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1965-03-31 第48回国会 参議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十一日(水曜日)    午後零時十五分開会     —————————————    委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      日高 広為君     石谷 憲男君      田上 松衞君     基  政七君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 西郷吉之助君                 竹中 恒夫君                 林  虎雄君     委 員                 井川 伊平君                 石谷 憲男君                大野木秀次郎君                 小林 武治君                 沢田 一精君                 高野 一夫君                 中野 文門君                 前田 久吉君                 加瀬  完君                 鈴木  壽君                 永岡 光治君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君                 二宮 文造君                 田上 松衞君                 基  政七君                 市川 房枝君     —————————————    国務大臣        自 治 大 臣  吉武 恵市君    政府委員        自治大臣官房参        事官       宮澤  弘君        自治省財政局長  柴田  護君        自治省税務局長  細郷 道一君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査  (昭和四十年度地方財政計画に関する件)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。本日付、日高広為君が辞任され、石谷憲男君が選任されました。     —————————————
  3. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回質疑は終局いたしておりますので、これより討論を行ないます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。林君。
  4. 林虎雄

    林虎雄君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となっております地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案提出し、その提案理由を申し上げたいと存じます。修正案内容は、お手元に差し上げてありますので、ごらんを願います。  御承知のように地方財政は最近再び悪化の傾向が顕著となってまいりまして、昭和三十八年度決算についてみると、一般会計決算赤字団体は四百九十二を数え、その赤字額は二百七十二億円、公営企業赤字三百七十六億円、さらに国民健康保険赤字百三十二億円を加えると、赤字総額は八百億円に達するのであります。しかもこの傾向は、さきの財政再建のときと異なり、特に大都市及び都市において著しくなっているのが特徴であります。政府は、こうした地方財政事情にもかかわらず、大型予算を編成し、地方に対し直轄事業補助事業等にきわめて低い単価で押しつけ、すでに一千億円に及ぶ超過負担を行なわせている状態であります。しかるにかかわらず、政府提案地方税法の一部改正案は、以上のような地方財政困窮やひずみを抜本的に是正しようとする意図はほとんどうかがわれず、地方財政健全化の方向とはほど遠いものであると言わざるを得ません。また、物価高に悩む国民生活を守るための減税措置については、見るべきものはなく、むしろ逆に増税傾向さえうかがわれるのであります。私どもは、この際、住民税事業税固定資産税電気ガス税料理飲食等消費税たばこ消費税、さらには国民健康保険税等について修正すべきものが多いと考えるものでありますが、私はこの際、すでに増税が明らかにされている自動車税の一部の税率引き上げをとりやめて、従前のまま据え置くべきであるとの修正案提出した次第であります。政正案によりますと、営業用小型自動車及び観光貸し切り用バス以外のバス、トラックを除き、その税率を五〇%と大幅に引き上げていますが、小型自動車軽自動車等は、現在中小企業の経営のために不可欠のものであり、勤労者には自転車にかわる足となっているものでありまして、過去の自動車に対する観念とは大きな隔たりがあるのでありまして、今日では大衆課税にほかならないものであります。政府は、財源の枯渇している地方財政のバランスをとるためにあえて時代に逆行する増税自動車に求めたことは妥当でありません。よって自動車税については、四輪小型自動車観光貸し切り用バス及び軽自動車税率は、従来のまま据え置くべきものであると存じます。  以上が本修正案提出した理由であります。何とぞ皆さんの御賛成を賜わりたいと存じます。
