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1965-02-18 第48回国会 参議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十八日(木曜日)    午前十時四十分開会     —————————————    委員異動  二月十六日     辞任         補欠選任      堀本 宜実君     八木 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柴田  栄君     理 事                 栗原 祐幸君                 伊藤 顕道君     委 員                 石原幹市郎君                 塩見 俊二君                 村山 道雄君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 中村 順造君                 鬼木 勝利君                 田畑 金光君    国務大臣        厚 生 大 臣  神田  博君        国 務 大 臣  小泉 純也君    政府委員        総理府総務長官  臼井 莊一君        行政管理政務次        官        山本  杉君        行政管理庁行政        監察局長     山口 一夫君        防衛庁長官官房        長        小幡 久男君        防衛庁教育局長  島田  豊君        防衛庁人事局長  堀田 政孝君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君        防衛庁参事官   麻生  茂君        防衛施設庁総務        部長       沼尻 元一君        厚生大臣官房長  梅本 純正君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   小林  斌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○派遣委員報告     —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。二月十六日、堀本宜実君が委員を辞任せられ、その補欠として八木一郎君が選任せられました。     —————————————
  3. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 厚生省設置法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。神田厚生大臣
  4. 神田博

    国務大臣神田博君) ただいま議題となりました厚生省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  改正の第一点は、本省内部部局所掌事務の配分について、これを合理化しようとするものであります。  まず、衛生検査技師に関する事務は、現在公衆衛生局所掌事務となっておりますが、近年、医療における衛生検査業務役割り重要性を増し、衛生検査技師の大部分が医療機関に勤務している実情にかんがみ、衛生検査技師に関する試験その他の事務を、医務局において、医師歯科医師その他の医療関係者に関する事務とあわせて一元的に行なうこととしております。  次に、国民厚生運動に関する事務公衆衛生局所掌から国立公園局所掌に移すこととしております。国民厚生運動は、国民の保健と休養を増進することを目的とするものであり、今後一そうその推進をはかるためには、現に自然景観地利用の増進をはかること等の行政を行なっている国立公園局所掌に移すことが適切であると考える次第であります。  また、現在十八歳未満の精神薄弱児対策については児童家庭局において、十八歳以上の精神薄弱者対策については社会局において所掌しておりますが、その対象の性格にかんがみ、児童から成人まで一貫してその福祉のための施策を講ずることが必要であると考えられますので、社会局所掌している精神薄弱者対策児童家庭局所掌に移し、精神薄弱者対策をすべて児童家庭局において一元的に取り扱うこととしております。  改正の第二点は、本省附属機関として、伝染病予防調査会及び公害審議会を設けることであります。  伝染病予防調査会は、厚生大臣諮問に応じて伝染病予防に関する重要事項について調査審議することを目的とし、また、公害審議会は、厚生大臣諮問に応じて環境衛生にかかる公害及び生活環境に関する重要事項調査審議することを目的とするものであり、いずれも、学識経験者等意見を聞くことによって、行政運営の適正を期するためのものであります。  改正の第三点は、本省及び社会保険庁の定員を増員することであります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本案の自後の審査は、都合により後日に譲ります。     —————————————
  6. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。臼井総務長官
  7. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額改定であります。  現在、旧軍人及び文官並びにこれらの者の遺族の年金たる恩給は、昭和三十七年法律第百十四号によって昭和三十七年十月に改定され現在に及んでいるのでありますが、その後における国民生活水準公務員給与、その他諸般の事情を考慮し、公務傷病者公務死没者遺族に重点を置きつつ、恩給年額につきまして、次のような改善措置を講じようとするものであります。  まず、一般退職者及びその遺族恩給年額につきましては、原則として二〇%増額した額に引き上げることとし、また、公務傷病者及び公務死没者遺族恩給年額につきましては、年額増額に際しいわゆる傷病間差及び公務扶助料倍率の引き上げをあわせ行ない、三〇%前後増額した額に引き上げられることになるものであります。  右の措置は、昭和四十年十月から実施いたしますが、急激な財政負担を避けるため、三カ年にまたがる年次計画によってこれを処理することとし、その実施につきましては、公務傷病者、遺家族、老齢者を先にするよう配慮いたしました。  次に、右の増額措置に伴いまして、昭和三十五年四月以後の退職者及びその遺族につきましても、これに準ずる措置を講じ、また、普通恩給についての多額所得者に対する恩給停止基準につきまして、所要改正を行なおうとするものであります。  この法律案による措置の第二点は、旧軍人軍属終戦海外から帰国した者に関するものであります。  旧軍人軍属終戦海外にあった者は、敗戦という非常事態によって帰国の自由を失うというような特殊事情に置かれたことを考慮し、終戦後帰国するまでの抑留期間について加算年に準ずる在職年の割り増しを行なおうとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  8. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本案の自後の審査は、都合により後日に譲ります。     —————————————
  9. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 続いて総理府設置法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。臼井総務長官
  10. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) ただいま議題となりました総理府設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明いたします。  第一は、家庭生活問題上審議会設置であります。最近における社会の著しい近代化に伴い、健全な社会生活を営むために家庭のあり方が再認識されつつあるところであります。よって、調和のとれた家庭生活のビジョンを策定し、よりよい家庭生活の建設に資するため、家庭生活問題審議会を設け、同審議会において、内閣総理大臣諮問に応じて家庭生活問題に関する重要事項調査審議することとしようとするものであります。なお、同審議会設置期限は、昭和四十二年三月三十一日としております。  第二は、港湾調整審議会設置であります。港湾の近代的な秩序を確立し、その効率的な利用をはかるには、港湾労働需給調整港湾運送近代化港湾利用改善等港湾に関する諸施策を総合的に推進しなくてはなりません。このため、港湾調整審議会を設け、同審議会において、港湾に関する各行政機関施策のうち、総合調整を要するものに関し、内閣総理大臣諮問に応じて調査審議し及び内閣総理大臣意見を述べることとしようとするものであります。  第三は、近畿圏整備本部事務強化のため、職員五名を増員するものであります。これは、現地における関係行政機関等との連絡整備計画実施推進各種調査等が著しく増加する実情にありますので、大阪事務所充実強化をはかるためのものであります。  以上が、この法律案提案いたしました理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  11. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 本案の自後の審査は、都合により後日に譲ります。     —————————————
