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1965-02-18 第48回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十八日(木曜日)    午後三時十四分開会     —————————————    委員異動  二月十七日     辞任         補欠選任      小宮市太郎君     野溝  勝君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         仲原 善一君     理 事                 田中 啓一君                 森 八三一君                 矢山 有作君     委 員                 北口 龍徳君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 温水 三郎君                 野知 浩之君                 藤野 繁雄君                 堀本 宜実君                 森部 隆輔君                 野溝  勝君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君    政府委員        総理府総務長官  臼井 莊一君        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君        農林政務次官   谷口 慶吉君        農林大臣官房長  中西 一郎君        農林大臣官房予        算課長      太田 康二君        農林省農政局長  昌谷  孝君        農林省農地局長  丹羽雅次郎君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君        農林省園芸局長  林田悠紀夫君        食糧庁長官    齋藤  誠君        林野庁長官    田中 重五君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林水産基本政策に関する件)     —————————————
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員異動について御報告をいたします。  二月十七日付をもって、委員小宮君が辞任され、その補欠として野溝君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 農林水産基本政策に関する件を議題とし、前回に引き続き、質疑を行なうことにいたします。  質疑のおありの方は、発言を願います。
  4. 野溝勝

    野溝勝君 大臣に私、二、三お伺いしたいと思います。  それは食糧関係の一環としての甘味資源の問題でございます。特に甘味資源の問題につきまして、政府甘味資源関係二法案をさきの四十六国会に出してそれを可決したわけであります。しかし、その後の動きを見ますると、砂糖相場の暴落により、内地北海道沖繩農民は大きなショックを受け、非常に不安であり、精糖業界糖価不安で混乱しています。そして消費者もまた糖価続落といっても、それほどに安くはない小売値で、不信、不満を持っている現状です。甘味資源関係二法の趣旨は、要するに、砂糖需給の安定あるいは自給度向上廉価供給国民生活向上というようなことを基礎において、内地北海道沖繩等てん菜サトウキビとその産糖保護が、法の内容になっておると思います。しかし、現状をみれば、法の趣旨とははなはだかけ離れたものを、感じるのであります。このことについて、私は赤城農林大臣、あなた一人の責任だと、こういうふうな極論はいたしません。けれども砂糖自由化をやるには、その前に、国内甘味資源保護対策など体制を固めておかなければならないと思う。そうしておかなければ、砂糖自由化は無理じゃなかったかと、私はこういうように思うのであります。そこで、こまかな問題については、関係係官当局のほうからお伺いするといたしまして、まず大臣にお伺いしたい。大体一昨年、砂糖自由化した当時の情勢判断考え方や心持ち、それから先国会での甘味資源関係法提案当時の気持ち、そんなようなことに対しまして、この際御所見をお伺いしておきたいと思うのであります。
  5. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 現在のように、世界粗糖市況変動して安くなり、低落をするというようなことは、実は、残念ながら自由化するときに見通しを持っておらなかったのでございます。当時は相当高いのでこれはむしろ自由化して行ったほうがよかろうというようなほうに重点を置いたわけでございます。同時に、国内甘味資源法律につきましては、継続審議になっておりましたので、この国内甘味資源法律が通ってからやろうというのが最初の案でございましたが、考え方でございましたが、自由化する際には、甘味資源法律が通過する見通しであるし、国内甘味資源生産に支障ないばかりでなく、その地産がよくいくようにというような条件も付して、私ども自由化に踏み切ったわけでございます。しかし、踏み切ってみましたあと世界粗糖市況変動いたしまして、非常な低落を続けておるということでございますので、国内甘味資源生産あるいは価格支持等にも相当影響を来たしていままできておるというのが現状かと思います。
  6. 野溝勝

    野溝勝君 いま大臣お話しになりましたように、当時の考え方と、結果においてそごをしたということを告白されましたのですが、それならば今後どういうふうにこの糖価の問題について施策をやっていこうとしておるのか、また、農林省はどういうふうにこれを今後進めていこうとしているのかというようなお考えに対して、先にお伺いしておきたいと思います。
  7. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 国際市況影響というものが、相当日本国内への甘味資源の問題にも及ぼしてきている、こういうことでございますので、国内甘味資源対策では十分ではないじゃないかという反省がされております。そういうところから、てん菜糖とかサトウキビその他国内甘味資源対策を円滑にしていく上におきまして、国内糖価変動を避けるような方法、可及的に安定させるということが必要であろうかと、あるいは望ましいことだというふうに考えて、砂糖全体につきましての対策が必要な段階だというふうに考えております。しかし、その対策につきましては、先ほどお話がありましたように、これは各方面利害関係もございまするし、影響するところも広いので、いま各方面意見を十分に聴取しながら検討を続けております。適切な対策を講じようと目下検討中でございますが、結論を得るという段階にはまだきておりません。非常に意見のまるで違った面もありまするし、帰一する意見というものを取りまとめるのにはまだまだ相当の時日を要するというふうな段階でございます。
  8. 野溝勝

    野溝勝君 私は、赤城さんの人となり、個人的には人格のりっぱなこともよく承知していますが、いかに赤城さん個人がりっぱでありましても、また、非常にまじめな方でありましても、政策問題は私は譲るわけにはいきません。  そこで、大臣も御承知だろうと思いますが、生産者は、てん菜農民にいたしましてもサトウキビ生産農民にいたしましても——消費者消費者で、御承知のごとく幾ら糖価が本年二月、十二年ぶりの安値に落ち込んだといっても、町では、キロ当り百三十円前後で、やはり世界一高い砂糖をなめさせられているのでございます。ところが、業者のほうは業者のほうでこれまた混迷しています。そうしてただ混迷を続けるだけで、政府は総合的な対策がきちんと立たないために、わが国の砂糖行政は、自給率にもメドがたたない始末です。三十六年度においてさき政府が立てた甘味資源自給力強化総合対策ども、いつの間にかなくなっているようなかっこうです。砂糖問題は、私は基本的な国民食糧の問題だと思うのでございます。砂糖国民生活に絶対に必要なものでありまして、一日も欠くことのできないものであります。この問題を、今日の段階でまだ調査中とか、いまのところ検討中とかいうことでは少し情けない気がいたします。  そこで、大臣にひとつ申し上げるのでございますが、なるほどこの問題は、そう簡単に解決するものとは私も思っておりません。しかし、これから申し上げるようなことを政府がやっていただけば、私は漸次軌道に乗っていくというふうに考えております。そこで、これはあなたも御承知だと思いますが、砂糖対策についての社会党案ですが、これにはいろいろありますが、特に私が申し上げたいことは、国内甘味資源てん菜糖、甘庶糖、ブドウ糖等は、国が食管会計で全量を買い上げる。国内産糖価格をプールして砂糖の標準卸し売り価格をきめ、これを基準として、輸入粗糖売り渡し価格をきめ、業者売り渡し価格をきめ、業者に売り渡す。輸入糖国家管理に伴い、関税を撤廃して、消費者価格の引き下げ、国内産原料価格支持を行なうとともに、一部の価格安定のための調整資金とする。こういうことです。このほか五つばかりありますけれども、こういう社会党考えを、大臣、一応ごらんになっておりますかどうですか。大臣にすぐにこれをやれといっても、それは無理でしょう。大臣、こういう社会党案を私どもが出していること、御記憶にありますかどうか、それをお聞きしたい。
  9. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 記憶しておりまするし、一応は私も目を通しました。
  10. 野溝勝

    野溝勝君 そこで、大臣に私はお聞きをするのでございますが、いま大臣は、特に価格の安定、自給度向上ということを中心に検討されておると言いますけれどもさきに上げた三十六年につくった計画では、自給度は四十三年度において四九%としています。この計画について、今日どうなっていますか、その後の計画などお伺いしたいと思います。
  11. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 事務当局から。
  12. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) お話の、自給度四九%の計画というのは、たしか三十四年度当時におきまして、今後の砂糖需要に対しまして、国内甘味資源に一応の自給目標を立てまして、おおむね五〇%、当時の需要量といたしまして百五十万トンと想定いたしまして、おおむねその半分を自給するというふうに計画を立てたことは事実でございます。しかし、その後におきまして、需要量が当初予定したときよりも相当伸びてまいりました。実行上は現在はそのような自給率には達成いたしておりません。しかし、甘味法制定に際しましては、御承知のように甘味自身適地政策ということを進めることによって、一面、農業経営の改善、農業所得維持をはかると同時に、それによって自給度向上にも資するというような考え方によっておるわけでございますので、現在のところ、当初の計画ではなしに、その後の生産目標に対しまして、需要目標に対しまして、逐年の生産目標を立て、甘味法によってできるだけの自給度をはかっていきたい、こういう考え方に、多少その点は変わってまいってきたわけであります。当初予定いたしておりました需要目標見通し等につきまして、相当その後において変化してまいりました。ただいまのところ五〇%目標というふうなことには必ずしも考えておりません。
  13. 野溝勝

    野溝勝君 三十六年度の計画は、いま食糧庁長官が、大体これはそのとおりであった、その当時はそれであったということを認められたのですが、この計画では、四十三年度において需要量は百五十二万トン、自給度を四九%にきめていた。その後の情勢から非常に変わってきたと、こう言われるのですが、その後の情勢で変わってきたといたしましても、国民生活に絶対に必要なものでございますから、それではその後自給度あるいは需給量をどのくらいに一体見ているか、このことについて政府考えをお伺いしたいと思います。大体、こういう具体的な目標が出ておらぬものですから、やはり三十六年につくった計画目標というようなものを参考にしておるのです。その後のことは新聞にも出ておらない。だから、ひとつここでお伺いしておきたい。
  14. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 三十四年当時の目標といたしましては、いまお話がありましたように、十年後の四十三年度においては総需要量百五十二万トンというふうに考えておったわけでございますが、すでに三十六年度需要量は百五十六万トンになり、三十八年度におきましては百六十六万八千トンというふうな需要量になっておるわけであります。一面、農業基本法におきまして、重要農産物の長期の生産及び需給見通しを立てておりますが、それによりますと、昭和四十六年度におきまして、十年後の四十三年度の目標とは年次が違いますが、経済成長率が七%の場合には二百九万トンくらいの需要になるであろうというような想定もいたしておるわけであります。したがって、この目標に見合っていかに自給率を高めるかというような計画については、なかなか当初のとおりにいかないであろう、できるだけ自給度を高めるという方向では生産振興をするといたしましても、いかないであろうということで、甘味資源法制定趣旨はあると考えておるわけであります。  現在どのようになっておるかという御質問でございますが、三十四年当時におきましては自給率が一六・九%でございましたが、三十八年におきましては総需要量百六十六万八千トンに対しまして国内生産量が四十五万八千トン、二七・五%という自給率になっておるわけでございます。
  15. 野溝勝

