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1965-02-25 第48回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十五日(木曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————    委員異動  二月二十四日     辞任         補欠選任      川野 三暁君     久保 勘一君      村上 春藏君     小林 武治君  二月二十五日     辞任         補欠選任     大野木秀次郎君     和田 鶴一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 西郷吉之助君                 竹中 恒夫君                 林  虎雄君     委 員                 井川 伊平君                 久保 勘一君                 小林 武治君                 斎藤  昇君                 沢田 一精君                 高野 一夫君                 和田 鶴一君                 加瀬  完君                 鈴木  壽君                 松本 賢一君                 基  政七君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  吉武 恵市君    政府委員        警察庁長官    江口 俊男君        警察庁保安局長  大津 英男君        自治省行政局長  佐久間 彊君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○道路交通法の一部を改正する法律案内閣提  出) ○市町村合併特例に関する法律案内閣提  出)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。二月二十四日付、川野三暁君、村上春藏君が辞任され、久保勘一君、小林武治君が選任され、また本日付、大野木秀次郎君が辞任され、和田鶴一君が選任されました。     —————————————
  3. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回、質疑は終局いたしておりますので、これより討論を行ないます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  4. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 全会一致と認めます。よって本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 次に、道路交通法の一部を改正する法律案議題といたします。提案理由の説明を願います。吉武国務大臣
  7. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、最近における道路交通実情にかんがみ、自動二輪車の運転者順守事項を定め、及び自動車安全運転管理者制度を設けること、運転免許制度合理化をはかるため自動三輪車軽自動車等運転免許資格要件及び試験方法を強化し、運転免許種類及び運転することができる自動車等種類に関する規定を整備すること、高速自動車国道における道路交通法実施に関する事項について、国家公安委員会都道府県公安委員会に対し必要な指示をすることができることとすること等をその内容にしております。  なお、この法律案におきましては、四輪及び三輪の軽自動車運転免許資格要件の強化に関する改正規定を、それ以外の部分に関する改正規定施行より三年おくらせて施行することとする必要があるため、後者に関する改正規定を第一条、前者に関する改正規定を第二条としてそれぞれ区分して規定いたしております。  まず、第一条の改正規定について御説明いたします。  第一は、自動車による人身事故を防止し、その他自動車安全運転の確保をはかるための規定を新設することでありますが、自動二輪車の運転者順守事項として、政令で定める道路の区間において自動二輪車を運転する場合における乗車用ヘルメット着用義務並びに高速自動車国道及び都道府県公安委員会が指定した自動車専用道路における二人乗車の禁止について定めること、新たに安全運転管理者制度を設け、一定台数以上の自動車を使用する者は、このような安全運転管理者を選任しなければならないこととすること等がその内容となっております。  第二は、運転免許制度合理化をはかるため所要の規定を整備することであります。これは、自動三輪車、二輪の軽自動車及び第二種原動機つき自転車運転免許資格要件等を強化するため、運転免許種類のうち自動三輪車免許及び第二種原動機つき自転車免許廃止し、自動車等種類として自動三輪車普通自動車とし、二輪の軽自動車及び第二種原動機つき自転車自動二輪車とするとともに、新たに牽引免許を設け、その受験資格について規定する等、運転免許種類及びこれによって運転することができる自動車等種類に関する規定を整備すること、運転免許に関する事務について、都道府県公安委員会から国家公安委員会に報告すべき事項自動車等運転者自動車等運転に関してした道路交通法違反事項等を加えることとすること、運転免許の効力の停止を受けた者等都道府県公安委員会またはその委託した者が行なう講習を受けようとするときは、講習手数料を納めなければならないこととすること等がその内容であります。  第三は、国家公安委員会は、高速自動車国道における危険を防止し、その他交通の安全と円滑をはかるため特に必要があると認めるときは、道路交通法実施に関する事項について、都道府県公安委員会に対し必要な事項指示することができることとすることについてでありますが、これは、高速自動車国道における交通広域的かつ高速的であるというその特殊性にかんがみ、これに対処するため、高速自動車国道における交通の規制、交通取り締まり等について特に必要がある場合には、国家公安委員会指示のもとにこれらを関係都道府県に一元的に処理させようとするものであります。  第四は、身体障害者が車いすによって道路通行する場合の通行区分を明確にすることについてでありますが、これは、言うまでもなく身体障害者通行の保護をはかろうとする趣旨のものであります。  次に、第二条の改正規定について御説明いたします。  この改正規定は、すでに申し上げたとおり、四輪及び三輪の軽自動車に対する運転免許資格要件を第一条の改正規定施行の日から三年を経過した日から強化しようとするものであります。すなわち、四輪及び三輪の軽自動車につきましては、その運転免許資格要件をいまただちに強化することは社会的に少なからぬ影響があるものと考えられますので、その実施を三年間延期し、三年後に軽自動車免許廃止し、自動車種類としての軽自動車普通自動車にしようとするものであります。  次に、附則についてでありますが、これは、運転免許種類及びこれにより運転することができる自動車等種類改正に伴い、改正される従前運転免許について必要な経過規定を設けることとしたものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
  8. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本案についての質疑は後日に譲ります。     —————————————
  9. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 次に、市町村合併特例に関する法律案議題といたします。  御質疑の方は順次御発言願います。
  10. 和田鶴一