  5. 竹中恒夫

    竹中恒夫君 私は、ただいま提出されました修正案反対し、政府原案賛成の意を表するものであります。  明年度地方財政は、歳入面において好況時におけるような期待ができない上に、財政需要はいよいよ増高し、したがって減税に対する強い国民の要望にもかかわらず、その実現は非常に困難なものと考えられます。政府原案は、このような悪い環境のもとにおきまして、障害者等に対する住民税非課税範囲の拡大、個人事業税及び電気ガス税軽減など、低所得者に対する減税を実施する反面、住民税法人税割税率の調整、自動車税率引き上げなど、地方財政の安定と行政経費の確保についても十分配慮しておるものでありまして、その内容は、地方財政の現況におきましては、おおむね適切な措置考えるのであります。もとより地方税制については、住民控除引き上げなど問題がないわけではございません。昨年十二月に出されました政府税制調査会長期答申を見ましても、地方税制の各般にわたり基本的に検討すべき事項がたくさんあります。したがいまして、この点に関しましては、私は、社会経済情勢の進展を見きわめつつ、その改善合理化のために今後とも一そう努力してまいりたいと考えるのでありますが、さしあたって、本委員会の審議を通じ問題となった諸点を取り上げ、附帯決議案提出し、政府において十分検討し、善処することを要望したいと思うものであります。  附帯決議案は、お手元に配付してあると思いまするので朗読は省略させていただきまするが、何とぞ御賛同のほどをお願い申し、討論を終わります。
  6. 二宮文造

    二宮文造君 私は公明党を代表いたしまして、ただいま提出されました修正案趣旨賛成し、政府原案反対するものであります。  昭和四十年度の地方財政における歳入構成を区分にしてみますと、地方税の場合に四二%、地方譲与税で一%、地方交付税で二〇%、国庫支出金で二七%、このような状態になっております。いわゆるこれが地方財政力あるいは地方自治が三割自治といわれる実態であります。しかも市町村によりますと、その自主財源、いわゆる税収入歳入総額の十数%という状態で、これでははなはだ好ましくない状態といわなければならないのであります。しかもなお、地方団体におきましては、給与費や、あるいは公共施設充実など義務的な経費が増大してまいります。さらにはまた、ただいまお話がありましたように、超過負担の問題、さらに膨大な公営企業累積赤字の問題、いわゆる地方財政は危機に瀕していると見なければならないのであります。  今回提出されました地方税法の一部改正案を見ましても、これは、従来、住民税につきましては、その地域格差の是正についていろいろと方式がとられてきたのでありますが、いまだに不十分な状態でありますし、今回の場合を見ましても、障害者あるいは寡婦などの非課税範囲が、年所得二十二万円として、現行法より二万円引き上げとはなっておりますが、いわゆる住民税制度の中に含まれた根本的な欠陥というものは、何ら触れられていないのであります。  さらにまた、電気ガス税などというものにつきましては、すでにこれは大衆課税性格を持っておるものでありまして、その撤廃が望まれるわけであります。今回のように単なる免税点引き上げということでは、電気ガス税が持つ大衆課税性格を除去したものにはならない。このような意味で、この点についても反対であります。  さらにまた、自動車税引き上げにつきましては、昨日も申し上げましたように、特に四輪の小型自動車あるいは観光貸し切りバス等に対する課税引き上げなどというものは、その性質大衆課税に向くものである、こういう趣旨で私ども反対であります。軽自動車についても同じくそのことが言えると思うのであります。  要しまするに、この附帯決議に示されておりますように、地方財政欠陥を抜本的に是正する方策がとられないでは、地方財政の建て直しというのはとうてい不可能であります。また、それが焦眉の急に迫られている今日であると私どもは思うのであります。したがって、従来いわれておりますように、国と地方事務配分について、さらにまた、それに伴う税源の再検討とか、あるいは交付税補助金制度などの再検討を含めて、地方財政の抜本的な対策がなされなければ、この問題の解決にはならない。したがって、今回の政府原案には、そのような趣旨のもとに私ども反対であります。
  7. 田上松衞

