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1965-03-23 第48回国会 参議院 地方行政委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十年三月二十三日(火曜日) 午前十一時十二分開会
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
天坊
裕彦
君 理 事 竹中 恒夫君 林 虎雄君 委 員 井川 伊平君 斎藤 昇君 高野 一夫君 中野
文門
君 加瀬 完君
鈴木
壽君 松本 賢一君 二宮
文造
君 市川 房枝君
国務大臣
自 治 大 臣
吉武
恵市
君
政府委員
自治省財政局長
柴田 護君
自治省税務局長
細郷
道一
君
消防庁長官
松村 清之君
消防庁次長
川合 武君
事務局側
常任委員会専門
員
鈴木
武君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
地方交付税法
の一部を
改正
する
法律案
(内閣送 付、
予備審査
) ○
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
消防法
及び
消防組織法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) ○
地方行政
の改革に関する調査 (
昭和
四十
年度
地方財政計画
に関する件) ○
参考人
の
出席要求
に関する件
—————————————
天坊裕彦
1
○
委員長
(
天坊裕彦
君) ただいまから
地方行政委員会
を開会いたします。
地方交付税法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
提案理由
の
説明
を願います。
吉武自治大臣
。
吉武恵市
2
○
国務大臣
(
吉武恵市
君) ただいま
議題
となりました
地方交付税法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
とその
要旨
を御
説明
申し上げます。
地方交付税
の
算定
につきましては、逐年その
合理化
をはかってまいったのでありますが、
明年度
におきましては、
道路整備事業
をはじめとする
公共事業費
の増大、
生活保護
その他の
社会保障制度
の
拡充
、
給与改定
の平
年度化
その他
制度
の
改正等
により、
地方団体
の
財政需要
が
増高
いたしますので、
地方財政
の
現況
にかんがみ、
地方交付税
の率を
引き上げ
、
地方交付税
の
総額
の
増加
をはかるとともに、これらの
増高
する
経費
に対応する
財源
を
関係地方団体
に付与する必要があるのであります。 以上がこの
法律案
を提出する
理由
であります。 次に、この
法律案
の
内容
の
要旨
につきまして御
説明
申し上げます。 その一は、
地方交付税
の率を
引き上げ
ることであります。
国税
三税に対する
地方交付税
の率は、
昭和
三十七
年度
以降百分の二十八・九とされておりますが、
地方団体
の
財政需要
の
増高
その他
明年度
の
地方財政
の
状況
を勘案いたしまして、
昭和
四十
年度
からこれを〇・六%
引き上げ
て二十九・五%に改めることといたしたいのであります。 その二は、
地方交付税
の
総額
の
増加
に伴い
単位費用
を
改定
し、
基準財政需要額
を増額することであります。 まず
道府県
及び
市町村
を通じまして、
道路整備事業等
の
公共事業費
の
地方負担額
の
増加
に伴い
増加
する
経費
を
基準財政需要額
に算入するため、「
道路費
」等の
関係費目
の
単位費用
を
引き上げ
、二、
生活保護基準
の
引き上げ等
により
増加
する
社会保障関係経費
を
基準財政需要額
に算入するため、「
生活保護費
」等の
関係費目
の
単位費用
を
引き上げ
るとともに、三、
給与改定
の平
年度化等
により
増加
する
給与関係経費
その他
制度改正
により
増加
する
経費
を
基準財政需要額
に算入するため、
関係費目
の
単位費用
を
引き上げ
ることとしたのであります。 以上のほか、
市町村分
につきましては、
昭和
三十九
年度
に引き続き
清掃関係経費
を充実するため、「
清掃費
」の
単位費用
を
引き上げ
るとともに、
市町村民税減税補てん債
の漸減に伴う
弱小市町村
の
行政水準
の低下を防ぐため、
基準財政需要額
に包括的に算入している
投資的経費
を増額することとし、
市町村分
の「その他の諸費」のうち
人口
を
測定単位
とするものの
単位費用
を
引き上げ
ることとしたのであります。 なお、「
労働費
」のうち
失業者数
を
測定単位
とするものの
数値
の
算定基礎
は、
失業者数
となっているのでありますが、これが
基準財政需要額
を一そう合理的に
算定
するため
失業対策事業
に就労した
失業者数
に改めることとしています。 その三は、
基準税額等
の
算定
の
基礎
に関することであります。
宅地
、田、畑、山林、原野及び牧場以外の土地については、これまで
賃貸価格
を
基礎
として
基準財政収入額
を算入していたのでありますが、新
固定資産評価基準
の実施に伴い、
宅地等
の場合と同様に一坪当たりの
平均価格
及びその地積を
基礎
として
算定
することに改めています。 なお、今後
測定単位
の
数値
の
補正方法
を定めるのにあたりましては、まず
都市的形態
の度合いに応じて定められている
態容補正係数
については、従来に引き続きまして
改正
を行ない、
弱小市町村
にかかる
経費
の
割り落とし
を緩和することによって、
市町村
間の格差をさらに縮小してまいる所在であります。また、隔遠地にあるために
増高
する
財政需要
を算入するための
補正
を充実することとするほか、「
道路費
」等の
交通量
に応ずる
密度補正
も強化したいと考えています。 以上が
地方交付税法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
及びその
要旨
であります。 何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
天坊裕彦
3
○
委員長
(
天坊裕彦
君) 本案についての質疑は後日に譲りたいと存じます。
—————————————
天坊裕彦
4
○
委員長
(
天坊裕彦
君) 次に、
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
提案理由
の
説明
を願います。
吉武自治大臣
。
吉武恵市
5
○
国務大臣
(
吉武恵市
君) ただいま
議題
となりました
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
について、その
提案
の
理由
とその
内容
の
大要
を御
説明
申し上げます。
地方税
につきましては、最近の数次にわたる
改正
により
住民負担
の
軽減合理化
をはかってまいったのでありますが、ことに本
年度
におきましては、
市町村民税
、
電気ガス税等
について大幅な
税制
の
改正
を行なったのでありまして、このうち
市町村民税所得割
の
負担
の不
均衡是正
につきましては、
明年度
においても本
年度
に引き続き実施されることとなっているのであります。他方、
明年度
の
地方財政
の
状況
を見ますと、
国庫予算
の
増加
に伴う
公共施設
の充実、
社会保障
の
拡充等
のための
負担
の
増加
、
地方公務員
の
給与改定
に伴う
給与費
の
増加等
によりまして、予期される
地方税
及び
地方交付税
の
自然増収
をもってしても、これをまかなうのに十分でない
現況
にありまして、別途、
地方交付税率
の
引き上げ
を
提案
いたしているような次第であります。したがいまして、
明年度
の
地方税制
の
改正
にあたりましては、ただいま述べましたような実情を考慮いたしまして、
個人事業税
の
事業主控除額
の
引き上げ
、
電気ガス税
の
免税点
の
引き上げ等
、主として
中小所得者
の
負担
の
軽減
をはかり、あわせて
自動車税
及び
軽自動車税
の
負担
の
合理化
をはかることを
中心
として、
所要
の
改正
を行なうこととしたのであります。 以下順を追って、
地方税制
の
改正
の
概要
について御
説明
申し上げます。 第一は
道府県民税
及び
市町村民税
についてであります。まず、
個人
の
道府県民税
及び
市町村民税
におきましては、
障害者
、
未成年者
、
老年者
または
寡婦
についての
非課税
の
範囲
を
年所得
二十二万円までに拡大いたすこととしております。 次に、
法人
の
道府県民税
及び
市町村民税
でありますが、
明年度
の
法人税法
の
改正
におきまして
法人税
の
税率
の引き下げを行なうこととされておりますが、これによります
法人税割
の
減収
を回避するため、
道府県民税法人税割
の
標準税率
を百分の五・五に、
市町村民税法人税割
の
標準税率
を百分の八・四にそれぞれ
改定
いたすことにいたしました。 第二は
事業税
についてであります。
事業税
におきましては、
個人事業者
の
負担
の
軽減
をはかるため、
個人事業税
の
事業主控除額
を二十四万円に
引き上げ
ました。 第三は
不動産取得税
についてであります。
不動産取得税
におきましては、
日本住宅公団
の
担保不動産
の再
取得
について
非課税
とし、また、
中小企業
の
集団化
、
近代化
を行なう
事業協同組合等
に対する税の免除の
規定
の
合理化
をはかる
改正
を行なっております。 第四は
娯楽施設利用税
についてであります。
娯楽施設利用税
におきましては、近時における
ボーリング場
の急速な
普及
にかんがみまして、すでに各
道府県
において
課税
をいたしております
ボーリング場
を
法定課税対象施設
に加えることといたしております。 第五は
自動車税
についてであります。近年、
自動車台数
の
増加
は著しく、これに伴って、
道路
の
新設改良等
直接
道路
に関する
経費
のほか、
交通取り締まり等自動車
の
増加
に原因する
行政経費
が著しく
増加
していることなど、
現行
の
自動車税率
が定められた後における諸
事情
を勘案し、また、その反面、
国民
の
生計費等
に与える
影響
をも考慮し、
営業用小型自動車
、
観光貸し切り用バス
以外の
バス
、
トラック
を除きまして、その他の
自動車
につき今般
自動車税
の
税率
を五〇%
引き上げ
ることにいたしました。 なお、これと同じ趣旨により、四輪以上の
乗用軽自動車
につきまして、
軽自動車税
の
税率