    和田鶴一君 自治大臣にお尋ねいたしますが、ただいま提案されております町村合併促進法特例に関する法律について、昭和二十九年に市の人口要件が五万ということで改正されたのですが、当分の間、当初都道府県知事がすでにその合併計画において予定しているものについては、従前の三万というものを認める、それを改正しようという趣旨のようでありますが、現在の市の人口実態を調べてみますと、私の資料が間違っておればあれですけれども、大体五百五十八の市のうちで、五万に満たない、四万から五万未満のものが百十五、三万から四万のものが百七十ということで、五万未満のものが全国に半分以上の二百八十五もそういう市がそのままになっておって、しかも最近の人口移動の結果、三万を切った市すらできておるという、そういう現状からいたしますと、しかもまた、全国で七県で十四カ所等が五万に達しないけれども、強く市になりたいという希望のある個所もあるようでありますので、私は、なお当分の間そういう市の実態を勘案されて、人口要件を四万ということにしたらどうかと思うのですけれども大臣の御所見をひとつ……。
  11. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 御指摘になりました昭和二十九年の地方自治法の一部を改正する法律附則第二項第二号の規定でございますが、これは昭和二十八年に地方制度調査会答申が出ておりまして、人口三万を五万に引き上げるようにということでございました。それを受けまして、政府といたしまして地方自治法改正いたしまして、三万を五万に引き上げることにいたしたのでございます。しかし、その昭和二十九年の際、すでに都道府県知事が全県的な合併計画を定めておりまして、その内容が、合併によって市になるということを予定いたしておりましたものにつきましては、経過措置といたしまして、なお従前の三万で差しつかえないという規定にいたしておったのでございます。しかし、その経過規定対象となりますところも、現在におきましてはほとんどなくなっております。私どもが聞いておりますところは、一カ所だけなおその規定によって合併動きがあるところがございますのでありますが、そのほかのところにつきましては、すでにそういうところがなくなっておりますので、その経過規定をこれ以上存置する必要もないということで、今回御提案申し上げました市町村合併特例に関する法律案におきましては、その経過規定を明年の三月三十一日限り廃止をしよう、こういうことにいたしておるのでございます。お説のように、人口四万をこえまして、その後の状況によって市となりたいという希望が出ておりますところも承知をいたしておりまするが、ただいま申し上げましたように、地方制度調査会で御審議になり、その答申を受けて、当時政府として改正をした経過がございまするので、私どもといたしましては、この際、人口要件を、五万を四万に改めるという考えは持っていないのでございます。
  12. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) ただいまの御質問の点は、もっともな点だとも思います。ちょうど当初合併計画いたしましたころから、だんだんと情勢が変わりまして、御指摘のように都市集中傾向がございまして、五万以上のところも減っておるところが御指摘のようにあろうかと思います。まあ私どもとしては、今日の状況でございまするので、地方団体区域等もできるだけ合併して、合理化と申しまするか、進めていきたいという趣旨から、先般市町村合併を行ない、その後、各地域からも御要望がございまして、せんだってのように非常に計画的に、促進的にということではございませんけれども、御要望の線に沿うてそうしてやりやすくして、合理化といいますか、合併のできるようにという趣旨でやっております。それで、私どもとしては、その市の大体の人口を五万から下げていくということよりも、現在五万から下がっているようなところも、なお、さらに合併ができれば合併をしていただいて、少しでも広範の単位にしていただければ……。実際いままでやりました合併経過を見ますると、たいへんその合理化といいますか、よくなっております。職員やその他の数は、仕事がだんだんふえてきておりますから、実際の数字としては必ずしも減ってはおりませんけれども、しかし、内容的にはずっとよくなっておりますることで、それで今回の提案に際しましては、そういうことで五万という点をとったのでございまするが、その点をひとつ御了承賜わりまして……。この合併というのは、そう簡単に人口だけで無理やりに合併というわけにもいかない、地理的な歴史的な関係もございまするけれども、できればなお拡大をしていただいて、五万を保持できればというところでございます。御了承いただきたいと思います。
  13. 和田鶴一

    和田鶴一君 知事が定めた合併計画、その当時の計画には私も県会におって参加したわけでありますが、その後実態が動いておりまして、ただいま申し上げたような状態がさらにあるということでありますから、特にこの国が広域行政ということを強く取り上げ、積極的に合併等を進めていくというそういう立場からすれば、あるいはまた社会開発等を非常に佐藤内閣において強く推進しようという立場からすれば、私は実態をよく見て、何も一たんきめた五万ということにこだわることなく、それによってさらに積極的に広域行政の推進、社会開発が行なわれるということであれば、なお当分の間そういうような段階を設けてやるということは、私は決して後退でもないし、あるいは朝令暮改といったことにもならないと思う。むしろそういうことにこだわるということ自体が、私は広域行政を推進することにはならないと、こういうふうに思うのです。そういう点で、すでに全国に十数カ所もそういう希望の市があるということでありまするし、なお、ただいま申し上げましたように四万以下を含めて五万に満たない市が半数以上の二百八十五もある実態考えますれば、五万という基準を定める場合に、行政能力とかなんとかというような点を勘案してのことだろうと思いますけれども、もちろん市になるためには人口要件だけが問題じゃありませんけれども、その他いろいろの条件がありますが、そのことによって意欲的な計画が認められないということで困っておる地域もあるわけでありますので、ケース・バイ・ケースといいますか、もちろんそういう他の条件等についても慎重に検討、指導されなければならぬと思いますけれども、私は、広域行政を積極的に推進するという立場で、もう一ぺんこれをひとつ考えてもらいたいと、こういうふうに思うわけです。
  14. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 御趣旨の点はごもっともの点もあるように見受けますけれども、先ほど申し上げましたように、実態はそういうふうな傾向もありますが、まあできればそれを積極的にもっと広げて五万にしたいという意欲からこういうふうな提案をしたようなわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  15. 和田鶴一

