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1965-04-27 第48回国会 参議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十七日(火曜日)   午前十一時十五分開会     —————————————    委員の異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      佐藤 芳男君     八木 一郎君      平島 敏夫君     源田  実君  四月二十七日     辞任         補欠選任      森部 隆輔君     久保 勘一君      八木 一郎君     平高 敏夫君     —————————————  出席者は左のとおり。     委員長         柴田  栄君     理 事                 栗原 祐幸君                 伊藤 顕道君     委 員                 久保 勘一君                 源田  実君                 塩見 俊二君                 林田 正治君                 平島 敏夫君                 三木與吉郎君                 村山 道雄君                 中村 順造君                 鬼木 勝利君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        運 輸 大 臣  松浦周太郎君        国 務 大 臣  増原 恵吉君    政府委員        行政管理庁行政        管理局長     井原 敏之君        行政管理庁行政        監察局長     山口 一夫君        外務政務次官   永田 亮一君        外務大臣官房長  高野 藤吉君        外務大臣官房会        計課長      谷  盛規君        外務省アメリカ        局長       安川  壯君        外務省欧亜局中        近東アフリカ部        長        力石健次郎君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        外務省移住局長        心得       山下 重明君        運輸大臣官房長  堀  武夫君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        運輸省鉄道監督        局長       佐藤 光夫君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  深草 克巳君        運輸省自動車局        長        坪井 為次君        運輸省航空局長  栃内 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        外務省経済協力        局外務参事官   片上 一郎君        日本国有鉄道理        事        今村 義夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○行政監理委員会設置法案内閣提出) ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず委員の暴動について御報告いたします。四月二十四日佐藤芳里君及び平島敏夫君が委員辞任され、その補欠として八木一郎君及び源田実君が選任せられました。     —————————————
  3. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 外務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。なお、本案はお手元に配付いたしましたように、衆議院において若干修正されておりますので御了承願います。政府側からは、永田外務政務次官高野官房長谷会計課長力石中近東アフリカ部長山下移住局長心得が出席いたしております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案に関連して二、三お伺いしたいと思いまするが、その前に臨時行政調査会行政改革に関する意見を昨年九月に発表いたしております。それに対する外務省、特に外務大臣としてのお考えをひとつ基本的なものについてお伺いしたいと思いましたが、大臣お見えにならぬので、ひとつ政務次官から、まずお伺いしたいのは、臨調行政改革に関する意見に対する外務省として基本的なお考えをまず順序としてお伺いしたいと思います。
  5. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 外務省といたしましても、臨時行政調査会答申に対してはできるだけその趣旨を尊重していきたいと考えております。しかし、現在の国際慣行上不可能なもの、ないしはその趣旨法律ないしは機構をいじらなくてもその運営によってまかない得るもの、それから検討して今後その趣旨に従って将来実現していきたい。大体三つに分かれるのではないかと考えております。具体的に申し上げますと、第一に、在外公館において広域公館をつくれという答申がございました。これは現在のEECないしはブロック的な考え各国に起こっておりまするから、たとえばヨーロッパにおきまして、フランスなりドイツにおきましてその館がヨーロッパ全体を見るようにしたらどうかという意見がございますが、これは各国経済面関税面におきましては逐次統一しておりますが、政治面外交面につきましては主権を維持しておりまして、ドイツにいる大使フランス外務省交渉するということはなかなかむずかしいのでございまして、これは現在の国際法ないし国際慣行上、現状においては実現不可能かと考えております。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 御発言中ですが、私が伺っているのは、基本的な考えをまずお伺いしたいわけです。具体的な問題はこれからお伺いするので……。
  7. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 基本的な問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、できるだけ尊重していきたい、現在の国際法国際慣行上不可能なことが第一点。  第二点は、機構をいじらなくても運営でできる面が第二点。  第三点は、今後検討してできるだけその方向にしていきたい、大体三つに分かれるのじゃないかと思います。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、基本的な態度をまず順序としてお伺いしたわけで、これから具体的にお伺いするわけですが、大体外務省臨調意見に対する御意見としては、いま御指摘もございましたが、賛成か要検討、あるいは反対、この三通りになるわけですけれども、賛成というのはごく一部であって、反対と要検討というのをしさいに掘り下げてみると、これは結局賛成じゃないのです。反対に近いものが要検討になっておるということで、そこで基本的な考えとどうも矛盾しておるようです。臨時行政調査会行政改革に関する意見は尊重すると、これは前の池田内閣から、これを引き継いだ佐藤内閣も同様ですが、かってない大規模機構をもって、長期間慎重に慎重を重ねて、この国会でその期限を、延長までして、慎重な検討をやってきて、昨年九月ようやく結論を得て、各省庁意見を出したわけです。答申をしておるわけです。それに対する各省庁、まあこの場合は外務省ですが、どうも基本的には尊重ということばを使っておりますけれども、個々の場合になると、あまり尊重しておるとは思われない場合が多いわけです。  そこでその個々の場合をまずお伺いするわけですが、まずお伺いしたいのは、経済外交に関する改善策についての改革意見のうちで、いまちょっと御指摘があった在外公館における経済担当官充実、こういうことはきわめて大事であるから、ひとつ経済掛当官の充実に向かって取り組んでもらうよりに、こういう臨調意見があったわけですね。これに対して外務省としては、要検討検討を要するという御回答になっておるわけです。これはどうしてすっきりと賛成できないのか、その理由をひとつ簡明にお聞かせいただきたい。
  9. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 現在経済外交ということが非常に重要でありまして、外務省といたしましても、本名のみならず、在外におきまして経済を担当する人をできるだけふやす。外務省プロパーの人をふやすのみならず、経済官庁からもこれを在外公館に配置いたしまして、できるだけ経済外交推進に資していく。外務省といたしまして、もちろん経済面担当官在外公館にできるだけ配置するということは賛成なんでございまして、もちろん反対はいたしておりません。ただ運営面におきまして、在外公館は、経済のみならず、外交政治、その他文化、いろいろの面がございまして、経済各省経済担当官のみならず、外務省経済担当官もございますと、頭でっかち。各省から大体一等詳記官ないし参事官が参ります。そういう方々がたくさんおりますと、館として一つ機構、オーガニゼーションといたしまして、官房事務なり、その他電信文書、ないしは在留邦人の保護という面におきまして、ある程度定員が限られておりますと、そういう面が非常に定員が少なくなりまして、館全体としての機構が非常にいびつになってまいります。で、各省からの優発な、有能な経済担当官が参りますれば、やはりそのアシスタントもおりますし、またそう申してはなんですが、各省から来られた方は、初めて在外に出るという方もございまして、語学の関係、風俗、習慣、生活様式等で、なかなかすぐには活動ができないという面におきまして、それのアシスタント的な人をふやしませんと館全体の機構が動かなくなる。そういう面におきまして参事官がふえればそれのアシスタント文書会計電信、庶務という人員をふやしていただかないと館として動けない。そういう面で、経済担当官だけふやせば館として全体の運営なり機能が十全に発揮されるものでない、そういうのが外務省の現在の実情でございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、広域経済対策、この方針について、外務省は同じく賛成はしてないで、検討を要するということである。これを掘り下げてみると、結論的には、広域担当在外公館長は、関係地域公館長に対して指示権を有することについては問題が存するということであるわけです。そこでお伺いしたいのは、問題が存するということですが、どんな問題が存するのか、これをひとつ具体的に解明していただきたい。
  11. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 現在、放流的、主権的に申しますと、各国はみな主権を持って独立しております。具体的に申し上げれば、わがほうの駐英大使イギリス政府にアクレジットされておりますし、フランス大使フランス政府にアクレジットされておりまして、たとえばイギリス大使フランス大使訓令するということは国内法的にもこれはちょっと無理ではないかと考えます。なお、国際法的に申しましても、フランス政府から見ますと、フランスに駐在している日本大使に、イギリスに駐在している日本大使からいろいろ訓令し、それでその結果、おまえはフランス政府交渉しろというのは国際法上きわめて不穏当なことでございまして、現在の国際法国際慣行及び国内法の規定から申しまして、こういう権限的なことは、これはちょっと無理ではないかと考えております。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 国内経済省庁とそれからいま出た在外公館長との一定範囲連絡は必要である。こういう臨調改革意見に対して、外務省はこれについては反対しているわけです。ところが、関係省である通産省通産省は早急な実現を期すべきである、外務省とはまっこうから反対の早急に実現してやるべきだという態度を明示しているわけです。そこで通産省外務省はまっこうから対立している。外務省反対している。そこでどういうわけでこれは反対になるのか。いわゆる国内経済省庁在外公館長との連絡を緊密にとるということは、これは常識的に考えてもきわめて大事なことではなかろうかと思いますが、こういう点、外務省反対されているということは納得しがたい、その点をひとつ御説明いただきたい。
  13. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) この点は、外務省といたしましては賛成できない点なんでございます。  まずその具体的な理由を申し上げますれば、通産省ばかりでなくて、経済官庁のみならず、各省庁が面接に在外公館訓令ないし指示を与えますと、国内関係省と練らずに訓令を出しますと、大使としては、これがはたして日本政府の一本の訓令か命令か、よくわかりませんというのが第一点。  第二点は、各省庁が個別にやりますと、その公館における事務繁閑等を勘案せずに、急を要しないものまでも急だといっていろいろ調べてくれと言われますと、現在の寡少なスタッフではこれは全然まかない切れないという点が第二点。  第三点は、各省庁が別々にやりますと、この訓令なり、いろいろ調査事項なり、それがまちまちになりまして、在外公館としてはどちらをやっていいかわからない、矛盾混淆を起こすということで、すべて外務省一本で在外公館長訓令をするというのが、おそいようでもかえって迅速に事務が処理できるというのがわれわれの考えであります。しかし、主として通産省でございますが、簡易なものは直接連絡してよろしいのじゃないか、これはもっともでございます。しかし、これが在外公館文書電信等一連の記録、一連文書がございまして、これは必ずしも大使参事官を経ずに主任官が一連の番号を打ちさえすれば簡単なものは本省、東京に打てる。同じことが東京から参りますについても、全部大臣、次官、局長まで通ぜずに、主任課長を通じてそれが電信ないしは文書になっております。実際上の面からいきまして、運営面でやっていけばかえって迅速であるし、矛盾紛淆を来たさないというのがわれわれの考え方であるし、また、それが実情に合っていると考えるし、またそれが正当であると考えております。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、外交交渉方針に関する国内省庁間の協議とか、あるいは調整方式改善について臨調改革意見を出しておるわけです。これに対して外務省としては反対しておるわけです、これにも。通産省賛成である。ここでも対立が見られるわけです。これは一体どういうわけか。
  15. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 一つ買易交渉にいたしましても、この物資は、通産物資ももちろんでございますが、農林物資、ことによりますと、大蔵省専売物資がございまして、これの相互の連絡をはかりまして相手と交渉いたしませんと、政府の、一本の意志としてまいりませんので、通産省のいうように、しかく簡単にまいらないのが第一点。  それから第二点は、しからば通産物資だけの場合いいじゃないかと申しましても、これはいろいろ政治的な要請も加味いたしまして、現状においてはタイミングが悪いもの、ないしは一方においてほかの交渉をやっているからこれをてこにしてこちらの立場を強くするといういろいろなタクティクスが使えるわけでございまして、通産物資だけの交渉におきましては、一面的ではなくて、多面的なものをやっていくほうが日本経済推進ないしは日本の国益を守る上に適当であると考えておるわけでございます。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、海外経済協力基金に対する自主性の付与、これは具体的にいうと、基金の所管について勧告しておるわけです。これに対して経済企画庁反対しておるわけです。これは従来どおり経済企画庁とすべきである、そういう観点から反対しておる。で、外務省はそれに賛成をしておるわけですね。これは御説明いただかなくても、外務省賛成をしておるのだから了解するわけですが、外務省は所管することが便宜でかつ適当と考える。ここまで個々の問題について伺ってきて、さてどういうことが感じられるかというと、各省庁それぞれ自分の省だけのことを考えておのれの省に都合のいいこと、おのれの省の権限が拡大するとかということにはみんな例外なく賛成しておるのです。それでいわゆる自分の省の縮小とか統合、事務範囲がひとつ狭められるという問題については反対しておるのです。これがいい例である。経済企画庁は従来どおり経済企画庁とすべきであるということで反対しておる。外務省は、従来経済企画庁となっておったものを今度はこれは職権の拡大で、そこで外務省はめずらしくここで賛成しておるわけです。これは一つ二つの例ですけれども、一貫して各省庁に対してこういうことが言えるわけです。これでは臨時行政調査会があれほど大規模な、しかも長期間を要して相当な国費を費やして慎重審査して改革に関する意見をせっかく出しても、各省庁自分の省のなわ張り根性でこれをあるいは賛成、あるいは反対しておりまするから、なかなかこういうことでは行政改革実現を期しがたいということがいままでのことを通して結論的に言えると思う。このことに対して外務省としてはどういうふうにお考えですか。
  17. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 臨時行政調査会答申につきましては、先ほど申し上げましたように、できるものはできるだけやっていくと、たとえば人事の交流とか、連絡簡易簡素化及び迅速化という面、経済担当官の増員という点は非常に貨車な御指摘で、われわれとしてもできるだけその面はやっていきたいと、しかし、法律的にないしは国際法上不可能なものは、ないしは不自然なものはこれはできない。それからいま御指摘経済協力の問題でございますが、これはまあ二つございまして、技術協力資本協力とございますが、技術協力は、現在海外技術事業団、大体外務省でやっておりまして、資本協力につきましては、現在主管官庁経済企画庁、しかし、そのほか関連官庁としては通産省外務省大蔵省等々がございますが、資本協力は非常に経済面もございますが、ある程度政治面もございますので、その限られた資金を有効に使うにはやっぱり一本にしたほうがいいのじゃないかということは当然でございまして、その面におきまして経済外交とあわせて一本にできるだけやっていくのが将来において望ましい方向であるということで、われわれとしてはこれに賛意を表している次第であります。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題についていま一点だけお伺いしておきますが、海外技術協力事業団業務運営等改善についての臨調意見に対して、外務省は一部賛成で一部を反対しておるわけですね。技術協力行政の一元化と事業団運営改善に関する改善策は妥当であると、これは賛成しておるわけです。これは答弁は必要ありません。そこで反対の面は、予算移しかえ方式については賛成しがたいとして反対しておるわけですね。これはどういうわけなんですか。予算移しかえ方式は、臨調改革意見ではまずいですか、どういうふうにまずいのか。
  19. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) その点はいま主管局長が参っておりませんので、至急問い合わせて後刻御返事申し上げたいと思います。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは問題をかえまして、法案そのものに入って、中南米移住局の設定についてお伺いいたしますが、この中南米移住局の新設に関連して、これはどなたでも気づくわけですが、地域的な分類と機能的な分類一つに結びつけたような名称の局となっておるわけですね。で、このことは当然に衆議晩内閣委員会でも行管意見を聞いたりしていろいろ審議が行なわれたと思う。そこで衆議院の段階よりさらに一歩ひとつ掘り下げてお伺いしてみたいと思うのですが、こういう名称を使うに落ちついたまでの経緯は一体どういうわけなんですか。こういう不自然な名称になった経緯について概要をひとつ御説明いただきたい。
