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1965-06-01 第48回国会 参議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年六月一日(火曜日)   午前十一時十九分開会     —————————————    委員の異動  五月三十一日委員北口龍徳君は逝去された。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         仲原 善一君     理 事                 田中 啓一君                 森 八三一君                 山崎  斉君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君     委 員                 青田源太郎君                 岡村文四郎君                 小林 篤一君                 坪山 徳弥君                 温水 三郎君                 野知 浩之君                 藤野 繁雄君                 堀本 宜実君                 森部 隆輔君                 大河原一次君                 北村  暢君                 石田 次男君                 北條 雋八君                 高山 恒雄君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君    政府委員        農林政務次官   谷口 慶吉君        農林大臣官房長  中西 一郎君        農林省農地局長  丹羽雅次郎君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君        食糧庁長官    齋藤  誠君    事務局側        常任委員会専門        貴        宮出 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案内閣  提出衆議院送付) ○砂糖価格安定等に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○消費者米価値上げ反対に関する請願(第二三  号)(第九六号)(第一二〇号)(第一二一  号)(第一二二号)(第一九七号)(第一九八  号)(第一九九号) ○消費者米価丙地価格維持に関する請願(第二  二五号) ○政府売り渡し米穀包装量目改定に関する請願  (第二七七号)(第三六一号) ○供出米麦等の一袋容量改定に関する請願(第二  八三三号) ○昭和四十年産米の時期別格差金に関する請願  (第一七三四号) ○国有林野解放特別法早期制定に関する請願  (第三三号)(第一四七号)(第一六一号)  (第二〇〇号) ○国有林野活用促進に関する請願(第三〇四  号)(第三九一号)(第四八六号)(第六四〇  号)(第一一二七号) ○鳥取県大山東部線の低開発森林地域開発林道調  査路線指定に関する請願(第九六四号) ○「山村振興法案早期成立に関する請願(第一  八七七号) ○いか釣漁業不漁対策に関する請願(第一六〇  号) ○漁港法第二十条改正に関する請願(第八一八  号) ○漁港整備促進等に関する請願(第二一六八  号) ○酪農基本政策確立に関する請願(第二二四号)  (第二七六号)(第二八七号)(第三六〇号) ○酪農基本政策確立促進に関する請願(第二六一  号) ○酪農基本対策確立促進に関する請願(第三三一  号) ○「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案」成  立促進に関する請願(第一六六四号)(第二二  〇〇号) ○乳価安定施策確立促進に関する請願(第一五  三五号) ○福島県母畑地区農地総合開発事業促進に関する  請願(第二九八号) ○農業構造改善事業推進体制整備強化対策に関  する請願(第二九九号) ○秋田県西目川流域等土地改良事業促進に関す  る請願(第一九八五号) ○特殊農業地帯振興対策に関する請願(第二一九  八号) ○競馬法附則第七条改正に関する請願(第三一二  号)(第五二八号) ○鶏卵肉価格安定に関する請願(第七五四号) ○鶏卵、豚肉及び原料乳安定基準価格に関する  請願(第一六六二号) ○養鶏用二種混合飼料製造販売停止反対に関す  る請願(第九三四号) ○飼料需給及び価格安定に関する請願(第一六  六三号) ○繭糸価格の安定並びに生糸輸出増進に関する請  願(第一五三四号) ○でん粉、ぶどう糖等政府手持放出抑制並びに  国内糖価安定に関する請願(第五四三号) ○沖繩産糖全量買上げに関する請願(第一二〇二  号) ○砂糖キビ価格の安定及び砂糖全量買上げに関す  る請願(第一七九三号) ○「砂糖価格安定等に関する法律案反対に関  する請願(第一九七四号) ○一般農道事業補助率引上げ等に関する請願  (第七四八号)(第一三八〇号) ○農業用ガソリン税減免見返り農道事業採択基  準引下げ等に関する請願(第二一九七号) ○岡山県児島湖締切堤交通事業公的機関によ  る経営及び通行料金引下げに関する請願(第一  五八一号) ○食料品総合小売市場管理会法案反対等に関する  請願(第七〇八号)(第一〇三六号)(第一一  四六号)(第一一四七号)(第一二〇六号)  (第一三八五号)(第一三八六号)(第一四一  七号)(第一四一八号)(第二六〇三号)(第  二七三三号) ○食料品総合小売市場管理会法案反対に関する請  願(第九〇九号)(第九一九号)(第一〇三五  号)(第一一五五号)(第一四〇三号)(第一  四一六号)(第一四九〇号)(第一五二一号)  (第一五八五号)(第一五八六号)(第一九一  五号)(第二一〇六号)(第二三三四号)(第  二三三五号)(第二三三六号)(第二三三七  号)(第二三三八号)(第二三三九号)(第二  六〇四号)(第二六〇五号) ○農村の出かせぎ者対策等に関する請願(第九三  六号)(第九三七号)(第九三八号)(第九三  九号)(第九四〇号) ○「大豆なたね交付金暫定措置法」に基づく昭和  四十年産なたねの基準価格引上げに関する請願  (第二七九一号)(第二七九二号)(第二七九  四号)(第二七九五号)(第二八〇五号)(第  二八〇六号)(第二八〇七号)(第二八〇八  号)(第二八二六  号)(第二八二七号)(第二八二八号)(第二  八二九号)(第二八三九号)(第二八四〇号)  (第二八四一号)(第二八五七号)(第二八五  八号)(第二八六九号)     —————————————
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから委員会を開きます。  酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案、  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案、  以上両案を一括議題とし、両案に対し、質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。
  3. 矢山有作

    矢山有作君 酪農の問題につきましては、先般農林省のほうで、現在の酪農問題点を解明し、さらに、それに基づいて今後の酪農対策方向というものを打ち出されておるようですが、それに基づいて今度の法案も提案をされておるのだろうと、私は解釈しておるわけです。そこで、本来ならば、今後の酪農対策の基本的な方向として農林省が示されておる問題等について質疑を重ねながら、基本的な方針というものを明確にした上で、今度提案されておる個々の法案についての審議に入っていくというのが本来のあるべき姿であると、私は考えておりますけれども、しかし、会期ももうきょう一日しかないわけで、そういう時間的な余裕がございません。したがって、法案内容について具体的にお尋ねをしていきたいと思いますので、質問に対しましてはひとつ具体的に明確にお答えをいただきたいと思います。  まず第一にお伺いしたいと思いますのは、今回の酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案の関係についてですが、酪農近代化を国及び地方公共団体が協調して計画的、効率的に推進するというそのために、酪農近代化計画等を定めて、これに基づいて事業を総合的重点的に行なうこととしておるようであります。その内容について、まず具体的にお尋ねをしたいのですが、第一は、酪農近代化基本方針において定めるとされております「生乳需要長期見通しに即した生乳地域別需要長期見通し及び生乳地域別生産数量目標」についてであります。で、具体的に、この場合何年間くらいの見通しを立てられるのかということが第一点。  それから「地域別需要長期見通し」云々と言っておられますが、その地域区分というものは、具体的にはどういうふうにやられるのか。  さらに、地域別にという場合に、これは加工原料乳補給金法案との関連も出てまいると思いますが、市乳向け、加工向け等見通しを定めていくのか。この三点についてまずお尋ねをしたいと思います。
  4. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 近代化計画を何年くらいまでの見通しで立てるかと、いまのところ、四十六年を目途といたしております。  その他は畜産局長から御答弁申し上げます。
  5. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 補足してお答えを申し上げます。  生乳需要長期見通し期間につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、現在の農業基本法八条の規定に基づきます全国ベース需要見通し昭和四十六年になっておりますので、それに合わせて期間をきめたいというふうに思っておるわけでございます。  それから、地域別の場合には、これはいろいろ考え方があると思うのでございますが、行政ブロック別に考えるか、生乳流通圏単位で考えるかという二つ考え方がありますが、ただいまのところ、私どもとしては、生乳流通圏ごとに考えてまいりたい。北海道は、これは明らかに一つの独立した流通圏になっておりますが、内地につきましては市乳流通圏中心に考えまして、一部、加工のための生乳経済圏というものを考えまして、それぞれの地域についての需要見通しを立ててまいりたいというふうに考えておるのでございます。  それから市乳向け、加工向け区分見通しをどういうふうに立てるかという御質問でございますが、この生乳需要長期見通しにつきましては、市乳需要中心流通圏を考えまして、この需要長期見通しを立ててまいりたいというふうに思っております。
  6. 矢山有作

    矢山有作君 この長期見通しは四十六年を目途に立てられるということですが、そうすると、三十七年に発表された農産物需要供給長期見通しというのがありますね、これとの関連はどうなりますか、全くこれに即して長期見通しを立てられるのかどうか。
  7. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 昭和三十七年に農林省が、農業基本法第八条の規定に基づきまして農産物需要長期見通しをいたしておりますが、その中で、牛乳についての長期見通しというものも立てておりまして、現在のところ、この長期的な需要見通しについては、ほぼ当初の見通しのコースをたどっておりますので、私どもは、法制的にもこの長期見通しによるべきであるし、また、現段階におきましては、この見通しというものを基準として、地域別需給見通しを立てるというふうに考えております。
  8. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、三十七年に発表された長期需要見通しに即して計画を立てる、こういうふうに解釈していいわけですね。
  9. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) そのとおりでございます。
  10. 矢山有作

    矢山有作君 それから次は、地域別という問題に関連してなんですが、それを行政区域別に定めるか、生乳流通圏ごとに考えていくかということで、むしろ生乳流通圏ごと地域別という問題を考えていきたい、こういう御答弁だったと思うんですが、そうなると、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案生乳生産者団体指定都道府県ごとにやっておられるというのと、いささか矛盾してくるのじゃないか。むしろ、この加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案で、生乳生産者団体指定都道府県ごとにやっていくならば、指定された生乳生産者団体の今後の育成指導というふうな問題と考え合わせても、この生乳流通圏ごと需要見通しを立てていくということといささか矛盾してくるのじゃないか。もし、近代化基本方針においておっしゃるように、生乳流通圏別に定めていくということであるならば、当然加工原料乳生産者補給金等暫定措置法のこの生乳生産者団体指定も、牛乳流通実態に即して流通圏ごと生乳生産者団体指定する、こういうことが行政の統一をとる上にも、それから今後の行政推進していく上にも、当然の姿じゃないかと思うんですが、その点についてのお考えはどうですか。
  11. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 生乳地域別需要長期見通しを立てます場合に、生乳流通圏というものを基準として考えたいということは、これは将来の長期見通しに基づいて行なうべきその生産対策なり、あるいは各種の流通対策、あるいは処理、加工施策方向というものを考えます場合に、当然そういう現実経済実態というものに立ってやる必要があるだろうということで、ただいま申し上げましたような方針を考えているのでございますが、一方、加工原料乳不足払いをいたします場合の生乳生産者団体指定につきまして、そういう流通圏があるならば、そういう流通圏ごと指定をすべきではないかという御議論でございますが、これは理論的な立場、また、長期的な方向としては、御意見は、私どもも正鵠を得ている御意見であると思うのでございます。ただ、現状におきまして、流通圏自身現実には流動をいたしておる状態にありますので、それから現実生乳生産者組織というものは流通圏ごとに何らの母体がないという実情でございます。あるいはごく少量のものについてそういう形態があるにしましても、また、それを拠点としまして新しい生乳生産者団体指定をする、そのための組織化をするということはきわめて困難な状況にあるということでございますので、不足払いの場合の生乳生産者団体指定は、現実生乳生産者組織実情というものに即しまして、県単位にまず原則として単一の農業協同組合による共販組織確立をするということが前提であろうというふうに思うのでございますが、これは将来そういう県単位の機構というものが流通圏ごと組織化されていくということになりますれば、現在の法案のもとでも事実上流通圏を、一流通圏における組織化ということは可能であるわけでございます。また、法制度とも調和をいたし得るのでございまして、現段階におきましては県単位生乳生産者団体組織確立をしてまいるという方針から始めたい、かように考えているわけでございます。
  12. 矢山有作

    矢山有作君 流通圏ごと組織がつくられておらぬから、そういう流通圏単位生乳生産者団体指定をするということはできぬと、こういう御説明だと思うのですが、それじゃ、都道府県単位にかっちりした組織確立されておりますか。現在の牛乳流通実態を見たら、私は、都道府県単位組織確立されて、集荷販売が行なわれいるとは考えていないのです。そうすれば、都道府県単位生乳生産者団体指定していって、そうしてこれを実効のあるものにするのも、その困難さも、それから流通圏ごと組織をつくらしていく困難さも、困難さにおいてはあまり違わない。そうするならば、同じことなら、牛乳流通実態に即して生乳生産者団体指定していくことのほうが、不足払いの方式についても有効であることはもちろんであるし、先ほどあなたがおっしゃったような、今後の酪農対策推進の上からもそのほうが私はより有効だと思うのですがね。
  13. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 御意見は、私も御意見として十分私ども今後検討すべき方向を示していただいていると思います。しかし、現状におきましては、生乳生産者団体の機能として考えております地域内の乳価プールということを考えました場合にも、現在の広域における乳価プールということはきわめて至難な実情にあるということもございますし、また県の段階におきまして、確かにお話しのような、数府県を除きましては、酪農家組織化ということがそれほど全県的に組織化されていないという実情もございますが、しかしながら、この加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案の中でも予定をいたしておりますように、一県内における価格プールを行なうために、その指定を受けるための条件として、地域内における生乳生産量の二分の一以上の集荷力を持つものに対して指定をする、そういうことの可能性は、私は、われわれ農林省といたしまして、あるいは都道府県と協力をいたしまして推進をいたしますならば、これは必ずしもさほど困難とは思えない。もちろん容易であるとは思いませんけれども、われわれの努力によってその問題は解決し得ると見ておるのでございますが、生乳流通圏ということになりますと、流通圏自身が、長期見通しの問題として取り上げます場合には、今後それに対して多少の流動化がございましても、私はそう差しつかえないと思いますが、現実行政単位としてつかみますことは、それ自身困難でございますし、さらに、広域になればなるほど、すべての酪農民を包摂するような組織は困難であるということは、私は当然の結論だと思うのでございます。そういう観点からいたしまして、将来のあり方としての御意見としては、私どもも十分拝聴いたしたいと思いますけれども、現段階におきましては、県単位において生乳生産者指定団体組織化することが先決であるというふうに考えておるのでございます。
  14. 矢山有作

    矢山有作君 そういう論法でいくと、単位がこまかいほど事がやりやすいというならば、現在ある生産者団体ごとにやっていったら、一番手っとり早い。ものごと困難性というものについては、なるほど都道府県単位指定する困難性と、流通欄単位生乳生産者団体指定をやる困難性というのは、それは相対的にはどちらが困難かという競輪が出てくると思う。しかしながら、今後の酪農対策の向かう方向としては、どちらがいいのかということになると、やはり牛乳流通実態に即した方向生乳生産者指定をやっていくほうがあるべき姿じゃないか、こういうことなんです。それを困難であるからやらないというのでは、せっかく基本対策を立てて前向きの酪農対策をやっていこうというのが、これでは台なしになるんじゃないか、こう思うんです。しかし、この問題は、不足払い制度のことについて、生乳生産者指定の問題とも関連して、もう少し私はお伺いしたいと思いますので、これにひっかかっておりますと先にいきませんので、これはあとに議論を残しておきます。  それから、もう一つ地域別需給計画を立てる場合に、たしか市乳中心に立てるとおっしゃったと思うんですね。それはなるほど市乳化促進、さらに広域にわたって市乳供給国を広げていこうという基本対策考え方からすれば、そうなるんでしょうが、しかしながら、少なくとも近代化基本方針といって立てる場合に、市乳中心というよりも、現在の状態では加工乳の比重も相当高いわけですから、現状においては、したがって市乳向け、加工向けの両方のやはり見通しを立てていたほうがいいのじゃないか、こういうふうに思うのですがね、その点はどうですか。
  15. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 仰せのとおり、今日の状況では、加工乳のウエートも相当高いわけでございますから、加工向けの乳についての需要見通しを立てることはもちろん必要なことでございます。ただ、加工向けの乳は、やがて乳製品になりまして全国的に流通するものでございますから、したがって、乳製品需要の測定ということは、全国ベースでものを考えなければならないということがございますので、生産目標のところでは、加工向けの乳の生産ということも、これは当然その地域条件に応じて考えるべきでございますが、生乳流通圏における需要見通しというものは、スタンド・ポイントとしては、これは飲用向けの乳を中心に考えてまいる、そういうふうに考えておるわけでございます。
  16. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ次は、この近代化基本方針の中で定められることになっておる近代的な酪農経営の基本的な指標ということをいわれておるわけですね。この具体的な内容というのは、これはどういうふうに考えておられるかということなんです。それは三十九年八月に発表された「酪農対策考え方方向」の中において、酪農経営形態としての考え方が示されておりますが、それを一部読んでみますと、「将来における育成すべき酪農経営目標は、主業的酪農自立経営に置くこととするが、一般的な土地保有規模零細性耕地流動性の低位にかんがみ、主業的自立経営育成が困難な場合には、当面、複合経営による中規模酪農経営の水準を目標として施策を進める。」こういうふうにいっておいでになるんですが、具体的にはどういうような酪農経営形態を基本的な指標として行政を進めていこうとされるのか、これをひとつ具体的にお示しを願いたいと思います。
  17. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 矢山先生も御承知のように、現在の日本酪農事情としては、一つ段階に差しかかったという感じがするわけでありますが、それは酪農普及段階を終わって内包的な発展の段階に来た、いわば経営的な充実、飼養規模拡大等の形によって増大する牛乳乳製品生産に対応する産業として伸びようとしておる、こういうことでございますので、ここで近代的な酪農経営の基本的な指標を示そうということは、そういう伸びていこうとする方向についての目安を、国として全国的な視野で示したいということでございます。その際考えられますことは、地域によって、いわゆる酪農事業規模を考えて、これに対する指標を示すということと、いまお話に出ました混合経営複合経営による酪農経営目標としての目安を示すという、二つの場合が考えられるのでございまして、私どもとして今後さらに検討を続ける必要があるわけでございまして、断定的なことを言う段階ではございませんが、専業的な主業的な酪農経営指標としては、経営規模で、飼養規模で申しますれば、十頭ないし十五頭程度経営を考えて指標を示したい、また、複合経営については、五、六頭程度飼養規模というものを考えて、これに関連する指標を示してまいりたいというふうに思っておるのでございます。
  18. 矢山有作

    矢山有作君 その場合に、農業基本法によると、自立経営農家育成ということと、それから協業の助長ということ、この二つが政策的に示されてきておるわけですが、その場合に、今後の酪農経営の基本的な指標としてどちらを中心に考えておられますか。あくまでもいわゆる主業的な自立経営という形で考えていくのか。それとも酪農の場合には協業というものを相当重点を置いて考えていくという方針で進まれるのか、その辺の考え方をお伺いしたいのですが。
  19. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 酪農についても自立経営方向で行くか、協業形態規模拡大をはかるかという課題は、農業一般の場合と変わらないと思うのでございますが、農業の特色として、農民はそれぞれ独立して農業経営を営みたいという傾向が非常に強いのでございますから、条件の許される範囲においては、自立経営育成ということに力を注ぐべきであるというふうに考えておりますが、御承知のように、酪農については相当大きな土地基盤というものを必要とするわけでございますので、今後土地基盤整備によって共同で利用管理をする土地基盤というものを与えられまするならば、酪農における協業経営による規模拡大ということは、私は望みを託し得る方向であるというふうに思いますので、その地域の環境、条件等に応じまして、協業による規模拡大酪農近代化も進めてまいりたいというふうに思っております。
  20. 矢山有作

    矢山有作君 わかりました。特に日本酪農の場合、土地との結びつきが非常に不十分な中で行なわれてきただけに、自給飼料の割合も非常に低い、購入飼料に頼る、そういったことが非常な生産費の増高を来たしておるわけですから、そういう土地との結びつきの問題を考えた場合、さらに酪農経営の合理化ということを考えた場合には、私は、今後の行き方としては、やはり協業というものを相当酪農の場合重点を置いて考えていかなければならぬのじゃないかと思うわけです。したがって、いわゆる基本法に言う自立経営育成ということが一つの柱に、基本法ではなっているわけですから、あまりそれにとらわれないで、酪農の場合やはり協業形態育成というものを積極的にやってもらいたいと思う。ともすれば協業なり共同ということを言う場合には、その協業や共同が失敗した例だけをあげて、協業がうまくいかないのだ、共同がうまくいかないのだということを言うわけです。しかしながら、それは協業化、共同化のいいところを見て、いかにしたら協業化や共同化が進んでいくのかという前向きの姿勢がないところに問題があるわけなんですから、そういう点で協業の、あるいは共同というものが今後の農業生産性を上げていく、あるいはそれを合理化させていく上に非常に大きな力があるとするならば、そういう方向に積極的な行政的な指導もやってもらいたい、こういうふうに考えるわけです。これは意見として申し上げさしていただいたわけです。  最後に、この問題に関連してお聞きしたいのは、基本的な指標で想定されている所得水準というものは、一体どの程度考えておられるかということが一つの問題だと思うのですね。これはどの程度に考えておられますか。
  21. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) ただいま近代的な酪農経営の基本的な指標として、それの基礎になります飼養規模という点については、専業の場合十頭ないし十五頭、複合経営の場合五、六頭ということを考えておると申し上げたのでございますが、その目標とする所得は、現在の乳牛一頭当たりの所得額おおむね四万ないし六万ということを想定いたしまして、専業の場合には四十万ないし九十万、複合経営の場合には二十万ないし三十五万ということで、複合の場合には他の耕種部門との結合を考えました場合、大体この程度のもので六十万ないし八十万程度の所得ということを前提目標として考えてまいりたいというふうに思っておるのであります。
  22. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連して。先ほど局長は、協業の助長もやるという答弁でしたが、それはそれなりにわかるのですが、大臣お尋ねしたいのですが、酪農の将来の構想として、いま局長が答弁した協業育成ということは、一体どういう形態でこれを具体的に進めようとしておるのか。従来やってきた経過を見ると、はなはだどうも不十分、不徹底のうらみが現実にはあるのですが、一体今後協業の助長、酪農の今後の発展のために、それを中心に位置づけるとすれば、どういう積極的なこれを推進するための具体的な政策が内容として考えられるのか。これは大臣ひとつお答え願いたい、抽象的ではなく。
  23. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほどから畜産局長からお話し申し上げておるとおり、また、矢山さんからの御意見のとおり、土地との結びつき、こういう点から見まして、自立経営というものにはある程度の限度があります。でありますので、どうしても酪農を振興していくということでありまするというと、大規模にもっていく、そういうことになれば協業という形がとられなくちゃならぬと思います。そこで、具体的にはどういうふうにもっていくかということでございますが、草地の造成等につきましては、町村とか協同組合、協業の前に、公共団体あるいは共同体が草地の造成を担当する、そのあとに、協業としての形はやはり農業法人を結成させまして、その農業法人によって協業経営を行なっていく、こういう方向が指導されるべきものだと、こう思います。
  24. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 全体のわが国の酪農実態の中から、いま答弁にありましたような、草地造成をまず前駆的な政策として指導を推し進め、その上に立脚した協業体の育成方法を勘案するということでありますが、それは全体の中で一体どの程度のウエートを持って基本的なそういう草地造成というものを考えるのか。また、さらに、それをふまえて推進するところの協業体、あるいは協業体のいろいろな共同施設、それらに要する資金なり、あるいは技術指導なり、そういうものまで一体どの程度を考えて具体的に進められようとしておるのかを、これは大臣でなくてけっこうですから、もう少し具体的に、納得のできるような答弁を願いたいと思います。
  25. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 協業の将来の発展の方向、あるいはそれの酪農全体の中におけるウエートというようなことになりますと、現段階で私どもがこういうふうに必ずなるだろうという自信のあるお答えをいたしかねるのでございますが、現段階におきましては、まだわが国において酪農協業というものは、それほど確立した経営形態となっておるとは申しがたいと思うのでございます。でございますので、まずそういうような経営形態というものをモデル的につくり上げて、重点的な指導の上で成功させてみたいという考え方から、先般御審議をいただきました機械公団法の改正によるいわゆる建て売り牧場の一貫施工、造成という問題も、その観点に出ておるのでございます。今後、国営土地改良、県営土地改良等を進めます場合にも、その上での経営形態は、いずれにしましても草地の共同利用という形で計画を指導してまいりたいということでございますので、その際に、乳牛の共同放牧飼養というようなことは、大臣からのお答えにもありましたように、農業法人等の結成を指導するという方向で進めてまいりたいというふうに思っておるのでございます。なお、資金につきましては、畜産経営拡大資金、公庫融資の道が開かれて、多頭飼養のための資金用意ができておるのでございますが、なお、その改善も考えてまいりたい。技術指導につきましては、府県の畜産技術員による集団的な畜産経営コンサルタント事業というものを昨年度から始めておりますので、農業改良普及事業あるいは団体による指導等と提携をいたしまして、技術指導にも特に協業体については重点を入れてまいりたいというふうに思っております。
  26. 矢山有作

