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野溝勝君 私は全部調べたわけじゃございませんが、
青森県初めなかなか思うようにいかないのでございまして、いまの
目標も私は非常に不安定だと思っております。しかし、この問題は、そういうことを私が知っておるという点におきまして、あなた方もただ
一つの
数字だけによって何といいますか、マジック的に
考えぬように、ひとつもっと自信のある
数字として出せるようにしていただきたい。
次に、私が申したいことは、
生産者価格ですが、
政府では非常に力を入れているというかもしれないが、
てん菜栽培の場合、たとえば三十九
年産てん菜の
農家手取り価格では、反
当り大体三千円ぐらいの利益にしかならぬのだね。御
承知のように、
てん菜の
政府告示最低価格は
トン当り六千四百五十円でしょう、それに
特別奨励金が七百五十円で、
農家手取りは
トン当り七千二百円です。
サトウキビのほうは、
ブリックス十六度で
最低価格トン当り五千百円、したがって、
農家手取りは、
ブリックス十八、九度平均として、
トン当り五千七百五十円見当になるというわけです。この
産糖政府買い上げ価格は、
てん菜糖トン当り一万円、キビのほうは九万二千円と、こういうわけですね。この
価格を三十八年産の
農林省生産費計算に対比してみると、
北海道の
てん菜農家の場合、反当収入で利益はわずかに三千円
程度、
てん菜農家一戸
当りにすれば、七、八反平均の栽培で十七、八万円にすぎない。こういうところに
農民のレジスタンスというか
不満もあるんですよ。ますますもって合わないためにやめてしまうということで出かせぎにいくというようなことになるのであって、
甘味資源対策が思うにまかせないという結果になるのですね。ですから
当局として、こういう問題に対して十分
検討し、
生産者がもっと
生産意欲をもって増産に励むことができるよう、くふうできないものか、こう思うんです。と申しますのは、農林予算は
大臣が努力されて、ある
程度計上されましたが、ここでちょっと重要な点を申し述べておきたい。申すまでもないが、私は、日本の経済全体とにらみ合わせて、農業政策を立てなければならぬと思う。たとえば今日、農林物資の
輸入は食糧を中心として年々
相当の伸びを示して、ごく近い将来、総
輸入の半ばをこえるものと思われるが、これは国際収支上放置できない雨天問題です。農林水産物の
輸入状況は三十八年で総
輸入六十四億ドルの四七%、二十七億ドル余の
輸入をしておるわけですね。特に食糧
農産物におきましては、総
輸入の二二・八%、約十六億ドルですよ。これほどドルを使っているわけですね。そして、
国内経済動向から見て、食糧
農産物を中心にして農林物資の
輸入は、将来ともにますますふえていくでしょう。そうすると、おのずから国際収支上非常に重大な
問題点となってくると思うんです。したがって、今日米、麦、乳製品、
砂糖など、国民食料の
自給が思うようにいかぬければそれは全部買ってくるんだというだけでは、わが国の経済政策あるいは農政とは言えないと思う。食料や
国内資源
関係の問題は、あらゆる角度から
検討し、総合的なとらえ方をしてもらわぬと困る。だから
砂糖の問題にしても、それではもっとふやすように努力するというこの気持ちが出てこないかと思うんです。そこで、
国内甘味資源を伸ばし、大いに
自給度をふやしたいとする場合、どこに一体問題があるかというなら、端的なところ、
価格の問題です。今日
てん菜生産農民は、三十八年で約八万三千名、
沖繩のキビ作農家は五万戸近くあるわけですが、要するに、これらの
生産農民が喜んで
生産に従事するというような政策をとってはどうかと思うんです。いま申したとおりばく大なドルを農林水産物の
輸入に充てておるのでございますから、それをさいて
国内の
農民に喜ばして
生産をもっと
向上さしたらどうか、こういう
考え方。これは理屈はわかるけれ
ども、なかなか思うようにいかぬとおっしゃるかもしれませんが、そこをちょっと
考えてもらえないか。農林
大臣、
砂糖は米と同じように絶対必要なものなんですから、一日でもなくちゃ生きていけない問題ですから。
そこで、私がこう申すのは、まあ
生産費の
状況をひとつ御
検討を願いたいと思う。三十八年の
てん菜の生殖費は、
農林省の
数字でみると、大体十アール当たり、すなわち一反歩、反収約二トン半と見て、第一次
生産費は、一万四千二百三十円で、この内訳は種苗費が五百十九円、肥料費が四千八百九十七円、諸材料費が二百六十七円、防除費が二百九十二円、建物費が百三十七円、農具費が八百二十一円、畜力費が千百十三円、労力費が五千八百九十三円、賃料料金が二百九十一円。次に、地代、利子という第二次
生産費は千十五円となっています。合計一万五千二百四十五円、こういう
生産費計算になっているわけです。これは大体
農林省の統計なんでございますが、しかし、実際の
生産農民の資料はこんなことじゃないです。もっと
生産費がかかっている。そこで、三十九
年産てん菜の
農家手取り価格トン七千二百円では、
農民の手取りは、
北海道においてさえ反
当り一万七千か八千円くらいでしょう。単一作物、輪作の
てん菜栽培のことだからこれではとても
農民に増産に努力しろといったってそれはできない。だから毎年
てん菜糖の
価格問題につきましは、
農民と
メーカーとの間にいざこざがあります。そこで、
メーカーのほうでは、
特別奨励金を出すということになっておりますが、私は、この
特別奨励金なんかというものがおかしいと思う。
メーカーはもうからなければそんなもの
考えやしません。こういうことをやらずに、十分な適正な計算をやる、こんな
特別奨励金というようなものは、おのずからこの中に織り込まれるということになされば
農民も納得すると思う。
さらに、さて、
サトウキビのほうをみても同じことです。これも問題にならぬですな。
沖繩の
サトウキビのほうにおきましては、この
農家手取りは大体四万二千円前後とみられます。これじゃ
農民はやっていけず、
不満を持つのは当然で、昨年来、
沖繩から陳情団がやってくることになるのですから、こういう点についてひとつ取り組んで、あなた方のいまの
計画あるいは増産
計画も、真剣にやるなら、こういうところにポイントをおいてもらわねばならぬのじゃないかと思う。
最後に、もう一度申しますが、
砂糖問題は、国の基本食料で、奢侈品、ぜいたく品と違う必需物資の問題です。また、国家財政上、重大な国際収支に
関係する問題です一でありますから、
国内の
農民に喜んで増産してもらい、
生産も伸びて、
需給が安定する、
糖価も安くなる、こういうところに関心を払い、ポイントをおいてしかるべきじゃないかと思いますけれ
ども、ひとつ
大臣のほうから、こういう観点から、完全にいかなくても一歩前進するようにしよう、ひとつ努力してみようという御所見をお聞きすれば、私としてはこの問題についてはこれ以上お伺いいたしません。