    野溝勝君 深くこまかい数字を追及しているとなかなか時間がかかりますので、あまりお聞きはしませんが、三十六年計画では、四十三年において需要量を百五十二万トンと見て、自給てん菜糖四十万トン、サトウキビ糖二十万トン、ブドウ糖十五万トン、計約七十万トン、残りは海外粗糖輸入によるというわけですが、経済成長によりこれは崩れて、事情が違ってきていると、かように言われました。それほどの砂糖需要の伸びのなかで、生産者はどうかというと、いまの買い上げ価格では非常に不満があります。そういう点についてはやはりうらはらな問題としてどういうように考えているのか。もっと増産をはかって自給量を増そうとするのか、そういう点についてひとつお話を聞いておきたいと思う。  それからいま一つ申し上げたいのは、いろいろ混乱している事態のなかで、当局としても解決策検討をしておる際に、精製メーカーはすでに台湾、キューバ、豪州などの海外粗糖を一年分約百七十万トンの輸入契約をされたのですね。これは一般常識としてはちょっと理解しにくいところです。政府業界との間には、話し合いがついているのか。国内糖との関係とにらんでこれをきめたのか。こういうようなことは行政上非常に重要なポイントとなりますので、この点をひとつお伺いしたい。それが間違っておる、間違っていないということは、これはまたあとでお聞きするといたしまして、この点をひとつお聞かせ願いたい。
  16. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 先ほど大臣お話がありましたように、国内甘味資源生産維持育成保護につきましては、まあ甘味資源法制定を得たいと、これによって所期の効果を上げたいと、こういうことで生産振興の面においては甘味資源特別措置法によって諸施策を進めておるわけでございます。  第二の、自給度国内生産量見込み関係なしに輸入糖が入っている関係はどういうふうに見ておるのか、こういう御質問でございますが、その点は、いま輸入糖につきましては一応輸入についての制限がないわけでありますので、貿易の自由化という線で、各企業の判断によって輸入の量がきまってくると、この間におきまして、いま法制上、あるいは行政上の数量制限ということについては関税以外にはないわけであります。したがって、先ほど来御議論になりましたように、輸入糖輸入糖としてどんどん入ってくる。それに伴って国際価格変動を直接国内価格に反映させるというようなことで糖が不安定になっておる。これがまあ国内甘味資源法運用といかに調整していくかというようなことが一つ問題点に現在なっておるわけでございまして、これをどのように調整していくかということが当面検討いたしておるところでございます。
  17. 野溝勝

    野溝勝君 まあ食糧庁長官もすなおにいまお話をしてくれたのですが、大臣長官も言われるとおり、この点が問題だ、この点が問題だといって、こう調整調整といってきたんじゃ、いま言うとおり消費者も、生産者も、メーカーも三者がみなこう青息吐息でおる状態ですから、行政のおくれは否定しがたく、遺憾というほかない。その調整ということはどこに一体めどを置くのか、というのはですね、自給度をもっと高くして、絶対量が不足ですから、自給量を多くしていこうというのか、その比重を輸入糖に置くのか、その点をひとつはっきりしてもらいたい。政府はこのめどをちゃんときめているのかどうか。先ほどのお話では、経済成長の結果、三十六年計画では間に合わないと、こういうのですが、それでは、どうかというと、この点が明確になっていないのですね。したがって、生産者の問題にしても、生産者価格を引き上げる、買い上げ価格をどうするか、あるいは特別奨励金などの問題についてはどういうふうに一体これを考えていくのか。これは原価の中に算定して、メーカー生産者の間にいざこざを起さぬようにしていくべきと思うが、こういう問題はどうする、そういうようなこともありますので、私は第一に、今後の自給量というものと輸入糖というものをどの程度にみるか、まず、基本的な需給計画というものが出なければならぬと思うので。それがまだ調整中、こういうことじゃ、極論すれば、政府は無策だと言わざるを得ないのでございます。この点はどうなんでございますか。
  18. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 農産物のことでございますので、なかなか工業製品みたいに計画生産というわけにはまいりません。しかし、甘味資源特別措置法におきましては、それぞれ生産適地におきまして生産振興計画を立てて、これに基づいて生産振興をはかろうという一つの方式になっておるわけでございます。現在のところ、これにつきましては、それぞれ生産振興地域について生産計画を一応立たしておるわけでございますので、この生産計画が達成されるように甘味法運用をはかっていくということが必要だと思います。その結果として、需要量に満たざるところのものは当然輸入に仰がざるを得ないということになるわけでございますが、輸入量の、必要以上の輸入の増加あるいはそれに伴って価格の低迷というようなことが国内甘味資源生産に悪影響にならないように、ということが現在の問題であるということを申し上げたわけであります。したがって、国内糖の今後成り立つべき価格と、国際価格影響された輸入糖国内価格との価格水準といいますか、価格安定帯といいますか、そういうようなものが何かなければこの間の調整はなかなかできにくいのではなかろうか。しかし、それについては、手段方法にいろいろの考え方がありますし、また、それに伴って利害関係もいろいろ異なってまいりますので、その方策についていま苦慮いたしておるということでございます。
  19. 野溝勝

    野溝勝君 どのくらいな需要量で、どのくらいの自給度を見込むのですか。その計画があるでしょう。生産計画に対する何か基礎というものがあるでしょう。
  20. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) まだ五カ年後の生産計画というものについての確定したものはございませんけれども、一応この甘味資源特別措置法制定します際に、見通しといたしまして、五カ年後における国内生産見通しというものを出したものがございます。これは私よりも園芸局長が所管でありますので、あるいは園芸局長のほうが適当じゃないかと思いますが、その当時の資料によれば、大体結果的には三七、八%、四〇%弱程度自給率になるということだったというふうに記憶いたしておりますが、詳しくは園芸局長から御説明いたします。
  21. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) いま食糧庁長官から答弁申し上げましたように、この生産計画というものはまだ策定していなくて、四十三年におきまする三十八年を基準にいたしまして五カ年の生産目標というものをつくっております。それによりまして、てん菜につきましては、北海道におきまして面積は五万二千ヘクタールぐらいを考えております。それから北東北におきましては九千二百ヘクタール、それから南九州におきまして二千六百ヘクタール程度考えております。
  22. 野溝勝

    野溝勝君 考えておるというだけじゃまことにもの足りないのだが、まあそれ以上は言えないとも思う。私も各府県を、青森県とか、その他生産地を調べてきていますが、大体生産計画どおりいっておらぬ。あなたたちのほうも、特に今日の状況の中では確実なことも言えないとも思うから、私はこれ以上言いません。しかし、いま言われました自給率三七から八%間違いありませんか。
  23. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 生産量といたしまして、私たちのほうでは百八十三万九千トン、これがてん菜生産量でございます。
  24. 野溝勝

    野溝勝君 それじゃ、まあ追加変更でわからぬから、またあらためてお聞きしますが、そうすると、その計画は完成されたものはないが、生産地に対する一つ計画目標というものになってはおるわけです。大体そのとおりにはいかぬということになると、私はこの目標というものは減ってくると思うのですよ。その減ってくる理由ですね、どこが一体思うようにいかないのかという点は、当局としても十分検討されておると思うのですが、そういう点について予定どおりいくという一つ見通しはありますか。なるほど、私の言ったとおりなかなか容易でないというふうに解釈されますか。その点ひとつお答えを願いたい。これはお互い国のことだから心配をして言うので、決してあなた方を追及し、責めようという腹じゃありませんよ。
  25. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 先生がおっしゃいますように、生産目標を立てておりまして、その目標に向かって鋭意努力をいたしておる次第でございまするが、やはり農産物のことでございまするから、これに関係する生産農民も非常に多いというようなことがございまして、いろいろな理由からそのとおりなかなか進まないということがございます。まあその理由といたしましては、たとえばてん菜栽培機械化がおくれておるというような上に、労力が急に不足を来たしてまいったとか、あるいは一方北海道におきましては、水田の造成が旺盛でありまして、よい畑が水田化しておる、まあいろいろな理由がございます。それで実積といたしましては、昭和三十八年が北海道面積が四万二千五百町歩程度であったのでございまするが、三十九年には四万三千五百町歩と、千町歩ぐらいふえてまいっておりまして、大体順調に推移をいたしております。北東北におきましては、三十九年は三十八年より三百町歩ぐらい減っております。それから南九州につきましては、三十九年は三十八年より五百町歩ぐらい急速にふえておるという状況でございます。
  26. 野溝勝

