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1965-03-18 第48回国会 参議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十八日(木曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員異動  三月十七日     辞任         補欠選任      和田 鶴一君     小林 武治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 西郷吉之助君                 竹中 恒夫君                 林  虎雄君     委 員                 井川 伊平君                大野木秀次郎君                 斎藤  昇君                 沢田 一精君                 高野 一夫君                 中野 文門君                 鈴木  壽君                 松本 賢一君                 二宮 文造君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  吉武 恵市君    政府委員        自治大臣官房長  松島 五郎君        自治大臣官房参        事官       山本壮一郎君        自治省財政局長  柴田  護君        消防庁長官    松村 清之君        消防庁次長    川合  武君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政連絡会議法案(第四十六回国会内閣提  出、第四十八回国会衆議院送付) ○新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律案(内  閣送付、予備審査) ○地方行政改革に関する調査  (昭和四十年度地方財政計画に関する件) ○消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  十七日付、和田鶴一君が辞任され、小林武治君が選任されました。     —————————————
  3. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 地方行政連絡会議法案議題といたします。  前回質疑は終局いたしておりますので、これより討論を行ないます。  御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  地方行政連絡会議法案全部を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  4. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 多数であります。よって本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案審査報告書につきましては、先例により、委員長に御一任願います。     —————————————
  5. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 次に、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案議題といたします。  提案理由説明を願います。吉武自治大臣
  6. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) ただいま議題となりました新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案提案理由とその要旨を御説明いたします。  御承知のとおり、地域格差是正対策の一環として、さきに新産業都市建設促進法及び工業整備特別地域整備促進法が制定され、これら二つの法律に基づく基本計画は、それぞれ昨年末及び今春に内閣総理大臣の承認を受け、または近く受けるものと予想され、いよいよ具体的に計画を実施する段階となった次第でありますが、これらに要する事業費は、関係十九地区二十道県を通じて、昭和五十年までに総額六兆三千億円に及び、これに伴う関係地方公共団体財政負担は膨大となることが予想されるのであります。  これらの公共投資を集中的かつ短期間に行なうことに伴い、地方負担が急激に増大し、しかもこれらの対象地域における関係地方公共団体財政力も十分でない事情を勘案いたしますと、これらの地方負担に対し、国が国家的見地に立って財政上の特別措置を講ずる必要があるのであります。  よって、今回、この法律により、可及的に必要な援助措置を定め、もって新産業都市建設並びに工業整備特別地域整備促進に資することといたしたい所存であります。  以上が本法律案提案理由であります。  次に、本法律案内容要旨につきまして御説明いたします。第一は、地方債利子補給であります。  国は、都道府県に対して、新産業都市建設基本計画または工業整備特別地域整備基本計画に基づいて行なわれる国の直轄事業または国庫補助事業のうち、住宅道路港湾等基幹的な施設整備にかかわる事業に要する経費について、その都道府県通常負担額をこえる負担額を支出するためその財源に充てるものとして発行を許可された地方債に対し、その利子支払い額の一部を補給することといたしました。  この利子補給は、地方債利子支払い額のうち、年利三分五厘をこえる部分を、年利八分までを限度として補給することといたしました。  なお、そのために増加を要する地方債については、別途地方債計画に特掲いたすことといたしました。  第二は、国の負担割合特例であります。  新産業都市建設基本計画または工業整備特別地域整備基本計画に基づいて行なわれる市町村にかかわる国の直轄事業または国庫補助事業のうち、住宅道路港湾下水道教育施設及び厚生施設等、基幹的な施設整備にかかる事業について、市町村に対する国の負担割合引き上げることといたしました、その引き上げ方法は、ただいま申しました事業に要する経費を支出するため関係市町村負担額が標準的な負担額を超過する場合におきまして、当該市町村財政力を勘案しつつ、当該超過額に応じて国の負担割合を最高二割五分を限度として逐次引き上げることといたしました。  この場合におきまして関係市町村負担割合が百分の二十未満となるときは、最低百分の二十は市町村負担することとなるように国の負担割合を定めることといたしております。  なお、関係市町村のうち財政再建団体であるものに対する国の負担割合は、地方財政再建促進特別措置法の規定による国の負担割合とこの法律による国の負担割合とを比較いたしまして、いずれか高い国の負担割合によることとし、また、北海道区域における関係市町村に対する国の負担割合は、北海道以外の区域における通常の国の負担割合を、先ほど申し上げました方法によって引き上げた国の負担割合現行北海道区域における国の負担割合とを比較して、いずれか高い国の負担割合によることといたしました。  第三は、これらの措置適用期間であります。  地方債利子補給は、昭和四十年度から昭和五十年度までの各年度において起こされた地方債について、昭和四十年度から昭和五十五年度までの各年度において支払われる利子について行なうこととし、国の負担割合特例は、昭和四十年度から昭和五十年度までの各年度において行なわれる事業について行なうことといたしました。  なお、これらの諸措置とあわせて、後進地域開発に関する公共事業にかかる国の負担割合特例に関する法律の一部を改正して、新たに空港及び農地にかかる事業を同法の対象事業に加える等、関係法律所要改正を行なうことといたしました。  以上が新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本案についての質疑は後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  8. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 次に、地方行政改革に関する調査といたしまして、昭和四十年度地方財政計画に関する件を議題といたします。  まず、自治大臣から概要説明を願います。
