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1965-03-18 第48回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十八日(木曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————    委員の異動  三月十六日     辞任         補欠選任      村上 道雄君     上林 忠次君  三月十七日     辞任         補欠選任      上林 忠次君     村山 道雄君      横山 フク君     林田 正治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柴田  栄君     理 事                 栗原 祐幸君                 下村  定君                 伊藤 顕道君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 村山 道雄君                 森部 隆輔君                 松本治一郎君                 鬼木 勝利君    国務大臣        運 輸 大 臣  松浦周太郎君        国 務 大 臣  増原 恵吉君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     瀧本 忠男君        人事院事務総局        職員局長     大塚 基弘君        北海道開発庁総        務監理官     小熊  清君        厚生省医務局長  尾崎 嘉篤君        運輸省鉄道監督        局長       佐藤 光夫君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十年度における公共企業体職員等共済組  合法に規定する共済組合支給する年金の額の  改定に関する法律案内閣送付予備審査) ○北海道開発法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査(看護職員夜間勤務の問題に関する件)     —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) これより内閣委員会を開会いたします。  昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。松浦運輸大臣
  3. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) ただいま議題となりました昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、昭和三十三年に廃止されました旧国家公務員共済組合法及び現行公共企業体職員等共済組合法による既裁定共済年金受給者年金につきまして、このたび、別途本国会に提案されました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じまして、昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案による国家公務員共済年金改定と同様に年金額引き上げを行ないますとともに、所要整備を行なおうとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一は、年金額引き上げであります。  まず、旧国家公務員共済組合法規定により支給されている年金につきましては、従前と同様に、今回も、恩給法改正措置にならい、一律二割の年金額引き上げを行なうことといたしております。  また、現行公共企業体職員等共済組合法規定により支給されている年金につきましても、今回新たに、恩給法改正措置に準じ、受給者の退職時の俸給について、昭和三十七年度における旧国家公務員共済組合法による年金改定と同様の改定が行なわれたと仮定した場合の年金額を二割引き上げ、その額が既裁定年金額を上回るときは、その差額相当額引き上げを行なうことといたしております。  第二は、今回の改定による増加額支給の一時停止についてであります。  まず、旧国家公務員共済組合法規定による年金受給者のうち、七十歳未満のものにつきましては、今回の恩給法改正にならい、受給者年齢層に応じて、今回の改定による増加額の全部または一部の支給を三年間にわたって停止または制限する措置を講ずることといたしております。  また、現行公共企業体職員等共済組合法規定による年金につきましては、現行法施行日前の期間に対応する部分についてだけこれと同様の取り扱いを行ない、現行法施行日以後の期間に対応する部分につきましては、国家公務員共済年金改定の場合と同様、支給停止措置を講じないことといたしております。  第三は、今回の年金額改定に要する費用負担についてであります。  旧国家公務員共済組合法規定による年金額改定に要する費用は、従前と同様に、全額公共企業体負担することといたしております。  また、現行公共企業体職員等共済組合法による年金額改定に要する費用につきましては、そのうち、現行法施行日前の期間に対応するものにつきましては、全額公共企業体負担することとし、現行法施行日以後の期間に対応するものにつきましては、公共企業体及び組合員負担とすることといたしております。  第四は、現行公共企業体職員等共済組合法の一部改正であります。  現在、職員団体等に専従する組合員に対する長期給付に要する費用のうち、職員団体等は、百分の五十七・五を負担しておりますが、このうち百分の十五に相当する額につきましては、公共企業体負担することといたしております。  また、今回の恩給法等の一部改正によりまして軍人恩給のために抑留加算がつけられることになりましたが、これに伴う所要調整措置を講ずることといたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  4. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本案の自後の審査は、都合により後日に譲ります。
  5. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、北海道開発法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましてはすでに提案理由説明を聴取いたしておりまするので、これより質疑を行ないます。政府側出席者は、増原北海道開発庁長官小熊総務監理官でございます。  御質疑のおありの方は、御発言願います。伊藤委員
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この北海道開発法の一部を改正する法律案に関連して、以下一、二の点について長官にお伺いしたいと思いますが、まず伺いたいのは、北海道開発法そのものについてお伺いしたいわけですが、この法律は、私がここで申し上げるまでもなく、北海道における資源の総合的な開発、そういうことを基本的な事項としてきめておるわけですが、その第二条第二項を見ますと、「北海道における土地水面山林鉱物電力その他の資源を総合的に開発するための計画」とここで明記しておるわけです。で、ここでいう「その他の資源」というのは一体どのようなものか、まずお伺いしたい。
  7. 小熊清

    政府委員小熊清君) お答え申し上げます。  開発法の第二条に、御指摘のように開発計画範囲として書かれている「土地水面山林鉱物電力その他の資源」、また「その範囲については、政令で定める。」こういう規定がございます。開発計画につきましては、すでに御承知のように、昭和二十七年度から発足いたしましたいわゆる第一期の総合開発計画、それが終わりまして、現在では昭和三十八年度から第二期の総合開発計画実施中でございます。その開発計画そのものは、すでに閣議の決定を経て公にされておるわけでございます。ここに法律にあげておりまする「土地水面山林鉱物電力その他」と申しますと、たとえば、計画では、大きく産業振興とそれから産業基盤整備と二つに分かれておりますが、資源のほうといたしましては、産業振興のほうに入ってくるわけでございます。農業、林業と水産業鉱業、それからインダストリアルのほうの工業、それぞれの資源開発産業振興ということになるわけでございます。それらを全部ひっくるめて、北海道におきまする資源開発する、かようなことになろうかと思います。ことばどおりにとりますると……。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いやいや、途中ですけれども、私がお伺いしていることにピントを合わしてお答えいただきたいのです。第一次、第二次というのは順を追うてお伺いするわけで、私がここでまずお伺いしたいのは、ここに「その他の資源」と最後に載せてあるけれども、「その他の資源」というのは、たとえばどういうものをさしておられますかということでお伺いしたわけです。したがって、「その他の資源」というのは、これこれのものだということだけをお答えいただけばけっこうです。全般的についてお尋ねしているわけではない。「その他の資源」とここにあるわけですね。「土地水面山林鉱物電力」これは明記されておるわけです、具体的に。ただ「その他の資源」ということについては、ここではわれわれにはわかりませんから、大体どういうようなものがこの「その他の資源」の中に入るのか。「その他の資源」だけについてお伺いしたのです。その他のことは順を追うてまたお伺いします。
  9. 小熊清

    政府委員小熊清君) 「土地水面山林鉱物電力」というところでほぼ尽きているかと実は考えるのでございますけれども、たとえば観光資源でございます。これは土地とか水面とかに関係なしとはいたしません。観光資源でございますとか……
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 炭鉱資源というのは、鉱物というのはありますね。それに地下資源……。
  11. 小熊清

    政府委員小熊清君) 観光というのは、見る観光資源で……。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 観光資源——わかりました。
  13. 小熊清

    政府委員小熊清君) あるいは広くインダストリー、これもまた土地などに関係あるわけでございまするので、北海道の固有のいろいろな資源を用いて工業を興すというようなことも入ってこようかと思います。計画全体としてはいろいろひっくるめて産業振興というふうになっておるわけでございます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでさらにお伺いをいたしますが、そこへ土地水面山林云々とあるので、まず土地については大体わかっておりますが、水面開発計画についてはよくわかりませんので、その概要でけっこうですが、ポイントだけをひとつ御説明いただきたいと思います。水面開発計画についてですね。
  15. 小熊清

    政府委員小熊清君) 水面開発計画内容でございまするが、水面の中に、海面、海の関係とそれから内水の関係が湖沼、湖等関係があるかと思います。海面関係では、申すまでもなく、水産資源を確保するための漁港の整備でございまするとか、あるいは魚礁の設置といったような開発をしております。それから内水面につきましては、各種養殖事業振興あるいは観光的な面の開発といったようなことが入ってこようかというふうに考えます。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 概要ですから、詳細また後ほどお伺いをすることにして、山林開発計画ということもあるわけでしょう。これは重点は一体どの辺に置いておるのですか。どういうところ、山林計画のうち重点はどこかということ。
  17. 小熊清

    政府委員小熊清君) 山林開発計画でございますが、御承知のように、北海道においては全体の土地面積に占める山林の割合が相当高いわけでございます。また、内地山林に比べまして特に北海道山林の特徴といたしましては、人工造林部分が少ない。天然に放置されておると申しましょうか、天然そのままの山林が非常に多いわけです。したがいまして、山林生産力というものが内地に比べて低いわけでございます。したがいまして、山林開発目標といたしましては、人工造林を積極的にやってまいりまして、生産力を高めるということが一つでございます。それからもう一点は、山林産業ということになりますると、素材を運び出す林道がどうしても必要になると思います。これまた北海道においては内地に比べて林道網整備がおくれておるわけでございます。でありますので、どうしても奥のほうにある奥地の山林開発が進まないということもございますので、山林を積極的に設置していくあるいは改良していくということで奥のほうの山林生産力を生かしていく、かような点に重点を置いて山林開発を進めておるわけでございます。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、鉱物資源についてですが、これはこの間大きな事故がありましたいわゆる石炭とか硫黄も相当知られておりますが、そういうものについて、おもなものについてのひとつ概要を御説明いただきたいと思います。
  19. 小熊清

