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1965-05-25 第48回国会 参議院 逓信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月二十五日(火曜日)    午前十一時二十分開会     —————————————    委員異動  五月十八日     辞任         補欠選任      山本伊三郎君     光村 甚助君  五月十九日     辞任         補欠選任      鈴木 恭一君     上林 忠次君  五月二十四日     辞任         補欠選任      上林 忠次君     鈴木 恭一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中  一君     理 事                 白井  勇君                 新谷寅三郎君                 鈴木 恭一君                 横川 正市君     委 員                 植竹 春彦君                 古池 信三君                 郡  祐一君                 寺尾  豊君                 谷村 貞治君                 光村 甚助君    国務大臣        郵 政 大 臣  徳安 實藏君    政府委員        郵政大臣官房長  淺野 賢澄君        郵政省電波監理        局長       宮川 岸雄君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会技        師長専務理事   三熊 文雄君        日本放送協会専        務理事      赤城 正武君        日本放送協会専        務理事      浅沼  博君        日本放送協会理        事        志賀 正信君        日本放送協会経        理局長      竹田 徳義君        日本放送協会総        合企画室総務   野村 忠夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○日本放送協会昭和三十八年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  (内閣提出)     —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、理事補欠互選を行ないます。  委員異動に伴い、現在、理事一名が欠員となっております。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事鈴木恭一君を指名いたします。     —————————————
  4. 田中一

    委員長田中一君) 日本放送協会昭和三十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。  本件につきましては、去る二月二十三日、郵政大臣及び日本放送協会会長から、それぞれ提案理由説明及び補足説明を聴取いたしております。  これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次、御発言願います。
  5. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 NHKのいわゆる三十八年度決算に関連いたしまして、若干お尋ねをしたいと思うんであります。  その前に、先般御配付願いました「昭和三十八年度予算決算対照表」という資料が出ておりますので、一応、担当の方から、この提出資料のきわめてアウトラインといいますか、大綱について御説明を願いたいと思います。
  6. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 御提出申し上げました昭和三十八年度予算決算対照表概要につきまして御説明を申し上げます。  たいへん横に長い表になってございますが、一番左側に書いてございますのが、承認予算と称しております国会の御承認をいただきました予算でございます。その以下、予算増減額が数項目にわたってございますが、それぞれ総則に従いまして、年間予算の異同を、項目別にどの費目にどういうふうに異動があったかということをあらわしたものでございます。ちょうど、まん中の継ぎ目のところに増減の合計をここに抽出いたしまして、その次に、当初の御承認をいただきました予算増減を加えました調整予算額という欄を設けてございます。これに対しまして、決算の結果の数字を次の行に出しまして、当年度は三十九年度への繰り越しがございますので、その繰り越し事項を掲げてございます。予算残額を生じたものがございますので、それを最後の行にあらわしまして、その残額を生じましたおもな理由につきまして、最後のところで説明をいたしてございます。  まず、左のほうからまいりまして、御承認をいただきました予算に対しまして、予算増減欄最初に出てまいります数字の左から二行目の総則第五条によります三十七年度からの繰り越し額という欄がございます。これは、当時三十七年から八年度へかけまして、総額十一億七千方円の工事繰り越しがございました。三十七年度に御承認をいただきました建設費の約七%が、年度末までに全部の工事を終わらず、若干三十八年度へ持ち越しましたものでございます。この十一億七千万を、三十七年度決算の結果、八年度へ繰り越すことになりまして、この表におきましては、七年度からの予算を受けまして、この八年度予算増加数字になっております。