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1965-04-08 第48回国会 参議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月八日(木曜日)    午前十一時三十分開会     —————————————    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      沢田 一精君     植竹 春彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 石谷 憲男君                 西郷吉之助君                 竹中 恒夫君                 林  虎雄君     委 員                 植竹 春彦君                 中野 文門君                 鈴木  壽君                 松本 賢一君                 二宮 文造君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  吉武 恵市君    政府委員        消 防 庁長官  松村 清之君        消 防 庁次長  川合  武君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  初めに、理事補欠互選についておはかりいたします。  去る三月三十日の委員異動に伴い、理事に欠員を生じましたので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。  前例により、互選の方法を省略して委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、さよう取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認めます。  それでは委員長から石谷憲男君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  5. 市川房枝

    市川房枝君 簡単に一、二の点についてお伺いしたいと思います。  今度の改正で、新たに消防設備士というものができるわけですね。それで、東京都においては、すでに三十七年以来消防設備士というものを置いて、一級、二級ということで試験をして免許状を与えておるようですが、その東京都の設備士との関連はどういうことになりますか、伺います。
  6. 松村清之

    政府委員松村清之君) お話のように、全国では東京都だけが条例消防設備士について規定をいたしております。それにつきましては、従前から、その消防設備士の仕事の内容に設計という文字がございますのをめぐりまして、建築士関係との間に問題があったわけでございますが、今回これを全国的な制度にいたします際に、この建築士との間の調整をはかりまして、東京都の条例のままでなくて、若干それを修正いたした形で、全国的な統一的な制度にいたそうとしておるのでございます。しかし、お話のように、すでに現実宙京都条例によりまして設備士というものが存するわけでございます。この設備士を、今度の改正法が成立しましたときに、実はそのままこの法律による設備士といたしたいというふうに考えておったのでございますが、法律上問題がございますので、この法律では何ら措置いたしておりませんが、この法律改正されました後におきまして、試験実施等の上におきまして、実質的には東古都条例に基づく設備士は、本法律改正による設備士となり得るような道を考えていこうと思いまして、法制局との間においても現在いろいろ話し合いをしておる最中でございます。
  7. 市川房枝

    市川房枝君 設備士の受験の資格なんかは、この法律条文で、いろいろとこまかく出ておりますが、東京都の設備士の場合に、必ずしもそれが当てはまらないだろうと思うのです。まあある程度便宜をはかってくださるということは、いまの長官のおことばでありましたけれども、試験なしですぐ認めるということになりますか。あるいは試験するけれども、多少その間に課目を少なくするとか、あるいは資格もある程度これに沿っていなくても、認めるとかいうような、便宜的なことを多少お考えでありましたら、具体的に伺います。
  8. 松村清之

    政府委員松村清之君) その点につきましては、最終的に結論を得ておりませんが、試験について、初めてこの法律に基づいて受ける方と、東京都の条例に基づいてすでに設備士となっておられる方の間において区別を設ける、ことばをかえて申し上げますれば、便宜を与える、こういう方向で検討をいたしております。
  9. 市川房枝

    市川房枝君 東京都の設備士の免状を持っている人たち、一級、二級合わせますと、現在八千人あるわけでございます。そういう人たちは、やはり心配をしておるようでございますので、法律が成立しましたら、できるだけ早い機会に、その御方針をひとつはっきりとおっしゃっていただきますと、みんな少し安心するかと思いますから、その点をひとつお願いをしておきたいと思います。  それからもう一つの問題は、今度の消防法改正で、指定数量以上の危険物貯蔵したり、取り扱っていると認められる場所へ立ち入ることができるという、新たに立ち入り権を認めることになるようでありますが、そうすると、夜間も立ち入ることができるということになりますね。普通は何ですか日没までという規定がほかの条文であるようですけれども、そうなるとやっぱりある程度人権侵害心配が出てくるのではないかと思うのですけれども、その点について御検討なさいましたかどうか、それをちょっと伺いたいと思います。
  10. 松村清之

    政府委員松村清之君) お話のように、これは危険物関係でございますので、昼夜間を問わず、いつでも立ち入り検査ができるという現行法規定をそのまま受けておるわけでございますが、ただ、今回の改正では、従来はすでに危険物貯蔵所等になっているものについてだけそういうことをやっておったのでございますが、現実は、むしろ危険物貯蔵の許可を受けないで違法な貯蔵をしているようなところにいろいろ問題がありますので、今回は、この危険物貯蔵していると認められるすべての場所について立ち入りをやる。まあそれも現行法にのっとって夜間を問わずやる。こういうことで、これは非常に運用に適正を欠きます場合には、人権関係する問題であることは十分承知いたしておるのでございますが、まあ現実の要請に応じて、こういう規定が必要だというふうに考えて御審議を願っているわけでございます。そこで、この法律改正されました暁におきましては、そういった懸念が十分ございますので、この条文運用については、いやしくも人権をそこなうようなおそれのないように、関係機関に対しまして十分指導を徹底してまいりたい、そういうふうに考えております。
  11. 市川房枝

    市川房枝君 まあ私も最近の火災の状況なんかを見て、こういう改正は必要であろうと思うわけです。しかし、いま長官お話のように、人権侵害のことも心配でございますので、関係当局への適切な指導をいただくことはもちろんでありますけれども、何かもう少し具体的に、政令その他で、そういう疑わしき場所への夜間立ち入りについての具体的な規定を制定するような御意向はございませんか。
  12. 松村清之