  21. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 御承知のように、最近、中南米に対する日本貿易ないし経済協力実情がだんだん関係が深まってまいりまして、しかも国連開発貿易会議、いわゆる南北問題等々がふえ、及び国連における中南米の地位は高まってまいり、現在二十二カ国ございまして、日本にも大多数の国が大使館ないし公使館を置いておるわけでございまして、別状におけるアメリカ局の一課だけではこれが実情に合わないと、また、ここにいる中南米から派遣されている大使館は、やはり自分自身中南米だけを考えてくれる局長ないしは局がないと、何となく自分らが軽視されている、こういう面がございまして、外務省といたしましては、外交上それはきわめて、やはりもっともなことだという前々から考えでおりました。一方、移住局というもの、これは現在移住が、国内経済状態移住される方が少なくなっておりますが、現地には終戦以来、相当な方が行っている。これのいろいろめんどうを見なければならぬ面もございますので、移住局もこれを廃止するわけにいかぬ。しかし、一方、臨時行政調査会及び政府方針によりまして、定員増はもちろん、機構の新増設はいかぬという国内的な面と、国際的な必要の面とからみ合わせまして、局の創設ではないが、名前を変えて中南米移住局ということに、苦心の妥協の産物になったのでございます。で、ポツが入りましたのは、これは法制的な解釈として、中南米移住というと、中南米だけに移住をするように聞こえる。中南米アンド移住で、英語ではアンドが入りますのですが、日本語では、「及び」ですが、これではちょっと局の名にならぬということで、ポツが入りまして、読むときは中南米移住局、書くときには、ポツが入る、そういう関係になったわけでございまして、いろいろ紆余曲折がございましたのですが、現状におきましては、まあ、この案が最善だとわれわれは考えておる次第でございます。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、中南米移住局設置の契機となったものは、要約すると、移住局廃止ということに重点があったのか、あるいは、アメリカ局二つに分けることが、より重要な動機であったのかということになろうと思うのですが、この点はどうですか。
  23. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 移住局廃止ということではございませんので、名称は別として、御承知移住事業団ができましたので、外務省といたしましては、これの監督及び政策の樹立という面で、内容的に事務が逐次減っていくのではないかという点と、それから、先ほど申し上げました中南米局——中南米関係の独立した局が必要だという意味合いと、両方の意味から、中南米移住局というふうになったわけでございます。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この移住局廃止しようという方針は、従来、外務省にはなかったわけですか。外務省としては、すでにそういう方針が決定しておったようにも聞くわけですが、あるいは、一説として、領事局を新設して、ここに吸収しようとする、そういう案もあったように漏れ承るわけです。そこで、今回の中南米移住局について、こういう点も、何とかこうすっきりした中南米局とか、そういうところに問題があろうと思うのですが、もう少しすっきりした名前には考え及ばなかったわけですか。
  25. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 最終的に行政管理庁と御相談する前には、もちろん、内部にいろいろな愚見がございました。しかし、現在、移住局の二課を全然なくしてしまうということではなく、局の名前をどうするかという点で、いろいろ意見もあったわけでございます。先ほど申し上げましたように、移住事業団ができましたので、実質としては、逐次これを事業団に移行していく、しかし、一挙に移住関係の課を廃するということはないのでございまして、局の名前をどうするかという点につきましていろいろ意見がございましたが、最終的に中南米移住局、課は二課にするという面で落ちついたわけでございます。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これも、直接聞いたわけじゃございませんが、漏れ承ると、自民党の総務会でも、移住局という名称が消えてしまうことには強く反対だと、そういうことで外務省も苦慮して、そこで、こういう名称に落ちついたというのが真相のようだと聞いておるわけです。各省において所掌事務配分する場合、たとえば、外務省アジア局とか、アメリカ局、あるいは欧亜局、こういうふうに地域外交政策を主とする配分が一方にあって、それで一方には、経済局とか経済協力局条約局というふうな機能的な事務上の配分、こういうふうに、一本立てになっていると思うのです。これは、ただ単に、外務省だけではなく、たとえば、文部省のほうを見ても、初等中等教育局とかあるいは大学学術局というような配分と、社会教育局、体育局とかあるいは調査局、こういう二本立てになっておるのですね。どこの省庁を調べてみても、どうもこういう希代な、不自然にこうくっついたような名称のものは、いまだ先例を見ないわけですけれども、そういう点からも、きわめて不適当と言わざるを得ないわけなんです、私どもの考えとしては。そこで、もっとすっきりした名称にすべきではなかったかということが、この点からも言えるわけですが、いま各省庁を見ても、こういうのはちょっと見当たらぬと思うんですがね。もし、あったら御指摘いただきたいのですが……。
  27. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 外交と申しますか、外務省所掌事務——在外で、ほとんど各省に関連する問題をやっておりますので、いわば、外におきましては、総合官庁的な仕事をやっておりますので、国内各省とは……、必ずしもすっりと筋を通して議論できるかどうかは、疑問の余地があろうかと存じますが、外務省といたしましても、これを、刻々発展していく国際情勢及び日本外交的地位が刻々向上していくのに見合いまして、本省の機構及び在外公館の配置等をいかにするかということは、限られた予算定員で、いま、非常に苦心しているわけでございます。で、お説の地域局と機能局は、大体、いままで分かれてきて、今度初めて一緒になったがおかしいではないか——ごもっともな御指摘でございますが、御承知のとおり、移住関係は、大体、中南米がその大部分を占めておりますので、その点は、若干、機能局と地域局が一緒になっても、実際上、これは打って一九とすれば、政治問題と移住問題が相互にかみ合っていけるので、必ずしも、実際上の運用においては無理がないと考えておりますのが、第一点。  第二点は、本省の機構の問題、これは、先ほどの経済協力等々の問題と関連いたしますし、また、経済外交の問題と関連いたしまして、現在、経済局の中には、アジア課、スターリング地域課、アメリカ局の中には、北米課、中南米課というように地域的なものがございます。これは、外務省の機能局である条約局、情報局等にはない例でございまして、これのかみ合わせをしたほうがもっといいのではないかという点も、いろいろ考慮しておりまして、今後とも、この機能局と地域局とのあり方を現在検討中でございますので、この中南米移住局が一種の先例になるか、ないしはテストケースになるかという点で、限られた局と定員でどういうふうにやっていくか、われわれの非常に苦心しておるところでございます。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、この問題は、まだまだ問題があろうかと思いますけれども、一応、時間の関係もありますから、ここで打ち切って、次に、中近東アフリカ部の局への昇格について二、三お伺いしますが、この局への昇格の理由は、政府説明によりますと、国内的の理由よりも、重点は対外的な新興国への体面にある、そういうことでありますが、この機会に新興国に対する外交政策をひとつ力強く行ないたいということでありますけれども、実際はどうなのか。椎名外相は中近東とかアフリカ帝国を一巡して、これらの新興国との関係をさらに一段と深めようとする、そういう御意向があるのかないのか。やはり実際に回ってみぬと実情がわからぬわけですから、機会を見て中近東アフリカ、これらの諸国をひとつ回って、そして実際に見て、ここでいま提案理由で言っておるように、新興国に対する関係を一段と深めようとする熱意がおありなのかどうか。これは大臣にお伺いしたいところですが、もしあるということであるならば、その構想は一体どうなのか、こういう点を尋ねたいのですが、おわかりでなければ大臣が来てからお伺いしますが、大臣のお考えがすっかりわかっておれば、大臣にかわってお伺いしたいと思います。
  29. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 私から申し上げるのはちょっとデリケートな点もあるかと存じますが、外務大臣国内的にも国際的にもきわめて御多忙でございまして、いままではイギリス及びアメリカに行かれまして、現在アジア、中南米、中近東、アフリカ等々からぜひ総理ないし外務大臣に来てくれという要望が、その国からも及びわが国の在外公館からも非常にございまして、国内の国会及び外交業務の許す限り、順序を追ってそれらの国にお回りになることは、外交上きわめて必要かと存じます。しかし、これらの、どっちを先にやるとか、どういうこともないしは日数の関係等、また外交上のそのときの必要の関係で、どれが先になるとか、日数がどうなるかということは、これは今後の問題でございますが、できる限り、時間の許す限りお回りになることは、外交上必要じゃないかと私は推測しております。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たとえば中共の周総理とか、あるいはフランスのドゴール、こういう人々は、この点についてはきわめて積極的な政策を進めておるわけですね。これと比較して、従来の日本外交は、この点についてきわめて消極的であったということは言えると思うのです、対照して考えた場合。これではせっかく提案理由説明の、新興国へのひとつ積極的な取り組みが必要であるということの裏づけがないわけです、実際には。
  31. 永田亮一

    政府委員永田亮一君) 椎名外務大臣も中近東アフリカの至要性を特に痛感されておられまして、中近東アフリカという地域の諸国は、特に戦後、世界のフロンティアとして東西町陣営の角逐の場になっております。ヨーロッパのかつての宗主国は統制力が失われてまいりました。いま御指摘のように、中共の進出が非常に顕著でございます。また、経済的には石油とか鉱物とか、そういう優秀な資源がございまして、わが国の産業上、原料を多量に輸入する傾向にございますし、同時に、わが国の重要な輸出市場でございますので、これからは中近東アフリカ諸国に対しては、きわめてきめのこまかい外交政策を立てていかなければならない。さらに、独立国の数が現在は四十七カ国に達しております。こういう点からも、これらの新興独立国が特に日本に期待するものも多いし、日本からも、これらの国に積極的に働きかける必要を痛感いたしまして、特に椎名大臣は、中近東アフリカの重要性をお考えになり、新しい局を設け、これらの国を、外務省といたしましても、局という大きな立場から所管をするのが適当と考え、今度提案いたした次第でございます。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、中近東アフリカ局の新設に伴って、欧亜局所掌事務が少なくなるであろうと思う。そこで、欧亜局名称をたとえば、これはたとえばですが、ヨーロッパ局とするとかいうふうに改称すればすっきりしてくると思うのです。今度の所掌地域は、ほとんどが欧州と大洋州であろうと思うのです。もちろん、欧亜局英連邦課として、一部にはアジア地域も残るわけですけれども、国民一般にもわかりやすいように、そういう名称考えていないわけですか。
  33. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) 欧亜局欧亜局として、中近東アフリカ部が局となりましても、名前はそのままになるわけでございます。御指摘のように、所管地域は大洋州を含めてヨーロッパでございますが、この欧亜局の亜は、中近東アフリカの阿ではなくて、アジアの亜でございまして、いわゆる英語のユーラシアと申しますか、アジア・ヨーロッパという意味の欧亜局でございまして、アジアが入りますのは、これはソ連がずっとアジアの地方まで、極東まできておりますので、ユーラシアということばに従いまして欧亜局——正確に申し上げれば欧亜・大洋州がよろしゅうございましょうけれども、これを簡単にしましていままで慣行によって欧亜局、そういうふうに言っているわけでございます。  それから、先ほど臨調技術協力団に対する予算の点について御質問がございましたが、現在経済協力局の片上参事官が参っておりますので、御答弁申し上げたいと思います。
  34. 片上一郎

    説明員(片上一郎君) お答え申し上げます。  臨調の当局のほうともいろいろ実質的な話をしたわけでございますが、そのときの臨調側の認識は、一応、政府ベースの技術協力は現在外務省が所管している。それから民間ベースの技術協力通産省主管しているというところで大きく分かれて、予算的にも分かれているわけでございます。各省技術協力予算というのは、これは非常に例外的なもの以外にほとんどないというのが実情でございます。  したがって、臨調側のいろいろな意図もわかるわけでございますが、他面、私たちが心配いたしますことは、予算、それから会計手続というものは、御承知のように、いろいろ形式行為がございます。したがって、そういうことで、具体的なプロジェクトがきまったときにその省に移しかえていくという操作は、一見統合していくということで非常に全体をにらむのにいいという面もあるかとは思いますが、他面、実施上の円滑ということから見れば、またマイナス要因もある。そうすると、プラスのほうの、全体を予算的にも執行面からにらんでいくという面のプラスは捨てるのかという御質問が出るかと思いますが、それについては外務省通産省、それから関係省、あるいはまた、政府ベース実施に当たっております事業団各省とは、定例的に連絡会議をもっております。ここで予算的な問題、執行面の問題、いろんな問題を議論しながら実施していくというような形でやってまいっております。われわれ実施側に立ちます者としては、いま直ちに新たにそういう制度を、——これは会計予算制度としても新しい制度でございますから、いろいろ検討すべき要素がある。直ちにこれを導入するということよりは、むしろより重要な、実質的に技術協力事業の総体的な実施をさらに円滑に、あるいは規模を拡大していくというところに第一の努力を注ぐべきではないかというのが、われわれ実施当局の考えでございます。したがって、早急にその問題を待ち出されることは、かえってもののプライオリティというものが逆になってしまうものであるという意味で、いま直ちには賛成いたしかねるという答申といいますか、回答をいたしました。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、中近東アフリカ部の局への昇格については、大臣が見えませんから、一、二お伺いする問題を残して、次の海外移住について二、三お伺いいたします。  昭和三十九年の八月、外務省から出された外交白書を見ますると、三十八年度移住者送出の概況のうち、当初の移住者送出予定数は、農業移住者は七千名、技術移住者は千名、計八千名であったわけですね。この送出実績は国内事情などの影響から千五百二十六名にとどまったという白書の報告だ。これは一体計画が悪かったのでこうなったのか。いわゆる予定数の五分の一に減ってしまっておるわけなんですね。この理由は一体どこにあったのか、また国内事情とは一体何をさして言っておるのか、こういう点を明らかにしていただきたい。
  36. 山下重明

    政府委員山下重明君) 三十八年度八千名の予定を立てまして、実際に千五百名くらいしか出なかったということでありますが、御指摘のとおりでありまして、実際には移住者の出ていった数は、三十五年に八千三百八十六名という人が出て、三十六年には六千名、三十七年には二千名、三十八年には千五百名と、急角度に落ちてきておりますが、これについてはわれわれとしては、大体戦争が終わったときに海外から帰ってこられた方々で、もう一回海外に出ようとされておる方が大体それで終了した、そのころの時期に終了したということ。それからもう一つの事情としましては、国内の景気がよくなったので、出ていく人が減ったということでありますが、その場合でも、大体いままでわれわれが対象としておりましたのは農業の関係移住者の方々で、この方々は大体日本の景気がよくなったのでどんどん都市に行った。そうすると、農村自身で人手が不足してきている。そこで農村から直接海外にほんとうに自分から山を伐採して開拓しようというような方々がどんどん減ってきている。そこで今後は新しい形の、農業でも農場経営とか、そういう技術を持った方が出ていくように、だんだん質が変わってくる。その変わり目に当たっているということが言えると思うのでありますが、そのほかにももう一つは、ドミニカ移住ということでわれわれの思わない蹉跌がありまして、集団の引き揚げが行なわれまして、それで海外に行ってみてもなかなかうまくいかないというようなこともありますし、事実またいままでブラジルなんか相当たくさんの方が行っておられるところで、必ずしもうまくいっていないというところがある。そこで、われわれ現在そういう移住地の再建に努力しておりますが、そういうことで移住の希望が減っているという事情もあります。それからまた一年半前に海外移住事業団という新しい制度をつくりまして、その事業団の整備がまだ十分行なわれていないということで、末端のほうの行政的な面もまだ若干不十分な点がある。そういうような点から落ちてきているとわれわれは見ておるわけであります。そうして、先ほど言いましたように、わずか千五百名しか出ないというのに八千名という予定を立てておったということは、実際にはそれだけ必ずしも出るということがなくても、一応移住船の船隻を確保したり、あるいは渡航者の渡航費用の貸し付けというものをやっておりますが、その点で若干多く見込んでないと不足した場合には困る。余った場合には国家に返しますけれども、またもし足らない場合にはどうするかということで、安全な数字を計上しておりましたので、そういう数字になりましたが、三十七年には実際にはっきり決定しているということで四千名に落とし、ことしは二千名の予定に落としております。今後はだんだん質の違った新しい形の移住というものを促進していきたいと努力しているような現状であります。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たまたま三十八年という年は海外移住事業団がその七月に発足した年であったわけですね。この移住事業団が発足したということであるので、よけい一つ推進力になったと思うのですが、にもかかわらず、いま御指摘になったような理由で八千が千五百に激減したということは、何といっても遺憾のきわみだと思うのです。この問題については昨年も当内閣委員会で私が取り上げた。その際も、この事業団法に基づく政府事業団に対する事業運営の基本方針、そういうものも何ら明らかにされず、そうして今日にきておるわけです。したがって、事業団の役員の人選問題などについても納得は得られないままに今日にきておるわけです。そこで、この際、事業団の今日の活動状況について、また活動の実績についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  38. 山下重明

