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1965-05-07 第48回国会 参議院 地方行政委員会 第25号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十年五月七日(金曜日) 午前十一時五分開会
—————————————
委員
の
異動
四月二十七日
辞任
補欠選任
田中 啓一君
沢田
一精君 四月二十八日
辞任
補欠選任
近藤 鶴代君
大野木秀次郎
君
紅露
みつ君
村上
春藏
君 五月七日
辞任
補欠選任
沢田
一精君
北口
龍徳
君
村上
春藏
君
中上川アキ
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
天坊
裕彦
君 理 事 竹中 恒夫君 林
虎雄
君 委 員
北口
龍徳
君 中野
文門
君
中上川アキ
君
鈴木
壽君 松本 賢一君 二宮
文造
君 市川 房枝君 国務大臣 自 治 大 臣 吉武 恵市君
政府委員
自治政務次官
高橋
禎一
君
自治省財政局長
柴田
護君
事務局側
常任委員会専門
員
鈴木
武君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○新
産業都市建設
及び
工業整備特別地域整備
のた めの国の
財政
上の
特別措置
に関する
法律案
(内 閣提出、
衆議院送付
)
—————————————
天坊裕彦
1
○
委員長
(
天坊裕彦
君) ただいまから
地方行政委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 本日付、
沢田一精
君及び
村上春藏
君が
辞任
され、
北口龍徳
君及び
中上川アキ
君がそれぞれ選任されました。
—————————————
天坊裕彦
2
○
委員長
(
天坊裕彦
君) 新
産業都市建設
及び
工業整備特別地域整備
のための国の
財政
上の
特別措置
に関する
法律案
を議題といたします。
提案理由
の
説明
はすでに聴取いたしておりますので、これより
補足説明
を願います。
柴田財政局長
。
柴田護
3
○
政府委員
(
柴田護
君) 新
産業都市建設
及び
工業整備特別地域整備
のための
財政
上の
特別措置
に関する
法律案
につきまして、補足して御
説明
申し
上げ
ます。 この
法律
を提案いたしました趣旨その他につきましては、すでに御
説明
をいたしておりますので、
法案
の
中心
をなしまする
地方債
の
利子補給
、国の
負担割合
の
特例
の
二つ
の
内容
につきまして、ごく簡単に御
説明
申し
上げ
ます。 お
手元
にお配りいたしております
資料
をごらん願いたいと思いますが、この
資料
がその
仕組み
を図解したものでございます。 第二条に
地方債
の
利子補給
の
規定
がございますが、結局
府県
につきましては、新
産業都市建設地域
の
府県
は、そのほとんどが
後進地域
の
公共事業
の
国庫負担金
の
かさ上げ
の
特例法
が
適用
になりますので、この
法案制定
の過程におきまして、いろいろ
関係当局
と折衝いたしました結果、
府県
につきましては、
先行投資
という意味合いから、むしろこれを
低利
の
融資
という形に切りかえるということにいたしたわけでございまして、第二条に書いてございますように、法定の
事業
に
充当
いたしまする
地方債
につきまして
充当率
を
かさ上げ
いたしまして、これに対しまして許可された
地方債
につきましては、三分五厘をこえまして八分までの
部分
について
利子補給
をする、こういうことにしたわけでございます。八分に押えましたのは、最近の
公募債
の利率の
状況
から見てまいりますと、八分をこえるものはまずないというように考えられますので、それらの点を勘案いたしまして八分に押えたのであります。三分五厘といたしましたのは、
再建促進特別措置法
をつくりました場合の
利子補給
の
最低限度
が三分五厘でございましたので、その他を勘案いたしまして、まず
低利融資
といいますには三分五厘
程度
でまあとまるじゃないだろうかといったような
事情
を判断いたしまして三分五厘としたわけでございます。したがいまして、その図解にございますように、
通常
の
補助率
を
適用
いたしまして、
補助
を受けました
残り
の
地方負担部分
について、かりに四〇%が
通常
の
充当率
といたしますと、残った六〇%というものは
一般財源
で支弁するわけでございますが、この