  12. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、派遣委員報告に関する件を議題といたします。  まず、先般当委員会が行ないました国の地方出先機関公務員制度及び自衛隊実情等についての調査のための委員派遣について、派遣委員から御報告を願います。伊藤君。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 去る一月十七日から五日間の日程で、議長の承認を得まして、石川福井両県下の国の地方出先機関、あるいは公務員制度及び自衛隊実情調査のために、航空自衛隊第六航空団石川行政監察局石川県庁北陸農政局福井県庁福井繊維製品検査所酒伊繊維工業株式会社及び福井精練加工株式会社等におもむきまして、視察をいたしてまいりました。以下、調査概要を、特に問題点要望事項について概略御報告申し上げます。  まず、自衛隊に関する調査について申し上げますと、航空自衛隊小松基地には、実戦航空団である第六航空団が所在しておるわけですが、同航空団では、昨年末に飛行群新設が行なわれて、既存の第四飛行隊にあわせて、本年三月末までには第二〇五飛行隊の新編を予定しており、その配員装備充足を進めつつあるとのことでありますが、人員については二月、三月の配員計画によって定員千三百二十五名の充足が予定され、装備については、特に主要装備である航空機を見ると、現圧F86F戦闘機二十五機、T33Aジェット練習機九機が装備されておりますが、第二〇五飛行隊関係機として、F104Jジェット機十五機がすでに配置されてはおりますが、三月末までにF104DJ機を含め、二十三機が装備される予定とのことであります。第六航空団は、他の戦闘航空団が、まず松島基地で誕生した後、それぞれの基地に移駐し編成がなされているのでありますが、こういうこととは異なって、直接昭和三十六年に当基地で新編されたという独自の沿革を持つ航空団ということから、特に施設等について百三十万坪からの砂土地帯に新しく開設したという事情もあって、他の基地のように既存施設利用はありませんで、不足状態であるので、隊舎等の増設を要求しているところではあるけれども、隊員厚生施設も必要であるので、その実現を望んでいるとのことでありました。  次に飛行事故についてでありますが、三十七年二月十八日に海中墜落事故一件を起こしたわけですが、本年一月一日現在で飛行時間にして三万九千四百七十一時間、無事故を続けているとのことであります。  また、本航空団は、北陸積雪地帯に所在している関係もありますので、雪害救難支援状況、特に三十八年一月の北陸地方豪雪災害に際しての広範多岐にわたる隊員派遣出動状況についても説明を聞いてまいりました。  次に、国の出先機関に関する調査について申し上げます。  まず、石川行政監察局についてでありますが、御承知のごとく、監察局行政監察及び行政相談業務実施しているところでありますが、石川行政監察局管内には、国の出先機関ブロック機関が多数所在している関係上、地方局でありますが、管区局に準ずる業務をも実施せざるを得ない実情にありまして、比較的業務量が多いとの説明がありまして、次のような要望が述べられております。  まず、行政相談委員法制化についてであります。この件については、従来、当内閣委員会において再三その実情報告されていることでありますが、ここでも同じく民生委員制度人権擁護委員制度等と同様、この制度法制化し、その法的根拠を明確にしていただきたい、また、行政相談委員の増員について行政相談事案増加傾向と、一般住民から常時容易に相談が受けられるように対処するということから、行政区域が広く、比較的人口密度の高い町村には複数の相談委員を配置されたい、また、行政相談委員報酬については、年間一律三千円の実費弁償金支給ということのみではあまりにも少な過ぎると思われるので、月手当報酬とする待遇の改善をはかられたい。このほかにも、石川県の地形上、遠隔地をかかえ、行政相談委員のPRあるいは指導連絡多額旅費等を要するので、予算増額されたい。また、国のブロック機関が幾つもの府県に分散していては業務遂行上支障があるばかりでなく、このように行政圏の入り乱れは行政広域化を拒み、一般住民に不便をかける結果ともなっているので、この点配慮されたい。また、職員宿舎不足のため人事交流ができないことと、独身者住宅難ともなっているので、合同宿舎を増設されるよう特段の配慮がなされたい、このような要望がございました。  次に、北陸農政局についてでありますが、ここでは業務実施上の問題点一つに、職員欠員問題が述べられました。それは、現在の欠員は、定員九百九十九名中五十八名で、主として技術者である職員であり、補充を必要といたしますけれども、北陸地方積雪寒冷の気象その他立地条件が悪いことから、この欠員補充が非常に困難な状態にあるとのことでありました。したがって、これを解決するためには、このような北陸地方の悪条件を考慮し、特殊勤務地手当新設現場手当増額宿舎厚生施設等の完備について積極的な配慮がなされ、職員優遇策を講ぜられるよう、特に要望があったわけであります。  次に、地域農政確立のために、地方農政局長地域実情に応じてその裁量により使える調整費のような予算を組まれること、局内の企画調整事務推進する局長直轄企画調整室を設けること、また、統計調査事務所地方農政局の組織内に吸収し、地方農政局調査機能充実をはかること等についての要望も述べられておりました。  なお、県と行政との関係について、両者一体となって施策を進めるようつとめ、北陸地方開発促進計画近畿圏整備計画等広域行政に関連する調整についても協議するとともに、各県の総合開発、新産都市、農政等各種審議会委員となり、積極的に県の行政との連絡をはかっている旨、種々述べられておりました。  次に、福井繊維製品検査所についてでありますが、繊維製品検査所は、通商産業省の附属機関で、主要業務としては、輸出検査法に基づく輸出絹人絹等織物及びこれらの織物を生地に使用した製品等輸出品検査及び緊急の場合に輸出検査法に基づく指定貨物検査ができることになっているこの強制検査と、輸出検査を受ける者、指定貨物輸出業者及び指定検査機関等への立ち入り検査、それに指定貨物にはなっていない合成繊維織物検査及び各種繊維製品品質検査依頼によって行なう、この依頼検査とがありますが、これらの検査は、持ち込みや検査員出張等によって行なわれるのでありますが、当検査所での検査は、業者からの要望にこたえ、九〇%以上は出張検査とのことでありました。  では、当検査所での要望事項等について申し上げます。  先ほど農政局のところでも申し述べましたが、職員欠員補充の問題がここでもあり、定員八十名のうち欠員七名で、その欠員技術者であるため、その補充に困難しているとのこと、それは公務員給与水準が低いことに加えて、採用の際の試験制度が、専門職を受験する者にとって相当困難が伴うことから、それほど苦労してまで公務員になるより、就職口の多い民間会社に就職する傾向があって、また、公務員宿舎不足から、検査所間の適正人員配置異動もできないのが原因していると考えられる。しかし、検査員が欠けることは、在職検査員過重負担を課す結果となり、特に繊維業界の長い間の商慣習上、月末あるいは年末に検査が集中されるので、これらの検査員の体力の上からも、適正な検査の保持が困難となるおそれがあるので、善処されたい。このような要望がございました。  また、先般の臨時行政調査会答申の中で触れられている繊維製品検査所の問題に関連して、絹織物が外国において貴重視されているため、非常に手数のかかる米国式罰点検査を採用していること等により、検査に要する経費は相当な額に達し、もしこれを国の検査を廃止し、民間検査機関に移行する場合には、輸出業者、特に中小企業者に多大の不便と過重経済的負担をかけるとともに、輸出品の声価の維持向上に悪影響を及ぼす結果となること、輸出検査の厳正な実施を確保するため、民間指定検査機関に対する監督検査の必要があり、これは国の検査機関が行なわなければならないこと等、中小企業対策及び輸出振興の上から、国の検査機関の存続の必要性が述べられておりました。次に、当検査所業務に関連して、酒伊繊維工業株式会社及び福井精練加工株式会社におもむき、経営の内容及び製品検査状況について説明を聞き、工場内を視察いたしましたが、福井精練では、品目別に国と民間検査員によって製品検査を行なっているところを見てまいりました。また、この機会に、繊維製品関係民間会社及び団体の役員の方々から、検査機構について御意見を伺うことができましたが、そこでは、現在の視覚による検査が機械化できずにいること、抽出検査では、検査目的が完全でないので、全製品検査を行なっていること等から、検査には手数とひまがかかり、また、製品の保証についての信頼から見ても、国の検査機関の存在することが必要である旨が述べられておりました。  最後に、石川福井県庁調査について申し上げます。  両県において説明を受けました事項のうち、おもなる問題点は、第一に、先般の臨時行政調査会答申とも関連して、国の出先機関と県との関係についてでありますが、両県とも多少のニュアンスの違いはあっても、大体次のように述べられておりました。  それは、現行制度のもとでは、国の地方出先機関行政権能を持たず、単なる本省の経由機関化しているが、これが一そうの簡素化能率化をはかるとともに、極力、現地で処理解決できるよう、機構等整備充実をはかられ、二重、三重行政の弊が生じないよう配慮すること。また、特に、北陸地区における国のブロック別出先機関は、その所在地が、金沢、新潟、名古屋、大阪となっているため、県の事務繁雑化はもちろん、経費増高化となり、不必要と思われる負担をしいられる結果ともなっているし、また、各省庁それぞれ出先機関設置し、相互の連絡調整がなされないまま、地方公共団体に直接交渉が持たれるため、これを受ける県の事務が繁雑、輻輳するので、これを統一、有機的な行政運営が行なわれるよう合理的解決が望まれる。  次に、地方自治法附則第八条のいわゆる社会保険職業安定等事務に従事する地方事務官制度については、予算権人事権がすべて国にあり、知事の事務に対する監督権限が徹底しない欠陥があるので、その身分を県に移管する等、その所在を明確にされたいとの要望がございました。  第二は、給与問題についてでありますが、今回の国家公務員給与改定に関連し、これに準ずる地方公務員給与改定が、年度途中であるため、地方財政運営上、きわめて困難な事態を惹起しているので、この弊を除去するため、年度当初から実施し得るよう改めるとともに、給与改定所要財源は、地方交付税等により完全に保障するよう配慮されたい。また、寒冷地手当支給について、特に石川県下で県内に二級地の地域があるが、隣接地域及び富山県下は、全地域三級地以上との事情を考慮し、不合理の実態を十分検討され、改正されるよう善処されたい。  第三は、積雪地域の問題として、雪害問題の抜本的解決をはかるため、雪害総合的調査研究機関設置し、積雪被害総合的予防対策を講ぜられるよう配慮すること。積雪に伴う各種支出増が家計を圧迫するので、所得税特別控除制度を設ける等、税制面での考慮がなされるよう善処されたい等の要望が述べられました。  以上が、今回の調査概要であります。なお、詳細な点につきましては、各機関より資料の提供を受け、事務局で保管いたしておりますので、必要がありますれば、適宜そのほうでごらんいただきたいと思います。  簡単でありますが、以上、御報告を終わります。
  14. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまの御報告に対する質疑並びに御報告に関連して関係当局に対し質疑のおありの方は、御発言を願います。  なお、ただいま、政府側から出席しておりますのは、山本行政管理政務次官山口行政監察局長小林管理官でございます。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回の視察をはじめ、いままで当内閣委員会派遣委員による調査検討がなされてきたわけですが、そういうものとの関連において、各面からお伺いしたいと思うのですが、きょうはとりあえず、行管防衛庁関係についてお伺いします。行管のほうは、大臣お見えになっておりませんので、責任ある問題についてはお伺いしても意味がないと思いますが、次回に大臣出席を求めまして、重要な事項については次回に譲りたいと思いますが、まずお伺いしたい一つの点は、いま報告の一端にもございましたが、行政相談委員法制化という問題です。この問題は当内閣委員会でもしばしば問題になって、相当強い要請もなされてきたわけですが、いまだにこの問題は解決してないわけです。いろいろ国民生活に密着した各面でのいろいろな委員制度がございます。御承知のように、民生委員とかあるいは保護司人権擁護委員、これはみんな法制化されておるわけです。この行政相談委員については、いまだにこれは法制化されていない、そういうことはきわめて不合理不公平であろうと思うのですが、これはいかなる理由に基づいてこの行政相談委員だけがいまだに法制化されないのか、いかなる理由に基づくものか、何かそれだけの理由がなけりゃならぬと思うのです。この点を明らかにしていただきたい。
  16. 山本杉

