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石田次男君 いま申し上げた問題の
内容に入っていくわけですが、私は
兼業農家の増加、
兼業者がふえるということ
自体を否定するつもりはないのです。実際問題として、第二種
兼業農家あたりを見たら、これは
兼業をやらなければ
生活力が弱いわけです。また、第一種のほうでも
機械を買うとか、いろいろ改善したい
資金が必要だし、私は
東北の出ですが、
東北へ行きますと、
冬場というものは
仕事がありませんから、やっぱり
冬場は出かせぎが騒がれておりますが、昔から出かせぎというものがあるのです。ただ昔の場合、
北海道の漁業へ行く、たいてい
東北三県は松前へ行くといって
北海道へ行くのが多かった。最近はそっちのほうはだめなものですから、主として
都会とか、あるいは
都会周辺の
土建のほうへ来ている。これは当然
冬場の
仕事がないし、ほしいものはあるし、結婚の
資金だとか、子供を
学校へやる金がほしいとか、
機械を買いたいとか、うちを建て直したいとか、
自分たちの要求がありますから、出かせぎ
そのものはいいと思います。したがって、そういう
種類の
兼業自体はいいと思います。ところが、
兼業が度が過ぎて、度が過ぎるということは、結局そっちで取れる
賃金と、
農家が上げる収益とのアンバランスから起こる問題です。この点からいきますと、どうしても
農家の
農産物の
価格安定ということが非常に重要だと思う。
それから出かせぎで起こってくる問題は、直接
農林省の問題ではないかもしれませんが、家庭の悲劇が相当多い。また、
地方を見てみますとわかりますが、そういった
土建会社の
周旋、そのほか
周旋屋が
農村をずっと勝手に歩きまして、個々に契約して連れていってしまう。
周旋ですから、来るときはいい話であり、一日千円だの、千五百円だのいって、
労働時間もそんなに長いような話はしないし、待遇もいいような話をして連れていきます。ところが、実際行ってみるとそうじゃない。なれた
土建屋でさえ注意して扱わなければならぬものを毎度扱わしてみたり、ダンプで
砂利ぐるみ人間まで乗せて突っ走ってみたり、それで死人、けが人がずいぶん出てくる。こういう方面の
監督行政というものはいまおざなりになっております。もっと悪いのが
九州あたりでよくある。福岡市の
周辺にある。朝の六時半から七時ごろ、
私設職安を開く、
神社の
境内あたりで。それで
仕事のほしい
人たちはだれかれかまわずそこへ行く。そこに行けば
仕事があるという習慣、常習になっているのですから、そこへ行きます。そこで
人集めをやっている連中は何かといえば
暴力団です。確かに
賃金そのものはよそから比べていい日給をくれます。八百円だの、場合によっては千円くれます。低くても五、六百円くれます。それを
周旋料と称して多額に
ピンはねしているわけです。おそらく一人で二百円から三百円
ピンはねを食っている。
ピンはねされても、
職安なんかよりちょっといいから釣られていく。そこには
労働基準法もへったくれもないのですから、相当乱暴なことが
労働内容にもあります。こういった
私設職安的な
存在、あるいは
農村をうろついて
甘言で釣って歩く
周旋屋グループというのは全くの野放しになっているのが
地方の
実情だと思っております。こういう
実情を、
一体農林省とか、あるいは監督しなければならぬ各官庁、
労働省もそうです、把握しているのかどうか。また、
地方へ行って募集して歩いた場合に、いきなり
個人契約でいってしまう、こういうのは当然
職安系統のほうで申告をさせて、何カ月間どこへ行くのだ、所在を抑えるくらいの
行政というものが今日必要じゃないかと私は思うのですけれども、こういう点についてのお
考えなり、各省の
連絡事項というものはどういうものですか。