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1965-03-04 第48回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月四日(木曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員異動  三月三日     辞任         補欠選任      和田 鶴一君     沢田 一精君  三月四日     辞任         補欠選任      沢田 一精君     和田 鶴一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 西郷吉之助君                 竹中 恒夫君                 林  虎雄君     委 員                 井川 伊平君                大野木秀次郎君                 小林 武治君                 斎藤  昇君                 和田 鶴一君                 松本 賢一君                 基  政七君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  吉武 恵市君    政府委員        自治省行政局長  佐久間 彊君        消防庁長官    松村 清之君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○市町村合併特例に関する法律案内閣提  出)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。三月三日付で和田鶴一君が辞任され、沢田一精君が選任され、また、本日付で沢田一精君が辞任され、和田鶴一君が選任されました。     —————————————
  3. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案議題といたします。提案理由の説明を願います。吉武自治大臣
  4. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 今回提案いたしました消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容概要を御説明申し上げます。  火災をはじめ各種災害は、依然増加の一途をたどり、しかも昨年来相次いで起こった危険物施設の大事故の例が示すように、その態様はきわめて複雑、かつ、大規模の様相を呈しております。そのため、多くの痛ましい犠牲者を出し、ばく大な国富が灰じんに帰しており、国民に大きな不安を与えておりますことは、まことに遺憾であります。  よって、消防法及び消防組織法について、これを最近の事態に即応さすべく必要な改正案提出した次第であります。  以下この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  まず、消防法についてでありますが、第一は、危険物の規制を強化すべく各種措置を講ずることといたしたことであります。  言うまでもなく、石油類に代表されるいわゆる危険物は、それ自体引火性発火性を具有しているものであり、一たび火災に見舞われた場合、延焼速度が早いため、その消火方法が著しく困難で多大の損害を生ずる危険なものであります。  この取り締まりは、早くから消防法令に基づき消防機関によって行なわれてまいったのでありますが、なお一そう適正かつ効果的な取り締まり行政の遂行を期するため、次のような改正を行なうことといたしました。  すなわち、一定危険物施設には、施設保安員を置かせ、施設に対する保安業務をさせること、また、一定危険物施設には火災の危険を排除すべく予防規程の作成を義務づけること、一定規模以上の危険物施設所有者等には公設消防機関消火活動を始めるまでの間のいわゆる初期消火に当たるため、自衛消防組織を置かせること、きわめて火災危険度の大きい違法な貯蔵施設または取り扱い施設に対して市町村長等危険排除命令を出すことができるものとすること、その他、危険物の製造、貯蔵及び取り扱い等基準及び取り締まり合理化をはかるための規定整備を行なうことといたしたことであります。  第二に、初期消火安全避難等に多大な効果を有しているいわゆる消防用設備等の設置の工事及び整備業務の多くが、きわめて粗雑あるいは不適切に行なわれております現状にかんがみ、新たに一定の知識及び技能を有する者をして担当させるべく消防設備士制度を設けたことであります。これにより、消防用設備等の本来の効果の発揮がより確実に期待できるものと考えられます。  第三に、消防法違反に対する罰金刑でありますが、本法は、その制定以来すでに十七年の年月を経過し、罰金の額が他の類似の法令のそれに比較して低額でありますので、この不つり合いを是正し、現状に相応した額に引き上げることといたしております。  その他、屋外の火遊び等に対する消防長等命令制度の拡充、消防庁長官火災原因調査権法定等、一連の規定整備をはかることといたしております。  次に、消防組織法改正についてであります。  第一は、地震、台風、水火災等非常事態の場合に、これらの災害の発生した都道府県内の消防力をもってしてはこれに対処できない等の特別の事情がある場合においては、当該都道府県知事の要請により、消防庁長官は、他の都道府県知事に対し、災害発生市町村消防応援のため必要な措置を講ずることを求め狩るものとし、応援のため出動した市町村消防機関職員に対する指揮系列を明確にすることにより、消防応援体制の確立を期することといたしました。  第二に、いわゆる広域消防推進の一環として、市町村相互間の広域にわたる相互応援の合理的な促進をはかり、並びに、最近重要性を加えつつある救急業務、特に今後増加を予想される高速道路における救急業務の円滑なる推進をはかるため、都道府県所掌事務に所要の改正を加えることといたしました。  その他、消防職員及び団員の資質の向上のための教育訓練に関する規定を加える等規定整備を行なうことといたしました。  以上が、この法律案提出いたしました理由内容概要であります。  何にとぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  5. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本案についての質疑は後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  6. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 次に、市町村合併特例に関する法律案議題といたします。御質疑の方は順次御発言願います。
  7. 林虎雄