    政府委員山下重明君) 御指摘のように、三十八年に事業団が発足してちょうどそのときに数字が落ちたということは事実でありますが、それはたまたま事業団が発足したときが非常に数が落ちてきているところにぶつかったためにそういう現象が特に大きく出たというふうにわれわれは理解しておりまして、もちろん機構が変わりますと、それによりまして若干のいろいろうまくいかない点も出てきますので、それから減ったということもあるわけですが、しかしながら、最近におきましては、事業団も一応だんだん整備されまして、人質におきましても、規正木部で百六名、神戸に移住センターというのがありまして、そこに二十四名、横浜に二十二名、それから地方の各県に大体三名ずつぐらいおられまして、これが百五十二名、在外支部に百七十五名、全体で四百八十名ばかりの人間が整備されまして、実際にやっております仕事は移住関係の調査と啓発、こういうことで大いに今後移住のPRを、いままでにもやりましたが、今後もPRという意味で新しい移住を、先ほど申しましたような、いままでの移住者と変わった今後の高度の移住のPRの仕事などを着々と整備してまいりまして、そのほか移住相談のあっせん、移住者の送出業務、これは実際には渡航費の貸付関係でありますが、そのほか技術移住者の開拓、それから現地におきますところの移住者の受け入れ業務、これは先ほど申しましたように、現地の移住地が、かなりまだよくできていないということで、そういうところをだんだん開発、整備していくという事業のほうも着々と実をあげておる状態であります。そのほか移住したあとで、現地において援護、指導する。それから移住者に対する営農資金などの融資を行なう。そういうようないろいろなこまかい仕事がありまして、機構が変わっても、すぐなかなか末端まで整備されない状態でありましたが、現存は着々と整備されてまいってきております。こういう状況でございます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの日本経済情勢の中で、将来に向かって移住者、特に農業移住者を送り出し得る見込みが一体あるのかないのか、こういうことについてお考えをお聞かせ願いたい。
  40. 山下重明

    政府委員山下重明君) 先ほど申しましたように、移住者のだんだん質が変わってくるということは、もちろんわれわれ考えておりますが、ただいままでのような移住希望者が、いますぐここで急に減るかというと、やはりいままでのような移住者は今後も続いて出る。今後特に北海道の寒冷地域とか、国内における産炭地域の方々も必ずしもうまくいっていない。そういう方たちに、できれば海外で大いに活躍していただくということで、今後もかなりの方が出ていかれるだろうと考えております。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは技術移民についてはどういう見通しなのか、三十八年度ではわずか六十七名くらいしがなかったわけですね。この技術移民については、一体今後の展望はどうなのかということ、それからこういうようにいま移住については低調になっておるわけですけれども、日本経済情勢も大きな原因になっておりましょうけれども、いずれにしても海外移住についてはきわめて低調であると思います。こういう中で海外移住事業団の活動の余地は一体あるのかないのかということ、それからさらにこういうことが言えると思うのです。昨年私どもは、デンマークのコペンハーゲンで列国議会同盟会議がございまして、その途中、中南米などを回ってまいりまして、特に移住実情などを一端の目的として調べてまいりましたが、昔のように一獲千金で裸一貫で、行ったのでは、いまの状態ではどうにもならぬ。特殊な技術があるとか、相当まとまった資金を持っていくとか、こういう移民でないと、昔考えられたような、ただ徒手空拳で、千金を夢見ても、なかなか情勢はそういう甘いものではない、そういうことを痛感してきたわけです。こういうことに対して、外務省としては一体どういうふうにお考えなのか、こういうこともあわせてお答えいただきたい。
  42. 山下重明

    政府委員山下重明君) 技術移住についてでありますが、技術移住が始まりましてからここ数年総数で七百六十三名出ておりまして、まだまだこれでも十分とは言えないわけでございます。ただその数字におきましても、去年一年で大体百名くらい出ておる。だんだん多くなりつつあるということでありまして、今後だんだん伸びていく。同時に、最近カナダにおきましてもヨーロッパからの入ってくる人々が少なくなって、日本からも大いに来てほしいということで、最近カナダの移住専門の担当官が日本に来ることになりまして、この担当官が来ると日本でどんどん選考しまして行くようになるので、かなりの数がカナダのほうにも出ていくような状態になる。そこで今後は技術関係移住される方が非常に多くなってくろだろうということを考えております。同時に、事業団としてもこれらの方のいろいろなお世話をする。それから事業団の仕事自身でありますが、さっき言ったように、移住地に、移住先に行ってからいろいろめんどうを見なければならない。お話にありましたように、今後はなかなか裸一貫というわけにもいかないということで、ますます国家的にお世話する面が多くなってくると考えております。同時に、現在技術移住推進していきます場合に、国内の技術者が不足しておるとかいろいろな問題もありまして、労働省なりなんなりほかの関係官庁とも十分話し合いをしてこの点を調整して、いろいろな技術移住の振興に当たっていきたいと考えております。     —————————————
  43. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 質疑の途中でございますが、ただいま委員の異動がございましたので御報告いたします。  森部降輔君が委員辞任し、その補欠として久保勘一君が選任せられました。     —————————————
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣がお見えになったので、一、二お伺いしたいと思いますが、先ほどお伺いしたことですが、中近東アフリカ部の局への昇格という問題に関連して、たとえば中共の周総理とかあるいはフランスのドゴール、こういう人々は、中近東とかアフリカに対する新興国との関係について非常に真剣に、積極的に取り組んでおるけれども、日本外務省としてはこの点は一体どうなのか。中近東アフリカ部の局への昇格についての提案理由説明では、積極的に取り組むのだという意味の御説明があるわけです。  そういうことと、いま一つお伺いしたいのは、そのこととも関係がございますが、中近東アフリカにおける在外公館を見ますると、大体公館長以下五名程度の人数で、きわめて弱体であるという感じを受けるわけです。これは世界大体の国を回ってきてみて、日本在外公館があまり充実していないという感じをひとしく私どもは受けたわけですけれども、これはまあそういう面では外務省としては現状でいいと思っておられるのかどうか。そうして、これではどうも弱体過ぎるので何とか強化しなければならないというふうにお考えなのか。もしそうだとすれば、具体的に方針がおきめになっておられるのかどうかという点、こういう点をもあわせてひとつ御説明いただきたい。で、世界のおもだった国を回ってこういう感を深くしたわけですけれども、特に中近東アフリカにおける在外公館は弱体という感じがあるわけなんです。こういう点をあわせて御説明いただきたい。
  45. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 中近東特にアフリカにおきましては、新興国が最近急激にふえてまいりました。それで、新興国であるからなお一そうこれらの諸国とのおつき合いにつきましては、十分に力を入れまして、そうして将来のこの関係をりっぱな基礎の上に置きたいと、こう思うのでありまして、そういう意味においても今回局に昇格をお願いしまして、その方向推進してまいりたいと、こういう考えでございます。  それから在外公館は、どうも予算関係もございまして、いずれも貧弱である、それでは事志と非常な違いを生ずるというようなことになりますので、この点につきましては、十分にひとつ国会の皆さんの御協力によりまして強化してまいりたい、かように考えております。なお詳細な点につきましては、官房長から説明させたいと思います。
  46. 高野藤吉

    政府委員高野藤吉君) いま大臣のお話しのように、在外公館、新しい国かアフリカ等にできまして、定員はなかなかふえないということで、その配置はある程度希薄にならざるを得ないのでございます。しかし、外務省といたしましても、できるだけ実情及び実務に応じまして増員をはかっていきたい。本年度、いま御審議願っている面におきまして、新設公館五館、これはアフリカの地域にもございますが、それ以外に町設公館におきましても定員を四十九名ふやして、実情に応じまして既設公館にも逐次定員をふやしていきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いしておきたいと思いますが、次にお伺いしたいのは、後進国に対する経済協力の問題について、後進国に対する日本経済協力現状は一体どうなっておるのかということと、日本の援助は当該地域住民に対して不評を買っておるという向きがあるやに承っておるわけですが、もしそうだとすると、きわめて遺憾であると思うんですが、その原因は一体那辺にあるかと、いうこと、そしてこの際、外務省の低開発国援助計画というものは一体どういうものなのか、こういう問題をひとつあわわせて御答弁いただきたいと思います。
  48. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 後進国に対する経済協力の問題は、すでに南北問題として大きく取り上げられております。国連におきましてもその問題を力強く推進しようとしておる状況でございます。したがって、わが国といたしましては、日本の最近の経済的地位の向上にかんがみ、できるだけの努力をしてまいりたいと、かように考えておるのであります。昨年行なわれた国連における経済開発貿易会議ですか、その準備会においても日本として提案をいたしまして、各国が国民総所得の一%を下らざる協力をすることが望ましい、こういう決議になったのでございますが、できるだけ日本といたしましては、この後進国の開発助成に力を入れてまいりたい。ということは、結局長い目で見ると、それがはね返って新興国の利益にもなっているのでございますから、今日の状況から見て、この方向に新しい努力をする必要があるということを痛感しておる次第であります。  それから不評を買っておるとう点は、どういう不評かわかりませんが、心あたりといたしましては、経済協力の問題に関して日本の協力のしかたはそろばんを忘れてない、あまりに商業的過ぎる、もう少し長期的な観点から、ほんとうにもう低開発国を育てるというそういう点がどうも希薄である、こういう批判を受けているのでありまして、これは必ずしもわれわれといたしましては、的をはずれてはおらない、こういうふうに考えております。そこで、今後はもう少し長期的な視野からこの南北問題を取り上げてまいるという必要があろうかと考えているような次第であります。  なお、私の御答弁で、まだ詳細の点が欠けておりますれば、他の政府委員から御答弁申し上げます。
  49. 片上一郎

    説明員(片上一郎君) 御質問の中の現状でございますが、御承知のように、OECDの開発援助委員会で統計を整備しております。その統計によりますると、最近六四年から歴年でございますが、歴年の数字が出まして、大体期間五年以上のものでございます。五年をこえるもの、これが六四年が三億四十五百万ドルという大体数字が出てまいりますしそれに対して六三年は二億六千五百万ドル。二千万ドル近くの減少という姿になっております。これにはいろいろ事情がございまして、特に民間投資関係の減少というのが、かなり大きく目立っております。これは一つには国内的な金融事情、それから二つには、南米等相手国の外資事情が悪くなったこと、インフレーションの悪化など、双方の事情が相待ちままして民間ベースの伸びが非常に減りまして、地方五年をこえます政府資金が入っております。政府ベースの援助的なものについては、むしろ徐々に伸びているというのが実情でございます。  それから先ほど大臣からも御説明ございましたが、不評とおっしゃいました、あるいはそれが不評であるのかあるいは不満であるのかは別といたしまして、幾ぶん低開発国側から、要請ないし強い希望がありますのは、日本側として、もう少し緩和された条件のものをひとつ援助をしてもらいたい、条件的に緩和されたもの、この更請は一般的に外貨支払い能力がだんだん悪くなっておりますので、どうしてもそういう希望ないし要請が強くなっております。他面わが国のほうといたしましては、国内資金上の問題あるいは国際収支、あるいは社会資本の拡大というよりな問題もございまして、なかなかおいそれと一がいに全部を受けるわけにいかないという事情もございます。それからもう一つは、やはりその低開発国のバランスのとれた開発という角度から見まして、低開発国側としては、農業であるとかあるいはかんがいであるとかというようなものも含めましたいわゆるインフラストラクチャー分野への援助というものも希望してまいります。これは日本としては、資金の寝る期間がどうしても、それは普通の資本財設備で援助します場合に比べて長くなりますので、いままでどちらかといえば、それを積極的に踏み切っていくというところまではいっていない、そういう面についての食い違いといいますか、要請と、われわれのできることとの食い違いということもあろうかと思います。補足的に。
  50. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言もなければ、本案質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論を終局したものと認め、これより採決に入ります。  外務省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  51. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十一、条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願います。  午前の会議はこ程度にとどめ、午後は一時半まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時五十分開会
  52. 柴田栄

    委員長柴田栄君) これより内閣委員会を再会いたします。  行政監理委員会設置法案を議題とし、前回に続きこれより質疑を行ないます。  政府側からは増原行政管理庁長官、井原行政管理局長、山口行政監察局長が出席いたしております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  53. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続いて二、三お伺いしますが、お伺いしたいのは、審議会とかあるいは懇談会、こういう関係の面についてまずお伺いしたいと思いますが、当内閣委員会では審議会、懇談会等のうちで閣議決定とかあるいは省議決定等によみものであって国家行政組織法第八条違反の疑いあるものについては、必要なものについては法制化すべきである。必要のないものについては廃止すべきである。こういう二者択一によって合法化すべきである。こういう審議を重ねてきたわけです。で、従的の例によると、こういう第八条違反の疑いあるものが相当量あったわけです、各省庁にわたって。ところが、繰り返し繰り返し審議を重ねている過程において、だんだん整理されて、今日ではわずか七つに減少してきたわけです。で、このことについてお伺いしたいわけですが、もうこれはとうに、二者択一によって、あるいは合法化するかあるいは廃止されておってしかるべきものが、七つといえどもここに現在残っておるということ自体がこれはきわめて遺憾であると思うのですが、このことについて行管としてはどういう措置をとってこられたのか。この点についてお伺いしたいと思います。
  54. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 仰せのとおり、この問題は特に参議院のこの委員会においていままでたいへん熱心に御審議をいただいた問題でございます。具体的な問題は、仰せのとおりであると私も記憶をいたしております。できるだけ審議会、協議会等設置の場合は、八条の規定に従うようにもとよりやることで、現在設置を新しくしておるものは、全部例外なくこれによってやっておるわけでございます。この審議会、協議会というような名前も十分に吟味をしますし、かりに名前をつけましても、意思決定などを全然しないという、意見開陳というようなものにとどまるもの、明白にとどまるものは、八条の機関でなくとも認めておりまするが、厳重にその点はやっておるつもりでございます。従来ありましたものも、そういう趣旨で整理をだんだんといたしておるつもりでございます。御指摘になりました七つというのを、ちょっと私いま申しわけありませんが、明確に覚えておらぬのでございまするが、十分にその点はこの委員会の御趣旨を体して整理をきちっとしていくつもりでございます。
  55. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、この七つというのは、もう行管では十分御承知のように、労働省に労働問題懇話会——これは前は懇談会といっておった、一字変えて労働問題懇話会、それと国際労働条約懇談会、それから労政懇談会、この三つ現存しておるわけです。それから農林省には二つで、八郎潟干拓事業に関する研究会、地域農政懇談会、この二つ。それから科学技術庁には金属材料研究連絡会、技術審査連絡会、この七つが現存しておるわけです。この七つのうち、労働省のこの三つの審議会等については、去る三月三十一日の当内閣委員会で、石田労働大臣は、私の質問に答えて、今国会会期中を目途として、廃止するかあるいは法制化する旨確約されておるわけです。それと、農林省の二つについても、四月八日と四月十三日の当内閣委員会で、赤城農林大臣から、私の質問に答えてですね、きわめて早い機会に廃止する旨の確約があったわけです。それと、あと残りの二つの、科学技術庁の二つについては、まだ私のほうの調査は、それまでついていなかったときに、すでに科学技術庁設置法が上がってしまったので、委員会で追及する機会を失って、科学技術庁直接に私は交渉して、二つはどうするのだ、二者択一で合法化すべきであるということを申し入れて、近く善処するという——これは委員会ではございませんけれども、私の直接の交渉によってそういう回答を得ているわけです。そこで行管にぜひやってもらいたい件は、こういうふうにして、当内閣委員会を中心に、あと残りの七つについてもそれぞれ確約しておるので、これは行管当然の責任として、ひとつこの関係省、労働省、そうして農林省と科学技術庁、さっそく連絡をとられて、ひとつ二者択一で合法化する方向で緊急に解決していただきたいと思うのです。これは当然なことをお願いしておるわけで、もし必要ならば合法化するように、必要なければ、すみやかにこの国会を目途にひとつ廃止するように、そういうことに対して行管長官の、さっそくのお取り組みをお願いしたいと、これに対するお考え、決意のほどを伺っておきたいと思います。
  56. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) その点、早急に連絡をしまして、善処をいたします。
  57. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで法案自体について次にお伺いをいたしますが、この提案理由説明によりますと、昨年九月、臨調から「行政制度及び行政運営改善に関し広範な意見が」内閣に出された。政府として臨調の「改革意見は、これを尊重するたてまえ」で、内閣に行管長官を本部長とする行政改革本部を設けて、行政改革意見について審議したり、あるいは行政改革実現推進することになったわけです。  そこでお伺いしたいのは、政府としては、臨調の「改革意見は、これを尊重するたてまえをとり、」、この「尊重するたてまえをとり、」ということについて、ひとつ、以下この法案について関係がございますので、ここで重ねてこのことを明らかにしていただきたいと、基本的なお考えを。
  58. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 尊重というのは、申すまでもございませんが、従来の用語に従ったわけでございまして、意見を尊重をしまして、これが実現を期するということが根本のたてまえでございまして、ただし、そのままに実行をするということでは必ずしもないと、やはり臨調答申のうち、尊重ということに含まれましょうが、その自体の中にさらに検討を加えるべきものという趣旨答申が出ているものもあるわけであります。具体的な事項はさらに研究の上実現を期してもらいたいというものもあるわけであります。また、相当にはっきりした意見でありましても、そのとおり全部そのまま行なえるとは、必ずしも言い切れないものがあるわけでございます。全体としてはこれを尊重をして、改革意見に沿って実現を期するという趣旨でございます。