    矢山有作君 いま、協業の具体的な育成の問題について話がございましたが、先ほどお伺いした所得水準の問題ですが、大体一頭四万ないし六万の収入がある、したがって、主業的な経営の場合には四十万ないし九十万といわれたのですが、これは今後の価格政策との関連もありましょうから、これを画定的なものと考えるわけじゃありませんが、しかし、もしこの程度で将来価格政策等も操作をしていって推移するとするならば、これは所得水準としては、私は、他産業と比較した場合に問題が出てくるのじゃないかと思うのです。すでに農業と他産業との所得の比較ということにおいては、現状においてすら相当な開きができておる。農政の基本的な目標というのは、他産業従事者と農業従事者との所得の格差を縮小していこうということにあるわけですから、だから所得水準というものも、今後他産業の従事者というのは、これはどんどんふえていくと思うのです、やっぱりそれと合わせて所得水準というものも考えていかなければならない。そうすると、そういったような価格政策ももちろんですが、その他生産政策、すべての政策が行なわれてこなければならぬと思うのですが、もちろんそういうふうにやっていくのだとおっしゃるだろうと思うのですが、そういう価格政策においては、また不足払いのときに詳しくお伺いするとして、そういう基本的な考え方はどうなんですか。
  27. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 自立的な農業経営というものの所得目標はどの水準に置くかということは、これは私は日本経済全体の動きの中でやはり弾力的に考えていくべきであるというふうに思うのでございますが、他の農業部門とも共通の感覚として、現段階においてはおおむね六十万ないし八十万程度の所得を得るような農家をまずもって育成するという点に、今日の問題としての重点をおきたいというふうに考えておるのでございますが、酪農については、専業農家についてほぼ二人程度の労働力完全燃焼という考え方で、先ほどの指標としての規模を申し上げたのでございます、また、複合経営については、一人の労働力の完全燃焼及び現在の搾乳機の使用の最低限というようなことを考えて、指標として出したいというように思っておるのでございます。経営技術の進歩に応じて、さらに他の経済条件というものの変化において、目標とすべき所得の額というものは毒検討を加えるべきものというふうに考えております。
  28. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 暫時休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後三時十五分開会
  29. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから委員会を再開いたします。  酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案、  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案、  以上両案を一括議題とし、休憩前に引き続き、両案に対し、質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、御発言を願います。
  30. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、午前中に、近代的な酪農経営の基本的な指標というものを具体的に説明されたいということで、説明してもらったわけですが、その説明によると、主業的な酪農自立経営と称せられるものの規模は大体十頭から十五頭程度、労働力は専従労働力、これが二人ぐらい、こういう説明でしたね。しかし、過渡的に複合経営として五、六頭のものも考えていくと、こういうことだったと思うのですが、専業経営として十頭ないし十五頭の飼育を考えていくということになると、乳牛の導入についても、また、導入した後の畜舎の問題その他の施設についても、これはかなりの資金を要すると思うのです。で、この資金については相当利息の面、あるいは貸し付け期間等の面で考慮しないというと、経営が成り立たないというおそれがあるんじゃないかと思います。そういう点で、この酪農対策考え方方向によってみますと、融資制度の改善ということで超長期超低利の貸し付けをやると、こういうことがうたわれておるようですが、そうしたこの基本的な指標を達成するための金融的な措置というものは、具体的にどういうふうに考えておられるのですか。
  31. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) お手元にお持ちの資料で御質問でございますが、私ども畜産局としての、欲ばるといいますか、われわれが望ましいと思うことをすべてあげまして、われわれはこう考えておるというものをまとめたものでございますが、現在でも酪農規模の拡大、近代化のために、低利長期の資金を制度的に用意する必要があるという点は、考え方として変わっておりません。現行制度のもとでは、一つ農業近代化資金の利用という問題がございますが、そのほかに、特に大規模酪農を創設していく、規模の拡大をはかっていくという見地から、農林漁業金融公庫に、三十八年度から畜産経営拡大資金という制度金融を設けまして、金利五分五厘、償還期限、据え置き期間を含めまして十五年以内という制度を設けたわけでございまして、昭和四十年度のワクは、これは乳牛も加わりますが、総額四十億円の資金を用意しておるわけであります。
  32. 矢山有作

    矢山有作君 現在行なわれておる、いまのお話のあった制度については、私も承知しておるわけですがね。しかし、こうした将来専業的な酪農経営というものを基本的な指標として育てていこうということになれば、この酪農対策考え方方向の中にも示しておるように、もっと金利の面で、あるいは貸し付け期間の面で、現在の酪農経営実態から言って、もう少しいわゆる長期低利なものが必要とされるんじゃないか。それだからここにわざわざ基本的な方向として示しているわけでしょう。だからそれをやる意思があるのかないのかということなんです。いま話を聞くと、望ましいものだから書いたというんですが、望ましいものだから書くというんならだれでも書くんです、これは。だから、書いた以上は、こういった線に沿って超長期、超低利の融資をやって、そして酪農経営の発展をはかっていく意思があるのかどうかということなんです。どうですか、これは大臣のほうがいいでしょう。
  33. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 希望と意思は持っているわけであります。ただ、金融全体の均衡といいますか、御承知のように、天災融資法ではようやく三分の金利というのが今度認められたといいますか、出ました。あるいは農地管理事業団でも三分三十年という資金が出てきたわけでございます。こういうことで、私どもも低利長期の金融をもって、酪農の振興の資金に充てようということで、金利体系、農村金融、農林金融体系全体の中におきまして、この方面には特に力を入れて、その実現を期したいと、目下検討中でございます。
  34. 矢山有作

    矢山有作君 まあ農村金融全体の振り合いもあるという趣旨だろうと思うのです、簡単にいえば。それから、単なる希望として書いたというのですが、こういうようなものを書く以上は、これは単なる希望じゃ困るわけで、私はこういうふうな方向として、酪農対策方向というものが農林省から発表されれば、これは酪農民としては、こういうことがやがて実現できるのだと思って考えるわけですよ。それが単なる希望で書いたというのじゃ困る。しかもこうして発表する以上は、少なくとも農林金融の他の状態がどうなっておるかということも、専門家として全部よく御承知のはずなんです。農林金融の全体の中を見て、なおかつ酪農経営の資金としては、超長期、超低利のものが必要だということから、こういうようにお書きになったのだろうと思うので、それを単なる希望にしてしまわれると、大きな迷惑をするのは酪農民で、酪農民はほんとうにしているから、いますぐできなくても、やがてできると思っているのですから、したがって、その点で、単なる希望でなしに、これをやる意思があるかどうかということを、やはりはっきりすべきだと思うのですよ。
  35. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) やる意欲を持って、検討中でございます。
  36. 矢山有作

    矢山有作君 まあ、やる意欲を持って検討中だということですから、正直なまじめな大臣の御答弁ですから、私もそれを信頼しておきます。酪農民は将来こうした金融の面についても、十分手厚い措置がなされるだろうということを期待しておるわけなんですから、その期待にそむかないように、ぜひこれの実現をはかってほしいと思います。  それから次は、この近代化基本方針の中で、集乳及び乳業の合理化に関する基本的な事項ということが掲げられておるわけです。確かに集乳及び乳業の合理化というものは、私は、現在の日本酪農にとっては一つ中心的な解決しなければならぬ問題だと思っております。そういう点で、一体、じゃ集乳面の合理化というのを、現在の取引関係から錯綜しておる集乳路線、あの実態に照らしてどういうふうにして具体的にこれを進めようとするのか、それを私は少し具体的に話してもらいたいと思うのです。集乳路線の整備と集乳面の合理化は、単なる抽象論だけではやれないような実態生産者と乳業メーカーとの間にできておる。そういう現実をふまえて、どうして集乳面の合理化をやっていくのか。これを掲げている以上は、これをぜひやらなければならぬと思って計画されておるわけでしょうから、それを具体的にひとつ御説明願いたいと思います。
  37. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 集乳の合理化、乳業の合理化という問題は、今後の酪農振興を進めてまいりますために、基本的な問題の一つだと考えておるわけでございます。どういうことを考えておるかと申しますと、第一は、お話しの出ました集乳路線の整備を逐次進めていく、また、そのことのためには、共同集乳組織というものを整備をしてまいりたい。また、集乳施設の、配置の適正化を期してまいりたいというふうに考えておるのであります。なお、これと関連いたしまして、乳業施設の規模なり配置の適正化ということも、あわせて推進をしてまいりたいというふうに思っておるわけであります。そこで、集乳の合理化のためには、第一に、前提として集乳の機構の合理化ということが必要でございまして、午前中の御質問にもございましたように、農業団体による集荷の一元化というようなことを通しまして、集乳路線の整備をはかっていくという必要があるというふうに思っております。なお、その施設として、集乳のためのクーラー・ステーションあるいはタンクローリーなりを新たに施設する。集乳路線の整備ということを計画的にやっていくための施設については、私ども今日までも若干の助成を続けておりますが、今後もこれらについての助成措置をとり、あるいは金融に対するあっせん、制度金融もございますので、それらの金融措置もとってまいりたいというふうに思っております。  なお、よけいなことになるかと思いますが、お話しのように、現在の集乳路線の中には、いわゆる乳業者による集乳確保のための施設というようなものもございますが、それについては直ちに右から左というわけには私はいきかねる点があると思いますけれども農業団体による集乳機構の整備につれて、それらの施設の譲渡等についてもあっせんをし、あるいはそのための金融措置も講じてまいりたいというふうに思っておるのであります。
  38. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連。いずれ私、原料乳法案の際にお尋ねをするのですが、いまの問題に関連してお伺いをいたしますが、局長のいまの答弁の重点は、たとえばクーラー・ステーションなりタンクローリーなり、そういう施設の整備とか、あるいは集荷する機構に重点をおいた説明があったのですけれども、最後に補足的にその答弁をした、いわゆる受け入れ側のメーカー、これのやはり大きな行政指導を勇断をもって対処をしなければ、私は、現在の交錯輸送の不合理を是正することは、これは百年河清を待つきらいを現地で体得しておるわけです。そういうふうに本末を転倒した考え方ではそういう輸送の合理化というものはとうてい実現ができない。かつて集約酪農地帯の設定の際にも、その地域中心とする一元集荷云々がなされたのだけれども現実にはそれも全く絵にかいたもちであって、現地の実態というものは、激しい集乳争奪の具に供されて、経済採算を無視した交錯輸送が行なわれて現在に至っておる。したがって、こういう集約酪農地域の設定後の経過を反省して、農林省としては思い切ったそういうメーカー側のえてかってな行動というものを強く規制するということが基本になければ、私はこういう問題は解決できないと思うのだが、その点は大臣、一体どういうふうにお考えですか。
  39. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御承知のように、三十九年度に集乳一元化を行ないたいと思いまして、実態の調査をしております。お話しのように、クーラー・ステーションを設けて補助をするとか、あるいはどうとかというようなことだけで、この乳業者が集乳をしておるのを一元的に改めるということはなかなか困難な面があろうと思います。しかし、考え方としては、一元集荷、多元販売という方向でございますので、法律的に強制力をもってやるというわけにはまいりませんが、集荷団体の力及びわれわれの指導等によりまして、一元集荷の方向で強く指導していきたい、こう考えております。
  40. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連ですから、いずれあらためて、いわゆる不足払い法案の際に納得のいくまでお尋ねしますが、そういう観念的な一元集荷、多元販売などということは、現実にはより強力な資本側の、乳業資本側の資本を惜しみなく投下して、この一元集荷を撹乱しているという実態があるわけです。したがって、そういう観念のほうを私は大臣から聞こうと思うのじゃなくて、こういう激しい乳業資本の集乳争奪というものに対しては、一元集荷を大臣が掲げるならば、その掲げる行政方向にやはりこれは強い行政指導を加えないと、現在は申そう波乱の度を増しておる傾向にあるわけですよ。それが整理されて、文字どおり一元集荷の方向をたどっておれば、私は是認するにやぶさかではないのです。その是認するということは、残された問題は、農民の自主的な共同体の、これはやはり共同意識の一そうの徹底によって、資本のそういう撹乱にも抵抗するということも出てくるわけですが、現実はそれ以上に、乳業資本の集奪にさらされておるという実態からいえば、大臣がただいま御答弁になったようなことでは、現実の事態に即した、これは前向きの、内容のある方向とは受け取りかねるわけです。どういう点をこれは行政指導をなされようとしているのか、行政指導をする立場に従来あったはずの、かつての農林事務次官のごときが所属する乳業会社では、明らかにこれはあらゆる手段を講じて一元集荷を撹乱している現実があるわけです。局長の先輩にあたる渡部伍良と称するかつての事務次官が、森永乳業の資本を駆使して一元集荷を撹乱しているという現実があるわけです。一体そういう点を大臣はどういうふうに考え、そういう現実の上に立って、一元集荷をどう行政的に指導されようとしているのですか。
  41. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほど申し上げましたように、法律的には、やるべきことにつきましては慎重を要すると思います。しからば行政指導をどういうふうな面でやるかということでございます。これは生産者団体の、いまの御指摘のように、共同意識というものの高揚ということが基本であろうと思います。そういうものを基礎といたしまして、この一元集荷の段階において、その次に不足払いの扱いをするというようなことから生産者団体を結束さして、そして乳業者に当たらせるというような方向でなければ、これは実現できないと思います。そういう方向において強い行政指導を行なっていきたい、こう思っております。
  42. 矢山有作

    矢山有作君 いまの局長の答弁でいうと、集乳合理化をどうやるかということに対して、つづめていって、先ほど指摘があったように、三つあるわけですね。いわゆる集乳施設の助成を行なうとか、あるいは機構の整備をやるとか、そういったこと。あるいはメーカーの地盤確保しておるのを、できるだけ行政措置によってうまくやっていくのだ、こういったことを言っておられるわけですが、集乳の面が非常に錯綜しておって経費が高くついておる。したがって、この面を改善しなければならぬということは、現行酪振法でもそのことがすでに指摘されているわけですよ。いままでじゃあ一体集乳面の合理化ということで何をやってきたのですか。
  43. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 従来から、集乳面におきます一つ行政的な方法としては、酪農振興法に基づきます集約酪農地域内における集乳施設等の新設等に対する法的な、行政的な規制、指導という問題が一つあったわけでございます。その他準行政的な措置としてはクーラー・ステーション、あるいはタンクローリー等についての助成によって集乳の合理化を促進をしてまいりましたし、また、農業構造改善事業等で、牛乳を主幹作物といたします地域については、この集乳に関する施設の設置というようなことに助成をしてまいったわけでございます。  それからその他の金融の関係では、集乳の合理化ということは、また同時に、乳業の配置の問題も加わりますので、乳業施設に対する公庫金融というような点にも措置をしてまいったわけでございます。  それから都道府県ごとに設置いたしました酪農関係団体等の代表者をもって構成いたします酪農会議による自主的な指導、施設というものに対する助成等も行なってまいったわけでございます。十分な方策とも言いがたいかと思いますが、できるだけの指導はいたしてまいったつもりでございます。
  44. 矢山有作

    矢山有作君 いまあげられたものが一向に効果を発揮していないということが、先ほど渡辺委員からも指摘のあったような集乳の状態になっておるということですね。特に法的な規制措置として集約酪農地域の問題をあげられましたが、これは後ほど私もお尋ねしたいと思っておるんですが、この集約酪農地域の中においてすら集乳面の合理化というものは十分にできていないという現実があるわけです。そうすれば、これは集乳面の合理化ということをたやすく言っておられるけれども、これは容易なことじゃない、まして現在のように牛乳メーカーが自分の地盤を確保するために手段を選ばないような方法をとっておるときには、なかなかこれは容易なことじゃない。さっき大臣は、生産者の共同意識の高揚によってこれをやりたいのだとおっしゃるけれども生産者の共同意識の高揚なんぞによって集乳の合理化ができるようなことでは、いままでにもうすでにできておるはずなんですよ。したがって、集乳面の合理化というのは、これは並みたいていのことじゃありませんよ。このことが、あとで指定生乳者団体の果たす役割との関連が出てくると思うのですけれども、したがって、そのときに、もっと私は具体的にお話を承りたいと思いますけれども、これはいままでの実績から徴して、よほど腹を締めて集乳の合理化と取り組まれないと、従来どおりの結果に終わります。  それから次は、まあ集乳の問題と密接不可分の問題だから、これは一緒にお聞きすればいいのですが、一緒に聞くと問題がこんがらがるから分けたのですが、次は、乳業施設の問題なんですが、これは御存じのように、乳業施設についても、乳業者が集乳地盤を確保する必要があるところから、工場が乱立しておる、しかも非常に零細な工場が乱立している、集乳合戦をやっておる、それが酪農取引の非常な不明朗化にもなっておるわけですね。これは集乳の合理化が困難であると同様に、あるいはそれ以上に乳業施設の面の合理化というのはまことにむずかしい問題があるのです。工場の規模をどういうふうに適正化していくのか、あるいは工場の配置の適正化をどういうふうにやっていくのか、こういう点から具体的なその方針というのをひとつ承っておきたいと思います。   〔委員長退席、理事森八三一君着席〕
  45. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 乳業の合理化ということは、これは生乳の処理加工段階におきます経費の節減、コストの低減ということを目標として考えてまいりたい、その場合に問題になりますことは、乳業施設の配置をどういうふうに考えて、また、現段階における生乳生産状況なり、あるいは消費の実情なり、あるいは技術の水準なりから考えて、いかなる乳業施設の規模を適当とするかという問題があると考えておるのでございます。で、具体的なお話でございますが、具体的な話のお答えをせよということでございますが、それらの問題は、それぞれの地域における実情に沿わなければ、抽象的にはなかなか規定をいたしがたいものであるというふうに思うのでございますが、酪農振興法が制定されまして以来十年の経過を経ておりまして、その間における乳業施設に関する諸条件も変わってまいっておりますので、現段階における工場の集荷範囲をどの程度に考えるか、また、どの程度規模をもって合理的なものと考えるかという点について現在検討中でございまして、最終的な結論を得ておりませんが、その後の、本法制定以後の事情の推移というものに応じまして、新しい合理的な基準というものを指導の目標として定めたいというふうに思っているのでございます。
  46. 矢山有作

    矢山有作君 具体的な答弁ができないということなんですがね。しかし、この酪農の将来の基本的な対策をどう立てるかということについては、何もきのう、きょう研究に着手されたわけじゃないだろうと思うんです。私が承知しておるんでは、三十八年ごろから今後の酪農対策の向こうべき方向ということで、いろいろ部内で検討されておったように聞いておるんですがね、そういう検討を含めて、おそらく今度の法案は出てきたと思っておるんです。そうすると、少なくとも法案の中に「酪農近代化基本方針」として「集乳及び乳業の合理化に関する基本的な事項」というものを定めるのだということを言っている以上は、少なくとも乳業合理化に関する基本的な方針はどうなんだということは考えられておらなきゃならぬと思うんですね。それすらないと言うんなら、この法案を通しておいて、酪農近代化基本方針というものをつくれるんですか。問題は、それと、それに至る段階として、現在の乳業施設の状況がどういうふうな状況かということは、もうお調べになっているでしょう、非常に零細な規模の工場がたくさん散在しておるということをよく御存じですね、だったら、そういう実態を御存じなんですから、その上に立ってどういうふうに合理化していくのか、これはやっぱり基本的な考え方だけはあるはずだと思うんですよ。それをしもないとおっしゃるんなら、この法案をお出しになる理由がないんで、そういう基本的な方針が固まってからこの法案をお出しになったほうがいいわけなんです。
  47. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) お話しのように、わが国の乳業施設は非常に零細な規模のものが多数に散在をするということが一つの大きな欠陥になっておるわけでありまして、従来から、たとえば、ちょっと話がそれるかもしれませんが、集約酪農地域における乳製品向けの生乳生産を主とする乳製品集約酪農地域について、従来は日量二七キロリットル程度のものを考えておったと、また、市乳酪農地域について一〇・八キロリットル程度を日量として考えておった、これを現在の状況から考えますと、それぞれ乳製品酪農地域の日量生産量としては六〇キロ程度に引き上げることが適当ではないか、また、市乳地域については日量二〇キロリットル程度以上に増大させることが適当ではないかという観点で考えておりますので、そういうふうな観点に従って、乳業の配置等については、交通条件あるいは水利の事情、まあいまは電気事情はほとんど問題はないと思いますが、それらの工場としての条件等もございますので、そういう問題を詰めて、具体的にはなるべく早い時期にこの問題も基本方針の中に織り込んでまいりたいというふうに考えております。
  48. 矢山有作

    矢山有作君 まあ全般的にこの乳業の合理化の問題を取り上げると、あなたのほうもなかなか答弁が具体的にしにくいだろうと思うのです。そこで、答弁が、ともすれば集約酪農地域を引っぱり出しておやりになる方向にいくんだろうと思う。そうすれば、私のほうの質問も、あなたの答弁のしやすいように持っていったほうがいいし、そのことによって、大体これからお考えになっておる全貌が明らかになると思うのです。  その前提として、集約酪農地域内にある酪農事業施設の規制ということも、これは現在の酪振法で相当規制を加えてやってきたわけですね。その実態というのが必ずしも私は十分の成果をあげるような状態にないのじゃないかと思うのですが、その現状ですね、集約酪農地域内における中心工場なり、あるいはその中心工場で処理加工しておる乳量の現状、それからまた、集約酪農地域内にある工場や集約施設の数、そういったものがどういうふうになっておるのか、ひとつ具体的に説明してほしいと思います。
  49. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 現在、集約酪農地域の数は七十六地区となっておるのでございますが、その中で生産をされております生乳の全国生産量に対する比率はおおむね四〇%、したがって、使用されております乳牛の頭数もほぼ同様な数でございます。そのうちの乳業施設については、工場数は北海道、内地を合計いたしまして百、五十四工場ということになっております。
  50. 矢山有作

    矢山有作君 まだ私は、いまの説明では、私がお尋ねしたところが十分答えられておらぬと思うので、私のほうから調べた点を具体的に申し上げて、そういう実情なのかどうかということを御確認願いたいし、もし誤まっておる点があったらば御指摘願いたい。  私が調べたのでは、集約酪農地域内における中心工場の処理加工量、この調べを見ますと、これはあなたのほうでお出しになった資料ですよ。これによって見ると、市乳集約酪農地域にある中心工場が十工場、そういう資料を私はいただいております。それで、十トン未満の処理をしておるのが二、十から二十トン未満が三、二十から三十トン未満が二、三十から四十トン未満が二、四十から五十トン未満が一、五十トン以上処理工場はなし、こういう状態です。  それから、乳製品集約酪農地域における中心工場は六十。で、乳量の処理能力十トン未満が十五、十から二十トン未満が十六、二十から三十トン未満が十二、三十から四十トン未満が八、四十から五十トン未満が四、五十トン以上が五、こういう状態になっておるわけです。そうすると、五十トン未満の処理しかやっていない工場が、乳製品集約酪農地域で七十のうち六十五、こういう数字が出ておるわけです。  それからもう一つは、一つ地域内に一つの工場または一つの集乳所のある地域、これがあなたのほうでお出しになっておる資料によると、北海道が二十五地域のうち五地域、それから内地の原料乳地域が三十九地域のうち八地域市乳地域が十二地域のうち四地域、合計十七地域ある。それから、一地域内に二工場または二集乳所のある地域が、北海道で十三、内地の、原料乳地域のうちで十二地域市乳地域中二地域、これが合計二十七、それから一地域内に五から六の施設のある地域が十六地域、こういうような調べが出ております。そうすると、これで見ても、従来、非能率な施設の乱立を防止する、そして生乳生産の均衡保持をはかって工場をつくる、施設をつくるといって、現行酪振法でやってきた集約酪農地域内においてすら、どれだけ小さな工場がたくさんあるかということが、これでわかるわけなんです。こういうことが、原料乳の価格は国際的に見てもあまり高いとは言えない、むしろ国際的に低い面もある原料乳の価格でありながら、それが製品になった場合に、国際価格に比して非常に割高になるその原因も、こういうような零細な規模の工場があちらこちらに散在しておるということに一つの大きな原因がある。もちろん集乳面の整備ができてないということにも原因がありますが、この乳業施設のこの実態にも原因があるわけですよ。したがって、私どもは、乳製品の国際競争力をつけるという立場からいっても、この乳業施設の適正な配置あるいは規模の適正化、これを真剣に考えなければいかぬと、こう言っているわけです。しかもそれをやるのには、具体的に手をつけてみると、これは容易じゃありませんよ。集乳路線の整備すらなかなか思うようにいかぬのが、メーカーがつくっておる工場を適正規模に配置させる、あるいは適正な配置をとらせる、あるいは適正規模の工場にすると言ってみたところで、これはより一そう困難な問題です。なぜかというと、これはやるとすれば工場の統廃合も起こってくるでしょう。そうなれば、工場が散在しておった市町村との関連も出てまいりましょう。いろいろな関連の問題が出ますが、これを一体どうするのか。これをやらないということになると、ただ、この法律をつくっただけということになってしまうのです。これについて、これはもう大臣のほうの御答弁が私は適当だと思うので、大臣からお答えを願いたいのです。
  51. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 大臣からは、もし私のお答えで不十分でございましたら、お答えをすることにしまして、事務的にお答えをいたします。お話しのように、集約酪農地域における中心工場の数あるいはその規模別の数等は御指摘のとおりでございます。で、このことは、日本乳製品の工場が小規模、多数に散在をしておるということを示すという点も御見解のとおりでございます。ただ、やはり今日まで牛乳生産の拡大あるいは消費の動向等に応じまして、乳製品工場あるいは市乳処理工場についても合理化の方向へ進んでおるのでございまして、お配りをいたしております資料にもあるのでございますが、乳製品工場について、たとえば昭和三十年に四百十二工場でありましたものが、三十七年には二百六十工場に減っている。また、市乳工場につきましても、三十三年に三千三百四十二工場でございましたのが、二千五百二十九工場に減少しておる。この全体の生産量の増大に反比例して、工場が減少しておりますことは、規模の拡大を伴いつつ合理化が徐々にではありまするが進んでおることを示しておるのでございまして、今後乳業企業といたしましても、国内における競争あるいは国外との競争力等を考えますれば、さらに技術の進歩に伴い、また、集荷量の適正といいますか、適正化、拡大ということに応じまして合理化は進め得るというふうに考えておりますので、お話しのように、一朝一夕に急速な合理化をはかることは困難を伴うと思いますが、私どもとしても、この乳業の合理化、配置の適正化等について腹を据えて指導を加えてまいりたい。また、そのために必要な資金等の援助措置についても一私どもとしては誠意をもって世話を見てまいりたいというふうに考えております。
  52. 矢山有作

