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1965-05-07 第48回国会 参議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月七日(金曜日)    午前十一時五分開会     —————————————    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      田中 啓一君     沢田 一精君  四月二十八日     辞任         補欠選任      近藤 鶴代君    大野木秀次郎君      紅露 みつ君     村上 春藏君  五月七日     辞任         補欠選任      沢田 一精君     北口 龍徳君      村上 春藏君     中上川アキ君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 竹中 恒夫君                 林  虎雄君     委 員                 北口 龍徳君                 中野 文門君                 中上川アキ君                 鈴木  壽君                 松本 賢一君                 二宮 文造君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  吉武 恵市君    政府委員        自治政務次官   高橋 禎一君        自治省財政局長  柴田  護君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日付、沢田一精君及び村上春藏君が辞任され、北口龍徳君及び中上川アキ君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案を議題といたします。提案理由説明はすでに聴取いたしておりますので、これより補足説明を願います。柴田財政局長
  4. 柴田護

    政府委員柴田護君) 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための財政上の特別措置に関する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。  この法律を提案いたしました趣旨その他につきましては、すでに御説明をいたしておりますので、法案中心をなしまする地方債利子補給、国の負担割合特例二つ内容につきまして、ごく簡単に御説明申し上げます。  お手元にお配りいたしております資料をごらん願いたいと思いますが、この資料がその仕組みを図解したものでございます。  第二条に地方債利子補給規定がございますが、結局府県につきましては、新産業都市建設地域府県は、そのほとんどが後進地域公共事業国庫負担金かさ上げ特例法適用になりますので、この法案制定の過程におきまして、いろいろ関係当局と折衝いたしました結果、府県につきましては、先行投資という意味合いから、むしろこれを低利融資という形に切りかえるということにいたしたわけでございまして、第二条に書いてございますように、法定の事業充当いたしまする地方債につきまして充当率かさ上げいたしまして、これに対しまして許可された地方債につきましては、三分五厘をこえまして八分までの部分について利子補給をする、こういうことにしたわけでございます。八分に押えましたのは、最近の公募債の利率の状況から見てまいりますと、八分をこえるものはまずないというように考えられますので、それらの点を勘案いたしまして八分に押えたのであります。三分五厘といたしましたのは、再建促進特別措置法をつくりました場合の利子補給最低限度が三分五厘でございましたので、その他を勘案いたしまして、まず低利融資といいますには三分五厘程度でまあとまるじゃないだろうかといったような事情を判断いたしまして三分五厘としたわけでございます。したがいまして、その図解にございますように、通常補助率適用いたしまして、補助を受けました残り地方負担部分について、かりに四〇%が通常充当率といたしますと、残った六〇%というものは一般財源で支弁するわけでございますが、この新産都市関係工特関係事業につきましては、残った部分のさらに半分の地方債充当をする、したがって残りの半分が一般財源支弁になるわけでございまして、かりに四〇%の充当率が普通だといたしますならば、残った地方負担部分でその七〇%が地方債になって、一般財源残りました三〇%となる、こういうことになるわけでございます。したがって、そのかさ上げ部分地方債につきまして利子補給があるということになるわけでございます。法律案には「住宅」と「道路港湾等輸送施設」と書いてございます。その他こまごましたものば政令で定めることにいたしておりますが、現在の段階で予定いたしておりますものは、一般補助事業の中では道路——これは街路を含むのでありますが——それから公営住宅空港河川港湾、海岸、漁港、これらの直轄事業でございます。それの負担金ということを予定いたしております。いわゆる直轄事業債といわれるものでございます。  それから第三条は、国の負担割合特例でございます。市町村につきましては、府県の場合のように後進地域にかかる公共事業についての特例といったものもございませんので、どうしても市町村には何らかの措置をする必要があると考えております。また実際問題といたしましては、これが一つの総合的な地域開発事業であります観点から考えますならば、市町村に相当の事業が集中するわけでございます。そういう観点から、市町村につきましてはむしろその財政力の小さいこと等をも勘案いたしまして、補助率かさ上げ中心に考えたわけでございます。