    田上松衞君 民社党を代表いたしまして政府案反対し、社会党修正案及び竹中委員提案になりまする附帯決議案賛成の意思を表明したいと思います。  まず、政府提案反対いたしまする理由一つ二つを申し上げますならば、最初自動車税についてでありまするが、政府自動車税引き上げ理由を、近年自動車台数増加が著しく、これに伴って道路新設改良等、直接道路に関する経費が増大するとともに、交通取り締まり等自動車増加原因する行政経費が著しく増加している云々、こう説明しているわけでありますが、この言い分に関しては、われわれとは根本的な認識相違があります。政府言い分というものは、単なる結果論にすぎないものでありまして、あえて原因を隠蔽しようとしておるふまじめな態度だと考えるのであります。病気を根治しようといたしますならば、まず、その病源を正確に突きとめまして、病体に追い込んだものの責任において治療をすべきことは子供でも理解できる理屈だと、こう考えるのであります。こういう真理の上に立っての私ども認識というものは、道路の狭隘あるいは破損等のほんとうの原因、すなわち起因というものは、国の産業経済の急速な伸展がやむなくもたらしてしまったものであって、したがって、道路新設改良等必要性とその実施は、あくまで産業経済伸展とにらみ合わせて当然に要求をされる性質のものでなければならない。国の産業経済施策の中で、国庫負担計画的に行なわれるべき筋合いのものでなければならぬと信ずるのであります。しかるに示されるような自動車税軽自動車税などにその財源を求めるようなことは、いたずらに物価値上げの風潮に拍車をかけてこれをそそり、国民生活をますます困窮に追い込む以外に何らの効果はない、こう考えるのであります。  この機会に、ついでにつけ加えておきまするが、国税における所得税改正によりまして、株式配当に対する一銘柄五万円までの所得の申告がほとんど不可能になる結果から生じますところの減収分が実に五十四億となるはずであると思うのでありまするが、それにもかかわらず、政府はこの税法改正の中では減収考えていないような不可解な点がひそんでおります。これは国と地方との税の負担均衡あるいは国民相互間の税の負担均衡から見ましても、きわめて不合理であるばかりでなくして、国民大衆に対しまして不親切な考え方であると評せざるを得ないのであります。  第二点は、国の法人税税率が引き下げられるかわりに住民税法人税割税率引き上げられているというこの事実は、国民を対象として誇大宣伝をしておりまするところの政府減税方策の大きな欺瞞といわなければならぬと、こう考えるのであります。政府が本気になって地方税法改正することによりまして地方財政のテコ入れを企図するという決意があるといたしますれば、まず国税の面から手をつけなければならないことは言うまでもございませんが、さらには国民大衆が納得するところの新しい税目をどんどん見つけ出すことに努力すべきである。今日のこのワクの中だけでただいじくり回しているだけであっては、断じて地方財政充実などは期せられるはずはない、こう考えるのであります。たとえば同じ大衆課税といわれるものの中でも、国民生命保全上の実生活とは無縁であるところのたばこ消費税のごときものについては、これを大胆に引き上げまして、もって地方自治体に回すというような施策もあるのではないか。  昨日来の与野党間の申し合わせもあることであるから、以下の数々の反対理由は、ことごとくこれを省略することといたしまするが、これを要するに、政府案は、その呼号いたしておりますところの国民負担軽減すなわち減税趣旨というものが一貫性を欠いてしまっておるということよりも、むしろ魔術をもって国民をごまかしておるもの、別のことばで言えば、羊頭狗肉式な拙劣な立案であって、しかも地方財源の真の強化に何ら役立つものがないと思考するがゆえに、賛成しがたい。  時間の関係がありますから、以上で政府案に対しまする反対討論は終わることにいたしまするが、なお社会党修正案については、もちろん幾多の不足の点はありまするけれども、しかし最小限度この程度修正は認めらるべきものである、こう信ずるがゆえに賛成をいたしたいと思うのであります。  最後に、竹中委員の御提出になりまする附帯決議案については、これもちょうど社会党修正案に述べる気持ちと同じように、この程度修正にあらずとも当局のほうで十分に意を用いてやってもらわなければ国民を納得さすことはできないだろう、こう考えるがゆえに、この附帯決議案賛成し、願うことならば本附帯決議全会一致のものとしていただきたいという希望をつけ加えまして私の討論を終わります。
  8. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ほかに御発言もないようでありますので、討論は終局したものと認めて、これより採決を行ないます。  まず、討論中に述べられました林君提出修正案を問題に供します。本修正案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  9. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 少数と認めます。よって本修正案は否決されました。  次に、原案すなわち衆議院送付原案全部を問題に供します。  本案原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  10. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、同じく討論中に述べられました竹中提出附帯決議案を問題に供します。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  11. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 全会一致であります。よって本附帯決議案は、本委員会決議とすることに決定いたしました。  それでは、ただいまの附帯決議につきまして、自治大臣の所信をお聞かせ願います。