  59. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、この改革意見について審議し、行政改革実現推進すると、そういう御説明があるわけです。そこで、どのようにして行政改革実現推進しようとしておられるのか。このことについて、ひとつ要点だけを御説明いただきたい。
  60. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 法案でごらんを願っておりまするように、この委員会は、第二条で、各号に掲げるような事項に関して審議し、意見を述べる、あるいは諮問に答申をするというふうになっておりまして、重要な事項があげてあるわけでございます。この重要な事項の内答は、具体的に言いますと、おおむね臨調答申の線の実現ということに、この際は具体的になるものというふうに考えるわけでございます。その何といいまするか、項目は二条の各号に掲げてあるようなものについて意見を述べてもらう。具体的には臨調答申の実施という形にこれがなってくる、そういう形に了解をしておるわけでございます。もとよりこの委員会はそうした問題について独自の見解で、審議をしてくれるわけですから、しかし項目については、ここに掲げるようなものについて、そうして具体的には臨調答申方向ということで審議がされるものと期待をする、こういうことでございます。
  61. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 従来行管としては、この大事な、いわゆる本務の一つとしていわゆる行政監察を行なってきて、その監察の結果に基づいて各省庁に対してそれぞれ勧告を行なっておるわけです。この勧告を受けた各省庁等は、その勧告に対してまず回答する。そして勧告に対する改善措置を講ずる、こういうたてまえになってきたわけですね。そこで、勧告に対する改善措置が的確に行なわれておれば問題ないわけですけれども、従来の例から推すと必ずしもこの改善措置は、的確に励行されたものもありましょうけれども、励行されてない面もあったわけです。それでは行管がせっかく骨を折って監察をして、その監察の結果を勧告するということも、励行されなければあまり意味がないわけですね。励行されて初めて行政の改善が進められる、こういう段取りになろうかと思う。従来の例では、あまり勧告されないで再び再勧告という事例もあるわけです。これは従来の例ですが、現状はどうなっておるのか、こういう点を中心にひとつ御説明いただきたい。
  62. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) まず概要を私から申し上げまして、あと局長から御説明を申したいと思いまするが、御指摘のように、監察、それに伴う勧告というものはなかなか重要な事柄でございます。各省おおむねよく勧告の線に沿った措置をしてもらって、いま回答をいただいておるというのが現実でございます。勧告をしました際に、一応期限を付しまして、それに対する措置、回答を求めておるわけでございます。さらにその後一定期間を絡まして、その後どういうふうな措置をやろうと思うという回答があるわけですが、それが実を結んだかどうかを一定期間を経てさらに回答を求めるというやり方をやっておるわけでございます。そして時宜に応じて再監察ということもやるわけでございます。現在では各省とも勧告に対しましては、きわめて的確に対応をしてもらっておるということはおおむね申し上げられると思うわけでございます。なお、具体的に若干町長から御説明をいたします。
  63. 山口一夫

    政府委員(山口一夫君) 行政監察の結果、勧告をいたしましたものの実施状況が勧告に比較してどうなっておるかということはわれわれも絶えず注意をいたしておることでございます。昭和三十年以降最近に至りますまでの監察項目約百三十ほどでございます。その百三十につきまして最近勧告の効果を一応測定いたしました結果によりますと、樹三十の監察におきまして、監察項目として各省に提示いたしましたものが総数約二千八百項目、一監察に数項目が含まれておりますので、項目といたしましては約二千八百でございます。この二千八百のうち、こちらの勧告どおり改善されましたものが七一%、一部改善と認められますものが一三・六%、なお、現在におきまして検討中のものが一五%、その他〇・五%というふうになっておりまして、大体大ざっぱに申しまして、勧告の七判程度は勧告のとおり実施に移されておるという状況でございます。なお、残余の分につきましても、勧告後六カ月の期間を経過いたしまして、さらにその後の改善についてあらためて報告を徴しております。また、これまで実施いたしました監察全体に関しまして、いまだ実現しておらない三〇%の分につきまして、その分だけの監察を実施したこともございます。このように絶えず結果の推進をいたして、現在七割程度はこちらの意図どおりに勧告が実施されておるというふうにわれわれ判断いたしております。なお、残りの勧告の七〇%にはずれました分につきましては、いろいろその内容を検討をいたしておりますが、いますぐには年度の途中で予算措置ができない、したがって、しばらく時間を要するもの、あるいは勧告の対象となりました一つ省庁限りでは処理ができない、数省庁にまたがって相談をした結果、勧告が実現するというような問題もかなり最近はふえております。そういう関係で、しばらく時日を要するもの等がその三〇%の中に含まれておる、われわれといたしましては、極力仰せのとおり勧告の一〇〇%実現を期しまして、勧告後におきまして絶えず繰返してその実施につとめておりますし、今後もつとめたいと考えております。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 監察、勧告、回答、改善措置、こういう手順で行政改革が励行されればある程度推進される。したがって、この制度は非常に成果さえあがればいい制度だと思うのですよ。ただきめ手がないわけですね。監察の結果を勧告しても、さていまも御指摘あったように、大体七〇%はよく励行されておるということです。あと残りに問題があろうと思うのですね。残りの三〇%の中で、これが当然に行管が監察の結果を勧告したわけですから、一応それに対して回答を出して改善措置に移らなければならぬ、指摘された面について……。ただ励行されない場合でもきめ手がないから、そのままほっておく場合もあり得たわけです、従来は。そうすると、きめ手がないからもう一回同じことを勧告をいま一回やる、再勧告する、なかなか成果をあげることは期待できなかったわけです。今度は新たに行政監理委員会を設けていろいろ行政改革の面の審議をして、その結果を答申するわけですけれども、これもやはり何かきめ手がないとなかなか励行されないということで、いいことでも励行されなければ意味がないということになろうかと思うのですね。そういう意味から、制度のよしあしを言うのでなくして、何か行管にはもう少しはっきりしたきめ手でもあれば行管の成果は一そうあがるのではないか、そういうふうに私どもは感じておるわけです。そういう観点から今度行政監理委員会ができ、そうすると、行政管理庁に対して行政監理委員会、この行政改革本部も現在あるわけですね、そうしてこの行政監理委員会はここで成立すると、いままであった行政審議会というものはおそらく廃止ということになろうと、そういう意味の提案の説明があったわけですが、そこでお伺いしたいのは、行政管理庁、それに対するいわゆる行政改革本部、さらには現在は行政審議会、この監理委員会が成立すると審議会は廃止になって行政監理委員会、いずれにしても三者の関係になるわけですね。こういう関係行政改革を実際に推進しよう、そういうねらいであろうと思うのですが、このことについてひとつ今後どういうふうにこれを運営していくのか、基本的なひとつ関係を御説明いただきたい。
  65. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 行政改革本部は、政府の何といいますか、機関といいますか、政府内のものとしてここで行政管理庁だけでなく、政府の行政機構改革運営改善ということに最も関係の深いと思われる部局のものが参加をして臨調答申をどういうふうにかみ砕き実施をしていくかという具体的な問題をここで扱っている。監理委員会は、この行政機構改革なり運営改善について民間の意見を導入をして、民間の立場というか、国民の立場という形でわれわれとしては強力な推進を期待をするということでございます。その間に行政管理庁というものがあって、所管の庁として監理委員会と接触をする行管長官が監理委員会の委員長であるという形で密接な実質的な一本の方向が強力に進められるようにしていこう、こういうつもりでやっておるわけでございます。
  66. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、この提案理由説明を見ますると、行政監理委員会を設けて民間の有識者のすぐれた識見を取り入れたい、そして行政の簡素化と能率化、合理化をはかって行政の近代化を推進いたしたい。こういうふうに提案の説明があるわけですけれども、そこでお伺いしたいのは、民間の有識者の人選等については、これは後刻お伺いいたしたいと思いますが、ここで特にお伺いしたいのは、簡素化、能率化、合理化をはかる、行政の近代化をはかるのだといっておりますが、臨調改革意見では行政における民主化の徹底ということを強調しておられるわけですね。ところが、ここでは簡素化、能率化、合理化、もちろんこれはそれぞれみんな重要な項でありますけれども、臨調が強調しておる行政、の民主化という点がここでは忘れられておるのか、入っていないわけですけれども、これは基本的な問題ですから、入れるのならこういうところへ当然入れてしかるべきだと、こんな大事なことがこの中に入れられていないというのはちょっとおかしいと思うのですが、これは一体どういうわけなんですか。臨調があれほど強調しておる行政の民主化がこの基本的な事項の中に入っていないわけですね。これはどういうわけなのか。ちょっと了解に苦しむので、この際お伺いしておきたいと思います。
  67. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) その点は説明のあれとしてことばは足りなかったかもしれませんが、ここに書いておりまする監理委員会の意見趣旨を尊重して、内閣の国会に対する責任の体制を十分に考慮の上、民間の有識者のすぐれた識見を取り入れて行政の簡素化、能率化と近代化と、三つのことばにうたってありまするが、その中にもとより民主化というものが大きく含まれておる。行政の近代化というようなところには最も大きく民主化のあれが実質として入っておる。行政の簡素化、能率化、合理化の中にももとより観点を変えると民主化というものが大きく入っておるというつもりでございまして、内容としてことばは少々そうおっしゃられると足りなかったかと思いまするが、民主化というものが大きく筋はこの申したことばの中に入っておるというつもりでおるわけでございます。
  68. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この簡素化、能率化、合理化の中に民主化が入っておるのだという御説明ですけれども、これはちょっと御無理な御説明じゃなかろうかと思うのですが、うっかりして落としたといえばよくわかるのですけれども、どうもこの三つを、どうどこからながめてみても民主化というような、全然こういうことと違うわけですから、この三要素と。  それはそれとして、重ねて御答弁いただきますが、ここでお伺いしたいのは、提案理由説明をさらに見ますると、行政監理委員会の所掌事務の項で、重要な行政制度及び行政運営について零歳する、そうして第一点としては、行管長官に意見を述べ、並びに行管長官の諮問に答申するとあるわけですね。この答申を受けた長官は、これをどのように扱われようといたすのか、これが第一点。  それから第二点は、行政監察の方針及び基本計画、それから監察の結果に基づく重要な勧告事項について審議し、行管長官に意見を述べ、並びに諮問に答申すること、これはまあ第二点となっておるわけですが、そこで現在の行政監察方針及び基本計画に改善を要する問題点があるのかどうか、改善を要する問題点はあるという観点から、こういう点を特に審議さして答申させようとするのか、もし現在こういう問題点があるとすれば、一体どのような点なのか、こういう点をあわせてひとつ御説明いただきたいと思います。
  69. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 監理委員会としては二条に掲げました各号のものについては、こういう基本的なものについては自分で審議をして意見を長官に出してもらうというのと、こういう項目について長官が諮問をして答申をしてもらうという二つの方法があるわけでございまするが、こうした重要事項について、基本的には監理委員会の意見を出してもらう、この委員会の意見はこれを尊重をして実施をしていく、実施の当面の第一次と申しまするかが行政管理庁長官である、多く実施の具体的な責任は各省大臣なり長官なりということになるものが多いと思いますが、第一次には行管長官がこの実施を推進をする、答申を尊重をしてこれを実施をしてまいるということになるわけでございます。  次の御質問の監察の方針及び基本計画の決定ということでいままでぐあいが悪いことがあったのかという意味の御質問がございましたが、いままでぐあいが悪かったからこうしょうというのではございません。監察の方針及び基本計画というようなものについては、やはりこの民間の意見と申しますか、国民の立場というものを導入するという形で監理委員会で審議をしてもらう、それにのっとりまして行管の監察を実施していこう、大体こういうものは一応の案は行管としてつくるということが通例になると思います。それを民間の委員によって十分にたたいてもらって、その決定に従って行管がこれから監察をやっていく。いままでぐあいが悪かったという、特に事例があるわけではございません。
  70. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、行政監理委員会は委員長一名と委員六名、計七名で組織しておるわけですね。そこで、委員長には行管長官をもってこれに充てる。委員は、行政の改善問題に関してすぐれた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総理大臣が任命する、こういう説明になっておりますが、そこでお伺いしたいのは、行政監理委員長行管の長官をもってこれに充てると、これはどういうことなのか。いわゆる委員長委員会の意見答申をまとめるわけですね。当然にこれを委員長と同一人である行管長官に提出するということになるわけですね。同一人が意見答申をまとめて同一人に答申すると、こういうことはどうもちょっとぴんとこないわけですが、これはどのような根拠でそうなさったのか、この点の御説明をいただきたいと思います。
  71. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 行政監理委員会は何といいまするか、原型としては臨時行政調査会臨調答申を尊重しまして、そのものずばりではございませんが、尊重をした形でこれを具体化し、御審議を願っておるわけでございます。その場合、臨調答申は、これを行政委員会として、委員長は今度新しくつくることを予定する総理府の長、国務大臣たる総理府の長を委員長にする。これは行管の仕事を包含して持っておるわけでございます。そういう答申になっておるわけでございます。この趣旨を尊重して行管長官を委員長にしようということにしたわけでございまするが、そのねらうところはやはりこの委員会は、委員会で審議をしてもらいましたものを行管の行政事務として着実に迅速に実行をしていくということをさらに確保するためには両者の関係を一そう緊密、委員会と行管との関係を緊密一体化することが適当であろうという趣旨で、臨調としては、兼務といいまするか、行管長官あるいは新しくできる内閣の総理府長官がこれを兼務するという趣旨をうたわれたものでございます。その趣旨はやはりこれを生かしていくことがよかろう。行管の行政的な実施と、委員会の審議、答申というものをさらに一そう事実の上で不離一体のものとしてやっていこう、そういう趣旨臨調答申をここに取り入れたということでございます。
  72. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この委員については、行政の改善問題に関してすぐれた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総理大臣が任命する、こういう説明ですけれども、ここでお伺いしたいのは、行政の改善問題に関してすぐれた識見を有する者、こういうのは、たとえばどのような経歴の人なのか。官僚の中から選ぶというのか、あるいは民間学識経験者等から選ぶのか、そういう人選の基準というようなのは一体那辺にあるのか、こういう点を御説明いただきたいと思います。
  73. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 行政の改善問題に関してすぐれた識見を有するというのは、これ、考えようによっては相当ばく然としておるようでございまするが、具体的にいいますると、先般、臨時行政調査会で御審議を願った際の委員、ああいう方々は、私どもが行政の改善問題に関してすぐれた識見を有する方々であるというふうに理解をするわけでございます。官僚出身者をそういう者と見るか、官僚出身者を必ずこの中には入れないとまでは、実は考えてはおりませんが、官僚出身者が行政の改善問題に関してすぐれた識見を有する特別の者とは考えておりません。むしろ考え方は、官僚出身でなくて、いわゆる民間の立場の方々、官僚出身者を厳密に排撃するという心持ちはありませんが、民間の有識の方々で行政の改善問題に関して関心を持ち、御意見を持っておいでの方というふうに考えて選考をしたいと思っております。
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 本法案の施行は七月一日になっておりますけれども、その期間は一体どのくらいを考えておられるのか。それから予算はどのくらい計上しておるのか。委員の給与はどのくらいか。これは専従ですから、普通のいままでの審議会等の場合と違うと思う。専従というのはあまりいままでの審議会等には見られなかった例だと思います。その点では一つの異色の方策であろうかと思います。こういう三つの点についてまず御説明いただきたいと思います。
  75. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 七月一日は、この法案を本国会で会期中に上げていただきますれば、当然準備期間を読み込んで発足ができるという考え方でございます。  それから委員は、給与特別職の常勤をたてまえとしておりまするので、月額十九万円ということでございます。  予算のほうは、これは予算総則の十二条で、こういう機構の改変がある場合に、移流用という制度を認められておるわけであります。今回の予算にも十二条でそれが読めるようになっております。当面は行政審議会が廃止になりますので、行審に計上されておる予算の流用、さらに当然委員の給与が不足いたしますのでこれは流用、総理府全体の中から人件費を持ってくる、こういうふうに考え事務を進めております。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでお伺いいたしますが、この委員会は、「委員長及び三人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。」こういうふうに説明しておりますけれども、これは委員はいま御説明あったように専従でありますし、相当高禄な専従ですね、高給な専従であるわけであります。そうだとすると、出席はあるいは五人以上とするとか、全員でなければ会議を附き、議決することができない、こうやってもいいんじゃないですか。これはいままでの審議会等の委員と違ってこれは専従ですからね、当然に出るのが本体ですから。しかも高給であるし、こういう点からあるいは五人以上とか全員の出席がなければ会議を開き、議決することはできない。そうして委員会の議事も、いわゆる「出席者の過半数、でこれを決し、」と説明にはあるわけですけれども、これは全会一致の方式をとるのが効果的ではないか、こういうふうに感ずるわけです。この点はいかがですか。
