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鈴木壽君 私申し上げたいことは、あなた方の長期見通し、四十三年までのこれを見て感じたことは、これはたいへんだぞという気持ちですね、率直に言って。これは電子計算機とか、いろんなものではじき出してきたものでしょうから、ある
程度の
自動車の台数のふえる状況なり、いろんなそういうガソリンの消費量とか、また、現在まで起こっている
事故の発生の率なり、あるいはその推移なり、こういう点からいって、
一つの結論的なものとして出てきたそれだと思いますから、だとしますと、これはたいへんなことになるんじゃないかと思うわけです。そのためには、さっき長官も言われましたように、少なくともたいへんなことにならないように、上がらないように、まあ現在と横ばいあるいは若干でも下がるような、そういうことをお互いに真剣にやらないことにはこれはたいへんだという、こういう点から、せっかくあなた方がこういう作業をし、
一つの見通しを立てて、一生懸命これはあなた方取り締まり当局としては心しておられるんだから、しかし、それを心配ないようにするためには、いまの仕組みでは、これはあなた方だけではどうにもなりませんから、持ち込むところへ持ち込み、強力にそういう
対策の実施方についてまたひとつやってもらわなければならない、こういうふうに
考えるところから、いま言ったようなことをお聞きしておるわけなんです。この
一つのあなた方の見通しというものは、せっかくやった作業を生かして、今後強力な、総合的な
対策が立てられるようにひとつあなた方も努力してもらいたいと思うのです。
それから、時間もありませんから、もっといろいろ申し上げたいことはありますけれ
ども、
交通事故対策で、いわゆる
交通事故の
原因というものについて、せんだってもちょっとお聞きしておきましたが、それっきりになっておりますので、あらためてちょっとお聞きしたいと思うのです。三十八年度の
——いただいたのは三十八年度のやつですね、これを
一つの例として申し上げますが、
交通事故の
原因比較が、これは
資料の三十七ページにございますね。そのほかにもありますけれ
ども、ここに図解したものもありますから、これで見ていきますと、
交通事故の
原因というものは、上のほうの欄に「車両等」、それから下のほうに「人」の
関係と、こういうふうに分けてありますが、「徐行違反」、「わき見操縦」、「右折左折不適当」云々、ずっとこう並んでおるわけですね。これを見て、こういうところに
原因があるとすれば、こういうことが起こらないようにするということが
事故防止対策としてまず第一に
考えられることなんですね。
事故原因の
分析究明というのはやっぱりそういうところに値打ちがあるんで。ところが、私率直に申しますと、これを見て、じゃ一体車両に関すること、しかも「操縦者の所為」、「操縦者の状態」、「車両の状態」、
事故のほとんど全部が車の側の操縦者のために起こっている、こういうことになりますね、これからしますと。下のほうの「人」のやつを見ますと、これもいろいろあげられてあるわけなんでありますが、こういう
原因の
分析究明ということが、単にこういう形において出てくるのかどうか。私ちょっと、もう少し
事故防止対策を立てるための
原因を
分析し、明らかにするということであれば、こういう整理のしかたは不適当じゃないだろうかと思うのです。これからは、
道路の安全
施設の問題が一体どうなっているのか、
道路の構造が一体どうなっているのか、
道路環境が一体どうなるのか。たとえば「信号等無視」ということがある。これはまあ「無視」というと、無視したからだということだろうけれ
ども、一体いまの信号等のあの状況が、数からいっても、あるいは大きさとか、たやすく見られるのかどうかという、そういう点からいっても、信号等の設置場所等からいっても問題がないかというと、私はそういうところに非常に大きな問題があると思うのですね。ですから私は、もっとこういう
事故の
原因を究明するための
原因をいろいろ掘り下げて突き詰めていった場合には、そういうものと総合された
一つの
原因というものをそこに持ってこないと、
ほんとうの
意味の
対策はできないのじゃないだろうかと思うのですね。私のこの「
原因比較」というものの見方が誤っておるかもしれませんが、これだけから見ますと、いまわれわれが言っている、安全
施設がどうの、
道路の構造がどうの、その他の環境
整備がどうのということは、これは
運転者が一生懸命わき見しないように操縦させればいいし、右折左折なんかを厳重に取り締まってやらせない、スピードについてももっと取り締まれば、あと問題がなくなるのじゃないかというふうに思われるような
分析のしかたではないかと、少し私はそう思うのですがね。あなたがた、別にいろいろ
考えておるところがあると思いますがね。私は端的に言って、この
原因の究明
分析なんというものは、もっといろんな要素と複合された形において出てくると思うから、それをつかまえたような何かしかたというものがなければいけないのじゃないかと、こう思うのですがね。少し長くなりましたけれ
ども、その点どうですか。