建設工専でございますので、全額を建設費に振り当てまして使用をいたしてございます。  この十一億のおもな中身といたしましては、当時、ラジオ放送局建設が四局ございました。これが二百四十万円の繰り越しになっております。それから、ラジオの第二放送の増設が二局ございまして、これが百九十四万円の繰り越しになっております。いずれも、ラジオ関係につきましては、三十八年に入りまして、それぞれ全部予定どおり完了を見ております。それから、三番目に、東京超大電力放送工事を当時やっておりまして、これは三十八年の十二月に完成をいたしてございますが、三十七年度、八年度予算化をいたしました中で、七年度分の工事が若干繰り延べになりまして、この分が、一億三千四百万の繰り越しがこの中に入っております。それから、ラジオ増力関係工事が七局ございまして、昭和三十八年度に入りまして、いずれも完成いたしております。これが四千三百万ございました。それから、ラジオ放送所設備整備が二局ございます。これが二千八百万の繰り越しになっております。  次に、テレビ関係におきましては、総合テレビジョン局残工事を生じましたものが二十一局ございまして、この関係が一億三千八百万でございます。それから、教育テレビジョン局が三十七年度の三月までに工事が完了いたさなかったものが全部で十四局ございまして、七千六百万の繰り越しをいたしてございます。それから、テレビ放送所施設整備が四カ所ございまして四千五百万円……
  7. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 ちょっと委員長。御答弁中ですが、私の求めておりますのは、この表の全体について具体的に数字をこまかく説明してくれという意味ではないのです。  私がこの資料を要求しましたゆえんは、非常に従来、予算額に比して増収が多かった。その増収分は、予算総則規定に従って、それぞれその年度年度処理をしてこられた。結果として、予算決算を見ると、非常な数字の違いが各項目について出てきたものもある。それが正しいかどうかということについては、経常委員会が判断をしておやりになったことでありましょうが、予算審議をする当委員会方針、と言うと語弊がありましょうが、質疑応答を通じて、それぞれこの委員会では、各般の問題について審議をしておるわけですから、それとあまり違った流用をすると、国会予算審議は一体何のためにしているのだということになりますから、今後は注意をしてもらいたいと同時に、予算決算とを一応対照してもらえば、どういうふうな方針流用されたかどうかわかるんじゃないかということで、今年初めてこういう予算決算との対照表を求めたわけです。したがって、具体的にこれ一々説明をされると、非常に時間がかかりますので、むしろ、予算総則四条以下の規定によりまして、どういうふうに予算決算とが変わったと、それはこういうわけですというところを重点的に説明をしてもらえば、それで足りるのです。たいへん答弁中すみませんが、瞬間の節約の意味で、そういう趣旨から御答弁願いたいのです。
  8. 田中一

    委員長田中一君) 志賀君に申し上げます。  いま新谷委員からの要求どおり、簡略にひとつ御説明を願います。
  9. 志賀正信

    参考人志賀正信君) それじゃ続けて、多少冗漫になりまして失礼申し上げましたが、要点だけ申し述べます。  左からまいりまして、ただいま御説明を申し上げておりましたのは、三十七年度から三十八年度への建設工事繰り越し中身の問題でございました。  次の行は、三十七年度末に生じました総収支の差額でございますところの繰り越し収支剰余金を振り当てまして、主として建設費に十七億の予算を振り当てまして、建設工事促進をはかりましたものであります。  次の予備金につきましては、予備金使用につきましては、総則規定されておりますが、予算に対しまして六千六百万を資本支出関係建設費関係。それから、事業支出関係に、不慮の支出に備えまして、一億五千九百万を振り当てました。当時、予備金につきまして予算が四億でございましたので、この年は二億二千六百万の予備金の残を残して年を越しております。  次に、総則第七条によります増収関係が出ておりますが、当年度につきましては、テレビジョンで二百万の受信者をふやすことを承認予算で御承認をいただいております。年間一年にわたって努力をいたしました結果、二百二十六万まで受信者を約一割ふやすことができまして、この分の増収が生じてまいりました。また一方、乙のほうのラジオだけの分につきましては、予定よりも十六万ばかりの減少が多くなっております。これは減収の形になって出てまいりますが、相殺いたしまして、増収といたしましては、七億三百万の増収がございましたので、これを、増収を生じました面接経費及びこれに必要な給与関係及び職員臨時給与に、総則に従って振り当てをいたしてございます。  それから、次の七百五十一万という数字の出ております総則第十一条の関係は、交付金増加でございますが、これは当時、衆議院の選挙がございまして、これに伴いまして、選挙放送を、実施いたしました結果、自治省からその実費としてちょうだいいたしましたものをそれぞれ振り当てて使用したことをあらわしましたものでございます。  それから、次の総則第十条の関係につきましては、放送債券のほうへ借り入れ金から予定予算額を十億だけ回しまして、借り入れ金のほうを十億だけセーブいたしまして、放送債券で十億よけいに発行いたしましたものでございます。  それから、次の総則四条によりますところの予算流用につきましては、一件だけ当年度出てまいりまして、下のほうにございますように、二千六百万を関連経費という予算項目から減価償却費予算流用をいたしてございます。これは三十七年度におきまして、収支剰余金の振り当て等によりまして、予算で御承認をいただきました建設費よりも若干よけい建設をいたしましたので、八年度減価償却費予算が不足してまいりましたので、たまたま、当年度利息等予算が、この関連経費のほうにおいて残余を免じましたので、これを振り当てまして、予定どおり減価償却を実施いたしましたものでございます。