を同じように
引き上げ
ることといたしました。 また、
自動車税
の
納税
の
手続
きにつきまして、その
簡素合理化
をはをるため、
自動車
の
新規登録等
の際に
証紙徴収
の
方法
によって納付する
制度等
を設けることにいたしております。 第六は
固定資産税
についてであります。
固定資産税
につきましては、
地盤沈下
の防止のために
工業用水法
の
規定
に基づき
新設
した
工業用水道
または
水道
への
強制転換施設
について
固定資産税
を課さないものとする等、
非課税規定
について
所要
の
合理化
を行なうことといたしました。 次に、
都市交通
の緩和を促進するため、
都市計画区域
内において施行する
道路
その他の
公共事業等
により必要を生じた
路線
の
地下移設
または
高架移設
のために新たに敷設した
構築物
の
課税標準
について、
取得
後
最初
の五
年度
問は三分の一の額、その後の五
年度
間は三分の二の額とする
特例
を設け、また、
新規営業路線
について認められている
現行
の
課税標準
の
特例
の
適用範囲
についても、
軌道
の
中心間隔
を拡張するために新たに敷設した
構築物
を加えることとして、
負担
の
軽減
を行なうことにいたしております。 さらに、大
規模償却資産
に対する
市町村
の
課税限度額
について、
現行規定制定
後十年間の
市町村
の
財政事情
の推移、
経済発展
の
実態等
を勘案して、
道府県
及び
市町村
間の
税源配分
を
合理化
するため
市町村
の
人口段階
の
区分
に応じて定められている
課税定額
を増額するとともに、
課税定額
を増額する場合の前
年度
の
基準財政需要額
に乗ずべき
財源保障率
を百分の百四十に
引き上げ
、これに伴い
新設
大
規模償却資産
にかかる
財源保障率
について
所要
の
改正
を行なうことといたしております。 第七は
電気ガス税
についてであります。
電気ガス税
につきましては、
零細負担
の
軽減合理化
をはかるため、
免税点
を
電気
については
月額
四百円、
ガス
については
月額
五百円に
引き上げ
ることといたしました。 次に、
産業用電気ガス
につきまして、新たに
溶接フラックス等
四
品目
の
製造
に直接使用する
電気
を
非課税
とし、現在
非課税
とされている
プロピレングリコール等
五
品目
の
製造
に直接使用する
電気
に
課税
することとする等、
非課税規定
の
整理合理化
をはかるとともに、
発電
のために直接使用する
ガス
及び
ガス事業者
が
ガス製造
のために直接使用する
電気
についても
非課税
とすることといたしました。 以上のほか、
国税
の
所得税法
及び
法人税法
の
全文改正
に伴う
関係規定
の
整備
その他
税制
の
合理化
のための
規定
の
整備
を行なっております。 以上
地方税制
の
改正
につきまして
概要
を御
説明
申し上げましたが、これに伴う
増減収額
は、
国税改正
による
影響分
を含めまして
初年度
であります
昭和
四十
年度
におきましては、
個人
の
住民税
におきまして一億円の減、
法人住民税
におきまして三億円の増、
個人
の
事業税
におきまして十三億円の減、
法人
の
事業税
におきまして十二億円の増、
自動車税
及び
軽自動車税
におきまして九十四億円の増、
固定資産税
につきまして一億円の減、
電気ガス税
におきまして十四億円の減となっておりまして、
初年度
におきまして
総額
八十億円の増となり、平
年度
におきましては五十億円の増となるのであります。なお、別途
昭和
三十九
年度
の
改正
により
昭和
四十
年度
に
実質減税
となるものとして
初年度住民税
二百三十億円、
固定資産税
三十億円、合計二百六十億円、平
年度総額
二百八十億円がありますので、これを通算いたしますと、
昭和
四十
年度
の実質的な
住民負担
といたしましては、
初年度
百八十億円、平
年度
二百三十億円の
減税
が行なわれることとなるのであります。 以上が
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
及びその
大要
であります。 何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
天坊裕彦
6
○
委員長
(
天坊裕彦
君) 続いて、
補足説明
を願います。
細郷税務局
、長。
細郷道一
7
○
政府委員
(細
郷道一
君) お手元にお配りしてございます
新旧対照表
があると思います、そのとじてある中に。それについて、その順序で一応御
説明
申し上げます。 今度の
改正
では、
条文
の数は非常に多うございますが、
国税
の
所得税
、
法人税
が
全文改正
になりましたので、それを
地方税法
の面に引用しております
部分
を
改定
をいたしております。そういう、いわば
条文
の
整理
に当たるところが非常に大きな
部分
を占めております。したがいまして、実質的な
改正
の
部分
について御
説明
をいたしたいと思います。 一ページ、二ページ、
最初
のほうはずっとそういった
条文
あるいは
規定
の
整備
でございまして、五ページでございます。五ページの二十四条の五、これが
先ほど提案理由
にもございましたように「
道府県民税
の
非課税
の
範囲
」といたしまして、「
障害者
、
未成年者
、
老年者
又は
寡婦
」、それらにつきまして、前年中の
所得
が従来二十万円以下のものであったものを今回二十二万円に
引き上げ
ることにいたしたものであります。これは
生活保護基準
の
扶助基準
の
引き上げ等
を勘案いたしたものでございます。 それから、めくりまして六ページの三十四条に、「
所得控除
」というのがございます。
住民税
の
所得控除
のうち、
生命保険
の
範囲
につきまして
所得税
において
改正
が行なわれまして
——
これは去年の
改正
でございますが
——
それに今年合わせたものでございます。 それから五十一条、七ページの終わりのほうですが、「
法人税割
の
税率
」、これは
道府県民税
、
法人税割
の
標準税率
を、従来の百分の五・四から五・五、したがって、
制限税率
も百分の六・五から六・六に
改定
をいたしております。これは
市町村
、府県を通じて
法人税割
について
税率
の
調整
をいたしたものでございます。御
承知
のように
法人税
が
減税
になりますので、そのままにしておきますと自動的に
法人税割
が減るわけでございます。
法人税額
を
課税標準
にしております
関係
上、
住民税
、
法人税制
につきましては、従来
どおり
の
税負担
をお願いする
意味
において、
税率
の
調整
、
改定
をいたしたものでございます。 それから八ページの五十二条、これは「
法人等
の
道府県民税
の
申告納付
」の
規定
でございます。これは主として
法人税法
の
改正
に伴います
改定
をいたしたものでございますが、
内容
的に実体的な面がございますのは、一つは
法人税
におきまして、今回
中間申告
をいたします際に、
税額
が二万五千円以下の場合には
中間申告
を省略できるようになりました。したがいまして、
税制
につきましても同様の措置をいたしたい。いわば
申告手続
の
簡素化
をはかっておるわけでございます。なお、
新設
の
法人
は六カ月後に
中間申告
をすることになっておりましたが、これを
法人税
におきましても同様に、この
法人税割
につきましても
法人税
同様に、省略ができるように
改正
になっております。このほかの点は大体従来
どおり
の
内容
でございます。 それからずっと
県民税
のところは、いまの
条文
の
関係
、
事業税
に入りましても同様でございます。 十六ページの
最後
の「
法人
の
事業税
の
課税標準
の
算定
の
方法
」、第七十二条の十四というのがございます。これも
条文
が動いておりますが、
法人事業税
の
課税標準
の
算定方法
は従来
どおり
でございます。 それから十七ページの
最後
に、七十二条の十八、これは
個人事業税
の
事業主控除
を二十二万円から二十四万円に
引き上げ
ようとするものでございます。この一年間におきます
物価
の
伸び等
を勘案いたしまして、二万円の
引き上げ
をいたすわけでございます。 それからずっとあと、
事業税
につきましては、先ほど申し上げた
法人関係
の
規定
の
整備
でございまして、
法人税割
のところで申し上げたのと
内容
的に同じものが大
部分
でございます。 ずっとまいりまして、三十ページの七十二条の五十五、ここで、
個人
が年の途中で
廃業等
をいたしました際の
申告
の
期間
が、従来一カ月でございました。本人が死亡しておる場合には、
申告
の時期を四カ月延ばすという
改正
でございます。 それから、次から
不動産取得税
に入りますが、七十三条の七、三十一ページでございます。ここでは
住宅公団
が
長期年賦
で
住宅
を譲る、
個人
に譲るといった場合には、その
住宅自体
を
担保
に取るわけでございますが、
個人
がお金を払えなくて、その
担保
を取り戻されるという場合には、
住宅公団
が取り戻す
取得行為
がございます。それについては
非課税
にするということでございまして、
住宅
金融公庫に現在そういう
規定
があるのとのバランスをとったものでございます。 それから三十二ページの七十三条の二十七の五でございます。これは、従来から
中小企業近代化資金助成法
による
事業協同組合
が融資を受けましたときは、それによってできます
不動産
に対する
不動産取得税
、
組合
の
取得
する
不動産
の
取得税
を免除するようになっております。
組合
が一回
取得
をして、さらに各
個人
がもう一回
取得
がございますので、二重にならないように、
組合
のほうの
取得
を
非課税
にしておるのでございます。その
対象
となります
組合
に、
商業近代化計画
による
計画組合
というものが
対象
となる
組合
に新たに入りました。それから、従来
組合
から
個人
に渡ります間の
期間
が三年でございましたのを今度は五年に延ばす。いずれも
中小企業近代化資金助成法
の
改正
に伴って、こちらも
改正
をいたしたいと、かように考えております。 それから次の七十三条の二十八の二は、
住宅公団
が
長期
の
分譲住宅
をいたしますときの
取得
の時期について明確にいたしたものでございます。 それから七十五条、三十三ページでございますが、
娯楽施設利用税
につきまして、
ボーリング場
を
法定
いたしました。従来は、
現行法
の七十五条の六号というのに、「前各号に掲げる
施設
以外の
娯楽施設
で
道府県
の
条例
で定めるもの」、これによって各県で
条例
で定めて、
ボーリング
にこの税を
課税