    野溝勝君 私は全部調べたわけじゃございませんが、青森県初めなかなか思うようにいかないのでございまして、いまの目標も私は非常に不安定だと思っております。しかし、この問題は、そういうことを私が知っておるという点におきまして、あなた方もただ一つ数字だけによって何といいますか、マジック的に考えぬように、ひとつもっと自信のある数字として出せるようにしていただきたい。  次に、私が申したいことは、生産者価格ですが、政府では非常に力を入れているというかもしれないが、てん菜栽培の場合、たとえば三十九年産てん菜農家手取り価格では、反当り大体三千円ぐらいの利益にしかならぬのだね。御承知のように、てん菜政府告示最低価格トン当り六千四百五十円でしょう、それに特別奨励金が七百五十円で、農家手取りトン当り七千二百円です。サトウキビのほうは、ブリックス十六度で最低価格トン当り五千百円、したがって、農家手取りは、ブリックス十八、九度平均として、トン当り五千七百五十円見当になるというわけです。この産糖政府買い上げ価格は、てん菜糖トン当り一万円、キビのほうは九万二千円と、こういうわけですね。この価格を三十八年産の農林省生産費計算に対比してみると、北海道てん菜農家の場合、反当収入で利益はわずかに三千円程度てん菜農家一戸当りにすれば、七、八反平均の栽培で十七、八万円にすぎない。こういうところに農民のレジスタンスというか不満もあるんですよ。ますますもって合わないためにやめてしまうということで出かせぎにいくというようなことになるのであって、甘味資源対策が思うにまかせないという結果になるのですね。ですから当局として、こういう問題に対して十分検討し、生産者がもっと生産意欲をもって増産に励むことができるよう、くふうできないものか、こう思うんです。と申しますのは、農林予算は大臣が努力されて、ある程度計上されましたが、ここでちょっと重要な点を申し述べておきたい。申すまでもないが、私は、日本の経済全体とにらみ合わせて、農業政策を立てなければならぬと思う。たとえば今日、農林物資の輸入は食糧を中心として年々相当の伸びを示して、ごく近い将来、総輸入の半ばをこえるものと思われるが、これは国際収支上放置できない雨天問題です。農林水産物の輸入状況は三十八年で総輸入六十四億ドルの四七%、二十七億ドル余の輸入をしておるわけですね。特に食糧農産物におきましては、総輸入の二二・八%、約十六億ドルですよ。これほどドルを使っているわけですね。そして、国内経済動向から見て、食糧農産物を中心にして農林物資の輸入は、将来ともにますますふえていくでしょう。そうすると、おのずから国際収支上非常に重大な問題点となってくると思うんです。したがって、今日米、麦、乳製品、砂糖など、国民食料の自給が思うようにいかぬければそれは全部買ってくるんだというだけでは、わが国の経済政策あるいは農政とは言えないと思う。食料や国内資源関係の問題は、あらゆる角度から検討し、総合的なとらえ方をしてもらわぬと困る。だから砂糖の問題にしても、それではもっとふやすように努力するというこの気持ちが出てこないかと思うんです。そこで、国内甘味資源を伸ばし、大いに自給度をふやしたいとする場合、どこに一体問題があるかというなら、端的なところ、価格の問題です。今日てん菜生産農民は、三十八年で約八万三千名、沖繩のキビ作農家は五万戸近くあるわけですが、要するに、これらの生産農民が喜んで生産に従事するというような政策をとってはどうかと思うんです。いま申したとおりばく大なドルを農林水産物の輸入に充てておるのでございますから、それをさいて国内農民に喜ばして生産をもっと向上さしたらどうか、こういう考え方。これは理屈はわかるけれども、なかなか思うようにいかぬとおっしゃるかもしれませんが、そこをちょっと考えてもらえないか。農林大臣砂糖は米と同じように絶対必要なものなんですから、一日でもなくちゃ生きていけない問題ですから。  そこで、私がこう申すのは、まあ生産費の状況をひとつ御検討を願いたいと思う。三十八年のてん菜の生殖費は、農林省数字でみると、大体十アール当たり、すなわち一反歩、反収約二トン半と見て、第一次生産費は、一万四千二百三十円で、この内訳は種苗費が五百十九円、肥料費が四千八百九十七円、諸材料費が二百六十七円、防除費が二百九十二円、建物費が百三十七円、農具費が八百二十一円、畜力費が千百十三円、労力費が五千八百九十三円、賃料料金が二百九十一円。次に、地代、利子という第二次生産費は千十五円となっています。合計一万五千二百四十五円、こういう生産費計算になっているわけです。これは大体農林省の統計なんでございますが、しかし、実際の生産農民の資料はこんなことじゃないです。もっと生産費がかかっている。そこで、三十九年産てん菜農家手取り価格トン七千二百円では、農民の手取りは、北海道においてさえ反当り一万七千か八千円くらいでしょう。単一作物、輪作のてん菜栽培のことだからこれではとても農民に増産に努力しろといったってそれはできない。だから毎年てん菜糖価格問題につきましは、農民メーカーとの間にいざこざがあります。そこで、メーカーのほうでは、特別奨励金を出すということになっておりますが、私は、この特別奨励金なんかというものがおかしいと思う。メーカーはもうからなければそんなもの考えやしません。こういうことをやらずに、十分な適正な計算をやる、こんな特別奨励金というようなものは、おのずからこの中に織り込まれるということになされば農民も納得すると思う。  さらに、さて、サトウキビのほうをみても同じことです。これも問題にならぬですな。沖繩サトウキビのほうにおきましては、この農家手取りは大体四万二千円前後とみられます。これじゃ農民はやっていけず、不満を持つのは当然で、昨年来、沖繩から陳情団がやってくることになるのですから、こういう点についてひとつ取り組んで、あなた方のいまの計画あるいは増産計画も、真剣にやるなら、こういうところにポイントをおいてもらわねばならぬのじゃないかと思う。  最後に、もう一度申しますが、砂糖問題は、国の基本食料で、奢侈品、ぜいたく品と違う必需物資の問題です。また、国家財政上、重大な国際収支に関係する問題です一でありますから、国内農民に喜んで増産してもらい、生産も伸びて、需給が安定する、糖価も安くなる、こういうところに関心を払い、ポイントをおいてしかるべきじゃないかと思いますけれども、ひとつ大臣のほうから、こういう観点から、完全にいかなくても一歩前進するようにしよう、ひとつ努力してみようという御所見をお聞きすれば、私としてはこの問題についてはこれ以上お伺いいたしません。
  27. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御説のとおりと考えております。農民がなかなか喜んでというわけにはまいりますまいが、生産をしていく上において力をつけながら生産をしていくということから、価格対策ということを十分考えなくちゃならないと思います。   〔委員長退席、理事森八三一君着席〕  しかし、いま後段にお話がありましたように、同時に基本的に生産費も安くあげるというような、生産性があがるというような方策といたしまして、構造改善事業等にも力を入れていかなければ、いつまでたっても農民のふところがよくなるというわけにもいきません。価格政策は補完的なものでありますけれども、しかし、現在といたしましては、並行といいますか、そういう線で進めていかなくちゃならぬと、こういうふうに考えております。
  28. 野溝勝

    野溝勝君 大臣から、私の主張に対しまして前向きの気持ちで努力すると、生産農民の希望になるべくこたえるように努力するという方針で進みたいと、こういう御所見のようであります。しかし、構造改善等の問題もありますので、その方面からも援助したい、こういうお話でありますが、構造改善はけっこうでございますが、農民にはなかなか自己負担の力がないのでございますから、それをやらなければ、おまえたちはだめだということにはならない。構造改善をやる場合には、やはり農民の経済状態、それから国自身がそれを考えてやるということにしなければならぬと思いますので、そういう点は御明示を願っておきたいと思います。さて、特に大臣に、大臣というよりは農林当局に警告といいますか、考えてもらいたいんですが、今度、政府では事業団設立の意図があるということを聞いておりますが、事業団もそれは決定的に悪いというわけじゃございせんが、これはどういうことですか。これは赤城さんに言うんじゃないが、政府施策というものはいつでも思いつきでございまして、あとからあとからと計画を立ててくるのでございますが、はなはだ私はまずいと思うのです。たとえば、前の大臣の河野君の時代でしたが、あのときにちょうど北海道てん菜糖を、何といいますか、ひとつ発展させようという気持ちであったかもしれませんが、むちゃくちゃに工場をつくらした。それで一般的には非常な誤解と疑惑を起こさせた。その結果はどうかというと、農民メーカーとの間にいろいろの問題を起こした。そのために、むしろ生産量は工場の稼働力よりは、最初の予想よりは問題にならぬほど低い状態になっている。これは私は、数字はきょうは言いませんが、そんなむちゃくちゃなことをして、農民には農民でかえって不信を抱かせ、せっかく開拓したメーカーには心配をかけていざこざを起こす、こういうような無計画なことでは私はいかぬと思うのですね。だから事業団をつくるにいたしましても、こういうことを十分考えにおいてやってもらいたい。先ほど指摘したとおり、今日の状況の中で業者は約一年分、三十万トンもの海外粗糖輸入契約をしておる。業界混乱の中でこの状態であります。糖価低迷のときであります。さらにまた、このときに名古屋精糖だとか横浜精糖だとか、これがまた莫大な投資計画で工場の新増設をしようとしています。これはむちゃくちゃですね。こういうことについては、政府はあらかじめ方針をきめて、幾ら自由競争経済といっても、一般情勢を無視して、そんな非常識な設備拡張、輸入競争はだめだぞということを、私は警告なり注意なりしてやるということが必要であり、政府の親心だと思うのですね。こういうことを放っておけば、やがて赤城君の頭が痛くなる。加えて、いろいろと痛くもない腹を探られて、あっちがどうだとか、こっちがどうだとかいって、不必要な問題をかもすのですよ。まあ、そこで今度できるという事業団はどういうことを考えておられるのか。新しく事業団をつくるのかつくらぬのか、つくらなければどういう方針でやるのか、つくって、こういう方針でやるということも、もちろんそれもけっこうですから、その点をひとつ参考のためにお聞かせ願いたい。
  29. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 甘味資源の事業団をつくるかつくらないか、一つの事業団というのも構想ではございますが、まだそこに踏み切るというような段階には至っておりません。各方面意見等を食糧庁当局において聴取して、どういうふうにやっていったらいいかということで検討中でございます。先ほど申し上げましたように。いま事業団というものを、一つの構想には出ていますけれども、つくってやっていくというところにいっておるわけではありません。
  30. 野溝勝

    野溝勝君 検討中であれば、それはもう私は何おか言わんやでございますが、検討の際に、ただいま申し上げたようなことも参考に置かれまして、前車の間違った点をひとつ再び繰り返さぬように考えていただきたいと、こう思います。では国内関係の何のいいますか、資源、特にてん菜につきましては、きょうはこの程度に時間の関係でとどめておきます。  次に、沖繩産糖について少しお伺いしたいと思います。沖繩産糖サトウキビの収量、産糖量は、三十八年度の実績、三十九年度の見込み、四十年度の予想、この点についてひとつ伺いたい。食糧庁長官でよろしゅうございますから……。また、トン八万円で五万七千トンの沖繩産糖を買い上げ、そのうちの七千トンを政府で買い上げ、五万トンは業者で買い上げるということをきめたようですが、万万七千トンとし、八万円としたその根拠を伺いたい。
  31. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 沖繩産糖、粗糖の生産見込みを十七万一千トンといたしております。その中から政府の買い入れ限度数量を十万三千トン、六〇%ということで四十年度予算に計上しておるのでございますが、糖価が非常に下がったというようなことで、三十九年度に五万七千トンを買い上げる、こういうことになっておりまして、いま七千トンをとりあえず入れよう、こういうことになっております。
  32. 野溝勝