    和田鶴一君 ただいま大臣がおっしゃるように、さらにその付近の町を合併して、できれば五万以上にしたいということもわかりますが、地形とかいろいろな関係で、いきなりもう一つそれ以外のものを合わせるということが非常に困難な面も多々あるわけであります。非常にむずかしい実態でございますから、そういうことにこだわりなく、私は、四万余りあれば、ひとつそいつを取り上げて、また、市になったということで非常に開発意欲に燃えてどんどん人口移動も起こり、栄えておる場所も現実にあるわけですから、そういうようなことも勘案して、何も私はこれにこだわる必要はないと思う。できればひとつ合併して、たしたらいいじゃないかということは、なかなか地域的に見てそう簡単にいかない面があるわけでございます。そこで、そういうことを何年も先に実現させるということよりも、むしろ現状においてそういう意欲に燃えているところを取り上げてやるんだという、私はそういう考え方のほうが広域行政を積極的に推進する立場から大切じゃないかと思います。
  16. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 御趣旨の点は私も考えるべきところがあるように思いますけれども、先ほど申しましたように、政府といたしましては、できるだけもっと大きくしたいというところから五万にした点を申し上げたのでございまして、その点をひとつ御了承を賜わりたいと思っておる次第でございます。
  17. 和田鶴一

    和田鶴一君 大臣お話もわかるんですけれども地方に参りましたら、御承知のように町を合併して五万以上にしたい、それがなかなかむずかしいところもある、地域的に考えまして。町村合併を私もやりましたけれども、非常に苦労いたしました。それで、やっとその付近の二、三の市が寄って市になりたいというときに、さらにこっちもくっつけたいということもわかるんですよ。それがなかなかむずかしいということのために、せっかく四万あるならやっていけるというやつが、何年か先に、あるいは永久にというような状態になるということを考えると、私は、こだわる必要はないと思う、実態に合わして取り上げていくほうがいいんじゃないかと、そういうふうに思うんです。
  18. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) この点は何度も繰り返して申し上げておるわけでございますが、政府といたしましては、いま申しましたように、できるだけ大きくしたいというところで、実情の点もございまするけれども、五万にしておることでございまするので、ひとつあしからず御了承をいただきたいと思います。
  19. 和田鶴一

    和田鶴一君 実態に即して処置していただきたいと思います。
  20. 井川伊平

    井川伊平君 どうしていままで五万以下の市があっても大きな支障はなかったのに、今回はしゃにむに五万の線に上げていかにゃならぬという非常に強い理由は、一体何なんですか。実は今日でも先ほどのお話のように五万以下の市はたくさんあるし、今回これをこしらえて五万以下の市をなくすることはできない、半分以上も五万以下の市があるわけです。そういうものを設けるには、設ける必要があって設けているわけです。設ける必要が全然なくなったというのかどうか。なお、私はつけ加えて申し上げますると、五万以下でありましても、市になるために急に人口がふえていく、工場が誘致されて人口が大都市に集中するのが阻止される、それから市になったために文化機関、そういうものがその地方に集まってきて、その地方文化を高めていく。こういうように産業なり文化なりが平均化しようとするには、やはり市にしてやることが必要ではなかろうかと考える。それをしゃにむに今回は五万の線から絶対下げぬのだと言っている。しかし、それは全部が全部そうなっているかというと、そうではない、それが半分以下だということになると、おかしいじゃないですか。どうですか、納得しにくいですよ。
  21. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 五万にいたしましたのは今回ではございませんで、昭和二十九年に三万を五万に引き上げたのでございます。そのときの理由は、先ほど申しましたが、地方制度調査会からそういう答申が前年出ておったのでございます。さらにつけ加えますと、その前、昭和二十五年に地方行政調査委員会議勧告におきましても、三万を五万に引き上げるということがあったのでございまして、それを受けまして二十九年に三万を五万に引き上げたのでございます。なぜ地方制度調査会あるいは地方行政調査委員会議からそのような勧告なり答申があったかと申しますと、事務の再配分をいたしまして、市町村に相当多くの事務をおろしていく、しかしその場合におきましても、町村につきましてはなかなかそういかないので、市には町村と違って、おろせるものはなるべくおろしていく、そのために市を従来よりももう少し強力なものにする必要があるというような御趣旨があったようでございます。なおまた、従来は市と申しておりましたのは、ほんとうの市街地だけで、周辺農村部は入れないところが多かったわけでございますが、町村合併の結果、周辺農村部も包含するということになりまするというと、やはり中心になる市街地状況等考えますと、三万を五万に引き上げることがいいというようなことが、調査会論議にもあったやに記憶いたしております。で、今回の法案に入っておりますのは、二十九年に三万を五万に引き上げました際に、その当時すでに市の申請中のものでございますとか、あるいは知事が全県の町村合併計画を定めておりまして、その計画の中で合併によって市になるということを予定いたしておりましたもの、そういうものにつきましては、なお従前の例によるという経過規定があったわけでございまして、その経過規定対象となりますところは、今日まで大体市になるべきものはなっておりまして、現在全国でその対象に該当するもので動きのありますものは、私ども承知いたしておるのは一カ所でございます。そこで、その一カ所も、早急に合併するような動きに聞いておりますので、明年の三月三十一日まで余裕を置きまして、そこでその二十九年のときの経過規定廃止をいたそう、かような考えでございまして、この際、新しく三万を五万に引き上げるというような改正をいたそうというわけではないのでございます。
  22. 井川伊平