これが流用関係でございます。  以上が予算当年度動きでございますが、これに対しまして決算額を計上いたしまして、予算残額の欄にございますように、若干各項目につきまして予算増減を生じておりますおもなものにつきまして、ここに理由を述べてございますが、まず、上のほうからまいりまして、収入関係では、借り入れ金を十四億だけ予算を残してございます。これは建設費繰り越しが翌年度へ出ましたので、この部分につきましては、必要なときに借りるという考え方で、借り入れ金を翌年へ回したことを示しておるものでございます。  それから、ちょうどまん中ごろに建設費という欄がございますが、この中に八億三百万の予算の残を生じておりますが、この八億三百万は、十七億の繰り越しをやりまして、なおかつ、年間建設費の合理的な運用をはかりましたために生じました残でございます。  それから、事業支出関係におきましては、先ほどの予備金の振り当て、あるいは増収の振り当て等によりまして、若干余裕が生じてまいりましたり、また、当年度予定をいたしました中波大電力周辺局建設工事等につきましても、翌年度へ繰り延べるような形に、この予算の上ではなりましたので、それらの予算につきまして残額を生じまして、総額二十六億の予算残を生じております。前年度から持ち越しました四十七億の収支剰余金につきましては、この年に増収その他の予算の増、内容の増がございまして、また、これを使用いたしました減もございましたが、結果的には、四十七億から五十三億に増額になりまして、三十九年度へ五十三億一千七百万の繰り越し収支剰余金として繰り越しをいたしております。  以上が、予算の三十八年度動き概要でございました。
  10. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 むしろ、あとのほうの二枚目の「予算総則規定した事項に係る予算の実施結果」というところを説明してもらったほうがよくわかったかと思うんですけれども、その中の5のところに、いまお話がございましたが、「予算総則第七条の規定による、収入予算額に対する増加額の振り当ては、」云々と書いてあるところですね、これで、事業のために直接必要とする経費支出借り入れ金返還及び設備改善に四億ほど振り当てたと書いてありますが、この中で、事業のため直接必要とする経費借り入れ金返還施設改善を分けて四億はどうなっていますか。
  11. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 第五の項は、当年度増収の振り当てに関しましての項目でございます。当年度は七億三百万の増収がございましたことを先ほど御説明申し上げましたが、その中で、増収の振り当てを六億九千八百万やりました。まず増収を生じましたもとの、受信者の増に伴いましての契約の経費及び集金経費に六千百万円を使用いたしてございます。それからテレビジョン共同受信施設助成経費といたしまして、七千百万だけ共同受信施設助成に振り当てまして促進をいたしてございます。それから、ただいまお尋ね長期借り入れ金返還につきましては、たまたま増収もございましたので、総則に従いまして二億円を振り当てをいたして返還促進いたしてございます。それから、局舎、宿舎の特別改修に四千二百万円、それから、受信者等増加に伴いまして人件費がふえてまいりました分が三千二百万円でございます。なお、職長の特別の給与といたしまして二億九千百万円を使用いたしてございます。以上が、七億のうち六億九千万を振り当てました内容でございます。
  12. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 いまの御説明でちょっとよくわからないんですが、四億の内訳は、人件費が三千二百万円という話ですね。それから職員に対する特別の給与支給に必要な二億九千万円、この人件費というものと職長に対する特別の給与というものと、どんな関係になるんですか。
  13. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 最初に申し述べました業務量の増に伴っての人件費関係は、受信者がふえましたので、集金の増員をいたしましたり、それから時間外の費用というようなものでございます。
  14. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 いま聞いておりますのは、人件費三千二百万円とおっしゃったが、それはどういう人件費だということと、職員に対する特別の給与支給ということは、これはどういう性質の給与ですかということの関連性を聞いているんです。
  15. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 御説明がちょっと足りませんでしたが、四億の中に入っております三千二百万の人件費につきましては、収入増を生じますもとになりました職員の直接の人件費でございまして、加入者がふえましたための集金人の増あるいは基準外の増というようなものの、面接業務増加に伴っての費用でございます。  それから、後ほど申し述べました予算総則第七条の二項による職員の特別の給与のほうは、二億九千百万円でございまして、たまたま、増収もございましたので、総則七条の二項によりまして、全職長臨時給与支給いたしました分でございます。
  16. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この職員に対する待遇がよくなることについて、私は刑に反対するものではないのですが、NHKのほうとしては、特に最近のテレビジョン視聴者がどんどんふえてきた、これは七条の二項に掲げるように、「職員能率向上による企業経営改善」の結果、テレビジョン視聴者がふえていったというようにお考えなんですか。私は、その点はどういうふうにして扱っておられるか知りませんが、たとえば毎年幾ら予算外収入が伸びた、そのうちの何者かは、これは必ず職長能率向上によって経営改善された結果収入がふえたのだというふうに毎年やっておられるようにも見えるのですけれども、三十八年度について、特別に何かそういった七条二項に該当するような実績があったのですか。