  12. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) ただいま決定になりました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して慎重に検討してまいりたいと存じます。
  13. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) なお、本案審査報告書につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じます。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 暫時休憩いたします。   午後零時三十七分休憩      ——————————   午後四時三十分開会
  15. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  地方交付税法の一部を改正する法律案昭和四十年度地方財政計画に関する件を一括議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 松本賢一

    松本賢一君 もう時間もお急ぎのようですし、いまさら質問も、この間うちからたくさん出たあとで、あらためて質問するようなこともありませんけれども、ひとつ、この間、私は本会議で質問したときの大蔵大臣答弁の中で、ちょっとわかりかねるところがありますので、その点をちょっとお尋ねしてみたいと思うのですが、最初大蔵省計算なさったら、交付税のほうはふやさなくてもいい。むしろ剰余金が出るというような計算になった。ところが自治省のほうの計算では、三百億くらい足らぬから、三百億くらいふやしてくれという要求があった。だんだん詰めて、詰め合ってまいりましたら、自治省のほうが多少過大であったということで、〇・六というところに落ちついたとおっしゃったのです、大蔵大臣が。この過大であったという自治省計算と、大蔵省計算と、どういうふうに違ったのでしょうか。
  17. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) それは、私直接大蔵大臣の話したのを聞いておりませんからわかりませんが、おそらくこういうことだと思うのです。折衝いたしました私のほうの根拠は、しばしば申し上げますように、三百七十何億かになりまするのは、三十九年度の国税減税と、四十年度の国税減税地方交付税の減を計算しますと、三百四十何億になりまして、それになお、地方税影響分を二十億か加えまして、三百七十何億になったわけであります。それで、それを要求しまする実質的な根拠としては、四十年度の財政需要額というものを、私どもがいろいろ策定してみますると、一千億以上のつまり欠陥が出るわけであります。それでどうしても交付税で三百何十億かいただかないというと、なかなか財政計画は立たないぞということで、まあ最後最後まで折衝したわけであります。ところが大蔵省考え方を聞いてみますると、大蔵省も、いままでのように自然増収の多かったときはいいけれども、最近の税の伸び悩み、財源不足で、国の財政も四十年度は一二・四の伸びにしかならない。つまり非常に健全均衡財政をとらざるを得なくなったのだ。それに、地方財政だけが三十九年のときのように一九・一−三十九年度は前年度に比較しまして一九・一の伸びを見ているわけです。私ども財政計画をその率に引き伸しますと、たしか、一八くらいになるわけです、当初の私どもの一千億程度足らないという財政計画では。そこで、大蔵大臣が申しますのは、国も一二・四程度に引き締めておるので、地方財政もいろいろ支出があろうけれども、一八というのはあまりにかけ離れていないか。これを何とか健全財政にすることはできないかというものですから、私どもいろいろ検討いたしまして、やはりもっともな点もございまするので、財政計画を一五・一くらいに圧縮をして策定をしたわけであります。したがいまして、三百何十億というのは、国の財源から見ましても四千五百億しか財源がなかったわけでございますから、その中で、義務的にくぎづけされている財源というものが相当あるわけです。約束済み財源が相当あるわけでありまするから、それを除きまするというと、純粋の財源としては一千億程度しかございませんので、その中から三百七十何億というものは、これはなるほど無理だなということで、百四十五億の〇・六にしたわけでございます。そのことを大蔵大臣が、自治省もわかってくれて、計画にいろいろの差があった、こういうことを言っているのだと思います。それが最後の私が大蔵大臣と詰めましたときの議論の分かれ目でございましたから、さように私は存じております。
  18. 松本賢一

    松本賢一君 そうすると、多少過大であったという表現を大蔵大臣がしたのですが、それは過大ということではなくて、見方に相違があったということですね。
  19. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) そういうことでございます。