    政府委員小熊清君) 北海道は御承知のように、鉱物資源としては、石炭が一番ウエートの高いものでございます。石炭埋蔵量は、およそ全国想定埋蔵量の半分近く北海道に埋蔵されておるということになっております。その他水銀でありまするとかマンガンでありまするとか、そういったような北海道にある程度全国の相当量産出する鉱物もございます。したがいまして、開発目標を、開発重点としては、やはり石炭生産増加、これが一番比重が重いわけでございます。また、銅でございますとか鉛あるいは亜鉛といったような、いわゆる金属鉱業につきましても、開発目標を立てまして、開発を促進してまいりたい。かように考えております。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま硫黄ということには触れられませんでしたが、全国的に見ると北海道は主要な産地になっていませんか。その点を。
  21. 小熊清

    政府委員小熊清君) 硫黄でございますが、硫黄生産量を三十七年度の実績がございますが、全国に対して一四%になっております。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで実は私、群馬ですけれども、群馬にも小串とか吾妻とか石津、白根、こういう北海道に次ぐ硫黄鉱山があるわけです。西北にですね。そこに一連の一帯の硫黄鉱山があるのですが、そこで特にこのことではっきりしておきたいのは、この硫黄鉱山、しばしばお伺いしておるわけですが、このたびの貿易自由化に関連して、もし貿易自由化が進んで、硫黄にも適用されるという段階になると、アメリカから来る硫黄は一トンで大体一万円くらいで入る。それで群馬硫黄鉱山の業者の方と話し合うと、これはまあ一年か二年くらい前の話ですが、大体日本では一トンについて二万円くらいで出さないと採算が合わない。ということになると、日本では二万円でなければ採算が立たない。そこへ約半額の一トン一万円の硫黄貿易自由化でどんどん入ってくると、これは日本硫黄鉱山は言うまでもなく労使ともにもうお手あげになってしまう。鉱山に行くたびにこれは日本のどこの硫黄鉱山でもそうであるし、北海道も当然これに当てはまると思うのですが、これがいま当面最大の問題になっておるんです。それで特にこの問題についてお伺いしたわけです。北海道開発庁としてはこのような点に一体どのような対策を考えておられるのか、これは基本的な問題ですから、ひとつ長官に承りたいと思います。詳細はけっこうです。
  23. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 硫黄の問題は御指摘がありましたように、自由化に対しては日本においては弱い鉱業というか、産業になっておりまするので、二期計画では横ばいの形の計画が樹立されているわけです。いまおっしゃった問題については通産当局にも話をまだ実はよく聞いておりません。その点そのほうの話を聞いてからお答えするようにいたしたいと思います。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私が特に硫黄を聞いたのは、総合開発資源の中に鉱物があって、その鉱物一つの主要なものとなっている。全国的に見ても北海道硫黄特産地であるということから、やはり今後十分硫黄自由化の問題については、いわゆる開発庁としても関心を持たざるを得ないと思うので、この点については、十分ひとつ善処されるようひとつ要望申し上げたいと思います。貿易自由化はちょっと所管違いで、開発庁長官にこういうことを聞くことも御無理であろうとは思う。しかし、国の総合開発計画の主要なものの一分野硫黄だということになると、やはり十分検討もし、対策も講じていただく必要があろうと思う、開発庁として。  なお、お伺いいたしますが、北海道開発庁としては、北海道地下資源開発株式会社に対しては「内閣総理大臣権限行使について補佐する」ということになっておるわけですね、この開発法によりますと。この「補佐すること。」になっておるという規定がここにあるわけですが、具体的には一体どういうことなのか承りたい。
  25. 小熊清

    政府委員小熊清君) お答えいたします。開発法規定しております北海道地下資源株式会社に対する内閣総理大臣権限を補佐する。その具体的な内容は、一般の特殊法人に対するものと同じように、地下資源開発株式会社主務大臣内閣総理大臣になっているわけです。その主務大臣として会社に対して業務に関して監督上必要な監督命令を出すことができる。また、会社から業務状況に関する報告をとるとか、また、会社帳簿書類その他の検査をやるというようなことが地下資源株式会社法規定されています。開発株式会社法に基づいて必要な監督をやっておるわけでございます。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまお伺いしたのは北海道開発法の第五条第二項にあるわけですね。「次に掲げる法律に基く内閣総理大臣権限行使について補佐すること。」ということと、イ、ロとあって、ロに「北海道地下資源開発株式会社法」こうあるわけです。それは抽象的にいま御説明いただいたのですが、たとえば具体的にあげるとどんなようなことですか。
  27. 小熊清

    政府委員小熊清君) 地下資源開発株式会社では毎年度当初にその年度の事業計画を立てます。また、資金計画を立てることになっております。それからまた、四半期ごとに同じような計画を立てます。その計画について、何と申しますか、計画を出してもらいましてこれを審査をいたす、また、地下資源開発株式会社業務について定期的に報告を受けまして、その内容について審査をして必要な措置をとるといったようなことを常時やっておるわけであります。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、資源の有力な一つである電力資源ですね、これは概要を承りたい。全国的のシェアから見て大体どの程度の地位にあるのか、そういうような概要でけっこうですから承りたい。
  29. 小熊清

    政府委員小熊清君) 北海道電力全国に対するシェアを申し上げますと、これは資料がちょっと古うございまして、三十六年度でございますが、キロワット・アワーで計算いたしまして全国の四%程度でございます。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それと第三条を見ますると、「関係地方公共団体は、開発計画に関し、内閣に対して意見を申し出ることができる。」と、こう明記してあるわけです。そこでお伺いするわけですが、この意見を申し出る際は、北海道開発局、いわゆる北海道開発庁地方支分局である北海道開発局経由で申し出るのか、それとも文字どおり内閣に対し直接申し出るのか、まずこのことからお伺いしたいのですけれども。
  31. 小熊清

    政府委員小熊清君) 法文上法律的解釈といたしましては、直接内閣に対して意見を申し出るということになるわけでございます。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 内閣に対して意見を申し出ることができるわけですが、これはその意見については、内容にもよることでありましょうけれども、大体どの程度取り上げられてきたのか。これは今後のことはわからぬわけですけれども、過去の実績についてその概要を御説明いただきたい。せっかく、こう「意見を申し出ることができる。」と民主的にきめてあるわけですから、ただ表面だけであっては相ならぬわけですね。
  33. 小熊清

    政府委員小熊清君) ここに「関係地方公共団体」とありますのは、具体的には北海道になるわけでございます。開発計画に関して意見を申し出ることができる実際の具体的なこれまでの実績といたしましては、いわゆる第一期の開発計画を策定する際と、それから現在進行しておりまする第二期の総合開発計画を策定する際、いずれも北海道のほうから意見の申し出がございました。実際の計画の策定の段階では、もちろん北海道に関する開発計画でございますので、北海道からの意見というものは十分尊重して、それに近い形でまとまっておるわけでございます。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま御指摘ちょっとあったようですが、「関係地方公共団体」とは北海道庁だけをさすのか、それとも他の公共団体関係あるのかないのか、あるとすれば一体どの範囲かということをお聞きいたします。
  35. 小熊清

    政府委員小熊清君) 北海道のことをさすと言い切ったのは、表現が不適切でございました。北海道のほかに道内の市町村というのが当然入るわけでございます。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、提案理由説明の中からも出ましょうけれども、第七条ですね、第七条に、「北海道開発庁に、参与十人以内を置き、庁務参与させる。」こういうことなんですが、そこで、このことに関連してお伺いしたいのは、十人以内とここにありますけれども、現在、一体何名おるのかということ。それから庁務参与させるということでありますが、どのような庁務参与させているのか。  それから次に、「関係行政機関職員のうちから、長官が命ずる。」ということでありますが、現参与所属機関は一体どうなっているのか。  それから次は、「参与は、非常勤」となっておるようですが、大体どの程度につとめておるのか。また、任期についてはどうなっておるのか。これらのことについて、一つ一つお答えいただきたい。
  37. 小熊清

    政府委員小熊清君) 法律規定しておりまする開発庁参与を十人以内を置く、現在の参与の数は十人でございます。参与をお願いしている方の身分は関係行政機関事務次官でございます。また、ここに庁務参与させるということになっておりまするが、開発庁平常業務に一々お願いするということはございません。開発計画を立てるといったような大きな問題のときに、お知恵を拝借するということにいたしております。また、非常勤ということになっておりますが、いま御説明申し上げましたように、平常はこちらのほうには、開発庁のほうにはおいでいただかないわけでございます。  それから任期については、法律規定はございませんが、いままでの実行では、各省事務次官が御更迭になりました際には、新しい事務次官にまた参与をお願いするというふうにやっております。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、関係機関職員というのは、名実とも関係各省庁の事務次官に固定されている、そういうことですか。それがはっきりすると、任期の問題とか、その他も当然解明されるわけですが。
  39. 小熊清