新産都市関係
、
工特関係
の
事業
につきましては、残った
部分
のさらに半分の
地方債
を
充当
をする、したがって
残り
の半分が
一般財源支弁
になるわけでございまして、かりに四〇%の
充当率
が普通だといたしますならば、残った
地方負担
の
部分
でその七〇%が
地方債
になって、
一般財源
が
残り
ました三〇%となる、こういうことになるわけでございます。したがって、その
かさ上げ部分
の
地方債
につきまして
利子補給
があるということになるわけでございます。
法律案
には「
住宅
」と「
道路
、
港湾等
の
輸送施設
」と書いてございます。その他こまごましたものば
政令
で定めることにいたしておりますが、現在の
段階
で予定いたしておりますものは、
一般補助事業
の中では
道路——
これは街路を含むのでありますが
——
それから
公営住宅
、
空港
、
河川港湾
、海岸、漁港、これらの
直轄事業
でございます。それの
負担金
ということを予定いたしております。いわゆる
直轄事業債
といわれるものでございます。 それから第三条は、国の
負担割合
の
特例
でございます。
市町村
につきましては、
府県
の場合のように
後進地域
にかかる
公共事業
についての
特例
といったものもございませんので、どうしても
市町村
には何らかの
措置
をする必要があると考えております。また実際問題といたしましては、これが一つの総合的な
地域開発事業
であります
観点
から考えますならば、
市町村
に相当の
事業
が集中するわけでございます。そういう
観点
から、
市町村
につきましてはむしろその
財政力
の小さいこと等をも勘案いたしまして、
補助率
の
かさ上げ
を
中心
に考えたわけでございます。その
事業
は
法律案
では「
住宅
」、「
道路
、
港湾等
の
輸送施設
」、それから「下水道」、「
教育施設
及び
厚生施設
」、それから「その他
政令
で定める主要な
施設
」というふうに書いてございますけれ
ども
、予定をいたしておりますのは、このほかには、たとえば、
し尿処理施設
でございますとか
保育所
、こういったものを考えておる次第でございます。その
補助率
の
仕組み
でございますが、ごく簡単に申し
上げ
ますならば、
通常
の
地方負担額
をこえる
部分
について、
事業量
がふえてまいりますと
地方負担
もかさむわけでございますので、その
部分
について、
事業
がふえるに従って逓増的に
補助率
を引き
上げ
てまいる、その際に、
財政力
のあります
団体
につきましては、
財政力補正
をこれを作用せしめまして、若干
割り落とし
をする、こういう
考え方
であります。言うなれば、
事業量補正
というものと
財政力補正
とをミックスした案でございます。
算定方法
は、第四条の中に数式でもって明示しております。ややこしゅうございますので図示したものをごらん願いたいと思いますが、お配りいたしました
資料
の二枚目にその
関係
を図示いたしておりまして、
標準負担額
というのがございますが、
標準負担額
というのは、
当該地方団体
のその
年度
の
普通交付税
の額、それに
基準財政収入
をひっくり返しました額、つまり
基準財政需要額
に税の二割なり三割なりというものを足したものでございますが、これの三カ年
平均
というものでございます。その
標準負担額
までのものについては
補助率
の
かさ上げ
は行なわないけれ
ども
、それをこえて
地方負担
がふえてまいりますと、それがふえるに従って、
上の線
で明示しておりますように、二倍までの間については二割五分を
限度
として
補助率
が上がって、
標準負担額
の二倍をこえますものにつきましては二割五分で押えてしまう、しかし、この二割五分
補助率
を
かさ上げ
したものが八割をこえます場合には八割で押える、つまり頭打ちは八割、かさあげ
割合
は二割五分ということにして、
標準負担額
の二倍を
限度
として逓増的に
補助率
を
上げ
ていくということになるわけでございます。
斜線
を引いてあります
部分
が
補助率
が逓増していく姿をあらわしたものでございます。その場合に「
財政力指数
〇・七二以上の
団体
の場合」と書いてありますが、これは
財政力
の
全国平均値
をこえる
団体
でありまして、その
団体
につきましては、そのこえる
部分
だけを
割り落とし
をするということになるわけでございます。したがって、二本
斜線
が引いてあります場合の一番下の線から一番
上の線
、「
財政力指数最低
の
団体
の場合」と書いてあるこの