  77. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) これは大体、こういうたぐいのものの例文をそのまま規定いたしたわけでありまして、運用といたしましては、おそらく御指摘のようにほとんどが、全員が出席し、全会一致というようなことにあるいはなるかもしれませんけれども、制度といたしましては、多数決の方式をとったわけでございます。
  78. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間にも関係ございますから最後に一点だけお伺いしておきますが、行政監理委員会が設置されると、これに伴って先ほどちょっと触れましたが、行政審議会は残務処理のため若干の余裕期間をおいて廃止すると、この点があるわけです。そこで、この行政審議会は、設置以来今日までどのような成果をあげてこられたのか、そういう方向だけでもひとつ御説明していただきたいと思います。
  79. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 行政審議会はただいま第七次の会議をやっております。御承知のように、臨時行政調査会が発足いたしますまでは、制度運営の重要事項がここに諮問されておったわけであります。みずから建議する権限等はございませんが、純粋の、八条機関でございますが、やっておったわけでありますが、臨調ができまして臨調が存在する間は制度運営の点はやらないということで、監察だけを委嘱してやっておったわけであります。現在は第七次の、行審としましては監察を委員会に委嘱して進められておるわけでございます。
  80. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 行政監理委員会のこの法案について私も少しお尋ねしたいと思いますが、その前提としましてちょっと長官にお尋ねしたいと思うんですが、臨調のほうから政府に都合のいいような、自分たちに都合のいいようなより好みをするようなことでなくして、答申はあくまでこれを尊重してもらいたいと、食い逃げをしてもらうようなことをされちゃ困る、こういうような調査会のほうからのこともあったように思いますが、定、行政改革本部が第一番に手をつけられたのはすべて機構の新設ばかりであって、行政機構の整理統合というような根本的な最も大事な問題に対してはこれを避けられておる。これは後日、これに対しては検討するんだと、めどをつけるんだというようなお話でやっておるようですが、行政機構の整理統合というようなことに対しまして具体的にどういうことを研究されておるか、また、いつごろからそういうことを発表されるのか、その点をちょっと長官にお尋ねいたします。
  81. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 御指摘のとおり、臨調からも十六項目にわたる非常に広範、重要な答申がありましたが、それは総合的に関連を持っておるものであるので、そのつどやはり都合のいいものだけを食い散らかしても困るというような趣旨の申し出があったわけでまことに当然でございます。政府としても、臨調のそうした趣旨はこれも十分体して改革なり、運営改善をやるつもりでおります。まあ、そういうことで行政改革本部を発足をいたしておりまするが、何ぶんにも整理統合という面は去年九月に答申をもらいまして、予算あるいは法律案をつくるというまでに実は間に合いかねましたので、今国会における御審議にはあまり出ておらぬ。皆無ではございません。若干の局の整理等もあるわけでございますが、これは非常にりょうりょうたるものでございます。そうしたものに十分力点を置いてやらなければならぬということを政府としても考えております。それにはやはり、この監理委員会のようなものができて、民間の意見を導入をして推進をしてもらうということが、また具体的にいい方法であるというふうに考えて、この委員会をお願いをしておるわけでございます。しかし、臨調も、できるものはひとつやってくれという意向もまた出しておられるわけであります。許可、認可等については、できるものからこれはどしどし実施をしていこう、これは整理に該当するものでございまして、行政機関の整理統合については、大体八月末を目途に各省意見を出してもらう。これはどういうふうに整理をするというふうに必ずしも出ないかもわかりませんが、どういうものを整理をするという方向のものももとより出てまいりましょう。なお、検討をさしてくれという杉のものも出てくるかもわかりません。そういうものを取りまとめまして、次の通常国会に間に合うように予算及び法律案等をまとめて、この整理統合について十分努力をしてまいりたい、そうしてこの監理委員会に民間の意見としての推進をひとつ期待しよう、こういうつもりでおるわけでございます。お説のとおり、なかなか、当面出てくるものは新設のものが出てまいりますが、整理統合は出てまいりません。しかし、その点に特に力を入れ、その面の推進を期待するのが、この監理委員会の大きい一つの効用であるというふうに考えておるわけでございます。
  82. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 長官の御決意はたいへんお強いようですけれども、しかし、たとえて申しまするならば、今度の行政監理委員会設置につきましても、臨調からの強い要望があるにもかかわらず、あなたは口を附かれるというとすぐ尊重をする。そして実施するのだとおっしゃっております。行政監理委員会の設置については、先ほどからも論議がありましたように、民間の意見を導入して行政監察の機能を強化し、あわせて行政制度及び行政運営改善に関する重要事項を検討するために、総務庁に行政監理委員会を置く、冒頭にこういうことが答申されておるのですが、これは伊藤委員からも御質問があったと思うのですが、この間のいきさつを、答申は尊重するとおっしゃっておきながら、全然形の変わったものが、しかも非常に弱体なものになっておるのですが、その間のいきさつ、これはあなた独自のお考えでこういうことをおつくりになったのか。と申しますのは、私どもは本法案に対しては賛成ですし、強力に機構改正をやってもらい、国民の要望をあなた方が実施していただくことをわれわれは望んでおるのです。これで十分やっていただけるということになれば、大いにわれわれは再びとするところなんですが、はたしてこれでできるかできないか、そのいきさつを承りたいと思います。
  83. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) お尋ねになりました点は、まことに基本的な大事な点で、伊藤委員からも御指摘のあったところでございますが、本来は答申の線に沿いまして内閣府をつくり、総務庁をつくりまして、国務大臣を総務庁所管の機関としてこれを置くということが臨調の言うておるところでありますが、内閣府をつくり、総務庁をつくるということが、今度の国会までにどうして準備が整いかねましたので、したがって、二次的なものということばも使いましたが、同じ行政機構改革なり行政運営改善なりを扱っております行政管理庁長官のところに置こうというふうに、その点は換骨奪胎をいたしたわけでございます。内閣府をつくり内閣の基本的な統制機能を強化するという問題は最も重要でありまするが、いままでのところまだその案が固まらないわけでございます。これはさらに引き続きまして、案を固めまして、これはまあ答申どおりに実行できまするかどうか、いま必ずしも明確に申し上げかねるような面がありまするけれども、大きい方向としては内閣府をつくり総務庁をつくるという方向に進む、その場合にはこの委員会は当然総務庁に移りまして、国務大臣たる総務庁長官が委員長になるという形のものにしたいというつもりでおるわけでございます。その、できまするまでも、しかし、この監理委員会というような性質のものはひとつ早くつくって全体の行政機構改革なり運営改善に民間の意見を導入して推進をしてもらうということは必要であるという考え方に立ちましてこの案を提出をしてお願いをしておるわけでございます。
  84. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それでは、今回設置を見ようとする行政監理委員会は暫定的なものであると、将来は答申どおりに、ほとんどそれに近いところのものと切りかえるんだと、これは暫定的な機関、いわゆる時限立法的なものであると、こういう意味に解釈してようございますか。
  85. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) やはりそういうふうにまあ一応お考えをいただいてけっこうでございまして、やはり内閣の機能強化という、内閣府の構想なり総務庁の構想というものは、これを答申どおりでなくとも私は実現をしていくべきものであるというふうに考えておりまして、そういう内閣府ができ総務庁ができました場合には、この委員会は総務庁に属する機関として移っていってもらうというふうに考えてまいりたいと思っております。
  86. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 井原局長にお尋ねしますが、従来——まあいまも廃止にはなってはないわけだけれども、行政審議会と今回の行政監理委員会との違った点はどこですか。
  87. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 行政審議会は国家行政組織法第八条でいう典型的な諮問機関でございます。今回の監理委員会は形としてはやはり八条の範疇に入りますけれども、その委員は常勤の体制でありまして、しかも単に諮問に答えるという受け身の立場ではなくて、第二条に規定されておる項目についてはみずから審議をし、意見を述べる、行管長官のみならず内閣総理大臣に対しても意見を述べることができる、こういうふうな非常に強い権限が明定されておるわけでございまして、その点は申し上げますなれば、同じ八条機関といいましても本質的に違うということが言えるんじゃないかと思っています。
  88. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 だいぶ私の見解は違うがね、あなたの御説明とは。これはむしろ逆じゃないですか、行政審議会は、これは国家行政組織法の八条によってできておる。だけれどもこれは第二条の第十一号ですかの監察を行なうことができると書いてあるんですね。ところが、今回のは純然たる諮問機関であって監察はできないでしょう。監察権はないでしょう。逆に弱体化しておるように私は法的に解釈しますが、その点をひとつ。
  89. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 行政審議会は長官の委嘱を受けまして各委員に委嘱をしてという形でございまするが、仰せのとおり、監察ができ、実際に監察をやってもらったわけでございます。今度の委員会も、これも答申をごらんになれば監察ということをもって行政機構改革運営改善に資するというふうになっておるのでございます。これを審議の過程におきまして、この形の七人委員会で監察を委員会として行なうことが適当であるかどうかについて相当に意見が分かれまして、そこで結論としては、条文にありまするように監察の方針及びその基本計画の決定のことと、監察の結果に基づく重要な勧告事項はこの委員会で審議をしてもらうというふうに、その点を論議の結果落ちつかしたということでございまして、従来の各委員に委嘱をしてやっておった監察という杉でなくて、監察の方針及び基本計画とその結果の重要な勧告事項についてはここで審議をしてもらう、そういうふうなところに最後落ちついたわけでございます。
  90. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それは従来の行政審議会は、各委員に一応長官が委嘱をしてそうして監察をさせておった、それで十分でしょう。今度のは、そういう監察の方針、基本計画の決定であって、何らそこに行政権限を持たない。みずから監察もし行政権限も持たないこれは諮問機関である。だからその次に、必要があると認めるときは、長官を通じて、各行政機関の長に対して資料の提出及び説明を求めると、監察権があれば資料の提出やら説明を求めなくても監察ができる。そこのところの解釈を、どういうふうなこれは意味ですか、そこのところをもう少し説明してください。
  91. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) 仰せのとおり、監察そのものについては、行政審議会のほうは委員に委嘱をする形であってもやってもらうようにしておったのを、今度は委員会としては監察をしてもらうという方法はとらないことにしたというのは仰せのとおりでございます。ただし、行政機構改革なり運営改善に資するということがこの委員会の目的、それに民間の意見を導入していただくということでありまするから、そのためには監察の方針及び基本計画をまずここで審議をし決定をしてもらい、その監察の結果に基づく重要な勧告事項というものについてここで審議をしてもらおう、このことでその目的を、行政機構改革なり運営改善という目的を達する監察の結果は得ることができようというふうに考えたわけであります。
  92. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 その見解が違うんですよね、私とは。それは監察の方針、計画を委員会で定めるので、みずからそれを監察し、みずからそれを監督するというそういう権限はないですよ、これには。だから人が監察してそして書類を送ったものをただ審議するだけ、そこが非常にこれは弱体だと私は言っている。それで井原局長ともこの間話したのだが、弱体じゃありませんと言うが、事実弱体だ、みずからの権限がないんだから。監察権も、監察行政機関の権限も持たない、そうこれは解釈せざるを得ないんです、法的に。局長でも大臣でもいい、その点。
  93. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) それは鬼木委員仰せられるとおり、自身監察はしないというたてまえにしてあるわけでございます。しかし、申し上げたように、その方針と基本計画をきめるし、重要な勧告事項については審議をするということで、行政機構改革なり運営改善という目的は十分達成できよう。そうしてこれは委員は、申すまでもないことですが、両議院の同意を得るという慎重な、特別職という形で常勤体制というふうなことで、また審議会とは違いまして、いわゆる少数精鋭と申しますか、七人の委員をもってやるというふうな、全般を彼此勘案いたしまして、強力な委員会にはぜひなってもらわなければならないし、なってもらい得るというふうに期待をして全体の法文は構成をしておるわけであります。
  94. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 だから私が申し上げておるのです。行政審議会を廃止して、そして監理委員会を今度つくるのだ。一向変わりばえのしない、 かえって前よりも弱体化するようなそういうものを、これは佐藤さんが答申されたので何か答申を尊重する、尊重する、こう言った手前上、何か変わったものでもつくって、ここで答申を尊重しました、そのお役目済みみたいな感じがするのです。先ほど伊藤委員からもお話があったように、こういう強力なことで、前よりもずっとこれのほうが効果的で、この点でさっときめていきます、文句は言わせません、こういうものがあればいいけれども、何もない。ますます弱体である。局長、これはいかがです。答弁いかん。
  95. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 先ほど来長官がお答えを申し上げておるとおりでありまして、この委員会自体が、出発が国家行政組織法第三条の行政委員会にしようということで出発をしておったわけでありますが、次善の案として、総務庁のできぬ現在の段階でそこまではいきかねるという状況もありまして、形としては八条の機関ということになっておりますので、その委員の構成と申し、またその常勤体制と申し、非常に強力的でありますし、単に諮問があれば返事をするという体制でないということ。これは全然本質的に違うたてまえであります。それから監察につきましても、みずからこの委員会は監察を行なわぬので弱いというお話でありますけれども、その点は一つの御意見でありますが、繰り返しになりますけれども、方針と基本計画の決定、それから勧告の重要なものについてはここで意見をまとめるというわけであります。これは実際には非常に大きな権限でありまして、行管事務当局はその方針によって監察をやるわけでありますので、私は運用としてはこの委員会はみずから監察を行なうこととほとんど変わらないような体制で運用ができる。民間の感覚で監察のテーマも取り上げられましょうし、勧告の出しようも意見が言えるわけでありますので、その点は非常に強力だと私は考えております。特に、総理大臣に対してこの委員会は意見が言えるということは非常に強力な点でありまして、そういうことで……。
  96. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういうことを聞いておるのじゃない。その点、総理大臣に言えることはわかっているのですよ。これはあなたいま言ったでしょう。これは監察の方針を決定するのだ。みずから監察するのとほとんど変わらない。ほとんど変わらないということは、みずから監察するよりも弱いという意味だ。あなたは認めている。みずから監察するのとほとんど同じでございます。だったら、みずから監察するのとほとんど同じですから、みずから監察するような法案じゃないのです。だからその点を先ほどから長官にお尋ねしておる。こういう法案を出したいきさつが何かあるのじゃないのですか。あるのでしょう。これは論議されたでしょう、この監察権を与えるか与えないかということは。その点どうですか。
  97. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) お答えを繰り返すようで恐縮ですけれども、鬼木委員が御指摘になったように、この監理委員会は臨調答申どおりには残念ながらなっておらないわけであります。臨調で総務庁をつくると、そういうたてまえでございます。そういうものができておらぬ。しかし、現在でもなおかっこういうふうなものがあることが行政機構改革のためにたいへんよろしいということでこういうものをつくろうとしたわけであります。したがって、行政委員会という形をとることをこの際は避けておるわけでございます。いま局長から御説明したとおりでございます。しかし、その他の問題については答申の線を十分に生かしまして、両議院の同意を得る、内閣総理大臣に直接意見を述べることができる、常勤体制というふうな形をとることというふうなことで、実質的には臨調答申の監理委員会を同じような強い構成でいけるようにするというたてまえでまいりましたので、仰せのとおり、自分で監察をやる権限というものは権限としてはあげていないわけであります。しかし、その点についても方針及び基本計画を決定し、監察の重要な勧告事項はこの委員会で審議をしてもらうということで、十分趣旨のあるところは貫き得るであろうというふうな配慮はいたしたということであります。
  98. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 問題は私の見解としては、従来の行政審議会はこれは国家行政組織法の八条によっているのだ、だけれども、いま申しますように、委員に監察権を与えてやる、今度のは八条によってつくられたものであるとしても、行政審議会のような、そういう権限があればいいけれども、これはあくまでも諮問機関になっている。行政監理委員会ではなくて、行政監理諮問委員会、こういうような形になっていると、本法案に私は徹底的に反対しておるのじゃないのです、その点がもう少し強力なものをつくってほしかったと、そうして臨調答申をあなた方がおっしゃるように、これはなるほど十六項目の膨大な答申ですから、それをそのままやれというのもそれは無理だと思います。それは長官のおっしゃるとおり。しかし、なるべくそれによって努力されるように、ただ努力する努力する、答申を尊重する、尊重すると言っても、機構がそういうふうな機構でないならは、そういう監理委員会が弱体なものであるならばできない、だからあらた方の十分腕をふるえるように、縦横に活躍のできるように、もっと強力な法案にしてほしかったと、こういうことを私は申し上げておるので、何も文句言って、やかましく言っておるのじゃない。その点はひとつ了としてもらいたいのです。  それからいろいろ重複する点もあるかと思いますが、先ほどの委員の問題ですが、これは常勤であり専従である、しかもそういう方を高給をもって迎える、そういうことが事実できますか。
