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1965-03-11 第48回国会 参議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十一日(木曜日)    午前十時十二分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         仲原 善一君     理 事                 田中 啓一君                 森 八三一君                 山崎  斉君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君     委 員                 青田源太郎君                 岡村文四郎君                 北口 龍徳君                 野知 浩之君                 藤野 繁雄君                 堀本 宜実君                 森部 隆輔君                 大河原一次君                 北村  暢君                 北條 雋八君                 高山 恒雄君    政府委員        農林省農林経済        局長       久宗  高君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    参考人        東京青果物商        業協同組合理事        長        大澤常太郎君        東京魚商協同        組合理事長    中根 長吉君        荒川区婦人協議        会理事長     増渕  操君        消費科学連合会        会長       三巻 秋子君        関東水産物商業        協同組合理事長  老川 浩正君        東京大学教授   川野 重任君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件食料品総合小売市場管理会法案(第四十六回国  会内閣提出衆議院送付)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから委員会を開きます。  食料品総合小売市場管理法案を議題といたします。  これより、本法案について参考人方々の御意見を拝聴するわけでありますが、その前に一言、参考人方々にごあいさつ申上しげます。  本日は、御多用中のところ御都合をお繰り合わせをいただき、御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して私から厚くお礼を申し上げます。  本法案は第四十六国会内閣から提出され、衆議院で可決の上、本院に送付されましたが、本院において継続審査となり、今日に至ったものであります。  当委員会におきましては、目下、本法案について審査を進めておりますが、本日は特に参考人方々の御意見を拝聴し、慎重に審査を重ねることとなった次第でございます。  審査の時間の関係上、参考人方々におかれましては、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきたいと存じます。そのあとで、委員各位から御質問があれば、それにお答えをいただければ幸いと存じます。  それでは、まず大澤参考人から御意見を述べていただきます。
  3. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 御指名でございますから、僭越ながら私が最初として申し上げたいと思います。  きょうは、私ども業界に重大な関係のある農林水産委員会の諸先生のお集まりに、参考人としてお呼び出しをいただきまして、いまお話がありました小管法案について、われわれの立場を述べさせていただく機会を得ましたことは、まことにありがたいしあわせでございます。御好意につきましては深く感謝いたします。  時間に御制限があるようでございますから、なるべく簡単に申し上げたいと思います。あとで御質問がありますれば、それにお答えをいたしたいと思います。  小管法案に対しましては、これまで私ども業界あげての決議に基づきまして、十数回ほどいろいろ御陳情をいたしてまいりました。その内容は、反対でございます。その反対意見の要点につきまして申し上げたいと思います。  第一は、蔬菜類価格高騰要因は、天候いかんで豊凶が左右されること、農村人口都市集中化による労力の不足、地価暴騰に伴う生産意欲の減退が最大の要因であると思います。  第二には、消費需要に見合う計画的生産及び出荷が行なわれていない、現在の生産出荷輸送体制に問題があるのではないかと思うのでございます。農林省の強力な行政指導が必要であると、この点について特に思います。現在の流通機構を拡張強化し、価格の安定をはかるべきであり、流通秩序を混乱におとしいれるおそれのある総合小売り市場設置には、私ども全国業者が断固として反対をいたしております。  次は、蔬菜類価格は、毎日の中央卸売り市場における公開のせりで、需給関係により卸売り価格がきまり、それによって小売り価格はきまる。したがって、価格の高低は小売り商の直接の責任ではないと思うのでございます。既存青果小売り商は、各所に続出をする大資本のスーパマーケットと日夜血みどろの商戦に明け暮れている現状でございます。さらにこれに加えて、官営スーパーが実現すれば小売り商は腹背に敵を受けることになります。特に国民の税金でつくられる総合小売り市場のために倒産をするようなことがあれば、小売り商はだれをうらめばよいのか。既存小売り商権益が侵されるのではないでしょうか。東京だけに二十カ所、金額で二十億円の巨費を投じて官営スーパーをつくるより、その資金をもって既存小売り商強化育成のために活用をし、近代化への方向を指導してもらいたいと思います。  次、商売の未経験者である官僚、といっては語弊がありますが、お役人小売り業指導監督をしたところで、成功はなかなかおぼつかないと思います。これは戦争当時の統制の体験から、かように申し上げたいと思うのでございます。もし失敗した場合、理想どおりにいかなかった場合、中に入って、業者に対する責任はどうなることでありましょうか。  次、われわれ小売商組合としては、みずから諸般の改善対策組合員指導をし、実施しているのでございます。その第一は、組合員店舗改善の運動、第一次にはオリンピックを目標にやりました。その実績は、三十七年から三十九年の九月までに千八百六十一軒を改称をいたしたわけでございます。その所要資金は十二億九千四百万円、そのうち兄弟の組合である東京青果商信用組合より低利で貸し出したのは四億二千九百万円でございます。  第二次といたしましては、いま実行をいたしておりますものは、名称店舗改善ストアと申しておりますが、これの貯金を奨励いたしまして、本年一月から二月までに、もう締め切りを一応しましたが、その数は中小規模、特に小さい店に重点を置きまして、すでに千数百件の申し込みを受けつけてその実施に当たっております。  その次、関連商品販売消費者の利便と売り上げの増進に勇めております。  その次、青年教育業界近代化にとり、戦後三十三年から本年までに毎年二月から四月までの三カ間、組合では青果青年研修満座を開講いたしまして、そうして、いままでに約八百名の青年を教育いたしまして、その卒業生をもちまして青研会というのを組織いたしております。そうして経営近代化仕入れ合理化専門知識研究等につきましていろいろつとめておるのでございます。  次は、青果物流通機構のかなめである既存小売り商育成こそ先決問題であると思います。多くの小売り商経営規模は小さく業態の近代化は意のごとくには全員はなかなかいかない。国の資金による強力な金融措置行政指導こそ青果物価格安定、流通改善のために必要であります。強くこの点につきまして希望をいたすものでございます。一応これで終わらしていただきまして、あとで御質問がございましたならば、それにお答えをいたしたいと思うのでございます。
  4. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ありがとうございました。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  5. 田中啓一

    田中啓一君 私は元役人で、大澤さん、だいぶ皆さんとはおなじみの実は人間でございまして、いま官営機構指導統制などするのは必ず失敗するであろうとおっしゃった。その戦争中の統制の元締めをやった人間でございます。全般的なそういったことが、戦争中であるので、やむを得ずやったことでございまして、戦争がなくなれば元の姿に帰らなければならないことは十分承知をしております。したがって、国会議員に出ました目的は、戦争中に統制したことを自由に返すという目的で、私は出てまいりました。そうして今日に及んでおるわけであります。そう考えまして、いま大澤さんの御意見は、積極的には現在の流通機構をなくさないで、これはもう現在その方面を担当しておるところの卸売り市場並びに小売り商人にまかしておいて、そこをできるだけ合理化するように援助、指導をしたならばいいであろう、もう値段の安定をはかろうとすれば、根本的には計画的生産出荷ということをやって、需給を調整する以外に抜本的なものはないぞというようなお話に伺いましたが、そうでございますか。
  6. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) そういうことを申し上げました。
  7. 田中啓一

    田中啓一君 そこで、そのことはだれにもわかっておることだろうと思います。あえて特別に御指摘をなさるまでもなく、そういう方法もあると思います。戦争中にだんだん統制が強化されていきまして、しまいには生産統制もいたしたわけであります。そうして御承知のように、ネギ一本、大根一本というものを分け合ったというふうな戦争中の青果物流通実態でありました。そこで、百姓に対して生産統制をやるべきだと、こういうお考えでございましょうか、お伺いいたします。
  8. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 御指摘の点について申し上げたいと思います。私はあえて生産者に、いま前にお話がありましたように、戦争中と違って、だんだんそれを自由の立場に戻しておるというときに、あえてこれを統制みたいなことをしてもらいたいというようなことじゃないのですが、相当生産者のほうの関係がうまくいかない点もありまして、必要以外にたくさんできたり、それから需要に満たないような状況であったり、そういうようなことが結局市場の相場が高くなり、高いものを買って売らなければならないということになると、こういうふうに私は思います。  それから、ちょっとお答えしておきますが、私ども小売り商東京で約一万人ばかりございます。全国で――鹿児島から北海道まで私ともの組合に参加をいたしておるものが約十万人と、こういうような人の大ぜいの世帯を持っておりますから、そういうものの立場というものもお考えを願わなければならぬと思うのでございます。特に前に申し上げたとおり、私どもはほかのことはできませんが、青果を売るということが専門業者であり、長年苦労しておりますので、そこで、いままでの悪い点はいいものを見習って、そうしてできるだけのサービスをして、たとえスーパーができても、スーパーにも欠点がございますから、スーパーにできないようなひとつ大勉強、大サービスをする。そうして自分たち倒産をしないようにしていこう。それには組合があげて指導していこうというので、それで物心ともいろいろお世話をしておるわけでございます。
  9. 田中啓一

    田中啓一君 いまおことばの中にも、一般小売り閥既存権益というようなことばがございましたが、どういうことでございましょうか。
  10. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) どういうことでございましょうか。
  11. 田中啓一

    田中啓一君 一般小売り商既存権益というようなことばが二度ほど出てまいりますが、どういうわけでございましょうか。
  12. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) それは、私ども業者のいま状況を申し上げましたが、東京幾ら全国幾らと。そういうようなものの中には、私も年寄りですけれども商売のことだけは詳しいのですよ。詳しいけれども、学問もなし資本もなし、それから近代化の仲間入りをして、そうしてなかなかやれないというような立場の人が多いものですから……それでも失業してやめるわけにいきません。だからそういう既存業者というものを生かしていくということに、われわれは責任考えていかなければならない。ことに中小企業協同組合法による組合でございますから、小さいものをつぶすというふうなことはできないのです。できるだけそれを育てて、そうして大きなものとくっついていかれるようなことをひとつ指導していかなければならない、こういうつもりでやっております。
  13. 田中啓一

    田中啓一君 もう一問だけ。いま提案して、審議中の法案が通り、小売り市場ができましたならば、ここの中に入る人はよろしいが、一般の入らない人はつぶれる傾向になると思われますか。
  14. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) それは三十くらいできましても、一千万の人口ですから、あやかる東京都民というのはわずかなものですよ、実際のところ。迷惑するものはそのできた近所のものが困るのですよ。できた近所のものは、それは災難ですよ、業者にとっては。ですからそれを私どもはいろいろいままで陳情をいたしておるわけなんです。あっさり、お前たちは古いのだから、もうそれで勝手にしろというのでかまってもらえないで、片方ばかり政府が力を入れておるのですから、安く売れるかもしれません、設備もいいものができますから。それじゃ貧乏人小売商はやっていかれません。だから貧乏人もひとつめんどうをみていただきたい、こういうことでいろいろな陳情をいたしておるわけであります。それからいい点を申し上げますと、これは私の組合で正月以来、青果物販売白書というものを、大規模調査をしまして、いまつくっております。残念ながらきょう発表できませんが、その結論としては、少ない利潤でもいわゆるアメリカでいうパパ・ママ・ストアー、家族性業員だけ使ってやっていくものは、なかなかつぶれないのです、何しろ働くことは平気なんですから。朝早くから夜おそくまで、労働基準法も何もないのですから、そういう家庭ですから、ですから家族従業員を使っているところは自分たち労働において食べるだけもうければよいのだ。ちょっとめんどうをみてやれば近代化にもなれるし、大型化にもなれるのです。ですからそういう点は、大きなところよりは安く売れる、利益が少なくても生きていかれる、こういうことはありますな。
  15. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 一つ伺いますが、お説の中に、需給に見合う生産出荷体制が欠けておるという一つ指摘をなされたわけでありますが、それは必ずしも、ただいま田中議員質問したように、国家統制ということを意味するものではなしに、自主的な生産者組織によって、全国的な自主的な需給調整をそれぞれの県なり、あるいは市町村の段階において、生産計画を立てる。もとよりその計画には品種の統一その他等もあることはもとよりでありますが、そういう一つ営農団地中心とした農家の自主的な北淡計画、その計画に基づいて生産された蔬菜果実当は、あくまでもその組織によって自主的に販売機能を系統的に改良しなければならない。その機能の手段としては、いろいろな、たとえば出荷計画出荷調整、もろもろの機能が作用するわけでありますが、そういうことがむしろ政府生鮮食料品年産から消費に至る総合的な施策の中において取り上げが欠除しておる。それを取り上げずして、官製の文字どおり管理会というもので、法律にうたっているように、官僚の性格のもとでこういうスーパーマーケット指導する、いろいろな付帯事業をやるということは本末転倒ではないかというふうな反対の御趣旨に受け取ったのでありますが、さよう了承してよろしいかどうか、お伺いいたします。
  16. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 御指摘になりました点について、ちょっと申し上げますが、自主的な需給調整であるとか生産計画、これはお役所のほうでひとつまあ十分研究をしてやっていただくようにお願いをしたいわけなんです。私のほうは販売関係ですから、私どもが見た目では、年産関係のほうで必要だと思うのは、まず生産、それから出荷方法、それから輸送だと思うのです。輸送もまあいままでの市場のいろいろなうわさを聞きますと、東北方面でも単線では困るから複線にしようじゃないかという話も聞いておりますが、これは予算の関係でなかなか実現できない。それから自動車輸送が多くなりまして、ずっと仙台あたりまで、このごろは東京あたりに品物を、青果物を持ってくるのです。そうすると、これはうまく運送の関係がいきませんと、片道だけで往復の運賃を負担しなければならないというところもあります、これは全体的の例ではありませんけれども。だからそういうようなことをだんだん調整していただけば非常に生産者のほうも有利になるし、ひいては消費者のほうにも有利になる。それから仕入れ関係は、大体生鮮食料品を主として売る小売り市場ですから、中央市場中心にいくんじゃないか、中央市場中心としていくから、私ども中央市場中心に買い出しをやっておりますから、われわれ長年の熟練工ですから、仕入れについては負けないと思うのです。どういう人がやるか知りませんけれども仕入れについては負けない。あとは、サービスは各自の研究の結果出てくる、そういうようなことを考えております。
  17. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 他に御発言はございませんか。  大澤参考人、たいへんありがとうございました。それでは御退席をいただいてけっこうでございます。  次は中根参考人
  18. 中根長吉

    参考人中根長吉君) 私は、ただいま御指名をいただきました東京魚商業協同組合理艦長中根でございます。  食料品総合小売市場管理会法案に対しまして、水産物小売り商立場から意見を述べる機会を与えられましたことを厚くお礼を申し上げます。  さて、食料品総合小売り市場設置は、一昨年七月、政府において決定された生鮮食料品流通改善要綱に基づき、生産から消費に至る総合的な改善対策の一環として実施することと承っております。生鮮食料品価格の安定をはかるためには、生産安定拡大中央卸売り市場施設整備取引改善など総合的な改善対策をとるべきことのようでありますが、われわれ業界としましては、市場内取引改善登録制実施小売り商市場法明記等、長年にわたり要望してきたところでありまして、政府対策につきましては、その趣旨に賛意を表しますとともに、今回の食料品総合小売市場管理会法案につきましてこれを賛成し、その実現に協力を惜しまない所存であります。  御承知のごとく、われわれ水産物小売り業におきましては、その扱う商品生鮮水産物であるという特殊性から、その仕入れ販売方法等店舗経常において、他の業界に比べて従来は比較的変化が少なかったのであります。近年に至り、経済高度成長に伴う消費水準上昇や、食生活改善経営コスト上昇等によりまして、急速に企業としての近代化が要請されてきております。ごく最近、資源調査会が科学技術庁に対し、食生活体系的改善に資する食料流通体系に関する勧告の中に、低温流通機構方式等積極的推進必要性を強調しております。また一方には、東光をはじめ、西友、京成、京王その他、多数の大資本によってスーパーマーケットの出現を促し、日に日にわれわれ小売り業者を圧迫しております。それがために、われわれ業界においても数軒にわたる店舗の閉店というようなことが起きております。大資本スーパーにはわれわれ小売り業者は参加できず、大資本系列一色になっているのが実情であります。その資本攻勢は、たとえ一時的、局部的には抑制することができても、長期的、広域的にはこれを食いとめることはほとんど不可能と言わざるを得ません。したがって、われわれ小売り業者は、好むと好まざるとにかかわらず、その近代化合理化促進等、みずからの体質改善をはからなければならないときに至っております。しかしながら、一口に体質改善と申しましても、小売り業者はなお一般的にきわめて弱体であり、そのことは決して容易なことではありません。このときに当たり、政府計画されている食料品総合小売り市場は、われわれをその中に入れて近代化モデルをつくろうということであり、われわれとしてはこれを機としてみずからの近代化をはからなければ、長く悔いをあとに残すことになると考えます。したがって、この際はいたずらに政府の構想に背を向けるといった態度はとらず、現実及び将来を冷静に観察し、時代の要請に沿った歩み方をすべく考えております。一般消費者に対しましても、やはり消費者意見を十二分に拝聴し、それにのっとっていくようなことも考え、広い視野に立ち、組合流通機構改善対策要綱が発表されるや、直ちに近代化経常促進協議会設置し、三カ月あまりにわたって、お手元にお配りしますような答申に基づいて、進んでこれに協力、利用することがわれわれ業者のとるべき道だと考えたのであります。そして、それがまた国民食生活をあずかる業者として当然の責務と考えているのであります。  以上により、われわれは本法案趣旨に賛成し、そのすみやかな成立を希望いたします。ただ、ここで本法案に関しまして二、三の点について意見を述べさせていただきたいと思います。  その第一は、管理会に関することであります。総合小売り市場設置するため管理会という特殊法人を設けることは適当でないとの議論が世上の一部にあるように聞いておりますが、要はその運営いかんにあると考えられます。われわれとしては、管理会を設けることはけっこうでありますが、この場合むしろ管理会という名称を使わずに、もっと一般に親しまれる名称に変えていただくことがよいのではないかと考えます。しかも、その運営に当たっては、業界意見が十二分に反映されることになるよう切に望んでおります。  第二は、総合小売り市場における販売価格の点であります。世上では、総合小売り市場においては販売価格を一割引き下げるということが言われているようでありますが、当局の御説明によれば、これは仕入れ販売方法等合理化により、入居者利益を確保して、なおかつその程度の引き下げは可能であるとの試算ができているとのことでありますが、もちろんそれは計算上のことであり、われわれとしては現実に即応して、価格の安定と同時に、鮮度の保持に努力いたしたいと存じております。ただ、価格の点については、初めにも申し上げましたとおり、その安定を小売り段階だけに求めようとしても困難であり、生鮮食料品価格の安定は、生産から流通段階を通ずる一貫した対策充実と、関係者の努力が必要でありまして、その上に立ってこそ総合小売り市場における販売価格適正化も可能となるのであります。この点についての一そうの施策充実を要望いたします。  第三は、設置する総合小売り市場の数の点でありますが、総合小売り市場は、さしあたり東京に二十市場設置するとの御計画と承っておりますが、そもそも何カ所ぐらいをつくったらいいかということはむずかしい問題であります。われわれの感覚としては、さしあたり二十市場程度設置すれば、物価対策として、また、小売り店近代化モデルとして、その効果はかなり大きなものがあると考えますが、東京実態から見れば、将来はさらにその数をふやす必要があろうかと考えます。もちろんそのためには、当初、設置する市場実績いかんが重要な前提となるだろうと思います。ただし、われわれとしては、市場設置数設置場所については、事前に十分に業界意見を徴し、これを反映させるよう運営していただくことを要望いたします。  第四は、総合小売り市場への入居のことでありますが、総合小売り市場はあくまでも既存小売り商のための市場として、その中においては消費者へのサービスにつとめて、われわれ小売り商独特の気運を盛り上げたいと考えます。このため、市場への入居業者は必ず小売り商を入れること。それも、市場設置により影響を受ける市場設置場所周辺小売り商を優先的に入居させること。市場内での営業は、入居者が自主的に独立して行なうよう経営をまかせられたいこと。また、総合小売り市場は、小売り商の健全なる運営モデルとなるよう、かりにも他の私設スーパーマーケットに対し過半競争をしいるがごとき運営は絶対に行なわないこと。及び、入居業者の選定については、市場設置地区の同業者団体が管理会と十分に協議できるようにすること。これらの諸点を実現されるよう要望いたします。  第五は、総合小売り市場入居できない一般小売り業者に対する対策の点であります。総合小売り市場入居できる者はほんの一部の者であり、大多数はこれに入居できないのであります。しかもこの大多数の者が近代化されるのでなければ意味がありません。われわれ弱体な小売り業者に、みずからの力だけで近代化をはかれと言っても限界があり、せっかく総合小売り市場モデルにしようとしても、それに影響を受けるだけで、体質改善は促進できないのであります。われわれは総合小売り市場設置と並行して、一般の中小小売り商が、その近代化をはかるための資金等についても、業者が簡便に借りられるような措置を政府が積極的にとられることを切に要望するものであります。現在、中小企業高度化資金の貸し付けの道は開かれておりますが、その資金ワクの拡大及び借り入れ手続の簡素化等、運用の改善、及び、さらに設備改善資金の貸し付けの道も開くなど、積極的な対策を早急に実現していただくように切望いたします。  以上、若干の点を補足いたしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
  19. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  20. 矢山有作

    ○矢山有作君 ちょっとお伺いいたしたいのですが、私どもはこの食料品総合小売市場管理会法案が提案された中心目的は、消費者価格をできるだけ安定させる、消費者価格を引き下げる、こういうところに中心のねらいがあるのだと、こういうふうに承知しているわけです。だから法案の補足説明の中にも、御存じのように、生鮮食料品等の流通合理化を促進して適正な小売価格の形成に資し、もって国民生活の安定に寄与することを目的としていると、こうあるわけですね。そうすると、私どもがこれを読んで感ずることは、いまの小売り価格は不適正なものである、そういう前提に立って適正な小売り価格を形成させるためにこの法律をつくる、こういうたてまえになっているのですね。そうすると、いまの御説明を聞いておると、お話を聞いておると、まあ政府のほうではこの管理会法案をつくることによって販売価格一〇%程度引き下げになるという計算をしておる。確かに政府はそういう説明をしているわけですよ。そうすると、あなたのほうでは価格の問題については、それはやはり政府で一〇%一律に引き下げるといってもそうはいかない、こうおっしゃっているわけなんで、ここにちょっと大きな食い違いが出てくるわけなんですが、その点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  21. 中根長吉

    参考人中根長吉君) その問題につきましては、この市場ができますれば、仕入れ面につきましてやはり中央市場を利用するのでございましょうが、やはり仕入れが多少大きくなりますと、現在の仲買いの利潤は何分ということが徹底しているわけでもございませんし、そういう関係仕入れの面に対しても多少の差が出てくる。また、もう一つわれわれ業界の、そこに大衆の商いをするということになりますと、販売金額もあがる、そういう面から申しますと、一割ということは完全言えなくても、その差というものは非常に安くなるということは言えます。
  22. 矢山有作