二つ
の間に、
財政力指数
が
平均値
以下の
団体
、
財政力指数
が〇・七二以下の
団体
についてはおさまるわけであります。つまり
財政力指数
がどんなに高くございましても、
補助
の
かさ上げ
があるわけでありまして、
事業量
がふえてまいりますれば、それに応じて
補助率
が
かさ上げ
される、つまり
事業量補正
でございますので、その
団体
の
財政力いかん
にかかわらず
事業量
がふえて、
地方負担
がふえてまいりますれば、それに応じて一定の
部分
だけは
補助率
の
かさ上げ
をしていく、しかし
財政力
が悪い
団体
については、この
割り落とし
はないということになるわけであります。 この
補助率
の
かさ上げ
につきましては、ほかの
法律
との関連が出てまいりまして、
地方財政再建特別措置法
によるところの
特定事業
の
補助率
かさ上げ
規定
が働くものにつきましては、これは
地方再建団体
でございますが、この
部分
につきましてはこの
後進地域
、この
新産都市
の
かさ上げ
による
補助率
の引き
上げ
が有利な場合においてはそれに従うということになっております。また、
北海道
の
特例規定
につきましても同じような
考え方
をとっております。第五条の第二項にその間の
規定
を書いておりまして、
北海道
には国の
負担割合
の
特例
がございますが、その
特例
による場合が有利な場合はそれによる、しかしこの
新産法
によるところのこの
法律案
にによるところの
補助率
の
特例
、
かさ上げ計算
をいたしまして、それが有利な場合はそれによる、こういう
規定
を置いております。 なお、この
特例法
の
措置
の
適用
の
範囲
でございますけれ
ども
、
事業別
につきましては、先ほど申し
上げ
ましたとおりでありますが、
年度別
に申し
上げ
ますならば、
地方債
の
利子補給
につきましては、
昭和
四十
年度
から五十
年度
までの各
年度
において借りたものについて、
昭和
四十
年度
から五十五
年度
までの
年度
において支払うべき
利子支払い額
、これについて
利子補給
をする。また
負担割合
の
特例
につきましては、
昭和
四十
年度
から五十
年度
までの各
年度
において行なう
事業
について
適用
するということにいたしております。新
産業都市
並びに
工業整備特別地域整備事業
につきましては、いずれも
昭和
三十九
年度
から
昭和
五十
年度
までということで
計画
が立てられ、
総額
六兆三千億円の
計画
が立てられておるのでございますが、これを
年度
を切りましたのは、
地方債
の
利子補給
については、なおさらに償還が続くわけでございますけれ
ども
、まあ
昭和
五十五
年度
まで一応
補給
をすれば、
事情
は相当変わってきておるわけでございますし、その
地域
の姿も変わり、
財政力
もできておることでございますので、まず五十五年で一応いいのじゃなかろうか。そういうことで、
利子補給
につきましては、若干五十
年度
から延ばし、五年
程度
延ばして打ち切ることに一応いたしておるわけでございます。 それから、なお附則で、「
後進地域
の
開発
に関する
公共事業
に係る国の
負担割合
の
特例
に関する
法律
の一部改正」をいたしておりますが、これは、
後進地域
の
開発
に関する
公共事業
、それの中に
空港
とそれから
圃場関係
を加えることにいたしたのであります。したがって
農業施設
を加えることにいたしました。要するに、
後進地域
の
補助率
かさ上げ
の
対象事業
の
範囲
を拡大をしたわけでございます。 以上簡単でございますが、
補足説明
を終わらしていただきます。
天坊裕彦
4
○
委員長
(
天坊裕彦
君) それではこれより
質疑
を行ないます。御
質疑
のおありの方は順次御発言願います。
林虎雄
5
○
林虎雄
君 お聞きしたいことは、
新産都市
の指定が先般なされたわけでありますが、まああのときは非常な激甚な
候補地競争
で争われたわけでありますが、ようやくあのときの興奮がさめて、これからいよいよ
新産都市
の
実施
という
段階
になったと思いますけれ
ども
、
政府
の
建設
への
考え方
といいますか、
新産都市
の
法律
を立てたこの
考え方
と、それから現在の
方法
とが、かなり混迷しているように思われるわけであります。
立法化
に踏み切った動機というものをよく考えて見ますと、まあ私の理解によりますと、既存の大
工業都市
の
産業
及び人口の
過度集中
という深刻な弊害があります。これを除去し、