    井川伊平君 二十五年ですか、市の人口を五万にきめた。それは都市人口は多いほどいいだろうと私も考える。だけれども、その多いほどいいという考えは、市町村合併する便宜のその効果には及ばない。だから、市町村合併でやるというのなら、五万以下三万以上でいいんだと……。だから、五万以上がいいんだという、そのいいというのは、いいのは間違いないとしても、その効果たるや、きわめて小さいものだ。町村合併が犠牲になる。町村合併をやめても五万にしようというほど大きな効果をねらってはしない。町村合併ができるんならば五万以下でもいいんだというのですから、町村合併のねらっている効果に比べれば、それより非常に低い効果だ。二十九年に認められておった、今日はそれが認められないほどに、五万にしなければならぬという非常に大きな脳みそができたかどうかということですね。私はそういうことを考えてみれば、日本全国には、五万にはならぬけれども、この際、思い切って町村合併、これから始めてでも市にしたいという、そしてその計画は五万にはならないけれども、五万以下ではあるけれども合併が今後できるとすれば、大きないろいろの効果がねらえる、そういうところが相当あるのじゃないか。そういう点を十分に御研究になっておるかどうか。そういうことを研究しなくとも、そういうものはまあ研究してあったところで、許さぬのだといったような、そういうきめ方かどうかですね。そこがよくのみ込めない。何も基本的に反対しようという気持ちじゃないけれども、のみ込めない。何でそんなにこの際、いままで二十九年に町村合併させる利益のためには人口五万以下であってもいいという程度のねらいであったのが、今度はそのねらいをぱっと上に標準を上げねばならぬかという問題がのみ込めないですね。
  23. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 御趣旨の点は私もそう思うのでありますが、その町村合併を、一つでも二つでも、少しでも合併していくということがよりいいという点もございます。したがって、そんならば、少しでも合併すれば、それをも合併さしていったらどうかという意見もあろうかと思うのですけれども、まあ今日、広域行政立場から見て、合併を、促進というわけではございませんけれども、させようという点は、御承知のように府県も合併という論議が出ているように、交通も発達し、昔とはだんだん違って、広域行政の面が大きくあらわれてきましたから、したがって、合併促進するという意味から言うならば、一つでも、二つでもということよりも、この際、思い切って大きい広域行政へ持っていく。まあ少しずつ段階を置きながらいくという方法もございますけれども、しかし、できれば、人口五万よりももっと大きいぐらいの範囲の合併が、今日の交通状況から見れば——まあ抽象的な議論にはなりますけれども——できるのではないか。もしそういうふうにいくことが非常に能率的で、生計費の節約にもなる。それを現実に即して、少しでも合併ができればさせていったらどうかという議論も一つだとは思いますけれども、私どもがいま考えておりまするのは、せっかく広域行政をやるならば、そういうふうに小さく合併というよりも、やる以上は、もっと大きく合併していったらどうだろうかというところの考え方の相違だと思うのであります。ですから、実情は、ただいま御指摘になったように、少しでも合併をできればさせていきたいというところも現実にはあるだろうと思います。それからまた、五万のやつも、減ってきている点もございます。まあ五万のが減ってきたから、それじゃまたそれを元に返すなんてことは、これはとうていできることじゃございませんので、やむを得ずまあ認めざるを得ぬのですけれども、県の実情から言えば、年々広域行政の範囲というものが広がっていっているのですから、政府がやるという、つまり促進的な意味でやらせるとするならば、この際、せめて五万以上ぐらいのところまでやらせようじゃないかという点でございますので、まあこれも考え方の相違になりますけれども、少しでも、一町でも二町でも合併すれば合併させて、その効果は確かにございますけれども、まあやらせるならば、この際、もうちょっと大きくやらせようかというところでございますので、ひとつ御検討願いたいと思います。
  24. 井川伊平

