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国務大臣(
高橋等君) この
少年非行を防止します対策というものは、その原因を的確に把握して、適切な施策を講じる必要があるということは、御説のとおりでございます。ただ、法務省のみでなしに、これは政府をあげて現在の重要な問題として処置をいたしていかねばならないし、いたしておるわけでございますが、ことに教育、文化、社会福祉、あるいは
家庭のしつけなど、あらゆる分野における国民全体のふだんの
努力というものも協力をいただかないと、これはなかなか思うようにならない問題であると考えるのであります。
刑事政策を直接担当いたします法務省といたしましては、第一に、いわゆる
少年非行の発生の温床となっておる社会悪というものを除去することを考えなければいけないというので、暴力
犯罪とか、あるいは不良文化物ですとか、こうしたものの厳重な取り締まりを一そう推進をいたしております。
また、第二には、非行化しました
少年につきまして、これを改善更生をさして、その再犯を防止するということは、これは非常に大切なことだと考えるのでございます。
検察庁をはじめとしまして、
矯正保護
関係の各機関の処理、処遇をより適切にならしめねばなりません。ただ、
少年院等の
施設につきましても、私はもう少し形の、いまのものに加えて、
少年に合ったようなものをつくっていくくふうをより一そうやらにゃならぬのじゃないかというように考えております。
それともう一つ、この種
犯罪の原因を科学的に調査解明すること、これは非常に必要なことでありますが、私は
少年法に関しまする法制につきまして検討を加えまして、要するにこの非行
少年たちに
責任を持ってもらう、すなわち、これは私の私見的なことを申し上げるのでありますが、いま、こういう線で法務省で検討を続けておるという線は、
少年が、いわゆる二十歳以上にならぬと青年にならない。ところが、終戦後の体力あるいは知力の発達というものは、これはやはり二十歳でなしに、十八歳以上を青年ということに考えていくことのほうが、これはもう世界の趨勢でもあり、
日本としましてもそのほうが実際に合うのじゃないかという考えを持っておるのでございまして、そういうことを、一面、とにかく十八歳以上の者を青年と扱うことによりまして、
少年たちに自己の社会的
責任というものの自覚を促すことができるのじゃないだろうかということを考えて、いろいろ検討をさせておるのでございます。でき得ればこの国会に提案して、十分なる御審議をお願いいたしたいと考えたのでございまするが、何ぶんにも、まず
裁判所でありますとか、あるいは社会の一部、心理学者その他、各方面からの
相当な反対もございます、これには。また、非常な積極的賛成ももちろん多いのでございます。もう少しそうした方面の人々に、私
たちが考えておりまする真意を了解をしていただく必要がある。これは一度きめましたら、非常に根本的な
制度なものですから、了解をしてもらう必要があるということと、こうしたことをやりまする人々の
矯正保護
施設というものについて、もう一度検討をせにゃならないという考え方もありまして、あわせて、いまそうした線での検討なりあるいは世論に訴えるというような
方向でやっておるのでございます。ことしの国会には間に合わなかった。これは私としましては、実は就任以来、私これはぜひそうありたいと考えておったのでありますが、これは非常に遺憾であると考えておりますけれども、これは念には念を入れる必要がありますので、この際は見送ったのであります。そうしたことも考えながらやっていきたい、こういうつもりでおります。