をいたしております。これは非常に全国的に
普及
をしてまいりましたので、今回一々県で
条例
で定めなくてもいけるように
法定
をいたしたものでございます。 それから次の七十八条は、その場合の
税率
を七十五条の
条文
の
整理
に伴って
改定
をいたしたわけであります。
ボーリング
につきましては、
利用料金
の一〇%の
課税
、ただ
利用料金
に対する
課税方法
のほかに、
外形課税
と申しまして、一台幾らというような
外形課税方式
も
現行法
上認められております。したがいまして、今回
ボーリング場
をここに
法定
をいたしましても、
課税方式
については
現行どおり
の
方法
が認められるということでございます。 それから次の百四十七条は、
自動車税
の
標準税率
でございます。現在の
税率
は
昭和
二十九年に定められたものでございますが、その後十年の間に
国民
の
所得
も二・七六倍に上がっております。一方
自動車自体
は、
道路
を使う特殊な
固定資産
として非常にその
機能価値
を高めておるわけであります。したがいまして、今回五割の
引き上げ
をいたすものでございます。ただ、
物価
とか
国民生活
に非常に
影響
のあると認められる車種、
トラック
あるいは
一般バス
あるいは
営業用
の
小型自動車等
につきましては、これを除外をいたしております。 それから三十五ページの百五十条は、
自動車税
につきまして
証紙徴収
をする道を開いたものであります。御
承知
のとおり
自動車税
は
年税
ではございますが、月割りの
課税
をいたしておりまして、年の中途で
取得
をいたしますとその翌月から。廃車をすればその翌月からかからない。あるいは
所有者
が移転をしてもそういう
区分
をしておるのでありまするが、それらの場合につきまして、
新規取得
あるいは他県に移った場合は、その
最初
の
取得
のときにその期の分を
証紙徴収
できる
方法
に改めたい、かように考えまして、そういう
改正
をいたしております。これによって非常に
徴税側
も
納税者側
も
手続
が
簡素化
されるものと期待しております。 それから三十八ページの第百八十条、
鉱区税
でございますが、
鉱区税
につきましては、
砂鉱法
の廃止によりまして
砂鉱区
の
登録
のしかたが面積一本に変わりましたので、それに伴う
改正
をいたしてございます。 それから三十九ページ以後は
市町村民税
でありますが、これは
県民税
で申し上げたのと
内容
的に同じであります。すなわち、四十ページの二百九十五条は
寡婦
、
障害者等
の
非課税
の
範囲
の
引き上げ
、それから三百十四条の二は
所得控除
と
生命保険
の
範囲
、それから四十二ページの三百十四条の六は
法人税割
の
税率
、それから四十三ページ、三百二十一条の八は
法人
の
申告納付手続
、ずっと
県民税
で申し上げましたのと
内容
的に同じでございます。 それから四十九ページ、三百四十二条、
固定資産税
でございます。
公有水面埋立法
によりまして
埋め立て
をいたしますと、その
竣工認可
の前に
埋め立て
の
免許
を受けた者が使用する場合がございます。その場合に
固定資産税
を
課税
する。これは、
現行
であるわけであります。最近、その
免許権者
が自分で使わないで、さらに
工場等
に貸して使わせるという場合も、同じような
均衡
をとる
意味
で
課税
できるように
条文
を改めることでございます。 それから三百四十八条、五十ページでありますが、三百四十八条の六の六というのがございますが、
地盤沈下対策
として、
工業用水法
によりまして従来の井戸を禁止されて
水道
をとらなければいけないという場合の、
施設
についての
固定資産税
、これを
非課税
にいたすものでございます。それから二十四号は
漁協等
の持っております
燃料タンク
についての
非課税
。 それから五十一ページ三百四十九条の三、これでは、
先ほど提案理由
にもありましたように、
地方鉄軌道
の
軌道
の
中心間隔
を広げた場合、
上り線
と
下り線
の間を広げた場合を
新設並み
に
課税標準
の
特例
で扱うということでございます。それから五十二ページの十八項が、やはり私鉄につきまして
都市計画
上の必要から
地下
にトンネルを掘ったりあるいは
高架
にしたりする場合について
課税標準
の
特例
を設けるものでございます。 それから三百四十九条の四は、大
規模償却資産
に対する
市町村
の
課税限度額
を
引き上げ
るものでありまして、その左側の表が
課税定額
を
引き上げ
るものであります。
人口
五千人未満について
現行
は二億でありますが、今度三億に
引き上げ
る、五万以上になりますと、いままでは六億五千であったのが十億円になると、こういうことでございます、五十四ページの第二項が、前年の
基準財政需要額
にかける率を百分の百三十から百四十に
引き上げ
る、それだけ地元の
市町村
に県から
財源
がいくようにいたすものであります。 それから五十六ページ四百四十四条は、
軽自動車税
のうち四輪以上の
乗用軽自動車
についての
税率
の
改正規定
であります。 それから次の四百八十九条は、
電気ガス税
についての
非課税品目
についての
規定
の
改正
であります。従来からの
基準
によりまして
整理
をいたしたものでございます。それから五十八ページの上の三項でありますが、
電気
あるいは
ガス
の
事業者
が
発電
あるいは
ガス製造
のために使う
電気
については
ガス
、
ガス
については
電気
を
非課税
とするものでございます。それから六項は、
農協等
の
共同利用施設
において、蚕の共同飼育等をいたします場合の
電気ガス税
の
非課税
。それから七項、八項は、
漁協等
の持っております冷蔵冷凍倉庫についての
非課税
、こういうことでございます。 それから、六十ページの四百九十条の二は、
電気ガス税
の
免税点
、
電気
につきましては月四百円、
ガス
については五百円、従来それぞれ三百円であったものを
引き上げ
るということであります。 それから附則にいきまして、六十三ページ四十七項及び四十九項、これはそれぞれ今回租税特別措置法によって五万以上の配当について源泉選択
制度
ができておりますので、その
条文
は
住民税
に適用しないように排除をする
規定
でございます。 大体以上簡単でございましたが、御
説明
を終わります。
天坊裕彦
8
○
委員長
(
天坊裕彦
君) 本案に対する質疑は少しあとに回します。
—————————————
天坊裕彦
9
○
委員長
(
天坊裕彦
君)
消防法
及び
消防組織法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 御質疑の方は順次御発言を願います。
二宮文造
10
○二宮
文造
君
消防法
の
改正
などにつきまして若干お伺いしておきたいのですが、まず
最初
に、こまかい問題ですが、
条文
第四条の二ですが、今度の
改正
で、
市町村
長を抜いているのですが、これはどういう
意味
ですか。
松村清之
11
○
政府委員
(松村清之君) これは第三条の
改正
でもって、この消防長の中に、カッコいたしまして「消防本部を置かない
市町村
においては、
市町村
長。以下同じ」と、これで
整理
してあるわけでございます。
二宮文造
12
○二宮
文造
君 それを受けるわけですね。
松村清之
13
○
政府委員
(松村清之君) はい。
二宮文造
14
○二宮
文造
君 次に十条の第二項ですが、どうも私、
条文
を見てみますと、何か
現行法
のほうが、えらくはっきりしているような感じがするのですが、たとえば
現行法
では「危険物で別表に掲げる類を異にするものは、これを同一の貯蔵所」云々とこうなっているのですが、
改正
のほうは足して二で割って、その和が一になる、こういうふうな
改正
の
条文
ですが、非常に難解なようなんですが、こういうふうに分ける
理由
はどういうところにあるのですか。
松村清之
15
○
政府委員
(松村清之君)
現行法
でございますと、この数量のいかんにかかわりまぜず、類の別を異にする危険物を、同じ部屋に貯蔵する、取り扱うということを禁じておるわけでございますが、これは現実の
事情
を考えますると、これはやはりそういうふうに一律にやることは適当でなくて、やはり今回の
改正
のように類の別を異にするものの数量を合わせて一定の数量に達した場合にだけ規制をする。このほうが現状に合うと、こういうふうに従来の経験から考えまして、実情に即するように
改正
しようということでございます。
二宮文造
16
○二宮
文造
君 考えようによりますと、今度の
消防法
の
改正
は、最近に頻発しているいわゆる危険物ですね、それの取り扱いをもっと厳正にしていこうというふうな意図を含めた今度の
改正
と
承知
しているのですが、これは考えようによっては、緩和
規定
のようにもなるわけですね、実情に即したと、こうは言われても。むしろ
現行法
のほうが、
改正
の趣旨からいえば、その意図が十分徹底するんじゃないかというふうに感ずるのですが、もう少しお伺いします。
松村清之
17
○
政府委員
(松村清之君) 今回の
改正
は、お話のように危険物の規制を強化するということが主でございますけれども、しかし、従来の経験に徴しまして、やはり実情に即して
改正
するということは、おっしゃるように見方によりましては緩和するということに相なるかとも思いまするけれども、従来のいろいろな経験から、そうしたほうが危険物規制の法規の運用上適当だ、こういうふうに考えまして、一部ことばの上で緩和と申しまするか、そういう形になったところもあるのでございます。
二宮文造
18
○二宮
文造
君 じゃ、その種類については、何か競合する部面ですね、それが両方置かれれば非常に危険であるとかなんとかという場合には、特に政令か何かで禁止
規定
があるのですか。
松村清之
19
○
政府委員
(松村清之君) これは政令等で技術上の
基準
を設ける、それに基づいて危険のないように指導を徹底してまいりたいと考えております。
二宮文造
20
○二宮
文造
君 次に、十四条の問題ですが、これは法律を見ますと三十四年の
改正
の
部分
だと思うのですが、その当時、映写技術者試験、あるいは映写技術者
制度
というものを立てられた趣旨はどこに置かれて、そういうような取り扱いをされたか伺いたいのですが。
松村清之
21
○
政府委員
(松村清之君) 当時におきましては緩燃性でないフィルムが相当出回っておりましたので、その危険を防止するために
現行法
のような
規定
を設けたのでございます。
二宮文造
22
○二宮
文造
君 そうしますと、今度の
改正
で、いわゆる映写技術者免状というものは全部廃止されるということになりますか。
松村清之
23
○
政府委員
(松村清之君) 今日のフィルムの
状況
