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1965-05-11 第48回国会 参議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十一日(火曜日)    午前十一時二十八分開会     —————————————    委員の異動  五月七日     辞任         補欠選任      北口 龍徳君     沢田 一精君  五月八日     辞任         補欠選任      沢田 一精君     北口 龍徳君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         仲原 善一君     理 事                 田中 啓一君                 森 八三一君                 山崎  斉君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君     委 員                 岡村文四郎君                 北口 龍徳君                 小林 篤一君                 温水 三郎君                 野知 浩之君                 藤野 繁雄君                 堀本 宜実君                 森部 隆輔君                 大河原一次君                 北村  暢君                 小宮市太郎君                 戸叶  武君                 北條 雋八君                 高山 恒雄君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        通商産業大臣   櫻内 義雄君        国 務 大 臣  増原 恵吉君    政府委員        行政管理庁行政        管理局長     井原 敏之君        農林政務次官   谷口 慶吉君        農林大臣官房長  中西 一郎君        農林省農林経済        局長       久宗  高君        農林省農地局長  丹羽雅次郎君        中小企業庁次長  影山 衛司君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省畜産局参        事官       吉岡  茂君     —————————————   本日の会議に付した案件農地開発機械公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○食料品総合小売市場管理会法案(第四十六回国  会内閣提出衆議院送付)(継続案件)     —————————————
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから委員会を開きます。  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明補足説明並びに提出資料について説明を聴取することにいたします。谷口政務次官
  3. 谷口慶吉

    政府委員谷口慶吉君) 農地開発機械公団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  わが国の畜産は近年著しく伸長いたしておりますが、同時に、最近の畜産をめぐる諸情勢は急速かつ重大な変化を遂げつつあります。かかる事態に対処するため、政府は、畜産特に酪農についての抜本的な振興対策を講ずることとし、その一環として、農地開発機械公団共同利用模範牧場建設及び売り渡し事業を行なわせることとしたのであります。  すなわち、畜産生産性向上をはかるためには、草地資源開発利用を促進し、自給飼料資源に立脚した多頭数飼養推進することが緊要であり、このため政府は、従来から草地改良事業推進について努力を重ねてまいりましたが、なお多くの問題が残されております。そこで、公団が、農林大臣指示に従い、牧場施設及び経営手段整備を適期に一体的に行ない、経営の安定をはかり得る条件を早急につくり出すことにより、今後の草地開発方式モデルとするとともに、草地共同利用を基礎とする多頭数飼養経営または地方公共団体等による乳牛等の集団的な育成事業モデルとすることがこの事業のねらいであります。このために農地開発機械公団業務範囲拡大するとともに、あわせて公団の役員及び財務に関する規定について若干の整備を行なうこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。  以下この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、公団業務範囲拡大であります。以上申し上げました趣旨から、農事組合法人等経営する牧場または地方公共団体当の経営する育成牧場につき、公団が、草地委託による造成工事を行なうとともに、畜舎サイロ等農業用施設造成事業用機械家畜等経営手段導入とを一貫して行ない、これらの施設経営手段等長期年賦払いで売り渡す事業を行なうこととするものであります。  第二は、理事の増員でありまして、新たに公団が行なう畜産関係業務の適正かつ円滑な推進をはかるため、公団理事一名を増員することとするものであります。  第三は、監事権限の強化でありまして、公団業務の適正かつ能率的な運営に資するため、監事は、農林大臣または理事長に対し意見を提出することができることとするものであります。  第四は、農地開発機械公団債券発行でありまして、公団業務の遂行に必要な資金を調達するため、公団債券発行し得ることとし、これにより資金運用部資金等の円滑な借り入れをはかろうとするものであります。  以上がこの法律案を提案する理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお順い申し上げます。
  4. 仲原善一

  5. 吉岡茂

    説明員吉岡茂君) 農地開発機械公団法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。  この法律案主要改正内容であります農地開発機械公団による共同利用模範牧場建設売り渡し事業趣旨につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、ここでは省略することといたし、最初に、この事業概要について簡単に御説明いたします。   この事業の対象といたします牧場の種類は、大面積草地を利用した牧場建設するという趣旨から、農事組合法人その他のいわゆる農業 法人の行なう搾乳経営または肉用牛生産経営の 牧場と、地方公共団体 農業協同組合または同 連合会が行なう乳牛または肉用牛育成事業の 牧場でありまして、その用地は、原則として当該牧場施設等の譲渡を受けて経営しようとする農事組合法人等地方公共団体等が、牧場建設に先立って、あらかじめ、所有権または使用収益権を取得しておくことといたします。   次に、牧場建設についてでありますが、牧場建設に関する調査計画は国が都道府県の協力を得て行ない、建設農林大臣指示に従って公団が行なうこととなります。その内容は、基本施設たる草地道路等及び飲雑用水施設造成整備はもちろん、看視舎、畜舎サイロ等経営施設整備及び事業用機械等経営手段を、さらに農事組合法人等牧場にあっては家畜導入までを、公団が一貫して行なうわけであります。このうち草地造成につきましては用地についての権利を最終買い受け者が取得している関係から、公団委託によりその工事を行ない、その他の施設等については、公団がみずからこれを造成して売り渡す形式をとることといたしております。   建設事業に要する資金については、家畜導入費及び建設利息を除いて、牧場建設に要する経費の五〇%北海道にあっては五五%を国が補助することとし、残額については公団資金運用部から資金借り入れ事業を行ない、売り渡し対価として回収することとなります。   牧場売り渡しについては、原則として都道府県を通じて売り渡すこととしたいと考えており、その対価は、事業費総額から国の補助金額を差し引いた額とし、三年の据え置き期間を含めて償還期間十五年、年利率六分五厘の元利均等年賦支払いの方法によることとしたいと考えております。   以上がこの事業概要でありますが、昭和四十年度におきましては、三地区について国が建設のための調査計画を行なうとともに一地区、栃木県那須地区の予定において建設工事に着工することといたしております。   次に、法律案内容に即して各条ごとに簡単に御説明申し上げます。   まず第一条の改正は、公団業務範囲拡大に伴い、目的を拡大するものであります。   次に第七条の改正は、理事一名を増員するものであり、第八条の改正は、先年の行政管理庁の勧告に従い、同条に一項を加えて監事権限を強化するものであります。   第十八条は業務範囲規定でありまして、このうち第一項第一号及び第二号中農地とありますのを農用地と改めておりますのは、従来公団の付帯的な業務として行なっていた草地造成事業に関する業務公団の本来的な業務としてその一そうの推進をはかろうとするものであります。   次に第十八条第一項に新たに加えております第三号から第五号までが、共同利用模範牧場建設売り渡し事業に関する業務でありまして、牧場施設につき、第三号は草地造成または改良工事委託により行なうことを、第四号は農業用施設造成及びその売り渡しを行なうことを、第五号は乳牛肉用牛機械器具等導入して売り渡すことを、それぞれ規定したものであります。   これらの業務は三号に分けて規定されていますが、各号の業務はあわせ一体的に行なうこととなっております。   さらにこの事業農林大臣が各地区ごと建設計画公団指示いたしまして一体的に行うものでありますので、その旨を第十八条第四項に規定しております。   次に、第二十四条から第二十八条までの改正は、農地開発機械公団債券発行に関する規定でありまして、第二十四条第五項に債券発行することができる旨を規定するとともに、この債券に関し所要の規定を設けたものでありまして、この規定により資金運用部資金借り入れを円滑にすることができるものと考えております。  以上簡単ながら、共同利用模範牧場建設売り渡し事業概要及び法律案内容について御説明申し上げました。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたす次第であります。  資料のうち、特に畜産局関係する分につきまして簡単に御説明を申し上げます。  第一ページは、農業産出額推移でございますが、これは三十年から三十八年までにおきます農業産出額推移を表にまとめたわけでございまして、三十年の一兆五千九百億から三十八年の二兆四千億、これは一番上に書いてございますが、このうち特に畜産関係いたしましては、これはまん中の欄の下のところを見ていただきますと、畜産の計、千六百七十億から四千八百十五億、こうなりまして、パーセンテージで申し上げますと、三十年の一〇・五%から三十八年には一九・五%と、こういうように伸びておることを示しておるわけでございます。以下、乳用牛肉用牛、豚、食鶏鶏卵等につきまして内訳を書いておるわけでございます。  それからその次のページは、家畜飼養農家数及び飼養頭数を、前と同じように、三十年から三十九年までについて書いておるわけでございまして、乳用牛につきましては、飼養戸数は、三十年の二十五万四千戸から、三十九年には四十万二千戸と、そういうようになっております。飼養頭数について見ますと、三十年の四十二万一千頭から百二十三万八千頭、こういうようになっておるわけでございます。役肉用牛について見ますと、飼養戸数は、昭和三十年の三百二十八万戸から三十九年は百六十七万戸、頭数におきましては、三十年の二百六十三万頭から二百二十万頭と、こういうようになっております。以下、馬、豚等につきまして、その次のページは綿羊、ヤギ、ウサギ、鶏と、こういうように各品目ごとに、三十年から三十九年について、戸数頭数について、実数と指数を御説明をいたしておるわけでございます。  四ページを見ていただきますと、これは飼料需給実績見通しを三十八年、四十年、四十三年、四十六年につきまして一応試算をしておるわけでございます。三十八年の欄を見ていただきますと、需要量は千三百八万九千トンでございますが、これは四十年には千五百四十五万二千トン、四十三年には千八百七十六万トン、四十六年には二千二百八十三万四千トン、こういうようにふえておるわけでございます。供給量の欄で、特に輸入のところを見ていただきますと、三十八年の四百七十五万トンから四十六年は実量で八百三十万トンと、一応こういうように試算をいたしておるわけでございます。  それから五ページをはぐっていただきますと、粗飼料生産実績及び見通しでございまして、三十八年、四十年、四十三年、四十六年につきまして、目標及び供給必要量と、そういうのを書いておりますが、その欄の一番下のところを見ていただきますと、粗飼料供給必要量に対する生産目標の割合、要するに粗飼料のうち良質粗飼料供給目標を一応四十六年は一〇〇%にしたいと、そういうことを表にいたしておるわけでございます。  それからその下の粗飼料生産目標内訳は、これは草地耕地について、三十八年から四十六年について書いておりますが、要するに草地につきましては、牧草の四十六年のところを見ていただきますと、一応五十万ヘクタール、耕地につきましては百万ヘクタールということを一応目標にいたしておるわけでございます。  それから六ページは、飼料作物地域別作付面積推移でございまして、これは面積指数で書いておりますが、全国のうち北海道が約半数を占めておるわけでございます。  それから七ページを見ていただきますと、これは草地造成面積推移を、補助事業による面積補助事業以外の面積とに分けまして、累計は三十八年度で十万一千三百六十七ヘクタールという実績、これを年次ごと累計をいたしておるわけでございます。  それから八ページにつきましては、これは四十年度におきます草地改良事業概要を、大規模、小規模につきまして書いておるわけでございまして、簡単に申し上げますと、大規模国営は、一地区一千ヘクタール以上、県営は二百ヘクタール以上、小規模は十ヘクタール以上、こういうように書いております。それから補助率は一番右の欄に書いてございますが、国営は、内地六五%、北海道七〇%、それから県営につきましては、基本施設内地五五%、それから小規模につきましては、基本施設四五%、利用施設四〇%、北海道はそれより五%アップと、こういうことを一応表にいたしておるわけでございます。  九ページは、昭和四十年度の自給飼料関係の予算の概要を書いておるわけでございまして、公共事業の欄を見ていただきますと、三十九年度十五億に対しまして四十年度は二十一億、それから、非公共事業関係では、そこにありますように三十九年度六億五千七百六十八万円に対して七億八千万円、両方合計いたしますと、三十九年度二十一億に対しまして四十年度三十九億、こういうことを書いておるわけでございます。  それから一〇ページは、既耕地における飼料作物の非公共事業関係の表をそこにつけておるわけでございます。  それから一一ページにはぐりまして、これは先ほど提案理由並びに補足説明で申し上げました共同利用模範牧場設置事業概要をそこに一応書いておるわけでございまして、その設置のところのまん中辺を見ていただきますと、草地造成面積は一応三百ヘクタール以上、おおむね五百ヘクタールを基準とするということを書いております。  あとは、先ほど説明をいたしましたので省略さしていただきます。  それから一五ページに飛ばしていただきまして、これは那須地区共同利用模範牧場建設計画概要を一応現在の段階試算をしておるわけでございまして、牧場規模は四百九十五ヘタール、うち草地造成面積は四百三十ヘクタール。事業費総額といたしまして、育成事業一億七千四百万円、搾乳経営二億三千百万円、合計四億五百万円。四十年度の事業費といたしましては四千万円、その内訳は、補助金が二千万円、借り入れ金が二千万円ということを一応試算をいたしておるわけでございます。  簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 仲原善一

  7. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 農地開発機械公団法改正に関します資料について私から御説明申し上げます。  一六ページは、公団法が過去におきまして改正された経緯が書いてございます。三十七年に改正がございまして、出資規定中心改正が行なわれました。  それから一七ページにおきまして、役職員及び組織の関係が表にいたしてあります。  それから一八ページでございますが、政府出資が、それまでは無出資機関でございましたが、三十七年の改正で行なわれるようになりました。その後におきます現物及び現金出資の実情を表にいたしたものが一八ページでございます。  それから一九ページにおきまして、年度別決算を計上いたしております。三十七年改正の際に、公団売字が衆参両委員会で非常に問題になったわけでございますが、その際に、過去の赤字を解消いたしますと同時に、政府出資を行なうことといたし、事業量確保についてもいろいろと御意見をいただいたわけでございますが、その後におきましては、三十八年、下から四行目に、当期純利益の欄がございますが、わずかではございますが、三十八年からは黒、三十九年は、目下決算中でございますが、若干の黒に相なり、政府出資事業量確保によりまして、たいへん御迷惑をかけましたが、最近の事態は好転をいたしておるという関係にございます。  それから二〇ページに、公団長期債——承知のとおりこれは当初におきまして機械を、世銀及び余剰農産物特別会計、その後におきまして運用部資金をいただきまして購入いたし、事業をいたしておるわけでございますが、その関係借り入れ金総額と返済の状況。  それから二一ページにおきまして、事業実績でございます。受託工事機械貸し付け等中心に本公団事業を行なっておりますが、それを開墾草地災害復旧等に分けまして、事業量金額で、三十一年以来のものを表にいたしております。同時にその次の欄で、現有機械の台数、おもなる機械を表示いたしてございます。  もう一部の分厚い、機械公団法の一部を改正する法律案参考資料その二というのは、衆議院段階におきましていろいろ資料の御要求等がございまして、追加といたしましてお配りをした資料でございます。  初めに、三十七年の国会でどういうことが問題になったか、それをどういうふうに処理したかというのが一ページでございます。  それから財務に関しまして、三十七年以来の財務諸表及び三十八年の業務報告書が四ページから三〇ページまで相当長く記載されております。  それから三一ページにおきまして、先ほど申しましたものをもう少し詳しくいたしまして、の実績を「開墾作業」とその他に分け、「機械貸付」に分けまして、詳細に出したものが三一ページでございます。  それから保有する機械稼動状況が三二ページでございます。  それから過去におきまして、世銀借款によりまして乳牛を買って導入いたしました。これはもはや終わりまして回収の段階でございますが、それの過去の実績が三四ページからございます。  それから三六ページは、那須事業計画でございますが、これは先ほど畜産局のほうから説明をいたしましたので、重複いたしておりますから、説明は省略さしていただきます。  三七ページに、四十年度にどのような、今回御審議を願う那須事業のほかの、全体の八郎潟におきます貸し付け事業及び受託工事事業量の見込みを計上いたしておるものでございます。  それから公団土地改良事業その他農地開発事業国営その他で委託を受けてやっておりますが、県営事業団体営事業をどのように委託を受けているかという問題に関連いたしまして、これを整理いたしたものが三八ページでございます。  それから五〇ページに、機械品目別メーカー別資料として出せというお話が、衆議院段階でございましたので、それを添付いたしております。  簡単でございますが、資料説明を終わります。
  8. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 本案に対する質疑はあらためてやることにいたしまして、午前中はこの程度で、暫時休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ——————————    午後一時三十分開会
  9. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから委員会を再開いたします。  食料品総合小売市場管理会法案議題といたします。  質疑のおありの力は、御発言願います。
  10. 北村暢