    政府委員松村清之君) いまのところ、政令等によりましてそのような規定を置くことは考えておりませんが、先ほど申しましたように、指導の上においてそういうことを明確に指導していきたいと考えておりますが、なお、せっかくのお話でございますので、政令等措置できるようでございましたら、その点もあわせ考えてまいりたいと思います。
  13. 松本賢一

    松本賢一君 これは直接この法律関係ないかもしれませんですけれども、建築基準法関係になると思うのですが、それと消防との関係につい少しお尋ねしてみたいと思うのです。  実はこの前、私がよく建設基準法を知らぬものですから、消防庁のほうにお願いして、抜き書きみたいなものをつくっていただいたのですけれども、それに、家を建てる場合に避難階段をつくる義務的な条項があるわけですが、私、こういうことをお尋ねするのは、火事のときに人が死ぬというケースが非常に多いので、それが非常に心配になることと、私自身旅館や何かに泊まったときに非常にそれが気になる。少し普通の人よりそういう度が私はきついのかもしれませんけれども、火事が起こった場合にどういうように逃げたらいいのかということを、必ず旅館の人に尋ねて、そうして納得がいかない場合には部屋を変えてもらうといったことまで私はするくせがあるのでありますが、そういうことから、少しお聞きしたいのですけれども、この抜き書きによりますと、避難階段をつける義務は五階以上の階で、百貨店の場合は三階以上の売り場だと、こうなっているのですが、そうすると、一般に利用される個人の住宅は一応別問題としまして、旅館だとかあるいは寄宿舎宿泊所といったものに対してはどういうふうになっているのか、ひとつお尋ねしてみたいと思うのですが、五階以上でない場合は、そういう避難階段というようなものは必要がないのかどうか。
  14. 松村清之

    政府委員松村清之君) 消防法並びにその施行令によりまして、旅館等につきましては、法令の定める避難設備を設置しなければならないことになっております。したがいまして、特別の避難階段のない場合におきましても、避難設備として、避難はしごだとかすべり台、緩降機、救助袋、そういったものを規定によって設備しておかなければならないことになっておりまして、それによって避難をする、こういうふうに規定の上でなっております。
  15. 松本賢一

    松本賢一君 いまの御答弁によりますと、旅館等に当然そういう設備があるべきだと、つくっておかなければならぬということになっておるというように聞き取れるのでございますが、実際に旅館に泊まってみて、そういう設備のできているものはほとんどないといっていいくらいじゃないかと思うのです。特に日本式旅館の場合なんかは、もう三階に上げられて、階段一つしかない。窓からのぞいてみると、どこにも逃げるところがないといったような場合もしばしばあるわけなんで、そういうことが法規によって避難階段をつくるとか、あるいはすべり台をつくるとかいったようなことが定められておるとするならば、それは実際一つも行なわれていないということになるのですけれども、そういう点はどうなんですか。
  16. 松村清之

    政府委員松村清之君) まあこれは法令で、あるいは政令で、必ず避難設備を設けなければならないとなっておりますものにつきましては、現実にも必ず設備がされておると思います。また、消防当局におきましても、この避難設備人命にかかわる事柄でございますから、他の防火施設以上にこの点は十分に現地査察いたしまして、法令に反しておるような場合にはそれに従うような措置をとるように現地指導しておりますので、まあそのようなことは私はない。法令にきめられておるものは必ずその旅館等において設けられておるものと考えております。
  17. 松本賢一

    松本賢一君 そうすると、法の不備ということになるのかどうか、もう一度最初の質問を繰り返したいと思うのですけれども、ここに私が持っておるのはおたくのほうでつくっていただいた抜き書きみたいなものなんですが、それによると、避難階段は五階以上の階、百貨店の場合は三階以上の売り場と、こういうことになって、その他旅館とか寄宿舎宿泊所といったようなものについて何も条項がないわけなんですが、そういう点どういうふうになっておるのか、もう一度ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  18. 松村清之

    政府委員松村清之君) お話のように建築基準法によりまして避難階段を設けなければならないものはきめられております。それ以外のものにつきましては、いま申し上げましたように、これは消防法並びに消防法施行令によりまして避難設備、先ほど申しましたように、はしごとか救助袋とか緩降機とか、そういった法令で定めます避難設備をいずれか設けなければならない。そうしてその設け方についても政令によって詳細にきめられておるのでございます。したがって、この法令によってそういった避難設備を設けなければならないときめられておりまする建築物につきましては、必ずそれが設けられておるはずだし、また設けられなければならないのでございまして、消防当局においてもこの点は十分に現地査察等を通じて法令の順守が行なわれるようにいたしておるのでございます。
  19. 松本賢一

    松本賢一君 そうすると、どうもその話がよくわからないのですけれども、実際には、もうしばしば非常な不安に襲われる。私自身襲われる場合もあるし、それからまた新聞記事等を見ておりましても、避難設備がないために人が死んだんだと思われるような記事というものがしばしば出ておるわけなんです。いまの消防庁の御答弁によりますと、法令に定められたものはやってあるはずだと、こういう御答弁なんですが、そうすると、もっと具体的に御質問申し上げますが、かりに木造建て旅館の場合は、一体、二階ならどのくらいの設備が必要なのか、三階ならどのくらいの設備が必要なのか、そういうようなことについて、もうちょっと具体的に御答弁をいただきたいと思います。
  20. 松村清之

    政府委員松村清之君) その点は、消防法施行令の第二十五条に規定がございまして、その中で、いまのお話旅館につきましては地階、二階、三階というふうに区別をいたしまして、たとえば二階でございますると、すべり台、すべり棒、避難ロープ避難はしご、緩降機、避難用タラップ、この中のいずれかを必ず設置しなければならない、こういうふうに規定がされておりまして、旅館等におきましては、この規定に基づいてこれら避難設備のいずれかを設置することになっております。
  21. 松本賢一