    井川伊平君 いまのお話の、まあ私が先ほどお伺いしたうちに入っておったのですが、小さい町村合併して、五万にはならないけれども、四万なり三万五千にはなる、そういうようなものが幾つかできるということになると、その地方の産業の向上であるとか文化施設の増設であるとか、あるいは大都市へ人が流れていく一つの防止になるとかという点については、どうお考えになりますか。その点はまだ承っておりませんが、どうお考えになりますか。もしまた、全然そんなことはないのだと言い切れるかどうか、そういうことをはっきりひとつ聞いてみたい。
  25. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 市をつくります場合と、市ではない町村合併という場合と、多少趣が違うかと思います。また、ただいま大臣は、市というもので、その地方の開発の中心になるようなものという意味におきましては、やはり少なくとも五万ぐらいの大きなものがなければという御趣旨お話がございましたが、この今回の法律案は、別段に市をつくろうということをねらっておるわけではございませんので、普通の町村合併いたします場合に、合併がやりやすいようにしてやろうという趣旨でございます。  なお、先生の御指摘のように、市になることによってその団体が何と申しますか、一種の活気が出てきて、よけいその地域の開発が促進されるという効果があるということも、私ども承知はいたしておりまするけれども、今回の法律案は、市町村合併全般につきまして、自主的な機運がありますところを、やりやすいようにしてやろうというのが趣旨でございまするので、別段市をつくることを、これによって大いに促進をしようという趣旨ではございません。
  26. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 ひとつ参考に承っておきますが、市の規模を三万から五万に引き上げられた理由を、先ほどお話がありまして、承りましたが、そこで、事務を配分するには、やはり市は五万以上あるものを対象にして、そうしてそれくらいの能力のあるものに、できるだけ事務を委譲していくという、そういう考えからこれは大体五万に引き上げた、こういうお話でありましたが、現実の市の状態を見ると、五万以下が約半数近くあるようでございます。で、今後これらの市は五万以上に人口を増加していく見込みがあるのかどうか、合併によってそういう五万以下の市をだんだんなくしていこう、そういう指導をやり、そしてその指導が効果を奏すると、こう考えておられるか。最近の日本の経済の変化から考えると、やはり大都市人口が集中して、そうして中小都市以下はだんだんと人口が減っていくというのが趨勢であって、これはとうていとめられないのじゃないか、そうすると、現在半数近くある五万以下の市が、さらにもっとふえていくんじゃないか。自治省では五万以上の市を頭に描いて、そうして事務の配分を考えられても、実情は負担にたえないような事務の配分になっていきはしないか、むしろそうであれば、五万以上の市と五万以下の市ぐらいは分けて事務の配分を考えるか、あるいは事務の配分は四万以上あればたえられるというところを頭に描いて事務の配分を考えられるかされないと、二十五年に考えられた、今後市というものを五万以上にして、そうしてそれにたえ得るような事務の配分を考えていこうと思っても、実情はそれに合わなくなっているし、また、今後も合わなくなっていくんじゃないか、そこらで一ぺん五万という基準を考え直されないと、実情に合った、町村の負担にたえるような事務の委譲ということができなくなってくる、あるいはやったものも実情に合わなくて非常に困った状態に市を追い込んでおるということになりはしないかという感じがいたしますが、それについてどういうふうにお考えでしょうか。
  27. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お説のとおりに、現在市の中で人口が減少をしつつあるところがかなり多いということも承知をいたしております。昭和二十八年から三十一年の間におきまして行なわれました町村合併の際には、率直に申しまして、合併をさせることを念頭の第一に置きましたために、実際市の要件といたしましてはどうかと思うようのものも、人口二万になっておりますれば市にしたというような実情は、これは率直に申しましてございます。したがいまして、今後事務の配分を考えてまいります場合に、一応五万というものを念頭に置いて考えてまいりますけれども、市の中に十分その配分された事務をこなしていけないというところもあるいは出てきやせぬかということも、私どもも御指摘のとおりに考えております。しかし、まあ将来のあるべき姿といたしましては、やはり五万程度のものを念頭に置きまして、できるだけ市には事務をおろすという方法で考えていくべきではなかろうか。もちろん五万という数字に絶対の合理性があると私どもも思っておりませんけれども、せっかくまあ本則を五万というたてまえにいたしまして、経過的にそれ以下のものを認めておりましたその経過措置について、しかも該当のものが一カ所ぐらいしかないという状況になりましたならば、経過措置廃止して、本則でものを考えていくということにすることが当然ではなかろうか、かような考え方に立ったわけでございます。しかし、今後社会、経済その他の変化によりまして、実態がそれに著しく合わなくなるというようなことがございますれば、当然またこれは根本的な問題といたしまして、地方制度調査会等にもおはかりをいたしまして検討をする必要はあろうかとは思いまするが、ただいまのところは、先ほど申しましたような考え方に立って御提案を申し上げた次第でございます。
  28. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 私のお尋ねしているのは、五万以上を理想的な市の形態と考えて、そうして二十五年に出発をしたから、できるだけそれを維持していきたい、こういうお考え、今後事情に変化を来たせばというお話もありましたが、しかし、最近の実情から考えていけば、五万以上が適正な市だと考えてやっていくことは、今後そういう考えは維持できないもう事態になっておると、こうお考えにたらないかということなんですよ。まだそれは早計過ぎる、まだ町村合併をして五万以下の市が大きくなる見込みのところがたくさんあるのだし、自治省の考えでは五万以下の市はだんだん減らしていく、また減っていく、そういう趨勢だと考えていいと、こう考えておられるか。もうその見込みがなくて、かつて五万以上を理想に考えたけれども、これはもう実情に合わなくなってしまって、今後は、むしろやはり現実の情勢から立てば、まあ四万前後というところを念頭に置いて市の指導を考えていかないと、頭に描いておるものと現実とは違う、今後ますます現実と違ってくるというようなお感じはないかということです。お感じというよりは、そういうように考えられるべきじゃないだろうか。おそらくこれから人口が大都市に集中する勢いは、そう減るとは私は思わない。中小都市のほうの人口がふえていく、合併以外においてはふえていくとは、とうてい考えられない。私はそういう日本の経済機構に突入しつつあると、こう思うのですがね。自治省はそういう点をどう考えておられるでしょうか。
  29. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 趨勢といたしまして、大都市人口が集中をし、地方におきましては減少していくということは、私どもも理解ができるのでございます。ただ、問題は、地方制度の上で市というものをどう考えるかということでございまするが、私どもといたしましては、やはり市町村優先主義で、市町村に相当事務をおろす、しかし、実際問題といたしまして、市町村の中が相当能力のあるところでございませんと、そう事務をおろすわけにもいきません。そこで、やはり市と町村とある程度区別をいたしまして、市には現在よりももう少し事務をおろしていくという方向で検討をしてまいりたいという基本の考え方は正しいのではなかろうか。実際問題といたしますと、実はほんとうの市といたしまして、相当な行政上の責任にたえ得るということから考えてみまするというと、あるいは五万よりももっと上げるべきじゃないかという意見もないわけではございません。しかし、一方また、先生のおっしゃいますように、現実に五万未満の市が相当あるわけでございまするし、それらのものを考えてみまするというと、そう市に事務をおろすといいましても、すべての市にそう多くの事務がおろせるとも考えてはおりませんけれども、ただ、市の合併のためには、市をどんどんふやしてもいいだろうというような考え方は、もう私どもとしてはとりたくはないという考え方を持っておるわけでございます。
  30. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 私の申し上げるのは、もうそれなら五万以下の市にたえられるような、そういう事務のおろし方、そういう市の仕事のしかたというものと、それから五万以上かあるいは七万以上か知りませんが、いままで頭に描いておられた、この程度までできるだけ事務をおろしていきたい、それにたえ得るものは五万以上か六万以上か七万以上か知りませんが、それと二つくらいに分けて考えないと、現実がもう半分以上が五万を割っておるのに、それを五万以上の市ならたえられるだろうと考え事務をそれにおろしていきたいと考えるならば、おろされたほうは非常な迷惑なことになるだろうし、現実に合わないことになるのじゃなかろうかと思います。だから私は、二つや三つや四つあるいは今度市になりたいという場合に、それをチェックしておいて、そうして五万未満の市がたくさんあるのにチェックしているというのはナンセンスじゃないかと、こういうわけです。もう答弁けっこうですよ。
  31. 井川伊平