    野溝勝君 三十九年度はわかりましたけれども、四十年度の予想のほうがわからぬのでございますが。
  33. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 沖繩琉球政府の甘庶及び甘庶糖の生産計画というのがございます。これの数字を御紹介申し上げますと、四十、四十一年度で二十二万七千トン。四十一、四十二年度二十五万二千トン、四十二、四十三年で二十七万トンということに相なっております。これに見合う先ほど作付面積の点でありますが、三十九年で二万一千十五ヘクタール、それから四十年で二万一千四百四十五ヘクタール、四十一年で二万一千八百五十ヘクタール、四十二年で二万二千ヘクタール、こういう計画になっております。
  34. 野溝勝

    野溝勝君 十七万一千トンのうち、その六割十万三千トンを買い上げるという、まことに少ないじゃないか、こう言いたいのでございますけれども、もう少し根拠を明らかにしてもらいたい。この沖繩産糖の買い上げについては、私は赤城さんに対し、いいことをしてくれたといいたいと思うのです。あなたになってから買い上げをやられたんでございますから。それで予算にも計上された、この点はまことにけっこうでございます。また努力は感謝します。しかし、この六割を買うというこの根拠ですね。なぜ一体国内においては全量を買い上げて、それで甘味資源が少ないというのに、なぜ沖繩だけは六割にとどめたのですか、そのことが一つ。  それから、新聞報道では、三十九年度の沖繩産糖買い上げについて大蔵省と話し合いをしていたという話ですが、その結果が七千トンの年度内政府買い上げ、そして、万万トンについては業者——名古屋精糖、台湾製糖など六社にこれを保管させる、こういうことになっているが、そのとおりですか。政府買い上げのほうは政府の指定倉庫渡しでトン当たり八万円、五万トンの分については業者にまかせる、その業者のほうの五万トンは七万五千円の仮払い、そうすると二重の取り扱いをされるのだが、この点が私わからないのですがね、この点をひとつ……。
  35. 齋藤誠

    政府委員齋藤誠君) 先ほど大臣から御説明がありましたように、約六割に相当するものについて、どういう根拠できめたかと、こういうお話でございます。国内におきましても、国内糖につきましても、たとえば奄美大局の甘庶糖は九割の買い上げ、それからビートについては販売最の七割を買い上げるということにいたしておるわけでありますが、沖繩産糖については御指摘のとおり六割ということで一応予算は見込んでおるわけでございます。なぜ全量買わないのかと、こういう御質問かと存じますが、糖価自身がまあどのようにこの一年間に推移するかということもございますが、それによってたとえば沖繩産糖のコスト価格以上に市場価格が上回るということになれば買う必要はなくなってくるわけです。他面、甘庶糖につきまして九割の買い上げ量ということにきめたわけでありますが、沖繩の甘庶糖の企業と奄美の企業におきましては、その近代化といいますか、規模の点におきまして相当の開きがあるわけであります。そこで、奄美大島におきましては、八会社の自販分が一割あるわけでありますが、それらの各社の負担能力との均衡もあわせ考えまして、沖繩につきましては約六割程度ということにいたしたわけでございます。  それから第二の御質問の、ことしの琉球から年度内に入ってくる五万七千トンのうち、七千トンだけ政府買い上げで、五万トン分については輸入業者に保管させておくというのはどういう意味であるか、こういう御質問だと存じますが、実は沖繩産糖の予算を計上する当時におきましては、市場価格が百十二、三円、一月になりまして百二十円というようなことでありまして、必ずしも年度内に沖繩産糖のコストの面からいきまして必ず全部買い上げる状況に相なるかどうか明確でなかったわけでございますので、そこで、四十年度予算ということに計上いたしたわけであります。そこで三十九年度の買い上げ予算としては、実は食管の砂糖類勘定には計上していなかったわけでありますが、たまたま五万七千トンのうち七千トンの買い上げに見合う予算としては買い入れ費として余裕が生じておりますので、この分はできるだけ早く買い上げようと、こういう手続きを進めておるわけでありますが、残りの五万トンにつきましては、とりあえず業者において保管させまして、そしてその間、実は大手のユーザンスを利用させるという形で業者に買い取らしたものにつきましては、沖繩には政府買い上げと同様に一部仮払いをするという措置をとりまして、そして四月以降になりました場合におきましては、予算が成立いたしますのを待ちましてこれを政府に買い上げる、こういう便宜の手段をとったのでございます。まあやむを得なかったわけでございます。しかし、政府買い上げのものも、それから業者に保管さしたものにつきましても、沖繩に対する支払い額につきましては大体同額でいくということになるわけでございます。
  36. 野溝勝

    野溝勝君 そうするとこういうふうに解釈していいのかな。沖繩産糖については政府買い上げの価格と同じように扱うというように解釈していいのかな。大臣、どうです。
  37. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) そのとおりでございます。
  38. 野溝勝

    野溝勝君 そこで私お伺いするんだが、いろいろまあ事情はいまお聞きしましたけれども、特に沖繩の産業というものは農業が主です。で、沖繩農民はこの八割からがサトウキビで生活しておる農民なんです。だからこの砂糖の買い上げという問題は死活問題なんです。この点については、沖繩農民は特に農林大臣にも強く要望に来たと思いますけれども、それは間違いございませんか。
  39. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かに沖繩の甘庶糖生産は、日本の内地の米の生産のような立場にあるというふうに私了承しています。ただ、よけいなことを言っておしかりを受けるかもしれませんが、ほんとうに農民のためを考えていかなくちゃならぬと思います。中途における精製業者等にあまりに重きを置くというようなことは、これは避けていかなくちゃならぬと思う。純粋に生産農民の立場を考えて対処していきたい、こういう考えで進めておるわけであります。
  40. 野溝勝

    野溝勝君 大臣のその農民に対する誠意あるお答えは非常にけっこうなんですが、私はそのことと関連いたしまして、特に施政権の問題などで非常にまあ政府は努力されておるというのだけれども、その結果があらわれて来ない。私はこういう問題にこそ政府が力を入れなければならぬと思うのです。こういう農民の、日本帰属を運動しておる沖繩人民に対しても、これは日本人の問題でございますからこれにこたえなければならぬと思う。   〔理事森八三一君退席、委員長着席〕 とにかく沖繩の土地は米軍基地として荒らされ、全面積の二三%前後は軍事基地になっている。しかも、この中には耕地が含まれ、沖繩の全耕地面積の約五〇%になる。農民は軍事基地に貴重な耕地をそがれているから、県有林なり国有林なりを農用化そうと、その解放を切望しています。しかも、どういう法的根拠によるのか、最近、この国、県有林等が米軍の軍事目的に供されている。こういう問題は日本としてはどう考えておるのか。特に農林大臣の監督下にある、行政下にある林野庁長官にひとつ参考にお伺いしておきたい。
  41. 田中重五

    政府委員田中重五君) 現在沖繩の林政がどういうふうになっておりますか、必ずしもつまびらかではございませんけれども、たとえば昨年林野庁から沖繩の治山事業あるいは山林経営の事業について、林野庁職員あるいは国有林の職員がその技術指導に出向いたというようなことがございます。
  42. 野溝勝

    野溝勝君 では大臣のほうからひとつ気持ちをお伺いしたいのですが、まあいまは事務的な答弁ですから、大臣でなければ政治的な答弁はされぬと思うのですけれども、こういう問題について、いま大臣お話になったように、生産農民のためという強い御意思でありますが、それについてそんなような問題を織り込んで、内閣におきまして総務長官のほうと何か話し合いをしたことがございますか。
  43. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 残念でしたが、林野等の米軍使用等につきましては、総務長官が向こうとの話し合いをする窓口になっておりますので、私としてはまだしたことがありません。きょうのお話を聞きまして、そういう点もよく総務長官に話しておきたいと思います。
  44. 野溝勝

    野溝勝君 総務長官臼井君のほうから。
  45. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 御承知のように、沖繩の施政権が平和条約の第三条によりまして、立法、司法、行政ともにアメリカ側の民政部のほうで握っております。したがいまして、もちろん沖繩は日本の領土でございますけれども、管理するということになりますると、アメリカ側で管理をいたしております。そこで、耕地等につきましても本島のほうで約四分の一は米軍の基地になっているわけです。それらについての借り上げでございますね。それについては借地料もアメリカ側から支払っているようなわけであります。できるだけ農民の意向に沿って、アメリカ側でもそういう点は十分やっておるはずでございます。ただ、施政権が向こうにある関係で、こちらのほうであまりこまかいことを交渉しておるということまでには、実は至っておらないわけであります。
  46. 野溝勝

    野溝勝君 ぼくは臼井君ね、あまり言いたくないけれども、アメリカの代弁のようなことを言っちゃあだめだよ。そういうアメリカで借地料を払っておりますとか、そういうことを私は聞くのではなく、そんなことよりは、ぼくはきょうはここで年配づらをするわけではございませんが——これは国の立場もわかっているが、やはり前向きで努力してもらわなければね。とにかく施政権返還の討議を、きのうの新聞にも出ておるとおり、「琉球政府、日米協議拡大で要望」とあって、その中に「沖繩の住民が日本国民として当然享受すべき基本的諸権利を保障し、祖国復帰を目標に、民生の水準を本土の県なみに引き上げる」ことに努力してもらいたいという、こういう強い意見書が出ているわけです。ですから、いまアメリカの影響下におかれておりますから、なかなか思い切ったことは言えない、それは長官の気持ちもよくわかるけれども、そういう悲壮な農民は、日本本土の行政が及ばないということを非常に嘆いておるのです。だからこのことを、事実を取り上げて、総務長官として佐藤総理と話をされて、アメリカに対しても特にこの点を強く要望してもらいたい、こういうのであって、向こうの関係においてのどうのこうのということについては、これは形式上わかりますよ。けれどもそれだけの誠意を総務長官はいまの農林大臣と同じように、ひとつ相談をして、向こうに強く要望してみるという話を聞けばよいのです。
  47. 臼井莊一