その事業法律案では「住宅」、「道路港湾等輸送施設」、それから「下水道」、「教育施設及び厚生施設」、それから「その他政令で定める主要な施設」というふうに書いてございますけれども、予定をいたしておりますのは、このほかには、たとえば、し尿処理施設でございますとか保育所、こういったものを考えておる次第でございます。その補助率仕組みでございますが、ごく簡単に申し上げますならば、通常地方負担額をこえる部分について、事業量がふえてまいりますと地方負担もかさむわけでございますので、その部分について、事業がふえるに従って逓増的に補助率を引き上げてまいる、その際に、財政力のあります団体につきましては、財政力補正をこれを作用せしめまして、若干割り落としをする、こういう考え方であります。言うなれば、事業量補正というものと財政力補正とをミックスした案でございます。算定方法は、第四条の中に数式でもって明示しております。ややこしゅうございますので図示したものをごらん願いたいと思いますが、お配りいたしました資料の二枚目にその関係を図示いたしておりまして、標準負担額というのがございますが、標準負担額というのは、当該地方団体のその年度普通交付税の額、それに基準財政収入をひっくり返しました額、つまり基準財政需要額に税の二割なり三割なりというものを足したものでございますが、これの三カ年平均というものでございます。その標準負担額までのものについては補助率かさ上げは行なわないけれども、それをこえて地方負担がふえてまいりますと、それがふえるに従って、上の線で明示しておりますように、二倍までの間については二割五分を限度として補助率が上がって、標準負担額の二倍をこえますものにつきましては二割五分で押えてしまう、しかし、この二割五分補助率かさ上げしたものが八割をこえます場合には八割で押える、つまり頭打ちは八割、かさあげ割合は二割五分ということにして、標準負担額の二倍を限度として逓増的に補助率上げていくということになるわけでございます。斜線を引いてあります部分補助率が逓増していく姿をあらわしたものでございます。その場合に「財政力指数〇・七二以上の団体の場合」と書いてありますが、これは財政力全国平均値をこえる団体でありまして、その団体につきましては、そのこえる部分だけを割り落としをするということになるわけでございます。したがって、二本斜線が引いてあります場合の一番下の線から一番上の線、「財政力指数最低団体の場合」と書いてあるこの二つの間に、財政力指数平均値以下の団体財政力指数が〇・七二以下の団体についてはおさまるわけであります。つまり財政力指数がどんなに高くございましても、補助かさ上げがあるわけでありまして、事業量がふえてまいりますれば、それに応じて補助率かさ上げされる、つまり事業量補正でございますので、その団体財政力いかんにかかわらず事業量がふえて、地方負担がふえてまいりますれば、それに応じて一定の部分だけは補助率かさ上げをしていく、しかし財政力が悪い団体については、この割り落としはないということになるわけであります。  この補助率かさ上げにつきましては、ほかの法律との関連が出てまいりまして、地方財政再建特別措置法によるところの特定事業補助率かさ上げ規定が働くものにつきましては、これは地方再建団体でございますが、この部分につきましてはこの後進地域、この新産都市かさ上げによる補助率の引き上げが有利な場合においてはそれに従うということになっております。また、北海道特例規定につきましても同じような考え方をとっております。第五条の第二項にその間の規定を書いておりまして、北海道には国の負担割合特例がございますが、その特例による場合が有利な場合はそれによる、しかしこの新産法によるところのこの法律案にによるところの補助率特例かさ上げ計算をいたしまして、それが有利な場合はそれによる、こういう規定を置いております。  なお、この特例法措置適用範囲でございますけれども事業別につきましては、先ほど申し上げましたとおりでありますが、年度別に申し上げますならば、地方債利子補給につきましては、昭和四十年度から五十年度までの各年度において借りたものについて、昭和四十年度から五十五年度までの年度において支払うべき利子支払い額、これについて利子補給をする。また負担割合特例につきましては、昭和四十年度から五十年度までの各年度において行なう事業について適用するということにいたしております。新産業都市並びに工業整備特別地域整備事業につきましては、いずれも昭和三十九年度から昭和五十年度までということで計画が立てられ、総額六兆三千億円の計画が立てられておるのでございますが、これを年度を切りましたのは、地方債利子補給については、なおさらに償還が続くわけでございますけれども、まあ昭和五十五年度まで一応補給をすれば、事情は相当変わってきておるわけでございますし、その地域の姿も変わり、財政力もできておることでございますので、まず五十五年で一応いいのじゃなかろうか。そういうことで、利子補給につきましては、若干五十年度から延ばし、五年程度延ばして打ち切ることに一応いたしておるわけでございます。  それから、なお附則で、「後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合特例に関する法律の一部改正」をいたしておりますが、これは、後進地域開発に関する公共事業、それの中に空港とそれから圃場関係を加えることにいたしたのであります。したがって農業施設を加えることにいたしました。要するに、後進地域補助率かさ上げ対象事業範囲を拡大をしたわけでございます。  以上簡単でございますが、補足説明を終わらしていただきます。
  5. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) それではこれより質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  6. 林虎雄