    政府委員小熊清君) この法律を形式的に読みます限りは、必ずしも事務次官に限ることはないというふうに思いますけれども、法律が制定以来の実行は、各省事務次官だけに限ってお願いをしているわけでございます。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、北海道開発庁の眼目である北海道総合開発計画について、その分野からお伺いをいたしたいと思います。  この開発計画は、現在三十八年度から四十五年度にわたる第二期計画実施中であるようですが、そこで、お伺いしたいのは、第一期計画達成状況は一体どうであったか。これは過去のことですから、これこれであったということはもうおわかりでしょうから。
  41. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 第一期総合開発計画実績と申しますか、を申し上げますと、御承知のように、二十七年度からの十カ年、これを第一次と第二次とに分けておるわけでございます。第一次を前期、第二次を後期、合わせて十年でございます。三十七年度で終了をいたしたわけでございまするが、この計画、第一次では、産業振興基盤となる基礎施設整備重点を置きました。第二次のほうでは、引き続き産業基盤拡充強化をはかるとともに、各種産業を積極的に開発振興するということに重点を置いてまいったわけでございます。この間は、第一次の五カ年計画は、いろいろの事情によりまして北海道開発審議会の答申を経たのみで、国ないし行政全体の計画としては確定するということなしに実施をしてきた事情などもありまして、開発事業費の国費投入額の計画に対する遂行率が約六〇%、計画に対して約六〇%、まあ不成績でございます。主要開発目標につきましても、乳牛、耕地、電力はまあまあという目標に達しましたが、その他の、主食、水産、人口は、その半ばを達成した程度ということで、成績は良好とはいえなかったのでございます。  第二次五カ年計画は、一次の経験にかんがみまして、計画の精度を高めますとともに、閣議決定を経て、政府の計画として確定をしたのでございます。それで、開発事業費の国費投入額はほぼ計画の額に達しました。主要目標につきましても、林業、水産業電力工業生産額、農業生産額は、いずれも目標を越えて伸張をし、このような生産の拡大に伴いまして、生産所得も計画目標を若干上回って成長を見、おおむね所期の目標を達成したのでございます。したがいまして、十年の第一期計画におきましては、一応北海道を所期の開発段階引き上げることができまして、御承知のように、いま三十八年度からの自立的北海道の発展という目標で、第二期計画実施いたしておる。  まあ第一期計画は、一次は不成績、二次はほぼ目標を達成した。一期全体としては、一応基盤整備目標は達成した、こういう状況でございます。
  42. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私がいまお伺いしたのは、第一期計画の達成事業はどうであったかとお伺いしたわけですが、御丁寧に二期計画にもわたって、いま御説明があったわけですが、第二期計画については、以下順を追うてお伺いしたいと思います。  そこで、部門によっては相当のそごもあったということにいま御指摘があったわけですが、そのようなそごが生じたおもな理由は、一体どのようなものであったか、その点を御指摘いただきたい。
  43. 小熊清

    政府委員小熊清君) 第一期計画は前半と後半とございまして、前半のほうは、おしなべて実はあまり成功とは言えなかったのです。第一期計画の後半期、これがまあ三十七年度まで、このほうは、ただいま長官お答えになりましたように、全体としてはまあまあいつたんじゃないかと思っております。ただその中で、主要開発目標の中で計画以上に上回ったものもございますし、計画に及ばなかったものもございます。最も計画に及ばなかったのは水産の生産額、これは計画に対して八三%という生産額にとどまった。それから鉱業生産額——鉱業というのはマイニングでございます、これが九〇%にとどまった。そのほかの農業あるいは林業、インダストリー、これは、生産額は計画を上回っております。計画を下回った水産、鉱業について私ども反省いたしたわけでございますが、水産につきましては、北海道水産資源が変化をいたしましてサケとかマスといったような値の張る魚の漁獲高が目標を下回った。したがって、水揚げ高としてはそれほど計画を下回ることは、相当下回るということはなかったわけですけれども、水産額という金額の面からは値段の張る魚が減ったということで計画に及ばなかった、こういうことであったかと思っております。それからマイニングのほうがやはり計画に及ばなかったわけですけれども、これはマイニングの中の一番比重の高い石炭がちょうど計画期間中に石炭、石油等のいわゆるエネルギー消費の構造が変わってきているというようなことで、石炭の生産の伸びが計画に見込んだほどいかなかったということが鉱業生産全体の伸びを鈍らしたということであったかというふうに反省しているわけでございます。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 計画実績についてそごが生じたことについては、いま上回るものもあるし、大体においてまあまあという程度であったと長官からも御説明あったのであります。大要はわかったわけです。ただそういう計画実績と必ずしもぴったり計画どおりいかなかったのには、いま石炭については御指摘があったようですけれども、それぞれの部門でおもだった理由はそれぞれあったのではなかろうか。計画が無理であったとかあるいは天災にあったとかいろいろの原因があって計画どおりいかなかった。したがって、部門別におもだった理由をひとつ概要だけあげて御説明いただきたいと思います。
  45. 小熊清

    政府委員小熊清君) 生産目標に対する実績という点ではただいま農業と林業とそれからインダストリー、これは大体生産目標を上回ったというふうに申し上げましたが、したがって、たとえば農業なら農業の中の米等については目標を二割ほど上回っております。ただ耕地面積の増加でございますが、これは九四%程度でございまして、若干計画を下回っているわけでございます。これはいろいろの事情があると思いまするが、米の何といいますか、生産性が非常に品種の改良等で高くなりました。ヘクタール当たりの米の収量が相当上がってくるというようなこともございまして、むしろ米のそういったような反収の増というほうに相当の力が注がれて耕地のほうは一〇〇%を若干割ったというような結果になったかと思います。それからマイニングのほうは、主要な指標としては実はただいま手元に石炭しか持ち合わせておりません。また、石炭がマイニング全体の生産額を、計画を下回らせた一番大きな原因になっているというふうに承知をしております。それからインダストリーのほうは、全体としても上回っておりますし、また、たとえば銑鉄、洋紙、セメントといったようなものもそれぞれ上回って実績をあげたわけでございます。それから水産につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、それぞれの魚別に生産目標を達したわけでございます。で一々の魚についていまちょっとここに資料を持っておりませんけれども、全体として上がらなかったのは、やはり値段の高いサケとかマスなんかが減ってしまったということが一番大きかったというふうに見ております。生産目標に対するそれぞれの実績、その内訳は申し上げたとおりでございますが、それから電力、これは生産目標に対して三割ばかり上回って開発されております。それからそのような各生産分野をひっくるめて生産所得がどうなったかと申し上げますると、これは計画に対して一〇二%ということでございまするから、まあほぼ計画どおり。各産業振興も結局は道内の生産所得を上げるということに最終目標があろうかと思いまするが、その生産所得では大体計画をほんのわずか上回ると申しますか、ほぼ計画どおりということになったわけでございます。大ざっぱなところは大体以上のようなことでございます。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 第一期計画概要についてはわかりましたので、次に第二期計画について承りたいんですが、先ほど長官からも一部御説明がございましたけれども、第二期の計画の進捗状況ですね、これはいまのところ順調に進んでおるのかどうかということですね。と申しますのは、第二期計画は所得倍増計画にあわせて四十五年に至る八カ年の計画であったということなんですが、最近倍増計画は、いわゆる経済のひずみによって計画変更を余儀なくされておる。したがって、中期経済計画の手直しがいま考えられておるんですね。そうだとすると、このことに関連して第二期計画を当然に変える必要が出てくるのではなかろうか、こういう点が考えられるわけです。この点について開発庁としては、一体どのようにお考えになっておるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  47. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 第二期計画は、目下が二年度——昭和四十年度が三年度になるわけでございます。完全な実施は三十八年度一年しかまだ見ていない状況でございます。三十九年度が進行中ということになりまするが、全体としましては、御承知の昨年冷害がございまして、農業生産が相当の減を見たわけでございます。この農業生産の減を除きますると、おおむね計画に沿って進行をいたしておるわけでございます。いわゆる所得倍増計画に対する中期見積もりということに関連をするお尋ねでございまするが、中期計画を見ましても、現在北海道の第二期計画を考えておりまする基本の方向というものは変わりはないわけでございます。したがいまして、北海道第二期計画の基本、大きい方向について改定をする必要はただいまのところないという見通しを立てております。ただ御承知のように、第二期計画もこの数字については弾力的な運営をするということにいたしておるわけでございます。そうした意味で、若干の数字の変更というものはもちろんあり得るわけでございます。二期計画の変更という形をとる必要はいまのところない、こういうように考えまして、大きい計画としては、二期計画に従いまして弾力的運営として、必要があれば若干の数字の変更については検討をしていかなければなるまいという考え方でございます。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、大綱については、昨年冷害があったので、農業部門では変更を余儀なくされたものもあるけれども、大体大綱については順調に進みつつある、現時点につきましてはその計画を要するに変えようという考えはない、そういうことははっきりしたわけですが、ただ、私ども考えて、物価はどんどんうなぎのぼりに上がっておる、労賃もこれに従って現在どんどん上がっておるわけですね。こういうことになると、計画計画どおり実施できない面が相当出てこようと思うのですね。こういう意味の変更は、これはもう余儀なくされておると思うのですが、こういうことについての御説明をいただきたい。
  49. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 御指摘の点は、まさにそのとおりでございます。大体三十八年度から四十年度までの実績による年平均伸び率というものが一八%くらいに、いまなっておるのであります。計画による年平均伸び率は、これは三十八年度価格にスライドして一三・七になるということでございまして、そういう状況で進んでおりまするが、この比較の際に三十八年の価格にスライドすると申し上げましたように、残念ながら物価の上昇等に見合って、金額については、予定額を上回るという改定をしなければならないことは当然であると考えております。
  50. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 物価の値上がりあるいは労賃の上昇、これに伴う計画の変更ということについていま御説明があったわけですが、先ほど長官からも御指摘あった冷害ですね。たとえば昨年あった冷害あるいは先般大きな炭鉱災害があった、こういうことで計画実施に支障を生じた部門があろうと思うのです。で、昨年の冷害については、先ほど御説明があったわけです。ただ、この炭鉱の災害についても、これは一つの大きな事件であったので、相当抜本的な対策がいま考えられておると思うのですが、もちろん当面の所管は通産省でありますけれども、やはり北海道開発庁としても、総合資源開発分野から見れば、その重要な一つの部門ですから、重大な関心があるし、また密接な関係もあるわけですね。したがって、これに対する周到な対策が講じられて進められておると思うのです。こういうことについて、大綱を承りたい。
  51. 小熊清