    林虎雄君 二日の火曜日、加瀬委員の質問のときに、「市町村合併成果」というのが自治省から出されておりますが、それに関連して、成果ですからプラス面でありますが、マイナス面についてありはしないかということで意見が出たように記憶しておりますけれどもマイナス面についての資料提出を要求してあるような記憶ですが、どうなっておりますか。
  8. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) マイナス面でございますが、確かにプラス面と同時に反面マイナスの現象も一部にあるわけでございますが、しかし全体といたしましては、この前申し上げましたような成果が一般的には見られておるというふうに考えております。  なおマイナス一つの面といたしましては、合併に伴いまする若干の紛争がございまするが、前回御報告申し上げましたように、これも大体解決を見つつあるわけでございます。その他の点につきましてマイナスの面についての調査でございますが、私ども格別マイナスの面に着目をいたしまして取りまとめました資料も手元にございませんので、今後御指摘がございましたような点につきましては、十分留意をしながら指導をしてまいりたい。また、その過程におきまして、もしまたマイナスの面についてある程度取りまとめたものができますれば、そのとき御提出をしてまた御批判を仰ぐようにさしていただきたいと、かように存じております。
  9. 林虎雄

    林虎雄君 次にお聞きしたいのは、これはちょっと期限切れになっておる問題でありますけれども市町村育成という面におきまして関連があるのでちょっとお聞きしたいと思いますが、これは国有林野払い下げの、売り渡しといいますか、その状況について少しお聞きいたしたいと思いますが、これはたしか新市町村建設促進法の中にうたわれておったのでありまして、町村合併一つの魅力であったところの国有林野払い下げについては、当該町村申請に対して実際の売り払い、払い下げの分量というものが僅少過ぎるではないかというふうに思いますが、その状況を承りたいと思います。
  10. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 林野庁調べによりますと、昭和三十九年の六月一日現在におきまして、要望のございました市町村数が五百四十三、要望面積が十七万六千二百七十四町歩でございます。払い下げられました件数が五百三十六件でございまして、面積にいたしまして三万九千二百九十三町歩でございます。なお、この要望と申しましたのは、実はあらかじめ陳情等の形で要望がまいりまして、それらの中で内々検討をされました結果、これは、まあ申請すれば可能性があるというものだけが正式の申請になって出てまいりますので、申請されましたものに対しましては、ほとんど全部が払い下げられておるわけでいございまして、そこで、申請というものを取りませんで、要望のありました数字を取って申し上げたわけでございます。
  11. 林虎雄

    林虎雄君 申請のあった面積に対してはおおむね満たされておるというようなお答えでありますけれども、実際は話し合いの結果、やむなく手続を取っただけであって、実際の要望とはかなり開きがありまして不満がある。地元市町村は、どうも予定が、あてがはずれたというような傾向をよく聞くわけでありますが、いまお話のように正式な手続をして、ほぼ満たされたということになれば一応の解決のような気がいたしますけれども、いまの数字からいきましても、要望陳情等に対しての二〇%か二二、三%くらいになると思いますけれども、実際はかなり地元には不満があるということもちょいちょい聞いているわけでございますけれども、これは最初自治省のほうでは努力をして要望を満たすようにされたと思いますけれども、新市町村建設促進法を出すときに、国有林野払い下げについて、その方針見解等自治省林野庁との間に食い違いがあったのではないかというふうに印象づけられるわけでございますが、その点、当初自治省林野庁との折衝が不十分であったのではないかと思いますが、その点いかがですか。
  12. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 自治省といたしましては、新市町村建設のために、なるべく国有林野払い下げてほしいということを強く当時折衝いたしたのでございます。で、条文といたしましては、御承知のように「国土保安上及び国有林野経営上必要なものを除くほか、」ということにいたしておりますが、それはどういうものを国土保安上及び国有林野経営上必要なものとして除くかという詮議の具体的な基準と申しますか、そういうことにつきましては、当時いろいろと折衝があったようでございます。卒直に申しまして、自治省が当初希望をいたしておりました線よりは多少厳格な基準になったと思うのでございますが、その払い下げ基準そのものにつきまして、林野庁自治省の間で最終的には意見の一致を見たというふうに記憶いたしております。
  13. 林虎雄

    林虎雄君 その法律は時限になっておりまして、三十一年に制定されてから満五カ年ですか、したがって現在ではそれを適用するわけにいかないと思いますが、今度の特例に関する法律案の中にそれが削除されておりますが、もうすでに必要がないというふうに認められて削除したわけでございますか、その点についてお伺いいたします。
  14. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この点につきましては、今回の法律案が、前回も申し上げましたように、積極的に町村合併促進をしていこうということではございませんで、自主的に合併したいという関係市町村が、合併をやりやすいようにしてやろうという趣旨でございまするので、かつての町村合併促進法あるいは新市町村建設促進法規定されおりましたものの中でも、合併を積極的に促進をする、奨励をするという色彩の強い規定は、今回は落とすことにいたしております。  なお、同様な趣旨は、今回の法律のいわば前身ともいうべき町村合併特例法におきましても同様な趣旨で、すでに国有林野林野法特例規定は落としておりましたので、今回はそのたてまえを踏襲をいたしたわけでございます。しかし、まあ私どもといたしましては、国有林野払い下げが新市町村建設に寄与する点が相当大きいというふうに考えておりまするので、法律には規定は落としましたけれども、今後話し合いで、引き続きそういうことについては努力はしてまいりたい、かように考えております。
  15. 林虎雄