  9. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) ただいま配付いたしました、昭和四十年度地方財政計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十年度地方財政計画策定にあたりましては、国と同一の基調に立脚し、経費重点化効率化をはかることにより、健全均衡財政を堅持しつつ、社会開発を推進し、地方行政水準の一そうの向上をはかることを目標といたしました。  すなわち、計画策定具体的方針といたしましては、  第一に、地方税負担軽減合理化を推進しつつ地方財源充実して地方財政健全化地方行政水準引き上げをはかるため、(1)地方交付税を〇・六%引き上げて二九・五%とし、(2)前年度に引き続き、住民税負担軽減を行なうこととし、これによる減収については、市町村民税臨時減税補てん債により補てんし、(3)新たに、石油ガス譲与税を創設し、自動車税及び軽自動車税税率を改定するとともに、法人税税率引き下げによる減収を回避するため、住民税法人税割り税率について所要調整を行なうことといたしました。  第二に、経済高度成長に伴って生じたひずみを是正し、社会開発を推進して調和のとれた社会の発展を期するため、(1)地域開発促進して地域格差是正をはかるため、新産業都市建設等事業に対する国の財政援助措置を確立するとともに、(2)住宅上下水道等生活基盤施設整備促進するため必要な地方債、を確保し、(3)過密化した大都市の開発促進するため必要な地方債資金増額をはかり、さらに(4)地方交付税制度改正し、前年度に引き続き財政力の貧弱な地方団体財源充実することといたしました。  第三に、地方公営企業等健全化に資するため、地方債充実等所要措置を講ずることといたしました。  以上の方針のもとに、昭和四十年度地方財政計画策定いたしました結果、歳入歳出規模は、三兆六千百二十一億円となり、昭和三十九年度に比較して四千七百四十億円の増加となります。  次に、歳入及び歳出のおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、歳入について申し上げます。  その一は、地方税収入であります。ただいま申し上げましたとおり、地方税負担軽減合理化をはかるため、前年度に引き続き市町村民税課税方式本文方式に統一するとともに、準拠税率制度標準税制度に改めることとし、昭和四十年度において、さらに百五十億円程度減税を行なうことといたしました。また、個人事業税事業主控除現行二十二万円から二十四万円に引き上げるとともに、電気ガス税免税点現行月額三百円を電気について四百円、ガスについて五百円にそれぞれ引き上げ中小所得者等負担軽減をはかることといたしました。  さらに、道路交通現状にかんがみ、自家用乗用車営業用普通乗用車及び主として観光貸し切り用のバスにかかる自動車税税率並びに四輪以上の乗用軽自動車にかかる軽自動車税税率引き上げ負担合理化をはかることといたしました。   なお、法人税税率引き下げに伴う住民税法人税割り減収を回避するため、所要調整措置を講じることといたしました。  この結果、自然増収額を含めて地方税収入は前年度に比し二千四十五億円の増加となり、総額は一兆四千九百十八億円と見込まれるのであります。  その二は、地方譲与税であります。  昭和四十年度から自動車用石油液化ガスに対して、国税として.石油ガス税が課されることとなりましたが、その性格にかんがみ収入額の二分の一を石油ガス譲与税として地方団体に譲与することといたしました。  この結果、自然増収額を含めて地方譲与税は前年度に比し七十六億円増加し、総額は五百二十八億円となります。  その三は、地方交付税であります。  明年度地方財政は、経済の動向から地方税をはじめとして、地方歳入伸びが鈍化する反面、給与費公債費社会保障費等義務的経費が増高するため、地方交付税率を〇・六%引き上げて二九・五%とすることにより、地方財源充実に資することといたしました。  この結果、明年度地方交付税総額は七千百三十二億円となり、前年に比較して七百八十一億円の増となります。  その四は、国庫支出金であります。  国庫支出金は、義務教育職員給与費国庫負担金二百九十七億円の増、その他の普通補助負担金四百四十五億円、公共事業費補助負担金五百六十億円の増、失業対策事業費補助負担金の増十四億円、国有提供施設等所在市町村助成交付金の増五千万円、合計千三百十六億円増加し、総額九千九百十億円となっております。なお、新産業都市建設事業等のうち市町村が実施するものにつきましては、一定の基準により国庫補助負担金かさ上げ措置昭和四十年度から、実施することといたしました。  その五は、地方債であります。  地方債につきましては、すでに申し述べました方針に基づき地方債計面を策定いたしました。昭和四十年度における地方債発行予定額は、四千八百四十九億円となり、前年度と比較して八百六十五億円の増となります、このうち地方財政計画に算入いたしますのは、一般会計債の千三百九十八億円、特別地方債のうちの一般会計分二百三十二億円、合計千六百三十億円であり、昭和三十九年度に比較して三百二十六億円の増加となっております。この中には、市町村民税臨時減税補てん債の増百十二億円及び道府県が行なう新産業都市建設事業等に対する特別債四十億円を含んでおります。  その六は、使用料手数料及び雑収入であります。  使用料手数料及び雑収入につきましては、経済成長率等を勘案して、総額を千九百七十三億円と前年度に比較して百九十六億円の増加を見込んでおります。  第二は、歳出であります。  その一は、給与関係費であります。  給与費につきましては給与改定の平年度化に伴う経費、(2)高等学校の教職員及び警察官の増員並びに制度改正等に伴う職員増加に要する経費等を見込み、総額一兆三千七十二億円、前年度に比し、千八百四十七億円の増加となっております。  その二は、一般行政経費であります。  この一般行政経費のうち(1)国庫補助負担金を伴う経費は、総額四千百三十、五億円と見込まれ、前年度に比し、六百十六億円増加いたしましたが、これは生活保護費結核医療費児童保護費精神衛生費農業構造改善事業費中小企業近代化促進費等国庫予算増加に伴い増加を見たものであります。(2)国庫補助負担金を伴わない経費は、一般行政事務増加等事情を勘案して算定いたしました結果、前年度に比し三百六十億円増加し、総額三千二百八十六億円となっております。  その三は、公債費であります。  公債費につきましては、既発行地方債昭和三十九年度現債額及び昭和四十年序新規発行予定額基礎として算定した結果、前年度に比し百九十二億増加し、総額千三百三十五億円となっております。  その四は、維持補修費であります。  道路、橋梁、校舎、その他公用公共用施設維持補修軒につきましては、単価の上昇、施設増加等事情を考慮して算定いたしました結果、前年度に比し百十億円増加し、その総額は九百二億円となっております。  その五は、投資的経費についてであります。  (1)まず、国の直轄事業に伴う地方公共団体負担金は、前年度に比し三十三億円増加し、五百三十九億円を計上いたしました。(2)次に、国庫補助負担金を伴うものにつきましては、道路整備事業費治山治水事業費港湾整備事業費住宅対策費公立文教施設費等増加により、前年度に比し八百九十八億円の増加となり、総額は七千五百九十四億円と見込まれます。(3)国庫補助負担金を伴わない地方単独事業費につきましては、産業経済の発達と国民生活水準向上に即応することができるよう道路、その他の産業基盤施設高等学校等文教施設住宅等整備に要する経費中心として増額をはかりました結果、前年度に比し、六百六十五億円の増加となり、その規模は、四千八百四十四億円となったのであります。なお、道路整備五カ年計画をはじめとして、治山治水五カ年計画港湾整備五カ年計画生活環境施設整備五カ年計画において、地方単独事業は重要な役割をになうことになっておりますので、これらも勘案の上、地方財政計画上の単独事業行政目的別に示すことにより、地方団体における財政運営の指針とすることといたしました。  これを要するに、昭和四十年度地方財政は、その環境のきびしさをも反映して、特に慎重な運営が必要であると考えられます。政町としては、地方団体においても極力財源を確保し、経費重点化効率化を通じてその財政健全化をはかりつつ、必要行政水準向上社会開発の推進に努力することを期待するとともに、その指導に遺憾のないようにしてまいる所存であります。
  10. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 続いて補足説明を願います。柴田財政局長
  11. 柴田護