からいたしまして必要性を認めませんし、また、臨時行政調査会の答申におきましても、いろいろ調査の結果、この廃止を妥当とするという答申でございますので、その答申を尊重いたしまして、こういう
改正
をいたした次第でございます。
二宮文造
24
○二宮
文造
君 そうしますと、別に総理府令か何かで映写室の防火設備ということを
規定
されておりましたが、その面についてもその政令を廃止されるわけですか。
松村清之
25
○
政府委員
(松村清之君) これはフィルムと違いまして映写室の構造の問題でございますので、防火の見地から、従前
どおり
規制をいたしてまいりたいと思います。
二宮文造
26
○二宮
文造
君 そうすると、その
規定
を受ける
消防法
の
規定
は何条になるんですか。
松村清之
27
○
政府委員
(松村清之君) これは
消防法
の十五条でございます。
二宮文造
28
○二宮
文造
君 そうしますと、社会通念では映画館というのは非常に火災の発生しやすい場所というような考え方でいままできたんですが、今後は、映画館などの規制は、一般の興行場並みにお取り扱いになるわけですか。
松村清之
29
○
政府委員
(松村清之君) これは
消防法
の十七条等が主でございますが、興行場として多数の人の出入りする場所ということで規制をしてまいりたいと考えます。
二宮文造
30
○二宮
文造
君 ちょっと飛んだんですが、十三条の
規定
で、危険物取扱主任者を定めて、その危険物の取り扱い作業の保安監督をさせるという、これは従来の
現行法
ですが、今度十四条の
改正
で、危険物
施設
保安員を定めると、そうしますと、これは一方は物の取り扱い、それから一方はその防火
施設
などに対して新たに保安員の
制度
を設ける、こういうふうに了解してよろしいですか。
松村清之
31
○
政府委員
(松村清之君) 危険物取扱主任者というほうは
施設
作業、そういうものを含めた指導的管理的立場に立って保安の仕事をやるというふうにお考えいただいて、その危険物取扱主任者の仕事の一部として、
施設
自体から生じます危険を排除しますいろいろな仕事をやる
施設
保安員を設ける、こういう
関係
に御了解願いたいと思います。
二宮文造
32
○二宮
文造
君 そうしますと、この危険物
施設
保安員というものの資格ですね、それはどこでお取り扱いになるんですか、資格の認定並びに教育など。
川合武
33
○
政府委員
(川合武君) 端的に申しますと、
施設
保安員は、特別に私のほうから資格を定めておりませんで、工場の判断によりまして適当な人間を定めまして、この命令で定めますような仕事をやる、こういうことでございます。
二宮文造
34
○二宮
文造
君 そうしますと、あらためて十四条で危険物
施設
保安員を定めるという
制度
を開いてみても、それに対して規制とかそういう資格のことについて別段の定めがなければ、これはちょっと空文にひとしくなるんじゃないかと思うんですがどうでしょうか。
川合武
35
○
政府委員
(川合武君) われわれのほうで特に資格を定めませんが、工場の貯蔵所取扱者等でございますが、たとえば、工場におきましてそういう
施設
保安員という特定したものをきめなければならぬ、そうしてその者がこういう
施設
を、構造設備の面から点検
整備
をしなければならないということを義務づけましたわけでございまして、われわれのほうで特に危険物取扱主任者のような資格を定めませんでも、この保安の目的を達し得るというふうに考えておる次第でございます。
二宮文造
36
○二宮
文造
君 考えようによりますと、この
規定
は、危険物取扱主任者の責任をカバーするようなそういう考え方も出るんじゃないかと思うんですが、この点はどうでしょう。
川合武
37
○
政府委員
(川合武君) 危険物取扱主任者が、多少余談になりまして恐縮でございますが、従来の法律の定めでございますと、非常に全体的な管理の責任を持っておりますが、同時に、これは抽象的な感がいたしたわけでございます。そこで、十三条で御指摘のように「命令で定めるところにより」ということで、危険物取り扱い者の仕事の
範囲
を、この際明らかにしたほうがいいんじゃないか、また同時に、関連はいたしますけれども、保安員というものを定めまして、その保安員の仕事も定めたほうがいいのではないか、危険物取扱者のほうが資格も定めておるものでございますし、いわば上下ということをしいて申しますれば、上になるのでございますが、両者の仕事の業務の
範囲
をそれぞれ明確にしておるわけでございます。しかも、
施設
保安員の場合は、これはおもにと申しますか、現実といたしましては複数でございまして、はっきりと工場の中のそういう人間を定めまして、そういう仕事をさせるということでもって、この法は目的を達し得のではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
二宮文造
38
○二宮
文造
君 次に、十四条の三ですけれども、これは確かに一つの前進でして、「当該事業所に自衛消防組織を置かなければならない。」、この自衛消防組織の、何といいますか、大きさとが、それから行動とか、責任とかというものは、やはり政令で定めるわけですか。
松村清之
39
○
政府委員
(松村清之君) そのとおりでございます。
二宮文造
40
○二宮
文造
君 そうすると、これは強制
規定
になるわけですね。
松村清之
41
○
政府委員
(松村清之君) そのとおりでございます。
二宮文造
42
○二宮
文造
君 大体
条文
については以上のような点ですけれども、ここでもう一つ伺っておきたいことは、いわば、いま危険物を取り扱う工場が全国各地に分散
——
分散といいますか、
新設
されているわけです。たとえばすぐ思い出すのが新潟の地震のときですが、もしあそこに
昭和
石油がなければ、付近の
住宅
のほうは類焼を免れた。で、火災保険では、あれは地震による災害ですから、火災保険は受けられない。どうも企業の進出によって、住民が危険を
負担
するといいますか、住民が火災の危険に脅かされている、結局その賠償もされないし、かわいそうな立場にあるのじゃないかと思うのですがね。新潟地震の場合は、やっぱり伝えられたように、火災保険の適用は受けなかったわけでしょう。
松村清之
43
○
政府委員
(松村清之君) 新潟地震の
昭和
石油の火災による民家の類焼につきましては、この火災の発生が二つに分かれておるのでございます。第一の火災は、これはまさしく地震を原因とすることが明確でございますので、これによりまする
部分
は、仰せのごとく保険の
対象
になりませんが、第二の火災については、いまその当事者間でいろいろ検討が加えられておりまして、その点が明確になっておりません。これはおそらく幾ら検討してもその火災の原因が何であるかということは不明確のままになると思いますが、その場合に、それが保険の
対象
になるかならないかということは、これは私どもの所管でなく、大蔵省、保険業界の問題でございますので、この点はひとつ省きたいと思いますが、なお、現地におきましては、これは私も当時現地の本部長として参っておったのでございますが、この
昭和
石油から類焼された方々に対しましては、当時たしか五千万円の金を会社から給付したように私記憶いたしております。
二宮文造
44
○二宮
文造
君 今度の
改正
も、ここに
提案理由
の
説明
にありますように、危険物
施設
には
施設
保安員を置かす、あるいは「火災の危険を排除すべく予防規程の作成を義務づける」、さらに「一定規模以上の危険物
施設
の
所有者
には自衛消防組織を置かせる」と、いわゆる予防手段についての
規定
を一歩前進されたわけですが、今度は実際の問題から考えてみますと、そういうふうな工場の進出にあたっては、付近の住民に迷惑をかけないと、こういうふうな
規定
——
まあたとえば賠償の責任とか、それからまた
施設
に一定の間隔を置かなければならないとか
——
そういうふうな
規定
をもって住民の生活を守るというふうなことも、消防の
範囲
として考えなければならないのじゃないかと思うのです。その点はどうですか。
松村清之
45
○
政府委員
(松村清之君) ただいまお話しの、前の賠償の問題は、これは消防として取り扱う筋のものでないかと思いますが、あとの
施設
の位置、民家からの距離、こういった問題につきましては、すでに
現行
の政令でもって距離等がきめられてあるわけでございまして、これは今後も実情に応じてその政令を検討
改正
して、民家に危険の及ばないようにやっていくべき事柄であると思います。
二宮文造
46
○二宮
文造
君 そうしますと、従来そういうふうな
規定
があったにもかかわらず、昭石のような事件があって民家が類焼したということになりますと、その
範囲
も
改正
を加えなければならないと思うのですが、その点、検討されておりますか。
松村清之
47
○
政府委員
(松村清之君) 実は、これはいま申しましたように、政令の事項でございますが、その点につきましては、この法律の
改正
とあわせて現在検討中でございます。
二宮文造
48
○二宮
文造
君 以上で……。
天坊裕彦
49
○
委員長
(
天坊裕彦
君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じます。
—————————————
天坊裕彦
50
○
委員長
(
天坊裕彦
君) それでは、先ほど
説明
を聴取いたしました
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
及び
昭和
四十
年度
地方財政計画
に関する件を一括して
議題
といたします。御質疑の方は順次御発言を願います。
林虎雄
51
○林虎雄君
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
についてお尋ねしたいわけですが、その前提として、
地方税法
改正
と密接な
関係
を持っております
昭和
四十
年度
の
地方財政計画
について若干お尋ねをいたしたいと思います。
地方財政計画
の適否については、
地方財政
の確立に大きな
関係
があると思いますので、計画の適正化といいますか、そういう点については、われわれも大いに協力いたしたい考えで、そういう
意味
でお尋ねをいたしますので、自治省の御所見を十分に承りたいと思います。 この
地方財政計画
というものは、たしか
昭和
二十三年の
地方財政
法制定以来、
地方財政
の全体の規模を推計するというために毎年つくられまして国会に報告するということになっていると記憶するわけでありますが、
最初
にお尋ねしたいことは、あまり前のことはともかくとしまして、ここ数カ年の間の
地方財政計画
と地方公共団体の決算との
関係
ですね。まあ決算のほうが当然額が大きくなりますが、その対比といいますか、その
関係