    北村暢君 私は、この前の行政管理庁長官に対する質問は、主として流通部門における行政の分野における混乱を起こすのではないか。いわゆる流通行政末端行政総合行政であるから、その末端行政を、農林大臣が直接監督をする管理会が、食料品総合小売り市場農林大臣監督のもとに置くということについては、どうも行政の、縦割り行政とはいいながら、末端行政総合行政農林大臣監督下に置くということは適当ではないんではないか、こういうことで質問をいたしたのですけれども、これについての、最後のほうで長官がお見えにならなかったので、この点を今後の方針として私は一応お尋ねしておきたいと思うのです。それは、この食料品総合小売り市場というようなものは、その地域の実態に応じた経済的な機構並びに消費者の動向、これによって千差万別に変わるんじゃないか、こういうふうに思うのです。したがって、この官営スーパー的な総合小売り市場が単独で経営が成り立つということは考えられないので、したがって、当然この地域と関連を持ってくる。そうすれば、当然その地域都市計画なり経済機構なりというものに直接携わっている行政機関としては、地方自治体がその責任に当たるべきではないかと、このように思うのです。それの縦割り行政としての指導面という面について、農林省があり通産省があり——これは差しつかえないと思う。したがって、今後この行政混乱というものが起きないためにも、現在通産省が行なっております中小企業のいわゆる店舗共同化資金、こういうものを通じて、都道府県を通じてこの資金を融資いたしまして、そしてスーパーマーケット並びに寄り合い百貨店百貨店というようなものを政策的にいま実施しておるわけです。これはあくまでも、通産省指導行政として政策的に都道府県を通じてその事業計画というものを都道府県知事が出して、そして通産大臣がその計画を認めて、そして融資をしているわけなんです。私は、そういうあり方のほうが行政混乱を来たさない、いわゆる地方自治体自主性に応ずる、自主性というものを持って地域に応じた計画ができる、こういうふうに考えるわけなんです。したがって、今後、この種の問題が出てまいりますというと、政府としてもやはり機構あり方として一つ方針というものを持っていなければならない、このように思うのですね。私は、今度の農林省のやっている管理会そのものについては、後ほど質問をしますけれども、この末端行政の、農林省の直接監督によるモデルとはいいながら、そういうものをつくるということについては、どうしても行政混乱を来たすのではないか、このように思うのですが、今後の方針を承りたい。
  11. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 行政管理庁のたてまえとして、この法案に関与し、承認をするということは、こうした法案の所管及びこの法案の大体ねらっておる行政機構的な面ということでございます。ただいまお述べになりました点は、私どもも重々ごもっともな点を感ずるところがたくさんございます。地方公共団体というふうなところで扱うという形において、こういうふうな問題を取り扱うということは、確かに一つの考え方であろうかと思います。しかし、この法案が出ましたのは、御承知のように一昨年の、生鮮食料品等の流通不十分というか不円滑といいますか、したがって、価格の変動の激しい、ことに大都市におけるそうした状況に即応して、特に消費者物価の安定ということをねらった一環としての生鮮食料品の価格の変動防止というところをねらって、閣議決定をしましたものを受けた一つの措置でございます。申し上げるまでもありませんが、大都市においてモデル的なこうしたいわゆるスーパーマーケットをつくる、その管理をする管理会をつくろうというわけでございます。自治体の内容としては、中小企業ということで、通産省の所管ということと、生鮮食料品を扱うということで、農林省が所管をするという基本的な省の所管についての協議もあったわけでございます。これは関係者の協議の上で、この問題は生鮮食料品を扱うというところに消費者物価安定の一つのねらいをつけて、農林省で扱うことにしようという話し合いができて、その事態をわれわれも了承いたしたというのが、この管理会法案に対します行政管理庁の態度でございます。
  12. 北村暢

    北村暢君 この法案はできが悪いんで、この法案のことを聞いてるんじゃないんです。一般論として——長官よく聞いていていただきたいんですがね、卸しの段階はね、中央卸売り市場というものは、開設者は自治体なんです。東京都あるいは市町村なんですね。まあ東京都の場合は特別ですから東京都なんで、中央卸売り市場の開設者は地方自治団体である市町村であります。そして農林大臣監督行政として、中央卸売り市場については直接の監督権限を持っておる。しかし、開設者は自治体なんです。これは全国幾つもないわけですね。将来まあ十五万都市以上のところにつくろうと、こういうことなんです。まだまだ十五万都市以上全体になんかもちろんいってない、数えるだけしか中央卸売り市場というものはないわけですね。そういうものであれば農林大臣監督権限もある程度いくんじゃないか。——その中央卸売り市場すら今日、問題が非常にあって、農林大臣監督権限というものは行き届いてない。実際に運営は大臣の考えるような形になっておらない。そういうものです。それを、末端の小売り段階までおろして農林大臣監督するということになると、これは法の趣旨からいっても——いま増原長官は、大都市における生鮮食料品の値上がりに対して政策的にモデルをつくるんだと、こうおっしゃいましたが、一体この法案の第一条のしょっぱなに出ておる「大都市」というのはどういう解釈——人口何万から大都市と言うんですか、その解釈をまずお伺いしましょう。
  13. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 大体、大都市というのは、従来の用語例から、六大都市に今度は北九州市が入ったという程度に私とも——そう厳格には解釈しておりませんが、その程度のものかと了承……。
  14. 北村暢

    北村暢君 それは大臣の考え方は非常に間違いなんですよ。そういう解釈は通産省あたりはしておらぬですよ。大都市、中都市、小都市という概念がある。この概念の、大体のいまの概念からいくというと、人口二十万以上の都市を大都市と言ってるんですよ。それから中都市というのは大体十五、六万から十万まで、小都市というのは十万以下の都市。これは通産省関係の人が見えると大体わかるんですけれども、いまの統計でいろいろものごとを調査してるのはそういう観点でつくっている。したがって、中央卸売り市場も大都市につくることになってるんですね。それは従来の観念からいくというと、先ほど言ったように、十五万以上の都市というのは、中央卸売り市場をつくる概念の中に入っていますよ。したがって、この大都市という概念は、いま大臣のおっしゃるような、六大都市に北九州市が入ったなんていうものではないのです。そういう概念ではない。これはいろいろ調べていただければわかるのですけれども、そういうものになっておらないはずです。いろいろな統計調査調べてもそうだろうと思う。まあこれは厳密に、法律的に何万以上を大都市というなんというものはございませんからいいのですけれども、大体ね、この総合小売り市場設置するのも、まあ、六大都市に限ったことではない。すでに札幌にもスーパーマーケットをつくろうという農林省の構想がある。六大都市に限ったことではないのですね。ですから、そういう面では今後の計画としてどういうふうになってくるのか知りませんけれども、この趣旨はですよ、法律の趣旨からいけば、いま大臣が言われるように、生鮮食料品の値上がりに対して、特に大都市において物価対策上やるのだ、政策的にやるのだ、それは農林省でやるのだ、こういうふうなことのようですけれどもね。やはり生鮮食料品、全体の物価対策としてやるなら、これは政府の考えることですから、やはり全国を対象にして考えるべきではないかと思いますね。したがって、このモデルをつくるという観念について、農林省の考えているモデルであったならば、東京都に最初に二十つくる、こういう考え方ね、これは私は納得しないのです。モデルだったならばモデルのように、二十つくらなければならないとか、五十つくらなければモデルにならないということにはならないと思うのです。モデルだったなら東京にもつくる、大阪にもつくる、名古屋にもつくったらいいと思うのですね。これはやはり全国的な観点からいって、そうあるべきだと思うのです。それですから、そういう観念からいけば、私は、非常に限られたモデルであるから、農林省が直接に監督すればいいのだと、こういうふうに受け取れるような感じがするのですけれどもね。そうでなしに、私が言っているのは、まあ卸売り段階ですら開設者は地方自治体、ましてや小売り段階における行政というのは、これはもうたいへんな行政なんですね。それを農林大臣が直接監督をする、まあ農林大臣管理会を通じて監督をすることになるわけなんですけれども、管理会を通じてやるわけでありますけれども、地方自治体というものは、これに対して意見を述べることができるということで、監督は一切農林大臣なんですね。だから、そういう小売り段階における行政というのは指導行政でいいのじゃないか、直接の監督行政までタッチするというのは、これはできればいいのですけれども、言うべくしてできないのじゃないか。これは東京都なら東京都あるいは大阪なら大阪という限られた地域であるならばいいかしれませんけれどもね、やはり全国的な規模において、このスーパーは何も東京、大阪にだけできるわけじゃないのですから、その小売り段階モデルをつくるとすれば、これは当然地方自治体の、消費行政の末端は自治体にまかせるべきでないか、こういうことなんです。そういうことでひとつ、今後の一般問題としての縦割り行政というもので、農林省が、生鮮食料品、食料品なるがゆえに、農林省が生産から集荷、それから卸、小売りの段階まで全部縦割り行政監督指導をするのか。それは一般的な指導というものはあるかもしれませんけれどもね。監督行政までやっていくという直接の行政をやっていいのかどうなのか。そういう御方針なのかどうなのかということをお尋ねしているわけなんです。
  15. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) いまおっしゃった、何といいますか、実質的な問題についての論議は、これはまあ所管としてはやはり農林省で私はお答えをすべきことのように思います。行政あり方として、縦割り行政の弊を改めるために、まあ方向としては、各省というものは大きく企画、調整の事務をとることになるべく限定をして、実施段階の事務は地方公共団体になるべくこれを委譲しろという、臨調の答申にも出ておりますので、方向としては、私どももそういう方向をとるべきものと思います。現在行政改革本部で、その方向の検討を具体化するための検討をしております。なかなか現実には結論がまだ早急に出そうもないという実情であります。方向として、おっしゃることは十分私もそのとおりであると思います。ただ、この法案を私どもが協議を受けて承認をしました観点は、管理会をつくるということがひとつわれわれの所管についての協議の重点でございます。管理会というようなものはなるべくつくらないという方針を持っておるものですから、その点についてまあ重点を置いた検討と審議をしたわけでございます。実質的なこういう問題のあり方として、中央卸売り市場でも地方公共団体でやらしておるというたてまえと、これとを比較してどうかという問題は、まことにおっしゃるとおりであると思いますが、この法案管理会というものでまあ公の性質を持ったものとして公団方式のようなものをつくりまして、これでいわゆるスーパーマーケットの援助、助長をするという方式は、現在の行政機構あり方として支障ないものという意味で、私どももこれは賛同をいたしたわけでございます。実質的なおっしゃるような事柄は、私どもより、これは農林省あるいは通産省のたてまえにおいてお答えをし論議をすることが適当ではないか。基本としての実施事務を地方公共団体に下げるという方向は、おっしゃるとおりで、これは十分検討をして、実現をみたいというふうに考えておるところでございます。
  16. 北村暢

    北村暢君 大体縦割り行政の限界というものは、弊害が今日非常に出ておるということ、これはもういま長官の御答弁になったとおりで、総合行政のたてまえからいって、企画、調整は中央官庁がやる、実施事務は地方自治体になるべく委譲していったほうがいいのだ、そのほうが機構の簡素化ができるのだ、これが一貫した流れですわね、思想の。したがって、私は、今度の管理会法なり何なりというものは、この方針に若干反しているのじゃないかというふうに、率直に感じているのです。したがって、私その点では非常に反対なんです。その基本的な方針はいまの答弁でわかりましたから、この問題はそれで終わりますが、次に、いまお触れになりました管理会というものが問題で、管理会のよしあしについて、行管は相談を受けた、こうおっしゃるのであります。そしてそれの妥当性を認めて、この管理会法というものに賛成をした。こうおっしゃられたんでありますけれども、この管理会がそもそもはなはだいけないんですよ、この法案の。それでまっこうから私ども反対しておる。それで、いま長官のおっしゃる、妥当と認めたということはですね、まことに不合理で、私どもは認めがたい。見解はまことに対立しているわけです。それは臨時行政調査会の答申にもありますようにですね、この公団事業団、特殊法人、こういうものですね、これはいわゆる官庁の非能率というものを克服する。それから民間の独立した能率的なやり方というものを取り入れる。そういうところにこの公団事業団のいいところがあるんですね。役所ではなかなかできないようなところをですね、能力を発揮するというところに妙味がある。ところが、臨調の答申でも指摘しているように、そういう考え方に立っての公団事業団、特殊法人というものだったならばですね、これは設立をしたときの趣旨に沿うものであって、実際にそのような運営がなされていれば、これは問題ないわけでしょう。ところが、いままで設けられました公団事業団、特殊法人というものは、そのいいところが能力を発揮しておるんじゃなくして、官庁の非能率というものが何ら克服されない。しかも監督官庁の監督によってですね、独立した法人としての自由な運営もできない。民間の能率的な運用というそれも入ってこない。結局その非常に悪いところばかりたまっちゃっておるから、いままでの公団事業団、特殊法人というものがですね、能率をあげてない。臨調でもそれを指摘しているわけだ。そのうちで農林省はですよ、具体的な指摘をしている、十八のうち八つまで。農林省が具体的に、この公団事業団については再検討しろということを指摘されておるわけですね。十八のうち八つまでですよ、農林省だけで。したがって、農林省は、厳正な臨時行政調査会の答申案をです、尊重し、真剣にそれを考えているとするならばです、その公団事業団のあり方についてほんとうに抜本的に検討をし、改めるべきは改めるという態度でなければならないと思うのです。ところがですね、まあそういう検討は、若干はやっておるんでしょうけれども、今度の国会にも、事業団、幾つ出ておるんですか、新しく農林省はこの公団事業団をつくっておりますね、三つか四つつくっておるわけなんです、新しいものを。私どもから言わせれば、これは適当でないというものもあります。従来あるものでできるのじゃないかと思われるものもある。そういうものを、無神経というか、ずうずうしいというかわからないけれども、次から次に、指摘を受けながら新たにつくってくるのですよね。それを行管は検討されたのでしょうけれども、何となく認めているのですね。これは行管の態度として私は非常に不見識だと思うのです。大体こういう公団事業団というものは行政の一部的な性格を持っているわけです。いわゆるパブリック・コーポレーションとガバメント・コーポレーションというので、ガバメント・コーポレーションのほうは一般行政でやるべきものの延長としてやっているというものが多いわけなんです。したがって、当然行政の一環としてやるべきものを公団がやっている、そういうものがあるわけなんですが、大体、考えてみればわかるのですが、農林省に価格安定のための事業団幾つあるのですか。いろいろあるのですよ。お蚕さんの価格安定、畜産物の価格安定、事ごとに価格安定の事業団ができていて、それに一人ずつ理事長、高額な給与を取る理事長ができているわけですね。もっとこれ何とかならないかと思うのです。私は、これは明らかに乱立だと思うのです。行政丘がやるべきものを回避して、そういう外郭団体的なものでやっていく、こういう考え方ですね。これはやはりある程度整理されるべきものでないか、こう考えているのです。しかも公団事業団というものは暫定的なものなんですよね。その価格安定の事業団が一定の目的を達すれば、公団は解散しなければならぬ。たとえば愛知用水公団というのは、愛知用水をつくったならば、五年間なら五年間で解散をしなければならぬ、こういうのが性格でしょう。暫定的なものなんです。ところが、一回つくってしまうというと、役人というのは、なわ張り争いというか、何でもかんでも抱え込む習性を持っているのです。自分の権限というものをなるべく拡大したいというおかしげな習性を持っているのです。したがって、一たん抱え込んだら、自分の監督下公団なんといったら、これは人事上も都合がいいのですから、絶対に放さないのですね。したがって、愛知用水はもうでき上がったけれども、愛知用水公団はつぶさない。何だかんだといって仕事を見つけて、なかなかやめようとしないわけなんです。今度できる八郎潟の事業団も、三年か五年で、これは事業が終了するわけですね。そういうものは性格がそういうものなんです。ですから、私は、それかといって、いままでに農林省でできた公団が、目的が終わったからといって解放した事業団というのは、一つや二つあるかもしれないけれども、まず、ほとんどないのです。こういう反省というものが一体なされているのかどうなのか。そういうことを見て、行管は、次から次に出てくる公団というものを認めているのかどうか。これはいいかげんでないかというふうに私は思うのですが、この点はひとつ、いままでの公団事業団、特殊法人あり方として、私は、能率をあげていない、はっきりいってそういうことが言えると思うのです。全部とは言いませんよ。非常によくやっている公団もないとは言わない。しかしながら、往々にして、独立法人としての自由な創意と企画とによって、そうしてその能力を十分に発揮している公団というのはごく少ない。もう農林省監督下に置いて、その監督によって身動きができないような形、それで満足な仕事がやっていないというのが今日の公団事業団の実情なんです。ですから、私は、先ほど長官のおっしゃる、この管理会というものについての妥当性を認めたということについて、理解がいかない。特にこの管理会というのはほかの事業団や何かとちょっと違うのですよ。性格が、管理会という名前が示すように、ほかにも何とか管理会というのはたった一つあるそうですけれども、公団事業団というものとちょっと違う。管理会というものの名前が示すように、ちょっと性格が違うということは、この流通機構の中における小売り段階のまあモデル、スーパーをつくる、スーパーマーケットのモデルをつくるのだ、これは流通行政の中における事業的な性格よりははるかに行政的な、指導的な役割りを持っていると思うんです、性格はですよ。その事業を運営して成績をあげるというようなものではないのですね。経済効率をねらって、国でやれば十五年もかかるが、公団で、愛知用水のように五年間でもって経済効率をあげる、こういう性格のものではないのですね。多分にこれは指導行政的な性格を持っているんです。したがって、私は、他の公団と非常に性格は違う。そういう行政的な面が多ければ多いほど特殊法人でやるべきではない、こういうふうに思うのです。そういう点から言って、管理会というものについての妥当性というものについては、私は簡単に了承できない。たとえばこのモデル・スーパーをつくるというのですけれども、モデル・スーパーをつくる管理会は、その建物をつくって、そうしてまあある程度の施設もし、そうして家賃を取ることになっているわけですね。建物をつくって家賃を取るだけであったならば、これは何も農林省でやる筋合いのものでないですね。住宅公団は住宅しかつくらないのですけれども、建物をつくるということであれば、現実に住宅公団ばげたばき住宅式なものをつくって、そうして下はまあスーパーに貸すとかなんとかいうことを実際やっているわけですね。それだけのことならば住七公団でやればいいわけです。ところが、そこに入った人の経営そのものについての指導をやることになっているんですね。しかもそれは、管理会がそのスーパーの中に入ってやるのじゃなくて、特殊法人がやるのじゃなくして、一般の中小企業者やほかの人が入って自由に営業するわけですね。それをモデルに合うように指導するということです。その指導したものは一般の中小企業もこれにならってやりなさいというのですから、これは指導行政的なんです、実際は。そういう意味においてほかの公団事業団というものと非常に性格が違う。そういう点があるから、この管理会というものについて、行管が妥当だと判断したというのですけれども、その妥当の考え方について、非常に私は割り切れないものを持っている。やはりこれは管理会というものでやるべきでないじゃないか、行管の認めたということはどうも納得がいかない、こういうふうに思う。どうでしょうか、長官の所見をひとつ。
  17. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 公団事業団等の一般的な性格についてお述べになりました分は、私はもうほとんど全面的に御趣旨には賛成でございます。したがいまして、臨調答申もあることであり、公団事業団については全面的に検討をして、真に必要なもの以外はだんだん整理をしていくということで、いま各省でも既存のものについて検討をしてもらっておるという段階でございます。これがまた、おっしゃるように、なかなか既存のものを廃止するということは円滑にいかないという実情もありまして、その検討はなかなか難航をしておるということは御指摘のとおりでございますが、その方向は、十分、その方向をとっていま検品をいたしておるということでございます。  次の、若干一般的な問題は、農林省で今度三つ、農地管理事業団と、八郎潟の事業団と、もう一つ糖価安定のためのものが出ました。この初めの二つのものについては、私どもとしてもたいして異論がなかった。糖価安定のためのものは、われわれとしては相当検討をした結果、これは食管法の改正で、食管法の中に一つ別会計を設けるというような方法でできないかということで、相当農林省の検討を求めた、しかし、農林省は検討の結果、やはりその形では十分な成果をあげにくいということで、これも了承をしたというようなことでございます。具体的な管理会については、いまお近べになりましたような点はあるわけでございます。ほかの公団事業団とは若干趣の違う点が確かにある。しかし、御承知のように、この問題は、生鮮食料品小売り業の経営近代化のためのモデル市場、それを設置、管理をするところから、適正価格の指導といいまするか、そういう面をやはり一緒にやろうということでございますから一その面においては、行政的な面が御指摘のようにあるわけでございます。その行政的な公益目的を実現するという面が、この場合管理会を私どもも了承をするむしろ強い要素になっておるわけでございます。しかし、そういうものを別にしなくてもいいという御意見の点では、こういう市場を設置、管理をするというところは、やはり官庁機構の中では、会計法、財政法的な面が一番強いのでありまするが、会計法規その他の束縛がやはりその目的達成、運営のためには適当でない、やはりこういう官庁機構からは、一応行政的、公的な性格を持った管理会というふうにすることがやむを得ざる必要であるという観点で、私どもはこれに同意したということであります。したがいまして、仰せのように、これは相当に行政的な性格、行政指導という性格を持った公的なものである。しかし、一面において、市場の設置、管理という面を含んで会計法的な、官庁会計法における法規どおりでは円滑に運営しにくいという面を考えあわせて、この管理会設置に了承を与えたということでございます。全体としては、御指摘のとおり公団事業団、こういうものはやはり官庁という機構を離れて最も能率的に動くために、こういうものをつくるということが何といっても主たるねらいである、それに公的なねらいがあるということですから、能率的な運営のできないようなものを将来認めるということは、私どもは厳格な態度をとって臨むということにしてまいるというつもりでおります。
  18. 北村暢