    井川伊平君 関連して。ちょっとお伺いしますが、現在二百八十五の五万以下の市があるというが、その市の将来性をどう見ているかという点ですよ。これはうっちゃっておけば何年か後に五万に追いつくという見解を持つのか、これは追っつけないという考えを持つのか、このことが一つと。追っつかないものがあるのだということから見れば、その事務の配分の点で、それはどう取り扱っていくのかという具体的な問題ですね。そこで、斎藤さんのおっしゃるように、市と申しましてもいろいろござるから、この程度のものとこの程度のものと区別して、その事務の配分の点に心すべきではないかという考えも出てくるわけです。そういうような配慮をしないなら、その五万以下の市は、二百八十五の市は、いつ五万になるという見込みを持つのか。もしそれがなかなかなれないということになると、とんでもない迷惑をこうむる市が、二百八十五というものが残ってきますよ。そこらあたりどうなさるお考えですか。
  32. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 五万未満の市の中で、将来これがどう変わっていくかということにつきましては、私どももそう格別検討をいたしたこともございませんけれども、まあ常識的に考えてみますというと、大都市周辺にございまする五万未満の市というものは、これは早晩五万をこえていくことになろうと思いまするし、それから、いわゆる後進地域といわれるようなところにございます市は、むしろ減少の傾向にあるというところも相当出てこようかとは存じております。で、そのような場合に、一体事務配分上何か考慮が必要じゃないか。この点は、たしかに検討しなければならないものがあるかと思うのでございます。ただ、一応事務配分の問題を考えます場合には、やはり最低は五万程度はあるという前提で計画をいたしまして、その上でそれ未満のところでどうしてもそれが処理できないものについては、何か特別な措置も考えていく、考え方といたしましては、そういうことでいくべきではなかろうかと、かように思っておるわけでございます。
  33. 井川伊平

    井川伊平君 いまのお答えによりますと、五万以下の二百八十五というものは、いつ五万に追っつくかという見通しはわからない。研究もしてないというお話ですね。そうしてそうした情勢のもとにおいては、事務配分については必ずしも大きな市とそういう市との間を同一の取り扱いをするとは限らぬで、考慮しなくちゃならぬと思うとおっしゃるのでしょう。そういう考慮の上に立てば、その今後できるものは、大きいほうの市の事務配分のほうに全部入れるのだと、そうきめなくていいのじゃないか、第二のほうに入ってきたっていいじゃないか。言いかえれば、五万以下の市ができてきたって事務配分については、現在ある小さい市もその網に入れてやって、ついていけるものならいいじゃないかと、こういう考え方はしませんかね。
  34. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生のおっしゃます意味もよくわかりますが、ただ、私どもたてまえといたしましては、最低五万程度の能力あるという前提で原則を考えてまいりたい。そうしてもちろん行政能力地方財政能力というものは、人口だけできまるわけでもございませんから、五万未満の市でも、現在ありますものについては相当それにたえ得るであろうと思いまするが、いろいろな事情からして、どうしてもたえ得ないものにつきましては、若干例外の道も考える必要もあるのではなかろうか。しかし、初めからおっしゃいますように五万以下と五万以上と、市に二つの段階があるという前提でものを考えるということは、私は考えたくない、かように考えておるわけでございます。
  35. 和田鶴一