地域格差
の
是正
と、そうして新しい
産業
を、一
地方
という問題でなくて、国全体のバランスを合わせようという、国家的な
要請
であったと思うわけでありますが、そのように理解していいわけですか。
高橋禎一
6
○
政府委員
(
高橋禎一
君) 御
承知
のようにこの
新産都市整備促進法
、これの
目的
は、
法律
にも定めておるとおりでありまして、やはり
法律制定
当時と今日と、
新産都市
の
整備促進
ということについてのねらい、
計画
というものは、やはり一貫していると思うのであります。ただ、その
実施
の
方法等
につきましては、
基本計画
に盛ってあるところでありまして、具体的にそれを
実施
してまいります場合には、やはりそのときの実情に即した
方法
ということになりますから、
方法そのもの
は、時代の進運といいますか、変化に従っていろいろ考慮されることであろうと存じております。お話にございましたように、この
制度
が樹立されましたことは、やはりおもなる点を取り
上げ
て申しますと、
過密都市対策
と申しましょうか、そこに存在する幾多の
問題解決
の一助ともなり、また一面、国全体の
均斉
のとれた
都市づくり
、
経済
、
産業
の
発展
、また文化、
社会生活
の向上ということにねらいがあるわけでありまして、まあ
全国新産都市
として指定されました十三カ所、それに、
目的そのもの
が若干の相違はありますけれ
ども
、六カ所指定されている
工業整備特別地域
、これらの
計画
的な
発展策
というものを遂行してまいりますところに、
地域格差
の
是正
、こういう大きな
役割り
を果たすであろうと存じますし、そうして、さらにそれは拠点的なものであって、これに近接する諸
地域
に、すなわち
周辺地区
に、また
波及的効果
というものがございまして、先ほど申し
上げ
ましたように、そうして御質問にございましたような、いわゆる
全国
に均衡のとれた
発展
と、こういうことが結果としてもたらされるという大きなねらいをもって
計画
を立て、それを促進していこう、そういうふうな意図、これは
法制定
当時も今日も、いささかも変更しておるわけではない。そのように御了承いただきたいと思います。
林虎雄
7
○
林虎雄
君 ただいま次官から
お答え
いただいたのでありますが、
政府
はこの
法律
を制定して以来、この
法律
の精神というものに対しては一貫して別に変わらないという御
答弁
でありますけれ
ども
、
お答え
にありますように、
国民経済
の
均斉
のとれた発達をはかるために、この
新産都市
の
考え方
というものは一
地方
の問題でないということは明らかだと思います。 そこでお伺いしたいことは、最近、国会の
答弁
で、
政府
は
地方
の
盛り上がり
に対してこれを
援助
していこう、
援助
を与えるにすぎないという
印象
を受ける
答弁
を受けておるわけでありますが、
地方
も真剣になって
——
もちろん真剣ですが
——盛り上がり
をしなければやらないというふうにもとれるわけです。ですから、
新産都市そのもの
は、いま
お答え
になったように、国家的な必要から、国家的な
要請
から行なわれたとするならば、
地方
の
盛り上がり
が不十分だから
援助
を与えない、与えるというような、何か
地方
に主体があるような
印象
を受けるわけですが、とするならば、どうも問題を
地方
に
責任
を転稼して、
政府
は
責任
を回避しているというふうに思えてしかたないわけですが、この点はどうなんです、
政府
の
答弁
の食い違いでしょうか。
高橋禎一
8
○
政府委員
(
高橋禎一
君) 新しい
都市づくり
ということに関しての
考え方
はいろいろあると存じますが、やはりこれは
地方公共団体
と国とが力を合わせてやらなければならない
仕事
であることは申し
上げ
るまでもございませんが、やはり私
ども
は、この
地方自治
ということをどこまでも尊重してまいらなければならないと存じます。したがいまして、やはりこの
新産都市
にいたしましても、
工業整備特別地域
にいたしましても、そこの
地方公共団体
がやはり
自主性
というものをどこまでも
確保
してまいらなければなりませんし、そして、それにはやはり広域的な
行政
ということも考えられますので、
基本計画
の樹立ということになりますと、やはり知事が一応それを策定して、そうして
政府
の承認を得る、そういう形をとっておることは御
承知
のとおりでありまして、そういう形においてそれを国がやはりできる限り
援助
して、
地方公共団体
の
自主性