    北村暢君 その意見にも私は納得しません。主として財政上の観点から、民間資金も入れ、国からも、地方公共団体からも入れ、そのためには民間資金を入れるということになれば、国ではやりにくい、国の直接の施設としてはやりにくい、そういう点はそうでしょうけれども、しかし、それが絶対でないわけですね。私は、何も特殊法人をつくってそういうことをやらなくたって、指導行政で幾らでもできる、そうしてその施設は公設でもできるのじゃないか、地方自治団体が設ければいいじゃないか、これは公設市場という制度があるわけですね。地方自治体設置をして、それに国が補助をする、あるいは融資の道を開いてやる、地方自治団体が起債を起こすその起債を認めてやる、そういうことだってできるわけなんですよ。したがって、私は、設置だけのために管理会をつくらなければならない、それが唯一の手段であるというふうには受け取らないし、そういうふうには考えておらない、ほかにも方法はある。そうして流通面の近代化をやるというなら、やるように、農林省指導行政でいいじゃないか。中央官庁として企画立案をやって、そうしてこういうものはいいのだという指導でいいのじゃないか。あくまでも自治体でできるのじゃないか。大阪の公設市場というのはある程度成功をおさめているわけなんですね。その成功をおさめている大阪の公設市場というもの、その大阪の公設市場は大阪市が設置しますけれども、中に入っているものは、小売り店が二十軒か三十軒入って、それは生鮮食料品だけじゃない、もちろん衣料その他も入って、公設市場というものができている。それを、そのやり方では、小売り業者がただ入ったというだけで、流通の革命にいういわゆるセルフサービス式な近代的な経営管理じゃない。したがって、公設のスーパーマーケットというものをできないはずがないのですね、これは内容を変えればいいのですから。いままでのその公設市場の個々に入っている店を、一つの企業体もしくは協業によってセルフサービス式のものをやって、それで何もできないことはない、できる。そこに中小企業の協業化という考え方を持っていけば、通産省の指導によってできるわけなんですよ。したがって、管理会をつくらなければ、いま言ったような流通革命に合ったような指導行政ができないかというと、できる。私は、できる方法があると、そう思っているから、管理会というものには賛成できないわけだ。そういうことなんです。それから管理会ばかりでなしに、一般論として、私は、従来の農林省公団事業団、そういうものの役員の給与並びに退職金、それからどういう人が役員になっているかということ、全部資料をいただきましたが、これは資料を見ていただければわかるんですが、役員は圧倒的に古手役人です。農林省もしくはほかの関係のある、金融機関だったら大蔵省の役人が入っているとか、圧倒的です。これは官房長にちょっとこの数を、何人いるか知らないけれども、ほんとうに民間の経歴のある民同人の役員が何人おるか。これは何人おるんですかね、農林省の外郭団体の公団事業団に。古手役人がべらぼうに多いんです。統計はトータルしていないからちょっとわかりませんけれども、概数でいいから調べて、その中に純粋の民間人が何人入っておるか、ちょっと調べて答弁していただきたい。
  19. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) ちょっと計算させていただきますが、私の記憶では一割くらいだったかと思っているんですが、調べさせます。
  20. 北村暢

    北村暢君 一割いればいいほうなんです。圧倒的に古手役人なんですね、これは。したがって、公団事業団の非能率というのはそこからきているんですよ。古手役人が行く。しかもその古手役人で入って行く者は、これは末輩のぺいぺいが行くわけじゃない、局長をやったとか、部長をやったとか、長官をやったとか、次官をやったとか、えらい人しか行かないんです、これは。しかも、役人のときの給与の倍くらいになって行くんでしょう。まあ隠居仕事で行くんだったらば半分くらいでもがまんすべきなんだが、倍くらいになって行く。失業救済事業にしてはあまりにも待遇がよ過ぎる、これは。そういうところが国民の目から見るというと、けしからんということになる。退職金見てごらんなさい。五、六年いるというと一千万円の退職金もらっているでしょう。一千二、三百万もらっているのが最高のようですね。大体あなた、八百屋さんや魚屋さんで五、六年で一千万も二千万ももうかるところなんてありゃしない。そういうのを監督する管理会というものに高給役人かわって——これは行くにきまっているんだ。行かないと言ったって行くにきまっている。当初は行かないようにカムフラージュするかもしらんが、二、三年たつうちに、ちゃんと役人によって占められるようになっているんだ、これは。そういうものなんですよ。いま官房長が言っているように、もうできている公団事業団の九割以上は古手役人が占めておる。民間の、ほんとうに能力があり、そして独創的な企画を持って、奔放な独立性を持って能率を上げるなんという者は入っていないんだ、大体。だから、能率低下するのはあたりまえの話なんだ、これは。失業救済所と心得ている。そういうものなんですよ。そのことを、あなた、行管長官がわからないというはずはないんだ。わかっておるはずです。調べておるはずです。それで、この管理会が能率的にいくということについては、はなはだ疑問がある。それと同時に、指導行政が圧倒的である、業務内容から言えば。家賃取るくらいは、それはあれでしょうけれどもね、それだったら住宅公団でいいわけですから、管理会というものにしたのには、その流通関係指導行政があるからやったのですね、その指導行政だって自分がやるわけじゃないのです。愛知用水なり、あるいはその他の事業団、公団というのは、これは自分でその仕事をやるわけですね、ところが、この管理会は、自分で仕事はやらないのです。仕事は、売ったりなんかするのは民間人が入ってやるわけですからね、それのやり方がいいとか悪いとか文句つけて——指導と言えばていがいいですけれども、これは何だかんだって文句つけるに相違ない、入っている者に。これは文句つけ係が管理会の役目だ、そんなことで今日の激しい商売、少なくともスーパーマーケットは、いまあちこちにでき過ぎちゃって、スーパーマーケット自体がもう過当競争でつぶれていっているのが出ているですね、これはあとから通産大臣にお伺いしますけれども、そういう事態の中で、能率をあげなければならない、激烈な競争をやっていかなければならないのに、古手役人が行って勝負できるはずがないのです。こんな者に指導されたら、入った者はつぶれちまうです。つぶれちまうようなものを管理会だなんて言ってやること自体がおかしいのだ。指導する能力がないのですよ、大体が、この管理会というのには指導する能力というのがない、私はそう思って見ている。指導されたならば、中へ入った者はいい迷惑で、つぶれちまう、そういうことなんです。しかも、この管理会というものについては、その中に入る者は、そうやってつぶされたときに、店をしまってそこへ入ってくるのですから、店をしまわない者は今度の管理会の中のスーパーには入れないのですから、いままでやっている自分の店は締めて、廃業をしてスーパーに参加する。しかも企業体になって、八百屋さんなら八百屋さん五軒なら五軒が、五軒で入るのじゃなくて、会社なり協業体をつくって、協同組合をつくって入るわけです。これはもうたいへんなことですよ、しかもスーパーマーケットの管理というのは、経営というものは、もうよほどの熟練した、経験を持った、しかも能力のある経営者がいないと、このスーパーというのは成り立たない。そこへいま、協業でもって、ドングリの背比べのような——そう言っちゃ小売り業者の人には悪いのですけれども、その経営能力だの何だのということについては、自分の生業的な個々の経営については、それはもう非常な経験を持ち、敏感な勘を働かして毎日の商売をやっているのですけれども、しかし、このスーパーという大きな規模において、仕入れをどうやって、商品管理をどういうふうにしてやっていく、こういう管理能力というものについては、いささか疑問がある、そういうのでありますから、これは失敗しないとは限らない。失敗することはあり得るんです。失敗したときには、これは管理会法という法律ですから、中に入った者の営業は自由にやらせるんで、何にもこれは関係——法案で何にもきめてない、全然きめてないわけですよ。したがって、こういう中へ入って、失敗をしたときに一体だれが責任を持つか。店はしまって出てきて、ここに入っちまった、それで失敗して、借金だけ背負っちまったといった場合に、一体だれが責任を負うか。農林省は、モデルモデルと言うんだったならば、モデルということは、試験でやるんでしょう。流通政策の、政策的な意図において、生鮮食料品の価格安定のために、政策的に、こういうものですという試験をして見せるわけなんです。これは国の政策でやる。したがって、倒れたりしたならば、失敗をしたときには政府が責任を持たなけりゃならないはずなんだ。そういうことは何にもきめてない。したがって、この管理会のやるスーパーマーケット——総合小売り市場というものは、生きた小売り業者というものをモルモットにして、試験台にして、そうして、将来つぶれるかつぶれないか、うまくやっていけるかいけないかわからないものの試験を、国が中小企業をモルモットにして、試験台をつくってやる試験だと、こういうふうに私は見ておるんです。いわゆる中小小売り業者をモテルに——モルモットにしたところの生体実験である、こういうふうに見ておるんです。これは農業構造改善事業のパイロット事業と同じ、そういう考え方である。したがって、この中小小売り業者を、魚屋さん、肉屋さんを試験台にしたところのモデルである。こういうことは、国で政策的に試験をやらせるならやらせるように、もっと管理会ではなしに、実際に設置したところの総合小売り市場そのものに対してのやり方なり、あり方なりというものについての法案なら、私賛成しますよ。そうじゃないんだ。それを、中に入る者はどうなるか、そんなことはわかりゃしない。モルモットになった中小小売り業者だけはいい迷惑だ。試験台にして農林省はこのモデルをつくろうとしている。しかも構想を聞くというと、必ずしも成功するという見通しについては、私は非常に疑問を持っております。一ヵ所一億円でもって、二十ヵ所の二十億でもってスーパーマーケットをつくる、そのうちの約半分は生鮮食料品で、そのあとは加工品だと、こういうふうに言ってるんですけれども、そういうやり方が、今日の日本の消費構造の中において、ほんとうに地域にマッチしたところのモデル的な総合小売り市場になるかならないかということについては、非常に疑問があります。農林省は非常に理想的なスーパーマーケットをつくろうとするけれども、その理想的なスーパーマーケットが、実際にそれじゃ経営が成り立つのかどうなのかということについては、私は非常に疑問を持っている。これは消費者がその気にならなければ成功しないです。幾ら理想的なマーケットをつくっても、お客さんが来なければ話にならぬでしょう。必ずしも農林省の考えたものは、私は成功するとは見ておらぬ。何も農林省がこういうモデルをつくらなくても、今日スーパーマーケットはあり余るほど、倒産するほどできているのであります。民間で自由な企業としてどんどんできております。通産省もそのほかにつくっているのです。何で農林省は、このモデルをわざわざつくらなければならないか、存在意義というものについては、私は非常に疑問に思います。したがって、行管長官はこの管理会を認める合理性というものを主張されましたけれども、私は、この検討は非常に浅薄なものであって、まあ、行政管理庁に、そのスーパーが成功するかしないかなどという技術的な能力はないのだと、それはやむを得ないと思います。しかし、私は、そういう点までほんとうに検討すれば、これは専門は通産省のほうだと思うのです。スーパーマーケットの経営あり方だの何だのということは、専門は通産省だと思う。したがって、通産省意見なり何なりを参酌されてもちろん行管でもきめたと思うのですけれども、この合理性というものについて、私は非常に疑問を持っている。ですから、まあ本法案はこの問題だけでありますから、一般論として公団事業団というものについては、先ほどの方針をひとつ行管長官は厳重に守られるということですね、今後の問題として。どんどんできるんですからね、そうして減らないのですから、これでいったらどういうことになるのか、私、ちょっとわからないのですけれども、もう今日行政機構がどんどん拡大するといったってできない、公団、専業団で逃避行しているような、私はそんなような感じすら持っているのです。行政機構拡大ができないので、公団事業団、管理会、こんなもので逃げていくのだとすら感じているのです。そういうのでありますから、行政機構拡大、膨張していくということについて、いま行管は非常に神経質で、新規事業は認めないとか、新規の定員は認めないとか、盛んにやっていますね。これは一つの手段として、事業団だの管理会だの何だのって逃げている、これは行政の一端とは言えないと思うのですね。そういうことでありますから、まあ行管長官に対する質問は、通産大臣農林大臣も見えましたから、ここら辺で終わりたいと思いますが、最後にひとつ、長官の、今後におけるこの特殊法人の考え方について、明らかにしておいていただきたい。
  21. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 公団事業団等特殊法人についての御意見については、先ほど申し上げましたように、御指摘の点は、私もほとんど賛成でございます。行政機構の拡充というものは、不必要な拡充は厳に抑止をするという態度でいっているために、公団事業団ができるという御推定をされることも、まあ御無理でないような事実もないとは言えない状態であります。したがいまして、公団事業団も行政機構の拡充と同様の扱いで、われわれのほうで審査をして、承認を与えるという態度をとっているわけでございます。現在ありまする公団事業団も含めまして、厳重な審査と整理を要することでございまするから、これはもう十分に、現在の検討をさらに進めまして、整理、廃止等の実をあげるように努力をするつもりでございます。本管理会の問題についても、内容、実質の点から御論議をされましてのことでございましたが、そういう点は、所管の農林省から十分自信のある、責任のある内容の御説明を私はいただけるというふうに考えるわけでございます。公団事業団一般についての御指摘は、十分御意見を承り、その趣旨に沿う整理統合をやってまいるつもりでございます。
  22. 北村暢

    北村暢君 行管長官よろしゅうございますから……。  まず、行管長官に、流通行政あり方について、行政面の点の質問をだいぶいたしたのでありますけれども、私は、現在行なっております通産省流通行政全体については、主管官庁は何といっても通産省だ、こういうふうに理解しておるのであります。生鮮食料品等は、農林省がある程度縦割り行政の中で共管というか、協議をするというか、そういうたてまえになっておる、流通行政の主管官庁は通産省であると、こう理解しておるのですが、この点は間違いでしょうかな。
  23. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ただいまお尋ねの点でございますが、商業政策一般といたしまして、流通行政通産省の所管であることには間違いないのであります。
  24. 北村暢