  99. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) その点、詳しくは局長から申し上げますが、両議院の同意を得て任命をするというところに一つ重要な意味があるのですが、両議院の同意を得て任命をいたしますと、これがたてまえが常勤ということになります。そうして十九万程度の手当を差し上げる、しかし、その委員には事情によりまして兼務を認めることはできるようになっているわけでございます。したがいまして、たてまえは常勤でございますが、人によりましては、兼務をしてほかの仕事をやっていただくこともその具体的事例に応じて了承する場合があるということに考えておるわけであります。
  100. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは常勤でそういう高給な待遇をもって迎えられるということが、佐藤さんの答申によって、強力なこれは機関をつくれと、そんな従来の行政審議会よりも弱いような骨抜きなものでなくして、八条じゃなくして、国家行政組織法の三条の精神による監察権を持ったそういう強いものをつくれと、しかも委員も、こういうものも常勤で、そして専心これに努力させよう、こういうことでしょう。この中にもあるのじゃないですか、ほかに仕事をしてはならないと。そういう兼任もいいというようなことは書いてありますか。
  101. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) はい。
  102. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 どこにそんなことが書いてありますか。これは非常に厳重になっているようですがね。「政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をすること。」はいけないと、「積極的に政治運動をする」というこの意味も、これはどういう意味か、抽象的だからひとつ具体的に御答弁願いたい。  それから「内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行なうこと。」、こういうことがあるのだったら、これは専従というんじゃないでしょう。これはもう非常勤じゃないですか。こういうことが許されるのいうのは非常勤じゃないですか。その点はっきりしてください。
  103. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 委員は常勤がたてまえでありますことは、第十二条に書いてございます。ただ、十二条の二号に、総理大臣が許可をすればこういうこともやり得ると、これは警察法の国家公安委員会につきましても、これは御承知のように、純然たる行政委員会で、常勤の体制でございますが、やはりそういう例外は認められておるわけであります。特別職の職員の給与に関する法律の四条にもそういう趣旨が見えておりまして、常勤がたてまえでございますけれども、そういうものについても、例外的にはそういう措置がなし得ると、こういう趣旨がこの設置法の十二条の二号に書いてある趣旨でございます。それをいま、長官が申し上げたわけでございます。  それから積極的な政治運動の問題でございますが、この問題は、一般的にこの委員になった人が能動的にいろいろな政治活動をするということをさしておりまして、これも警察法、それから原子力委員会等で同じような例文があるわけでございまして、同じような趣旨で本法にも規定されておるわけでございます。
  104. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 「積極的に政治運動をすること。」というところの説明は、えらい小さい声でわからぬように言ってしまったが、もう少し明確にはっきり、抽象的なことを言わないで、これは一番大事なことですよ。だれだって、国民に政治違勅をしない者は一人もありはしない。全国民が政治を出するのだ。政治運動をしない者は一人もいない。
  105. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 積極的の政治運動、もう少し詳しく申し上げますと、通常国民は政治的な運動、政治的な活動をする自由が原則としてあるわけでございますが、そういう通常の一般国民として行なうという程度を越えて特にある政治的な意見推進するために自分が中心になって積極的にやると、こういう意味であります。
  106. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 自分が中心になってやるということはどういうことですか。
  107. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) この委員になった人が、みずからイニシアチブをとって行動する。たとえば、ある政治活動の署名を求められて署名をするというまでは積極的な政治運動に入らぬと思いますが、みずから企画して大衆動員をかけて署名運動をやる。先頭に立つとか、あるいはそういう企画をするとか、これは積極的な政治運動と思われます。
  108. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 こういうふうなところへ来る人は、みずからやらなくたって、黒幕でやったらどうするのです。こういう基準はわからないじゃないか、こういう抽象的な「積極的に政治運動をする」なんといったって、こういう抽象的なことを書いたって基準は……。いまのあなたの説明は、それは何の説明ですか。
  109. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 第十二条の一号の後段に書いてありますことを御説明申し上げたわけであります。これは先ほど申し上げましたように、警察法によって国家公安委員をしっばておる規定、それから原子力委員会の委員についても同じ例文があるわけでございまして、先ほど一例をもって御説明申し上げましたが、大体そういう趣旨でございます。
  110. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 わかりました。じゃあもう一度さっきの問題に返りますけれども、委員は六名でしょう。その六名の中で、内閣総理大臣の許可を得るというならば、二、三名許可がもしおりたとするならば、あとの半分は非常勤じゃないですか。常勤と非常勤じゃないですか。常勤が原則といっても、二人も三人も非常勤がおるということになれば、そうしたら、それに対する待遇はどうなのです。それもちゃんとみなつくってありますか。
  111. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) これは国家公安委員の例を申し上げますが、現在公安委員会は、先ほど申し上げましたように、れっきとした行政委員会でございます。その委員は全部常勤をたてまえとしております。ただ、中にやはり総理大臣の許可を得て本業をやっておられる委員がおられます。そういう場合には、公安委員会はこれと違いましてもう一つ高いこれは行政委員会でありますから、たしか二十四万円になっておったと思いますが、二十四万円は差し上げないことになっておりまして、会議に出られたときに手当を差し上げます。ただ、そういう体制でありましても、これは非常勤ということとちょっと違うわけでありまして、そういう特例をこういう特別職については認められているわけであります。この監理委員会の委員の人もそういうふうな運用の人が一部あり得るということをいま長官が申し上げたわけであります。
  112. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あんまりふざけたことを言うのじゃないですよ。あなた、公安委員会といったって、公安委員会とこれは違うじゃないですか。公安委員会のような権限を持ったものにするならばいいのです。そんなときはみんな、公安委員だって、公、安委員会だって、多数決で決定するようなことに公安委員会はなっておるの。
  113. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) 公安委員会の例を引きましたのは、公安委員会は監理委員会よりももっと強い立場で常勤を原則としておりますが、そういう例外があるということを引例として申し上げたわけであります。それからこの議決については、公安委員会もやはり多数決であります。こういう強いものにさえ、まあこういう体制だからという意味で御説明申し上げました。
  114. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 じゃあ、的の臨時行政調査会、これは多数決でやったのですか。
  115. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) これは国会の附帯決議がつきまして、重要な勧告事項は全会一致になっております。
  116. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 、じゃあ、これは重要な勧告事項じゃないから多数決でやるというわけか。
  117. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) これは、臨時行政調査会は国会の附帯決議によって全会一致ということに運用上申し合わせがなったわけでございまして、臨時行政調査会設置法には書かれておりません。ただ、こういう委員会の設置法は、冒頭に申し上げましたように、いずれも定足数なり、多数決をたてまえにしておりますので、これもそのようにいたしたと、こう申し上げておるわけであります。
  118. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 わずか六名ぐらいで多数決でどうだ、しかも常勤を原則としていると、さっきもお話しのとおり。どういうわけでそんな多数決にしなければならないのか、その根拠は。臨調の場合には全会一致であった、今度は多数決で、わずか六名の多数決でやる。その根拠をはっきり言いなさい、その事実を事実として言うのじゃなくして。
  119. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) こういう審議会あるいは一番監理委員会と近いものが、原子力委員会でございますが、これなんかもはっきり多数決の原則を規定で書いております。これは一つの例文のようなものでありまして、先ほど申し上げましたように、運用としては御指摘のように、全会一致というたてまえになる場合が多いかと思いますけれども、国家公安委員会にしましても、原子力委員会にしましても、すべて定足数、会議というくだりではこういう規定をしているわけでありまして、この監理委員会もその規定にならったわけであります。
  120. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 だから、先ほどもお岳があっておりましたが、この六人の委員を各界の民間から、主として民間ということをおっしゃっておったが、常勤の、これは原則なんだから、常勤の委員を集め得る自信がありますか。
  121. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) たいへん実質的な大事な問題でございまするが、これは何と申しまするか、十分われわれとしても努力をし、誠意を尽くして、十分りっぱな人をひとつ参加をしてもらうようにしたい、こういうように決意をいたしております。
  122. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これが完ぺきな陣営にならないというと、これまた骨抜きになってしまうと私は思う。  次に、お尋ねしたいのは、内閣総理大臣意見を述べることができる、意見を述べたならば、総理大臣はそれに対してどういう処置をとるのですか。
  123. 増原恵吉

    ○国務大臣(増原恵吉君) この意見は内閣総理大臣としても、これを尊重をして、実施事項についてはこれを実施していくという趣旨行管長官の場合と同じでございます。尊重し、これを実施をしていくということでございます。
  124. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 単なる尊重役務を加えただけならば、これはそういう文章といいますか、文章を挿入したのみであって、実際的にそれが権限が何も発揮できない。総理大臣意見を具申するということができる、それは当然のことです。何もそれが強化ということではないのです。国民の声が総理大臣に達しないようだったら、そんな総理大臣おらぬほうがいい。それをもって強力な法案になったという根拠を——総理大臣意見を具申したならば、必ずそれがどうかなるとか、結果がどうなるということでなければ、総理大臣意見を述べることができますから、この法案は非常に強力になった、そんなことは解釈できない。
  125. 井原敏之

    政府委員(井原敏之君) この第四条の総理大臣に対する意見は、いわゆる総理府の各種の委員公等に、総理府の附属機関の委員会等で、内閣総理大臣意見を言うことができると書いてありますが、これは各省とパラに並んでおる総理大臣にものを言うということだけでありまして、ここに書いてありますのは、内閣の首長としての総理大臣意見を言うという趣旨でございまして、したがって、これはそれにより総理大臣は問題によっては行政府を指揮監督いたしましょうし、これはそういう意味で私ども一行政長官としての総理府の親玉としての総理大臣じゃないわけです。そういう意味で非常に強力だというふうに解しております。     —————————————
  126. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 質疑中でありますが、ただいま委員の異動がございましたので御報告いたします。八木一郎君が委員辞任され、その補欠として平島敏夫君が選任されました。     —————————————
  127. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いずれにしましても、私の持論は先ほどから申し上げましたとおりで、国家行政組織法の八条によるような弱い、弱体な行政監理委員会でなくて、もっと強力な、しかも答申を名実ともに尊重していただいて、そして単なる機構改革を徹底的にやるばかりでなく、行政一般に対してこの行政監理委員会の使命を達成してもらいたい、これが私の持論であります。時間の都合もありますので、またあとでいろいろお尋ねすることにしまして、きょうはこれで打ち切ります。
  128. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発行もなければ、本案質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  行政監理委員会設置法案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  129. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  130. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記を起こして。     —————————————
  131. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。なお本案は、お手元に配付いたしましたように、衆議院において若干の修正がされておりますので、御了承を願います。  政府側からは、松浦運輸大臣、堀官房長、佐藤港湾局長佐藤鉄道監督局長、深草国有鉄道部長、坪井自動車局長、栃内航空局長、今村国鉄常務理、事が出席いたしております。  御質疑のおありの力は、順次御発言を願います。
  132. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案に関連して、大臣を中心に二、三お伺いしたいと思いますが、順序としてまずお伺いしたいのは、昨年九月臨時行政調査会行政改革に関する意見を各省庁ごとに出しておるわけです。その改革愚見に対して各省庁また意見を出しておるようであります。そこでまずお伺いしたいのは、この臨調改革意見に対する運輸大臣としての米本的な態度、これは賛成か、反対かということを中心に簡潔にひとつ態度をお示しいただきたい。
  133. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) お説のように、行政調査会のほうでいろいろ審議いたしました結果、現存は増原長官が兼任いたしておりまして、いろいろ答申の内容を受けまして、いろいろ示唆がありますが、中には賛成するものもりあますが、さらに慎重に検討をしたいものもありますので、これをまるのみに令部賛成というわけにはいかない点もございます。
  134. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 中には賛成しているのもございます、大体検討しております……。私がお伺いしているのは、賛成反対の前の基本的な態度として、臨時行政調査会行政改革に関する意見に対しては、極端に言えば、これを無視しようとするのか、尊重しようとするのか、そういう基本的なかまえをまず運輸大臣から示してほしい。
  135. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) おおむね尊重いたしまして、現在を打破していきたいという方向に行っております。
  136. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いままで各省庁の設置法で大臣にお伺いいたしましたけれども、おおむね尊重という、尊重の上におおむねがついたのは運輸大臣が初めてです。まずそのことを頭において御答弁いただきたいのですが、そこで具体的な問題についてお伺いいたしますから、これは反対賛成か、検討を要するとか、その三つのうちの一つの御答弁でけっこうです。時間の関係もございますから、はしょってお伺いいたします。  まずお伺いしたいのは、審議会等についての委員の常勤制について、この臨調意見は、恒常的な設置のものについては常勤制をとるべきだ、恒常的でないものについては常勤制でなくてもいいという改革意見に対しては、運輸相としては賛成反対検討を要するか、この三つのうちの一つになると思いますが、その結論だけでけっこうです。
  137. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) 常勤制のままでいきたいと思います。
  138. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題については運輸省が公文で回答しているのは反対になっておりますけれども、反対ですから……。
  139. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) 常勤制廃止という答申に対しては反対ですから、常勤制を現状のままでいきたいと思っております。
  140. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは具体的には運輸審議会のことをさしておると思うのです。運輸省にとっては、この運愉審議会は常勤とすべきであるという回答を出しておるわけです。しかし、臨調意見は、恒常的に設置を要するものについては常勤制であって、恒常的でないもあについては常勤制でなくてもよろしいと、そういう意見を出しておるわけです。そこで運輸省としては、結論としては反対ということになっておるわけですね。だから大臣はほんとうに反対なら反対と一言言っていただければいいわけです。以下そういう要領でお答えいただきたいと思います。  そこで次にお伺いしたいのは、国会議員を委員に任命しないものとするというこの条項に対して、運輸省としては反対なのか賛成なのかということをお伺いしたいのです。