    林虎雄君 お聞きしたいことは、新産都市の指定が先般なされたわけでありますが、まああのときは非常な激甚な候補地競争で争われたわけでありますが、ようやくあのときの興奮がさめて、これからいよいよ新産都市実施という段階になったと思いますけれども政府建設への考え方といいますか、新産都市法律を立てたこの考え方と、それから現在の方法とが、かなり混迷しているように思われるわけであります。立法化に踏み切った動機というものをよく考えて見ますと、まあ私の理解によりますと、既存の大工業都市産業及び人口の過度集中という深刻な弊害があります。これを除去し、地域格差是正と、そうして新しい産業を、一地方という問題でなくて、国全体のバランスを合わせようという、国家的な要請であったと思うわけでありますが、そのように理解していいわけですか。
  7. 高橋禎一

    政府委員高橋禎一君) 御承知のようにこの新産都市整備促進法、これの目的は、法律にも定めておるとおりでありまして、やはり法律制定当時と今日と、新産都市整備促進ということについてのねらい、計画というものは、やはり一貫していると思うのであります。ただ、その実施方法等につきましては、基本計画に盛ってあるところでありまして、具体的にそれを実施してまいります場合には、やはりそのときの実情に即した方法ということになりますから、方法そのものは、時代の進運といいますか、変化に従っていろいろ考慮されることであろうと存じております。お話にございましたように、この制度が樹立されましたことは、やはりおもなる点を取り上げて申しますと、過密都市対策と申しましょうか、そこに存在する幾多の問題解決の一助ともなり、また一面、国全体の均斉のとれた都市づくり経済産業発展、また文化、社会生活の向上ということにねらいがあるわけでありまして、まあ全国新産都市として指定されました十三カ所、それに、目的そのものが若干の相違はありますけれども、六カ所指定されている工業整備特別地域、これらの計画的な発展策というものを遂行してまいりますところに、地域格差是正、こういう大きな役割りを果たすであろうと存じますし、そうして、さらにそれは拠点的なものであって、これに近接する諸地域に、すなわち周辺地区に、また波及的効果というものがございまして、先ほど申し上げましたように、そうして御質問にございましたような、いわゆる全国に均衡のとれた発展と、こういうことが結果としてもたらされるという大きなねらいをもって計画を立て、それを促進していこう、そういうふうな意図、これは法制定当時も今日も、いささかも変更しておるわけではない。そのように御了承いただきたいと思います。
  8. 林虎雄

    林虎雄君 ただいま次官からお答えいただいたのでありますが、政府はこの法律を制定して以来、この法律の精神というものに対しては一貫して別に変わらないという御答弁でありますけれどもお答えにありますように、国民経済均斉のとれた発達をはかるために、この新産都市考え方というものは一地方の問題でないということは明らかだと思います。  そこでお伺いしたいことは、最近、国会の答弁で、政府地方盛り上がりに対してこれを援助していこう、援助を与えるにすぎないという印象を受ける答弁を受けておるわけでありますが、地方も真剣になって——もちろん真剣ですが——盛り上がりをしなければやらないというふうにもとれるわけです。ですから、新産都市そのものは、いまお答えになったように、国家的な必要から、国家的な要請から行なわれたとするならば、地方盛り上がりが不十分だから援助を与えない、与えるというような、何か地方に主体があるような印象を受けるわけですが、とするならば、どうも問題を地方責任を転稼して、政府責任を回避しているというふうに思えてしかたないわけですが、この点はどうなんです、政府答弁の食い違いでしょうか。
  9. 高橋禎一