    林虎雄君 今度の法律は、積極的に合併を慫慂するという意味を持ってないから、こういう恩典的なものは載せなかったというこのことはよくわかりますけれども、ただ、合併した市町村として、国有林払い下げというものは、依然として当該住民の経済あるいは市町村財政という面から見て、非常に大きなウエートを占めておると思うわけでありまして、特に払い下げを希望するような市町村は、おおむねは貧弱市町村であるというふうに考えられますので、たとえばこれは雑誌だか新聞だかで見たのですが、例の青森県のむつ市ですか、あそこでむつ製鉄というのが発足ができなくなったということで、だいぶ政治問題化しておるようでありますけれども、あのむつ市というのは村の農家の軒下まで国有林野であるというようなことで、それすら手がつかないで、経済的にも財政的にも、どうにも行き詰まっておるというような事例もあるようでありますから、これは林野庁としては、行政的な手続でいつも払い下げはできると思いますけれども自治省としては、おおむね貧弱市町村はそういうことを希望し、切望しておりますので、いまの市町村財政現状御存じのとおりでありますから、育成意味において、林野庁に対して適切な連絡といいますか、そういうことをとって、要望を満たすように御努力をお願いいたしたいと思います。  次に承りたいことは、最初に伺った合併マイナス面についてでありますが、特に若干の紛争があったが大体解決したということで、けっこうだと思いますけれども、県を越える、県境をまたがるいわゆる越県合併について、いままでの状況と今後の方針について承りたいと存じます。二日の委員会において、局長さんからお話があったと思いますが、岡山県と兵庫県の境の、あれは兵庫県の赤穂市ですか、赤穂日生町というのが吸収合併ですか、合併されたと記憶しておりますが、これもだいぶ紛糾したようでありまして、委員会でもちょっと問題になったことがありますけれども、一応日生町の合併解決したと。しかし、その解決のしかたも、従来の日生町の区域であった瀬戸内海の島を岡山県に残す等の、かなり政治的な配慮によって解決をしたようでありますが、一応解決したけれど、これは今後問題の残るようなおそれはないかどうか、お聞きしたいと思います。
  16. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 日生町の福浦部落兵庫赤穂市へ分離いたしまして合併をしたわけでございますが、この問題の解決処理にあたりましては、自治省といたしましても長年にわたって双方の主張もよく聴取もいたし、また、それに関連する諸問題につきましても検討をいたしまして、大体現地の機の熟すると申しますか、そういう時期を見まして自治省が積極的に関係団体に呼びかけまして、解決の運びにいたしたわけでございます。したがいまして、今後これに関連をいたしまして、なお紛争が起こるというようなおそれはないものと考えております。一番最後の段階で、関係住民、あるいは団体との間で問題になりましたのは、漁業権処置の問題でございまするが、これにつきましては水産庁、また両県の水産部局とも緊密な連絡もとりながら、関係漁民事情も、ときには大臣みずからよく聴取もされまして、両方がまあまあ満足をするという妥協案もとにいたしまして処理をいたしており、なおその後につきましても、自治省といたしまして関心を持ちながら、水産庁とも連絡をとってまいっておりましたので、現在におきまして、その問題につきましても何ら問題も起こっていないように存じております。その他の問題につきましては、すでにそこに至ります過程におきまして、十分関係者とも事実上了解し合った上で処置をいたしましたので、その点についても今後問題の起こることはないものというふうに私どもとしては判断をいたしております。
  17. 林虎雄

    林虎雄君 次に、同じ越県合併でございますが、昭和三十三年に岐阜県と長野県の県界にあります西筑摩郡の神坂村という村の一部が岐阜県の中津川市へ越県合併をしたのでありますが、その後今日に至るまで、越県合併をしたことに端を発しまして、村の中が紛糾をしてもうすでに六年、七年になりますか、七年間の間紛糾をして、まだ収拾のつかないように思っておりますが、自治省のほうではこの紛糾解決に対しまして、どのような考え方を持って臨まれるか承りたいと思います。なお、これは長野県知事岐阜県知事自治省大臣、当時は自治庁でしたが、大臣との間でいろいろ検討いたしまして、昭和三十三年に神坂村の一部の湯舟沢という部落中津川市に合併をさせ、それから残った三部落、荒町、峠、馬籠馬籠島崎藤村で有名な部落でありますけれども、これが残りましたので、それを山口村という隣接の村に合併をさせたわけであります。ところが、長野県知事境界をいろいろな角度から検討しまして、境界を定めて告示をしたのでありますけれども、それに対しまして、神坂村の村会が議決をした境界と若干食い違いがあるということで、いわゆる二重行政地域ができたわけでありまして、それをめぐって両者が自分のものだという争いを繰り返して、その当該二重地帯に住んでおる人たちは、あるいは中津川派あり、あるいは長野県派ありということで反目対立兄弟牆鬩ぐという状況を呈しておることは御存じだと思いますけれども、この地域は、長野県知事としては、その地域山林あるいは神社あるいはお寺というような、そういう関係も十分考慮しまして、一応この線を引いたのを、それをさらに中津川のほうでは無視して、境界村会で、当時の神坂村会できめてしまったということに問題があるわけでありますが、この長野県知事告示に対しまして、自治大臣確認——何といいますか知りませんけれども確認をしないで、まだあいまいな態度でいることが、今日まで紛糾をしておる、解決のできない一つ原因となっておると思うわけでありますが、この点いかがですか、実情は。
  18. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 山口村と中津川市との境界の問題につきましては、お話のとおりに、当時法律手続といたしましては、踏むべきものを踏んで解決をいたしたわけでございますが、潜在的に関係住民の間におきまして、なお紛争が続いておるという実情でございまして、その点につきましては、私どももたいへん遺憾に存じておる次第でございます。その後の最近の情勢を聞いてみますというと、関係住民の間におきましても、だいぶ融和空気が出てきたように聞いております。まあ私どもといたしましては、そうした空気が高まってまいりまして、そうしてその住民の動向をもとにいたしまして、関係地方公共団体が大局的な見地に立って問題の解決促進していただくということを要望いたしておるわけでございます。御指摘の二重行政地区があるということ、これはまことに困ったことでございまするが、この点は合併問題とは切り離して、とにかく何とか早急に決着をつけたいというふうに考えておりまして、従来からその点につきまして関係当局の者も呼んで話し合いも促してまいったのでございますが、最近におきましても両県当局に対して、その境界問題に対する県当局見解をあらためて自治省のほうに回答をしていただいて、それをもと話し合いをひとつ促進するように私ども努力をしてみたいということで、ただいまやっておる状況でございます。
  19. 林虎雄