    北村暢君 それは確かにそうだろうと思いますね。  それからもう一つの観点で、現在、食料品総合小売市場管理会法に直接関連を持ってくるこの小売り段階の企業というものは、これは圧倒的に零細企業でありますね。したがって、中小企業政策として、まあ中小企業行政一般としては、やはり主管官庁は通産省である。これは中小企業庁もあるのですから、そのとおりだと思います。そこでお伺いしたいのは、この中小企業行政として、監督行政指導行政を大体中央官庁持っているわけですけれども、中小企業の問題については、圧倒的に指導行政が主体である、このように理解をしているのです。それは、行政といってもいろいろあるでしょうけれども、中小企業政策全体の問題、それから指導の面、こういう点あるでしょうけれども、そこでお伺いしたいのは、中小企業といっても、中小企業全体といえば、これは商業関係ばかりでございませんので、もちろん製造工業まで含む、こういうものですから、私は、いままでの通産省中小企業政策なり行政中心は、何といっても商業政策よりも一般の製造工業における中小企業、これがもう大部分を占めていたのじゃないか、商業部門の政策というのは非常におくれている。おくれているというよりは、民間の自由な企業にゆだねておるという面が非常に多い。   〔委員長退席、理事森八三一君着席〕 しかも、商業関係においても、御売り段階と小売り段階において、まあ小売り段階においては現在まではほとんど行政らしい行政というものはやってきていないのじゃないかというふうに判断しておるのです。その場合に、特に商業面のことについて、きょうは商業面のことですから、その面についてお伺いいたしますけれども、中小企業政策全体の中において、監督行政指導行政の中で、商業面においての行政はどういうものが主体であったか。私の理解では、指導行政というものが主体で、それは地方自治体を通じて大部分がなされているのじゃないか、このように見ておるのでありますが、この点はどのようになっておるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  25. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 中小企業政策の中で、監督行政よりも、御説明のように指導行政が大体主体を占めておりますが、ただ、この指導行政も、団体を通ずる指導行政と、それから各府県を通ずる指導行政と、両方分かれております。それからまた、各府県を通ずる指導行政の中にも、中小企業庁のほうから補助金その他高度化資金というような資金を流しまして、それを通じて私どもの意図しておるところの指導を各府県庁のほうにやっていただくというふうなやり方をやっておるわけでございまして、その中におきまして、商業、特に小売り商業という部門につきましてどういうふうな行政をやっておるかということでございますが、例をあげて申しますと、中小企業基本法でも非常に強調して施策をやっておりますところの、中小企業の高度化資金、これが今度四十年度で六十六億何がしの予算が取れたわけでございますが、そのうち中小商業というものにつきまして、店舗の共同化、いわゆる協業によるスーパーマーケットあるいは寄り合い百貨店というものに対しましては、約八億の金をこれに充てております。それから小売り商業が商店街を形成いたしておりますので、この商店街の近代化というものを推進するという意味におきまして、商店街近代化資金というものも高度化資金一つに掲げられておるわけでございますが、これが約四億六千万何がし、それからこれは製造業のほうも一緒になって突っ込みではございますけれども、その大半を小売り商のほうに回すということにしておりますが、共同施設資金が今年度十二億がとれておりますが、これは御承知のように、アーケードでありますとか、あるいは共同の福利厚生施設あるいは共同給食施設というものに回すということで、相当程度小売り商業対策というものについては、私どもは力を注いでおるというふうに考えます。
  26. 北村暢

    北村暢君 私も中小企業に関する年次報告を詳細に読ましていただきましたから、大体、 いまおっしゃったようなことは理解しておるつもりなんです。そこで、いまおっしゃられた団体を通じてやる指導行政と、それから府県を通じてやる指導行政とある。そうして通産省自体、通産局に経営指導員的な制度があるわけですね。それで中小企業の近代化について、経営指導をやっている。これはまだまだとっても小売り商の経営指導までいってないのでないかと思うのですが、そういう通産省が直接の指導をやる、末端の指導をやるということもやっておられるのではないのですか。
  27. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 中小企業庁といたしましては、先ほども申し上げましたように、中央会あるいは商工会あるいは商工会議所というものを通じまして、そういうところに指導員を配置いたしまして、それに補助金を出しまして、中小企業政策の意図に合したところの指導をやっている。それから府県のほうにおきましても、府県に対しまして診断員と申しますか、そういう名前で呼ばれておりますところの指導員を配置いたしております。それにも補助金を出しております。そういうような方向で、直接手を下してということではございませんけれども、中小企業の金を、長官が獲得しました金を流すことによりまして、その意図に沿った指導をやっていくということでございす。
  28. 北村暢

    北村暢君 その指導員は、やはり通産省としては、研修とか何とかをやって、そして能力を引き上げて、そして実際に応じた経営指導ができるような施策はやっておるわけでしょう。そこで、実際にこれからお伺いしたいのは、高度化資金の流し方ですが、高度化資金の中の、いまスーパーに直接関係のあるのは店舗共同化資金、これですね。これのやり方は、流し方は、府県から計画を出させて、それを認定してその資金を流す、こういうやり方をやっていると思うのですが、これはどうなんですか。
  29. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、府県が窓口になって金を貸し付けるわけでございますけれども、具体的な案件につきましては、府県から通産局を通じまして、中小企業庁のほうに審査の要求がまいりまして、それを審査した上で取り上げるということになっております。
  30. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、私が直接にお伺いしたいのは、いま農林省はスーパーのモデルをつくるというわけなんですね。管理会を通じて指導監督するモデルをつくる。そのモデルでありますから、これにならってつくれということになるのですね。モデルということは見本なんです。見本なんですから、みんなこれにならってつくれというわけだ、そのつくるほうは、私は、結局は通産省の指導によってつくるのではないかと思うのです。通産省は、農林省モデルをつくってもらわなければスーパーの指導ができないほど、中小企業庁の組織なり、行政能力なり何なりというものは、そういう幼稚なものなんですかね。私は、専門家のほうの通産省農林省モデルをつくってもらうというのはどうもおかしいのじゃないかと思うのですが、農林省モデルをつくってもらわなければ通産省はやりにくいのですか。どうなんですかそこら辺は。それほどあなたのところは頼りない行政をやっているのですか。
  31. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ただいまのような、そういう見方もできるかと思いますが、この管理会法がそもそもつくられるという経過の中には、生鮮食料品についての物価安定ということからきておったと思うのであります。したがって、私どもとしては、商業政策一般からの見解ではなくして、いま言う国民生活に最もウェートの重い生鮮食料品の扱いを、生産から流通まで一貫して施策を講ずる、こういう農林省方針に同意をしたと、こういうことでございます。そこで、管理会法に基づいて、いま言うような市場というマーケットができてくる。私どもが、全般的な施策として、広くそれに見習うかどうかということについては、いまのところ私として、はっきりした方針を持っておらないのであります。率直に申し上げて、農林省としても、東京都などについてまずそういうことを考えてみよう、それらの施策が、これが地方の末端にまで、いま御指摘の店舗共同化というような線へ持っていけるのかどうかということについては、まだはっきりした判断を持っておりません。
  32. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連して。いま通産大臣は、消費者価格の安定のためにということを言われましたが、いわゆる官製スーパーマーケットが、先ほどの行政管理庁長官に対する北村委員質疑を通じても明らかなように、こういう官製スーパーマーケットが、はたして消費者価格安定になると、通産大臣は思っているのか。いるとすれば、どの程度それは具体的に価格安定に資するものという、閣僚としての確認の上に、これを理解されているのか。  それからもう一つは、生産から消費に至る一貫した総合的な施策と言いましたが、これは通産大臣としては多少専門外ではありましょうけれども、いわゆる閣僚として、はたしてこれが政策としては権衡のとれた一環としての末端の小売り機構の合理化施策として理解されたのか。だとすれば、生産の実態、御承知のように価格の暴騰暴落は、こういうような特製スーパーのごときはものの数でもないようなはなはだしいフラクチュエーションを繰り返しているわけでございます。そういう根本的な施策もないままに、末端に対して管理会という官製のシャッポをかぶせるということにも政策のアンバランスがあるわけでありますが、通産大臣はいま答弁の中に、生産から消費に一貫した政策の一端であるというふうに言われたのですが、生産にはどういうような、これと同じようなウェートが、政策として取り上げられたと理解するのか。  また、中間段階における、今回は問題にはならないが、たとえば前近代的な——これは同じ閣僚の河野大臣も言うているように、明治時代の取引を見たければ、神田なり芝浦の中央卸売り市場へ行ってみろと言っている。そういう前近代的なものが大臣の監督下にありながら、何ら近代的な内容を具備していない。そういうアンバランスの中に、こういう末端の問題に焦点をしぼっているというところに、また、国民大衆の大きな政治不信があるわけでありますが、あなたは一貫して、この施策が総合的にとられていると答弁しておられますが、その認識は、具体的にはどういう内容においてそういうことを言われているのか。
  33. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) すでに農林省のほうで十分御説明があったものと認識をするわけでございますが、この総合小売り市場が大量仕入れあるいはセルフサービスというような近代的な経営方式によってやっていこう、そういうことによって物価の安定あるいは若干の引き下げということをねらいにしておると説明されておると思います。また、私どもの立場からいたしまして、管理会の運営よろしきを得ますならば、それらの目的を果たすことは可能であると、かように判断をしておるわけでございます。また、この生産から流通消費、一貫して農林省が見ることにわれわれが同意をしておる、この点につきましては、ただいまも触れましたように、とりあえず管理会法でねらいとするところは、東京都に二十見当のものを考えたい、こういうことでございまして、そういう場合を考えますときに、産地から消費者までの、その間の行政が一貫して行なわれる、それによる効果というものがあるのじゃないか、私はいまもお答えしましたように、こういうことがはたして全国的にどうだということについては、にわかにその結論を下しがたいということは申し上げておるのでございます。東京都の実情からいたしまして、その物価安定の一助として、この考えがまず起きたのじゃないか、こういうふうに判断をしたわけでございます。
  34. 北村暢

    北村暢君 ただいまの渡辺委員質問に対する総合的な物価政策としての考え方については、まあ不十分であると思うのですよ。で、この面については、あとからまた、農林大臣おられますから、農林大臣にこまかく、物価政策として管理会がどれだけ役立つかということについて明らかにしたいと思いますから、こまかく質問いたします。  ただ、通産大臣のいまの御答弁からいくというと、東京都か主体に——とりあえず二十ヵ所東京都につくるわけです。しかし、先ほども、法律の第一条の目的のところにはっきり出ているのでありますけれども、大都市及び人口の集中の著しいその周辺の地域に近代的な経営方式を導入して、総合的な生鮮食料品等の小売り業を経営する小売り市場をつくるのだ、こういうことになっているのです。したがって、この第一条の目的からいくというと、これは東京都につくるということにはなっておらないのです。とりあえず東京都につくるということだけであって、なっておらないのであります。これは、第一年度は東京都に二十ヵ所、第二年度は、去年この法律が通っておれば、四十年度は、まあ一部新聞の報道したところによるというと、東京に十ヵ所、それから北九州五ヵ所、名古屋五ヵ所というふうに第二年度はつくる。まあ第三年度以降の計画は知りませんけれども、そんなようなことが報道されたことがございます。したがって、東京都だけにできるんじゃないんですよ、したがって、これは生鮮食料品を中心としたところの食料品総合小売り市場、そういうもののモデルをつくっていくという法律なんですよね、モテルをつくるための——管理するところの管理会の法律なんです、モデルをつくる法律じゃもちろんない。そういうことで、将来全国的にできないという保証のある法律じゃない。   〔理事森八三一君退席、委員長着席〕  大都市の定義も、先ほど聞いたんでありますけれども、六大都市が大都市だろうという行管長官のいいかげんな答弁もございましたがね、通産省の、いろいろなものを調べておられるこの大都市という定義、大都市というのは一体どういう都市か、それから中都市というのは一体どういう都市なのか、それから小都市というのはどういう都市なのか。これは法律概念はございません、ないが、一体概念的なものとしてはあるんです、これは。あなた方のいまのスーパーの調査の中にも、大都市においてこうだとか、中都市においてこうだとかいうことが出ておる。したがって、大都市というのは、大体二十万以上の都市を大都市というんです、通産大臣。そうすると、東京都にできるということにならないんです。この法律は、将来は二十万の都市につくって悪いということにはならない、これは解釈からいってね、そういうことになるんですよ。ですから感覚的にちょっとものを限定し過ぎて考えておる。したがって、私は、この通産行政農林省行政とが混乱するんではないかということを盛んに言っておるんです。言っておることはそこにあるんですね。いまの通産大臣の感覚からしますというと、全国的なものについてはおれのほうの領分だと、こう思っておる。東京都に二十ヵ所つくるのはしかたがない、物価も高くてうるさいんだから、東京都に、うるさいところに農林省がつくるというのはまあよかろう、こういう判断だろうと思うんですね。そうでしょう、大臣の答弁を聞いておると、そういうふうに受け取れる、そのように言っておる。確かに全般的なものになったら、あなたの職権は農林大臣が食うことになる。それは許さないでしょう、何ぼ何でも。通産大臣、なわ張りのうるさい役所のことなんだから、そこまでやるなら、おれのほうも承知できないと、通産大臣、なるんじゃないかと思うんです。ところが、法律の解釈からいけば、これは法制局にちょっと来てもらって意見を聞かなければならないと思うんですが、この大都市というものは一体何かという問題ですよ。大都市は二十万以上の都市だなんということになると、これは通産大臣の領域に黙っていたって入っていっちゃう。これはしかもモデルだというんですからね、試験的にモデルをつくるんならば、必ずモデルにならってつくれという行政が出てくる、それが伴わなければモデルの意味をなさない、そうでしょう。  農林大臣にお伺いしますけれども、あなたは、モデルをつくって、そのあとどうするんですか。ならってつくれ、と言いっぱなしで、かってにつくれと言って、できてもできなくてもいいんですか、これは。二十ヵ所東京都につくったら、そのほかに民間が自主的に、農林省モデルにならったようなものができなければならないんでしょう、そのできる——つくっていく指導はだれがやるんですか。財政的にも、金融的にも、指導的にも一体これはだれがやるんですか、農林省がやるんですか、通産省がやるんですか、ここをはっきりしてください。
  35. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) いまの話のように、モデル施設でございまするから、これにならって、民間がこういういいものであるということならば、どんどんできてくることを期待するわけであります。これについて監督といいますか、指導といいますか、そういうものはどこでするかということでございますが、第一次的には先ほどお話しのありましたように、大阪の公設市場のような地方自治団体、東京なら東京都、こういうところでございます。資金のあっせんが必要でございまするから、高度化資金等によってこういうものをつくっていくということになりまするならば、それは通産省中小企業庁、こういうものが扱っていくということになると思います。どういうふうにこれを拡充していくかというその方針、方法につきましては、私どもがモデルに従ってやりたい、こういうふうに、少し複雑でございますが、そういうことになると思います。
  36. 北村暢

    北村暢君 通産大臣はそういうふうにやっていくのですか。先ほどはやらないような話でしたが……
  37. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 法律をまともに御解釈いただきますならば、御指摘のとおりだと思います。ただ、この法律を運用していきます場合に、たとえば小売り市場の設置場所の基準はどうするとか、あるいは経営する者の選定の方法の基準はどうするとか、営業方法に関する管理会の指導の基準はどうするかというような、管理会で種々具体的に何か結論を得よう、こういうような場合におきましては、これはあらかじめ通商産業省と相談をしてやる、こういうたてまえになっております。これは両省間で申し合わせをしておりますので……。そこで、法律をまともに解釈してまいりますれば、不安な点もございますが、この運用の上で、ただいま申し上げたような諸点についての相談がございますので、そこで通産省側の意見は十分申し上げていきたい、こういう考えでございます。
  38. 北村暢