    政府委員高橋禎一君) 新しい都市づくりということに関しての考え方はいろいろあると存じますが、やはりこれは地方公共団体と国とが力を合わせてやらなければならない仕事であることは申し上げるまでもございませんが、やはり私どもは、この地方自治ということをどこまでも尊重してまいらなければならないと存じます。したがいまして、やはりこの新産都市にいたしましても、工業整備特別地域にいたしましても、そこの地方公共団体がやはり自主性というものをどこまでも確保してまいらなければなりませんし、そして、それにはやはり広域的な行政ということも考えられますので、基本計画の樹立ということになりますと、やはり知事が一応それを策定して、そうして政府の承認を得る、そういう形をとっておることは御承知のとおりでありまして、そういう形においてそれを国がやはりできる限り援助して、地方公共団体自主性地方自治というものを尊重しつつ、その地方地方に即した新しい産業都市建設していこう、そして国もこれを助けていこう、そこに地方自治の立場を守りつつ地方公共団体と国とが調和をとって、そうしてこの大きな仕事を完遂していこう、こういうたてまえのものでございまして、こういう考えは政府のこれまで申し上げておるところでございまして、そこに私どもといたしましては矛盾というようなものを感じておらないわけでございまして、この点を申し上げる次第です。
  10. 林虎雄

    林虎雄君 いまお答えいただいて、理屈としてはそうであります。中央地方とが力を合わせて建設しなければならないことは当然でありますし、地方自治を尊重しながら、その自主性確保の上に建設しなければならない、これはもう当然であろうと思いますが、問題は、そういう制度とか計画とか、いろいろそれはありますけれども地方計画というようなものはありますけれども、せんじ詰めれば新産都市建設するためには膨大な投資が必要になるわけです。十カ年間に四兆三千億というこの財政を、地方自主性確保といいましても、財政的に国が責任を持って積極的に行なわなければどうにもならないというのが現況ではないかというふうに思うわけであります。ことばの上では地方自治を尊重するといっても、財政的に国がもっと責任を持つ態度を明らかにする必要がある。ところが、どうも今度のこの予算ですね、予算措置にしても、特別措置に関する法律案内容にいたしましても、どうも最初の夢と現実とがあまりかけ離れておるようなことになるのじゃないかと思うのです。財政的にあまり貧弱過ぎて……。そこに問題があると思うので、たとえば地方自治自主性ということをいいましても、すでにかなり先行投資が進んでおります岡山の水島工業地帯、これは私、先年視察したことがありますけれども、この倉敷の先行投資による大きな赤字に見られるように、地方団体が非常に財政が悪いわけです。そうしてまた、四日市のコンビナートに見られるように、公害の深刻化、そういうような状況に対しまして、さらに現在経済も不況でありますが、土地の造成の基盤整備に非常な巨額の投資をしても、逆に企業が誘致できない、進出してこないというようなところもありますし、そういうことを考えてみますると、特に財政上においては、もう赤字信号も至るところに出ております地方に対しまして、政府はかなり思い切った予算措置をとらない限りは、せっかくの新産業都市の構想も夢のようになるのではなかろうか。夢でなくても、中途はんぱなものになるのではなかろうかということを憂慮するわけでありますが、これからこの数字についてちょっとお聞きしたいわけですけれども、四兆三千億という、これは五十年度までにいろいろな方面に対しまして投資するわけですけれども、四兆三千億というこの計画が、国の負担、それから地方負担、あるいは関係者負担ということになると思いますけれども、その年次計画というものはできておるのでございますか。本年度において国のほうは、ここにありますように、利子補給と、それから若干のかさ上げ程度で、四十億の程度でありますけれども、こんなことをしておって十カ年に完成する年次計画というものができておりますかどうか、ひとつ財政局長いかがですか。
  11. 柴田護

