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政府委員(
桧垣徳太郎君) この
法案におきまする保証価格、
基準取引価格、安定
指標価格、保証の対象となります
加工原料乳の限度数量というものを具体的にどう算定するつもりかという御
質問でございまして、
現実に具体的な結論を出しますためには、算定方式の決定、政府部内における検討、価格審議会の
意見の聴取、そういう過程を経て出るのでございますが、現
段階においてどういう
考え方で運用してまいるかという点について御説明をいたしたいと存じます。
保証価格につきましては、
法案にもございますように、主要
加工原料に再
生産の確保を旨とするということでございますので、
現実の方法としては、主要
加工原料乳地帯の過去一定
期間における
生産費の各構成要素の趨勢によって算出する方法が
一つ。それから第二は、主要
加工原料乳地帯における平均
生産費をとる方法。第三番目は、主要
加工原料乳地帯における標準
飼養規模、もしくは価格決定年度の平均
飼養規模の
生産費をとる方法等が考えられるのでございますが、いずれの方法が最も
現状においてこの
制度の趣旨に合致するかという点は、先ほど申し上げたように諸手続を経た上で価格の決定をいたしてまいりたいというふうに考えております。この際、御審議の参考となり得るものは、従来、価格審議会におきまして政府から参考資料として提示をしてまいりました主要
加工原料乳地帯における
生産費に、集送乳経費を加えた算式が
一つの
目安になるのではないかというふうに考えております。
次に、
基準取引価格の決定の
考え方でございますが、主要な
乳製品のうち
指定乳製品につきましては、その安定
指標価格から製造及び販売に関する標準的な費用の額を控除する、その他の
乳製品につきましては、具体的な市場における販売価格から標準的な費用を控除して算出された額を、それぞれの
乳製品に消費される乳量で加重平均して求められた額を
基準として定めてまいりたいというふうに考えております。これは簡単に申し上げれば、
需給実勢に基づく
加工採算
乳価というものを用いたいという
考え方でございます。
次に、安定
指標価格の決定方式としては、
指定乳製品の
需給実勢価格を
基準といたしまして、
酪農及び乳業の合理化の進展の度合い等を参酌いたしまして、
乳製品の消費の安定普及に資するように定める
方針で、具体的には過去一定年間、つまり
乳製品の価格サイクルであります三年半もしくは二サイクルをとりまして七年という
期間における
乳製品の価格の平均を算出しまして、それを最近時の物価指数で修正して得た額を
基準として定めてまいるという方法をとりたいと思っております。
第四番目に、限度数量でございますが、限度数量につきましては、なぜ限度数量をおくかという趣旨については御理解をいただいておるというふうに考えますので、その点は省略いたしまして、この数量の算定の方法としては、
一つは、
乳製品の当該年度における
需要見込み量というものを求めまして、それに必要な
生乳の総数量というものを
一つの
指標として求める。いま
一つの
指標としては、
生乳の
生産数量を過去の実績趨勢から求めまして、そのうち
加工原料乳の比率というものの趨勢をとりまして、それによって
加工原料乳に充てられるべき数量というものを求める。この
二つの
指標から、
生産者にとって保証を要する
不足払いを実施すべき必要数量あるいは
生産者にとって
生産のメルクマールとなるべき数量という思想を織り込んできめてまいるというふうにいたしてまいりたいと思っております。
なお御
質問の際に、渡辺先生からつけ加えて、衆議院における私の発言の中で、この
法案の実施に際して、四十一年度の所要財源としては四十億ないし五十億円
程度を必要とするという発言があったが、その根拠を示せというお話でございました。衆議院におきましての私の発言の際にも、これは種々のデータというものがそろわない
段階で推測をいたしますので、いわば
行政的な勘に基づいた数字であるということで御理解を願いたいというお断わりをいたしておるのでございますが、
行政的な推測ということで申し上げました
一つの根拠としては、保証価格につきましてはただいま申し上げました四十年度の現行法による
安定基準価格算定の際に
提出しました主産地における
生乳の推定
生産費に輸送経費を加えたものの総額が、キログラム当たり三十五円九銭、一升に直しますと六十五円七十九銭という数字になっておりますので、これをかりに保証価格の
一つのめどに置いて見る。さらに、
基準取引価格につきましては、
基準取引価格を誘導いたしますもとの
乳製品の範囲が変わってまいりますので、厳密な計算の結果でないと断定はできないのでございますが、おおむね私の勘としては、現行の
安定基準価格の水準よりやや上回る
程度ではないだろうかというふうに考えるのでございます。これが一キログラム当たり三十円四十銭ということでございまして、一升に面して五十七円ということで告示をしているわけでございます。こういたしますと、この差額がかりに
不足払いの
一つの数字というふうに考えますと、あとは保証を要する数量をどのくらいに見るかということが残るのでございますが、四十年度の見込み
生産数量から
飲用向け数量、それから自家消費数量及び二次
加工品等の、この法律による主要な
乳製品として政令で定めるつもりのないものを差っ引きますと、おおむね百万トン
程度になるのではないだろうかというふうに推測がされるのであります。そういう計算をいたしますと、
不足払い単価が、この数字をとりますと約キログラム当たり四円六十九銭というような数字が出るわけでございます。でございますので、それに数量を約百万トンというふうに大ざっぱに考えますと、所要
不足払いの総額が四十六億九千万円というような数字に相なりますので、これが厳密な計算の結果、あるいはデータによる修正要因の変動というようなことを考えますと、四十億ないし五十億ということを一応われわれとしては、この際、四十一年度の財源措置というものを考えます場合には、頭に置いてよいのではないかという気持ちから申し上げたのであります。一応御説明を終わります。
それからちょっと申し落としましたが、輸入差益が過去の実績でどのくらい出ることになるかという御
質問でございましたので、あわせて
お答えをいたしておきます。
昭和三十九年の
乳製品の輸入実績は、金額にいたしまして百二十億円でございます。そのうち大口の輸入品目は、学校給食用の脱脂粉乳約五十億、それからミルクカゼインが二十七億四千万、乳糖が十八億三千万ということでございまして、これらの品目は輸入差益を生むべき品目ではございませんので、残る主要な品目で輸入一元化の対象にいたしたいと考えておりますものは、ホテル等で輸入いたしておりますバター、練乳類、粉乳類、それからホエーパウダーというようなものでございまして、それらの輸入総額は約四億といをことでございまして、それから生ずるであろう差益を計算いたしますと、非常に大ざっぱな計算でございますが、二千万円前後ということで、ほとんど輸入差益としてはネグリジブルなものになるということでございます。