、
地方自治
というものを尊重しつつ、その
地方地方
に即した新しい
産業都市
を
建設
していこう、そして国もこれを助けていこう、そこに
地方自治
の立場を守りつつ
地方公共団体
と国とが調和をとって、そうしてこの大きな
仕事
を完遂していこう、こういうたてまえのものでございまして、こういう考えは
政府
のこれまで申し
上げ
ておるところでございまして、そこに私
ども
といたしましては矛盾というようなものを感じておらないわけでございまして、この点を申し
上げ
る次第です。
林虎雄
9
○
林虎雄
君 いま
お答え
いただいて、理屈としてはそうであります。
中央
と
地方
とが力を合わせて
建設
しなければならないことは当然でありますし、
地方自治
を尊重しながら、その
自主性
の
確保
の上に
建設
しなければならない、これはもう当然であろうと思いますが、問題は、そういう
制度
とか
計画
とか、いろいろそれはありますけれ
ども
、
地方
の
計画
というようなものはありますけれ
ども
、せんじ詰めれば
新産都市
を
建設
するためには膨大な
投資
が必要になるわけです。十カ年間に四兆三千億というこの
財政
を、
地方
の
自主性
の
確保
といいましても、
財政
的に国が
責任
を持って積極的に行なわなければどうにもならないというのが現況ではないかというふうに思うわけであります。ことばの上では
地方自治
を尊重するといっても、
財政
的に国がもっと
責任
を持つ態度を明らかにする必要がある。ところが、どうも今度のこの
予算
ですね、
予算措置
にしても、
特別措置
に関する
法律案
の
内容
にいたしましても、どうも最初の夢と現実とがあまりかけ離れておるようなことになるのじゃないかと思うのです。
財政
的にあまり貧弱過ぎて……。そこに問題があると思うので、たとえば
地方自治
、
自主性
ということをいいましても、すでにかなり
先行投資
が進んでおります岡山の
水島工業地帯
、これは私、先年視察したことがありますけれ
ども
、この倉敷の
先行投資
による大きな
赤字
に見られるように、
地方団体
が非常に
財政
が悪いわけです。そうしてまた、四日市のコンビナートに見られるように、公害の
深刻化
、そういうような
状況
に対しまして、さらに現在
経済
も不況でありますが、土地の造成の
基盤整備
に非常な巨額の
投資
をしても、逆に企業が誘致できない、進出してこないというようなところもありますし、そういうことを考えてみますると、特に
財政
上においては、もう
赤字信号
も至るところに出ております
地方
に対しまして、
政府
はかなり思い切った
予算措置
をとらない限りは、せっかくの新
産業都市
の構想も夢のようになるのではなかろうか。夢でなくても、中途はんぱなものになるのではなかろうかということを憂慮するわけでありますが、これからこの数字についてちょっとお聞きしたいわけですけれ
ども
、四兆三千億という、これは五十
年度
までにいろいろな方面に対しまして
投資
するわけですけれ
ども
、四兆三千億というこの
計画
が、国の
負担
、それから
地方
の
負担
、あるいは
関係者
の
負担
ということになると思いますけれ
ども
、その
年次計画
というものはできておるのでございますか。本
年度
において国のほうは、ここにありますように、
利子補給
と、それから若干の
かさ上げ程度
で、四十億の
程度
でありますけれ
ども
、こんなことをしておって十カ年に完成する
年次計画
というものができておりますかどうか、ひとつ
財政
局長いかがですか。
柴田護
10
○
政府委員
(
柴田護
君)
お答え
申し
上げ
ます前に、先ほど御
説明
申し
上げ
ました中で、ちょっと言い間違いがございましたので、
訂正
をさせていただきたいと思います。それは
標準負担額
の
計算
をいたします場合に、三年
平均
と申し
上げ
ましたが、三年
平均
にいたしますのは
財政力指数
の場合の
計算
でございまして、
標準負担額
の場合は
年度年度
の
計算
によるわけでございます。その点は、私の御
説明
がちょっと間違っておりましたので、
訂正
をいたします。 お尋ねの点につきましては、御
指摘
のように
総額
で四兆三千億という
計画
が、
新産
、
工特
を含めましてあるわけでありますが、
年次割り
の
計画
というものが実はできておりません。で、これは具体的には
補助事業
の個所づけを全部終わってしまいませんと、その年にどれだけの
事業
が行なわれ、それによって
地方負担
