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政府委員(
田中重五君) 御説一々ごもっともな面があると存じますが、初めに林道の問題でございます。確かにその林道の体系は現在相当に複雑になっておりまして、これは何らかのすっきりしたものに体系づける必要があるかと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、
山村あるいは農
山村地帯の経済生活の安定といいますか、あるいはこの林業の
開発の伸展の必要性というものの認識の高まりの程度に応じて、この林道の開設が進められて、そうして時代とともに、また、その開設される場合の林道の
補助のしかたが手厚くもなってまいっているということでございます。
それで、今回の新公団林道は別といたしましても、ことしから
実施をみますところの林業構造改善
事業、この林業構造改善
事業の
地域の中へ組み込まれてまいりますところの林道、これはおおむね公共
事業としては三号、四号林道、それから
山村振興林道でございますが、これはこの構造改善の中では、それぞれ四割、三割あるいは
山村振興では四割というのが五割になるというような改善をされております。また、
山村振興林道
事業については、公共
事業の分については三割五分の
補助が四割になるというように、不十分ではございますが、その
助成の程度は手厚くはなっておるというのが実態でございます。しかしながら、いずれにしても、まあ林業構造改善
事業の中に林道
事業もあり、そのほかに公共
事業としてのいまの基幹線林道その他もろもろの林道があって、さらに公団林道の開設が行なわれるというものは
整備をいたしまして、それぞれの目的、ケースあるいは
規模、それに応じて林道の重要性を踏まえて開設いたしたいというわけでございます。
それから造林の問題でございます。これは確かにお説のとおりに、現在外材の輸入は、ほぼ日本の木材
需要の二五%、四分の一に達するまでにその数量が増加をいたしておりまして、これは一面、
わが国の木材価格の消費者面におけるところの価格の安定というものには寄与をいたしておりますけれども、一方において、確かにこの木材価格の横ばいと、それから造林のための人夫賃あるいは諸資材費の高騰とが見合わないというようなことで、造林の意欲を附属する要因となりつつある、確かにそういう現象はございます。それで、やはり何としてもこの
増大する木材
需要を外材でまかなうのでなく、みずから
生産し得る能力を持っておる国土で自給をしていくということが、いうまでもなく必要でございますし、そのことがまた農
山村民の生活の
向上になり、そうしてそういうような背景が、林業
基本法の成立の基盤でもあったということで、林業の
生産振興をはからなければならない、こう考えておりますが、やはりその前提として、前提といいますか、この林業
生産の基盤を
整備して林業
振興に寄与し、外材の流入を防遏していくというためには、まず、林道のさらに一そうの
拡充強化、これが必要である。それで、林道網が充実をすることによって、いまの
生産性の
向上になるところの機械化も促進される。大型機械も入ってくるし、その他造林のためのもろもろの省力技術も導入される。まあそういうふうに考えまして、この林業
基本法の成立後第一の着手として、林道の充足ということに取りかかったのでございましたが、そこで、先生いま御指摘の経済性の発揚をどうするのか、これはやはりその
生産性をできるだけあげていくということが必要でございまして、そこからその経済性も高まっていく。そうすることが従来の山林所有者の資産保持的な考え方を転換していくことにもなるわけでございますから、そこで、この林道の
整備、機械化の促進、そうして、その他地ごしらえ、あるいは下刈りその他の面における省力技術の
開発導入、さらに植栽される樹種の早期育成になるようなものの培養と、それの増殖というようなことで、林業の近代化をはかって経済性を高めてまいりたい。で、長期にわたって
生産をしなければ伐期に達しないようなことでなく、早期育成の実をあげてまいりたい、こう考えております。それから、一方、その重要な造林の面における国の
助成といたしましては、
補助金、それから
融資の画面で考えてまいる必要がございまして、
補助のほうは、現在のところなお国の
補助は三割、それからその
補助の基礎になるところの単価についてもなお十分であるとは考えておりませんので、その点についての改善をはかってまいりたい。四十年度は三十九年度に比べて、ヘクタール当たり大体一一ないし一四%増の改善をみましたけれども、これで決して十分ではございませんので、その点の改善もはかってまいりたいし、それから一方
融資の面では、現在農林漁業金融公庫の
制度の中に、小造林では三分五厘
資金というのがございまして、そうして、まあこれは再造林あるいは拡大造林とともにその
資金で
融資が受けられるということになっております。これはそういう小造林の
資金も含めて、
融資ワクが大体四十六、七億ですか、五十七億ですか、拡大をみております。この面の改善も今後一そう努力をいたしまして、
融資造林の要望にこたえてまいりたい。さらに県の造林、あるいはまた、最近公社等の造林が相当活発になってまいっておりますが、一般の個人の行なう造林、あるいは公団造林、そういうものの間隙を埋めるものとしての公社造林等の育成をはかることによって造林の推進をはかりたい。そのために必要な
助成、あるいは
融資の面の努力をはかってまいりたいと思っております。いずれにしましても、造林が引き合うものだ、経済性の発揚という、先生のお話には全く賛成でございまして、林業
基本法の趣旨からいいましても、従来の資産保持的な森林の持ち方から、そういう
産業としての、経済活動としての、経済行為としての林業
経営、そういうものに持っていこうとするのが林業帳本法のねらいなのでございます。そこで、そういうふうに
生産性を上げてまいりますれば、かりに諸資材、人夫賃の高騰があっも、それを吸収していくことができる。そういう面でこの経済性を発揚してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。今後一そうの努力を払ってまいりたいと考えております。