  20. 松本賢一

    松本賢一君 そうしますと、これはもう私はこの間も申しましたように、三百何十億という要求つまり一・五%の要求というものは、自治省としても相当切り詰めた要求じゃないかという感じが持てるわけです。それが〇・六になった。これは、いまとなってはもうやむを得ないでしょう。しかしそうすると、やはり自治大臣としては、多少地方が窮屈になるというか、あるいは行政水準がどこかで下がってくるというようなことも覚悟の上でなければならぬということになるわけですね。
  21. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) さようでございます。
  22. 松本賢一

    松本賢一君 その点はわかりましたが、そこで、これも大蔵大臣の去年の答弁で、私が記憶しているところによりますと、地方交付税というものは、将来少なくするということは考えられるけれども、多くするということは考えられない、私はそう思う、こういうふうに去年おっしゃったのが、ことしは現実に〇・六%ふえちゃって、たちまちその答弁と違った結果になっちゃったわけですが、そんなことはどうでもいいのですが、これはどうですか。自治大臣考え方では、いろいろ交付税の問題、ほかの税の問題、この間うちからいろいろとこの委員会でも論議されている根本的な解決策はともかくとして、当面の解決策として、この交付税というものは、やっぱり当面でもふやすべきであるとお考えか、それとも、大蔵大臣のように、ふやさなくてもいいのではなかろうかというようなお考えか、その点だけを最後に伺っておきたいと思います。
  23. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) たいへんむずかしい問題でございますが、大蔵大臣が申しまするように、地方交付税をどんどん幾らでも増していけるかというと、私はなかなかそう簡単には言えないと思います。それでは、もうこれ限りで、これ以上は伸びないかとおっしゃいましても、財源というものは、国と地方との財源配分というものは、これは相対的なものでございまするから、やはりいよいよ困ってくれば、どこで調整するかといえば、それで調整する以外にないかと思いますが、この問題につきましては、税制調査会でももうすでに指摘されているところでございまして、やはり地方財政というものはだんだん苦しくなっておる、それから仕事もだんだんふえてきておる、これは住民の福祉につながる仕事がふえることですから、当然そうあるべきだと思いますが、そうすると、財源を何に求めるかということ、その財源の求め方は、独立財源を求めるということが一つであります。それからもう一つは、いま御指摘になりました地方交付税で何とかいかないかということが一つでございます。私はもう一つこれにつけ加えまして、やはり地方財政を引き締めなければいけない、こういう点をつけ加えて、私はこの三つの点で今後考えていかなければならぬ、かように存じております。  それで、第一の、独立財源考えるという点につきましては、これは国と地方との税金の総量をこのままの中で認めるか、それともその総量をふやした中で地方税独立税を認めるかという、この二つ考え方がございます。そう白と黒とで割り切れませんけれども考え方としてはあるわけでございます。やはり私は、減税と言っているときでございまするから、総量をふやしていくというわけにはいかないのじゃないか。そうすると、国と地方との税源の中で、それを移譲して地方に持っていくということしか考えられない。そうすると、いまの国の中の税源から持っていくためには、事務を再配分して、同時に、国の支出金というものが今日約九千九百億ほどございまするから、その中を、事務を整理しながらその一部を地方に移譲することによって地方税財源を認めるということしかないのじゃないかという感じがいたします。これは私の感じでございます。この問題は、地方税制調査会でも議論になりまして、なお引き続き検討するということでございまするから、私はこれを検討をして、事務の再配分と同時に、税源を一部地方に移譲をしていくという点を真剣に考えていくべきだ、こう思っております。これが一つでございます。  それからもう一つは、御指摘になりました地方交付税でありますが、地方交付税も約二九・五%になりましたので、これをだんだんふやせばといっても、なかなか容易ではないのじゃないかという気がいたします。そこで、一方、緊縮といいますか、税制の引き締めを、私は率直に言いまして、府県でも市町村でも、いままでの高度経済成長によって自然増収が、わりかた順調に入ってきたものですから、その惰性というものがまだ非常に私はあるように思いまするので、この際やはり引き締めることもあわせて考えたい。  それからもう一つは、最近議論になっておりまする大都市の財源というものをどうするかという問題でございます。これは東京にしましても大阪にしましても、過密都市対策として、これ以上の人口をふやさないようにという施策は必要でございまするけれども、同時に、現状をほうっておけないということになりまするというと、その財源を求めることを考えなければなりませんが、これは私はやはり土地の再開発税といったようなものを考えていく必要があるのじゃないか。これもほんの思いつきといっておしかりを受けるかもしれませんけれども、そういう感じをしておるわけであります。