がどれだけ出てくるかということが実は見当がつかないのであります。ごく大ざっぱな
推計
のようなものはございますけれ
ども
、具体的に
年次割り
的に
事業年度ごと
の
計画額
というものは、あたかも
継続費
のような形できまってはいないのであります。その点は、御
指摘
のように非常に私
ども
といたしましても心配をいたしておるわけでございます。結局は、どこかでこれを取りまとめて、そしてこれを推進していくという
役割り
を果たさねばならぬと思うのであります。
主管省
であります
経済企画庁
の御
意見
では、
法律
にあります新
産業都市建設協議会
というものの活用によって、その間の
調整
もはかり、そして
年度別
の
進行状況
の
調整
も行なっていくということを期待しておりながら、それを主にして
中央
でいろいろバックアップをするという形をとろうとしておるようであります。私
ども
も、それはそれで、この
法律
の
仕組み
からいいますならば、そういうことになるんであろうと思うのでありますけれ
ども
、
財政
上の問題といたしましては、それだけで手をこまねいて待っておるわけにもまいりません。やはり私
ども
は私
ども
なりに、
地方
の各
府県
なり
市町村
の
計画
というものを、ある
程度
取りまとめて、そして必要な
意見
を
経済企画庁
に述べて、積極的にその間の
調整
をはかるようなことをやっていきたいというように考えておるわけでございます。何ぶんにも去年から始まりました
事業
であります。
昭和
四十
年度
が実質上の初
年度
でありますので、いま私
ども
の
手元
でこの
新産都市関係
並びに
工特関係
の
事業
のつき方、
補助事業
のつき方というものを集めております。この結果を見て、それぞれ必要な
措置
を講じてまいらねばならぬというように考えております。
林虎雄
11
○
林虎雄
君 いま
お答え
いただいたように、確かに
年次計画
といいましても、まだ個所づけ、
個々
の具体的なものの
推計
、計数が出ないので、先の先までの
計画
は立てられないという、そのことはよくわかりますけれ
ども
、結局、私は四兆三千億というものの
計画
というものは、かなり水増しがある、実際はこんなにできないんじゃなかろうかということを、
自治省
のほう、
政府
のほうでは考えておるのではないか。この点どうですか。これはまあいろいろ
個々
の具体的な問題が出てきて、
計画
していって、五十
年度
に完成した結果、ふたをあけてみたらこの半分であったとか、三分の一であったとかということになるおそれがあるような感じがいたしますが、その点の見通しはどうですか。
柴田護
12
○
政府委員
(
柴田護
君) 四兆三千億のうちで、前半の三十九
年度
から四十五
年度
までの間に、大体二兆三千億
程度
の
仕事
をする、こういう
計画
であります。これを三十九
年度
にどれだけ行なわれたかという実績をとってまいりますと、三十九
年度
に千八百三十五億円の
事業
が行なわれた。で、この千八百三十五億円を基礎にいたしまして
推計
をいたしてまいりますと、四十
年度
には二千三百四十億円
程度
の
事業
というのが出てくるのであります。実際に二千三百四十億になるかどうかということは、
補助事業
がはりついてまいりませんとわかりませんが、しかし、三十九
年度
を基礎にして一つのカーブを描く。大体年率二〇%
程度
の伸びということを前提として
計算
してまいりますと、四十
年度
は二千三百四十億ぐらい、四十五
年度
が四千九百億円前後の
事業
ということになるわけでございます。このくらいの
程度
で
事業
の推移を考えてみますと、大体この御提案申し
上げ
ております
財政
措置
というものとかみ合わして考えてみますると、そう無理のない姿が出てくるのじゃないか。むしろ、当初考えておりましたのは、四十五年ぐらいまでに四兆三千億をこなそうというくらいの
計画
であったのでありますが、その後、
経済企画庁
でいろいろ各県の
計画
をセレクトし、トレースした結果、四兆三千億というのは五十
年度
までだ、四十五
年度
までには二兆三千億だというような形でおさまったわけであります。そうしてまいりますと、三十九年から四十五年までの間で二兆三千億
程度
の
事業
ということになりますと、大体この
財政
的な
援助
措置
ということで、そうあまり無理がかからないようになるのではなかろうかというように私
ども
は見るのであります。しかし、ただ、実際に
事業
がどのような形ではりつきまして、それがどういう波紋を
団体
に及ぼしますかということになりますと、