    政府委員(臼井莊一君) 野溝先生の御意見、お気持ちはよく私どももわかるのでありまして、ただ形式論を言うようなことになるかもしれませんが、いま申し上げたような立法、司法、行政が向こうにありまして、ただ私どもとしては政府の窓口が確かに沖繩に対して総理府で特連局が中心で当たっておりますけれども、私どもででき得ることと申しますと、昨年の春からようやく日米協議委員会ができまして、この日米協議委員会の際にはアメリカ大使、それから外務大臣、それから総務長官、これが出席いたしまして、その協議し得る範囲というものは沖繩に対する経済援助、こういうところに限られておりまして、非常に権限が少ないわけです。そこで、何とか、せめていまお説のような経済援助以外の問題についても、この話し合いの場をそこで持ちたいというのがかねてから私どもの念願でございまして、日米協議委員会ができる際にも、その意向が日本にあったのでございますが、これがアメリカ側でいれるところとならなくて、非常に権限というか、話し合いの場が少ない。今度ようやく佐藤総理がアメリカにまいりまして、住民の福祉、安寧向上のことについての、経済以外の問題についてもある程度話し合いができるということが原則的に認められました。そこで、その範囲がどの範囲ということがこれから外交交渉で、外交を通じてやっていただく。率いにそれが広がりまして、いまお説のようなことが話し合いできることになりますれば、私どももひとつ、事情はいまお話のとおりでございます、よくわかっておりますので、極力住民の意向をくみまして、努力してまいりたい。先生の御意見を十分反映、頭に置きましてそういう方向でひとつ努力をしてまいりたい、かように考えております。
  48. 野溝勝

    野溝勝君 では最後に非常に時間が……。ひとつ農林大臣に申し上げて、御努力を願いたいと思います。  先般、全日本農民組合の大会がございまして、その大会の際に琉球政府立法院議員で、日本社会党沖繩県本部書記長岸本利実、これは沖繩農民組合の書記長をやっておりますが、この人がまいりまして、先ほど来質疑の中にありましたようないろいろ悲壮な御意見がございました。そこで農民組合の大会といたしましては、そういう文案をつくり、これを決定いたしまして、大臣に申し入れたわけでございます。    沖繩産糖の買上其の他の保護措置に関する    要求決議   沖繩が日本政府の施政から切り離され、米国の統治下におかれて十九年を経過した。   その間、沖繩農民は米国の軍事基地構築と軍半優先政策のため、土地を取上げられ、農政上の保護は行われず、かてて加えて天然の地理的気象的悪条件の中で、営々として農業の復興に励んで来た。最近に於ては、キビ作農家を中心とする砂糖産業が農業の大半を占め、砂糖の輸出は、沖繩全輸出額の七割を占めるに至った。しかるに、昨年八月池田内閣は、突然砂糖を貿易自由化品目に加え沖繩産糖を外国糖と競争させる立場をとった。今や国際糖価の下落に伴い沖繩の八万農家は勿論、全沖繩の経済が危機にひんするに至っている。これは北海道のビート糖や奄美産糖生産農民の直面する立場と同じである。   政府国内甘味資源保護の立場から、沖繩産糖を他の国内糖と同様生産農民生産費と所得を保障する額で全量買上を実施し、併せて、長期の需給度引上の為の振興計画を樹立し、生産基盤の整備、長期低利融資の拡大円滑化等を速かに実施するよう要求する。  これが全日本農民組合の第七回大会の決議でございます。これは三十九年十二月二日に大臣の手元に出したわけでございます。農林大臣ごらんだと思いますが、沖繩農民も非常に悲惨な状態でございます。いま総務長官からも、この問題は農林大臣に相談して善処するということなんでございますが、特に農民問題を扱っている、そして農民に非常に理解を持たれている赤城さんとしては、この決議の全部とはいいませんけれども、その趣旨をひとつ十分検討されまして、先ほど来お答えになったように最善の努力を願いたい。私は国際収支の関係からみても、むしろてん菜並びにサトウキビの問題、国内糖の問題につきましては、全量買い上げに踏み切る。砂糖は基本的な国民食料として、米その他牛乳等と同じように、絶対必要なものでございますから、このことについて善処を特に強く要望して、私のきょうの質問を打ち切りたいと思うのであります。ひとつ最後に大臣の所見を承りたいと思います。
  49. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 沖繩産糖政府買い入れにつきましては、特別措置法もできているわけでございます。全量にするかどうかというようなものも、これは価格とのにらみ合いもあるわけでございますから、具体的にはいろいろ検討する必要がありますが、いまのお読み上げになった趣旨をくんで善処していきたいと、こう考えております。
  50. 北條雋八

    ○北條雋八君 私は、自立経営育成のため、また、農地管理事業団という構想を打ち出されたことは、一応趣旨としてけっこうと思うのでありますが、はたして予期どおりに農地が流動化するかどうかということについては、多少疑問をもっているのであります。さしあたり、今年度はパイロット地区を百カ町村で指定しまして、それでその売買のあっせんをするということのようであります。一番問題になるのは、何といっても農地の地価でありまして、価格は何を基準としてどのくらいの価格で交渉をさせるのかということであります。もちろん売り手のほうは少しでも高く、買い手はそれと反対でありますから、なかなかまとまらないのじゃないか、現に全国の町村会では時価主義によってくれという主張がございます。時価で売買されるのかどうか。あるいはまた、農業の収益との関係が一体どういうことになるのか。具体的に政府のお考えを伺いたいと思います。
  51. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 農地管理事業団は、いまのお話のように、来年度はあっせん、四十一年度からこれを買い上げ得るというような専業に進みたいと思っております。土地の価格がどういう標準でやるかということでございますが、私どもは時価で買い上げる方針でおります。なお、くわしいことにつきましては、その時価につきましてもいろいろありますので、農地局長から説明いたさせます。
  52. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) お答えいたします。  事業団の法案を御審議願うわけでございますが、売買を行なう法案にいたしております。その際の売買価格は時価によるという考え方でございます。そういたしまして、時価をどのように算定するかという問題でございますが、各地とも売買実例というものが相当ございます。その売買実例を一つ基準といたしますと同時に、現在不動産研究所あるいは農業会議所等が、村に精通者を置きまして価格調査をやっております。そういう意味の精通者もございます。したがいまして、そういう売買実例、精通者評価というようなものを参酌いたしまして村の標準価格を決定をいたしておきまして、その地味、地力その他によりましてその誤差を考えました価格基準にしてあっせん、その他の際にはお話し合いをするよりどころといたすという考え方であります。  それから、第二点の収益との関係はどうなるかという点でございますが、一応田畑平均の現在の価格が大体平均十七万円見当でございます。田にいたしますと二十万円見当でございます。それを三分三十年で均等償還すると考えますと、十七万とみますれば約九千円、年額でございます。二十万と押えて年額一万二百円見当になろうかと思います。で、この程度の余剰は、現在の農家経済調査の余剰その他からみて十分支払いに耐え得ると、かように私ども考えております。
  53. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、収益のほうの価格とまた時価と両方差があるわけですね。その差をどういうふうに扱われるのでありますか。
  54. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) たいへんむずかしい御質問なのでございますが、現在収益還元価格という概念を持ちまして、全国のたんぼの全平均の収益を機械的に計算をいたしまして、その収益を還元いたしましたものが在来農地法等で考えております収益還元価格でございます。これは一万数千円という数値を得ておる。それからもう一つ、その全国の全部の田の平均の収益という考え方から、経営階層が大きくなりますと追加的につけ加えました一反歩当たりの限界的な収益というものは逓増いたしてまいります。したがいまして、一町から一町五反というところがさらに一反歩を追加をする、そういう場合におきましては、全体の平均の収益価格よりはるかに多い収益を生むわけでございます。そこで、この事業団におきましては、時価の売買をやりましても、比較的自立経営になろうという収益力の大きい農家に対する考え方でございますので、限界的な収益の立て方でこれを吸収し得るものと、かように考えております。
  55. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうしますと、場所によって違いますけれども政府考えておることでは、その時価と収益のほうの関係から出された価格とそうひどい開きはないということになりますか。
  56. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 問題は収益価格というものの考え方でございまして、階層という考えをとらないで、全国のたんぼが平均三石とれるならば三石とれる。これに対して全国の平均の経費その他から算定いたしました収益というものと、それから比較的大きなものがさらに土地を追加いたす、その場合には、その機械がそのために直ちにふえる、あるいは労働が直ちに比例してふえる問題ではございませんので、限界的には収益は高い。したがいまして、収益価格という考え方の平均か限界かによりまして、その同じ収益価格ということばも二様に考え得るわけでございます。したがいまして、時価が、現に時価で取引されておるわけでございまして、比較的大きな農家が一反歩追加、買い足しますのに、それだけの負担に耐えるというところに現在の地価が形成されている。そういう意味で時価もある意味における収益価格と、かように考えられます。
  57. 北條雋八

    ○北條雋八君 場所によりましてこれは一概に言えませんけれども、都合の近郊でありますと、やはり将来の値上がりを見越した時価が多いわけであります。なかなかそういう時価で買うほうは買えませんし、幾らあっせんしましてもものになるのが少ないのじゃないかというふうに思うのです。そうかといって、また場所によっては売りたくも買い手もないというところもあります。これは全国的にある程度やはり統一をする必要があるのじゃないかと、いろいろな類型別のそういうようなところまでは考えていらっしゃらないですか。
  58. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) いずれ御審議を願うわけでございますが、農地管理事業団は、農地を買いまして、自立経営になろうと思う農家に、これを売っていく地域というものは、私ども考え方といたしましては、農業を中心として育成していかれるべき農業者相当期待したい地域でございます。一方都市周辺、極端に市街化いたしました地域で、地価が、先生御指摘の転用含みあるいは宅地価格含みで、著しく暴騰しております地域におきましては、たとえば五十万、六十万というような地域におきましては、これを買って農業でやるということ自体に無理があるわけでございます。したがいまして、極端に地価が高騰をいたしまして、これらの地域で農業をやることが無理な地価水準にある、こういうところでは、この事業の実施は無理であろうと思います。御希望があればそれを指定しないというわけではございませんが、蔬菜その他特別の事情で、こういうことに、経営に耐えるということが保障できないような地帯におきましては、本事業は無理であるし、またやるべきでもない。また御要望も出てこないものと、かように考えておるわけであります。
  59. 北條雋八