    矢山有作君 乳業施設の配置の適正化、規模の適正化というのはむずかしい問題で、具体的にどうするのかと言っても、実際問題として地域地域によって事情もあるしするから、即座にどんぴしゃりというふうな答弁は出ぬと思います。しかしながら、乳業施設の適正な配置、規模の合理化をやろうということで資金的な面まで考えてやるというのなら、私もまあその程度で了承して、結局集乳面の合理化と乳業施設の合理化というものが伴わないというと、日本酪農というのは、これは発展に一つの大きな障害があるのだということはよく御存じのはずですから、したがって、この面に対する整備は一そうこれは努力をしてもらいたいと思います。これはさらに加工原料乳の補給金法案との関係がありますから、この問題もまたあとで、そういう立場からもお尋ねしたいと思っております。  次にお伺いしたいのは、市町村の酪農近代化計画を作成することになっておるわけですが、その市町村の酪農近代化計画の作成にあたっては、一定の基準に適合しなければならぬということで、まず「その区域内における乳牛の飼養頭数及び飼養密度」それから「その区域内の農用地の利用に関する条件」、「その区域内で生産される生乳の販売に関する条件」、これらが省令で定める一定基準に適合するということが条件になっておるようですね。そこで、その一定の基準という具体的な内容、それはどういう内容なのか。特に似たような規定が現在の酪農振興法の第十八条第一項第一号にもあるわけです。それとの関連において、その具体的な基準内容というものを御説明願いたい。
  53. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) この第二条の四の「省令で定める基準」につきましては、なお検討を要する点が残っておるのでございますが、現段階で考えておりますのは、将来における生乳の効率的な出荷、また将来における酪農の当該市町村における産業的なウエートというようなものを考えまして定めたいということから、現段階におきましては当該村における飼養頭数としてはおおむね三百頭以上の市町村、それから乳牛の飼養密度につきましては、これは結局市町村における普及率、酪農乳牛飼養の普及度というようなものを考えたい。その場合の普及度は〇・〇三、つまり三%以上の普及度をもっているということを定めたいというふうに予定をいたしております。  農用地の利用に関する条件につきましては、これは従来の考え一方としては、いわゆる有畜農家の創設、酪農乳牛飼養の普及という観点からの土地利用の条件を掲げておったのでございますが、今回は——今回といいますか、この酪振法改正後の考え方としては、今後、先ほども申し上げたような主業的な酪農なり、あるいは複合経営にいたしましても、酪農農業経営の基幹的部分となり得るために必要な土地面積、土地条件というものが与えられる可能性があるというようなことを考えて一定の算式を出したいというふうに考えておりますが、本日のところ、その算式について具体的にこういう算式で結論が出たというふうには実はお考えいたしかねるのでございますが、考え方としては、ただいま申し上げたような方向基準を示したいというふうに思っております。
  54. 矢山有作

    矢山有作君 販売は。
  55. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 生乳の販売に関する条件につきましては、生乳の集乳組織として、農民の共同組織による販売という点が整備されておる。もしくは、そういう共同販売組織確立されることが確実であるということを、従前と同様に基準にいたしたいというふうに考えておるのでございます。
  56. 矢山有作

    矢山有作君 で、いま一定の基準として何を考えておるかということについては、大体わかりましたが、先ほどもお尋ねしましたように、今度のこの基準と、現行酪振法の十八条の第一項第一号にいっておる基準ですね、これとの関係はどうなりますか。基準内容が違ってくるのか、それとも同様と考えていいのか。
  57. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 現行法の経営改善市町村における酪農経営改善計画制度化が行なわれましたのは三十四年でございまして、その後六年の経過を経ておるわけでありますが、その間に乳牛の飼養に関する規模その他も実態的に変わっておりまして、現在の基準では適当でないと思われる点が一、二点があるわけでございますが、その第一点は、従来は飼養規模、飼養頭数、一町村について百頭ということを定めておりましたが、今回の基準改正にあたっては三百頭程度に引き上げたい。ただし、これは全体としての飼養頭数の数がふえておりますので、おおむねこれは実態的には均衡といいますか、大体同様な条件になると思われるのであります。飼養密度に関しましては、従来と同様の〇・〇三という普及度をとりたい。それから生乳の販売に関する条件につきましても従前と同じ省令規定にいたしたい。ただ、土地の利用に関する条件につきましては、ただいま申し上げましたように、従来の酪農の普及という観点から求めました算式とは変えても今後はなお若干の普及といいますか、飼養戸数の増加等もございましょうが、酪農を基幹的な経営部門となし得るような土地条件が与えられる可能性があるという点で、従来の土地利用条件とは変わった基準が出てくるかと思いますが、変わりますのは、ただいま申し上げました二点になるかと思います。
  58. 矢山有作

    矢山有作君 それで、農用地の利用に関する条件ですが、具体的なものはわからぬにしても、大体酪農を基幹的部分となし得るような、それに必要な土地が与えられる可能性があるということになると、大体どの程度考えておるわけですか。
  59. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私ども考え方としましては、これは畑の利用の場合と、あるいは水田の利用の場合等において異なるわけでございますが、乳牛一頭についてどの程度の草地基盤を持てばほぼ合理的な自給飼料地になるかということではじきまして、それの合計の面積を、当該市町村で与えられるというような算式を求めまして基準にいたしたいというふうに思っております。
  60. 矢山有作

    矢山有作君 その場合、いわゆる草地改良というものですね、将来草地改良をやるということをも含めて考えていくわけですね、もちろんそうですね。
  61. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) もちろん仰せのように、草地改良の可能性というものも念頭に置いて考えるわけであります。
  62. 矢山有作

    矢山有作君 その場合、そうなると、もう必要な土地というのは大体どの程度あったらいいのかということは、もういまの御答弁の中で大体出てくるのじゃないですか。もっと具体的に説明できるわけでしょう、いまの話を聞いておるとね。一村の中で大体三百頭以上と、こういうのでしょう。そうすると、三百頭とした場合に、その農用地の利用に関する条件、三百頭に見合うものとして、どの程度のものが得られればいいんだということは、大体はじけてくるわけでしょう。
  63. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 矢山先生酪農のことはたいへんお詳しいの、で、私が困っておるところもおわかりと思うのですが、利用する草地の方式によって非常に草の供給力が違うものですから、単純に畑に還元をしてものを申しますならば、成牛一頭について四十アール程度土地が与えられるならば、ほぼ合理的な使用基盤になり得るというふうに考えております。
  64. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、この酪農近代化計画をつくっていく場合の基準というのは、従来の酪農経営改善計画をつくる場合の基準とは変わってくるということがいまの説明で明らかになったわけですね。そうなると、いままで酪農経営改善計画を樹立し、これを実施してきた市町村で、この制度の対象から今度ははずれるという市町村がやはりできてくるということに考えられるのですが、そういうことはありませんか。
  65. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 端的に申しまして、私どもは、従来の酪農経営改善市町村がその計画に従って酪農の振興をはかってきたという、そういう実績を持っておる市町村が落ちるようなことはしたくない。今後酪農振興をはかるとするならば、現在まで築いてきた酪農経営分というものの実績の上に立って振興せざるを得ないというふうに考えておりますので、私は、その後の客観的な諸条件が変わったことに応じた基準改正はやるが、現在の千余りの経営改善市町村があるのですが、そのほとんどを包括し得るような基準にいたしたいというふうに考えております。
  66. 矢山有作

    矢山有作君 まあ私の言うまでもないのですが、酪農経営改善計画というのは、集約酪農地域指定された区域内の市町村であれば、すべて独自にこれはできたわけですね。私の心配するのは、今度この近代化計画を立てる基準が変わることによって、従来酪農経営改善計画を立ててやってきておる市町村が対象からはずれると、こういうことになりますと、やはり助成や融資の面でいろいろな問題が起こってくるわけです。したがって、そういう混乱を避けるために、いまの答弁は、だめ押しのようですが、いままで酪農経営改善計画を樹立、実施してきた市町村は、これは落とさないと、こういうふうに理解してよろしいね。
  67. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 制度の形式論として、落とさないというふうに申し上げることは、あとでお叱りを受けることがあるかと思いますが、考え方としては落としたくない、落とさない方針でやるというふうにお答えを申し上げます。
  68. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、落ちるものもできるということが考えられるわけですか。
  69. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) これは非常に異例な事例としては、従来の農地地域酪農地域であったものが、経済的な諸条件の変化のために、酪農経営を営む農家がもう激減してしまって、当初の酪農振興計画とはおよそ違った形になってしまっておるというような異例の場合のみ起こり得ると思います。
  70. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、そういう異例の場合に、酪農をやる人が激減をして、今度の制度の対象にならないというものができた場合、それからまた、その基準の関係から、近代経営計画化を達成する基準に達しない町村、そういうのができますね。そこらでやっておる酪農というものもあるわけですね。これに対する施策というものはそれじゃどうするわけですか。
  71. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 従来から酪農振興というのは、やはり一つの取引単位として存立し得る集団的な生産、主産地的な生産ということを考えてやっておりまするので、施策の重点を集中すべき地域としては集約酪農地域なり、あるいは経営改善市町村、今度は近代化計画を樹立いたします市町村ということに分けられますが、酪農施策全般の中には、そういう重点的施策を施行いたしますものと、広く酪農に対する対策として行なうものとがあるわけでございまして、たとえば家畜に対する衛生対策でございますとか、あるいは近代化資金制度でございますとか、あるいは乳価対策でありますとか、こういうものは近代化計画を樹立する市町村であろうとそうでないのであろうと、行きわたるわけでございます。
  72. 矢山有作

    矢山有作君 それで、もう一つこれに関連してお伺いしたいのは、現在農業構造改善事業が進められておりますね、その中で、酪農を基幹作物とする農業構造改善事業実施地区というのはかなりあるようですがね、この農業改善事業をやっておる地域というのはどうなりますか、この制度との関連では。   〔理事森八三一君退席、委員長着席〕
  73. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) こまごました理屈を申し上げる時間もございませんので省略いたしますが、構造改善のための計画というものと、今度の酪農近代化計画というものは、当該の地域において調整をはかるべきものというふうに考えておりまして、酪農を基幹作物として取り上げております構造改善市町村は、この法律が通りますれば近代化計画を樹立すべき市町村というふうに認定をさしてまいりたいというふうに思っております。
  74. 矢山有作

    矢山有作君 次は、「市町村酪農近代化計画においては、次に掲げる事項を定めるものとし、」ということで内容が羅列してありますがね、その中に「その区域内の農業者の農業経営条件に応ずる酪農経営の改善の目標」と、こう言っているんですがね、これすこぶる抽象的な表現で、私どもにはよくわからぬのですが、この酪農経営の改善の目標というのは、具体的にどういう目標を立てておるのか承りたい。
  75. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 法律的にはたいへん抽象的な表現をとっておるのでございますが、立法の考え方としては、酪農経営に関します経営の類型というようなものを、その当該市町村の条件に応じた形で設置をさしたいという考え方でございます。
  76. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっとよくわからぬのですが、その経営の改善目標というのをもう少し具体的に説明してくれませんか。大臣の答弁と違って局長のですからね、もう少し専門的に、具体的に、よくわかりやすく。
  77. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) これは非常に専門的な問題でありますので、私も実はそれほど自信があるわけではございませんが、いま考えておりますことは、具体的な目標内容として酪農経営方式、これはその村の条件によりますが、山地酪農あるいは畑地酪農あるいは水田酪農というふうに条件によって分かれると思いますが、そういう経営方式の種類の問題、それから目標所得額、これは酪農部門についてだけ、どの程度の所得を目標とするか、それから労働力の規模と所要労働時間をどういうふうに考えるか、地目別の利用すべき土地面積をどういうふうに考えるか、畜舎の施設、機械等資本装備の種類、数量、それから資金額というようなものをどうするか。飼料作物の種類別の作付け面積の生産量の目標生乳購入量別飼料自給、酪農部門の粗収入と経営費との試算、酪農部門の所得、他の部門の所得との関連経営管理、労働時間及び飼料生産労働時間の概算、酪農部門一人当たりの所得、一日当たりの労働報酬の目標というようなものを総合をいたしまして、経営の類型を示すようにさせたいというふうに考えております。
  78. 矢山有作

    矢山有作君 その経営改善目標の具体的な内容というものに一々立ち入って聞いていきますと、これは非常に時間をとることなんで、いまおっしゃったような事柄を経営改善の目標としておられるということで、きょうのところは了承しておきますが、その酪農経営の改善目標のいわゆる基本的な考え方ですね、これはおそらく専農的な酪農経営者は、その酪農によって十分な生活が確保されるということを基本的な考え方としてこういうような内容のものが具体的にきめられてくるんだと思うのですが、そういうふうに理解しておいてよろしいか。
  79. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) この経営改善の目標の基礎の考え方として、ただいまの御意見のような問題を伴っておるという点は仰せのとおりでございます。
  80. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、これは具体的なものがきめられた後に、はたしてその内容酪農酪農として成り立つのかどうかということは論議をしなければならぬと思いますが、そのときに譲らしていただいて、まだこれじゃ酪農が成り立たんじゃないかというようなことを言われるようなことのないように、内容というものを充実さしてもらいたいと思います。  それからその次は、集約酪農地域の問題についてお聞きをしたいのですが、現行の集約酪農地域制度については、酪農近代化計画制度との有機的な関連を考慮しつつ生乳の濃密生産団地としての性格を明確にし、推定基準等を改めることとしておる、こういうような説明が、今度の新しい制度のもとにおける集約酪農地域については、提案説明でなされているわけですね。そして、さらにそれを補足してこう言っておりますね。「生乳の濃密生産団地の形成は、単に地域内において乳牛飼養頭数の増加等をはかっていくことのみによってではなく、乳牛飼養規模の拡大、飼料自給度の向上等の基盤の上に立つ近代的な酪農経営群の育成を通じてこれを推進していくことが必要である」とし、そうして、「このような生乳の適地適産による濃密生産団地が集約酪農地域であるという考えにたって、」こう言っておるわけです。そうすると、これは当然集約酪農地域指定基準が、従来の集約酪農地域指定基準よりも変わってくるんですがね。従来の集約酪農地域指定基準というのは、私もこれは承知しておりますが、どういうふうに変わってくるのか、おもな変わってくる点を具体的にひとつお示しを願いたいと思うのです。
  81. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 今回の酪振法の改正が行なわれました場合に、集約酪農地域指定基準は、いまお話がございましたような基本的な考え方に立って基準を改めたいというふうに思っておるのでございますが、基準となるべき事項としては、生乳の集荷処理面の問題と、乳牛の飼養との両面から考えられることになると思うのであります。生乳の集荷処理の面につきましては、これは現在の段階におきましては、従来よりも一そう大量の生乳を機械的に集乳し、能率的に乳牛施設に供給することが必要であり、それが技術的にも可能となりつつあるわけであります。そこで、そういうような変化に応じまして、先ほど申しましたように、地域内の生乳生産量というものを乳製品の集約酪農地域については二七キロリットル以上、日量二七キロリットル、石に直しますと約百五十石以上、市乳の集約酪農地域につきましては一〇・八キロリットル、約六十石以上というふうに改めたい。
  82. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと何石ですか。
  83. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 現状がそういうふうになっておるのでございますが、それを、それぞれ乳製品酪農地域については六〇キロリットル以上、石にしますと三百三十石以上、市乳集約酪農地域については日量二〇キロリットル、約百十石以上というふうに、基準を増大をすることにいたしたい。  それからもう一つは、従来は酪農乳牛施設に対する生乳の夏場の集荷輸送時間に限定をおいておりまして、乳製品集約酪農地域の場合には二時間以内、市乳の集約酪農地域については一時間以内となっておりますのを、現在の技術水準の向上に応じましてそれぞれ三時間以内及び二時間以内というふうに拡大をいたしたい。  それから乳牛の飼養面につきましては、先ほど来申し上げましたように、酪農の事情が非常に変わってまいっておりますので、具体的にどういうふうな基準を設けるかということは、実はなお検討中でございますけれども、将来における合理的な酪農経営群ができる、成立し得るというような農用地の面積が存在するかどうか、また、そういう経営群に達し得る酪農家数というものが存在するかどうかというようなことを検討いたしまして基準化をしてまいりたいというふうに思っております。
  84. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、今後の新しい制度によってなされる集約酪農地域と、それから現行の集約酪農地域指定されておる地域との関連ですね、これはどうなります。
  85. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 現行の集約酪農地域もその性質から申して、生乳の濃密な生産地域として育成をしていくという考え方については同様でございますので、当面、従来の集約酪農地域は新しい条件のもとで集約酪農地域として指定されたものとして継続をしてまいる。二年経過するか、もしくは府県の酪農近代化計画というものが認定をされたという段階に至りますれば、新しい条件に照らして条件を満たさないものはこれは地域の解除をする、指定解除をするということにいたしておりますが、その余裕期間内において新しい基準に合うごとく集約酪農地域の再編を考えてまいりたい、そういう意味で現在の集約酪農地域指定がなくなるというような事態は避けてまいりたいというふうに思っております。ただ、内容的に市乳地域拡大等がございますので、集約酪農地域としての性格の変化と、地域の広がりの変化というような問題は起こってまいるかと思います。
  86. 矢山有作

    矢山有作君 それで濃密生産団地として育成していくわけですが、その場合に、やっぱり非常に重要な要素になるのは飼料の問題だと思うのです。濃密生産団地として指定していく場合に、飼料需給度といったようなものは、従来集約酪農地域指定されておったときの基準と比してどういうふうになりますか。飼料需給率の拡大ということは、相当私は重点を置いてお考えになっておるのだろうと思うのですが、具体的にもしそちらでわかっておったらひとつ説明していただきたい。
  87. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 飼料需給度の向上という点については、この制度を離れましても、私どもとしては昭和四十六年度ごろまでには、粗飼料については少なくとも完全給与に近い線まで生産を助長してまいりたいというふうに考えておりまして、この集約酪農地域におきます酪農経営飼料需給の姿としても、計画年度においては飼料需給度、特に粗飼料の給与というものは、乳牛の生理的な観点から見た必要量を満たすような粗飼料給与ができるようにするという目標を与えたい、そのために必要な農用地の所要面積というものについても、一定の基準に基づいた算式を示してまいりたいというふうに思っております。
  88. 矢山有作

    矢山有作君 飼料の問題に入ると、これまた長くなりますので、いまの程度で集約酪農地域の問題は終わります。  それから、次にお伺いしておきたいのは、学校給食の関係ですが、学校給食については、四十五年度完成目標ということで計画をお立てになっておるようですが、私どもは、やはり学校給食についてはできるだけ、牛乳生産量との関係もありましょうが、早い機会に全児童、生徒に対して生乳による学校給食をやってもらいたいということを常々主張してきたところでありますが、それはやっていただくとして、問題になるのは、やはり生乳給食に対しての父兄負担を極力減らしていかにやならぬということが一つの問題なんですが、この点について、ことしはたしか五円の補助を出すようになっておると思うのですが、将来この父兄負担を減らしながら学校給食をやっていくということについて、大臣のお考え方をひとつお示しになっていただきたいと思います。
  89. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私から申し上げるまでもなく、せっかく、生牛乳の給食にいたしましても、父兄負担がふえていくということでは、父兄としてもあまり乗り気にならぬというような傾向もあると思います。できるだけ負担を増さないように配慮をいたしていきたい、こう思います。
  90. 矢山有作

    矢山有作君 これ、まあ大臣としては、いまのところその程度の答弁しかできぬのだろうと、私はえらい同情的なようなことばかりいいますがね、と思うのですが、やっぱり農林省としては、生乳の処理拡大という面からも、学校給食は、これは本格的に制度化しようということで取り組んでいるのですから、この父兄負担を軽減するということについて、もっと具体的に何か計画があるのなら、こういう方向でやりたいのだということくらいありませんか。なるべく父兄負担を減らしたいようにやりたいのですというのであり、これはだれでも言うことなんでね……。
  91. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まだ年次計画あるいは負担の計画等がこまかく出ておりませんので、私も的確には申し上げかねるのでございます。その年度年度の折衝もあろうと思います。しかし、折衝は抜きにいたしまして、財政当局との折衝は抜きにいたしましても、私は、これは何といいますか、ストップして負担を増さないというような計画計画を立てて、それで進めたいと、こういうふうに考えておるわけです。
  92. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 委員長関連。  学校給食は、それでは、国内産生乳全量を給食するという最終年度は何年度ですか。前にも伺ったのですが、きょう確認しておきます。実力者大臣として、これは明確に御答弁を願います。その場合に、それに、至る経過的な、年次別な経過なんかを私は伺いませんが、最終年度で、全量を国内産生乳で学校給食に回す場合に、最終年度では、これは父兄負担を全部なくするという助成内容といいますか、そういうものを目途として年次計画を逐次推進していかれるのだと期待するんですが、社会党はすでに前々国会から、かくあるべき方向を、法案をもって対決しておるんですが、それをいま踏まえて、政府も大いにそういう方向で善処をするが、今国会には間に合わぬというのが、四十六回通常国会の私の質問に対する大臣の答弁であったのですが、それから二回も国会が経過をしておる今日ですから、きょうの段階ではその点を明確に御答弁を願います。
  93. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 最終年度は、昭和四十五年度に脱脂乳でなく、生牛乳で給食をするという計画でございます。でございますので、四十年から、その間の石数等につきましては概算ございますが、その父兄の負担をどういうふうに持っていくか、いま社会党の提案によりますというと、四十五年には無償になるというような案でございますが、これはそうしたいとは思いますが、これなかなか無理じゃないかと、いまはっきり無償にするというようなことは、私から申しかねます。負担を増さないような配慮はすることは、これは申し上げられますけれども、なくするということには、相当私も検討をしなければ、そういうことには相なりかねると思います。
  94. 矢山有作

    矢山有作君 これで大臣、やめますが、ちょっと答弁があと戻りなんですね。私どもは、増さないのじゃない、父兄負担を減らすようにしてほしいというので、増さないということになると、現在より増さないということになり、これは前進がないのですよ。ですから、やっぱり大臣としては、ここで学校給食は、将来父兄負担を減らすという方向で考えていくんだということをはっきり言い残しておいてもらいたいのですよ、われわれは。どうなんです。
  95. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これはなかなかむずかしいと思うのです。値段の点や、どれくらい全体としての学校給食の費用がかかるかというようなものとも総体的に考えなければならぬ問題でございますので、牛乳の値段等その他が固定していくのなら、あるいは減らすという、あるいは現在のまま、こういうことも考えられますが、総体的に考えて軽減していく、こういうふうな気持ちで進めていきたいと思っております。
  96. 矢山有作