    ○矢山有作君 それからもう一つお伺いしたいのですが、この小売市場管理会法案ができることによって経営近代化合理化が進められるということに非常に大きな期待を持っておられるようです。しかし、問題は、小売り商、中小企業引っくるめて言いますが、その近代化合理化というやつは、これまで通産省が合理化資金や、あるいは設備近代化資金等で進めてまいった、しかしながら、そう進めてまいったといいながら、その実効というものは十分にあがってないということは皆さんのほうでよく御承知のはずです。ところが、そういう中小企業対策の貧困な中にあって、この法律をつくることによって、わずか東京でいえば二十カ所そこらのモデル的な近代化された小売り店をつくって、それが近代化のきっかけになるというふうにお考えになることについて、私どもは非常な疑問を感じているわけですよ。むしろ小売り店の近代化のためには、思い切った中小企業近代化のための財政投融資がなされるということのほうが先なんであって、政府が直接末端の小売り業に介入していくようなこういう法案で、私は近代化が達成されるというふうには考えておらぬのですが、その点についてはどうですか。むしろ重点を中小企業近代化のための財政投融資の確保に置くことのほうが先だと、私はこういうふうに考えているわけです。こんなものを十カ所や二十カ所東京につくったって、これは決して近代化モデルにはならない、むしろ近辺の中小小売り業者を圧迫する作用しか私はないというふうに考えておるわけです。
  23. 中根長吉

    参考人中根長吉君) 世間ではそういう考えもございますが、また一方におきまして、現在大スーパー、かつまた、あるいはスーパーというものをつくるに対しては、政府としてはそのスーパーに対してとめるような力もありません、かえって大スーパーを奨励している。そういう時期にかんがみまして、近代化の設備資金といいますのは、確かにいまおっしゃったごとく、さっそく右から左へと貸していただければ、われわれもこういう問題は考えませんが、そういう金は一銭も貸さなくて、ただ大資本に対する助成というものを政府が講じております。そういう関係で、われわれは政府がこういう問題を出してくだされば、こういうものをつくっていただくことによって、やはり小売り商人のほんとうの力になるというふうに思いますから、こういうことを考えております。
  24. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 中根さんにちょっとお聞きしますが、私もちょっとご説明を聞いて、政府の今度の方針には賛成だというふうにおっしゃったと思うのです。その賛成だと言われる意味は、いわゆるモデル的なケースで、近代化をはかった小売り店をつくるということは賛成である、ただ政府が言っている、いまも御質問がありましたが、仕入れ、あるいは店員その他の合理化をはかって、一割減の安い価格消費者に売る、これは不可能だ、不可能だという理由は、あなたのほうでおっしゃるのは、いわゆる生産者の問題もあろうし、流通機構の問題もある、こういうふうに物価の安定というものを厳木に考えていかなければ、一側は下がりませんぞ、こうおっしゃっていると思うのですね。そうなりますと、政府モデルケースというものは、一割下がらなければ、これをやっても何にもならないということになるのです、問題は。これは二の大きな原因なんです。もう一つの大きな問題は、三十七年に東京都を中心として、政府は大体百カ所ぐらいの小売り居の指定をしたことがあります。これも一割ぐらい安くするというのが、あの指定店であったのです。ところが、いかにこれが小売り業者に迷惑をかけたかということは、皆さん御存じだろうと思うのですが、そういう面も含めて、それでもこういう官庁がモデルケースをつくろうということに御賛成なのかどうか、ちょっとふに落ちない点がありますから。
  25. 中根長吉

    参考人中根長吉君) ただいまおっしゃったことはよくわかりますが、この販売方法というものは、やはり大量に売れば、一割もうけるものを五分のもうけでも、その場合でも金額をよけい売れば収入の点というものは上がってきます。安く売るという場合でも、やはり場合によっては大量に販売できれば、この価格という問題に対しては、私は心配する必要はないと思いますしただし、ここで先ほどおっしゃったごとく、何としましてもわれわれ業界におきましては、大スーパーの進出が一番おそろしいのです。そういうものを政府がとめずにおいて、それで君らは君らでやっていけという、そういうことが、何らかの方法によって、そういう問題に対して、そうじゃなくて、現在のような安閑として営業ができるような所在にしていただければ、われわれはそういう問題は考えません。
  26. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ聞きますが、大資本中心とする、つまり百貨居なんかの名儀を変えたマーケット方式をいまどんどんつくりつつありますね、これを防止するならば、こういうものは要らぬのじゃないか。実質的に、皆さんは共同して、そうして共同仕入れをやるとか、いろいろな方法でこれを防止することができるならば、あえてこの案には賛成しないのだ、こういう考えだということでいいですか。
  27. 中根長吉

    参考人中根長吉君) 共同仕入れといいますけれども、日々の魚でも、かりに現在の総合スーパーができましても、場所場所によって仕入れ方法というものは、個人個人のお客さん単位によって品物が違う、ですから大量仕入れということはなかなか、われわれ業界としては、その向き向きがありますので、小さい業者がかたまって一ぺんに大量仕入れというのは、機械でこしらえたものでもありませんし、アジにしても一寸のアジもあれば五分のアジもある、お客の向き向きがありますので、なかなか大量仕入れというもののむずかしさというものがあります。
  28. 大河原一次

    大河原一次君 私お伺いしたいのですが、私どもは、今日置かれた中小零細企業立場ですね、これは非常に深刻なものがあると思うのです、したがって、国会の中でも、今国会の佐藤総理の施政演説の中にも、御承知のように農業、中小企業に対しては、革命的な施策を行なっていかなければならない、今日高度成長のいわばひずみが出てきているのだ、今日までは大企業中心の政策をとって終わったが、今度は第二ラウンドとして中小企業、農業の問題を取り上げていかなければならぬということを言っている。ところが、実は中小企業近代化のために、わずか二百億か三百億の金しか出していないのです。加うるに今日のスーパーマーケットの進出なり、あるいはまた大百貨居の圧力によって、あるいは系列化によって、今日の中小零細企業は苦労されている、そこにもってきて、追い打ちをかけるがごとき官営のこういうスーパーマーケットがつくられることによって、さらに今日の中小企業は圧迫されるのではないか、こう考えたときに、それは政府がいま取り上げておるいわゆる安定成長のほうにはいかぬわけであります。私はいまここで政治論を言うわけでないが、政府のとっておりますいわゆる重化学工業中心の政治が、今後あのテンポをもって進むならば、さらにさらに今後の中小企業というものはひどいひずみの中に押し進んで、いつの日にか浮き目がみられないのじゃないか、こういうふうに考えております。そこにきていまの施策をとるならば、どうして今後の中小零細企業を守っていくかということが考えられて、そうすれば、いわゆる安定成長の中に日本経済が浮き立っていくということはあり得ないし、中小企業がますますひどくなってくると思うのです。そうすれば、いま中根さんが関係されておりますあなた自身の方向にもその影響が起こってくるであろう、影響があらしめられるだろうと、こういうふうに考えざるを得ないのです。さらにまた、いまあなたがおっしゃった消費価格の面、小売り価格の面における安定というものは、やはりこれはいわゆる生産の面から流通の面、流通の改革、整備、機構というものが先決であるといわれているのですが、御承知のように今回のいわゆる法律案の中にも、肝心な生産面が欠けておるのです。残念ながら生産の面が何ら取り上げられていない。わずかに消費機構改善のための一助だというふうに説明されておるわけですから、したがって、あなたが希望されておる生産の面が全然無視されておるというならば、当然政府が期待しておる一割安の価格によって、これによって安定をはかっていこうということは期し得ることができないというふうに考えておりますが、そういう面をお考えになって、中根さんの御意見を賜わりたいと思うのです。
  29. 中根長吉

    参考人中根長吉君) ただいま申しました流通機構の問題は、池田総理時代あたりからも打ち出されておりますので、それに対しても皆さんもそれぞれお骨折りでございますが、流通機構改善ということがずいぶん叫ばれて、われわれとしても先ほど述べたごとくやっておるのですが、何らのいまだ処置もとっていない、それからもう一つは、現在の立場でございますが、かりに、私の考え方は、大スーパーが出る前にこういう総合小売り市場というものを一定の場所につくって、周囲の業者を入れてきたならば、大スーパーがそれに出る場所を失するというような考えを持っております。ですから、私は大スーパーがたくさんできておる間にそういうものができたら皆さん困るだろうじゃなくて、大スーパーができないうちに、国家としてそういうものを十分につくっていただいて、われわれ業界を入れていただくならば、大スーパーの進出を防げて一番いいと考えます。
  30. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 時間もないようですから簡単に伺いますが、いまの参考人意見に、管理会名称を変えてくれという意見がありました。これは管理会の性格に対する実質的な批判を意味しておると思うのです。そうして業者意見をこれに反映するようにしなければならぬということになれば、本法案の骨格に触れた反対意見が内容として含まれておると思う。そのもっと具体的な点についてひとつ意見を、おありならお述べを願いたい。
  31. 中根長吉

    参考人中根長吉君) 管理会法案ということばは、いろいろ先ほど大澤さんが述べたごとく管理会と、そういうような非常に強い、ことばにおいて強い線がある。これをもう少しやわらかいことばであったなれば、一般業者に対しましても、聞く感じというものが、管理といわれると非常に強い感じを持つのじゃないか。かりに、内情やすべてをよく勘案しまして、こういうものはできてもいいという自分に考えがありましても、管理会いうことで、もしやもしやと何かそこに非常に監察ばかりされるというような見解がするので、このことばをやわらげたほうがいいということを言いまました。
  32. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ソフトムードでいったほうがいいということは、ことばとしてはわかりますけれども、もっと参考人としては法案の内応を勉強してこられたと思うので、その内容に当たっての意見があってそういう御意見が述べられたものということで、私お尋ねしたわけです。かりに管理会が別な名称であっても、その法の意図するものは、管理会がこの業務としては「設置及び管理を行なう」、なお小売り業経営する入居者に対しては、「必要な事項についての指導を行なう」云々ということが問題なわけです。だから、むしろ管理会を何か、対案がないようですが、ソフトムード的な名前に改めたところで、管理会法の政府の意図するものが、あくまでも指導監督というものを、わずかな補助金を出すことを機会にうたっておる点で、そのことはそれでいいのですかということを、それじゃお伺いします、
  33. 中根長吉

    参考人中根長吉君) われわれが家を借りて、その家に入りましても、機構というものは、相当意見の強い契約書をとられます。また、われわれがある一定のスーパーとか、将来かりにはいれたとします。それは規則というものはやかましいようにうたわれております。規則どおりに施行されるということは、われわれも考えておりますけれども、そういうことになりますと、この法案を見まして、それほどにこれを強いものとは私は考えておりません。
  34. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いまひとつ、私納得いかぬ点があるのでお聞きしますが、あなたのおっしゃっておる、大資本中心とする別名のスーパーマーケットが進出するということについては反対する、このことはよくわかります。これは当然のことだろうと思います。ただし、政府がこうして投資をして、あるいは都と協力をしてマーケットをつくろうという考え方の基本的なものは、まず物価の安定をはかる、その中でも政府考えておりますのは、仕入れに対して六%くらいの安い価格にしようということ、さらに、店員とかその他を含めて合理化をすれば四%減ってくるということですね、そうすると一割も価格が安くなるというわけです。これが大前提でなければならぬのです、骨格は。そうして消費者にもそれだけ安くやってやろう。これは消費者の方も反対される理由はないわけです。われわれも今日の物価高騰に対して、反対する理由はないわけですからね。ところが、先ほど私があなたに尋ねたときに、共同仕入れというようなことは、漁業としては無理だ。個々にみな物が違う、こうおっしゃるわけなんですね。そうすると、これ安くならぬということです。現状のままだというのです。だから何かのそこに形でかわるものがなければ、これは単に官僚としてこういう一つ機構をつくって、そうしてやるだけにすぎないということになるわけですね。そうなれば業界同士の競合という形で、そこに投資をしてやらせたほうが賢明ではないか。その近所の人たちもそれだけ潤うじゃないか。そうして物価も安くしてもらおうじゃないか、こういう考え方のほうが賢明ではないかということをわれわれは主張して、消費者立場考え、皆さんの立場考えておるのだが、どうもあなたの御意見を聞くと、賛成しておられる意味が、多少私は食い違いがあるのじゃないか、こう考えるから再度お聞きするのです。
  35. 中根長吉

    参考人中根長吉君) ただいまおっしゃったごとく、政府考え方が、われわれ小売り商人が行きまして、実はこういうわけでもって仕入れの金がないので貸してくれと、政府にお願いした場合に、政府がそうかといって貸してくれるかというと、貸してくれないでしょう。それ相当な理由のつかない限り。かりに、われわれあたりが中金から金を借りるにしましても、われわれ毎日買い出しに行っている瞬間を、何時にあしたは来い、何日にいつは来いといって、五回も六回も引き立てられて、二十万かそこらの金を借りるに対してばく大なことなんです。そういうような窓口を政府がこしらえてからならば、いま先生おっしゃることもよくわかるのですけれども、そういう窓口がいま一つもできていないのですから、そうしますと、この法案を先に通してもらったほうがわれわれのほうはいい。
  36. 北條雋八

    ○北條雋八君 先ほども中根さんは、入居者が自主独立して営業ができるようにしたいという御希望でありますけれども、いろいろ聞いてみますと、かりに入居する資格があって選ばれても、五軒なり六軒なり行業種別に入居します。それがいろいろの業種がありますが、こういう人が全部一企業体としてスーパーマーケット経営するというのが政府の理想なんですが、そうはいかないだろうか。場合によったら、業種別に、三人なり四人なり店が共同経営するんだということなんでございますが、そういうふうに共同経営をするのに入居の希望をする者があるか。その点、われわれはわからない。おのおのの店が共同経営をやるということなんですが、その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  37. 中根長吉

    参考人中根長吉君) その問題につきましては、業界としても、いろいろ論議があったのでございますが、やはりわれわれとしては、入りたいということは……、先ほど申したようなことでもって個人でやるというのが一番いいことでございます。また共同生産体制ということ、これは、われわれ、先般皆さんのところにお配りしたか知りませんが、三月にわたっていろいろな一般業者あるいは階級の方からお伺いをしましたそのときに、今後は、われわれも個人経営でもってあくまで運営していくということは、将来はむずかしいというような問題も十分研究され、魚屋、八百屋、肉屋、そういうものも、二世あたりは、お互いに、そういう同志と一カ所に販売所をかまえてこれから運営していく時代であるというようなことでわれわれもやっておりますが、現在の年とった連中らは、まだそこまでの考えはないと思いますが、そういうことで、われわれは将来これを、さきに言ったとおり、モデルケースというような考えでおりますが、そういうようなことに持っていきたいと、こう考えます。
  38. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、かりに、このモデルケースが非常にいいということになりまして、入店する人があったとしても、あとで、入れない者が、なるほどと、ああいうふうにやってみようとしても、結局、資金の問題になりまして、先ほどお話があったとおり、これを根本的に、政府がうんと力を入れてやらないことにはできないと思うのです。かりに、それができたとしても、全部の、入店できない小売店がそういうようになるということは絶対に私は考えられない。大部分の者はそういうモデルがいいと思ってもそれを実現することはできない。やはり従来のまま、個人経営で、それを少しでも近代化していくということになると思うのですが、そのお見通しはどういうふうに考えておられるのですか。
  39. 中根長吉

    参考人中根長吉君) 大体われわれ業者のほうは、現在を申しますと、魚屋というものはだんだん減っています。それはなぜかと申しますと、一万や一万五千の商いをしている店舗であって、自分の男の子がおりましても、自分のあとを継がずに、どこかの会社につとめていってしまって、店をよすという者は、現在は神田、日本橋、京橋と、ああいう地区では、そういう店舗は年に四、五カ所でてきています。ということは、魚屋というものは近代化にならないから、やはり子供はあとを継がないんじゃないか。ですから、よく政府などは十分お考え願って、なるたけ、われわれ業者、朝から晩まで、先ほど大澤さんのお話じゃないですが、アヒルと同じです。水の中をじゃぶじゃぶ歩っている。そういう商売を、政府のほうが、何とかしてこれを近代化につくり上げるように努力していただくことがわれわれの先決問題です。それに対しまして、今度の農林省案というものは、そういうものをだんだんそのほうに導いてくださると思って賛成するのですが、どうか、そのほうは、十分政府のほうとしてはお考え願いたいと思います。
  40. 北村暢

    ○北村暢君 ちょっとお伺いしますが、昭和三十八年度と昭和三十九年度、両年度で、通産省は、小売り商経常形態の近代化ということで、店舗の共同化を進める施策をとっておるのですが、そのうちに、スーパーマーケットは会社経営のものが二十一、三十八年度で二十一、それから協同組合方式で三軒、約二十四軒の店舗の共同化をやっている。三十九年度は約三十五カ所ぐらいスーパーマーケットを設けておるのですが、これを御存じでしょうか。
  41. 中根長吉

    参考人中根長吉君) ええ、知っております。
  42. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると、そのスーパーマーケットをやっているのに対して、政府は都道府県を通じて金の貸し付けをやっているのです。それについて、あなたのところの鮮魚関係入居している、そういう店舗の共同化をやった実績において、どのようになっておるのですか。
  43. 中根長吉

    参考人中根長吉君) 残念ながら魚屋は、零細者が非常に多いために、そのポイントの位置に立っていると、共同経営をしておりますが、それに真からの共同経常と、真からの共同経常でないのと二種類ございます。真の共同経常をしておりましても、やはり魚屋というのは教養のないのは御存じのごとく、かつまた、どちらかと申しますと、自己資本スーパー経営している人は、まあ日本全国に三千幾つある中で、魚屋が自己資本スーパー経営したというのは二十五軒しかありません。そういう形態からいいましても非常に零細でございますので、共同化してそれがいっているということに対しまして、かりに、東京にありましては、あるいは千葉県の近くの葛西のこちら側のほうですね。そこにも二十何人かやっております。これはおかげさまで成績がどうやらよくいっております。御存じのとおり、夫婦二人でかせいでいるというような方々は、やはりそういうところにお互いに共同したために非常な成果をあげているということでございます。
  44. 北村暢

    ○北村暢君 そういうことで、通産省でも実はスーパーマーケットをやることを奨励しているわけですね。
  45. 中根長吉

    参考人中根長吉君) それに対しまして、実は通産省へお金を借りに行こうとしましても、何しろ建てたいといっても、地所とか何とか物権を持っていないものでは建てられないのです。そういうわけで、魚屋でスーパーマーケットを建てるというのは、私は豊島区出身でございますが、豊島区には二百四十軒魚屋ございまして、個人でマーケットを建てた人は一人です。ですからそういうような、なかなか通産省のお金を借りにいって建てるだけの力は持っておりません。
  46. 北村暢

    ○北村暢君 それで、ですから今度のスーパーの建物を建てて、そうして共同でお入りなさいと、こういうわけですね。だからそういう点はいいわけですよね、いいわけなんですが、やはり業者方々が、この問題は非常にむずかしい問題ですからね。共同化やるということは、業者の方がやる気にならなければできない問題です、実際は。ですからそういう助成なり何なりする場合に、建物を提供したもの、とりあえず資金力がないから、大体において自分でというわけにはいかない。したがって、共同でもってやる、その場合に、魚屋だけのスーパーというのはないので、これはほかのものと共同しなければできないわけですね。ですから、そういう意味では公設的にやってもらうのはよろしい。しかし、今度の考えているのは、相当高級なものを考えているわけですからね。げたばき住宅の、上が鉄筋のアパートで、下をスーパーにするというようなことで、坪当たり大体四千円ぐらいだと、こういうふうにいわれているわけです。したがって、零細なお魚屋さんが、坪当たり四千円の家賃を払って、そうして共同化していくんだけれども、確かに個人でやっていれば、家業的に家族の者が皆出て働く、こういうことになっておるんだが、ひとつのスーパーだということになって、共同でやるというと、そうすれば、先ほど出ているように、人件費の節約ということになっているのですね。人件費を節約しなければ意味がない。また、合理化をするのに……。そういう意味で、まあ家でやっていれば奥さんも一緒にともども働けた。今度は別なところになるので、奥さんは確かに家を守ってもらえてよくなるということは出るでしょうけれども、そういう点が非常な改革をしなければならない問題ですね。しかも共同化をしたものの、管理運営というのですか、経営というのですか、経営のスタッフというのですか、これは非常にむずかしいですね。大体寄り合い世帯みたいな人が経営合理化してやっていきますから、非常に経営の能力というものを要求せられる。そういうことで、私どもは、今度の法案の中には、管理会というものは建物をつくって、そうして貸します。坪四千円くらいで貸します、こういうことになっているわけですから、その経営指導するということになっていますけれども経常のスタッフは、やはり共同化をしてやる人が経常するわけですからね。ですから、そういう面について、従来やってきた経験の中において、スーパーマーケットも最近倒産が次々出ているわけですね。したがって、これはスーパーの管理の運営が悪いとか何とかといういろいろな原因があると思うのですが、そういうようなことで従来入っていった経験からして、皆さんの掌握せられている状況ですね、うまくいっているのかどうかということを、ひとつこの点をお伺いしたい。
  47. 中根長吉

    参考人中根長吉君) 家賃の点を言われましたが、われわれ業者には店を、家を建ててその中にただ入っていくというふうに承っておりますが、私の考えているところは、中に、設備まで全部つけてくれるというお話でございますが、魚屋の設備が、ちょっとあの店はきれいな設備をしたなということになれば、三百万ないし四百万。それに冷蔵を伴うと五百万というような資本がかかる。ごく小さくやっている方でも少なくも二百万近くのものがかかる。そういう設備をして、それがどうかと申しますと、耐用年数が、国庫にこの前申請しまして、二十何年というようなことを言われたが、われわれもがんとしてそれに抵抗しまして申請しまして、現在八年。ところが、事実使ってみますと、三年か三年半。また、時代が進みますと、やはり現在の時代が変わってくるので、それに応じて何を直すというような、そういうようなことを勘案いたしますと、われわれは坪四千円の家賃を払っても全部つくってもらったところに入ったほうが、非常に一般的に考えて安くあがるというふうに考えております。ただ、いまの、共同のものでございますから、これは人間の和でございますから、人間の和というものは、政府のほうとしましても、どうも現在は人間の和、そういうものを十二分に国会でも考えられておりますので、国民の生活に対しましても人間の和というものを十二分にお考え願って指導していただければ、入る方もお互いの和というものを、話し合えばお互いに共同もできるだろうし、かつまた、同じ場所に入って同じ生活をしていくものでございますから、その点におきましてやはりお互いに考えなくちゃならぬじゃないか、こういうふうに考えます。  そこで、先般、私のほうとしまして東京都の滝野川に公設市場をつくったのですが、その市場の中にわれわれの業者が入っておりますが、おかげさまで一般の地元の方が、魚が安く、それでもって近くで買えて非常にいいと、そういうようなことも出ております。まあそういう経過はございます。
  48. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 以上で、中根参考人に対する質疑は終了したものと認めます。  次は、時間の関係もありますので、増渕参考人、三巻参考人、順次御意見を拝聴いたしまして、その後、一括して質疑は継続いたしたいと思います。増渕参考人
  49. 増渕操