    ○北條雋八君 これはいろいろの場合がありますから、やってみなければわからないわけでありますが、政府としましては、これは将来の見通しを、むずかしいところはともかく、これで相当のあっせんはできるという確信はおありになるのですか。
  60. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) こういう事業の指定を受けて農業の技術経営の育成その他をわが村ではやっていきたい、またいける見通しがある、そういうところの申請を受けましてこの事業をやろうという立場をとっておりますので、そういう地域というものは日本国にまだまだ相当ある、かように私どもは深く信じておるわけでございます。
  61. 北條雋八

    ○北條雋八君 この問題はなかなか実際にあたって非常にむずかしい問題だと思います。  次の問題に移ります。次は、農産物価格の安定のことで、これは昨日も本会議の席上でいろいろ御答弁、質問があったわけでありますが、私は次の諸点について具体的に伺いたいと思います。まず第一は、鶏卵価格見通しと卵価安定について現在とられております措置、それからまた将来の安定政策を一応伺いたいと思います。なお、続いて鶏卵とそれから子豚の価格安定制度、それと畜産物の価格安定法との関係、それから三番目に、政府がいまやっております野菜指定産地、この安定政策、この三点について伺います。
  62. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 鶏卵の価格は従来比較的畜産物の中でも安定的に推移いたしてまいりまして、三十八年度はかなり総体的に高値を続けておったのでございますが、この価格に刺激されまして、三十八年の秋から三十九年の春にかけてのひなの飼付羽数が急増をいたしたのでございます。対前年比約四〇%程度の急増をいたしました関係上、そのひなが産卵期に入りまして鶏卵の生産需要の増大以上に生産されるようになったというような需給事情その他から、昨年の春の終わりごろから卵価が低迷をいたしておりまして、一時は、昨年の七月、八月、十一月等に暴落の市況も出たのでございます。この根本は、ただいま申しましたように鶏卵の需給関係の構造的な変化に基づくものというふうに私どもは理解をいたしておるのでございます。そこで、現在の畜産物価格安定法に基づきます卵価の安定施策といたしましては、鶏卵を生産される団体による自主調整保管を行ないます場合に、政府としては畜産振興事業団を通じて保管のための経費の助成をするという制度になっておりますので、昨年の八月法制定以来初めてこの制度の発動を促すという意味で、基準価格の告示を行なったのでございます。また、十一月にも同様の措置を講じたのでございますが、両回とも基準価格百六十円ということで告示をいたしましたところ、二回とも卵価は直ちに百六十円を上回る程度に回復いたしましたために、自主調整保管の実施ということはなかったわけでございます。その後、年末になりましてかなり卵価は回復いたしたのでございますが、本年に入りましてまた卵価は百六十円ないし百七十円という幅の中で低迷を続けておるのでございます。で、私どもはこの問題の根本的な解決は、一つは消費の促進である、消費を拡大することにあるというふうに思いまして、昨年の夏以来、畜産振興事業団もしくは関係業界等の協力による消費の宣伝を続けてまいっておるのでございます。また、今後もさらに消費宣伝には力を入れてまいりたいと思っております。一方、日本の鶏卵の消費水準はかなり高い水準に達しておりますので、急速な生産の増を消化しきれないというような事情にもありますので、生産の側といたしましても需要の増大に見合う生産の拡大ということを考える必要があるというふうに考えまして、昨年の秋、畜産局長名をもちまして、鶏卵の需給事情から察しましますと養鶏の急速な拡大ということは危険であるという趣旨で、飼付羽数の調整あるいは廃鶏の淘汰等による生産調整というようなことについて、都道府県知事あるいは関係団体等の指導のための通牒を出しておる次第であります。同時に、消費の促進の一つの面といたしまして、例年マヨネーズ加工業界の鶏卵買出動は大体三月以降でございますが、ことしの事情から見まして、早目に割卵をすることを指導をしたいということで、業界の資金拘束のために手当を延ばしておる、また昨年の若干の手持ちもあるというような事情等を考慮いたしまして、農林中金からの資金のあっせんをいたしまして、現在すでにマヨネーズ業界の原料手当を行なわせておるというようなことで、ある程度の効果は生じておると思うのであります。今後問題になりますのは、やはり三、四月の時期と考えられますので、その時期にも加工業界の手当をふやすというようなことによってある程度価格の支持ができるかと思いますが、なお卵価の著しい下落というような事態になりますれば、価格安定法に基づく自主調整のための道を開いていきたいと思っております。なお、将来の問題としては、いかにして組織的に鶏卵の生産需要にマッチするように指導するかという問題が残りますが、これは非常に動いております養鶏の実情というものをよく把握いたしました上で、さらに緻密な何といいますか行政の方針、方向というものを打ち出したい、検討いたしたいというふうに思っております。  それから子豚の価格安定……。
  63. 北條雋八

    ○北條雋八君 一応ここで鶏卵のことで切って質問をしたいと思います。いまのお話で大体わかりましたけれども、この基準価格百六十円というお話でありましたが、これはどこできめるわけですか。どこでどういう機関がきめるのですか、
  64. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 生産者団体が自主調整保管をいたします場合の要件として、農林省令で、農林大臣の定める価格に基づいて調整を始めるということが規定されておりまして、農林大臣が定めるわけでございまして、昨年度の告示につきましても、当初、養鶏審議会の委員さん方の御意見を伺い、また、農業団体の意向等も参酌いたしまして農林大臣において決定いたしたわけです。
  65. 北條雋八

    ○北條雋八君 農業団体も入るわけですね。それで、これはまあ時期によって非常に違うわけでありますが、昨年は二度とも百六十円だったんですか。
  66. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) そのとおりでございます。
  67. 北條雋八

    ○北條雋八君 それでよかったわけですな。別に不平もなかったわけですか。
  68. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 基準価格のことでございますから、いろいろ御意見もございましたが、私どもとしては当時の資料から見て妥当な線だったろうと思っております。
  69. 北條雋八

    ○北條雋八君 なお、この鶏卵というのは非常に畜産のうちでも生産が多いわけでありまして、豚肉あるいは牛乳、生乳、この生産額を合わせたぐらいに鶏卵の生産額というものは多いわけなんです。また、非常に零細な仕事でありますから、これによって非常に影響する農民が多いわけであります。それだけやはり価格の安定は一そう必要だと思うんでありますが、結局、供給に対して需要が少ないということが値下りの原因になるのと、もう一つは御承知のとおり非常に飼料が高い、それで採算がとれなくなって、もう現在では養鶏事業も斜陽座業だといわれるくらいな傾向になっておりますから、この飼料に対してもあわせて政府では考えておられると思うんですが、もっと近いところから、東南アジアあたりから飼料をとるということについて研究をされたことがあるかどうか、トウモロコシその他の飼料、これの栽培の技術を日本から向こうへ指導して、すぐには間に合わないけれども、将来はそういう飼料を東南アジアから入れるというようなこともいまからやっておく必要があるんじゃないかと思いますし、また、一方需要の増大ということについてもいろいろ考えられると思うんです。現に生乳なども学校給食でふやしておりますけれども、場合によったら卵も学校の給食にするというようなことも考えられるんじゃないかと思います。で、そういう点と、もう一つは卵の加工、これを大いに政府が力をかしてやって、そして民間に加工工場の増設をするということも考えられると思うんですが、それに対していままで政府考えられたことを一応伺いたいと思います。
  70. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 輸入飼料の供給源を近いところに求める、あるいはできるだけ広くの輸入ソースを持つということが必要ではないかという先生の御意見につきましては、私ども全く同感でございます。で、現在までも、たとえばトウモロコシを例にとりますと、東南アジアのうち、タイが新興生産地でございますが、三十八年度には約四十万トンの輸入でございましたが、三十九年は約七十万トンに増加する予定でございます。また中国からのトウモロコシ輸入につきましても三十八年度十万トン、三十九年度十五万トンそれから四十年度には二十五万トンの輸入の契約をいたしております。私どももできるだけ輸入ソースをふやすということ、特に東南アジア等近距離からの飼料輸入をはかるということのためにいろいろ配慮をしてまいっておるつもりでありますが、今後もお説のような方向で行政的な指導なり、あるいは国としてやるべきことについては努力をいたしていきたいというふうに思います。  それから卵の加工の問題につきましては、現在加工が最も伸びておりますのはマヨネーズ業界でございますが、これにつきましては先ほど申し上げましたとおり今年度もやっておりますが、昨年も同様でございまして、この産業のために政府として指導なり、あるいは援助をすべき点については力を添えておるつもりでございます。なお、その他の加工の問題についてはなかなかむずかしい点がございますが、一部応用研究費等で援助をしておる方向もございます。  それから学校給食に鶏卵を供給するということにつきましては、農業団体からの直接供給ということで、中間の経費を節減するという一つのモデルとして、昨年夏以来私ども援助をいたしまして、東京都内の区に一括供給するということについて実験的に事業をいたしております。ただ、生乳と違いまして鶏卵がすでに非常に高い消費水準にあるということ、それから学校給食でも鶏卵を献立にも取り上げているというようなこと、また鶏卵のこれ以上の学校給食への要請が実はあまりないというような事情等もございまして問題がございますが、私ども今後検討すべき問題の一つであろうというふうには存じております。
  71. 北條雋八