    政府委員柴田護君) 昭和四十年度地方財政計画につきまして、大臣説明を補足して御説明をいたしたいと思います。お手元にございます「昭和四十年度地方財政計画説明」に従いまして御説明をいたしてまいりたいと思います。  最初に歳入でございます。第一表でございます。第二ページでありますが、歳入の全般につきまして簡単に申し上げます。  歳入総額は四千七百四十億の増加でございます。そのうち一番大きいのは地方税の二千四十五億円でございます。これは前年度に比べまして若干減っておりまして、昭和三十八年度対三十九年度の税収の伸びは二千三百二十一億円でございましたので、伸び率におきまして二一・九%でございましたが、これが一五・八%に落ちております。これは経済の状況の変化等に基づくものでございまして、歳入増加税収入確保等につきましては万端の手段を尽くしましたが、なおかつ伸び率か減ってまいっております。  それから地方譲与税につきましては、これもまた前年度伸び率二六・四%に対しまして一六・八%と伸び率が鈍化いたしております。  交付税につきましては、前年度は八百四十八億円でございましたが、これが七百八十一億円と、これも鈍化いたしております。  交付税計算はお手元の資料の八ページにございまして、国税三税を二兆四千百三十八億円と計算をいたしまして、これの二九・五%七千百二十億円でございます。これに精算分の増減四十一億円を加えて七千百六十一億円、これから返還金三十億円——この三十億円と申しますのは、昨年の補正、三十九年度補正におきまして交付税譲与税特別会計におき、まして借り入れました百五十億円の昭和四十年度における返済分でございます。——これを差し引きまして七千百三十一億円になるわけでございますが、財政計画上は、昨年度は前年度からの繰り越しが百三十六億円ございました。この部分が四十年度におきましてはなくなってしまいますので、その部分が落ちてまいるわけでございます。したがいまして、前年度増加額に比べますならば約六十億円減ということになってまいるわけでございます。  国庫支出金増加額は千三百十六億円でございますが、この額は、三十九年度計画増加額千三百七十億円に比べますと約六十億円程度の減でございます。  地方債は三百二十六億円の増でございますが、この中には減税補てん債の第二年度分百十二億円の増加が含まれておりますので、前年度に比べますと増加いたしております。  使用料手数料雑収入につきましては、それぞれ経済成長率基礎にいたしまして算定いたしました結果、一一%の伸びを示しております。  三ページにまいりまして、歳出でございますが、歳出のうちで一番大きく伸びておりますのが給与関係経費千八百四十七億円の増加であります。これは前年度給与関係経費増加額千四百四億に比べまして大幅に伸びておりますが、これは昨年行なわれました給与改定の平年度化に伴うものでございます。なお、伸長率は三十九年度計画におきましては一四・三%でございますが、これが二八・五%となっております。  一般行政経費におきましても、前年度増加額千百五十六億円に対しまして、九百七十六億円と、減少となっておりますが、これも伸び率が前年度二一・三%、これに対しまして一五・一%と減少いたしております。これは生活保護費その他の国庫補助負担金を伴いまするものについての経費につきましての伸び率の鈍化もおもな原因でございます。なお、国庫補助負担金を伴わない、いわゆる単独事業につきましては、昨年度増加額が三百七十五億円でございましたので、ほとんどこれはかわりございません。なお、この中には、一般会計から特別会計——主として病院会計並びに下水道会計でございますが——公営企業に対します繰り出し金といたしまして百二十二億円を計上いたしております。それからこの繰り出し金につきましては、投資的経費の中の国庫補助負担金を伴わない単独事業の中にも繰り出し金を百七十八億円計上いたしておりまして、その両者合わせまして約三百億であります。この一般行政経費の中の繰り出し金は、いわば病院会計下水道会計経常系統に属するものであります。国庫補助負担金を伴わないものの投資的経費に属しておりますものについては、いわゆる出資金資本充実のための繰り出しを予定いたしておるわけでございます。前年度はこの種の経費は百五十九億円でございましたので、これを約倍近く伸ばしまして、現在の公営企業、準公営企業現状にかんがみまして、その間の調整をはかり、充実に資そうとしたのでございます。  それから公債費につきましては、前年度の九十九億円の伸びに対しまして、百九十二億円、大幅に伸びておりますが、これは公債費計算方法に若干変更を加えまして、従来財政計画上の公債にかかる公債費だけを中心として計算をいたしてまいったのでございますが、ワク外として、地方債計画外において消化されましたもの、たとえば交付公債でございますとか、あるいはワク外縁故債でございますとか、こういうものにつきましても、公債としては変わりがないわけでございますので、これを公債費の中に算入することにいたしたわけでございます。そのためのいわば一種の規模是正に関連して大きく伸びております。  維持補修費につきましては、これは砂利の単価等是正、それから一般の建物の維持補修費単価是正を行ないまして百十億円の増加と相なっております。  投資的経費につきましては、全般的に伸びが鈍化いたしております。前年度はこの経費は二千二百二十八億円の増加でありました。伸び率は、二四・四%でございますが、これが一四%、千六百十五億円に落ちております。これはいずれの事業におきましても、直轄事業負担金でも、国庫補助負担金を伴いますいわゆる公共事業におきましても単独事業におきましても、すべて同じ傾向でございます。ただ、単独事業につきましては、先ほど大臣からの御説明がありましたように、ことしから実は政府におきまして、各省で計画いたしております各種の長期計画に合わしまして単独事業の中身を計画化いたしまして、その備考欄にあります内訳のうちで、治山治水港湾環境衛生、それぞれこれは五カ年計画に基づきます昭和四十年度分でございまして、昭和四十年度において地方団体が実施されることを期待いたしております額であります。それから住宅厚生施設産業経済教育、この部分につきましては、昨年実施いたしました各地方におきまして計画いたしておりますこの種施設拡充計画に基づきまして、それぞれの四十年度実施見込み額の約八〇%の額を計上いたしました。最後の「その他」といいますのは、これは全く実績等をもとにした計算でありまして、いわゆるこの中には超過負担分もございましょうし、あるいはまた継ぎ足し単独事業と称されるものもございましょうし、いろいろなものがまざっております。総括的に従来の形を踏襲いたしております。  それから四ページにまいりまして、歳入歳出の構成比でございますが、これはもとが大きゅうございますので、いままで申し上げましたような歳入歳出の特色が明確には出ておりません。比率といたしましては、歳入におきましては地方譲与税の比率か若干上がりまして、投資的経費の比率が若干落ちたというだけでございます。全般的な特徴といたしましては、一般財源伸び悩みと逆に、給与関係経費増加額増加率が大きいものですから、全体としては非常に財政計画自体におきましてもその弾力性が縮まった形になってまいっております。  五ページ、六ベージ、七ベージは、それぞれ税収入の内訳でございます。その中ごろに「税制改正による増減収額」というのがございますが、そのうちで「地方税法の改正によるもの」のところで、大きいものについて簡単に申し上げますと、道府県民税のうちで法人税割り、これにつきましては、国税減税に伴います法人税割り減収を、税率調整によって調整をするものでございます。事業税の十三億は事業主の控除の引き上げによるものでございます、自動車税の八十九億七千六百万円は、自動車税税率引き上げによるものでございます。固定資産税の特別収入九億、これは大規模償却資産の限度額の引き上げに伴います府県に入ります固定資産税が減少いたしてまいりましたその部分でございまして、かわりに市町村関係ではこれがふえてまいります。六ページの市町村関係では、法人税割りの十六億は、府県民税の法人税額と同じであります。それから軽自動車税につきましては、これは自動車税と同じものでございます。電気ガス税につきましては、免税点の引き上げに伴います減収分であります。それから償却資産を申し忘れましたが、償却資産の七億八千四百万、これはいま申しました大規模償却資産の限度額の引き上げに伴いまする増でございます。  それから国庫支出金の内訳は九ページ以下でございますが、本年度は国庫補助金、補助負担金合理化につきましては、主として統合に重点が置かれておりまして、四十二件ばかりを十九件に統合をいたしております。廃止補助金等につきましては、あまり大きなものはございません。  十ページの地方債でございますが、地方債につきましては、十一ページ以下の地方債計画のうちで一般会計に属する部分千六百三十億円を十ページの表にございますように計上いたしました。特に大きな変化といたしましては、市町村民税減税補てん債がふえておりますのと、新産業都市建設事業債のワクが特別に置かれましたこと、並びに清掃事業特別地方債へ移しまして、特別地方債の還元融資の仕組みを通じて清掃施設の急速な整備をはかろうといたしておりますことでございます。  それから十三ページにまいりまして、歳出の「増減事由」でございます。給与関係一般財源増千五百二十二億円、このうちの大きいものは、そこにございますように(ア)の「人事院勧告に基づく給与改定の増」の平年慶化であります。それから「昇給等に基づく増」は、従来の計策と同じであります。高等学校教員及び警察官の人員増、これは高校教員五千七百五十人、警察官は三千五百人でございます。  それから「その他」の欄で消防吏員の待遇改善、休日給、夜勤手当の新設に伴う増でございますが、七億であります。このうち休日給が四億、夜勤手当が三億でございます。それから社会福祉主事等の待遇改善。これは社会福祉主事の手当を、五%から二千五百円に上げました。これに伴います増でございます。それから「補助廃止に伴う一般財源振替」二十四億、このうち大きいのは教育長の補助金がなくなりまして三千五百七十七人を一般財源に振りかえる、この分が大きゅうございます。  それから一般行政経費につきましては、一般財源の増五百四十八億円、これはそこにございますように、おもなるものは社会保障関係のものでございます。その他では中小企業近代化促進費が大きゅうございます。その他の八十三億円は、こまごましたものでございます。それからその他の経費につきましては、大体先ほど御説明申し上げましたような計算のもとに出てまいりましたもので、中身はすでに御説明をいたしましたので、省略させていただきたいと思います。  なお、給与関係経費の人員でございますが、十五ページをちょっとお聞き願いますと、先般行ないました給与実態調査の結果に基つきまして必要な単価並びに人数を是正をいたしております。単価につきましては、給与実態調査の結果に基づきましてラスパイレス方式によって計算をし直しました。人員につきましては十一万八千五百人を是正を要する人員とされまして、この部分を新たに計画に計上することといたしたのでございます。その結果、財政計画上の人員は百七十五万八千百九十一人ということになるわけでございます。このほかに公営企業関係職員が二十四、五万おるということになるわけでございます。  大体以上で財政計上の補足説明を終わらしていただきたいと思います。
  12. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本件につきましては後日に質疑を行なうことといたしたいと存じます。     —————————————
  13. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑の方は順次御発言を願います。
  14. 林虎雄