  24. 松本賢一

    松本賢一君 いまの大都市の問題に対する再開発税の問題、きのうも委員会でお聞きしたんですが、この地方交付税というものは、ほかにも目的がありましょうけれども、大きな目的の一つは、大臣もおっしゃるように不均衡の是正というところはあるわけですね。それがまあ私ども考えるところはまだまだなされていないと思うんです。それで、この不均衡を是正するために、貧弱な、特に町村あたりに独立財源を与えるといっても、なかなかないだろうし、税源も与えるといってもないだろうし、移譲するといったって移譲する税源もなかなかない、だろうということになると、全体から取った税金の中から配分する交付税というものがやはり大きな役割りをしてこなければならぬと思うんです。そのためには、現在不十分なんだから、やはり将来抜本的に、その全体の制度が変わった場合は別として、現在の制度でいく場合には、これをやはり無理をしてでも私は大きくしていかなければ、不均衡の是正ということは結局できないのじゃないかと思うんですが、その点まあ最後にひとつ大臣のお気持ちだけ聞かしていただいて質問を打ち切ります。
  25. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 御指摘のように、地域格差の是正という問題が地方財政一つの大きな問題でございまするし、これを考えまするというと、目下のところは地方交付税しかございませんので、この活用というものは、私はやはり重視しなければならぬと、かように存じます。しかし、その率をそれじゃ幾らでも上げてやるかというお尋ねになりますと、これは国の財源もないことでございまするので、なかなか容易でないと、かように存じているわけでございます。
  26. 林虎雄

    林虎雄君 ちょっと関連です。一言大臣に承っておきますが、今度交付税率が大臣を中心とする御努力によって〇・六%引き上げられたわけでありますが、私ども地方財政の窮状から、財源の枯渇から見て大幅に引き上げられることを期待したのでありますけれども、また政府部内のいろいろの財源の事情でやむを得なかったというお答えでありますけれども地方財政は最近御承知のように非常に悪くなっておって、まあ赤字団体もふえてきている。ちょうど昭和二十八、九年の状態さながらのような状態がいま露呈しているわけでありますが、今後の見通しとしても不況ムードがありますので、どうも悪くなるとも好転するというような見通しもちょっとないようでありますが、そこで、いま松本委員の質問に対しまして、地方も一面において引き締めなければならないという大臣の御意見がありましたが、それは私もその点は認めざるを得ないと思いますが、しかし、引き締めるといいましても、おのずから限度がありまして、いやおうなしにふえてまいりますのは人件費であります。したがって、引き締めるといっても限度があると思いますが、ことにこの四十年度の地方財政計画では、予想をされますベースアップの財源というものを見ていないように思われるわけでありますので、年末あるいは年度末には再び地方財政、この財源の問題がクローズアップされてくるのではなかろうかというふうに思いますが、そう考えてみますと、この地方財政計画、またそれに基づいて二九・五というものが少な過ぎるというふうに思いますけれども、大臣は精一ぱいの努力でこうなったんだから、今後の引き上げということはなかなか容易でないということはお答えになりましたが、容易でないことわかりますけれども地方財政の現状からいけば、いやおうなしにもっと引き上げなければ妥当の線が出ないのではないかというふうに思いますが、お答え願いたいことは、最後のまだまだ引き上げるべきであるという私ども考え方に対しまして、はっきり御答弁が願えないと思いますが、大臣の率直な考えを承りたいし、同時に、地方財政計画に本年度のベースアップの財源というものは考えられておらないと思いますが、この点についての今後の見通し等についてお答えをいただきたいと思います。
  27. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) その点は実は私も非常に憂慮しているのでございます。で、まあことし四十年度の途中で人事院勧告があるであろうということは予想せざるを得ないのでありまして、どれくらいになるかは全くわかりませんが、そうかといって、それを予想してあらかじめ四月一日から予算に組むというわけにもまいらないわけであります。これはしばしば政府部内で検討いたしましたが、国家公務員についてもできないということで計上しておりません。したがって、地方財政計画にも組まなかったんですが、しかし組まなくて、なくて済めるかというと、まあ先のことですからわかりませんけれども、おそらくむずかしかろう。そこで先般知事会議がございましたので、私は率直に知事会議で申しました。四月一日からベースアップができればいいけれども、できない。そうすると、ことしは途中からまたあるかもしれない。そうすると従来のような自然増収の見込みというものは求められないからまた苦しいぞ。