    北村暢君 通産大臣はそう言うけれども、法律にそんなことは書いていないのですよ。この法律に出ているのは、農林省監督権限を持つということと、財政金融面については大蔵大臣に協議をするということと、それから地方公共団体意見を聞く、これしか出ていないのですよ。通産省とこれについて協議をするなんていうことは、法律には一つも出ていないのです。行政的にはそれはやるでしょう。当然行政的の連絡だの何だのはあるのですから、それはやるでしょう。やるけれども、法律にはそういうことをうたっておりませんよ。と同時に、私は通産大臣にお伺いしたいのは、先ほど農林大臣が答えているように、モデルをつくって、考え方は農林省でそのあとの指導的なものは考える、金は通産省都道府県を通じて高度化資金その他でやる、実施の主体は自治体だと、こう言っておるのですね。そうすると、先ほど言ったようなことにならないですか。農林省モデルをつくって、指導の概念的なものは農林省が考えて、金を流すときは、計画を出さして通産省がそれを認定して融資をする、その主体は地方公共団体がやる、そういう複雑な行政指導になりますがね。したがって、私は先ほど言っておるように、この生鮮食料品なるがゆえに、スーパーの問題について、農林省モデルをつくってもらわないというと、通産省はそのあとの行政ができないというようなことでは、私はどうもおかしいのじゃないか。したがって、私は、県からそういう計画が出た際に、農林省がそういう考え方を持っているならば、公共団体、都道府県から出てくる事業計画について認定をする際に、農林省意見を言って、こういうスーパーをつくってくれということで、意見を聞くだけで、金を流すのは、これは金を持っているほうが強いですからね、やはり金も何も出さないで、ああやれこうやれなんて言ったって、言うことなんか聞くものじゃないですよ。それは中小企業の皆さんだって、金を借りるほうがありがたい。貸してくれるからありがたい。ありがたいほうへ頭を下げて聞くのはあたりまえの話じゃないかと思うのです。農林省がどんなりっぱなことを言っても、金も貸してくれないで、言うことなんか聞くはずがない。そういうものでないですか、世の中というものは。どうなんです。金も何も貸してくれない。口だけはりっぱなことを言う。言うことを聞くはずがないじゃないですか。金でも貸してくれるならばそっちの方向へ、まあ、あまりいい意見じゃないけれども、少しは聞いてやろうかというような気持ちになる。そうでないですか。これは私の言うのはおかしいですか。世の中の普通の通念としてそういうのがあたりまえでしょうが。農林省はりっぱなことを考えて、モデル、見本をつくって、通産省が大蔵省と折衝して金をとって、その金を県を通じて流して普及をする。こういうのはどうみたって回りくどいし、直接じゃないじゃないか。そこで私は、先ほど言ったように、行政混乱があるのじゃないかということを言っておるのです。そういうふうに率直に思えないのですかね。どうも頭のいい人がおるはずなんだけれども、そういう簡単なことがわからないというのは、まあ法律を出した手前からいって、わかりましたといったら、これは引っ込めなければならぬから言えないのでしょうけれども、どうも私は納得がいかない。これは普通の考え方でないですか。それと同時に、スーパーというものの定義、それから今後このスーパーに対する政策的な問題を、断然通産省としては考えておると思うのですね。スーパー・マーケットというのは、食料品を主体としたものをスーパーケーケットというのではないのですか。衣料品を主体としたものは何と言うのか。これは流通革命の時代ですから、まだ法律もできておらないし、何もできておらない。したがって、どういうふうな理解かわからぬが、昭和三十八年にスーパーマーケットができて、四、五年前までは約五、六百しかなかったセルフサービス店が、今日では三千、また四千近く、まあもっと調査をこまかくやれば五千をこえるのじゃないですか。まあ四千何がしというように、商工会議所の調査があるようですが、急速な発展をしましたね。そうして今日ではこのスーパーマーケットに対して私鉄、あるいは商社の大資本が進出をしてきております。さらに、比較的大きなスーパーは、みずからがチェーン組織化して非常に大きくなってきている。今日小規模のスーパーはどんどん例産をしていく、こういう実態が出てきていますね。もう農林省が見本をつくるだのつくらないだのと言っている時代ではなくして、すでにスーパーは倒産をするものがどんどん出てきている。これが小規模だけでなしに中規模まで波及をしてきている、こういう実態でしょう。一体、通産省は将来におけるスーパーマーケットに対する政策としてどういうものを考えておられるのですか。スーパーにもいろいろな形があるでしょう。どういうふうな考え方を持っているのか。私は、いま中小企業店舗共同化資金による協業スーパーというようなものは、こういういわゆる流通革命の寵児として出てきたスーパーマーケットの、急速に伸びた形におけるいまの過当競争の状態、こういうものに対して、あるいは大資本のスーパーの進出に対して中小小売り業者がいかにして対抗するか、これは中小企業の政策としてはもう重大な問題だと思うのです。したがって、今日小売り商業者も、小売り業者も、こういうスーパーの進出に対して、自衛手段として合理化なり近代化なりやらざるを得ないところにもう追い込まれておるのです。そのことは小売り業者も十分認識をしているはずなんです。それに対して通産省は今後どういう指導方針を持っていこうとしているのか。スーパーに対する政策と、これにおびやかされている中小商業者の小売り業者の問題についてどんな政策を持っておられるのか。この点をひとつ通産大臣から承りたい。
  39. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 流通段階の合理化のためにスーパーが役立っておることは申し上げるまでもないと思うのであります。そのことで御指摘のような、四千をこえるようなスーパーもできてきた。しかし、そういうような発展をいたしましたが、現実においては大企業の大スーパーという、そういうようなものに、すでにできておるスーパーもおびやかされておるという実情も否定はできないと思うのであります。そこで、われわれ通産省といたしましては、やはりこの市町村の実情に応じてのスーパーの大体の形があるのではないか、こういうふうに思います。先ほど政府委員から御答弁申し上げましたが、地方の商工会、あるいは商工会議所等に指導員がおりますから、これらの指導員によって、地域地域の好ましい姿の健全なスーパーを育成していきたい、こういうような考え方に立っているわけでございます。私鉄や、あるいは大企業、そういうものの進出によって不安な状況にあるスーパーのある事実、これは否定はできないと思います。
  40. 北村暢

    北村暢君 まあ通産大臣はあと十分くらいといいますから、これは急いで質問しなければならなくなっちゃったのですがね、どうもスーパーの問題については、私はいまの大臣の答弁ではちょっと不満です。ということは、いま申しましたスーパーマーケットそのものが転機にきたというわけですね。転機にきたということは、将来どういうスーパーというものを考えていくか。しかも、これは日本的なスーパーとしてどういうものがいいのだという考え方、これをやはり指導していく面については、私ははっきり出さなければならないじゃないかと思うのです。それは経営規模もありましょうし、その地域地域に応じた、いなかにとんでもない大きなものをつくったって成り立たない。そんなことはわかりきっている。したがってその地域地域に応じたスーパーのあり力というものはあるでしょう。いずれにしても、このスーパーのあり方というものについて、一つの指導方針というものを持たなければいけない。転機にきたという意味にはいろいろあるでしょう。人まね式にセルフサービス式のものをやればいいじゃないかということで、その形だけまねたというのは、これはやっぱり消えていっています。すっと出てぱっと消えたというので、スーパーといわれるくらい、はなやかであるけれども、すっとあらわれてぱっと消えるのでスーパー、こういうふうに理解している人があるのですよね。そのくらいはやりであった。それは無方針のもとにやったのだ、それは通産省の指導がよかったからではない。指導しなかったからそういうことになったのではないかと思う。したがって、通産省が、この転機にきたという、流通革命の転機にきたというときに、やはり確固たる指導方針というものがあるべきだと思うのです。したがって、大資本のスーパーに対しては、デパートと同じようにある程度規制をしなければならないというような点が出てくるだろうと思う。いまの百貨店のほうは、売り場面積などである程度規制はある。しかし、いまの大型スーパーについては、いまのところ何らの規制も何もない。法律的な規制はないわけですね。したがって、そういう面における指導行政というものは確かに出てこなければならない、こう思うのです。こういう点については、いま議論をしていても、十分でやれといわれてもとてもできませんからやめます。やめますが、しかし、そういう点については農林水産委員会通産大臣が鞭撻を受けているようじゃどうにもしようがないので、商工委員会でこれはやってもらったらいいと思うけれども、いまスーパーという問題を、農林省でやっているものですから、そういうことになったのでありますが、私は十分検討する価値がある。このように思っている。  それから次にお伺いしたいのは、スーパーマーケットのモデルをつくる、あるいは民間のスーパーもどんどんできている。にもかかわらず生鮮食料品の圧倒的なものは小売り業者である。東京都内に生鮮食料品小売り店が約一万五千。六大都市で二万七千。全国で十三万一千ですか。何か通産省の調べによるとそういうふうになっているようですね。この生鮮食料品の小売り業者が、農林省がいかにモデルをつくり、いかに通産省が奨励をしても、なおかつ、圧倒的部分というものは小売り業者として残るのです。この残っている小売り業者がほんとうに経営を近代化して、そうして合理化したために、小売り価格が引き下げられるというところへいくまでには、これはたいへんなことです。ちょっと通産省ももてあましちゃって、これは手に負えないんじゃないかと思うのですね。農林省が二反三反のお百姓さんをもてあましていると同じように、通産省は、この圧倒的な生鮮食料品の小売り業者についてはもてあますと思っているのです。もてあましたのでは消費者物価の値下げには役立たない。いまのスーパーですらですよ。標準小売り価格の一割程度を引き下げて、これを適正価格としていっておるんですね。そういうふうにしよう、一割くらいは下げよう、こう言っておるわけです。それを目標に置いている。現存の民間のできているスーパーマーケットの大体の趨勢を見るというと、まあこの一〇%から二〇%くらい一般の小売り価格より引き下げているという調査もできているようですね。ものによっては五割引やっているようなものもある。いろいろです。しかし、大体においてスーパーマーケットはそういうふうになっているようですね。それでいて一割くらいしか下がらぬと、こう言っているんです。それで、この圧倒的な零細な小売り業者の経営費を節約をして、節減をして、小売り価格を一割下げるということは、これは並みたいていのことじゃないです。自由にほうっておけばスーパーマーケットと競争をして、そのスーパーのある付近の小売り業者は自己の犠牲において下げるかもしれない、しかし、それは近代化でもなければ何でもない。被害をこうむる結果になる、それが実態じゃないですか。農林省からいただいた資料を見ますというと、この零細な小売り業者の経営資金なり設備近代化資金なりというものは、魚屋さんや肉屋さんや八百屋さんにそういう資金がいっているとは考えておりません。通産省が近代化資金だの設備資金だの何だのとやっておりますけれども、そこまではいっておりません。金融面においても、金融の内容を見るというと、小売り業者は仲買い、卸、こういうところから借金をしているというのが圧倒的に多い。それから市中の銀行から金を借りているというのは、それまで信用度が高いというのは少ない。まあ国民金融公庫、信用金庫、こういうものを利用しているのが多いですね。比較的高利の金を借りて、そうして毎日毎日の経営を続けている。高度成長下におけるこの日の当たらない零細企業者は、ほんとうにこの高度成長下のひずみとして政治の恩恵に浴しておらぬ。また、通産省はそこまで手が回らない、この実態でしょう。この三十ヵ所のスーパーを育てるよりも、二万五千の東京都内のこの小売り業者をどうするかということをやらないで、消費者物価対策だなんということを、大きなことを言うべきでないというのです。二十ヵ所をつくって物価対策だ、消費者物価なんか下がりませんよ。しかも小売り業者は、 これは勝手に値段をつけてやっているんじゃないのです。農林省が標準小売り価格というものをきめて、そうして標準小売価格というものを指導しておる、そうでしょう。その小売り価格からはなはだしく逸脱して小売り業者が売っておったならば、これは小売り業者が暴利をむさぼったと言われてもしかたがないでしょう。そんなことをやったのでは、暴利をむさぼるようなことをやったんでは、店がつぶれてしまう。過当競争でいま隣と競争をして、いかに安くしてお客さんを引きつけるかというところに小売り業者は苦労しておるんですよ。いかに高く売ってもうけようかなんという、そんな調子よくいってないんだ、そういうことでしょう。それまでやってもなおかつ、今日の小売り物価が高い高いと言われておる。これは小売り業者の責任では毛頭ないんです。昨年四月十六日のジャガイモの標準小売り価格がキロ当たり二十二円。それがことしは六十九円です。新キャベツが、昨年四月十六日の標準小売り価格が十一円。それがことし百円です。小売り業者が合理化をして一割値下げをして、百円のキャベツを九十円で売ったって、昨年よりは八十円高いんです、これは。そんなことでですね、小売り業者が、どんなに合理化したって、どんなに安く売ろうといったって、そういうことにならないでしょう。スーパーマーケットで、百円の標準小売り価格のキャベツを、一割勉強して九十円で売ったって、昨年より八十円高いじゃないですか。一体それで物価対策ができるのですか。スーパーを設けたら物価が下がるのですか。こんなばかげたことで、物価対策だなんということは言えない。スーパーを設けたことによる物価対策なんということはあり得ない、これは。  私は流通の合理化を否定するものではない。合理化はやらなければならない。それは一割でも下げたほうがいい、当然なんだ。しかし、それ以前の問題が、これは農業政策そのものの貧困なんです。それを小売り業者の責任にするというところに問題がある。やはり通産省は小売り業者の立場に立って、あなた方は中小企業行政をやっておるんだから、この小売り業者の立場というものはやはりしっかり見詰めて行政をやらないと、物価対策、物価対策といったって、役にも立たないスーパーをつくって、そうして被害をこうむるのは付近の小売り業者だ、こういう結果になる。もっと真剣にこの一万五千の小売り業者というものを考えて、政策というものを立ててもらわなくては困る。流通革命でスーパーができることもいい。いいが、しかし、スーパーに入れない、スーパーまで持っていけない小売り業者、圧倒的なものがここに残っておる。これの行政をやらないで、物価政策も何もあったものじゃない。小売り価格なんて下がりはしませんよ。どうですか、通産大臣、そういうもう少しあたたかい気持ちになって行政をやる気になれませんか。金融政策その他何もやってないでしょう、あなた。私は最後に、今後の中小企業政策として零細企業に対するあたたかい施策というものを、特に私は通産大臣に希望をいたしたい。これに対する所見をお伺いしたい。
  41. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 御意見の点は十分念頭に置いて、今後の施策の上に反映させていきたいと思います。現時点におきましては、先ほども御説明を申し上げましたように、小売り商が協業化を促進するように、あるいは寄り合い百貨店をつくるように、そして小売り業の近代化、合理化をはかれるようにつとめておるわけでございますが、また、個々の小売り業が、店舗の若干の改修とか多少の合理化をしよう、こういうことに役立たしめるためには、今回御審議をわずらわした無担保、無保証の資金を出そうというようにつとめておるわけでございまして、決して小売り業に対する施策を等閑視しておるわけではございません。ただいまの御意見は十分尊重いたしまして、今後の施策に反映いたさせます。
  42. 北村暢