    ○林虎雄君 最近頻発いたします火災は、引火度の早い石油類等が多く使用されることとなったことが原因かどうか、大規模の火災はもとよりでありますが、比較的小規模の火災も割合に死傷者が多くなっておるというようなふうに感ぜられますけれども、消防庁の調査の結果、何か資料ございますか。
  15. 松村清之

    政府委員(松村清之君) この昨年——例年出しております消防白書、これは昭和三十八年度の統計でございますが、これによって見ましても、火災によります死傷者というものが十年前に比べて倍になっておるような数字が出ております。毎年毎年この死傷者の数というものは漸増していくとい、そういうことが数字の上にあらわれております。
  16. 林虎雄

    ○林虎雄君 結局この引火度の早いものが火災の原因になるようですから、爆発事故とか、そして火の回り方が早いということから、逃げおくれというようなことが、何といいますか、皆の火災とはよほど火の燃える速度といいますか、そういうものが様相が変わってきたと見ていいわけですね。
  17. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 私が考えておりますのは、今日のその火災で死傷者の多い原因はいろいろあると思いますが、まずこの住宅事情というものがきわめて窮屈なことになっております、家が密集しておる、そうして一つの部屋にたくさんの人が住む、家の構造も非常に無理をして建てられておる、そこで、火が出ました場合に避難することがきわめて困難だ、これがまず考えられるんじゃないかと思います。それからただいまお話のように、この中で火災の原因になりますものとして、最近におきましては油、石油、こういうものが原因になっておりますためにその火の回りが早い、それからまた、今日部屋の中にありますものにつきまして考えてみますると、化学繊維というようなものが非常に使われておりますために、有毒ガスというものの発生がある、こういったことが、私は今日この死傷者が従前に比して多くなっておるおもなる原因ではないかと考えております。
  18. 林虎雄

    ○林虎雄君 そこで、その防火に当たる消防でございますが、消防は、言うまでもなく消防署の職員、吏員ですかがありまして、大都会などではそれがほとんど中心になっておるようでありますけれども、消防団は一般の住民から組織されておるということでありまして、一般の消防団は、個々にはすぐれた人もあるかもしれませんが、一般とすれば、こういう化学的な火災に対処するには組織として弱いような感じがいたすわけでありますが、諸外国の消防の組織というものは、いわゆる職員の常設消防といいますか、職員の消防と民間人の組織というものとどんな関係になっておるか、調査されたことがおありでしょうか。
  19. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 詳細な資料は持参しておりませんが、外国のおもなる国につきましても、大体消防に当たる人の組織というものは、専門の消防職員と、いわゆる自由消防、日本の消防団、こういうものと二つの組織になっております。また、ヨーロッパのある国においては、この中間的なものといたしまして役場消防と申しますか、役場の職員が平素は役場の事務をとっておるが、いざというときには消防に当たる、こういうシステムを第三の形態としてとっておるところもございます。
  20. 林虎雄

    ○林虎雄君 それで、やっぱり諸外国——諸外国といってもアメリカもイギリスもドイツもフランスもありますけれども、そういう国々でも、一般の民間消防というものはあるんですかね。
  21. 松村清之

    政府委員(松村清之君) それはございます。
  22. 林虎雄

    ○林虎雄君 私は、日本は特に昔の江戸のなごりの火消しといいますか、そういう伝統的なものが消防団であって、他の国々にはそういうケースは少ないんじゃないかと思っていましたが、まああるということで、よくわかったのでありますけれども、どうも一般の民間人で組織されている消防の消防力といいますか、機械の伴う消防力というものが、かなり国のほうでも機械化等に力を入れてきてはおりますけれども、なおかつまだ脆弱ではないかというふうに思います。そこで、民間消防も、最近働き盛りの青壮年層というものが少なくなってきておる傾向ではないか。これは各職場においてみんな若い人が工場等へ就職する関係で、民間ですぐはっぴを着て飛び出すというような人たちに若い人たちが少なくなってきている。それがこの消防力を弱めるという傾向が出てきておる一つの原因ではないかと思いますが、平均年齢というものを、前と比べて最近どんな状況になっているかお調べになったことありますか、お聞きいたしたいと思います。
  23. 松村清之

    政府委員(松村清之君) ちょっと資料を持っておりませんが、お話しのように、最近ににおきましては若い人たちが離村いたす傾向がありますし、また、離村いたしませんまでも隣の町あたりの工場に平素勤務しておりますので、若い層がだんだん消防から減っていっておるということは事実として見受けられます。したがって、お話の平均年齢というものも高くなっておるのではないかと考えられますが、いま正確な資料がございませんので……。
  24. 林虎雄

    ○林虎雄君 いまお答えになりましたように、老朽化すといえば、少し言い過ぎかと思いますけれども、そういう傾向はどうしても出てくると思います。火災のほうはどんどん、何といいますか、先ほどお話があったように、油とか石油とかいうものが原因の火災が多くなり、したがって化学消防といいますか、そういう方向にかなり切りかえていかなければいけない状態にもかかわらず、民間消防力というものは機械化もおくれておりましょうし、働く消防団の年齢層も年をとっておるというふうに、十分に活躍ができないというふうな傾向にあると思います。そこで、逐次常設消防といいますか、専門の消防にウエートをかけていく、そのほうにできるだけ切りかえていくということが必要であり、また同時に、機械化を一そう推進しなければならないというふうに思いますが、専門職に逐次切りかえるということに対しての消防庁のお考えはいかがですか。
  25. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 消防庁といたしましても、消防には常備体制であることが望ましいという考えで、先年消防組織法改正されまして、政令で指定します市町村には消防本部、消防署を置かなければならないように改正されましたので、これに基づきまして、逐次消防本部、署を置くべき市町村を指定してきております。消防庁といたしましては、全国三千五百の市町村の中で、市街地人口というものがございますが、この市街地人口一万以上ある市町村、と申しましても、市と町が大部分でございますが、これを消防本部、署を置くべきものと考えております。この数はざっと七百ばかりになります。そこで、この七百を指定することを目標といたしまして、昨年におきましてほぼ五百を指定いたしました。そうするとあと二百残っておるわけですが、このうち半数程度を近く指定することにいたしております。あと残りを来年あたりに指定いたしまして、目標の七百というものに消防本部、署の設置ということを実現していきたい、こういうふうに考えております。
  26. 林虎雄

    ○林虎雄君 昨年の改正で、いまお説のようになったと思いますけれども、七百の市町村に対する消防署の設置等は、いまお話のように逐次指定をされておるようですが、さらにその内容、専門職の吏員の数をこれに沿って増員していくというお考えが当然あると思いますが、その点どうですか。
  27. 松村清之

    政府委員(松村清之君) これにつきましては、もちろん、できるだけ消防に携わる専門の職員の増員ということを考えてまいっておりまして、年々これは地方財政の上で措置するわけでございますが、ふやすようにつとめております。昭和四十年度におきましても、八千人ほど地方財政の上でふやす、こういう計にいたしております。
  28. 林虎雄

    ○林虎雄君 四十年度の予算におきまして、消防施設等の補助金が二億四千万円ですかふえております。これは従来もポンプ等の近代化に必要な補助等を出しておったと思いますが、これはいなかへいきますと、まだまだ旧式のポンプなど使っておる所もあります。もちろん地勢等によって、すべて自動車ポンプというわけにもいかないと思いますけれども、それにかわるべきような機械化の必要があろうと思います。そこで、この補助金が今度増額されたわけですが、その内容はどんなぐあいになっておりましょうか、お聞きしたいと思います。
  29. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 消防ポンプ等の消防施設につきましての国の補助金は、従来七億円でございました。これは三分の一の補助でございます。しかし、来年度昭和四十年度におきましては、昨年各地で起こりましたいろいろな災害にかんがみまして消防の近代化を促進しなければならない、科学化を促進しなければならないと思いまして、消防施設についてもその科学化をはかるべく、化学車あるいははしご車、救急車、この三つのものを拡充したい、こういうことで、いまお話のように、来年度二億五千万円、これも三分の一補助でございますが、二億五千万円の補助金を新たに政府予算に計上されたのでございます。これはむろん四十年度だけで終わるものではなくて、数年これを続けてまいりたいと考えております。
  30. 林虎雄