    政府委員柴田護君) お答え申し上げます前に、先ほど御説明申し上げました中で、ちょっと言い間違いがございましたので、訂正をさせていただきたいと思います。それは標準負担額計算をいたします場合に、三年平均と申し上げましたが、三年平均にいたしますのは財政力指数の場合の計算でございまして、標準負担額の場合は年度年度計算によるわけでございます。その点は、私の御説明がちょっと間違っておりましたので、訂正をいたします。  お尋ねの点につきましては、御指摘のように総額で四兆三千億という計画が、新産工特を含めましてあるわけでありますが、年次割り計画というものが実はできておりません。で、これは具体的には補助事業の個所づけを全部終わってしまいませんと、その年にどれだけの事業が行なわれ、それによって地方負担がどれだけ出てくるかということが実は見当がつかないのであります。ごく大ざっぱな推計のようなものはございますけれども、具体的に年次割り的に事業年度ごと計画額というものは、あたかも継続費のような形できまってはいないのであります。その点は、御指摘のように非常に私どもといたしましても心配をいたしておるわけでございます。結局は、どこかでこれを取りまとめて、そしてこれを推進していくという役割りを果たさねばならぬと思うのであります。主管省であります経済企画庁の御意見では、法律にあります新産業都市建設協議会というものの活用によって、その間の調整もはかり、そして年度別進行状況調整も行なっていくということを期待しておりながら、それを主にして中央でいろいろバックアップをするという形をとろうとしておるようであります。私どもも、それはそれで、この法律仕組みからいいますならば、そういうことになるんであろうと思うのでありますけれども財政上の問題といたしましては、それだけで手をこまねいて待っておるわけにもまいりません。やはり私どもは私どもなりに、地方の各府県なり市町村計画というものを、ある程度取りまとめて、そして必要な意見経済企画庁に述べて、積極的にその間の調整をはかるようなことをやっていきたいというように考えておるわけでございます。何ぶんにも去年から始まりました事業であります。昭和四十年度が実質上の初年度でありますので、いま私ども手元でこの新産都市関係並びに工特関係事業のつき方、補助事業のつき方というものを集めております。この結果を見て、それぞれ必要な措置を講じてまいらねばならぬというように考えております。
  12. 林虎雄

    林虎雄君 いまお答えいただいたように、確かに年次計画といいましても、まだ個所づけ、個々の具体的なものの推計、計数が出ないので、先の先までの計画は立てられないという、そのことはよくわかりますけれども、結局、私は四兆三千億というものの計画というものは、かなり水増しがある、実際はこんなにできないんじゃなかろうかということを、自治省のほう、政府のほうでは考えておるのではないか。この点どうですか。これはまあいろいろ個々の具体的な問題が出てきて、計画していって、五十年度に完成した結果、ふたをあけてみたらこの半分であったとか、三分の一であったとかということになるおそれがあるような感じがいたしますが、その点の見通しはどうですか。
  13. 柴田護