    林虎雄君 いまお答えになったように、最近の状況は、こんなことをいつまでも繰り返していてはいけない、お互いの不幸だという良識派がだいぶ力を持ってまいりまして、融和の方向に動いていることは事実のようであります。いままでは当該地域の人は選挙権を棄権をしてしまう、あるいは納税を意識的に滞納しておるというような、非常に法治国家として認められないような状況だったのでありますが、最近はだいぶその点も緩和をしてきたようでありますけれども、しかし、依然として二重地帯というものに対しましては、それぞれの希望的な観測を持っておるために、これははっきり自治省が腹をきめてもらわなければ解決ができないのではないか。前にも申し上げますように、二重行政地帯は、お調べになっていただいたと思いますけれども、個人の土地所有状況であるとか、あるいは人と所有地がほとんど一〇〇%この旧三部落にまとまっておるわけであります。そしてまた水利権地形上等の状態も、合理的に長野県に残った三部落に所属するのが適当であるというふうに見られておるわけでありまして、中津川合併した部落の耕地は入作はほとんど皆無でありまして、山林が二町歩くらいその中に食い込んでおるというだけでありますから、地形上から見ても、先ほど申上しげた神社とかお寺とかというものから見ても、農業経営の上から見ても、だれが見てもこれは旧三部落の、つまり現在の山口村の地域であると見て差しつかえがないと思って、そういう点を十分に検討した上で長野県知事告示をしたと思うわけでありますけれども、二重地帯確認といいますか、二重地帯を、県境はここであるということに長野県知事告示がありますけれども、これを自治省に認めてもらえばおのずから解決するということになるわけです。これを依然として残されて、いまに、まあだいぶ緩和してきたから自然にそれも解決するだろうというような見方は、これはどうもかなり甘い見方ではないかというふうに思います。ということは、これは地元の諸君でなければ真相はわかりませんけれども、いま申し上げたように、三部落に密接に関係のある地域が二重地帯となっておる、これをもし中津川のほうへ、つまり岐阜県の地域として認められるようなことになれば、三部落住民の手足を奪われ、営農もできないし、お寺神社関係も変なかっこうになってしまうということで、経済的にも社会的にも山口村に残っておることが非常に困難になってくる。そうなると、勢い再び越県合併というような問題が起こる可能性といいますか、危険性があるわけです。そうなりますと、越県合併という問題は非常にむずかしい問題でありまして、あのような騒ぎになった、再びこれが繰り返されるということになりますと、これは長野県と岐阜県だけの問題でなくして、これは政治的にも非常に大きな問題になるわけで、おそらくこれは紛糾するだけで解決のできない問題に発展するのではなかろうか。三部落はその自分の営農する土地、いろいろな歴史的な関係、伝統的な関係というようなものを奪われると、非常な窮地におちいるということにならざるを得ないと思いますが、まあそれを地元の三部落見方としては、そういうようにわれわれを窮地におとしいれて、そうして中津川との合併をしていくような政治的配慮がこの中に含まれておるというような見方すらしておるわけです。真偽のほどは私知りませんけれども、いわば政治的謀略で一角を——外堀りを埋めて内堀りをというその考え方が、この境界線に非常に不合理な境界線中津川合併派がしたということになっておるようでありまして、これを自治省が断を下していただけば、いろいろな角度から見て、これは長野県知事告示した境界線が合理的であるというふうに認めてもらえば、さらに緩和しつつある空気は一挙に解決してしまう、最終的な終止符を打つことができると私は見ておるわけでありますが、まあ自治省としても、長野県側だけでなくて岐阜県側の主張もあるでありましょうから、いろいろやりにくい点はあろうと思いますが、大局的な立場に立って断を下していただく時期がきておるのではないか。情勢も、一般の空気も緩和しておりますから、この際、はっきりと最後の結論を出していただくことは、これは自治省の責任ではなかろうかと思うのでありますが、この境界に対する見解、それからこれに対する決断をしていただく時期等についての考え方、見通し等について承りたいと思います。
  20. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 境界の問題がもつれておりますのは、御説のように境界の問題を合併の問題とからめて考えておるという向きが一部にあることにも基因をいたしていると思います。合併の問題につきましては、法律手続上は、先ほども申し上げましたように、すでに解決を見ているわけでございますから、その合併を、さらに区域を変更しようということになりまするならば、これは関係地方公共団体の合意が必要になるわけでございます。そこで、それにつきましては、関係地方公共団体の御努力を期待をいたしておるわけでございまするが、境界の問題は、それとは直接関係がない、先生のお話のように、前の合併の処分のときの問題で関係団体間に争論のある問題でございます。私ども合併そのものの問題と境界確認の問題とは、これはやはり一応切り離して考えていくべきではないかというような考え方を、関係団体にも申しているわけでございます。で、この境界の問題の解決につきましては自治省法律的に決断を下すというようなことをいたしますためには、地方自治法の九条の規定によりまして、関係都道府県知事関係市町村申請に基づきまして所要の手続をとっていただく、こういうことになるわけでございますが、現在まだそういう段階にはなっておりませんが、事実上私どものほうから、この境界線の問題については、解決話し合いによってつけ得るものなら早くつけてもらいたい、どうしてもつかぬものなら、この自治法の手続によって解決をするようにしてもらったらどうであろうかというような相談をかけている投降でございます。いずれにいたしましても、お説のようになるべく早く円満に決着をつけるべきものと考えておりますので、さらに努力をいたしたいと思います。
  21. 林虎雄