    ○林虎雄君 これはちょっと飛んで恐縮ですけれども、ちょっとしたことですが、今度の消防法改正で、十二条ですかに、これは権限——権の限りを権の原にする。この権原の解釈というのは、われわれは従来ケンゲンというのは、この権に限りだと思っておりましたが、権原というのは初めて見たのですが、今後ケンゲンというのは、国のほうの解釈はみな統一して原にすることになるわけですか、ちょっとお聞きしたい。
  31. 松村清之

    政府委員(松村清之君) いまおっしゃいました限りのケンゲンは、役所の権限という場合に、そういう文字を使っておりまして、ここに権原とありますのは、所有権とかあるいは占有権とか、こういった権原ということでございまして、これは従来から第五条にもすでにございますが、原というのを書くのが正しいのでございますが、実はこれはどういう関係か、いままで御指摘の条文は適当ではないことばが使われておったので、この機会に直したい、こういうわけでございます。
  32. 林虎雄

    ○林虎雄君 次に、今回危険物を扱われる貯蔵所等について、危険物規制の合理化をはかるということで改正案が出たわけでありますが、その内容に入る前に、生産調整の点をお聞きしたいと思います。  近代産業の発展に伴いまして、いままで予想されなかったところの膨大な危険物が生産されておるわけでありまして、また各種産業の原料として取り扱われておるものでありますが、この貯蔵所等の現有設備というものが不十分なのではないかということが心配されるわけであります。昨年発生しました勝島の宝組倉庫でありますか、あの爆発等においても野積みになっていた硝化綿や倉庫内の大量なパーメック等のことを考えますと、現有貯蔵設備というものが、生産に伴わなかったのではないかと思われますし、また危険物を運んできた船が、港湾の倉庫に納め切れないで港におって時を待つというか、調査を免がれているという話も聞くわけでありますが、こういう話を聞きますと、いわゆる高度成長のゆがみから、生産と貯蔵との保安というもののバランスがとれていないのではないか。したがって、この危険物の指定数量をはじめ、貯蔵基準をつくっても、産業の実態から、はたしてこれらの規制が十分守られていくかどうか、まあこういうことが心配されるわけであります。生産調整ということは、まあ経済発展の上で重大な問題であり、まあ消防庁の所管外のことでしょうけれども、本法の立案に際しまして、どのような検討をされたか、この点をお聞きしたいと思います。
  33. 松村清之

    政府委員(松村清之君) この貯蔵、たとえばまあ倉庫のような貯蔵所の外に危険物が存置されてあるということにつきましては、まあお話のようなこともございましょうが、やはり関係者が法令を守らないということからきていることも多いと思います。しかし、お話のように、今日その倉庫というものを考えてみますと、倉庫というものは普通の倉庫でも経営がなかなか苦しいようでございます。まして危険物倉庫となりますると、一そうその経営が苦しい。そこで倉庫あるいは危険物倉庫というものが、需要に追っつかないということも私は厳然たる事実ではないかと思います。こうなりますと、これは消防庁としての所管の問題でございませんで、倉庫は運輸省の所管でございますが、私も、倉庫あるいは危険物倉庫について、何らかこれをふやしていく手を打つべきではないかと考えておりまして、昨年も、港湾局長が所管しておりますので、港湾局長にもそういうことを申し述べたことがございます。まあいろいろな制約から民間の倉庫経営というものがきわめて困難な事情であるならば、まあ港湾地帯に倉庫は七割くらいあるわけでございますが、港湾管理者といいますか、港湾所在の地方公共団体あたりで出資をするとか直接つくるとか、何かそういうことでひとつ考えてもらえないかと、こういうことを提案したこともございます。しかし、これが全部ではなくして、やはり関係者が法令を守らないで、むぞうさに野積みにして置くということも、私はこれも事実ではないかと思います。
  34. 林虎雄

    ○林虎雄君 いまお答えいただいたのでありますが、確かに危険物を取り扱う倉庫の経営が容易でないことも一つの原因だろうと思います。この対策も、これはまあ消防庁だけで解決できないと思いますけれども、いま政府から提出される予定と聞いておりますが、特定化学工場保安法案といいますか、危険物規制に関するこの法案は、危険物規制に関する消防法内容的にいろいろ重複されるものがあるように聞いておりますが、この法律、案は、今度の国会には提出されないようでありますが、消防庁は、今回の消防法改正を考えられた際に、通産省所管のこの法案について、いろいろ意見もあったと思うのでありますが、通産省で考えております法案の内容、消防庁のそれに対する考え方、あるいは法案が出されないことになったかどうか、その点、おわかりでしたら承りたいと思います。
  35. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 昨年川崎の昭和電工の爆発を契機といたしまして、まあその他にも各地でいろいろ災害があったわけでございますが、通産省は化学工場を対象といたしまして保安についての規制を新しく立法したいという考えで、いまお話のようなその法案を昨年来準備してきておったのでございます。ところがその法案を拝見いたしますると、消防法で規定してありますのと同じような内容の規定でございます。ただ、消防法できめてあることを通産省のお考えとして引き抜いていくような、そういう形の法律でありますために、私どもも通産省といろいろ話し合いを進めてきまして、最終的には妥結に至らなかったのでございますが、逐次話し合いの進展が見られておったのでございますが、他方、この通産省の法律案につきましては、消防庁よりも労働省がむしろ全面的に反対でございまして、そういうふうに通産、労働、消防と、こういう三つの役所の関係が錯綜いたしまして、非常にこの法案自体が難航をいたしておるのが現況でございます。その後通産省からは何の連絡もございませんが、法律案提案の期日というものはもう実は過ぎておるのでございまして、そういう状況でございますから、私は特別な事情でもない限り今国会の提案というものは断念をしたのではなかろうかと思っておりますけれども、確かなところは、現在のところわかりません。
  36. 林虎雄

    ○林虎雄君 いまお話のように、通産、労働、消防の各関係省庁の間で意見が一致しておらないということで、今度提案がおくれておるようでありますが、次の国会あたりに提案されるような見通し、感じですか。いかがですか。
  37. 松村清之

    政府委員(松村清之君) これはおそらく通産省としてはそういうような方向で進むのではないかと思いますけれども、いま申しましたように、消防庁もさることながら、労働省も全面的な対立関係にございますので、これを政府として調整をし、一本にまとめるということは、そう簡単にいかないのではなかろうかと思いますけれども、これは将来のことですから、何とも申し上げにくいと思います。
  38. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと関連して。  いまの問題ですが、たとえば今度の改正によって危険物の施設に保安要員を置くとか、いろいろ取り締まりのそういう者を置く、これはそのこと自体はぜひそうしなければならぬと思いますが、根本には、いま林先生から御指摘のあったように、こういう貯蔵なりの施設そのものの不備といいますか、あるいは不足あるいは不完全さ、こういうものがあると思うんですね。ですからそういう危険物の貯蔵等において、その施設がいま足りない。倉庫が足りないとか不備だとかいうふうな問題、これはやはりそういうものを取り扱う者、企業、こういうものにやはり義務づける必要があると思うんですね、完全なものをやるように。そうでないと、これはいつまでたっても問題は解決をしないので、そこら辺に、何かさっきからの通産省なり、あるいは労働省なり、またあなた方のほうとの話し合い等によって、何か将来私が言ったようなことで問題を取り上げるのかどうか。その点いかがでございますか。
  39. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 企業自体は、生産した危険物を貯蔵するそういう貯蔵所等には不足していないと思います。その問題は、その企業から出た危険物を需要地へ送る、その中に立ついわゆる倉庫業と申しますか、そういう中間の業に、私がいま申し上げました不足しているという状況があるのじゃないかと思います。そこで問題は、生産地から需要地へ運ぶ家庭において、倉庫の拡充等が必要なのではないかと思うのでございまして、これは通産、労働の関係でなくて、むしろ運輸省の関係でございますので、先ほど申しましたように、私も運輸省当局に対して善処方ということをお願いをいたしているような次第でございます。
  40. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうするとあれですか、私の言った取り扱う者、あるいは企業と言ったのは、いまのあなたがおっしゃるようなことも含めて言っているつもりなんですが、それはまああとでもう少しお聞きしますが、企業ですね、生産する側の。それについては現在のところ危険物の、貯蔵なり取り扱い等についての施設は心配ない程度になっている、こういうふうにおっしゃったようですが、それはそのとおりでよろしいのでございますか。
  41. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 生産に携わっております企業自体におきましては、それを需要地に送り出すまでの貯蔵等については、まあ断言はできませんけれども、私はそう心配するようなことはないだろうと考えております。ただ、途中の過程において問題が露出されているのではないか、こういうふうに考えております。
  42. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連ですから私はあまり……。何かいままでに起こった事故ですね、そういうものからいうと、どうも企業内におけるそういう問題には幾つかの問題があるのではないかと思うのですが、その点で、もう少し私お聞きしたいと思います。それから取り扱いといいますか、需要地へ至るまでの過程における貯蔵なり取り扱いの問題、それに対しても、私はやはり取り扱う者は、ちゃんと危険のないようなものを、設備なりあるいはその他いろいろなものにおいてやらなければいけないと思うのですがね。その点は、私さっきの倉庫の問題、いわゆる倉庫業、一般的な倉庫業者というようなことでなしに考えていかなければいけない問題じゃないだろうかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  43. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 中間の倉庫業者が危険物を保管するについて、いろいろ問題がないわけではないと思いますが、もっと大きな問題は、先ほどお話が出ておりますような貯蔵能力、収容力と申しますか、そういうことに私はあるというふうに考えております。したがいまして、どんどん一方で生産されたものを需要地へ持っていく。その中間に、保管する倉庫と、倉庫の収容力、危険物倉庫の収容力というものを増大させるということが私は今日の大切な仕事ではないかと考えております。
  44. 鈴木壽