    政府委員小熊清君) 御指摘のとおりでございまして、石炭の生産を上げる、そのために開発計画としてもいろいろの手を打つということになったわけです。先般の炭鉱の大きな事故によりまして、石炭開発に相当な影響があったことは申すまでもないわけです。これについては、通産省のほうで直接担当されて、鋭意対策を講じられておるわけです。開発庁といたしましても、開発計画全体の推進という立場から、通産省のほうにいろいろお願いもする、そうして全体の鉱業生産の推進をはかるというふうに基本的にやっておるわけでございますが、開発庁プロパーの仕事といたしましては、開発計画調査ということをやっておりますが、石炭関係のいろいろな調査、埋蔵量に関する調査でございますとか、あるいは開発の技術に関する調査でございますとか、そういったような調査を相当進めて試験研究をやるということで、石炭全体の開発をそういう面から促進してまいるということをやっているわけでございます。
  52. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、なおお伺いすることは次回といたしまして、最後に資料の提出をお願いしたいのですが、先ほど若干御説明いただきました開発計画に関連する、先ほどの土地とか水面山林鉱物電力その他の資源、この最近の生産額の数字をまたそれに関連した資料をひとつ添えて、一見してわかるようにして次回までに御提出いただきたい。この資料の提出をお願いして、本日のところこの法案に関する質問を終わっておきたいと思います。
  53. 栗原祐幸

    ○栗原祐幸君 ひとつ長官にお尋ねいたしたいと思います。  北海道開発庁の組織関係法規をいま見たのですが、疑問になりますのは、こういうことはもういままでの委員会で論ぜられたのだと思いますが、北海道庁があるのに、なぜ開発庁があるのか。  いま一つは、開発法の第十一条に、「北海道開発庁に、地方支分部局として北海道開発局を置く。」北海道開発庁には開発局が一つあるだけなんですね。それからいま一つ、十二条の二項に、「前項各号に掲げる事務については、当該事務に関する主務大臣のみが北海道開発局長を指揮監督する。」ということで、開発庁長官があるのだけれども、それぞれの業務についてはそれぞれの関係主務大臣が指揮監督する。いまお話の中にありましたところの鉱物開発石炭開発なんかにつきましても通産省がおもになっている。通産省に対して、いまの政府委員の答弁によると、通産省のほうにお願いをしてというようなことばもある。何か知らぬが、非常に北海道開発庁というものを持っていながら開発局が一つあるだけだ。しかもその開発長官というのはあまり強い指揮命令権というのは持っていない。調整権もあまりあるように思えない。そこで当然これは臨時行政調査会等で問題になっていると思うのですよ。いま答申を、調査会の意見書というのを見たのですがこういうかっこうのものはやはりおかしいのじゃないか。臨調のほうで問題になっているように、この際変えるべきではないか、機構をすっきりすべきではないか、こういう感じがするのですが、この臨調の意見に対しまして、開発庁のほうではこれでいいのだ、このままでいいのだ、こう言っているのですね。長官開発庁長官であると同時に行管の長官でもあるので、臨調のほうの答申をどう思うのか、開発庁のほうの意見、これに対する反対意見をどう思うのか、そこら辺をちょっとお聞かせ願いたいと思う。
  54. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) まことに核心に触れたお尋ねをいただきまして、まあ北海道開発庁というのは、法律に書いてありまするように、国民経済の復興、人口問題の解決に寄与するため、北海道総合開発計画を樹立して、これを推進、実施をするという役目を持っておるわけでございます。それで、国のやりまする、まあいまで言えば公共投資、先行投資、基盤造成というふうなことをやろうというのが役目でございまするが、御承知のように、現在この仕事は建設、農林、厚生その他の各省が、そういう意味では縦割りで仕事を持っておって、北海道というものの総合開発をやるという形の総合的な視野というものに、まあ見ようによっては欠けるところがあるということで、北海道というものをそういうふうに総合的に、まあ近ごろのことばで言えば横割り式にひとつ総合的に開発計画というものを見ていく必要がある——国の立場で言うと——ということで開発庁が設けられたわけでございます。やはり考え方としてはひとつしごくもっともなものであり、その存在理由があるものであると。その場合に御指摘のように、権限が十分でないではないかという御指摘は、これは観点によってまことにそのとおりで、ございます。しかし、たとえば、いま臨時行政調査会の答申で検討をいたしておりまする首都圏庁というようなものを設置することについて考えてみますると、これもやはり首都圏というものは都と近県の七県ぐらいを考えるべきであろうということで、関東全体、山梨を加えたというようなものに大体考えられておる地域で、やはり建設、運輸、農林、厚生その他の縦割りでものが考えられておったのではいけないし、また、小さく都府県単位で考えられてもいかぬということで、国のやりますることを横割りで大きく総合的にやろうということで考えてみますると、そういう考え方自身、おそらくどなたも反対がない。しかし、そのできまする首都圏庁にどういう権限を与えるかということになりますると、たいへんに事がめんどうで、いまだに成案を得られない。それに比べますると、この北海道開発庁は相当の権限を持っておる。第一、予算は北海道開発庁として一括して計上する。首都圏庁にはそういうことをやろうとしても、まあ各省がたいへんに抵抗をするといいますか、これには賛成をしない。北海道では現にそれができておる。首都圏庁では事務局というものはごく小さいものができようという考え方ですが、北海道では開発局という一万数千を持っておる実施機関が開発庁の支分部局としてあるということですから、そういう意味では現実的にはなかなか大きい権限を持っておるということでございます。しかし、それでも御指摘になった条文にありまするように、十二条の二項でありましたか、その建設、農林等のあれは、一度もらって北海道開発庁に掲げた予算を各省に移しかえて、各省実施をする。したがって、その仕事をやる開発局の指揮権限も、指揮するのも各省大臣がやるということになっておるわけで、これは総合的にやりますることを徹底すれば開発庁長官にやらせるべきであるという意見が当然出まするが、現在の状態ではなかなか各省がそれを承知しないということで、こういう形になったわけでございます。したがって、これを基本的に考えまして、臨時行政調査会の答申は御承知のところでございまするが、全体答申を出す前に、当時のいろいろな事情に基づいて首都圏というものを考えてくれろ、これについての答申を出してくれろという政府の要望がありまして、首都圏庁というものの答申を出した。これはやはり予算一括計上というものを一つの柱にしております、北海道開発庁に似たような——北海道開発庁ほど強いものではないのですが、似たようなものを出してきた。ところが、全体の答申が出てきますると、これは首都圏庁というふうなものをいつまでも置くというのではなくて、総合開発庁——現在その一部の事務を経済企画庁でやっておりますものを、総合開発庁として新しい内閣府の中に設けて、日本全国を、各省の縦割りでなしにそういう意味では総合的な横割り式な考え方で、しかも全国を統一して総合開発を考える。したがって、北海道開発庁もやめたほうがいいだろうし、首都圏庁もその時期にはなくなるべきものであろう、近畿圏整備も特別のものではなくなる。総合開発庁で、全体を総合的な見地で開発計画を立てて推進をしていくという、まあ答申が出たわけであります。そういう意味で、臨時行政調査会の答申は元来総合開発庁という形にまとまっておりまするが、これができまする前に、国土省といいますか、そういうような考え方が第一案であって、第二案に総合開発庁というものがあって、理想的に一応考えると、国土省的なものがいいが、なかなか現実に実行困難であろうから、総合開発庁という考え方をとってはどうかというふうなことでございます。これは臨調の答申尊重ということが、政府としてはたてまえでございまするが、具体的にはもう少し掘り下げて考えてみないといけないという問題でして、したがって、まだいますぐに総合開発庁の具体化に着手をするという段階に至っておらぬわけであります。そういうことで、現在各省に、臨調答申についての関係ある各省の所見ということで意見を求めまして、まあ、私は行管長官として、そういう手順をとりまして、北海道開発庁としてはこれに答申をする論議を開発庁でやっておりましたが、いま直ちに開発庁をやめて、総合開発庁というような形でこれを統括してもらうことは、第二期計画進行中の北海道開発、あるいは国の先行投資を適切にやる上には適当と思われないから、北海道開発庁を存置してもらいたいという、これは開発庁意見として出しているわけで、これはもう少し検討を政府としてもさしていただかないと、直ちに総合開発庁をよしとするというふうに、まだまだ十分には割り切れていない問題である。したがって、この北海道開発庁の、最初に御指摘になった権限の問題は、何としても、いまの国家行政の割り方の中では、縦割り行政の中へ若干横割りを持ち込んだということで、理論としては一貫されておらぬわけですから、不十分な点は確かにあると思いまするが、現行各省縦割り行政の中で、こうした北海道開発庁という程度権限を持ったものでもできていることは、確かにこれは北海道開発のために非常にいいことで、これを存置していきたいというふうに考えるわけであります。
  55. 源田実