    政府委員山本杉君) この行政相談委員法制化するということは、ただいま伊藤委員から御指摘のとおり、たいへん必要な措置であるということは考えておるわけでございます。ただ相談委員活動というものは、行政全般にわたる国民の苦情を聞き、その相談に応ずる業務というわけでありますので、対国民、対官庁関係について活動範囲は広範にわたり、権限をいかに規定するかという問題があります。この点は慎重を期する必要があるというわけで、したがって、現在では委員の実際の活動状況を分析研究して、どういうふうに規定するかということを検討している段階でございます。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 数年前からこの問題は課題として取り上げておるのですが、そのときの御答弁でも、目下検討しておるという意味のことが言われておる。何年たっても検討中ということになるわけですが、これはおかしいと思うのですがね。民生委員はそれぞれああいう制度でいわゆる民生の面を担当して成果をあげておる。保護司も同様です。人権擁護委員についても。行政相談委員もその面を担当して国の行政面における不平苦情を処理するための一つ制度であるわけですね。それぞれ分担々々があって、みな同じように明るい社会建設のために骨折っておられる。しかもこの問題は数年前から法制化すべきであるという強い要請もなされておるわけです。ところが、いまなお検討中と言う。検討する必要はないと思う。もう実施する段階だと思うのですが、一体行管でこれを法制化しようとする考えがあるのかないのかということを疑わざるを得ない。考えがあればこんなことはすぐできるわけです、どういうのです、ほんとうの真意は。
  18. 山口一夫