    林虎雄君 境界の問題と合併とは切り離して考えるべきだというふうにおっしゃるわけですが、私申し上げたように、境界合併との問題は、非常に次のステップとしての要素を含んでいるように思われるので、これは同時に考えなければ解決ができないのではなかろうかと思います。いま局長さんの言われたように、一応合併解決した、したがって今後合併ということになると、当該関係市町村の議決が必要である、でありますから長野県へ残った三部落が、いま山口村へ編入されております。山口村の村会議員のうちで、たしかあれは十六人ですか十五人ですか、そのうち四人ですかが旧三部落から出ているわけでありますけれども、そうなりますと、山口村の議決というものは、おそらく合併賛成ということには——三つの部落を切り離して再び岐阜県側につけるという議決は不可能であろうというふうには推定されるわけですが、その場合、かりに境界線中津川の主張するような線にいった場合は、三部落というものは、山口村の村会の議決がないので行くわけにはいかない、しかし自分の持っている耕地関係のいろいろの施設、そういうものが中津川——他の県に移ってしまうということになりますと、三部落というものの立場は全く無視されてしまい、どうにもならないというジレンマに立つわけですが、これは気の毒だと思う。三部落住民というものは立場が全くなくなってしまうわけです。ですからそうなりますと、生活すらも脅かされるということになるおそれが、境界線の決定によって出てくるというふうに思うわけです。ですから非常にデリケートな問題で、すでに局長さんは政治的ないろいろな動きについても御承知、だと思いますけれども、これは政治的とかなんとかということでなくして、やはり残された三部落住民の生活、経済というものにまず重点を置いていただいて、その上ですべての——すべてのといっても現在では境界だけが残されておりますが、それに対して断を下していただくことが一番適切ではなかろうかと思うわけですが、どうですか、これ。
  22. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘になりましたような実情もよく検討をいたしまして、関係の県とも連絡をとりながら、解決に向って努力をいたしたいと思います。
  23. 林虎雄

    林虎雄君 まあ内容は、局長さんよく御承知だと思いますから、あまりくどくど申し上げませんけれども、以上町村合併マイナス面といいますか、いま特に深刻な事例を申し上げたわけでありますけれども、そのほかに兵庫県と岡山県、まあ長野県と岐阜県との越県合併がかなり紛糾して、一応の解決を見たわけですが、残された問題が長野県と岐阜県にあるということですが、そのほかの地方においての越県合併などはどのくらいあったわけですか。そしてまた同時に、その紛糾等がその場合にあったかどうかということをお聞きしたいのですが。
  24. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 越県合併にまつわります紛争といたしまして私どものほうに持ち込まれましたものは、先ほど申しました岡山県、兵庫県の間の福浦地区の問題、それからただいまお話のありました岐阜県、長野県の問題、それからいま一つは、栃木県と茨城県との境界にまたがる栃木県桑絹村と茨城県結城市との間の紛争でございまして、これも岡山兵庫紛争と並んで最後まで未解決になっておったものでございますが、これにつきましては、この現地の住民の間の動きがだんだんと変わってまいりまして、昭和三十七年になりまするというと、関係地区の住民の間で、もう分離運動を打ち切ってしまいたいという空気が多数になりまして、一部分が最後まで分離をしたいという情勢になったのでございますが、そういう情勢になりましてから、関係の県から、自治省にあっせんに乗り出してほしいという要請がございまして、まあ私どもも、自治省が入って解決すべき時期に達したものと判断をいたしまして、関係者に自治大臣もとに集まっていただきまして、そこで話し合いをいたしました結果、これは現状維持ということで円満に解決をいたしました。その後何も紛争も起きていません。大体この最後と申しますか、最近まで問題として残っておりました越県合併は以上でございます。
  25. 林虎雄