    和田鶴一君 局長さんね、先ほどの説明を聞くと、当初合併計画のあったものは、なお従前規定によるということで、かなり長い時間を置いた。そしてあと一カ所くらいしか残ってないと、こういうお話ですから、そういう点は十分時を与えておるということだけれども実態が変化して、当初の計画がなかったけれども、最近になってそうすることのほうがいいというところは救われないわけでしょう、そういうふうに事務的に片づけられたら。それで、もっと大きくして、五万以上にすればいいという大臣の話、それもよくわかるけれども、なかなか現場で合併推進委員をやった者の立場から言うと、感情とか、いま、はやりのムードというものが非常に作用するわけですよ。そこでまず問題になったのは、役場の位置をどこにするかとかいうようなことが合併の非常な問題になっている。それが話し合ってやっとできていく。ところが、四万以上になるものが市になりたいと、しかし、もう一つ合わせて五万以上になると、またそういう問題がからんできて、なかなかやれないと。しかも、市ということで非常に前進ムードがわいてきて、合併効果がわりあいに期待できるということが現実にあるのに、こういう規定のためにやられないということ。それからいまお話のように、市をたくさんつくるための法律ではないのだと、それはよくわかる。別に市をたくさんつくってくれということも言えない、僕らも言っていない。そこで、市になるのだということで数カ町村が寄って、さらに大きな飛躍が期待できるし、現実にやっていけるのだという状態があるのにもかかわらず、五万以上ということにしぼられるためにそれができない。しかも、現実に二百八十五も五万未満の市があって、しかも四万未満の市が百七十もあるのだ。そういう実態があるのに、なぜ五万にこだわらなければならないのかということの僕は意味がわからない。それから二十九年に五万になって、今日まで十年あって意見がなかったということを逆に解せば、十年たった今日、二百八十五の五万以下の市がそのままあるのに、いまお答えのように、将来について五万という基準をきめながら、それがどうなっていくかということの研究も検討も加えてみたことがないのだというようなことで、法律というのは、一体基準をきめたら、実態がどうなろうと、そんなことはそれをそのままほうっておいていいかということなんですよ。しかも、こういう動いていく実態で、合併というのは、その地域の繁栄をはかって何とか措置しようということなんでしょう。だから私はどうも局長の説明はふに落ちないな、そういう事務的に処理しようということは。あなた方が、現場で町村合併委員となって部落の常会を開いたり、あっちこっち回ったりするそのときの気分や感情がわからないのだよ。僕らは現場でそれをやってきた経験があるから、そこにこれだけ寄って四万以上になるなら、これで市となったらさらに飛躍できるなという熱願しているその地域の者に、ただその事務的なものだけでだめなんだと言うことは、あまりに合併ということについて——市をつくるということじゃないですよ——さらに飛躍というものをその市をつくることによってムードがわいてくる、大きな希望もわいてくるのだということに対して、少し考え方がよくわからぬ。実態があなた方が把握できてないと思う、現場の。
  36. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 答弁は要りませんか。
  37. 和田鶴一

    和田鶴一君 もうこれ以上言わないから……。
  38. 松本賢一

    ○松本賢一君 いままで三万くらいの市がたくさんできていますね。それはそれでまああの当時法律改正がされる前に便乗的にできたのもたくさんあるだろうと思うのですね。それがまあどうも今日小さ過ぎてぐあいが悪いという判断で法律改正されたんですから、それは私も当時の事情をよく知らないから……。そういう点どうなんですか。
  39. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その当時の改正について私直接担当いたしておりませんでしたので、まあ正確なことは申し上げかねますが、当時すでに三万程度の市も相当ありましたことは事実でございますが、(「法律がそうだよ、三万でよかった。」と呼ぶ者あり)地方制度調査会あるいは地方行政調査委員会議答申なり勧告が出ましたので、それを受けまして本則を五万に引き上げるということにいたしまして、そのときの経過措置として先ほど申し上げたようなことを設けたわけでございますが、大体当時の考え方といたしまして、市というに値するだけの市街地を持ったものは一とおりもうそれで市になったと見ていいんじゃないか、あとはその市の内容を充実させていくというようなことで、自後は十分能力を持たない市というものをつくっていくことをチェックしていこう、こういう趣旨が当時あったと思うのでございます。
  40. 松本賢一

    ○松本賢一君 全国的に自治省のほうではある程度つかんでおられると思うのですけれども、今後五万以上の都市が、大都市周辺とか、それから新産都市、工特法による地域、ああいうもの以外にはほとんどないんじゃないかと思うのです、もう市になるようなところが。これはどうなんですか。
  41. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 私も全国的に見てみますというと、今後新しく人口五万になって市になるというようなところは、大都市周辺か、おっしゃいましたような新産都市地域、工特の地域以外にはあまりないんじゃないかというふうに存じます。
  42. 松本賢一

    ○松本賢一君 ところが、先ほど来諸先生方から質問が出ておるところから私が想像するんですが、あちらこちらにちょいちょいあの際、法律改正になる前に、市にしておけばよかったが、いまとなってはなかなかこんな法律ができたために市になれぬじゃないかと。何となくほかは市になってしまっているのに、うちのほうはあれより大きな市になる力があるのに、法律改正がされたためにできなくなっちゃってという住民の不満ですね、そういうものが確かにあるんじゃないかと思うんですよ。そういう点をやっぱりこれは何とかして解決するという、不満を解消するという方法だけは考えなきゃならぬと思うんですがね、これはまあいまの新産都市だとか大都市周辺だとかというようなところは、人口もふえてくる可能性がありますし、二、三年待てば五万になるだろうという望みもあるけれども、そういう望みもいまのところない、しかもほかの市をつくったところよりも、うちのほうがもっと大きい市になれるんだというようなところが現実にあると思うんですね。そういうのは、やっぱり何とか住民の不満を解消する方法を見出してやらなければいかぬと思うのですが、そういう点どうでしょうか。
  43. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 地方実情といたしましては、御指摘のようなことがあろうかと思います。ただ、今回の法律案は、市町村合併をいたします場合に、合併の障害になるような事項を排除して、やりやすいようにしてやろうという趣旨で立案をいたしておるのでございますから、市の人口要件をどうこうということを格別検討いたしまして御提案申し上げたわけでございません。もちろん人口要件につきましては、従来どおりのたてまえに何も触れていない。ただ、先ほど申しましたような二十九年のときに設けておりました経過規定が、ほとんど存置の意味がなくなりましたので、この法律であわせて整理をしようというだけのことでございまして、積極的に私どもが市の人口要件をこの際従来よりもきつくするとか軽くするとかというようなことを考えた上で御提案申し上げて御審議をいただこうという趣旨の法案ではないわけでございます。もし市の人口要件を根本的にどうするかということになりまするというと、これはまあ私どもも三万を五万に引き上げました経過にかんがみまして、地方制度調査会等の御審議をいただいて慎重に検討すべきものではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  44. 松本賢一