    政府委員山口一夫君) 行政相談委員法制化の問題につきましては、私どもも終局のねらいとして法制化の段階に進みたいという考えを持っております。ただその過程におきまして、いま政務次官から答弁がございました権限をどうするかというような法律技術上の問題もございます。さらに現在の行政相談委員の実態から見まして私ども感じております点は、かなり社会的に認められ、また、貢献している制度でございますが、何ぶん全国の市町村に一人という第一次の目標がようやく到達したばかりでございまして、人数も三千六百五人という必ずしも十分な人数じゃない。御指摘のございました民生委員にいたしましても、あるいは保護司にいたしましても、それぞれ民生委員は十二万、保護司は五万というようなかなりな数を擁しております。したがって、この活動強化いたしますためには、これも御指摘がございましたが、人員強化ということが、やはりある程度実体的に備わることが前提として必要ではないかというふうに考えております。その点から申しまして、まだ必ずしもそれだけの人員を擁するに至っていない、ようやく第一の目標を到達したという段階にあるということが一つと、それから活動業務の実体も行政相談委員制度が発足いたしまして四年間にかなり地についてまいりました。まだ全国的に見ますと、必ずしも委員活動が全部一律に粒がそろっているという段階には遺憾ながら達しないのではないか、率直に批判いたしましてそのように感じております。したがいまして、さらに委員業務について私ども十分に内部におきまして指導をし、教養を重ねまして質的にもこれを充実していく、質、数両面におきましてある程度の実体の備わった時期に法制化の具体化の問題について検討すべきじゃないかという感じが前提としていたしております。なお、法制化にあたりましては権限それ自体が非常に幅が広いものである。それから仕事自体がこれまでのこの種の公務員としてはなかったような特殊な仕事、非常にある意味においてはむずかしい仕事でございまして、これが権限をかさに着て仕事をするというのではその目的を達しませんので、やはり相談委員個人々々の人格と良識によって仕事を進めていただくということが根本的に必要なのでございます。そういう点から考えましても、そういう点につきましても権限規定をどうするかということもいよいよ立法化に着手する段階になりましたら、十分に検討すべき問題かと思いますが、そういう前提並びに技術上の問題がございまして、いまの段階におきましては、もう少し内容並びに数においてこれを強化していく、しかる後、適当な時期に法制化の目標に向かって進んでいきたいという考えのもとに、ただいま前途の目標といたしましてはお説のような考えを持っておりますが、当面の問題といたしましてはそういう事情でございます。一応御了承いただきたいと思います。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 行管一つの仕事は、国政の効率化、簡素化をはかって、これを促進して国政の民主化をはかると、こういうことも一つの仕事であろうと思うのですね。そういうたてまえから国の出先機関一つである地方行監が異口同音に、行けば必ずこのことについて、どこということなく、どこでも申し合わせしたように強く要請されておるわけです。まず法制化をお願いしたいということは、必ずだれが行ってもそういう要望を受けるわけです。われわれもいま御説明がございましたけれども、民生委員にしろあるいは保護司にしろ、人権擁護委員にしろ、みな同じようなそれぞれの問題を担当してやっておる。ただ、いまの説明の一端に、この行政相談委員は比較的まだ歴史が浅いからということを一つ理由にしておられるようですが、もう相当各市町村に——町村に、一名は少ないわけですけれども、原則一名は必ずおってそれぞれ効果をあげておるわけですね。苦情処理の一覧表などを見ても、相当問題と取っ組んで、いわゆる国の行政の民主化の面は相当程度担当し効果もあげている。こういう実情がすでにあるわけです。これは結局こういう問題は大臣でないと最終的には言い切ったことは望めないと思いますので、これはまた後に大臣にお伺いすることとして、なお、この行政相談委員定員の数ですね、増員についても強い要請があるわけです。これは町村合併などで人口は相当多いけれども、町村の数は相当少なくなってきておるわけですね。ただ前からのたてまえで、基準は一町村一名が原則になっているわけです、現在は。ところが、町村合併前は町村の区域が小さかったので人口も少ないわけですけれども、いまは一つの町でも相当人口の多いところがあるわけで、密度の高いところがあるわけです。これを依然として基準一名で二名にはできないということですね。実際問題として、もしこの相談委員制度が要るということになれば、結局法律的に人員を配置しなければならぬという問題が当然出てくるわけです。で、われわれ実情を全国を見て回っておるわけです。相談委員が町村民の不平を実際に聞きながらこれを処理している、いわゆる実地にその面を拝聴している面もあるわけです。そういう実情から見て、これは民主化のためには相当効率をあげておる。ただ、先ほどの法制化もされていないという点もございますけれども、増員の問題もあわせてこれは考えられる問題だと思いますね。切り離して考えるべき問題ではないと思います。結局、町村合併でどんなに広くなっても、いままでの古い基準である一町村一名というそういう基準で固定していくのかどうか、これではあまり能がなさ過ぎると思うのです。町村合併でどんどん町村が大きくなる、しかし、基準は前の古い基準で一町村一名、こういうことになっておるわけですね。そういうことについて行管でも何か考えがあるわけですか。現状では相当無理が行なわれておるということを指摘しておるわけです。
  20. 山本杉

    政府委員山本杉君) ただいまの行政相談委員制度を三十六年に始められたということは局長からも申し上げたとおりでございますが、その相談委員の数がいま非常に足りないじゃないか、また、一町村一名ということでは不均衡ではないかという御指摘だと思います。昭和三十六年度に八百八十二名、三十七年度に千七百七十五名、三十八年度に二千六百九十名、それから三十九年度にはそれが三千六百五名に増員されて広く全国に配員されるようになったことでございます。それで、当面の増員目的というものはこういう形で一応達成されてきいてるように感じられるのでございますが、決してこれで十分だとは思っておりません。それで、委員活動のいかんということは委員の数とその活動充実強化にかかっておりますので、昭和四十年度におきましては、委員活動の活発化ということと、その指導ということに重点を置いて、今後ますますその委員活動充実強化とあわせて増員をはかっていきたい、さらに数を増していきたい。ただいま伊藤委員の御指摘のとおりに増員をはかっていきたいという考えでございます。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはまだ歴史が新しく、創設当初が三十六年ですから、それからまだ二、三年しかたっていないという時点では、なかなか一町村一名にも満たされていないと思うのです。いま数を発表されましたが、なるほど数はどんどんふてておるようですけれども、その基準一町村一名にもまだ満たされていないわけです。私ども現地で実際の実情を見てまいると、一町村一名の古い基準では少な過ぎやしないかということを言っておるのです。この一町村一名という基準は古い基準で、三十六年度にできた当時の基準なんですね。その後いわゆる町村合併で村が町になり、小さな町が大きな町になっても依然として基準を一名ということで押えられておるので、これはずいぶん無理をしておるということを指摘しておるわけなんですがね。  そこで、そのことともまた関連するのですが委員報酬についても各地方の強い要請があるわけです。現在は文房具、通信費、旅費、こういうようなものを合わせて、大体実費弁償分として年額三千円ということです。月額にすると二百五十円になると思うのです。一体どこに根拠があって年額三千円という額を出したのか。これはとうていそんなものではどうにもならぬ。みんな自腹を切ってやっておるのが実情だと思うのです。この点についても、もちろんこの職を引き受けている方は経済的報酬を目当てにしてやるのではなくて、社会的奉仕の観点から協力しておるわけです。だからといって、相当無理してやっているのをいつまでも一律年額三千円というような額で押えておっていいというわけではない。これは焼け石に水の額なんですね。こういう点についても考慮しておるのかどうか。また、将来は改善しようとする考えがあるのか、ないのか。先ほどからお伺いしておる法制化とか、あるいは増員の問題、あるいは報酬の問題について行管本庁ではどう考えておるか、これらをいまお伺いしておるわけです。地方の出先の地方監察局では、先ほども申し上げたように、どこということでなくて、全国至るところ、全国必ずこういうようなことが強く問題にされておる、これが数年間繰り返し、繰り返し問題にされておる、そうしていまだに一つも実現されていない、これが現状だと思うのです。この問題については行管としては何か考えておられるのですか。
  22. 山本杉

    政府委員山本杉君) いま伊藤委員が御指摘になっております行政相談委員報酬年額三千円である。これはほんとうにどこに行っても、その問題にぶっつかります。私どもとしても非常に考えさせられる点で、これは何とかしたいと思ってずいぶん努力もいたしましたけれども、なかなか思うようにいかない点でございますが、おそらく行管としてもこの面はこのままでは済まされないと考えて一生懸命努力していると思います。  それから現在相談委員を地方の監察局に招集して、そうして指導連絡をするために連絡旅費というものを払っております。これは年四回の予算が計上されているのでございますが、いま伊藤委員御指摘のように相談委員を引き受けている人たちは、地方の名望家でございまして、地方から推薦されている人ですから、それを当てにしていないということになっておりましても、支払います旅費は日当旅費というような点、こういう点も含めて、今後これを改善したいということで、一生懸命努力中でございます。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 幾らお伺いしても一歩も具体的に進まないわけです。努力中とか検討中とか、いつ聞いてもこの域を一歩も出ていないわけです。ことしはこの点を少し増額して予算化した、こういうことは一つも見えないわけです。それはその場その場は、それで答弁ということで済まされてしまって一歩も前進がない。われわれを使って行政視察をして、そういう切実な要求、急なものから当内閣委員会に反映させて、調査事項を活用していかなければ、骨を折って地方を視察しても何ら意味がないと思うのです。地方の切実な要求をわれわれは受けて、そのうちから検討して、これは特にやるべきだ——要望があったからすぐそのままうのみにしてここで反映させておるわけじゃないのです。われわれは実情を見て、これは当然だと、公平の原則からいってもこれは当然だという、そういう考え方からここに反映させておるのです。したがって、そういうことを効果あらしめるためには、何かそのうちの一部分でも具体化が見られなければ、これは意味ないと思うのです。委員会調査しても全然意味がないのです。ただ視察しっぱなし、意見を出しっぱなし、質問しっぱなしで、何ら反応がないのでは、これはおおよそ意味がないと思う。行管は国の政治のあらゆる効率化あるいは簡素化あるいは国の政治の民主化という面を担当している特に設けられたいわゆる政府機関であるわけですね。その政府機関がそういうことをやる気があればすぐできる問題の幾つか、法制化という問題をあげましたが、あるいは増員あるいは報酬の問題、これはもう倍額になるとか三倍になるとかいう、一躍そういうことは無理でありましょうけれども、何かこう一つぐらい具体的に進んでいくのでなければ意味ないと思うのです。何かないですか、具体的に、ことしの三十九年度予算に比較して四十年度特に前向きの姿勢で、これだけはぜひ確保したいということで計上した、そういうのがあったら御説明いただきたいですね。
  24. 山口一夫