で、去年はそれに対してまあ借り入れ金という方法で一時をしのぎ、また交付税引き上げというような処置もとったけれども、今度はそうはいきませんよと、ですから甘くものを考えてはいけません、したがって四十年度の予算を組まれる際にも、甘く見た予算をおつくりにならないように、自然増収がいままでよけいあったからというので、まあ安易に考えられておりましたけれども、それはだめですよということを強く要望いたしました。それが一点でございます。  それから、しかし辛く組みましても、あらかじめそれだけの財源が出ているわけじゃございませんししますから、そんな財源を取っておくわけにはいかぬじゃないかというお話も率直に言ってございましたが、それはそのとおりだけれども、しかし心がまえは少なくともそういうふうな心がまえでいってくれ。それから先ほど来将来の見込みを御指摘になりましたが、私も四十年度の見込みは、おそらく非常に引き締めの基調でございまするから自然増収はよけいないと思います。けれども将来を考えますと、私は日本の経済というものはやはり押え押えをして今日の状態でございまするから、私は伸びると思います。引き締めても伸びるという情勢だと思います。ですから、いままでのように大鼓をたたいて高度経済成長というわけにはいきませんけれども、引き締めながらも日本の経済伸びていきまするから、私は将来はそう悲観していない。相当の伸びは出てくるだろうと思います。いままでのように一九%とか二〇%の自然増というわけにはいきませんけれども、相当の伸びは出てくるかもしれない。したがいまして、ここ一、二年をひとつ節約とか、あるいは合理化とかということでしのいでいかれますれば、私は、そう暗い見通しではなかろう、こういう感じを持っておるわけでございます。しかし、そういう観点に立ちましても、ことしの秋になりまして、現実の問題にぶつかったときには非常に困るだろうと思いますが、その際にまた交付税引き上げればいいじゃないかという安易な気持ちは、私はおそらく困難ではなかろうかという感じがいたしまして、知事諸公にも強くその点は言っておる次第でございます。     —————————————
  28. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 委員異動について御報告いたします。  本日付、田上松衞君が辞任され、基政七君が選任されました。     —————————————
  29. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ほかに御質疑はございませんか。——ほかに御質疑がなければ、本法律案に対する質疑は終了したものと認め、これにより討論を行ないます。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  30. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 日本社会党を代表いたしまして、提案になっております地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして反対の意思を表明したいと思います。  反対理由はきわめて簡単でございますが、根本的に地方団体の行財政を確立するには、税及び財政の面において確立のできるようなささえを与える必要があるのではないか。小さな町村におきましては非常に交付税交付金に依存しているところが多いのでありまして、それではいつまでたっても地方団体の自主独立ということが不可能である。そこで根本的にやはり税の再配分というようなことを考えて、自主的な財源で自主的な行政が運営できるようにすべきではないか。そういう問題は、いま急にここで議論いたしましても解決のつく問題ではないので、したがいまして、私どもは常にこの委員会でそういう発言をしているのでありますが、独立自主の財源を確保するということが行政の発展とまた向上に資することがきわめて大である。しかし今日の段階としては、これを理由反対するということはいささか理屈に合わないことでありまして、私どもは、かねてから主張いたしておりますように、少なくとも交付税率というものは三二%ぐらいに引き上げるべきであるという主張を持っているわけでありますが、今回われわれの委員会における要望なり、あるいは地方各団体からの要望により、また自治相自身も非常にお骨折りをいただきまして、二九・五%というふうに引き上げられたことに対しましては、われわれとしましても非常に喜ぶわけであります。しかし計画額として七千百三十二億ということでありまして、しかもこれが末端市町村に配分される場合におきましては、いろいろ地方交付税の算定基準が低過ぎるというようなことから、地方団体超過負担をしなければならないということで、この委員会でも非常に問題になっているわけであります。いまも大臣からいろいろお話がありましたように、またこの税率引き上げて、さらに交付税をふやすということは非常にむつかしい問題であるというようなお話を承ったのでありますけれども、しかし私どもとしましては、やはり自主独立の財源がない地方団体につきましては、交付税税率引き上げ、また交付額をふやしていくということは緊急の必要であるというふうに考えるのであります。