    鈴木壽君 その場合に、倉庫の収容力を増大させて、しかも危険のないような、安全な形においてできるよう、そういうものをやる。それを一般的な中間の倉庫業者とかなんとかいうかっこうでやられることがどうかということなんですね。それだけで、はたしていいのかどうかということなんです。いわゆる一般的な倉庫業者なら、倉庫を一つの自分の企業としてやっていく場合に、いまの危険物だからといって、必ずしもそれだけに集中したような、あるいはその完全を期するようなということは、なかなかこれはたいへんだと思うんですね。そこに私はいろいろな問題が出てくる一つの根本的な問題があるんじゃないかと思うのですが、これはそういうことにおいて、倉庫の収容力というか、そのほうの増大をはかると同時に、もっと企業それから需要地まで行くこれは、やはり一つの需要地において一般に売り出すなりあるいは供給するまでの間は、これはやはり一つの企業だと思うのですね、その中の仕事も。と考えることによって、その企業にもっと責任を持たせ、企業自体でやるんだというようなところまでいかないと、なかなかこれはたいへんじゃないだろうかと思うのですが、たとえば、これはあるいは例がちょっと違うことになるかもしれぬけれども、いまの公害の問題なんか、これは私はあくまでも責任は企業にあるべきだと思うのですが、それを国なりあるいは地方公共団体なりがいろいろな形で助成することはもちろん必要であるが、やはりそういうものを出さない、公害といわれるようなものの原因をつくり出さないことが企業の責任だと思うのですけれども、そういうような意味で、いまの危険物の中間的な取り扱いの過程においても、私は、企業それから企業から需要地までの運搬なり、そういう機構の中にあるいろいろなそういうことまで、特にこの問題については責任を持ってやれるようなことをすべきではないだろうか、まあこういうふうな考え方を持っているのですが……。
  45. 松村清之

    政府委員(松村清之君) お話のようなことを実現いたしますには、生産地においてもきちんと貯蔵する倉庫等をつくり、それを利用している事業のところでもそれを収容する貯蔵所等をきちんとつくって、生産者から需要者に直送する。こういうことにでもなれば、私はお話のような趣旨が達成できると考えますけれども、これは私もしろうとでございますけれども、今日の経済実態からいたしますれば、中間に倉庫業というようなものが所在しまして、その倉庫業が生産者あるいは事業者の委託を受けて物を保管する、こういう経済上の必要性というものが私はあるのではないかと考えます。そういたしますると、やはり中間の倉庫業——危険物倉庫業というものについて、やはりこれを増強していくという方策も私は大事な事柄ではないかと、そういうふうに考えるのでございます。
  46. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連ですからやめますが、もう一つ。それはいまの経済のこういうような仕組みの中で、たとえば製造しているところから、たとえば私なら私が買い取り、どこかに売りつける。それで私が中間において一般の倉庫を利用するというようなこと、これはいまのやつではあるのですよ。それだけにまかしておいていまの問題はいいのかということですね。中に立って私がいまそういうようなことをやる。需要地まで送るまで幾つかのところにためておくとかなんとかいうことで、これは私の責任でちゃんとやらなければいけないようなことを、この問題については考えなければいけないのじゃないか。一般の倉庫なり貯蔵所なんというものが——貯蔵所というのがこの場合に当てはまるかどうかわかりません。中間でもいいのですよ。そういうものを実際私が責任を負わないような形じゃおかしくないか。取り扱うものが責任を負ってやれるような、そういうことにしなければ、何か一般の中間の倉庫業者にそういう責任を負わせて、どうのこうのと言っても、なかなかたいへんなことじゃないか。実効のあがらないことではないだろうかと、こういうことを考えるものですから……。まあそれはいずれまたあとで……。関連でございますから……。
  47. 林虎雄

    ○林虎雄君 次にお聞きしたいことは、今回の改正案を見ますと、政令とか、あるいは命令等に内容をゆだねておるところが多いのでありまして、したがって、政令とか命令の内容を伺わないと、どこまで規制するのかはっきりしないものもあるわけであります。したがって、政令の内容についてお尋ねしたいと思いますが、この政令については、今後通産省や労働省等とも打ち合わせをしなければはっきりしたことが言えないという事情もあるかもしれませんけれども、消防庁としては、このように考えておるという、そういう範囲で御説明をいただきたいと思います。  まず危険物の関係でありますが、危険物の保安員を定めて保安業務を行なわせなければならない、貯蔵所等の範囲は政令によるとされておりますけれども、危険物を取り扱う施設規模とか、あるいは危険物を取り扱う工場と、計測管理を行なう作業所とが離れたところにあるとか、いろいろ条件があると思います。政令としてはどのようなものを一応考えておりますか。また全国にずいぶんたくさんあるということであります。十五万ヵ所もあるといわれておりますこの危険物貯蔵所等のうちで、消防庁としては何用ぐらい政令の範囲に取り入れられると考えておられますか。そうしてまた、この場合、保安員の仕事の内容は命令によるとされておりますけれども、命令はどのようなことを考えておるか、さらに労働基準法の安全管理者等との関係ですね、こういう点をお尋ねしたいと思います。
  48. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 今回のこの法案におきまして施設の面から生じます災害を防止いたしますために施設保安員というものを置きまして、これらの人々が計器とか安全装置の仕事に当たる、そういうことによって施設自体から発生する危害を防ごう、こういう趣旨でございますが、この施設保安員を置きます危険物施設としては、もちろんこの危険物の種類とか、どの程度の数量を扱っておるかとか、施設の態様がどうであるとか、こういうものを総合してきめなければならないと思います。小さな規模のものにまで全部これを置くということは予定しておりません。そこで、これはいまお話のように、今後法律が成立した暁に、関係各省とも十分打ち合わせてやりたいと思いますが、いま当庁として考えておりますのは、危険物にこの法律の別表にいろいろな種類がございますが、この全種類について施設保安員というものは置くことにいたしたい。しかし、この数量といたしまして、別表にあります危険物規制の対象になります数量が掲げられておりますが、これを指定数量と申しておりますが、この指定数量の二百倍以上を取り扱っておるところに限定したい。そういたしますると、全国で一五万ばかり危険物施設の対象があるわけですが、そのうち一万まあ十五分の一となりますが、二万ぐらいを施設保安員を置くところとして予定しております。  それから次に、どういうことをこの保安負がやるかと申しますと、ただいま申しましたように、この施設の設備、装置等の点検整備、保全、補修、まあこういうことを主としてやるわけでございますが、もっと詳しく申し上げますと、この危険物を取り扱う装置、配管、安全弁等の安全装置、換気設備、電気工作物、静電気除去装置等の設備、避雷設備、油の分離装置、そういったいろいろの施設の安全を保つためのいろいろな事柄についてこの施設保安員を当たらせると、そういう考えでおります。
  49. 林虎雄