  17. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 受信者予定を通過いたしました分の、すなわち、増収を生じました内容につきまして、職員企業努力の分が幾らであるかどうかということにつきましての判定は非常に困難かと思いますが、おおむね各年度とも、職員企業努力による分も相当あると考えていいかと思いますので、全部増収に伴いまして、総則第七条の二項の適用の範囲につきましては、おのずから限度がございますが、ある程度職員企業努力による分という考え方を、増収のありました年につきましてはとっている次第でございます。
  18. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 先ほども申し上げたように、職員待遇がよくなることについては、私は別にこれに反対をするものではないのですけれども、とにかく増収があったらば、それはやはり特別に職員が非常に企業努力をしたのだ、その結果増収があったのだというふうに、すぐに割り切っていかれることについては、私は、この総則七条の規定とはちょっと考え方を異にしておるわけです。ですから、いまそういうことをおやりになっているとすれば、NHKとしては、たとえば十億の増収があった、そのうちでどのくらいまでは能率向上によるものかという何か基準でもこしらえておらないと、毎年毎年、これはことしは何億だ、来年は何億だというふうに変わってきて、これはいわゆる団体交渉といいますか、そういうことによって、もう自由自在に変更され得るものだ、伸縮性があるのだというふうになってくると、これは非常に困るのじゃないかと思うのですが、その点、前田会長、どうですか。
  19. 前田義徳

    参考人前田義徳君) お説のとおりでございまして、私どもといたしましては、したがいまして、最高の経営委員会その他において、この問題は職員との間でもかなり慎重に検討をいたしております。ただ、この年度につきましては、先ほど志賀理事から御説明申し上げましたように、予定の約一割がやはり職員努力、特に加入関係番組関係並びに施設増血について、技術関係の協力によって、少なくともその三分の一程度は企業努力によるものと私ども考えた次第でございまして、ただいま新谷先生のおっしゃるその原則については、私どもといたしましても十分介意いたしておる次第であります。
  20. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これは将来の問題について申し上げておきますが、非常にいまの志賀理事からの御説明だけを聞いておりますと、増収があった、これはもう必ず、それには職員の、第二項に書いてあるような能率向上による企業経営改善があったのだというふうに、何の疑いもなくそこへすぐに持っていくということについては、予算総則の第七条というものはそういう趣旨では書かれてない。ですから、職員が一生縣命になって企業努力をせられたということも、もちろん私は否定はしませんし、あったのでしょう。しかし、それに対して、すぐにこの第二項があるから、その一割とか、二割とか、何割とかが必ず、これは増収があった場合には、これを予算総則規定によって職員が受け取る権利があるのだというふうになってくると、この予算総則趣旨からは、だいぶはずれてくるのじゃないかということを心配しますので、もちろん、経常委員会議決を経ておやりになるのですから、あなた方だけでおやりになったとは思いませんけれども理事者としては、この点については、もっと真剣にお考えになる必要があるのじゃないかということを申し上げておきます。  それから、こまかいことですが、もう一つ志賀理事に聞きたいのですが、「総則六条による予備金の振当額」というこの表がございますけれども、この中で——これは私は考え違いしておるかもしれませんので、間違っておったら御指摘を願いたいのですが、第六条の予備金の振り当て額の問題ですが、ずっと上から資本支出幾ら建設費幾ら回したとか、事業支出としていろいろ書いてありますが、この中で、予備費から給与に千七百五十四万円出したと書いてありますが、これはどういうことなんですか。この表の読み方ですね、私が間違っておるかもしれませんが……。
  21. 志賀正信

    参考人志賀正信君) 予備金から給与に回しましたものの中には、天災地変によりましての、当年度の台風、集中豪雨関係被害復旧経費及びこれの受信者対策経費といたしまして、その際に職員を出動させました臨時給与関係でございます。
  22. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そういうことであれば、この総則第六条の規定趣旨にも合うかと思いますから、これでけっこうだと思います。  そこで、一般論になるのですが、郵政大臣も聞いておいていただきたいと思うのですけれども、私はこの前にも申し上げたのですけれども予算総則規定——予算総則規定は、これはNHK予算処理するいわば憲法のようなものでございます。これは非常に私は運用なり解釈なりというものについては、厳格に考えていかなければならぬと思うのです。一番気になります問題は、予算総則の第四条の問題なんです。政府予算、それから公共企業体予算処理のしかた、そういった例を見ましても、この四条のように、非常に包括的に何もかも経営委員会議決にまかしておくということは、これはほかでもない。