    松本賢一君 いまの御答弁のとおりだと、なるほどと思うわけなんでございますけれども、よく指導がしてあるとおっしゃるけれども、実際にはそういう指導があまりされていないように思いますから、ここで議論してもしようがないですから、徹底するようにひとつお願いいたしたいと思います。それから、旅館の場合はそうですけれども、そうすると、学校の寄宿舎だとか、あるいは工場の宿舎だとか、そういったようなものも同様でございますか。
  22. 松村清之

    政府委員松村清之君) これもいまの二十五条によりまして、それぞれの施設種類ごとにきめられております。
  23. 松本賢一

    松本賢一君 これは私の経験ですが、奈良奈良ホテルというホテルがございます。これは御承知のとおりの木造の二階建て建物ですが、戦前はいわゆる外側に避難階段とか、それから何とかそういったような設備はなかったのです。それで、あそこは火災のことも非常に考えてあるのか、階段がたくさんある建物で、まあ特別に避難階段をつくらなくても一応安心できるような建物ではあるのですけれども、進駐軍がこれを接収しましたときに、実におびただしい避難階段をつけたのです。あの建物に、接収解除直後に行ったときには、もうほんとうにびっくりするほど避難階段をたくさん進駐軍はつけておりました。私は、そういう点で欧米人と日本人とはそういうことに対するセンスがよっぽど大きな開きがあるんじゃないかという気がするのです。そこで、地方消防方々指導をなさる場合、あるいは監督なさる場合に、そこまでセンスが行き届いていないために、いいかげんなところで妥協していらっしゃるんじゃないか、そのために人命を損じるような場合が往々にしてあるんじゃないかということを私は痛感するのですが、修学旅行の子供が焼け死んだというようなこともしばしばあるし、女工さんが死んだというような場合もしばしばあるし、飲食店の女中さんが焼け死んだというようなこともしばしば聞きますし、そういうようなことが、非常にその指導の際の危険を感じるセンスといいますか何といいますか、そういうものを、やはり消防方々にはもっとはっきりと持って指導していただきたいという感じがするのですが、そういう点について、ひとつ消防庁なり、あるいは大臣もお見えでございますから、大臣からでもひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
  24. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 御指摘の点は私もごもっともだと思います。従来ややもすると人間を重く見ないというわけでもないのでございまするけれども、その点に欠くるところがあったことは御指摘のとおりでございます。特に佐藤内閣におきましては、総理が人間尊重ということを強く標榜されておりまして、私どもも交通事故をなくするということと同時に、消防につきましても何とか人命をそこなわないようにというつもりで心がけております。ただ遺憾なことは、具体的にそれじゃどういう処置をとるかと、こうおっしゃいまするというと、まだそこまでは至っておりませんけれども、御指摘になりましたような点は最も注意すべき点であろうと思います。今後も十分気をつけていくつもりでございます。
  25. 松本賢一

    松本賢一君 大臣からそういう答弁をいただきましたので、一応打ち切りたいと思いますが、ひとつ参考までに申し上げておきたいのは、先ほどの奈良ホテルですが、進駐軍接収解除直後には、非常になまなましい、われわれにはむしろなまなましいと感じられるほどの避難階段があり、各部屋に真新しい避難用の綱といいますか、そういうものが設備されておったわけです。それが、私はよくあのホテルに泊まるのですが、年を追うに従って、いわゆる日本式と申しますか、だんだんルーズになってきて、避難階段も腐るにまかせておる、なわもだんだん古くなってきて少しあぶないんじゃないかといったようなのも中にはあるといったようなふうに、何か感覚の違いがそこにある。それが人命を損じる原因になっているのではなかろうかという気がするので、この点ひとつとくと今後御注意をいただきたいと思うわけでございます。  これで打ち切ります。
  26. 鈴木壽

    鈴木壽君 今回の消防法改正で、危険物の規制ということが大きな柱になっているように見えるのですが、これらの改正の具体的なことについては、あまり私ここで申し上げませんが、いままで、いままでというよりも、最近起こったいろいろないわゆる危険物による火災等災害の場合、考えられます一つのことは、危険物を取り扱う貯蔵あるいは保管、そういう場所、それから取り扱いの過程におけるいろんな問題ですね、それからいま一つは、そういうことに対する監督といいますか、行政的な面における監督行政機関の、一体どこで最終的にそういうものの災害の起こらないように、あるいは起こっても最小限度に食いとめるような、そういうことのための措置がとられる責任場所といいますかね、こういうことについてどうもいろいろ心配なことがあるのであります。一体危険物貯蔵保管あるいは取り扱いのそういう場所、これがはたして正しく心配ないような状態に、あるいはまた法にきめられたようなそういう状態になっておるかどうかという、こういうことに対する一つ査察と申しますか、そういうことが十分に行なわれていないんじゃないかというようなことが、まず第一の問題として感じられるのですがね。たとえば東京都内でも石油あるいはガソリンスタンド、その他危険なものを取り扱う場所あるいは貯蔵保管している場所、こういうものはおびただしい個所にのぼっていると思うのです。あるいはまた火薬を取り扱う所なんかでも、これはまあ東京都のみならず全国に相当の数がある、こういうことに対する、いま言ったように、はたして心配ないような状態になっているかどうかということに対する査察が完全に行なわれていないのではないかというふうに思うのです。そういう点についてはどういうふうにごらんになっておられますか。
  27. 松村清之

