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国務大臣(
増原恵吉君) まことに核心に触れたお尋ねをいただきまして、まあ
北海道開発庁というのは、
法律に書いてありまするように、国民経済の復興、人口問題の解決に寄与するため、
北海道総合開発計画を樹立して、これを推進、
実施をするという役目を持っておるわけでございます。それで、国のやりまする、まあいまで言えば公共投資、先行投資、
基盤造成というふうなことをやろうというのが役目でございまするが、御
承知のように、現在この仕事は建設、農林、厚生その他の
各省が、そういう意味では縦割りで仕事を持っておって、
北海道というものの総合
開発をやるという形の総合的な視野というものに、まあ見ようによっては欠けるところがあるということで、
北海道というものをそういうふうに総合的に、まあ近ごろのことばで言えば横割り式にひとつ総合的に
開発計画というものを見ていく必要がある——国の立場で言うと——ということで
開発庁が設けられたわけでございます。やはり考え方としてはひとつしごくもっともなものであり、その存在
理由があるものであると。その場合に御
指摘のように、
権限が十分でないではないかという御
指摘は、これは観点によってまことにそのとおりで、ございます。しかし、たとえば、いま臨時行政調査会の答申で検討をいたしておりまする首都圏庁というようなものを設置することについて考えてみますると、これもやはり首都圏というものは都と近県の七県ぐらいを考えるべきであろうということで、関東全体、山梨を加えたというようなものに大体考えられておる地域で、やはり建設、運輸、農林、厚生その他の縦割りでものが考えられておったのではいけないし、また、小さく都府県単位で考えられてもいかぬということで、国のやりますることを横割りで大きく総合的にやろうということで考えてみますると、そういう考え方自身、おそらくどなたも反対がない。しかし、そのできまする首都圏庁にどういう
権限を与えるかということになりますると、たいへんに事がめんどうで、いまだに成案を得られない。それに比べますると、この
北海道開発庁は相当の
権限を持っておる。第一、予算は
北海道開発庁として一括して計上する。首都圏庁にはそういうことをやろうとしても、まあ
各省がたいへんに抵抗をするといいますか、これには賛成をしない。
北海道では現にそれができておる。首都圏庁では事務局というものはごく小さいものができようという考え方ですが、
北海道では
開発局という一万数千を持っておる
実施機関が
開発庁の支分部局としてあるということですから、そういう意味では現実的にはなかなか大きい
権限を持っておるということでございます。しかし、それでも御
指摘になった条文にありまするように、十二条の二項でありましたか、その建設、農林等のあれは、一度もらって
北海道開発庁に掲げた予算を
各省に移しかえて、
各省で
実施をする。したがって、その仕事をやる
開発局の指揮
権限も、指揮するのも
各省大臣がやるということになっておるわけで、これは総合的にやりますることを徹底すれば
開発庁長官にやらせるべきであるという
意見が当然出まするが、現在の状態ではなかなか
各省がそれを
承知しないということで、こういう形になったわけでございます。したがって、これを基本的に考えまして、臨時行政調査会の答申は御
承知のところでございまするが、全体答申を出す前に、当時のいろいろな事情に基づいて首都圏というものを考えてくれろ、これについての答申を出してくれろという政府の要望がありまして、首都圏庁というものの答申を出した。これはやはり予算一括計上というものを
一つの柱にしております、
北海道開発庁に似たような——
北海道開発庁ほど強いものではないのですが、似たようなものを出してきた。ところが、全体の答申が出てきますると、これは首都圏庁というふうなものをいつまでも置くというのではなくて、総合
開発庁——現在その一部の事務を経済企画庁でやっておりますものを、総合
開発庁として新しい
内閣府の中に設けて、
日本全国を、
各省の縦割りでなしにそういう意味では総合的な横割り式な考え方で、しかも
全国を統一して総合
開発を考える。したがって、
北海道開発庁もやめたほうがいいだろうし、首都圏庁もその時期にはなくなるべきものであろう、近畿圏
整備も特別のものではなくなる。総合
開発庁で、全体を総合的な見地で
開発計画を立てて推進をしていくという、まあ答申が出たわけであります。そういう意味で、臨時行政調査会の答申は元来総合
開発庁という形にまとまっておりまするが、これができまする前に、国土省といいますか、そういうような考え方が第一案であって、第二案に総合
開発庁というものがあって、理想的に一応考えると、国土省的なものがいいが、なかなか現実に
実行困難であろうから、総合
開発庁という考え方をとってはどうかというふうなことでございます。これは臨調の答申尊重ということが、政府としてはたてまえでございまするが、具体的にはもう少し掘り下げて考えてみないといけないという問題でして、したがって、まだいますぐに総合
開発庁の具体化に着手をするという
段階に至っておらぬわけであります。そういうことで、現在
各省に、臨調答申についての
関係ある
各省の所見ということで
意見を求めまして、まあ、私は行管
長官として、そういう手順をとりまして、
北海道開発庁としてはこれに答申をする論議を
開発庁でやっておりましたが、いま直ちに
開発庁をやめて、総合
開発庁というような形でこれを統括してもらうことは、第二期
計画進行中の
北海道の
開発、あるいは国の先行投資を適切にやる上には適当と思われないから、
北海道開発庁を存置してもらいたいという、これは
開発庁の
意見として出しているわけで、これはもう少し検討を政府としてもさしていただかないと、直ちに総合
開発庁をよしとするというふうに、まだまだ十分には割り切れていない問題である。したがって、この
北海道開発庁の、最初に御
指摘になった
権限の問題は、何としても、いまの国家行政の割り方の中では、縦割り行政の中へ若干横割りを持ち込んだということで、理論としては一貫されておらぬわけですから、不十分な点は確かにあると思いまするが、
現行の
各省縦割り行政の中で、こうした
北海道開発庁という
程度の
権限を持ったものでもできていることは、確かにこれは
北海道開発のために非常にいいことで、これを存置していきたいというふうに考えるわけであります。