    ○源田実君 これは農林省にお伺いすべき性質のものかとも思うのですが、やはり北海道開発庁でどういうぐあいにお考えになっているか、その点をお伺いしたいと思うのです。先ほど伊藤議員の御質問の開発計画の中のその他のところに観光ということを、たとえば、というようなお話があったのですが、これにまあ観光そのものにも若干関係があると思うのです。と申しまするのは、北海道ぐらい日本の中で天然の生物が豊富であって、これくらい自然の美を持っているところは、日本じゅうにないと、野鳥のごときはたしかほとんど日本全国の中の半数以上が北海道にいると、日本内地にはいないような動物も北海道にはいる。そうしてそれがこの自然の中にとけ込んで、人間に対しては一つのやわらない情緒を与えるというようなことがあると思うのです。近年になって非常に近代文明が発達するとともに、自然のそういういわゆる野鳥なり野生の動物なり、そういうものが人間によって駆逐されてだんだんいま減りつつある。これは人間の生活に必要だからそういうぐあいにいくのかもしれないのですが、大体地球上の生物というのは自然の摂理に従って一応安定した形をとるようにずっと動いてきたと思うのです。いまそれを、近代文明とともに人類というのが出てきて——少し話が横にいくのですが、人類が出てきてその自然をどんどんこわしていきつつある結果は、あるいは人類がやった罪を人類が自分で負わなければならないようなことになろうかと思うのです。その一つの例として、昨年の九月に札幌の北の例の石狩町に、旧海軍の人に、来て見てくれと言われて私は行ったのですが、もともと、あそこで一網やれば数百本のサケがとれたのが、私が見ておる間一網で一本か二本なんですね。それで昔は相当豊富にやったのがいまはさっぱりだめである。そうして、わずか三十分自動車で行けば近代都市のけんらんたる札幌の町に出るのに、それから三十分外は全く惨たんたる漁村のまま置いてきぼりを食っていると思うのです。その原因は、なぜサケがのぼってこないか、これはほかの原因もあるでしょう。しかしながら、あそこで聞いたところでは、たぶん、石狩の水が濁ってきた、昔は落としておる針を見つけることも可能であったのだが、いまはもうこんなに濁って底が見えません、これは工場の汚水、それから農薬、そういうものの影響によってサケがのぼってこないのであろうというような話でございました。これはいまは工場誘致とか、そういうことでそのほうが一生懸命なんですが、こういうものがすっかりなくなってしまうということは、あるいは将来また妙なところにとんでもない欠陥が出てくるんじゃないか。また、いま網引きを観光のために使う以外にはほとんど意味がないほどの状況になっておる。私は、これはいま石狩だけの問題でありますが、飛行場のある千歳の周辺においても野生の動物、野鳥とかなんとかがだんだん減ってきつつある。こういうものが、たとえばツバメがうんと減れば今度は害虫がかえってふえてくるとかというような結果がまた出てくると思うのです。スズメだけでもあれは害ばかりしておるのじゃなくて、いろいろな役に立たない悪い虫をスズメが食っておるから、ある程度これは——私は専門家じゃありませんが、ほかの農作物もうまく出ていくところがあると思うのですよ。そういうような点について、この北海道ぐらい日本の中で特殊な地域として本来のものを保存しやすいところもないし、また、ある程度はこれを保存しなければならないものもあると思うのです。しかし、こういう点は総合的にこの開発計画の中でどういうぐあいにお考えになっておるか、その点の基本的な方針だけひとつ伺わせていただきたいと思います。
  56. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 開発計画を立てまする際に、いまお述べになりましたような問題に一番関連をするものは、工業——インダストリー関係の問題であると思います。北海道においても、しかし、開発計画は、われわれが考えまする際には、すべてを工業中心に考えるわけではないのであって、農業も林業も漁業も、そうした点においては十分な基盤造成、国費投入をして、その方面の伸びを期するということをやっておるわけですが、目につくものは、やはりインダストリーのほうが相当に目につくのでございます。そうして、これは北海道では特に道央新産業都市という形で、小樽、札幌から苫小牧、室蘭にわたる広い地域に新産都市をつくろう、基本計画も認可になったという段階であるのであります。苫小牧には相当大きい掘込みの港をつくろう、ここに、あのいわば不毛の地に相当大きい重化学工業を誘致をしようというような考えがあるわけでございます。そういう考えを起こしまする際には、現在問題になっておりまする、具体的に言うと公害の問題、大気の汚染なり水質の汚濁なり騒音なりという公害の問題は、これを十分に考慮に入れてそういう計画を立てておるのでございます。しかし、考慮に入れて立てましても、全体としてやはり工業化が相当に起こってまいり、あるいは交通の関係も発達して飛行機がひんぱんに飛来をするようになりますると、いま言われたような方面の問題には、相当の変化、支障を与えることは、これは当然であります。しかし、全体としての北海道開発をこれは全国レベルに考えて、大きく日本の経済発展に貢献をさせようというつもりでやるわけですが、そういう目的からいいますと、ある程度の変化、支障が起こることはいたし方のないこととしてがまんをすべきことである。しかし、そうした問題は従来もうすでに十分検討をしてきたところにかんがみて、公害の除去については十分の検討をして努力をしてまいろう、しかし、無用に自然を害し、自然の生物の成長を害するようなことは、これはもういたさないように計画の際に配慮は十分にいたしたいという考え方であります。
  57. 源田実