    ○林虎雄君 次に、この予防規定において市町村長の認可を受けなければならない貯蔵所等の範囲も政令できめることになっております。これはどういうきめ方をなさるおつもりであるのか。保安員を置く場合には、若干逢った観点から政令をつくられるように聞いておりますが、この対象施設も保安員の場合より少なくなると聞いております。これに関連してこの際お聞きしたいことは、予防規程というのは、すでに危険物に対する貯蔵や取り扱い等の基準が、法律に基づいてきめてあると思います、その上なぜ必要であるか、予防規程というものは。どういう内容のものを消防庁としては期待しているのか。この点どうでしょうか。
  50. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 今回法案にございますこの予防規程は、まあいわばそれぞれの危険物施設についての自主的な保安基準でございまして、この保安基準を自主的に企業の管理者が責任を持ってやると、こういうたてまえでございます。そこで、いまお話のように、もちろんこの企業の従来者、先ほどの施設保安員を含めた従業員は、この保安予防規程を守るわけでございます。まあいまお話のように現在の法令でも守るべき技行上の基準というものが主として政令等できめられております。しかし、これは危険物に共通します最大公約数的なものをきめてあるのでございまして、やはり危険物の安全を保持しますためには、それ以上に、進んで個々の危険物に対応した個別的な具体的な保安の基準というものが大事ではないかと思います、それを自主的にきめると申しますか、市町村長の許可にかからしておるわけですが、この個々の危険物施設の自主的な保安基準というものをきめる、こういう趣旨でこの予防規程を設けることにいたしたのでございます。そこで、これも具体的には政令段階で実施するわけでございますが、現在当庁として考えておりますのは、先ほどの施設保安員と同じように、危険物のいかなる種類を問わず、全種類についてこの予防規程を作成させることにしよう。しかし数量的には百倍、指定数量の百倍以上のものに限定しよう。そういたしますると、この対象数が三万ということになります。先ほどの施設保安負を置く施設が一万でございますから、これの三倍の該当対象になるのでございます。
  51. 林虎雄

    ○林虎雄君 自衛消防組織を置かなければならない事業所ですね。これはどのような事業所であるかということを政令できめるようになっております。第十四条の三ですが、この事業所がどのような程度の自衛消防組織を持たなければならないかということも政令で書くことになっておりますが、消防庁はどういうお考えを持っておりますか、この点。
  52. 松村清之

    政府委員(松村清之君) この点につきましても現在当庁が考えておりますのは、これは危険物の種類の全種類でございませんで、第一類から第六類まで法律に書かれておりますが、そのうち一類、二類、四類、五類、この四つの種類について、まずこういう消防組織を必要と考えます。そうして先ほども申し上げたと同じようでございますが、そのうち製造所と取り扱い所については指定数量のその千倍以上、貯蔵所につきましては五千倍以上のものについてこういった消防自衛組織を義務づけようというふうに考えております。そういたしますると、全国で自衛消防組合を持つ施設というものは大体五百程度になります。
  53. 林虎雄

    ○林虎雄君 この消防設備士の関係の政令について伺いたいと思いますが、今回の改正によりまして、消防設備士でない者は特定の消防設備等の整備を行なってはならないということになっております。その内容もまた政令できめることになっておるわけですが、すべての防火対象物について、資格のない者は消防用施設等の整備を行なってはならないのか。また、消火設備等については、現在施行令にその種類が列挙してあるわけですが、そのうちのどの部分を対象とするか、これは簡単でよろしゅうございますが、承りたいと思います。
  54. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 御指摘の「政令で定めるも」としましては、現在こういうふうに考えております。まず、工事と整備と二つあるわけでございますが、工事につきましては三つに分けまして、一つはスプリンクラー設備、水噴霧消火設備、あわ消火設備、連結送水管というものを第一グループに考えます。それから第二のグループとしては、不燃性ガス消火設備、蒸発性液体消火設備、粉末消火設備、第三が、自動火災報知設備、電気火災警報器という三つの区分で工事については考えていきたい。  整備につきましては四つに分けて考えていて、第一は消火器、第二はスプリンクラー設備、水噴霧消火設備、あわ消火設備、連結送水管、第三は不燃性ガス消火設備、蒸発性液体消火設備、粉末消火設備、第四は自動火災報知設備、電気火災警報器というふうに区分いたしたいと考えております。
  55. 林虎雄

    ○林虎雄君 ついでに消防設備士の甲種は工事と整備を行ない、乙種は整備だけとなっておりますが、これらの消防設備士が行なうことのできる工事または整備の種類は、命令で定めるということになっております。この命令の内容についてどういうことを考えておいでになるか。
  56. 松村清之

    政府委員(松村清之君) いまお話のことが、いま申しましたその内容になるわけですが、工事整備をいま申しましたような三つ、あるいは四つに区分いたしまして、それに関する設備士がそれに関係のある工事あるいは整備が行なえると、こういうことになるのでございます。
  57. 林虎雄

    ○林虎雄君 あと一つお聞きします。消防組織法改正で、消防庁長官は、非常事態の場合に、知事の要請に基づいて、災害地市町村の消防に応援するために他の都道府県知事に対して応援に必要な措置をとることを求めることができる、こういうふうになっております。同一府県の区域を越えた消防の応援につきましては、昨年の新潟地震の際に実際に行なわれたことでありますが、今回の改正規定は、その経験にかんがみて不十分であったところを補なったものであろうというふうに思いますが、相互の応援については、同一府県内の県と市町村市町村消防の相互関係、府県間の関係等については消防法あるいは災害対策基本法等に現在の規定がありますけれども、そこで、これらの現行法規の規定の内容説明していただき、今回の改正の意味と申しますか、相違点といいますか、そういう点、ちょっとお聞きしたいと思います。
  58. 松村清之

    政府委員(松村清之君) 御指摘のように、そういった相互の応援ということにつきましては、消防組織法と災害対策基、本法と、二つの法律に規定がございます。市町村が相互に火災その他の災害に際して応援いたしますのは、普通消防組織法によります相互応援協定というものによってやるわけでございます。ところが、県内に大きな災害、非常災害が出ましたような場合には、災害の責任者としての知事として、知事が何らかの措置を講ずる必要が出てまいります。その場合には、知事は、これは消防組織法に現にございますが、知事は、県内の市町村に対して応援をさせることを指示できる指示権というものが消防組織法で認められております。これが消防組織法関係でございます。災害対策基本法によりましては、災害対策基本法の対象になります災害発生に際しては、市町村長から市町村長へ応援を求める規定がございます。それから市町村長から知事へ応援を求める規定がございます。また、知事から他の知事に応援を求める規定がございます。そういう規定を発動することによって非常災害の場合に応急の措置をとり得るわけでございますが、これら現在の消防組織法、災害対策基本法を通じてみました場合に、ただ一つ抜けておるものがあるのでございます。それはその市町村長から市町村長へ、知事から知事へ応援を求めることができるわけでございますが、地方で一体どこへ応援を求めたらいいんろうかわからない。そういう場合に、国を通じて、消防庁を通じて、ひとつ消防庁に応援を求める、応援を要請する。そうしたならば消防庁としては、どこを応援をさせたらよかろうと、こういう判断に基づいて、国がその仲介に立つ、そういうことが現行法では不備であるのでございます。これが実は昨年新潟の地震に際しまして、東京消防庁を国が応援に派遣したいと思いましたけれども、実はその根拠規定がないそこで、やむを得ずこれはあとで、正直申し上げますと、つくろったわけですが、新潟の知事から東京の知事へ要請したという形を、あとでつくろって、実際は国のほうの要請で東京消防庁に出ていただいたのでございます。そういうことが、これはいつもあるわけでございませんが、あり得るのでございまして、そこで今回そういう手続規定というものをここに明確にしておいたほうが、将来あるかもしれない場合に備えて必要であろうというふうに考えまして、この二十四条の三の第一項を今回改正にあげた次第でございます。
  59. 林虎雄