    参考人(増渕操君) 私は、今回食料品総合小売市場管理会法案消費者として、反対し、廃案にしていただきたく意見を述ぶるものであります。  私は、荒川区において末端行政をあずかるものであり、党籍は、自民党であるが、与党政府に対してこの際猛省を促す。消費者のためにならない、かつまた零細企業を没落させるこの法案を、良識ある参議院において即刻廃案促進方をお願いするのでございます。現在の物価高騰につきまして安定策、消費打擁護というようなことを施策の中に考えておられますことについて感謝申し上げ、その熱意に敬服をいたします。しかしながら、今回のこの法案が、その目的に掲げているごとく「適正な小売り価格の決定に資し、」とか、「国民生活の安定に寄与する」というような目的とは、現実から考えてあり得ないことであると私は考えるのであります。いまここで私の隣りの賛成の方が、一割安値は無煙じゃないかということを述べられたことをみても、私はこれが実に無理なことであるということが考えられるのでございます。近代化合理化という近代的なことばにより、業者の前進となるようなことは実際に考えられないこの法案であると私は考えるのであります。  一割安値についても、ただいまのこの話のように、業者自体のほうもそのような問題もあり、また一カ所のスーパーに二十名くらいの役員がつくわけでございまして、その方の人件費ということも考えますと、なかなか、ここに掲げた理想と現実が合わないということを私たち考えます。政府が巨額の資金を投じ、また都もそれに応じて官営スーパー方式の市場を区に一カ所設置した場合のことを考えますと、現在の殺人的な交通波乱の状況下、それをなお一そう私は混乱させるおそれがあると思います、また、交通費と時間をかけて買い出しに行くのでは、商品がもし廉価であったとしても、実際は高くつくのであります。それから周辺の地域の方ばかりが利用できて、一般的でない、遠い者は全然利用できない。と同時に、その周辺の小売り業者は没落、廃業のやむなきに至るのではないか。周辺の小売り業者国民であり、納税義務者であり、国民生活の安定を掲げておりますが、その中にそのような方々のことを政府考えているかどうか。  次に、消費者の生活の形式はいろいろでありますが、一般的にいえば、私たち消費者は夕食の一時間ないし三、三時間前、また働く階層の多いところでは、もうその直前に、地域のすぐ近くにある小売り店に品物を求めて、食ぜんをにぎわすのが、現在の普通の生活様式であり、多くの小売り居は消費者と断ち切れない人間関係においてお互いの生活を営んでいる現状であります。そのような事情から見ても、一区に一カ所、膨大な官営スーパーができたとしても、消費者の多くのためにならない、そうして経費の膨大さに比べれば、その利を得るものはまことに少ない、多くの小売り店の物価が安くなるのでなければ、私はほんとうの物価安定の策、国民生活安定の策だとは言えないと思います。もし一割安値で官営スーパーができたとして、昔からの慣習で、官営とか官僚とかというものに魅力を持つ慣習があります。そうして、その市場消費者が殺到したとしたならば、その混乱はどうでありましょう。人件費節減のモデルケースであり、セルフサービスを行なう、こういうことでございます。私は、先日、某スーパーマーケットにおいて、少年が万引きをして、店員に手をつかまえられている実態を見ました。子供はその手にチョコレートの一つを握っておりました。で、店の話によりますと、このようにお客さんがたくさん来てくれるのはありがたいが、そのすきに乗じて、子供たちの万引きの常連があって困るということをこぼしておりました。この販売方法には、現在の少年の不良化防止という立場からも、相当の創意くふう、再考の余地がなければならないと私は思います。外国そのままのまねであっては、環境の異なる現状においては、少年に悪の温床となるような感が持たれないでもないのではないか。切実な私は問題であると思います。私は、昨年十月、中小企業の一員といたしまして、世界の市場並びに労働状況の視察に行って、世界八カ国の主要都市を訪問してまいりました、もちろんスーパーマーケットにも入り、買いものもいたしてまいりました。しかし、日本の恥状とはだいぶ異なっております。まず、その市場が広々として、商品が整然と並んでおり、その順路も画然としていて、消費者が日本のように殺到しておりません。だから、少年が万引きするというようなことは考えられない。また、食生活がおのずから違う外国においては、生鮮食料品などは、ほとんど冷凍もしくは薫製にして、多くビニールの袋詰め、つけものに至るまでびん詰めなどにして売っているのでありまして、そこへ主婦が自家用車で乗りつけ、何日分かを買い込んで、家に貯蔵しておく、これが外国のスーパーマーケットを利用する者の生活であります。日本では、ほとんど駐車禁止。たとえば、車を持っていても、なかなかこのようなことは考えられない。デンマーク等は、自転車を利用する者がたいへん多いというために、自転車の専用道路まであり、水面、牧畜の盛んなデンマークでさえ、魚はやはり冷凍とか薫製にして、国民食生活に使っているのであります。また、食肉の市場のごときは、屠殺から加工製品まで一貫作業、そうして、一つの場所でやり、その膨大な市場経営は驚嘆に値し、輸送の時間、経費等がここで軽減され、合理的な市場でありました。アメリカのニューヨークにおいても、スーパーの進出に対処して、小売り店が、一カ所にいろいろな店が寄り集まって共同経営をしている、こういうような場面もありました。近代化とはアメリカ的機構、工業化に追いつくことでありましょうが、それには、アメリカそのままの経済機構が、日本の国民生活を豊かにするとは、私は限らないと思います。また、このアメリカでさえ、官営スーパーは、私の見るところでは、見当たりませんでした。私は現在のままの流通機構、そうして企業形態が、絶対的なものだと言っているのではありません。むしろ、時代に即して近代化、改革していかねばならないことを切実に願うものであり、一カ所に一億もの巨額を投じるのであったなら、業者市場と協議して、多くの者がその恩恵に浴せるように、民意を反映した共同市場なり、また、流通機構改善など指導していくべきではないか、そうして、物価高騰の一原因には、人手不足とか人件費の問題もあり、特に若い者の手不足は、はなはだしいものがあります。世界各国において、私は、職場に相当の年令の者が働いているのも見てまいりました。日本では、高年令者の求職難、君年層の求人難などの根本的な解決策が、この物価安定策にやはり関係しているのではないかと思うのでございます。  産地と直取引を行なうということがうたってありますが、東京都には東京都のりっぱな市場があります。政府がこれを無視して、そのようなことを行なうということは、行政の混乱ではないかと私は考えます。そうして、また、その市場を無視して産地と直接に取引をするということは、市場を通せば高値になるのだということを政府みずからが肯定するものであって、それならば 市場流通機構改善して、市場から仕入れ一般小売り店が安く売れるように、なぜ市場改善に手を出さないのか。この法案については、自民党の参議院の有力な某議員も、この法案に対して、反対の決起大会にかけつけて、激励して帰られました。(笑声)東京都民を代表する東京都議会においても、この法案に対して、参議院に、反対意見書を出そうじゃないかという寸前に来ております。また、各区においても、区議会で、全員が超党派で決議して、これを参議院に、廃案にしていただくように意見書を出そう、すでに出している区もございます。  このように都民が、反対し、消費者も、実際、安値にならないとわかっているようなこの法案反対しているものを、政府がこれを無理押しして、これを実行して、一体どうなることか、物価安定の策は、末端の弱小の小売り業者を没落させることではない、多くの小売り店が閉店やむなきに至った場合に、それを利用しておる近隣の多くの消費者は、一体どうなるのか。寒中、氷の中を手でかき回し、少しでも生きのいい魚を安く消費者に奉仕している魚商店の苦労などは、寒中、暖房に汗を流して執務なさる方々には、想像もつかないこととは存じますが、(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)私は、小売り店だけの値段を抑制していくことが、消費者価格を安くする策であるとは考えておりません。この流通改善という大きな問題に、政府が手を出さないで、だれが手を出すのか。そうして、業者政府が一体となって、これを改善して、少しでも消費物価が安くなるように、国民生活の安定、物価の安定と、政府が唱えているような方策を、私どもは心から望んでやまない次第でございます。多くの小売り商店に至るまで、その価格が安定し、安くなるように、私は心からこれを叫ぶものであり、標準店というようなものを設置して、その方法を講じたこともあるようでございますが、標準店の看板だけでは、これは私は何にもならないと思う。これにある程度の奨励金とか、また、水道をあれだけ使うなら、いま水飢餓で困っておりますが、何とか水道料を軽減してやるとか、また、いろいろな面で政府がこれに助成をしてやって、標準店の標準価格をあくまでも奨励してやるというような、小売り店に対してあたたかい政策を向け、そうしながら、一方、市場流通機構をいろいろ改善していくところに、ほんとうの物価の安定策があるのじゃないか、このようなことから、私は、この法案が、東京都に二十カ所、一カ所に二十人くらいのお役人、四百人のお役人のためにはまことにけっこうではありますけれども消費者全体のためにはならない、また小売業者のためにならないというような法案に、私は心から反対を叫ぶ者であります。  私の意見を終わらしていただきます。
  50. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ありがとうございました。  次は、三巻参考人
  51. 三巻秋子

    参考人(三巻秋子君) 私は消費科学連合会の会長の三巻でございます。  時代の進展に伴いまして、ものの考え方、見方にも科学性を持たせなければならないというところから、昨年以来消費者教育を中心といたしまして、主婦のレベルアップに努めてまいった者でございます。物の値段も単に安ければよいという考えは持っておりません。そして物の値打ちを知って買い物をしよう。また、主婦も自覚しなければならない面が多分にあるということを反省している者でございます。私は、いまの御発言と違いまして、純粋の消費者立場から、きょうは意見を申し上げようと思っております。それと同時に、婦人団体こぞってこれに対する賛成をしているということを前提といたしまして、きょうは、この法案に対しまして一刻も早く国会を通過するように、賛成の立場でまいりました。その理由は、物価安定の一つの具体策であるということでございます。三十五年に、所得倍層計画を打ち出されまして以来、約五年間に三割近い消費者物価の値上がりでございます。そして家庭生活をおびやかしていることは皆さんも御承知のとおりでございます。東京都におきましては、総理府による消費者物価の指数を見ますときに、三十五年を一〇〇にいたしまして、総合でもって一二六になり、中でも食料品の値上がり率は大きく、一四四・二%になっております。野菜とくだものは昨年よりは少しは下がっておりますが、野菜では一五〇・五%、くだものでは二五二・八%となっております。鮮魚におきましては一四七・五%、肉においては一二八・四%と値上がりしているのでございます。これに反しまして非生鮮食料品の値上がり率は一二四・九%、こういうところに大幅にすぎるということが問題でございます。これは単に統計の示すところでありますが、実感はそんななまやさしいものではございません。ハクサイやダイコンを一本買えない、おつけものとも言えないようなものを、店先きで二分の一なり四分の一なり分け合って買う主婦のいることも事実は物語っております。各省も、企画庁を中心にいたしまして物価対策連絡協議会を開き、この物の値上がりに対していろいろと手を打たれましたが、単に連絡をするという意味にすぎませんでした。これに対しまして農林省はおそまきながら三十八年の七月、閣議決定による生鮮食料品流通改善対策要綱をもとにいたしまして、生産者並びに消費者改善に留意することをうたいました。生産面におきましては産地育成事業、価格安定対策事業団の創設、価格安定のために産地冷蔵庫の建設並びに食肉センター等、こういうことをあげられますが、また、価格の面におきましては生産から消費に至りますまでの追跡調査並びに査察をいたしております。これらは大きい目で見ればやはり消費者の安定に直結するものであるということを考えまして、私たちはその効果を期待したのでございますが、何年たっても需給の不安定さは解消されません。ましてや天候を理由に、周期的に来る不安定の農政の貧困さも、消費者は何としても納得できないのでございます。だれもよく言いますように、リンゴとか、牛乳の出産されたものが三倍にもなって小売り店の店先にあるということは、だれでも申すことでございます。そうして物価上昇の原因がすべて流通段階の小売り店の合理化がおくれていると一いうようなことを指摘されてまいりました。小売りの方は、これを聞けばたいへんおこられると思いますが、その間、都の市場改善方策も固まってまいりまして、市場の施設設備の拡大、上場単位の引き上げ、せりの公正化等、取引改善合理化等の答申が出てまいりました。たとえば、中央卸売り市場の手数料を、魚は六%の手数料を五・五%に、野菜は一〇%が八・一五%に、くだものは八%が七%に引き下げられました。また、集荷業者の荷を引くあまりの競争を食いとめますために、リベートをわずかながら合理化したことも知っております。しかるに、私たちの台所への影響はさらさらございません。むしろ上がる一方でございます。このように生産に対する価格対策や、流通面では標準店をつくってみても、また、消費者に対しては主婦によるモニター制度の採用くらいしか消費者保護政策はないのでございます。もう消費者は食料品の値上がりにはあきらめにひとしいものを持ち始めておりました。小売り段階において価格形成を促進するために、食料品総合小売り市場設置が三十九年二月十四日に閣議法定されました。その後刮目してその成り行きを見ておりましたところ、三十九年の五月十二日、附帯決議をもちまして衆議院を通過し、予算も計上されたのでございます。その後四十六通常国会並びに四十七臨時国会と、参議院におきまして二度も継続審査になっております。そうして本日まで放棄されているこの状態を見ますときに、これでほんとうに消費者保護行政というものがどこにあるかしらんというふうに、たいへん残念に思う者でございます。一部業者反対を聞いて、都民の生活にプラスするような方策がとってもらえないということがたいへん疑問なんでございます。すみやかに消費者団体の声を十分お聞きをいただきまして、この促進をお願いしたいものでございます。  私は、連合会の組織を通じまして、物価抑制の一助にと思いまして、実態調査をいたしました事実を少し申し上げてみましょう。三十七年には玉川地区を中心に会員にカードを配付し、家計簿式に毎日食肉、野菜、魚の価格をつけてもらいまして、地域的に価格差を調べてみたことがございます。三十八年の下期には、タマネギ、キャベツ、バレイショ、卵、豚一キロ当たりの標準価格の平均と、市場販売価格の平均を調べましたところ、前年は標準価格との差が四円、翌年は十円また値上がりしているということがわかります。標準価格よりも十円高いということを記憶しております。それがために標準唐の有名無実が立証されて、だれもがこれを利用しなくなりました。しかし、標準店といえども、ほんとうの意味での標準価格によって、これだけを売りものに販売している業者は成り立っていかないということを聞いております。かなり物には品質というものがございまして、買い物の時期などによって、物の価格というものは比較対照はむずかしいとは思いますが、その標準価格を何でもその日の大相場の三割ないし君側一分をかけて、大ざっぱに目安価格指導価格をつける標準価格が変なのでございます。カボチャでも何でも三割かける。業者はその日のどんぶり勘定で計算する関係上、こういうものが成り立たないのは明白でございます。証拠に、当時九百三十一、いやいやながら標準店ができました。三十九年三月現在、千八百七十三に数はふえましたものの、何ら意味はございません。三割のマージンを要求しなければならない経常自体が、これからどうなっていくのか。三割以上プラス・アルファと利潤追求ばかりして成り立っていく経済要因がもはや出てきているのではないかということを心配するものでございます。  お送りいただきました法案関係資料をちょっと目を通しました。品目別に見まして、三十五年から三十九年までの入荷数量、卸売り価格小売り価格の表を見ましたが、月別数字で、卸売り価格小売り価格の、なんと倍に近い値段がついております。白菜一つ取り上げてみましても、三十八年の月別で、卸十三円に対して、小売り四十一円七十銭という値段がございますが、三十八年の十一月には、卸六円七十銭が小売り十六円という値段が書いてあります。これを見まして、三割かけた標準価格の新聞発表がこっけいになりました。また、このほか、私は正月食品の中央市場発表の小売り価格の見通し、推定小売り価格をちょうだいいたしましたので、さっそく会員を通じまして、この実態調査と、どれだけずれがあるかという比較調査いたしましたところ、なんと塩力ズノコと生シイタケが割り安だったというだけで、あとはもうほとんど割り高のものばかりでございます。私どもはたまりかねまして、流通機構研究目的を持ちまして、十二月、茨城県から三トン車五台の白菜を引いてみました。しかし、私どもはあくまでも中央市場を否定するものではございません。市場必要性を認めての実験段階であることを御了承いただきたいと思います。ある地域での実情を申し上げますと、当日、市の着きます前に、まず、周辺地区の五カ所の八百屋さんから市販されています白菜を買ってまいりまして、その平均を出しましたところ、三十円四十銭となりました、次に、出口の市場価格を調べてみましたところ、キロ十八円でございます。そこで、農家の運賃を含めまして、二十二円で買い取りました。市場価格十八円に手数料の八・五%を加えますと十九円五十三銭。これに三割マージンといたしまして、二十五円三十九銭でならないはずのものが、いま申し上げましたように三十円四十銭であり、二〇%近いプラス・アルファがあるということでございます。このように市価の四割安で、生産消費者と直結するならば、新しく、しかも看貫も正確であり、品質もよく、たいへん皆さんが喜びましたが、こんなことを常にやろうとは思いませんが、この手を使って大企業スーパーが進出していることは否定できません。消費者は各地のスーパーを利用して喜んでおります。近くの小売りの倒れた話も聞きますが、それならば国で小売りをかかえてやるのがいいのか、大企業スーパーにゆだねて倒していくのがいいのか、この辺が、これから先の中小企業の行くべき道をほんとうに宿命的な中小企業対策として考えなければならない問題じゃないかと思います。セルフサービスで人手不足を補い、人件費を浮かし、経常近代化は、通産省の近代化にもこれを方向づけ、資源の有効利用と食生活の科学的改善に資するため、科学技術庁の資源局も流通近代化を勧告をしております。企業は工業だけではございません。置き忘れられた商業の近代化をモットーにすべきいま、零細小売りが取り残されているような、こういうときに、大同団結しなくて、どうしてこれが成り立つものでございましょう。いままでの商権に安んじて利潤追求していっていいでしょうか、そういう利潤追求ばかりしていたのでは、消費者も他へ逃げるでしょう。もはや政策として、人手不足、人件費の値上がりでやむを得ませんという、ただ放置する、対策がないということは、私たちこれまで言い尽くされてまいりましたことでございます。また、こういうように、指摘いたしましたような統計と実態のずれを、正しい、適切な価格をこの法によって一日も早く実施していただきたいというゆえんでございます。姑息な標準店を幾らふやしましても、適正な価格はつくられないことを付言いたします。  世はまさに、百貨居でさえ――小売り中小企業が寄り合い百貨店をこしらえてという時代になっておりますし、中小企業庁もこれを指導しております、先だっても、ある話でございますが、小売り商の集まった百貨店は、共同の宣伝というようなときに、どうしても共同化ができなくて、仲間割れをするというようなことで、なかなか思うようにいかない。そこで、とうとうその上に大きな百貨店が外ワクとして乗っかった実例を私は知っておりますが、こういうことをほんとうに中小企業の人たち考えなきゃならぬ時節じゃないでございましょうか。  要するに、構造の近代化をもって、セルフサービスで基準価格を設定いたしまして、これを運用していただいてこそ、物価の引き下げができると思います。この法の二十条の中に、管理会による運営審議会がございますが、これにつきまして少々最後にお願いがございますが、運営審議回が公正な立場で今後管理していただくことはけっこうでございますが、その中に消費者代表が抜けております。こういう際に、婦人の、公正なる立場消費者代表を十分入れていただくということを、ぜひお願いいたします。消費者保護の一つの具体策であるこのような法案に対しまして、これを流されるようでは、政府の物価政策ゼロだということを、婦人団体あげてこれを見守っております。運用面では、いろいろ隘路は出るかもわかりません。それは皆さんが御心配の種でございますが、心配だからといって何一つ前進しないのでは、前向きの政治はあり得ない。私ども現に、これは形態は違いますが、大阪の公設市場で、こういうことによってある程度のものの引き下げというものも十分行なわれております。これを放置しておきますときには、自動車によるスーパーマーケットがもうそこまで出てきていることを十分お考えくださいませ。私たちは、ただ単に法律とか、そういうものだけに依存して物の引き下げを願っているものではございません。ホーム・スクールを形成いたしまして、常に物の買い方ということについて勉強しておりますが、わけても、最近のように、サトイモがまっ白に洗われて、ゴボウも黒いものでないという観念のお野菜が町をにぎわしておるのでございますが、この洗い方ひとつにいたしましても、何か添加物、危険な薬品を使いまして、見せかけの、良品とする現状でございます。こうやって、どこでなされるのか知りませんが、白くすることによって価格が高く仕切られるという、こういう現実もございますことを、私は先だって、連合会の定例会でもって全部指摘いたしました。こういう身近な問題ひとつ見ましても、ほんとうに問題が山積しております。どうか、そういう対策を、すべて強力なもとに並行して行なって、初めてこの物価引き下げというものが確信できるのじゃございませんでしょうか。私たちもそういう努力をいたします。この法案を通すことだけを望んでいるのではございません。総合的な作文はもはや物価対策として出尽くしていると私は思います。ただ、実行しないだけのことであって、そういう突破口をぜひ開いていただきたいと思います。私の発言を終わらせていただきたいと思います。
  52. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ありがとうございました。  これから、増渕、三巻両参考人に対する御質疑のある方の質疑をいたします。
  53. 田中啓一