私は、もしそういうことが正しいとすれば、これから将来に向かっては、四条について、もっと手続を厳重にして、予算各項間の彼此流用ということになりますと、相当大きな問題ですから、手続をもっと慎重にして、せっかく半委員会でいろいろ予算審議しても、経営委員会が、「予算執行上やむをえない場合に限り、」とありますけれども、みな予算執行上やむを得ない場合でしょうね、おそらく流用する場合は。そういう包括的な委任を経営委員会にしておるというたてまえを再検討する必要があるのじゃないかというふうに考えているのです。それで、政府予算なんかは目——款項目ですね——目流用についても、相当縛っているのですね、政府予算については。公共企業体についても、もう少し楽な点もありますが、やはり縛っている点も相当あるわけです。それで、この予算総則を見ますると、目ではないのです。各項ですね。予算の項についても、経営委員会議決さえ得れば流用できる。しかも、その理由は「予算執行上やむをえない場合に限り、」と、こう書いてあるのです。こういうことでしたら、何でもできるでしょうね。予算執行上やむを得る場合は、そんなことをしないでしょう。やねを得ない場合だけだと思います。そうすると、いかなる場合でも、経常委員会さえよいと言えば、各項間の流用が、できるということになるわけです。それで、この項の、四十年度収支予算をごらんになっても、非常に大きなものなんですね。ここで見ると、何百億というような予算の立て方です、一つの項で。私は、NHKのこういう事業体では、ある程度予見しがたいような事情が年度途中において発生するだろうと思うのです。それに対して、官庁会計のように非常に厳車に縛っていくと、事業経営できないということもありましょうから、事業体らしい予算の組み立てをしていかなければならぬ、また、それに対する処理考えてやらなければならぬと思いますけれども、しかし、予算は、経営委員議決さえ経れば各項間をどんどん流用してもいいんだということになってくると、これはもう国会予算審議するとか承認するとかいいましても、この経営委員会に、もうほとんど白紙委任状で渡したようなもので、あとは経営委員会がうんとさえ言えば、どうにでもなるのだというようなことになって、私はこれは非常に行き過ぎじゃないかと思っておるのです。この決算のときにしか、これは言えないので、この次の予算編成にあたっては、この総則規定のしかたをもう少し慎重に、そうして、これは憲法みたいなものですから、もう少し厳格に解釈し、運用するように考えてもらいたいと思っておりますが、これは会長と大臣からこの点についての御意見を伺いたいと思います。
  23. 徳安實藏

    ○国務大臣(徳安實藏君) ただいまのお説、しごくごもっともだと思います。あまりに厳重過ぎてもいけませんが、しかし、抽象的なことばで、あまりまたこれが楽々と流用できましても、運営の上におきましてはけっこうでございましょうが、やはりまた弊害を生ずるおそれもあるかと思いますので、予算の厳格な執行を確保するという見地から考えますというと、この点につきましては、十二分に検討する余地があると思います。もちろん、経営委員会がだらしのない議決をされるとは考えられませんし、十二分に検討されて、そして会計検査院等から検査を受ける場合でも、不当として指摘を受けるような処置は過去においてはないようでありますので、そういう点につきましては、私どもも守心はいたしておるわけでありますけれども、しかし、この文字の上から申しまして、あるいはまた、この運用の面から申しまして、少し、ただ委員会さえの議決を得れば、大きなものがどんどん流用できるというようなことにつきましては、今後におきましても、十分ひとつ協議いたしまして、そして誤りなきを期するような措置があれば、これをまあしなくちゃならぬと思いますし、この予算総則国会の御承認を得ておるそうでございますから、今後、こういう問題につきましては、双方でひとつよく相談をいたしまして、誤りなきを期するようにいたしたいと思います。
  24. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 総則四条に関する新谷先生の御意見は、私といたしましても、まことに貴重な御意見であり、当然理事者といたしましては、この項目については特に慎重、かつ、私どもといたしましては、これを乱用しないというたてまえで、今日まで予算を実施してまいりました。大体従来の経験によりますと、この項目を適用した例はほとんどないのでございますが、ただいま御審議をいただいておる昭和三十八年度決算に関しましては、先ほど志賀理事から説明いたしましたように、減価償却費関連経費との関連で、二千六百万円程度の流用の事態が起きたことは、御指摘のとおりであります。私どもといたしましては、この条項の尊重に対しては、徳義的にも、精神的にも、完全に新谷先生の御意見を体して今後も実行してまいりたいと、このように考えております。
  25. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 まあ大臣も、会長も、私の申し上げている趣旨をよく御了解願ったようですから、私も具体的にはどういう方法をとったら一番いいんだということについては、ここで申し上げるだけの腹案も持っておりませんので、今後の問題としてこの点は十分御検討になって、NHKが扱っている命は国民全体から集めている、税金とは種類が違いましょうけれども、まあ公共負担といいますか、そういう種類の全国民から寄せられている負担金でございますから、いやしくも、これをむだに使っちゃいけない、また、本来の目的をはずれて使うようなことがあっちゃいけないということを常々私は心配しております。そういう意味で、この第四条についても十分御検討になられて、この次の四十一年度予算をお出しになるときまでには、こういう理由でこうした、あるいは、こういう理由でこういうふうに変えるほうがいいんじゃないかと思うというような案でもお出しくだされば、非常にけっこうだと私は思います。