    矢山有作君 畜産局長、実はきょうの質疑にはぜひ厚生省も出してひとつお伺いしたいと思っておったのです、これは厚生省の管轄になることなんでね。ところが、その手配をやっておりませんので、これは畜産局長にとってはちょっとおかど違いで、私が答弁することじゃないのじゃないかとおっしゃるかもしれぬと思うのですが、しかし、やっぱり将来の酪農振興ということにとっては、消費の増大ということは非常に重大な問題ですから、こういう点では局長としても、また農林省としても、消費増大のためのネックがあるならば、そのネックを取り払う努力をやっていただかなければならぬわけでして、そういう立場からお考えを伺わしていただければいいと思いますので、そういう見地でひとつお答え願いたいと思うのです。というのは、御承知のように、現在の食品衛生関係の法規というのは、牛乳に対して非常にきびしい法律を制定しているわけですね。そのために、かえって中間経費が高くつく、このことが消費の増進に大きな障害になっておるのだということは、これはもうこれまでしょっちゅう言われていることなんです。この点に関してはすでに昭和三十年に、集団飲乳の促進ということで環境衛生部長が通達を出し、あるいはまた公衆衛生局長が通達を出しておりますけれども、しかし、これは一局長なり部長の通達であって、もとになる衛生法規それ自体が非常に厳重に縛っておるものですから、なかなかこの通達が生かされて使われていないわけです。そこで、これは長年にわたって酪農民なり、また酪農生産者団体のほうからは、このきびしい食品衛生法規の緩和をやってくれと、こういうことが言われておるわけですが、これに対して畜産当局としてどういう考え方を持っておられるか、それをひとつ承っておきたい。
  97. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) お話しのように、牛乳流通消費の観点から考えますと、一つは処理加工等の段階で、できる限り簡易低廉な処理が許されるということの利益を求めたわけであります。しかし一方、牛乳というものは、われわれ人間にとっての完全な栄養食品であると同時に、また細菌の繁殖にも最も適当なといいますか、繁殖度の高い食品でもあるわけでございまして、公衆衛生の増進向上という見地からもゆるがせにできない問題があるわけでございます。この双方の調和の問題ということが私ども非常に大事な点であると思うのでございまして、公象衛生上の見地から許される限り、簡易な殺菌方法あるいは便宜な処理、流通を許してもらいたいという考え方を私ども持っているわけでございます。本日も実は私はこちらに参っておりますが、担当官の間で、食品衛生法に基づく牛乳の衛生規制という問題と、われわれの考えておりますコストの低減ということとの問題点を討議をいたしておりまして、私どもとしても保険衛生上の立場から、許される限りお話しのような簡易な処理方法というものを認める方向で、省令なり、あるいは行政上の指導方針を緩和をしていきたいというふうに考えておるのでございます。
  98. 矢山有作

    矢山有作君 衛生問題との調和の問題もありましょうが、牛乳というのは何も薬じゃないので、もうはっきりした食品なんですから、食品である牛乳が他の食品に比べて非常に規制がきびし過ぎるというのは、これは現在の法制上確かに言えると思うんです。したがって、この点の問題の解決については一そう努力してもらいたいと思います。特に集団飲用の場合には、ストレートに消費者に入っていくわけじゃないんで、たいてい衛生管理者とか何とかいうものが中におるわけですから、そこで規制をやれば衛生上の規制はできるわけです。そういう点を考えて、ひとつ集団飲用の促進のための取り締まり規定の緩和、こういう問題はさらに精力的に取り組んでいただくようにお願いをして、次の問題に移ります。  今度、土地改良法の一部改正案が出されておるわけですが、その中で一、二お伺いしておきたいのは、一体草地開発の適地というものが的確に把握されておるのかどうかということなんです。というのは、私が言っておることが間違いかもしれません。あるいは間違ってなきゃそれを基礎にして答えていただければいいんですが、二十三年に農地局で調べられたところでは、開拓可能地五百五十万町歩、それから二十七年に畜産局が調査した要牧野改良面積というのは百三十七万町歩、それから三十五年六月、これも畜産局で調査しておりますが、これによると八十六万町歩、こういう発表になっている。もちろんこれは調査の基礎が違うから、こういうふうに数字が五百五十万町歩、百三十七万町歩、八十六万町歩と、こういうふうにまちまちに出たのかもしれませんが、一体草地開発の適地というものはどの程度あるのか。的確な把握ができておるのかどうか。これはやはり今度の改正案によって草地開発を積極的に進めていこうとするためには、基礎的につかんでおかなきゃならぬ問題ですから、その点がわかっておればはっきりお示しを願いたいんです。
  99. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 昭和三十八年度から二カ年計画で実施をいたしました土地改良総合計画調査の中間取りまとめの段階におきまして把握されました草地改良事業の施行適地の面積は、約八十一万町歩という数字が出ておるのでございます。これはやがて国会にも御報告をいたすことになるかと思いますが、土地改良総合計画となりました際に、この数字はさらに再調査をいたしました上で確定をすることに相なると思いますが、おおむね八十万町歩ということは、土地の自然的性質なり、あるいは地元の草地造成の希望等との関係ではほぼ間違いがないだろうというふうに見ております。
  100. 矢山有作

    矢山有作君 八十一万町歩ということで、一応これは土地改良長期計画の中の策定に入っていくわけですね。ところがね、これまでの草地開発の状況を見ておると、私の手元で調べたんでは、二十八年以降三十九年までの総計で八万六千ヘクタールですか、この程度の草地開発をやっておるようです。この草地開発の進度をみると、現在の酪農の拡大と見合わして非常におそいんじゃないかという感じがするわけです。そうすると、草地開発の進度というものは、酪農がどんどん伸びていっているんですから、したがって、自給飼料の率を高めるという上からいっても、これはもっとテンポを早く進めていかなきゃならぬのじゃないかと、こう思うわけです。ところが、これにはいろいろな技術上あるいは制度上のネックがあるんだろうと思いますが、そうした問題の解決を積極的に取り組んでいただいて、そして草地開発を私は精力的に進めていただきたい。このことは一つの希望として申しておくわけです。特に資源調査会が自給飼料生産土地利用に関する報告というのを出しておりますが、この中で技術上の問題や、あるいは草地開発の阻害になっておる制度上の制約の問題等を、牧野法や、あるいは農地法や、あるいは国有林野法等々にわたってこまかく指摘しております。この問題については、あなたのほうで立てられた「酪農対策考え方方向」の中にも、これに対してどう対処していくかということで、一部対策をお示しになっておるようです。それは第三の「生産対策」、その中の三の「経営農用地規模拡大促進」あるいは「草地開発利用の促進」あるいは「既耕地における飼料増進」、こういうふうなことで、いろいろな制度上の問題の解決もやっていかなければならぬのだと、指摘しておるようですが、これらの問題について、私は一々具体的にどうしてやるのだということを実はお伺いしたいのですが、とても時間がありませんからそこまでこまかく入りませんが、制度上の制約があって草地開発が進まないということが、やはり一つの大きな原因になっていると思うのです。これに対して、この「酪農対策考え方方向」に示されたような措置を今後積極的にやるのかやらないのか、このことだけを明らかにしてほしい。というのは、この「酪農対策考え方方向」に示されておるその方向が、今度の酪振法の一部改正なり、あるいは土地改良法の一部改正の中では出てきておらない。もちろん多少措置されたものもありましょうが、全部が出てきておるわけではない。そういったことを全面的に取り上げて今後やっておいでになるかどうか。この点をひとつ大ざっぱにお伺いして終わります。
  101. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私どもは、酪農振興の基盤となるべき僻地の造成の素地、つまり草地改良適地についての諸制度あるいはそれを開発するための方式等について検討いたしました結果、その刷りものにもあげておるわけでございますが、畜産局固有の力でできますものと、農林省全体あるいは政府全体として措置すべき問題とございますが、全体を通じまして、私どもとしては、いま先生からお示しがありましたわれわれの当初の考え方というものを逐次実現をしていくという方向で努力をしたいと思っております。
  102. 矢山有作

    矢山有作君 以上で、私は先ほど来言いました加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案関連をして聞いておかなければならない問題を残して、一応私のほうの酪振法及び土地改良法の一部改正についての質疑は終わります。  終わりますが、先ほど来の質疑の中で示されましたように、酪農振興という問題については、飼料の問題あるいは集乳の問題あるいは乳業施設の問題その他いろいろな問題にわたってたくさんのネックを持っておるわけです。したがって、そういうようなものを精力的に解決していかなければほんとうの意味の酪農の発展にはならぬと思いますので、これらについては、今日改正案として法制化されておるものが、実際に活動するような具体的な有効な計画を立てて、しかも、立てた以上はそれを実際に実行に移していただくということはもちろんですが、さらに今度の改正案等で制度化されないもろもろの問題が、酪農基本対策にはあなた方の考え方のほうで示されておるわけですから、そういう問題の法制化も早急に進めるようにしていってほしい。こういうことを最後にお願いしておきたい。これに対しては、政務次官せっかくお見えになっておるのですから、政務次官のほうから、そういうふうにするならいたしますということをひとつお答えしていただきたい。
  103. 谷口慶吉

    政府委員(谷口慶吉君) 御要望の点ごもっともと思いますし、将来の方向はおっしゃるとおりであり、推進していくべきであろうかと私も考えております。善処いたしたいと思います。
  104. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私、いまの草地造成に一つだけ関連してお尋ねしますが、これからの方向としては八十万ヘクタールを目途にしておられる。従来は二十八年以降八万ヘクタールであったと、こういうのですが、一体日本の気候風上の自然条件の中で、この草地造成というものはよほどヨーロッパとは違った立地条件に置かれてあるわけで、私はひとつ具体的な例でお尋ねをしますが、岩手県に安代町という町があります。それからもう一つ例をあげれば、葛巻町という町がある。大体一万町歩程度の草地造成をしたところ、この草地がその後雑木林に転化をしておる。現実に早く雑木の育成をむしろ地域住民が期待しているという工合で、非常に当初の目的とかわった方向にきておる、こういう点を私は、あるいはヨーロッパと基本的によほど技術的にも検討を要する問題があると思うんですが、これは林野庁の専門家もそういう点についてのかなりのやはり問題点を提起しておるはずです。きょうは長官も見えてないようだが、谷口次官、一体こういう点で、やはり十分従来の経過を検討して誤りなきを期さなければならぬ問題があると思うんですが、こういう点はどういうふうにこれを前向きに——こういう現実が随所に起こっておるわけです。なかなかどうも日本のそういう特殊的な湿潤地帯、あるいはこういう気温というものが作用して、だんだんどうも草が残された面から雑木が出てきておる、そういう点が一体検討されて、しかも酪農中心課題である草地造成に取っ組んでいくには、かなりにこれは現実の問題として注目しなければならぬ問題だと思う。そういう点はどういうふうに整理されておるのですか。
  105. 谷口慶吉

    政府委員(谷口慶吉君) なかなかむずかしいたくさんの問題が中にはあるような気がいたすのでございますが、やはり私どものほうでせっかくそういう草地造成のために力をばいたしながら、なおまた、農民も意欲的にそういう方向に進まねばならない現時点において、さようなことがありますことは、どこかやはり根深い、何かこの事業推進するについての悪条件でもあるんじゃなかろうかと考えられますが、きょうここでにわかに、こうすればいいのじゃないかということの、どうも答弁ができないことをまことに遺憾でございますが、今後ともども検討してまいりまして、さような問題を解消していくべきではなかろうか。現時点ではさよう答える以外にないと思います。
  106. 矢山有作

    矢山有作君 それでは次に、不足払いの問題についてちょっとお伺いしたいわけですが、まず最初にお伺いしたいと思いますのは、私が聞いておるところでは、この不足払い制度を最初検討されたときには、飲用乳についてもこれを不定払いの対象にするんだというふうな考え方があったんではないかというふうに聞いておるんです。これは私のあるいは間違いかもしれませんが、聞いておるんですが、なぜこの飲用乳というものを不足払いの対象からはずして、加工原料乳だけに限定したのか、その理由をお伺いしたいんです。私がそれを言うのは、酪農対策方向ということで、農林省の畜産局に畜産振興対策室というのがあるようですが、ここで検討されたときに、飲用乳も不足払いの対象にするという検討をなさったというふうに聞いておりますから、お伺いしているわけです。
  107. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) お話しのように、私ども畜産局に畜産振興対策室を設けまして、その検討事項の一つの重要事項として、酪農の振興の問題を取り上げたわけであります。その中に、酪農振興の一つの問題として、乳価対策、国の施策として乳価対策としてはいかなる形があり得るかということを、およそすべて洗ってみたわけでございます。したがいまして、検討の経過におきましては、全生乳を対象とする価格対策というようなことも検討の課題にいたしたのでございますが、検討の最終段階におきまして、現在の日本牛乳乳製品需給事情、生乳生産事情等を考えた場合、当面いわゆる不足払いの方式による生乳価格の支持、あるいは農家手取り乳価の確保というものの問題を考える必要があるのは加工原料乳であるという結論に達しまして、加工原料乳について、もっております本質的な交易条件の不利という問題の解消を制度の対象として取り上げるという結論になったわけでございます。
  108. 矢山有作

    矢山有作君 それでは具体的に検討された結果、当面不足払いの対象は加工原料乳である、こうおっしゃるのは、結論だけおっしゃったので、なぜそういうふうに全生乳を対象にするという最初の方針がかわって、加工原料乳だけを対象にしなければならなくなったのかという、その理由を聞いているわけですが、政務次官、あなた御存じないですか。
  109. 谷口慶吉

    政府委員(谷口慶吉君) かようなことを、この時期で申し上げますことはいかがかと思いますけれども、この法案をこしらえます段階においては、実はそこまで入れるかどうかということについての検討はいたしたかとは思います。しかしながら、いま局長が答えますように、まず、これからひとつ手がけていったほうがよかろう、こういうことでございました。
  110. 矢山有作

    矢山有作君 私は、この加工原料乳からなぜ手がけていったほうがよかろうという結論に達した理由は何か、その論議の過程というものをお伺いしているから、これは政務次官でわからなければ、畜産局長のほうからお答え願いたい。
  111. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 御質問の中で、当初の方針からかわってということでございましたが、対策を求めますための検討の経過において、全生乳を対象とすることが必要か、あるいは可能か、有効かという議論はいたしたのでございますが、方針として、最終的に固まりましたのは、加工原料乳について不足払いをするという必要があり、また、それこそが日本の現在の酪農事情のもとで最も重要なことであるということになったわけでございます。飲用乳につきまして、不足払いを考える必要があるかどうかということは、これは私は端的にいって、立場立場によって、ものの見方はかわり得ると思うのでございますが、私どもとしては、飲用乳については、およそ対外的な競争関係が生ずるおそれもない。また、消費の伸張は累年非常に目ざましいものがあって、それに対する特殊な商品性格をもつ飲用乳というものが、その需給関係において形成される、価格というものは、ほとんど適正に決定されるはずである、その結果を見ましても、飲用乳についての価格水準というものは、生乳の再生産を可能にする価格水準と私どもとしては認められる、こういうことから、当面それらの条件をもたない加工原料乳について、不足払いを行なう必要があるという思考の経過を経まして、ただいま御審議を願っておりますような法律制度というものを立案をいたしたわけでございます。
  112. 矢山有作

    矢山有作君 加工原料乳だけを不足払いの対象にする結論に至った理由はわかりましたが、その中で私ちょっとひっかかるのは、飲用乳については比較的有利な取引がなされておるから、これはもう対象からはずしてもかまわないという考え方一つあると思うのです。ところが、加工原料乳にだけ不足払いをやって、飲用乳だけをそのままにしておいて、はたして将来も飲用乳のこの有利性というものが保っていけるのかどうか、そこに私は非常に大きな問題があるのじゃないかと思うのです。特に現在のように、牛乳需給調整機能というのが御存じのように全面的に乳業資本に握られておる。大手四社で大体七〇%、加工原料乳だけについていえば九〇%以上を握られておるわけです。そういう状態の中で、はたして加工原料乳だけの価格不足払いをやっておって、将来も飲用乳についてはこのままでほっぽらかしておいて有利性が保てるのだということが言えるのでしょうか。ということは、具体的に言わぬとわからないでしょうが、私の言おうとするのは、具体的に言えばこういうことなんです。これはまああとで議論しなければならない問題で、あまり深く入りたくなかったのですが、保証対象数量というものはやはり限定されておるわけです。そうすると、保証対象数量以外の乳量というのは、これは一体どうなる——保証対象からはずれたやつは、これは買いたたきを受けはしないか、こういう問題がある。さらにもう一つは、加工原料乳として購入したもの、あるいは保証対象からはずれた安く買った乳というものが、はたしてそのまま原料乳にきちっと向けられているのかどうか。これが案外、市乳需要の増大したときには市乳地帯に持ち込まれて市乳化されていくんじゃないかという問題も出てくるわけです。さらに、御存じのように、学校給食用として輸入される脱脂粉乳のうち一割ないしそれ以上のものが不適格品として放出をされて、これが還元牛乳となって出回っておるという事実もある。そうすると、脱脂粉乳が輸入されて、そういう還元牛乳が出回るということももちろんですが、加工原料乳乳価がこの不足払いの対象になることによって、メーカーに比較的安く手に入るという状態がつくられた場合に、安い脱脂粉乳が還元牛乳としてまた出回る、こういうことになると、私は、市乳がいま有利だ、飲用向け牛乳が有利だからといって、その状態が将来もそのまま続くだろうかという点に不安があるわけです。その点はどうですか。
  113. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 非常に不確定な問題を含んだ御質問でございまして、十分行き渡ったお答えができるかどうかちょっと疑問に思うのでございますが、私は、ただいまお話に出ましたような状況が、飲用乳の交易条件を悪くするということにはならないのではないかというふうに思うのでございます、結論的には。ただ、いろいろ問題が多いわけでございまして、第一点にお話に出ました保証対象数量以外の加工原料乳が、これが市乳地帯へ回されて市乳の市況を悪くするのではないかというお話でございますけれども、その加工原料乳の対象外のものが出るか出ないかは、また別途議論がございますけれども、かりに出たといたしましても、その価格というのは基準取引価格によって取引されるものでございますから、したがって、特にメーカーのサイドから見て割り安な乳というわけにはまいらぬ。でなくて、農民の側の手取り乳価としては対象外のものが、理論的に申せば不足払いを受けられないという意味で不利な交易条件になるということにすぎないわけでございます。それから加工原料乳で買うとか、あるいは市乳向け原料乳として売るとかということは、これは工場における処理の結果によってきまってくるものでございますから、したがって、加工原料向けの乳が飲用乳に化けて市乳地帯に出るということは、少なくとも制度上はあり得ないことでございます。  なお、脱脂粉乳による還元乳の問題は、これは現段階におきましては、生乳を直ちに市乳化いたします場合よりも、むしろコスト高でございまして、輸入脱脂粉乳の横流れ等で安いものが出るというおそれがあるというお話でございますが、私どもはそれについては非常に厳重に注意をいたして注目をいたしておるのでございますが、事実上そういう事例を把握できないということでございまして、その問題については今後も監視監督を厳重にする以外にはない。輸入脱脂粉乳の中から不適格品が一〇%以上のものが出ておるのは事実でございますが、その大部分は農業団体の飼料用として特殊払い下げをいたし、特殊な処理を加えまして、横流れ防止をいたしておるのでございます。ただ、ごく一部、飼料用まで用途を制限しなくとも、特殊な乳製品、第二次加工品になり得るというようなものについては、厚生省の監督のもとに払い下げをいたした事例はございますが、対象としてそういうものは私はほとんどないのではないだろうかというふうに考えております。
  114. 矢山有作

    矢山有作君 これは私どもと全く考え方が結論からいうと逆になるのですがね。それはそれとして、それじゃ、私はお伺いしたいのは、なるほど加工原料乳として買ったものを市乳として使うというようなことがあるのじゃないかと、こういうことに対して、制度上はそういうことは起こり得ないということをおっしゃったのですが、現実の問題として、加工原料乳で買ったものは加工原料乳として使う、飲用原料乳として買ったものは飲用原料乳として使うという規制といいますか、確認といいますか、そういうものを具体的にはどうしてやるのですか。私はいまの現状で言うならば、なかなかそれはむずかしいのじゃないか。なぜかというと、需給調整に関する機能というものは、生産者にも生産者団体にも一切ない。そういう状態のもとで、はたしてそういう用途別な入荷をやると言って、それを確認できる方途というのがあるのかどうか。その点はどうですか。
  115. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 先ほどもお答え申し上げましたように、生乳の取引の段階において飲用向けとか、加工向けとかいう用途別の受け渡しは行なわれ得ないわけでございます。工場へ入りまして、それが飲用乳原料としてどれだけ消費せられ、加工向けにどれだけ消費せられたかという実績によって、初めて飲用向け加工向けの数量が確定いたすわけでございます。それを確認する方法としては現在の乳業施設、少なくとも加工川の施設と飲用向けの施設を持っております程度の工場につきましては、それぞれ用途別の使途が原料の使用伝票によって明確になっておるのでございます。また、明確でなければ当該工場としては原価管理が全くできないということに相なりますので明確になっております。また、製品の受け払い等も帳簿上明確になっておるわけでございまして、その点は今後設置指定されるはずの生乳生産者団体との用途別取引に関する契約に基づいて、契約上その出荷いたしました生乳がいかに消費されたかということは確認を求める権利は、私は生産者団体側にもある。それで、またそれだけでは問題がございますので、法案の第二十三条に、農林大臣または都道府県知事に報告及び検査の権限をいただくような条文を設けておるのでございまして、工場ごとの用途別使用数量の確認は、毎月定期的に都道府県の職員によって直接確認をさせるという方法によって明確にいたしたいというふうに思っております。
  116. 矢山有作

    矢山有作君 おっしゃることは私もよくわかるんですよ、それはちょっと言い方がひど過ぎるかもしれませんが、会社が税務署に税金の申告をするときに、ちゃんと帳簿の表の帳面づらはこうですといっているのと同じで、表向きはこれだけが飲用牛乳に回り、これだけが乳製品に回った、これはわかるんです。しかし、実際問題として私が聞いているところでは、これを飲用向け、これを乳製品向けといったところで、それが企業の採算上の非常に重大なポイントなんですから、そんなものを外部から帳面づらを見ただけでそのままわかるような仕組みになってはおらぬと思うんです。これは、たとえば飲用牛乳の原料として買った乳を乳製品に回すか、あるいは飲用牛乳としてそのまま回すか、あるいは乳製品の原料として買った乳を乳製品に回すか、飲用牛乳のほうに回すか、これは企業のそろばん勘定からいったら大きく変わってくる。そんなことを、外部から帳面づらをぺらぺらっと見ただけで確認できるような仕組みには私はなっておらないと思う。もしそうなっておれば、いままで乳価紛争がしょっちゅうあったときに、大体この畜安法の六十四条を使ってそれを確認したことがありますか。私はおそらくそれを検査できるほどの力は現在までの農林省にはなかっただろう、事実上やはりやってない、そういう実績を踏まえて、今後その確認ができますか。
  117. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 従来、乳価紛争等がありました場合に、これが飲用向け加工向けという用途別価格の取引契約がございますればそれを確認する必要もあり、また、確認することが紛争解決の一つの手段でもあったろうと思うのでございますが、現在まではそういう用途別取引契約というものはほとんどなかったわけでございますので、紛争解決のための手段として用いる効果も考えられないということで、お話しのようにやっておりません、現在までは。しかしながら、制度として用途別の取引を求め、また、用途別取引に基づいた確認をする法的な位置を持ちますならば、これは私どものほうも若干の工場について事前に調査をいたしたのでございますが、私どもとしては都道府県、場合によって農林省からも随時確認の手段をとってよろしいと思うのでございますが、私は、メーカーが常に二重帳簿等で虚偽の記録を残すというようなことを考えるならば別といたしまして、正確につかまえることは可能である、また、私どもは責任を持ってやり得るというふうに思っております。
  118. 矢山有作