    田中啓一君 本日は、どうも反対意見を述べられる方も、さすが大澤さんは、私は、日本の小売り業に対する非常に大事な存在だと考えておりました。もう戦争のときなんぞは、みんな商売人はへこたれてしまって、あわやもう業務を放棄をしやせぬかというときに、活力を入れられて、配給業務をりっぱにやっていただいた元締めであります。私はひそかに高く評価をいたしておりました。  それからまた、いま増渕さんをお伺いいたしますと、初めてお目にかかるのでありますけれども、どうやらわが自由民主党の同志であられるようで、根本的にはおそらく自由経済、自由企業というものをかたく信じておるのであろうと思うのであります。ところが、どうも結論は反対になっておりまして、まことに残念でございますので、御質問申し上げたいと思うのでありますが、この経済というものは、どうしてもいい面と悪い面が出てくるものでございます。したがって、お話伺っておりましても、いや、とても一割安値の目的などは達成できないだろう、こういうお話しでございまして、そうかと思うと、いや、近所業者が倒れてしまう。業者を倒して、そんな自由民主党かといってお叱りになる。影響がないものならば倒れもせぬであろうと私は思うのであります。また、何かこの需給対策あるいは流通対策には、政府しっかりやれと御激励になっておるのでありますが、そして、政府が手を出さないでだれが手を出すのだと、こうおっしゃるが、これは実は政府がそろっと少々ばかり手を出した案だと私は思う。いろいろ、長短もあり、利害得失もあり、むずかしいところを、まあこの辺でひとつやってみることが、ひいては消費者全体のためにもなり、流通機構を担当しておる人たちのためにもなるのではなかろうか。早い話が、たいへんな勢いでスーパーが進出しておりますが、この大企業、大資本の進出を野方図にまかしておいては業者は倒れるであろう。従来の業者は倒れてしまうのではないか。そうしておって、しかも消費者がそれだけよくなるかというと、そうはならぬであろう、大資本の利潤追求に持っていかれてしまう、こういう御心配をなさっておるのでありまして、その面からいうと、こういう政府資本で、一応小売り業者のもよりの方をたな子になってもらって、管理会という、これは中根さんおっしゃるように、ちと内容は実際よりもやかまし過ぎるというきらいも私もあると思うのですが、大家的な世話をやく、これは世話をするというと、とかく迷惑に思われたり、いろいろありますけれども、ひとつそうやっていこうということでですね、あれこれ考えて、ちょうどここらから手をつけていこう、こういうことで、ひいてはこれが流通合理化の端緒にもなり、業者近代化になっていかれるひとつのめどにもなる。おそらくこれはもう言葉をかえて言いますれば、業者に対する資本援助ですよ。設備援助なんです。したがって、それをかって気ままというわけにはまいりませんが、税金の金を使うのだから、やはり大家的な世話をやきますぞと、それだけは承知してくれと。そしてまたいま三巻さんのおっしょったような、運営の審議会のようなものもつくって、これはまた御希望のような配慮はぜひ必要だと私は思うのでありますが、そういうことでやっていこう、こういうような、たいへんこれは四方八方むずかしいところをここから切り開いていこうと、こういうわけでございますから、そうえらい効果も一ぺんには期待できないし、同時に、えらい影響をかぶるものも一ぺんには出てこない、こういうものだと私は思うのであります。私は、戦争中に非常に統制経済をやりましたので、それを自由に返す。自由に返すといってもなかなか一挙にはいかない。野菜や魚はまっ先にやりまして、相当自由に返したがための混乱もあって、あれはどうもひどいことをやりやがる。戦争中にはぴしゃっと商売をとめて、配給にしておいて、戦争が済んだら、自由だというので、おそらく大澤さんや中根さんは思われるのじゃないかと思います。しかし、根本は、一ぺんは自由に返さなければいけないということでやったのであります。そんなわけでございますから、与党内にも、いま増渕さんおっしゃったように、反対者もおります。しかし、これはいかなる政策でも与党内で異論がないことはございませんよ、これだけの大世帯ですもの。学問的にも、実際的にも、迷った意見の人は当然おります。やはり選挙地盤ですから、出ていくと相当のことも言うということは、これはもうしかたがないと私は思う。  そういうようなわけでございまして、私は質問というよりも、私の感想を述べまして、この感想に対してどのような御感想がわきましょうか。ひとつ増渕さんに伺ってみたいと思うわけでございます。
  54. 増渕操

    参考人(増渕操君) それでは私も、そのことばによりまして感想を申し上げますと、何か多少の犠牲はしかたがないじゃないかというようなことが何だかくんでとられるのでございます。そして、このたびのこの法案は、その市場改善問題にちょっと手を出したところだとおっしゃいますけれども、それにしては日本のこの最高の議決機関である機関の賢明の策とは私は思えません。賢明の策であるならば、こんなに世論に反対の起きるわけはないと思う。そしてほんとうに言っているように、一割安く売れるか売れないかわからないというような、そういうようなことを、政府が巨大な投資をして行なうということは、原始的な――やってみてまずかったというのじゃ、これではほんとうに原始的な政策である。いままで公設市場というようなものがいろいろ官僚によってできてきて、それがいつの間にかもやもやとなくなってしまって、また、あっても実にさびれている実態も見ております。公設市場でなくて高値市場だなんて悪口も言われていることも見たり聞いたりしております。そのような中にあって、また、これに類似といってはどうかと思いますが、政府が末端の小売りにこのような莫大な金を出して政策を施すという前に、もっと多くの小売り店が散在しているし、標準小売り店というものにもせっかく手を出したのでありますから、あの制度を強化拡充して、そうして多くの者が、私は多くの消費者が安く物が買えるように賢明な政策をお願いしたい、こう私たちは願うのでございます。そらして、先ほど賛成の立場から婦人団体はあげてこれに賛成をしているということばがございましたが、間違いのないように私申し上げますが、私も婦人団体の代表という肩書きできょうは出ております。自民党の議員として出ているのではございません。あくまでも消費者の代表でございます。そしてこの反対をしておりますのは、台東区婦人団体連合会、私の所属しております荒川区婦人団体連合会、足立区婦人団体連合会、葛飾区婦人団体連合会、江東区深川婦人団体連合会、北区婦人団体連合会、墨田区婦人団体連合会、日本婦人会議と、このような方々と私どもはいろいろと検討いたしました結果、この会をあげて反対しているのでございますから、その点お聞き間違いのないように、私から再度申し上げる次第でございます。
  55. 三巻秋子

    参考人(三巻秋子君) 標準店に融資したらばどうかとおっしゃいますが、標準店いやだいやだとおっしゃったのは、小売り商なんですね。だれもやり手がなくって、入ってくださいと大さわぎしているのが標準店でございますね。そこのところどうぞお間違いないように。  それから、いまるる各区の婦人団体をお指しになりましたが、私のほうもそれでは申し上げましょう。地域婦人団体全国七百万と称しております。主婦連合会称して七十万。私のほうはわずかでございますが、最近主婦連を独立いたしました会でございます。
  56. 田中啓一

    田中啓一君 お話の中に、実は一カ所の小売り市場で役職員が二十人いると、そういうことがお二方から出ておりました。  これは経済局長にお伺いしますが、一体、管理会は二十人も一カ所の市場で役職員を置くのでありますか。
  57. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 管理会はそういう人数を置くようにはなっておりません。管理会といたしましては、役員が七名でございまして、職員は全部で二十四名でございます。
  58. 田中啓一

    田中啓一君 管理会というのは、おそらく東京都で一つできるだろうと思うのですが、幾つできるのですか。
  59. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 管理会全国一本でございまして、それだけでございます。
  60. 田中啓一

    田中啓一君 そうすると、お二方から一カ所二十人という話が出ましたが、どこから出たのでございましょうかね。
  61. 三巻秋子

    参考人(三巻秋子君) 管理会そのものは本部に一つできるという話は聞いておりますが、あと市場ごとに小委員会ができるということを私は聞いております。
  62. 増渕操

    参考人(増渕操君) その各地域の市場ごとに十七人くらいの職員がいて、レジスターのようなものもその職員が行なうのだというようなことを私は聞いております。
  63. 田中啓一

    田中啓一君 これは事実問題でございますから、これはお互いに水かけ論をしては何にもなりませんので、いまのレジスターの話などは、別段参考人がお述べになったわけではございませんが、何か共同的な、協同組合的な経営もするやのように私も心得ておりますので、その業者が共同的にやれるような部分には、共通の職員を雇ってというようなことも考えられないわけではない、各店ごとに従業員がいることももちろん考えられる、大部分はその店ごとの従業員でございますが、共通のものというものもないとも限りますまい。そこで、私はどうも論点は、一市場というものは、小売りの方々生鮮食料品で十軒なり、二十軒なりある、こら考えまして、そこごとに管理会の職員が二十人いるというのじゃない、これは私が一番昔から頭痛の種にしている中央卸売り市場のようなもので、ここは東京都の職員がたいへんたくさんにおられる。それからまた、各卸売り市場にはもちろん商売ですから、たくさんの従業員がなければならぬ、たいへんに私は人が多過ぎる、もう東京都は大家さんだけでいいのではないか、こう私は思うくらいなんであります。ところが、いろいろ報告書とったり何か、実に事務が多い、どうもむだなことじゃないかという気がしておりますので、そんなことを管理会でやられては私もたまらぬと思うのだ、二十人も一市場に職員をお置きになるということは、そこはやめてもらわなければ、そんなことしてはいかぬと私は思うのだね、そこをはっきりここでやっていただきたい。
  64. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 先ほど増渕さんおっしゃったが、管理会ではなくて、管理会のほうは先ほど言いましたように、全国一つでございまして、役員が七三、職員が二十四名という編成で考えております。おそらくただいまお話のございましたのは、ある総合市場、一市場にお入りになった経営の主体でございますね。管理会ではなくて、そこにお入りになった方たちの幹部をおっしゃったのではないかと思います。
  65. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 いろいろ、そうだとか、そうじゃないとかということですが、私はこら思うのですが、とにかく現状というものを改革しようとするときにはたいへんむずかしい問題がいろいろ出てくるものであると私は思うのです。このくらいむずかしいものはないと思うんですよ。そこで、基本的に言いますと、この法案でも、あるいは物価の安定をするという立場に立っても、やはり生産者、卸売り業者、あるいは何かというと小売りを通じた一連の流通機構というものの改革がないと、小売り業者だけで、あるいは総合的な小売りの、スーパーと言われておりますが、この法案だけですべてを律しようということは、非常に私は困難である。やはり問題もあると思うのです。どこから、手をつけなければならないという観点から、こういう企画をしてやっていこうとすること、それ自体は合理化をはかり、近代化をはかろうとする趣旨にある。しかし、そのことがそのとおりに行くかどうかということだが、基本的にわれわれが考えておりますることは、参考人の、ことに増渕参考人の御発言になりました中で、若干私は違っていると思うのであります。それはいずれまた国会で、それぞれの立場で説明を聞き、発言をし、あるいは政府の意図するところをもっと率直に聞く機会もありましょうから、私は参考人が言われたことがいいとか悪いとかということを申し上げるわけではございませんが、いまの管理会の問題でも、あるいは二十人、四十人とおっしゃいましたが、私は、管理会は、いま経済局長がお話になりましたように、二十四名である、二十四名で、そのうち役員というものが、理事長が一人、常任理事が二人、非常勤が三人、監事が一人でございますから、まあ大体常任の役員は四人、それに従業員というものが十七人つく、合計では二十四名だが、非常勤が三名おりますから、三十一人が管理会の人員である、こういうふうに理解をすることが一番政府の意図としては正しい。しかし、そのことについての派生的ないろいろの問題があることは私も慰めます。そこでもう一つ、この管理会の給与はとにかくその小売業者から払わなければならぬというお話があったと思うのでございますが、そうではないと私は心得ておる。これは運用益で、運用益と申しますのは、私は政府の代弁をするようでまことに恐縮なんですけれども、補助金が一億五千万円ずつ国と都が出していく。大体三億出すのだと思っておる、私の記憶では。そうして出資金というのはたしか一億二千万であったかと思いますが、一億二千万程度である。それを地方と国とが出していく。二億四千万程度は。そういうものがつまり借り入れ金でなしに、補助金、出資金で出ているから、その運用益でこの二十何人というものをまかなおうとするので、小売り業者が入ってきた人のピンはねをするのじゃないというふうに御理解いただくのが正しいのじゃなかろうかと思うのでございます。  もう一つは、周囲の者を見殺しにする法案である、こうおっしゃいますが、私は周囲の五百メートル範囲ぐらいの人たちを収容して、そしてその周囲の人がそのことによって打撃を受けるということがございまするならば、どうして打撃を受けるかということの究明をすることにおいて、小売業というものの正常化が行なわれ、また、もしそれに入れないということによって起こる不利益は、中小企業の高度化資金というようなものを考えて救済をしようという考えがあるということも、御了承をいただいておかぬといかぬと思うのであります。もう一つは、モデルとしての構造改善と言えるのでございまして、その以外の、いわゆるそこの小売り総合店にお入りになって、加入をされ、そこで業を憎む人はそうでございますが、その外の人に対して類を及ぼすということは、これは価格の問題でたいへん迷惑をするじゃないかとおっしゃるんですが、もし迷惑をするというようなことがございましたら、そのスーパーマーケットというのは威力を発揮したことになるわけでございまして、私はそれ自体が、いわゆる消費者利益になる、こういうふうに理解をいたします。そのために、もし不利益が起こってくるんであるといいましても、そのモデル総合小売り店で売りまする価格は影響はいたしましょうが、それをマル公として、おまえらもそうしなきゃならぬという強制力はないので、そうしてみるというと、そこで行なわれる価格が安くて、消費者が喜ぶということなら、それが合理化であり、近代化ではないかというふうに考えておるのでございます。私は、そういうことで、そうじゃないんだ、おまえの言うことは違うんだということでございますれば別でございますが、ただお話の中に、少しそういう点で御理解の薄い点があったのではなかろうかと思いまするので、私の意見を申し述べたのでございます。もしそうじゃないということがございますれば、御反駁を願いたいと思うのでございます。
  66. 増渕操

    参考人(増渕操君) ただいまの御意見を伺っておりますと、ほんとうにこの法案目的に掲げているとおりの説明でございまして、まことにそのとおりということが実際に行なわれるかどうかということは、先ほど私が申し述べたとおりである。で、このお隣にいらっしゃる方も、一割安値ということはとうていできないんじゃないかと、実際その衝に当たっている方も言われているとおりである。それともう一つは、その辺のものが、私は高い、安いということは度外視して、官営スーパーであるというような魅力です。官僚崇拝ということは、これは日本の国の慣習でございますから、そういうような魅力を感ずる人もなきにしもあらずでございます。そのようなことで、そこへ集中するということにおいて、ただいまの、この交通状況をお考えになっているかどうかということでございます。まさかこういうものをつくるのに、町はずれの人家のないところにつくるわけはないと思う。中心地、そして人の買いやすいところ、これはもう、そうすると繁華街にできる。何か環状線云々というようなことも、私何かの参考書類に見たような気もいたします。そうすると、ただいまの交通状況、そして毎日何人か、その交通事故によって死んだ者の数が出ている。そういうような交通、殺気立った交通状況下においてこのようなものができた場合に、主婦がこれによって事故が発生……、子供を連れて買いに行くというような場合のことをお考えになっておられるかどうか、それからまた先ほど私が申し上げたように、遠隔の地において、乗り物を使ったり、また乗り物も使えない、ほんとうに食事の寸前まで仕事をしていて、かけつけるというような主婦がたくさんある。そういうようなことが、まあ大多数の家庭であるということも、日本の現在の生活状況ということも相当考慮しなけりゃいけない。アメリカの、先ほど申し上げたように、高度成長している経済機構に追いつくことは、日本の生活を豊かにすることであるというようなことには限らないことだと、私は先ほど申し上げたとおりである、この交通状況の問題をどうするか、子供を連れて買いに行く主婦のこの苦労をどのように考えているか、その点をひとつお聞きしたいと思っております。
  67. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私は説明役ではございませんから申し上げるわけにはまいりませんが、それだけ小売りスーパーに人が集まってきて、交通が逼迫して通れなくなるというほどの繁盛をするならば、私はすべてのこの目的が達せられるのであって、むしろ交通緩和は別な方法ではかることができ得る現象ではないかと思う、交通がひんぱんになるから、ものが安定するということを阻止しなければならぬという理由はさらさらないと思う、それはたいへんおそろしいことであります。しかし、別な方法でまたなし得る方法がある、これは人がたいへん寄ってくるかもしれない、寄ってきて安く光れば、あるいは安定すれば、人が来ることを心配するということではなくて、その人が来ることを願い、あわせてそれを解決する方法を別途講ずるものであり、また、この店をつくるときに、そういうことを考慮しながらつくるという一つ方法もあろうと思うのでございます。私はもう少しお話し申し上げたいのですが、ちょっと用がございまして、時間がないから出ていかなければならないので、御無礼を申し上げます。
  68. 増渕操

    参考人(増渕操君) ただいまのことばを聞きまして、これは交通は別な問題だと、しかしながら、私はこの国の最高機関としては、交通の問題とか、先ほど私が一言言いましたけれども、少年の不良化防止ということで、スーパーマーケットについて、この混乱にまぎれて万引きをするような子供たちができてはならないということも、私たち消費者、ことに主婦の不安どする点であります。そのような総合政策の上に立って、このようなことを考えて、賢明な策を立ててくださるように私は重ねてお願いするものです。
  69. 矢山有作

    ○矢山有作君 一つ二つ、三巻参考人にお聞きしたいのですが、お聞きする前に、私は参議院の名誉のためにも一応申し上げておきたいことがある、それは、われわれ参議院の者は、決して一部の業者反対でこの法案の審議を今日まで持ち続けておるのではないということです。そのことだけは十分ひとつ御理解願っておきます。特に、先ほどおっしゃっておりましたが、都議会において反対の決議をしようという空気がある、さらに、区会で反対をされて、それが決議になって出ておるというお話も聞きました。同時に、与党の有力者が大会に出ていって、この管理会法案反対の演説をぶたれたという話もありました。私は、われわれ社会党の立場に立って申し上げますならば、公党の一員として大衆の集会に出て行く場合に、党の方針と反したような演説はわれわれは絶対いたしません。そういう点も含めて、われわれの審議が今日まで遷延していることは、決して審議引き延ばしということや、あるいは業者の一部の反対で都民の利益を無視しているということではないのだということだけは十分御理解願っておきたいと思うのです。私どもは、真に消費者物価の安定を願うし、まして、いわんや消費者の生活安定を願うし、それと同時に、中小企業者の方の経営の安定を願う、そういう熱意からして、この法案がはたして目的としておるような消費者価格安定対策について真の効果があるのかどうか、やってみたら何らの効果はなかったということになったんでは、国民の貴重な税金を使ってやるんですから、これはたいへんだということで、慎重に審議をしているわけです。  そこで、私がまず第一点お聞きしたいのは、三巻さんの議論を終始聞いておりますというと、よくお調べになっております。私もそのお調べになったことには敬意を表しますが、要するに、つづまるところは、総合的な物価対策が現在の政府に欠けておるんじゃないかということを中心お話をお進めになったと思う。その中で、特に生産対策ができておらぬということ、たとえば、その例として天候をあげられましたが、ただ単に、生産の不安定ということは、自然条件である天候の問題だけでありません。これはわが国の農産物に対する価格安定対策が実に不十分であるというところからして、この生産の不安定という問題も起こってきておる。ところが、その出産安定対策というものも、なるほど政府では一部手をつけておるでしょう。しかし、その効果が上がってないということはあなたが御指摘になったとおり。同時にもう一つは、流通機構の整備の問題について、あなたは中央卸売り市場の問題にお触れになりました。ところが、なるほど手数料の引き下げその他ちょろりと手をつけたかの感じは国民に与えております。しかし、それが流通機構、特に中央卸売り市場等の問題を根本的に解決するような対策でない、そのことのために、これまた流通機構改善が効果があがっておらないという点は、あなたの御指摘になるとおりです。そうすれば、ほんとうに消費者価格を安定させようと思うならば、あなたのお話は、やはり生産対策の確立と流通機構の徹底的な整備ということがまず前提条件として必要なんじゃないかと、そういうところにあなたのお話の重点はあったと思うのです。その中で、副次的にこの管理会法に関連する御意見が出たと思うのですが、その点は、私はそういうふうにあなたのお話を理解してよろしゅうございますか。
  70. 三巻秋子

    参考人(三巻秋子君) 私は消費者でございますので、あくまでも消費者保護対策というものを熱望しているものでございます。いままで根本対策がないではないかということなどに対しましては、るる先ほどから申し述べたとおりでございますが、市場の整備拡充などは、東京都においてはもはやこれにそろそろ手をつけているということを聞いておりますし、私もその審議の過程の中に入ったものでございます。そういうように生産対策につきましては、豚におきましても、タマネギにおきましても、あるいは今度は牛乳の不足払いにいたしましても、すべて農家保護対策というものを徐々にやっております。それが私にとりましては、ほんとうの消費者保護対策かということを、国民生活の安定ということがカムフラージュされているとさえ思うのでございますが、しかしそれが、将来需給の安定に大きな貢献をなすというところに視野を大きく求めて、私はそれを認めているのでございます。それだけに消費者、農家保護対策というものもあるということを言い、そういう市場対策というものも細々ながら包装の整備改善とか輸送の面についての努力はいたしておりますが、そういう小売商法案とともにすべてが並行してやってほしいということを意味したものでございまして、いまの矢山委員の、ただそこのところだけであとは認めないという意味ではございません。
  71. 矢山有作

    ○矢山有作君 ちょっと私のことばがあるいは足らなかったかもしれませんが、私が申し上げたのは、総合的な物価対策という点にあなたが問題の焦点を合わされて、その中で特に生産対策流通機構対策等が重要であるということを強調されて、それからこの管理会法に関する問題に触れられたんでしょう。
  72. 三巻秋子

    参考人(三巻秋子君) いいえ、そうじゃございません。徐々に順を追って、政府のなしてきた順序を追って私は話したつもりでございます。
  73. 矢山有作

    ○矢山有作君 それでは、私からこういうことを申し上げては、参考人で来ていただいてまことに失礼だとは思いますが、あなたは非常によく牛乳の価格状況、豚肉の価格状況等については御存じのはずです。したがって、実際に消費者価格が非常に高くなったり安くなったりする原因がどこにあるかということについて、もう少し現在の政府のやっておる生産対策というものを御検討いただきたい。さらに、流通機構対策になるほど手はつけておられますが、これについてももう少し御検討をいただいて、あなたは婦人を代表されていると言われましたが、非常に重要な位置にあられて、そうして重要なお仕事をなさっておるのですから、現在の実態というものを正しく把握された上で、いわゆる消費者教育というものをおやりにならぬと実効があがらないということを私は心配するわけです。私がその点で申し上げたいのは、一番大切なことは、末端の小売り段階だけをいらうことでは問題は解決つかないということ、まず生産の不安定性をいかにしてなくするか、このことが一番です。その次の問題は、あなたが指摘されたような流通機構の矛盾をいかにして徹底的に究明をしてこれをなくするか、その政府の強い態度、思い切った態度がこの消費者価格安定対策中心であるということを申し上げて、私は終わりたいと思います。
  74. 三巻秋子

    参考人(三巻秋子君) 私が出ております委員会で、矢山さんも御一緒でございますためによく御存じだと思いますが、私もいまのおことばを聞きまして、生産安定対策とおっしゃいますならば、ほかの面で、生産対策というものはこの委員会でも相当ほかの問題としてあるのでございます。あくまでもここは消費者保護的な中小企業対策の法律だということを私は頭に置いております。  牛乳の問題に触れましたので、私はお答えいたしますが、自分たち生産から消費を直結いたしましたその十円牛乳も、いろいろとその当時は農家からの要求でこれを始めたのでございますが、いざ始めてみると、農家が私たちに対して、十円で頭を押えられているからそういうことはやめてくれというような反発さえ受けました。しかし、これは流通機構の一番ガンである小売り商対策に対して何らか合理化する配達方法はないものかというので、現に店頭販売のほうは二円下げて、自宅に配達を待っている人たちには十六円、それで店に買いに来る人は十四円という二円の差を設けて合理化しております。それだけに消費者価格安定のために尽くしておるつもりでございますので、どうぞ御了承願います。
  75. 矢山有作