    政府委員山口一夫君) 委員の定数にいたしましても、あるいは実費弁償にいたしましても、お話のとおり、決して十分ではないと考えておりまして、特に三十九年度において人数のほうは原則として一市町村一人ということになりましたのでございますが、これにはお話のように、町村合併等の関係もございまして、市町村の数よりは若干、百数十名上回っておりますが、しかし、市町村によりましては非常に区域の広いところもございますし、また、複数の行政相談委員を置いておるところもございますために、中には、原則ではございますが、例外としていない市町村、特に離島、僻村等におきましては、現在置いていないところも若干ございます。それから非常に人口の多い都市部におきましては、一人あるいは複数置きましても決して十分な数ではございませんので、実はさしあたりの対策といたしまして、四十年度においては、それらの特に足りない部分を補強する意味におきまして、数十名のとりあえずの増員を計画をいたしたのでございますが、最終の査定におきましては一応これは見送りとなりました。しかし、私どもといたしましては、そういう応急的な対策は今後とも講じてまいりますと同時に、さらに抜本的に、全国を通じまして必要な職員の増強ということは今後とも努力をしてまいりたいと考えておりますので、引き続き御鞭撻をいただきたいと思っております。  それから旅費関係も、旅費並びに実費弁償等につきましても、相当の委員活動にふさわしい増額をはかったのでございます。この関係におきましては、委員の定例出張相談をしていただきます経費として、会場の借り上げ並びに定例出張相談に必要な出張旅費、これを含めまして三百三十万円程度の増額が新しく予算の中に認められております。これが成立いたしますれば、前年に比べまして委員活動がかなり円滑化するものと考えております。これも決して十分な金額ではございません。私どもといたしましては、毎年前向きの考えで努力を今後とも続けてまいります考えでございます。一そうの御指導と御鞭撻をいただきたいと思っております。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも具体的には見るべきものは何もないということですね、結論的にいうと。なお、この問題は、大臣はいないので重ねて大臣にお伺いすることにして、次に各県の、先ほど私一部申し上げましたが、各県を視察した結果、国の出先機関との関連で二、三お伺いいたしたいと思うのですが、全国どこの県に参りましても、共通的に強い要請のあるのは、いわゆる二重行政三重行政実情を強く訴えられておるということだ。で、国の出先機関が、先ほども申し上げたように、北陸の場合には新潟、金沢、あるいは大阪、名古屋、こういうふうに、そこに行かないと用が足りない。各省庁直接なら東京に来れば用が足りるけれども、国の出先機関とまず連絡しなければならぬ。しかし、そこだけでは足りない、しかもそれも土地にはなくて、北陸の場合には新潟、金沢、大阪、名古屋というふうに、みんなばらばらになっておるんですね。したがって、新潟、大阪、名古屋等にも行くし、東京にも来て本省と話をしなければ話が進まない。国の出先機関には最終的な権限はございませんから……。しかし、その国の出先機関を必ず経なければならぬ、しかも東京にも来なければならぬ、そういう時間的にいっても、旅費からいっても相当むだが繰り返されておる、こういう実情ですね。これはたまたま、最近北陸ですけれども、どこに行ってもそういう声は強いわけです。これは国のいわゆる政治の簡素化とか、効率化を使命としておる行管が何とかこれを措置しなければ、このままではきわめて国政上むだな経費が、むだな労力が空費されておる、こういうことが繰り返されているということだ。これは行管一つの大事な使命だと思うのですね。県に行けば必ずそういう強い要望があるわけです。結局、二重行政三重行政を繰り返しておる、これを改革してほしい、そういう要請が強いわけです。どこの県に行ってもそうですよ。特殊の県からだけの要請じゃないわけですね。こういう点は一体行管としてはどういうふうにお考えなんですか。
  26. 山本杉

    政府委員山本杉君) ただいまの二重行政のぐあいの悪さでございますけれども、北陸地方ブロック機関が各地に置かれているということは御指摘のとおりでございます。これは北陸地方だけでなくて、四国、中国、九州などにも大なり小なり類似の事実があるということを私ども知っております。これについて臨時行政調査会では、行政事務の配分に関する改革意見という項目の中で、極力ブロックごとに管轄区域を斉一化することを勧告し、事務運営の改革に関する意見でも、出先機関の所在地の統一等のことを勧告しておりますが、遠隔などのいろいろの事情はございますが、政府としてもその趣旨に沿って検討したいと考えております。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、具体的にはこれは社会保険あるいは職業安定、こういうような業務に従事する事務職員ですね、で、これの地方事務官制度について申し上げると、それは予算権とか人事権というのはすべて国が持っておる。そして知事はただその監督を依頼されておるだけで、実際の予算権人事権は国にあるわけだ。県知事にはないわけです。しかもそれが同じ県庁の庁舎の中にあって仕事をしておる。これなども、これは一つの例にすぎないわけですけれども、ほとんど監督の権限はないわけですから、依頼されたところでなかなか知事の言うことなんか聞かぬでしょう。権限は国にあって知事にないから、そういうことで監督の徹底を期すことができない。そういうような一つの例で——これは九州の一つの県の事例でしたが、そういうことで、この地方事務官一つの大きな会計上の不正事件をやったけれども、普通なら未然に防ぎ得ることであったろうのに、監督権がないから相当大きないわゆる不正事件を起こしてしまった。これは一つの例です。知事にその本来の人事権、監督権があればそういうことはしでかさなかったであろうけれども、いま言うとおりに人事権予算権は知事にはまいわけです。そして同じ庁舎にあって仕事をしておるわけですね。そういうことで監督の徹底を期すことができない。ために、使い込みが相当ばく大な額になってしまって初めてわかったということで、まあこれなどは一つのいい例であろうと思うのですが、こういうことから考えても、こういう点をひとつこれは全国的の共通な問題ですから、ある特定の県だけの問題じゃないわけです。この辺も行管にひとつ抜本的な対策が講ぜられない限りこういうあやまちは繰り返されると思うのです。こういう点について行管としてはどうお考えですか。
  28. 小林斌

    説明員小林斌君) この地方事務官制度の問題につきましては、伊藤委員の御指摘のとおりでございまして、臨時行政調査会におきましても「行政事務の配分に関する改革意見」の中で、やはり地方事務官制度というものは廃止すべきであるという趣旨のことが結論されておるわけでございます。この臨時行政調査会意見の尊重につきましては、総理はじめ各委員会で尊重いたす旨を申し述べておりますけれども、政府におきまして、ただいま行政改革本部を中心にいたしまして、これらの問題を総合的に検討をいたしておりますので、いずれかの機会にそういう問題について御指摘のような方向で検討をいたしたいということでございます。
  29. 中村順造

