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豊瀬禎一君
先ほどからそれぞれの方から
説明がありましたが、その意図を
説明する前に、若干、補足
説明しておきたいと思います。
いま、初中局長が
説明いたしましたように、
教育委員会の
資料を見ますと、
昭和三十五年におきましては、
生徒数が
産炭地におきまして二十七万三千五百八人おって、その中で、
先ほど初中局長の
説明どおり一二・三%であったわけであります。ところが三十八年になりますと、
児童生徒数は二十万三千五百九十人に減少しておるにもかかわらず、三十五年の要保護、準要保護が三万三千五百二十九であったものが五万六千九百九十八になっておるわけですね。
生徒数が七万くらい三十五年から減少しておるにもかかわらず、倍とはいきませんけれ
ども、要保護、準要保護の
生徒数が激増しておる。また、
先ほど非行の問題もありましたが、嘉穂郡のある
中学校で、約半年の間で補導した
件数と補導した
教師の数を月別にずっとあげていっているんですが、かなり詳しい
資料ですので、それを一々
説明していくと時間がかかりますが、この三十八年末から三十九年の夏ごろまでの嘉穂郡のこの
中学校の補導
件数を調べてみましても、大体週に二回ないし三回、
教師が何人か
学校外に授業から出ていって補導しておる。そうしてその中で
警察関係の手に渡ったものが七件あります。その他は大体担任の係、あるいはその他のいわゆる補導教員等でやっておるわけです。そこで、お尋ねの、もっぱら
生徒の補導に当たるというのは、担任の
教師が
家庭の中に乗り込んでいって、その
地域においても、あるいはその地方における恥生委員その他と連絡しながら
生徒を補導するというのが一番いい
条件ですけれ
ども、
非行がいわゆる授業時間中に発生しておるという
状況です。したがって、
警察から連絡がある、あるいは
地域の人から連絡がある、その他からいろいろの事件の連絡がある際に、受け持ちの
教師あるいは授業担当しておる
教師が、直ちにその事件の中に飛び込んでいっていろいろ補導しておる。あるいは校長、教頭等もそうした仕出に手伝いに行っておるわけです。そのために、昨年の十一月に
石炭対策特別委員会から
筑豊地帯の
教育事情を
調査に参りました際に、各
学校から述べられた最も強い要望の
一つは、一週間平均二、三回はたいてい授業が欠けておる。そういうことのために補導にも十分の手が行き届かない、同時に、
残りの
生徒児童に対する
教育のほうもおろそかになってくる。こういう訴えが強いわけでございます。したがって、
教師たちは一人の
非行少年を早期に発見をして、これを救済するという仕事に対する十分の手が行き届かないという良心の悩みと、同時に、
非行でない大多数の
生徒に対する授業が欠けていくという悩み、二つの悩みを持っておるわけです。したがって、両面を考えますと、やはり補導するためにはいろいろのそうした問題に対する十分の知識等も要りますし、その
地域における実態も十分承知しておく必要がございますので、授業を担当することなく、あるいは
学級を担当することなく、
産炭地におきまして、専門と申しますか、補導に当たる教員を各
学校に配置していくことによって、まず
家庭環境の
調査、あるいはその
地域におけるいわゆる高校生的な高年齢の
非行を指導していく、あるいは引きずっていく、そういった
人たちに対する
調査、あるいは手当、こういった事前の
調査、あるいは
非行に至らない前の指導といった面を考えてまいりますと、どうしても完全に担任、あるいは授業から解放して、それに専念していく
教師をつくっておくことが、まずもって
非行を防止する、さらに進んでは
非行を減少させていくきわめて大事な要件ではなかろうか。また、現場からもそうした声が非常に強いわけであります。したがって、私
どもが考えておりますのは、
カウンセラーと申しますか、補導の専任の
教師を、
犯罪が累積しておる
学校等におきましては、郡とか、あるいは市町村に何名ということではなくて、当該
学校に配置しておいて、そうして、うちの、その
学校の
教師であるという立場の中で補導していくということが最も効果をあげる問題ではなかろうか、このように考えているわけであります。