    ○矢山有作君 具体的な話が出ましたので、具体的なことを例にお話し申し上げたほうが一番よくわかると思いますが、きょうは対論会ではありませんので、そういう形に話がなるとぐあいが悪いから、私はこの話もうやめようと思ったのです。
  76. 三巻秋子

    参考人(三巻秋子君) 失礼いたしました。
  77. 矢山有作

    ○矢山有作君 しかし、あなたのほうがそうおっしゃいましたから、一言だけ申し上げておきます。なぜ末端の牛乳の消費者価格が、農家の手取りは四割に足らない、ですから三倍になっておるわけですね。なぜ三倍になるのか、しかも四割に足らない酪農家の手取りの中で、日本酪農はまさに滅亡に瀕しておるのですよ、現在。その原因はどこにあるのか、これをまず検討しなければならないわけですね。しかも生産者価格はそんなに低いのに、なぜ小売り段階で値段が高くなるのか、その場合にいろいろの問題があるわけです。集送乳路線の混乱しておる問題、大メーカーの加工経費の問題、あるいは設備投資が過剰になっておる問題、いろいろな問題がからみ合っておるわけです。そうして中間の経費が非常に高くついておる、こういう問題がありますので、もうこれ以上あなたと討論する必要はありませんから、よくひとつ研究してください。
  78. 仲原善一

    委員長仲原善一君) それでは質疑をお願いいたします。
  79. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 三巻秋子さんにお尋ねしたいのですがね、あなたのさっきのお話、ほんとうに実際体験された価格だろうと私は信じておるのです。先ほどおっしゃったように、卸値で六円で、小売りで十六円じゃないか、これが問題なんです。その問題の焦点をどこに合わすかということですな、これが一番問題だと思うのです、私は。そうすると、ここに政府が図案を出しておるのです。図案を。生産者から、生産、仲買人がおって、そして出荷組合というものがあって、それから卸売り業者に行くわけです。そうですね。この卸売り業者から、今度は大口消費者に行くときもある、仲買い人に行くときもある、直接今度は小売り商人のせりもありますな。そうして小売り販売店では、先ほどもおっしゃるように三割ぐらいの見当で皆大体販売をされているわけです。三割ぐらいなければ生活ができないですから、小売り商店は三割かけているのだろうと思うのです。そうなってくると、いま政府考えておるこの市場をかりに実施したとしますならば、一割安くか、少なくとも五分安くならなければこれは買いに来ませんよ。先ほどからおっしゃいますような問題もありましょうし、また、日本の零細な生活をしておられる方は、夕食のものをその日お買いになる。アメリカやスイスなんかと違うのですよ。冷蔵庫があって、一週間分を買いに行くというのと違うのです。私もだいぶアメリカもスイスも見に行きましたが、違うのですよ。そういう商店は安いから買いに行くだろう、こらおっしゃるけれども、変わらなければ買いに行かないのですよ。そこで、膨大な金を政府が出して、二十カ所つくって、実際に潤うものは何人かというと、二十軒ずついれると四百人の業者が潤うわけです。かりに平等に売ったとしても、同じ値段で売ったとしても、それは近所の近くの方が、汚い店舗で買うよりも、冷蔵庫がちゃんとあって、そりゃそこに買いに行くでしょう。そうすると、そこで疲弊する店もありましょう。せっかくの税金を注ぎ込んでやるならばもっとほかに方法はないのか。先ほど矢山さんが言われたように、流通機構改善にもメスをどこかに入れなければいかぬのじゃないか。あるいはその地域におけるいわゆる魚の販売店が二十軒あるならば、それに何か投資をする方法もあるんじゃないか。この方法だけが、政府が多くの税金を出して解決のつくという問題ではないのではないかというところに、この問題が参議院で審議になって今日まで継続してきておるわけです。したがって、これは賛成ということにならない要素をたくさん含むと同時に、これではいわゆる中小業者の方もお困りであろうし、決してものが安くなるというめどのつく見通しは全然立ってないんじゃないか。ここに大きな問題の焦点があろうと私たち考えておるのです。あなたがこれを賛成とおっしゃるならば、それは完全に効果があるんだ、こうお考えになっておるのだろうと思いますが、その点どうお考えになっておるか。
  80. 三巻秋子

    参考人(三巻秋子君) それはできてみないことには、どういうことか私にも、千里眼ではございませんのでわかりませんが、アメリカの例を出していろいろおっしゃいますが、私も失礼ながらアメリカから世界を歩いてまいりましたので、その点は全部知っておるつもりでございます。消費者も、ある程度ものの値段につきましては敏感でございますので、安くならなければ集まらないものでございまして、それほどばかでもございません。しかし、いまの二十軒の店舗ということで、あとの漏れたものはどうするかとおっしゃいますが、それについては、私の漏れ聞きますところによりますと、漏れた人たちには、中小企業近代化のほうの融資を受けて、幾つかが一緒になって早く大きくなってくださいという道を講じますということを聞いておりますので、それで納得しておりますが、いかがですか。
  81. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それはそのとおりです。おっしゃるとおりですよ。しかし、それを先にやるべきじゃないか。官庁がそういう官僚制度のもとにこういうマーケットをつくるよりも、まず、それを促進すべきじゃないかということのほうが先決である。両方がいいじゃないか。標準店をつくってみたけれども、これもあかんわけです。あなたも指摘されているように、標準店をつくってみたが、これもだめだった。そうすると、こんどは多額の税金を出して、一つのマーケットをつくろう。それで潤う人は、わずか二十カ所つくれば、二十軒入れば皆さん御承知のように四百軒の人が入るわけです。そうなってきますと、そういう、一方におっしゃるように、近代化資金が借りられる窓口というものが前からできているわけです。そのほうの督促をまずやって、どうしてもそれができないということであるならば、これはあなたのおっしゃるように、やってみなければわからぬことだが、やってみない先から可能性が薄いと思うのです。私たちは、これは無理ではないか、こう考えているのです。ここに問題の焦点があろうと思う。
  82. 三巻秋子

    参考人(三巻秋子君) 中小企業近代化については、通産省はじめ農林省と、これから先大いに御検討くだされば私はいいと思います。  それから三割云々でございますが、これは現に標準店としての利潤は、三割ないし三割一分をかけるものをということにきまっております。先ほど申しましたように、全部何でもかんでも三割かけた値段にするのが標準の価格でございます。  それから、たったこればかりできて、影響力はないじゃないかとおっしゃる向にもあるかもわかりませんが、私たちは、一つできることによりまして、その周辺の値段がそれによって合理化されていくというところに望みをかけているものでございますので、わずかながらも、物価安定対策一つとしてどうしても実施していただきたいという要求で、その少しのものについても、あとの影響力を大きく買っているものでございます。
  83. 仲原善一

    委員長仲原善一君) では、関連して大澤参考人
  84. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) 御遠慮していたかったのですけれども、標準店の問題でだいぶ触れていますから、一言御了承を得ておきたい、こう思うのです。  私も青果物のほうの商売ですけれども青果物以外は消費者ですから、それが安く売れる、安く買えるということは反対しませんよ、ほんとのところ。ただ、三巻さんにはさからいたくないのです、お得意さんですから。この人にはあまり買ってもらえないかもしれません。三巻さんには買ってもらえないかもしれませんが、三巻さんの率いている婦人団体の各位には、絶対的のお引き立てをあずかっております。それで一万人の小売り商が生きていかれるわけです。その大事なお得意さんを代表する方にここでさからうと、その結果がどうなるかぐらいのことはよく承知しております。私は三巻さんの一々言うことが多少気にくわなくても、脱線していても、私はさからいたくないということを前提にして申し上げます。  標準店、なるほど二千軒ばかりでございます。そのうち魚屋さんが七百軒くらいですか、青果のほうが千三百軒ほどありますか、たしかそのくらいあると思います。最初はそんなになかったのですが、だんだんふえてきたのです。まあ思ったよりは消費者に歓迎されない向きもありますけれども、歓迎されなかったならば繁盛しないだろうか、こういう問題です。けっこう繁盛していますよ。年々成績を上げて、そうしてこの間は、三十周年記念かな、東京都の。あのときに都知事から表彰されたのです、特にいい者は。ですから、標準店であるからといって、全部が悪いのじゃない。相当やはり成績を上げて、消費者から歓迎されている向きがたくさんあるのだということは御承知おきを願います。  ただ、価格の決定の問題ですが、これが、東京中央市場が約二十ほどある。その市場によって入荷の多いときと少ないときがある。そうすると、東京で、公定価格じゃありませんから相場が違うわけです。同じ品物でも相場が違う。ところが、価格の決定は、そこの個々の市場卸売り価格を基本にして、そうして都の代表者が中心になって、卸、仲買い、小売り、それらの団体の者が集まって、そうして、きょうはこういう相場だから、小売り価格幾らが適当かということできまるわけです。ですから、神田の市場とどこか場末の市場とは、相場が毎日違うのです。これは私こまかにいろいろ調べていますから、違うのです。ですから、地域によっては相当差のあるところもできます。  それから、もう一つは、東京一円を全部消費者が同じようにお考えになることは、これはもう間違っています。銀座通りのような、買い物に行くのに着物を着かえてそうして買いに行くようなところなら、ぜいたくなものが幾らでも売れるのです、値段にかかわらず高く。ところがその反面、ドヤ街のようなところであるとか、あるいは零細な消費者がいるというところにいきますと、反対です。安くなくちゃ売れない。安いというものは幾らか品物が悪いもの、下ものですから、そういうようなものを買っていって、そうして商売をしなければ立ちゆかない。ことに東京では橋一つ、電車通り一本の向こう側とこっち側と、消費者状況が違うのです。団地もあります。それからまた繁華街もあります。下町と山の手では消費状況が違うのです。団地のお客さんなんかはわりあいに新しい人が多いですから、理解が多いのです。けれども、これは人数が少ない。小さな間借りをしている。そんなところへ持っていって、キャベツ一つ買ってくれと持っていっても買いません、四つ五つに割らなくちゃ。ダイコンも四つ切りの一切れ。これは消費条件がそういうものですから、そういうぐあいにめんどうを見てやらなければ商売にならない。はなはだしいのはノリ。ノリは御承知のとおり十枚。それを十枚買い切れないから二枚売ってくれ、上っかわの二枚売ってごらんなさい。あとの八枚穴だらけで売り物にならない。そこで、自分のところで食べてしまう。ノリは、はしたで売ったのでは損がいくということがあります。そういうようなぐあいで、みんな消費条件が違いますから、そこで、そういう方面の地区に商売をしておる人たち消費者の気持をよくわかっておりますから、その消費状況に当てはまるような品物を自分で買ってきて、そうして販売をしておる。こういう点をひとつ御認識を願いたい。どこも一緒じゃないのです、都民。そういうことをひとつよく認識していただきたい。何だか蔬菜が高いものですから、ややもすると蔬菜販売人は悪人のような声が聞こえるのです、私には。こんな正直な者はありません。朝早くから起きて夜おそくまで、あんな働く商売人はないでしょう。おそらくないじゃないですか。さっき暖房の話もありましたけれども、とても暖房の前にすわって小売り屋がやっておるのは一軒もありません。ですから、あんなに働く階級はないのですから、百姓の次でしょう。そういうようなことで、わずかな利潤でやっております。  それから三割というお話があったけれども、三割というものは最高の利潤ですよ。どこでもここでも三割なんかで売ってやしません。ことに小売りはいま配給制度じゃないんですから、自由なんですから、標準店であろうが標準店でなかろうが、あそこのうちは不勉強だ、高いということになれば買いに来ないです、お客さんが。買いに来て、繁盛をしておるわけですから、その点もひとつよく御認識を願いたいと思う、配給制度ならいやもおうもありませんけれども、自由ですから、不勉強でやったらどんどんつぶれてしまう。また、そういうところに無理に買いに行ってくださいということはお願いしません。お客さんに気にいらないものは倒れてもしかたがない。こういうぐあいに私ども指導いたしております。  それから、さっき価格の安定策というお話がありましたが、これは私ぜひやってもらいたい。それでさっき私お願いした。生産から出荷輸送流通、これが水道の流れのようにずっといくようにしてもらいたい。流通だけいじめてもだめです、もとのほうが改まっていなければ。ですから、生産のほうもうまくいくように、出荷統制されてうまくいくように、それから今度は輸送のほうもうまくいくように、それから流通もうまくいくように、これならば皆さんの気にいったような販売ができるのじゃないかと思う。この点をひとつ特にお願いをしておくのです。この間、ぼくは名神国道ですか、りっぱな道路でびっくりしました。行ってみた。日本にこんなりっぱな道路ができたのか。ぼくも欧米に二回行ってきましたけれども、実際道路は日本と比較になりません。しかし、今度あの名神国道や立体道路を見ていますと、だんだんアメリカに近くなってきました。けれども、あんなりっぱな道路ができても、中途に一つ橋がある、古い橋が、昔の古い橋が。それが直っていなければ、そこでもってみんなつかえてしまうのです。その橋が完全になれば、水道の水じゃないが、流れのようにいくわけです。ですから、あるところだけを直してもこれはしかたがないのですから、ぜひ生産から出荷輸送流通と、うまく流れてずっといくようにしていただけば、皆さんにお小言を受けるようなことはないのじゃないか。零細は零細業者として一生懸命やっておる。私はもう、三巻さん御存じですが、スーパーができようが何ができてもそんなの驚くことはない。われわれ専門家だから、それだから消費者本位の商売をして、そして何でも戦っていくのだと、こういうことですよ。一万人の小売り商の中で一千人か一千三百人が標準店で繁盛して、あとに残る八割、九割の人間が食っていくことができない、倒産するといったら、われわれはうっちゃっておくことができない。標準店を目標に競争しろというのですよ。負けないようにしっかりやれ。ですからつぶれません。標準店ができてもその覚悟ですから、どうぞ御承知願います。
  85. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 北村君、一問だけ。
  86. 北村暢

    ○北村暢君 先ほど何か堀本さんのところと田中さんのところで、管理会の人員について、増渕さんの意見が間違っておるような意見がありましたが、なるほど管理会の職員は、本部の職員は二十何名か、三十一名か、役員を入れてですけれども、これはやはり法の二十二条でもって「当該小売業に係る業務の一部を行なうこと」といっており、共同計算をやったりなんかする職員はやはり市場に置くことができる。こういう職員がやはり入ってくるのですよ。それは管理会の三十名以外にいるんだ。したがって、それが間違われているんじゃないかと思うのですね。したがって、増渕さんの言ったのは認識違いでも何でもないと思うのです。  それから一つだけお伺いしておきたいのは、いま三巻さんも言われたように、 スーパースーパーとしてモデル的にやり、それ以外については、金を貸してやって近代化をやっていくのだ、こういうことなんですが、一体、私はお伺いしたいのですけれども大澤さんと中根さんにお伺いしたいのです。ということは、この法案が通るにあたって、なかなかうまいことを言われておるのですよ。この法案を通すために、ひとつあなた方も業界の代表なんだから、低利の資金あるいは無利子の資金等を融資してあげる。そうなんだからひとつ賛成してくれないか、こういうことを言われているだろうと思うのですよ。したがって、私は、いま農林省考えていること、農林省はそういう金、中小企業に貸す金というのは大体持っていない。通産省が持っている。通産省の中小企業庁がこれの近代化資金なり何なり持っている。所管しているわけですね。ですから、そういう近代化資金なり何なりが大体業種別にいろいろあるのですけれども、お魚屋さんなり青果業者に、どういう条件で、利子は幾らでどのくらいで貸してやるというようなことを、どのくらいの額を貸そう。都内の一万軒以上ある中小企業ですから、そういう人に近代化する金を貸してあげると、こういうのだから、どのくらいのものをどういう条件で貸すと、こういうふうに言われているか。私の聞いておるところでは、どうも皆さんにしゃべっていることと私どもに説明することと、農林省の言っていることが違うようです。非常にいい条件で金を貸してやる、したがって、賛成せよ、こう言っているように聞いておるのですけれども大澤さんと中根さんに、入る人以外の小売り店の近代化のために、融資という話はどういうふうに伝わっているか、あなた方はどういうふうに理解しているか、これをお伺いしたいと思います。
  87. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 最初に大澤参考人
  88. 大澤常太郎

    参考人大澤常太郎君) さっき申し上げたように、実は小管法にはいま全国小売り商反対しておりますから、だから和戦両用のかまえでいくことは、ちょっといまの立場だとまずいから申し上げたくないのですが、ほんとの腹だけ申し上げますと、やはり借りたい。そういう場合に借りたい。いままでの中小企業資金というものは貸してやる、貸してやるというけれども利用者が少ないのです。というのは条件がむずかしい。さっき中根さんから話がありましたが、窓口が手数がかかって、忙しい業者にはなかなか手続がとれない。それがために、せっかくの予算を取ったのですから貸さなければならないというので、中には零細業者にあらざる業者がいろいろな条件に服従できますから、それでこれを利用しておるという状況があるのです。この間、東京都の経済局長の話を聞きましたが、それでは目的達成にならないから、今度こそはほんとの零細業者が利用のできるような、借りられるような方針で資金の金融をすることにしますよという話を聞きました。そういうことにぜひお願いをいたしたい。さっき私は店舗改造のことを申し上げましたが、千九百何十軒で約十五億使いましたよ、八百屋のほうは。そのうち手持ちの資金でやった人と、それから私のほうの信用組合で貸したのが三分の一ですね。けれども、あまりいまの中小企業のほうのごやっかいにならなかった、これは中から以上の人ですから。いまやっているのは中から以下の人をやっているのですから、この中から以下の人はぜひひとつ利用さしていただけるような……そんなでかいことを言いませんよ、家を建てるのではありませんから。ですが、いまの物価ですから、四、五十万ぐらいの金がなければ店も直せませんし、冷凍機を一台買っても何十万もしますから。ですから、少なくとも百万円ぐらいの金を貸してもらいたい。狭い店には二階をつくって、二階に全部上げちゃって、店をできるだけ広くして、まだ余裕があるならば関連商品――魚屋さんに入ってもらって、肉屋も入ってもらって、小型の総合食品ですね、そういう考えを持っていますから、ぜひ金融のほうは実現するようにお願いをしていただきたいと思います。
  89. 中根長吉

    参考人中根長吉君) 実はわれわれ魚商組合のほうとしましては、全国的にそういう決議をしたのです。これは三、四年前から、われわれ業界としては店舗改善に対する融資をしてくれということは再三願ったわけであります。それで幸いにそういう問題の口があくのじゃないかということをいま考えておりますが、大体におきましてわれわれ魚屋という商売は、こういうような総合小売り商の問題、ことに流通機構の問題になりますと農林省の管轄、それから今度衛生設備になりますと厚生省、それからお金を借りるということになると通産省ですから、そういうようなややこしいような、まま子のようなものはなかなか金は借りられないのです。ですから、どうか参議院の諸先生方は、魚というものを扱っているのだから、これは農林省一本でいけ、それで農林省の窓口で貸してやる。それから商人であるから通産省一本でやれ、こういうふうに完全なものをきめてもらわなければ、われわれとしてはいま言ったとおり非常に困っているのです。ですから、何かいいものがあればそれに飛びつきたいという感じがあるわけです。どうかそういう点を十分にお考え願って、われわれ業界というものは農林省なら農林省、厚生省なら厚生省、通産省なら通産省と一本化にしていただかなければわれわれは非常に困るということを言っておきたいと思います。
  90. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 以上で、午前中の参考人の質疑は全部終了いたしました。  参考人方々に申し上げます。本日は、御多忙中のところ長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴できましたことを厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。  これをもって、午前中の委員会は暫時休憩いたします。    午後一時六分休憩      ―――――・―――――    午後二時十七分開会
  91. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、食料品総合小売市場管理会法案を議題とし、参考人方々の御意見を拝聴することにいたします。  参考人方々におかれましては、御多忙中のところ御出席をいただき、厚くお礼を申し上げます。時間の都合上お一人十五分程度で御意見をお述べいただきたいと存じます。  では、まず老川参考人からお願いいたします。
  92. 老川浩正