そういう理由から、われわれはこの問題につきましては反対の意を表しなければならないわけでありますが、特に地方団体が自主的な財源をだんだんと失いつつあるということは、やはり依存財源がふえることによる中央の地方団体に対する権力的な介入ということが漸次強化されてくる傾向が見えてくるのでありまして、その点、私たちははたして現在の地方団体に自主的な行政運営の資格があるか、あるいは能力があるかという問題までも検討しなければならない段階になっているわけであります。そういう点で、一方では交付税率の引き上げを主張しながら、しかし一方ではやはり中央権力の介入ということを排除していかなければならない、非常にむずかしい問題を抱えているわけであります。  再び根本的な問題に立ちかえって議論しますならば、要は、こういう依存財源にあまり依存しないで、独立な自主財源をもつて府県市町村が自前の行政を住民のために行ない得るような制度を確立するということがきわめて必要である。そのためには、私どもとしましては現在の地方交付税制度というもの及びその率、額というものにつきましては、現在の段階として御提案になっております内容から見て、われわれとしては、不満足でありますし、また反対しなければならない、こういうことで自治大臣の今後の善処を要望しながら、この法案に対しましては反対の意を表して私の討論といたします。
  31. 二宮文造

    二宮文造君 私は、公明党を代表して地方交付税法の一部改正につき、政府原案反対するものであります。  今回の改正は、地方財政の現状にかんがみ、地方交付税の繰り入れ率の引き上げをしようとするものでありますが、すでに当委員会の審議の段階でも指摘されましたように、近年、地方財政におきましてはその自主性が失われ、運用についても弾力性を欠き、赤字団体増加傾向にあるというのがその実情であります。すなわち、歳出面におきましては、地域開発、社会保障、給与費の増額など義務的経費は年々増大し、一方、歳入面での税収は伸び悩みとなっているのであります。ここに国家財政への依存度が深まってくるゆえんがあり、したがって、今回の繰り入れ率の引き上げではとうてい地方財政の建て直し、あるいはその効率的な運用を期待するにはいまだ不十分と言わざるを得ないのであります。  さらに交付税の運用、算定基準等につきましても、その地方財政の現状に照らして改正すべき多くの問題点を残していることはもちろんであります。ここに私ども地方交付税、国庫補助金などを含めて地方財政制度全般について再検討すべきであるということを主張し、今回提出政府原案に対する反対討論とするものであります。
  32. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ほかに御意見もないようでありますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  地方交付税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  33. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案審査報告書につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じます。  本日は、この程度にいたしまして、次回は四月六日午前十時開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会      ——————————   〔参照〕    地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案  地方税法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第百四十七条第一項の改正規定中『、「一万二千円」を一万八千円」に、「一万四千円」を「二万一千円」に、「一万六千円」を「二万四千円」に改め、同項第三号中「三万円」を「四万五千円」に』を削る。  第四百四十四条第一項第二号の改正規定を削る。     —————————————   地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  政府は、最近における地方財政の現況と住民負担の軽減合理化のため、左の諸点について必要な措置を講ずべきである。 一、国・地方団体間の税源の再配分非課税規定の整理及び国税の減免措置による地方税収への影響を遮断する等の措置を再検討し、地方財源の強化をはかること。 一、課税最低限度額を引き上げ措置等により住民税及び個人事業税軽減をはかること。 一、都市特に指定都市の財政需要の増高に対処するため、税・財政制度を再検討し、独立税源の充実その他必要な財源措置をすること。 一、自動車の普及範囲と社会生活における必需性を配慮し、将来自動車税及び軽自動車税軽減合理化につき慎重に検討すること。 一、水道事業の特殊性を考慮して電気ガス税軽減措置等について検討すること。 一、料理飲食等消費税における免税点及び基礎控除額について引き上げ措置検討すること。  右決議にする。      ——————————