    ○北條雋八君 そのほか乾燥卵とかいろいろまだあると思うんです。十分御研究を願いたいと思います。なお現在養鶏農家では値が安くて飼料が高くてもう一そう困っております。二月にまた飼料が上がりまして、これはメーカーはもちろんですが、全購連としましても上げざるを得ないで上げたと思うんですが、系統農協であるんですから、将来あんまり値は上げないように、十分農民のためにひとつそういうことはやらないでいただきたいというふうに思います。  次に、子豚のほうに移っていただきますが、現在の子豚の安定制度について一応伺います。
  72. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 北條先生も御存じのことでございましょうが、豚の値段というのは、非常に高低が激しくて、世界的に同様な傾向を持っているわけですが、さらに、子豚の値段のほうが、高低が激しいという関係にあるわけでございます。そこで、子豚の価格を安定いたしますことが、子豚の生産を安定させ、ひいては肥育豚の生産を安定させるということになりますので、三十九年度から、各都道府県の農協等が行ないます子豚の生産安定基金という制度に対して、政府は、畜産振興事業団を通じて出資し援助をするということにいたしたのであります。この基金制度は、子豚の生産農家と肥育豚農家との間に、小豚の取引に関する長期の契約を取りかわしまして、その間に農協が仲介の労をとる。で、小豚が、肉価格とのスライドのある価格以上に高騰をするという場合には、ある限度をこえた価格部分について、これは小塚生産農家に価格補てんをして、肥育豚農家へは安く小豚を供給する。その逆の場合には、肥育豚農家に価格補てんをいたしまして、小豚生産農家に市場の実勢よりは多くの手取りを与えるというようなことをねらいとして設立をしておるものでございます。で、現在、三十九年度中に八県の基金が成立する見込みでございます。引き続き四十年度においても、この基金の整備をはかっていくというふうに考えております。
  73. 北條雋八

    ○北條雋八君 じゃ、次に、第三番目の野菜のほうについてお願いします。
  74. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 野菜の指定産地についてお答え申し上げます。  野菜の価格を安定いたしまするために、これはなかなかむずかしいことではございまするが、生産計画化並びに出荷の計画化をはかっていきたいということで、指定産地制度を昭和三十八年から採用いたしまして、三十九年までは、カンランとキュウリとトマトの三品目についてやってまいっております。  それから指定産地の地区といたしましても、大体、百地区近いものを取り上げておったのでございまするが、四十年度におきましては、これに白菜を新たに加えまして、また、地域といたしましても、従来は京浜と京阪神、名古屋の三地域を対象といたしておりましたが、今回は九州も対象にするということで、大体百九十八地区程度を指定権地としたい、この指定産地を中心にいたしまして生産並びに出荷の指導をして、これを卸売り市場と結びつけてまいる、そうして生産と出荷の計画化をはかっていく、こういうような考えでございます。  次に、生産安定資金について申し上げますと、生産安定資金は、カンランとタマネギの二品目について、現在造成をいたしております。カンランにつきましては、三十八年度から実施をいたしておりまして、三十八年末から市場価格が異常な暴落をいたしまして、この資金から暴落分を埋めまして、ほとんど使い果したというようなことがございまして、三十九年度に一億二千万円の予備費を取りまして、国と府県、それから生産者とおのおの三分の一ずつでこの資金を造成いたしておりまして、安値の補てんをするということにいたしております。タマネギにつきましては、三十七年から実施をしておりまして、これも従来はタマネギの価格が高かったのでありますが、三十九年度に至りまして豊作の結果、安くなっておりまして、この安定資金から補てんをしておるという現状でございます。で、四十年度におきましては、大体カンランの生産安定資金としましては、五億八千万円くらいの資金を造成いたすことになっておりまして、タマネギにつきましても、三億五千万円くらいの程度のものになる次第でございます。
  75. 北條雋八

    ○北條雋八君 いまのお話で、カンラン、タマネギのことはわかりましたが、この安定資金が現在足りなくなって、そうして不足払いもできなかったというような事例は何カ所ぐらいあるのでしょうか。これは、昨年、三十九年九月末現在の表で見ますと、この資金の総額が、カンランの場合は一億五千万円、これは、国と県と協会員とで三分の一ずつ出しております。それで、現在、残っている金が三千九百万円ばかりですが、これに関係して指定された県が、栃木、千葉、神奈川、埼玉等十二県にまたがっておるのですが、ここで金が余っていても、県によっては足りなくて、この価格支持の恩典を受けられなかったというのもあるのじゃないかと思うのですが、そういうことはありませんでしたか。
  76. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 三十九年度におきましては、全体としまして四億五千万という資金でございまして、それを三十九年度に、暴落によりまして払ってまいったのであります。それで、ほとんど使い果たしまして、三十九年度に予備費としまして一億二千二百万円を取りまして、これに府県と生産者から合わせまして、基金を造成しておるという現状でございます。それで、暴落をいたしましたときに、その基金の定款がございまして、それの、この基金の使用方法に従いまして支払いをいたしておりまして、全部払っておるという現状でございます。
  77. 北條雋八

    ○北條雋八君 いままでですと、足りなくて困ったということはないと承知してよろしゅうございますか。
  78. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 全部払いまして足りなくて困ったということに、最後になりましたので、予備費の一億二千二百万円を急遽取るということにいたしまして、これによってやっておる次第でございます。
  79. 北條雋八

    ○北條雋八君 現在、国のほうの価格支持政策が不徹底なために、各県でそれぞれいま言われたような基金をつくって、そして暴落したときの対策を講じておりますが、これは青果物につきましては二十七県でやっております。それから肉豚、これは十一県でやっております。それから小豚四県、それから鶏卵が八県でそれぞれやっておるわけなんですが、これは県と農協、あるいは業者、そういうものがおのおの金を出し合ってやっておるわけなんですが、こういう点にもっと政府が金を出して、そして生産者が安心してつくれるようにもっと思い切った予算の裏づけをしてやる必要があるんじゃないかと思うのですが、そういう点につきまして農林大臣からお話を承りたいのです。これは古い農業センサスではありますが、一九六〇年ですが、これにも主要国の農業に対する支出割合というのがありますが、これで見ますと、農業のいろいろ内訳があります。土地改良とか、それから価格支持に要する経費とか、あるいは消費者補助金、それから一般の補助金というのが分けてあります。そのほか、こまかいものがあります。これで見ますと、価格支持政策に要する費用は農業全体の費用に対してフランスなんぞは四二%、それからオランダが二六、スウェーデンが五〇、イギリスが四八、それからアメリカが六九%、日本が七%になっております。これは食管会計のが抜いてあるらしいです。消費者補助金というのがありますが、そっちのほうに入っておるのだと思うんですけれども、それにしても非常に日本は少ないと思うのであります。なお土地改良なんぞにつきましても相当思い切って出している国が多いのですが、その価格支持に対してもうちょっと積極的に農林省としては力を入れられるほうがいいんだと思いますが、農林大臣としてのお考えを承りたいと思います。
  80. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ただいま各県等において、自主的といいますか、そういう価格支持対策をしているお話を承ったのでございますが、本来こういう生鮮食料品の価格支持というものは、やっぱり生産者あるいは生産者団体あるいは県等においてやっていくことが適しておると思うのであります。というのは、価格の高いとき、安いとき、非常に変動が多いのでございますので、基金ができましたら、高いときの価格等を保留しておくということから考えまして、そういうやり方がいいと思います。しかし、基金をつくるにつきましては、何といたしましても貧弱でございますから、国がそういうものに参加していくということは、お話のように必要であろうと思います。価格支持政策全般につきましては、前々お話し申し上げて、また御承知のとおりだと思いますが、日本の価格支持農産物に対しましては約七割程度のもについて、価格支持対策を講じております。それに対していまの米麦等についての数字は省かれたようでございますが、米麦等、畜産物、あるいはでん粉等を通じまして相当の財政支出をいたしておるわけでございます。しかし、十分だとは私ども考えておりません。でありますので、酪農品、牛乳等につきましても、間接の価格支持から直接の価格支持の方向へ検討を進めて、踏み出していこうということを考えているわけでありますが、価格支持のあり方から考えまするというと、これは先ほども御答弁申し上げたのでございますが、一面においてはどうしても生産性を向上するというような、基本的な構造改善というような問題に相当力を入れませんというと、幾ら、生産費がかかったものでも価格を支持していくということになりますというと、国際競争力からいいましても、あるいは他産業との比較からいいましても、農業が成り立たない方面に追い込まれていきますので、構造改善方面に力を入れて、生産性の向上に努力したい。同時に、そういうものを現在のような状況において価格支持をいたしませんというと、これまた農業が亡びるというようなことになりますので、元来は補完的なものでありまするけれども、並行的に価格支持をしていく、こういう考え価格支持対策にもより一そう力を入れていかなくちゃならぬと思っております。いまの農産物の産出額に対しましては、約七割でございまするし、農林予算の中で米麦等を含めての価格支持の財政支出は、約三〇%以上になっております。しかし、なお価格支持につきましては、お話趣旨に沿うて進めていきたいと、こう考えております。
  81. 北條雋八

    ○北條雋八君 それでは次に、先ほどもお話がありましたけれども、生鮮食料品の加工につきましては、特に最近は野菜の加工があちこちでやられるようであります。で、その野菜の粉、あるいはペースト、それからそのほかにびん詰めとか、カン詰めとか、果汁とか、こういうものは非常に伸びております。こういうものに対して政府としましては何か助成をするとか、あるいは大いに奨励をするとかいうようなことは現在やっておられるでしょうかどうか。岐阜県の揖斐川の電化工場では玉ネギの粉をつくり、そのほかホウレンソウとか、ニンジンとか、ショウガ、そのほかトマト・ケチャップ、ジュースなどを盛んにつくっております。ああいう工場をどんどんつくって、そうして需要をふやして、また保存もきくようにしていくのが非常に必要だろうと思っております。今後はこういうようなことは農協の連合会あたりでどしどしやるようにすべきじゃないかと思いますが、それに対する政府のお考えを伺います。
  82. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 農産物関係で、加工に回る分がだんだんふえてまいりますと、何といいますか、消費者に至る段階での中間経費の節約に役立ちますし、農家の手取りもふえるというような意味で、期待もし、歓迎もしていいことだとは考えております。で、三十八年の数字では、総一販売額の中で二四・五%が加工用に回っております。その中で大きなものを申しますと、なま牛乳が一番大きなウエートを占める。これは当然ですが、続いて肉類、果実、野菜、卵というふうに、御指摘の野菜、卵等の加工の度合いも逐年拡大はしてきております。で、それらに対しましたどういうような施策を講じておるかということでございますが、新しい加工技術の開発につきましては、農林省で技術開発、企業近代化のための応用研究費の予算を持っております。それで適当なものを審査の上選択しまして、毎年何件かについての助成をいたしております。そのほか、具体的な企業化の段階になりましたものにつきましては、構造改善事業などの場合の近代化施設等に組み入れられます場合には、構造改善事業としての助成あるいは融資の対象になっているということで、まあ一つの体系はできているわけでございます。そのほか、農林中金の関連産業融資の問題等も一つの方策であろうかと思います。あれやこれや考えているわけでございますが、特に、農協関係が主体になってやったらどうかというふうな御指摘につきましては、農業団体のほうでも営農集団というようなことばを使っていますけれども、加工あるいは輸送の関係、集出荷の関係などの近代化を目ざしまして、いろいろ計画も持っているようでございます。農林省のほうの構造改善事業のうらはらの関係になると思いますが、全体として今後御指摘のような方向に取り進めていくというふうに考えているわけでございます。
  83. 北條雋八

