらせようということを文部省が承認されたということはわからないですがね、いつごろからですか。
  42. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私が記憶いたしておりますところでは、二十八、九年ごろだったと記憶しておりますが、その当時、特に産炭地関係教育委員会、特に県教育委員会から非常に強い要望がございまして、そういう措置をとったのでございます。趣旨からいえば、なるべく事務は減らしたほうが私どもとしては望ましいわけでございますけれども、さればといって、学校に在籍しております子供教育扶助につきましては、やはり本来の趣旨に従って教育扶助が行なわれるということが望ましいわけでございますが、やむを得ずそういう便法をとったわけであります。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 そういうふうなものを御存じでありながら、この法律、標準定数法では小学校四百人に一人の事務職員中学校三百人に一人の事務職員ということにおきめになったのでございますか。
  44. 福田繁

    政府委員福田繁君) それはそのとおりでございます。
  45. 小柳勇

    小柳勇君 私は生活扶助だけではないと思うのですが、いろいろ修学旅行の費用もありましょうし、私どもいろいろ先生にお世話になってきましたが、いまの産炭地域における、あるいは離職者の多い地域における生活扶助、教育扶助の取り扱いなどというものは特殊な事務なんですね、しかも、さっき厚生省が言われたように、それは、その金を家庭にやるとおとうさんの飲みしろになるかもしれぬという特別な計らいだという、特別の中の特別の事務だと思うのですが、それを扱う職員だけでも学校に五人なり十人なりおってもしかるべきだと思うのですが、どうでしょうか。
  46. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私ども産炭地のいろいろな特殊事情があることはよく承知いたしておりますが、したがいまして、産炭地——福岡県の場合におきましては、特にそういう事務等もございますし、いろいろな生徒児童の指導ということにつきましても、やはり相当考えなければならぬ点がございますので、昨年は、中学につきまして先ほど申し上げましたようなカウンセラーの役目をする教員を三十一名産炭地に特別に配置をするという、こういうような措置もとりました。小学校につきましては百四十八人、学級編制の改善とある程度補導ができるというような先生を特別に、小学校については百四十八人昨年は配置をいたしたわけでございます。それからことしの四十年になりましてから、いま大体決定いたしておりますのは、そういうものを引っくるめまして、小学校では補導教員等を含めて百二十九人特別措置をすることになりました。中学校につきましては百十九人、これは中学の場合は昨年は二十一人に対して相当大幅にふやしたつもりでございます。合計いたしますと、二百四十八人という特別な教員定数を配置することにいたしたわけでございます。したがいまして、そういうことによっていろいろな特殊事情もあろうと思いますけれども、できる限り学級教育効果をあげるとか、あるいは指導を充実していただくとか、こういうような方向で私どもは考えております。また、将来もそういう方向でやっていただきたいということを念願しているわけでございます。
  47. 小柳勇

    小柳勇君 じゃ政務次官に質問しますが、これは局長の答弁じゃないと思うのですが、私は厚生省はそういう仕事はやめさせるべきだと思うのです。学校の先生の貴重な時間に生活保護の家庭に支給すべき教育扶助、それをやったら家庭のほうで使ってしまうかもわからぬということで、学校の先生にそういう事務を扱わせるということはぼくは了承できないのですが、政務次官どうなんですか、それは。
  48. 押谷富三

    政府委員(押谷富三君) この問題につきましては厚生省ともよく相談をいたしたのでありますが、原則として現地の御要望にこたえまして、こういう処置をとるに至ったのであります。したがって、現地のほうからさような要望はいたさないという状況になってまいりますれば、御発言のごとく処置をいたすこともあり得ると思いますが、基礎は現地の御要望にこたえた、こういうことが理由であることを御承知を願いたいと思います。
  49. 小柳勇

    小柳勇君 現地の要望というのは、子供がかわいいから、子供教育扶助が親の飲みしろになっては困るから現地ではそう言うでしょう。それならば教育上の立場から、人間形成の立場から、それだけのちゃんと事務職員を置くというのが文部省のたてまえでなければならぬ。あるいはその金を厚生省が出して、厚生省の職員を学校に置いて扱うくらいのことを文部省がやらなければ、それをだまって学校の先生が貴重な、児童に教える、児童を指導する時間をさいて、そんな雑事ですよ、学校の先生方に雑事をたださしてだまっておるのか、政務次官の見解を伺いましょう。
  50. 押谷富三

    政府委員(押谷富三君) お説につきましては、今後、現地の要望等も考慮をし、厚生省とも協議をいたしまして、よく前向きな検討を遂げたいと存じます。
  51. 小柳勇

    小柳勇君 次はひとつ養護教員の問題で質問いたしますが、養護教員は小学校中学校も千名に一人あるようでありますが、千名に一人というようにきまりました基準をお教え願いたいと思うのです。
  52. 福田繁