個々
の
団体
をつかまえて厳密に
計算
をしてまいらなければなりませんので、いまここでにわかにすべてが心配ないということを言い切る自信は、正直に言ってございませんけれ
ども
、しかし、全体としての姿から言いますならば、まあ御心配になりますように、そうとてつもないたいへんなことが起こるというようには考えられないのでございます。
林虎雄
13
○
林虎雄
君 予定どおりにできる見通しがあるということはけっこうでありますけれ
ども
、そこで、ただいま局長さんから
補足説明
のありました、この
補助率
引き
上げ
の図でありますけれ
ども
、
財政力指数
の〇・七二以上の
団体
の場合があります。その上に
財政力指数最低
の
団体
の場合と、
二つ
に分かれて
補助率
が違っておりますけれ
ども
、
新産都市
の、あるいは工持
地域
に指定されております
市町村
の
財政
状況
によりますと、
新産
地区が二百六十三
市町村
のうちで九十五
市町村
が
赤字
団体
のようであります。それから、
工特
地帯は百一
市町村
のうちで三十
市町村
が
赤字
のようでありますが、これでこの場合、
財政力指数
の〇・七二以上の
市町村
と、それから最低の
団体
の場合の
市町村
の数か、あるいは率か、そういうものをお調べになっておいでですか。
柴田護
14
○
政府委員
(
柴田護
君) ただいま御
指摘
になりました
赤字
団体
でございますが、私
ども
の調べでは
——
もっとも三十九
年度
でありますと若干変わるかと思いますが
——
三十八
年度
の
赤字
団体
の数、この
新産
、
工特
地域
を合わせまして、
市町村
の数は、
新産
が二百八十八
市町村
、
工特
が八十三
市町村
、合計三百七十一
市町村
でありますが、この中で
赤字
団体
、三十八
年度
の
赤字
を出している
団体
は四十九
団体
であります。
新産
地区が三十五
団体
、
工特
地区が十四
団体
であります。それからさらにその中で再建をやっております
団体
、いわゆる準用
団体
も含めまして、それが
新産
地区で十四
団体
でありまして、
工特
地区が六
団体
であります。
個々
の
財政力指数
の
計算
はいまいたしておりますところであります。特にこれは翌
年度
精算でありますので、三十七、八、九の三カ年の
平均
をとるわけであります。それによってこの指数が変わってまいりますので、
計算
半ばでありまして、いま明確にはわかっていません。
林虎雄
15
○
林虎雄
君 最後に、
新産都市
、
新産都市
といって
地方
も大騒ぎで指定を受けて、桃色の夢をみんな描いたわけでありますけれ
ども
、振り返ってみますと、
産業
の
基盤整備
というものに重点が置かれて、公害の対策であるとか、あるいは生活の
基盤整備
というような住民福祉が軽視されておるというふうに考えざるを得ないわけでありますが、佐藤内閣の社会
開発
ということは、その全般を含めての構想のように思いますけれ
ども
、生活基盤の整備であるとか、あるいは公害対策であるとかいうことに対しては、もっと積極的に対策を講じなければならないと思いますけれ
ども
、この点どういうお考えをもっておいででしょうか。
柴田護
16
○
政府委員
(
柴田護
君) 先ほど御
説明
申し
上げ
ましたように、
法案
の中には、特に
市町村
の
事業
には、
住宅
とか下水道あるいは
教育施設
なり
厚生施設
も入れておりまして、相当幅広くそういう環境整備というものに意を用いているつもりでございます。ただ衆議院の
段階
でも問題がございましたが、上水道あるいは工業水道というものにつきましては、この
援助
措置
の対象にはいたしておりません。これにつきましては、この水道なり工業水道というもののあり方について現在公営企業
制度
調査会で御検討いただいておりますので、その結論を待ちまして必要な
措置
をとってまいりたいと思うので、現在はその
措置
からははずしたのであります。事は、公営企業、独立採算制という従来のたてまえを一応前提にしてはずしたのでありますけれ
ども
、衆議院の
段階
でもいろいろ御議論がありましたこの
部分
につきましては、やはり一種の
先行投資
なのだから、それだけではいけないのではないかというようなお尋ねもあったのでありますが、私
ども
もその趣旨につきまして、わからぬでもないのでありますけれ
ども
、何ぶんにもせっかくそのあり方について御検討をわずらわしておるさなかでありますので、その結論を待って
措置
をしたい、こういうことでこの
二つ