    ○北條雋八君 時間がありませんから、それじゃ、次に、現在共済制度もまた価格安定制度もないのは御承知のとおり果実だけなんでありますが、この構造改善事業で、果実の主産地形成が非常によく伸びていることは白書でも示しているとおりであります。したがって、ミカンやリンゴなども将来あるいは生産過剰になったり、あるいはまた思わぬ災害を受けたようなときのことまでも、いまから考えておく必要があると思うのです。したがって、それらのことを考えますと、もうすでに調査段階は過ぎておるので、直ちにこの共済制度でも試験実施をする必要もあると思います。そのお考えは、政府ではどういうふうに考えていらっしゃいますか。その点を伺います。
  84. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 果樹共済の制度化につきましては、昭和三十五年度から検討を進めてまいっておりまして、それに基づきまして、特に昭和三十八年から、おおむね三カ年間という予定で、現在試験調査を実施いたしております。それで果樹の種類といたしましては、ミカンとリンゴとブドウ、モモ、カキ、ナシという、この六種類につきまして試験調査をいたしておりまして、大体四十年度でそれが完成するという見通しでございます。それで、その結果が四十一年度中には判明いたしまするので、四十一年度から案をまとめてまいりたいというような段階で、準備をいたしておる次第でございます。
  85. 北條雋八

    ○北條雋八君 価格の安定制度に対してはいかがですか、果樹の……。
  86. 林田悠紀夫

    政府委員林田悠紀夫君) 果樹の価格安定でございまするが、これはやはり、安値補てんというような制度につきましては、まず、野菜のようなものにつきまして十分やってみまして、その結果を検討して考えるということが必要であろうと存じておりまして、まだ果樹にまでそれを適用するということは考えていない次第でございます。しかしながら、果実価格の安定策といたしましては、一度にどっと果実が出てまいりますというと値くずれがするということでございまするから、その辺はできるだけ流通改善協議会のようなものを強化いたしまして、計画的な出荷をしてまいる、それからまた仕入れ貯蔵庫とか、あるいは冷蔵輸送車のようなものを設けまして貯蔵をいたし、また流通面の近代化をはかってまいるというようなことによりまして価格の安定化につとめておる次第でございます。  それからまた、今後におきましては輸出の振興とか、あるいは先生が先ほどおっしゃいました加工を進めてまいる、そういうことによりまして今後積極的に需要を拡大してまいりまして、価格安定につとめたいというように考えております。
  87. 北條雋八

    ○北條雋八君 それから次に、農業白書でも、また施政方針でも農業団体の協力を要望されておるところがあまりないように思います。転換期に立った日本の農業を近代化するには、どうしても第一線に立っている農業団体の真剣な協力がなければできないというふうに思います。農協の合併強化、これは前からいわれておりますけれども、これを一刻も早くやりまして、それで大型機械の協同利用とか、あるいは専門の指導とか、協業の実を上げて、そうして農産物の出荷の調整とか、あるいは価格の安定対策等に、農林省の直接指導ではできないような点を農業団体に積極的にやってもらうということが必要だと思います。農事組合法人、生産組合といいますか、それなどもその後の動きがどういうふうになっておりますか。あるいはまた、いろいろの組合の合併といいますか、その統合合併などについてどういうふうに進行しておりますかよくわかりませんので、その点を一応伺いたいと思いますが、前段の、農業団体の協力につきましては大臣からお答え願い、それからあとのことにつきましては事務当局から伺いたいと思います。
  88. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 農業団体に協力を求めるということは、私の本来強く考えているところでございます。でありますので、一昨年でございますか、農林大臣に再度就任した際にも、農協と農業団体の協力を強く要請したわけでございます。たいへん農林行政も広範にわたっておりまして、役所仕事というだけでは十分われわれの意図するところが浸透もいたしませんし、実効も十分に末端まで届かないという面もあります。どうしても農協と農業団体に協力を求める必要がございます。でございますので、まあ当然というような気持ちで、特に強調はいたしませんでしたが、それはもう十分協力を仰ぐつもりであります。でありますので、たとえばいまお話の兼業農家の協業などにつきましても、農協が中心になって指導してもらわなくちゃなりませんし、大型機械を入れて耕作の共同化をするというようなことにつきましても、あるいはまた農産物の出荷調整等につきましても、あるいは資金を提供してもらうというような点につきましても、その他万般協力を求めて、農林漁業政策をスムースに、また強力に進めていきたいと、こう考えております。
  89. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 合併の状況あるいは農事組合法人の組織の状況について申し上げます。  まず、合併の進捗の状況でございますが、御承知のように合併助成法で合併の奨励に乗り出しましたのが昭和三十六年度からであります。その後三十八年度末までの状況を見ますると、件数にいたしまして、総体で、単位協同組合の合併が六百五十件、参加組合数にいたしまして二千七百四組合という総体の報告を受けております。そのうち合併助成法に基きますものが五百六十三件、二千四百十八組合、大体一合併一件当たり四組合強の参加組合で進んでおりまして、法律制定当時予定いたしました合併の関係組合数に比較いたしまして、件数では少し減っておりますが、参加組合数におきましては、おおむね目標の八割程度の参加を得ておるといったような状況でございます。  なお御参考までに、最近の三十九年三月三十一日での単位農協の数は、いわゆる総合農協が一万八十三ございまして、合併がかなり進んでおりますから、おそらく本年度中には一万をかなり下回る数の大規模組合に逐次なっていくだろうと思います。それから農事組合法人の関係でございますが、いわゆる農地法でいっております農業生産法人が、三十八年度末の調べで五百十二というふうに報告を受けております。その中でいわゆる農事組合法人の形をとっておりますものが百三十九という数字で府県への届け出が出ております。以上であります。
  90. 北條雋八

    ○北條雋八君 白書の第二部でもっていいますと、非常にこの合併が促進しているように書いてありますけれども、この整理組合員の戸数が、二百戸未満の農業協同組合がまだ六四%を示しております。これはまだまだ容易なこっちゃないと思いますが、どうぞ一刻も早く合併強化を促進されることを望みます。  最後に、一点だけ簡単に伺いますが、この開拓農家のことでありますが、まあ自然的の条件が非常に悪い地帯の入植者でもって、離農資金を与え転業せしめるという、この転業資金のことにつきましては、昨日も本会議で話がありましたけれども、結局借財が多いために、せっかく離農させようと思って出した離農資金が天引きされて身につかないということを聞きますが、実際そういうわけなんでありましょうか。全部が差し引かれてしまうのですかどうですか。離農資金という以上は、やはり離農に使わせて初めて意義があるわけなんでありますから、こういう場合には特別措置を講じて、その金はそっくり離農に使わせるということをすべきだと思います。その点いかがでございますか、お答え願います。
  91. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 開拓者の旧債関係につきましては、いろいろ御注意をいただいているわけでございますが、御承知のとおり開拓者を二つに分けまして、立地その他の条件でどうしても無理だという方に対しましは離農補助金を出す。その数も明年度は三千にふやす。それでその際、御指摘のとおり旧債がネックになりまして、せっかく離農補助金を出してもそれが離農に役立たない、旧債の処理のために役立たないのではないかというおそれがないかということでございますが、在来とも離農にあたっての移転のための費用及び移転後の当座の費用というものはこれを残すように、政府債権の取り立てのほうで調整をするという指導をいたしているわけでございますが、本年の一月に、さらにその点をはっきりさせました指導通牒を出しておる次第でございます。離農に当たります実費、当座の生計費、要すれば当座の転業資金というものは、極力持たして出ると、こういう行政指導をいたしております。
  92. 北條雋八

    ○北條雋八君 そうすると、四十五万円という金額は、その借金の対象にしないというふうにきめられたわけですか。
  93. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 四十五万円を全部対象にしないということでなく、個々の離農実態がございます。近くに離農して仕事をする場合、あるいは非常に遠くに行って仕事をする場合、個々の実態に応じてその金を残すように、そういう指導をいたしております。ちなみに三十五年から三十八年までの実績といたしまして、二十四万一千円は転業資金として、私ども調査によりますと、離農者が持っていく、こういう形になります。
  94. 北條雋八

    ○北條雋八君 どうも私まだ納得しないのですが、従来の借金は借金で適当に取り立てるべきであって、ともかく離農のために必要だからというので渡す金は、そのままそっくり手をつけないというような何か特別の措置を講じてやるわけにはいきませんか。そういうお考えもお持ちになりませんか。
  95. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 御承知のとおり開拓者が離農いたします際に、資産の処理がございます、それから負債の処理がございます。それで四十五万円を交付いたしまして、資産と負債との処理、さらに離農後の諸経費というものの三者を考えまして、負債の整理なり資産の処分なりの関係上は、離農に要する経費、所要の経費に手をつけないようにする、そういう考えで処理いたしておりまして、四十五万円を絶対手をつけずにいくというふうには考えておらないわけでございます。四十五万円を積算いたしました際におきましても、ある程度の開拓者の借金があるから、こういうものを加味して四十五万円という数字も入っておりますので、御指摘でございますが、四十五万円に手をつけないというふうには考えておりませんので、せっかく離農するのでありますから、離農に要するための金は残るように、そういう考え方でいっております。
  96. 北條雋八

    ○北條雋八君 その金額の多寡は申しませんが、とにかく離農するにはいろいろこれから商売をする者やら、転業のために莫大な費用が要るのですから、できるだけそういう特別措置を将来つくっていくように御研究願いたいと思います。  時間がおそくなりましたから、きょうはこれで私の質問を終わります。
  97. 仲原善一

    委員長仲原善一君) おそくまで御勉強願ってありがとうございました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時五十四分散会