    矢山有作君 それはまあ、いままでは混合乳価制度であったから、乳価紛争のときにもそこまで立ち入って調べる必要がなかったから調べなかったというんですが、しかし、私は、いままで畜産物の価格審議会等で、農林省のほうから指定乳製品の製造経費は一体どれくらいつくのかということでしょっちゅう資料を求めたわけです。そういった場合に出てきた資料というのが非常に不確かな資料だといって議論になったことは、あなたも御存じのとおりです。そういった場合に、ほんとうに的確なものをつかんで審議会に資料を提出しようという姿勢があるなら、私は六十四条を発動して、ちゃんとこれは乳製品に回ったんだ、これは市乳に回ったんだというところまで的確につかんで積み上げてくれば、そういうところから的確な資料が出るわけです。だから私は、そういう調査を、検査をやる機会がなかったとはいえない、ただやらなかったということと、また、現在の状態ではやれないということが私はあるのではないかと思う。なるほど私はなにもメーカーを頭から疑ってかかるのじゃないので、それ以上メーカーがいつもうそを言うのだということを申しません。申しませんが、少なくともそうした購入した原料乳をどういうふうに使うかということは、企業採算上大きな問題ですから、だからそれが簡単に外から把握できるような状態ということは私は考えられぬと思います、常識上。したがって、私の言わんとするのは加工原料乳に対する不足払いをする、そしてその前提として用途別乳価をやるというのですから、そうなら用途別乳価をやる前提を確立してもらいたい。ということは、はたして乳製品向けとして購入した乳が回ったのか、市乳向けに回ったのか、それを確認する手段方法があるはずなんです、考えていけば。ですから、そういう制度をつくられて、これは酪農民にも信頼ができるような方法にその仕分けをやって、そして、なるほどあなたが売った乳のうち、これだけは乳製品に回ったのです、だからこれに対しては不足払いでこれだけ出しましょう、これは市乳に回ったのですということをきちっとわかるようにしなければいけない。そういう制度を考えておられますか。
  119. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 一度工場へ入りました生乳がどういう用途に向けられたかということを確認することは、私は制度の問題じゃなくて、事実の確認の問題だというふうに思うのでございます。それにつきましては、私どもも申し上げましたように、数個の工場について事前的な調査もいたしてみましたが、確認はそれほど困難なものはない。また、実例として九州の一部においては用途別の取引を農業団体とメーカーの間で行なっておるのでございます。その実績を見ましても、工場へ入りました乳は一つのタンクに入りまして、それが飲用向けに流れますパイプと、加工向けに流れるパイプに分かれて使用されるわけでございます。この使用仕向けの実績は、それぞれ日々日計表によって明らかに工場としてはしているわけでございまして、現在九州において取引されておりますのは、取引相互間における確認によって、これはトラブルもなく明確にいたされているわけでございます。ただ、それだけでは問題がございます。政府としての不足払いをいたすわけでございます。先ほど申し上げました二十三条の報告検査権限というものに基づいて都道府県の職員を原則としてその確認に当たらせたい、まあ全国数千の工場があるわけでございますので、農林省だけでもいたしかねますから、そういう権限を発動して、毎月、工場に備えられております伝票、帳簿を確認することによって明確な把握は不可能ではない、むしろそれほど困難なものではないというふうに考えております。
  120. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、まあ畜産局長の答弁によると、どういうふうな用途に生産者から購入した乳が使われたかということについては、農林省だけではやりかねる。したがって、都道府県の職員にそれを確認させたい、こうおっしゃるのですね。私は、この問題については、これはよほど厳重な立ち合い検査をやって確認していかなければいかぬと思う。しかしながら、あなたが都道府県職員を使ってそれをやらせる、それによって的確な検査資料が出るというなら、私はそれを一年なら一年見ましょう。見ますが、そのときに、それがはっきりしないようなぶざまなことをやってほしくない。私に言わせれば、第三者によってどういう用途に使われたかということをはっきり確認して、用途別乳価をやるなら用途別乳価が生きてくるような方策をとるべきであると思います。しかしながら、そこまでいかなくて、あなたのおっしゃった級でいくというなら、それでやってみてください、こういうことですから、そのときにメーカー側との間で実態がつかめなかったというようなことのないようにしていただきたい。
  121. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) ちょっと訂正をさしていただきます。工場数数千というふうに申し上げたんですが、これは飲用乳のみをやっておる工場を含めて申し上げましたので、これは加工原料乳についての数量把握でございますので、乳製品工場に限って問題とすべきで、その数は二百六十工場ということでございますので、訂正さしていただきます。
  122. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私は関連して伺うんですが、法律の提案理由説明にもあるように、加工原料乳地帯の生乳市乳化促進をはかるということが本法案の大きな眼目となって、それを具体化する施策の一環として、不足払いというふうなうたい方になっておりますが、この前提となる基本方針、いわゆる市乳化促進が大々的に今後推進されるということは、この対象の市乳地域に対する供給量が逐次増大していくという結果をもたらすと、これはまあ当然のことですね。で、さらに加工原料乳地帯では、この乳製品加工採算価格に基づくところの基準取引価格がここで法制化される。そういうことになって、メーカーとしてはきわめて有利な価格条件が構成されるわけですから、そういう有利な価格条件が構成された場合に、取引が非常に従来よりも容易になってくる。そうなると、積極的にメーカーとしては脱粉の生産というものに入ってくる、そうして還元乳というものとなってこれが、再び市場に出回る、そうして供給量の増大に一そう拍車をかける、そういうことになるわけです。その結果、市乳地帯の価格が抑えられて低落することが当然出てくる。そのことはまた直ちに加工原料乳地帯にはね返って、保証価格あるいは基準取引価格に影響を必ずまた連鎖反応として与えていくわけです。こういう結果まで見通してくれば、好むと好まざるとにかかわらず、本法案の趣旨が矛盾する結果を招来するということになると思うが、この点は一体どういうふうに全体の動向の上にこの法律を考えておるのか、また運用はどうなのか。関連ですからついでに伺いますが、したがって、このことを未然に防止するために、飲用乳の価格支持について特別なる施策をまた講じなければならぬということが当然考えられるわけですが、これらについてひとつ納得のいく答弁をまず要求します。具体的に。
  123. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 加工原料乳地帯におきまして加工原料乳に対する不足払いを行なうということにいたしますと、不足払い部分は基準取引価格以上に酪農民の所得の向上に貢献するということになり、一方、乳製品のメーカーとしては基準取引価格という加工採算価格、つまり乳製品の市況が安定指標価格という水準に安定するならば採算がとれるはずだという、そういう価格で取引をされることになるわけであります。この基準取引価格の算定は、メーカーの標準的な経費というものを販売価格から差し引いたものでございますから、したがって、安定状態のもとにおいて採算をとれるという意味におきましては、これはメーカーも経営上の利点があるということは認めざるを得ないと思います。しかしながら、需給事情のいかんによりましては安定指標価格を完全に保持するというわけにもまいらぬ事態も起こってくる。で、これをささえます畜産振興事業団の買い出動というものが安定指標価格そのものを支持するのではないという点に幅があるわけでございまして、そういう意味で、常に有利を保証されるという性質ではないということが言えると思います、それから、そういう状態であれば、飲用乳に向けるべきものを加工乳に向けたって、そして脱脂粉乳で還元乳をつくって売るということが起こるのではないかというお話でございますが、現在の価格関係において飲用乳を避けて加工原料乳のみに回す、脱粉をつくって還元乳をつくることが有利であるという価格関係は私はあり得ないと思うのでございます。また、そういう脱脂粉乳に一度転換をいたしましたものを、飲用乳地帯で加工還元牛乳にするということは、絶無と私は言い得ないと思いますが、それはむしろ飲用乳の不足状態に対する調整措置としてメーカーがとるであろう、このことは必ずしもメーカーの採算の有利性からではなくて、むしろ企業としての安定的な飲用乳の供給の補充的な方法として用うべきであるというふうに理解をすべきであると思うのであります。飲用乳の需要を満たし、かつ乳製品生産が過大になるということがありとするならば、それは生乳全体の生産が総需要見通しよりも多いというときにだけあり得るということでありまして、むしろ私どもとしては、そういうような状態は現在の日本酪農の諸情勢から見て、国内問題に関する限り起こり得るということはほとんど考えられないというふうに思っております。
  124. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 関連質問ですけれども、いまの点は非常にむずかしい問題だと思うんですよ。飲用乳の場合は四季的に違うと思うんですよ、消費が。そうでしょう、たとえば冬と夏はだいぶん違いますね。そういう面からいって完全にその加工乳との掌握があなたのほうでできるという、もっと具体的な、たとえば四季的に違うものの契約をしておいた、いまは非常に飲用乳のほうが売れ行きが多くて加工乳は少なくていかぬ、そういう操作ですね。これは政府がそういうふうに契約を結ばせてやるんですか。その点はどうなるんです。契約からくる問題ですね。
  125. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) この制度のもとにおきましては、指定生乳生産者団体が乳業者と契約をいたします場合の契約方式として、用途別の取引をするということを不足払いの前提として要求することにいたしております、省令の規定によりまして。でございますが、飲用乳になるか加工乳になるかは、工場に入りました乳がどういうふうに現実に使われたというときにはじめて飲用乳の数量がきまり加工乳の数量がきまる。その結果に基づいて対価の支払いが行なわれ、また不足払いも行なわれてくるということに相なりますので、高山先生がおっしゃいましたように夏場、冬場の飲用乳比率の変動に応じて加工乳向けの原料乳の数量が変わってくるということは、これは結果として出てくる、これは日本の現在の飲用乳の消費実態から見まして避けがたいところであると思うのでございます。でございますので、冬場の飲用乳の消費の少ないときには、これは不足払いを受ける加工乳のウエートが大きく、夏場は加工乳のウエートが少ないという結果になると思うのであります。
  126. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 掌握できるというわけですね。
  127. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) その点は、先ほど来申し上げておりますように、現在の乳業施設、なかんずく、加工乳と飲用乳と施設して併設しております限りの工場において、私は可能である、私どもとしては自信が持てるというふうに考えております。
  128. 矢山有作

    矢山有作君 いま局長が渡辺委員に対する答弁の中で、脱粉を還元乳として出していくということは、採算上、必ずしも生乳との関係で行なわれるとは限らぬ、こういうようなことを言われたんだろうと思うのですが、これはやはり、いわゆる基準取引価格——脱粉なら脱粉に向く乳をメーカーが何ぼで買うかというようなことにも関連してくる問題ですわね。将来の基準・取引価格にこれは関連が出てくるから、そこまで問題を発展させると、すぐいまの問題を解明することにならぬから、それはそれとして、現在における乳製品向けの加工原料乳現実の取引価格で脱粉にして、それを還元乳にした場合と、それから、現存、市乳向けとして取引されておる乳を加工して処理して、市乳として出した場合と、具体的に採算上どうなんですか、それは調べておられますか。
  129. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 現在の原料乳価格としての、取引価格水準で、まず標準的なものということを考えますと、一・八七五キログラム当たり五十七、八円というものが、基準的なものと一応考えられる。そういう前提に立ちまして脱脂粉乳をつくり、その脱脂粉乳を還元乳にするということにいたしました場合に、どのくらいのメーカー段階におけるコストになるかということでございますが、実は厳密にいいまして、なかなか、いまのところ捕捉しにくい面があるわけです。と申しますのは、還元乳固有で売っていない、これは一種の調整乳として用いているといを点に、捕捉のむずかしい点があるわけでございますが、形式的な計算をいたしますと、脱粉からの還元乳のコストは、大体一・八七五キログラム当たり九十円前後ではないかというふうに私どもとしては考えております。
  130. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、その九十円というのは、市乳向けの乳を買って処理して、市乳でメーカーが出す場合の値段と比較してどうなんですか、メーカーにとっての有利性は。
  131. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) これは処理段階以前のコストを申し上げましたので、現在、いろいろ飲用乳についての用途別取引というのが一般的でございませんために、比較のむずかしい点があるわけでございますが、九州の用途別取引等を参照をいたしてみますると、九州の地域における飲用乳向け原料乳の価格水準は、大体八十二、三円のようでございます。でございますので、ただいま申し上げましたように、これを確保いたしまして、十一円四十銭または十一円五十銭という水準で売っておるのでございますが、中間の処理コストは、おおむね還元乳の場合も同様のようでございます。でございますので、現段階におきましては、還元乳の処理というのは、メーカーにとって、飲用乳の処理に比して有利ではないということはいえると思うのであります。
  132. 矢山有作

    矢山有作君 現在有利ではない、こういうことですがね、しかし、そのことは、先ほども言いましたように、将来の基準取引価格がどうなっているか、これは、乳製品の輸入の問題にも開運もありましょうし、いろんな要素がからんできますから、これはわかりませんがね、私は、永久に将来、還元乳として出したのが、市乳でやったよりも、メーカーにとっては不利ということはいえぬと思うのです。そういう状態が来たときに、やはり還元乳というのがどんどん出回るという事態が予想される。そうすれば、市乳化促進といっていることは、先ほど渡辺委員の御指摘のように趣旨が貫けないような事態が起こるのじゃないかということを言っておるわけですが、これに対しては、あなたのほうも専門家だから、十分よく御存じなので、そういうような対策というものは十分考えておいてほしいと思うのです。  それから、この不足払い法案は、当分の間の法案ということで、いわゆる暫定法という形をとっておるわけですが、「当分の間」というのは、一体どのくらいの期間を予想してこの法律をつくっておるのか、そうして、また、その期間内に、一体酪農の姿というのが、どういうふうになっていくと考えているのか。そういう点が、やはり今後の酪農のあり方を考える上で重要な問題と思いますので、関連さして「当分の間」というのは、大体どのくらいの間を考え、そうしてその間に、日本酪農のあるべき姿というのは、どういうふうになるという想定をして言っておられるのか、これを具体的にひとつ示していただきたい。
  133. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) この法律で「当分の間」と申しておりますのは、現在の乳製品需給事情が変動を続けていくに違いない、客観的にそう思われる。で、現状においては、乳製品向けの加工原料乳のウエートが四五%程度、飲用乳が五五%ということで、飲用乳地帯、加工乳地帯というものの需給事情というものが非常に違った形になっておるという事情が一つある。また、日本乳製品の価格水準は、外国のものに対して割り高な状態にあって、したがって、対外競争力も乏しい状態にある。また、日本酪農経営は、逐次拡大を遂げつつ合理化を進めておるわけでありますが、なお、一、二頭飼いというような零細な経営規模が六割に近いものがあるといったような過渡段階にありますので、飲用乳、加工乳製品の需給事情が安定的状態に達する時期、また、国際競争力について、ある程度の国の保護措置のもとで競争力が得られる、あるいはまた、酪農経営についても、主業的な酪農あるいは複合酪農を基幹部門とする経営が一般的となって、農業部門においても安定的な位置を占めるというふうな事態になれば、加工原料乳についての不足払い制度というのが、少なくともそういう状態になったとすれば、荷検討を要する時期になるはずである、そういう意味で「当分の間」という用語をつかっておるのであります。で、この「当分の間」というのは、どのくらいの期間かということでございますが、具体的に私どもは、これを五年間とか、あるいは十年間とかいうふうに考えておるのではございませんで、この制度によって、日本酪農生産の安定と拡大をはかっていくという必要のある限り、この法案によって施策を進めてまいりたいというふうに思っておるわけであります。したがって、そういう限定的な期間を考えておりませんから、その時期における日本酪農の姿はどうなるかという御質問につきましては、むしろ、循環論法的なお話になるわけでございまして、お答えをいたしかねます。ただ、なるべくすみやかに、酪農家のためにも、日本の消費者のためにも、加工原料乳不足払いというものを必要とせず、かつそれぞれが安定し得るという時期を持ちたいという意欲を持っておるのでございます。
  134. 矢山有作

    矢山有作君 きわめて政治的な答弁でね、これは大臣がそういう答弁をする、政務次官がするのなら、またこれは話は別ですが、しかし、まあ一応飲用乳について需給の均衡が安定をし、酪農や乳業の生産性が向上したり、飲用乳比率が高まったとき——まあきわめて抽象的な説明ですわね。われわれは頭が悪いから、そういうときの酪農の姿というのはどういうふうなのかということがよくわからないし、また、そういう段階に持っていくのに何年かかるかわからぬと、こうおっしゃるんですね。「当分の間」というのは何年かかるかわからぬというんじゃ、これはあなたがいまおっしゃったような抽象的な段階に持っていくのに積極的な何らの施策も講じないで、じっと手をこまねいて待っておるんですか。待っておるんなら、それは何年かかるかわからぬということになるのかもしれぬ。しかし、少なくともいまおっしゃったような説明、いわゆる抽象的ではあるにしても、そういうような状態日本酪農というものを持っていくのについては、具体的にはこういう施策をもってやっていくんだと、そして大体この時期を目途としてそういうことをやるんだということでなくちゃ、いつそういう姿になるかわかりませんが、というんじゃあ、これは全く雲をつかむような話で、これは答弁になりませんよ。大臣、その点どうなんですかね。当分の間というたら、いつかわからぬ。端的にいえばいつかわからぬような状態で、日本酪農を考えてもらっちゃ困るんですがな。
  135. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いま畜産局長の答弁が政治的とおっしゃいましたが、実はそういうことを私が申し上げたいと思ったのでございます。そういう意味におきまして、「当分の間」というのは非常に政治的で、これを何年間とかいったような時限で切り上げるというわけじゃなくて、実はほんとうからいえば、相当長い期間この法律を施行していきたいという考えでございます。しかし、長い期間とは申しながら、酪農生産性が上がって、国際競争力を増す——これは実際いって国際競争力において日本酪農がほかの国に勝つというようなわけには私はまいらぬと思います。しかし、まあ国際競争力を増していくという努力を続けながら、この法律を施行していくと、こういうことでございますので、確かに政治的な意味を含んでおります。最近の法律の用語でも、「当分の間」が相当長く続くのが「当分の間」でございまして、実はいろいろ政治的な折衝の結果、これを長くやらなくちゃ困るというようなこともあるので、「当分の間」とは書きましたが、まあ生産性が上がって安定するまでというような気持で書いたものでございますので、なくてもいいものなんです、ほんとうは。
  136. 矢山有作

    矢山有作君 これはすこぶる政治的な答弁で、なるほど「当分の間」というその間に、局長が説明なすったような状況に持っていくんだということ。それじゃあその「当分の間」というそういう状態になるのに何年ぐらいだというと、それは何年かかるかわからぬ。これはやはり私は言い過ぎかもしれませんが、酪農の将来のあるべき姿というものに対して自信を持って農林省が取り組んでおられぬのじゃないか。そのことがはしなくもいまの答弁に私は出てきたんじゃないかと思うんですが、それじゃあ困りますよ。これはやはり農林省としては、少なくとも苦労して現在の酪農問題点を解明し、そして将来の対策を立てて、日本酪農のほんとうの進展をはかろうというんなら、もう少し具体的な計画というものを立て、それに対する予算的な裏づけというものもしっかり確保するようにしてやっていかにゃいかぬので、それをせずにおったんでは、これはいままでどおりに、いわゆる乳業メーカーに引きずり回された酪農政策ということであって、日本農林省には酪農政策はないのだ。日本の乳業メーカーに酪農政策があるのだ、こういうことになりますから、これはそういうようなことにならぬように、これ以上言い合いっこをしてもしょうがないから、ひとつ猛省を促しまして、この問題を打ち切っておきますがね。
  137. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連矢山委員は何かきわめて簡単に猛省を促したようですが、私はやはりことばじりをつかまえるわけじゃないですがね、「当分の間」といい、法律には暫定といい、かまえ方がすっきりしないと思うのですよ。ほんとうにこのものに真正面にぶつかって、これから質疑の具体的な内容に入るわけですが、たとえば保障価格の設定、基準取引価額の問題、そういうときには関係酪農民はおそらく政府当局が考えている以上に期待が大き過ぎている。その期待にこたえるためにも、これはおそらく四十一年度の予算になるわけですが、そういう積極的な、こういう期待にこたえるためには、もっとやはり将来の展望を科学的に見通して、私はお伺いするわけですが、需給見通しなり、そういう展望の中に、一体価格はどうあって、その財政支出はどうあるかということが、農林当局でもっとしっかりしなければ、これはまた予算でちょん切られることは必至です。こんなことでは期待を裏切り、国民を裏切ることになる。「当分の間」を削り、暫定という法律の名題を削って、もっとすっきりやる用意がありますか、大臣
  138. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほど言いましたように、「当分の間」とは別に、見通しをつけ、需給計画を立て、そして価格を安定し、生産性を高めるということは、これとは別としてやっていきます。その暫定的といいますか、「当分の間」というのは、不足払いを出すということを、「当分の間」とは書きましたが、私はこれは本心を言えば相当長期間出すというかまえでいるということを申し上げたのでございます。ただ、理想的に言いまするならば、そういう不足払いの金なんかは出さないようなことになればいいのでございますから、「当分の間」とは書きましたが、実際には相当期間これは出さざるを得ないような日本酪農状況だというふうに考えているわけでございます。
  139. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、一つところで停滞しておりましても、次々問題があるのですから次に移りますが、これからお尋ねすることは、私は具体的にお示しを願いたいのです。そうしませんと、いままでの論議のように抽象的な論議を繰り返しておったのでは、くつの上から足の裏をかくような形になって、どうもぴったりこぬ。またこの法案の動き出したときの具体的な内容というものが明らかになりませんので、これからお尋ねすることは、少々御無理がありましょうとも、具体的にお答えを願うということを、まず最初に注文をしておきたい。というのは、先般の本会議でもこれはお尋ねしたのですが、私はこの不足払い法案の中身を一番端的に示してもらうためには、何といっても加工原料乳の保証価格、それから保証対象数量、それから基準取引価格、それから指定乳製品の安定指標価格、さらに、それらから算出される生産者補給金の額、それからまた乳製品の輸入差益金が大体どのくらいになって、補給金財源にどのくらい充当するのか、こういう問題について先般の本会議におきましても、これからの見通しでなしに、いままでの実績があるのですから、その実績を踏まえて計算をしていただけば計算ができるはずだから、それをお示し願いたいと、こう申し上げたのです。したがって、私は、これからの見込みはよろしいから、いままでの実績の中で、それを具体的にひとつ算式なり、あるいはそれからはじき出される数字をいうものを示していただきたい。それを聞くと、大臣の本会議での答弁のように、これは畜産物価格審議会にかけてきめることだから、いまはお答えできません、とおっしゃると思う。ところが、審議会には、いつも農林省のほうでちゃんとごていねいに算式を二つか三つか示して、そして、こういうふうにやりますとこういうふうになりますと言って相談をかけてこられるのですから、そうすれば、当然私は、いま言った問題についてもそれがやれないはずはないと思う。したがって、それを具体的に示していただく、そうすることによって、大体この法案の全貌というものが明らかになりますから、それを踏まえて次の議論を進めていきたい、こういうふうに考えるわけです。
  140. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) まず、この加工原料乳生産者補給金等の暫定措置法におきます制度上の価格あるいは対象数量の問題について御質問があったわけでございますが、たいへん広範な御質問でございますので、まず、その性格なり、基本的な考え方から御説明をしてまいりたいと思います。
  141. 矢山有作

    矢山有作君 考え方等の説明というのはあとでよいから、大体保証価格はこういうふうなきめ方をするのだ、保証対象数量はこういうきめ方をするのだ、基準取引価格はこういうきめ方をするのだということは、法案に示してありますから、この法案に従って当局でどういう算式をとり、どういう数字をはじき出すのか、それを具体的に示していただけばそれでよいわけです。考え方についていろいろお伺いせぬでも、考え方というものは、いままで大体いろいろな機会に伺って聞いておりますから、具体的な算式と数字を示していただきたい。
  142. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  143. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を始めて。  それでは暫時休憩いたします。    午後五時五十七分休憩      —————・—————    午後九時十三分開会
  144. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから委員会を再開いたします。  酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案、  以上両案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、両案に対し質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、発言願います。
  145. 矢山有作

    矢山有作君 休憩前に私のほうからお尋ねしておることに対して御答弁が願いたい。しかも時間が大体十一時までぐらいしかないですから、要領よくまとめて、簡明にわかりやすくひとつ答えていただきたい。
  146. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) この法案におきまする保証価格、基準取引価格、安定指標価格、保証の対象となります加工原料乳の限度数量というものを具体的にどう算定するつもりかという御質問でございまして、現実に具体的な結論を出しますためには、算定方式の決定、政府部内における検討、価格審議会の意見の聴取、そういう過程を経て出るのでございますが、現段階においてどういう考え方で運用してまいるかという点について御説明をいたしたいと存じます。  保証価格につきましては、法案にもございますように、主要加工原料に再生産の確保を旨とするということでございますので、現実の方法としては、主要加工原料乳地帯の過去一定期間における生産費の各構成要素の趨勢によって算出する方法が一つ。それから第二は、主要加工原料乳地帯における平均生産費をとる方法。第三番目は、主要加工原料乳地帯における標準飼養規模、もしくは価格決定年度の平均飼養規模生産費をとる方法等が考えられるのでございますが、いずれの方法が最も現状においてこの制度の趣旨に合致するかという点は、先ほど申し上げたように諸手続を経た上で価格の決定をいたしてまいりたいというふうに考えております。この際、御審議の参考となり得るものは、従来、価格審議会におきまして政府から参考資料として提示をしてまいりました主要加工原料乳地帯における生産費に、集送乳経費を加えた算式が一つ目安になるのではないかというふうに考えております。  次に、基準取引価格の決定の考え方でございますが、主要な乳製品のうち指定乳製品につきましては、その安定指標価格から製造及び販売に関する標準的な費用の額を控除する、その他の乳製品につきましては、具体的な市場における販売価格から標準的な費用を控除して算出された額を、それぞれの乳製品に消費される乳量で加重平均して求められた額を基準として定めてまいりたいというふうに考えております。これは簡単に申し上げれば、需給実勢に基づく加工採算乳価というものを用いたいという考え方でございます。  次に、安定指標価格の決定方式としては、指定乳製品需給実勢価格を基準といたしまして、酪農及び乳業の合理化の進展の度合い等を参酌いたしまして、乳製品の消費の安定普及に資するように定める方針で、具体的には過去一定年間、つまり乳製品の価格サイクルであります三年半もしくは二サイクルをとりまして七年という期間における乳製品の価格の平均を算出しまして、それを最近時の物価指数で修正して得た額を基準として定めてまいるという方法をとりたいと思っております。  第四番目に、限度数量でございますが、限度数量につきましては、なぜ限度数量をおくかという趣旨については御理解をいただいておるというふうに考えますので、その点は省略いたしまして、この数量の算定の方法としては、一つは、乳製品の当該年度における需要見込み量というものを求めまして、それに必要な生乳の総数量というものを一つ指標として求める。いま一つ指標としては、生乳生産数量を過去の実績趨勢から求めまして、そのうち加工原料乳の比率というものの趨勢をとりまして、それによって加工原料乳に充てられるべき数量というものを求める。この二つ指標から、生産者にとって保証を要する不足払いを実施すべき必要数量あるいは生産者にとって生産のメルクマールとなるべき数量という思想を織り込んできめてまいるというふうにいたしてまいりたいと思っております。  なお御質問の際に、渡辺先生からつけ加えて、衆議院における私の発言の中で、この法案の実施に際して、四十一年度の所要財源としては四十億ないし五十億円程度を必要とするという発言があったが、その根拠を示せというお話でございました。衆議院におきましての私の発言の際にも、これは種々のデータというものがそろわない段階で推測をいたしますので、いわば行政的な勘に基づいた数字であるということで御理解を願いたいというお断わりをいたしておるのでございますが、行政的な推測ということで申し上げました一つの根拠としては、保証価格につきましてはただいま申し上げました四十年度の現行法による安定基準価格算定の際に提出しました主産地における生乳の推定生産費に輸送経費を加えたものの総額が、キログラム当たり三十五円九銭、一升に直しますと六十五円七十九銭という数字になっておりますので、これをかりに保証価格の一つのめどに置いて見る。さらに、基準取引価格につきましては、基準取引価格を誘導いたしますもとの乳製品の範囲が変わってまいりますので、厳密な計算の結果でないと断定はできないのでございますが、おおむね私の勘としては、現行の安定基準価格の水準よりやや上回る程度ではないだろうかというふうに考えるのでございます。これが一キログラム当たり三十円四十銭ということでございまして、一升に面して五十七円ということで告示をしているわけでございます。こういたしますと、この差額がかりに不足払い一つの数字というふうに考えますと、あとは保証を要する数量をどのくらいに見るかということが残るのでございますが、四十年度の見込み生産数量から飲用向け数量、それから自家消費数量及び二次加工品等の、この法律による主要な乳製品として政令で定めるつもりのないものを差っ引きますと、おおむね百万トン程度になるのではないだろうかというふうに推測がされるのであります。そういう計算をいたしますと、不足払い単価が、この数字をとりますと約キログラム当たり四円六十九銭というような数字が出るわけでございます。でございますので、それに数量を約百万トンというふうに大ざっぱに考えますと、所要不足払いの総額が四十六億九千万円というような数字に相なりますので、これが厳密な計算の結果、あるいはデータによる修正要因の変動というようなことを考えますと、四十億ないし五十億ということを一応われわれとしては、この際、四十一年度の財源措置というものを考えます場合には、頭に置いてよいのではないかという気持ちから申し上げたのであります。一応御説明を終わります。  それからちょっと申し落としましたが、輸入差益が過去の実績でどのくらい出ることになるかという御質問でございましたので、あわせてお答えをいたしておきます。昭和三十九年の乳製品の輸入実績は、金額にいたしまして百二十億円でございます。そのうち大口の輸入品目は、学校給食用の脱脂粉乳約五十億、それからミルクカゼインが二十七億四千万、乳糖が十八億三千万ということでございまして、これらの品目は輸入差益を生むべき品目ではございませんので、残る主要な品目で輸入一元化の対象にいたしたいと考えておりますものは、ホテル等で輸入いたしておりますバター、練乳類、粉乳類、それからホエーパウダーというようなものでございまして、それらの輸入総額は約四億といをことでございまして、それから生ずるであろう差益を計算いたしますと、非常に大ざっぱな計算でございますが、二千万円前後ということで、ほとんど輸入差益としてはネグリジブルなものになるということでございます。
  147. 矢山有作