はどんな結果になっているか。もちろん台風やその他の災害等というふうな不測の追加損とかありますので、的確に把握はできがたい面もあろうかと思いますけれども、
地方財政計画
と決算との数字の開きというものがどんな推移をたどっておるかという点をお尋ねしたいと思います。もっとも、三十七
年度
の計画と決算との開きは、三十九
年度
版の
地方財政
の現状というものにありますけれども、その前の数カ年の若干の傾向が、もしわかれば承りたいし、それから三十八
年度
の
状況
を資料として提出願えるか、
地方財政
の
現況
というものをいつ発表になるか、この点、
最初
に承りたいと思います。
柴田護
52
○
政府委員
(柴田護君) 財政計画というものが国会に提出され、報告されておりますのは、正確には
昭和
二十五年
地方財政
平衡交付金
制度
がとられまして以来でございます。それまでは単なるほんとうの参考資料で、
地方財政
の全体の規模を推計をいたしておった時代が二、三年ございます。
昭和
二十五年から
地方財政計画
という形でもって、その策定を通じまして平衡交付金の
総額
をはじき出しておったと、こういうことになってまいります。
昭和
二十九年に、交付税法ができましてから交付税法第七条の
規定
に基づく書類の、いわばアウトラインといったような、
概要
といったような形でもって国会に報告されております。お尋ねの
昭和
三十五
年度
からの変化でございますが、
昭和
三十五
年度
財政計画と決算との純計の差額では三千八百六十七億というのが差額でございます。これを
年度
途中に行なわれました
給与改定
を計算に入れまして修正をいたしますと、その差額が三千十四億になります。一番大きいものは
投資的経費
の差額が千二百二十四億、それから一般行政費の差額が八百二十四億、
給与関係経費
が四百四十一億となっております。これが三十六年にはその差額が、修正前で四千七百八十四億、修正後におきまして三千六百九十一億、その開きの中身は給与
関係
で五百三十六億、一般行政で千百八十五億、
投資的経費
で千三百二十八億ということになり、この辺から繰り出し金が出てまいります。繰り出し金が四百十五億、財政計画には繰り出し金は入っておりませんが、繰り出し金が四百十五億ということになっております。三十七
年度
はこの差がさらに開きまして、修正前で六千二十四億円、それから修正後で五千四百六十五億円、その差のおもなものは
投資的経費
が二千四百七十八億円、一般行政費が千四百五億円、
給与関係経費
が九百三十億円、繰り出し金が四百八十七億円ということになっております。これが大体おもなものでございますが、三十八
年度
では大体ネットで六千七百五十二億円、修正いたしました後で五千七百十三億円、中身は一般行政費が千六百六十二億円、
投資的経費
が千七百七十億円、給与
関係
が千四百二十八億円、繰り出し金が五百八十億円という形になっております。漸次、三十七
年度
を契機として、財政計画と決算との差が縮まってくるような傾向を見せ始めておりますのと、
投資的経費
の差が非常に縮まってきておる、これは単独事業の額が三十八
年度
決算では伸びが非常に悪くなっております。それと反射的に、
給与関係経費
の開きが大きくなってきている。こういうような傾向を示しております。
林虎雄
53
○林虎雄君 そこで、
地方財政計画
の性質というものは一体何かということについて伺いたいわけであります。この点については、この委員会をはじめ、いろいろの場所で議論というか意見が取りかわされておりますが、自治省側の
説明
が常に一貫しているとはいえないような感じがいたすわけであります。
地方交付税法
に
規定
いたします第七条でありますか、翌
年度
の歳入歳出
総額
の見込み額ということになっていますが、この見込み額という点について、自治省側の
説明
では、いままで三通りの解釈が行なわれているようであります。
最初
、交付税法の第七条の見込み額そのものであるという解釈、それからその次は、見込み額の
説明
であるというような答弁、それからさらに、見込み額の一部であるというように、まあ、このニュアンスが違っておるような印象を受けるわけですが、この点、もう一度はっきり見解をお聞きいたしたいわけです。
柴田護
54
○
政府委員
(柴田護君) いろいろの人がいろいろのことを言っておりますことは事実でございまして、中には
個人
的な見解もあろうと思いますが、私の記憶では、平衡交付金を
算定
いたしましたころからの
地方財政計画
の考え方というものを今日までそのまま踏襲をしてきておる。つまり、標準的な計算で
経費
を
算定
し、標準的な計算で収入を対比をして、そしてその相互間の
財源
の過不足を
算定
をして必要な措置を講じていく、こういう見通しの前提として
最初
は描くわけでございますけれども、でき上がったものは、そうして講ぜられた措置を含めまして、その
年度
の、単
年度
の
地方財政
収支の全体の姿を描き出す。それはまさに
地方交付税法
の条七条に
規定
しております要件の
概要
と申していいものだろう、こういうように思っておるわけでございます。で、交付税法ができましたときに、あの
規定
をはずしてしまえという意見も実はあったのでございますけれども、やはり
地方財政
全体の運営指導に当たります上において、標準的な規模における歳出入の姿というものを示すことは意義があるということから、存置されて今日に至っておるのでございまして、その間あるいは
個人
的見解ではいろいろ表現に微妙な相違があるかもしれませんけれども、役所としての考え方といたしましては、一貫してそういう態度をとってまいっておるつもりでございます。
林虎雄
55
○林虎雄君 そこでこの四十
年度
の
地方財政計画
が発表されたわけでありますが、また
説明
もいただいたわけでありますが、従来の計画に比べて、その計画の立て方について何か改善を加えたという点がありますかどうですか。もし従来よりも何か目新しい改善を加えたという点がありましたら、その点を具体的に承りたいと思います。
柴田護
56
○
政府委員
(柴田護君) 大きく申しまして、四十
年度
全体は経済の見通しも従来に比べまして伸びが悪うございます。国庫の
財源
も地方自体の
財源
も、したがって非常に苦しい。こういう状態でございますので、私どもといたしましては、現在の
地方財政計画
で満足はいたしておりませんし、なおいろいろと
合理化
すべき点が残されておることもよく知っておるのでございますけれども、なかなか思うように
合理化
が進まない。しかし、その乏しい
財源
の中でございますけれども、できるだけ問題を明確にするような
意味
合いもありまして、
合理化
を多少はやったつもりであります。一つは、この前御
説明
申し上げたと思いますが、給与
関係
の
経費
について、給与実態調査の結果に基づく再
算定
を行ないました。第二点といたしましては、公債費の計算で、従来地方債計画のワク外に置かれておりました地方債についての公債費というものをはずしておりました。これはやはり義務的な
経費
でございますので、この大
部分
を公債費の中に算入をしてまいりました。第三点は、特別会計との
関係
で、これはまあ最終的には公営企業
制度
調査会の御答申を得た上で明確な措置をとりたいと思っておりますけれども、できるだけ特別会計と一般会計との
関係
の
合理化
という観点から、特に準公営企業でございます下水とか病院とかというものに対する繰り出し金あるいは公営企業に対しまする出資金というものにつきまして、これを財政計画の中に明確にいたしてまいったことでございます。第四点といたしましては、単独事業でございますが、単独事業というものの認識がなかなか世間にわかってもらえない、ということは、どんぶり勘定みたいなかっこうで進んでまいりましたのが一つの原因でございますが、最近におきましてはどうしても
長期
計画といったものがいろいろ出てまいる、その中には単独事業というものがいろいろな形で入ってきております。したがって、そういう関連を明確にする必要もございますし、また地方自身といたしましても、計画的な投資的事業の執行ということを確保してやる必要もありますので、単独事業につきましてその細目を明確にいたしまして、その間の
調整
をはかろうとしたことでございます。
林虎雄
57
○林虎雄君 最近不況の中で
地方財政
の編成も、だいぶ苦しくなってきておることは御
承知
のとおりでありますが、この最近の自治省あたりの解説記事といいますか、そういうものの中に、転型期に立つ
地方財政
という表現をよく見受けるわけでありますが、転型期
——
転換期とも少し
意味
も違うように思いますが
——
転型期というのはこういうことを
意味
するか、最近の不況で、従来の、
昭和
二十八、九年あたりの
地方財政
の窮乏というようなことと、最近かなり似たような現象があらわれてきておりますが、そういうようなことを
意味
するのか、その点をお聞きしたいと思います。周知のように、最近の
地方財政
はかなり苦しいわけでありまして、新聞等にも盛んに
地方財政
の困窮の
状況
が報道されておりますが、三十八
年度
の一般会計の決算の予想で、大体実質収支で二百七十二億の赤字が出る、あるいは赤字団体の数が四百九十二というふうにふえてきておる、そのほか公営企業の累積赤字が三百七十億だといわれておる、また
国民
健康保険の赤字も百三十二億円に達するといわれておりますが、再び財政再建がまあ日程に上ろうとしているようなこういうふうないまの時期を考えるわけでありますが、したがって、財政の硬直化、弾力性の喪失というふうに半身不随の傾向がかなりあらわれてきておるように思うわけでありますが、その転型期という
意味
は、そういう
意味
でありますか、という点を承りたい。
柴田護
58
○
政府委員
(柴田護君) 私も、そういうことをちょっと聞いたことがあるのですけれども、転型期ということばは、役所といたしまして正確に使ったことはございません。おそらくは
個人
的な立場で書かれたものに、そういうことがあったのかと思います。ただ姿が、若干、一時と変わってきておるということは確かでございまして、私どもの見解では、
地方財政
の置かれた立場というものは、御
承知
のように需要の面から申し上げますれば、社会開発の推進によりましてますます
財政需要
というものは大きくなってきておる。ところが
地方財政
の中にいろいろありました矛盾というものが、矛盾といいますか、不合理的な問題というものが、ここ数年は、言うならば経済の伸張にささえられまして生じました税収入その他の歳入の
増加
によって隠されておった、それが一たん景気が逆調になってまいりますと、その矛盾と申しますか、未解決の問題点というものが遠慮なく出てきておる点が今日の置かれておりますいわば激動的と申しますと語弊がありますが、変わりました
地方行政
の実態にマッチしなくなってきておる、そこに財政のいろいろな問題があらわれてきておるんじゃなかろうか。私どもは実は一般論としてそういう工合に