    ○源田実君 そうしますと、たとえば北海道だけについて、ちょっとよそにないようなああいう天然——まあ自然ではないと思うのですが、天然のこのやわらかいものですね、そういうものを保存していこうというようなことは、開発庁としては特にお考えになっていることはないわけですか。
  58. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) そのほうは、何といいますか、われわれの職務権限範囲としてはまあ考えてはいないと申し上げるのがほんとうだと思います。しかし、われわれが全体の開発計画を立てる場合に、まあ職務権限外のことでありましてもそういう心持ちは十分持ってやらなければならぬし、やっておるつもりですが、当面の仕事をやっていく段階の中においてはそういうものは入っていないということであります。
  59. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言がなければ、本案審議は、本日はこの程度にとどめます。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  60. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記を起こして。     —————————————
  61. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、国家公務員の給与に関する件の調査を進めます。  質疑の通告がありまするので、これを許します。なお、関係当局からは佐藤人事院総裁瀧本給与局長、三浦公平局長、大塚職員局長、尾崎医務局長が出席いたしております。伊藤君。
  62. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に引き続いて公務員の給与について質問を続けたい予定でおりましたが、   〔委員長退席、理事栗原祐幸君着席〕 緊急の問題として、看護婦などの夜間勤務あるいは深夜業の規制についてまずお伺いいたいと思います。  人事院並びに厚生者、それぞれの立場から御答弁いただきます。  私からここで申し上げるまでもなく、労働基準法では、女子の深夜業は一般に禁止しているわけであります。ただ、看護婦とか電話交換手等については、職務の特殊性から、適用除外とされておるわけでありますけれども、その適用除外をいいこととして、現在夜間勤務、いわゆる深夜業は、野放し状態になっていることは、きわめて遺憾だと指摘せざるを得ないわけです。これは申し上げるまでもなく、女子の労働条件とか、人権の保護、こういう立場からきわめて不当な状態がいま続けられているということを申し上げなければならぬと思うのです。このことについて、どのように一体お考えになっているのか、この点をひとつ、まずお伺いしたいと思います。
  63. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 全体の心がまえとしては、まさに、ただいま伊藤委員おっしゃったとおりであります。しかも、実態を見ますというと、相当われわれとして気がかりな面があるということも、これは否定すべからざる事実であると思います。そういうこともございまして、看護婦さんがもちろん一番当面の問題になりますけれども、それ以外にも深夜業の方もおられますが、そういう人たち、ことに、看護婦さんを中心にして、私どもはぜひひとつ人事院みずからその実態を把握してみたいということで、非常に乏しい予算と乏しい人員ではありますけれども、これをさきまして一昨年の暮れから昨年にかけまして、相当病院に出向いて一緒に徹夜をしてみたりというようなことで、実態の把握につとめてまいったわけです。これはお話に出るかもしれませんけれども、三十八年ですか、措置要求もございました。それにも関連して公平局、それから人事院の職員局——職員局は一般の職員の勤務条件という面からであります。これがほとんど共同作業として、それらの実地調査をやりまして、その結果、目下取りまとめ中でありまして、近く結論といいますか、取りまとめた結果が出るというふうに考えております。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題については、関係の組合である全医労から、御承知のように、看護婦の夜勤規制について厚生省当局にも強い要請が続けられているわけです。なお、一昨年の三十八年四月には人事院に行政措置の要求を提出して、その解決のために懸命に努力を続けておられるわけですが、それに関連して、人事院当局としては、本年三月末にこの判定を出す予定になっておるようでありますけれども、したがって、三月末というと、日も幾ばくもないわけであります。そこで、緊急にお伺いすべき問題と見て、本日お伺いしたわけであります。で、このことについて、一体見通しはどうなのか。まずそういう方向をひとつお示しいただきたい。
  65. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) せめて、三月末くらいにはというめどがおそらくお耳に入ったのではないかと思います。私どもは、こういうものは早ければ早いほどいい、と同時に、粗漏であってはならぬという、両方の要請を勘案しつつ、作業を進めておるわけでありますが、大体、先ほど申し上げましたように、取りまとめがほとんどもうでき上がりつつあるというように、私の目にはまだ触れておりませんが、率直に申しまして聞いておりますし、そこまでいけば、すぐ急いで、その後の手続を進めたいという心がまえでおります。
  66. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この看護婦等の、これは看護婦に限ったわけではございませんが、看護婦等の深夜業がこのままの状態でもし続くということになると、これは当然に、労働基準法の法の精神を踏みにじることになろうと思う。さらには、いわゆる低医療政策の結果を看護婦等に押しつける結果ともなるわけです。さらには、女子労働者のいわゆる労働条件とか人権の問題としてかなり重要な問題であるので、ひとつこういうような不当な課題は一刻も早く解決してしかるべきだと思うのです。一応のめどは大体三月ということで、できるだけ早く解決したいということでありますけれども、結局あまり拙速では困るわけです。たとえ一週間、半月おくれても、われわれが見て、これならだいじょうぶだという確信の持てるひとつ結論を出していただかないと、これはゆゆしい問題だと思うので、この点についてお伺いしたい。
  67. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これもまことにおっしゃるとおりであります。したがいまして、われわれの人事官のほうの協議の対象にこれから上がってまいりますので、ただいまおことばにありましたように、また私も根本的には同じような考えをもってこの問題に対処していくつもりでありますから、ひとつ慎重に検討いたしまして、そうして拙速ではなしに、なるべく早く結論を出したい、そういうふうに考えております。
  68. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 労働基準法の六十二条、それから人事院規則一〇−四、これを見ますと、「使用者は、満十八歳に満たない者又は女子を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。」というふうに、明確に法律規定されているわけです。ただし、先ほども申し上げたように、看護婦とか電話交換手等の数種の業務については、深夜業禁止の適用除外とされている、こういうことを先ほど申し上げたわけですけれども、この女子の深夜業を一般的には法は禁止しておるのですね。この法の精神は、言いかえると、深夜業に対する女子の特殊性の考慮や、あるいは生活と健康と及ぼす悪影響からの保護ということまで適用除外であるに見ることはできないと思うのです。これは看護婦とか電話交換手等の方々については、職務の特殊性から、深夜業をある程度認めざるを得ないということを認めるとしても、やはりそのために生活を破壊していいということはないと思うのです。こういう方々は、あるいは健康を害してもいいということは考えられないと思う。やはりこういうことを考慮しつつ最小限度に、真にやむを得ない職業の特殊性から来る問題を解決しなければならない。したがって、その犠牲は最小限度にとどめてしかるべきだ、こういう観点からお伺いしておるわけです。この点はいかがですか。   〔理事栗原祐幸君退席、委員長着席〕
  69. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 全く根本的な態度としては、お示しのような立場で私どもは問題を見ておるつもりでおります。
  70. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでさらにお伺いしますが、適用除外である看護婦等については、これはぜひ深夜業禁止、一般には禁止しているわけですから、その禁止している法の精神を取り入れることということになると、具体的には夜勤の連続、こういうことも避けなければならないと思うのです。また、夜勤の回数ですね、これがまた重大な関係を持ってきょうと思う。それから夜勤の交代時間、あるいは夜勤中——これはまあ昼間でも疲れるわけですが、特に深夜の業務がいかに疲れるかということは、われわれが徹夜して調べものをしても、お互いによくこの点は把握できると思うのですね。こういう具体的な問題について特段の配慮がないと法の精神は無視されてしまう、そういう結果になろうと思うのです。したがって、こういう具体的な問題については以下順を追ってお伺いすることとして、こういうことについて一体人事院としてはどのようにお考えですか。
  71. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 事柄の実態を深めて考えてまいりますると、やはりこれはその人の置かれている環境と申しますか、周囲の条件というようなものとの関連をもまた考えなければ、時間だけで単純に割り切れる問題ではこれはないと思います。そういう意味で、私どもはやはり現場をこの目で見なければ正確な判断はできないということで、それらの点をもあわせてよく観察をしてまいりたいという趣旨で先ほど申しましたような実地の調査を周到にやったつもりでありまして、その結果は先ほどのようにこれからできるだけ急いでとりまとめたい、こういうことでございます。
  72. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 さらに具体的な問題で申し上げると、先ほども触れましたけれども、あるいは夜勤の日数はいわゆる野放し状況にあってほとんど無制限であるということができると思うのです。人事院の調査によっても、月平均九・四日になっておるのです。それから夜勤の七一%が一人で夜勤しておるという状態、これはゆゆしい問題だと思う。それから夜勤の交代時間は真夜中の午前一時前後、ここにも大きな問題点があるわけです。それから深夜の不眠の夜勤状態をあえてしておるにもかかわらず、何ら休憩時間ということは考えられていない。また休憩に要する設備もない。また産後の夜勤を禁止しようとする保護政策も何ら見受けられない、こういう状態が現状ではないかと思うのですが、この点について、このままでいいとはもちろん人事院総裁もおっしゃるまいと思いますが、こういう点をひとつ一つ一つ具体的に抜本的に解決しなければならない時点に現在きておろうと思うのですね、こういうことについて総裁としてはどのようにお考えになり、どのような決意を持っておられるのかお伺いしたいと思います。
  73. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) まあ不幸にして私自身は、まあ個人的には実地調査に参加したいくらいの気持ちを持っておりますけれども、それはまあ口で言うだけの話で実際はそんなことはできません。しかしながら、看護婦さんあたりの例で申しますというと、その代表の方々がたびたび衷情を訴えられてわれわれのところに来られるわけです。その場合は極力お会いしてその実態を伺っているわけでございまして、いまのこの現状でこれでけっこうだというようなことはもうとうていわれわれとして感じられないことで、大いに同情をもってその話を伺っておる。その同情は、要するに先ほど申しましたような調査の結果がどう出るかということでさらに裏づけがはっきり出るのじゃないかという気がいたします。これはこれから後の作業の問題でございます。
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほど申し上げた行政措置の要求に基づいて一昨年の十月、人事院の公平局が全国三十カ所の国立病院とか療養所について調査したと思うのですが、それによると、先ほども指摘したように、月平均の夜勤日数は九・四日となっておるということ、こういうことになると、これは月勤務日数の約四割にも該当することになるわけです。またこれは平均日数でありますので、こういう九・四となるためには個々の看護婦についていうと、月十五日ぐらいの者も出てきましょうし、九日以下の者も当然出てくるわけです。以下の者については問題ないわけですけれども、十五日前後になる者が当然出てくるということになると、これは何とか上を規制しなければ意味ないと思うんですね。平均であらわしても意味がないわけで、上を規制しないと、たとえ九・四であっても、非常に問題があるわけですけれども、この九・四の数字が出るためには、いま申し上げた十四とか、十五とか、場合によれば十六ぐらいの数が出てはじめて九・四ということになる。最高を抑えなければ意味がないということになるわけです。これはゆゆしい問題だと思うんですが、こういう点はいかがですか。
  75. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほども申しましたように、これでけっこうだというようなことは、ゆめゆめ申し上げることではないと思います。ただし、いまの最高を数字をもって単純にどういうふうにきめるかどうかということになりますと、やはりその勤務の置かれておる環境というようなこととの関連もございます。やはり実態の調査と相待って結論を出すべきことではないかというふうに考えております。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは特に厚生省当局にお伺いしたいんですが、このような、先ほどから御指摘申し上げておるような過酷な夜勤がいま続けられておる。これに対して厚生省はいままでの事績から見ると、何ら夜勤日数に対して規制をしようという態度が寸毫も見受けられないわけです。厚生省というのは、名前が示しておるように、一つの大事な部門は厚生行政を推進するという部門が一つの大きな厚生行政の主眼でなければならぬと思うんですね。こういう観点から見て、こういう過酷な、人道上にもとるような過酷な夜勤があえて強行されておる。これはもう、いや、そうおっしゃらぬでも、さっそくこれは抜本的に改めます、と言えば、これは話は取り消しますけれども、過去の時点から見ると、厚生省には至ってこの問題に対する誠意が見受けられないわけです。一体どのようにこの深夜業に対してのお考えを持っておられるか、これを明確にしていただきたい。
  77. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 先生のお話のとおりに、女子につきましては深夜業が禁止せられておる。で看護婦がその業務の特殊性から特例として深夜業が認められておるわけですが、決してこれが野放しでいいというふうにわれわれは思っておるわけではございませんで、従来から看護体制の整備というふうな立場で、この問題についてはいろいろわれわれも頭を痛め、また改善にも努力してきておるところでございます。まず、かつてははなはだお恥ずかしい話でございますが、国立療養所などにおきまして深夜勤専門の婦長があったりしておったんでございますが、これらは全部やめさせまして、できるだけ交代をする、交代制でもっていく。一週間以上連続して深夜業をするというようなことは、これは準夜、深夜ともでございますが、することは困るというふうな立場で、労働衛生研究所のいろいろデータなども教えていただきまして、できるだけ疲労することが少ないように、また先の見通しが、いつ夜勤がくるというようなことも見通しができるように、またみんなにできるだけ平均にするというような考え方で努力をしておるわけでございます。なお、この一人当たりの夜勤の数を少なくいたしますためには、それに従事いたします人数が多くなければ、これはできないわけでございまして、そのためにはやはり看護の関係の人間をふやすということにわれわれは全国的の問題として努力をして、看護婦、准看護婦の数をふやすことに努力をしておるということが一つまず全体的の根本問題でございます。それと同時に、看護婦、准看護婦だけでやるか、さらに看護助手に深夜勤務をやってもらうかという問題もありますが、この点はわれわれとしてもまだ決心のつきかねておる問題でございまして、施設によりまして一般の助手の方々もやってもらっておるところもあるようでありますが、国立関係では、大体看護婦、准看護婦のみでやっておるので、そのほうに少し重荷が行っているという立場だと思います。  それからさらに、先生いま御指摘がございましたが、この看護婦の交代時間を、現在大体夜の十二時に準夜と深夜とを切りかえております。それで帰るのに、夜勤が終わって帰る方も困る、また十二時からの深夜勤が如まる方もいろいろ問題がある。さらに言えば、十時から十二時までの人と、十二時から朝五時までの深夜勤の二人勤務という形がどうしても形として出てくるというような問題から、看護の体制を、三交代制を少し変えてみるというふうな研究をしておるのでございます。これにつきましては、昼間の看護婦の関係がかなり乱れてくるので、看護婦さんの全体のいま気持ちをいろいろ聞いてみますと、かえって自分たちとしてはありがたくないというお話があり、労働衛生的の立場のみでものが考えられないというわれわれジレンマにおちいっておるわけでございますが、こういうような点もいろいろ研究をして、できるだけ患者さんに対していい医療、看護をしていくということと同時に、それに従事いたします看護婦さん、准看護婦さんの生活を守り、また健康を守っていくという立場で研究をし、努力をしておるわけでございます。