    ○中村順造君 ちょっといま発言したのはあれは説明員でしょう。管理官というのは。委員長説明員説明させるときは一応はかってください。これからも大事なときにいろいろなことが想定されるのですけれども、説明員がかってに説明しないように委員にあらかじめはかってください。要望しておきます。
  30. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 説明事項については説明させます。
  31. 中村順造

    ○中村順造君 政府委員ならいいんですがね。政府委員の承認というのは一つの大事な国会の中の仕事ですから、説明員説明する場合には一応委員にはかってやってください。それを要望しておきます。
  32. 柴田栄

    委員長柴田栄君) わかりました。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題に関連してお伺いいたしますが、行管としての態度を実際の例から申し上げると、農林省管下に地方農政局というのが前にできました。それで地方農政局のいわゆる職務権限が、事務が相当本庁から移行したわけですね。この前の国会でも建設省設置法が提案されて、これは廃案になりましたけれども、やはり同じように地方建設局へ本庁の業務の一部を移行する、こういうことについて全国知事会では、二重行政三重行政ということをまっこうから振りかざして強く反対してきたわけです。これはいまお伺いしていることと全く同じ性格の問題なんですね。これを受ける地方公共団体としてはきわめて不満を持っておるわけですね。というのは、地方の出先機関権限強化してそこだけで用事が足りるなら、これはたいへんけっこうなんですが、そういう地方出先機関ができて職務権限が広くなったから、そこには必ず寄らなければならぬ。しかも、それが地元にあるならいざ知らず、北陸の場合はいま申し上げたとおり、これは九州でも、四国でも、どこでも同じです。あっちこっちにみんな国の出先機関がかってなところにつくってあって、何らの統一もない。だから、あるときには大阪に行ったり、あるときには名古屋というところに行かなければならぬ。それが同じところにあれば、大阪なら大阪で一切済むわけですが、こういうふうに出先機関設置が無統制で、あちこちに散在しておる。しかもかりにそこで用事が済むならまた話は別ですが、そこでは済まない。また東京へ来て本庁へ交渉しなければ最終的にはきまらない。なら、初めから本庁に来て用事を足せばそれだけで済むわけですけれども、それは国の地方出先機関があるから、そこを必ず経由しなければいかぬことになるんですね。そういうことで大阪にも行かにゃならぬ、名古屋にも行かにゃならぬ、また東京にも行かにゃならぬ。その予算とか、自務量、そういうことを考えると、いたずらに国のいわゆる税金がそういうむだな方面に使われておるということで、国の政治の簡素化、効率化ということを一つの大事な使命としておる行管としては、このままこういう問題をほうっておいていいのかどうかという問題ですね。これは先ほどもお伺いしたわけですけれども、農林省の設置法で地方農政局ができて、また建設省が同じような愚を繰り返してまた建設省の設置法を提案してきたわけです。たまたまこれは廃案になったのですけれども、これは地方の声も十分聞く必要があろうと思うのですね。まあ全国知事会といえばいろいろな人もおるわけですけれども、大体全国の知事会として地方行政の圧迫だ、二重行政三重行政だとして強く反対しておる。こういう問題について行管としてはき然たる態度で大所高所からこれを善処していかなければならぬと思うのです。そういう立場にある行管としてはこういう問題の二重三重行政に対してどのような一体態度をとっておるのか、その点今後どういうふうに措置しようとするのか、そういうき然たる態度を示していただかないと、行管がそういう立場にあるわけですから。
  34. 山本杉

    政府委員山本杉君) ただいま御指摘の点は臨調の答申の中にもはっきり出ておりまして、いま行革本部で検討中でございます。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 検討中って、この問題は最近できた問題でなく、昔から、数年前から問題になっておるんですがね。  なお、国の出先機関地方公共団体との関連の面で強い要請がどこからでもございます。共通的な問題の一つとしてさらに伺いますが、給与問題ですね。国家公務員給与改定に伴って地方公務員給与改定がいつも財政上きわめて困難な事態が繰り返されておるわけです。もちろん地方財政問題ですから、これは直接行管の問題でなく、これは自治省の所管なので、この問題をこの面からお伺いしようとはいたしません。ただ公務員公平の原則で、国家公務員は何ら給与改定に従って財源の措置の心配がないわけです。地方公務員についてはそのために遅配、欠配が繰り返される。こういうことはどっかに欠陥があるからこういうことになるんだと思うんです、基本的には。これは行管の直接の関係ではないにしても、これは行管の立場からもひとつ側面的に十分に考えなければならぬ問題だと思うんです。いわゆる給与改定所要財源の問題、これは自治省が中心になってやるわけですけれども、たとえば地方交付税の税率を上げるとかいろいろ方法はあるわけです。これはまあ国の出先機関との関係の面でこの際特に要望を申し上げておきたいと思いますが、こういうことについて行管としてはどういうふうにお考えであるか、そのお考えだけをお聞きしておきたいと思います、これはまた日を別にして自治省にお伺いする問題ですから。
  36. 山本杉

    政府委員山本杉君) ただいまの問題でございますけれども、まあ地力事務制度というものをなくすように取り計らっていけば自然解消できる問題だとも存じますけれども、この問題に関しては大臣がおいでにならないので、私からどうとお答え申し上げられないのでございます。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、大臣が出ないと質問をやっても意味がないということになるわけですね。大事な問題は大臣がいないから……。そうすると、大臣出席しないで委員会をやっても意味がない。  そこで最後にいま一点だけお伺いしておきますが、欠員の問題ですね。先ほど報告でも申し上げましたように、北陸農政局で九百九十九名中五十八名も欠員があって、ほとんどそれが技術者だということ。それから福井繊維製品検査所八十名のうち七名の欠員、これも技術者。いずれも欠員補充ができない。これが実情です。特に積雪寒冷の気象条件で立地条件が悪い、そういうこともありますし、民間より公務員の賃金が低いとか、いろいろ理由はあるわけですけれども、現実に欠員がたくさんあると現在つとめておる人にしわ寄せがきて過重労働をしいられるということ、そういう立場から欠員の多い職場でそれをそのままにしておくということはこれは重大問題ですね。労働をしいるということになりますから、そこで十分二の点は考えなければいかぬ。ところが、前に行管としては欠員補充の原則を打ち立てておるわけですね。そういう点はこれまた大臣がおりませんから答弁できませんということになるので、お伺いするのも意味がないし、そうかといって委員会大臣がいないと成立しないかという問題もあるし、いろいろ複雑な問題が出てくるわけですけれども、一体どうなんです、こういうのは。欠員補充、こういう率の高い欠員をそのままにしておる。これはみんな技術者ですからね。だれかが代行というわけにいかない。しかも大ぜいの中で一人、二人というのは何とかなりましょうがね、九百九十九名中五十八名というと相当多い欠員ですね。しかもほとんど技術者です。それをそのままにしても計画どおり実施できるかということです。しかも行管の立場では欠員補充の原則を打ち立てておる。こういうことはさっぱりわれわれには理解できない。地方に行くと現実に六十人近い技術者欠員がそのまま補充できないままになっておるわけですね。
  38. 山本杉