この点は大臣と会長のただいまの御答弁に信頼をいたしまして、きょうはこの程度にいたしておきます。  それからもう一つ、これは必ずしも決算には直接に関係のないことでございますが、番組の問題について若干お尋ねをしたいのであります。  私は、放送法ができましてから、やはり放送番組というものはできるだけ自主的に各放送機関が編成をし、自分で責任を持って、その責任のもとに国民に提供すべきものであるという原則は変えようとは思っておりません。でありますが、実は私は二年ほど前に、総理府のほうでやっておられます中央青少年問題協議会の委員をしておりまして、そのときに申し上げたことでございますが、何とかして青少年のラジオテレビによる悪い影響というものをなくすことはできないだろうか、それには、一応は、自主的に各放送関係の、あるいは出版関係とか、映画関係とか、いろいろありますが、そういう関係の機関が自主的にこの番組みについて、あるいは出版物の内容について自粛をするということをやってもらいたい、それがどうしてもできないんならば、法制によって規律する以外にないじゃないか、われわれは社会を守っていくという責任を持っておるんだから、それはぜひ考えてほしいということを申し上げまして、さっそくお取り上げ願って以来、総理府を中心にして、いろいろ各界の方々と話し合いになって、ある程度の自主規制の実がだんだんにあがっておるように私も考えておるのであります。こういう問題をここで取り上げますのは、私は、将来の放送法の改正にあたってどうこうということではありません。それは重大な問題でありますから、もっと研究をしなければならぬと思いますけれども、私の調べたところによりますと、世界のおもな国がやはり青少年を守るというために、出版物その他について法律を出して規制をしておる。一番目山民権の発生地であると言われるフランスでさえも、特別法を出して、手続は非常に慎重でありますが、法律によって最後的にはそういう、いわゆる言論に対しまして規制を加えるという措置をとることができるようにしておるのであります。参議院の法制局で調べてもらいらいました資料が手元にありますから、詳しくは幾らでも申し上げますが、これは政府側でも、NHKのほうでも、ある程度御承知でございましょうから、私から申し上げませんが、世界的にそういう傾向になってきつつあるわけです。ということは、ある程度自主規制だけでなかなかうまくいかないというような面が各国に出てきたからだろうと私は思うのです。  で、ここで一般の放送事業者を対象にして私は申しませんが、民放は特別の性格を持っておりますから、これは一応別といたし豪して、NHKは、これはもう生まれながらに公共の利益のために存在をする機関でありますから、そういう方向に対しては、民放と違って、特別の関心も持ち、また、それだけの適正な措置も講じておられるはずだと思うのですが、昔のことは言いたくありませんが、前はNHKも民放とほとんど競争して、いわば競争して国民の聴視率を何とかしてあげようというので、いろいろな企画をされて、番組内容も民放に非常に接近をしておるということは事実です。このごろは、だいぶその点は私は自粛しておられると思うのです。しかし、このころの番組を見ておりましても、やはりときどき世の中の公共の利益を、特に青少年なんかに対する配慮が足りないんじゃないかと思うような番組もないことはない。そういうものに対して、私は、もっとNHKは公共放送機関なんだから、言われなくても、当然それを守っていくのが、NHKの一つの責務じゃないかと思っておるのです。  そういう観点からお聞きするのですが、NHKはこの番組の編成にあたりまして、社会公共の利益を守るというような見地から、どういう配慮をしておられるか。これは番組審議会に全部まかしておるのだということになれば、私は、NHK理事者としてはそれでは足りないだろうと思うのです。番組審議会で大いに議論をしてもらうのもけっこうでしょうが、NHKの公共的な機関としての使命から申しますと、もっと積極的に公の利益というものを守ってもらわなければならないのではないかという気がしてならないのです。でありますから、この問題について、この機会に、外国の立法例もたくさんあります。そういったものについて、たくさんあります。ですから、NHKが世界じゅうの放送機関よりもすぐれておるのだ、世界一の放送機関なんだということを自負しておられるなら、そういったものについても積極的に、こんな考えを持って、こうしておりますということを持っていなければならない。そういうことについて、会長でもいいし、担当の方でもいいですから、部面にお答えを願いたい。
  26. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) ただいま新谷先生の御発言を承っておりましたが、私も長い間NHKで教育局長をやっておりまして、全く先生と同じ考えで番組を編成しておったことを申し上げたいと思います。  NHKといたしましては、教育番組については最も注意と関心を払っております。たとえて申し上げますれば、総合テレビジョンにおきましては、青少年の情操と教養を豊かにするような番組をかなり高い比率で出しておりますし、それからまた、教育テレビジョンでは、学校放送その他青少年向けの教育番組を放送しております。青年と申しますものは、やはりある程度おとなの領域にも入ってまいりますので、これはおとなの番組もきわめて注意しなければなりません。で、教養番組あるいは芸能番組を通じまして、育少年の方が見ても、一家そろって恥ずかしくないような、そういった顔をしないで済む健全な番組を組んでおるつもりでございます。  それからまた、児童の問題でございますが、これは子供に対しては、誠実と愛情と勇気を与えるような番組の編成方針をいままでずっととっております。また、特に青年に対しましては、社会的ルールを守る、これには、公衆道徳の問題もございますし、いろいろ問題もございますが、こういった問題を中心にして青少年番組を編成しております。  