    政府委員松村清之君) 危険物貯蔵取り扱いについて安全を期しますためには、それを、その責任者法令に基づいた貯蔵取り扱いのしかたをすることが大事でございますが、それには消防当局現地において法令に基づいた貯蔵なり取り扱いをやっているかどうかということを、しばしば査察を行なうことが必要だと考えます。これにつきましては、各地の消防機関はできるだけそういう点を考えまして、しばしば査察を行なっておりますけれども、しかし、最近におきましては、対象になる危険物施設は非常に多い、しかし、それを査察いたします消防職員というものは必ずしも十分でない。そこで、この査察が理想どおりいっておるとは私も考えませんけれども、現地消防機関としては、持っておる人員を最大限に活用いたしまして、できる限りの査察はいたしております。また、最近におきましては、そういった人員の充実にも年々つとめてまいりまして、査察が十分に行なわれる体制を逐次整備しつつあるのが現状であると考えます。
  28. 鈴木壽

    鈴木壽君 たとえばいま松本先生からお尋ねがあったような事柄、これは何も危険物という意味じゃございませんけれども、現場には、やっぱり指摘されたような事柄があるので、たとえば年に一回でもそういうことに対してどうなのかということの査察といいますか検査といいますか、そういうようなことがあれば、これは私、またぐっと変わってくると思うのです。建物建てる場合にどうのこうのというので、建築基準法とかあるいは消防とか、いろんなことがあっても、もうできてしまえば、それに対する何らの査察なり検査なりというようなことは行なわれておらぬというのが、率直に言って、私は現状じゃないだろうかと思うのです。もし査察等がよく行なわれておれば、例としては、私のお聞きしたいこととちょっと違いますが、奈良ホテルですか、そういうふうなこともなくなると思うのです。災害が起こって、あとからああだこうだとやりますが、ふだんのそういうことが行なわれないということが、災害の発生の大きな原因といいますか、そういうことになっているのじゃないだろうかと思うのです。たとえば、さっき申しましたように東京なりあるいは全国火薬を取り扱う倉庫がもう相当な数になっておる、あるいは一千ぐらいあるのじゃないかといわれているのですが、かりに年一回でもあるいは年二回でも、的確にそういうことに対する査察が行なわれておるかというと、必ずしもそうじゃないと思う。石油タンクなりあるいはガソリンスタンドなり、その他いろいろそういう危険物を取り扱っている場所、これは東京都内でも無数だと思いますね。こういうことに対して、常時目を光らせている——と言うと、少しことばが悪いのでありますが、危険防止という立場から、災害防止という立場から、やっぱりやっていかなければならぬ。それは人員の不足とかいろんな制約があるかもしらぬけれども、不十分だということだと思うのです。いろいろ法改正をやっても、それが一体どの程度の効果をあげているかということに対して、私もやっぱり考えてみなければならぬと思うのです。ちょっと横道に入るようで恐縮ですが、さっき長官が言った消防法施行令の二十五条のこういうものを、たとえば厳格にこれをきちんと調べてみたら、これに適合してぴちっとやっているというところは、私は非常にさびしいものがあるだろうと思いますね。ともかく、そういうことで、もし人がなければ人をふやすということも、これはぜひしなければならぬということですね。さっき大臣がお答えになったように、人命尊重とか、こういうことを一つの大きな政治の目標として掲げておるこういうときなんですから、人がおらぬためにそういう査察検査等が不十分であるというなら、やっぱりそれに対する手当てとしては、人をふやすなり、したがって査察の回数をもっとふやすというようなことをぜひやらなければいかぬと思いますね。その点いかがですか。
  29. 松村清之

    政府委員松村清之君) お話の中の危険物施設査察につきましては、昨年品川の倉庫爆発あと東京、川崎、その近辺についてどの程度査察をやっておるかということを聞いたことがございますが、そのときの話では三、四カ月に一回危険物施設を回っておるというような話でございました。しかし、これは三、四カ月といわず、もっと短期間に一回ぐらい回って査察を徹底することが必要だと思います。そこで、先ほども申しましたように、この火災その他の災害につきましては、事故の起きる前の予防が最も大事でありますので、予防査察の徹底につきましては、十分指導をいたしておるのでございますが、それには人の数というものもそろえなければなりませんが、これにつきましては、年々消防職員地方財政の上でふやしていただいております。本年度も全国で八千人ふやしてもらうことにいたしておりますし、また東京東京消防庁においては、初めて地方財政計画の上で二交代制を、一部の地域でございますが、三交代制にする、こういうようなことで逐次措置はいたしておりますが、なお今後とも予防査察を徹底し、そのために人員の増強等について努力してまいりたいと思います。  火薬の問題は、これは実は消防法危険物として扱っておりませんが、これは通産省のほうの所管になっておりますので、その点はひとつお含み置きを願いたいと思います。
  30. 鈴木壽

    鈴木壽君 火薬貯蔵する倉庫とか何か、あるいはそういうことに対しては消防庁のほうでは関係がないのですか。
  31. 松村清之

    政府委員松村清之君) 全く関係がないとは言えませんが、消防法にもいろいろな場合に、火災予防のためには査察ができることになっておりますから、全くないとは言いませんが、第一義的には、これは通産省の所管ということになっておるのでございます。
  32. 鈴木壽

    鈴木壽君 いわゆる危険物というものの中に入って、そういう貯蔵し、保管しておるような場所に対する査察というものは、消防でいう査察の中に入っていますかおりませんか。
  33. 松村清之

    政府委員松村清之君) 危険物としての対象には火薬はなっておらないわけでございます。ただ一般の対象として消防がこれに関与するということは、消防法の四条でございますかで、これは可能なわけでございます。
  34. 鈴木壽