    矢山有作君 いま大ざっぱな説明をいただいたわけですが、本来ならこれら問題についてもう少し突っ込んでお聞きしたいのですが、とてもそういう時間的余裕はありませんので、以下簡単に、個々の問題についてお尋ねをします。  一つは、先ほども保証価格の算定の方式を三つほど述べられたわけですが、大臣は衆議院における答弁で、保証価格は主要加工原料乳地帯の生産費を基準として定めるが、その場合の労賃部分については都市製造労賃をとるわけにはいかぬしかし、対象地域の他産業労賃と均衡する方針で考えたい、こういうふうな答弁をしておられるようです。しかし、私は少なくとも農業と他産業との所得の格差を解消するという場合に、都市製造労賃をとるわけにはいかぬ、という考え方にそもそも問題がある。対象地域の他産業労賃と均衡する労賃ということになると、都市労賃に比べて私はかなり下回るのではないかと思うのですが、むしろ、所得格差の解消という方向で問題を考えていくならば、当然、都市製造労賃並みの労賃で考えるべきだと思うのですけれども、一体、都市製造労賃並みに考えた場合と、あなたのおっしゃる対象地域の他産業労賃並みに考えた場合と、どのくらいな実質的に差が出てまいりますか。
  148. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まだ統計その他そろっておりませんので、その差がどのくらい出るかということは、いま、にわかに御答弁できないのでございます。
  149. 矢山有作

    矢山有作君 大臣は、そういう数字に立ち入っての問題だから、すぐ御答弁できないということもわからぬではありません。しかし、少なくとも事務当局にはそのくらいのことはわかっているはずです。都市製造労賃をとった場合にはどのくらいに考えられるか、それから対象地域の他産業労賃に均衡する数字をとった場合はどのくらいに考えられるか、これは一つの保証価格をきめる上の大事な点ですから、明らかにしておいてほしいのです。
  150. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 都市均衡労賃といいますか、製造業従事者との労賃の均衡をはかる、いわゆる米価に用いられるような数字を用いますと、昭和四十年度の場合、労賃の時間当たり単価としては百六十二円三十銭という数字を価格、審議会に提出をいたしておるのでございます。いまお話に出ました当該地域における労賃との均衡という問題は、私も、大臣の政治的な理念としての御発言として理解をいたしておるのでございますが、具体的に生乳生産の調査をいたします地域の労賃の水準というのは、統計資料としても、現段階においても、あるいは将来においてもなかなか簡単につかめないのではないかと思うのでありますが、少なくとも私ども今日の段階において把握することは不可能でございます。したがいまして、それを対比するということはいたしかねますので、なお、私どももこれは将来の価格算定方式を検討する際の問題点として、勉強はいたしたいと思いますが、本日、ここで御説明することは事実上できないのでございます。
  151. 矢山有作

    矢山有作君 あなた、大臣がせっかくこの保証価格を算定する場合に、少なくとも対象地域の他産業労賃と均衡するものを考えていくという答弁をしておるのに、それを政治的な理念としての発言だということになると、これは実際にやるという意思はないということになるでしょう、裏返しに解すれば。大臣はこれをやるという意味で私は発言しているのだろうと思う。これに関連して、大臣の答弁と、私の聞くところでは、衆議院におけるこれに対する畜産掛長の答弁はだいぶ違っておったと思うのです。畜産局長、衆議院で一体この問題に対してどういう答弁をなさったか。あなたが答弁なさったから、あなたの口から言ってもらったほうが、私が言うよりもはっきりします。
  152. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 現在までの段階で、政府の事務当局間における理解のしかたとしては、不足払いを実施いたします場合の保証価格を現段階において考えるならば、生乳生産実態なり、あるいは流通の事情等を考えますと、この生産費の扱いについては、農林省が統計調査事務を通じて把握いたしております主要加工原料乳地帯における、いわゆる生産費の基準として考えることが、私としては今日の段階としては妥当なのではないか、そういうふうに事務的には考えてまいっておりますということを御説明いたしております。
  153. 矢山有作

    矢山有作君 そのときに、労賃部分に対してどういうふうに見るかということで、あなたは具体的に答えておられるはずです、具体的にそれをおっしゃっていただきたい。
  154. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 現段階におきましては、私は、農村における労賃の市場価格というものを把握する最も統計的に自信のあります農村臨時雇用賃金というものをもって充てて、この数字が現在の農村事情のもとでは、その地域における農業労賃を代表するものとしては適当な方法であり、その結果も、われわれとして行政的に使用し得るものであるというふうな意味のお答えをしております。
  155. 矢山有作

    矢山有作君 それで、あなたのそういう労賃部分として農村における臨時雇用賃金並みのものを考えるということが、衆議院の段階では、保証価格のきめ方として問題になったはずです。問題になった結果、大臣が、対象地域の他産業労賃と均衡するような方向で考えたいという答弁をなさったはずなんです。そうすると、これは労賃部分の取り方については、明らかに考え方の相違が出てきているはずです。だから、あなたがお答えになった臨時雇用賃金をとった場合の労賃部分は何ぼに見えるか。それから、あなたは、政治的な理念として大臣が述べられたのだろうとおっしゃいますが、大臣の発言によって出てきた労賃を考えた場合に、何ぼになるのか。そのくらいのことは、少なくとも大臣が発言したのだから、あなたとしては、あなたのお考えが大臣の発言によって訂正されたというふうに受け取らざるを得ぬだろうし、少なくとも、政治的理念として発言したにしても、大臣の口から出たのだから、そうすればあなたが従来考えておった水準より、大臣の発言で改められた水準と比較して高いのだということは、すぐ検討なさるのが事務当局の当然の姿であるべきです。それは当然私は検討されたのだろうと信じている。それをひとつ比較してみてください。あなたが言われた、臨時雇用賃金をとった場合の労賃部分がどれくらいになり、大臣が言った、対象地域の他産業労賃と均衡するようなものは何ぼになるのか。それを数字で示してください。
  156. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私がただいま申し上げましたような御説明、答弁をいたしたのでございますが、私も若干私の発言にややかたくなな感がありましたことは、当時直ちに実は、反省をしたのでございますが、それは二面あると思っているのでございます。一つは、労賃をいかに評価すべきかということ自身が、これはこの法律施行後、政府内部の協議なり、あるいは——あるいはといいますか、最終的には価格審議会の意見を聞いてきめるべきことでありまして、ただ、現段階で私はその水準は妥当なのではないかという趣旨を申し上げた。それからもう一点は、白衣労賃の評価をいかにすべきかということが、当該農作物の価格制度の本旨というものに照らして、あるいは、それを取り巻く経済諸環境、生産の事情等によって弾力的に考えられる性質のものであるという点が、あたかも固定的な観念であるべきだというふうに説明として受け取られた点については、これは私としても十分な説明でなかったというふうに理解をいたしているのでございます。前置きが長くなりましたが、私が申し上げるような算出を、かりに、四十年度の価格審議会の際に提出いたします資料に基づいて求めますと、労賃評価は時間当たり九十四円九十七銭という数字に相なるのでございます。これに対しまして、大臣一つ方向としての、こういうことを考えることが自分としては適当であると思うというふうな御発言がありました当該区域の労賃との均衝という場合の当該区域の労賃というものは、少なくとも現段階において把握のしようがないのでございます。私どもは、大臣の御発言がありました限り、その方法をとる、とらぬは別にしても、お話しのように、勉強をいたすべきでございますが、勉強すべきデータが把握できないものでございますので、私が発言をしました方式による九十四円何がしというものと対比する数字を出すことができないのでございます。
  157. 矢山有作

    矢山有作君 大臣、これは重要な問題なんです。保証価格のきめ方については、きょう酪農団体の代表者の方もたくさん心配して傍聴にきておられるようですが、私は、代表者の方々の意見を聞いたのでは、衆議院において大臣が、対衆地域の他産業労賃と均衡するような方向で保証価格における労賃部分を考えていきたいという発言をなさったということで、非常に喜んでおられる。これは、局長答弁より何歩も前進した。これで、保証価格というものは相当高いところに持っていかれるということで、率直に、すなおに喜んでおられる。その後、いまの局長の答弁を聞いていると、大臣の答弁は政治的な理念としての発言であるということになり、さらに、とる、とらぬは別だということになり、しかも、実態は把握はできておらぬということになると、これは一体、大臣、どういうふうに考えたらいいのですか。私は、おそらく酪農民の方は、衆議院に傍聴に行かれて、局長の言っている部分より相当前進したといって喜んでいるのですが、これは政治的な理念の発言だけで済む問題ですか、私は済まぬと思うので、皆さんを裏切らぬように、率直に言ってもらいたい。というのは、あなたも御承知のように、かつて畜安法の施行のときに、安定基準価格の問題のときに、当初畜産局が考えておった考え方ではいかぬということで、国会において修正がなされた。そして安定基準価格のきめ方というものがきめられたにもかかわらず、依然として、その後の畜産局から出た局長名による指導通達では、当初の畜産局の考え方というものを固執して、安定基準価格というものは最低のものとして、それ以下には下げないようにという考え方をとらないで、それはあくまでも中心的なもので、その上下の幅の中で安定さしていくのだという行政指導をずっとやってきたわけです。そういう過去の実態に徴しても、いまの局長の答弁に徴しても、私は、この保証価格のきめ方のときに、労賃部分の算定というものが、将来あくまでも局長がおっしゃった線で押し切られるおそれがあるということを、私は率直に疑念として持っているわけです。ですから、それがないとおっしゃるなら、大臣の責任において、いわゆる農村の臨時雇用賃金なんというものは考えないのだ、それよりもこれだけ前進した他産業労賃と均衡するものを考えていくのだということを、明確にここでもう一ぺんしてもらいたい。そうぜんと、これはたいへん大きな、将来に影響を残す問題ですから。
  158. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 畜産局長も答弁申し上げているように、実際の統計がないと、そういうことで農村地帯における臨時雇用賃金を労賃の換算に使う、こういうことを言っておるのでございますが、私は、この臨時雇用賃金がはたして、他の労賃と比較して高いか安いかということは、問題だと思います。そのとり方によります。非常に高いときもあるし、非常に安いときもある。それで、統計上はそういうものしか出ていないけれども、こういうものをとるということは、不安定といいますか、高いところをとるか、低いところをとるかということで、非常にまずいと思います。そういう意味で、その区域の労賃というものの把握が、いま統計主ないそうでございます。しかし、これは把握すれば、実態は把握でき得るものだと思います。でございますので、やはり主要加工原料地帯における労賃というもの、製造業の労賃というものを把握して、そうして、そういうものできめていく、計算の基礎にとっていくということが妥当じゃないか、そういうふうにしたいと私は考えておりますが、いまのところは、その実態の把握がないということで、畜産局長もそういう御答弁をしたいと思います。
  159. 矢山有作

    矢山有作君 それで、なるほど、とり方によって他産業労賃と均衡するといっても、臨時雇用賃金より安くなる場合もあるかもしれぬということですね。それは、確かにとり方によっては、そういうことも起こると思うのです。ところが、私は、あなたがなさった衆議院での答弁というのは、おそらく臨時雇用賃金をとったんでは、保証価格としては十分なものにならぬから、それよりも高い水準に持っていこうという意味で答えられたと思うし、尋ねるほうも、そういう意味で私は尋ねておると思うのです。そうすれば、なるほど、とり方によって低くもなり、高くもなるでしょうが、将来、高い方向でとってもらわぬと、酪農民のほうは、みんな高くなると思って、ほうほうといって喜んでおるのですからね。これが低いほうになったりしたら、たいへんなことですよ。それで、単なる政治理念でなしに、高い方向でとるのだということを、まず、私は明らかにしてもらいたい。それから、所得格差の解消を言うのであるならば、その対象地域の他産業労賃と均衡する云々というようなことでは、むしろ不十分なんじゃないか。大体、原料乳の主要生産地の労賃というものは、一般的に考えてそう高くもないだろうと思うのですがね。むしろ、先ほども数字で示されたように、具体的にどういう基準をとられたかしらぬが、都市労賃というものは、時間当たり百六十二円三十銭といわれておる。私はむしろ、所得格差の解消という立場からいくならば、都市労賃というものをとっていくべきだと思うのです。その点で二つあるわけですね。あなたの言われたものが、畜産局長の言っているものよりも低くなっちゃ困るのだ、あなたは高くなる方向で発言されておるのだから、畜産局長が言っておるものよりも、労賃部分のとり方は必ず高くなるのだということを確約してもらいたいということが一つ。それよりも、むしろ、さらに進んで、都市労賃並みのものを考えてもらいたいということが一つ、その点どうですか。
  160. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 保証するのには、合理的といいますか、妥当な考え方が必要だと思います。私は、私の考え方のほうが高くなるだろうとは思いますが、わざわざ高くするためにそれをとるということでなくて、やはり妥当だ、あるいは合理的だというような標準をとるのが至当だと、こう思います。  それから、都市の価格、いまの米のように、生産費所得補償方式のような、都市の製造業と同じような労賃で検算しろと、こういうことでございますが、これは、生産性を無視して一気にそういう価格をとるということは、生産性を向上させなくちゃならぬような段階におきまして、私はまだ考えなくちゃならぬ問題だと思います。米のように生産性も相当上がって、そうして都市の製造業者の労賃をもって自家労働力を換算するというような段階までは、まだ、残念ながら酪農生産性は向上しておらない、そのときに、そういう価格で保証をするというようなことにすることは、酪農の将来の振興につきまして、まだ考えるべき点が残っておる、こういうふうに考えますので、都市の製造業者の労働賃金をとるにはまだ早いと考えます。
  161. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、端的に言うと、こういうことになりますね。衆議院の論議を通じて一般の酪農民は、これは労賃部分の算定が、農村の臨時雇用賃金を考えられた、その局長の考えたよりも高くなるといって非常に喜んでいるわけですが、実態は、調べてみると、はたして高くなるか高くならぬかわからない、これが結論ということになるわけですね。そう確認してよろしいか。
  162. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まだ計算してみませんから、高くなるか安くなるかわかりませんけれども、高くなるという保証はありませんが、まあ高くなるだろうとは考えております。
  163. 矢山有作

    矢山有作君 それともう一つ、あなたは、都市労賃をとるべきじゃないかということに関連して、生産性の向上が十分できてないから、都市労賃をとるのは、むしろ、いま時期尚早だと、こういう意味の発言をなさったと思うのですがね。生産性が向上できてないからこそ、都市労賃で保証価格というものを考えて、そうして、農民の所得というものを十分に確保するという前提の上に立って、それから、生産性を向上するようにやっていくというのが本筋なのであって、生産性が向上できてないからといって、所得を十分償わないような低乳価を押しつけておいて、そうして、あごを台の上に乗せながら、さあ生産性の向上をはかれはかれというのは、これはむしろ逆なんじゃないですか。むしろ、生産性の向上をはからせようとするならば、当面、農民の所得を確保するという前提を確立しておいて、それから生産性の向上をはからしていく、そうして生産性が向上すれば、それに応じて農民の所得を確保するという前提を守りながら、低減というものができていくと思うのです。そういうふうに考えていくのが順序じゃないですか。まず、農民ののど首を締め上げておいて、そうして、生産性の向上をやらして、生産性の向上ができたら、都市労賃並みに考えるのだというふうな考え方をとられるのは、私は逆じゃないかと思うのですがね。
  164. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ほうっておくのならば、のど首を締めるというような御非難もあるかと思います。しかし、再生産を確保する労働賃金を与えるということでございますから、決して、のど首を締めておいて生産性を向上しろというようなことには相ならぬと思います。しかし、いわゆる酪農におきましても、これはコスト低下等を考えなくちゃならぬ問題が相当あると思います。そういうものを、コストはどれほどかかってもいい、都会の合理化された製造業者と同じ賃金を、不合理のままであっても、それをいつでも保証しなくちゃならぬというようなことでは、やはり酪農の伸展というものはないと思います。やはり働けば働いたそれだけ、あるいは合理化すれば合理化しただけ、保証価格において保証される、こういうことがやはり酪農の、長い目といいますか、伸展から見まして、私は必要なことだと思います。
  165. 矢山有作

    矢山有作君 一つところで常々めぐりしておってもしょうがありませんから、これで終わりますがね、ただ、言いたいことは、再生産を確保する価格を保証するのなら、のど首を締めることにはならぬとおっしゃるけれども、いままでの畜安法に従ってきめられた安定基準価格に対しても、再生産を確保するのだということを大きくうたいながらきめられてきたわけです。ところが、現実には、それが再生産を確保する価格でなかったということは、酪農実態が示しておるとおりなんですから、そういう点で私は、そういう表現を用いたのです。それから、私は大臣の考えとはあくまでも反対なんです。私は、何も生産性が非常に低位のままでほうっておいて、いま所得を補償してやればそれでいいんだと言っておるんじゃないんで、まず所得を補償するという前提に立って、それから生産性の向上をやらしていくというのが順序じゃないかと、こういうことを言っておるわけですから、この問題でやり合っておると次にはかどりませんから、これはこれで打ち切りますが、そういう考え方でおります。  で、確認したいことは、要するに、しつこいようですが、臨時雇用賃金をとると言った局長の答弁と、大臣の対象地域の他産業労賃と均衡する形で生産費の中に労賃部分を見ていくと言ったこととは、これはどっちが高くなるか、低くなるかわからぬということだけは、大臣の答弁からはっきり出た、これだけ確認しておきます。
  166. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ちょっと関連。  私は、そういう点は確認してもしなくてもいいと思うんだが、結局、問題は、日雇い労賃というものは、私いま手元に資料ありませんがね、ありませんが、記憶にして誤りがなければ、大体最低が一日五百円から農繁期では千二百円ぐらい、平均して七百円という数字が出ているはずです。それから同じ地方の他産業の労賃というものは、大体これの倍になっておる。千四百円ぐらいになっているはずです。それで、それは資料がないというなら、大臣の答弁は、資料を整備して、大臣の考えるような方向に、私はそうありたいという答弁ですけれども、それを局長あたりの答弁と並行して確認するのじゃなくて、少なくとも大臣のその考えというものは、大臣個人の考えというふうに理解すべきじゃない。私はやはり大きな政治責任の座にある大臣はこうだ、局長はこうだなんて、そういう分立した答弁をされちゃかなわぬです。これは少なくとも大臣は、私が掌握しているデータは、少なくとも日雇い労賃と同一地域における他産業の労賃というものが、大体指数にして倍近いものが出ておるから、そういう具体的な資料がなければないなりに、すみやかに整備して、この保証価格を制定するまでの間には総動員をして、そうして大臣が衆議院で答弁したことを、保証価格算定にこれをはっきりと算入するということを、大臣は約束できますか。
  167. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いま統計とか実態の把握がありませんから、この保証価格をきめるまでには、実態を把握するように私は督励いたしたい、こう思います。
  168. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 把握するように調査をさせるんじゃなくて、調査を完了し、この発動ができるまでにそれを価格の算入に正確に織り込むということを、大臣は約束できますかどうかを聞いておる。
  169. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 実態の把握いかんによりますが、私はそういうふうにしたいと、こう思います。
  170. 矢山有作

    矢山有作君 あのね、私どもがなぜこれだけ保証価格の問題についてしつこく言っておるかということを申し上げますと、私どもの聞いておる中で、政府部内のほうで、この不足払い制度をやるのについては、いろんな議論がなされておるはずなんです。その中で一つ出ておる考え方としては、この間の本会議のときも言いましたが、保証価格については乳製品需給事情等を反映した抑制係数の採用等、不足払い額が乳製品需給実勢に関係なく増加することを抑制する仕組みを考慮すべきである、こういうような強い意見が出されておるというから、よけい保証価格のきめ方というものが将来低水準に押えられていくおそれがあるんじゃないかという心配があるので言っておるわけです。したがって、いま渡辺委員が言ったような方向大臣の発言は衆議院でなされたんだろうと思いますから、そういうことでやってもらいたい。ところが、私は大臣のいまの話を聞いておると、必ずしも上がる方向にはいかぬ。下がる場合もあるというようなことをおっしゃるから、酪農民の方が衆議院の話だけを聞いて喜んでおられるとたいへんなことになりますぞということを、たくさん傍聴に見えているので、しっかり認識しておいていただいて、今後のひとつ保証価格のきめ方のときに、大いに酪農民の人にもがんばってもらおうと思って言ったわけです。それから次は、基準取引価格の算定方式のいま御説明があったのですがね、この基準取引価格をきめる際に「主要な乳製品生産者の販売価格(指定乳製品にあっては、農林大臣が定めるその安定指標価格)から当該乳製品の製造及び販売に要する標準的な費用の額を控除した金額を基準として」というのですがね。当該乳製品の製造及び販売に要する標準的な費用の額というものは、これは具体的にどういうふうにきめていくのですか。いままでの製造価格、製造経費の掌握のしかたは、必ずしも私は十分ではなかったと思うのですが、今度はそういう不正確な掌握のしかたでは困るわけで、正確にこれを把握していかなければならぬ。具体的にどういうふうにきめていかれるのか、ひとつこの点を明らかにしておいてほしい。
  171. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 三十八年度までの乳製品加工販売費に関する調査は、確かに御指摘のように、私どもも問題が結果においてあったと思ったのでございますが、三十九年度から調査構造の対象もふやしましたし、また、加工販売費の調査の基礎となります記帳方式の統一等もはかりまして、三十九年度調査以降については、いわゆる経費のばらつきというものも非常に縮小されてきたということでございますので、さらに四十年度におきましては、この調査について、私ども一としてできる限り精細な把握につとめるということによりまして、経費の集中度の高い部分をとって、標準的な費用といたすというふうにいたしたいと思っております。
  172. 矢山有作