    政府委員山本杉君) ただいまの問題でございますけれども、欠員補充というその原則のもとに一応はストップされておると思いますけれども、実際にはその運用面では弾力的にいろいろこううまいぐあいにやるように計らっておると思います。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ちっともうまいぐあいにいってないからお伺いしておる。それで強い、要請があるから……。困り抜いておる。九百九十九名中五十八名では処置なしですよ。しかもみんな技術者、めいめい担当を異にした技術者ですからね。これはとても方策がないですね。それなら国の計画を縮小するのかという問題になるわけですが、そうでなく既定方針どおり仕事は強要されるということは、残りの人の労働過重ということがまず出てくるわけです。それをそのままほっておいていいのかということですね。これは行管に責任があるわけです。うまくやっておるというがちっともうまくいっていない。非常に困り抜いておる。そこで全国どこからでも必ず強い要請があるわけです。
  40. 山本杉

    政府委員山本杉君) 九月四日で一応ストップはしたんでございますけれども、その後において発生しました欠員に対しては、現業では九割まで、また非現業では五割までこれは認めるようにして、そうしてなおその上にも問題があるときには相談に乗ってやっておるわけでございます。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣がいないのでそれ以上のことはお聞きできないと思いますので、あと大臣にお伺いしたい問題を残しておいて、本日のところ行管に対する質問をこれで打ち切っておきたいと思います。
  42. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまの政府当局の出席について御報告いたします。小泉防衛庁長官、小幡官房長、島田教育局長、堀田人事局長、沼尻総務部長が出席いたしております。  御質問を願います。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 地方の各機関視察してまいりまして、いろいろ調査の結果もございますので、それに基づいて若干お伺いしたいと思いますが、その前に、いま衆議院の段階で問題になっております三矢研究の問題、もちろんこれは衆議院の予算委員会の小委員会でまだ審議が済んでいないようでありますけれども、今後小委員会の問題として審議が進められる、こういうことになっておりますので、そこで本格的に取り上げてお尋ねすることはやめたいと思います。ただ二点だけに限定してお伺いしたいと思います。  その一点は、まず長官が十五日長崎で記者会見を行なったときのいわゆる仮想敵国の想定の問題ですね。これは新聞で拝見しただけでは相当衆議院の質問との関連から見て相当開きもあるようでありまするので、ここで十五日に長官が記者会見をされた際のその真意を、どういう意味なのか、これをありのままひとつまず御説明いただきたいと思います。  それといま一点、現行憲法とか、いわゆる防衛庁設置法、こういった面の関係について、私は特に問題を提起して、この二点に限定してお伺いする。  そこで、この仮想敵国の問題については、従来の当内閣委員会で、歴代の防衛庁長官にお伺いし、また総理にお伺いしても、日本には仮想敵国というものはございません、そういう明答を繰り返してきたわけです。明確にその点をはっきりされてきたわけです。しかし、この三矢研究の面を見ると、もう歴然として、いわゆる特定の近接国を指摘しておる。これは現行の憲法下で当然許されないことであると同時に、今度その特定国の立場から見ると、これは大いに問題だと思うのです。もし、たまたま某国がこういうことを発表して、日本がその仮想敵国になっておったというふうに、立場を入れかえて考えた場合、日本の国民はあげてどういう感情を持つか、こういう問題が一つあろうかと思うのです、立場をかえて考えれば。現行憲法下で当然許されない問題であるということと同時に、相手国の立場をもあわせ考える必要があるのじゃないか、こういう観点から、この点についてひとつ解明していただきたいと思うのです。
  44. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) ただいまお尋ねの仮想敵国の問題でございまするが、   〔委員長退席、理事栗原祐幸君着席〕  私はそのときにも前段に記者諸君に、衆議院の小委員会で今後検討するのであるので、こういうことについての発言は好ましくないというような意味を申し上げましたが、いろいろ質問がございましたので申し上げましたことは、仮想敵国は、国会で総理、防衛庁長官がいままでずっと仮想敵国はないという答弁をいたしておりました。またそれが事実でございます。しかし三矢図上研究における仮想敵国というのは、同じ仮想敵国ということばでも、そういう総理はじめ大臣の仮想敵国は日本が持たないのだ、ないのであるという意味の仮想敵国とは違った意味であって、いわゆる図上作戦の場合の対象国として、いわゆる想定上に相手方をば定めなければ演習はできないので、そういう図上作戦の演習の意味における対象国を仮想敵国と言ったのであろう。   〔理事栗原祐幸君退席、委員長着席〕  そういうのにはやはり対象国というのを設けて、演習作戦をすることはやむを得ないではないかと、こういう意味を申しまして、ただし衆議院の予算委員会でも釈明をいたしましたとおり、その点についても仮想敵国ということばを使うのは不穏当であるから、今後そういうことがないように指導したい、こういうことでございますので、御了承願います。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この仮想敵国ということを無理にすることは非常に不穏当であるということですけれども、私どもは不穏当とか穏当だということでなくして、基本的に現行憲法下では、そういうことを認められていないわけですね、憲法の精神からいうと。
  46. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) もちろん伊藤先生のおっしゃるとおりでございまして、これは私が先ほど対象国として演習想定をする場合に、やはり相手方というものをつくる必要があったのだろう、それはやむを得ないことだ、しかし、これを仮想敵国というようなことばを使うのはよくない、こう申し上げたわけでございまして、終局において仮想敵国というものがあってはならないということは、伊藤先生のおっしゃるとおりでございます。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、この問題に関連して、これはもちろん防衛庁長官の許可を得て云々ということではないようですけれども、結局陸海空の三幕の幕僚長で構成するいわゆる幕僚会議が了承を与えておるという点、それと中堅幕僚多数が参加して作戦されたということ、その内容や表現ですね、これは文民優位という憲法の精神には、いまも申し上げたようですけれども、当然に違反しておる点、さらに言うならば、防衛庁設置法は、今度はまた出されるようですけれども、結局設置法にも、三矢研究の行なった範囲は逸脱しておる、こういうことをここで明確にしておく必要があろうかと思うのですね。こういう点についてはひとつ明確にこの点を御答弁いただいておきたいと思うのです。
  48. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 私どもは、今日文官優位の原則は厳守しておるものと信じておりますし、また、将来にわたってもこれはあくまでも固く厳守しなければならない重要な問題であると考えております。今回の三矢研究なるものも統幕事務局における幕僚研究として行なわれ、そういう各グループのいろいろな場面を想定のもとに自衛隊の運用並びにその他の事態に即応してどうするかというようなことを研究をしたレポートを集めたのが、いわゆる問題になっております三矢研究の全貌と申しますか、その書類でございまするが、これは別に長官の決裁をしておりませんし、また、これが計画として取り上げられておるものでもないし、もちろん実施するというような意向のものでもございませんし、全く研究の段階におけるレポートの集積というものでございます。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで冒頭申し上げたような理由もございますので、ここで確認して、この問題をしばらくおきたいと思うのですが、結局いま長官がいろいろの視野からお答えになったことを要約すれば、この三矢研究なるものの内容並びにその表現等については、はっきりと現行憲法に照らしてこれは違反しているということと、防衛庁設置法にも違反していると、そういうことがここではっきり言えると思うんですけれども、その点をひとつ確認しておきたいと思うんです。
  50. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 現行憲法に違反をしているとか、抵触するとかというようなことはございません。私どものほうは毛頭そういうふうに考えておりませんで、衆議院の予算委員会の質問に対しても答えておりますとおり、今後十分検討をするが、用語その他内容について不穏当、行き過ぎの点は認めているのでございます。しかしながら、これが悪法に違反するとか、抵触するものであるとは考えておらないのでございます。
  51. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうなるとちょっと了解しがたいんですが、この国家総動員体制、経済・言論統制、そういうものを戦時体制にしようというようなことは現行憲法下ではできないことですね。ただ、これは実行でない図上計画書であったわけですね。しかし、そのことがもし実行されれば、現行憲法下では許されないことであると思うのですが、これははっきりしているわけですね。ただ、実行に移さないからこれは違反ではないということは言えないと思うのですが、そこのところはどうなんです。
  52. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 今後小委員会等を通じ、もちろん先生方にもいろいろ検討していただかなければなりませんが、いままで私どものほうで見たところでは、確かに国会その他にこういう法案の改正を要請するというふうなくだりがございます。そういうことは、いま申し上げたとおり、研究題目としても行き過ぎであるし、また、さっき申し上げた仮想敵国とかその他を含めての用語においても不穏当な点がある。しかし、このことは先ほど来申し上げておりますとおり、計画でもなければ、もちろん実施するものでもない、全くの研究段階におけるレポートであって、議会に対する問題も、一つのこういうことがあった場合はこういうふうに要請をするという全くの想定でございますので、これが総動員体制であるとか、政治に関与するものであるとか、国会の審議をどうしようとかというような意図に出たものではないと私どもは判断をしておるのでございまして、決して、そういう点から考えましても、憲法に抵触するとか、憲法違反であるとは思っておらないのでございます。
  53. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題は先ほどから申し上げているように、衆議院の予算委員会の小委員会で今後深く掘り下げてやるという課題になっている問題でもありますし、ここで私どもまだ資料不十分の段階で、ただ骨組みからいって、その骨格からいって、これは基本的に了承されない問題だという視野からお伺いしているわけです。したがって、いま長官が言われたことを了承した意味ではなくて、今後の課題として機会を見てさらにお伺いしたいということで、次の問題に入りたいと思います。  もう時間もだいぶ過ぎておりますから、基本的な問題についてお伺いしたいと思うのですが、地方の部隊等を視察してここで一点だけきょうはお伺いしておきたいのですけれども、共通的な問題は、どこの部隊でも悩みの種になっているのは、特に陸上自衛隊欠員の問題ですね。この問題はいつでも問題になっておるわけですけれども、結局陸についてはもう三万前後がいつも欠員状態にあるわけですね。これは海空についてはあまり問題になるほどの欠員ではありませんので、これはしばらくおいて、陸に限定してお伺いしたいのですが、この問題はむろん地方の部隊の問題であると同時に、防衛庁自体の大きな課題の一つだと思うのです。この問題についてどういうふうに大臣はお考えになっておりますか。
  54. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) ただいま御指摘のとおり、定員充足が行なわれませんで、これはわが自衛隊として一番の悩みの問題になっておることは御承知のとおりでございます。わけても陸上自衛隊が現在二万九千三百九十七名、いわゆる三万人というような欠員状態にあるわけでございます。これは数年間続いてきておって一向解決をされないでおるわけでございますが、私どもはこれには幾多の原因があって、こういうやはり要因をできるだけ早く徐々に解決をしていくことによって十分なる充足ができると、またしなければならないという考え方で進んでおります。これには、伊藤先生もすでに御承知のとおり、やはり隊員の処遇の改善ということが一番大事な問題であり、やはり将来に対して自衛官が希望を持てるような昇進の率を拡大をしていくとか、いまの環境の整備という問題で厚生施設その他宿舎、いろいろの未解決の問題がたくさんございます。これを漸次解決をしていくと同時に、募集体制等についても再検討をして、すみやかに充足率の向上をはかっていきたいと念願をいたしておるわけでございます。  ずっとここ数年来こういう状況が続きましたが、昨年の新潟における震災に自衛隊が救援活動をいたしましてからは、新潟県を中心とするあの付近の隊員募集の成績は非常に上昇いたしまして、ずっとそれ以来はあるいは一〇〇%をこしておるような状況でございます。また、昨年十月行なわれました東京オリンピック大会における自衛隊の支援というものが国民の理解、認識をいただきましたようなことも影響いたしましてか、全国的に募集成績が向上をしつつございます。  で、また四十年度の防衛庁の予算編成につきましても、私は長官の方針として、装備充実改善ということももちろん必要であるけれども、それを動かすのは人間である、自衛官である、だから今度の予算編成の自分の基本的な心がまえとしては、自衛官の処遇を改善をしていく、環境の整備をしていく、そうして充足率を高めるような方向に持っていかなければならぬと、かような考え方で予算の編成に臨みまして、幸いにして、まだまだ不十分ではございまするが、前年度、前々年度等に比べましては相当の見るべき隊員の環境整備改善のための予算を獲得することができたのでございまして、こういう方面と相合わせて募集体制の強化等と相まち、また、国民自衛隊に対する認識、協力というような面をあわせて、だんだんとすみやかにこの定員充足をはからなければならない、また、決してそれは不可能ではないと、漸次改善しつつあるという非常に明るい希望を持ってこれに対処しているような次第でございます。
  55. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いしておきますが、この欠員についてはいろいろ調べてみると、三十五年以後こういう現象が起きて三万近い欠員が不補充のまま今日にきたということ、特に内容を見ると大部分が九分九厘が一士、二士の欠員ということになって、幹部はほとんど欠員はない、こういうところにも問題があるわけです。そこで、防衛庁としてはいろいろ分析検討されておると思うのですが、一体こういう大幅な欠員ができてきた原因、こういう問題については一体どういうところに根拠があって、欠員が不補充のまま続いておるかという分析検討についてどういう結論が得られたか、その点だけをきょうお伺いして、あとの問題は次回に譲りたいと思います。
  56. 小泉純也