    ○松本賢一君 これはいまここで扱っておる法律と直接関係のある問題ではないと思うのですけれども、こういう問題が出ましたから私も聞いてみようと思っておるわけです。ですから、地方自治法改正しなければならぬということになるわけですね、それを変えるためには。そうすると、いま局長さん言われたように、地方制度調査会というようなものの答申を求める、こういう必要があろうと思うわけなんですが、しかし、一方現実にそういう不満を抱いておる地方があっちこっちにあると思うのですよ。ですから、それを解消する何らかの方法というものは考えるべきじゃないかと思うのです。それを地方制度調査会考えていただくという方法もあろうと思いますし、何らかの方法を講じて——いまの法律をしゃくし定木に考えてしまうと、にっちもさっちもいかないという場合もあろうと思いますので、そういう点、いまここで御答弁をもらうということよりも、ひとつこの際、そういうふうな御注意をお願いしたいと思うわけです。
  45. 加瀬完

    ○加瀬完君 各委員から出ております点は、局長おっしゃるように確かにこれは合併促進法の手続法ですがね。手続法の問題からははずれるかもしれませんけれども、この町村合併の手続法というのは、何回か出されておるわけです。結局必ずしも一〇〇%の成果をおさめられないというのは、手続ばかりどんなにきめても、一体どういう標準市町村をつくるのだという問題がはっきりしないところにあると思うのですよ。各先生方の御質問も、手続法だといったって、そんならいままでの人口二万の市はどうするか、五万ないとできないとするならば、四万五千も四万八千もあるような成長した町村があって、合併をするということならば、市にするという名目をつければ合併が早い場合もあり得るのに、しかしそれはできないというようなことになると、一体これから自治省で考えておる標準町村というものはどういうものだ、標準の市というものはどういうものだ、こういう問題をはっきりさしていただかないと、やはり手続法でございますというだけの御答弁では、うなずけなくなるわけなんですよ。これは資料として今後の審議の上にちょうだいいたしたいと思うのですけれども、自治省で考えておる標準の市なり標準の町村というものは一体どういう内容を持ったものを想定をされておるのですか、これをひとつお出しをいただきたい。  それからいままでの町村合併を進めてきて、ここでさらに促進をさせなければならないという場合、いままでの町村合併のプラス面、マイナス面をここらで十分検討する必要があると思う。特にこの法案を出さなければならない問題点というのは一体どこなのか、これも具体的にはまだ説明がなされていないように思いますので、これを資料としてお出しいただきたいわけでございます。  それから、先ほど他の委員の方も御指摘になりましたように、非常にトラブルが多かったのですね。特に県境を越えての合併では大きな問題があったわけですね。で、対立抗争の深かった地域の抗争原因というのは一体どういうことであったのか。それから現況はどう取りまとめが行なわれておるか。これもこの際ぜひ知りたいわけです。  それから、合併はしたけれども住民のために必ずしも利益になっておらなかった。合併促進について政府が約束してくれたことが、あまりはっきり行なわれておらないという不満も数多く私ども聞くわけです。最初の合併促進法のときから政府機関が協力をして約束した幾つかの問題点がございます。具体的に言うならば、国有山林原野の払い下げとか、あるいは郵便、電話といいますか、こういうものの区域の統一といったようなものは、どういう経過をたどっておるか、こういう点をひとつ資料としてお聞かせを願いたいわけです。  それから、こういう地域合併させなければならないという問題点は何も提示されておりません。幾つかの合併ができて飛び地になってしまったところがある。郡から飛び地になったところがある。それから一郡一町なんというところもある。選挙の話で恐縮ですが、県会議員の選挙になると、A市B市C市というのを通って自分の郡に行かなければならぬというところもある。こういうような飛び地みたいなところは、今度の合併対象としては考えられぬところと思うのです。ただ、地域合併を望むところに便宜を与えるというだけであるならば、人口四万で市にするということも合理性がないということにならないわけです。地域希望合併を進めるためにこの法案を出すというならば、四万で市になりたいということによって、それで合併が進むというならば、そういう特例法をつくればいい。そういう点がはなはだ私にはまだ明瞭ではございませんので、資料としてお出しをいただきたいと思います。  その資料を拝見をいたしまして質問をいたしたいと思います。委員長のほうにおきましてもよろしくお願いいたします。
  46. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 資料よろしいですね。
  47. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 資料をできるだけ御趣旨に沿うように調整をして提出いたしたいと思います。
  48. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと関連して。いまの市の人口の問題がいろいろといわれておりますが、私はっきり研究しておらないので、市になるべき要件として人口五万以上をはっきり明文化されたのはいつであるのか、それ以前はどうなっておったのか、ちょっと。
  49. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 地方自治法昭和二十二年にできましたときに、人口三万以上を有することというのを法定をいたしたのでございます。その前には、内務省におきまして、市政を施行いたします場合の詮議基準といたしまして、人口三万以上ということをいたしておりました。それからこの三万を五万に改めましたのは、昭和二十九年の法改正でございます。
  50. 鈴木壽

    鈴木壽君 それからもう一つ町村合併を進める段階で、二十九年以後でも三万以上でいいというのがありましたね。その間にできた市の数、これはいますぐでなくてもよろしゅうございます。ちょっとあとでもいいから、お調べいただきたいと思います。あとでいいから、加瀬先生の要求された資料をお出しになるときでけっこうでございますから。
  51. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本案についての本日の審査はこの程度にいたします。次回は三月二日火曜日午前十時に開会予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十五分散会      —————・—————