    林虎雄君 越県合併というようなケースは、数は少ないと思いますが、まあ大体一つの県内における合併というものは、多少の住民感情、対立感情というようなものがあっても、時期がたてばおのずからその感情等も解消されてくると思いますけれども、越県合併、特に村が二つに分かれて越県合併したというようなことについては、だいぶ将来禍根を残すおそれがあるような気がいたします。一応市町村の理事者や議会が議決をした場合には、それを尊重することは、これはまあ議論の余地はないのでありますけれども、しかし、そこまでに至る、その背後のいろんな政治的な理由があって、そうして住民が賛成なら賛成、反対なら反対というように、はっきりと世論が成熟しないうちに、一応機関の議決であるからといって、それをそのままうのみにして、自治省がこれをきめてしまったというようなところに問題があり、一方、地方の議会側は多数決であるからというようなことで、軽々しく合併を取り扱うところに今日の紛争原因があるような気がいたすわけであります。自治省としては、こういう点は、まあすでに過去においても十分に調査され、慎重な態度で臨んだと思いますけれども、なおかついま申し上げたような問題が残っていることを、ひとつ十分に御考慮をいただきまして、今後このようなことのないように、努力をお願いいたしたいと思います。特に越県合併の場合には、そういうことが言えると思われるわけであります。  そこで最後に、今度の法律案によりまして、合併というものを積極的に慫慂しないにしても、相当この法律によって促進される合併市町村があろうと思いますが、そのいま予想されますそうした地域における越県合併というようなケースが、いま考えられて、あるでしょうか、どうでしょうか。これからの合併についてそういう問題が起こりそうなところがあるかどうか、ちょっとお聞きしたい。
  26. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 現在私どもが聞いておりますところでは、県境を越えて合併の動きのございますところはございません。
  27. 林虎雄

    林虎雄君 越県合併のところがなければ、問題もまあ少ないと思いますけれども、しかし、将来もそういう問題が絶無だとは——その社会、経済情勢の変化によりましては、そういうときもくると思いますが、そういう場合に、十分にひとつ慎重を期していただきたいとともに、長野県と岐阜県にまつわるあの紛争については、くどくど申し上げるようでありますけれども、だいぶその情勢も緩和してきておりますので、この問題、自治省は積極的に、早急に解決のできるよう御努力をお願いいたしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  28. 松本賢一

    ○松本賢一君 少しお聞きしたいと思いますが、いま林さんからの質問の中に、越県合併というようなことがあったのですが、こういうことが新産都とか、あるいは工特法とかいったようなことによって生じてくることもあろうかと思うのですが、それはそれとしまして、新産都あるいは工特法といったようなことで、現在もうすでに合併の機運が醸成されつつあるというようなところを、実例を御存じでしたら二、三教えていただきたいと思います。
  29. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 新産業都市に指定されました区域内で、現在動きが相当活発になっておりますと見られますところは、一つは、郡山を中心といたしましたところでございます。これはすでに関係市町村で議決も了しております。知事の処分も終わっております。それからいま一つは、仙台と塩釜の地区でございます。これはまだそこまでの運びには至っておりませんけれども関係市町村の間でかなり活発な動きがあるようでございます。それからいま一つは、常磐地区でございますが、これも相当動きが出てきておるようでございます。
  30. 松本賢一

    ○松本賢一君 規模はどのくらいですか、いまの実例は。概略でいいです。
  31. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 郡山を中心といたしますところは一市十町村でございます。人口が約二十万、面積が六百四十七平方キロメートル。それから常磐地区は、実はどの範囲のものが合併いたしますか、常磐五市ということになりますが、そのほかの近辺の町村もある程度入りますか、その辺もまだはっきりいたしておりませんのでございます。大体、いわゆる常磐五市を中心といたしましたものでございます。
  32. 松本賢一

    ○松本賢一君 どのくらいになりますか、常磐の人口は。
  33. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 人口が約三十万くらいかと思います。
  34. 松本賢一

    ○松本賢一君 合わせて……。
  35. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) はい。それから仙台、塩釜は二市五町でございます。人口は大体六十万かと思います。
  36. 松本賢一

    ○松本賢一君 いま一つは非常に決定的なものらしいし、あと非常に具体的なものになってきているようですが、そのほか各地にそれぞれ機運があるわけですか。
  37. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 話題が出ておりますところは、ただいま富山、高岡地区でございますとか、あるいは東駿河湾地区でございますとか聞いておりますが、いずれもまだそう固まりつつあるところまではいっていないように存じます。
  38. 松本賢一

    ○松本賢一君 せんだっての委員会のときに人口五万という問題がいろいろ論議されたわけですが、いま実例として教わったのは、もうみな非常に大きな規模だから問題はないのですけれども、五万未満のような規模で、そういうふうな動きというようなものがこの新産都と工特の関係にはないのですか。
  39. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 新産都市や工特の地域関係では聞いておりません。
  40. 松本賢一