    鈴木壽君 しかし消防関係としても、やっぱりこういうもの——まあ私一つの例は、査察が不十分に行なわれておるという例の中にさっきあげたのですが、無関係ではないのですというお話ですが、そこで、私さっき冒頭申し上げました二つの問題のうちの第二点ですね。一体、たとえば工場なり何かそういうものの設置あるいは設立、建設、こういうものは通産省関係だ、安全性の問題とかそういう意味でのいわゆる災害の問題はこれは労働省だ、消防関係消防庁だと、しかもまた危険物が入っておる倉庫の問題は、これは運輸省だと、こういろいろなところに幾つか——まあ言っちゃ悪いけれども、ばらばらな形で監督行政が行なわれておるというのがいまの状態だと思うのですが、ここにも一つやはり私は大きな問題があるのじゃないかと思うのです。大臣こういう点どうでしょう。災害防止というような点から、もっと何か総合的に、あまりばらばらな形でなしに監督行政が行なわれるというような仕組みですね、そういうものが必要ではないかと思うのですが、大臣こういう点どうでしょう。
  35. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 御指摘のとおりでございます。私も実はその点を遺憾にも思っておるわけでございますが、しかし、一方そういった専門的なといいますか、そういうものになりまするというと、高圧ガスになれば通産省関係だとか火薬関係になれば通産省関係というようなふうに、また先ほど松本先生から御指摘になりました避難関係になりますと建築自体の設備というようなことになりますので、やはり建設省というような関係になるので、やむを得ぬ点も私はあるかと思います。そうかといって、分かれておりますために、それぞれの省、それぞれの担当で査察なり監督なりは実施されておるとは思いますけれども、しかし、そこに一貫したものが欠けるということになると心配な点がある。で、私どもは消防庁の職員等にときおり指示しておりますのは、それがどこの省の関係であろうと、人間の命を救うということは消防の使命であるぞ、だからそういう観点でひとつ考えてやってくれ、自分の権限でなければできないからやれないとかというようなことでなくて、どこの省の関係であろうと、先ほど法律の第四条にそういう他省に関係するものでもあぶない点は査察することも許されておることでもございまするので、あまり関係省との権限争いみたいなことになるのはおもしろくございませんけれども、最終的に人間の命を救うのだぞという点に重きを置いてやれば、私はやる道があると思います。そういう指示もいたしておるわけでございます。いままでのやり方については、若干遺憾の点もあるようにも思いますが、これは交通事故防止についても実は私ども感じておるところでありまして、警察当局に申すことは、交通事故でなくなったという場合に、それはいろいろな設備に欠くるところもあればいろいろな点もある。しかし最終的には交通の事故をなくすということは警察の使命と心得てひとつやるようにということで、まあ関係各省との関係は、内閣の総理府におきまして総合的に関係省が集まって会議もやるというようなことで、漸次人間尊重の線に進んでおりますので、危険物や何か、あるいは火災から人命を救助するという点にかんがみまして、そういった総合的な連絡といいますか、という点は、これはなお一そう気をつけてやってみたいと、かように存じております。
  36. 鈴木壽

    鈴木壽君 通産省なり労働省それから消防庁、場合によっては倉庫関係では運輸省、こういう関係するところで査察なり検査なりあるいは仕事を始めるときからの時点でもいいですが、厳密にいえばそれから必要だと思うのですが、そういうことについて何か常時打ち合わせをしたり、話し合いをしたり、連絡をしたりというようなことをおやりになっておりますか。
  37. 松村清之

    政府委員松村清之君) 先ほどからお話のように、災害対策のためには、国として関係機関が協力をして常に話し合いをして連絡協調をはかることが大事だと考えております。ただ現実には、そういうことをいたしますために、はっきりときまった連絡機構というものはございませんで、必要なつど関係各省と打ち合わせをいたしておるのが現状でございますが、この点につきましては、だんだんに関係省が一致して災害の防止に当たるように努力はいたしております。
  38. 鈴木壽

    鈴木壽君 何か大きな災害なんかが起こった場合に、いや、これじゃいかぬというので、ときどきやるようですが、やはり常時そういうふうな連絡なりあるいはお互いの仕事についてのお話し合いなり、また、具体的にどうしてどこで、たとえば通産省でどうするのか、消防庁でどうするのかというような、そういうようなことまでやはり話し合いを持つ必要があると思うのですが、これは大臣どうです、高い立場から。
  39. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) お説のとおりでございまして、私もそういう点に気がつかぬわけでもございませんので、今後ひとつこれをどういうふうにやりますか、具体的に検討を進めていきたいとかように思っております。
  40. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまの点で大臣の御答弁がありましたから、重ねてあとこれ以上申し上げないつもりですが、私、監督行政というものがばらばらじゃないかというようなことも言ったけれども、さて、じゃ、にわかにいまどこをどうして総合的にというようなことになりますと、これはなかなか名案も出ないだろうと思う。その方向で御検討いただくとともに、いま幾つか分かれておるようなこういうところを、一体いまの形においてどううまく連絡協調を保ちながらやるかということが大事なことだと思いますから、ひとつ、さき申し上げましたような趣旨のことができますように、私強く要望しておきたいと思います。  それから危険物によるいわば災害というようなことを考えます場合に、たとえば火災なら火災が起こった場合に一体どうするのかということが、一つまた現状では心配状態だと思う。たとえば化学消防車とかそういうものが必要だとみんなが言っておるにもかかわらず、東京あたりはだいぶ数がふえておるようでありますけれども、地方へ行った場合に、当然なければならぬと思うようなところにもまだないというような、こういうことが私はあると思うのです。そういう点について今後どう御指導なさるつもりかですね。
  41. 松村清之