    参考人(老川浩正君) このたび食料品総合小売市場管理会法案の審議にあたりまして、われわれ業界反対意見を尊重されまして、発言の場をお与えくださいましたことに対し、心から、この席をおかりいたしまして感謝の意を表する次第でございます。  そこで私は、まず国民の代表である参議院議員の各位に対し、この場から、声を大にして管理会法案に対しては絶対反対であると絶叫いたします。同時に即刻撤廃するようにと強くお願いするものであります。  もちろん鮎川義介総裁の中政連をはじめとし、山田泰吉会長の全商連、特に中野喜介会長の都商連など、加えて竹内藤七会長の全国食肉など、食料品関係を含めた全国の中小企業者が、あげて私と同意見であり、同様に反対を唱えておりますことをはっきりと申し述べておきます。  さて、最近の国会審議の様子では、消費者物価の上昇が続いているその責任が、いかにも小売り業者の大幅なマージンの獲得に起因するかのように見ている節があり、政府の答弁に耳を傾けていると、随所にそれを裏書きするかのような実態を把握しない発言がなされております。そのような政府の答弁に対しては、小売り業界としては納得がいきませんから、あと反対の理由を明確に申し述べながら、国民の前で、その実態を知らしめ、政府当局の再考を促したいと考えております。  再考を促すにあたって、物価上昇の根源並びにその要因は、国民の皆さんがすでに御承知のごとく、ここ数年来の経済成長の過熱によって、あらゆる面にひずみができ、経済全体の構造に変化を来たしたからであります。もちろん、小売り業界としては現在のままの姿が万全であるとは考えてはおりません。一刻も早く中期経済計画に添って、経営近代化をはかり、共同化による合理化を進めていくことこそが時代の要請であることを十分に感知しております。いうまでもなく生鮮食料品が高いという消費者の切実な声も突き刺さるように耳に飛び込んできておりますから、この時代の流れの中で、現状を固守しようなどとは毛頭考えておりません。  われわれの口からほとばしるものは、日本の経済が安定成長をはかるために、まずあらゆる部面にあらわれているひずみを一日も早く是正してもらいたいという切実な願いです。  そのために消費者物価の安定が望まれるゆえでありましょうが、その対策の推進においては、当然経済政策全般の力を総合的、かつ多角的に集約して、真に効果のある施策が講ぜられるべき必要があります。同時に各層間に摩擦が起きないように配慮されることが肝要であると考えるのであります。  ところが、政府によって提案され、四十六通常国会と四十七臨時国会並びに今国会と三国会にわたって審議が続いてきている食料品総合小売市場管理会法案では、政府当局は消費者物価対策であるからとのみ強調しております。が、われわれ業界はこの政府当局の態度が政治行政の上から手落ちがあると言いたいわけであります。また消費者側に回ってみましても、はたして物価対策になるだろうか、真剣に取り組んでみても、無意味じゃないかとの結論に達しざるを得ないのであります。  この構想が最初に打ち出されましたのは、三十八年七月九日、当時池田内閣における閣議において決定してからであります。この決定は生鮮食料品総合小売り市場設置することを批准するとなっておりまして、管理会については一言も触れておりません、またこの当時は生鮮が入っております。と同時に標準品小売り店の強化拡充をはかるの点を生鮮食料品流通改善対策としていきたいということなのであります。業界としては消費者の便利さと、ガラス張り商売ということから、すでに標準品小売り店制度を実施していた関係上、標準品小売り店に設備改善資金を円滑に融通するなどの措置を講ずるという、政府の表明を歓迎し、積極的に協力を惜しまないと約束をいたしました。そして、実際に標準価格を店頭に掲示するなどして、今日まで何かとつとめてまいりましたが、標準店に対する国からの援助は何一つございません。一方、生鮮食料品総合小売り市場については、主として野菜、果実、魚介、食肉等生鮮食料品販売する生鮮食料品総合小売り市場を大都市に設置したいという当局の説明を率直に聞き入れて、当時も多少の疑問はあったのでありますが、了解の立場をとったわけであります。  ところが、驚いたことには、それからまる八カ月たって三十九年二月二十五日の第四十六通常国会において、政府が上程したものは食料品総合小売市場管理会法案でありました。これが審議数日というスピード審議で、衆議院をしかも三党一致で賛成成立し、参議院に送付されてきました。こんなに疑問が多く、重要な問題を含んだ法案衆議院で、なぜに十分なる審議もせずに成立させてしまったのか。疑問を持たざるを得ないのであります。  とにもかくにも、参議院の審議の段階でその法案不成立待ったをかけました。  なぜに待ったをかけたかというと、この法案は、小売り市場設置するとの名のもとに総合小売り市場管理会という半公社的な農林省の出先き機関をつくろうとする意図にほかならないものであるからであります。  いまなお消費者の中には、市場をつくることに反対するのはおかしいという意見を述べる方もありますが、われわれは市場をつくることに対して必ずしも反対をしているのではありません。  われわれは管理会という管理機関は要らないから、管理会のための法案は要らないと強く主張をしているのであります。  より以上に御理解いただくために、その反対の理由の説明をいたします。  まず第一は、小さな魚屋、八百屋、肉屋といえども、憲法の保障する職業の選択の自由に基づき商いをして、毎日の生計を立てているのであります。が、もし官営スーパーが出現すれば、付近の零細業者は、廃業せざるを得ない危機に見舞われてしまうということであります。政府の力添えによるスーパーモデルケースになると称しておりますが、それに入居できるのは、特定の力のある限られたごく一部の者であり、大部分(二十対六千)これは都内の魚屋のみであります。の者はモデルスーパーと競争せねばならない死活問題をかかえた立場に追い込まれます。全く、力の弱い業者のことを考えますと、同業者としてなんともいえないほど背筋の寒くなるのを感じるのであります。  次に、戦後二十年、日本は民主主義の法治国として、法律のもとに生命が保障されてまいりました。われわれ小売り商は当然中小企業者でありますから、中小企業基本法が保護してくれます。この法律は三十八年七月六日に成立したものでありますから、今日ここにおいでの参議院議員の各位の御尽力によることは申すまでもありません。御承知のように、中小企業基本法の精神は、特に小規模企業従事者の生活が向上するようにするため、経済的社会的制約による不利を是正して、よく聞いてくださいよ、中小企業者の創意とくふうの、尊重の上に立って、その中小企業者の自主的な努力を国が助長することを明確にうたっているのであります。その意味からも、このような食料品総合小売り市場形式による事業の共同化、店舗の集団化は、中小企業みずからの自主的な努力によるべきであり、政府がおぜん立てをし、管理会方式によるスーパーということになると、明らかに中小企業基本法の精神に反しますし、政府行政指導は一体どうなっているのかという不信も起こることを強く指摘いたします。  ですから、次に、業界としては、寄り合い世帯のごとき小売り市場設置に関しては、当処商業近代化対策という大きな柱を忘れてはいけないという点であります。業界に対しては、あくまで通産行政の管轄のもとで、近代化のための協業化あるいは共同化等の指導がなされるべきで、われわれ組合としても、今日までそのような方向に指導してきているのであります。ところで、通産省の新年度予算の中で、商工業協業化資金のうち、小売り商店舗共同化資金としては、全国で百店舗分を予定し、八億八千万円を計上しております。一方官営スーパーは、東京都のみ、しかも二十カ所で十億円の予算を計上したいということは、あまりにもへんぱであり、ますます理解に苦しみます。しかもこの建物であるスーパーマーケットこそが、小売り業者モデルになるとか、モデルにするとか、業界の説得に奔走しているのですから、政府当局は一体何を与え、何をたくらんでいるのでありましょうか。それでは入居できないものに対しての保護政策はどうなのかというと、閣議了承の事項はすっかり忘れてしまい、冷淡なことには、設備近代化資金にさえ一銭も予算が計上されていないのであります。このスーパーこそが政府物価対策のきめ手であると誇張するのですからあきれます。前にも触れましたが、東京都内に二十カ所、五十万人に一カ所ということでは、何ら物価安定のきめ手にはなりませんから、食料品関係業界全部を近代化せしめ、消費者全体の食卓に、公平に吹くできるような施策を講じるべきであらねばならぬと考えるのであります。  そこで業界は一千万円の資金で、十年無利子として、都内に二百カ所、魚屋、肉屋、八百屋の協同する寄り合い小売り店を設置することをおすすめしたいのであります。  話を結ぶに当たりまして、訴えたいのですが、なぜに食料品総合小売り市場設置するのに、管理会という農林省の出先き機関が必要なのか、管理会というもので小売り段階を押えなければ、適正な小売り価格の形成ができず、また国民生活の安定ができ得ないというのか。かような疑問を生じさせる根拠は一体どこにあるのでしょうか。生鮮食料品販売というものは、多年の経験と勘を必要とする業務でありますから、管理会のお役人さんが、指導監督、さらにその業務の一部を行なうことは、まずできないと考えます。しかし、どうしても指導、監督が必要というならば、農林省経済局の消費経済課、また東京都には都の消費経済保があります。昨年からは、これは課長制度が部長になって、その下に課長が三人もついて、役人がどんどんふえております。また、区へ行けば、区で商工課があります。まず、そこで十分にその役割りを果たし得ると信ずるのであります。  よって、管理会は不必要な機関であるということから食料品総合小売り市場管理会法案は即刻撤回なり廃案にお考えくださいますようにお取り計らいを願いたいのであります。  なお、せっかくの機会でありますから、最後に、消費者である国民の皆さんと政府にお願いいたします。下層階級をレベルアップしてやることが真の民主主義政治のつとめとするところではないでしょうか。零細な業者の中には、戦前、戦中国のために尽力して、また、戦後は子供が戦争でなくなったというぐち一つこぼさずに、老体にむち打ちながら商売に真剣に取り組んできた姿に、目をふさがぬようにしていただきたい。一方的に時代だ、時代だと営業の外に追いやってしまうことは重大なる問題を含んでおるのではあります。また参議院こそが国民の良識の場でありますから、良識を国民の前に示していただきたいということであります。われわれの業界の意図するように審議がなされることを期待をいたしまして、御清聴下さいました各位に感謝を申し上げて、終わります。
  93. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ありがとうございました。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  94. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 老川参考人の、参考人としての意見を伺いましたが、まず第一にお伺いいたしますのは、いまの意見で、最初に触れました、小売り業者の大幅なマージンというものが、消費者物価の上昇が続いている責任というふうに追及されているということを取り上げて、そのことに、業界を代表しての大きな異論を提起されておるように伺ったのでありますが、そういう御意見というものは、適正に小売り業者もマージンを取得しているのであって、決して不適正ではないという裏づけがあればこそ主張されるのだと思うのでありますが、そういう点で、業界でまとめられた背景になる資料等でもあれば、それをお聞かせを願いたいと思います。
  95. 老川浩正

    参考人(老川浩正君) お答えいたします。農林省の、まあ政府の言われる、最近における非常に生鮮食料品の値上がりの責任は小売りである、小売りがもうけ過ぎているからというようなことでありますので、私は、そういうことでない。また、いまの渡辺議員の意見によりまして答弁いたしますが、私は農林省から、きょうの公述人にお伺いする前に、参考書類をいただきまして、それを目通ししましたが、これは政府が調べたことですから間違いはないと思いますが、いま私のほうでは、仕入れ自体が安ければ、まず、実際、官営スーパーであろうが、民間のスーパーであろうが、民間の零細な魚屋であろうが、仕入れ自体が同じに仕入れさしてやるべきだ、こういうことで、しかし、現段階では非常にその流通機構に隘路があるということでございます。たとえば、仕入れ自体は、ここ昭和三十五年の卸と小売りの指数を申し上げますと、昭和三十五年が九〇として、小売りのほうは三十五年の当時が九〇・七、やや同じですが、それが一十九年の昨年は、一月から八月までのこれは年平均になっております、平均で卸も小光りもやはり一月から八月まで、それが卸のほうは九〇に対して一四八・四、この数字は出ていないと思いましたが、農林省でお出しになったグラフで調べまして数字を出しましたので、もし多少の間違いがあったら政府側から訂正願います。それから小売りのほうが三十五年の九〇・七に対して三十九年の一四五です。そうしますと、パーセントにしますと、卸のほうは六四%の値上がりに対して、小売りのほうは六〇%ちょうどです、ということは、われわれが仕入れる値段は、ここ五年間は仕入れに対して小売りだけが高いのではない。仕入れが高いから高くなった。高くなったのはその前の、以前の問題、いわゆる卸にくる前の問題が問題であろう。まず、生産行の手取りが少ないとかというような声聞いて、生産者が小売りの末端の東京へ来ましてみますと、小売りが非常に高い。二倍だ、三倍だというようなことも聞きますが、これに対して私どものほうは、もう一つ数字をあげてまいりますと、これはきょうお伺いするので、最近調べたのですが、冷凍のサンマと冷するめ、イカ、冷サバ、これが大衆魚の代表的なもののようでございますので、この冷凍のなまは、まず冷蔵で入庫するときには最も安いとき、いわゆる盛漁期のときに入れるわけです。それがまずサンマにしますと、昨年の九月に入れた価段が六十三円、十月が七十五円、十一月が八十九円、十二月が百二十五円と、なんと倍になっています。それから冷するめが、九月が七十七円、十月が百五円、十一月が百十一円、十二月が百十六円、冷サバが、九月四十九円、十月が四十七円、十一月七十九円、十二月八十一円、四十九円が八十一円ですが、これは九月と十月で、十月は二円下がっていますが、これは冷蔵されるときのなまの相場とあわせて、入荷その他の相場とあわせてこれは値段の高低ありますが、しかし、安くなるということは幾らの額でもありません。また、めったにありません。そういうことで、ここで申し述べたいのですが、すでに九月のときと十二月のときでは、仕入れ自体が倍になっておる、しかし、生産者の手取りは、サンマなら、六十三円なら六十三円で仕切っちゃう。これはだれの責任でだれが利得をしているのか。これに対し特に私は参議院の良識ある皆様に、ここまでお調べがあったのを承知してやらないのか、こうお聞きしたい。ということは、昨年のたしか五月か六月かと思うが、こういう値上がりを防ぐためにやったのだと思いますが、椿町において、消費地の冷蔵庫、あの膨大な冷蔵庫をつくりまして、あれが何か政府から二億三千かと聞いておりますが、これは数字が間違っておったらあとでまた訂正を願いますが、そこで各大卸会社が一億、全漁連が一億、そういうことで五億出しまして、国から二億三千万円、これでその価格調整――消費地の冷蔵庫ですから当然これは消費者とか小売り商がこれにタッチしなければならぬ。また、タッチして、こういう相場にならないよう――六十三円でサンマを入れた、あるいはイカをキロ当たり七十七円で入れたんだから、これは大体キロで二円前後だと思います。また、もっと大量に入れればもっと安い。あるいは冷蔵庫が高くつけば、政府で補助してやればいいじゃないですか。たとえばイカにすれば七十七円が百六十円になっておる。この冷蔵庫は、じゃ、どういうような消費地の冷蔵庫が運営しておるのかというと、何か私は業界紙で見たのですが、直接の責任ある人から聞いたんじゃありませんが、何かこのごろは株式会社になっておる。政府が出資した、われわれの税金で建てられたその冷蔵庫が株式会社になって、一部の大企業が押えておる。また、株式会社にしてもなにになってもよろしい。しかし、相場がこういうようなことにならないように、皆さんがよく見張っていただきたい。これはもう当然、この総合小売市場管理会法案をつくったのは、末端が相当とぼけておるから、適正な価格で売るどころか、まあ業者にまかしてもいかぬと、役人にまかせる。役人を信用するか業者を信用するか、こういうことですが、まあ役人のほうが間違いないだろう、こういうような考えかしれませんが、実際には卸に対しては過去五年間の統一で見まして高くなっていない。また二割や三割は、五年前に池田さんが所得倍増計画で打ち出したのですから、当然これに対して一割でも二割でも小売りのほうのマージンが多くなっても当然なんです。労働力の値上がりとか、また労働力確保に対して、大企業よりも中小企業、零細企業のほうが実際一時金を出しておる、それでなければ魚屋が商売できないというような状態、しかし、実際に政府の出した統計を見ますと、以上のように小売りは実際は高くないということですから、どこを根拠にして小売り商にまかせられないのか、そういうようなことをむしろ私のほうからお聞きしたいと思います。
  96. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 だいぶ質問より広範な答弁で時間を使ったようですが、あと一、二点お伺いしたいんですが、私しろうとでよくわからぬので、業界の代表としてお伺いするんですが、たとえば都内の標準小売り価格が、六日の発表するのを見ますと、築地で小売り価格が、百グラム単位ですが、北海の塩ダラが切り身で二十一円となっています。同じ六日の標準小売り価格で、大森では同じ北海の塩ダラの切り身が十八円で、三円の値開きが出ておる。もう一つは、同じ六日の築地地区では、関西物のアジで七円、ところが、大森では同じ関西物のアジが九円、二円の値開きが、地区によって差が出ておる。同じように、これを九日の小売り価格で見ますと、これは近海物のイワシでありますが、築地では十九円の小売り価格、それが同じ近海物のイワシが二十一円と、これも二円の値開きを示しております。近海物のサバが、逆に今度は築地のほうが高くて十円、これが足立では同じ近梅物で八円、同じ日にこういう値開きが出ておるわけであります。したがって、この管理会法案の内容としては、適正な価格を指向して機能することが目的になっておるわけでありますが、せっかく出てきているこういう標準店の小売り価格も、同じ日に、同じ銘柄で、同じグラムでこれだけの差があるという中で、一体それを適正に指導するということは、まことにどうも結果的にはその指導の効果がつかめそうで――これは役所のデスクの上からはつかめるということだろうと思うんですけれども、長い経験と勘によって商いをしておる小売り業者の、そういう従来処理されておった価格と、はたしてこういう管理会の指呼のもとに運営されるいわゆるスーパーマーケットが、一割というものを適正にするということが、めどがなかなかつきにくいことになりはせぬかと思うのですが、その点に関してはどういうふうに理解をされておられるのか。
  97. 老川浩正

    参考人(老川浩正君) それでは簡単にお答えいたします。まず、標準価格の点でございますが、私どももこのままの姿で、いわゆる三十七年当時でしたか、あのままの姿で標準管理を受けても何にもならぬ、標準小売り店を小売りが受ければ、これだけ消費者に対して安くなるんだと、何か出さなければいかぬと、もとのよごれた水で末端をきれいにしなければいかぬ、こういうことで私どもも戦ったんでありますが、それは消費者方々に、魚屋もうけているから価格発表などできないんだろうということ言われてもいかぬから、それを受けて、その後いろいろ要望も言っております。というのは、いまのような問題が、同じ都内でも築地と足立と大森と、市場で違って、それぞれせりを上場しております。したがって、相場も違います。また、同じアジ、サバであっても、鮮度の違う場合、あるいは大小によっても違う。大サバであれば三割、五割ぐらい高いと、小サバは逆に安いと、大アジと小アジとの違いとか、そういう同じ関西物であっても、三崎の品物であっても、同じ荷じるしであっても、そういうようなことで、鮮度とか、いろいろな点で相場が違う。したがって、市場が違えば当然その相場が別に発表されるということで、この点で、先ほど大澤参考人から御説明があったと思いますので省略しますが、たまたまそういうことで標準価格幾らと、ラジオで発表されたのに、おたくは幾ら幾ら高いとか――逆に安い、面もあるわけですね。そういうことで、今度は私どもが聞きたいわけです。政府は適正価格と言っておるが、初めは一割とか一割五分とか安く光るとか言っておりましたが、これは仕入れ自体が、魚の場合は全部仲買いから取っておる、なかなか直接卸からできないようなシステムになっております。仲買いから取っておる、そういうようなことで、さらに卸、仲買いのあれを経て、官営スーパーができた場合、やはり同じように仕入れなければならないということと、それからセルフサービスで、労働力が節減できるといいますが、事水産の場合にはやはり対面販売でないとパッケージに包んだり、包装しっ放しで――先ほど増渕さんの御指摘のような、外国のように全部冷凍魚というならいい。日本の国の嗜好からいけば当然なまのものがほしい、鮮魚がほしい、鮮魚は安くて栄養がある、冷凍品は幾らか落ちる、観念的に。このごろ冷凍も技術がよくなったのですけれども、そういうようなことで鮮魚をほしがる。サバを一本切ってくれと、四つに切ってくれとか五つに切ってくれとか、その人数に合わせてその大きさを切って、さらに三枚におろしてくれと、てんぷらにするから、こういうサービスができないということになる。もちろん出前もできない。こういうようなことでございますので、絶対にそういうようないま言う労働力の節減とか、いろいろ終曲の節減ということにはならない。もしそれができるとすれば、また、そこで適正価格で売れる値段ができますけれども、企業者がその適正価格で売れるようにいまの標準店ということをなしにしちゃって――この標準店も政府がお出しになった、農林省が初めお出しになって、いま東京都でやっております。これをほうりっぱなしにしておいて、百も出さないで、それで――いろいろ語弊があるから慎しみますが、いろいろな関係で、これを人気とりというようなことでやるということは、もってのほかです。その被害を受けたものは迷惑です。そういうようなことをもっと標準価格が、こういうようなことで、農林省消費経済裸、都の消費経済部あるいは消費者団体、小売り業者が寄って、こういうふうにやったら標準店の数が少ないから多くする、あるいは標準品が少ないからもっと拡大するとかいうことと、それからさらに冷凍魚の場合はこれはできるんだけれども、たとえば大洋か日水、いま大洋とか日水からの品物をおろすのに仲買いが入らなければわれわれの手に入らない。クジラはケースで幾ら、冷サケはケースで幾らというコストで切っております。ところが、仲買い人が入っていなければ、ケースで千円で五分五厘おろしの口銭で、これまで仲買いが取り扱って、それからそれぞれ税金を払って、それぞれ人を使ってやっておる。そういうハムとかソーセージとか、そういう冷凍魚のようなものは、直接大洋か日水で組合によこして、そのかわり一割とか一割二分これで安くなったのだし、そのかわりあなた方は標準価格はこう売りなさい、こうなればはっきりする。そこで、魚屋とぼけちゃいけないよ、物価は安くなるのになぜこういう二とに手をつけないか。仲買い人が入る生鮮食料品というのは分荷がむずかしいし、私ども一括にきても分荷はたいへんです。ですから鮮魚はもちろんやりません、分荷は。そうかといって、一人一人せっちゃたいへんです、ああいう狭い市場で。そういう点でかえって価格上昇させる点がありますから、きまった冷凍魚のようにケースでいくというのはほとんど同じですから、ケースで葛飾とか、どこどこ幾ら、あれは一個あれは二個ということで分荷してそれをまず仲買いにやらしていく、仲買いがどこどこと指定して、そこで分荷をして、いままで扱った人にやらせる。これは卸の段階は要らない。だからそれだけ安くなる。そのかわり仲買いそのものについては、いままで七分、八分で売ってもこれは一分ないし二分の口銭で分荷するだけでよこせということで、はっきりそこで一割安くなる。標準価格仕入れも安いのだから安く光りなさいということでもって、こういうことを施策として標準価格をもっと進めるならば、まだまだ価格が安くなる方法はあるのじゃないか――よろしゅうごさいますか。
  98. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私ばかりしてもあれですが、最後に、この陳述に中政連云々とありますが、参考人も中政連の関係者だと伺っておりますが、過般の新聞で、中政連が佐藤総理に陳情したことが新聞に出ておりますが、その点で、結論的にはどういうことになったかを伺いたい。
  99. 老川浩正