  78. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま厚生省から御答弁ございましたけれども、その程度の考えでは、なかなかこの問題は解決する問題でないと思います。いま特にしぼってお伺いをしておるのは、いわゆる回数の制約について重点を置いてお伺いしておるのです。いま交代とかその他条件、環境の問題もございましたけれども、もちろんこうした全般的な改善を必要とすることは論をまたないわけです。これは言うまでもないことですけれども、たとえ看護婦等の交代制を改善しても、一時を十二時にしてみても、結局回数そのものの規制が何といっても根本的な解決の問題であろうと思うのです、回数の規制が。いろいろ問題はあります。いずれもみな大事な問題ですけれども、特に重点は、特に基本的な問題としては、回数を規制しなければならない、ここに最重点があろうと思うのです。そういう観点から、結局回数を時間的にずらしてみても、それだけでは問題は解決しないと思うのですね。結局法の精神に沿うような問題としてみれば、最高限度、繰り返しお伺いしておるように、たとえば具体的な方法としては、月六回くらいにするとか、そういう具体的な数字が出てきて初めて解決の方法が出ると思うのです。現状をもってしては、人事院の調査によっても九・四という、これは平均ですが、九・四ということになっておるわけですから、これをさらに頭を押えて、一つの具体例としては大体月六回くらいの見当にまで下げないと、この問題はなかなか解決される問題でない、そういう感じを深くわれわれは持っておるわけです。その点についてはいかがですか。
  79. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) まず月に何回という計算の方法が看護体制が大体一週間くらいのリズムでつくってありますので、その夜勤の関係が月の初めと月の終わりへかかってきたりしますと数が多くなったりするというので、月によってかなり各人に動揺があるというのが事実のようでございまして、ある月は平均九回が十二、三回というようなこともあり得ると思いますが、これのみで毎日毎日が全部同じようにいくわけではなくて、そういうふうないろいろ看護の体系が動いていることをひとつお考え願って、あまり全部が機械的に平均にいくものではないということを御理解願いたいと思うのです。それはそれといたしまして、われわれもできるだけ夜勤にいきます数を平均して少なくするということにつきましては努力いたしますが、現在の看護婦さん、准看護婦さんの数、その方々の看護単位として守っておられる、責任を持っているベッドの数と、それに対しての人数というふうなところから、最高六回に押えて、特にそれも深夜、準夜おのおの二人ずつつけるというようなことは現在の看護婦さんの数字では不可能ではなかろうか、こういうふうに思いまして、われわれとしましては、その看護単位を適正化するということと、必要なところには二人夜勤をするというふうな方法も考えながら、できるだけみなが平均して看護をやっていく、勤務をしてもらうように、こういうふうなことで努力をしているわけでございます。
  80. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もちろん、たとえば九・四の平均を月六回と規制した場合に、現状ではなかなかできない。これは後ほど指摘する問題であって、これは当然看護婦の定員増をはからなければいかぬ。厚生省は看護婦の定員増にどのように取り組んでいるか。非常に問題が大きいわけです。これは後ほどお伺いするとして、さて、人事院の公平局の調査でも、先ほど申し上げましたように、一人での夜勤が七一%も占めているということ、それから看護婦の勤務というのは、御指摘もありましたように、三交代を中心にして夜間一人で勤務しているのが現状であるわけです。夜勤の病床単位の平均患者数は、五三・七、もし間違いがあったら御指摘いただきたいのですが、大体五三七と承知しているわけです。これを一人で夜勤し、看護をするという状態になるわけで、このような状態が女子としての人権上の問題だけでなく、さらには看護、医療からもいろいろな支障を起こすのではなかろうかと危惧されるわけです。この点はいかがですか。
  81. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) お話のように、いろいろ看護の単位が大きさがまちまちでございますが、国立病院、国立療養所のベッド数全体の平均、ここにちょっと持っておりませんが、五三・七というお話は、大体そういうところだろうと思っております。病院のほうがどちらかというと単位が少なくて、療養所のほうが大きいというふうに考えております。これは平均してのお話でございます。その看護体制におきまして、いろいろたとえば手術直後の患者さんを入れておるというふうな病棟はきわめて仕事が忙しいのでございまして、深夜でも準夜でもあるいは二人でも足らないというふうなところもございます。しかし、病棟によりますと、もうほとんど回復期の患者さんをおもに集めておりますようなところは、私たち行って調べてみましても、深夜にほとんど一回、二回で、看護の活動というようなものも少ないというふうなところもございまして、そういうふうなところに機械的に全部二人もつけて残しておかねばならないかというふうな点は、看護婦さんの数の十分でない今日におきまして、われわれとしては慎重に考えなければならないと思います。ただ一人だけの看護婦さんをそういうふうな点でほっておいていいかというふうな問題、これにつきましては、病院全体の看護体制といたしましてお互いの連絡を密にする、連絡をよくする、また、夜勤の婦長がその中心になっておる、こういうふうなことで、できるだけ危険等の起こらないように、また、患者さんに事故が起こりました場合は、すぐほかのほうから応援が出れるようにというふうな態勢をとるように平生われわれ指導しておるのでございますが、いろいろまだ十分でない点があるかと思いますが、さらに一そうの改善をしていきたいと思います。
  82. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも御説明では納得できないのですが、たとえば連絡を密にするといっても、これは例外中の例外であって、精神病棟なんかは、病棟ごとにかぎを締めてあるんですから、病棟と病棟の間は全然連絡ができない。したがって、いま御説明のことでは当てはまらない。それから、夜勤の看護婦さんが一人だから、一回に一人ずつ急患が出てくれればいいんですけれども、病状はそうはいかない。夜勤の看護婦さんが一人だったからといって、こちらで病状が変化した、こちらにもあったという場合にどうするのか、こういう場合も出てくるわけですね。  そこで、結局、実例から申し上げると、数年前に国立相模原病院で夜中に赤ちゃんが焼け死んでしまった。で、看護婦さんはいま言うように一人ですから、かけつけてみたら死んでしまったという事件があったわけですね。これは現実の姿です。それから昨年の二月五日の人事院公平局の——これは職員局にも関係があると思いますが、その調査官の方が国立中野療養所の夜勤に立ち会った際に、病棟の中で喀血患者が発生したと、夜勤者が一人でどうにも手が足りないので、準夜勤者が引き続いて深夜業を臨時に命ぜられた、それを通算すると実に十七時間ぶっ通しで夜勤するという事態が出てきた。これはまあ一つ二つの事例ですけれども、先ほどの御説明のようなことではこういう事態には対応できないわけです。こういう事態が起きた場合にはどうにも手がつけられぬ。そういう状態は、これはほんの一つ二つの例ですけれども、全国的に見ると相当こういう問題が続出しておるに違いない。これをこのままで許されるものか。これは看護婦さん自体にも実に過酷な深夜業の労働がある、こう思うんですが、患者の面からもこれはゆゆしい問題だと思うんですね。この相模原病院の事例なんかも、早く気づいたら赤ちゃんも焼け死なぬで済んだであろう、せいぜいやけどぐらいで済んだであろうけれども、事ほどさように看護婦さんの手が足りない、こういう一つの事例になろうと思うんですね。これは、毎日こういうことが繰り返されるとはあえて申し上げません。しかし、こういうのはそうひんぱんにはないんだからいいということは言えないと思うんですね。たとえ一年に一回でも二回でも、こういうことはあらかじめ防げることを、あえて予算等のために看護婦さんを結局定員を減らすということは経済問題です。人間の命は地球の重さより重たいと言われておりますけれども、結局、この地球の重さよりも重たいという人間の命が、それよりも経済が優先的に考えられておる。これがいまの医療政策ではなかろうかと思うんですね。根本はそういうことではならぬと思うんです。やはり看護婦さんの夜勤——どうも人が足りない。これは先ほども御指摘になったように、結局看護婦さんをふやせばいいんですよ。そうすれば九・四の平均の夜勤日数を私は、たとえば方向として指摘したように月六日ぐらいにできるわけです、看護婦さんが多ければ。少なければ少ないほどその頻度は上がっていくわけですね。こういう点からお伺いしておるわけなんです。この点をひとつ解明していただきたい。
  83. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) 私、先ほど申しましたように、夜、看護の関係の必要度の多いところには一人でなく二人の看護婦を置くと、こういうふうな方針で、まあ必要度に応じてできるだけその施設におります看護婦さんを合理的に配置をしておるわけでございますが、いまお話のございました相模原病院のことは、私の記憶に間違いなければ、あそこは小児病棟でございまして、看護婦はあの際二人おったわけでございます。二人おりまして、二人がその看護婦の勤務室におりまして、未熟児を入れておりますインキュベーターはその隣の部屋があったわけでございますが、ちょうど死角になっておりますところで、看護婦さんたちは勤務室で書類の整理等をやっておりましたとかで、気がつかなかったと、まあ機械においていろいろ不十分な機械が使われておったというふうなところに問題があったのではないかと、逆に申しますと、二人おりましても、こういうようなときはうまく対処ができなかった例で、はなはだ申しわけない例だと思いますが、それから中野のお話も、そういうことがあると思いますが、やはり急変のありましたような例外的なときには、多少居残り等もやってもらわねばならないかと思いますが、その人だけに連続して長くやってもらうというよりも、ほかの休んでおります看護婦さんを応援に出してもらうというふうな措置も考えるべきではなかったかと、私は思いますが、これは時の実態をよく存じませんので、以後慎みたいと思います。  いずれにいたしましても、看護婦さんの数がある程度ふえないと、こういうようなことができないのでございまして、われわれといたしましては、看護婦さん全体の数をふやしていくように、さらに資格を持っております看護婦さんではだめであります、これは働いてもらう看護婦さんがふえていくように努力せねばならぬと思ってやっているのであります。ちょっと御参考までに申し上げますと、病院で働いております看護婦さんが、昭和三十年末におきまして、八万四千五百七十六で、一人当たりのベットが平均いたしますと六・一ぐらいになっております。それが三十八年末には十四万七千五百六十で、六万ぐらいでありますから、七割ぐらいの増加になっておりまして、一人当たりの平均が五・四ぐらいになっております。だいぶこういうふうに看護婦さんの数はふえているのでありますが、ただ昔は大体看護婦さん方が二交代制でやっておられました。三十年、三十一年ごろは二交代制でやっておられたのを、多少需給がよくなってきた——看護婦さんの数もふえたというので、たしか三十二、三年ごろだったと思いますが、三交代制に国立も切りかえた、ほかもその切りかえが進んでいるというふうなことで、また基準看護の問題とかいろいろ医療の高度化というふうな点で、看護に対する需要が増してきていると、こういうふうなところから、看護婦の数は全体的にふえ、相対的にもふえましても、まだまだ足りない、こういうような状態でございまして、われわれも一そうこの数の増加、特に勤務をしてもらいます就業看護婦の増加に努力を続けていきたい、こういうふうに思っております。これが一番夜勤の一人当たりの日数を減らす根本ではないか、こういうふうな考え方でやっております。まあ国立なら国立だけ、自分のところだけたくさん集めればいいじゃないかという考え方よりも、日本全体の看護婦さんの数を考えて、その全体の体系として考えていきたい、こういうふうに思うわけであります。そういうふうな立場を御了解いただければ幸いだと思います。
  84. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほどの相模原市の事例ですね。そのときは看護婦さん二人であったと、それは二人であったかもしらぬ。人事院の調査でも、一人夜勤は七一%であると指摘しているわけですから、一人以上の夜勤は二九%である。たまたまその二九%に該当しておったという説明になろうと思うのですね。しかし、七一と二九ですから、だいぶパーセントは違うわけです、たまたま二人おっても。まあ、そういうことでさらに一つの例をあげると、宮城県の石巻赤十字病院で、夜間に狂暴な患者に看護婦が殺されたという事例もあるわけですね。こういうふうな事例からして、一人夜勤は何としてでもこれは解消すべきだと思う。結局そのパーセンテージは逆ならいいんですけれども、現に一人夜勤が七一%あるということは大部分ですね。どう考えても、うら若い看護婦さんが、特に精神病棟なんかでは、さっきも言ったように、かぎの中で一人深夜勤務するということを考えた場合、実にこれは想像もできない過酷な事態が続けられておるということを反省させられるわけです。  そこで、人事院にお伺いするわけですが、人事院は、こういうふうに調査をして、一人夜勤が七一%もあるということは認識しておるわけです。調査はもちろん大事で基本的な基盤になるわけですから、乏しい中で十分調査しておるそのことには敬意を表するわけですけれども、ただ、調査のしっぱなしでは意味がないんで、やはり何とか一人夜勤を解消していく方向で最大限のひとつ分断を示していただかないとこの問題なかなか解決しないと思うんです。聞くところによると、人事院では軽症なら一人夜勤でもいいのじゃないかというようなことを言ったように聞いておるのですが、もしそうだとすると、これは重症か軽症かという医療上の問題にもなりましょうけれども、そういう問題よりは、女子を深夜一人で労働させることが正当かどうかという問題のほうが大きいと思うんですね。こういう問題も十分無視できない問題だと思うのですが、この点についていままでいろいろ厚生省にお伺いしてきたことを頭に置いて、ひとつこの際人事院総裁としては勇断をもってこの問題と取り組んで、たとえ三月末の決定の予定が一週間、二週間おくれるということは問題でないと思う。問題は実質だと思いますので、ひとつその決意のほどをいままでの事例から御説明いただきたい。
  85. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ただいまお話に出た大体のことは私どもも承知しておるわけであります。いまのお話の筋もこれはまことにごもっともだと思います。ちょうど、ただいまお話に出たように、この措置要求の項目として、一人夜勤を廃止すると大きな項目にうたわれておるわけでありまして、ただいまここに出たお話を十分に頭に入れまして適当な判断を下したいと思っております。
  86. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まだお伺いすることはたくさんあるわけですけれども、時間の関係もございますから、最後に一点を両当事者にひとつお伺いして、本日のところこの問題に関する私の質問は終わりたいと思いますが、以上いろいろの視野から、特に回数の規制の問題を中心に人事院並びに厚生省当局にお伺いしてきたわけですけれども、以上総括して言えることは、ここでひとつ抜本的に一人夜勤はまず禁止するということ。そこで厚生省に特にお考えいただきたいのは、四十床に二人以上の看護婦を配置する方向でひとつ努力いただきたい。先ほど厚生省は、看護婦さんの数はふえておるという御説明でございましたけれども、私はこれに対しては異論があるわけです。そういう問題は後日に譲るとして、とにかく四十床に二名以上の看護婦をもう配置する時点ではなかろうかと思うのですが、こういう問題について、人事院と厚生省それぞれの立場からひとつお考えを、また、これに対する御決意のほどを重ねてお伺いしておきたいと思います。
  87. 尾崎嘉篤