    北村暢君 それじゃ、農林大臣、きのうソビエトから帰られましてお疲れのところ、私も人情わからないわけじゃないから、お疲れでしょうから、農林大臣をあまり苦しめることは、人権問題になってよくないと思いますから、ごく簡潔にひとつ御質問いたしたいと思います。  で、スーパーの問題そのものについては、また、管理会の問題については、先ほど来行政の問題その他でだいぶお伺いいたしましたので、なるべく簡略にいたしたいと思いますが、この流通過程の中における小売り段階の経費が増大する傾向にある、こういうことを提案理由で言っているのです。しかも、提案理由説明はけしからぬと思うのは、生産政策もうまくいっているし、流通政策もいろいろやってきた、それで小売り段階の経費が一番大きい、しかもそれが今後増大する傾向にある、そこで、管理会をつくって、総合小売り市場モデルをつくって、今後小売り段階の経費の節減によって小売り価格を引き下げ、国民生活の安定に寄与したいなんて、とんでもない高遠なことを提案理由説明しておるのですね。物価政策である、国民生活の安定に寄与するなんというのはなかなか希望が高い。高いのだが、先ほど言ったように、実際にスーパー設けたから小売り価格が下がるのではなくして——それも下がるんですよ。下がるんですが。先ほど言ったように、特に今日、生鮮食料品の中でも野菜の値上がり、これはもうたいへんであります。この倍だとか、三倍だとか、九倍だとかという価格は、流通の合理化とか何とかで解決できる問題じゃないんですね、これは。そうでしょう。したがって、これはやはり生産段階に問題がある。ことしは値が高いですから、生産者の農民はやれやれと、こう思っておる。売るほうの人は気の毒がって、奥さん買っていただけませんかというようなことを言って売らなければならぬような値段なんです。そういうことでありますが、来年はどうだろう。天候の、気象の異変のない限りは、来年は野菜安いのじゃないか、これはもう想像がつくのですね。それがいまだに、農林省は野菜の振定産地の制度をやって、そして生産の安定に努力をしておることは認めますが、その実効が一つもあらわれてこないわけです。相変わらず農民は高ければ増反をしてたくさんつくる、安くなったらこりて減反をしちまう、こういう投機的な生産というものを繰り返しておる。そこら辺の行政というものが、指定産地制度をやってもなおかつ問題が起こっておる。これもやはり解決しなければならない問題じゃないか。それから水産物、畜産物、これは生産もさることながら、流通段階において産地における流通の改善をやらなければならない。特に畜産物においては、取引方法においては旧態依然たるものがある。水産物等においては産地の流通機構が複雑化していて、そのために流通経費がかかっているという面が、これまた旧態依然として残っておる。それから中央卸売り市場、地方の卸売り市場、この問題ですね。これは生鮮食料品一般について中央卸売り市場ではやっておる。この中央卸売り市場の整備もやり、合理化もやっておる、こういうふうにおっしゃっておるのでありますけれども、先ほど渡辺委員が指摘したように、古い時代の取引の形を見たければ、中央市場へ行けばいい、こういうふうに言われたごとく、中央卸売り市場の取引方法その他において旧態依然たるものがある。特に中央卸売り市場の問題は、これは渡辺委員質問する予定になっておったのですが、渡辺委員がやめられましたので、私かわって質問するのですけれども、とにもかくにも、渡辺委員資料要求によって提出されましたこの中央卸売り市場の卸売り人の経理検査の報告書、これを見ますというと——これはまあよく出したと思うのですけれども、この経理報告書の内容を見ますというと、たいへんなことが出ているのですね。これは大臣の直接の監督する中央卸売り市場です。そして経理検査をやって、その経理検査の結果がここに出ておる。その中で、私はもう絶対に許せない問題は、仕切り改算の問題です。二十社を調査したうち、十八社が仕切り改算をやっておる。仕切り改算の問題については、ここの委員会でも何回かやった問題であります。そして農林省は、何回か指導監督をしてきたはずであります。にもかかわらず、三十九年度の経理検査の報告において、なおかつ三十社のうち十八社仕切り改算を行なっておる。これは全部やっていると言っていい。こういうことである。こういうことが、大臣の監督しているところで白昼堂々と行なわれておる。日常茶飯事のごとく行なわれておる。このことは、私は、大臣の責任は重大だと考えるのです。こういうことを許しておいていいのですか。こういう中央卸売り市場の問題、あるいは産地の問題、こういう重大な問題について、徹底した根本的なメスを入れないで、流通改善もへったくれもないのです。小売り物価の高いのは、小売り業者が高く売っているのだといったようなところへ持ってくるということについては、私はもう断じてこれは容認できない。提案理由説明を見てごらんなさい。小売り物価の高いのは、小売り業者の経常経費が高くて、そうして大きな部分を占めているので小売り物価が高いのだ、この提案理由にはそういうふうになっておる。そうじゃない。生産段階から流通段階において、しかも末端の小売り業者でなしに、卸の段階の、大臣の直接の監督にある中央卸売り市場の段階において許すべからざる不正行為を行なっておる。そういう監督も満足にできないで、そういう根本的なメスが入れられないで、何で流通改善、何で経営の合理化だ、こんなことで消費者は納得しません。物価対策にもならない。私は、今度の総合小売市場管理会法を提案するにあたって、そういう根本的な問題を差しおいて、そうしていかにも小売り業者が高く売っているような感じを与える、それが小売り業者の責任であるようなことを言っているということについては、まことに心外であります。これは弱い者いじめをすると言われてもしかたのない問題であります。確かに小売り業者も、今日の段階において、使用者の人件費もかさむし、いままで小売り業苦が家業としてやってきたその実態の中で、小売り業者といえども人間として生活の権利を持っている、子供も教育しなければならない、それ相当の生活する権利を持っているのであったならば、いままで家業として、奥さんなり、家族じゅうで働いている、そういう人の賃金なんて見ていない、当然そういうものも見るべきである。そうしたならば、小売り業者として当然もっと経費がかかるということは考えられる。したがって、今日小売り業者が自分の生活を向上をさせ、そうして生活を維持するというたてまえに立って、理髪屋さんだって、ふろ屋さんだって、みんな値上げをする、中小企業者は合理化、近代化したいといったって簡単にいかないのです、使う者は賃金は上がる、これはどうしても小売価格マージンというものを少々上げざるを得ないところにきている。それかといって、上げれば、先ほど、育ったように売れない。非常な苦労をして、今日小売り業者は経営に苦しんでいるのです。それに対して何らの施策をやっていない。何の施策もやっておらぬでしょう。それでこういうものを出してきて実際に経営を近代化し、合理化するというならば、それの裏づけになるところの、先ほど言った東京都の一万五千の生鮮食料品の小売り業者、全国で十三万の小売り業者にもっとあたたかい施策をして、合理化できるようなことを、政府が積極的な施策をやる、それで小売り価格を下げろいうことならわかる。何もやっていないで、小売り価格を下げろと言われたって、そう簡単にはいかない。こういうことじゃないですか。もっと物価対策としての、このことによって物価を下げるというのならば、物価対策としての、いま私が申し上げました生産流通段階における、あなたの直接監督している中央市場の問題、こういう問題に対して根本的メスを入れてやる意思があるのかどうなのか、これをひとつ御答弁願いたい。
  43. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 小売り業者が非常に困った状況にあるということを、私らも痛感いたしております。でございますので、この法案が小売り業者に不利にわたる、あるいはいじめるというような結果をもたらすということでありますならば、私は、こういうものはもうさっそく捨てるべきものだと思います。そういう意味でなくて、お話しのように、あたたかい気持ちで、小売り業者が生きていく道はどこかと、こういうことに対しまして展示的なものをつくって、小売り業者も入って、そういうふうに小売り業者の経験も生かしてやってもらう、それに対して設備とか土地等を提供して、生きる方法をひとつ考えてみようじゃないか、こういう意図から出ております。でありますので、提案理由説明に、国民生活の安定を期するというようなことは、少しオーバーな表現であると思います。しかし、それによりまして小売り業者も生きていけるようなモデルをつくっていくし、消費者物価もこういうふうにやれば幾らか下がるのじゃないかというようなめどもつけていきたい、こういうふうなねらいでございます。しかし、お話しのように、決していまの生鮮食料品等につきましての物価高は小売り人の責任でもございません。もちろんそう私も考えています。大きな問題は、お話しのように生産の対策であります。生産の調整がとれませんために、昨年度は非常に生産過剰であって安かった、その影響と、天候の影響とがありまして、ことしは非常に高い、こういうような影響がございます。でございますので、何といたしましても、生産から流通過程を経て消費過程に至るまでの一貫した施策をとらなければ、物価対策としても全きを得ないことは御指摘のとおりでございます。でありますので、この法案だけを取り上げますというと、そういうふうなことになりますが、御承知のように一昨年ですか、三十八年の七月に、生鮮食料品の流通改善対策要綱、こういうものを閣議決定しまして、そしてその一環としていまの問題も取り上げておるのでありますが、これに大きなウエートがあると私は考えておりません。大きなウエートはやはり生産の関係で、いまもお話がありました集団産地の育成、こういうことで、本年度等におきましても産地の指定等を増してきております。あるいは水産物でお話がありました水産物の産地における保存冷凍等による対策、こういうこと等も計画的にきめまして、そして出荷の調整をはかっていかなくちゃならぬというふうに考えるわけであります。また、野菜等につきましては、価格安定の基金を設けるというようなことで、昨年度等もそれを使い果たしましたので、本年度等におきましてもそれを増額するというようなこと、あるいは自主的に価格安定基金等も設けまして、生産地における価格暴騰、暴落等を防ぐ、こういうことを考えて生産対策もしておるわけであります。なお、いま水産物あるいは食肉——水産物のほかに、食肉等につきましても、食肉センターの設置等によって、取引の近代化をはかりたいと、こういうふうに考えております。  その次に、これもいまお話がありました御売りの段階、すなわち中央卸売り市場等につきまして設備を拡充するというふうなことも手をつけておりまするし、取引方法と取引機構の合理化についても指導をいたしたいということで、たとえば食肉等につきましての、芝浦の屠場を中央御売り市場化するというふうなことにつきましても、着々その実現に近づいておるわけであります。その中におきまして、いまもお話がありました近代化してない卸売り人の仕切りの操作、これを脱法的に、堂々ということばはどうかと思いますが、していることについて、どう考えているかということでございますが、これにつきましても、まことに遺憾のことでございまして、再々これの是正を指摘しておるのでございまするけれども、まだこれがなくなるというわけにはまいっておりません。当該卸売り人として、開設者指導のもとに管理体制の整備刷新等の措置を講じまして、指摘事項の順守を期することにいたしておりまして、そういう回答を一々違反者からは徴しておるのでございます。農林省として今後も引き続き検査を実施しまして、卸売り業務の適正、公正化を確保していく考えでございます。また指摘をしましても改善効果が見られない、こういう卸売り人に対しましては、必要に応じて行政処分を科することも考慮しております。取引所等におきまして、この問題とは違いましても、生糸あるいはアズキ等の取引所等におきましても、取引所法違反というようなものに対しましては、それぞれの行政処分を科してきておりますが、この面におきましてもそういうことを考えているわけであります。こういう流通対策の末端におきまして、小売り段階につきまして、本法案を出しておるのでございますが、いかにもこの法案が小売り業者の圧迫になるやに言われておる向きもありますが、意図といたしまして決してそういうものじゃございません。小売り業者も、やはりむずかしいことばで言えば構造改善ということが必要であろうと思います。ことに零細小売り業者におきましては、お話のありましたように生活の維持もしなくてはならぬ、こういうことでございますので、いままでのやり方で必ずしもよくいくとは考えられませんので、やはり共同化のための資金も用意して、そうして構造改作をだんだん行なっていくような方向へ指導をいたしておるのでございますけれども、御承知のように、共同化の資金等につきましても、現実には適当なるモデルがないために、その資金は三分の一くらいしか使われておらない、これはやはり小売り業者が借りてもそれが返せないというような考え方もあろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても、そういうふうな状況にもありますので、ここでひとつモデル的なものをつくりまして、ほんとうに小売り業者が共同化によってなお一そう協力していけるようなそういう方法を見出そう、こういう善意から出ておるのでございます。それにつきまして、はたしてそのとおりいくかどうかということにつきまして、再々御注意やら御批判やら御見解をいただいておるわけでございますけれども、そういう御批判とか、その他につきましては、十分私どもも慎重に考慮いたしまして、誤りなきを期するばかりでなく、この意図は善意の意図を生かしていくようにいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  44. 北村暢

    北村暢君 いまの大臣の長々としての答弁ですけれども、この野菜の値上がり、値下がりの問題については、これはいま始まったことでないでしょう。そうして農林省はいろいろな施策をやって、なおかつ、ただいまは有史以来の値上がりでしょう。いろいろ手はやりました、あれもやりました、これもやりましたと育ったって、現実に上がっているのはどうなんです。これは何をやったってだめなんです。上がったのじゃだめなんだ、下がらないと。この現実は否定できないじゃないですか。それを毎年繰り返している。来年になれば、また、かたりと安くなる、安くなったときは、消費者は黙っている、高くなったときは高い高いと、こういうふうに言う。そうして農林省は、高いときだけ何やっている、施策は何やっている、あわ食ってやった施策はみんなうまくいかない、そういうことになるのじゃないですか。これはひとつ、もうこういうことを繰り返さないような施策がやっぱりなされるべきだと思いますよ。これはあなた、何回も同じことを毎年毎年ここの国会で答弁して、その成果が、実際的な効果があがらないで、ことしも戦後最高の値上がりでございます、まことに申し訳ございません、これじゃ何やっているのだかさっぱりあなた、——国民はおこってしまいますよ、これは。そうじゃないですか。  それから中央卸光り市場の問題、この仕切り改算だって、いま始まったことじゃないのです。私が国会へ出てからだってもう十年になろうとしておる。その初めからこの問題を取り上げてやっておるのだ。何年かかったって改まらないじゃないですか、これは。営業停止を食った、処分者が出たなんていうことは聞いたことがない。行政処分も考慮しているというが、何を考慮しているのか。十年先のことを考慮しているのか、現在のことを考慮しているのか。行政処分だって、目に見えた処分というものはなかなかできないのですよ、これは。したがって、昨年のこの卸売り業者の手数料を下げた、確かに。昨年は、農林省は手数料を下げた。私は、その卸売り人の手数料を下げるときに、手数料を下げたらそれで流通経費が節約になったかというと、そうはいきませんよと言った。卸売り業者は、苦しくなれば必ずほかの方法をやるのです。農林省の目をかすめてやれるような方法をちゃんと知っておるのです。千円で仕切ったものを、それはどの程度やっておるか知らないけれども、生産者に八百円いっているか九百円いっているか知らないけれども、そこら辺のところの数字をちょこちょこと直すくらいはできるようになっている。絶対この伝票が直せない方法は、今日の近代社会においてできない方法はあるのですか、あなた。これは機械ぜりなら機械ぜりにして、電子計算機を入れて、そしてテレタイプか何かでやれば、穴があいただけで、一般の人にはわからなくて、ちゃんと値段が、せりはここで落ちたといったときに、ちゃんと生産者にもいくし、そして卸売り人もできるという方法くらいは、今日のこの科学の進んだ中でできるのですよ、これはやろうとすれば。不正行為が絶対にできないような形でやろうとすればできる。そういう合理化はひとりもやっていないでしょう。農林省は流通の近代化だの合理化だのというけれども、そういう施策はやらないのですか。そういう施策だってやればできると思うのですよ。卸売り人が不正行為をやったら行政処分をする、処分をするとか罰するとかいっておどかしたって、農林省は大体なめられているから、言うことなんか聞かないですよ。これはそういうものなんだ。それだから今日卸売り段階なり何なりの流通改善、合理化、近代化ができないのですよ。私は、これは卸売り人だけが恐いというのではない。もうあの卸売り市場へ行ってみればわかる。あらゆる問題について問題がある。これは生産者から出荷団体から荷受けから仲買いに至るまで、改革すべき問題はたくさんある。これはなかなか一朝一夕でいかない。確かにいかない。それに農林省はいままで監督権限を持ちながら妥協してきている。したがって、私はこの中央卸売り市場の機構そのものが問題だと思う。もっと法律規定によって規制をするならばするように、監督のできるような、また、監督が行き届くように、正しく守られるような形にしなければいけない。法律があり規則はあるけれども、一切守っていない、これじゃどうにもしようがないじゃないですか。何かに欠陥があるのです。これは何かに欠陥がある。したがって、抜本的な改正をする必要がある。改革をする必要がある。もっとほんとうに監督を強化して、公営的な性格にしちまうか、あるいはもっとうんと自由にして、企業努力によって合理化させるか、いずれにしても大きな改革を要する問題なんであります。これは大きな論議になっている。なおかつ、農林省は、大正時代のかたかなの「中央卸売市場法」、大正何年かの制定で、 いまの時代に合わない法律でもってやっているところに問題があるのです。大臣の言う仕切り改算について堂々とやっている。堂々とやっていたのでは困るのだけれども、事実は堂々とやっている。そういうものに対して行政処分をするとか何とかいうことでは解決しない問題であるということ、これはひとつ真剣に考えていただきたいと思う。  それから先ほど店舗共同化資金とか経営共同化資金とか、何か三分の一か貸してやるというのに、借りるものがいない。それは協業化したくてもどうやっていいかわからない、モデルがないからだ、こう言う。そもそもこの総合小売り市場モデルができたら、どんどん小売り業者が借りて近代化するようなことを言っている。また、通産省のこういう資金がありながら、三分の一くらいしか借りておられない。どういう資金か知らないけれども、農林省資金じゃないと思うのですね。これは通産省の所管の資金だと思う。通産大臣がおったらおこるのじゃないかと思うのですがね。あなた方は、農林省は、スーパーの法案総合小売り市場法案を通したい一念で、他の役所の悪口を言ったりするということはけしからぬ。そういうことは言うべきでない。道義的にいってもおかしい。通産省もだまっていられないのじゃないかと思うから、あとから答弁を願いたい。こういうこそくな手段で、農林大臣、官僚の書いたものを読んで答弁しているようではだめなんだ。官僚の書いているなんというのは、自分の都合のいいことしか書かないのだから、農林大臣の判断を誤らせるものだ。農林大臣農林大臣としてき然とした態度でこの改革をやらないとだめですよ。私はそういう面においてもいまの答弁はまことに不満であります。もう一ぺん答弁を願いたい。
  45. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私の答弁は、御質問趣旨に沿うた答弁でございますので、実は満足していただけると思ったのでございますが、非常に不満だということでございますから、繰り返して申し上げます。  生産、流通、小売りと、消費の各段階にわたってそれぞれ改めるべきものは改め、進めるべきものは進めなくてはいかぬ、こういう趣旨で、各段階についての御指摘の欠点等も改めていきたい、こういうことを申し上げたのでございまして、実は御指摘の悪い面も改めていこう、そして一貫した対策をとって、生産者に対しましても消費者に対しましても、これは満足というわけにはいきませんが、安定した流通対策を講じていきたい、こういうふうな趣旨で申し上げた次第でございます。でございますので、その後の御指摘等につきましても、よく私も承知しないところではございませんので、改めるべきものはなお改め、進めるべきものは進めていく、こう思います。
  46. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 先ほど共同化資金等につきましての実績のお話が出ましたが、おそらくこれは、冒頭に、私が御説明申し上げました高度化資金のうちの店舗共同化資金実績のことであろうと思います。三十九年度の実績につきましては、予算上七億五千万円を計上いたしておりましたが、実績は三億二千万円くらいで、約二分の一程度の実績しかないというようなことでございますが、これは、三十九年度というのが経済が非常に不況であったというような点もございますし、それから農業者と違いまして、やはり中小企業の方々はお互いが商売がたきなものでございますから、一緒になってものごとをやっていこうというようなことについての意識が、農業者の人たちとは相当おくれていると思います。それだからこそ、私どもは協業化ということを進めていこうということで、一生懸命皆さんに呼びかけておるわけでございますが、この実績がそれまでに達しなかったという理由につきましては、不況等の理由が非常に大きいわけでございますが、今後とも協業化の方向というものは進めていきたいと思っております。
  47. 北村暢

    北村暢君 大体四時半目標にやっておりますから、もう終わりたいと思いますが、最後に、農林省は非常な熱意をもってこれをやろうとしているんですが、まあ三回の継続審議で、三十九年度、三月中に農林省はずいぶん通したかったようですが、ついに今日までになったわけですね。それで、東京都知事に参考人で来ていただいて、私はこまかい質問をしたかったんですが、事情が許さないようでございますから、大臣に御質問申し上げますけれども、三十九年度の、東京都のこの法案関係する予算は他に組みかえてしまったようですね。そして四十年度は、内部の相当の反対のために予算が組んでないようでございます。予算を計上しておらぬ、このように伺っておりますが、状況はどのようになっているか、農林省はどのように承知をしておられるか、この点について御質問いたします。
  48. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) ただいま御指摘のように、三十九年度には予算が計上されておったのでございますけれども、国会のほうで法律が通りませんので、このまま使わないでほかへ流用して、四十年度におきましては、そういうような実態を考えまして東京都では予算を計上していない、こういうふうに承知しております。でございますが、理事者側の考え方といたしましては、この法案が通ると、こういうことでありますならば、国の予算も通っておるのでございますので、都のほうにおきましても、予算を計上するつもりでおると、こういうふうに連絡がございます。現在のところ、都のほうには四十年度の予算には計上されておりません。
  49. 北村暢