地方財政
の現状を考えておるわけでございます。お話の転型期ということばは、私は不勉強であまり
承知
しておりませんが、役所としてそういうことばを使ったことはございません。
林虎雄
59
○林虎雄君 いまちょっと私触れましたように、最近の
地方財政
の窮状というものは、かなり顕著になっておるように感ずるわけでありますが、一方、計画と決算の開きぐあいは、先ほどのお答えでだんだん縮まってきておると、最近はあまり著しい変化はないようで、だんだん実態に即するようになっておるようでありますが、その計画と決算との開きの
内容
について、さっきもお話ありましたが、費目において占める比率等の計算資料というものを提出願えますか。 そこで、
昭和
三十七
年度
の決算でいいますと、計画と決算との開きというものは、純計で六千億円、この内訳は、
給与費
関係
の
経費
が千五百二十九億、一般行政費が一千百六億、
投資的経費
が二千七百三十五億の開きとなっておるようでありますが、
地方財政
の窮乏の時代の
昭和
二十八、九年ごろですね、財政再建にあたって当時の自治庁ですか、自治庁の財政部あたりが指摘しておりますように、決算との開きというものは結局カバーしきれないで、赤字の要因になっておると思いますが、二十八、九年ごろの状態と、そして今日の状態とよく似ておるように思いますが、その点どのように解釈しておいででしょうか。
柴田護
60
○
政府委員
(柴田護君) 私どもは、実は過去の経験から申しますならば、決算と計画の差があまり縮まってまいりますことは、
地方財政
にとっていいことじゃないと実は考えておるわけでございます。つまり、計画外に置かれた歳出というものに見合う歳入があるわけでございます。したがって、計画外の歳入によって計画外の歳出がまかなわておる、そういう状態がある程度の幅を持っておりますことは、
地方財政
の弾力というものを間接的に示すものでありまして、そういう
意味
合いからいいますならば、計画と決算との開きというものは、
理由
がある開きであるならば、あまり心配することはないと思うのであります。過去におきまして、非常に財政が苦しかった時代が
昭和
二十二、三年ごろにございますが、そのころにインフレで悩んでおりました
地方財政
というものを推計をした推計と決算というものが、私の記憶では、たしか一億か一億しか違わなかった時代がございます。その時代は、要するに計画に含まれた、推計に織り込まれたことしか
地方団体
はやっていない、したがって、自治の立場からいろんな仕事とか事業というものは一切行なわれていない、全くもう与えられた歳入だけで許されたような仕事しかしていないということを示すものじゃなかったかと思うのでありますが、その後は、計画と決算は常に開いておりまして、むしろ、ある程度の開きがあるほうが、
理由
があるものでございますれば、
説明
のつくものでございますれば、開いておるほうがむしろいいだろうという気持ちを持っておりますが、最近の傾向は、
給与関係経費
の差がだんだんと開いてきて、そうして
投資的経費
なり一般
行政経費
の差が縮まってくる、この傾向は、私どもは実は非常に心配をいたしております。さらに繰り出し金というこぶが大きくなってくることは、
地方財政
の弾力性というものに対して非常に、何と申しますか、マイナスの要因を示すものだというように思うのでございます。決算から見てまいりますと、
昭和
三十七年、三十八年、赤字団体の数はあまり変わりません。ところが、この特定の団体に、特に大都市、都市方面の赤字というものが非常にふえておるということは、
税制
その他についていろんな問題を端的に物語っておるだろう、つまり都市の財政
制度
なりあるいはそれの運営なりという面において欠陥があることを示すのじゃなかろうか、行政面も問題あるかもしれませんけれども、実はそういうぐあいに疑問を持っておるわけでございます。むしろ、町村等の決算を見てまいりますならば、赤字団体もそんなに変わりません。それから、
財源
が決して豊かだとは言えませんけれども、ここ数年やってまいりました交付税の傾斜配分等の効果が、ある程度あったようにも実は思われるのでございます。それによって町村の弾力性が決して強まったとは申しません。やはり現地について見ますならば、仕事の大
部分
は起債とういものを当てにしてやっておる、したがって、そこにはまだ動態的な
地方行政
に対応する財政
制度
なり運営というものができていないと思いますけれども、しかし、都市に比べればまだましであります。都市方面の財政状態というものは、もっと検討に値する諸問題を含んでおるというように考えております。
林虎雄
61
○林虎雄君 まあ計画を実際とは開きがあまりあってもなくてもいけないんでしょうけれども、あることのほうが弾力性があるという解釈もありましょうが、いまお答えになったように、中で
給与費
の
関係
が多くなっておるのが非常にマイナスの要因で心配だというお話でありますが、このことは、要するに
地方財政
の計画を策定するにあたって、
給与費
の算入不足、それから補助職員、補助事業等の単価の過小に伴う超過
負担
を主としたものであると思いますが、その点はどうですか。
柴田護
62
○
政府委員
(柴田護君) 補助職員等の過小
算定
の問題がないことはございません。しかし、財政計画の中では、補助職員の
関係
は一般行政費の中に入っておりまして、
給与関係経費
とは直接の
関係
は一応はないわけでございます。しかし、補助職員の
関係
の超過
負担
ももちろんございますけれども、その額はそう大きな額じゃございません。千四百億という開きの中で、補助職員
関係
の開きというものは、せいぜい二、三百億くらいのものであります。超過
負担
部分
だけについて申しますならば、その程度ではないかと実は思うのでございます。問題は、やはり人数の問題と単価の問題にあるわけでございます。特に今度の実態調査の結果を見てまいりますと、市価の問題はさることながら、人数の問題に非常に開きがあった、それを今度の四十
年度
の財政計画では可及的に人数の問題は是正をいたしました。単価の問題はもちろんこれも是正いたしましたけれども、人数の問題は可及的にこれを是正いたしたのでございます。どこに問題があるかといいますと、その人数のふえております大きな原因は、どちらかといいますと
施設
関係
の職員であります。
施設
関係
の職員と申しますのは、たとえば保育所ができたり幼稚園ができたりというような問題から、何とか会館といったものの職員、何とかセンターというものの職員、そういったものも一切入ってくるのでございます。そういうものを一体財政計画上どのような形でもってこれを織り込んでいくか、また、そこにどういうようなけじめをつけるかということが、今後の一つの問題であろうというふうに私は考えております。
林虎雄
63
○林虎雄君 最近、地方公共団体が再び再建団体に転落といいますか、再建法の適用を受けるような団体がだんだん多くなっておるように思われますけれども、三十七年から三十八年、九年にかけまして、あまり数においては多く動いていない、傾向としてはふえておると思いますが、その点はどうでしょうか。
柴田護
64
○
政府委員
(柴田護君) 再建団体の数は、三十九年四月一日、去年の四月一日現在で百七十一ございます。再建法の適用になっております。
昭和
二十九年の赤字団体、これがだんだんと再建を完了してまいりますので、いまあります百七十一団体のほとんどは準用団体、百七十一団体の中で百一団体が準用団体でございます。つまり再建法適用後において赤字になった団体でございます。この赤字になりました団体の中に、いろいろなものがございますが、中には裏帳簿と申しますか、やみの赤字をずっとかかえておって、それがどうもいかなくなって
最後
に準用団体になって清算をする、あるいは合併したとたんに隠れておった赤字が出てまいったというふうなものもあるわけでございます。最近の再建団体になってまいりますもので、いま問題がありますのは、今度再建をやります倉敷のような、いわゆる工業
整備
と申しますか、いわゆる地域開発をやっておったのでございますが、途中で踏みはずした、こういう例、まあ大牟田市のような例もございますが、同時に倉敷のような例もございます。どちらかといいますと、そういった最近はややむずかしい形の再建団体が出てまいったのでございますけれども、またしかし、これはちらほらの形、状態でございまして、大体はやはり潜在赤字が顕在をしてきたといったようなものが、再建によってきれいにしようという団体が多うございます。おそらく三十九
年度
も若干の再建準用団体になりました団体がございますけれども、同時にまた、三十九
年度
で再建を完了する団体が相当あるわけでございます。で、数におきましてはそう大きな変動はないと、かように考えております。
林虎雄
65
○林虎雄君 赤字団体の平均の赤字額ですね、赤字額の平均というものが最近かなり高くなってきた、多くなってきたというふうに聞いておりますが、そんな現象はございませんか。
柴田護
66
○
政府委員
(柴田護君) 予算規模がふくれておりますので、過去に比べますれば赤字の額は多くなってまいっております。起債制限も一般
財源
の二割でございますので、したがって、二割をこせば再建になってくる。したがって、規模がふくれておりますので、どうしても額がふえてまいっております。
林虎雄
67
○林虎雄君
地方財政
の中で占めておる人件費についてお尋ねしたいわけですが、人件費の積算
方法
でございますけれども、大体
昭和
二十五年の決算を
基礎
として、その上に年々昇給分とか人員の
増加
の分とかいうような積み上げ方式をとっていたものではないかと思いますが、当時はまだ戦後の落ちつかない時代でありましたので、統計の不備であるとか特殊
事情
もありまして、まあ財政計画に持ち得る人員数であるとか単価等についていろいろ議論があったように、古いことでありますけれども幾らか記憶をしておるわけでありますが、当時何か常に自治庁と大蔵省との間にいまの点が、給与の実態について論争といいますか、意見が繰り返されて結論が出ないままであったというふうに思いますけれども、当時私の記憶によりますと、大蔵省では
地方公務員
の実質の給与というものは一人当たり五百円多いとか、七百円高過ぎるとか、そんなような議論があったように思いますが、そんなことで結局
地方財政計画
というものが、人件費が大蔵省との話し合いが十分つかないで、十分つかないといいますか、妥協で打ち切られた点があると思いますが、それは二十五年から三十年ごろの
状況
であったと思いますけれども、この点については現在の
事情
とはよほど違っておりますか、その点どうでしょうか。
柴田護
68
○
政府委員
(柴田護君) 私も、古いことでございますので、記憶が明確でございませんけれども、たしかいまお話しになりました点は、