    矢山有作君 時間がありませんので次にいきます。安定指標価格のきめ方については、先ほど御説明いただきました。ところが、私は本会議でも申し上げたのですが、安定指標価格というものが、国際価格との見合いで低くきめられてくるというおそれはないのか、こういうことを言いましたら、そういうことはありません。国際価格の波を遮断するために、加工原料乳不足払い制度というものをやるのだからという大臣の御答弁だったのです。ところが、私は、やはり安定指標価格というもののきめ方が、国際価格というものの見合いで低くきめられていくおそれが多分にあるのではないか、こういうことを心配しております。その理由は、酪農振興対策室が、「酪農対策考え方方向」というものの中で検討されているのに、安定指標価格ということばを使ってはおりませんね。その当時は目標価格ということばを使っておりますが、その乳製品目標価格は「国際価格および国内価格を勘案して定める」という条項が入っております。それからさらに、三十九年の十二月の二日に、同じく畜産局から出した酪農振興対策大要というのがありますが、これによると「目標価格の水準については乳製品の国内消費の増進に資する見地から漸次低下をはかる」ということがいわれております。したがって、私は、安定指標価格をきめる場合に、国際価格との見合いできめられるおそれがなきにしもあらずという感を強く抱いているのですが、この場合に、絶対に国際価格との見合いできめるというようなことがないというようなことが断言できますか。
  173. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 基本的な乳製品価格のあり方としては、他のいろいろな国内条件が整うならば、日本乳製品価格も国際価格に近づいていくということが望ましいという考え方は変わらないのでございます。しかしながら、乳製品の価格について、消費の安定的増大を期し得る限界といいますか、限界については、過去の需給実勢価格というものの再現をはかれば、これは私どもとしては十分であるはずであるという結論に逆しまして、国際価格との関連とは別個に、国内における乳製品価格の、需給実勢というものに基いた安定指標価格を設けるというふうに考えておりまして、御質問のような、国際価格との関連において安定指標価格をきめるという考え方は持っておりません。
  174. 矢山有作

    矢山有作君 それではね、この点はどうですか。「酪農対策考え方方向、」ということの中で「乳製品については、貿易の自由化を行わないこととするが、開放経済への移行に伴い、今後輸入量の増大は避け難い」、こういう考え方を出して、それを前提にして、いわゆる酪農対策の今後の考え方方向というものが打ち出されてきておるわけですね。そうすると、私どもは、自由化はなるほどやらないかもしれないが、酪農製品の、非自由化の中の自由化、いわゆる自由化をしないといいながら、酪農製品がたくさん入ってくるという状態が起こってくるのではないか、こういう心配があるわけです。いままでも、学校給食川の脱粉にもそれがあったし、また、それとは性格が違うが、ナチュラルチーズ等も相当量入っている。この現実の問題として、酪農製品の輸入が増大するおそれがあるのじゃないか。酪農製品の輸入が増大することが、国内における安定指標価格というものに影響を及ぼして、これが低くなっていくのじゃないか。このことが当然予測できると思うのです。その点の関連はどうですか。
  175. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) この制度が実施をされるということが、直ちに乳製品の輸入が増大するという必然性は全くございません。ただ、日本の国内における牛乳乳製品需要というのは非常な勢いで増大をする。それに、できる限り国内での需給をはかるための生産の増大にも施策を打ってまいりたいというふうに考えますが、現在の日本酪農の事情としては、乳製品に関して不測の事態が起こるということは、これは予想をするほうが私は安全であるというふうに思うのでありまして、そのために輸入一元化策を考えたわけでございます。で、安定指標価格の線で国内乳製品の価格を安定をさせるということのために必要な限度、つまり国内の需給及び価格の安定をはかるために必要な限度においては、いわゆる輸入をする必要があり、また、そのことは、現在の国際環境のもとでは、やはり日本も国際製材の中で経済的な伸展をはかろうとする限り、必要なものを輸入をするということは事実上起こってこざるを得ないのじゃないかという考え方を持っておるのでございます。そこで、かりに国内の需給が逼迫をいたしまして輸入をいたすにしましても、あらかじめ定められました安定指標価格を基準にいたしまして、国内への放出をはかる。その際、数量、価格の調整を行なうということでございますので、輸入製品の価格いかんということが安定指標価格の水準を引き下げるというようなふうに働くことは私はないと、こういうふうに考えております。
  176. 矢山有作

    矢山有作君 まあ、こういう問題についての説明は、いろいろとできると思うのです、説明のしかたはいろいろありますから。しかし、問題はですね、やはり私はいままで検討された中で、やはり安定指標価格というものを、国際価格の動きに全然目をつぶり、あるいはまた輸入が、増大するものとの関連なしにきめられてくるとは私は考えないのです。おそらくそういう影響を受けるだろうと、そうした場合に、安定指標価格というものの低下という現象が起こってくる。そうすれば、安定指標価格というものが低下をしてくれば、自然に、その安定指標価格から、当該乳製品の製造及び販売に要する標準的な費用の額を控除して基準取引価格がきめられるのだから、したがって、基準取引価格が低下する現象が起こらないとは言えない。そうした場合に、保証価格をそのままの状態に置いておくと、基準価格と保証価格との間の開きが大き過ぎるということは、補給金がたくさん要る。したがって、これでまた保証価格の算定をいじくる。こういう現象が、必ず私は将来起こってくると思うのです。そういう点を私は心配しておりますので、そんなことになって——輸入はできるだけしないように一元化するとか、説明はなさいますけれども現実の動きというものは、そうなまやさしいものじゃないので、私が言ったような事態が起こらないように、極力努力してほしい。努力するだけでなしに、起こらないようにしてもらいたいのです。そういうことは、現在の日本酪農の発展ということを考えた場合に、それをはっきりとあなたは言えますか。
  177. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 本法案におきます制度の本旨を貫きますために、いま矢山先生のおっしゃいました御注意の点は、われわれも絶対にさような結果におちいらないようにすべきである。また、農林省としては、その点は必ず、厳重に守っていくというふうにいたしたいと考えております。
  178. 矢山有作

    矢山有作君 もう時間がありませんから、一つだけでやめます。指定生乳生産者団体には、一体どういう仕事をやらせるのですか、補給金交付の仕事だけをやらせるのか、一体どういう仕事をやらせるのか、その仕事の量に合わせて一どういうふうなこれの構成を考えていくのか、それを具体的にひとつ示していただきたいのです。
  179. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 指定生乳生産者団体は、これは生産者団体としての当然の事業として、生乳の受託販売または販売のための再委託をする機能を持っているわけでございます。その際、受託されました生乳について、メーカー、乳業者からの受け取り乳価についての価格プールの機能を果たし、それで、それと同時に、畜産振興事業団から交付されます生産者補給交付金の交付の仕事を、受託いたしました生乳の数量に応じて行なうという仕事を受け持つわけであります。そのほか、受託販売機関の機能として、当然、集乳の事業を営みます。また、生乳生産者団体として、構成員である酪農家に対する技術の指導等、農業団体一般が持っております機能も営んでいくことはもとよりでございます。
  180. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、私は指定生乳生産者団体というものの果たす役割りというのは、非常に大きくなってくると思うんです。ところが、先ほどの酪振法の一部改正のときにも問題にしたのですが、はたして指定生乳生産者団体指定をやって、それがスムーズに機能をするような状態になるかどうかということが、現実酪農取引の上から、私は非常に心配になるわけです。というのは、現実は、私がくどくどしく説明するまでもなく、乳業メーカーとの具体的な結びつきがある。たとえば、乳牛の導入に益金を貸してもらうとか、集乳所をつくるといえば、集乳所をつくってもらい、あるいは助成をしてもらうとか、指導獣医は、これを、出してもらうとか、あるいは組合の職員の経費までも負担をしてもらうとか、あるいは何かの会だといえば、寄付金を出してもらうとか、そういった形で乳業メーカーと生産者団体とは、非常に強い結びつきを持っているし、また、乳業メーカーのほうも、従来の自分の集乳の地盤を確保しようということで、全力をあげてきているわけですね。そういう状態の中において、はたして指定生乳生産者団体というものをつくってみても、直ちにそれが円滑な働きをすることができるのかどうかということに、私は非常に大きな疑問を持っているわけですが、その点について、どういうお見込みでおられますか。
  181. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 現在全国的に見ますならば、数府県においては、指定生乳生産者団体指定は容易に行なわれ、かつ、そこでの生乳の一元化、多元的な販売の確保というものもそれほど困難なく行なわれる府県もあると思いますが、多くの府県におきましては、御指摘のように、現状においては指定生乳生産者団体指定を行なわれましても、われわれが理想といたします集乳の一元化、多元的な生乳の販売というものが事実地についてまいりますためには、これは生産者団体自身の系統的な努力ということも必要でございますし、また、それをバックアップする行政当局の援助、指導というものも必要である、同時にまた、乳業者と生産者の結びつきが強いことは御指摘のとおりでございますが、これは原料供給者と原料の消費者という関係は経済的に不可分のものでございますから、対等の立場において結びつきをしておれば、私は何らその点を心配する必要はないと思うのでございますが、要は、農業団体の立場が乳業者との関係において対等の立場において結びつくという方向に精力的に農業団体、行政当局の力を合わせて進む、また、乳業者についてもその点を理解させるように、私どもとして力のある限り、指導に努力を傾けたいというふうに思っております。
  182. 矢山有作

    矢山有作君 いろいろあるのですが、時間の関係で、これを最後でやめます。  いまおっしゃるように、従属的な立場で結びついているからむずかしいということは、そのとおりです。だから私は、生産者団体の指定をやったときに、これに対して十分な力を持たせるようにしていかぬと、実際問題としてこれが十分な働きをすることはできぬのではないかと思うんです。そのためには、やはりこの生産者団体に対して集乳施設を持たせるとか、あるいは加工処理工場を持たせていくとか、そういう強力なてこ入れをして、従来の生産者と乳業メーカー、それとのくされ縁というのか、結びつきを断ち切ってしまうだけの働きを、この生産者団体ができるような、十分な援助をしてやらなければいかぬ、それだけの構えがあるのですか。私は、それをやるには相当な経費がかかると思いますよ。その予算的裏づけまでもこれは考えているのか。これは大臣のほうからひとつお答えください。
  183. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 単純に指定生産者団体制度確立するとは考えません。それには経済的なパックを与えていかなければならないと思います。そういう面におきまして、できるだけ経済的に集荷団体が強化されるような方途を私は講じていかなければならない、こう考えます。
  184. 矢山有作

    矢山有作君 まだほかに、いろいろこの法案については、われわれとしては確かめておきたい点がたくさんあるし、また、当局からの、言質もとっておきたい点もあるわけですが、何分にも時間がないので、これでやめます。ただ一つ私は、いま大臣が答弁されたように、生産者団体を指定したならば、この生産者団体が生産者団体としての役割りを十分に果たせるように、集乳の面においても、あるいは加工処理施設を持つという面においても、あるいは技術指導の面においても、あらゆる面で十分な活動ができるような財政的な措置というものを考えていただきたい。このことだけを、大臣はそういうふうな方向で考えていくということだから、最後にお願いをしておいて、私の質問を打ち切ります。
  185. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私は一つだけ伺います。第七条の、指定基準ですが、その点は衆議院の質疑で、政令の内容も、指定生産者団体は一県一集荷団体をたてまえとする、これは衆議院の答弁です。その指定は、県内の集乳量の二分の一以上の実績を持つか、その可能性のあるものを指定する、したがって、政令では、二分の一ということを具体的にうたう、こう理解していいですね。よければいいと、簡単に言ってください。
  186. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) さように考えております。
  187. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、これに関連して、指定生産者団体となり得なかった団体があるわけです。そういうものを、指定を受けた団体の会員とするか、あるいは農協法第十条の第四項の、員外利用をさせるということでありますが、そういう形で不足払いの恩典に浴せしめる、こういう答弁があるが、それに間違いはないですか。
  188. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) そのとおりでございます。
  189. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そこまでは、デスクの上では理解するわけですが、現実の場合はどうして会員にするのか、会員になる意思どころか、むしろ可能性を信じて、二分の一の資格を得るために奪還に狂奔している事実がある、すでにこれが通った場合を仮定して、メーカー側で。そういう非常に現地におけるトラブルが現在発生しておるんだが、そういう点は行政的に、第一に会員にするという強力な指導が必要だと思うが、一県一集荷というたてまえを貫くには、そういう一つの措置がなければ、これは絵にかいたもちになる憂えがある。その点の措置は、これは大臣いかがでしょう。現実は一元集荷、多元販売ということをたてまえとしてこの法律の思想が貫かれておるが、しかしながら、実態は一元集荷をむしろがえんぜず、香川県における経済連、それからまた特殊農協との間におけるメーカー間のまたいろいろな紛争が起きて、森永社長名で農林大臣にもその問題については質問書が出ておる。そういう実態を局長知らぬのか、五月九日付で出ておる。そういうような一元集荷をむしろ混乱する事態が各地に続生しておる。こういう現実において、現在は二分の一以上の集荷実績を持っておるものを指定することはよろしい。その指定からはずれた二分の一未満の集荷団体を会員にする、これも理念としては当然である。しかしながら、そのことは、ある特定の会社のひもつきで集荷をし得るという現実の姿からいって、完全に会員となることはきわめて困難、不可能とは言えないが、きわめて困難である。こういう事態を正視したならば、行政的に一元集荷をあくまでも貫くという基本精神からいけば、これは相当強力な行政指導も必要だし、もとより本来農協のプリンシプルからいって、農民のその組織的な理念というものでこれは出てくる方向ではあるけれども現実はそういうもの以上に、資本の圧力というものが事態を混乱化しておる。そういう現実の上において、農林大臣はこの問題をいかように行政指導されようとするのかを伺いたい。
  190. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 局長からもなお御答弁いたしたいと思いますが、本制度を行なっていく上においては、一元集荷というものは欠くべからざる制度でございます。そういう制度酪農業者といいますか、生産者にとっても非常に有利なことでございますので、これは直接行政指導も行ないまするし、あるいは生産者団体側である農協等も通じて、これがこの制度を行なう上に欠くべからざるものだということをよく徹底させまして、一元集荷に入るように指導いたしたいと、こう思います。
  191. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 徹底して指導するということはすなおにわかるのですけれども現実は、大臣も知っておるように、それぞれのメーカーは、みずからの収入を拡大するためにいろいろな手段方法を講じているのですね。たとえば一つの例ですけれども、四大メーカーを中心として、全国に二千名をこえるいわゆる酪農補導員というものがある。これが獣医師として収入にまで結びつけるいろいろなサービスをやっておる。完全に一元化をするならば、こういうメーカーが確保しておる酪農補導員を、衆議院で原案を修正したように、全国を区域とする農協連合会に委託をするという一つの、三段階を通じての系統一元化が法律の中で修正されておるわけでありますが、そういう段階に、どこに配置するかは別として、この二千名のいわゆる酪農技術補導員、これを一元集荷をすべき団体にこれを配置がえさせる措置が必要になってくるわけです。私は一つの具体的な例で大臣に伺うのですが、そういう場合に起こる問題は、何しろメーカーは大きな会社でありますから、その待遇は比較にならないほど農協よりもよろしいし、大学を出て四、五年たった同じ経歴の獣医師を比較いたしますと、会社の職員は大体三万五千円程度の待遇を受けておる。しかし、農協とすれば、これより約一万円くらい待遇が低い。そこで私は現実に、大臣がいま御答弁になったように、指定団体をして名実ともにその責務を完遂させるためには、これらの酪農補導員をやはり上は全国連から県の段階、単協、それぞれの仕事の分担に応じてこれを配置をさせる。もとよりそれは本人の意思もありまた会社の意思もあるでしょうが、そこは行政指導によってやらせるという場合に、最後に出てくる問題は待遇の格差、したがって、それを名実ともに一元化させるために、これらの出先の畜産技術員を農協に配置するために、私は、先ほどの法案の、「当分の間」というのをこの際活用するのですが、少なくとも三年間くらいはその差額を政府でめんどうを見る、これは金のかかる話だからそれだけの措置を政府もめんどうを見る、これは未来永劫見ろなんという、そういう農協の自主性を抹殺した助平根性で言っているわけではないが、少なくとも現実に配置転換をする際には、待遇格差くらいは、せめて三年くらいの間は見て、四年からは農協の自体の自まかないによってこれをやるような目標で措置をとる。たとえば、こういうことが現実に政策の裏づけにならなければ、完全な一元集荷というものはなかなか困難であり、むしろブレーキがかかっておる、こういう点があるわけですが、こういう点は、大臣はいかようにひとつお考えになられますか、新しく出した問題ですから、にわかにどうも無理な問題かもしれませんけれども、たとえば、こういう問題は意欲的に集荷団体が考えても解決ができない問題がある。そういうものこそ、これは政府が心配をしてやって、政府の考える一元集荷を完全に遂行させる態勢に持っていってやるということが必要だと思うのですが、そういう点はいかがお考えでしょうか。
  192. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いま初めての提案を聞いたわけでございますが、一つの御提案とお聞きいたします。すなわち、養蚕なんかにおける養蚕の指導員、こういうものを、農協あるいは国のほうで補助を出して使うというような例もないわけではございません。しかし、いま直ちに、いい提案であるからといって、これに賛成するわけにはまだまいらぬので、いろいろ研究してみたいと思います。
  193. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  194. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を起こしてください。
  195. 石田次男

    ○石田次男君 この問題は酪農全体の問題に目を通して考えないと正確な姿が出てこない問題であると了解しております。  それで、まず需給並びに酪農が現在おかれておる現状というものですね、どう御理解なさっておるかという点からお伺いしたいと思います。端的な例で申し上げますと、これは新聞に出ておった資料でありますから、若干是非の論議はあるとしても、筋には違いはなかろうと思う点があるわけです。それは、米作の場合には、大体勘定してみると、一日当たりの農民の手取りが、労働量が千三百九十円程度につく。それから畑作の中でジャガイモの場合には七百五十円程度につくというのです。ところが、乳業者の労賃を計算してみると、五百五十円にしかつかないというわけですね。これが現状だという新聞記事がありました。これを見ても端的にわかると思うのですが、現在の乳業というものがおかれている地位が非常に低い。若干のてこ入れ程度ではとても採算にのぼせるという線まではこない。こういうことが言えると思うのです。それで、こういう事情というものは、生産量の頭打ち、そこにはっきり出ているのじゃないかと思います。酪農振興にずいぶん力を入れていらっしゃるというけれども、実際にはもう伸びが鈍化してどうしようもない。一面において販価のほうでも問題をかかえておって、行き詰まり状態にあるのが現在の牛乳じゃないかと思います。これについてはどう考えていらっしゃるか。もう一つ言えば、生乳原料乳との問題で価格差補給金、不足払いが問題になっているわけですけれども、いまの需給は、いわゆる市乳のほうが伸びて、国内産の牛乳をもっていうならば、供給が不足しがちである。この方向へ向かっている。こう言われているわけです。こういう現状から、はたして不足払いのこういう対策程度で、牛乳全体の問題が解決いたすとお考えであるかどうか、まずそれからお伺いしたいと思います。
  196. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 現在酪農の収益性というものが、米作や、あるいは畑作のうちの一部のもの等に比べて低いということは、御指摘のとおりでございます。ただ、現在の酪農の収益性が低いということの一つの原因としては、非常に発展初期にありますために、一、二頭飼いという副業的な酪農がその大半を占めておるというような事情も一つあるわけでございます。五頭以上、いわゆる酪農を基幹部分とする部分につきましては——先ほど酪農の一日の労働報酬五百五十円というお話がございましたが、五頭以上の経営になりますと、これは千円をこすという事実もあるわけでございまして、今後は酪農の合理化、経営規模の拡大という形で収益力を高めていくという努力をする必要があると思うのであります。  それから需給の関係では、生産の鈍化傾向が最近あらわれておることも御指摘のとおりでございます。しかしながら、鈍化と申しましても、過去数年間一二、三%の伸びでまいりましたものが、三十九年度に入りまして、年間を通じて一〇%程度に落ちておるということでございまして、他の農作物の部門から見ますれば、やはり最も高い成長率をなお持っておることは持っておるのでございます。でございますので、現在の生産の伸びの鈍化傾向をさらに上昇カーブに向けるということが、酪農政策の基本的な考え方一つでなければならないというふうに思っておるわけでございます。それに対する一つ生産経営対策を補完するものとしての価格対策ということで、本法案提出いたしておるわけでございます。それから用途別に見るならば、市乳需要が伸びて、市乳に対する供給が不足の状態にあるではないかというお話でございますが、これも現在の需給状況では、御指摘の傾向があることはいなめません。今後市乳供給源となるべきところは、現状において加工原料乳生産地域の色彩を持っておる地域に求めることが、資源その他の条件から見て日本では不可避の方向であるということでございますから、そこでの農家の手取り乳価というものを保証するために、この不足払い制度を始めたのでございまして、私どもは、この方策によって、相当他の方策と相まって酪農の振興、生乳生産の増大を確保し得るというふうに考えております。
  197. 石田次男

    ○石田次男君 いまのお話ずっとくだいてやっていきたいところですが、まあ一つだけ申し上げておきます。伸び率の問題で言っていらっしゃいますが、これは単価の低いやつの、また、数量の少ないやつの伸び率は、たとえば他と比較して大きくたって、これは絶対量としては依然小さいわけですよ。そこのところもお考えの上で、あえていまのような御答弁をなされているのですか。
  198. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この点は、御指摘のとおりスタートの小さいものは伸びが大きいということは当然でございますが、現在の段階までまいりますれば、日本酪農の総生産量というものも、農業生産の中で占めるウエイトも三%をこすという状態になっておりまして、他の農作物の中でもかなりの位置をもう占めつつあるわけでございまして、お話の点は、われわれも手放しで上昇の度合いを楽観するわけにはまいりませんが、数字としてあらわれた点を御説明申し上げたわけでございます。
  199. 石田次男

    ○石田次男君 最初に申し上げたとおりに、わが酪農が伸びるか伸びないかということは、結局は牛乳生産するのが企業として成り立つか成り立たぬかというそこにかかってくると思うのです。企業として成り立つか成り立たぬかと、これは当然外国のバター、チーズ等の価格とも関係がありますから、国内問題としてその面からだけ見て、一方的に対策するわけにはいかない、それは十分そちらさん御承知のとおり。一面、外国のほうではなぜ酪農が企業として成り立っているか、それは牛乳そのものとしてみれば、五〇〇CC当たり日本の場合は大体五十円ですか、諸外国の場合には四十円、すいぶん値段が違います。あまつさえ生産者の手取りというものが向こうはまず五割をこす線、日本の場合は二十円のうち幾らと言いましたかな、十二円二十銭までが中間で、結局、生産者の手取りが七円八十銭ですか、それくらいの線だと言っていますね。つまり乳価というものの中の生産者が手取りする分が小さい、これが一番先に申し上げた、乳の生産は一日当たり手間が五百五十円にしかならないというこの大きい原因にもなってくる、そういう事情を御承知の上で一切やっていらっしゃるとは思いますけれども、それに対するいま速効薬的な対策はないものとしても、何年か計画でもって厳密に積み上げていけば、何とかそれをとんとんのところまで企業として成り立つ線まで持っていけるというその対策のお示しが実はないことが、私一番不安を感ずる原因なんですよ。単に不足払いだと、これも一つの方法だと言えば言えるけれども不足払いというのは、これは御存じのとおり原料乳の問題であって、生乳全部の問題じゃないですからね。その辺はどういうふうにお考えになっています。これはむしろ事務当局でもあろうが、大臣からもお伺いしたい点ですね。
  200. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かに御指摘のような現状があると思います。それは私どもも、価格政策というものがこれは補完的な政策でございまして、本格的な生産政策、あるいは構造政策というものが本旨であろうと思います。何にしても日本酪農の歴史は浅い。そして飼育が多頭飼育になっておりません。二、三頭の、平均的にも三頭というような零細経営である。それから飼料自給飼料でない。こういう二つの点から、収益から言いましても企業としてもなかなかむずかしい段階を経てきたわけであります。しかし、一時の労働賃金としても、多頭飼育のものは千円以上にもなっている。いまのお話しのように五百五十円というよりもずいぶんふえているというような状況でありますので、そういう生産対策をやはり講じ、酪農全体からみて振興していく。その一つのてこ入れとしましての価格政策でございますので、この不足払いそのものによって直ちに酪農が振興すると、こういうふうには私も考えておりません。全体的にやっていけばこれは企業として成り立つ、需要もふえていく、こういうふうに考えておりますので、いままでの欠陥といいますか、そういうものを是正していくことによって成り立つものだと、こう思います。
  201. 石田次男