  141. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) 国会議員を入れたいということです。含めないということについて反対ですから、国会議員をこの審議会に入れたいということであります。
  142. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうすると反対ですね、これは。
  143. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) そうです、反対です。
  144. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは鉄道建設審議会をさしていっていると思うのです。それは全国的な、国民的な意思を反映する必要があるから、運輸省としては国会議員を入れたいということなんですね。
  145. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) そうです。
  146. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 入れるなという勧告に対して反対だということですね。  それと次にお伺いしたいのは、陸上運送関係で、おおむね都道府米区の区域内にとどまる自動車運送事業に対する規制は、知事に機関委任することと、こういう意味の勧告がなされておるわけです。これに対して運輸省としてはどういう態度をとっておるのか。
  147. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) それは反対であります。
  148. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 反対ですね。  次にお伺いしたいのは、中労委と公労委、それから全労委、この三者の分については統合すべきである、こういう意見に対して、運輸省は賛成反対かということです。
  149. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) 反対です。
  150. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお尋ねいたしますが、公社、公団の改革に関する意見、これは具体的には公社の改善について基本的な考え方を勧告しておるわけです。これに対して国鉄は賛成しておるわけですね。ところが、運輸省の表現がはっきりしないので、運輸省は一体賛成反対かということをここでお伺いしたいのです。
  151. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) 「国鉄を一元的に管理監督する管理委員会を運輸省に置き」か。これについては反対です。
  152. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、公社の運営改善について、運輸省は、これは内容は労働基本権の拡大を勧告しておるわけです。労働基本権を拡大すべきであるという臨調意見に対して、運輸省はこれにも反対しておるわけですね。そこで……。
  153. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) いま直ちにこれを行なうことに反対ですが、今後少しこれは研究してみたいという意味であります。この分は、当事者能力確立をはかることを勧告している。当事者能力の確立は、さきに述べた賃金、運賃料金の決定の自主権の問題と関連して問題を残しているという問題ですから、これに対してはいま直ちに行なうことは反対であります。
  154. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 だから結論は反対でしょう。
  155. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) 反対です。
  156. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、首都行政の改革に関する意見ですね。これは勧告にあたっての基本的な考え方を勧告しておるわけです。これに対して運輸省は……。
  157. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) いまの御質問に対しましては、首都圏庁を設置した場合には、その権限については次のように考えております。それについては反対ではございません。
  158. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 反対ですか。
  159. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) 反対ではございません。賛成です。
  160. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうすると、運輸省が出した公文とは食い違っておるわけですね。公文のほうが間違いですか。いま大臣の答弁が正しいのですか。どちらが正しいのですか。この運輸省が出しておる公文を見ると、現在調整が必要なのはむしろ国と地方公共団体の間と、地方公共団体相互間であるということと、国の行政相互間の調整が現在の首吊圏整備委員会の機能で十分目的を達し得る。結論は反対となっておるわけですね。
  161. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 行革本部でいろいろ議論の途中では中身について若干こちらの意見と違うところもございましたけれども、いろいろ議論もした結果賛成ということに意見が一致したわけでございます。
  162. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、一応公文で反対は出したが、その後再検討をして賛成ということになったんですか。
  163. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 政府案としてまとまったものに対して賛成ということになったわけです。
  164. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは行管が各省庁意見を取りまとめた分については、明確に反対となっている。この問題は別途またお調べいただいてその結果を重ねて御答弁いただきたいと思います。この問題だけを追及する意図はないわけですから。  そこで私はお伺いしたいのは、幾つか具体的な問題についてお伺いしてきたわけです。そこで臨時行政調査会がかつてない大きな規模で、しかも長期間を要して、相当の経費を費やして慎重審議を重ねてきたわけです。その結果を昨年九月各省庁等に対して出しておるわけです。その当時の池田内閣も、これを受け継いだ佐藤内閣も、この臨時行政調査会行政改革に関する意見については尊重するという基本的な態度を持ち継げてきたわけです。そこで運輸大臣がおっしゃったように、おおむね尊重する、そういう態度じゃなく、きっぱりと臨調意見は尊重するという基本態度を貫いて今日にきたわけです。ところが、いま具体的に申し上げたように、幾つかまだまだたくさんございますが、お伺いするところを総合すると、基本的には尊重したかもしれませんけれども、個々の問題になるとそれぞれみな反対をしておるのです。で、これは運輸省だけが反対しておるかというと、そうでないわけです。これははっきり申し上げますが、そこで各省でみな反対をしているのだから、いいじゃないかといえば、まあ話は問題外となるわけですけれども、尊重するという基本態度を持ちながら、具体的な問題になると、みな反対をしておる。さらにこれを掘り下げて調べてみると、それぞれの省に都合のいいこと、たとえば組織の拡大、所掌事務の拡大、こういう点については各省庁が申し合わせたように賛成をしておる。それから各省庁の縮小とか、統合、こういうことについてはみなまっこうから反対をしておる。各省庁がこういう態度をとったのでは、せっかくそういう大規模臨時行政調査会をつくって検討してみても、何ら行政改革はできないんじゃないか。各省庁がかってに自分の省のなわ張り争いをしておったのでは行政改革はできないんじゃないかということをお伺いしたかったわけです。そういうことでまず個々の問題をお伺いしたわけです。ところが、まだまだ反対の面も相当ある。もちろん全部が反対じゃなく、要検討というのもありますし、中にはまれに賛成というのもあるわけです。しかし、大部分は反対か、あるいは反対の意を含めた要検討というのが大部分を占めておる。こういうことでは決して行政改革はできない。各省庁のなわ張りを捨てて各省庁が前向きの姿勢で日本全体の立場から取り組まなければ、行政改革というものはとうていできるものじゃないということをお伺いしたかったわけです。この点に対して運輸大臣としてのひとつお考えをここでお聞かせいただきたいと思います。
  165. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) いま仰せになりましたごとく、おのおのなわ張り的な根性と申しますか、セクショナリズムと申しますか、というものがまだどうしても残っておるのでございまして、これはまあ残っておると私が言うのはぐあいが悪いかもしれませんが、何といっても事実各省にそういうことがあるのでございますから、そうなるとおれのほうもこうだということになりまして、これはこの民族国家をより以上発展さして、民主主義的な建設をしていくということに前向きの姿勢で虚心たんかいにほんとうに国家本位になっていくのでないと、私は佐藤さんの報告された理想にはなかなか到達しないんじゃないかと思います。しかし、それがほんとうに祖国のためになることだと思うのでありますが、他のほうとにらみ合わせているわけではございませんが、現在のわれわれのやっている仕事の面から見ますというと、現在がよほど改革されない限り、いま申し上げました程度のことは残していただかなければやっていかれない、こういうことでありまして、だいぶ理想と現実が違っておる点は、今後省員一同ひとつ考えを新たにいたしまして努力していきたいと思っております。
  166. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、問題をかえまして法案自体についてお伺いいたしますが、まず運輸省の所堂事務についてこの提案理由説明を見ますると、委託による飛行場の工事の施行に関する事務を加え、この事務を航空局で所掌する、こういう点があるわけですが、これは一体委託するのはどこかということと、さらには運輸省設置法の第四条第四十四項の七の二ですね。「空港の設置及び管理に関し、地方公共団体を助成すること。」こうあるわけですね。そこでお伺いしたいのは、この委託を受けるというのは、この項に基づいて委託を受けるのかどうかという点と、従来は地方公共団体をどのように助成してきたのか、この法文には地方公共団体へ助成することとあるわけですね、どのようにして助成してきたのか、こういう点をあわせて御答弁いただきたい。
  167. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 委託により、飛行場の工事を行なう理由は、現在港湾とか、道路等の工事につきまして、国は委託により工事を行なうことができるというようになっておりますが、飛行場についてはいままでそういうふうになっていなかったわけであります。ただ、北海道につきましては、北海道開発局も委託の制度を活用しまして、すでに女満別とか、帯広とか、中標津等の空港が建設されております。これと同じような考え方で、北海道以外の飛行場の建設、地方空港の建設について地元の府県が行なうべき設置管理の飛行場について、国の工事能力その他をもってしたほうがより能率的である、合理的であるというような場合において、その府県から国が委託を受けたときにそれを受けることができるという体制にいたしたいという趣旨でございます。それから府県に対する補助の問題でございますが、空港には一種、二種、三種という空港がございまして、一種は国際空港、二種は国際空港以外の国が設置管理する空港でございます。三種は地方の府県が設置管理をする飛行場でございまして、この三種に対しては国が補助をいたしておるわけでございます。
  168. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、お伺いしたいのは、設置法の第四条の第四十四項の六に「航空路を指定すること。」と、その所掌事務の一環にあるわけですね。そこでお伺いしたいのは、アメリカ軍とか、あるいは自衛隊の航空機の航空路の設定との関連は一体どうなっておるか、この点をお答えいただきたい。
  169. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) ただいまお尋ねの航空路の問題でございますが、これは航空路は運輸大臣が告示をもって定めるということになっております。そこでいまお尋ねの米軍との関係でございますが、米軍との関係におきましても、航空路それ自体は運輸大臣が告示をもって定めておるわけでございますが、米軍の使っておる飛行場周辺につきましては、現在米軍が限定された意味で付近の区域の管理を行なっておるというようなことがございます。航空路自体の告示は運輸大臣がやっておる、こういうことでございます。
  170. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、国内空港の設置状況について、その概要を承りますが、いま官房長からも御指摘があったように、第一種空港は東京と大阪であろうと思うんです。そこで、これは必要ありませんが、以下時間がかかりますから、いま申し上げるものを資料としてさっそく出していただきたいと思います、ここで御答弁いただくと長くなりますから。それは、こういうことです。第二種の空港は、主要な国内航空路線に必要な飛行場ということになっておるわけですね。これは運輸大臣が設置して管理する。工事費は国が七五%、都道府県が二五%。そこで、現在十七港あるということですが、十七港をいまここでお聞きすると時間を食いますから、十七港というのはどことどこか、そういう資料ですね。  それから同じよりな意味で、第三種空港についても、これは十四港あるわけですね。十四港、これはどことどこかという、そういう明細なものを。それから、ほかに十八港が工事中ということのようですが、そうだとすれば、十八港のうち四十年度中に四港か完工するようですが、これは間違っておったら御訂正いただいて、松本とか三宅島、壱岐、隠岐、こういう離島にあるようですが、この十八港についてどことどこか。  それからそのほかの飛行場として、一種からない、二種以外の飛行場ですね、これは新聞社等が設置しているのがあるんじゃないですか。それとか、自衛隊とか、ついでに米軍用の飛行場ですね、こういうものを一切資料として、ここでは御答弁いいですから、資料として近々に出していただきたいと思います。これ、お願いできますか。
  171. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) ただいま御要求の飛行場に関する資料は、さっそく調整いたしまして、お手元に提出いたします。
  172. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、最近国内航空においても、各航空会社が競争して超高速、こういう航空機を使用し始めておるわけです。そういうことで、航空機利用の旅行者も漸次増加の一途をたどっておるわけです。ということになりますと、ここで、民間航空で一番大事な点は、航空の安全性ということが一段と強く要望されると思うんですね。そこで、一種、二種については相当設備がいいので問題なかろうと思いますが、特に第三種空港については相当施設の点で問題があるんじゃないか、こういう点であります。十分整備されておるのかどうか。民間航空会社の航空の安全性という観点から、一種、二種はまずいいとして、三種に問題があるんじゃないか。こういう点で、この点施設について十分な自信が持てるのかどうか。もし、改善を必要とするのがあるならば、その旨を御答弁いただきたい。
  173. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 飛行場の整備につきましては、私のいまの考えを申しますと、一種、二種、三種とも現状で決して私は満足すべきものではないと考えます。こう申しますと、非常に危険であるというふうに誤解を受けることはつとめて避けたいわけでございますが、さらに整備を要するという意味は、必ず危険であるということではないのでございまして、たとえば羽田等におきましても現存飛行機を置く場所が足りないというような点、あるいはその他の点でも不十分な点が多多ございます。そういう意味で、一種空港につきましても、今後整備改良を行なう必要があるということははっきり申し上げられます。また、そのように今後も努力を続けたいと考えております。それからしからば三種はどうであるかと申しますと、三種は大体千二百メートルを基準としておりまして、保安施設としてはビーコンというものを持っております。これはほとんどすべての三種空港がビーコンを持っております。したがって、ビーコンがあります以上、いわゆる天候が悪くても計器飛行ができるということはできるわけでございますが、非常に雲が低い、あるいは霧が非常に深いという場合にはビーコンのみをもってしては安全な離発着ができない。したがって、そういう場合には、やむを得ず飛行機が欠航するわけでございます。これがたとえば第一種空港のごとくレーダーの設備が整っておりますれば、相当雲が低くても、またあるいは霧がありましても、ある程度のものであるならば資金に離発着できる。したがって、飛行機の定期航空の定特性が保たれるということでございます。ただ、一種空港におきましても、非常に霧が深い、たとえば羽田あたりでも年に何時間かは非常にスモッグのひどいときにはやはり離発着できないということでございまして、この辺は、一棟空港から三種空港まで、次第にそういう意味の条件が悪くなったということは申し上げられます。ただ、千二百メートルで三種空港は危険なのかと申し上げますと、これは決して危険ではございませんので、千二百メートルの滑走路のある三種空港には、それの長さでもって離発着できる飛行機をきめて離発着をさしておる。あるいは温度が非常に高い場合には離陸能力が減りますので、その場合には、燃料なりあるいは乗客を減らすというような措置を講じて資金性をまず確保していく。したがって、その半面、経済性というような点は、多少犠牲になる場合もあるわけでございます。したがって、まず安全を第一に考えまして、飛行場の現在の施設のもとにおいて安全を第一にしてやる。したがって、そのしわ寄せとしましては、天気が悪いと飛行機が出ないというようなことで定時性がそこなわれる。あるいは夏には乗客の制限をするというような点で経済性がそこなわれる。こういう姿になるわけでございます。したがって、今後の理想としましては、一種空港の施設というようなものを次第に二種に及ぼし、さらに三種に及ぼすというようなことを毎年積み重ねてやっていくという必要がある。こういうわけでありまして、三種空港であるから危険であるというようなことは私はないと思っております。ただ、整備の必要は十分認めております。
  174. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年、当内閣委員会でも問題になったのは、空港の消防施設ですね。この消防施設がきわめて不完全であって、羽田空港ですら完全ではないということについて、当時の航空局長からもこの旨の証言が、確かに不十分だ、今後極力充実に努力したいという意味の御答弁があったわけです。その後、具体的にはどのように改善されたのか。この点を答えていただきたい。