    北村暢君 東京都に聞けばそのようですね、そのように言っているのかもしれません。私の聞いている範囲は、大臣の聞いている、いま答弁のあったこととは全く違う。で、法案が通るならば予算を組むと言うけれども、まあ東京都の自民党の、これは支部というのですか、連合会というのか、私はそれは知りませんけれども、まあ東京都連合会でしょうね、社会党的に言えば東京都本部というか、まあ組織が違いますからどうかわかりませんが、とにかく東京都の自民党の意思としては、都知事が、まあ不信任通るか通らぬかこれはわからないところですから何とも言えないのかもしれませんが、与党である自由民主党東京都連合会か何か、ここでは、これはもう相当反対があるから、予算は組まない組ませない、役人は組めと言っている、そしてまた、この前の、ここで単独採決をやった翌日、農林省の某課長が東京都へ行って、もう法案は通ったから、予算を早く組め、次の臨時都議会か何かでは組むようにひとつやれということを、あの翌日言っているようですね、金曜日にその問題出て、土曜日にもうさっそく農林省の課長は東京都へ行っておる。法案も通らないうちに通ったような気で、組めということで行っているようです。だから東京都当局者から言わせれば、農林省がそうおっしゃるのだから組まないわけにもいかないだろうと、ああそうですかというくらいのことは言ったのでしょう。それがいまの農林大臣の答弁だ、その程度の認識のことだ、東京都知事が農林大臣にそれを約束しているのですか、組むということを……。どういうふうに判断しておりますか、私の聞いた範囲では、そういうふうに言っておる、それは自由民主党の某国会議員で、有力な幹部が私にそう言っておるのです。この同僚諸君の中に、国会議員ですよ、それは。国会議員の某有力な人がそう言っておるのです。だから、まんざら嘘ではないのではないかと思う。それから、都議会の衛生経済委員会においては、この総合小売市場管理会法について反対の意見書を、反対の請願を委員会で決定をしている、ただ、都議会はこんな状態で混乱をしておりまするので、本会議にかけるに至っておらない、こういう状態であります。農林省がいかにこの法案をあわ食って通そうとしてみても、通ったところで、受け入れ態勢の都議会が反対だ、反対の意見書まで出そう、こういうような状態で、一体この法案がかりに通ったとしても、うまくいくと考えておられるか、この点をひとつ、この法案が通れば何でもかんでも法律の趣旨によって自治体に強制してもやろうというお考えなのかどうなのか、都議会が反対をしても、農林省は東京都を鞭撻をして、強制的にでもやらせようとするのか、どうなんですか。これは大臣の考え方をひとつお伺いします。
  50. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これが通りましても、都議会は反対だと有力な国会議員が言っておったそうですが、また、私のほうには、有力な国会議員の一人が、これはぜひやらせたいと、こういうことを言っております。この間、率直に言いますと、東京都選出の議員団に集まってもらいまして、いろいろ内容説明いたしました。反対の人もあります。それは事実です。しかし、まあそれにいたしましても、国会が最高の機関でございますから、国会で議決ができますならば、その方針に従っていただきたい、こういうことでございます。  しからば、都議会はどうか。都議会におきましても、これは自治体でございますので、自主体を尊重しなければなりません。いやだというものを無理に農林省としてこれを強制するというようなことは考えておりませんが、考え方として、われわれはこれはいいと考えておりますので、国会のほうで議決をいただきまするならば、国会の意思も尊重してもらって、そして都のほうにおきましてもこういう施設をつくることに賛成してもらうべく努力はいたしますが、強制はいたしません。
  51. 北村暢

    北村暢君 実際、東京都の担当者があまり期待をしておらないのですよ、局長、課長ですね。ほんとうは不賛成なんです。だけれども、農林省がやってくれと言うからしかたなしにやらなければならないだろう、積極的な意欲というものは持っておらないですね。少なくとも、理事者も……。それは事実だと思うのです。農林省から言われるからしかたない、しかたないという気持ちでやっている。これはもう事実です。  それから、まあ与党の議員ですから、議員が、国会で通れば、これはしかたがないと言うのはあたりまえのことなんです。国会を通ってまで与党の議員が反対するんじゃ、これは話にならないので、それはたりまえのことなんです。そういう東京都の状態、なかなか困難性があるようですね。事実問題として困難性がある。  それからもう一つは、農林省の指導において、業者団体がこれに反対をしておる。まあ魚屋のほうは半々よりまだ賛成しているほうが多いですかな。青果に至っては卸、仲買い、小売り、全国大会を開いて、三回にわたって反対を決議しておる。あなた方が単独採決をやったあの日の議員総会に、青果の小売り商の全国の反対の署名簿が、請願が、あなた方の机の前に置かれたはずです。うず高く積まれたはずです。あの署名簿はわずか一週間か十日間の間に、業者が結束をして持ってきた署名簿ですよ。それくらい非常な熱意を持って反対をいたしております。そのほかに中政連をはじめとして、全日本商店街連合会をはじめとする九十二団体、こういう中小企業の、しかも生鮮食料品、こればかりではございません。まあ食料品一般についての小売り業者が反対をいたしております。農林省はいかにこのモデルをつくって、いいから入れ入れといってみたところで、業者団体の中に猛烈な反対をしているというこの事実。つくっても入らない、ボイコットされている。これで一体農林省は自信をもってこれをつくってやっていけるという自信があるのですか。業者団体は反対をしておりますよ。どういうやり方でやるかは知らないけれども、今後の流通行政なり何なりにおいて、農林省が指導もし、相互の協力関係をもっていかなければならない業者団体が強力な反対をしている。まかり間違えばボイコットされないとも限らない。こういう段階の中でこういうものをつくって、そうして強引にやろうとしたってそれば役人の、官僚の独善意識であり、国民の声というものを無視した官僚の独神的なやり方である。民主主義というものをはき違えたやり方である、このように思います。それでもなおかっ農林大臣はやろうとするのですか。私は絶対に納得がいかないと思う。この業者団体が四月二十八日に、東京都内の魚屋さんや肉屋さんや、あるいは八百屋さん、こういう人が五千名以上も、いまだかつてないことです、生まれて初めての東京都議会と国会に対して請願デモをやっておる。こういう実態を農林大臣は知らないはずはない。確かに農林大臣は、農林省は賛成するほうの意見も聞いているでしょう。賛成するほうの意見だけ聞かれるのではなくて、反対するほうの意見というものはこれだけあるということもやはり考えてもらわなければならない。入るのは農林省が入るのではなくして、反対をしている小売り業者が無理やり入れられる、入れさせられる、こういう結果になる。これでは民主主義の政治とはいえないのではないですか。しかも、これは個人の営業権に関する基本的な権利の問題なんです。それを、商売をやめて、お前たちはここへ来いということで、それを官僚の独善的な圧力によってやらせようということについては、私は断じて承服しがたい。これはだれが何といったって厳たる事実なんでありますから、あなた方がこの法案を通したいのだったならば、これらの業者団体をまずもって説得をして、あなた方のやろうとする政策に協力をする態勢がなくて何でできるのですか。猛烈な反対が起こっているのです。農林省はすみやかにこの法案を撤回すべきであると、私はそう思います。どのように判断をしているか、大臣の意見をお伺いします。
  52. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 反対の意見も聞いております。この間大阪に行きましたときなども、大阪の市場などを調査しました当時、小売り業を代表して、反対の陳情を受けました。しかし、よくひざを突きつけていろいろ話をしているうちに、そういう強い反対でもない、こうういうように私は承知いたしました。でございますので、この法案は、先ほど申し上げましたように、決して悪意に出てるものじゃない、隣のうちに蔵が建ったから腹が立つなんて、そういうことでないと思います。私はやっぱり小売り人のよく生きていく一つの道筋をつけていこうじゃないかと、こういうものでございまするから、私どもPRが非常に足らなかった、あるいはまた御心配、御指摘のように、あやまちをおかしやすい面もあるかと思います。でございますので、そういう面はあやまちなきを期していいほうに持っていきますならば、決して私は小売りの人々も納得しないものではないと、こう思います。また入る人——二十ヵ所ばかりでございますが、これもごく少ない人でございまするが、なるたけ小売りとの摩擦のないような場所と、そういう地域とを選んで、ほんとうにモデル的にいいものができるようなことに指導していきたいと、こういうふうに考えております。
  53. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 委員の諸君にお配りしてあります資料——きょう配った方もあるようでございますが、「秘」の判こが押してあって、しかもナンバーの押してある資料は、これは経営の機密に属する資料がだいぶ中に入っておりますので、この委員会限りで御利用願います。この点特にお願い申し上げます。  他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のある方は、討論中にお述べを願います。
  55. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 私は、日本社会党を代表して食料品総合小売市場管理会法案に対し、反対の討論をいたすものであります。  このところ野菜の急騰が目立っておりまして、大根が一本五十円、ネギが一本二十円ないし三十円ということで、諸物価の高騰の中に特にきわ立って、こういう蔬菜の値上がりに、台所を預かる主婦の怒りは想像以上であります。こういうことは、さすがに政権の座についている佐藤総理も多少感じたようであります。きょうの日本経済に出ておりますが、きのう佐藤首相は官邸に経済企画庁の松村次官以下を呼んで、二時間にわたっていろいろ指示を与えたということが報道されておりますが、その中で、次のような指示をいたしております。「最近の野菜の値上がりについて、首相は価格を安定させるためには遠隔地に指定産地を育成して増産したり、卸売り市場を含め流通機構の改善を行なうなど、まだまだ打つべき手はあるとして、企画庁当局に野菜を中心に物価安定策を検討するよう指示した。」、これがきのうのことであります。  私はけさこの記事を見て、またかの感を深くせざるを得なかったのであります。というのは、一月十九日に、佐藤総理が訪米後初の記者会見で、生鮮食料品の価格を安定させるための対策本部を設けるという声明をいたしたのでありますが、その直後に赤城農林大臣は、あれはやめたよ、対策本部をつくればすぐに野菜が値下がりすると勘違いされては困るからね、羊頭狗肉になってはいかぬよということが、各新聞の記事に載っているのであります。まさにこの対策本部を否定した赤城農林大臣の言うように、羊頭狗肉はおろしましたが、狗頭狗肉の実態をさらけ出している。しかも総理が訪米後、帰ってきて初めてのこの声明に対して、朝令暮改、文字どおりの措置をとっている。このことは、ひとしく国民の政治に対する不信を深めたことは疑うべくもない事実であります。今回出されております、ただいままで審議を慎重に続けてまいりました、食料品総合小売市場管理会法案というもののねらいは、政府で出された、要約した資料を見ましても、「近年における生鮮食料品の消費等価格の動向にかんがみ、その安定をはかるためには、生産の安定的拡大、中央卸売市場における施設整備、売買取引の収差等とあわせて、小売段階における流通の改善を図ることが重要である。」という前書きで、このいわゆる官製スーパーマーケットなるものを提案をいたしているのであります。何と申しましても、シャッポに管理会という、先ほど北村委員も指摘いたしましたように、政府の高級官僚の払い下げがその経営の実権を握る、官製——国家管理による生鮮食料品の市場を設けようというのであります。三回の国会を通じて慎重審議をして明らかになったことは、この法案を提案したその目的のように、消費者価格の安定をはかるということについては霞ヶ関の農林省のデスクの上で、官僚がはじいた勘定では、一割は下がるけれども、しかし、これは一割確実に価格を引き下げるという何らのきめ手もないことが、審議を通じて明らかになり、なお参考意見を聴取した際にも、与党側が招集した参考人すら、一割の値下げということについては、何ら確信のない参考意見を述べていることを見ましても、いかにこれは単なる役人のデスクプランであるかということが、明々白々となっているわけであります。なお、この管理会というのは、今度の四十八回通常国会には、公団事業団、特殊法人をあわせて九つの組織が誕生しようとしている、このことは、昨年答申が出ました臨時行政調査会の、特に農林省所管の公団事業団等に対して手きびしい指摘を受けているその担当の農林省の所管の中に、三つものまた公団事業団、管理会というものが誕生せんとしている。これはまさに時代逆行の最たるものである、こういうものが、なまものを取り扱うその事業を指導するなどということは、おこがましいにもほどがある。スーパーマーケットというのでありますから、そのスーパーマーケットの実態はどうかということを調べてみましても、負債額が一千万円以上のスーパーの倒産件数は、東京商工興信所の調べによりますと、三十七年度で四十四件。その負債総額は二十二億六千九百万円であります。翌三十八年にはスーパーの倒産件数が五十九件。その負債総額は四十一億四千二百万円。三十九年はその倒産したスーパーマーケットは百七十五件。その負債総額は百二十七億六千万円。ことしに入ってわずか四ヵ月の間に六十一件、スーパーマーケットが倒産し、その負債総額が三十六億六千三百万円と急カーブの上昇を描いて、まさにスーパーマーケットの経営が根底からその存在の基礎を危うくする方向に傾いておる中に、大多数の、と私は申し上げます。全部とは申し上げませんが、大多数の国民、業種別に見ますならば生産者あるいは消費者、そういうものの大多数の反対を押し切って、何でこういう官製スーパーマーケットを政府の権力によってこれを進めなければならぬかということは、慎重審議をすればするほど納得のできない問題ばかり続出をいたしたのであります。まず順序として、生産の立場から申し上げますならば、野菜についての「指定産地生産出荷指導事業実施要領」というものを、三十八年にも三十九年にも次官通達を農林省では出しておる。そのうたい文句はまことにけっこうであります。私はこの要領の目的には何ら異論を唱えるものではありません。次のように目的をうたっておる。「野菜の価格安定をはかるためには、計画的かつ組織的な生産および出荷を推進する必要がある。このため、今後需要の増加が予測される野菜について、大消費地域への安定的な供給を確保するため近時大消費地域向け野菜供給地としてその比重が高まりつつある地帯を中心に産地を指定し、当該産地の生産および出荷について濃密な指導を行なうとともに生産者の自主的な組織を育成し、もって計画的な生産および出荷を推進することとする。」というております。まさにそのうたい文句やけっこうであるけれども、私は、指導するとおこがましくうたっておるその実態を、現地に親しく学びましたが、きわめてこれはから文句にすぎない。そういう実態であります。この生鮮食料品は、特に蔬菜等については暴騰暴落を繰り返しておる。いま農家は、野菜つくりでは次には何にかけるかと言っておる。何に張ろうかと言っておる。まさにこれはギャンブリングである。そういう不安定な状態にして済まされない現実の事態に置かれておると思うのであります。この産地制度は絵にかいたもちにすぎない。危険制度というものを見ましても、その金は不足で、役所仕事で、その支払いはタイムリーじゃない。時期を失する。いまの運用では、二階から目薬とでも言いたいような程度である。  いまの制度は物価安定に対して積極的な施策というものが欠いておる。そういう施策を欠きながら、二年前と同じようなこういう法律を出して恥ずかしいとも思わないようなところに、私は政治不在の実態を指摘せざるを得ないのであります。  いろいろ北村委員からも指摘をしましたが、私は、そういう産地における具体的な施策というものがもっと、大臣の先刻答弁したとおりに、そのことばが抽象に終わらずに具体化するのでなければ、均衡のとれた生鮮食料品の生産から消費に至る総合的な施策は確立できないと思うのであります。中間段階における中央卸売市場法は、大正十二年の産物であります。この法律の内容は市場の開設法であって、取引は、これは都道府県の条例にゆだねられておる。大正十二年にこの市場法が設定された当時は、いわゆる生産者の共販ということが非常に少なかった時代であって、また、消費についてもいまのような状態ではなかったのであって、当時の市場の開設についてのかまえ方というものは、東京都の人口を六百万と想定して市場を設定して、今日に至っているものであります。最近は人口も一千万をこして、集散市場としてその果たしておる機能は、一千五百万人口に達しておるのでありますが、また、顧みて、地方市場は完全に野放しの実態であります。今後新しく市場を設定する場合には、大産地における営農集団の農協による市場経営というものが可能な状態であるのに、こういう方向の、前向きに市場法の抜本的な改正をし、その運営をはかろうという行政指導も何ら見出たる節がない。しかも合理化をしたという答弁の中にうかがえることば、従来一〇%の手数料を八%にした、あるいは七・五%にしたということでありますけれども、これは個人出荷も団体出荷も画一的に同じ料率で実施しておる。大口で共同選果をして、共販に乗せたものも小口のものも同じ料率で扱う。これが逆に生産者団体による共販を阻害しておる実態を、政府は目をおおうておる。もしもこれに注意するならば、そういうものに対してはさらに料率を下げて、五%あるいは四%に料率を下げるべきであるのに、何らそういう行政指導もないし、する気もない。市場の不正取引の実態は目をおおうものがあります。私は次の通常国会等で、中央卸売り市場自体について深く審議をする際に取り上げることにして、きょうは反対討論でありますから、一切を触れません。先ほど北村委員も取り上げたことでありますので、省略をいたしますが、私は、実は岩手県の各地を回って、組合長からいろいろ注文をつけられたことがある。それは雑誌「地上」の二月号に、「中央市場の黒い霧」という記事が載っておる。産地の農協の人たちは、こういう実際にせりで落とされた値段と違った仕切りを中央卸売市場でやっておる、こういう不公正な点こそを国会で明らかにして戦ってもらわなければならないという声が産地のこれは偽らざる声であるのに、先ほどの北村委員に対する大臣の答弁は柳に風折れなしであります。その前近代的な市場の実態に対する合理化をする意欲の片りんもうかがわれない。仕切り改算ということは、中央卸売り市場共通の、これは毎年毎年繰り返されてある具体的な実態であります。手数料の三分、三分は問題じゃない。なぜこれらの会社は外部に対してあれだけの巨額な投資をやるのですか。施設の総合食品市場を増設したり別会社を設立したり、枚挙にいとまがない。会社の運営というものはどこから一体出てくるのか。農林大臣監督に属するこの中央卸売り市場に対しては、前近代的とあえていいます。販売原票を鉛筆で書いておる。これはあなたの部下が監査した報告に出ておる。まさにこれは前近代的なものである。しかもこれに対しては単に改善命令を出す、だけでその場をごまかしておる。改善命令がくれば、一年くらいは多少反省の色もあるかもしれないが、多少の時日が経過すれば、至ってその合理化の見るべきものがないという繰り返しを毎年同じことをやっておる。これを合理化せずして一体流通の合理化がどこにありますか。  時間がないので私は質問もいたしませんけれども、科学技術庁の資源調査会で政府に勧告した「食生活の体系的改善に資する食料流通体系の近代化に関する勧告」というのがあります。いま例にあげました蔬菜のごときは、流通段階で二〇%のロスがある。魚においては、頭から骨からしっぽを産地でこれを取り払うようなことで五〇%を輸送の合理化にもつなぐ云々のことに関連して、コールド・チェーンの設備等を勧告の中に入れておる。そういう具体的な勧告は別といたしまして、私は、勧告事項で学ぶべきことは、「食料流通の改善に当っては、加工、品質保持、貯蔵、輸送、等級規格および検査、情報など流通を構成する主要機能のすべてにわたって、調和と均衡のとれた体系改善方策が必要である。」と動作をしておることであります。すべて政策は片寄ってはいかない。バランスのとれた総合的な施策でなければならない。その中で、私は、生鮮食料品が閣議で決定されたその後の経過を見ましても、産地対策というものはまことに貧弱きわまるものであるということを繰り返し指摘せざるを得ない。そういうことはたなに上げておいて、そうして末端の小売り業者に大きな衝撃を与えるようなことに、三回の国会で執念を燃やして、どうしてもこれを成立させようという、そういう考え方が、私は、生鮮食料品に対する政府のまじめなかまえ方ということに対して、大きな意見を出さざるを得ない実態であると思うのであります。言うまでもなく、生鮮食料品は、その生産は零細であり、消費また零細であります。生産の零細性に対しては、特にそれらの産地における営農団地という構想でこれには立ち向かっていかなければならない。これは当面必須の課題であります。それに対して一体政府はどれだけこの営農指導というものの産地対策を考えておるのか。やっと最近になって、団体側に行って資料をもらい勉強しておる程度にすぎない。しかも、それらの営農団地における生産の計画性、出荷の調整というものも、これは総合農協を中心として自主的にやるべきものではありますけれども、さらに政府の責任を感ずるならば、たとえば農業改良普及員の中に、こういう蔬菜等の専門員を新たに設置して、これを中心営農団地に配置をして、自主的な農協連動と相提携して行政指導の実をあげるとか、そういうことも何らやる意思がない。消費の零細性についても、地域における生活協同組合というものの組織の育成強化というものを政府は忘れておる。非常にこの消費君団体の育成については、政府としては消極的であり、むしろブレーキをかけておる。産地における農業協同組合あるいは漁業組合等に対する育成以上にむしろ消費地の組織拡大強化には、政府はその手を差し伸べなければならぬのに、何らそれに対する施策もない。しかし、自主的に、背に腹はかえられないというやはり意識の上から、消費地では逐次、団地を中心として生活協同組合の組織づくりがやっと大衆化しようとしておる今日、これらをやはり組織化をすることが、私は生鮮食料品の合理化の両端の大きな課題であると考えるのに、政府はどうもこれに取っ組もうとする意欲がない。そういう点がいろいろ審議を通じて明らかになったにつけまして、基本的には、一体この物価の高騰というものはどこに責任があるのかということであります。このはね上がる物価の高騰の責任は、これは池田内閣の高度経済成長政策の必然的結果としてこれは招来されたものにほかならないのであります。食料品の値上がりもこれに付随して起こった不可避的な現象であって、その不可避的な経済現象の中に、政府は積極的な施策を講ずることを怠って、今回の法案のもとに、食料品の値上がりをあたかも小売り商業者とか、あるいは関連業者の責任であるかのごとき、そういう印象を一般に与える。また、農村に行ってみれば、あたかもそういう値段をつり上げるのは産地の生産者のこれは強欲さであるかのごとき印象すら与えておる。生産者にとっても小売り業者にとっても、これは断じて容認し得ざることであって、繰り返しますが、あげてその責任は政府にあると言わなければならない。もちろん生鮮食料品の価格安定については、一日もゆるがせにできない重大な政治課題であり、経済問題であることは、そのとおり認識をいたすのでありますが、いたずらに流通段階の末端にだけ弥縫策を講ずることがなく、生産と流通、消費にわたり一貫した総合的な、かつ大局的な施策を講ずることなくして、国民消費大衆を満足させ得る解決策は断じてないと言わざるを得ないのであります。その目的とするところ、法律の審議を通じて明らかになった点からいたしまして、私たちはこの法案に断じて賛成ができない。  以上をもって私の反対討論といたします。(拍手)
  56. 森八三一