    政府委員松村清之君) その点につきましては、昨年各地で危険物関係火災事故がしばしばございました経験にかんがみまして、昨年暮れの予算編成の際におきまして、本年度新しく二億五千万円の科学消防整備のための補助金を獲得いたしまして、これは私どもの計画では、今後五年ぐらいこの二億五千万の補助金をもって科学消防、まあその中身は、化学車、はしご車、一部救急車、こういう三つの車の整備を五年くらいの間にはかっていきたい。そういたしますならば、大体全国で必要な数の化学車等がそろうようになる、そういうふうに計画を進めております。
  42. 鈴木壽

    鈴木壽君 地方の都市なんかでいま一番頭の痛い問題が、たとえば化学車、化学消防車なり、はしご車なり救急車、こういうものどれもみんな必要なんだ、しかしどれも買えないという、用意できないというのがいまの地方団体の財政の状況なんですね。それで、ある都市では、化学車、化学消防車にしようか、はしご車にしようか、二つあれば一番いいけれども、いま言ったように、一挙にそれを用意することができない、まずはしご車にしようかと。ところが、その地帯というのはいわば石油、ガソリン、こういうもので災害の発生が予想されるようなところですね。何とかどっちのほうもほしい、しかし、いま言ったような財政事情の問題で手が出ない。今度の国からの補助でというようなことも、これはいつ回ってくるのかどうもと、こういうのがあるのですがね。やはり現在の消防では、これは何年も前からいわれておりますように、施設の面における機械化と申しますか、近代化というようなことが、これはもうぜひとも必要なんで、しかしそれを充実させるためには、とてもじゃないが現在の地方財政の状況では、もう手に負えぬ、こういうことなんですがね、補助金の。それで、もう少し具体的に、全国的に一体どのくらいのものがどう用意できるというふうなお見通しなんですか。
  43. 松村清之

    政府委員松村清之君) まず、先ほどの市町村の経費負担の問題についてあらかじめ述べておきますと、本年度は二億五千万円の新たな、これは三分の一補助でございます。そのほかに、三分の一起債を用意しております。したがいまして、地方負担は三分の一ということになります。なお、本年度の消防費につきましては、地方財政の上でも格段の措置を講じていただきまして、昨年度より基準財政需要額が二〇%引き上げられております。そこで、私は市町村に熱意を喚起させて、この化学車、はしご車の整備ということは十分にやっていけると考えておりますが、なお、本年度もいまお話しのこの化学車の整備につきましては、大体全国で七十台程度の整備が昭和四十年度可能になるという計画にいたしております。
  44. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあこの設備の近代化ということについては、ひとつ今後とも国において、もっと力を入れてやってもらえるように、要望といいますか、注文といいますか、そういうことで、ひとつ大臣にもぜひこれはお考えになっていただきたいと思います。何べんも申し上げますように、いまの地方財政の中では、なかなかこういうものを直ちにというようなことはできませんし、化学消防車なりあるいははしご車があれば事故がきわめて少ない範囲で食いとめられるというようなときがあっても、そういうことができないという現状ですから、との点をひとつ申し上げて要望しておきます。  それから法改正の中で、これはちょっと私勉強が足りないので、ほかのほうを調べておりませんものですから、お聞きするのですが、十四条の改正で、今度映写技師の免許ということがなくなりますね。その十四条の改正で、あとこれは自動的に——自動的と言っちゃ悪いが、ここだけでそういう制度がもうなくなるのだ、こういうことでございますか。何か他の法令等にこの規定が別にあるのかどうか。さっき言ったように、私は他のところをちょっと調べかねておりまして……。その点いかがです。
  45. 松村清之

    政府委員松村清之君) まあ映写技術者の制度につきましては、これはフィルムがかつて燃えやすいフィルムでありましたためにそういう制度を設けて、現行の消防法にもその映写技術者は第十四条、第十五条辺にあるのでございますが、これにつきましては、今日のフィルムの状況から、そういう制度は不要であるというふうにも考えておりますし、また、たまたま臨時行政調査会の答申におきましても、この制度を廃止するようにという、そういうことがございましたので、今度の法改正の機会に、消防法でまずその制度をやめまして、それを受けて消防組織法のほうの字句を整理したい、こういう関係になっております。
  46. 鈴木壽

    鈴木壽君 念を押して聞きますが、すると、十四条の改正によってと、それから消防組織法の手直しによって、この制度が全然なくなる、他の法律等においては何も規定がないからと、こういうことでいいのですね。そのように了解して……。
  47. 松村清之

    政府委員松村清之君) そのとおりでございます。
  48. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから消防組織法改正で、十八条の二、それから二十四条の三が新たにこれはできたのですが、十八条の二で、現行法の「都道府県は、市町村の消防が十分に行なわれるよう消防に関する当該都道府県と市町村との連絡及び市町村相互間の連絡協調を図るほか消防に関し」云々と、こうありますが、そうして、その八号に、その「市町村の消防の相互応援に関する計画の作成の指導に関する事項」、こういうことが新たに入ってくるんですが、現在のこの法の規定あるいはそれに基づいて実際やっておることでいけなくて、こうしなければならない理由というものは一体何ですか。
  49. 松村清之