    ○石田次男君 私の質問、いつ打ち切られるかわかりませんから、大事な二点を先に一括して申し上げておきますよ。一つは、学校給食の問題です。一つは、こういう市乳加工原料乳との区別をどうしてつけなければならぬかという問題です。まあ前者のほうから申し上げますが、学校給食の生乳については、政府のほうの提案理由の説明でもおっしゃっているわけですよ。文部省と協議をして計画を立ててなるべく早く実施するのだ、段階を踏んで実施するのだ、こういうふうにおっしゃっています。それで、先ほど社会党の質問のありましたときに聞いておりましたのですが、その肝心の計画内容というものがわからないわけです。お答えなかったわけです。これ一週間一挙に脱脂粉乳を生乳に切りかえるということは、予算の上から言ったって無理です。当然生産量の上から言っても無理です。しかしながら、段階を踏んで、まず一週間に一回は生乳を実施しようじゃないか、いやそれとも急に需給の関係から供給の急増ができないというのだったら、十日に一回でもまず着手しよう、よしんばそれができなければ月に一回でも二回でも、こういう線から始めれば、予算の上でも無理はないと思うのです。また、供給量の問題からいっても無理はないと思うのです。そういう意味からいけば、ぎりぎり最低月一回という線から始めても、出発点というものはできるはずなんですよね。その場合にはどれくらい予算がかかるか、父兄負担をどの程度にすれば政府の負担はどのくらいになるか、計算が立ちます。児童数はきまっているのだから。また、反面、生産の面からいえば、その程度ならば至急に牛何頭増産すれば済むか、これも計算には出ます。計算に出てくるならば、具体化したものを大蔵省に出して、そこで予算の問題を煮詰めて、すぐ実施することができると思う。そういう面からいって、ぎりぎり最低の具体的な案というものをつくって、来年度から予算化してお始めになる気はないか、これを先にお伺いいたします。  次にですね、市乳原料乳区分けしておりますが、この問題は、もともと牛乳自体に違いがあるものではないのです、いままでの質疑で明らかになったとおりに。そうすると、いろいろな困難な問題あるいは矛盾する問題が続出してきます。業界の混乱は言うに及ばず……そういうことになりますと、立ち返って見るならば、加工原料乳というこの区別をする考え方自体に私は問題がある。それをなくしてしまったらさっぱりしやせぬか、乳価は一本化の上に立って考えて、施策を考え直してみれば、かえって長期にわたって計画的に強力な対策ができると、私らは思っておりますが、その点いかがでしょう。   〔委員長退席、理事田中啓一君着席〕 この二点をまずお伺いいたします。
  202. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 学校給食につきましては、先ほど大臣からもお答えしましたように、四十五年度まで国内産生乳の給食をする。その生産量は三百五十万石程度と見込んでおる。四十年度ですでに計画的実施に入っておるのでございまして、その供給量は七十万石ということでございますから、総供給量に対する五分の一になっておるのであります。これは年々学童の数、それから生産量の増加を考えまして、私どもも年次別のめどを立てておりまして、文部省との間では、おおむねこのぺースでいくということを話しております。大蔵省は、財政当局として将来の財政の問題を約束するということは、なかなかいたしませんが、おおむねその線については含みがあるものと、私どもは期待しておるわけでございます。  それから、用途別の取引より一本のほうがいいじゃないかというお話でございますが、乳製品から支払う乳価というのは、乳製品の価格水準から見て限られておる。しかもそれは生産費を償い得ないということでありますから、これを一本の取引をやる。どんぶり勘定の乳価取引をやるということは、過去の経験にかんがみても合理的でない。また、国際的に見ましても、そういうことは、混合乳価統一ということは、まだ事例がない。用途に従って、価格の形成が行なわれるということが合理的なわけであります。その場合、加工原料乳については、支払い得る価格水準が総体的に不利であるというところに着目して、今回の加工原料乳に対する不足払い法案を提案し、御審議を願っておるということでございます。
  203. 石田次男

    ○石田次男君 いまの御答弁ですがね。こまかに砕いていきたいわけですけれども、学校給食について、四十五年度を目標にしてやっておる。それで実はさっきも伺ったのですよ。だから私は来年度を問題にして申し上げたわけです。四十五年度までやるというと、あと五年でしょう。五年間で段階を踏んでやるならば、いつから始まるのか、いま始まっていない。過去にですね、それは供給過剰になったときにちょっと学校に回した例はありますよ。それといまとは全然事情が違うわけです。四十五年度までにやるというのは、はっきり完成するというなら一体いつから始めるのか、その点の御提示がいままで一つもないわけです。で、いまお伺いすると、大蔵省は首を縦に振らぬけれども、こっちが話を真剣に出せば応ずるだろうという、こちらの腹づもりでおるような御返事であります。それでは政府の各省の連絡やら、あるいは閣議というものは一体何をしておるか、こう言いたいですね。来年といっても、来年度の予算と言ってみたところで、実は大蔵省の予算編成が夏から始まるでしょう。そうしておいて、冬くるまで煮詰めて、それから国会に出てくるわけです。いま六月ですよ。おまけに選挙だ。内閣も変わる。あと幾らも日にちがないわけですよ。この日にちがない段階において、来年度の問題について農林省側に全然見通しがないという返事は、私には来年度できないという返事だとしか聞こえないわけです。そこを言うわけです。だから来年においてぎりぎり最悪の場合には、十日に一ぺんでも月に二へんでも、あるいは月に一ぺんでも、まずその線からでも始められるだろうと、その線によって需要量と予算ワクと父兄負担と、そういう実際に必要な問題を計算してみて、それを大蔵省に出して、そうして次年度の予算にはっきりと盛り込めるかどうか、そこをお伺いしているわけですが、これ事務で無理だったら大臣にお伺いしたい。来年度実現できるかできないかを聞いているわけですよ。
  204. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 現在でも、お答えいたしましたように、大体が牛乳給食の五分の一は計画供給をいたしておるのでございまして、明年度は、私ども計画としては百万石ないし百十万、石の供給量を計画化いたしたい。その点については、酪農振興法改正が行なわれますれば、長期計画として政府の態度として明確にいたしたい。また、その程度の予算化については、私どもも十分実現できるというように思っております。
  205. 石田次男

    ○石田次男君 いまのお答えでも、計画を明確にして出すというのですが、私の聞いているのは、その明確に出す、いつ出すのかという、それを聞いているわけです、期日を。つまり、それによって来年度から着手できるのかできないかを聞いているのです。まあ大臣、あしたからもう内閣改造で、おれ知らぬのだとは言わないでしょうね。
  206. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 学校給食はもうずっと生牛乳相当やっています。去年は四十万、ことしは七十万、来年は百万石から百十万石、こういうふうにやっていますから、これをこう下に流せば十日に一ぺんとか七日に一ぺんとか、こういうふうに逐次やっているわけです。それを四十五年度までには完全にやっていくと、こういう計画でございますから、それで、その予算を年次別に要求しまして、それをとっていきますから、ですから、お話しのように、十日に一ぺんにするか七日に一ぺんにするか、こういうことは、これを下に流した場合にやっていくことで、その計画に従って進んでいくわけです。
  207. 石田次男

    ○石田次男君 それからもう一つは、打ち切られちゃ困るからといってお伺いした二問目ですね。つまり加工原料乳というこの区別をする考え方を捨てたほうがよかろうと、そのほうがはっきりした強力な乳価政策ができるのだ、酪農政策ができるのじゃないかとお伺いした点は、これはいかがですか。まだ御答弁聞いていませんが、
  208. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 先ほどもお答えをいたしましたように、加工原料乳のために支払い得る価格、その価格形式というものと、飲用乳仕向けの原料乳に支払い得る価格とは、用途の違いからその水準に相当の落差があるわけでございます。こういうものを混合乳価で取引することは、むしろ取引価格形成としては不明確かつ不公正な場合が考えられるわけでございまして、用途別の取引によって、飲用乳については飲用乳の需給実勢から生ずる適正な価格形成がなされ、加工乳については乳製品からの逆算される基準的な取引価格というものが形成されるということによって、農民の受け取り価格としては、最終的には生乳単位当たりの受け取り価格になりますが、そういう用途別の取引をすることが取引の方向として私は合理的である七また、他国の実例に照らしましても、それが近代的な方向であるというふうに考えておるのでありまして、その際、価格の総体的に不利な加工乳について、政府として不足払いの措置をとるということを考えまして、ただいまの法案を提案をし、御審議を願っておるということでございます。
  209. 石田次男

    ○石田次男君 私は、その御答弁は、農林省側としてはどうしてもそういう線で説明したいと思うその気持ちはよくわかるんですよ。だが、一番最初に申し上げたことをひとつ思い出していただきたい。牛乳生産に当たれば一日の手間が五百五十円にしかならぬという点ですよ。ジャガイモをつくっても七百五十円というんですから、ジャガイモよりも四割ぐらい手間賃が少ない。米に比べたら三分の一、米はまあ別格としても、あまりにも畑作に比べても割りが合わないのがいまの酪農です。しかも、いまの酪農の置かれている状態というものは、これから多頭飼育をしたり、あるいは政府がてこ入れして草地をつくったり、これからというところでしょう。そういう段階ですから、それは不足払いでもって原料乳の値段を埋め合わせてやっても、それによって埋め合わせた分というものは微々たるものでありますから、結局、牛乳生産したその労力を償うに至らないわけです。それならば、徹底的に出かせぎにでも行って、牛乳やめて出かせぎに行ったほうが早い。どんな出かせぎに行ったって、いまニコヨンといいながらニコヨンじゃない、八五ぐらいになっている。一般的には千円です。そういうどうしようもない産業間の落差、あるいは仕事別の落差というものの中に埋もれているわけですから、こういう縦分けをして、てこ入れをするという小手先細工で、将来酪農が振興するということは考えられない。そうしてまた不足払い自体がたくさん問題がありますよ。私はちょこちょこさっき書いたばかりですが、いまの問題の中身を掘じくっていくとこれくらいあるわけです、不足払い自体についても。そういうわけですから、不足払いという考え方は、暫定とはいいながら私はしていくべきものじゃない、こういう考え方をしているわけですが、どうです。これはむしろ生産問題ですからね。   〔理事田中啓一君退席、委員長着席〕 大臣としてどうお考えになりますか。
  210. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話しの点は、採算の悪い面を御指摘でございますが、採算のいい面もある、こういうことでございますので、これを捨てていけ——これは成り立たないようなものは成り立つようにしなければならぬ、すなわち多頭飼育とか、あるいはえさの問題等の解決をはかっていかなければなりません。いま平均三頭くらいでございまするから、あるいは五百円、六百円というような賃金になるようなことであるかもしれませんが、先ほど畜産局長から申しましたように、たとえば千円になり千二百円になるというような酪農家もあるわけでございます。そういう方向へ持っていく、その補強政策として価格の不足払いというようなことも考えていきたい。これは捨てるべきじゃなくて、私は前向きに助長していったほうがこれはいいことだ、こういうふうに考えまして、こういう法案を出したわけでございます。
  211. 石田次男

    ○石田次男君 いまの大臣の御答弁を承りましたが、こういう考え方を捨てるべきじゃなくて大いに利用すべきである、私はそれはいいと思うんです。確かにこの法案は暫定として出ておりますから、いま急場の暫定としてはそれはかまわないと思います、ほかに問題がありましてもですよ。しかしながら、では逆に言って、いつまでもこういう制度にしがみついていく気か、こう伺うとしたらどうお答えいただけますか。
  212. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この不足払いなどをしなくても、企業的にあるいは採算に見合ってやっていけるような態勢に持っていくことが理想的でございます。そういうふうには考えます。
  213. 石田次男

    ○石田次男君 私、どうしても大臣のほうではこの法案の内部へ入っての話し合いというふうに持っていきたいようでありますから、あえてその中へ入りますけれども、それならば、不足払いの財源というものは、私いままで伺った範囲じゃ輸入の国内渡し、その利益を不足払いのほうへ回すのだ、こういうわけですけれども、それでもし不足すれば国庫から出るということになってくると思うのです。国庫から出るということになりますと、結局これは米と同じ純然たる保護制度ということになりますね。割合が小さいから大体は輸入品の売り渡し価格の余剰金でやるのだからというお答えも出るかもしれませんけれども生産規模を拡大し、国内乳業の加工面が拡大してくれば、そうもいかなくなるという事態が出てきます。その財源については、当分のところの法案ですから、その当分のところの見通しとしては、財源関係はどういうふうに見通しておいでになるのか、見通しをお伺いします。
  214. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほど畜産局長からも御答弁申し上げたのでございますが、この財源は輸入の一元化によってまかなうということではございません。一般会計から、これは正確に申し上げることは困難でございます、まだ積算をしておりませんから。まだ実行もしておりませんから。しかし、先ほど畜産局長から申し上げましたように、四十億から五十億くらいの支出を一般会計からするわけです。一元輸入によっての差益金というものはどれくらいか。これもほんの何といいますか、目安で、責任負える数字ではございませんが、二千万くらいになるだろう、こういうことなのでございます。でございますので、輸入の差益金によって不足払いのこの財源をまかなうということではございません。
  215. 石田次男

    ○石田次男君 その点わかりました。輸入の国内渡しの差益金ということじゃない、その点については私の聞いた話が間違っていたのかもしれません。それにしても、いまの話では、どうも積算が出ていない、こういうお話で、積算もできていないというとで、大体五十億くらいというような話になりますと、大体で話をされたのじゃ法律というものをどう理解して、どう賛成するか反対するか態度をきめるのにこっちは困るのです。ひとつあまり委員会を迷わせないような法案の出し方をお願いしたいのですが。
  216. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 不足払いの財源を算定いたしますためには、先ほど矢山先生の御質問お答えしましたように、保証価格をどうきめるか、基準価格をどういうふうにきめて基準価格を維持するか、乳製品の、安定市場価格をどうきめるか、保証対象数量をどういうふうに把握するかという非常にデータとしての整備にも慎重かつ十分でなければいけないというようなこともございまして、この段階で正確な数字をはじくことは全く不可能なことでございますので、私どもとしては、四十年度の価格安定制度の数字をかりに用いてみますと、四十億ないし五十億という財源を必要としますというお答えをしておるわけでございます。
  217. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  218. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を起こしてください。
  219. 石田次男

    ○石田次男君 その点でお伺いするわけですがね、いまの段階では積算不可能だと、こうおっしゃるわけですよね。それではこの不足払いの率とか金額、そっちのほうに影響はしてこないですか。どの程度不足払いするのか、そこのところに影響してきませんか。
  220. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 制度ができました後、一定のデーターに基づいてはじきまして、初めて最終の数字が出るわけでございまして、現段階では具体的な数字をはじくことは不可能でございます。
  221. 石田次男

    ○石田次男君 ですから申し上げたとおり、加工原料乳に対する不足払い、その率をきめる、金額をきめる、そっちに影響せぬかと聞いているのです。
  222. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) もちろん制度のきまり方によって、ただいまのような価格差あるいは財源というものに響くことは当然でございます。
  223. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、影響してくるということが明らかであれば、この法案は、これは法のていさいとしては非常に整っているようでありますけれども、実は法案自体として肝心かなめの中身において、生産者なり、あるいは乳業の企業家なり、そのほかもろもろの酪農全体を、これを迷わせるという、そういう性格をいま出した法案が含んでいると、こういうふうに言わざるを得なくなってくるんですけれども、それはどうでしょう。あえて三百代言的な言い回しで申し上げているつもりはございません。事実はそうなりはせぬかということです。
  224. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) この法案につきましては、提案以来御審議も願い、また農業関係団体等にも理解が進んでおりまして、この法案酪農問題をまどわせるというようなことは、私も毛頭ないというふうに信じております。
  225. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  226. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を起こしてください。
  227. 石田次男

    ○石田次男君 質問続けますが、そういうわけで、この法案自体としても非常にこれは政略とか何とかそんなことは抜きにして、不安があるのですよ。実際にいま申し上げた不安があるわけです。生産者のほうとしても、やってくれ、やってくれということで、非常に推進の世論が多いわけです。それと同時に、やられちゃ困るほうの世論も、これはいまの段階では陳情等もあまりきていませんけれども、それはあるのです。賛否両論ともに非常に強いのですけれども、肝心かなめの法自体にそういうあいまい性があるから、賛成にしろ反対にしろずいぶん迷わしていると思うのです。これについてはやはり政策的に、あるいはこの法案自体にしても、次の国会あたりで、もう少しはっきりした線というものを国会へお出しになる必要があると私は思うのですがね。その点はいかがですか。
  228. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私どもはこの法案に対して理解をいただき、かつ生産者団体の賛成もいただいていると理解しております。法案自身私はあいまいな問題は残っていないというふうに考えています。
  229. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記とめてください。   〔速記中止〕
  230. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記起こして。
  231. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 この補足説明の中の第二の項ですね。この集約酪農地域指定基準を改める、いわゆる現行の集約酪農地域制度について検討し直すということだろうと思うのです。そうだろうと思うのです。そうしますと、その検討する基準ですがね。検討する基準と申しますのは、一つの例を申し上げますならば、一つの村に、あるいは町に数名の者が一つの団地的な酪農を持っている。そういうものはその指定基準にはめるのかはめないのか、あるいはワク外にするのか、こういう問題が起こってくると思うのだが、その点はいわゆるどういう基準をお考えになっているのか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  232. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 檜垣局長、簡単に要領よく。
  233. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 先ほど矢山先生基準の点でお答えしましたように、現在の集約酪農地帯の基準であります地域内の生乳生産量について、現在では生産性が拡大いたしておりますので、そういう生産量というものを、もっと集団的に行なえるような基準に改めたい。そのほか輸送手段が発達してまいりましたので、乳業施設への輸送時間というものを延長することが可能であるというようなことを考えました。そのほか、乳牛を飼育していきますために十分な土地資源の保存というような問題を、新らしい時代に合うようにあらためてまいりたいというふうに思っているのでございます。   〔委員長退席、理事田中啓一君着席〕
  234. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 今後あらためていきたいということはわかりますが、現にあります、たとえば発足する場合には十名ぐらいでやった、ところが、現行はもう五人くらいになっちゃった、こういう、いわゆる縮小形態をとっているわけですね。そういうものはもう一ぺん拡大的な方向を指導して、そうして、その基準に入れるかどうか、そういう点はどうです。
  235. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 集約酪農地帯の地域的な広がりの中では、部分的には縮小の過程をとっているが、将来拡大の可能性があるというようなものはこれを包含することを考えてもらいたいというふうに思います。
  236. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ。この第三の問題ですがね。「取引に関する規定整備を図ること」となっておりますが、契約当事者が「その存続期間の満了の一定期間前までに別段の意思表示をしないときは、当該契約が一箇月延長される」規定を設けていく。ただし、その規定を設けるのはいいが、あとの紛争ですが、過去にもそういう紛争が起こったと思うのですが、この調停その他については、労働関係なり建設工事の関係の紛争にかかるような調停手続の手段をとっていきたい、こう言われるのですが、そういうことでかなりこの紛争は長引くと見なくちゃいかぬと思うのです。ところが、長引かしてはいかぬ製品だろうと私は思うのですね。したがって、一定の期間に意思表示をする、いわゆる事前の予告、つまり契約の破棄とか、そういう予告期間も制定はしていないし、つまり事前に意思の表示がなくて、もしそれを破棄するというような形になれば、一カ月間の延長をするということだけがここに載っておる。しかもこの紛争を労働関係のような紛争と同じような考え方で調停またはいろんな方法でやるということになりますと、一体片や生牛乳をかかえておって、そういう一カ月ぐらいで解決がつくのかつかないのか、この問題はどうですか。
  237. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 法定更新の規定については、仰せのとおり、当事者が一定の時期までに意思表示をしなければ、従前と同じ法律的な関係が生ずるということを言っておるのでございまして、これは紛争に直接関係ある問題ではありません。紛争に関係あります法律の改正は、これは紛争当事者に対して出頭の義務を課した部分でございます。で、なまものでございますから、紛争が長期化することがありまして、流通がとまれば非常に困難な事態になるわけでございますが、主として紛争は取引条件に関する問題でございますので、乳の流れ自身がとまるような紛争はいままでもあまり例がないのであります。その点は行政的にも乳の流れがとまるような紛争というものは避けるように指導してまいりたいと思っております。
  238. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もしあなたのような考えであれば、ここに労働関係なり建設工事関係の紛争にかかる調停手続を参考にするという必要はないじゃないか。おかしいじゃないか。
  239. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) これは紛争当事者の出頭義務に関する規定を、ただいまお話が出ました建設関係、労働関係のあっせん調停に関する規定の中から援用をするといいますか、それと比較考量いたしまして、新しい規定を設けておるという説明でございます。
  240. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうなると、出頭を求めるだけの考え方である、その紛争の調停はどこでやるのだ。
  241. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 一時的には当事者の申し出によりまして、都道府県知事のもとであっせん調停を行なう、これが全国的な府県を越える地域で紛争のおそれがあるというような場合には、都道府県知事の申し出によりまして農林大臣が行なう、具体的には中央調停審議会の委員を任命して調停に当たらせるということにいたしております。
  242. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうすると、いままでの実績から見て、そういう出頭の規定をしていけばたいした問題ではない、こういうふうに考えておられるわけですね。
  243. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 出頭命令を書くことによってあっせん調停が全部解決するという性質のものではございませんが、あっせん調停のためには少なくとも当事者の出頭を求める権能を持たなければ円滑にいきにくいということを、経験的に痛感いたしたのでございます。
  244. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 納得いかないね。もう一つ、そうなると、あっせん調停というようなことになってきますと、一カ月の期間でいいのかということを私は聞いておるのです。一カ月の期間で、片やなまものをかかえておって一カ月でいいのか、期間が。このことを聞いておる。
  245. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 法定更新は一カ月ということになっておりますが、当事者の意思表示がいずれもないという場合には、さらに順次法定更新が重なっていくわけでございますので、さように御了承いただきます。
  246. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 わかりました。これで終わります。
  247. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) これにて両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 異議なしと認めます。御異議ないと認めて、両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  249. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 次に、砂糖価格安定等に関する法律案、  沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案、  以上両案を一括議題とし、両案について質疑を行なうことにいたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  250. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 この法案が、一昨年の八月に貿易の自由化が国民の反対を押し切って断行され、なお、昨年この甘味資源特別措置法案が制定されて、なお新たにこの砂糖価格安定法を提案されたその理由を、まず大臣にお伺いいたしたいと思います。
  251. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 自由化した当時におきます情勢と、今日における情勢とが非常に変わりまして、自由化した当時は相当砂糖の価格が高かった、ところが、非常に暴落した、こういう事態に際会いたしております。でございますので、国内の甘味資源の保護対策の点につきましてもそういう変動がありましたので、これを補強する必要がある、こういうことから、この法案によりまして対策を講じていきたい、こう考えたわけでございます。
  252. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 この、いまの法案を実施することによって一番国民の懸念している点は、消費者価格が何ら規制されていないために、消費者にとっては国民生活の安定を目途とすべき施策の大きな柱の一つがこれによって失われるということで、大きな懸念を持っているのでありますが、その点についてはどういう措置をおとりになろうとするのでありますか。
  253. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この法案は、国際糖価の著しい変動が国内甘味資源の生産者、消費者各般に及ぼす悪影響を防止するために、糖価を御承知のように上限価格と下限価格の幅の中に安定せしめようといたしておるのでございます。この上下限価格は国際糖価の通常の上下限を基準とし、砂糖類の消費等に関し学識経験を有する者の意見を聞いて決定することになっております。でありますので、消費者の立場を十分考慮して上限価格、安定価格というものが定められることと考えられます。したがいまして、国内糖価が平準化ないし安定化すれば、消費者にとりましても益するところがきわめて大きい、こういうふうに考えられます。すなわち、現状のもとにおきましては、国際糖価が下落しても流通過程に吸収されて消費者に裨益するところが少ないのでございます。そうして糖価の異常高騰時におきましては消費者価格もこれに追随して上がる、こういう実情でございますので、輸入糖の価格調整によりまして、国内糖価の平準化がはかられる、安定化する、こういうことが消費者にとって裨益するところがあると、こういうふうに考えます。
  254. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) これにて両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 御異議ないものと認めます。よって、両案に対する質疑は終局することに決定いたしました。
  256. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) これより、以上四案の討論に入ります。  まず、酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案について、御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案について、御賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  258. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 全会一致と認めます。よって可決されました。  本案は、衆議院送付案のとおり可決することに決定をいたしました。     —————————————
  259. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 次に、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案について、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案を問題に供します。  本案を、衆議院送付案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  261. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 全会一致と認めます。よって、本案は衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 異議なしと認めます。さよう決定いたしました。  附帯決議。
  263. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、私は、日本社会党を代表いたしまして、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案に対する附帯決議を付したいと考えますので、その案を朗読をいたします。御賛成をいただきたいと存じます。  以上です。
  264. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 木附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  265. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。赤城農林大臣
  266. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ただいまの附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、適切な措置を講ずる所存でございます。     —————————————
  267. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 次に、砂糖価格安定等に関する法律案について、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  268. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 御異議ないものと認めます。  砂糖価格安定等に関する法律案を問題に供します。  本案を、衆議院送付どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  269. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 異議なしと認め、さよう決定いたしました。
  271. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 次に、沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案について、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  272. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  沖繩産糧の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  273. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 田中啓一

    ○理事(田中啓一君) 異議なしと認め、さよう決定いたしました。   〔理事田中啓一君退席、委員長着席〕
  275. 仲原善一

    委員長仲原善一君) これより請願の審議に入ります。  速記をとめて。   〔速記中止〕   〔委員長退席、理事森八三一君着席〕
  276. 森八三一

    ○理事(森八三一君) 速記を、起こして。  ただいま御検討していただきました請願のうち、二七七号等につきましては採択することとし、議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  277. 森八三一

    ○理事(森八三一君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 森八三一

    ○理事(森八三一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。他の請願は留保することにいたします。  これをもって散会いたします。    午後十一時四十分散会      —————・—————