昭和
二十五年の財政計画をつくります際、当時は財政計画でもって平衡交付金の額をきめておりましたが、その平衡交付金の額が多いか少ないかという議論のときに、
地方公務員
の給与が高い低いという問題になって、お話のような議論が激しく繰り返されたことがございます。その後、毎年毎年この問題の是正を叫びながら、なかなか話がつきませんで、結局
昭和
三十年の交付
税率
引き上げ
によって片づけたのでございますが、そのときに、第一回の企業実態調査をいたしております。その結果、人数と単価を今日のような形に置きかえて計算をいたしました、補助職員だけはそのままになっておりますけれども。その問題は、したがってそれ以後給与実態調査が行なわれて明確になりますたびに是正をしてまいっておるのでございまして、今回も給与実態調査の結果がわかりましたので、必要なものは是正をいたしたわけでございます。つまり人数の
合理化
、それから積算単価は国家公務員、同一学歴、同一経験年数を持っているとすれば、国家公務員でありせば幾らの給与を支払うベきか、いわゆるラスパイレス方式といわれる計算をいたしておりました。したがって、その間につきましては往年のような争いは大蔵省との間にはございません。ただ、お話のように補助職員の問題の扱いにつきましては、依然として議論が残っております。
林虎雄
69
○林虎雄君 「財政計画の
説明
」の十五ページの第九表目、いまお話の実態調査の結果、一般職員について十万八千人というものの違いがあって、これを計画に入れたということでございますが、いままでこうした差額というものは、
地方団体
をずいぶん財政的に圧迫してきたという結果になろうと思いますが、人件費のほかに事業の超過
負担
分
——
事務費、事業費等の超過
負担
分についても、同じような
事情
にあると思うわけであります。つまり計画と決算との開き、まあこれは当然あるとして、開きは主として一般
財源
で充当される。これは弾力性があればけっこうでありますけれども、しかし、それで計画に算入されていない分ですね、計画上の一般
財源
、すなわち計画での一般
行政経費
のうちで国庫補助
負担
金の伴わないものに計上されている分、あるいは
投資的経費
のうちで同じように国庫補助
負担
金の伴わないものに計上している分、あるいは歳入のうちで税収等で計画以上に収入のあった分でそれが片づけられているというふうに思いますけれども、ちょっと言い方がややこしくなりましたけれども、つまり超過
負担
分は、従来歳入のうちで税収等で計画以上の収入があった分が一応まかなったというふうに思いますが、その
関係
はどう解釈されますか。
柴田護
70
○
政府委員
(柴田護君) お説のとおりだろうと考えております。
林虎雄
71
○林虎雄君 景気の上昇期には税収の伸びがよいので、いまのようなこともまあ計画以上の収入額で、超過する額が多いから収入額でこれをカバーすることができるのでしょうけれども、いまのような下降期には、今度は非常に因ってくるのではなかろうかと思います。計画の計上額が収入支出ともにぎりぎりの線になると、これからいまの景気の
状況
では予想されますので、計画を超過した
部分
は実際の収支では始末ができなくなってくる。これが赤字になる。それがいまの
状況
だと思いますけれども、そのように理解していいですか。
柴田護
72
○
政府委員
(柴田護君) 超過
負担
分の問題が、すぐ赤字に結びつくかといいますと、やはりそこには問題があるのじゃないだろうかと私は思います。しかし、超過
負担
というものがいろいろあって、それが一般
財源
を圧迫をして財政を苦しくする結果、ほかの
経費
の
財源
が支弁できなくなって歳出を執行しております途中において赤字が出ちまうというようなことはあり得ることでありまして、まあ一つの間接原因になっておるかもしれません。この問題は何とか直したいという気持ちはずっと強く持っておりまして、機会あるごとに
関係
省庁にはやかましく言ってきているのでございますけれども、なかなかはかばかしくない。私どももどのような
方法
をとるべきかということについては、従来の行きがかりを捨てて考え直さなければいかぬだろうという気持ちを持っております。
林虎雄
73
○林虎雄君 地方公共団体の個々の財政は、当然、独立自主的なものでありますから、中にはかなりかってな使い方といいますか、使い過ぎをする団体もないとはいえませんから、決算にはこのような団体の支出もすべて入ってきますから、その総計は計画と開きがあることは当然ですけれども、国としては、この程度の支出は適当であるということの
基準
というものがあると思いますが、その
基準
というものをどういうふうに考えていますか。たとえば
市町村
長の放漫的なやり方があったと仮定して、使い過ぎた場合に、
基準
をこのくらいオーバーしたということが、一応全体を自治省のほうで見るとわかると思いますが、そういう
基準
というものは一応お持ちになっておいでと思いますが、どうですか。
柴田護
74
○
政府委員
(柴田護君) 実はそういう一般的の
基準
というのは、技術的にもつくるのはむずかしゅうございますし、私ども実は持ち合わせておりません。ただ一般的にいいますれば、赤字が、いわゆる交付税と
基準財政需要額
の二割をこえた場合は、税の全額と交付税の額ですから、一般
財源
と申しますか、一般
財源
のたしか二割だったと思いますが、二割をこえたら起債を制限するという
規定
があるわけでございます。したがって、少々財政運営を間違って足を踏みはずして赤字が出ても、二割をこすような赤字を出せば、その団体は借金をする能力がないのだという
基準
が法律的にはある。そういうわけでございまして、私どもは、実は
地方団体
を指導いたしております場合には、財政というのは収支が合って財政なんであって、収支が合わなければ財政じゃないのだといったようなことも言っておりまして、収支
均衡
というのが当然だという前提でもって指導をいたしてまいっておるわけでございますので、その足の踏みはずし方を、この程度まででもっていいか悪いといったようなことを実は申したことはないのであります。
林虎雄
75
○林虎雄君 数多い地方公共団体でありますから、
基準
というものはあっても、結局当該団体の財政力というものの違いもありますし、さまざまでありますから、一がいにはいえないと思いますが、そういう点は別として、たとえば市長、町村長、議員等が公選で上がることに基因をして、必要以上というか
——
必要以上という言い方はちょっととうかと思いますが
——
財政力以上に住民にサービスをし過ぎるとか、あるいは行政や財政運営の未熟というようなことも指摘されることをしばしば聞いておるわけでありますけれども、その最近の赤字の要因とういものは、地方市長あるいは議会の運営の未熟によるのか、あるいは
地方財政計画
の立て方にあるのか、この点、どのようにお考えになっておられますか、聞きたいわけでありますが、例外は、必要以上に使い過ぎたとかいうむちゃなところもありますけれども、そうでない、まじめにやってもなおかつ財政力が伴わないで、ぎりぎりになって赤字が出てきている団体が多いと思いますけれども、こういう一般的な問題として考える場合に、
地方財政
の立て方が一体適正であったのか、
地方団体
のやり方が未熟であったのか、この点の御見解どうですか。
柴田護
76
○
政府委員
(柴田護君) 赤字原因というのは団体ごとに異なっておりますし、しかも中身をいろいろ調べてまいりますれば、いろいろな原因が重なってきておるわけでございまして、一がいにどうこうといえない。どの団体にも多少とも国でも反省すべき点を持っておりますし、同時にまた、財政運営のまずさとういものもあるわけでございますし、また、まずさの中でもものごとを知らないためのまずさ、それからまた、知っておって、なおかつまずかったというようなものもあるわけでございます。一がいにはいえないかと思いますが、ただ全体として
地方財政
がどこもここも同じような傾向を示すということになりますれば、これはやはり罪は財政計画なり、政府の財政措置という問題にあったということが強くいえると思いますけれども、先ほど来申し上げましたように、赤字団体の数はあまり変わらない、しかし、赤字額はふえてきておるという傾向は、やはり特殊の団体にひそむ要因というものが、財政運営のまずさと結び合っておるというように思うのでございます。私は、最近の財政
状況
をずっと見てまいりまして感じますことは、やはり都市を
中心
にした財政、この辺に
制度
的にも運営面にもいろんな問題がひそんでおるというように痛感するのでございます。
林虎雄
77
○林虎雄君
地方財政
の中で人件費がなかなか大きなウエートを占めておりますし、いつもこれが問題の
中心
になるようでありますが、この人件費につきまして、つい最近の朝日新聞に柴田局長が意見を述べておりますが、
地方財政
の赤字といいますか、
地方財政
が困窮しておる一つの原因といいますか、に対して、親方、日の丸的な考え方を捨てて財政の仕組みを根本的に再検討し、病根を切開すべきだというふうに述べられているようですが、この御意見の具体的な
内容
は何でございますか。
柴田護
78
○
政府委員
(柴田護君) 私は実はそういうことを言った覚えはないのでございます。どこで聞きましたのか、そういうぐあいに書いておるのでございますけれども、ただ、私が人件費の問題で非常に心配いたしておりますのは、人件費というものは、どうしても景気の変動に応じて伸縮自在というわけにいきませんので、したがって、財政的には非常に大きな圧力になる可能性が強い。それともう一つは、やはり住民は、
地方団体
を別に失業救済機関と心得ておりませんから、少ない人員でやはり能率を上げてもらいたいというのが住民の希望するところだろうと思うのでございます。そうしますと、やはり少数精鋭主義という形に将来は持っていくべきであろうと、それからまた、そういうような形に持っていくためには、それにふさわしい財政
制度
というものを考えていかなければいかぬだろう、ただ、めったやたらに人員を減らせというだけが能じゃないのでございまして、心配いたしますのは人件費の安定ということであります。常に財政のワクの中で人件費というものが適当な比率を保っておる、こういう状態を招来するためには、歳出の中の人件費のあり方をどうすればいいか、それからまた、歳入の構成をどうすればいいかということを考えていくべきものじゃなかろうか、したがって、そういうことがら問題になりますのは、やはり
施設
職員、先ほど申し上げましたが、
施設
職員というものをどのように理解し、どのように財政計画の中に糾合していくべきかということじゃなかろうかと、こういうことを実は考えておるわけでございます。したがって、新聞が親方、日の丸といいましたのは、とかく
施設
をどんどんふやして人間を雇っても、あとは
地方財政計画