    ○松本賢一君 実はそれと関係ないと思いますけれども、この前も話が出ていたような、かつて盛んに合併されたときに、合併されないでそのまま残って、現在合併の機運が出てきておるというようなところが和歌山県にあるということを聞いておるわけですが、御存じですか。
  41. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 聞いております。
  42. 松本賢一

    ○松本賢一君 それはどういうものなんでしょうか。
  43. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 串本、古座、古座川の三町村合併でございます。
  44. 松本賢一

    ○松本賢一君 それでどのくらい人口はあるのですか。
  45. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 四万少しでございます。
  46. 松本賢一

    ○松本賢一君 ほかには全国的にそういったような例はございますか。
  47. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先日、本委員会でどなたかのおことばの中に、知事会が調べたところが十幾つか希望のところがある、こういうお話でございましたが、私どもその後その十数ヵ所についてさらに県のほうに確かめてみましたところ、いずれも、いまお話のものを除きましては、まだそれほどの合併の動きもない、まあ考えるとすればそんなところが考えられるかなという程度のものが大部分のようでございます。
  48. 松本賢一

    ○松本賢一君 それから、このちょうだいした資料の十一ページですね、「地方自治法の一部を改正する法律昭和二十九年法律第百九十三号)」というのがあるのですが、これは法律案の要綱というものですか、要綱の第十一ページ、前ページのアイウときたウです。これに、「附則第二項第二号に定める市の人口要件の特例措置昭和四十一年三月三十一日までの期限を付すること」ということがあるのですよ。これの意味は、合併促進法による合併がまだなされていなくて、早く合併してもらいたいといったような県側の要請とかなんとかいうようなものがあって、そういうものでまだ残ったものがあるというものの取り扱いで、それは人口三万以上でいいといったような、そういうことを意味するのだろうと思うのですけれども、そういう意味なんですか、これは。
  49. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは昭和二十九年に地方自治法を改正いたしまして、市の人口要件を三万から五万に引き上げたわけでございますが、そのとき現在、すでに知事が全県的に定めました合併計画の中で、合併をして市にしようという計画のものがございました。そういうものにつきましては、なお人口三万でも差しつかえないと、そういうことにするための規定であったわけでございます。で、それに該当いたしますところで、その後市になりましたところが十五ございますが、現在ではそれに該当いたしますところで、市になる動きのございますのは一カ所だけございます。
  50. 松本賢一

    ○松本賢一君 一カ所だけ残っておるわけですか。
  51. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) はあ。したがってその一カ所も、もう間もなく合併ができるようなふうに承知をいたしております。
  52. 松本賢一

    ○松本賢一君 どこですか。
  53. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは北海道の富良野でございます。富良野と山部町というのとの合併でございます。これも機運が進んでおりますので、それをやりますると、もうこの規定の対象になるところはなくなってしまうということなんで、明年の三月三十一日限りでこの規定を廃止をしよう、こういう趣旨でございます。
  54. 松本賢一

    ○松本賢一君 これは規模はどのくらいですか。人口どのくらいなんですか。
  55. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 三万六千余りでございます。
  56. 林虎雄

    林虎雄君 関連して。いまの昭和二十九年の自治法の改正で三万を五万に、そうして知事から定められたものに該当するものが四十一年三月三十一日まで、来年の三月三十一日まであるわけですが、これはなんですか、いまお話しになったように、知事が定めたものに該当するものはもう一カ所だけで、あとはこういう来年の三月三十一日までの期限があっても、自余のものは、新市町村合併特例に関する法律で五万ということで取り扱っていくわけですか。それとも三月三十一日までは、まあ三万あるいは五万以内でも認める余地のあるものがあるかどうか、その点はどうですか。
  57. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この昭和二十九年は、御承知のようにちょうど町村合併促進法もとで、全国的に合併を計画的に進めておる時期でございました。そこで昭和二十九年当時には全県的な町村合併計画というものを各県ともつくっておりまして、その中で合併をして市になろうという計画で、もう三万でそういう計画で期待をしておったものがあるわけでございますから、これをこの附則でもって救っておったわけでございます。現在それに該当するところで動きのありますものは、先ほど申し上げました北海道の富良野でございまして、それ以外のところは、この規定の適用を受けるもので市になり得るものは、全部なってしまっておるという状況でございます。したがいまして、この規定に該当をいたさないものにつきましては、人口五万なければ市の人口要件は満たさない、こういう考え方をいたしておるわけでございます。
  58. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、いまの和歌山県の場合なんかは、これに該当しないわけですな。
  59. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  60. 松本賢一