    政府委員柴田護君) 四兆三千億のうちで、前半の三十九年度から四十五年度までの間に、大体二兆三千億程度仕事をする、こういう計画であります。これを三十九年度にどれだけ行なわれたかという実績をとってまいりますと、三十九年度に千八百三十五億円の事業が行なわれた。で、この千八百三十五億円を基礎にいたしまして推計をいたしてまいりますと、四十年度には二千三百四十億円程度事業というのが出てくるのであります。実際に二千三百四十億になるかどうかということは、補助事業がはりついてまいりませんとわかりませんが、しかし、三十九年度を基礎にして一つのカーブを描く。大体年率二〇%程度の伸びということを前提として計算してまいりますと、四十年度は二千三百四十億ぐらい、四十五年度が四千九百億円前後の事業ということになるわけでございます。このくらいの程度事業の推移を考えてみますと、大体この御提案申し上げております財政措置というものとかみ合わして考えてみますると、そう無理のない姿が出てくるのじゃないか。むしろ、当初考えておりましたのは、四十五年ぐらいまでに四兆三千億をこなそうというくらいの計画であったのでありますが、その後、経済企画庁でいろいろ各県の計画をセレクトし、トレースした結果、四兆三千億というのは五十年度までだ、四十五年度までには二兆三千億だというような形でおさまったわけであります。そうしてまいりますと、三十九年から四十五年までの間で二兆三千億程度事業ということになりますと、大体この財政的な援助措置ということで、そうあまり無理がかからないようになるのではなかろうかというように私どもは見るのであります。しかし、ただ、実際に事業がどのような形ではりつきまして、それがどういう波紋を団体に及ぼしますかということになりますと、個々団体をつかまえて厳密に計算をしてまいらなければなりませんので、いまここでにわかにすべてが心配ないということを言い切る自信は、正直に言ってございませんけれども、しかし、全体としての姿から言いますならば、まあ御心配になりますように、そうとてつもないたいへんなことが起こるというようには考えられないのでございます。
  14. 林虎雄

    林虎雄君 予定どおりにできる見通しがあるということはけっこうでありますけれども、そこで、ただいま局長さんから補足説明のありました、この補助率引き上げの図でありますけれども財政力指数の〇・七二以上の団体の場合があります。その上に財政力指数最低団体の場合と、二つに分かれて補助率が違っておりますけれども新産都市の、あるいは工持地域に指定されております市町村財政状況によりますと、新産地区が二百六十三市町村のうちで九十五市町村赤字団体のようであります。それから、工特地帯は百一市町村のうちで三十市町村赤字のようでありますが、これでこの場合、財政力指数の〇・七二以上の市町村と、それから最低の団体の場合の市町村の数か、あるいは率か、そういうものをお調べになっておいでですか。
  15. 柴田護

    政府委員柴田護君) ただいま御指摘になりました赤字団体でございますが、私どもの調べでは——もっとも三十九年度でありますと若干変わるかと思いますが——三十八年度赤字団体の数、この新産工特地域を合わせまして、市町村の数は、新産が二百八十八市町村工特が八十三市町村、合計三百七十一市町村でありますが、この中で赤字団体、三十八年度赤字を出している団体は四十九団体であります。新産地区が三十五団体工特地区が十四団体であります。それからさらにその中で再建をやっております団体、いわゆる準用団体も含めまして、それが新産地区で十四団体でありまして、工特地区が六団体であります。個々財政力指数計算はいまいたしておりますところであります。特にこれは翌年度精算でありますので、三十七、八、九の三カ年の平均をとるわけであります。それによってこの指数が変わってまいりますので、計算半ばでありまして、いま明確にはわかっていません。
  16. 林虎雄

    林虎雄君 最後に、新産都市新産都市といって地方も大騒ぎで指定を受けて、桃色の夢をみんな描いたわけでありますけれども、振り返ってみますと、産業基盤整備というものに重点が置かれて、公害の対策であるとか、あるいは生活の基盤整備というような住民福祉が軽視されておるというふうに考えざるを得ないわけでありますが、佐藤内閣の社会開発ということは、その全般を含めての構想のように思いますけれども、生活基盤の整備であるとか、あるいは公害対策であるとかいうことに対しては、もっと積極的に対策を講じなければならないと思いますけれども、この点どういうお考えをもっておいででしょうか。
  17. 柴田護