で見てくれるのだというような考え方をとられちゃ困るぞと、そういうことを言っておりますので、それをそういうぐあいに書いたのかもしれません。私が一番問題にしておりますのは、いま申し上げましたような歳出と歳入のバランスというものを、人件費というものを
中心
にして考えた場合に、どのようなあり方を求めるべきかということを心配しておるのでございまして、それは人件費の削減という
意味
じゃなくして、むしろ人件費と申しますか、
給与関係経費
の安定という立場から取り上げていくべきである、こういうことを考えておるのでございます。
林虎雄
79
○林虎雄君 この計画の中に、
地方交付税
でありますが、これがまあ自治省の努力で〇・六%ふえまして二九・五ということになったわけでありますけれども、
最初
、私の記憶によりますと、超過
負担
というものが大体八百億以上あるといわれておった。このうち六百七十億ぐらいの程度は
地方財政計画
に計上しなければならないとして、自治省は大蔵省と折衝したように外部では伺っておるわけですが、この折衝の経過はどんなようなものでありますか。これも
最初
拒否しまして、ゼロ回答して、その後、皆さん方の努力で若干ふえたわけでありますが、大蔵省の拒否したという
理由
といいますか、そういうものはどこにあったか、それを聞きたいと思います。六百七十億をカバーするとすれば、おそらく交付
税率
を自治省のほうでは三〇%くらいにしようというお考えで主張されたと思いますが、二九・五ということで落ちついたようでありますが、妥協したといいますか、やむを得ないということで自治省のほうでも折れたと思いますが、この大蔵省がゼロ回答したという
理由
と、それから自治省が三〇%以上でなければならないとしたのに二九%で妥協したというところに、四十
年度
の
地方財政計画
のがなり無理があるような、そんな印象を受けますけれども、この点どうでしょうか。
柴田護
80
○
政府委員
(柴田護君) 折衝の経過につきましては、私ども
最初
に
地方財政
の見通しを立てましたときには、お話のように
地方財政
の見通しが、相当程度の穴があくと、したがって
国税
減税
に伴いまする
部分
については、これはこの際戻してもらいたい、こういう主張でありました。その際の見通しの
基礎
になりましたのは、お話のように超過
負担
等の解消のために約二百五十億程度のもの、これは先ほど御指摘がございましたが、六百億をこえると称せられる地方の超過
負担
の中で、大体是正すベきものを五百億と踏んだわけでございます。五百億と踏んで、大ざっぱに言って半分は国が背負うべきものだ、半分は地方
財源
が不足するということになるわけでございますので、二百五十億というものを実は織り込んで要求をした。しかし、大蔵省がゼロ回答といいますけれども、大蔵省は、ついにこの交渉にあたりましては正規の見解は示しておりません。ただ交渉の過程におきまして、私のほうの計算によれば金が余りますよといったような話はありましたけれども、正規の大蔵省としての見通しを発表された、また発表されて私どものほうにその書類をいただいたことはありません。ただ問題は、いろんな私どもの話に対しまして、いろいろ大蔵省の考え方を述べられましたが、結局二九・五で折り合ったということは、結果的には国にも金がなかったということが大きな原因であったと思いますが、私どももこの二九・五でもって主張が通って満足したというようなことでは決してございません。しかし、国家財政の
状況
等を考えてまいりますれば、またやむを得ないのではなかろうかということで、ほこをおさめたのが真相でございます。
林虎雄
81
○林虎雄君 それともう一つお聞きしたいのは、地方債と公債費の
関係
でありますが、計画では歳入で千六百三十億、歳出の公債費で千三百三十五億、いわば借金と返済額が接近してきておるように見受けられるわけでありますが、せっかく地方債を発行しても、実質は
昭和
四十
年度
の場合二百九十五億しかない勘定になるわけです。こういうふうに接近してくると、だんだん地方債が多くなれば公債費も多くなってまいりますから、この傾向で進めば、何のことはない、金を借りて右から左に返すということになりまして、実際地方債発行の
意味
というものがかなり薄れるというふうに思うわけでありますが、そのことは財政の不安定、そういうことになりますけれども、自治省は、この地方債の発行と公債費の累増といいますか、だんだんふえていくこの傾向について、
長期
展望といいますか、今後の見通しはどのようにお考えになっておられますが。
柴田護
82
○
政府委員
(柴田護君) この問題はよくおしかりを受けるのでございますが、ただ事実は、おっしゃるように千六百億借金をして千三百億返すのだからということでございますけれども、
地方財政
の場合は、地方債を発行する団体がそれぞれ違うわけでございます。したがってまた公債費のありまする団体も、発行団体とは異にすることもよくあることであります。したがってこの計数だけで直ちに心配だというような情勢とは言えぬと思います。一般
財源
二兆強でございますが、これの五%といたしましても約千億でございます。まあ普通、公債費の限度額としていろいろ五%がいいとかあるいは一割がいいとか二割がいいとかいわれますけれども、それはともかくといたしまして、財政計画だけの観点から公債費問題をいま直ちに云々するというような状態ではないのじゃないかと思っておりますが、公債費が累増してまいりますれば、やはり財政計画全体としては望ましい姿だとは考えておりません。将来は、やはりこういった状態はなるべく避けるべきであろうと思いますけれども、このように
財源
の苦しい状態におきましては、一時的に地方債の力をもって仕事をしていくということもやむを得ぬのじゃなかろうか。したがって、また景気が非常にいいときにおきましては、繰り上げ償還といったようなことも考えられるわけでありまして、将来の問題は将来の問題といたしまして十分注意をいたしてまいらなければなりませんけれども、
昭和
四十
年度
に関しまする限りにおきましては、やむを得ない措置だと、このように考えております。
林虎雄
83
○林虎雄君
地方財政計画
の一部を聞いたわけですけれども、人件費の趨勢、赤字の傾向、それからいま交付
税率
がまだ低過ぎるというようなこと、地方債の問題等、考えてみますと、これが結局
地方税法
の
改正
に一脈の関連を持っておるわけでありまして、なかなか問題もあると思いますが、きょうは時間も過ぎましたししますので、
地方税法
の
改正
については、またあらためてお聞きしたいと思います。 そこで、
最後
に承りたいと思いますことは、国と地方公共団体との財政責任の分野を明らかにするという点でございます。
昭和
二十五年のシャウプ勧告に基づいて地方行財政の
改正
、改革が行なわれまして、そのとき、先ほどもお話がありましたように、
地方財政
平衡交付金
制度
ができたわけでありますが、その際、国は地方に対して一定水準の行政を行なうために必要な
経費
に対する
地方財政
の不足を補てんする最終の責任は国にあるということになったような記憶がありますが、その後、
昭和
二十九年に
地方交付税
と改められまして、
所得税
等三税の一定の割合で機械的に交付税が定められることになりましたが、
地方交付税法
六条によりまして、
財源
不足の場合は、この三税に対する比率を変更することができることになっておりますので、シャウプ勧告のときと同じように、国の最終責任といいますか、これは少しも変わらないと思うわけであります。とすれば、地方公共団体が適正な
基準
以上の、かってな支出額は別としても、
給与費
の計上不足であるとか、あるいは補助事業等の単価の評価過小に伴う地方超過
負担
というようなものは、当然国の責任として、最終責任としてこれを解決する、そういう責任があるというふうに思いますが、地方公共団体が、赤字団体が出てきて困って、また再建法の適用だといっておりますけれども、そういうことをしないで、もっと年々に国は交付税なりその他の適切な
方法
によって、
地方団体
のあるべき財政の姿を守っていく責任があるというふうに思うわけでありますが、この点の御解釈はどうですか。
柴田護
84
○
政府委員
(柴田護君) 現在でもお話のように
地方交付税法
の六条の二の
規定
は生きておるわけでございます。したがって、標準的な規模におきます財政の執行について、これを
財源
的に保障するという責任は国にあるわけでございます。したがって、今日でもやはり財政計画を策定をし、これを交付税の
算定
にはね返して
財源
の
均衡
化をはかってまいっておるということでございます。ただ、まあ超過
負担
の問題につきましても、そういう観点からいいますれば同じような問題があるのであります。したがってまた、年々私どもはその
合理化
について努力を実は払ってきたわけでございますが、御指摘のようにまだまだ問題が残されておる。しかし、今日の状態では
地方財政
のワクの中である程度のものは吸収されておるわけでございますけれども、いろんな
事情
があってその間の
合理化
が十分にできていないということであります。まあ国自身の
財政事情
もございますので、これを一挙に片づけるということは、実際問題としてなかなかむずかしいかもしれませんけれども、私どもといたしましては、お話のような考え方とほぼ同じような考え方に立って今後とも努力をしてまいる、かような考え方でおるわけでございます。
林虎雄
85
○林虎雄君 最終の責任は国にあるということで、いろいろ自治省は御努力をされておるわけですけれども、なおかつ最終責任が不十分であるということは、数字の上にあらわれておると思いますが、これはいろいろむずかしい問題もあろうと思います。 きょうほこの程度で終わります。
天坊裕彦
86
○
委員長
(
天坊裕彦
君) 両件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
—————————————
天坊裕彦
87
○
委員長
(
天坊裕彦
君)
参考人
の
出席要求
についておはかりいたします。
地方税法
の一部を
改正
する
法律案
審査のため、来たる三月二十六日、
参考人
の出席を求めることとし、その人選等につきましては
委員長
及び理事に御一任願いたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
天坊裕彦
88
○
委員長
(
天坊裕彦
君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 本日の審査はこの程度にいたしまして、次回は三月二十五日(木曜日)午前十時開会の予定でございます。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時十三分散会 —
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