    ○松本賢一君 それじゃその問題それで……。もう一つ聞いておきたいことがありますから……。  合併によって職員の身分取り扱いという条項があって、それによって職員は新市町村職員になるということになるわけですが、この給与には、それぞれ差額があるわけですね。特に小さい町村の場合は、国家公務員よりも低いという場合が多い。しかもこれは市に合併されたりしたような場合には、市のほうは非常に高いというようなことがあって、直ちにそれが問題になってくるわけなんですが、これは第六条の2に、「合併市町村は、職員の任免、給与その他の身分取扱いに関しては、職員のすべてに通じて公正に処理しなければならない。」ということがあるのですが、これは具体的に言うと、直ちに平等な待遇にしろというような意味を含んでいるのですか、どうですか。
  61. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これはいわば一種の訓示規定でございまして、合併市町村が、御指摘のように、市町村によりまして給与その他の身分取り扱いについていろいろアンバランスがある場合が多いわけでございますが、それをいやしくも一つ市町村になったんだから、すべてについて同様な取り扱いを、しかも公正にするようにという趣旨を述べたわけでございます。この規定によってすぐに何と何とをどういうふうに合わせるとか合わせないとかいうことまでは、法律上の問題としては出てこないかと思います。
  62. 松本賢一

    ○松本賢一君 まあこの考え方を示してあるということだろうと思うのですけれども、これにこういうことがあってもなくてもですけれども、こういう条文があってもなくても当然起こってくる問題で、低いところを引き上げろという問題は起こってくるわけですし、実際あっちでもこっちでもそういう問題がかつてあったわけです。これに対する問題が越こった場合には、どうせ高いところに合わせるようにということになるだろうと思うのですが、それが国家公務員のレベルを越えている場合は別として、国家公務員の線まで引き上げるということの場合ですね、その財政的なそれに対する裏づけというようなことについては何もないわけですか。
  63. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 財政的に申しますと、市町村に対しましても国家公務員に準じて給与改定がなされるようにということで財源計算をいたしておるわけでございますから、合併があった場合、特別にどういう措置をするということは考えておりません。
  64. 松本賢一

    ○松本賢一君 純理論的にはそうなんですがね。まあ現実に全国のほとんどの町村が国家公務員よりも低いのですね。低いところが大部分だと思うのですが、そうすると、合併によって引き上げるということは、それはいままで低くしていたのが間違っているんだといえばそれまでのことですけれども、しかし、現実には低くせざるを得ない財政状態であったということなんであって、こういう合併をするといった際に、そういう点、やはり財政的な裏づけを考えていくということが私は政治じゃないかと思うのですがね。そういう点、一昔前にこういう議論がおそらく起こったろうと思う。一昔前にこういう議論をすべき議論だと思いますけれども、今日でもやはり合併する場合には必ずそういう問題が起こってくると思うのですが、そういう点についてはもうしかたがないということですか。
  65. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先ほども申しましたことを繰り返すことになりまするが合併のあるなしにかかわらず、全市町村におきまして国家公務員に準じた給与改定がなされるようにということでこの財源計算をいたしておるわけでございまするから、私どもといたしましては、それで足りるというふうに考えておるわけでございます。
  66. 松本賢一

    ○松本賢一君 まあ実際には足りないから、結果的に低いという結果が起こっているわけなんで、これは別な角度から検討すべきものじゃない、だろうかとは思いますけれども、そういう点も御考慮のうちには入れて考えるべきだと思うのです。答弁はけっこうです。  それで、その一部の問題として、市町村の吏員はそういうことなんですが、学校の教員ですが、これは県のあれになっておるわけですね。そこで、合併した場合に、その給与の何か手当か何かの差があるんです。そういうものが合併するときに直ちに是正されないんです。その是正されない根拠は、私どこにあるのかちょっといまわかりませんけれども、そういう事実は確かにあるわけなんで、そういうことを、少なくともこれは県が合併には賛成して合併するわけなんですから、その限りにおいては、そういった不公平は直ちになくなすような措置が講じられていいと思うのですが、この点いかがですか。この中にはそういう何はないと思うのですけれども……。
  67. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お話しになっておられますのは、前に勤務地手当といっておったものかと思います。この勤務地手当は、その後逐次段階をなくしていこうという方針で、暫定手当ということに現在名称を変えて、そうして当初は五段階ぐらいございましたのが、現在たしか二段階か三段階ぐらいになってきております。そこで、勤務地手当の地域区分と申しますのは、その勤務地手当が暫定手当と変わります前のときに人事院が定めましたものを基準にいたしまして現在でも地方公共団体でやっておるわけでございます。そこで、おそらく、お説のように、その後市街地化した地域におきまして、従前どおりの低い暫定手当の率では不公平になるのじゃないかというような問題が起こってきておるかと思います。この点につきましては、人事院におきましその後どういうような考え方をとっておられますか、ちょっと私現在正確に承知をいたしておりませんのでございますが、よく聞いてみまして、その場合、地方公共団体においてどういうような措置をとることがいいかどうか検討してみたいと思います。
  68. 松本賢一

    ○松本賢一君 それじゃ、私も不勉強で、その後のあれをよく知りませんので、私が現実にかつて経験したことをいまちょっとお尋ねしてみたので、その後どういう推移になって、現在はどういうことになっておるか、ひとつこの次の機会に教えていただきたいと思います。  きょうはこれで……。
  69. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本案についての本日の審査はこの程度にいたします。  次回は三月九日火曜日午後一時に開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十六分散会      —————・—————