    政府委員松村清之君) この現行法の本文にございます「市町村相互間の連絡協調を図る」ということは、非常に内容が明確でございません。そこで、今日市町村消防を原則としつつ消防の広域的処理をはかってまいりますためには市町村相互間の応援ということが非常に大事な問題になってきておるのでございますが、いままでは、どちらかといいますると、市町村が思い思いに隣の市町村と応援協定を結ぶ、これが現在の姿であると思います。しかし、この相互応援協定を、より効果的に今日の消防の広域的処理にかなうようにいたしますためには、やはり全県的な立場でどの市町村とどの市町村との間で相互応援をするという計画が立てられることが大事だと思います。そういう意味で、私はそういったことをやりますには、市町村の思い思いということでなくて、やはり県が指導立場でそれに関与すると——別に指示する、命令するというわけじゃございませんが、指導的にやっていくことが大事だと考えますので、ここでそれを明確にいたしますために新たに第八号を入れまして、「応援に関する計画の作成の指導」を県の任務としてこの法改正の中に取り入れたような次第でございます。
  50. 鈴木壽

    鈴木壽君 現行の十八条の二の七号に「市町村の消防計画の作成の指導に関する事項」というのが県の仕事としてありますね。この場合の市町村の消防計画というものですね、この中にはあれですか、応援のような場合のことが考えられておらないという前提でしょうね、そうしますと。
  51. 松村清之

    政府委員松村清之君) その点につきましては、現行法の第七号の「消防計画の作成の指導」の消防計画の中に、ただいまのお話の相互応援の問題も入るようにも解せられます。しかし、これだけでは非常にあいまいで明確でありませんし、一方、今日この相互応援の問題が緊急の問題となっておりますので、これをもっと明確にし、府県の任務としてはっきりした姿にいたしますために、この際、これを明確化するための規定としてこの改正法案にただいまのような規定を特に取り上げたような次第でございます。
  52. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、「市町村の消防計画」というものの中には、自分たちの町や村のそれだけに限った消防計画の中ではこれはさばき切れない問題がいろいろあると思いますから、当然場合によっては他からの応援なり、逆に言えば、またこちらから他のほうへ応援に行くというような、そういう計画もなきゃならぬと思うし、そういう限りにおいて、従来現在まで行なわれてきたように市町村間の応援体制といいますか、相互援助のそういう仕組みが、そういう面から私できていくべきだと思うのですね。ですから、この県の仕事として第十八条の二の七号にあげられてあることの「指導」が正しく行なおれるという限りにおいては、私は「市町村の消防の相互応援」という別に一つの新しい問題としてここに掲げなくても、やっていけるのではないだろうか。さっき長官は、ばらばらとか、任意とかいうことばをお使いになったようでありますが、それは、はたから見れば、あるいはばらばらか任意かわかりませんけれども、それぞれ市町村間におけるいわば協定みたいなものができているところはたくさんありますね。そういうたてまえでやることが私は正しいやり方ではないだろうかと思うのですが、さらに今度「相互応援に関する計画の作成の指導に関する事項」を加えるということについては、若干ちょっとどうかと思う点があるのですがね。いかがですか。
  53. 松村清之

    政府委員松村清之君) 先ほど申しましたようにこの七号の「市町村の消防計画」という中に相互応援のことが入る、こういうふうに解せられないこともないとも考えられますけれども、しかし、非常にあいまいでございますので、その点をまず明確化する必要があると第一に考えます。  それから第二には、いまお話しのように市町村の相互応援というものは、その市町村自体で考えればそれでいいとも言えるかもしれませんし、また、市町村消防というたてまえからいえば、それがいいと考えられないこともないと思いますけれども、やはり今日の事態に消防が対処していきますためには、市町村消防ということを原則としつつ、この市町村消防が広域的に運営処理されていくということが、今日の災害に対処するためには私は大事な点だと思います。それには、やはり県が県というその立場に立ちまして県内の市町村の消防についての相互応援というものを、もう少しより計画的に全県的な立場指導していく。これがこの消防の相互応援をより合理的にするゆえんではないかと考えまして、ここに明確に府県の任務として「相互応援に関する計画の作成の指導」、こういうものを掲げたような次第でございます。
  54. 鈴木壽

    鈴木壽君 県の仕事としてそういう市町村間の相互応援とかいうようなことの、これに対する指導が不必要だという意味じゃないんです、私の申し上げているのは。ただ、十八条の二は、それを冒頭に、各号に入る前に、「市町村相互間の連絡協調を図る」ということがもううたわれているんですね。そうしてなお県でやる仕事としてこういう仕事だと、こういうのがこの条項のたてまえですね、そのたてまえの中に七として「市町村の消防計画」というものがあるのだから、その中でやらせるようなことであって、その中で市町村間の相互応援なり協調なりということが行なわれるような計画の作成のその指導に当たるというのが県としてのたてまえであるとすれば、何もここに新たにやる必要が私はないのではなかろうか、そういう感じをしておるわけなんですがね。やらなければいかぬのですよね、これは。しかし、やらなければいかぬことはうたってあるし、したがって、やらなければいけないことは七号のこれで足りるのではないか。あとは、実際やるのは市町村間の関係になりますからね。そういう意味です。
  55. 松村清之