    参考人(老川浩正君) お答えいたします。  中政連の関係は、私ははっきりしておきますと、東京都連合会の幹事長をしております。そこで、先日、三月の一日に、総理と十一時四十五分から十二時二十分の間をお会いしていただきました。それは中政連ということでなく、もちろん中政連という名前が出ますが、この小管法反対期成同盟として、委員長が中野喜介でございます。都商連の会長また全商連の会長代行としてもやっておりました中野さんと、それから私と、全国食肉と、それから中政連は鮎川総裁――もちろんこれは初めから総裁が会うと言ったことでなく、小管法の問題が大きい問題であるということは、当然政府でも物価対策というようなことで取り上げて、これが唯一の物価対策だと思っておるらしいので、その前からいろいろ周囲から、私どもは納得いかないからぜひ一回会いたいということを、業界側のほうでも要望しておる、そしてまず総裁も連絡をとってくれたということで、各中小企業、特に商業関係の団体の代表、特に小管法は全国反対しておりまして、先ほど中根参考人が出られまして、まだおいででしょうけれども、ほかの業者として、先ほど三巻さんが業者の一部が反対と言いましたが、中根さんのほかに、賛成している団体があったら教えていただきたい。いま全部反対です。そういうことです。そこで、この間お会いしまして、私どももお願いして、むしろ私どものほうでは、これは農林対策というようなことでなく、中小企業対策という基本法を打ち出しておきながら、基本法に基づいたこともやらんで物価対策だけでこういうようなことを、しかもそれを物価対世になりもしないのに、はっきりおっしゃいます。こうやれば管理法ができるから物価対策になるのだ、ということを教えていただきたい。こういうことで、よく調査をするということですが、それで私どもはお願いしたのですが、これは商業、中小企業全般対策いわゆる商業全般対策としてやっていただきたい。先ほど交通の問題もありましたが、交通の問題はまた別に考える、これはもってのほかで、しかも国会でおきめ願うのだったら全部が――一つの法律をつくるのなら皆さんが、これは全部がいいとは言いません。私どものほらでも消費者全体、大多数のためにいいのだという場合にはそれをやっていただいて、それでつぶれるようなのは見ていただく、金融を先にしろとか、あるいはわれわれの協業化をするのだから先によこせということは言いません。しかし、物価対策にならないのだから、むだだから二十億のお金を出してやるのはおやめなさい。それならば、現在の中小企業者がいわゆる――これは総理大臣に言ったことですから、民営のスーパーができたときに、私どもは実は反対は積極的にしません。これは中政連でも積極的にはしませんよ。というのは、日商速ですか、高橋貞二会長から私どものところにも連絡がありました。アメリカのスーパーが来る、どんどん大企業が出るから反対しよう、これはいかぬということは、現在の自由主義経済で、安く売るのをとめるなんということを堂々とやったら消費者ににらまれるじゃないか、それよりも、われわれがいまのような資本力がない、それから店舗も施設も弱小であるとか、こういうようなことで、また仕入れ自体もスーパーがいろいろ横の連絡がとれるとか、こういうのだから、われわれがむしろ協業化をどんどんして、われわれが仕入れも安くできるようなことを、さっき言いました大洋とか日水とか、あるいは八人、ソーセージとかフィッシュ・ソーセージとか、そういうような加工品を市場へ入れなくてもいいようなものを直接よこして専門業者に流してもらって、それで標準価格なり何なりつくるというようなことでやるべきではないかということでお願いしまして、さらに商業全般対策であるのだから、これは通産省のほう、いわゆる企業庁の長官と総理大臣お話してよく御相談願いたいということを言ってきました。さっそく企業庁へも私行きましたが、実は企業庁も数日前にお願いに行きました。われわれがこんなものをつくるより前に、企業庁でなぜめんどうを見てくれないか、これは閣僚会議の決定だからこんな強いものはないのだということで、われわれには手が出ないのだ、こういうようなお話であったので総理とこのこともお話しまして、企業庁とよく相談しまして、現在の物価対策で、特に生鮮食料品対策なら、生鮮食料品業者が一定のものだけがいいところへ入って安く売れるようなシステムであったならば、それがもし安く光れるとすれば、全部が安く売れるような施策をとっていただきたい、こういうようなことでお願いしたので、ちょっと荒っぽいあれですが、ざっとでございますが以上でございます。
  100. 田中啓一

    田中啓一君 たいへん荒っぽい元気のいい反対論を伺ったのでありますが、内容は実はよくわからないのであります。だからお伺いいたしますが、市場をつくることには必ずしも反対でないが、管理会が気にいらぬ、こういうことをおっしゃった。管理会なしで――政府が金なり設備なりを出すわけでありますから、それとの契約によりましてこういう市場ができるということについては、反対はございませんか。
  101. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ちょっとおはかりしますが、川町参考人が三時四十分から別な用事があるそうでございますから、いまのは中断していただいて、まことに恐縮ですが、川野参考人の御意見を先に伺いたいのですが、まことに申しわけないのですが、一時間延びましたので……。それでは川野参考人
  102. 川野重任

    参考人(川野重任君) 御紹介いただきました川野でございます。御要請によりまして、法案に対する意見を申し上げさしていただきます。  結論から申しますと、法案趣旨には賛成でございます。ただし、その運営については、いろいろ注意すべき点があるのではないかと思います。  以下、何ゆえに賛成であるかということと、どういう点を注意すべきかということについて、私見を申し上げます。  賛成します理由は、最近の経済高度成長のもとにおきまして、食品の流通合理化という点からいたしまして、これまで政府でいろいろと対策を講じてまいったわけでありますが、この小売り段階合理化というのが最後に残された場面ではないかと考えます。もともと食料品につきましては、生産から流通消費の各段階を通じまして非常に規模が小さい。生産も小規模なら消費も小規模である。その小規模性に対応いたしまして、小売りもまた小規模であるということになっておることから、一般にコストが非常にかかる、マージンが大きいということになっておるわけであります。ところが、経済の進歩とともに、途中の流通段階におきましては、輸送とか冷蔵とか加工という面でだいぶ合理化が進んでまいりまして、コストダウンになってきておる。ところが、生産と末端の消費、それから小売りの段階におきましては、依然として小規模生産、小規模消費であるというような、ことから、その合理化がおくれておる、これに対して政府のほうで、生産のほうにおきましては、御存じの主産地の形成、育成ということでいろいろ努力をされておりまするし、これは逐次成果をあげつつあると私は見ております。ところが、消費のほうはどうかと申しますると、消費のほうも、所得が上がるに伴いまして冷蔵庫の用意もだんだんにふえてくる。一人当たりの消費も、生鮮という形では必ずしもなくても、加工という形を含めまして食料品の一人当たりの消費がふえてきつつあるという状態であります。ところが、その消費者の台所に入る直前の小売りの段階になりますると、これが一部は合理化が進みつつありますけれども、大部分の場合におきましては、その合理化が進んでいない、こういうふうに考えます。そこで、経済の成長とともに、一般の所得水準が上がってくる、労賃が上がってまいります。労賃が上がってまいりまして、その小売り販売段階での合理化が進まないということになりますと、小売りの費用がよけいかかる、こういうことでありますということから、一段と小売り段階でのマージンがふえざるを得ない――別にもうかっているわけじゃありませんが、ふえざるを行ないという形になっている。こういう認識を持っております。ところで、この小売り段階合理化は、ほうっておいたならば進むかどうかといいますと、私は、ある面では進むし、ある面では進みにくい、むしろ進みにくい面が非常に多いのではないかと思います。ある面と申しまするのは、すでに御存じの大資本によるところのスーパーマーケットというものが方々にできつつあります。おそらくこの数年間に、東京都だけをとりましてもスーパーの数は二倍ぐらいになっているのではないかと思いますが、だんだんふえつつあります。これが一つ合理化の方向だと思います。ところが、一般の小売りにつきましては、個々の業者といたしましては、あるいは店舗改善とか合理化ということ等で合理化をはかっておりますけれども、全体として見ますと、なかなか合理化が進みにくい状態にあるのではないか。  その理由としましては、第一に、小売りと申しますのは、私は地域的な独占性が非常に強いと思うのであります。地域的独占性と申しまするのは、消費者が一定の地区に住んでおりますが、食料品の性質からいたしまして、毎日電車に乗って食料品、野菜とか肉とかというものを買いにいくというわけにまいりません。ふろ屋と同じで、一定の地区においてはおのずから一定の経済上のなわ張りと申しますかがあると思うのであります。悪い意味でのなわ張りではありませんが、とにかく少々その店のサービスが悪くても、あるいは値段が高くても、その店かあるいはその近くの店に行かざるを得ないという一つの独占性があると思っております。この独占性がありますと、消費者の側から見ますと、ほんとうはどうももう付きたくないのだけれども、その地域にその店しかない。まあ似たり寄ったりの店がその近傍にそれしかないということになりますと、それを利用せざるを得ないという形になってきております。一方、小売りの店のほうから申しますと、これは自営と申しますか、自分の自家労働でもって、それに一人か二人の使用人を置く、奥さんも一緒に働くという形での営業が圧倒的かと思います。これがまた一種の合理化を妨げる要因になると私は思っております。農業の場合と全く同じであります。つまり人を雇って経営しておる場合でありますると、採算的に引き合わないとなりますと、それはつぶれます。ところが、自営業でありますると、少し採算が悪くても、まあ朝から晩まで働く、あるいは食料品の場合でありますとおそらく残り物でもって自分の消費に充てるということ等もございましょうし、いわば自己犠牲において経営の維持をはかるという点があるかと思います。こういうことからいたしまして、一方において大資本によるところのスーパーマーケットがどんどん出てくる。お客さんが自然そちらのほうに引っ張られていく。目には見えませんけれども、あるいはおそらく目に見えているところもあるかと思うのでありますが、消費者はかなりこの数年来、そのスーパーマーケットのほうに引きずられて行っている、引きつけられていっている、こういうふうに考えられるのであります、ところが、それにもかかわらず、小売りの場合にその影響を受けまして即刻倒産するというようなこともありませんし、いわばじり貧的に追い込まれるという軍旗が当然あるわけであります。  そこで、こういう性格を持った小光りというものが、合理化するためにはどういう措置が必要かと申しますと、結局外から力を加えるということしかないのじゃないかと思います。もちろんこれは強制というのではなしに、援助の手でありますが、援助の手を加えるほかないのではないかと思います。まあこれに個々に金を貸すということをやるのも一つ方法かと思いますけれども、結果的にはおそらくいまの自家営業という形を残しながら、小さな範囲での合理化をやるということにとどまるのではなかろうか。しかし、技術革新の現状からしますと、一方においてすでにスーパーが示しておりますように、大量の処理、大量の販売、こういうものが可能な条件ができているわけであります。それを身につける態勢を考えることが政策的には必要ではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。  そういう点からいたしまして、この法案のねらいどころは、管理会の管理という字が少しぎらつくという点は確かに私もなきにしもあらずであります。が、ともかく一定の場所と施設を用意いたしまして、そこで大量の販売をし、セルフサービスによって販売上のコストダウンをはかるということで、消費者利益を高め、同時に小売りのマージンも合理化していく、こういうことにねらいを置いているわけでありますが、これは方向としては私は、正しいといわざるを得ないと思います。ただしそれは、この運用については、私は、いろいろ注意すべき点があるのではないかと思います。  それは、まずどういうところにこの市場設置考えるかということでありますが、私は、これはかなり計画的に、交通の要衝に置くということを考えなければいけないのではないか。私はフランスのいなかをちょっと見てまいりまして、ボルドーという町ですが、そこで非常に痛感したのであります。フランスの町は、御存じのとおり、かなり放射線型の町が多いのでありますが、その放射線の焦点と申しますか、になる、広場に該当するところの中心に、まるい小売り市場を置きまして、四方八方からそこに通って行ける。それがまるいドーム型の屋根でもって、赤い色彩を施しまして、どこからでも目じるしにもなるし、同時に、そこが文字どおり小売りの中心になっているという状態を見まして、やはりやる以上はこういうふうに計画的に考えるべきではないか。たまたまある用地が手に入りやすい、たまたまどこの土地が買いやすいということでは、私は、せっかく国なり地方団体が力を貸してつくる市場設置のしかたとしてはまずいのではなかろうか。むろんこれは強制するわけにはいきませんけれども、少なくともそういう立地につきましては、その点を十分合理的に考えるということが必要ではなかろうかと思います。  それから規模でございますが、規模はいまのところ三百坪ぐらいのものですね。うち市場面積が百五十坪ぐらいのものを考えておるようであります。これは相手方となる消費者がどの程度の購買力を持っているかということにも関係すると思います。一方また、その市場に通ら人が自転車で通うのか、あるいは車で通うのか。あるいは、自宅へ持ち帰った場合におきまして、冷蔵庫のある家なのか、ない家なのか。冷蔵庫の大きさはどのくらいなのか。あるいは冷凍庫まで持っておるのかどうか。こういうようないろいろな条件も関係いたしますが、そういう条件に関連いたしまして、その地域地域のお客さんの性格、規模、それの待つ購買力というものを勘案いたしまして、やはり規模についてもある程度の弾力的な配慮が必要ではなかろうか、こんな感じを持つのであります。もうちょっと申しますると、いまのところおそらくは、アメリカのように、一週間に二回ぐらい行きまして、それでどっさり買ってくる、地下室には冷凍庫を置いておくと、こういうふうの形での購入というものはまず期待されがたいかと思います。けれども、だんだんそういう条件は、私は、日本の経済の成長の現段階からしますると出てくるのではなかろうか。その場合に、車を持って行こうといった場合に、さっそくそのパーキングということで困ってくるということになりはしないか。そうなりますと、すべての小売り市場をそういうふうに考えるというわけにはいかないかと思いまするが、ある地点、またある数のものにつきましては、ややそういう長期の遠大な計画を立てるということも必要ではなかろうかと、こういうふうに考えるわけでございます。  それから、まあ運営につきましては、やはりこれは官僚統制でもって商売ができるわけでございませんから、その趣旨はもちろんないと私は理解いたしますし、おそらく、まあ高速道路はつくる、道路標識はつくる、走る車はそれぞれ自家用車が走る、こういうふうなことですね。あまり走っちゃあぶないですからという注意をするということでもっての指導があるのではなかろうかと私は思っております。その点については、もちろんそれをこえた運営の懸念があれば、その点はもちろんこれを是正すべきであると、こう考えるわけであります。  それから、なお経過的な問題といたしましておそらくいろいろな問題があるかと思います。まず、どういう方々がこれに参加なさるかということでありますが、私は、やはりこれには労働力として参加するしかたと、それから資本を提供するという形で参加するしかたとがあるかと思いますが、まず、関係地域の希望者と申しますか、につきましては、かなり広範に、少なくとも資本上の参加というものを考えるというようなことがなければいけないのではないか、こう考えます。それから、労働力を提供するという形で参加なさる方につきましては、現在ある店舗の転用利用ということ等、いろいろ経過措置として考えられる点があろうかと思いますが、この点がやはり自家営業というものを基盤にしておるという関係上特に必要かと考えます。いずれにいたしましても、私としては長期的に見まして、ほっておきましても大規模化の方向へいくと思いますが、ただ現状からしますると、先ほど申しましたような性格からいたしまして、必ずしも支障なくその合理化が進むとは考えられないということから、政策的な援助の措置が必要かと、こう考えるわけであります。消費名大衆の声というものはなかなか政策になりにくいということを申しますが、まあ、たまたま高度成長のあふりを食ったと申しますか、というようなことから、消費者価格、物価高騰という問題が起きてこの問題が取り上げられたわけでありますが、さらに小売りの段階になりますと、半ば逸走行政、半ば農林行政にまたがるというようなことから、得てして私はこのところが政策上空白状態になりがちな点かと思うのでありますが、せっかくこういう問題が起きたときに、ひとつ根本的によく考えまして、長期的な観点からその措置を誤らないようにしていくことが必要じゃないか、こういうように考えるわけでございます。  以上、簡単でございますが。
  103. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御質疑のある方は、順次御発言を願います。  まず、川町参考人を先にお願いいたします。
  104. 北村暢

    ○北村暢君 先ほど説明の中で、私も管理会には少しおかしい点もあるように、こういうふうに言われておるようですが、名前にとらわれるのじゃなくして、こういう特殊法人ができるということについて、この法案管理会法ですから、この管理会の問題におかしい点があるというとちょっと困るのですよ、これは。それで、いま参考人は賛成だとおっしゃったのだけれども管理、会がおかしいとは思うのだけれども賛成だというのは、どうも筋が通らないと思うのです。それで、いま私は、先生のおっしゃるように、中小企業の、しかも零細な生鮮食料品の小売り店、そういう人がこれから合理化していこうということについてはだれも異存がないし、またスーパーマーケットのような近代的な方式も取り入れていきたいということには異議がないわけなんですよ。異議がないので、それは一部の者だけ利益しないで、ひとつまんべんなくいくようにしてもらいたい、こういうことなんですね。したがって、これから小売り段階の零細性なり何なりを、これはこのままにしておけないから、近代化をはかっていかなければならない。これはみんなが認めているし、みんなが賛成している。だから、問題はこの管理会に問題がある、法案管理会なんですよ、だから私も、管理会方式でやったほうがいいのか、それとも通産行政の一環として経営近代化資金も貸すようになっておりますし、制度もあるし、それを都道府県を通じて融資という形をとって、現実にいままあ通産行政として指導してやられておるわけですね。それも中小企業基本法に基づく、そこへ入る人自身、業者の団体、これが自主的にやはりやる気でなければできない問題なんですね、これは。したがって、場所を与えてやるからお前ら入れ、条件はこうこうこうだと。これに、頭のいい人が管理会にいくのでしょうから、しかも実戦的な商売には関係のない人がなる可能性が非常に強い、役人の古手がなる。したがって、官僚統制にはならないだろうと思うけれどもと、こう言うのですけれども、その心配することが全部実は出てくるのですよ、この法案がとおるというと。先生の予期しない結果が出てくる可能性がある。こういう管理会という性格のものについて、端的な意見をひとつ出していただきたい。その流通合理化することについては、私どもも先生の意見のとおりなんです。一番聞きたいところは、この管理会でやったらいいのか。  それから、しかも公設であってなおかつセルフサービス的なものを取り入れた、いままでの公設市場というものの概念じゃない、もっと合理化した近代的なものにしていく、これはやってできないことはないんじゃないかと、こう思うのですね。したがって、管理会法なんですから、管理会に対する利点なり欠点なりを判断されて、管理会が一番いいんだと、こういう御意見であるのかどうなのか、そこのところをひとつはっきり言ってください。管理会は少しおかしいようだけれどもこの法案に賛成だ、では私はどうも、賛成でないんだけれども頼まれて賛成意見を言っているのじゃないかと、こういうふうにしか受けとれない。
  105. 川野重任

    参考人(川野重任君) 私の言い方がまずく、誤解を招いたようでございますが、結論から申しまして賛成でございますが、管理会法案にですね。ただし、聞き方によって矛盾があるというふうな御指摘のようでございますので、釈明させていただきますが、先ほど来、実はお隣にいらっしゃる方の御意見を伺っておりますと、この方も、市場をつくることには反対ではないと、しかし、管理ということにえらくこだわっていらっしゃるような感じがいたしました。戦争統制というようなことでわれわれはだいぶ苦い経験をいたしておりますね。そういうことから管理というものの内容を統制的なものに考えるというならば、その気持は私はわからないことはないということを申し上げましたのは、実はよけいなことだったわけでしょうが、それと、現状におきましては、とにかく個別に金を貸すとかというようなことなり、あるいは組合に金を貸すということも一つ方法でありますが、いわば小売りの基本的な体刑と申しますか、立地的には、立地上の規模といたしましても、そこへ行くには強力なささえがないとうまくいかないじゃないか。農業構造改善の場合におきましても私は同様の感じをもって賛成しておりますけれども、そういうことでございますので、ひとつ誤解を解いていただきたいと思います。
  106. 北村暢

    ○北村暢君 誤解は解けましたけれども、なぜ管理会がいいという積極的な意見ですね、ぼくは、この管理会というのは。これは理事長――いま全部の政府関係機関のあれを調べているのですけれども、大は理事長の月給が約四十万、総理大臣と同じというのがだいぶあります。それから、一番少ないのでもいま二十五万から二十何方ですよ。そういうのが役人の古手がくる。これは圧倒的に古手役人がくる。名簿を出して経歴を調べてもらえばわかるので、そういうものが管理会に入ることが、もう従来の政府関係特殊法人に関する限りは例外なしで、これは問題なんです。それでこれは、いま開かれている予算委員会でも今度取り上げてやることになっているのですけれども、まことにそういうものが、政府の出資、地方公共団体の出資でこういう特殊法人ができる。これは私は行政の一環だと思っています、行政の一環だと。この行政の一環である農林省なり、地方自治体なり、こういうものが中小企業合理化ということについて指導していこうというのです。その指導のために審議の過程においても、これはモデルなんだと、こういうふうにやればこういうふうなものができるのですよと、皆さん多くの人がまねしてやったらどうかというのですよ。しかし今日、いま先生がおっしゃったように急速にスーパーが伸びてきて、だまっておって倍くらいになる。これは大資本ばかりでない、通産省自体もいまやってきている。ですから、指導としてはわかるのですよ、指導としては……。しかしながら、いま管理会というものがそういう古手役人が高給をとって、自由な経営というものに対して、しかも自主的な、独創的な創意くふうによってなされなければならぬものを、これが管理してやるということについては、どうもわからない。そうしてまた最近のスーパーの傾向として、資本に対抗する意味においても、チェーン組織をもって大量仕入れ、大量販売のこの実質が出てこないと合理化にならないということははっきりしている。そうして通商白書の中にも、いま出てきているスーパーというものはそういうものでない。本来的なスーパーの意識に合したものができていないために倒産なんかが出ているというので、試験台はたくさんあるのです、調べてみれば。こういうふうにしたら失敗しますよと、こういうふうにしたら成功しますよという例は、何も管理会のやる二重なモデルをつくらなくても幾らでも例はあるのです。あるのになぜこういうものをつくらなければならないか。また、つくってもいいのですが、なぜ管理会がやらなければならない。これはもっと東京都なり、大阪市なり、名右岸市なり、地方行政の末端のところに行政をもっていく。しかもその小規模企業経営指導員というものは、通産省の経常指導員という制度があって、末端の管理経常まで指導することになっている末端の足に全然そういう指導を持っていない農林省が、農林大臣の監督権限のスーパーを出して、これにならいなさい、ならうほうはみな通産省でなければできないわけです。そういう行政的な矛看がある。こういう管理会法です。管理会は農林大臣の監督権限で、しかも大蔵大臣と協議してやらなければ何もできない。そうして大部分の九割九分というものが入れないのですから、その入れないほうの行政は通産省がやっている。スーパーだけは、管理会だけは農林大臣の監督なんです。一体こんなちぐはぐな筋の通らないものを、最高学府の、失礼だけれども東京大学の教授がそういうことでは、ぼくはおかしいのじゃないかと思うのですがね。行政的な面からいっても、私は管理会というものの本質についてもう少し究明されて、賛成か反対かということの、管理会がほかの方法よりも絶対にいいという積極的な理由というものを、学問的にひとつ教えていただきたいのですよ。
  107. 川野重任