    ○森八三一君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております食料品総合小売市場管理会法案について、本法案の成立がおくれましたのに伴い、必要な条文の整理を行なうため、附則の規定に対して、次の修正案を提案し、修正部分を除く原案に賛成するものであります。修正案を朗読いたします。   食料品総合小売市場管理会法案に対する修正案  食料品総合小売市場管理会法案の一部を次のように修正する。  附則第八条中「昭和四十年三月三十一日」を「昭和四十一年三月三十一日」に改める。  附則第十二条及び第十三条を次のように改める。  (所得税法の一部改正) 第十二条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。   別表第一第一号の表中消防団員等公務災害補償等共済基金の項の次に次のように加える。   食料品総合小売市場管理会 食料品総合小売市場管理会法(昭和四十年法律第   号)   (法人税法の一部改正) 第十三条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。   別表第一第一号の表中首都高速道路公団の項の次に次のように加える。   食料品総合小売市場管理会 食料品総合小売市場管理会法(昭和四十年法律第   号)  さらに、この機会に二、三付言をいたしまして、政府の善処を求めたいと思います。  この法案は、ただいま渡辺君の討論中にありましたように、去る四十六通常国会に政府から提案せられまして、衆議院では自民党、社会党、民主社会党全会一致の議決をもちまして委員会を通過し、本院に送付せられまして審議に入った法律であります。自来四十六国会、四十七臨時国会、そうしてただいまの四十八国会、三国会にわたりまして、きわめて慎重に詳細に審議を遂げてまいりました。おそらく私の記憶では、一つの法律についてかくも長期にわたり慎重に審議をいたしました事例はなかったように思います。それほどに重要に取り扱ってまいったのでありますが、この長期にわたる審議を通しまして明らかになりましたことは、政府が意図しておりまするこの法律の趣旨でありますが、生鮮食料品を取り扱っておりまする多数の小売り業者の諸君は、一面には大企業の進出によるスーパーの問題があり、また、他の面には労働組合、消費者等の組織する消費組合等の進出があります。これも労働者あるいは消費者諸君の自衛手段としては当然の措置であろうと思うのでありますが、そういうような大資本の進出、他面には消費者みずからの自主的な行動に伴う共同購入等の組織の進出、強化等の谷間にはさまっちまって、ほんとうに血みどろに、一生懸命にその業を守るために努力をされておりましても、その業がいかにも零細であり小さいということのために、思うように伸びていくわけには参りかねる、漸次没落の一途をたどっていく傾向すらないわけではございません。そういうことを放任しておきまして、中小の小売り業者の諸君が非常に難儀をするということは放任すべきことではございませんので、ここで時世の進運に伴い、経済の進展に即応するような新しいく合理的な近代的な機構に進展をさしていきたい、むしろあたたかい親心をもって業者諸君の前途を洋々発展せしめていこう、そのためにはこうしたらどうかということを企図しておるものと私は考えるものであります。ただ、しかし、そういうような非常にあたたかい気持ちで小売り業者の前途を発展せしめていこうということを企図しておることは、数次の審議を通じまして、関係大臣あるいは政府当局の説明によって明瞭ではございまするが、ただ、法律が管理会法というようなことでいかにもかた苦しい、そこから発する感じといたしまして、いかにも官僚統制の再現になるのではないかというような印象を受けることであります。このことも質疑を通しまして明らかにされたことでありまして、決して官僚統制の再現をするものではないということは明確になっております。誤解に基づくことではございまするが、そういう危惧の念を抱いておるたくさんの関係者諸君が存在をしておるということは事実であります。でありまするので、答弁にもあり、説明にもございましたとおり、本法の運営につきましてはどこまでも、官僚統制というようなことが出てまいりませんように、十分その辺は配慮をして、業者諸君の意に沿うような運営がなされますることを私は強く要請をしておきたいと思うのであります。  第二は、何と申しましても生鮮食料品の価格の安定をはかるということは、刻下当面の最大課題でありまするし、消費者大衆、国民全体の熱望しておる当面の大きな問題点であります。このことを達成いたしまするためには、何といたしましても生鮮食料品の供給の安定をばかるということがその基底でございますることは申すまでもございません。このために政府は、生鮮食料品の生産の安定、供給の確保ということにつきまして鋭意努力をされておる、各般の施策を行なっておられますことについても承知をいたしております。その努力のことにつきましては、十分私どもは理解をいたしておるところであります。しかし、対象となりまする生鮮食料品は、人為と申しましょうか、計画的に生産をするというわけにはなかなかまいりかねる、自然の条件の制約を受ける立場に立っておる生産品のことでございますので、努力をいたしましても、なかなかその実効を期待することが困難な情勢に置かれておることは否定できない事実であります。といっても、今日の進んでおりまする科学、人知をもっていたしますれば、そういうような自然の制約というものを排除し得るということも可能であろうと思うのであります。その点につきましては、まだまだ足りない点がないとは言えません。そこで、この法律の趣旨を千分に達成し、真に国民全体が熱願をしている、消費者も生産者も双方がほんとうに期待をいたしている生産の安定と価格の安定をはかりますためには、何といたしましても、その基底をなしまする生産の問題にメスを入れて、さらに一そうの努力をされたいということであります。  最後に一つ、申し添えておきたいことは、この法律はどこまでもあたたかい目をもって小売り商諸君の将来を発展せしめていこう。そのためには、ただ口先だけでものを申しておってもなかなか進行いたしませんので、ここに一つの見本をつくる、モデルをつくる。そのことを目で見ていただきまして、なるほどああいうようにすればよろしいなということが感得できた場合には、それにならって実行していただきたいというところにねらいがあると思う。おそらく業者の諸君も、現在のままでよろしいとお考えになっている方はなかろうと思います。当委員会に御出席をいただきました参考人諸君もひとしく述べられたことでございまするが、私どもも、いまのままでよろしいと思っておりません。一刻も早く近代化し、合理化したいということは考えております。まさにそのとおりであろうと思う。そこで、その管理会法によって設置をされました数個の市場が成果をあげ得ますれば、それをねらって新しい方向に進もうとする気配というものは、沛然として私は巻き起こってくると思う。が、しかし、そういうような情熱を燃やしての気力が盛り上がってまいったといたしましても、関係の業者諸君はいずれも零細であります。資金には困難をしているのが実情であります。気力が燃えても、伴うものがございません。そこで何といたしましても、これを育成してまいりまするためには、要する資金を十分に供給する。ほんとうに口先だけでなしに、現実に資金の供給の円滑を期するということが眼目になろうと思うのであります。通産大臣質疑に答えられておりますように、政府は全体として高度化資金、あるいは近代化資金、その他の資金を用意いたしまして、立ち上がっていこうとする、あるいは近代化をはかろうとする諸君に対して相まみえようという決意を述べられておるのであります。その数瀬は必ずしも十分ということではございませんが、しかし、そういう意図をもって企画をされておるということでございますので、その企画をされておる資金がなめらかに流れてまいりまするように、もし、そこに不足を生ずるということでありますれば、その不足はあくまでも充足をして、関係業者諸君の情熱が実を結びまするような資金の手配に万全を期する。これがございませんと、せっかくモデルはつくりましても、そのモデルが業者諸君に恩恵として具現されるということにはならぬと思いますので、資金の供給につきましては、責任をもって善処をしていただきたいということであります。  そのほかにも数点ございまするが、重要な問題として、以上三点を指摘し、これらの点について格別の配慮をされることを要請いたしまして、私の賛成討論を終わります。
  57. 北條雋八

    ○北條雋八君 私は、公明党を代表して、本法案に反対の討論をいたさんとするものでございます。  反対理由の第一は、この法案は、生鮮食料品の小売市場法案ではなくて、官製管理会設置法案であるからであります。  小売り価格の適正と安定をはかる根本対策は、生産地から卸売り市場に至る現在の複雑な流通機構を抜本的に改善合理化することが先決でなければなりません。しかるに政府は、本来を転倒しまして、流通の最末端であります小売り業界に管理会を介入させて、その管理会の役員に、主として高級官僚を横すべりさせまして組織しようとするからであります。  言うまでもなく、多年の経験によりまして得た勘と、熟練と、そつのないサービスを特に必要とする、しかも鮮度をとうとぶ食料品の仕入れ、販売、これをいま言う官製管理会の役員に指導させるがごときは、いわゆる武士の商法でありまして、官僚の特権を用いざる限り、とうてい所期の目的を達成することはできないと思います。このような変則的流通機構の変動は、かえって物価を不安定ならしめ、市場を混乱に導くか、あるいは官僚統制の弊に陥るからであると思います。  で、先ほども話がありましたように、行政簡素化が叫ばれておりまする現在、私はこの際、管理会設置法案は見合わせまして、そうして業者の自主的努力を国が助成するという中小企業基本法の精神にのっとりまして、今後十分検討して、代案を立て、次の国会に提案すべきだと思うのであります。  第二点は、政府の考えていますスーパーマーケット式の共同経営は、小売り商近代化の方向としまして、机上の空論であると思うのであります。現実に伴わないものであるからであります。  大資本によるスーパーと違いまして、本法によるスーパーは、一企業体になれないことは明らかであります。そうとすれば、共同経営と家族経営とのどちらがすぐれているかということは、過日当委員会の参考人の話によりましてもわかるとおり、家族経営、いわゆるパパママ・スーパーといいますか、これが最も能率的で、採算がとれ、現実に適した方法だと信ずるのであります。私は、数多い零細な小売り業者を対象として考えるときに、家族経営中心とした近代化の育成こそ、生鮮食料品という特殊な商品と、需要の実態から見まして、最も適しているように思うものであります。  第三点は、本法案がかりに成功したとしましても、市場付近の一部の消費者と、比較的資本力のあるきわめてわずかな小売り業君の利益になるだけでありまして、大衆一般には何ら利益が均てんしないのであります。そればかりでなく、小売り市場に入居できない数多い零細小売り業者にとっては、過当競争による圧迫を受けまして、倒産の不安さえ一そう強く感ぜさせるような結果となりまして、大衆福祉の政策と逆行する悪法と言わざるを得ないのでございます。  次に第四点、本法案は、政府説明並びに答弁にすこぶるあいまいな点が多く、確信に欠けておりましたために、昨年の通常国会より二度も継続審議となって、現段階に至ったのであります。したがって、その後審議が進み、内容がわかればわかるほど、これに反対するものが多くなり、業界の大部分はもちろん、消費者団体さえも反対のものがふえてまいりました。なお、先ほど話があったとおり、与党の内部においても有力議員の反対があるなど、かりに本案が成立しましてもその円滑な運営はとうてい期待することはできないと信じます。  政府がこれらのことに目をおおい、もし過日の総理の所信表明とか、あるいは党のメンツにのみこだわって、世論の反対を無視しまして、そうしてこの成立に押し切るならば、それこそ総理の言う人間尊重というそのスローガンと逆行する結果となることを、総理のために、与党のためにも強く警告しまして、私の反対討論といたします。
  58. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は、民社党を代表いたしまして、長期にわたる食料品総合小売市場管理会法案審議は、何回となしに問題をかもしてきておる重要な問題であったのであります。この重要な問題に対して、党を代表して反対の討論をいたすものであります。  第一に、生鮮食料品の価格の安定は、現在の流通機構を根本的に再検討して、そうして全般的に改善するということにならなければ、その効果は期待できないと私たちは考えております。いたずらに末端のみをいびってみても、これは混乱を起こすだけであって、その効果は現実には出てこない。たとえば、都内に一気に二十ヵ所程度の総合小売り市場設置できたといたしましても、先ほど北村委員も言われたのでありますが、現在の業者のわずかに四%ないし、五%しか満たさないのです。この影響が消費者に益があるかというと、大した益はないと言わざるを得ません。また、将来これをふやそうという考え方がかりにあっても、長年のこれは年月を要する問題であって、いわゆるモデルケースのその効果というものが一拳にできるものではない。それに従って業者が直ちにそれを実行することにはならない、こういうふうに私たちは見ているわけであります。  なお、この現行の市場法を順奉する限り、産地との直接取引について大きな隘路があります。政府の言明の、一割安くするということは、現在の市場法の改革を、流通機構の改善をしないで、一割安くなるだろうというこのことば、不可能ではないかと私は考えております。  四番目ですが、管理会という、役人出身者がこれを組織して——生鮮食料品を取り扱っておる多年の経験者は、商品の購入等については相当の苦労をして安いものを選んでおると思うのです。で、それらの指導をもう一歩前進させるのには、前段申しました、やっぱり流通機構の改善にこれは基因すると言わざるを得ないのであります。  五番目に、行政の簡素化というようなことが言われておりますけれども、政府による、大きく取り上げられておるこの際、この管理会というような公約な性格を持つ新設は、結果的には長期にわたる役人の横すべりの場所となるだけであって、国民に対する、いわゆる一割安くなるという宣伝のための欺瞞政策ではないか、こういうふうに私は考えざるを得ないのであります。  こうした現状から考えてみますならば、現在最も重要とするものは、現流通機構の改善に対して、生産者から末端までに根本的な政府がメスを入れるということでなければ、私たちはこの改革はとうていできないと考えておるのであります。なお、むしろこれを成功させることよりも、零細商業者に対して高度化の、近代化に対しての資金の援助を拡大していく、しかもこれをもっと長期化した返済方法にして、増額してやるということになれば、業者もこれに飛びついてやっていけるのではないか、こういう施策がまずできることこそ、東京都を中心といたしましても、業者間においてそうした改善をしようといういわゆる熱意が燃えてこそ、消費者に大きな利益を与えると私は信ずるのであります。したがって、長期にわたる審議を経てきましたこの食料品総合小売市場管理会法案に対しては、私たちは納得がいきません。したがって、反対の意思を表明するものであります。終わります。
  59. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないものと認めます。  これより食料品総合小売市場管理会法案について採決に入ります。  まず、討論中にありました森君提出の修正案を問題に供します。森君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  61. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 数でございます。よって、森君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま、可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  62. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 多数でございます。よって、修正部分を除いた原案は多数をもって可決されました。よって、本案は多数をもって修正すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと任じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。  午後五時四十一分散会      ——————————