    ○林虎雄君 いまお答えになったこの消防組織法では、災害等に対して知事は必要あるときは県下の市町村長に対して災害防御のための措置を指示することができるというふうになっておりますが、今回の規定は、いま長官のお答えになりましたように、消防庁長官と知事の関係を初め、求めを受けた知事と当該県内の市町村長との関係が、「求めることができる」とありますね。それで、組織法では「指示」とありますが、求めるという字句とは、この表現が違っておりますけれども、指示でいいような気がしますが、求めるのほうが少しやわらかいというか、弱いという印象を受けますが、この表現を変えた理由といいますか、その点承りたいと思います。
  60. 松村清之

    政府委員(松村清之君) この「指示」という文字を使います場合には、そこに指示する者と指示される者というふうに、上下の関係というものが存在するということになります。したがいまして、指示ということになりますると、指示されましたならば、指示された者の意思のいかんを問わず、それに従わなければならない、こういうことになります。ところで、消防というものは、今日の法制の上におきましては、これは市町村の自治事務でございます。市町村の仕事でございます。市町村の消防に対して上下の関係に立ち、指揮命令をするということは、これはこの消防の理念から申して適切ではないと考えたのでございます。そこで、消防庁長官と知事、それから知事と市町村長との関係を、指示ではなくて求めるという用語を使いましたが、求めると申しますると、求められたほうには、それに従うか従わないかを判断する余地が残されます。そこに市町村の自治というものが尊重されます。しかしながら、こういう求められた場合には、普通正出な事由がなければ断われない、正当な事由があれば断われる、正当な事由がない限りは応じなければならないと、こういうことが「求める」ということには当然解釈として含まれるわけでございます、しかし、指示となりますると、正当な事由があろうがなかろうが、全くこれに従わなければならない、そこに市町村の消防についての自治というものが抹殺される、そういう懸念がありますので、この求めるということばを使いましたことで、十分私は措置ができると思います。なお、現行法で第二十四条の二に、知事に指示権、「指示」ということばが使ってございますが、これは私は、市町村の消防についての自治を尊重する立場からいえば、これも求めると表現したほうが適当ではないかと思いますけれども、しかし、ここでは知事という者が災害の総合的な責任者である、また、非常事態の場合に、自分の県内のことを処理するわけでございますから、知事は国と違って公選された身分でもありますので、この知事について、そういう場合に指示権を規定した二十四条の二というものは、ある意味からいえば、必ずしも不適当でもないというふうに考えるのでございますが、今度の改正案については、私は「求める」ということばを使うほうが、市町村の自治を尊重する趣旨にかなっておる、そういうふうに考えたような次第でございます。
  61. 林虎雄

    ○林虎雄君 そうなれば、この消防組織法にあります、災害に対して必要あるときは市町村に「指示をする」というこの表現も、将来「求める」に変えるというお考えと解釈していいわけですか。
  62. 松村清之

    政府委員(松村清之君) これはただいま申しましたように、国と知事というものの立場というものも異なりますし、先ほど申しましたように、ある観点から見れば適当でないかもしれませんけれども、他の観点に立てば不適当でもない、こういうふうにも考えられますので、この条文は特にこれを改正するまでもなく、現行のまま残しておいても差しつかえない、こういうふうに考えております。
  63. 林虎雄

    ○林虎雄君 災害のときには「指示をすることができる。」こうなっておりますが、おそらくこの今度の改正案における、知事の求めによって消防庁長官が必要と認める場合には応援を求めるわけですが、これは同じ内容じゃないかと思うのですね。おそらく非常事態で、指示するということで、表現を同じにしても、自治権に対していろいろ御配慮になったようですけれども、最初の組織法では「指示」になっておるし、これが「求める」、どこかここにしっくりしない点があるような感じでありますが、これは何でありますか、たとえば災害地の府県知事から、消防庁長官が、求めによって他の府県に対して応援を求めると、つまり国の判断によって消防の出動を促すということになるわけですから、その費用は国で負担すべきもののような気がいたしますけれども、指示ならば命令的に強いから、国は負担するが、求めるから自主的だから負担しないというふうに、国の負担しない一つの言いのがれのような気がいたすわけですが、このいまのようなここにある表現ですね、災害地の知事から長官に対して要請があって、そうして特に必要と認めた長官は他の府県知事に対して応援を求める、この場合には、いま申し上げたように国の意思、判断によって出動させるわけでありますから、この費用の点については、国は考えていいような気がしますが、この点どのようなお考えですか。
  64. 松村清之

    政府委員(松村清之君) この消防についての費用負担は、現行消防組織法にも明記してございますように、市町村がこれを負担するのが原則でございます。したがいまして、このような応援を国が求めて、それによって応援に出たその費用についても、原則としては応援を受けた市町村負担であると考えるのでございます。もちろんこの応援によって生じた費用というものは、きわめて内容がむずかしゅうございますが、直接その応援を原因として生じた費用、たとえば派遣した職員の旅費とか宿泊費、これは当然応援を受けたところの負担であると思います。けれどもその職員の俸給というようなものにつきましては、これはその人の身分の属している市町村負担であるというふうに考えられます。しかし、いずれにいたしましても、この応援を受けたその費用の負担というものは、これはお互いの協議によってきめるというのが原則になっております。したがいましてその協議によりましてどの程度どちらが負担するということがきけるわけですが、その考え方としては、特殊な事情がなければ、私がいま申しましたようなことになると思います。しかし、個々基本的にはいろいろ県の間、市町村相互間には、平素からいろいろな特殊な関係がございますので、これはその個々の協議によっていかようにもきめてしかるべきだと思います。これが私は原則的な考え方だと思いますが、ただ、災害が非常に大きくて応援の費用というものが非常にかかった、まあその応援の費用というものを応援を受けた市町村がこれを全部負担するということが不適当だ、あるいは実際も負担し切れない、こういう状態でありました場合には、私は、この応援を受けた市町村負担すべき費用につきまして、県が補助するとか、あるいは国が補助する、こういうことが考えられると思います。
  65. 林虎雄

    ○林虎雄君 いまの点ですね、市町村、当然出動した人の給与とかそういうものは予算にあるわけですが、そのほかの費用、まあ応援を受けた地方において負担するものもありましょうし、負担し切れないものもあろうと思います。それがまた市町村ではそうした応援をしたための予算以外の負担ですね、そういうものに対して、国が見る、県が見る、どちらでもいいですけれども、この点を明らかにしておく必要かないかどうか。災害対策基本法では、市町村の費用を負担させることが困難な場合には国または府県が費用の全部または一部を負担する、そういう規定があるのでありますが、こういう規定を今回の改正のきにも同じように明らかにする必要があるような気がしますが、この点どうですか。
  66. 松村清之

    政府委員(松村清之君) ただいま申しましたように、応援を受けました市町村が当該経費負担することが困難だ、不適当だというときには、これに対して国が何ぶんの補助をするということは、私必要だろうと思います。ただ近年、政府方針といたしまして、この補助というものについては法令に根拠を設けない予算措置としてやる、こういう方針でございますので、この補助も幾ら補助するという具体的なものなら別でございますが、ここで出てきますように予測のつかないような、ただ補助をすることができるというようなことは、法令の上で規定しないという方針でございますので、今回の改正案には、これを取り上げることができなかったのでございます。
  67. 林虎雄

    ○林虎雄君 だいぶいろいろ質問いたして何ですが、市町村の消防の拡充強化については、消防庁も常に努力をされておると思いますが、御承知のように市町村財政は最近一そう困難な状態になっておるように見受けられますし、消防の施設とか、消防の任務の重要でありますことは、最近の火災事例あるいは災害の事例等から、ますます重要でもありますので、さらに消防庁はがんばっていただいて、もっと国が補助、設備近代化の関係あるいは前に申し上げました常備消防といいますか、専門職の消防の強化という点に、もっと力を入れていただきたい、これは希望としてつけ加えまして、質問を終わります。
  68. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本案についての本日の審査はこの程度にいたしまして、次回は三月二十三日火曜日午前十時に開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会      —————・—————