はきております。 なお、公害の問題につきましては、御
指摘
の点はごもっともと思うのでございますけれ
ども
、これはひとり
新産都市
、
工業整備特別地域
のみならず、現在の過密
地域
といわれる
地域
につきましても、何らかの形でもって公害に対する
財政
的な
措置
、あるいは企業者の
責任
といったようなことを、どのような形でこれを
制度
化するかという問題が先にあるかと思います。したがって、そのほうの
問題解決
を急ぐのが先じゃないかと思います。この解決によって、自然、
新産都市
なり
工特
地域
なりについての
措置
というものも自動的に出てくることになるのじゃなかろうか、むしろ
新産
、
工特
地域
よりか先に早く
財政
的な
措置
を明確にすべきところがあるじゃないか、たとえば四日市でございますとか、あるいはその他の
地域
等につきまして、あるじゃないか、そっちの
措置
を急ぐことが先決だという
考え方
で、この
援助
措置
の中では公害問題は触れなかった、こういう次第でございます。
林虎雄
17
○
林虎雄
君 最初に申し
上げ
ますように、
地方債
の
利子補給
、それから国の
負担割合
、この
二つ
がこの
法案
の
中心
でありましょうが、いずれにしても少な過ぎて、
地方
のほうでは非常に期待を持っておったのに、この
法律案
の
内容
によれば、かなり失望しているわけです。最初の幻想とはかなりかけ離れているという
印象
を
地方
の当該
関係者
は持っていると思うのでありまして、ここに問題があると思うのであります。局長さんの
お答え
では、この
計画
で四十五年までに二兆三千億ですか、そういう
計画
で予定どおりやっていけるということでありますが、その点、私は疑念を抱くわけですので、この
計画
で順調に進めていけば可能であるという御見解について、もう一ぺんお聞きいたしたいと思います。
柴田護
18
○
政府委員
(
柴田護
君) ほかの
委員
会等におきましても
お答え
したことがあろうと思うのでございますが、この
法案
をつくりました趣旨は、新
産業都市建設
促進法の第十九条に書いてあります条文の趣旨を、国として明確にするというところに意味がある。つまり、新
産業都市建設
事業
、
工業整備特別地域整備事業
というものが本格化いたします
段階
におきまして、
政府
としての
財政
援助
のルートというものを明確にする、そこに非常に大きな意味があるというように私
ども
は考えておるわけであります。先ほど来申し
上げ
ましたことは、現在
経済企画庁
で策定いたしました
基本計画
というものを前提として、一方三十九
年度
の実績を基礎にして
推計
いたしてまいりますれば、先ほど来
お答え
いたしてまいりましたように、そうとんでもないようなことが起こるとは思えない。しかし、物価等の変動がありましょうし、あるいはこの
計画
でも、実行の過程におきましていろいろの問題が出てくるかもしれない。そうなってまいりますと、先行きこの
法律
ですっかり
計画
が遺憾なく実現するということは、必ずしも保証できない。それはそのときに応じて
計画
も練るでありましょうし、
援助
措置
というものがこの
法律
で期待できない場合におきましては、それに沿って必要な
訂正
をやっていかなければならないというように思っております。現在
経済企画庁
で考えております諸点を前提といたしますれば、この
措置
でまずいけるのじゃなかろうかという感じがするのであります。もっとも、これには単にこの
法律
だけではございませんで、国税の算定の問題でございますとか、あるいは
地方債
のつけ方とかというものにつきましても、私
ども
は私
ども
なりに、さらに反省していかなければならぬ点があることは自覚いたしておるのでありますけれ
ども
、まあまあ国の
援助
措置
として、ほかの
特別措置
等との均衡を考えてまいりますならば、この
程度
のもので何とかすべっていけるのではなかろうかというように思うのでございますが、たびたび
お答え
申し
上げ
ておりますように、将来、
計画
自体に変更が起こってくるということも考えられるわけでもございますので、その際におきましては、必要な
訂正
あるいは改定といったようなことも起こり得るかと思うのでございます。
天坊裕彦
19
○
委員長
(
天坊裕彦
君) 本日の
質疑
はこの
程度
にいたしまして、次回は五月十一日火曜日午前十時開会の予定でございます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時一分散会 —
——
——
・—
——
——