    参考人(川野重任君) いろいろ御批判がございましたが、私が一番いいというのは、これまでに流通合理化ということがいわれながら、実は小売りの段階合理化についてまで具体的な措置が出て必ずしもいないんじゃないかという感じがいたしまして、これがしょっぱなに出てきた案ではないかと、こう思いますので、これはもう当然その線に沿うものならばやはり賛成しなきゃいかぬと、こういうふうに思っているわけでございます。ただ、これにつきまして、一部のものしかこの入居者がないとか、あるいはその恩恵に浴する消費行の数も限られているというお話でございますが、これはモデルでございますから、モデルは必ずそれに学ぶものが出てくると、またそういうものでなければモデルたる意味がない、そんな感じがいたします。したがって、この効果が――この二十かそこらで終わるものとは私思いませんし、しかし、またモデルとしての効果を発揮するためには、実績を見まして、あるいはもっと数をふやしまして、ある段階までは援助の手を厚くするということもやむを得ないんじゃなかろうか、まあ、こんな感じがいたします。第三には、指導というふうなことでございますが、この点が一番ひっかかるところでございましょう、皆さんと申しますか、御意見のある方々は。これにつきましては私は、モデルなるがゆえにやはりこの指導というものが当然その段階では必要だと思います。しかし、モデルがいつまでもモデルであるということはおそらくねらいにしていないだろうというふうに考えまして、やはりそこのところを長期的に考えまして、経過的な問題と最終的に実現する姿とは区別して考えることが必要ではなかろうかと。私はそういう意味で、モデルということから、やはり指導もその意味で必要でありましょうし、それから初期の段階におきましてその効果がある範囲に限られるということもやむを得なかろうと。しかしながら、それが一般に普及するという可能性をその中に含んでおるならば、それでそれを推進すべきじゃなかろうか。私自身としましては、これはたとえば用地の獲得あるいは補助金ということにおきまして、単なる融資ではできないところのものを――金利といたしましてもあまり差がないという説明もございますが、しかし、補助金を出し、さらに用地の旋律等につきましても、おそらくこういう組織ができますとより有利なんだろうと思いますし、そういう最初のくさびを打ち込むということがなければ、なかなかこの合理化は進まないのではなかろうか、こんな感じがいたしまして賛成するわけでございます。
  108. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 川町先生にちょっと聞きたいんですがね。まあ私たちの認識からいいますと、この小売り段階合理化がおくれておるために、物価の安定――今日値上がりがしておるんだと、こういうふうにお考えになったんじゃないかと思うんですね。その点が私一軒問題じゃないかと思うんです。卸売り物価は交わらないということは、池田内閣はずっと言っておったんですがね。卸売り物価でも、たとえば漁業の問題にしても、近海漁業はもうとれないんですよ。遠海漁業ですね。そうすると、遠海漁業をやる場合に、相当の資本を持つものが遠海漁業やっておる。それがさっきの話じゃないけれども、冷凍なんかすべてそこらでやっているわけですね。そこから来る魚は、合理化されたものとして、先ほどのサンマの話じゃございませんけれども、日がたつに従って冷凍ものは高くなっていくと、こういうところの合理化のほうがまず先ではないかと、それがないから小売り業者のほうは、値を下げるわけにいかぬのだと、最低の生活をするために最高三〇%、その付加価値を考えなければ生活ができないのだと、こういうふうにぼくらは考えるわけですよ。だからもう一歩前で言うところの合理化がなされていないのに、小売り業者にいわゆる官製のこういう店舗の改正をやって合理化してみても、そのわりに物価は下がらないのじゃないか、下がるという自信があるのかというと、政府もそれには確固たる自信はないわけですね。こういうところにこの法案の問題が一番大きく私はクローズアップされると思うのです。それが確かに先生の言われるように、確実に小売り段階合理化をはかったために、消費者に対してもやはり一割安くなるのだと、こういうことが、やってみにゃわからぬでは、国の税金で、モデルケースで二十カ所もつくるというようなことは、これはちょっとでたらめだと私は考えるのです。そういう点で、もっと先生方の分析で、私は、考え方があるならお聞かせ願いたいと思うのですがね。
  109. 川野重任

    参考人(川野重任君) いわゆるスーパーの開設だけでは、それほど小売り価格は下がらないのではなかろうかと、こういう意味の御質問かと思います。しかし、この問いの中には、だけではということばと、それほどということばがございましたね。どの程度のものを具体的に考えているかということで、答えは変わってまいりますが、一つのやはり合理化の措置であることには間違いないと思いますし、御指摘のほかの面での合理化の努力もやらなければなりませんし、それから全体―まあ関係商品がいろいろございますので、申し上げにくい点もございますが、たとえば青果物なんかとりますと、生産段階も非常に小規模だったわけですね。それがとにかく集団化して、大規模の薬剤散布その他をやろうということでやっております。それから販売の面におきましても、共同選果ということでやっておりますし、それから市場に参りますと、上場単位の大口化ということでやっております。その先に参りますと、ほとんど手がついてなかったというのが現状でございますですね。どうしてもそこに手をつけて合理化をはかるということが、政策上問題にならざるを得ないのじゃないかと、非常に自然じゃないかと、こういうふうに考えます。ただし、もちろん加工その他の段階での合理化の余地も多分にあるわけですね。それはしかし、大資本による場合におきましては、それぞれ冷凍、加工の形でやられつつあると私は思いますが、販売となりますと、そういう冷凍品、加工品におきましても、販売は依然としてかん詰め一個、かん詰め二つと、こういうような状態なんですね。私は実は昨年、ことし、農林省流通行政査察の依頼を受けまして、昨年は都下の小売り市場も若干見してもらったのでありますが、そのときに、かん詰め一つ買いましても半ダース買いましても、同じ値段なんですね。どうして私は半ダース買う場合においてもっと安くならないかということを聞いたわけですが、そういうことはやはりないのですね。ところが、スーパーがおそらくできますと、今度は自転車で持っていくというようなことでもって、あるいは一ダースあるいは半ダースということで買いますと、一個買いますよりは相当安くなるはずだと思います。そういうことにならないとやはりおかしいと思いますね。そういうことですと、一週間に一ぺん買いに行ったやつは、今度はかん詰めについては一カ月に一ぺんで済む、こういうような合理化もできましょうし、そういう意味で私は小売りというよりは中売りということばも使っておりますが、やはり合理化の大きな芽はそこにあると思っております。また、それを生かしていかなければならないと思います。
  110. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 川野参考人に対する質問はこれで終了したと認めます。  川町参考人に申し上げます。たいへんお忙しい中をありがとうございました。なお、時間がたいへんおくれまして、その点、厚くおわび申し上げます。  それから老川参考人に、たいへん時間途中で差し繰りまして申しわけございませんが、これからまた続行いたします。
  111. 田中啓一

    田中啓一君 もう一ぺん繰り返して問題のあり場所を明らかにしたいと思うのですが、市場をつくることには必ずしも反対でないが、管理会は気に食わぬと、こういうお話のようにまず伺えたのです。つまりこの法案で、あるいは法案を基礎にして、農林省が企画しているような市場ができることは賛成だが、管理会というものはよけいなものだと、こういう意味でございましょうか。
  112. 老川浩正

    参考人(老川浩正君) 前段の、協業化して市場をつくるのは、必ずしも反対ではない、そのとおりでございます。これは原稿にあるとおり。後段の、農林省がおつくりになって管理をする管理会反対である、こういうことでございます。この理由を申し上げます。ここに、いまの一三ページをちょっと見てください。これにちゃんとうたってあるわけでございますが、中小企業基本法の精神は、特に小規模企業従事者の生活が向上するようにするため、経済的、社会的制約による不利を是正して、中小企業者の創意とくふうの尊重の上に立って、その中小企業者の自主的な努力を国が助長すること、こういうことに明確にうたってあるのですね。私どもの、ここにありますが、魚屋、肉屋、八百屋、そういうような、特に初めは生鮮食料品ということを、当時、河野農林大臣の生鮮食料品総合小売市場管理会、言っていないわけです、初めは。それは農林大臣がおかわりになって、まだ農林省のお役人さんのデスクプランとも思えませんけれども、そういうようなこともあるのじゃないかと私は思うのですが、閣議決定というのはそういうことじゃなかったわけです、最初のはそういうことで、私どものほうも三十八年ごろから反対運動やっておるんです。しかしながら、国会に三十九年二月上程されたときに、管理会法案がついて出ておるから、これはおかしいというので反対に乗り出した、こういうことで、当然小売り市場というものは、自主的ということになれば、魚屋、八百屋、肉屋とか、そういうので三軒くらいが一千万円くらいお金を融資を受けて、それによって十年なら十年の無利子ということで、その裏づけということになれば、これは個々に借りようといっても、これは国の財政投融資は無理であろうと思うのですよ。こういう金はやはり個々に裏づけがなければ。そのための協同組合、また中小企業団体法をつくって、それに基づく商工組合を、いわゆる組合自体も強く行政指導をしていくように国がつくってくれた。そういうようなたてまえから、これは当然私どもにそういう金を組合から、個々にできなければ、組合の裏づけがあるか、それで当然私どもは一年でも二年でもやって、とぼけたやり方をしていれば入れかえます。また、それに対して官僚方々が、サバだとか、アジだとかを見て、これは高いとか安いとか、これはこうだとかというよりも、これはその奥さんが言うわけです。たとえば農林省の局長の奥さんは、サバだのアジだのなまを見ておる。局長になると、それは相当研究もしておられるけれどもそんなに詳しいことは知らない。奥さんは毎日毎日魚屋、八百屋の店先に行って見ておる。鮮度がいいかどうか一番わかる。それをモニター制度を強化する。国から無理して長期低利でやっているのだから、これに沿わなければ入れかえますということで、何か罰則を設ける。そのかわり政府資金を何とか手を打ってやる。そうしないで、一銭も出さないで、やれやれと言っても、いまのやり方は一カ所一億円でできるのだからそのまねをしろ。一カ所一億円でまねをしろと言ってもできないのだ。いま一番多く売っているところは、一日五十万円売っておる魚屋もあります。そういう大きい店をやっておるところは、きょうこういうようなところに来てお願いしなくてもいいわけだ。ところが、零細な連中が多いわけです、いつまでたってても。三、四年前から、厚生省から衛生規準に基づいて行政処分をするぞと言われて、どんどん直っています。しかし、まだ直らないうちがたくさんある。もちろん政府の低利の金は借りられないし町の高利貸しからも借りられない。これは裏づけがない。そういうものをめんどう見ていくのが政府施策じゃないですか。そういうものがあるために高いとするならば、一億の場所をつくって、これにまねろ、まねられないやつは死んでしまえ、これは私は、きょういるかどうか知らぬけれども農林省に行って記者会見をやった。農林大臣に……。
  113. 田中啓一

    田中啓一君 そう大演説をやってくれと、私は頼みませんよ。
  114. 老川浩正

    参考人(老川浩正君) 関連していますから。
  115. 田中啓一

    田中啓一君 関連はわかっていますが。
  116. 老川浩正

    参考人(老川浩正君) 私は、業者の死活問題だから、たいへんな問題だから、つい熱が入ってしまうので、御了承願います。
  117. 田中啓一

    田中啓一君 どうぞ簡潔にやっていただきたいと思う。私もそういうふうにいたしたい。私も実は大演説がぶちたいほうです、あなたと同じように。しかし、そうもいきません。同僚に迷惑がかかってもいかんので簡潔にいたしたいと思います。中小企業基本法の精神に反するというので再度御答弁になりました。それも実は質問しようと思った。中小企業基本法のいま御引用になりましたところの条文は、全く農業基本法と同じことが書いてある。よくもよくも農業基本法をああまねてくれたもんだ。農業と商業は違うのに、何であんなまねをしたんだろうと、実は私は思っております。いまおっしゃること自体は必ずしも間違いとは私も思いません。でありますから自然的、経済的、社会的の不利を、国が援助によってそうでないようにしてあげる。ということは私は賛成なんだ。これは賛成だ。しかし、この法律は名前のつけ方はいいかどうか、それは確かに疑問ですよ。管理会法とつけたのは妥当であるかどうか、私は実は疑問であると思います。たとえば食糧管理法というのは、中身は営団法でありますが、そうは書いてない。食糧管理法と書いてある。でありますから、名前のことは別といたしまして、この法律の精神はですね、この市場法の金を貸すだけのような方式でなくて、建物、設備をつくって貸そうということなんだ。しかもこれはおそらく自己資金でおやりになるにつきましても、あるいは借りておやりになるにつきましても、安く建物、設備が手に入って使えるようになると私は思っております。そうしなければ、これはとてもここに集まった人たちは、相当価格合理化して、そうして消費者サービスにつとめてやっていけるというようにはなり得ないと私は思う、ね、でありますから、そこに精神があるので、結局お貸しするのでありますから、貸すについての大家さんの役をやろうというのが管理会の第一の私は仕事だと思います。で、政府が直接やることもできるでしょう。やってやれんことはない。あるいは自治団体をつくってやることもできるでしょう。それも従来それは公設市場というような例もございます。そういうことでありますから、私は名前のいかんにかかわらずそういったものを政府なり自治体みずからやるか、政府、自治体がそういう機関をつくってやるか、私はそれはいずれでもいいことじゃないか。(「それが困るのだよ」と呼ぶ者あり)困るという北村さんの御議論は、これは年来の御議論で、私はよく存じております。それも一つの御意見だと、私は謹聴しておるのでありますが、しかし、例は幾らでもあります。私は自治体、政府がやるよりも、これはそのほうが適切であろう。はっきり私は言い切ることができると思いますが、そういうものでありますから、これが中小企業基本法の精神に反するものだ、こう中小企業基本法を大上段に振りかざしますけれども、そういうことはないだろうと思いますが、いかがですか。
  118. 老川浩正

    参考人(老川浩正君) 私は、参議院の先生はもう少し研究しておると思ったのですが、何かどうもふに落ちないのですがね。私までわからなくなってしまうんですね。いま先生のおっしゃることは、管理会をつくっても、管理会は、大家がそういうものを、入れものをまずつくって入れてやるのだ。安い家賃で入れてやるのだ。こういうことですね。こういうことならばけっこうです。私はけっこうだが、管理会は要らないということです。つくってもらって、そのために国の税金がかかる。もちろん、資本金の利と、それから――ここにちゃんとうたってあります。国会で出した資料の何ページになりますか、うたってありますが、これは国の融資、国の資本金と、国と都の折半で出した資本金によって回る利回りと、これは六分五厘の利と、それからさらに残りの取得額は、管理会設置した食料品総合小売り市場の売り場賃貸等の収入の一部をもって充当すると書いてある。これは国会から出ているわけです。私はあるところからずっと前からこれはいただいてある。借りたわけです。きょうここにいる先先じゃありません。お断わりしておきます。そういうことで、もう少し勉強が足りないと思う。だから家賃を安く入れるんだというならば、この家賃を高く取って、この家賃の一部からでもこの管理会の管理に払う、いわゆる役人の養老院的なものをつくって、そこに国家権力によってすわって、先ほどの増渕先先の意見じゃないけれども、いままで暖房のところでとっていたのが、寒い、年中氷水に手を突っ込んだ人の味はわからないでしょう。そこへ来て指導するんだと、あなたたちのおっしゃるのは指導じゃない。指導は、安い家賃だけ取ればいいんだと、家賃だけ取ればいいんだったら、そんな国家の税金をむだ使いしたり、あるいは家賃から給料を払うようなことをしないで、事、こういうたとえば十億ですが、何十、何百億ということもあるでしょう。そういうことでやる審議だったら驚きます、参議院が。ところが、参議院がとめたのは、なるほどこれはむだだと。さすが参議院というのは良識の場だと思った。ところが、十億でも二十億でもとにかくやってみなければわからない。これが通ったらこうなるんだという具体的に安くなる説明がついていれば、それはなるほどと、それじゃわれわれ零細な業者がつぶれるのを何とかしてくれというのならわかるけれども、そうでないのに、まずやってみなければわからない。こういうことで、やってみなければわからないことを、政府がわれわれの税金をむだ使いすると。国民も悪い。税金を払うときは高いの安いのと言っているけれども、いざ払った税金の行くえを見守らなければいけない。これではわれわれ毎日毎日委員会に来なければいけない。われわれが来なくても、あなた方が税金をむだ使いをしないように見守ってくれると思っていたが、こんな議員じゃわれわれまかしておけない。
  119. 田中啓一

    田中啓一君 これは際限がございませんから、私はやめます。
  120. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 事前にちょっと御注意申し上げますが、討論会ではございませんので、質疑応答に限ってやって下さい。お願いします。
  121. 田中啓一

    田中啓一君 いやもうやめます。
  122. 北村暢

    ○北村暢君 いま田中さんから、これは惑わしちゃいけないので、はっきりしておかなければならぬが、これは何回の答弁でも、政府の答弁でも、これは安く貸して入れてやると言っていないんですよ。普通の公団の、団地の住宅公団に入っている店の家賃と比較して、安く入れるなんということは言ってないんです。これは安くは入れませんと言っているんです。ほかとの均衡がありますから、ここだけは安くするということはできませんと、こう言っている。だから安く入れるのじゃありません。だからこの点はひとつ、安く入れて、指導監督はいいかげんで家賃だけ取るんだと、だから官僚統制ではないんだと、それはちょっと私は、田中さん失礼だけれども、どうもこれだけ傍聴者がおるのに、みんながそうだと思って帰られたんじゃまずいから、私ははっきり言っておく。これは安く貸すわけでもないし、指導監督もやるし、それからディスカウントの要因として経営の一部にも管理会は入る、そういうことがあるんだ、こういうことになっているんです。したがって、家賃だけ取り上げて、お前たち勝手にやれと、こういうものではないのです。それだったらまたつくる意味もないのです。川野さんは、そういうことはそうじゃなくて、政策意欲をもってやるところにいいところがあるのだと言っているのですからね。だから、それはそうなんですよ。それは率直に、ぼくは与党の先輩に口を返すようで悪いけれども、傍聴者の方がこれだけおるところで、そういうことを言われたのじゃ私も黙っておられないから立つのです。ですから、それは前からの審議の過程というものがあるから、毎回、何回も審議して、農林省は安くは貸しません、こう言っておるということ、この点ははっきりしておきたい。  それから質問は、スーパーを自主的にやっていくということについて、また、中小企業の共同化なり何なり、積極的にやっていくということを言われているのですけれども、まんべんなく世話をしてもらいたい、こういう面で午前中にもお伺いしたのですけれども、実際に皆さんが意欲をもって、近代化しようという意欲をもって、これでは時世におくれると、こういう意欲を持っているのだけれども、そのやりたいとしてなかなかできない、今日。できない。そういう面についての私は実際の御意見ですね、どういうところに障害があるのかというような点についてお聞きしたいのです。で、金融面がさしあたりですが、そのほかには、大阪等においては公設市場というのが非常に発達しているわけですけれども、大阪の公設市場というのは家賃が断然安いのであります。家賃が安い。店舗料安い。これは田中さんのおっしゃるとおりなんです。大阪の公設市場というのは家賃が安い。そういうものとひっくるめて、やはり零細な企業者ですから、私は、やはり共同化したくても融資だけではなかなかやっていけない。したがって、それはそういう施設をつくってもらいたいという意欲はあるのじゃないかと思うのですがね。あるのでないかと思うのですが、今後の問題として、そういう公設市場的のものが家賃が安い。いわゆるそういうものが希望せられる、先ほどの意見、そういうように承わりましたが、その自主的でやるという面と、それから政策的に意欲をもってやる公設市場的なものと、そういうものについての、従来皆さんが政府からどういうような――私どもこの中小企業近代化資金なり何だのという総ワクではわかるのですよ。総ワクでは何十億あるとか何とかというのですけれども、実際に魚屋さんなり、八百屋さんなり、肉屋さんに、そういう資金が借りられているのか借りられていないのか。まあ、八百屋さんと魚屋さんのほうでは借りたことはあまりないと、こう言う。手続がめんどうでだめだとかいう話があったのですけれども、そういう点についての意見をちょっとお伺いしておきたい。これはもう全体の問題として、私は、やはり将来これが、もしこの小管が通ったって通らなくたって、将来の問題として、これは合理化の問題として非常に重要な問題であると思いますので、その意向をお伺いしたい。
  123. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 委員の皆さんに申し上げますが、委員同士の質疑は、また機会もありますから、なるべく御遠慮を願って、特にきょうはお忙しい中を参考人に来ていただいておりますので、もっぱら参考人中心質問をお順いいたします。
  124. 老川浩正

    参考人(老川浩正君) まず、市場設置する場合の公設市場であったらどうか、特に大阪のほうは公設小売市場が発達しておる、こういうことでごいますが、私どもはああいうような形式でやることは賛成でございます。というこは、ただし、何十年か前に、東京市時分でございますが、市の公設市場をつくったようなことでなく、やはりいま業者の自主的ということも十分考慮に入れて、東京都の消費経済部とか、あるいは消費者方々とか、あるいは組合等、中に入って消費者の意向も十分にくみ入れた買いよいような店にする。それは当然都と国と折半に出して、いまの二十億を出していただいて、そうして魚とか肉とか野菜とか、そういう生鮮食料品だけなれば、そんなたくさん――いま一般の民営のスーパーどんどん共倒れしているくらいです、なかなか経営がむずかしくて。そういうような状況ですから、やはり魚屋、八百屋、肉屋、専門の業者に五十坪から百坪の間でそれはいいのじゃないかと思います。そういうようなことなら、ここにも書いてありますところの、一カ所一千万ぐらいのところで、あるいは二千万円でもけっこうですが、それでなければ都と国で、それがむずかしいならば、そういうものをつくる場合には管理会みたいなものをつくらなければいけないのだというならば、私どもは自分らで自主的に、それこそお金を借りて、これは資本金も何も要りません。国も都もやってくれなくても、融資でこれは解決つくということでございます。  次に、融資の問題でございますが、この融資は、いまの財政投融資で国が中小企業対策ということで非常に数字がことしもだいぶふえましたが、いま数字を持ってきませんが、ふえましたが、これは中小企業でほんとうに借りられる人は千人のうちで八人ぐらいだと思いましたが、いかがでしょう。これは皆さん御承知だと思います。大体そういうような数字が出ましたが、間違っていたら訂正願いますが、大体そういうことです。ですから、当然それがスズメの涙ほどですから、借り手が多いのだ。多いのに、やはり条件がむずかしい。融資条件がありますから、当然これは大きいものが先に取る。これはいつの場合にもそういうようなことで、魚屋の中でも肝心な零細なものは対象外である、いままではこういうことです。そこで、ここに載せておきましたが、本年度百口で八億八千万円ということでありますが、実際それじゃ借りられるかどうかというと、これが借りられても最高が坪五が五千円以下でございまして、そういうことですから、それは土地の金も何にもない。坪五万五千円。今度できる官営スーパーは、十二万予算がとってあるそうで、また、土地が坪十五万とか、いろいろ書いてありますが、そういうことをおやりになるならば、むしろ実際にかかる十五万ぐらいの金がないから借りるという、零細なものばかりが残っているわけです。やはりまるまる十二万はっきりと、土地は別でよろしゅうございますから、既存業者の裏のほうが広いとか、地続きがあれば、そういうところで非常に安上がりでできるのじゃないか、こういうようなことで、しかも中が冷房装置とか――生鮮食料品専門ですから、夏は涼しくて、ハエが一匹もいない、お客さまも近間で買える。一千万円で、二十億で二百カ所できます。こういうようなことにすれば、業者の保護政策にもなるし、消費者も数多くできれば便利であろう、こういうようなことを考えておりますので、金融の面はなかなか――通産省お見えになっていないようですが、企業庁のほうでは予算のワクが大体少ない。そういうことで、せっかく農林省がたくさん、十億も取ったのですから、しかも商業関係お取りになったのだから、このお金にもう十億足して、そういう方面に回していただくようにしたいと思います。
  125. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 参考人に対する質疑は、以上をもって全部終了いたしました。  参考人方々に申し上げます。本日は御多忙中のところ御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴いたしましたことを厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。  これにて散会いたします。    午後四時四分散会      ―――――・―――――