    政府委員(尾崎嘉篤君) できるだけ回数を減し、また、看護単位を小さくして一人夜勤を少なくする、これは望ましい方向で、われわれも全般的に看護婦さんをふやすことにおいて、さらには看護職員をふやすことにおいて、その方向で努力していきたいと思いますが、お話のように、たとえば四十床に、いま一般的に行なわれております基準といたしまして、一般であれば四人に一人の看護力、結核、精神では六人に一人の看護力でございますから、たとえば結核、精神の場合に六人に一人といたしますと、四十床では七人となります。そうすると七人になりまして週休を一人のけますと六人になりまして、深夜、準夜に二人ずつとりますと昼間も二人しかいない。これではかえって昼中の患者さんの看護に対してよくない状態が起こってくるのではないか。そういうようなところから、看護婦の関係の数をふやすということが全体的に行なわれていかなければならないわけでございますが、機械的にそういうふうなことをやるのがいいか、一看護婦さんの安全と申しますか、というようなことについては、別に全体の看護体制よりは二つ、三つの看護体制を集めていって、そうして必要なところに十分目が届くように、しかも看護婦さんたちが心配、心細がらないようにするような体制をとっていくのがいいか、いろいろこれは研究するまだ問題があると思いますので、われわれも、先ほど申しました交代時間を夜の十二時に交代するのがはたしていいかどうかというような点もいろいろ研究し、ときには実験までしてみたりしておる状態でございますので、この点機械的に四十床で月六日以内二人、深夜、準夜おのおの二人というような線はいまの看護婦制度のもとではちょっと実施が私はできないのじゃないかと、こういうふうに考えておりますので、まあいまの日本の看護婦さんの数、これをふやしていきながら全体としてそういうふうな体制に近寄せていくようにいろいろくふうをこらし努力をしていきたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。
  88. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 基本的なこの問題についての私どもの理解なり、あるいは態度というものは、先ほど来申し上げたとおりでございます。したがいまして、今回、先ほどもこれも述べましたように、詳しい調査をしております。これらを相勘案いたしまして、実情もよく把握した上で適切な判断を下したい、こういう気持ちでございます。
  89. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 総裁に大体最後にお尋ねですが、三月終わりのめどであったがという御説明があったわけですが、大体おおよそどの程度になりそうですか。その点はいつごろ出されるか。
  90. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 基礎的な取りまとめは大体もう完成に近づいておると、したがいまして、もう旬日ならずして人事院会議にそれが議題になるだろうというところまで私どもつとめております。人事院会議といっても、めくら判を押すわけじゃありませんから、そう簡単に一回だけで済むかどうか、これはわかりませんけれども、まあそういう段階にいっておりますから、そんなにおくれることはございません。
  91. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それじゃそのことに関連して重ねてお伺いいたしますが、まあ時間の関係もございまして、きょうはこれ以上お伺いできないわけですけれども、まだ問題たくさんあるわけです。そこで次回に一括して、もうそう長くなく次回は一括してお伺いしてしまいますから、それでこちらから申し上げて、これはなるほどそうだというお考えの問題については十分御検討をいただけるかどうか。その前に結論出しちゃったから、結論出してからこちらがお伺いしても、もう変更できないということじゃ、私この委員会で貴重な時間をかけても全然意味がないわけです。あえて具体的には申しませんけれども、これはもう先ほど来から前向きの姿勢で総裁は検討をするという御意図を明確にされたわけです。そこでこの問題この問題とあえて申しませんけれども、私のほうでいろいろお伺いしている問題の中で、なるほどこれは取り上げてひとつ改善すべきである。そういうようにお考えになったことについては、十分、いままでの結論が大体、方向が出ているとおっしゃいましたけれども、そういうことにあわせて、さらにお考えいただいて、そして、改善できるところは改善するということでないと、もう国会では一通り聞いておこう。そして、適当に答弁して、一方、向こうの判定は判定で、並行していくのじゃ全然意味はないわけですから。で、ここでお伺いしたい点は、とるべき問題があれば、十分このことをも頭に置いて、最後の結論を下す。そういう方向で努力いただかないと、およそ委員会の審議が意味がないわけです。こういう点をはっきりさせていただいて、私、質問を終わりたいと思います。
  92. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私どもが判定を下しますについては、もちろん公正に、あらゆる角度から見て御納得のいくようなものをということを心がけてやっておるわけであります。そのためには、いろいろなお話を承るということも、きわめて貴重なことであります。本日のこの席におきましても、伊藤委員から、相当貴重な御指摘をいただいた。これは私どもは、また今後作業を進めます上において、重要な参考にして仕事に当たっていきたい。決してそのまま聞き流すという気持ちは持っておりません。
  93. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御発言がなければ、本件の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会      —————・—————