    政府委員柴田護君) 先ほど御説明申し上げましたように、法案の中には、特に市町村事業には、住宅とか下水道あるいは教育施設なり厚生施設も入れておりまして、相当幅広くそういう環境整備というものに意を用いているつもりでございます。ただ衆議院の段階でも問題がございましたが、上水道あるいは工業水道というものにつきましては、この援助措置の対象にはいたしておりません。これにつきましては、この水道なり工業水道というもののあり方について現在公営企業制度調査会で御検討いただいておりますので、その結論を待ちまして必要な措置をとってまいりたいと思うので、現在はその措置からははずしたのであります。事は、公営企業、独立採算制という従来のたてまえを一応前提にしてはずしたのでありますけれども、衆議院の段階でもいろいろ御議論がありましたこの部分につきましては、やはり一種の先行投資なのだから、それだけではいけないのではないかというようなお尋ねもあったのでありますが、私どももその趣旨につきまして、わからぬでもないのでありますけれども、何ぶんにもせっかくそのあり方について御検討をわずらわしておるさなかでありますので、その結論を待って措置をしたい、こういうことでこの二つはきております。  なお、公害の問題につきましては、御指摘の点はごもっともと思うのでございますけれども、これはひとり新産都市工業整備特別地域のみならず、現在の過密地域といわれる地域につきましても、何らかの形でもって公害に対する財政的な措置、あるいは企業者の責任といったようなことを、どのような形でこれを制度化するかという問題が先にあるかと思います。したがって、そのほうの問題解決を急ぐのが先じゃないかと思います。この解決によって、自然、新産都市なり工特地域なりについての措置というものも自動的に出てくることになるのじゃなかろうか、むしろ新産工特地域よりか先に早く財政的な措置を明確にすべきところがあるじゃないか、たとえば四日市でございますとか、あるいはその他の地域等につきまして、あるじゃないか、そっちの措置を急ぐことが先決だという考え方で、この援助措置の中では公害問題は触れなかった、こういう次第でございます。
  18. 林虎雄

    林虎雄君 最初に申し上げますように、地方債利子補給、それから国の負担割合、この二つがこの法案中心でありましょうが、いずれにしても少な過ぎて、地方のほうでは非常に期待を持っておったのに、この法律案内容によれば、かなり失望しているわけです。最初の幻想とはかなりかけ離れているという印象地方の当該関係者は持っていると思うのでありまして、ここに問題があると思うのであります。局長さんのお答えでは、この計画で四十五年までに二兆三千億ですか、そういう計画で予定どおりやっていけるということでありますが、その点、私は疑念を抱くわけですので、この計画で順調に進めていけば可能であるという御見解について、もう一ぺんお聞きいたしたいと思います。
  19. 柴田護

    政府委員柴田護君) ほかの委員会等におきましてもお答えしたことがあろうと思うのでございますが、この法案をつくりました趣旨は、新産業都市建設促進法の第十九条に書いてあります条文の趣旨を、国として明確にするというところに意味がある。つまり、新産業都市建設事業工業整備特別地域整備事業というものが本格化いたします段階におきまして、政府としての財政援助のルートというものを明確にする、そこに非常に大きな意味があるというように私どもは考えておるわけであります。先ほど来申し上げましたことは、現在経済企画庁で策定いたしました基本計画というものを前提として、一方三十九年度の実績を基礎にして推計いたしてまいりますれば、先ほど来お答えいたしてまいりましたように、そうとんでもないようなことが起こるとは思えない。しかし、物価等の変動がありましょうし、あるいはこの計画でも、実行の過程におきましていろいろの問題が出てくるかもしれない。そうなってまいりますと、先行きこの法律ですっかり計画が遺憾なく実現するということは、必ずしも保証できない。それはそのときに応じて計画も練るでありましょうし、援助措置というものがこの法律で期待できない場合におきましては、それに沿って必要な訂正をやっていかなければならないというように思っております。現在経済企画庁で考えております諸点を前提といたしますれば、この措置でまずいけるのじゃなかろうかという感じがするのであります。もっとも、これには単にこの法律だけではございませんで、国税の算定の問題でございますとか、あるいは地方債のつけ方とかというものにつきましても、私どもは私どもなりに、さらに反省していかなければならぬ点があることは自覚いたしておるのでありますけれども、まあまあ国の援助措置として、ほかの特別措置等との均衡を考えてまいりますならば、この程度のもので何とかすべっていけるのではなかろうかというように思うのでございますが、たびたびお答え申し上げておりますように、将来、計画自体に変更が起こってくるということも考えられるわけでもございますので、その際におきましては、必要な訂正あるいは改定といったようなことも起こり得るかと思うのでございます。
  20. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本日の質疑はこの程度にいたしまして、次回は五月十一日火曜日午前十時開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時一分散会      —————・—————