    国務大臣(小泉純也君) 先ほど申し上げましたような幾つかの原因が重なっておりまして、これを徐々に解決していくことによって、この問題の充足率の万全を期さなければならないと考えたわけでございまするが、やはり一番大きな問題は隊員の処遇というものが他産業あるいは世間一般の生活向上というような面において相当の格差がある。そうして将来に対する希望というものが非常に狭い、ことに昇進率なんかがあまりにも少なくてせっかく二年間一生懸命勤務してもわずかの人間しか昇進できない、あとはもう行き詰まりであるというような面もございますし、また、せっかく二年つとめて自衛隊を去っていきましても、そのために就職の保証というようなものもなければ心細い、いろいろな原因がふくそうをいたしておるのでございまして、なお詳しい問題については政府委員より答弁をいたさせます。
  57. 堀田政孝

    政府委員(堀田政孝君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおりでございますが、若干私から補足的に御説明を申し上げますと、伊藤先生の御指摘ございましたように、欠員は士が大半でございます。定員六万に対しまして約二万の欠員が士にあります。しかもその欠員の二万は、前年任期を終わりまして、任務を終わって除隊をしていく、昔で申しますと満期除隊をするという形のものが一万、それからあとの一万は、採用されて隊員になっておりましても、途中で脱落をしていく、やめていくという姿になっております。この途中でやめてまいります一万人については、やはり他産業からの呼びかけ、あるいは入りましたあと条件が、自分が思ったほどでなかったというようなことで、がっかりしてやめていくということがおもなものである、こう思われるわけです。そこで外の原因としては、いわゆる成長経済のためにほかの産業の労働条件がよくなるということのために圧迫を受ける。それから内の条件といたしましては、いま長官が申しました自衛隊隊員生活環境そのものが悪い、したがって、外の環境との格差がだんだんついていくということが原因ではないか、こういうふうに私どもは分析をいたしております。
  58. 中村順造

    ○中村順造君 委員長、速記をとめてください。
  59. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  60. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 速記を始めて。  ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑は、この程度にとどめ、派遣委員報告はこれをもって終了いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時三十五分散会      —————・—————