それから海外取材番組におきましても、先般、「世界の子供」というものを特集いたしまして、海外では家庭、学校教育をどういうふうにやっているか、そのいい例を紹介いたしますとともに、それからユニセフと協力いたしまして、後進国における子供の問題等を放送しております。で、このユニセフと協力した分は外国にも近く輸出される予定でございます。  それからまた、長い間やっております「全国青年の主張」——一種の雄弁大会でございますが、これも全国の青年から論文を募集いたしまして、各ブロック別に選別いたしたものを中央大会に持ってまいりまして放送いたすのでございますが、この場合にも、各宮さま方の台臨を仰いで非常な高成績をあげております。  それからまた、ユネスコとも協力いたしまして、四年ごとに、テレビジョンが青少年に及ぼす影響といったようなものの調査も、放送と同時に行なっております。  それから聴視率についてのお話がございましたが、先生のおっしゃいますとおり、私どもは、こういった番組におきまして、聴視率に迎合したり盲従したりするようなことは避けまして、できるだけ、マスコミニュケーションでございますから、聴視率もある程度参考にはいたしますが、その聴視率をできるだけ啓発的に使っていきたい、そういうふうに存じております。
  27. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 具体的には、いろいろ努力しておられることはわからぬこともないんです。私もそれは注意して見ておりまして二、三年前といまとは、非常にそういう点について、番組内容も変わってきたということは、私もよくわかっております。ただ、ここでNHKにそういう責任を負わせるのは酷かもしれませんけれども、いまの日本の社会を見ておりまして、青少年問題というのは、なかなかこれは容易ならぬ問題でございまして、これはもうあらゆる機関といいますか、社会全体が絶えずそれを頭に置いて努力していかないと、どっかでだれかが心配をしておるから何とかなるだろうじゃ、これはなかなか問題の解決はできない。すべての社会人がそれぞれの立場で絶えずそのことを頭に置いて努力しなければなるまいと思うのですが、まあきょうは青少年問題に限定して話をしたようなことになりますけれども、それ以外に、私は、社会の公共の利益を守るという点から見ると、まだまだ考えるべき余地がたくさんあるだろうと思いますが、かりに青少年問題だけにいたしましても、いまあなた方が、NHKがやっておられる番組の内容が、一つ一つ見ておって、それがプラスになるものばかりじゃないじゃないか。私は個々の番組については、いまここでは議論したくないです。しかし、たとえば、いろんな犯罪ものを扱っているという場合に、こういう犯罪を犯せばこういうことになるのだというような考え方でやっておるのだという説明もありましょうが、こういう種類の犯罪はこういうふうなことをして行なわれるのだというような教え方でもするような結果になるとたいへんだと思うのです。NHKもやはり犯罪事件を扱っておられる番組があります。まあ私は、個々の問題はいまここでは申し上げませんが、とにかく社会全体の利益を擁護しよう、それから特に国民全体として青少年に悪い影響を与えるようなものは、もうこれは絶対にしちゃいけないというような意気込みで、これは番組審議会にまかせるのでなく、理事者が自分たちの努力でそういう一つ一つの問題について絶えざる努力をしていくという気持ちでないとよくならないということを痛感するものですから、こういう機会をつかまえてあえて申し上げてはおるのです。前田さん、どうですか、御意見。
  28. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私といたしましても、全く新谷先生の御意見に同感でございます。したがいまして、昭和三十四年かと記憶いたしておりますが、いわゆる放送法の一部改正と関連いたしまして、当時初めて番組審議会というものが公的機関としてできたわけでございますが、その機会にNHKは部内の憲法改正をいたしました。一般に私どもはこれを番組準則と呼んでおりますが、その中で、特に青少年の項につきましては、きわめて厳格な自主的規制をつくっております。これと関連いたしまして、昭和三十五年以降は、いわゆるその当時編成局内の一課であった考査課を考査室に拡充いたしまして、会長直属といたしまして、番組の制作、放送の実施、すべての場合を通じて、この準則に適合しているかどうかということを常時監視いたしておりまして、そうして一週一回の最高番組関係者の会議においては、この考査室長がそれぞれ結果的報告をすると同時に、番組制作の過程においても、放送局長もしくは各制作局長に対して意見を述べ、その反省を求めるという制度をつくっております。私どもといたしましては、もちろん現在でも、先生の御指摘のとおり、ときに完ぺきであるかいなかを疑うような番組も出ていることは、率直に認めざるを得ないかと思いますが、少なくとも私は、NHK会長といたしましては、この点には全力を注いでまいりたいと考えておりますし、特に私は、職員全体に対して、単に放送法上の形式的責任の問題のみならず、社会的責任をこの際痛感すべきであるということを職員一同に申し伝えております。今後もこの問題については全力をあげて、私といたしましても、微力ではございますが、この精神を守ってまいりたい、このように考えております。