  175. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 羽田の問題につきましては、私もほうぼうの委員会で御質問受けまして答弁しております。仰せのとおり、羽田の消防は、かなり消防車自体は充実しておりますが、定員の点につきましては、完全に充実しておるというわけではございません。この点は、万一の場合には他の職種の者が応援するたてまえで現在運営しておりまして、先般、千歳上空で日本航空の飛行機の脚が出なかったというような場合には、羽田でもってほとんどすべての消防車その他の車が待機したわけでございます。しかし、これは応援によってある程度カバーしたということでございます。それからこれの応援態勢じゃなく、専従者の定員を要求するという点につきましては、昨年暮れの予算折衝におきまして、いろいろ努力したわけでございますが、その他の職種の定員のほうをまず認めようということで、先般は残念ながら消防のほうに定員が回らなかったというのはまことに残念でございますが、今後もさらに専従者の増員というものを努力したいと考えております。それが獲得できますまでの間は、現在やっておりますように、他の機械等を扱っておる者あるいは経理を担当しておるという者に応援をできるだけしてもらうというようなことで、その間は努力をしたいと、かように考えております。
  176. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 民間航空の発達に伴ってパイロットとか、いわゆる航空従事者ですね、これの質並びに量の充実が要望されておると思うんです。そういうことで現在の充足状況というのは一体どうなのかということと、それからいわゆる養成機関ですね、民間パイロットの養成機関というのは宮崎に航空大学校が一つあるだけだと思いますが、そうだとすると民間での、先ほども御指摘申し上げたようにプロペラからジェット機に移行している、この持点に立って宮崎の航空大学校ではプロペラ機のパイロットを養成しておるだけと聞いておるが、現存はジェット機のパイロットも養成しておるのかどうか、ただプロペラ機だけのパイロットということになると民間の要望にこたえ得ないことになるわけですね。こういう点は一体どう対処しておるのか、こういう問題をひとつ簡単に要点だけをお聞かせいただきたい。
  177. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) ただいまお尋ねの航空機関係の技術者、特にパイロットの問題につきまして御説明いたしますが、現在の需給状況を申し上げますと、航空機乗り組み員の不足ということが叫ばれましたのは、いまから三、四年から問題になったわけでございます。これが最も端的にあらわれてておりますのは、日本航空において外国人の機長を国内線で使っておるという点に端的にあらわれておるわけでございますが、その後いろいろな施策を行ないまして、現在ではいわば操縦士のごとく初歩段階の人、この人たちはかなり充実してまいりまして、各会社ともかなりの余裕が出ております。ただ依然として外国人を日本航空が雇っておりますが、これは国内線の機長クラスのパイロットが足りないということが主たる原因でございます。すなわち量的には現在のところ充足はしておると、また若い人につきましては、かなりたっぷりとした人数がおるわけでございますが、特定の職種について、しかも高度な職種について足りない現象があらわれておる。問題はそこをどうやってほどいていくかということが現在の問題であろうと思います。これにつきましては、ジェットのDC8の機長というような一番高度な技術を要するものを例にとりますと、いわゆる初歩の段階を済んだ人、すなわち航空大学校を卒業した人が会社に入りましてから七年ないし八年の年月を要するわけでございます。ここにいくまでにはいろいろな中間の訓練もやっておりますが、もっともこの七、八年かかると申しますのは、実際上の経験というものを積なければDC8の機長にはなれない、また、そうしなければ安全が保てないということになっておるわけでございまして、これはいかに訓練を強化しましても一定の経験を必要とする、ここに現在の高級パイロットの不足を解消するのに、にわかに手が打てないという悩みがあるわけでございます。したがって、これは日本航空におきましても、いま鋭意いわば若いパイロットを養成しておりまして、これが次第にグレード・アップしてくるということになっておる次第でございます。この点をどうやって解消するかという場合には、やはり国として打つ手としましては中途はんぱな高級な養成課程を国でつくるよりも、むしろ現在日本航空がやっております統一の取れた訓練体系というものをそのまま存置しまして、必要ならばこれに助成をしていくという方法が一番能率的であろうというふうに考えます。したがいまして、三十九年度また四十度の今度御審議をいただきました予算案につきましても三億五千万程度の補助金、これは国際線振興のための補助金として国際線に就航するパイロット乗組員養成費の一部というものを補助するということによってこの点を補っておるということでございまして、宮崎の航空大学校にそういう高度の課程のクラスをつくるということはむしろかえって実情に合わないのではないか、かように考えております。
  178. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、新来京国際空港に関連して一、二お伺いいたしますが、このことについては航空審議会が答申を出してからすでに一カ年を経過しているわけです。にもかかわらず、その点がまだはっきりきまってないわけですね。設置場所もまだ未決定のようですが、今度の国会には公団法案が提出されておるようですが、それとも関連があると思いますが、こうやって一年も前に答申が出ておるのにいまだに決定していない、いかなる理由でこういうふうにおくれておるのかということ、それから今後どのような見通しなのか、この二つの点についてお答えいただきたい。
  179. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) 私、綾部前運輸大臣の後継者として参りましたときに、引き継ぎを受けた一番大きな問題の一つでありまして、そのときには、前年度の十二月に答申されたと聞いておりました。それは御存じのように、第一が富里、第三が霞ということでございます。その後池田総理大臣方針によりまして、結果的に大きな財政の伴う問題であり、羽田の七倍もあるような大きな国際空港であるから、閣僚懇談会において場所の決定をする、懇談をしてその一致を見たならば閣議にはかったほうがいいと、こういう提案をされたのであります。そこで閣僚懇談金というものが開かれまして、しばしば懇談会を開きました。そうしているうちに池田総理大臣がおやめになりまして、佐藤さんがかわりに総理大臣におなりになったんですが、その後予算編成その他非常に忙しくなりまして、ときどきこの懇談会を開きましたけれども結論に至らなかったのであります。最近になりまして、その中途にこれは公団をつくって、土地の選定は政府がやる、公団をつくって公団が土地を買収する、あるいは工事を施行する、またはそのでき上がった空港の管理経営を公団が引き続いてやる。よそのほうの国におきましてもそういう例がいろいろあるもんでございますから、そういうような方法でいくほうが政府が直接、やるよりもまあ敏速に行なわれることもあるし、あるいは最初に土地を選定しまして、期間を長くおけは土地の暴騰は免れないから、さっそく買うといたしましても、政府のやる場合には政府予算範囲外のことはできませんが、公団がやる場合には銀行から融資を受けてそしてすぐやるというようなこともできます。そういう便利もありますので、土地の買収から公団にやらせるというようなことで、公団法というものを予算編成の前に考え出しましてそれをこの国会に提案いたしました次第であります。その後一カ月半ぐらい曲に最終的な——最終的でもありませんが、まあしばらくやらぬからもう一ぺんやろうじゃないかというような意味の懇談会を開きましたときに、まあざっくばらんに申しますというと、富里も非常にいい場所ではあるけれども、多数の人が非常に迷惑をするという説もある。だからして埋め立てということもひとつさらに考えてみたらどうかという説が出まして、富里のほかに東京湾の適地があるならば東京湾、そうでなければ霞というような——ほんとうは霞、富里でありますが、東京湾に適地があるのならば、それもひとつ参考に調査してみたらどうだというような意味の申し合わせをいたしまして、これはそれぞれの七省の次官会議にまかして調査させようということでありました。次官会議が開かれまして、これを三部門に分けてそれぞれ調査を開始いたしております。もういまの段階では、公団が通りましたならばもうそう長い時間はかけないで、すぐ場所の選定は閣議において政令を出すというところまで話は大体はもういっておるようでございます。でございますから、公団法が通りましたならば、場所の選定をこの閣議懇談会におきまして大体話をきめまして、それにについて私のほうが所管の省でございますから、閣議に政令の内容を書いて出しまして、その政令の内容によって閣議が決定しますというと、場所が決定しますから、それによって公団が今度はできまして、直ちに土地の買収にかかっていくといったような段取りであります。大体大まかに言いますというと、過去一カ年における状況は以上のとおりであります。
  180. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは——国鉄御当局お見えになっていますか。過密ダイヤという問題を中心に、二、三お伺いしたいと思いますが、まずお伺いしたいのは、電車運転手、それと機関車運転手にの運転距離についてですが、これは昭和二十三年以来一貫して延長にまた延長されてきておる。特に電車の運転手の場合はほぼ二倍になっておるように数字が示しておるわけです。そうだとすると、これは相当の労働過重とはならないかという問題が出てくるわけです。その点いかがですが。
  181. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) 乗務員の勤務時間は、それぞれ組合との協定によりましてきまっておる——就業規則できまっておるわけでございますが、乗務キロが延びておるというのは、むしろ電車のスピードが速くなる、あるいは列車のスピードが速くなることによって延びておる部分が大部分でありまして、乗務時間そのものは延びておるとは私は考えておりません。
  182. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この列車のスピード・アップですね、それと運転距離の延長という問題は、運転手にとってはいろいろ負担が加重してくると思うんです。たとえば前方注視の義務か増大してくる、当然にですね。それと信号確認も増大してくる。あるいは、ブレーキの操作とか停止の操作、こういうものも増大してくる。ということは、ことばをかえていえば、精神的にも肉体的にも消耗度を増大させておることになろうと思うんです。ということになると、スピード・アップで、時間は関係なく、ただ距離が延びるだけだというただいまの御答弁では当たらぬと思うのですね。やはり信号を確認するだけでも相当神経を使うことです。やはり肉体的にも精神的にも相当の過重労働になろうと当然に考えられる。この点はいかがですか。
  183. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) 確かに先生のおっしゃるとおりに、仕事量は、距離がふえますればふえることは確かでございますが、その辺のところは十分労働科学的にも検討いたしまして、この程度ならだいじょうぶだということで現在実施しているわけでございます。
  184. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 実際の場合を調べてみますると、山手線の運転手の場合は進行とかあるいは減速、注意、警戒、停止、こういう信号を三十二秒間に一本の組合で見分けながら走らなければならない。あるいはまた、東京−横浜間においては東海道線、横須賀線、京浜東北線は並んでいるわけですね。それと上り下りとある、こういう関係で、秒の割合で信号を確認しつつ走らなければならないということは、これは結局精神的にも肉体的にも相当の負担過重となっているのではないかという問題ですね。こういう状態の中で一昨年鶴見事故なども起きているということは、反省されると思うのです。この点はいかがですか。
  185. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) 仰せのとおり、運転手なり機関士なりの負担はかなり重くなっているとは思いますが、しかし、一昨年の三河島の事故なりあるいは鶴見の事故等は、まあ線路が非常に何と言いますか、いわゆる過密ダイヤ的な、ダイヤがこれ以上もう入らないというような上下線非常に大きな列車を通しているというようなところにああいう連鎖的な事故を起こしたのでございまして、おっしゃるとおりに、一つのこういうダイヤの非常な密度の高いということが原因ではないかというふうに考えます。
  186. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで引き続いてお願いしますが、山手線と中央線とは一分三十秒ないし二分の間隔で先発電車の最後部を見つめながら、後続電車の頭をにらみながら定刻運転をするという次第になるわけですね。この定刻運転というのは至上命令だからどうしても守らなければならない。過密ダイヤの網の口の中では定刻運転を守って、一、二秒間のおくれを取り戻すというようなこと、これは異常な神経を使うことになろうかと思うのですね。こういう点は、何とか国鉄としても対策を講じていると思いますが、よぼどの抜本的な対策を講じないと、こういう事態が続いていく。最近大きな国鉄事故はないようですが、しかし、そういう不幸は忘れたころ起きるということで、事故の起きる前にここで十分これらの点をかみしめて、十分検討検討を加える配慮が必要であろうと思うのです。こういう点でこの点をお伺いしたいと思います。
  187. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) お話しのとおり、東京付近の電車区間は大体二分から二分三十秒くらいのヘッドで走っているわけでございまして、一番非常に御承知のとおりに混雑をいたしておりまして、これを安全に輸送するというためにも実は定時運転をやることが一番必要なわけでございますが、したがいまして、そういう大きな輸送をやりますためには、人間の力だけにたよるわけにもまいりませんので、車内警報と申しまして、事故があればすぐ自動的に警報が鳴るというような装置を、いまもう昨年度で大半完成いたしておるような状況でございまして、そういう機械的なあるいは電気的といいますか、そういう物的な設備によりましての安全運転にいま努力を重ねておるところでございます。
  188. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは全国に四万二千カ所ほどいわゆる踏切があるそうですが、そのうちで無人踏切が八五%を占めておる、こういうことが調査の結果わかったわけですが、やはり八五%も無人踏切があるということは、これは運転手さんにとっても容易なことではないと思う。はねないように衝突しないようにと、これは非常な神経を使うであろうことは容易に察知できるわけです。そこで四万二千のうちの八五%が無人踏切ということになると、これはなかなかもって容易なことではないわけです。やはり有人踏切にするとか、いわゆる立体交差にするとか、そういう計画を国鉄としても着々立てられておるとは思いますが、こういう踏切の整備に充てたまず本年度の予算は一体どのくらい組んであるものか、そして長期展望に立ってどのような対策を立てておられるのか、こういう点を簡潔に御説明いただきたい。
  189. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) お話のとおりに、最近の鉄道の事故で一番憂慮すべきものは踏切事故だと思っております。したがいまして、国鉄といたしましては、昨年度保安対策の一つの重要な柱といたしまして、まず複線区間が一番危険性も大きいので、複線区間について無人踏切をなくするということで努力をいたしまして、立体交差なりあるいは警報機の受りつけというような、それから交通量の少ないところは、警察その他関係方面にお願いして閉鎖をしていただくということで、昨年度で大体複線区間は終わりましたので、本年度は単線区間につきまして同様な方策で実施をしてまいりたいということでございます。で、踏切の予算といたしましては、長期計画で約六百億の予算を持っておるわけでございます。まあ私どもとしましては、踏切に対しては非常に重点的にこれを従来も実施してまいりましたし、これからも重点的に考えていきたいということでございます。
  190. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の制約がございますので、最後に一点だけお伺いしておきますが、いまの鉄道常業法を改正するために臨時鉄道法制調査会が開かれておるようです。まだ結論は出ていないようですが、もしこの結論が出ると、運輸大臣あてに答申がなされて、いろいろ施策が進められるわけですが、その中に手荷物扱いを廃止しようとの動きがあるやに聞いておるわけです。これはもしそうだとすると、小口貨物あるいはチッキなども廃止になると、国民の利害関係に重大な関係のある問題だと思う。これは非常に大事な重大問題だ、国民生活に直結した大きな問題ですが、これはいまここで時間の関係もありますから詳しく聞こうとは思いませんが、その方向は一体どうだ、これは大体そういうことを国鉄当局が考えているんじゃないか、国鉄当局の誘導に従ってそういう結論が出されるとすれば、それは大きな問題だと思うのです。そういうことについての方向をまず御説明いただきたい。
  191. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) 法制調査会におきまして手荷物の問題が議論されましたのは、いま営業法自体の中に手荷物の規則は特別のものはございませんが、営業法を受けまして運輸規程というものがございますが、この中にお客さんと同時に輸送しなければならないという規定があるわけでございますが、これが現実問題といたしましては、電車化なりディーゼル化をされまして荷物車の連結ができなくなるということで、同時輸送ということは現実には非常に困るのではないか、したがって、これは同時輸送の規則はごかんべん願いたいということにお願いしたわけでございまして、それならば同時輸送ができないということであれば、手荷物規則は置く必要ないじゃないかという、これは純法律論としてそういう議論が出ただけでございまして、したがって、私ども輸送の問題といたしましては、手荷物制度はそのまま存続するつもりでございます。ただ法律上それがなくなるというだけで、手荷物輸送の姿は現在と同じ姿において残す、また残さなければならぬ、したがって、私どもが別に考えておりまする小口の改善の問題は、これはこれとは全然手荷物輸送とは無関係な問題でございまして、これを混同していただくことは非常に困るわけでございまして、私どもとしてはこの小口のほうを改作するからといって、手荷物のほうをやめるという考え方は全然ございません。
  192. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは国鉄御当局に対して最後に御要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思いますが、このチッキにしてもその扱いをもし廃止されるということになると、これから重い荷物をいやがおうでも自分で持って列車内に持ち運ばなければならない。それをとるか、あるいは高い料金で小荷物扱いとして別便で送らなければならない。国民一人々々が今後そういう問題に当面してくるわけですね。そういう重大な国民生活に直結した大事な問題であるので、その点についてはいま現制度を残す決意だと言われたので、それなら問題ないわけですが、ひとつこういう国民生活に直結した問題については、十分民主的に国民の声を聞いて善処されるよう強く要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  193. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言もなければ、本条の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  194. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により、委員長に御一任を願います。
  195. 松浦周太郎

    ○国務大臣松浦周太郎君) 本設置法案に対しましては、慎重審議、御決議をいただきましたことをありがたくお礼を申し上げます。
  196. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会      —————・—————