    政府委員福田繁君) 基準についてのお尋ねでございますが、私どもとしては昭和三十九年に当委員会におきましても、いろいろ養護教員を将来増加すべきじゃないかという御議論が非常に出まして、十分検討をした結果、定数法を改正いたします際に、五年間に約五千人の養護教員を増置したいという計画を立てたわけでございまいます。財政当局ともいろいろ御相談をいたしました結果、大体その五千人の増員計画というものが認められたわけでございます。そういたしますと、その計画に従って各学校の実地についてみますと、大体、小学校中学校等につきまして十三学級程度の学校規模のものには必ず一名程度は置けるというような考え方がとれますので、できるだけ、さしあたりの問題としては五千人増員計画を推進しようというたてまえから、さような基準を一応設定したわけでございます。
  53. 小柳勇

    小柳勇君 養護教諭というのは、ぼくらは、子供が病気をしたり、あるいはけがをしたり、そういうときに主として手当てをしてやったり指導をする。あるいは衛生の指導をしたり、あるいは平素病気をするなという指導をしたりする、それは学校児童数にかかわりなく一つ学校に一人おって、ちゃんと衛生上の問題を指導し監督し、あるいは処置をする。これはぼくはしろうとが考えても当然だと思うが、いかがでしょうかね。
  54. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私ども将来の方向としては当然そういうことが望ましいとは考えております。しかし、現実の問題としてはなかなか養護教諭の養成確保という面からいろいろ問題がございますので、さしあたりの問題としては、ただいま申し上げたような五千人を養成して、しかもそれを各学校に配置するというぎりぎりの数でございます。したがって、気持ちは持っておりましても、現実の問題として、さしあたりはできないというような事情がございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  55. 小柳勇

    小柳勇君 豊瀬委員から、私がいま事務職員の問題と養護教諭の問題と御質問いたしたので、法案の趣旨を少し説明してもらいたい。
  56. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 小柳委員から指摘されましたように、学校教育法によりますと、特に養護教諭は置かなければならないことになっておるわけです。それを今日まで十数年間、文部省は法の精神に違反をして配置をしてこなかった。その罪は大きいと思うのです。この学校教育法が養護教諭を必置という本文を定め、附則百三条ですか、その中に、特別の事情がある場合は置かないでもよろしいと定めた際の当時の状況は、日本の経済情勢もまだ終戦後逼迫しておりましたし、養護教諭そのものの確保も困難であったわけです。しかし、学校教育法二十八条ですか、養護教諭の必置制を本文として定めておる以上は、その後、当然文部省としてはここ十三カ年間に年次計画を立てて養護教諭が必置されるように養成計画を立つべきであったわけです。それを今日までサボってまいっておりましたので、私どもとしては養護教諭の必置の法律案を出すと同時に、養護教諭の養成所の設置の法律案を国会に出して今日まで努力してまいったわけです。昭和四十年度におきましては、文部省はその必要を認めまして、養護教諭の八カ所の養成所を要求いたしたのですが、文部大臣の努力不足のためにわずか二カ所に削られまして、こういうテンポで進んでおりますと、先ほど初中局長が答弁いたしました昭和四十三年までに六千名近い増員ということは確保できないという現状であると思います。これはもちろん産炭地だけでなくして、全学校におきまして必要な数でございまして、私どもとしては、産炭地だけの問題じゃなくして、養護教諭の問題につきましては、小柳委員御指摘のように、全学校学校教育法の定めるところによって一日も早く必置されなければならない、こういう考え方に立っております。特に産炭地におきましても、たびたび指摘いたしましたように、その家庭に一歩入りますと、タオルもない、あるいはぞうきんのようなタオルを使っておる、床も万年床に近い、あるいは畳も破れ回って、ノミ、シラミが至るところに発生しておる、こういう状況において子供たちにいわゆる皮膚病と申しますか、こういう病気が非常に多いわけです。それと同町に、いまさら指摘するまでもなく、生活そのものが貧困ですから、栄養その他年徒の健康管理の面から見ましても非常に劣悪な条件にあるわけです。こういう点を考えますと、いま初中局長が答弁いたしました、いわゆる標準定数法のたてまえによって千名に一名がよろしいか、千二百名に一名がよろしいかという原則論とは別に、当然このような産炭地域においてはいろいろの問題もありますけれども、最低の生徒の健康管理という点からすると、特別措置として養護教諭の最低一名を配置するというのはきわめて常識的と申しますか、これは論議の余地ない措置でありまして、私どもがこういう法律案を出さない前に、教育行政をつかさどっている文部省としては、そういう生徒児童の健康管理という面から当然措置すべき課題である。それを全学校においても十数年にわたっていままでサボってきておる。しかも産炭地においてその実情を承知しながら、特別養護教諭の配置をしようとしない態度といいますか、精神については、私どもとしては、生徒児童の立場から考えても非人道的な教育行政であるとさえ私は叫びたいところです。
  57. 山下春江

    委員長山下春江君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  58. 山下春江

    委員長山下春江君) 速記を起こしてください。  他に御質疑はございませんか。——他に御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会