  29. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体御趣旨のとおり、いまお述べになったとおりにやっていただけば、私は問題はないと思います。十分御注意くださって、社会公共の利益、ことに影響の受けやすい青少年というものを守っていけるような番組編成を期待しております。  それから、このついでにもう一つ申し上げたい。実は私、逓信委員を長いことやっておりますので、参議院のいろいろな委員会の方から、ときに触れてそういう話をされるのですが、考えてみると、なるほどもっともだと思うので、きょうはあえて速記をつけて申し上げたいのですが、それは——民放のほうは、これはいわば放送機関であっても性質が違う。営業でありますから少し性質が違うと思うのですが、NHKは、先ほども申し上げたように、公共機関ですから、少し考え方を変えてもらわなければいかぬと思うのは、国会関係ラジオテレビを通じての報道です。参議院の者が痛感しておりますことは、これは衆議院と対抗をしてどうしてくれ、こうしてくれということではないのですが、同じような問題を扱っておっても、たとえば本会議でも、予算委員会その他でも、その問題の取り上げ方が、衆議院と参議院とでは非常に違う。NHK自身も違って扱っておられる。衆議院の代表質問というのは、これはまあ一番重要なものでありましょうから、全部なまで中継をしておられる。これもけっこうだと思います。しかし、同じような問題を参議院で取り上げた場合には、衆議院に対して比較してみますと、これは取り上げ方がきわめて軽い。時間から申しましても、内容から言いましても、参議院というものに対するNHK考え方がどうなんだろうかということを疑わざるを得ないような結果になっております。で、時間が長かったり、質問者、あるいはそれに対する答弁というようなものを一々報道することが必ずしも適当であるかどうかは疑問でありますけれども、しかし、御承知のとおり、いまの憲法下、二院制度のもとにおきましては、衆議院と参議院というものは、これはだいぶ構成要素も違っておりますし、同じ問題を取り上げるにしたって、与党も野党もだいぶニュアンスが違うわけです。やはり衆議院ではこの問題はこうであったが、参議院ではこうなんだという事実を率直に国民に理解してもらえるようにするのが、公共機関であるNHKの一つの使命であると私は思うのです。きょうは参議院では代表質問はあったけれども、だれとだれとが質問をした、こんなことだったというようなことを、ただニュースの端にちょっと入れるということだけでは、あまりに衆議院との扱いが違うのじゃないかということをこのごろ痛感するものですし、各委員会の方々もそういう問題について関心を持っておられる人は、ときどきわれわれに、どうしたんだということを注意される。私は、まあ考えてみると、もっともだと思うのです。何も参議院をもっと重要視してくれとかというような意味で申し上げているのではありませんが、現在の二院制度のもとにおいて国政が行なわれておるわけでございますから、その審議内容というものはできればなるべく詳細に国民に知ってもらうことが必要だと思います。まあ衆議院と同程度にしろと言っても無理かもしれませんが、参議院の審議内容というものについては、公共機関であるNHKは、民放のように、番組が売れるか売れぬかとかいう問題とはちょっと違いますから、公共機関としては、当然そういったことについてもっと、私がこういうことを申し上げる前に配慮をせられてしかるべきではないかと思うんですけれども、どうもその点について、お考え方が少しわれわれと違うんじゃないかという気がするものですから、申し上げにくいことですけれども、この機会に申し上げておきます。で、もし何かそれに対して御答弁があれば、してください。
  30. 光村甚助

    光村甚助君 ちょっとそれに関連して一つ。  この間個人的に浅沼専務理事に申し上げておきましたが、それと大体似たようなことです。この間、総理大臣の衆議院における演説、これをNHKで取り上げられておるのです。それはベトナムに関する問題です。これは総理大臣の声だけが出て、それを非常に国会で拍手をしているわけですね。これじゃ国民は、総理大臣の言っていることだけが正当で、盛んに拍手をしている、一体野党は何やってんだということになる。これは私が議員になってからもかつて二回繰り返しこういうことに育っている。政府の発言だけを取り上げて、それがテレビを通じて声になっている。そういうのはやはり公平にしてもらわなくちゃ困るということを何回も言ってるんですね。その点も、いまの新谷さんの答弁に対して、あわせて御答弁願いたいと思う。
  31. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私どもといたしましては、国会の二院制度、この精神を完全に把握し、完全に尊重しておるつもりでございますが、結果から見て、その編集の技術がたまたまかなりの誤解を生んでいるのではないかという印象を、諸先生のお話を伺いながら受けました。これは率直な気持ちでございます。私どもといたしましては、でき得る限り諸先生の御意向に沿う編集技術の改善を加えてまいりたい、このように考えております。  新谷先生の御意見は、要するに、国会の二院制度の本質からいって、衆議院と参議院との報道の焦点をどこに置くかというお気持ちと関連している御質問だと思いますが、この点については、もちろん、その衆議院であるか参議院であるかを問わず、当面の問題の焦点が非常に大きくクローズアップされる場合の議場において、われわれは当然これを報道すべきであるというように考えます。  また、もう一つの御意見は、与党の、あるいは与党を基盤とする政府の発言が特にクローズアップされて、野党のこれに対する見解ないし態度がときに無視されるおそれがあるという問題かと考えますが、この点についても、私どもの責任といたしましては、そのような印象を与えることは、やはり結果から見て、気持ちのいかんにかかわらず、非常な誤解あるいは御不満をいただく結果となるかということを、私も率直にこれを認めざるを得ないと思います。  ただいまの両先生の御意見に対しましては、これを十分承って、編集技術ないし編成技術の改善に資したいと考えております。
  32. 田中一

    委員長田中一君) 本件については、本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後零時二十五分散会