    政府委員松村清之君) この法案を作成します過程におきましても、いまお話しのように七号でもそういうことが考えられるんではないかという議論もございました。ただ、先ほどから申しておりますように、この七号では非常に内容が明確でございませんので、法制局等とも打ち合わせまして、この際、明確な表現をとりますために新たにこの八号を追加して入れたと、こういうような経緯でございます。
  56. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあその点そのくらいにしましょうか。  ただこの際、私この条文からじゃないんですが、ひとつ消防なり消防団のあり方について、こういうものと関連をして、過去に消防の任務とする以外の分野に消防団が出てきて、どうのこうのといった事例がありますわね。もっとはっきり言うと、何か大衆運動みたいなところに出かけていって、あるいはそれは消防団員の個人なのかどうなのかわかりませんが、いずれにしろ、そういう事例がある。それから新潟にあった警察と消防とのいわゆる応援体制ですかな、これに対する協定みたいな問題。やっぱりこれはときには警察と一緒にやらなければいけないこともある、しかし、こういうような問題を、単に各地であちこちでそういうことが行なわれておるということは、見のがしておくべき問題では私はないと思うのですがね。いわゆる災害なり火災等から守る、そういうものに対する任務の者が、大衆運動の何か多少トラブルのあったような場に乗り込んできてやったとかというようなことになりますと、私は消防の本来のあり方からして、けしからぬことだと思うのですがね。最近、きわめて残念だという事態はまだ起こっていることも聞いておりませんが、過去にあったそういうことに対して、やっぱりこれから注意していく必要があると思うのですがね。その点、指導方針についていかがでございましょうか。
  57. 松村清之

    政府委員松村清之君) 消防法律にもその任務が明記してございますように、消防というのは災害に対処いたしまして、国民の生命、身体、財産を守る、これが原則でございます。したがいまして、消防の対処いたしますのは、自然的な災害火災、大きな事故、こういうものに対処するのが原則でございますが、ただ、消防組織法の二十四条の第一項におきまして、「消防及び警察は、国民の生命、身体及び財産の保護のために相互に協力をしなければならない。」という規定があるのでございます。したがいまして、国民の生命、身体、財産の保護、こういう目標があります際には、この消防と警察というものは相互に協力をしていかなければならない。そこで、この条文に基づきまして、実際の現地におきましては、この消防と警察とが相互応援をしておる、そのためには平素からそのための協定を結んでおる、こういう事例があるのでございます。ただ、先ほど御指摘になりましたように、昨年、新潟県におきまして、新潟県の警察本部と管下の何カ町村との間にその相互応援の協定を結ぶべき案が立てられたのでございますが、この案が、いかにも警察に片寄った、消防立場というものが軽視された内容でありますために、当時いろいろ問題がございまして、衆議院の地方行政委員会でも、この点が取り上げられたのでございます。確かに相互応援そのものは国民の生命、身体、財産を守るためには、ある程度必要でございますが、消防立場消防の任務が軽視されたそういう協定であってはこれはいけませんので、当時そういう状況がございましたので、警察庁におきましても特に通達を出されまして、新潟県の県警本部のいき方は行き過ぎであるということで、事前にこれを食いとめたことがございます。一般的には消防、警察は、国民の生命、身体、財産の保護のためには相互に協力いたさなければなりませんが、国民の生命、身体、財産に関係のないようなデモとかストとか、こういうものに、もちろん消防が乗りだす必要はございません。また消防というのは、たとえば凶悪犯、こういうような者をとらえますためにこの消防の職員、団員が非常な危険をおかすということも、これもまた不都合なことでございまして、その辺は、この消防の任務からいたしまして、合理的な範囲内において警察と協力していく、こういうことで全国の市町村消防に対しまして、協定をつくるようなときにもそういう点を十分に考えて、行き過ぎのないように配慮を加えるように指導をいたしております。
  58. 鈴木壽

    鈴木壽君 特に私、最後に念を押しておきたいと思いますが、警察との結びつき、これは応援とかそういう立場において協調していくことにはもちろん必要な場合がたくさんありますからね、また、過去のことですから、ここであらためて取り上げるつもりは私毛頭ありませんが、いかにも警察が消防団を支配するような形になるというような、ことは、これはもう厳に戒めていかなければならぬし、そういうことがあっては、いかぬと思うのですね。そもそものいわゆる自治体消防のできたねらいは、過去におけるところのああいうものとの、特に警察とのそれを完全に遮断をするというところにねらいがあったわけじゃないが、結果的には遮断をするという、こういうことが一つ消防としてのあり方の基本的な考え方であったと私は思うし、そうでなければならぬと思うのですね。ですから、くどいようでありますけれども、いまの点、これからも何か心配ないような気もいたしますが、警察自体で——これは公安委員長ここに大臣としておられますが、ひとつ最終的に大臣からの所信を聞かしていただきたいと思います。
  59. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 御指摘の点は十分気をつけていくべきことでございまして、消防には消防の使命がございます。警察には警察の使命があり、お互いが助け合うということもまた必要でございますが、要は、住民の福祉、すなわち生命あるいは身体等のいわゆる災害を防止しようというところにあるべきでございまするから、十分気をつけてまいるつもりでございます。
  60. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  61. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。     —————————————
  62. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 委員異動について御報告いたします。本日付、沢田一精君が辞任され、植竹春彦君が選任されました。
  63. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 他に御質疑はございませんか。
  64. 松本賢一

    松本賢一君 先ほどの私の質問で、御答弁の中にありました施行令の第二十五条というものは、その後に拝見したのですが、ちょっと規定があまりにもゆるやか過ぎるという気がするのです。特に人数が、病院は三十人とか、旅館寄宿舎等は五十人とかいうことが規定にあるのです。いまいろいろ私の意見を述べると長くなりますから述べませんが、これをぜひひとつ再検討していただいて、これは法律ではない、施行令で、改正することも簡単だと思いますので、再検討の上で、ぜひともこれは、もう少し厳重なものに、ということは、もっと安全な生活ができるようなものに改正をしていただくことを要望しまして私の質問を終わりたいと思います。
  65. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 他に御質疑はございませんか。——他に御発言もないようでございますので、本案についての質疑は終了したものと認め、これより討論を行ないます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認め、これより採決をいたします。  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  66. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じます。  本日はこの程度にいたしまして、次回は四月十三日、火曜日午前十時開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会      —————・—————